光射出器及び光制御素子
【課題】光の質感の向上や、デザイン性、周囲環境とのマッチング性等を向上させつつも、照明効率の非常によい全く新たな照明器具や光指示器等を創出する。
【解決手段】内部光源1と外部との間に介在させた光制御素子2が、遮蔽部31及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板3と、それら各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられて前記光遮蔽板3から光源1側に突出する突出体4とを備えてなり、前記突出体4の形態及び配設ピッチを、光源1からの光に対して集光効果を奏するように設定するとともに、前記光遮蔽板3の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面3aを形成するようにした。
【解決手段】内部光源1と外部との間に介在させた光制御素子2が、遮蔽部31及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板3と、それら各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられて前記光遮蔽板3から光源1側に突出する突出体4とを備えてなり、前記突出体4の形態及び配設ピッチを、光源1からの光に対して集光効果を奏するように設定するとともに、前記光遮蔽板3の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面3aを形成するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源からでた光の光質を変換して外部に出力する光射出器及びその光射出器等に用いられる光制御素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具のカバーは、光源の単なる保護のみならず、裸の光の質感を変え、周囲の雰囲気とマッチングさせるためにも用いられており、従来、種々のものが開発されてきている。例えばカバーに半透明な素材を用いるなどしているものはよく知られているところであるし、さらに近時では、デザイン等の要求から光源の形状すら外部から認識できないようにし、消灯時は照明器具に見えず、点灯して初めてそれとわかるようなものすらある。
【0003】
しかしながら、このように光源の光の質感を大きく変えたり、あるいはデザイン等を追求したりしたカバーは、逆に言うと光源からの光を多く遮ることになるため、点灯時にカバーにおいて少なからず光量ロスが生じ、光源の光を効率よく照明に用いることができない。その結果、この種の照明器具では、明るい照明が得られないか、又は大光量の光源を用いざるを得ず、熱の問題などが発生し得る。
つまり、従来の照明器具では、光質を変えたり、そうと見せないデザイン性等を追求したりすると、どうしても光の使用効率が悪くなるという不具合が発生する。
【特許文献1】実用新案公開平5−97014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、光が電磁波であり電波と同様な性状を有することを利用して、一方からのみ光を非常に効率よく透過させる光制御素子を生成し、その光制御素子と光源とを組み合わせることで、消灯時は光源が見えず、点灯時には光源の光を効率よく透過して光を射出することが可能な光射出器等を提供することをその所期課題とし、ひいては光の質感の向上や、デザイン性、周囲環境とのマッチング性等を向上させつつも、照明効率の非常によい全く新たな照明器具や光指示器等を創出すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係る光射出器は、(内部)光源と、その光源から出た光を厚み方向に通過させ、外部に射出する板状の光制御素子とを備えたものであって、前記光制御素子が、遮蔽部及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板と、それら各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられて前記光遮蔽板から光源側に突出する光透過性を有した突出体とを備えてなり、前記突出体の形態及び配設ピッチが、光源からの光に対してアンテナ効果を奏する、すなわち集光効果を奏するように設定されているとともに、前記光遮蔽板の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面が形成されていることを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、点灯時においては、内部の光源からの光を非常に少ないロスで外部に射出することができるうえに、その際に、外部からの光が光制御素子の反射面で反射して光源からの透過光に足し合わされることになるため、非常に明るい発光面を容易に得られるだけでなく、その反射面に色彩を付加したり凹凸を付けたりすることで、照明光の質感を自在に変えることもできる。
【0007】
一方、消灯時においては、光制御素子の反射面を自在にデザインできることから、外観を周囲と同化させたり、あるいは全く別の物品とみせかけたりすることが容易にできる。したがって消灯時には全く他の物品と認識され、光源が点灯することで、初めてそれと認識できるような全く新たな照明器具や指示器等を創出することが可能になる。
【0008】
このようなものであれば、突出体の形態及び配設ピッチによって、光の透過率を0〜98%に制御することが可能であるが、特に照明器具等にとっては、前記光制御素子における前記一方の面側からの光の光透過率が、可視光については平均して約80〜98%であることが望まれる。
【0009】
また、デザイン性を考えて、前記反射面(又はその裏側)に色彩を付すようにしてもよい。
【0010】
外部からの光を最も効率よく反射するには、前記反射面を鏡面にして光が正反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板をミラーと認識できるようにしているものが好ましい。
【0011】
一方、壁や手すりなど、他の物品に適用するには、前記反射面を凹凸面にして光が散乱反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板に所望の質感が与えられるようにしているものが望ましい。
【0012】
開口部及び突出体は、光遮蔽板のすべての領域にくまなく設けられている必要は必ずしもなく、光遮蔽板の一部領域にのみ設けるようにしてもよい。例えば光源の点灯時に、何らかのメッセージを伝えたいときなどには、前記領域が、意味を持った形状又は文字となるように設定しておけばよい。
【0013】
