説明

光導波路の製造方法及びそれに用いる露光マスク

【課題】 高精度かつ高集積な光導波路をリソグラフィ技術のみで精度良く製造する方法及びそれに用いる露光マスクを提供すること。
【解決手段】 光入出射面2、3が斜面形状に形成されたコア4と、クラッド5とからなる光導波路1を製造するに際し、コア4の成形に用いる感光材9の露光に用いられるグレートーンマスク6において、コア4に対応する主パターン開口7を複数隣接して配列し、この配列方向における主パターン開口7間に、ダミーパターン開口8を形成し、これによって前記配列方向における主パターン開口7及びダミーパターン8開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化し、このグレートーンマスク6を用いて感光材9を露光し、この露光された感光材9の現像で得られたマスクを用いてコア4の成形型を作製する、光導波路1の製造方法、及びそれに用いる露光マスク6。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路の製造方法及びそれに用いる露光マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光導波路は、コアとクラッドとからなり、コアは線幅数μmから数10μmの透過性の高い高屈折率樹脂などの材料から構成されている。このような光導波路は光の伝搬だけでなく、光の合流/分岐の機能や、光の強度や位相を変調させる機能などを実現できるので、光通信システムや、光インターコネクション等の光を用いた情報伝達や光メモリなどの情報処理分野での応用が期待されている。
【0003】
また、コアをアレイ化して集積化することで、多チャンネルの大容量情報転送システムの開発が近年進んでいる。
【0004】
代表的な光導波路の製造方法としては、SiO2やLiNbO3などの基板中にマスクを通して金属イオンを拡散させることにより屈折率分布を与えたり、或いはエッチングにより凸型形状のコアを表面に成形していた。また、Siウェハ上にSiO2膜を成膜して光導波路を作製する方法も知られている。最近では、PMMAやポリイミドなどの樹脂を塗布して、直接或いはレジスト等のパターニングを通して、光導波路のコアを作り込む方法も行われている。このように、リソグラフィでコアを成形することが一般的であり、この結果、コアは矩形になるのが一般的であった。
【0005】
このため、光導波路に対して垂直に進入してくる光を光導波路のコア内に導くためには、図7(a)に示すように、コア50の光入出射面51、52を斜面形状に形成する必要がある。このようなコア50を作製する方法としては、図7(b)に示すように、リソグラフィ技術により得られた矩形のコアをダイシングブレード53等で切断し、光入出射面51、52を斜面形状に形成する方法、若しくは図7(c)、(d)に示すように、Niメッキを成長させることで光入出射面を成形する方法が提案されている(例えば、後記の特許文献1又は特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−248953号公報(4頁6欄18行目〜6頁9欄19行目、図1〜図3)
【特許文献2】特開2001−42150号公報(6頁9欄49行目〜8頁13欄23行目、図5〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7(b)に示すように、ダイシングブレード53等で切断する場合、一度作製した矩形のコアに対し、その端部(光入出射面51、52)をダイシングブレード53等で斜面形状(例えば、45°)に切断するため、切断の工程が増えてしまい、また切断時の公差も懸念される。
【0008】
また、図7(c)に示すように、メッキによりコア50の光入出射面51、52を光が反射する形状に形成する場合、図7(d)に示すように、光入出射面51、52を所望とする形状に精度良く形成するのが難しく、更に形状を自由に変更することができない。
【0009】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、光導波路をリソグラフィ技術のみで精度良く製造する方法及びそれに用いる露光マスクを提供することにある。また、第2の目的は、高精度かつ高集積な光導波路をリソグラフィ技術で製造する方法及びそれに用いる露光マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は、光入出射面が斜面形状に形成されたコアと、クラッドとからなる光導波路を製造するに際し、前記コアの成形に用いる感光材の露光に用いるグレートーンマスクにおいて、前記コアに対応する主パターン開口を複数隣接して配列し、この配列方向における前記主パターン開口間に、ダミーパターン開口を形成し、これによって前記配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化し、この状態で前記グレートーンマスクを用いて前記感光材を露光し、この露光された感光材の現像で得られたマスクを用いて前記コアの成形型を作製する、光導波路の製造方法に係るものである(以下、本発明の第1の製造方法と称する場合がある。)。
