光情報記録媒体及び記録方法
【課題】通常光情報記録媒体用の再生レーザパワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体、および、該超解像光情報記録媒体と通常光情報記録媒体とのいずれの媒体も再生できる光情報記録媒体再生装置を実現することである。
【解決手段】超解像媒体1は、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が、再生装置10が有する光学系解像限界の長さ以上のプリピットによって、媒体情報領域3に記録されている。
【解決手段】超解像媒体1は、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が、再生装置10が有する光学系解像限界の長さ以上のプリピットによって、媒体情報領域3に記録されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記録される光情報記録媒体、その再生装置、該再生装置の制御方法及び制御プログラム、並びに該制御プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像等の膨大な情報処理のために、光情報記録媒体の記録・再生時における情報密度を高めることが求められている。そこで、再生装置が有する光学系解像限界より短い長さの記録マーク、または凹及び/または凸からなるプリピットによって情報を記録し、それを再生する超解像技術が提案されている。なお、ここでは、上記超解像技術により再生することができる光情報記録媒体を「超解像媒体」または「超解像光情報記録媒体」と呼び、上記超解像技術が使用できない光情報記録媒体、すなわち、再生装置が有する光学系解像限界より長い長さの記録マーク、またはプリピットで情報が記録される光情報記録媒体を「通常媒体」または「通常光情報記録媒体」と呼ぶ。なお、上記光学系解像限界は、再生レーザの波長と光学系の開口数によって決まる。
【0003】
上記超解像媒体の例として、特許文献1〜3に開示されているような光情報記録媒体が挙げられる。
【0004】
特許文献1に示される書き換え可能な超解像媒体では、情報が垂直な磁化方向に記録されている記録層の上に、再生レーザ光の照射によって情報を再生する再生層が設けられている。再生レーザ光を上記再生層上に照射すると、レーザスポットが生じ、該レーザスポット内の光強度分布により、温度分布が生じる。そして、上記レーザスポット内の高温部分のみ、上記記録層の磁界が上記再生層に転写され、光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生することができる。
【0005】
また、特許文献2に示される超解像媒体では、温度によって透過率等の光学特性が変化するサーモクロミック色素層が、マスク層として、反射層の再生光入射面上に設けられている。上記マスク層とは、レーザスポットを擬似的に限縮するなどの超解像現象を引き起こす層のことである。上記再生光入射面に近い再生層上の上記レーザスポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。例えば、温度が高くなると透過率が高くなる材料を上記再生層に用いる場合、温度が高い部分の透過率のみが高くなり、上記反射層面上に生じる上記レーザスポットが擬似的に縮小されるので、光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生することができる。上記特許文献2に示される技術は、書き換え可能な光情報記録媒体のみならず、再生専用の光情報記録媒体にも適応可能である。
【0006】
さらに、特許文献3に示される超解像媒体では、凹および/または凸によって情報が記録されている基板上に、薄い金属膜等からなる機能層と呼ばれる膜層が設けられている。現在のところ、上記超解像媒体の原理の大部分は解明されていないが、上記機能層の温度変化によって、光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生可能であるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平8−180486号公報(公開日:1996年7月12日)」
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開2001−35012号広報(公開日:2001年2月9日)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2001−250274号公報(公開日:2001年9月14日)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図14〜図18を用いて、従来の通常媒体61と、考えられ得る超解像媒体71とについて説明する。
【0009】
図15は、従来の通常媒体61の外観を示すものであり、通常媒体61は、ユーザが使用する情報が記録されているデータ領域62と、通常媒体61に関する情報が記録されている媒体情報領域63とを有している。その配置は、図示のように、媒体情報領域63が媒体の最内周部と最外周部とに設けられ、その間に、データ領域62が設けられている。なお、媒体情報領域63に記録されている上記通常媒体61に関する情報の1つには、自身が通常媒体であることを示す媒体識別情報が挙げられる。
【0010】
図14は、上記図15のb部を拡大して示している。データ領域62及び媒体情報領域63は、再生装置が有する光学系解像限界より長い長さの凹および/または凸からなるプリピットによって、それぞれの情報が記録されている。
【0011】
次に、考えられうる超解像媒体71について説明する。図17は、超解像媒体71の外観を示すものである。該超解像媒体71は、ユーザが使用する情報が記録されているデータ領域72と、超解像媒体71に関する情報が記録されている媒体情報領域73とを有している。その配置は、図示のように、媒体情報領域73が媒体の最内周部と最外周部とに設けられ、その間に、データ領域72が設けられている。なお、媒体情報領域73に記録されている上記超解像媒体71に関する情報の1つには、自身が超解像媒体であることを示す媒体識別情報が挙げられる。
【0012】
図18は、超解像媒体71の断面を示すものである。超解像媒体71は、基板74上に、反射層75と、超解像現象を起こす超解像再生層76とが順にスパッタにより積層され、さらに透光性のあるカバー層77が設けられた構造となっている。
【0013】
図16は、上記図17のc部を拡大して示している。データ領域72及び媒体情報領域73は、上記再生装置が有する光学系解像限界より短い長さの凹および/または凸からなるプリピットによって、それぞれの情報が記録されている。このように、超解像媒体71は、通常媒体61より短い長さの上記プリピットの組み合わせによって情報が記録されている。そのため、情報の高密度記録が可能となり、より多くの情報の記録が可能となる。
【0014】
ところで、上記特許文献1及び2に記載される超解像媒体は、再生レーザパワーが大きいほど、レーザスポット内の温度分布が急峻となり、超解像効果が高まる。また、上記特許文献3に記載される超解像媒体でも、原因は不明であるものの、上記特許文献1及び2に記載される超解像媒体と同様に、再生レーザパワーが大きくなるにつれて、超解像効果が高まる。そのため、超解像媒体71を再生するために最適な再生レーザパワーは、通常媒体61を再生するために最適な再生レーザパワーよりも大きくなる。
【0015】
また、上述のように、超解像媒体71の記録密度は、通常媒体61の記録密度よりも高密度である。そのため、超解像媒体71を再生するために最適な再生クロック幅は、通常媒体61を再生するために最適な再生クロック幅よりも短くなる。
【0016】
ここで、通常媒体61および超解像媒体71のいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を考える。
【0017】
上記再生装置において、通常媒体61および超解像媒体71をそれぞれ最適な状態で再生するためには、再生レーザパワーおよび再生クロックを切り替えなければならない(上述のように、通常媒体61と超解像媒体71とで再生レーザパワーおよび再生クロックが異なるため)。そのためには、通常媒体61であるか、超解像媒体71であるかの識別を行う必要があり、この識別は、媒体情報領域63に記録されている上記媒体識別情報、または媒体情報領域73に記録されている上記媒体識別情報を再生することによって行われる必要がある。
【0018】
ところで、上記識別は、消費電力の上昇や、通常媒体61が超解像媒体71用の高い再生レーザパワーで破壊されることを防ぐために、通常媒体61用の再生レーザパワーを使用して識別することが望ましい。しかしながら、この場合、超解像媒体71の上記媒体識別情報を再生できず、識別が行えないという問題が生じる。
【0019】
あるいは、上記識別を通常媒体61用の再生レーザパワーで行えなかった場合に、識別する光情報記録媒体が超解像媒体71であると判断し、再生レーザパワーおよび再生クロックの切り替えを行うことが考えられる。しかしながら、上記判断から再生レーザパワーを切り替えるため、無駄な時間を要してしまい、上記再生装置の立ち上がり時間が長くなってしまう。さらに、識別する光情報記録媒体が通常媒体61であるにもかかわらず、何らかの原因で再生できなかった場合、上記再生装置は、通常媒体61が超解像媒体71であると間違って判断し、超解像媒体71用の再生レーザパワーに切り替え、通常媒体61を破壊してしまうという問題も生じる虞がある。なお、上記再生装置の立ち上がり時間とは、光情報記録媒体が再生装置に配備されてから、光情報記録媒体のデータ領域の再生を行うまでの時間を指す。
【0020】
なお、上記では、簡略化のため、媒体識別情報が識別できる事項を通常媒体および超解像媒体のみに限定して記述したが、これに限るものではない。例えば、従来は、媒体の種類(CD,DVD,BD等)と媒体の形式(R,RE,ROM等)とを識別するための情報であった。
【0021】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常光情報記録媒体用の再生レーザパワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体、および、該超解像光情報記録媒体と通常光情報記録媒体とのいずれの媒体も再生できる光情報記録媒体再生装置を実現することである。
【0022】
なお、以下の説明において、再生装置とは、本発明に係る超解像光情報記録媒体と通常光情報記録媒体との両方を再生できる、本発明に係る再生装置を指す。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る光情報記録媒体は、上記目的を達成するために、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられていることを特徴としている。
【0024】
また、本発明に係る記録方法は、上記目的を達成するために、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられ、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられている光情報記録媒体にコンテンツを記録する記録方法であって、上記テスト領域でレーザパワーを調整した後、上記第1領域にコンテンツを記録することを特徴としている。
【0025】
上記構成及び方法によれば、効率的な情報記録が可能になるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る光情報記録媒体は、以上のように、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられている構成である。
【0027】
また、本発明に係る記録方法は、上記テスト領域でレーザパワーを調整した後、上記第1領域にコンテンツを記録する方法である。
【0028】
それゆえ、本発明の光情報記録媒体および記録方法は、効率的な情報記録が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、超解像媒体の外観を示す斜視図である。
【図2】上記超解像媒体における基板の要部構成を示す平面図である。
【図3】上記超解像媒体の構造を示す断面図である。
【図4】上記超解像媒体と通常媒体とを再生可能な光情報記録媒体再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】上記光情報記録媒体再生装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】上記光情報記録媒体再生装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図7(a)】通常媒体に適した再生クロックで通常媒体を再生した場合のプリピットと出力信号との関係を示す図である。
【図7(b)】超解像媒体に適した再生クロックで通常媒体を再生した場合のプリピットと出力信号との関係を示す図である。
【図8】C/Nの再生レーザパワーに対する依存性を、最短のプリピットと最長のプリピットとに関して示すグラフである。
【図9】C/Nのピット長に対する依存性を、超解像再生層の材質ごとに示すグラフである。
【図10(a)】書き換え可能媒体で、BDタイプの断面構造を示す図である。
【図10(b)】書き換え可能媒体で、DVDタイプの断面構造を示す図である。
【図11】再生専用媒体で、DVDタイプの断面構造を示す図である。
【図12(a)】再生専用媒体で、図3と異なる構造を有する場合の断面構造を示す図である。
【図12(b)】再生専用媒体で、図11と異なる構造を有する場合の断面構造を示す図である。
【図13】図12(a)に示す、断面構造がBDタイプの再生専用媒体に放熱層を設けた場合の断面構造を示す図である。
【図14】通常媒体の基板の要部構成を示す斜視図である。
【図15】上記通常媒体の外観を示す斜視図である。
【図16】一般に考え得る超解像媒体の基板の要部構成を示す斜視図である。
【図17】上記超解像媒体の外観を示す斜視図である。
【図18】上記超解像媒体の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態に係る超解像光情報記録媒体ついて、図1〜図3を用いて説明すると以下の通りである。なお、本実施形態では、再生専用媒体で、断面構造がBDタイプの超解像光情報記録媒体(以下、超解像媒体1とする)を例として説明する。また、以下の説明において、再生装置10とは、後述の、本実施形態に係る超解像媒体1と通常光情報記録媒体との両方を再生できる、光情報記録媒体再生装置10を指す。
【0031】
図1は、本実施形態に係る超解像媒体1の外観を示している。
【0032】
また、図2は、超解像媒体1のa部を拡大して示している。なお、図2における、R2Tの長さのプリピットは、後述するテストリード領域3A、及び領域位置情報を除く媒体情報領域(第2領域)3の最短プリピットであり、R8Tの長さのプリピットは、媒体情報領域3の最長プリピットである。同様に、図2における、D2Tの長さのプリピットは、データ領域(第1領域)2の最短プリピットであり、D8Tの長さのプリピットは、データ領域2の最長プリピットである。
【0033】
図1のように、超解像媒体1には、映像やソフトウェアなどのコンテンツが記録されているデータ領域2と、超解像媒体1に関する情報が記録されている媒体情報領域3とが予め割り当てられている。
【0034】
図3は、超解像媒体1の断面図を示している。図示のように、超解像媒体1は、基板4上に、反射層5と、超解像現象を発生させる超解像再生層6とが順にスパッタリングにより積層され、さらに透光性のあるカバー層7が設けられた構造となっている。基板4及びカバー層7はポリカーボネートにより形成され、反射層5は、アルミニウムにより形成され、さらに、超解像再生層6は酸化亜鉛により形成されている。
【0035】
データ領域2は、図1に示すように、媒体情報領域3の間に割り当てられ、基板成型時に、凹及び/または凸からなるプリピットを設けることにより、上記コンテンツが記録されている。このプリピットは、図2におけるD2T〜D8Tの長さのプリピットであり、最短の長さが、再生装置10の有する光学系解像限界よりも短い。すなわち、再生装置10が有する光学系解像限界より短い長さのプリピットも含めて上記コンテンツを記録するため(超解像記録形態)、通常媒体より高密度な記録が可能となっている。なお、データ領域2では、(1,7)RLL変調がなされているが、これに限られるわけではなく、ランダムパターンによる記録であればよい。
【0036】
なお、(1,7)RLL変調のような長さの異なるプリピットや記録マークを用いて情報を記録する理由は、同一長さのプリピットや記録マークを用いて情報を記録するより記録密度が増大するためである。また、変調方式は上記以外にもあり(例えば、8/16変調、(2,7)RLL変調)、これらを称してランダムパターンによる記録と呼ばれている。
【0037】
さらに、図3に示すように、超解像再生層6が設けられていることにより、上記プリピットが再生可能となる。詳細には、上記プリピットに再生レーザ光を照射すると、レーザスポットが生じ、超解像再生層6上の上記レーザスポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。その結果、上記レーザスポットが擬似的に縮小した状態となり、これにより、上記プリピットが再生可能となり、通常媒体より多くの情報を利用することができる。なお、超解像再生層6は、上記プリピットを再生可能な構造であればよく、例えば、特許文献2に記載のマスク層、または特許文献3に記載の機能層でも良い。
【0038】