光源からの光が突出体を通過して外部にでるときにさらに集光効果が営まれるようにしたり、あるいは外部からの光をより多く内部に透過させたりする場合には、前記突出体の配設されていない隙間に、光遮蔽板よりも反光源側に突出する第2突出体を配設することが好ましい。例えば、第2突出体の配設対応位置に、光遮蔽部を貫通する第2開口部を形成しておけば、外部からの光をより多く内部に透過させることが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成した本発明によれば、消灯時は遮蔽板によって光源が見えず、点灯時には光源の光を効率よく透過して光を射出することが可能となる。したがってその遮蔽板の表面(反射面)を所望の形態にすることで、デザイン性や周囲環境とのマッチング性等を向上させつつも、照明効率の非常によい全く新たな照明器具や光指示器等を創出することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る光射出器100は、図1、図2に示すように、電球やLED等の内部光源1と、一方の面を光源1に向けて配置した板状をなす光制御素子2とを備え、光源1からでた光を、光制御素子2を介して外部に射出するものである。
【0017】
詳述すれば、前記光制御素子2は、遮蔽部31及び厚み方向に貫通する開口部たる貫通孔32を交互に配設してなる光遮蔽板3と、各貫通孔32に嵌装されて前記光遮蔽板3における光源1側の面から突出する複数の突出体4とを備えたものである。
【0018】
光遮蔽板3は、金属製(ここではアルミニウム、厚み約0.2μm)の板状体であり、その所定領域に亘って、貫通孔32を、例えば正方格子点上に(縦横に)所定ピッチで設けてなるものである。貫通孔32以外の部分である遮蔽部31は、可視領域の光(電磁波、以下単に光という)を遮断する。この遮蔽部31の表面(特に反光源側の面)は、光を反射する反射面3aにしてある。反射態様は、面荒さや色彩などで多様にでき、例えば光を正反射する鏡面にしてもよいし、色彩、凹凸などを付与して光を散乱反射するようにしてもよい。もちろん、この光遮蔽板を板や石、陶器、プラスティック等のような素材で構成して反射光の質感を調整するようにしてもよい。
【0019】
突出体4は、ここでは円柱状をなすガラス(SiO2)であるが、その他ITOなど、光を透過させる誘電体で形成すればよい。その径、長さ(高さ)、ピッチは、例えばそれぞれ0.5〜2μm程度であるが、この突出体4が、電磁波である光を集光し透過させるアンテナとしての機能を最も発揮できるように適宜設定すればよい。具体的には、その径が、透過させたい帯域の光の波長の0.01〜3500倍、その長さが、透過させたい帯域の光の波長の0.009〜2500倍、その配設ピッチが透過させたい帯域の光の波長の0.006〜2000倍に設定しておくことが好ましい。
【0020】
この実施形態において、突出体4は、同じ素材で形成した光透過板5の一方の面(光源側の面)から一体に突出させてあり、光透過板5を、光遮蔽板3の反射面3aに密着させて層構造とすることにより、突出体4が貫通孔32を挿通して光遮蔽板3の光源側の面よりも突出するとともに、光透過板5が、光遮蔽板3の反射面3aを保護するように構成している。
【0021】
このように構成した光制御素子2の各面からの光透過特性、反射特性を図3に示す。光源側からの光を非常に効率よく透過する一方、外部からの光は反射する。なお、比較のため、貫通孔も突出体も有さない光遮蔽板のみの場合を図4に、突出体を有さない態様の場合を図5に示す。突出体4を有するこの光制御素子2において、光源側からの光透過特性に大きな違いがあることがわかる。
【0022】
したがって、このような構成の光射出器100によれば、点灯時においては、内部の光源1からの光を非常に少ないロスで外部に射出することができ、しかも、その際に、外部からの光が光制御素子2の反射面3aで反射して光源1からの透過光に足し合わされることになるため、非常に明るい発光面を容易に得ることができる。また、反射面3aに色彩を付加したり凹凸を付けたりすることで、照明光の質感を自在に変えることもできる。さらに、点灯時においては、突出体4のレンズ作用及び拡散作用で、光源1がそのまま認識できるのではなく、光制御素子2が面発光しているかような効果を得ることもできる。
【0023】
一方、消灯時においては、光制御素子2の反射面3aを自在にデザインできることから、外観を周囲と同化させたり、あるいは全く別の物品とみせかけたりすることが容易にできる。したがって消灯時には、異なる他の物品と認識され、光源1が点灯することで、初めて光源1と認識できるような全く新たな照明器具や指示器等を創出することが可能になる。
【0024】
次に、光制御素子の種々の変形態様について説明する。なお、以下の説明中、前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付している。
【0025】
まず、突出体4の他の形状例を、図6、図7に示す。突出体4は、円柱のみならず多角柱でもよいし、先端が丸みを帯びていてもよい。また多角錐や円錐、台形柱などの角錐形状でもよく、一方向に延びる突条でもよい。要は突出形状であればよく、一部またはそれぞれの形態が互いに異なっても構わない。ピッチがランダムに設定してあってもよい。
【0026】
また、図8に示すように、突出体4を、異なる屈折率の素材4a〜4dを用いて高さ方向に積み重ねた多層構造のものにしてもよい。例えば先端の層4aから順に屈折率の高い層4dへとなだらかに多層化した場合、一度入射した光が突出体から放出されにくくなる。また屈折率の層を適切な順に多層化すると、プリズム作用で透過した光が角度によって異なるスペクトルを放ち、光の色に係る質感を変化させることが可能になる。また層数と層の厚みを適宜設定して、目的のスペクトルをさらに効率よく透過させることも可能になる。
【0027】
図9、図10は、突出体4を多層構造にしつつ、各層4a〜4dを中央が上方に膨出する膨出形状にしたものである。図9は層4a〜4dの断面形状が三角型、図10は円弧型である。これら図9、10のものによれば、図8の平層型のものに比して、スペクトルの制御を行いやすい。また、図10のものによれば、レンズ形状のために光を突出体4の中央に集められるという効果も奏する。
【0028】
光遮蔽板3は、前述したように金属でもよいし、板や石、陶器、プラスティック等のような素材で構成して光の質感を調整するようにしてもよい。この光遮蔽板3に他の特性、すなわち電導性やその逆に絶縁性、熱伝導性など、光遮蔽性や光質以外に必要な特性があればその特性を有する素材を用いればよい。例えば金属であると、電導性に富むことから電極として利用でき、熱伝導性に富むことから、曇り止めの鏡やガラスに適用できる。また可視光以外の特定帯域の電磁波を遮断する効果も得られる。
【0029】
図11に示すように、光遮蔽板3を多層構造31a〜31dにしてもよい。例えば金属板に塗料を塗る場合などがこれに相当する。このことによって、酸化や劣化の防止、反射率向上などの効果が得られ、あるいは光の質感を繊細に制御することも可能になる。例えば塗料に蛍光を発するものを塗ったり、所定帯域の光のみを選択的に反射するような塗料を塗ったりしてもよい。
【0030】