【0011】
また、光入出射面が斜面形状のコアを成形するのに用いる感光材の露光に用いるグレートーンマスクであって、前記コアに対応する主パターン開口が複数隣接して配列され、この配列方向における前記主パターン開口間に、ダミーパターン開口が形成され、これによって前記配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔が均一化されている、露光マスクに係るものである。
【0012】
さらに、光入出射面が斜面形状に形成されたコアと、クラッドとからなる光導波路を製造するに際し、前記コアの成形に用いる感光材の露光に用いるマスクにおいて、前記コアに対応する矩形パターン開口を複数隣接して配列し、前記感光材に対して前記マスクの露光位置を、前記コアの長さ方向に移動しながら露光を複数回積算して前記光入出射面を斜面形状に形成し、この多重露光された感光材の現像で得られたマスクを用いて前記コアの成形型を作製する、光導波路の製造方法に係るものである(以下、本発明の第2の製造方法と称する場合がある。)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の製造方法によれば、前記グレートーンマスクにおいて、前記コアに対応する前記主パターン開口を複数隣接して配列し、この配列方向における前記主パターン開口間に、前記ダミーパターン開口を形成し、これによって前記配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化し、この状態で前記グレートーンマスクを用いて前記感光材を露光し、この露光された感光材の現像で得られた前記マスクを用いて前記コアの前記成形型を作製するので、リソグラフィ技術のみで前記コアを成形するのと同時に、前記コアの前記光入出射面を精度良く前記斜面形状に形成することができる。
【0014】
また、前記グレートーンマスクにおいて、前記配列方向における前記主パターン開口間に、前記ダミーパターン開口を形成し、これによって配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化しているので、前記コアを狭ピッチに集積しても、精度の良い高集積な光導波路をリソグラフィ技術で製造することができる。
【0015】
また、本発明の第2の製造方法によれば、前記コアの成形に用いる前記感光材の露光に用いる前記マスクにおいて、前記コアに対応する前記矩形パターン開口を複数隣接して配列し、前記感光材に対して前記マスクの露光位置を、前記コアの長さ方向に移動しながら露光を複数回積算して前記光入出射面を斜面形状に形成し、この多重露光された前記感光材の現像で得られた前記マスクを用いて前記コアの前記成形型を作製するので、前記コアの前記光入出射面を精度良く形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1の製造方法及びそれに用いる露光マスクにおいて、前記グレートーンマスクの前記主パターン開口を、前記配列方向において前記光入出射面が交互に存在するように形成するのが好ましい。具体的には、前記主パターン開口を前記配列方向において、千鳥配置するか、或いは前記コアの長さ方向にずらして配置するのが好ましい。
【0017】
このように、前記グレートーンマスクの前記主パターン開口を、前記配列方向において前記光入出射面が交互に存在するように形成することで、前記コアを精度良く作製すると共に、前記コアをより高集積化することができる。
【0018】
そして、前記感光材の露光後に、現像処理によって前記コアに対応した凹凸断面形状の前記感光材マスクを用いて型材となる基板をエッチングして前記成形型を作製し、この成形型にコア材を充填し、これを剥離して、前記コアを形成することができる。
【0019】
本発明の第2の製造方法において、前記マスクの前記矩形パターン開口を前記配列方向において、前記コアの長さ方向にずらして配置するのが好ましい。
【0020】
また、前記マスクの前記矩形パターン開口の幅を前記コアの幅と同等とし、前記矩形パターン開口の長さを前記コアの長さから光入射部又は光出射部の長さを引いた大きさとすることが好ましい。
【0021】
また、前記マスクにおける前記矩形パターン開口間に、第1の製造方法と同様にして、前記ダミーパターン開口を形成し、前記矩形パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化してもよい。
【0022】
さらに、前記感光材に対して前記マスクを前記コアの長さ方向に移動させて多重露光するに際し、前記コアの光入射部又は光出射部の長さを露光回数で割った値ずつ移動させて露光することが好ましい。
【0023】