媒体情報領域3は、図1に示すように、超解像媒体1の最内周部と最外周部とに予め割り当てられ、超解像媒体1に関する情報が、凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されている(通常記録形態)。このプリピットは、図2におけるR2T〜R8Tの長さのプリピットであり、最短の長さが、再生装置10が有する光学系解像限界以上である。言い換えれば、媒体情報領域3のプリピット群の最短プリピット長は、データ領域2の上記プリピット群の最短プリピット長より長くなる。なお、媒体情報領域3は、超解像媒体1の内周及び外周に設けられているが、これに限定されるものではなく、内周または外周のいずれかに割り当てられていてもよい。
【0039】
超解像媒体1に関する情報には、データ領域2を有することを示す媒体識別情報、再生装置10が再生時に利用する再生速度情報、コピープロテクトのための媒体固有番号、データ領域2における位置を特定するための領域位置情報等が含まれる。
【0040】
上記媒体識別情報は、媒体の種類を特定するものであればよく、少なくともデータ領域2が超解像記録形態あるいは通常記録形態かを示していればよい。
【0041】
上記再生速度情報には、媒体に適切な再生レーザを照射した場合に、デジタル信号化可能なアナログ波形を得るために必要な所謂再生情報と、コンテンツ等を再生するために再生されたアナログ波形をデジタル信号化するときに必要なデジタル処理情報とがある。
【0042】
上記再生情報には、例えば、再生速度範囲情報がある。再生速度範囲情報は、超解像再生が熱によって可能になる場合は、再生速度が速すぎると熱が不足し超解像再生が不可能になり、遅すぎると発生する熱エネルギーが増大しすぎて媒体にダメージを与えてしまうため、超解像再生により安定にアナログ波形を得るために、再生速度を規定する情報である。
【0043】
上記デジタル処理情報には、例えば、再生クロック切替情報や再生速度切替情報などがある。再生クロック切替情報と再生速度切替情報とは、詳細は後述するが、記録密度の異なるランダムパターンを再生した場合、得られるアナログ波形をデジタル信号化する場合に必要となる情報である。
【0044】
また、媒体情報領域3には、図2に示すように、再生装置10がデータ領域2の上記コンテンツを再生するための再生レーザパワーを調整するテストリード領域3Aが割り当てられている。テストリード領域3Aには、データ領域2のプリピット群と同じ記録密度および変調方式で、凹及び/または凸からなるプリピットが形成されている。なお、詳細は後述するが、テストリード領域3Aには、データ領域2の上記プリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短い長さのプリピット(図2に示すように、D2Tより長くD8Tより短い長さのプリピット)が形成されていてもよい。例えば、図示のような長さのプリピットが形成されている。なお、比較用にテストリード領域3Aに破線で示されているプリピットは、データ領域2の最短プリピットである。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る超解像媒体1の媒体情報領域3には、再生装置10が有する光学系解像限界以上の長さのプリピットが形成されている。これにより、再生装置10は、通常媒体に最適な再生レーザパワーで、媒体情報領域3に記録されている媒体識別情報、再生速度情報、媒体固有番号などの各種情報を再生することができる。
【0046】
ところで、テストリード領域3Aは、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、媒体情報領域3内のデータ領域2に近い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。その理由を、例を挙げて以下に説明する。
【0047】
例えば、媒体情報領域がデータ領域より媒体の内周部に設けられ、かつ、上記媒体情報領域において、テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより内周側に設けられている媒体(すなわち、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記データ領域から遠い位置に設けられている媒体)では、次のように再生を行う。
【0048】
まず、再生装置は、上記媒体識別情報を再生し、媒体種類を認識した後、光学ヘッドをより内周側に存在する上記テストリード領域に移動させ、テストリードを行い、再生レーザパワー等を決定する。その後、再び、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより外周側の上記データ領域に光学ヘッドを移動し、上記データ領域のコンテンツを再生することになる。このように、上記媒体情報領域において、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記データ領域から遠い位置に設けられていると、光学ヘッドが往復移動を行いながら再生を開始することになり、この結果、再生立ち上がり時間の増加、光学ヘッドの複雑な動きに起因した再生装置の故障率の増加という問題を生じる。
【0049】
これに対し、超解像媒体1のように、テストリード領域3Aを、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、媒体情報領域3内のデータ領域2に近い位置に設けると、光学ヘッドの移動が一方向への移動だけで複雑な動きをする必要がないため、再生立ち上がり時間を短縮できるとともに、再生装置の故障率を低減できる。
【0050】
なお、ここでは、テストリード領域3Aが、半径方向において、上記媒体識別情報が記録されたプリピットよりデータ領域2に近い場合について記載したが、これに限られるものではなく、プリピットやグルーブが配列されている方向(再生を行っていく方向と同意)に近い場合も同様である(以降のデータ領域2に近いまたは遠いとの記述も同様)。
【0051】
また、上記再生速度情報が記録されたプリピットは、テストリード領域3Aよりデータ領域2から遠い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、上記再生速度情報を、通常媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。また、上記再生速度情報が得られた上で、テストリード領域3Aにおいてデータ領域2のコンテンツを再生するための再生レーザパワーを決定することができる。すなわち、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を、テストリード領域3Aの記録密度に適応した状態でデジタル信号化できるため、再生レーザパワーの決定ミスが生じない。
【0052】
なお、再生速度とは、再生時の線速(媒体再生時にスピンドルモータによって媒体が回転することによって生じる光学ヘッドと再生位置再生方向への相対速度)のことを指す。
【0053】
また、データ領域2のコンテンツを再生する場合についても、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を適切にデジタル信号化でき、コンテンツを安定して再生できる。
【0054】
また、上記領域位置情報が記録されたプリピットは、テストリード領域3Aよりデータ領域2に近い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、上記領域位置情報を、通常媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。また、再生レーザパワー決定後、決定した再生レーザパワーのままで上記領域位置情報を再生でき、光学ヘッドの動きを簡単化する(一方向への移動となる)ことができる。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。さらに、媒体情報領域3を狭く、データ領域2を広くできるので、結果として情報記録容量を増大させることができる。
【0055】
ところで、上記媒体固有信号は、生産される媒体1枚ごとに異なるため、プリピットのように生産性の高い基板の圧縮成形時には形成できず、通常、媒体作製時の最後に、レーザ等で基板に凹部を形成することによって作製される。
【0056】
ここで、上記作製時に使用する大出力レーザの波長は、光ディスク再生で用いられるような短波長になるとコストが高いため、通常、光ディスク再生で用いられるものより大きなものとなっている(波長が大きいため、当然小さい凹部は作製できない)。また、大出力レーザで凹部を形成するため、元々ダメージがある状態であり、よりダメージとなりやすい高いレーザパワーでの再生は、上記媒体固有信号の再生劣化につながる可能性が高い。以上から、上記媒体固有信号の再生は、低いレーザパワーで行うことが好ましい。
【0057】
そこで、超解像媒体1では、上記媒体固有番号が記録されたプリピットを、テストリード領域3Aよりデータ領域2から遠い位置に設けている。これにより、上記媒体固有信号を通常媒体に最適な再生レーザパワーで、すなわち低いレーザパワーで再生でき、確実に上記媒体固有信号を再生できる。また、無駄なレーザパワーの切り替えを生じない。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。
【0058】
以上、本実施形態では、再生専用媒体の超解像媒体1を例に説明を行ったが、本発明の超解像光情報記録媒体には、当然記録/再生可能な超解像光情報記録媒体も含まれる。当該記録/再生可能な超解像光情報記録媒体について、超解像媒体1と異なる主な点を挙げると、テストリード領域3Aに代えて、テストライトリード領域が設けられる。当該テストライトリード領域には、再生装置10がデータ領域にコンテンツを記録するための記録レーザパワーと、再生装置10が上記データ領域のコンテンツを再生するための再生レーザパワーとを調整する情報が、上記データ領域に形成される記録マーク群と同じ記録密度と変調方式とで形成される。
【0059】
また、上記記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の媒体情報領域には、再生装置10が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって、上記データ領域にコンテンツを記録するための記録条件情報が記録される。なお、上記記録条件情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットは、上記テストライトリード領域より上記データ領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、上記記録条件情報に基づいて、上記テストライトリード領域で再生レーザパワーが決定でき、再生レーザパワー決定ミスを生じない。なお、上記記録条件情報とは、記録レーザパワーのみならず、記録マークを形成するための消去レーザパワー、レーザのパルス幅、タイミング等が含まれる。
【0060】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の他の実施形態について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る再生装置10の概略構成を示している。本実施形態の再生装置10は、上記実施形態1の超解像媒体1および通常媒体の両方を再生可能である。
【0061】
再生装置10は、図示のように、レーザ制御回路14A、信号処理回路14B、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、RF信号の信号処理回路17B、サーボ処理回路18、制御部19(制御手段)、スピンドルモータ20、光ピックアップ21(再生手段)、光ピックアップ用モータ22を備えている。光ピックアップ21は、偏光ビームスプリッタ12、レーザ光源13、および検出器15を備えている。なお、図中の光情報記録媒体11は、超解像媒体1でもよいし、通常媒体でもよい。
【0062】
再生装置10は、まず、スピンドルモータ20により光情報記録媒体11を回転させ、制御部19により光ピックアップ用モータ22を制御して光ピックアップ21を移動させる。次に、レーザ制御回路14Aによりレーザ光源13から出射される再生レーザ光のパワーを所定の再生レーザパワー(通常媒体用の再生レーザパワー)とし、レーザ光源13から再生レーザ光を出射させる。この再生レーザ光が、偏光ビームスプリッタ12を介して、光情報記録媒体11に照射され、光情報記録媒体11からの反射光が、偏光ビームスプリッタ12を介して検出器15に到達する。
【0063】
検出器15は、到達した反射光に基づいて電気信号を出力し、該電気信号は、ヘッドアンプ16にて増幅され、サーボ処理回路18に送られ、各種のサーボ制御が行われる。また、制御部19へ送られる。
【0064】
図5は、制御部19の構成を示している。図示のように、制御部19は、アクセス位置制御部23、信号処理部24(識別情報取得手段)、媒体識別部25(媒体識別手段)、パワー制御部26(パワー制御手段)、および再生クロック制御部27(再生クロック制御手段)を備えている。
【0065】
アクセス位置制御部23は、光情報記録媒体11の所望の位置に光ピックアップ21がアクセスするように、光ピックアップ用モータ22を制御する。なお、超解像媒体1にてデータ領域2のトラックピッチと媒体情報領域3のトラックピッチとが異なる場合には、アクセス位置制御部23は、媒体識別部25による光情報記録媒体11の識別結果に基づいて、アクセス位置を制御することが望ましい。
【0066】
信号処理部24は、ヘッドアンプ16より送られる媒体識別信号を処理し、媒体識別部25に与える。媒体識別部25は、信号処理部24により与えられた上記媒体識別信号に基づいて、光情報記録媒体11の識別を行う。
【0067】
パワー制御部26は、媒体識別部25による光情報記録媒体11の識別結果に基づいて、レーザ光源13の再生レーザパワーをそのまま(すなわち、通常媒体に適した再生レーザパワー)とするか、あるいは、レーザ制御回路14Aを制御して、超解像媒体1に適した再生レーザパワーに切り替える。再生クロック制御部27は、媒体識別部25による光情報記録媒体11の識別結果に基づいて、信号処理回路17Bにて利用される再生クロックをそのまま(すなわち、通常媒体に適した再生クロック)とするか、あるいは、超解像媒体に適した再生クロックに切り替える。
【0068】
次に、再生装置10の処理動作を、図6を用いて説明する。図6は、再生装置10の処理動作の流れを示している。
【0069】
再生装置10に、光情報記録媒体11が配備されると、制御部19のアクセス位置制御部23によって、光ピックアップ用モータ22が制御され、レーザ光源13からの再生レーザ光が、再生初期用として予め定められていた通常媒体用の再生レーザパワーで、光情報記録媒体11の再生初期のアクセス位置である媒体情報領域に照射される(S1)。そして、媒体情報領域に記録されている、光情報記録媒体11が超解像媒体であるか、通常媒体であるかを示す媒体識別情報、すなわち、光情報記録媒体11のデータ領域が超解像形態か否かを示す媒体識別情報の媒体識別信号が再生される(S2)。該媒体識別信号は、検出器15、ヘッドアンプ16を介して、制御部19の信号処理部24によって処理され、媒体識別部25で、光情報記録媒体11の識別が行われる(S3)。
【0070】
媒体識別部25による識別結果が、通常媒体であった場合(S3においてNO)、再生レーザパワー及び再生クロックは切り替えられることなく、通常媒体のデータ領域がアクセスされる(S6)。そして、データ領域のコンテンツが、検出器15、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、および信号処理回路17Bを介して再生される(S7)。
【0071】
一方、媒体識別部25による識別結果が、超解像媒体1であった場合(S3においてYES)、再生装置10は、超解像媒体1の媒体情報領域3に割り当てられているテストリード領域3Aのプリピットを読み取る。該プリピットを読み取った再生信号は検出器15、ヘッドアンプ16、および信号処理部24を介して制御部19のパワー制御部26に送られる。パワー制御部26は、レーザ制御回路14Aを制御して、レーザ光源13の再生レーザパワーを上記再生信号に基づいて増加し、超解像媒体1に最適な再生パワーに調整する(S4)。
【0072】
次に、再生装置10は、超解像媒体1の媒体情報領域3に記録されている再生クロック切替情報を再生する。該再生クロック切替信号は、検出器15、ヘッドアンプ16、および信号処理部24を介して制御部19の再生クロック制御部27に送られる。再生クロック制御部27は、上記再生クロック切替信号に基づいて、再生クロックを予め定められている超解像媒体用の再生クロックに変更する(S5)。その後、データ領域2が、超解像媒体1用の再生レーザパワーでアクセスされる(S6)。そして、データ領域2のコンテンツが、検出器15、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、および信号処理回路17Bを介して再生される(S7)。
【0073】
以上のように、再生装置10は、超解像媒体1が上述のような構成であるため、配備された光情報記録媒体が超解像媒体1であるか否かの識別を、通常媒体用の低い再生レーザパワーで、容易に、かつ的確に行うことができる。また、再生装置10は、上記識別に基づいて、配備された光情報記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生レーザパワーおよび再生クロックに的確に切り替えることができる。
【0074】
これにより、再生装置10は、超解媒体1と通常媒体とのいずれの媒体も再生できる。また、上記識別を通常媒体用の低い再生レーザパワーで行えるため、再生装置10の消費電力を抑えることができ、さらに、超解像媒体1用の再生レーザパワーで通常媒体を破壊してしまうことがない。
【0075】