さらに光遮蔽板3は、前記実施形態のように、一枚の板(膜もふくむ)に開口部として貫通孔32を設けた構成でもよいし、多数の分割された遮蔽部31が、それぞれ隙間を有して光透過板5に貼り付けられているような構成でもよい。その場合、遮蔽部31間の隙間が開口部になる。
【0031】
一方で、前記実施形態では、光源1からの光の透過率は100%に近く、逆に言えばその光の反射率はほぼ0%であったわけだが、この光源1からの光の透過率を制御しようとすると、基本的には、まず突出体4のピッチを制御すればよい。例えば、光の透過率を下げる方向(光の反射率を上げる方向)に制御するには、その突出体4による光の集光効果が生じる領域よりもピッチを十分に大きくとればよい。その他に、遮蔽部31の光源側を向く面の形状に工夫を施しても、透過率制御が可能で、また、光源側への光の反射態様も変えられる。具体的には、図12に示すように、膨出湾曲面にしたり、断面凹形状(断面U字型やV字型)にしたものが考えられる。
【0032】
光透過板5は必ずしも必要なく、また、図13に示すように、この光透過板5を突出体4とは異なる部材にしても構わない。図14は、突出体4が、光透過板5を貫通するように構成した例である。図15は突出体4の下の光透過板5に孔が貫通している例である。また、光透過板の反光源側に光遮蔽板を配してもよい。
【0033】
また、突出体4と貫通孔32とは同径である必要はない。外部からの光の反射率は遮蔽部31と貫通孔32との面積比でおおよそ定まるため、反射率を下げたければ、図16に示すように、貫通孔32の径を突出体4の径を大きくすればよく、その逆であれば、図17に示すように貫通孔32の径を突出体4の径よりも小さくすればよい。この場合、光源1からの光の透過率が悪くなるが、それも図9〜図11のように突出体4を多層構造にするなどして透過率減少を増減することが可能である。
【0034】
図18は、保護のために突出体4の突出体分の側周囲を、保護部9で覆った形態である。突出体4での集光作用を保つには突出体4の誘電率を周囲よりも大きく、すなわち保護部9の誘電率よりも大きくすることが必要である。また保護部9は突出体4の高さと同じである必要はない。
【0035】
さらに、前記突出体4の配設されていない隙間に、光遮蔽板3よりも反光源1側に突出する第2突出体4を配設しても構わない。図19では、遮蔽部31に第2突出体4’を設けている。このことにより、突出体4を透過して出てきた光が、この第2突出体4’で再度集光されるので、透過光及び反射光の質感を変えることができる。
【0036】
また、図20(a)に示すように、第2突出体4’の配設対応位置に、第2開口部32’を形成してもよいし、同図(b)に示すように、一部又は全部の突出体4と第2突出体4’とを連続させて1本の棒状のものとし、それが光遮蔽板3を貫通して両方の面から突出するような態様にしてもよい。このとき第2開口部32’は、開口部32と重なっていると考えればよい。このようにすると、外部から内部光源側への光の透過率の調整も可能になるため、前記(第1)突出体4と第2突出体4’との配設比率により、この光制御素子2の内から外及び外から内への光の透過率の設定を任意に行うことができる。そして、後述するが、第2光源を有する照明器具などに適用してその効果が顕著になる。
【0037】
また、光源は、自然光や周囲光でも構わないので、この光制御素子を照明器具や指示器としてのみならず、壁や窓等の建築材料としても利用できる。
【0038】
次に、このような構成の光射出器100の利用態様について例示する。
【0039】
まず、この光射出器100をインテリア又はエクステリア用照明器具として用いた場合の例を挙げる。このようなものでは、デザイン的な観点や周囲とのマッチングを考慮して、消灯時は照明器具に見えず、点灯して初めてそれとわかる照明器具が求められる場合がある。
【0040】
図21、図22は、室内の天井や壁に取り付けることのできる照明器具LDの一例である。光制御素子2は、断面が三角波状乃至波形状をしている。光源1には棒状の蛍光灯を用いており、その光源1を、光制御素子2の各三角部分に対応してそれぞれ1つずつ配設している。このようなものであれば、光源1から側方にでて光制御素子2を通過した光が、その側方にある次の光制御素子2の反射面3aで反射され、下方に進むため、照明効率が向上する。
【0041】
反射面側にさらに第2光源を配置した構成でも構わない。このようなものであれば、(第1)光源と第2光源とをON/OFFすることによって、3種類の照射パターンを変更できる。(第1)光源のみがONの場合、透過した光のみの照明となり、第2光源のみをONした場合は、反射面による間接照明的な効果も得られる。双方の光源をONした場合は、非常に明るいガラス乃至鏡のようなものとなる。間仕切りにこの光制御素子を用い、第1光源と第2光源とをその表裏に配置すれば、間仕切りで隔てられた各部屋の照明の雰囲気が異なる趣のある照明器具を創出できる。
【0042】
図23は、中空多面体の照明器具LDの例である。内部に光源1を有し、外壁に光制御素子2を用いている。そして反射面3aを鏡面にして、消灯時はイルミネーションボールのような雰囲気を持たせてある。中空多面体は、机上や床上においてもよいし、その形状も四角錐など種々が考えられる。
【0043】
その他、例えば、反射面3aの色や凹凸を工夫して、図24に示すように、消灯時には、石や煉瓦、陶器等のオブジェにみえるようにしたものや、図25に示すように、手すりなどの他の機能を有するものを照明器にして構わない。また図示しないが、例えばテーブルの天板に光制御素子を用い、その天板の下方に光源を配置したものも考えられる。クリスマスツリーなどの装飾品の外壁に光制御素子を用い、内部に光源を格納したり、光源は別の場所にあって光ファイバなどのライトガイドで光制御素子にまで光を伝達したりするものでもよい。
【0044】
図26では、この光射出器100を、顕微鏡MSに適用した例を示している。この例では、ステージ(載物台)Sに光制御素子2を用い、対物レンズTの逆側に光源1を配置している。そうすると、光源1の点灯時には、光がステージSを通過して、対物レンズTの反対側から観察物Wを照射することができる。
【0045】
この応用例としては種々考えられる。ステージの縁のみが光って観察物を側周囲から照明するもの、ステージの複数領域を選択的に光らせることが可能で、観察物の一部のみを照明可能なもの、光の色を変更して特殊な成分のみに反応して強調された像を見ることが可能なものなどである。また、特に観察物に光を照射して蛍光を発させ、それを観測するような場合、ステージ(光制御素子)の表面(反射面)で光を反射させることができるため、より明るく鮮明な蛍光像が得られるという利点もある。
【0046】
次に、この光射出器100を指示器として用いた場合の例を挙げる。
【0047】
以下では、光制御素子2の反射面3aを鏡面にし、通常はこの光射出器100をミラーとして用いるようにしている。
【0048】