そして、前記感光材の露光後に、現像処理によって前記コアに対応した凹凸断面形状の前記感光材マスクを用いて型材をエッチングして前記成形型を作製し、この成形型にコア材を充填し、これを剥離して、前記コアを形成することができる。
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
第1の実施の形態
上述したように、前記コアの前記光入出射面を斜面形状に形成するためにダイシングブレードを用いた場合、切断の工程が増え、また切断時の公差も懸念される。また、メッキによって形成する場合は、精度良く所望の形状を形成するのが難しく、更に形状を自由に変更することができない。
【0026】
これを解決するために、連続的な透過率分布を有するグレートーンマスクを用いて感光材を露光し、この露光された感光材の現像で得られたマスクを用いて前記コアの成形型を作製する方法が提案されている。ここで、前記グレートーンマスクは、マスクの遮光膜透過率が任意透過率分布になるよう形成されている(例えば、特許文献USP4567104を参照。)。
【0027】
例えば、まず図8(a)に示すように、型材54上にレジスト(例えばポジ型)55を塗布する。次いで、図8(b)に示すように、前記コアに対応したパターンを有するグレートーンマスク56をレジスト55上に配し、レジスト55の露光を行う。そして、現像処理を行えば、図8(c)に示すように、レジスト55に前記コアに対応した凹凸断面形状を形成し、感光材マスクを作製することができる。なお、図8(b)の工程で、アライメントマークも同時に形成することができ、また、前記コアに対応した凹凸断面形状は、型材の材料と埋め込み材料との屈折率差Δnで決定しておく。
【0028】
次に、図8(d)に示すように、上記のようにして作製した感光材マスクを用いてドライエッチングによって、前記コアの成形型を作製する。そして、図8(e)に示すように、成形型にコア材50aを充填し、コア材50aを硬化すれば前記コアを形成することができる。
【0029】
これにより、前記コアを作製するのと同時に、その光入出射面を高精度な斜面形状に形成することができる。
【0030】
しかしながら、本発明者は、従来例によるグレートーンマスクは連続的に透過率を変化させているため、前記コアの前記光入出射面のように形状が滑らかに変化する箇所は問題ないが、前記コアの中央部分における側面のように、垂直に近い急激な透過率の変化には対応できず、露光時に傾斜してしまう問題があることを初めて知見した。
【0031】
具体的には、図9(a)に示すように、光入出射面51、52が斜面形状、例えば45°ミラー面であり(A断面)、コアの側面が底面に対して90°(B断面)となるようなパターン開口57を有するグレートーンマスク56を用い、レジストを露光、現像すると、図9(b)のA断面図に示すように、光入出射面51、52は設計値とほぼ同形状になるが、B断面図に示すように、90°のような急激にマスク透過率を変化させる必要がある箇所においては、設計と異なって側面が傾斜してしまう。
【0032】
このような側面の傾斜は、単一のコアにおいては、光の伝搬に悪影響を及ぼすわけではない。逆に、この傾斜は成形型54からコア50を離型(抜き)し易くなるので好ましい点でもある。しかしながら、前記コアを複数隣接して配列した場合、上記のような傾斜が発生すると、互いに隣接する前記コア同士が接触してしまう。
【0033】
例えば、図10(a)に示すように、前記コアが複数隣接して配列され、かつその配列方向において、前記コアの光入出射面51、52が千鳥配置となるよう、パターン開口57が形成されたグレートーンマスク56を用いる場合、露光後の現像処理において、現像速度がパターン開口57の疎密に応じてばらついてしまう。
【0034】
即ち、A断面のように、互いに隣接するパターン開口57の間隔がある程度あいている場合は、図10(b)に示すように、上記の傾斜が生じても深さD1と、D2とが同等なので問題はない。しかしながら、B断面のように、互いに隣接するパターン開口57の間隔が極めて狭い箇所は、A断面のようにパターン開口57の間隔が離れている箇所に比較して、レジスト55の現像レートが早いため、現像後の前記コアのピッチが疎な箇所(A断面)が所定の寸法となるように露光量を設定すると、図10(c)に示すように、上記の傾斜が生じることによって前記コアの寸法が大きくなり、深さD3がD4よりも低くなってしまうという問題が発生する。
【0035】
このような凹凸断面形状を有する成形型に所定の樹脂を充填してインプリント方法によって前記コアを成形し、光導波路を作製した場合、図10(c)に示す深さD3の部分で隣接するコアが一体化してしまう。このような光導波路において、各コアに光を通すと、隣接するコアに光が洩れてしまい、クロストークを起こしてしまうという問題が発生する。
【0036】