なお、上述のように、本実施の形態では、超解像媒体1に上記再生クロック切替情報が記録されており、再生装置10は、超解像媒体1を再生する時に、上記再生クロック切替情報により再生クロックを切り替えている。しかしながら、光情報記録媒体の識別により、再生クロックを切り替える構成としてもよい。この場合、超解像媒体1に上記再生クロック切替情報を記録する必要がなくなる。
【0076】
ここで、再生装置10が、超解像媒体1と通常媒体とで再生クロックを切り替える理由について、再生専用の通常媒体が、通常媒体用の再生クロックおよび超解像媒体1用の再生クロックで再生される場合を例として図7(a)(b)を用いて説明する。なお、上記通常媒体は、(1,7)RLL変調がなされている。すなわち、チャネルビットの長さTを基準にして、最短プリピット2Tから、最長プリピット8Tまでの長さのプリピットが基板上に設けられている。
【0077】
また、光情報記録媒体の再生は、基板上に設けられているプリピットに、再生レーザを照射し、その反射光により得られる出力信号が、再生装置で設定されているスライスレベルより大きいか否かにより二値化することで、信号が再生される。
【0078】
図7(a)は、上記通常媒体を上記通常媒体用の再生クロックで再生し、得られた信号を二値化した様子を示しており、出力信号は、同図下側にあるプリピットに対応している。図7(b)は、上記通常媒体を超解像媒体1用の再生クロックで再生し、得られた信号を二値化した様子を示しており、出力信号は、同図下側にあるプリピットに対応している。
【0079】
まず、上記通常媒体が、上記通常媒体用の再生クロックで再生される場合について説明する。なお、図7(a)に示すように、2Tプリピット、スペース、4Tプリピットを再生する。図示のように、出力信号は、上記通常媒体用の再生クロックに対応した時点で二値化され、「1・1・0・0・1・1・1・1」となる。そして、「1・1」の信号を上記2Tプリピット、「1・1・1・1」の信号を上記4Tプリピットとして処理する。このときの二値化時点での信号レベルV1は、図示のように、スライスレベルよりも十分に大きいため、通常媒体や再生装置の個体差による多少の変動が起こったとしても、安定した再生を行うことができる。
【0080】
次に、上記通常媒体が、超通常媒体1用の再生クロックで再生される場合について説明する。なお、超解像媒体1は、上記通常媒体の2倍の線密度であるとする。このため、超解像媒体1用の再生クロック幅は、上記通常媒体用の再生クロック幅の半分となる。
【0081】
上述のような超解像媒体1用の再生クロックで再生すると、図7(b)に示すように、二値化された信号は、「1・1・1・1・0・0・0・0・1・1・1・1・1・1・1・1」となる。そして、上記通常媒体の再生時と同様に、「1・1・1・1」の信号を上記2Tプリピット、「1・1・1・1・1・1・1・1」の信号を上記4Tプリピットとして処理する。
【0082】
このように、超解像媒体1用の再生クロックで上記通常媒体を再生することは可能である。しかしながら、このときの二値化時点での信号レベルV2は、図示のように、スライスレベルに対し十分に大きくならず、通常媒体や再生装置の個体差による変動により再生不良を起こす可能性が高くなる。すなわち、光情報記録媒体に適した再生クロックで再生を行わなければ、再生の信頼性が低下する。
【0083】
また、例えば、上記通常媒体を超通常媒体1用の再生クロックで再生し、その出力信号を二値化するタイミングをずらし、一つ飛ばしで取り込むことにより、擬似的に上記通常媒体用の再生クロックで再生したようにすることも可能である。しかしながら、このような信号処理は、非常に複雑になるという問題がある。よって、通常媒体と超解像媒体1とをそれぞれ最適な状態で再生するためには、それぞれの場合で、再生クロックを変更することが必要である。そして、以上のことから、再生装置10は、超解像媒体1と通常媒体とで再生クロックを切り替えている。
【0084】
また、上記再生クロック切替情報は、再生装置10が有する光学系解像限界より長い長さのプリピットによって記録されている。このため、通常媒体用の再生レーザパワーおよび再生クロックで再生でき、無駄な再生レーザパワーおよび再生クロックの切り替えを必要としない。
【0085】
以上、再生装置10では、通常媒体と超解像媒体1とで再生クロックを切り替えているが、この場合、基準発振器が2台になるなど回路負担が大きくなる。そこで、再生クロックを切り替える代わりに、再生速度を切り替えてもよい。
【0086】
例えば、超解像媒体1が通常媒体の2倍の線密度である場合、再生速度を切り替えてその速度を半分にすると、再生される信号が転送される速度も半分になるため、再生クロックを切り替えなくとも、上述のような再生の信頼性が低下するといった問題を生じることがなくなる。したがって、再生クロックを切り替える代わりに、再生速度を切り替える構成としてもよい。その場合、超解像媒体1の媒体情報領域3に記録されている再生速度切替情報に基づいて再生速度を切り替えればよい。あるいは、光情報記録媒体の識別により切り替える構成としてもよい。この場合、超解像媒体1に上記再生速度切替情報を記録する必要がなくなる。
【0087】
なお、再生速度を切り替える構成の場合、再生クロックを切り替える構成と比較して回路負担を低減できるが、超解像媒体1の転送速度が通常媒体と変わらなくなる。逆に、再生クロックを切り替える構成の場合、超解像媒体1の情報の転送速度を速くできる。
【0088】
ところで、再生装置10では、一般的な記録再生装置で記録レーザパワーを決定する手法と同様に、超解像媒体1のテストリード領域3Aに照射する再生レーザパワーを、再生エラーが最小となるまで増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定している。
【0089】
しかしながら、上記実施の形態1において述べたように、超解像媒体1のテストリード領域3Aを、データ領域2のプリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短いプリピットにより形成して、テストリード領域3Aのプリピットの再生信号の振幅が最大となるまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定することも可能である。以下、図8を用いて説明する。
【0090】
一般に、超解像媒体のデータ領域は、様々な長さのプリピット等の組み合わせによって情報が記録されている。このため、データ領域の各長さのプリピットを、それぞれ同一の再生レーザパワーで再生した場合、各長さのプリピットにおけるC/N(carrier to noise ratio)が異なり、該C/Nの最低値が存在する。該最低値は、再生レーザパワーによって変化するため、上記各長さのプリピットのC/Nの最低値が最大となる再生レーザパワーが、最適な再生レーザパワーであると言える。
【0091】
図8は、超解像媒体1の最短プリピットと最長プリピットとに照射する再生レーザパワーを1mW〜5mWで変化させた場合の上記プリピットのそれぞれのC/Nを示したものである。上記最短プリピットは、0.14μmで、上記最長プリピットは0.40μmであり、図8のグラフは、C/Nを縦軸に、再生レーザパワーを横軸に示している。
【0092】
同図に示すように、上記最短のプリピットでは、再生レーザパワーを増加させるにつれて、C/Nが単調増加している。一方、上記最長のプリピットでは、再生レーザパワーが約2.5mWに達するまでC/Nが増加し、再生レーザパワーが約3.0mWを超えるとC/Nが減少している。また、同図を参照すると、各長さのプリピットに関するC/Nのグラフは、上記最短のプリピットに関するC/Nのグラフと、上記最長のプリピットに関するC/Nのグラフとの間に位置することが予想される。
【0093】
このことから、上記最短のプリピットに関するC/Nのグラフと、上記最長のプリピットに関するC/Nのグラフとの交点付近での再生レーザパワーが、各長さのプリピットのC/Nの最低値が最大となる最適な再生レーザパワーになると考えられる。さらには、上記交点付近までC/Nが増加し、上記交点付近を超えるとC/Nが減少するような長さのプリピットが存在することが予想される。
【0094】
そこで、本実施形態では、上述のようなプリピットを、上記再生レーザパワーを調節するためのテストリード領域3Aとして形成している。これにより、再生装置10は、超解像媒体1の再生時に、上記プリピットの再生信号の振幅が最大となるまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定することができる。なお、何れの長さのプリピットが対応するかは、超解像再生層4及び反射層5を含む薄膜層に依存する。
【0095】
以上のように、最適な再生レーザパワーを決定するために、再生信号の振幅を利用しているので、再生エラーの判断処理を行う必要が無く、その結果、最適な再生レーザパワーを迅速に決定することができる。また、テストリード領域3Aが、媒体情報領域3に割り当てられているため、データ領域2の再生パワーを迅速に調整することができる。
【0096】
なお、テストリード領域3Aは、上述のプリピットに限られるわけではない。例えば、上記最短のプリピットと上記最長のプリピットとを、テストリード領域3Aとして形成してもよい。この場合、再生装置10は、超解像媒体1の再生時に、それぞれのプリピットの再生信号の振幅が一致するまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定することができる。
【0097】
また、上記交点より稍低いC/NをC/N閾値とし、該C/N閾値に対応する信号振幅を振幅閾値として、再生装置10が、上記振幅が上記振幅閾値以上となるまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定してもよい。なお、同じ原盤によって作られたプリピットから得られるC/Nは、超解像再生層4及び反射層5を含む薄膜層が同じであれば、光情報記録媒体相互間で、ほぼ同じである。そのため、同じ原盤に対しては、上記振幅閾値をそのまま利用することができる。
【0098】
なお、本発明において使用可能な再生レーザパワー決定法は、上記手法に限定されるものではない。例えば、あらかじめ再生レーザパワーが、媒体情報領域3に記録されていても良い。あるいは、媒体識別情報自体で再生レーザパワーを略決定、又は決定できてもよい。前者の場合、媒体識別情報と、テストリード領域3Aに照射する再生レーザパワーを再生エラーが最小となるまで増加することにより最適な再生レーザパワーを決定する方法とを併用することで、再生レーザパワーの決定が的確となるとともに、再生レーザパワー決定が早くなり、再生装置の立ち上がり時間が早くなる。一方、後者の場合は、同時にクロック切り替え情報、又は線速変更情報が媒体識別番号に含まれていれば、他の再生のために必要な情報は、データ領域2と同様に記録されていてもよい。その場合は、データ領域2をより多く確保できるので、より媒体の記録容量を増すことができる。
【0099】
次に、データ領域2のトラックピッチ(図2におけるTpD)と媒体情報領域3のトラックピッチ(図2におけるTpR)とについて説明する。データ領域2のトラックピッチTpDは、媒体情報領域3のトラックピッチTpRと同じか或いは、より狭いことが望ましい。なお、図2は、データ領域2のトラックピッチTpDが媒体情報領域3のトラックピッチTpRより狭い場合を示している。
【0100】
データ領域2のトラックピッチTpDと媒体情報領域3のトラックピッチTpRとが同じ場合、データ領域2のトラック数を増やすことはできないが、トラックピッチを変更する機構を再生装置10に設けることなく、記録情報の高密度化が可能となる。
【0101】
一方、データ領域2のトラックピッチTpDが媒体情報領域3のトラックピッチTpRより狭い場合、データ領域2のトラック数を増やすことができるため、記録情報のさらなる高密度化が可能となる。ただし、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設ける必要がある。なお、この場合でも、超解像再生層6によって、擬似的にレーザスポットが縮小されるので、クロストーク特性の悪化やトラッキングが不安定になることがない。
【0102】
次に、図3で示した超解像再生層6について説明する。該超解像再生層6は、酸化金属膜、特に、酸化亜鉛、酸化セリウム、または酸化チタン等から形成される酸化金属膜、もしくはこれらを主成分とする無機膜であることが望ましい。この場合、優れた超解像特性が得られ、かつ十分な再生耐久性が得られる。上記の効果が得られる理由について、図9を用いて説明する。
【0103】
図9は、超解像再生層6として、酸化金属膜を用いた場合の、超解像媒体1の空間分解能を示している。上記酸化金属膜は、酸化亜鉛、酸化セリウム、または酸化チタンを、スパッタにより約120nm程度積層して形成している。なお、超解像再生層6として、上記酸化金属膜を有する場合の超解像媒体1の構造は、上記図3と同様に、基板4上に反射層5及び超解像再生層6(上記酸化金属膜)ならびにカバー層7を設けた構造となっている。基板4及びカバー層7は、ポリカーボネートにより形成され、反射層5は、50nmのアルミニッケル膜により形成されている。また、超解像媒体1の再生は、再生レーザ波長が408nm,開口数NAが0.65の光学系を有する評価機で、再生レーザパワーPrを3.5mWで行った。なお、通常媒体用の再生レーザパワーは、通常1.0mW程度である。
【0104】
図9から明らかなように、上記3種類の酸化金属膜は、評価機の光学系解像限界より短いプリピットにおいても、C/Nが検出されている。すなわち、上記3種類の酸化金属膜は、超解像再生層として用いることができるということがわかる。また、その超解像特性は、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛の順に良好となり、特に酸化亜鉛および酸化セリウムは、酸化チタンより良好な超解像特性を示している。
【0105】
さらに、上記金属酸化膜は、有機材料に比べて、熱による温度変化に対し、耐久性に優れているため、特許文献2に開示されているような有機材料を超解像再生層に用いる場合に比べて、再生耐久性に優れている。なお、酸化亜鉛を超解像再生層6として用いた超解像媒体1の再生耐久試験を行ったところ、予想通り劣化は見られなかった。すなわち、上記酸化金属膜を超解像再生層6として用いることで、従来の超解像媒体に比べて、超解像特性および再生耐久性に優れた超解像媒体1を実現できる。
【0106】
なお、上記実施形態では、再生専用媒体で、断面構造がBDタイプの超解像媒体1を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10〜図12に示す、各種の光情報記録媒体に適応可能である。
【0107】
図10(a)(b)は、書き換え可能媒体で、図10(a)はBDタイプの断面構造を、図10(b)はDVDタイプの断面構造を示している。図11は、再生専用媒体で、DVDタイプの断面構造を示している。図12(a)(b)は、再生専用媒体で、図12(a)は図3の反射層5が再生レーザを吸収し熱に変換する吸光層である断面構造を、図10(b)は図11の反射層が吸光層である断面構造を示している。
【0108】
図10(a)に示す、断面構造がBDタイプの書き換え可能媒体は、基板30上に、反射層31、記録層32、および超解像再生層33が順に積層され、さらにカバー層34が設けられた構造となっている。図10(b)に示す、断面構造がDVDタイプの書き換え可能媒体は、透明基板35上に、超解像再生層36、記録層37、および反射層38が順に積層され、さらにカバー層39が設けられた構造となっている。図11に示す、断面構造がDVDタイプの再生専用媒体は、透明基板40上に、超解像再生層41および反射層42が順に積層され、さらにカバー層43が設けられた構造となっている。
【0109】
図12(a)に示す、断面構造がBDタイプの再生専用媒体は、基板44上に、吸光層45および超解像再生層46が順に積層され、さらにカバー層47が設けられた構造となっている。図12(b)に示す、断面構造がDVDタイプの再生専用媒体は、透明基板48上に、超解像再生層49および吸光層50が順に積層され、さらにカバー層51が設けられた構造となっている。
【0110】
ところで、一般に、酸化金属膜を超解像再生層として有する超解像媒体や特許文献2に記載の超解像再生層を用いた超解像媒体の再生を行う場合、再生レーザによるレーザスポット内が、所定以上の温度に上昇することが必要である。そのため、図12(a)(b)に示すように、吸光層45、50を備える構造の場合、上記レーザスポット内の温度が上がり易くなり、感度が向上する。
【0111】
その結果、再生レーザパワーを低く設定することができ、再生装置の消費電力を低減できる。なお、酸化亜鉛により形成された超解像再生層を用いた超解像媒体では、特に感度の向上が見られた。また、超解像再生層自体が再生レーザを吸収して熱を発生する必要が少なくなり、再生耐久性がより向上する。なお、吸光層45、50の具体的な材料としては、SiもしくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
また、超解像媒体1および図10〜図12に示す各種の光情報記録媒体に、再生レーザを照射することにより発生した熱を放出する放熱層を設けてもよい。図13は、図12(a)に示す、断面構造がBDタイプの再生専用媒体に放熱層52を設けた場合の断面構造を示している。放熱層52を設けることにより、再生レーザが照射されることにより発生する熱が必要以上に蓄積されることを防ぐことができるため、再生耐久性がより向上し、より信頼性の高い信号再生が行える。なお、放熱層52が、熱伝導性の高い金属膜により形成されていることで、さらなる再生耐久性および信頼性の高い信号再生が可能となる。
【0113】
また、放熱層の金属膜は反射率が高いため、放熱層は光を反射する反射層としての機能も有する。従って、放熱層を設ける場合、反射層を設けなくてもよい。
【0114】
また、本願が請求する超解像媒体の膜構造は上記に限るものではなく、超解像特性を示す膜構造であればよい。例えば、特許文献に記載されている膜構造や、国際特許番号WO2002/058060や、スーパーレンズと呼ばれるAppl.Phys.Lett,73,2078-2080に記載されているような膜構造であればよい。