図27は、自動車のフェンダーFに光射出器100を用いた態様である。ここではミラーMを光制御素子2で構成し、フェンダー内部に図示しない光源が配設してある。また、ミラーMの全領域に亘って突出体4及び貫通孔32が形成してあり、例えば光源1を点滅させることで、ミラーMの全面が点滅し、方向指示器等として用いることができるようにしてある。さらに、図28に示すように、ミラーMの一部(外側部分や内側部分、上下部分)のみが点灯するようにしてもよいし、それら各部を選択的に点灯できるようにしても構わない。また、図示しないが、ミラーカバーを光制御素子で形成し、カバーの全部又は一部が点灯可能に構成してもよい。
【0049】
図29は、例えば道路に設置される道路ミラーMに光射出器100を適用した例である。同図に示すように、光制御素子2の一部領域にのみ突出体4及び貫通孔32を形成し、それらが意味を持つような形状にしている。図示しない内部の光源が点灯すると、危険を示す「危」や「雪」などが認識可能に点灯する。
【0050】
もちろん反射面を光拡散面にして色彩を付加し、壁や柱などのような質感をもたせて周囲との調和を図りながら、一時的にあるいは連続的に光源が点灯して、指示器として機能するような態様も可能である。
【0051】
その他、本発明は前述した実施形態や変形例の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態における光射出器を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態における光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図3】同実施形態における光制御素子の光透過率及び光反射率を示す説明図。
【図4】他の光遮蔽板での光透過率及び光反射率を示す説明図。
【図5】他の光遮蔽板での光透過率及び光反射率を示す説明図。
【図6】本発明の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図7】本発明の他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図8】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図9】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図10】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図11】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図12】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図13】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図14】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図15】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図16】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図17】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図18】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図19】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図20】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図21】本発明に係る光射出器を照明器具に適用した一例を示す例示図。
【図22】図21における光線の進行方向を示す光進行説明図。
【図23】本発明に係る光射出器を照明器具に適用した一例を示す例示図。
【図24】本発明に係る光射出器を照明器具に適用したさらに他の例を示す例示図。
【図25】本発明に係る光射出器を照明器具に適用したさらに他の例を示す例示図。
【図26】本発明に係る光射出器を照明器具に適用したさらに他の例を示す例示図。
【図27】本発明に係る光射出器をミラーに適用した一例を示す例示図。
【図28】本発明に係る光射出器をミラーに適用した他の例を示す例示図。
【図29】本発明に係る光射出器をミラーに適用したさらに他の例を示す例示図。
【符号の説明】
【0053】
1・・・光源
2・・・光制御素子
3・・・光遮蔽板
31・・・遮蔽部
32・・・開口部(貫通孔)
3a・・・反射面
4・・・突出体
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源からでた光の光質を変換して外部に出力する光射出器及びその光射出器等に用いられる光制御素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具のカバーは、光源の単なる保護のみならず、裸の光の質感を変え、周囲の雰囲気とマッチングさせるためにも用いられており、従来、種々のものが開発されてきている。例えばカバーに半透明な素材を用いるなどしているものはよく知られているところであるし、さらに近時では、デザイン等の要求から光源の形状すら外部から認識できないようにし、消灯時は照明器具に見えず、点灯して初めてそれとわかるようなものすらある。
【0003】
しかしながら、このように光源の光の質感を大きく変えたり、あるいはデザイン等を追求したりしたカバーは、逆に言うと光源からの光を多く遮ることになるため、点灯時にカバーにおいて少なからず光量ロスが生じ、光源の光を効率よく照明に用いることができない。その結果、この種の照明器具では、明るい照明が得られないか、又は大光量の光源を用いざるを得ず、熱の問題などが発生し得る。
つまり、従来の照明器具では、光質を変えたり、そうと見せないデザイン性等を追求したりすると、どうしても光の使用効率が悪くなるという不具合が発生する。
【特許文献1】実用新案公開平5−97014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、光が電磁波であり電波と同様な性状を有することを利用して、一方からのみ光を非常に効率よく透過させる光制御素子を生成し、その光制御素子と光源とを組み合わせることで、消灯時は光源が見えず、点灯時には光源の光を効率よく透過して光を射出することが可能な光射出器等を提供することをその所期課題とし、ひいては光の質感の向上や、デザイン性、周囲環境とのマッチング性等を向上させつつも、照明効率の非常によい全く新たな照明器具や光指示器等を創出すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係る光射出器は、(内部)光源と、その光源から出た光を厚み方向に通過させ、外部に射出する板状の光制御素子とを備えたものであって、前記光制御素子が、遮蔽部及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板と、それら各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられて前記光遮蔽板から光源側に突出する光透過性を有した突出体とを備えてなり、前記突出体の形態及び配設ピッチが、光源からの光に対してアンテナ効果を奏する、すなわち集光効果を奏するように設定されているとともに、前記光遮蔽板の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面が形成されていることを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、点灯時においては、内部の光源からの光を非常に少ないロスで外部に射出することができるうえに、その際に、外部からの光が光制御素子の反射面で反射して光源からの透過光に足し合わされることになるため、非常に明るい発光面を容易に得られるだけでなく、その反射面に色彩を付加したり凹凸を付けたりすることで、照明光の質感を自在に変えることもできる。