そこで、上記のような問題を解決するために、本発明では、前記コアの成形に用いる前記感光材の露光に用いる前記グレートーンマスクにおいて、前記コアに対応する前記主パターン開口を複数隣接して配列し、この配列方向における前記主パターン開口間に、前記ダミーパターン開口を形成し、これによって前記配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化し、この状態で前記グレートーンマスクを用いて前記感光材を露光し、この露光された前記感光材の現像で得られたマスクを用いて前記コアの成形型を作製することを特徴とする。
【0037】
以下、図1(a)に示すように、光導波路1が、光入出射面2、3が斜面形状に形成されたコア4と、クラッド5とからなり、コア4が複数隣接して配列され、かつその配列方向において、コア4の光入出射面2、3が千鳥配置となるよう構成されている場合を説明する。
【0038】
本発明に基づく露光マスクは、図1(a)に示すような光導波路1を構成するコア4を成形するのに用いられる前記感光材の露光に用いるグレートーンマスク6である。具体的には、図1(b)に示すように、コア4に対応する主パターン開口7が複数隣接して配列され、この配列方向における主パターン開口7間に、ダミーパターン開口8が形成され、これによって前記配列方向における主パターン開口7及びダミーパターン開口8を含む各パターン開口間の間隔が均一化されてなる、グレートーンマスク6である。本発明に基づく露光マスク6によれば、集積度が密のA部と、集積度が疎になるB部が存在していても、ダミーパターン開口8が形成されていることにより、主パターン開口7及びダミーパターン開口8を含む各パターン開口間の間隔が均一化される。なお、ダミーパターン開口8は、主パターン開口7のように端部が斜面形状となるように構成してなくてよく、それ以外は主パターン開口7と同様の形状が成形できるパターンであってよい。
【0039】
このように、ダミーパターン開口8を形成することにより、各パターン開口間の間隔が均一化されるため、前記コアを高集積化しても、上記の従来例のような凹凸断面形状における深さの違いが生じることがない。従って、互いに隣接する前記コア同士がつながることはなく、クロストークを低減することができる。
【0040】
第2の実施の形態
従来例による製造方法では、図11(a)に示すように、前記コアに対応するパターン開口57において、光入出射面51、52が直線的に配置されかつ高集積化されている場合においても、図11(b)に示すように、A断面における深さD1とD2が揃わない場合がある。
【0041】
これに対し、本発明に基づく露光マスクは、図2(a)に示すように、グレートーンマスク6において、最外周に配された主パターン開口7の更に外周に、ダミーパターン開口8を配置する。これにより、図2(b)に示すように、感光材マスク9(又は成形型10)の凹凸断面形状において、深さD3とD4が同等となる。従って、前記コアの深さが揃うので、互いに隣接するコア同士がそれぞれ独立しており、実際に光を通してもクロストークは発生しない。なお、ダミーパターン開口8の外側の側面が、主パターン開口7の凹凸断面形状の深さより高くなっても、その部分で成形型10を切断することも可能であり、問題はない。
【0042】
第3の実施の形態
本実施の形態では、図3(a)に示すように、第1の実施の形態及び第2の実施の形態を組み合わせた構造となっている。即ち、前記コアが複数隣接して配列され、かつその配列方向において、前記コアの光入出射面が千鳥配置となるよう、主パターン開口7が形成されたグレートーンマスク6において、この配列方向における主パターン開口7間に、ダミーパターン開口8が形成され、前記配列方向における主パターン開口7及びダミーパターン開口8を含む各パターン開口間の間隔が均一化されていると共に、最外周に配された主パターン開口7の更に外周にもダミーパターン開口8が形成されている。このとき、ダミーパターン開口8は、両端部が矩形となる設計である以外は、前記コアと同様の形状が成形できるパターンである。即ち、ダミーパターン開口8の透過率は、主パターン開口7の端部ミラー面以外の箇所と同じ透過率である。
【0043】
従来例による製造方法、即ち、図3(a)においてダミーパターン開口8を設けない場合、図3(b)に示すように、感光材マスク9(又は成形型10)の凹凸断面形状において、深さD1とD2が揃わない。
【0044】
一方、本実施の形態では、ダミーパターン開口8を形成し、主パターン開口7及びダミーパターン開口8を含む各パターン開口間の間隔を均一化しているので、図3(c)に示すように、感光材マスク9(又は成形型10)の凹凸断面形状において、深さD3とD4とが同等となり、全ての深さが統一される。このため、実際にこの成形型10を用いて前記コアを成形し、このコアに光を通してもクロストークが起きることはない。
【0045】
ここで、成形型10を用いて前記コアを成形する際、ダミーパターン開口8に対応する凹部を含む全ての凹部に前記コア材を充填してよい。これにより得られる光導波路に光を入射させても、ダミーパターン開口8に対応する凹部により成形されたコア(以下、ダミーコアと称する。)の両端部は前記斜面形状ではないので、光を取り込むことはできない。更に、図4に示すように、主パターン開口7により成形されるコア4の光入出射面2、3は斜面形状(例えば45°)に形成されているので、コア4の光導波方向に隣接するダミーコア11に光が入射される前に、光はコア4の斜面形状により全反射され、光導波路からの出力系に入力されるので、ダミーコア11に光が進行することはない。