【0115】
最後に、光情報記録媒体再生装置10の制御部19の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0116】
すなわち、光情報記録媒体再生装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである光情報記録媒体再生装置10の制御部19の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、光情報記録媒体再生装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0117】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0118】
また、光情報記録媒体再生装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0119】
また、光情報記録媒体としては、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disk Recordable)、CD−RW(Compact Disk Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)、BD(Blu-ray Disc),BD(Blu-ray Disc)−ROM等の光学読取式のディスクや、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクを挙げることができ、本発明において記録の方式や大きさを問うものではない。
【0120】
さらに、光情報記録媒体再生装置には、再生又は記録専用の装置の他、再生及び記録の両方が可能な装置が含まれ、その使用形態において据え置き用、携帯用の如何を問うものではない。
【0121】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0122】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピットは、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されている。
【0123】
上記の構成によれば、本発明に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報は、上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されている。このため、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0124】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域の記録マーク群の最短記録マーク長より長い。
【0125】
上記の構成によれば、本発明に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報を記録しているプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域の記録マーク群の最短記録マーク長より長い。このため、上記第1領域の記録マーク群の最短記録マーク長を解像限界以下またはその付近となる光学系を有する再生装置で再生した場合、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0126】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む凹及び/または凸からなるプリピットによりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピットは、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されている。
【0127】
上記の構成によれば、本発明に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報は、上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されている。このため、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0128】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、凹及び/または凸からなるプリピットによりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長い。
【0129】
上記の構成によれば、本発明に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報を記録しているプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長い。このため、上記プリピット群の最短プリピット長を解像限界以下またはその付近となる光学系を有する再生装置で再生した場合、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0130】
本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、上記超解像光情報記録媒体と、上記記録マークまたは上記プリピットの長さが、上記光学系解像限界の長さ以上である光情報記録媒体である通常光情報記録媒体とを再生可能な光情報記録媒体再生装置であって、上記光情報記録媒体の所望位置に記録された情報を再生する再生手段と、自装置の動作を制御する制御手段とを備えており、該制御手段は、上記再生手段を制御して、上記通常光情報記録媒体の再生に適した再生光のパワーで上記媒体識別情報を再生させて取得する識別情報取得手段と、取得した媒体識別情報により、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体であるか否かを識別する媒体識別手段とを備えることを特徴としている。
【0131】
上記の構成を有することにより、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体が、上記超解像光情報記録媒体であるか否かの識別を、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで、容易に、かつ的確に行うことができる。これにより、上記超解像光情報記録媒体と上記通常光情報記録媒体とのいずれの媒体も再生できる再生装置を実現することができるという効果を奏する。また、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで上記識別を行うため、上記再生装置の消費電力を低下させることができる。さらに、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで上記識別を行うため、上記超解像光情報記録媒体に最適な再生光のパワーで上記通常光情報記録媒体を破壊してしまうことがない。
【0132】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第2領域には、上記第1領域にコンテンツを記録するためのレーザ光のパワーを調整する情報と、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーとを調整する情報が記録可能なテストライトリード領域がさらに割り当てられており、上記テストライトリード領域の記録マーク群は、上記第1領域に形成される記録マーク群と同じ記録密度と変調方式とで形成されていることが好ましい。
【0133】
従来の記録再生装置は、コンテンツを記録するためのレーザ光のパワー(以下、記録レーザパワーと記載する)を判断する時、規格によって定められた再生エラーが最小となるまで徐々に記録レーザパワーを上げていき、上記再生エラーが最小となり、その後上記再生エラーが増加したところで、前回の記録レーザパワーが最適であると判断する。
【0134】
ここで、通常媒体を再生する場合、コンテンツを再生するためのレーザ光のパワー(以下、再生レーザパワーと記載する)は、再生装置間におけるレーザパワーの誤差を含めて規格化されていることと、破壊等がない限り、通常媒体の再生特性に再生レーザパワー依存性がほとんどないことから、再生装置で最適な再生レーザパワーを決定する必要はない。
【0135】
しかしながら、超解像光情報記録媒体では、通常媒体と異なり、再生レーザパワーが適切でないと再生自体が不可能になってしまう場合が多い。また、適切な再生レーザパワーは、従来の記録膜等とは異なり、再生レーザパワーを利用して超解像再生を引き起こす再生層の種類によって、大きく異なる。したがって、超解像光情報記録媒体では、記録レーザパワーの最適化と同時に、上述の記録レーザパワーの決定方法と同様な方法で、再生レーザパワーを最適化する必要がある。
【0136】
そこで、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の上記第2領域には、テストライトリード領域がさらに割り当てられており、上記テストライトリード領域には、上記第1領域にコンテンツを記録するためのレーザ光のパワーと、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーとを調整する情報が、上記第1領域に記録される記録マーク群と同じ記録密度と変調方式とで記録される。具体的には、例えば徐々に記録するためのレーザパワーを上げて複数の情報をライトリード領域に記録する。その後、前記複数の情報の各々について、再生するためのレーザパワーを徐々に上げながら再生する。その結果、再生エラーが最小となる記録するためのレーザパワーと再生するためのレーザパワー組み合わせとが得られる。すなわち、その値が上記第一領域における最適な記録するためのレーザパワーと再生するためのレーザパワーということになる。このように、上記第1領域への情報記録、及び情報再生を適切に行うことができるという効果を奏する。
【0137】
また、上記テストライトリード領域が上記第2領域に割り当てられているため、上記第1領域の記録容量を損なうことなく、記録レーザパワー及び再生レーザパワーを調整することができるという効果を奏する。
【0138】
なお、テストライトリード領域は、情報を記録した後は、新たに情報を記録する必要がなくなるためテストリード領域となる。
【0139】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記テストライトリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、上記第2領域内の上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0140】
上記の構成によれば、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。その理由を、例を挙げて以下に説明する。
【0141】
例えば、第2領域が第1領域より媒体の内周部に設けられ、かつ、上記第2領域において、テストライトリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより内周側に設けられている媒体(すなわち、上記テストライトリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられている媒体)では、次のように再生を行う。なお、上記媒体は、既にコンテンツが記録されているものとする。
【0142】
まず、再生装置は、上記媒体識別情報を再生し、媒体種類を認識した後、光学ヘッドをより内周側に存在する上記テストライトリード領域に移動させ、テストライトリードを行い、記録レーザパワーおよび再生レーザパワー等を決定する。その後、再び、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより外周側の上記第1領域に光学ヘッドを移動し、上記第1領域のコンテンツを再生することになる。このように、上記第2領域において、上記テストライトリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられていると、光学ヘッドが往復移動を行いながら再生を開始することになり、この結果、再生立ち上がり時間の増加、光学ヘッドの複雑な動きに起因した再生装置の故障率の増加という問題を生じる。
【0143】
これに対し、本発明の実施形態のように、第2領域において、テストライトリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い位置に設けられていると、光学ヘッドの移動が一方向への移動だけで複雑な動きをする必要がないため、再生立ち上がり時間を短縮できるとともに、再生装置の故障率を低減できるという効果を生じる。
【0144】
なお、ここでは、テストライトリード領域が、半径方向において、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い場合について記載したが、これに限られるものではなく、プリピットやグルーブが配列されている方向(再生を行っていく方向と同意)に近い場合も同様である(以降の第1領域に近いまたは遠いとの記述も同様)。
【0145】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記再生速度情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストライトリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0146】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体は、再生速度情報を、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。
【0147】
ところで、上記再生速度情報には、媒体に適切な再生光レーザを照射した場合に、デジタル信号化可能なアナログ波形を得るために必要な所謂再生情報と、コンテンツ等を再生するために再生されたアナログ波形をデジタル信号化するときに必要なデジタル処理情報がある。
【0148】
上記再生情報には、例えば、再生速度範囲情報がある。再生速度範囲情報は、超解像再生が熱によって可能になる場合は、再生速度が速すぎると熱が不足し超解像再生が不可能になり、遅すぎると発生する熱エネルギーが増大しすぎて媒体にダメージを与えてしまうため、超解像再生により安定にアナログ波形を得るために、再生速度を規定する情報である。
【0149】
上記デジタル処理情報には、例えば、再生クロック切替情報や再生速度切替情報などがある。再生クロック切替情報と再生速度切替情報とは、詳細は後述するが、記録密度の異なるランダムパターン(詳細後述)を再生した場合、得られるアナログ波形をデジタル信号化する場合に必要となる情報である。
【0150】
本発明の実施形態では、上記の構成により、上記再生速度情報が得られた上で、上記テストライトリード領域において上記第1領域のコンテンツを再生するための再生レーザパワーを決定することができる。すなわち、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を、上記テストライトリード領域の記録密度に適応した状態でデジタル信号化できるため、再生レーザパワーの決定ミスが生じないという効果を奏する。
【0151】
なお、再生速度とは、再生時の線速(媒体再生時にスピンドルモータによって媒体が回転することによって生じる光学ヘッドと再生位置再生方向への相対速度)のことを指す。
【0152】
また、第1領域のコンテンツを再生する場合についても、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を適切にデジタル信号化でき、コンテンツを安定して再生できる。
【0153】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域にコンテンツを記録するための記録条件情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記記録条件情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストライトリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0154】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体は、上記録条件情報を通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで再生できる。
【0155】
また、上記記録条件情報に基づいて上記テストライトリード領域で再生レーザパワーが決定でき、再生レーザパワー決定ミスを生じないという効果を奏する。なお、上記記録条件情報とは、記録レーザパワーのみならず、記録マークを形成するための消去レーザパワー、レーザのパルス幅、タイミング等が含まれる。
【0156】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域における位置を特定するための領域位置情報が、上記第1領域の記録マーク群と同じ記録密度および変調方式の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記領域位置情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストライトリード領域より上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0157】