【0007】
一方、消灯時においては、光制御素子の反射面を自在にデザインできることから、外観を周囲と同化させたり、あるいは全く別の物品とみせかけたりすることが容易にできる。したがって消灯時には全く他の物品と認識され、光源が点灯することで、初めてそれと認識できるような全く新たな照明器具や指示器等を創出することが可能になる。
【0008】
このようなものであれば、突出体の形態及び配設ピッチによって、光の透過率を0〜98%に制御することが可能であるが、特に照明器具等にとっては、前記光制御素子における前記一方の面側からの光の光透過率が、可視光については平均して約80〜98%であることが望まれる。
【0009】
また、デザイン性を考えて、前記反射面(又はその裏側)に色彩を付すようにしてもよい。
【0010】
外部からの光を最も効率よく反射するには、前記反射面を鏡面にして光が正反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板をミラーと認識できるようにしているものが好ましい。
【0011】
一方、壁や手すりなど、他の物品に適用するには、前記反射面を凹凸面にして光が散乱反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板に所望の質感が与えられるようにしているものが望ましい。
【0012】
開口部及び突出体は、光遮蔽板のすべての領域にくまなく設けられている必要は必ずしもなく、光遮蔽板の一部領域にのみ設けるようにしてもよい。例えば光源の点灯時に、何らかのメッセージを伝えたいときなどには、前記領域が、意味を持った形状又は文字となるように設定しておけばよい。
【0013】
光源からの光が突出体を通過して外部にでるときにさらに集光効果が営まれるようにしたり、あるいは外部からの光をより多く内部に透過させたりする場合には、前記突出体の配設されていない隙間に、光遮蔽板よりも反光源側に突出する第2突出体を配設することが好ましい。例えば、第2突出体の配設対応位置に、光遮蔽部を貫通する第2開口部を形成しておけば、外部からの光をより多く内部に透過させることが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成した本発明によれば、消灯時は遮蔽板によって光源が見えず、点灯時には光源の光を効率よく透過して光を射出することが可能となる。したがってその遮蔽板の表面(反射面)を所望の形態にすることで、デザイン性や周囲環境とのマッチング性等を向上させつつも、照明効率の非常によい全く新たな照明器具や光指示器等を創出することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る光射出器100は、図1、図2に示すように、電球やLED等の内部光源1と、一方の面を光源1に向けて配置した板状をなす光制御素子2とを備え、光源1からでた光を、光制御素子2を介して外部に射出するものである。
【0017】
詳述すれば、前記光制御素子2は、遮蔽部31及び厚み方向に貫通する開口部たる貫通孔32を交互に配設してなる光遮蔽板3と、各貫通孔32に嵌装されて前記光遮蔽板3における光源1側の面から突出する複数の突出体4とを備えたものである。
【0018】
光遮蔽板3は、金属製(ここではアルミニウム、厚み約0.2μm)の板状体であり、その所定領域に亘って、貫通孔32を、例えば正方格子点上に(縦横に)所定ピッチで設けてなるものである。貫通孔32以外の部分である遮蔽部31は、可視領域の光(電磁波、以下単に光という)を遮断する。この遮蔽部31の表面(特に反光源側の面)は、光を反射する反射面3aにしてある。反射態様は、面荒さや色彩などで多様にでき、例えば光を正反射する鏡面にしてもよいし、色彩、凹凸などを付与して光を散乱反射するようにしてもよい。もちろん、この光遮蔽板を板や石、陶器、プラスティック等のような素材で構成して反射光の質感を調整するようにしてもよい。
【0019】
突出体4は、ここでは円柱状をなすガラス(SiO2)であるが、その他ITOなど、光を透過させる誘電体で形成すればよい。その径、長さ(高さ)、ピッチは、例えばそれぞれ0.5〜2μm程度であるが、この突出体4が、電磁波である光を集光し透過させるアンテナとしての機能を最も発揮できるように適宜設定すればよい。具体的には、その径が、透過させたい帯域の光の波長の0.01〜3500倍、その長さが、透過させたい帯域の光の波長の0.009〜2500倍、その配設ピッチが透過させたい帯域の光の波長の0.006〜2000倍に設定しておくことが好ましい。
【0020】
この実施形態において、突出体4は、同じ素材で形成した光透過板5の一方の面(光源側の面)から一体に突出させてあり、光透過板5を、光遮蔽板3の反射面3aに密着させて層構造とすることにより、突出体4が貫通孔32を挿通して光遮蔽板3の光源側の面よりも突出するとともに、光透過板5が、光遮蔽板3の反射面3aを保護するように構成している。
【0021】
このように構成した光制御素子2の各面からの光透過特性、反射特性を図3に示す。光源側からの光を非常に効率よく透過する一方、外部からの光は反射する。なお、比較のため、貫通孔も突出体も有さない光遮蔽板のみの場合を図4に、突出体を有さない態様の場合を図5に示す。突出体4を有するこの光制御素子2において、光源側からの光透過特性に大きな違いがあることがわかる。
【0022】
したがって、このような構成の光射出器100によれば、点灯時においては、内部の光源1からの光を非常に少ないロスで外部に射出することができ、しかも、その際に、外部からの光が光制御素子2の反射面3aで反射して光源1からの透過光に足し合わされることになるため、非常に明るい発光面を容易に得ることができる。また、反射面3aに色彩を付加したり凹凸を付けたりすることで、照明光の質感を自在に変えることもできる。さらに、点灯時においては、突出体4のレンズ作用及び拡散作用で、光源1がそのまま認識できるのではなく、光制御素子2が面発光しているかような効果を得ることもできる。
【0023】
