説明

光情報媒体

【課題】 使用環境の温度変化に対する寸法安定性に優れた光透過層を有する光情報媒体及びその設計方法を提供する。
【解決手段】 支持基体上に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層の−20℃と25℃間における引張弾性率の差が1400MPa以下である光情報媒体;25℃における光透過層の引張弾性率は100MPa以上800MPa以下であることが好ましい;光透過層は紫外線硬化性組成物の硬化物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体に関し、更に詳しくは、使用環境の温度変化に対する寸法安定性に優れた光透過層を有する光情報媒体及びその設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体の分野では高密度化に関して様々な研究がすすめられている。光ディスクの分野においても、動画が記録できる0.6mm厚の基板を貼り合わせた構造のDVDが普及期を迎えている。
【0003】
しかしながら、今後、デジタルハイビジョン放送が広まるにつれ、さらなる大容量の光ディスクが必要とされている。そこで、記録・再生側の基板(光透過層)を0.1mm厚とし、レンズ開口数NAが0.85程度で、記録、再生のレーザー波長を400nm程度とした高密度光ディスクシステムが提案され、実用化されつつある。
【0004】
この0.1mm厚の光透過層の形成方法としては、液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布した後、活性エネルギー線の照射により硬化させる方法により形成する手法が開発されている(例えば特許文献1)。
【0005】
しかしながら、前記高密度光ディスクシステムに用いる光透過層については、外部環境(温度)の変化により光ディスクに生じる反りが課題である(例えば特許文献2)。
【0006】
光ディスクの反りを低減するために、例えば、特許文献3記載の組成物が提案されているが、特許文献2で記載の温度範囲のうち、特に低温側(−20℃程度)における反りの解決は未だなされていない。
【特許文献1】特開2003−85836号公報
【特許文献2】特開2003−132596号公報
【特許文献3】特開2007−102980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、低温下で反りの小さい光透過層を有する光情報媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支持基体上に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層の−20℃と25℃間における引張弾性率の差が1400MPa以下である光情報媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、低温下で反りの小さい光情報媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0011】
本発明の光情報媒体は、少なくとも支持基体上に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有する構造を具備している。そして、この光透過層を通して記録光又は再生光が入射して、情報記録面に記録したり、情報記録面の情報を読み出したりできる光情報媒体である。
【0012】
本発明の光情報媒体を構成する支持基体としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、プラスチック等の材料やこれらの複合材料が使用可能である。特に、従来の光ディスク製造プロセスを利用できることから、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が好適である。
【0013】
本発明の光情報媒体を構成する記録層の材料は特に限定されず、読み取り専用型媒体、相変化型記録媒体、ピット形成タイプ記録媒体、光磁気記録媒体等に適用可能な材料を必要に応じて使用すればよい。例えば、金、銀、銀・Pd・Cu合金、アルミニウム、Al・Ti合金、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te・Sb・Ge合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金、Tb・Fe・Co合金、色素等が使用可能である。また、記録層の少なくとも一方の側に、記録層の保護や光学的効果を目的として、SiN、ZnS、SiO等の誘電体層を設けることも可能である。
【0014】
本発明の光情報媒体を構成する光透過層は0.1mm厚であることが好ましく、さらに情報記録面上への記録および再生のために400nm程度のレーザーに対する透明性が求められる。光透過層の材質はポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂や紫外線硬化性樹脂などが挙げられるが、周方向の膜厚精度と製造コストの観点から紫外線硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。さらに紫外線硬化性樹脂は、機械特性が優れるという観点で、ウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、「成分A」という)、成分A以外の(メタ)アクリレート(B)(以下、「成分B」という)及び光重合開始剤(C)(以下「成分C」という)を含有する硬化性組成物が好ましい。
【0015】
本発明における光透過層は、−20℃と25℃間における引張弾性率の差が1400MPa以下である。引張弾性率の差は1300MPa以下であることが好ましく、1200MPa以下であることがより好ましい。なお、25℃における引張弾性率よりも−20℃における引張弾性率の方が大きな値となる。引張弾性率(単位:MPa)は光情報媒体から剥離した光透過層を用いて測定することが可能であり、最大点応力(単位:MPa)、破断伸度(単位:%)と共に求めることができる。本発明において、−20℃と25℃間における引張弾性率の差が1400MPa以下であるので、低温下で反りの小さい高密度光情報媒体を提供できる。−20℃と25℃間における引張弾性率の差が1400MPaを超えると、−20℃と25℃間で光ディスクの反り量の差が2.0度を超えてしまい、光情報媒体への記録およびまたは再生ができなくなってしまうという問題点がある。さらに、本発明の光透過層の、25℃における引張弾性率は光透過層を高硬度に出来るという観点で100MPa以上が好ましく、光情報媒体の反りを小さく出来るという観点で800MPa以下であることが好ましい。25℃における引張弾性率は150MPa以上700MPa以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の光透過層に使用される紫外線硬化性組成物に特に好ましい成分A、成分B、成分Cについて、順次説明する。
【0017】
成分Aは、硬化性組成物に低収縮性を付与する成分であり、またその硬化物に強靭性や可とう性を付与するための成分である。
【0018】
成分Aであるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、(メタ)アクリロイル基とウレタン基を分子内に具有する化合物であり、例えば、イソシアネート化合物、多価アルコール及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成される。