上記の構成によれば、例えば再生レーザパワー決定後、決定した再生レーザパワーのままで上記領域位置情報を再生でき、光学ヘッドの動きを簡単化する(一方向への移動となる)ことができる。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。また、上記の構成により、上記第2領域を狭く、上記第1領域を広くできるので、結果として情報記録容量を増大させることができるという効果を奏する。
【0158】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭いことが好ましい。
【0159】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体は、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭い。
【0160】
上記第1領域のトラックピッチと上記第2領域のトラックピッチとが同じ場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことはできないが、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設けることなく、記録情報の高密度化が可能となるという効果を奏する。一方、上記第1領域のトラックピッチを上記第2領域のトラックピッチより狭くした場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことができるため、記録情報のさらなる高密度化が可能となるという効果を奏する。ただし、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設ける必要がある。
【0161】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第2領域には、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーを調整する、凹及び/または凸からなるプリピットが形成されたテストリード領域がさらに割り当てられており、上記テストリード領域のプリピット群は、上記第1領域のプリピット群と同じ記録密度と変調方式とで形成されていることが好ましい。
【0162】
上述のように、超解像光情報記録媒体では、再生レーザパワーを最適化する必要がある。
【0163】
そこで、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の上記第2領域には、テストリード領域がさらに割り当てられており、上記テストリード領域には、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーを調整する、凹及び/または凸からなるプリピットが形成されている。これにより、上記第1領域での情報再生を適切に行うことができるという効果を奏する。
【0164】
また、上記テストリード領域が上記第2領域に割り当てられているため、上記第1領域の記録容量を損なうことなく、再生レーザパワーを調整することができるという効果を奏する。
【0165】
また、上記テストリード領域のプリピットは、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短くてもよい。これにより、最適な再生パワーを決定するために、上記のような再生エラーの判断処理を行う必要が無く、その結果、最適な再生パワーを迅速に決定することができ、再生装置の立ち上がり時間を短縮できるという効果を奏する。なお、上記テストリード領域に、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短いプリピットが形成されていることにより迅速に最適な再生パワーを決定することができる理由については、実施の形態にて説明する。
【0166】
また、上記テストリード領域が、上記第2領域に割り当てられているため、上記第1領域の再生パワーを迅速に調整することができるという効果を奏する。
【0167】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、上記第2領域内の上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0168】
上記の構成によれば、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。その理由を、例を挙げて以下に説明する。
【0169】
例えば、第2領域が第1領域より媒体の内周部に設けられ、かつ、上記第2領域において、テストリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより内周側に設けられている媒体(すなわち、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられている媒体)では、次のように再生を行う。
【0170】
まず、再生装置は、上記媒体識別情報を再生し、媒体種類を認識した後、光学ヘッドをより内周側に存在する上記テストリード領域に移動させ、テストリードを行い、再生レーザパワー等を決定する。その後、再び、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより外周側の上記第1領域に光学ヘッドを移動し、上記第1領域のコンテンツを再生することになる。このように、上記第2領域において、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられていると、光学ヘッドが往復移動を行いながら再生を開始することになり、この結果、再生立ち上がり時間の増加、光学ヘッドの複雑な動きに起因した再生装置の故障率の増加という問題を生じる。
【0171】
これに対し、本発明の実施形態のように、第2領域において、テストリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い位置に設けられていると、光学ヘッドの移動が一方向への移動だけで複雑な動きをする必要がないため、再生立ち上がり時間を短縮できるとともに、再生装置の故障率を低減できるという効果を生じる。
【0172】
なお、ここでは、テストリード領域が、半径方向において、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い場合について記載したが、これに限られるものではなく、プリピットやグルーブが配列されている方向(再生を行っていく方向と同意)に近い場合も同様である(以降の第1領域に近いまたは遠いとの記述も同様)。
【0173】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域のコンテンツの再生用の再生速度情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記再生速度情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0174】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体は、再生速度情報を、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。
【0175】
ところで、上記再生速度情報には、媒体に適切な再生光レーザを照射した場合に、デジタル信号化可能なアナログ波形を得るために必要な所謂再生情報と、コンテンツ等を再生するために再生されたアナログ波形をデジタル信号化するときに必要なデジタル処理情報がある。
【0176】
上記再生情報には、例えば、再生速度範囲情報がある。再生速度範囲情報は、超解像再生が熱によって可能になる場合は、再生速度が速すぎると熱が不足し超解像再生が不可能になり、遅すぎると発生する熱エネルギーが増大しすぎて媒体にダメージを与えてしまうため、超解像再生により安定にアナログ波形を得るために、再生速度を規定する情報である。
【0177】
上記デジタル処理情報には、例えば、再生クロック切替情報や再生速度切替情報などがある。再生クロック切替情報と再生速度切替情報とは、詳細は後述するが、記録密度の異なるランダムパターン(詳細後述)を再生した場合、得られるアナログ波形をデジタル信号化する場合に必要となる情報である。
【0178】
本発明の実施形態では、上記の構成により、上記再生速度情報が得られた上で、上記テストリード領域において上記第1領域のコンテンツを再生するための再生レーザパワーを決定することができる。すなわち、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を、上記テストリード領域の記録密度に適応した状態でデジタル信号化できるため、再生レーザパワーの決定ミスが生じないという効果を奏する。
【0179】
なお、再生速度とは、再生時の線速(媒体再生時にスピンドルモータによって媒体が回転することによって生じる光学ヘッドと再生位置再生方向への相対速度)のことを指す。
【0180】
また、第1領域のコンテンツを再生する場合についても、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を適切にデジタル信号化でき、コンテンツを安定して再生できる。
【0181】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域における位置を特定するための領域位置情報が、上記第1領域の記録マーク群と同じ記録密度および変調方式の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記領域位置情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストリード領域より上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0182】
上記の構成によれば、再生レーザパワー決定後、決定した再生レーザパワーのままで上記領域位置情報を再生でき、光学ヘッドの動きを簡単化する(一方向への移動となる)ことができる。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。また、上記の構成により、上記第2領域を狭く、上記第1領域を広くできるので、結果として情報記録容量を増大させることができるという効果を奏する。
【0183】
DVD(Digital Versatile Disk)等で採用されているコピープロテクトのための媒体固有番号は、生産される媒体1枚ごとに異なるため、プリピットのように生産性の高い基板の圧縮成形時には形成できず、通常、媒体作製時の最後に、レーザ等で基板に凹部を形成することによって作製される。
【0184】
ここで、上記作製時に使用する大出力レーザの波長は、光ディスク再生で用いられるような短波長になるとコストが高いため、通常、光ディスク再生で用いられるものより大きなものとなっている(波長が大きいため、当然小さい凹部は作製できない)。また、大出力レーザで凹部を形成するため、元々ダメージがある状態であり、よりダメージとなりやすい高いレーザパワーでの再生は、媒体固有信号の再生劣化につながる可能性が高い。以上から、媒体固有信号の再生は、低いレーザパワーで行うことが好ましい。
【0185】
そこで、本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットにより記録されており、上記固有番号有無情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0186】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体は、媒体固有番号を通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、すなわち低いレーザパワーで再生できるため、確実に上記媒体固有番号を再生できる。また、無駄なレーザパワーの切り替えを生じない。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。
【0187】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭いことが好ましい。
【0188】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体は、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭い。
【0189】
上記第1領域のトラックピッチと上記第2領域のトラックピッチとが同じ場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことはできないが、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設けることなく、記録情報の高密度化が可能となるという効果を奏する。一方、上記第2領域のトラックピッチを上記第1領域のトラックピッチより狭くした場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことができるため、記録情報の高密度化が可能となるという効果を奏する。ただし、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設ける必要がある。
【0190】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第1領域が設けられた基板上に少なくとも記録層、超解像再生層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0191】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第1領域が設けられた基板上に少なくとも超解像再生層、記録層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0192】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の膜構造は、DVDタイプおよびBD(Blu-ray Disc)タイプのいずれでも可能である。また、上記超解像再生層が、熱に対して耐久性を有する酸化金属膜であるため、上記超解像光情報記録媒体の再生耐久性が向上するという効果を奏する。
【0193】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも反射層、超解像再生層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0194】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも超解像再生層、反射層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0195】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも再生光を吸収し熱に変換する吸光層を有する吸光層、超解像再生層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0196】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも超解像再生層、再生光を吸収し熱に変換する吸光層を有する吸光層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0197】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の膜構造は、DVDタイプおよびBDタイプのいずれでも可能である。また、上記超解像再生層が、熱に対して耐久性を有する酸化金属膜であるため、上記超解像光情報記録媒体の再生耐久性が向上するという効果を奏する。
【0198】
さらに、上記再生専用の超解像光情報記録媒体のうち、吸光層を備える構造の場合、上記超解像再生層が再生光を吸収して熱を発生する必要が少なくなり、再生耐久性がより向上するという効果を奏する。また、再生光のパワーを低く設定しても、温度を上昇させ超解像特性を得ることができるため、再生時の消費電力を低下させることができるという効果を奏する。
【0199】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記酸化金属膜が、酸化チタンもしくは酸化チタンを主成分とする無機膜、酸化セリウムもしくは酸化セリウムを主成分とする無機膜、または、酸化亜鉛もしくは酸化亜鉛を主成分とする無機膜であることが好ましい。
【0200】
上記の構成によれば、再生耐久性が向上し、より優れた超解像特性が得られることから高密度な記録情報の再生が行えるという効果を奏する。
【0201】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記吸光層が、SiもしくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金からなることが好ましい。
【0202】
上記の構成によれば、上記吸光層が、SiもしくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金から形成されていれば、再生耐久性がより向上し、再生時の消費電力をより低下させることができるという効果を奏する。
【0203】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、再生光を照射することにより発生した熱を放出する放熱層を有することが好ましい。
【0204】
上記の構成によれば、再生光が照射されることにより発生する熱が必要以上に蓄積されることを防ぐことができるため、再生耐久性がより向上し、より信頼性の高い信号再生が行えるという効果を奏する。