【0046】
第4の実施の形態
図5及び図6は、本発明の第2の製造方法について説明する模式図である。
【0047】
図5(a)に示すように、ターゲットイメージは、光入出射面(長さをそれぞれmとする。)2、3が斜面形状に形成されたコア4が複数隣接して配列され、かつその配列方向において光入出射面2、3がコア4の長さ方向にずれて形成された構造とする。そして、図5(b)に示すように、上記のターゲットイメージを成形するために、コア4と同じ幅を有しかつ長さが光入射面2(又は光出射面3)の長さmだけ短いパターン開口12が形成されてなるマスク13を用いる。
【0048】
本発明の第2の製造方法では、図5(b)に示すようなマスク13を用いて前記感光材を露光するに際し、図5(c)に示すように、マスク13をコア4の長さ方向に一定のピッチ(X)で移動させながら多重露光を行う。これにより、図5(a)に示すターゲットイメージのような、光入出射面2、3が斜面形状に形成されたコア4を高精度に成形することが可能となる。
【0049】
このとき前記ピッチ(X)は、光入射面(又は光出射面)の長さmを露光回数で割った値とするのが好ましい。また、多重露光における各露光量は独立とし、現像後の形状が所定形状となるような積算露光量が得られるように調整する。これにより、比較的高価なグレートーンマスクを使用しなくても、光導波路を高精度に作製することができる。
【0050】
次に、多重露光により前記感光材を露光する方法について図6を参照して説明する。図6に示すようなコア4形状をターゲットとする場合、ターゲットとなるコア4の全長dよりも光入射面(又は光出射面)の長さmだけ短いパターン開口12をマスク13上にパターニングする。即ち、マスク13上のパターン開口12の長さは(d−m)となる。そして、このパターン開口12を図6A)、B)、…E)のように、一定ピッチでコアの長さ方向に移動させながら露光を行う。
【0051】
これにより、図6の露光量で示すように、中央部分は毎回露光されて露光量が大きくなり、周辺にいくに従って露光量が徐々に少なくなり、前記斜面形状(例えば45°ミラー面)が形成される。このように、本発明の第2の製造方法によれば、前記パターン開口を一定ピッチずつ移動しながら多重露光するので、比較的高価なグレートーンマスクを用いることなく、前記光入出射面を高精度に前記斜面形状に形成することができ、精度良く光導波路を作製することができる。
【0052】
なお、上記の第1、第2及び第3の実施の形態と同様にして、マスク13におけるパターン開口12間に、前記ダミーパターン開口を形成し、パターン開口12及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化してもよい。これにより、光導波路におけるコア4の深さの疎密依存性を回避できることは言うまでもない。
【0053】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0054】
例えば、前記グレートーンマスクは前記ダミーパターン開口を有することが重要であり、その他の構造、材質等に関しては特に限定されず、適宜選択可能である。
【0055】
前記コアは、高集積化のために上述したような千鳥配置が好ましいが、これに限定されず、その配置構造は適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、光通信システムや、光インターコネクション等の光を用いた情報伝達や光メモリなどの情報処理分野に好適な光導波路の製造方法及びそれに用いられる露光マスクに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の実施の形態による、光導波路の模式図(a)、及び本発明の第1の製造方法に用いる露光マスクの模式図(b)である。
【図2】第2の実施の形態による、本発明の第1の製造方法に用いる露光マスクの模式図(a)、及びそのマスクを用いて露光、現像された前記感光材の一部拡大断面図(b)である。
【図3】第3の実施の形態による、本発明の第1の製造方法に用いる露光マスクの模式図(a)、及びそのマスクを用いて露光、現像された前記感光材の一部拡大断面図を比較して示す模式図(b)、(c)である。
【図4】同、本発明の第1の製造方法により作製される光導波路の模式図である。
【図5】第4の実施の形態による、本発明の第2の製造方法を説明する図である。
【図6】同、本発明の第2の製造方法を説明する図である。
【図7】従来例による、光導波路の前記コアの成形方法を説明する図である。
【図8】同、グレートーンマスクを用いての前記コアの成形方法を工程順に説明する概略断面図である。