【0019】
成分Aの合成に使用しうるイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート類が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0020】
これらの中でも、硬化物に優れた靭性と難黄変性を付与できることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族骨格のジイソシアネート化合物が好ましい。
【0021】
成分Aの合成に使用しうる多価アルコールは、特に限定されず、市販されている各種の多価アルコール類が使用可能である。その具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;これら多価アルコール類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール類;これら多価アルコール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類又はこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルポリオール類;これら多価アルコール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリラクトンポリオール類;これら多価アルコール類及び多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;これら多価アルコール類とテトラヒドロフランとの共重合体;環状ヒドロキシカルボン酸エステルとアンモニア、又は1個の第一級又は第二級アミノ窒素を含む化合物との反応によって得られるアミドポリオール類;1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のジオール類と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオール類;ポリブタジエングリコール類などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0022】
これらの中でも、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネートジオール類、テトラヒドロフラン−ネオペンチルグリコール共重合体類、アミドジオール類は、得られる硬化物の耐湿性と強伸度のバランスに優れ、得られる光情報媒体の寸法安定性に優れるため好ましい。さらに、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフラン−ネオペンチルグリコール共重合体類は、−20℃と25℃間における引張弾性率の差を1400MPa以下とし、得られる光情報媒体の−20℃と25℃における反り量の差を小さくすることができるという観点から特に好ましい。
【0023】
成分Aの合成に使用しうる水酸基含有(メタ)アクリレートは、具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び分子内に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルであればよく、特に限定されない。その具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類や、これらのカプロラクトンの付加物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、得られる成分Aが低粘度となることから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0024】
成分Aの合成手法は、特に限定されず、従来から知られるウレタン(メタ)アクリレート合成手法を使用できる。具体的には、例えば、フラスコ内に、2モルのジイソシアネートを仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を総仕込量に対して50〜300ppmを混合し、フラスコ内温度を40〜60℃に保ちながら、1モルのジオール化合物を2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマー末端に残存するイソシアネート基に、当量のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルを滴下し、フラスコ内温60〜75℃で付加反応させればよい。
【0025】
本発明において、成分Aの使用割合は、硬化性組成物の−20℃と25℃間における引張弾性率の差を小さくすることができるという観点から、成分A及び成分Bの合計100質量%中、30質量%以上が好ましく、硬化性組成物を低粘度化して塗布作業性を良好にし、25℃における引張弾性率を100〜800MPaにできるという観点から90質量%以下が好ましい。さらに好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0026】
成分Aの含有量が30質量%以上の場合には、組成物の硬化収縮率の低減効果が十分に発現し、かつ得られる硬化物の可撓性が良好となる傾向にある。また、90質量%以下の場合には、得られる組成物の液粘度が低くなり、基材への塗工作業性が良好となる傾向にある。
【0027】
本発明に使用する硬化性組成物には、得られる硬化物に表面硬度、強靭性、可とう性、隣り合う層との密着性を付与する目的で、成分A以外の(メタ)アクリレート「成分B」を添加してもよい。
【0028】
成分Bとしては、例えば、多官能(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、モノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート等であって、上述の成分A以外の重合性化合物が挙げられる。
【0029】
成分Bの内、多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0030】
ジ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(付加数;n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
モノ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2−エチル−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、t−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体の反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
エポキシポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0035】
これらの中でも、硬化性と硬化物の機械物性のバランスが良好であることから、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0036】