【0205】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置は、上記媒体識別手段の識別の結果、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体である場合に、上記超解像光情報記録媒体の再生に適した再生光のパワーで再生を行うように上記再生手段の再生光のパワーを制御するパワー制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0206】
上記の構成を有することにより、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生光のパワーに的確に切り替えることができる。これにより、上記通常光情報記録媒体及び上記超解像光情報記録媒体の再生時に、最適な状態で再生が行えるという効果を奏する。また、上記再生光のパワーの切り替えが素早く行えるため、上記再生装置の立ち上がり時間を短縮できる。
【0207】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置は、上記の構成に加えて、上記パワー制御手段は、上記超解像光情報記録媒体の上記テストリード領域のプリピットを読み取った再生信号の振幅により、上記再生手段の再生光のパワーを制御することが好ましい。
【0208】
これにより、最適な再生パワーを決定するために、上述の、従来の再生装置の再生パワー決定方法における再生エラーの判断処理を行う必要が無く、その結果、最適な再生パワーを迅速に決定することができ、上記再生装置の立ち上がり時間を短縮できるという効果を奏する。
【0209】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置は、上記の構成に加えて、上記媒体識別手段の識別の結果、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体である場合に、上記超解像光情報記録媒体の再生に適した再生クロックで再生を行うように再生クロックを制御するクロック制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0210】
上記の構成を有することにより、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生クロックに的確に切り替えることができるため、上記通常光情報記録媒体及び上記超解像光情報記録媒体の再生時に、最適な状態で再生が行えるという効果を奏する。
【0211】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置の制御方法は、上記超解像光情報記録媒体と、上記記録マークまたは上記プリピットの長さが上記光学系解像限界の長さ以上である光情報記録媒体である通常光情報記録媒体とを再生可能な光情報記録媒体再生装置の制御方法において、上記通常光情報記録媒体の再生に適した再生光のパワーで上記媒体識別情報を再生させて取得し、取得した媒体識別情報により、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体であるか否かを識別することを特徴としている。
【0212】
上記の方法によれば、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体が、上記超解像光情報記録媒体であるか否かの識別を、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで、容易に、かつ的確に行うことができるという効果を奏する。
【0213】
なお、上記光情報記録媒体再生装置における制御手段を、上記光情報記録媒体再生装置制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記光情報記録媒体再生装置制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記光情報記録媒体再生装置制御プログラムを実行させることができる。
【0214】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、上記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0215】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む凹及び/または凸によりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0216】
上記の構成によれば、本発明の光情報記録媒体は、媒体固有番号を通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、すなわち低いレーザパワーで再生できるため、確実に上記媒体固有番号を再生できる。また、無駄なレーザパワーの切り替えを生じない。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。
【0217】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、上記第2領域に記録されている上記再生速度に関する情報は、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報であり、上記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0218】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む凹及び/または凸によりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、上記第2領域に記録されている上記再生速度に関する情報は、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報であり、上記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0219】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報と、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されている。
【0220】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む、生産時に設けられる凹及び/または凸によりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報と、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されている。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本発明に係る超解像媒体は、光学読取式のディスク、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクに対して好適であるが、磁気ディスクなど、解像限界の長さより短い長さの記録マークを有する情報記録媒体にも適用できる。
【符号の説明】
【0222】
1 超解像媒体
2 データ領域(第1領域)
3 媒体情報領域(第2領域)
6、33、36、41、46、49、76 超解像再生層
10 光情報記録媒体再生装置(再生装置)
11 光情報記録媒体
19 制御部(制御手段)
21 光ピックアップ(再生手段)
24 信号処理部(識別情報取得手段)
25 媒体識別部(媒体識別手段)
26 パワー制御部(パワー制御手段)
27 再生クロック制御部(再生クロック制御手段)
32、37 記録層
5、42 反射層
45、50 吸光層
52 放熱層
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記録される光情報記録媒体、その再生装置、該再生装置の制御方法及び制御プログラム、並びに該制御プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像等の膨大な情報処理のために、光情報記録媒体の記録・再生時における情報密度を高めることが求められている。そこで、再生装置が有する光学系解像限界より短い長さの記録マーク、または凹及び/または凸からなるプリピットによって情報を記録し、それを再生する超解像技術が提案されている。なお、ここでは、上記超解像技術により再生することができる光情報記録媒体を「超解像媒体」または「超解像光情報記録媒体」と呼び、上記超解像技術が使用できない光情報記録媒体、すなわち、再生装置が有する光学系解像限界より長い長さの記録マーク、またはプリピットで情報が記録される光情報記録媒体を「通常媒体」または「通常光情報記録媒体」と呼ぶ。なお、上記光学系解像限界は、再生レーザの波長と光学系の開口数によって決まる。
【0003】
上記超解像媒体の例として、特許文献1〜3に開示されているような光情報記録媒体が挙げられる。
【0004】
特許文献1に示される書き換え可能な超解像媒体では、情報が垂直な磁化方向に記録されている記録層の上に、再生レーザ光の照射によって情報を再生する再生層が設けられている。再生レーザ光を上記再生層上に照射すると、レーザスポットが生じ、該レーザスポット内の光強度分布により、温度分布が生じる。そして、上記レーザスポット内の高温部分のみ、上記記録層の磁界が上記再生層に転写され、光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生することができる。
【0005】
また、特許文献2に示される超解像媒体では、温度によって透過率等の光学特性が変化するサーモクロミック色素層が、マスク層として、反射層の再生光入射面上に設けられている。上記マスク層とは、レーザスポットを擬似的に限縮するなどの超解像現象を引き起こす層のことである。上記再生光入射面に近い再生層上の上記レーザスポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。例えば、温度が高くなると透過率が高くなる材料を上記再生層に用いる場合、温度が高い部分の透過率のみが高くなり、上記反射層面上に生じる上記レーザスポットが擬似的に縮小されるので、光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生することができる。上記特許文献2に示される技術は、書き換え可能な光情報記録媒体のみならず、再生専用の光情報記録媒体にも適応可能である。
【0006】
さらに、特許文献3に示される超解像媒体では、凹および/または凸によって情報が記録されている基板上に、薄い金属膜等からなる機能層と呼ばれる膜層が設けられている。現在のところ、上記超解像媒体の原理の大部分は解明されていないが、上記機能層の温度変化によって、光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生可能であるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平8−180486号公報(公開日:1996年7月12日)」
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開2001−35012号広報(公開日:2001年2月9日)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2001−250274号公報(公開日:2001年9月14日)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図14〜図18を用いて、従来の通常媒体61と、考えられ得る超解像媒体71とについて説明する。
【0009】
図15は、従来の通常媒体61の外観を示すものであり、通常媒体61は、ユーザが使用する情報が記録されているデータ領域62と、通常媒体61に関する情報が記録されている媒体情報領域63とを有している。その配置は、図示のように、媒体情報領域63が媒体の最内周部と最外周部とに設けられ、その間に、データ領域62が設けられている。なお、媒体情報領域63に記録されている上記通常媒体61に関する情報の1つには、自身が通常媒体であることを示す媒体識別情報が挙げられる。
【0010】
図14は、上記図15のb部を拡大して示している。データ領域62及び媒体情報領域63は、再生装置が有する光学系解像限界より長い長さの凹および/または凸からなるプリピットによって、それぞれの情報が記録されている。
【0011】
次に、考えられうる超解像媒体71について説明する。図17は、超解像媒体71の外観を示すものである。該超解像媒体71は、ユーザが使用する情報が記録されているデータ領域72と、超解像媒体71に関する情報が記録されている媒体情報領域73とを有している。その配置は、図示のように、媒体情報領域73が媒体の最内周部と最外周部とに設けられ、その間に、データ領域72が設けられている。なお、媒体情報領域73に記録されている上記超解像媒体71に関する情報の1つには、自身が超解像媒体であることを示す媒体識別情報が挙げられる。
【0012】
図18は、超解像媒体71の断面を示すものである。超解像媒体71は、基板74上に、反射層75と、超解像現象を起こす超解像再生層76とが順にスパッタにより積層され、さらに透光性のあるカバー層77が設けられた構造となっている。
【0013】
図16は、上記図17のc部を拡大して示している。データ領域72及び媒体情報領域73は、上記再生装置が有する光学系解像限界より短い長さの凹および/または凸からなるプリピットによって、それぞれの情報が記録されている。このように、超解像媒体71は、通常媒体61より短い長さの上記プリピットの組み合わせによって情報が記録されている。そのため、情報の高密度記録が可能となり、より多くの情報の記録が可能となる。
【0014】
ところで、上記特許文献1及び2に記載される超解像媒体は、再生レーザパワーが大きいほど、レーザスポット内の温度分布が急峻となり、超解像効果が高まる。また、上記特許文献3に記載される超解像媒体でも、原因は不明であるものの、上記特許文献1及び2に記載される超解像媒体と同様に、再生レーザパワーが大きくなるにつれて、超解像効果が高まる。そのため、超解像媒体71を再生するために最適な再生レーザパワーは、通常媒体61を再生するために最適な再生レーザパワーよりも大きくなる。
【0015】
また、上述のように、超解像媒体71の記録密度は、通常媒体61の記録密度よりも高密度である。そのため、超解像媒体71を再生するために最適な再生クロック幅は、通常媒体61を再生するために最適な再生クロック幅よりも短くなる。
【0016】
ここで、通常媒体61および超解像媒体71のいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を考える。
【0017】
上記再生装置において、通常媒体61および超解像媒体71をそれぞれ最適な状態で再生するためには、再生レーザパワーおよび再生クロックを切り替えなければならない(上述のように、通常媒体61と超解像媒体71とで再生レーザパワーおよび再生クロックが異なるため)。そのためには、通常媒体61であるか、超解像媒体71であるかの識別を行う必要があり、この識別は、媒体情報領域63に記録されている上記媒体識別情報、または媒体情報領域73に記録されている上記媒体識別情報を再生することによって行われる必要がある。
【0018】
ところで、上記識別は、消費電力の上昇や、通常媒体61が超解像媒体71用の高い再生レーザパワーで破壊されることを防ぐために、通常媒体61用の再生レーザパワーを使用して識別することが望ましい。しかしながら、この場合、超解像媒体71の上記媒体識別情報を再生できず、識別が行えないという問題が生じる。
【0019】
あるいは、上記識別を通常媒体61用の再生レーザパワーで行えなかった場合に、識別する光情報記録媒体が超解像媒体71であると判断し、再生レーザパワーおよび再生クロックの切り替えを行うことが考えられる。しかしながら、上記判断から再生レーザパワーを切り替えるため、無駄な時間を要してしまい、上記再生装置の立ち上がり時間が長くなってしまう。さらに、識別する光情報記録媒体が通常媒体61であるにもかかわらず、何らかの原因で再生できなかった場合、上記再生装置は、通常媒体61が超解像媒体71であると間違って判断し、超解像媒体71用の再生レーザパワーに切り替え、通常媒体61を破壊してしまうという問題も生じる虞がある。なお、上記再生装置の立ち上がり時間とは、光情報記録媒体が再生装置に配備されてから、光情報記録媒体のデータ領域の再生を行うまでの時間を指す。
【0020】
なお、上記では、簡略化のため、媒体識別情報が識別できる事項を通常媒体および超解像媒体のみに限定して記述したが、これに限るものではない。例えば、従来は、媒体の種類(CD,DVD,BD等)と媒体の形式(R,RE,ROM等)とを識別するための情報であった。
【0021】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常光情報記録媒体用の再生レーザパワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体、および、該超解像光情報記録媒体と通常光情報記録媒体とのいずれの媒体も再生できる光情報記録媒体再生装置を実現することである。
【0022】
なお、以下の説明において、再生装置とは、本発明に係る超解像光情報記録媒体と通常光情報記録媒体との両方を再生できる、本発明に係る再生装置を指す。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る光情報記録媒体は、上記目的を達成するために、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられていることを特徴としている。
【0024】