一方、消灯時においては、光制御素子2の反射面3aを自在にデザインできることから、外観を周囲と同化させたり、あるいは全く別の物品とみせかけたりすることが容易にできる。したがって消灯時には、異なる他の物品と認識され、光源1が点灯することで、初めて光源1と認識できるような全く新たな照明器具や指示器等を創出することが可能になる。
【0024】
次に、光制御素子の種々の変形態様について説明する。なお、以下の説明中、前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付している。
【0025】
まず、突出体4の他の形状例を、図6、図7に示す。突出体4は、円柱のみならず多角柱でもよいし、先端が丸みを帯びていてもよい。また多角錐や円錐、台形柱などの角錐形状でもよく、一方向に延びる突条でもよい。要は突出形状であればよく、一部またはそれぞれの形態が互いに異なっても構わない。ピッチがランダムに設定してあってもよい。
【0026】
また、図8に示すように、突出体4を、異なる屈折率の素材4a〜4dを用いて高さ方向に積み重ねた多層構造のものにしてもよい。例えば先端の層4aから順に屈折率の高い層4dへとなだらかに多層化した場合、一度入射した光が突出体から放出されにくくなる。また屈折率の層を適切な順に多層化すると、プリズム作用で透過した光が角度によって異なるスペクトルを放ち、光の色に係る質感を変化させることが可能になる。また層数と層の厚みを適宜設定して、目的のスペクトルをさらに効率よく透過させることも可能になる。
【0027】
図9、図10は、突出体4を多層構造にしつつ、各層4a〜4dを中央が上方に膨出する膨出形状にしたものである。図9は層4a〜4dの断面形状が三角型、図10は円弧型である。これら図9、10のものによれば、図8の平層型のものに比して、スペクトルの制御を行いやすい。また、図10のものによれば、レンズ形状のために光を突出体4の中央に集められるという効果も奏する。
【0028】
光遮蔽板3は、前述したように金属でもよいし、板や石、陶器、プラスティック等のような素材で構成して光の質感を調整するようにしてもよい。この光遮蔽板3に他の特性、すなわち電導性やその逆に絶縁性、熱伝導性など、光遮蔽性や光質以外に必要な特性があればその特性を有する素材を用いればよい。例えば金属であると、電導性に富むことから電極として利用でき、熱伝導性に富むことから、曇り止めの鏡やガラスに適用できる。また可視光以外の特定帯域の電磁波を遮断する効果も得られる。
【0029】
図11に示すように、光遮蔽板3を多層構造31a〜31dにしてもよい。例えば金属板に塗料を塗る場合などがこれに相当する。このことによって、酸化や劣化の防止、反射率向上などの効果が得られ、あるいは光の質感を繊細に制御することも可能になる。例えば塗料に蛍光を発するものを塗ったり、所定帯域の光のみを選択的に反射するような塗料を塗ったりしてもよい。
【0030】
さらに光遮蔽板3は、前記実施形態のように、一枚の板(膜もふくむ)に開口部として貫通孔32を設けた構成でもよいし、多数の分割された遮蔽部31が、それぞれ隙間を有して光透過板5に貼り付けられているような構成でもよい。その場合、遮蔽部31間の隙間が開口部になる。
【0031】
一方で、前記実施形態では、光源1からの光の透過率は100%に近く、逆に言えばその光の反射率はほぼ0%であったわけだが、この光源1からの光の透過率を制御しようとすると、基本的には、まず突出体4のピッチを制御すればよい。例えば、光の透過率を下げる方向(光の反射率を上げる方向)に制御するには、その突出体4による光の集光効果が生じる領域よりもピッチを十分に大きくとればよい。その他に、遮蔽部31の光源側を向く面の形状に工夫を施しても、透過率制御が可能で、また、光源側への光の反射態様も変えられる。具体的には、図12に示すように、膨出湾曲面にしたり、断面凹形状(断面U字型やV字型)にしたものが考えられる。
【0032】
光透過板5は必ずしも必要なく、また、図13に示すように、この光透過板5を突出体4とは異なる部材にしても構わない。図14は、突出体4が、光透過板5を貫通するように構成した例である。図15は突出体4の下の光透過板5に孔が貫通している例である。また、光透過板の反光源側に光遮蔽板を配してもよい。
【0033】
また、突出体4と貫通孔32とは同径である必要はない。外部からの光の反射率は遮蔽部31と貫通孔32との面積比でおおよそ定まるため、反射率を下げたければ、図16に示すように、貫通孔32の径を突出体4の径を大きくすればよく、その逆であれば、図17に示すように貫通孔32の径を突出体4の径よりも小さくすればよい。この場合、光源1からの光の透過率が悪くなるが、それも図9〜図11のように突出体4を多層構造にするなどして透過率減少を増減することが可能である。
【0034】
図18は、保護のために突出体4の突出体分の側周囲を、保護部9で覆った形態である。突出体4での集光作用を保つには突出体4の誘電率を周囲よりも大きく、すなわち保護部9の誘電率よりも大きくすることが必要である。また保護部9は突出体4の高さと同じである必要はない。
【0035】
さらに、前記突出体4の配設されていない隙間に、光遮蔽板3よりも反光源1側に突出する第2突出体4を配設しても構わない。図19では、遮蔽部31に第2突出体4’を設けている。このことにより、突出体4を透過して出てきた光が、この第2突出体4’で再度集光されるので、透過光及び反射光の質感を変えることができる。
【0036】
また、図20(a)に示すように、第2突出体4’の配設対応位置に、第2開口部32’を形成してもよいし、同図(b)に示すように、一部又は全部の突出体4と第2突出体4’とを連続させて1本の棒状のものとし、それが光遮蔽板3を貫通して両方の面から突出するような態様にしてもよい。このとき第2開口部32’は、開口部32と重なっていると考えればよい。このようにすると、外部から内部光源側への光の透過率の調整も可能になるため、前記(第1)突出体4と第2突出体4’との配設比率により、この光制御素子2の内から外及び外から内への光の透過率の設定を任意に行うことができる。そして、後述するが、第2光源を有する照明器具などに適用してその効果が顕著になる。
【0037】
また、光源は、自然光や周囲光でも構わないので、この光制御素子を照明器具や指示器としてのみならず、壁や窓等の建築材料としても利用できる。
【0038】
次に、このような構成の光射出器100の利用態様について例示する。
【0039】
まず、この光射出器100をインテリア又はエクステリア用照明器具として用いた場合の例を挙げる。このようなものでは、デザイン的な観点や周囲とのマッチングを考慮して、消灯時は照明器具に見えず、点灯して初めてそれとわかる照明器具が求められる場合がある。
【0040】
図21、図22は、室内の天井や壁に取り付けることのできる照明器具LDの一例である。光制御素子2は、断面が三角波状乃至波形状をしている。光源1には棒状の蛍光灯を用いており、その光源1を、光制御素子2の各三角部分に対応してそれぞれ1つずつ配設している。このようなものであれば、光源1から側方にでて光制御素子2を通過した光が、その側方にある次の光制御素子2の反射面3aで反射され、下方に進むため、照明効率が向上する。