本発明において、成分Bの含有量は特に限定されないが、硬化性組成物を低粘度化して塗布作業性を良好にし、25℃における引張弾性率を100〜800MPaにできるという観点から成分A、成分Bの合計100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、硬化性組成物の−20℃と25℃間における引張弾性率の差を小さくすることができるという観点から、70質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下である。
【0037】
成分Bの含有量が10質量%以上の場合には、得られる硬化物の機械的物性が良好になる傾向にあり、70質量%以下の場合には、組成物の硬化収縮率の低減が十分に図られ、かつ得られる硬化物の可撓性が良好となる傾向にある。
【0038】
本発明に使用する硬化性組成物は、成分Cを含有することにより、活性エネルギー照射により効率よく硬化物を得ることができる。
【0039】
成分Cの具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート等の光重合開始剤が挙げられる。
【0040】
なかでも硬化性及び硬化物の難黄変性の観点から2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンおよび1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンが好ましい。
【0041】
これらは、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
本発明において、成分Cの含有量は特に限定されないが、成分A、成分Bの合計100質量部に対して、1〜5質量部の範囲で含有することが好ましい。
【0043】
この成分Cの含有量は、空気雰囲気中での硬化性の観点から1質量部以上であることが好ましく、深部硬化性、難黄変性及び光透過層膜厚安定性の観点から5質量部以下であることが好ましい。
【0044】
更に、成分Cの含有量は、下限値が1.5質量部であることがより好ましい。また、その上限値は4質量部であることがより好ましい。
【0045】
その他、本発明の特性が損なわない範囲であれば、例えば、熱重合開始剤、酸化防止剤や光安定剤、光増感剤、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等の公知の添加剤などを適宜配合して用いてもよい。
【0046】
これら酸化防止剤や光安定剤の添加量は、特に限定されないが、それぞれ、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲とすることが好ましく、0.01〜3質量部の範囲がより好ましい。
【0047】
本発明に使用する硬化性組成物は、ダストやゲル物等の異物の存在による読み取り又は書き込みエラーを防止するために、5μm以上、好ましくは1μm以上の異物を排除するろ過フィルターを用いてろ過することが好ましい。ろ過フィルターの素材はセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン等が使用可能である。また、光透過層に気泡が存在してもエラーの原因となるため、本発明に使用する硬化性組成物は予め真空、超音波若しくは遠心条件下、又はその組み合わせの条件下において、脱気を行うことが好ましい。
【0048】
上記した硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することにより、硬化させることができる。この活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線、可視光線等が挙げられる。
【0049】
本発明では、上記した硬化性組成物を、支持基体上に設けられた情報記録面の上に、スピンコート、スプレーコート、ブラシコート等の公知の塗工方法で塗工し、情報記録面上に硬化性組成物の塗膜を形成する。なお、塗膜の厚みは、硬化後に5μm以上であり500μm以下になるようにすることが好ましい。次いで、活性エネルギー線で塗膜を硬化し、情報記録面上に光透過層(以下、「硬化物層」ということがある)を形成して、光記録媒体を製造する。なお、活性エネルギー線を照射する雰囲気下は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよいが、製造コストの観点からは空気中で照射することが好ましい。
【0050】
本発明において、硬化物層の厚みが5μm以上の場合には、光情報媒体の表面を十分に保護できる傾向にあり、500μm以下であれば、得られる光情報媒体の反りを抑制しやすい傾向にある。より好ましくは、10〜300μmの範囲であり、更に好ましくは15〜150μmの範囲である。
【0051】
本発明の光情報媒体は、高温高湿条件下においても、硬化物層の膜厚変化が小さくなるために、硬化性組成物を90%以上の反応率となるよう硬化させる必要がある。反応率が90%を下回ると、硬化物層中に残存する未反応のジ(メタ)アクリレート類や光重合開始剤が経時的に揮発し、膜厚が大きく減少する傾向にある。反応率は93%以上であることが好ましく、95%以上がより好ましい。
【0052】
硬化性組成物の反応率を90%以上とするためには、例えば、活性エネルギー線として紫外線を使用した場合、積算光量を500mJ/cm以上、より好ましくは1000mJ/cm以上、さらに好ましくは2000mJ/cm以上の条件で照射して、硬化性組成物を硬化させる。
【0053】
反応率を測定する方法としては、赤外分光法により(メタ)アクリロイル基の残存量を測定する手法や、硬化物の弾性率、Tg等の物理特性の飽和度から測定する手法、ゲル分率により架橋度合いを測定する手法等が挙げられる。
【0054】
これらの中では、硬化物中に残存し、膜厚減少の原因となる残渣を定量しやすいことから、ゲル分率を測定する手法を利用することが好ましい。ゲル分率の測定方法としては、硬化物を粉砕し、溶剤中で未硬化成分を抽出後、乾燥させて、その重量変化によりゲル分率を測定する手法を利用できるが特に限定されるものではない。
【0055】
また、本発明における光情報媒体には、光透過層の面上に擦り傷防止や汚れ防止を目的としたハードコート層を設けてもよい。
【実施例】
【0056】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下における「部」は、「質量部」を意味する。
【0057】
合成例1[ウレタンアクリレートUA1(成分A)の製造]
5リットルの4つ口フラスコに、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン318g及びジブチル錫ジオクテート0.2gを仕込んでウォーターバスで内温が70℃になるように加熱し、撹拌している中に、40℃に保温したテトラヒドロフランとネオペンチルグリコールの共重合体(旭化成ケミカル株式会社製PTXG1000)555gを側管付きの滴下ロートから、フラスコ内温を70℃に保ちながら、2時間等速滴下で加え、さらに、同温度で2時間攪拌して反応した。その後、フラスコ内容の温度を75℃に上げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート152gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを均一に混合溶解させた液を滴下ロートより、フラスコ内温を75℃に保ちながら、2時間等速滴下し、さらにフラスコ内容物の温度を75℃に保ち、4時間反応して、ウレタンアクリレートUA1を製造した。
【0058】
合成例2[ウレタンアクリレートUA2(成分A)の製造]
イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートビス1558g、多価アルコール成分としてポリプロピレングリコール「エクセノール720」(商品名、旭硝子株式会社製、数平均分子量700)1275g及びN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド245g、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート886gを用いる以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2を製造した。
【0059】
合成例3[ウレタンアクリレートUA3(成分A)の製造]
イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネート222g、多価アルコール成分としてポリカプロラクトンジオール「プラクセル205」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量530)789g、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート348gを用いる以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA3を製造した。
【0060】
合成例4[ウレタンアクリレートUA4(成分A)の製造]
イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネート1776g、多価アルコール成分としてポリテトラメチレングリコール「PTG850SN」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量850)3400g、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート928gを用いる以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA4を製造した。
【0061】
1.硬化物層の引張特性
作製した光ディスクから硬化物層を剥離し、該剥離した硬化物層から10mm×100mm×100μmの試験片を切り出し、標線間距離50mm、引張速度20mm/分で、JIS K7127−1989に準拠し、25℃と−20℃において、引張弾性率(単位:MPa)を測定した。なお、引張弾性率について、測定値から下記基準で評価した。
○:−20℃と25℃における引張弾性率の差が1400MPa以下
×:−20℃と25℃における引張弾性率の差が1400MPaを超える
【0062】
2.光ディスクの寸法安定性
作製した光ディスクの初期反り角(単位:度)を、光ディスク光学機械特性測定装置「DLD−3000」(商品名、ジャパンイーエム株式会社製)を用い、25℃、相対湿度50%環境下にて、半径55mm位置での値を測定した。次に光ディスクを−20℃環境下に24時間放置し、取り出し直後、半径55mm位置での反り角を測定した。なお、光ディスクの反り角とは、光ディスク最外周における硬化物層側への半径方向の最大反り角のことである。また、値が負(−)である場合は、ポリカーボネート樹脂基板側に反っていることを意味する。なお、評価については、25℃における反り角と−20℃の反り角の差を下記基準に従って行った。
○:25℃と−20℃における反り角の差が2.0度以下
×:25℃と−20℃における反り角の差が2.0度を越える
【0063】
[実施例1]
(1)硬化性組成物の調製
成分AとしてUA1(合成例1で得た)55部、成分Bとしてトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート8部、ネオペンチルグリコールジアクリレート4部、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート33部及び成分Cとして1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(HCPK)3部を混合溶解し、1μmのフィルターでろ過した後、減圧して脱気をして、硬化性組成物を得た。
【0064】
(2)評価用光ディスクの作製
ポリカーボネート樹脂(飽和吸水率:0.15%)を射出成型して光ディスク形状を有する透明円盤状鏡面基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)を作製し、その片面に、スパッタリング法にて、膜厚20nmのAg98PdCu(原子比)合金(以下、「銀合金」という)反射膜を有する評価用光ディスク基材を作製した。この銀合金反射膜上に、(1)で調製した硬化性組成物を、雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境下、スピンコーターを用いて塗工した。その後、塗工面の上方より、Dバルブランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製)を用いて、紫外線を積算光量2000mJ/cm(紫外線光量計「UV−350」(商品名、株式会社オーク製作所製)で測定)で照射し、塗膜を硬化して、平均膜厚が100μmの硬化物層を有する評価用光ディスクを作成した。
【0065】
[実施例2〜5、比較例1〜3]
硬化性組成物を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、評価用光ディスク基材に硬化物層を形成し、評価用光ディスクを作成した。作成した光ディスクについて、実施例1と同様に評価をし、結果を表1に示した。
【表1】

【0066】
なお、表1中の略号は、以下の化合物を示す。
【0067】
UA1:合成例1で得たウレタンアクリレートUA1
UA2:合成例2で得たウレタンアクリレートUA2
UA3:合成例3で得たウレタンアクリレートUA3
UA4:合成例4で得たウレタンアクリレートUA4
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
NPGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート
MEDA:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
DCPA:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート
CBA:エチルカルビトールアクリレート
TBCHA:t−ブチル−シクロヘキシルアクリレート
TCDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
EP−1:ビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名「V−5530」、大日本インキ化学工業(株)社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基体上に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層の−20℃と25℃間における引張弾性率の差が1400MPa以下である光情報媒体。
【請求項2】
25℃における光透過層の引張弾性率が100MPa以上800MPa以下である請求項1記載の光情報媒体。
【請求項3】
光透過層が、紫外線硬化性組成物の硬化物である請求項1記載の光情報媒体。