また、本発明に係る記録方法は、上記目的を達成するために、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられ、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられている光情報記録媒体にコンテンツを記録する記録方法であって、上記テスト領域でレーザパワーを調整した後、上記第1領域にコンテンツを記録することを特徴としている。
【0025】
上記構成及び方法によれば、効率的な情報記録が可能になるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る光情報記録媒体は、以上のように、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられている構成である。
【0027】
また、本発明に係る記録方法は、上記テスト領域でレーザパワーを調整した後、上記第1領域にコンテンツを記録する方法である。
【0028】
それゆえ、本発明の光情報記録媒体および記録方法は、効率的な情報記録が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、超解像媒体の外観を示す斜視図である。
【図2】上記超解像媒体における基板の要部構成を示す平面図である。
【図3】上記超解像媒体の構造を示す断面図である。
【図4】上記超解像媒体と通常媒体とを再生可能な光情報記録媒体再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】上記光情報記録媒体再生装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】上記光情報記録媒体再生装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図7(a)】通常媒体に適した再生クロックで通常媒体を再生した場合のプリピットと出力信号との関係を示す図である。
【図7(b)】超解像媒体に適した再生クロックで通常媒体を再生した場合のプリピットと出力信号との関係を示す図である。
【図8】C/Nの再生レーザパワーに対する依存性を、最短のプリピットと最長のプリピットとに関して示すグラフである。
【図9】C/Nのピット長に対する依存性を、超解像再生層の材質ごとに示すグラフである。
【図10(a)】書き換え可能媒体で、BDタイプの断面構造を示す図である。
【図10(b)】書き換え可能媒体で、DVDタイプの断面構造を示す図である。
【図11】再生専用媒体で、DVDタイプの断面構造を示す図である。
【図12(a)】再生専用媒体で、図3と異なる構造を有する場合の断面構造を示す図である。
【図12(b)】再生専用媒体で、図11と異なる構造を有する場合の断面構造を示す図である。
【図13】図12(a)に示す、断面構造がBDタイプの再生専用媒体に放熱層を設けた場合の断面構造を示す図である。
【図14】通常媒体の基板の要部構成を示す斜視図である。
【図15】上記通常媒体の外観を示す斜視図である。
【図16】一般に考え得る超解像媒体の基板の要部構成を示す斜視図である。
【図17】上記超解像媒体の外観を示す斜視図である。
【図18】上記超解像媒体の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態に係る超解像光情報記録媒体ついて、図1〜図3を用いて説明すると以下の通りである。なお、本実施形態では、再生専用媒体で、断面構造がBDタイプの超解像光情報記録媒体(以下、超解像媒体1とする)を例として説明する。また、以下の説明において、再生装置10とは、後述の、本実施形態に係る超解像媒体1と通常光情報記録媒体との両方を再生できる、光情報記録媒体再生装置10を指す。
【0031】
図1は、本実施形態に係る超解像媒体1の外観を示している。
【0032】
また、図2は、超解像媒体1のa部を拡大して示している。なお、図2における、R2Tの長さのプリピットは、後述するテストリード領域3A、及び領域位置情報を除く媒体情報領域(第2領域)3の最短プリピットであり、R8Tの長さのプリピットは、媒体情報領域3の最長プリピットである。同様に、図2における、D2Tの長さのプリピットは、データ領域(第1領域)2の最短プリピットであり、D8Tの長さのプリピットは、データ領域2の最長プリピットである。
【0033】
図1のように、超解像媒体1には、映像やソフトウェアなどのコンテンツが記録されているデータ領域2と、超解像媒体1に関する情報が記録されている媒体情報領域3とが予め割り当てられている。
【0034】
図3は、超解像媒体1の断面図を示している。図示のように、超解像媒体1は、基板4上に、反射層5と、超解像現象を発生させる超解像再生層6とが順にスパッタリングにより積層され、さらに透光性のあるカバー層7が設けられた構造となっている。基板4及びカバー層7はポリカーボネートにより形成され、反射層5は、アルミニウムにより形成され、さらに、超解像再生層6は酸化亜鉛により形成されている。
【0035】
データ領域2は、図1に示すように、媒体情報領域3の間に割り当てられ、基板成型時に、凹及び/または凸からなるプリピットを設けることにより、上記コンテンツが記録されている。このプリピットは、図2におけるD2T〜D8Tの長さのプリピットであり、最短の長さが、再生装置10の有する光学系解像限界よりも短い。すなわち、再生装置10が有する光学系解像限界より短い長さのプリピットも含めて上記コンテンツを記録するため(超解像記録形態)、通常媒体より高密度な記録が可能となっている。なお、データ領域2では、(1,7)RLL変調がなされているが、これに限られるわけではなく、ランダムパターンによる記録であればよい。
【0036】
なお、(1,7)RLL変調のような長さの異なるプリピットや記録マークを用いて情報を記録する理由は、同一長さのプリピットや記録マークを用いて情報を記録するより記録密度が増大するためである。また、変調方式は上記以外にもあり(例えば、8/16変調、(2,7)RLL変調)、これらを称してランダムパターンによる記録と呼ばれている。
【0037】
さらに、図3に示すように、超解像再生層6が設けられていることにより、上記プリピットが再生可能となる。詳細には、上記プリピットに再生レーザ光を照射すると、レーザスポットが生じ、超解像再生層6上の上記レーザスポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。その結果、上記レーザスポットが擬似的に縮小した状態となり、これにより、上記プリピットが再生可能となり、通常媒体より多くの情報を利用することができる。なお、超解像再生層6は、上記プリピットを再生可能な構造であればよく、例えば、特許文献2に記載のマスク層、または特許文献3に記載の機能層でも良い。
【0038】
媒体情報領域3は、図1に示すように、超解像媒体1の最内周部と最外周部とに予め割り当てられ、超解像媒体1に関する情報が、凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されている(通常記録形態)。このプリピットは、図2におけるR2T〜R8Tの長さのプリピットであり、最短の長さが、再生装置10が有する光学系解像限界以上である。言い換えれば、媒体情報領域3のプリピット群の最短プリピット長は、データ領域2の上記プリピット群の最短プリピット長より長くなる。なお、媒体情報領域3は、超解像媒体1の内周及び外周に設けられているが、これに限定されるものではなく、内周または外周のいずれかに割り当てられていてもよい。
【0039】
超解像媒体1に関する情報には、データ領域2を有することを示す媒体識別情報、再生装置10が再生時に利用する再生速度情報、コピープロテクトのための媒体固有番号、データ領域2における位置を特定するための領域位置情報等が含まれる。
【0040】
上記媒体識別情報は、媒体の種類を特定するものであればよく、少なくともデータ領域2が超解像記録形態あるいは通常記録形態かを示していればよい。
【0041】
上記再生速度情報には、媒体に適切な再生レーザを照射した場合に、デジタル信号化可能なアナログ波形を得るために必要な所謂再生情報と、コンテンツ等を再生するために再生されたアナログ波形をデジタル信号化するときに必要なデジタル処理情報とがある。
【0042】
上記再生情報には、例えば、再生速度範囲情報がある。再生速度範囲情報は、超解像再生が熱によって可能になる場合は、再生速度が速すぎると熱が不足し超解像再生が不可能になり、遅すぎると発生する熱エネルギーが増大しすぎて媒体にダメージを与えてしまうため、超解像再生により安定にアナログ波形を得るために、再生速度を規定する情報である。
【0043】
上記デジタル処理情報には、例えば、再生クロック切替情報や再生速度切替情報などがある。再生クロック切替情報と再生速度切替情報とは、詳細は後述するが、記録密度の異なるランダムパターンを再生した場合、得られるアナログ波形をデジタル信号化する場合に必要となる情報である。
【0044】
また、媒体情報領域3には、図2に示すように、再生装置10がデータ領域2の上記コンテンツを再生するための再生レーザパワーを調整するテストリード領域3Aが割り当てられている。テストリード領域3Aには、データ領域2のプリピット群と同じ記録密度および変調方式で、凹及び/または凸からなるプリピットが形成されている。なお、詳細は後述するが、テストリード領域3Aには、データ領域2の上記プリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短い長さのプリピット(図2に示すように、D2Tより長くD8Tより短い長さのプリピット)が形成されていてもよい。例えば、図示のような長さのプリピットが形成されている。なお、比較用にテストリード領域3Aに破線で示されているプリピットは、データ領域2の最短プリピットである。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る超解像媒体1の媒体情報領域3には、再生装置10が有する光学系解像限界以上の長さのプリピットが形成されている。これにより、再生装置10は、通常媒体に最適な再生レーザパワーで、媒体情報領域3に記録されている媒体識別情報、再生速度情報、媒体固有番号などの各種情報を再生することができる。
【0046】
ところで、テストリード領域3Aは、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、媒体情報領域3内のデータ領域2に近い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。その理由を、例を挙げて以下に説明する。
【0047】
例えば、媒体情報領域がデータ領域より媒体の内周部に設けられ、かつ、上記媒体情報領域において、テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより内周側に設けられている媒体(すなわち、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記データ領域から遠い位置に設けられている媒体)では、次のように再生を行う。
【0048】
まず、再生装置は、上記媒体識別情報を再生し、媒体種類を認識した後、光学ヘッドをより内周側に存在する上記テストリード領域に移動させ、テストリードを行い、再生レーザパワー等を決定する。その後、再び、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより外周側の上記データ領域に光学ヘッドを移動し、上記データ領域のコンテンツを再生することになる。このように、上記媒体情報領域において、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記データ領域から遠い位置に設けられていると、光学ヘッドが往復移動を行いながら再生を開始することになり、この結果、再生立ち上がり時間の増加、光学ヘッドの複雑な動きに起因した再生装置の故障率の増加という問題を生じる。
【0049】
これに対し、超解像媒体1のように、テストリード領域3Aを、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、媒体情報領域3内のデータ領域2に近い位置に設けると、光学ヘッドの移動が一方向への移動だけで複雑な動きをする必要がないため、再生立ち上がり時間を短縮できるとともに、再生装置の故障率を低減できる。
【0050】
なお、ここでは、テストリード領域3Aが、半径方向において、上記媒体識別情報が記録されたプリピットよりデータ領域2に近い場合について記載したが、これに限られるものではなく、プリピットやグルーブが配列されている方向(再生を行っていく方向と同意)に近い場合も同様である(以降のデータ領域2に近いまたは遠いとの記述も同様)。
【0051】
また、上記再生速度情報が記録されたプリピットは、テストリード領域3Aよりデータ領域2から遠い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、上記再生速度情報を、通常媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。また、上記再生速度情報が得られた上で、テストリード領域3Aにおいてデータ領域2のコンテンツを再生するための再生レーザパワーを決定することができる。すなわち、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を、テストリード領域3Aの記録密度に適応した状態でデジタル信号化できるため、再生レーザパワーの決定ミスが生じない。
【0052】
なお、再生速度とは、再生時の線速(媒体再生時にスピンドルモータによって媒体が回転することによって生じる光学ヘッドと再生位置再生方向への相対速度)のことを指す。
【0053】
また、データ領域2のコンテンツを再生する場合についても、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を適切にデジタル信号化でき、コンテンツを安定して再生できる。
【0054】
また、上記領域位置情報が記録されたプリピットは、テストリード領域3Aよりデータ領域2に近い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、上記領域位置情報を、通常媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。また、再生レーザパワー決定後、決定した再生レーザパワーのままで上記領域位置情報を再生でき、光学ヘッドの動きを簡単化する(一方向への移動となる)ことができる。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。さらに、媒体情報領域3を狭く、データ領域2を広くできるので、結果として情報記録容量を増大させることができる。
【0055】
ところで、上記媒体固有信号は、生産される媒体1枚ごとに異なるため、プリピットのように生産性の高い基板の圧縮成形時には形成できず、通常、媒体作製時の最後に、レーザ等で基板に凹部を形成することによって作製される。
【0056】
ここで、上記作製時に使用する大出力レーザの波長は、光ディスク再生で用いられるような短波長になるとコストが高いため、通常、光ディスク再生で用いられるものより大きなものとなっている(波長が大きいため、当然小さい凹部は作製できない)。また、大出力レーザで凹部を形成するため、元々ダメージがある状態であり、よりダメージとなりやすい高いレーザパワーでの再生は、上記媒体固有信号の再生劣化につながる可能性が高い。以上から、上記媒体固有信号の再生は、低いレーザパワーで行うことが好ましい。
【0057】
そこで、超解像媒体1では、上記媒体固有番号が記録されたプリピットを、テストリード領域3Aよりデータ領域2から遠い位置に設けている。これにより、上記媒体固有信号を通常媒体に最適な再生レーザパワーで、すなわち低いレーザパワーで再生でき、確実に上記媒体固有信号を再生できる。また、無駄なレーザパワーの切り替えを生じない。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。
【0058】
以上、本実施形態では、再生専用媒体の超解像媒体1を例に説明を行ったが、本発明の超解像光情報記録媒体には、当然記録/再生可能な超解像光情報記録媒体も含まれる。当該記録/再生可能な超解像光情報記録媒体について、超解像媒体1と異なる主な点を挙げると、テストリード領域3Aに代えて、テストライトリード領域が設けられる。当該テストライトリード領域には、再生装置10がデータ領域にコンテンツを記録するための記録レーザパワーと、再生装置10が上記データ領域のコンテンツを再生するための再生レーザパワーとを調整する情報が、上記データ領域に形成される記録マーク群と同じ記録密度と変調方式とで形成される。
【0059】
また、上記記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の媒体情報領域には、再生装置10が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって、上記データ領域にコンテンツを記録するための記録条件情報が記録される。なお、上記記録条件情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットは、上記テストライトリード領域より上記データ領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。このような構成とすれば、上記記録条件情報に基づいて、上記テストライトリード領域で再生レーザパワーが決定でき、再生レーザパワー決定ミスを生じない。なお、上記記録条件情報とは、記録レーザパワーのみならず、記録マークを形成するための消去レーザパワー、レーザのパルス幅、タイミング等が含まれる。