【0041】
反射面側にさらに第2光源を配置した構成でも構わない。このようなものであれば、(第1)光源と第2光源とをON/OFFすることによって、3種類の照射パターンを変更できる。(第1)光源のみがONの場合、透過した光のみの照明となり、第2光源のみをONした場合は、反射面による間接照明的な効果も得られる。双方の光源をONした場合は、非常に明るいガラス乃至鏡のようなものとなる。間仕切りにこの光制御素子を用い、第1光源と第2光源とをその表裏に配置すれば、間仕切りで隔てられた各部屋の照明の雰囲気が異なる趣のある照明器具を創出できる。
【0042】
図23は、中空多面体の照明器具LDの例である。内部に光源1を有し、外壁に光制御素子2を用いている。そして反射面3aを鏡面にして、消灯時はイルミネーションボールのような雰囲気を持たせてある。中空多面体は、机上や床上においてもよいし、その形状も四角錐など種々が考えられる。
【0043】
その他、例えば、反射面3aの色や凹凸を工夫して、図24に示すように、消灯時には、石や煉瓦、陶器等のオブジェにみえるようにしたものや、図25に示すように、手すりなどの他の機能を有するものを照明器にして構わない。また図示しないが、例えばテーブルの天板に光制御素子を用い、その天板の下方に光源を配置したものも考えられる。クリスマスツリーなどの装飾品の外壁に光制御素子を用い、内部に光源を格納したり、光源は別の場所にあって光ファイバなどのライトガイドで光制御素子にまで光を伝達したりするものでもよい。
【0044】
図26では、この光射出器100を、顕微鏡MSに適用した例を示している。この例では、ステージ(載物台)Sに光制御素子2を用い、対物レンズTの逆側に光源1を配置している。そうすると、光源1の点灯時には、光がステージSを通過して、対物レンズTの反対側から観察物Wを照射することができる。
【0045】
この応用例としては種々考えられる。ステージの縁のみが光って観察物を側周囲から照明するもの、ステージの複数領域を選択的に光らせることが可能で、観察物の一部のみを照明可能なもの、光の色を変更して特殊な成分のみに反応して強調された像を見ることが可能なものなどである。また、特に観察物に光を照射して蛍光を発させ、それを観測するような場合、ステージ(光制御素子)の表面(反射面)で光を反射させることができるため、より明るく鮮明な蛍光像が得られるという利点もある。
【0046】
次に、この光射出器100を指示器として用いた場合の例を挙げる。
【0047】
以下では、光制御素子2の反射面3aを鏡面にし、通常はこの光射出器100をミラーとして用いるようにしている。
【0048】
図27は、自動車のフェンダーFに光射出器100を用いた態様である。ここではミラーMを光制御素子2で構成し、フェンダー内部に図示しない光源が配設してある。また、ミラーMの全領域に亘って突出体4及び貫通孔32が形成してあり、例えば光源1を点滅させることで、ミラーMの全面が点滅し、方向指示器等として用いることができるようにしてある。さらに、図28に示すように、ミラーMの一部(外側部分や内側部分、上下部分)のみが点灯するようにしてもよいし、それら各部を選択的に点灯できるようにしても構わない。また、図示しないが、ミラーカバーを光制御素子で形成し、カバーの全部又は一部が点灯可能に構成してもよい。
【0049】
図29は、例えば道路に設置される道路ミラーMに光射出器100を適用した例である。同図に示すように、光制御素子2の一部領域にのみ突出体4及び貫通孔32を形成し、それらが意味を持つような形状にしている。図示しない内部の光源が点灯すると、危険を示す「危」や「雪」などが認識可能に点灯する。
【0050】
もちろん反射面を光拡散面にして色彩を付加し、壁や柱などのような質感をもたせて周囲との調和を図りながら、一時的にあるいは連続的に光源が点灯して、指示器として機能するような態様も可能である。
【0051】
その他、本発明は前述した実施形態や変形例の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態における光射出器を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態における光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図3】同実施形態における光制御素子の光透過率及び光反射率を示す説明図。
【図4】他の光遮蔽板での光透過率及び光反射率を示す説明図。
【図5】他の光遮蔽板での光透過率及び光反射率を示す説明図。
【図6】本発明の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図7】本発明の他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図8】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図9】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図10】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図11】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図12】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図13】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図14】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図15】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図16】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図17】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図18】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図19】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図20】本発明のさらに他の変形例に係る光制御素子の内部構造を示す部分断面図。
【図21】本発明に係る光射出器を照明器具に適用した一例を示す例示図。
【図22】図21における光線の進行方向を示す光進行説明図。
【図23】本発明に係る光射出器を照明器具に適用した一例を示す例示図。
【図24】本発明に係る光射出器を照明器具に適用したさらに他の例を示す例示図。
【図25】本発明に係る光射出器を照明器具に適用したさらに他の例を示す例示図。
【図26】本発明に係る光射出器を照明器具に適用したさらに他の例を示す例示図。