【図9】同、グレートーンマスクを用いて露光、現像された感光材の模式図である。
【図10】同、グレートーンマスクの模式図(a)、及びそのマスクを用いて露光、現像された感光材の一部拡大断面図(b)、(c)である。
【図11】同、グレートーンマスクの模式図(a)、及びそのマスクを用いて露光、現像された感光材の一部拡大断面図(b)である。
【符号の説明】
【0058】
1…光導波路、2…光入射面、3…光出射面、4…コア、5…クラッド、
6…露光マスク(グレートーンマスク)、7…主パターン開口、
8…ダミーパターン開口、9…感光材、10…成形型、11…ダミーコア、
12…パターン開口、13…マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入出射面が斜面形状に形成されたコアと、クラッドとからなる光導波路を製造するに際し、前記コアの成形に用いる感光材の露光に用いるグレートーンマスクにおいて、前記コアに対応する主パターン開口を複数隣接して配列し、この配列方向における前記主パターン開口間に、ダミーパターン開口を形成し、これによって前記配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔を均一化し、この状態で前記グレートーンマスクを用いて前記感光材を露光し、この露光された感光材の現像で得られたマスクを用いて前記コアの成形型を作製する、光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記マスクの前記主パターン開口を、前記配列方向において前記光入出射面が交互に存在するように形成する、請求項1に記載した光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記主パターン開口を前記配列方向において、千鳥配置するか、或いは前記コアの長さ方向にずらして配置する、請求項2に記載した光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記感光材の露光後に、現像処理によって前記コアに対応した凹凸断面形状の前記感光材マスクを用いて型材をエッチングして前記成形型を作製し、この成形型にコア材を充填し、これを剥離して、前記コアを形成する、請求項1に記載した光導波路の製造方法。
【請求項5】
光入出射面が斜面形状に形成されたコアと、クラッドとからなる光導波路を製造するに際し、前記コアの成形に用いる感光材の露光に用いるマスクにおいて、前記コアに対応する矩形パターン開口を複数隣接して配列し、前記感光材に対して前記マスクの露光位置を、前記コアの長さ方向に移動しながら露光を複数回積算して前記光入出射面を斜面形状に形成し、この多重露光された感光材の現像で得られたマスクを用いて前記コアの成形型を作製する、光導波路の製造方法。
【請求項6】
前記マスクの前記矩形パターン開口を前記配列方向において、前記コアの長さ方向にずらして配置する、請求項5に記載した光導波路の製造方法。
【請求項7】
前記感光材の露光後に、現像処理によって前記コアに対応した凹凸断面形状の前記感光材マスクを用いて型材をエッチングして前記成形型を作製し、この成形型にコア材を充填し、これを剥離して、前記コアを形成する、請求項5に記載した光導波路の製造方法。
【請求項8】
前記マスクの前記矩形パターン開口の幅を前記コアの幅と同等とし、前記矩形パターン開口の長さを前記コアの長さから光入射部又は光出射部の長さを引いた大きさとする、請求項5に記載した光導波路の製造方法。
【請求項9】
前記感光材に対して前記マスクを前記コアの長さ方向に移動させて多重露光するに際し、前記コアの光入射部又は光出射部の長さを露光回数で割った値づつ移動させて露光する、請求項5に記載した光導波路の製造方法。
【請求項10】
光入出射面が斜面形状のコアを成形するのに用いる感光材の露光に用いるグレートーンマスクであって、前記コアに対応する主パターン開口が複数隣接して配列され、この配列方向における前記主パターン開口間に、ダミーパターン開口が形成され、これによって前記配列方向における前記主パターン開口及び前記ダミーパターン開口を含む各パターン開口間の間隔が均一化されている、露光マスク。
【請求項11】
前記マスクの前記主パターン開口が、前記配列方向において前記光入出射面が交互に存在するように形成されている、請求項10に記載した露光マスク。
【請求項12】
前記主パターン開口が、前記配列方向において千鳥配置されているか、或いは前記コアの長さ方向にずらして配置されている、請求項11に記載した露光マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−171477(P2006−171477A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365220(P2004−365220)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】