【図27】本発明に係る光射出器をミラーに適用した一例を示す例示図。
【図28】本発明に係る光射出器をミラーに適用した他の例を示す例示図。
【図29】本発明に係る光射出器をミラーに適用したさらに他の例を示す例示図。
【符号の説明】
【0053】
1・・・光源
2・・・光制御素子
3・・・光遮蔽板
31・・・遮蔽部
32・・・開口部(貫通孔)
3a・・・反射面
4・・・突出体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、その光源から出た光を厚み方向に通過させ、外部に射出する板状の光制御素子とを備えたものであって、
前記光制御素子が、光を遮蔽する遮蔽部及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板と、それら各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられ、前記光遮蔽板から光源側に突出する光透過性を有した突出体とを備えてなり、前記突出体の形態及び配設ピッチが、光源からの光に対して集光作用を奏するように設定されているとともに、前記光遮蔽板の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面が形成されていることを特徴とする光射出器。
【請求項2】
前記光制御素子における前記一方の面側からの光の光透過率が、可視光については約0〜98%である請求項1記載の光射出器。
【請求項3】
前記反射面に色彩が付されている請求項1又は2記載の光射出器。
【請求項4】
前記反射面を鏡面にして光が正反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板をミラーと認識できるようにしている請求項1乃至3いずれか記載の光射出器。
【請求項5】
前記反射面を凹凸面にして光が散乱反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板に所望の質感が与えられるようにしている請求項1乃至3いずれか記載の光射出器。
【請求項6】
開口部及び突出体が、光遮蔽板の一部領域に設けられており、その領域が、意味を持った形状又は文字となるように設定している請求項5記載の光射出器。
【請求項7】
前記突出体の配設されていない隙間に、光遮蔽板よりも反光源側に突出する第2突出体を配設している請求項1乃至6いずれか記載の光射出器。
【請求項8】
一方の面を光源に向けて配置される板状のものであって、遮蔽部及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板と、前記各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられ、前記光遮蔽板から光源側に突出する光透過性を有した突出体とを備えてなり、前記突出体の形態及び配設ピッチが、光源からの光に対して集光作用を奏するように設定されているとともに、前記光遮蔽板の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面が形成されていることを特徴とする光制御素子。
【請求項9】
前記突出体の配設されていない隙間に、光遮蔽板よりも反光源側に突出する第2突出体を配設している請求項8記載の光制御素子。
【請求項10】
第2突出体の配設対応位置に、光遮蔽部を貫通する第2開口部を形成している請求項9記載の光制御素子。
【請求項1】
光源と、その光源から出た光を厚み方向に通過させ、外部に射出する板状の光制御素子とを備えたものであって、
前記光制御素子が、光を遮蔽する遮蔽部及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板と、それら各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられ、前記光遮蔽板から光源側に突出する光透過性を有した突出体とを備えてなり、前記突出体の形態及び配設ピッチが、光源からの光に対して集光作用を奏するように設定されているとともに、前記光遮蔽板の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面が形成されていることを特徴とする光射出器。
【請求項2】
前記光制御素子における前記一方の面側からの光の光透過率が、可視光については約0〜98%である請求項1記載の光射出器。
【請求項3】
前記反射面に色彩が付されている請求項1又は2記載の光射出器。
【請求項4】
前記反射面を鏡面にして光が正反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板をミラーと認識できるようにしている請求項1乃至3いずれか記載の光射出器。
【請求項5】
前記反射面を凹凸面にして光が散乱反射するように構成し、外部から見たときに光遮蔽板に所望の質感が与えられるようにしている請求項1乃至3いずれか記載の光射出器。
【請求項6】
開口部及び突出体が、光遮蔽板の一部領域に設けられており、その領域が、意味を持った形状又は文字となるように設定している請求項5記載の光射出器。
【請求項7】
前記突出体の配設されていない隙間に、光遮蔽板よりも反光源側に突出する第2突出体を配設している請求項1乃至6いずれか記載の光射出器。
【請求項8】
一方の面を光源に向けて配置される板状のものであって、遮蔽部及び厚み方向に貫通する開口部を交互に配設してなる光遮蔽板と、前記各開口部に嵌装され又は各開口部に臨む位置に設けられ、前記光遮蔽板から光源側に突出する光透過性を有した突出体とを備えてなり、前記突出体の形態及び配設ピッチが、光源からの光に対して集光作用を奏するように設定されているとともに、前記光遮蔽板の少なくとも反光源側の面に、外部からの光の一部又は全部を散乱又は正反射する反射面が形成されていることを特徴とする光制御素子。
【請求項9】
前記突出体の配設されていない隙間に、光遮蔽板よりも反光源側に突出する第2突出体を配設している請求項8記載の光制御素子。
【請求項10】
第2突出体の配設対応位置に、光遮蔽部を貫通する第2開口部を形成している請求項9記載の光制御素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−286399(P2006−286399A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104728(P2005−104728)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(500404258)アーベル・システムズ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(500404258)アーベル・システムズ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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