【0060】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の他の実施形態について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る再生装置10の概略構成を示している。本実施形態の再生装置10は、上記実施形態1の超解像媒体1および通常媒体の両方を再生可能である。
【0061】
再生装置10は、図示のように、レーザ制御回路14A、信号処理回路14B、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、RF信号の信号処理回路17B、サーボ処理回路18、制御部19(制御手段)、スピンドルモータ20、光ピックアップ21(再生手段)、光ピックアップ用モータ22を備えている。光ピックアップ21は、偏光ビームスプリッタ12、レーザ光源13、および検出器15を備えている。なお、図中の光情報記録媒体11は、超解像媒体1でもよいし、通常媒体でもよい。
【0062】
再生装置10は、まず、スピンドルモータ20により光情報記録媒体11を回転させ、制御部19により光ピックアップ用モータ22を制御して光ピックアップ21を移動させる。次に、レーザ制御回路14Aによりレーザ光源13から出射される再生レーザ光のパワーを所定の再生レーザパワー(通常媒体用の再生レーザパワー)とし、レーザ光源13から再生レーザ光を出射させる。この再生レーザ光が、偏光ビームスプリッタ12を介して、光情報記録媒体11に照射され、光情報記録媒体11からの反射光が、偏光ビームスプリッタ12を介して検出器15に到達する。
【0063】
検出器15は、到達した反射光に基づいて電気信号を出力し、該電気信号は、ヘッドアンプ16にて増幅され、サーボ処理回路18に送られ、各種のサーボ制御が行われる。また、制御部19へ送られる。
【0064】
図5は、制御部19の構成を示している。図示のように、制御部19は、アクセス位置制御部23、信号処理部24(識別情報取得手段)、媒体識別部25(媒体識別手段)、パワー制御部26(パワー制御手段)、および再生クロック制御部27(再生クロック制御手段)を備えている。
【0065】
アクセス位置制御部23は、光情報記録媒体11の所望の位置に光ピックアップ21がアクセスするように、光ピックアップ用モータ22を制御する。なお、超解像媒体1にてデータ領域2のトラックピッチと媒体情報領域3のトラックピッチとが異なる場合には、アクセス位置制御部23は、媒体識別部25による光情報記録媒体11の識別結果に基づいて、アクセス位置を制御することが望ましい。
【0066】
信号処理部24は、ヘッドアンプ16より送られる媒体識別信号を処理し、媒体識別部25に与える。媒体識別部25は、信号処理部24により与えられた上記媒体識別信号に基づいて、光情報記録媒体11の識別を行う。
【0067】
パワー制御部26は、媒体識別部25による光情報記録媒体11の識別結果に基づいて、レーザ光源13の再生レーザパワーをそのまま(すなわち、通常媒体に適した再生レーザパワー)とするか、あるいは、レーザ制御回路14Aを制御して、超解像媒体1に適した再生レーザパワーに切り替える。再生クロック制御部27は、媒体識別部25による光情報記録媒体11の識別結果に基づいて、信号処理回路17Bにて利用される再生クロックをそのまま(すなわち、通常媒体に適した再生クロック)とするか、あるいは、超解像媒体に適した再生クロックに切り替える。
【0068】
次に、再生装置10の処理動作を、図6を用いて説明する。図6は、再生装置10の処理動作の流れを示している。
【0069】
再生装置10に、光情報記録媒体11が配備されると、制御部19のアクセス位置制御部23によって、光ピックアップ用モータ22が制御され、レーザ光源13からの再生レーザ光が、再生初期用として予め定められていた通常媒体用の再生レーザパワーで、光情報記録媒体11の再生初期のアクセス位置である媒体情報領域に照射される(S1)。そして、媒体情報領域に記録されている、光情報記録媒体11が超解像媒体であるか、通常媒体であるかを示す媒体識別情報、すなわち、光情報記録媒体11のデータ領域が超解像形態か否かを示す媒体識別情報の媒体識別信号が再生される(S2)。該媒体識別信号は、検出器15、ヘッドアンプ16を介して、制御部19の信号処理部24によって処理され、媒体識別部25で、光情報記録媒体11の識別が行われる(S3)。
【0070】
媒体識別部25による識別結果が、通常媒体であった場合(S3においてNO)、再生レーザパワー及び再生クロックは切り替えられることなく、通常媒体のデータ領域がアクセスされる(S6)。そして、データ領域のコンテンツが、検出器15、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、および信号処理回路17Bを介して再生される(S7)。
【0071】
一方、媒体識別部25による識別結果が、超解像媒体1であった場合(S3においてYES)、再生装置10は、超解像媒体1の媒体情報領域3に割り当てられているテストリード領域3Aのプリピットを読み取る。該プリピットを読み取った再生信号は検出器15、ヘッドアンプ16、および信号処理部24を介して制御部19のパワー制御部26に送られる。パワー制御部26は、レーザ制御回路14Aを制御して、レーザ光源13の再生レーザパワーを上記再生信号に基づいて増加し、超解像媒体1に最適な再生パワーに調整する(S4)。
【0072】
次に、再生装置10は、超解像媒体1の媒体情報領域3に記録されている再生クロック切替情報を再生する。該再生クロック切替信号は、検出器15、ヘッドアンプ16、および信号処理部24を介して制御部19の再生クロック制御部27に送られる。再生クロック制御部27は、上記再生クロック切替信号に基づいて、再生クロックを予め定められている超解像媒体用の再生クロックに変更する(S5)。その後、データ領域2が、超解像媒体1用の再生レーザパワーでアクセスされる(S6)。そして、データ領域2のコンテンツが、検出器15、ヘッドアンプ16、RFアンプ17A、および信号処理回路17Bを介して再生される(S7)。
【0073】
以上のように、再生装置10は、超解像媒体1が上述のような構成であるため、配備された光情報記録媒体が超解像媒体1であるか否かの識別を、通常媒体用の低い再生レーザパワーで、容易に、かつ的確に行うことができる。また、再生装置10は、上記識別に基づいて、配備された光情報記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生レーザパワーおよび再生クロックに的確に切り替えることができる。
【0074】
これにより、再生装置10は、超解媒体1と通常媒体とのいずれの媒体も再生できる。また、上記識別を通常媒体用の低い再生レーザパワーで行えるため、再生装置10の消費電力を抑えることができ、さらに、超解像媒体1用の再生レーザパワーで通常媒体を破壊してしまうことがない。
【0075】
なお、上述のように、本実施の形態では、超解像媒体1に上記再生クロック切替情報が記録されており、再生装置10は、超解像媒体1を再生する時に、上記再生クロック切替情報により再生クロックを切り替えている。しかしながら、光情報記録媒体の識別により、再生クロックを切り替える構成としてもよい。この場合、超解像媒体1に上記再生クロック切替情報を記録する必要がなくなる。
【0076】
ここで、再生装置10が、超解像媒体1と通常媒体とで再生クロックを切り替える理由について、再生専用の通常媒体が、通常媒体用の再生クロックおよび超解像媒体1用の再生クロックで再生される場合を例として図7(a)(b)を用いて説明する。なお、上記通常媒体は、(1,7)RLL変調がなされている。すなわち、チャネルビットの長さTを基準にして、最短プリピット2Tから、最長プリピット8Tまでの長さのプリピットが基板上に設けられている。
【0077】
また、光情報記録媒体の再生は、基板上に設けられているプリピットに、再生レーザを照射し、その反射光により得られる出力信号が、再生装置で設定されているスライスレベルより大きいか否かにより二値化することで、信号が再生される。
【0078】
図7(a)は、上記通常媒体を上記通常媒体用の再生クロックで再生し、得られた信号を二値化した様子を示しており、出力信号は、同図下側にあるプリピットに対応している。図7(b)は、上記通常媒体を超解像媒体1用の再生クロックで再生し、得られた信号を二値化した様子を示しており、出力信号は、同図下側にあるプリピットに対応している。
【0079】
まず、上記通常媒体が、上記通常媒体用の再生クロックで再生される場合について説明する。なお、図7(a)に示すように、2Tプリピット、スペース、4Tプリピットを再生する。図示のように、出力信号は、上記通常媒体用の再生クロックに対応した時点で二値化され、「1・1・0・0・1・1・1・1」となる。そして、「1・1」の信号を上記2Tプリピット、「1・1・1・1」の信号を上記4Tプリピットとして処理する。このときの二値化時点での信号レベルV1は、図示のように、スライスレベルよりも十分に大きいため、通常媒体や再生装置の個体差による多少の変動が起こったとしても、安定した再生を行うことができる。
【0080】
次に、上記通常媒体が、超通常媒体1用の再生クロックで再生される場合について説明する。なお、超解像媒体1は、上記通常媒体の2倍の線密度であるとする。このため、超解像媒体1用の再生クロック幅は、上記通常媒体用の再生クロック幅の半分となる。
【0081】
上述のような超解像媒体1用の再生クロックで再生すると、図7(b)に示すように、二値化された信号は、「1・1・1・1・0・0・0・0・1・1・1・1・1・1・1・1」となる。そして、上記通常媒体の再生時と同様に、「1・1・1・1」の信号を上記2Tプリピット、「1・1・1・1・1・1・1・1」の信号を上記4Tプリピットとして処理する。
【0082】
このように、超解像媒体1用の再生クロックで上記通常媒体を再生することは可能である。しかしながら、このときの二値化時点での信号レベルV2は、図示のように、スライスレベルに対し十分に大きくならず、通常媒体や再生装置の個体差による変動により再生不良を起こす可能性が高くなる。すなわち、光情報記録媒体に適した再生クロックで再生を行わなければ、再生の信頼性が低下する。
【0083】
また、例えば、上記通常媒体を超通常媒体1用の再生クロックで再生し、その出力信号を二値化するタイミングをずらし、一つ飛ばしで取り込むことにより、擬似的に上記通常媒体用の再生クロックで再生したようにすることも可能である。しかしながら、このような信号処理は、非常に複雑になるという問題がある。よって、通常媒体と超解像媒体1とをそれぞれ最適な状態で再生するためには、それぞれの場合で、再生クロックを変更することが必要である。そして、以上のことから、再生装置10は、超解像媒体1と通常媒体とで再生クロックを切り替えている。
【0084】
また、上記再生クロック切替情報は、再生装置10が有する光学系解像限界より長い長さのプリピットによって記録されている。このため、通常媒体用の再生レーザパワーおよび再生クロックで再生でき、無駄な再生レーザパワーおよび再生クロックの切り替えを必要としない。
【0085】
以上、再生装置10では、通常媒体と超解像媒体1とで再生クロックを切り替えているが、この場合、基準発振器が2台になるなど回路負担が大きくなる。そこで、再生クロックを切り替える代わりに、再生速度を切り替えてもよい。
【0086】
例えば、超解像媒体1が通常媒体の2倍の線密度である場合、再生速度を切り替えてその速度を半分にすると、再生される信号が転送される速度も半分になるため、再生クロックを切り替えなくとも、上述のような再生の信頼性が低下するといった問題を生じることがなくなる。したがって、再生クロックを切り替える代わりに、再生速度を切り替える構成としてもよい。その場合、超解像媒体1の媒体情報領域3に記録されている再生速度切替情報に基づいて再生速度を切り替えればよい。あるいは、光情報記録媒体の識別により切り替える構成としてもよい。この場合、超解像媒体1に上記再生速度切替情報を記録する必要がなくなる。
【0087】
なお、再生速度を切り替える構成の場合、再生クロックを切り替える構成と比較して回路負担を低減できるが、超解像媒体1の転送速度が通常媒体と変わらなくなる。逆に、再生クロックを切り替える構成の場合、超解像媒体1の情報の転送速度を速くできる。
【0088】
ところで、再生装置10では、一般的な記録再生装置で記録レーザパワーを決定する手法と同様に、超解像媒体1のテストリード領域3Aに照射する再生レーザパワーを、再生エラーが最小となるまで増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定している。
【0089】
しかしながら、上記実施の形態1において述べたように、超解像媒体1のテストリード領域3Aを、データ領域2のプリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短いプリピットにより形成して、テストリード領域3Aのプリピットの再生信号の振幅が最大となるまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定することも可能である。以下、図8を用いて説明する。
【0090】
一般に、超解像媒体のデータ領域は、様々な長さのプリピット等の組み合わせによって情報が記録されている。このため、データ領域の各長さのプリピットを、それぞれ同一の再生レーザパワーで再生した場合、各長さのプリピットにおけるC/N(carrier to noise ratio)が異なり、該C/Nの最低値が存在する。該最低値は、再生レーザパワーによって変化するため、上記各長さのプリピットのC/Nの最低値が最大となる再生レーザパワーが、最適な再生レーザパワーであると言える。
【0091】
図8は、超解像媒体1の最短プリピットと最長プリピットとに照射する再生レーザパワーを1mW〜5mWで変化させた場合の上記プリピットのそれぞれのC/Nを示したものである。上記最短プリピットは、0.14μmで、上記最長プリピットは0.40μmであり、図8のグラフは、C/Nを縦軸に、再生レーザパワーを横軸に示している。
【0092】
同図に示すように、上記最短のプリピットでは、再生レーザパワーを増加させるにつれて、C/Nが単調増加している。一方、上記最長のプリピットでは、再生レーザパワーが約2.5mWに達するまでC/Nが増加し、再生レーザパワーが約3.0mWを超えるとC/Nが減少している。また、同図を参照すると、各長さのプリピットに関するC/Nのグラフは、上記最短のプリピットに関するC/Nのグラフと、上記最長のプリピットに関するC/Nのグラフとの間に位置することが予想される。
【0093】
このことから、上記最短のプリピットに関するC/Nのグラフと、上記最長のプリピットに関するC/Nのグラフとの交点付近での再生レーザパワーが、各長さのプリピットのC/Nの最低値が最大となる最適な再生レーザパワーになると考えられる。さらには、上記交点付近までC/Nが増加し、上記交点付近を超えるとC/Nが減少するような長さのプリピットが存在することが予想される。
【0094】
そこで、本実施形態では、上述のようなプリピットを、上記再生レーザパワーを調節するためのテストリード領域3Aとして形成している。これにより、再生装置10は、超解像媒体1の再生時に、上記プリピットの再生信号の振幅が最大となるまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定することができる。なお、何れの長さのプリピットが対応するかは、超解像再生層4及び反射層5を含む薄膜層に依存する。
【0095】
以上のように、最適な再生レーザパワーを決定するために、再生信号の振幅を利用しているので、再生エラーの判断処理を行う必要が無く、その結果、最適な再生レーザパワーを迅速に決定することができる。また、テストリード領域3Aが、媒体情報領域3に割り当てられているため、データ領域2の再生パワーを迅速に調整することができる。
【0096】
なお、テストリード領域3Aは、上述のプリピットに限られるわけではない。例えば、上記最短のプリピットと上記最長のプリピットとを、テストリード領域3Aとして形成してもよい。この場合、再生装置10は、超解像媒体1の再生時に、それぞれのプリピットの再生信号の振幅が一致するまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定することができる。
【0097】
また、上記交点より稍低いC/NをC/N閾値とし、該C/N閾値に対応する信号振幅を振幅閾値として、再生装置10が、上記振幅が上記振幅閾値以上となるまで再生レーザパワーを増加することにより、最適な再生レーザパワーを決定してもよい。なお、同じ原盤によって作られたプリピットから得られるC/Nは、超解像再生層4及び反射層5を含む薄膜層が同じであれば、光情報記録媒体相互間で、ほぼ同じである。そのため、同じ原盤に対しては、上記振幅閾値をそのまま利用することができる。
【0098】
なお、本発明において使用可能な再生レーザパワー決定法は、上記手法に限定されるものではない。例えば、あらかじめ再生レーザパワーが、媒体情報領域3に記録されていても良い。あるいは、媒体識別情報自体で再生レーザパワーを略決定、又は決定できてもよい。前者の場合、媒体識別情報と、テストリード領域3Aに照射する再生レーザパワーを再生エラーが最小となるまで増加することにより最適な再生レーザパワーを決定する方法とを併用することで、再生レーザパワーの決定が的確となるとともに、再生レーザパワー決定が早くなり、再生装置の立ち上がり時間が早くなる。一方、後者の場合は、同時にクロック切り替え情報、又は線速変更情報が媒体識別番号に含まれていれば、他の再生のために必要な情報は、データ領域2と同様に記録されていてもよい。その場合は、データ領域2をより多く確保できるので、より媒体の記録容量を増すことができる。
【0099】
次に、データ領域2のトラックピッチ(図2におけるTpD)と媒体情報領域3のトラックピッチ(図2におけるTpR)とについて説明する。データ領域2のトラックピッチTpDは、媒体情報領域3のトラックピッチTpRと同じか或いは、より狭いことが望ましい。なお、図2は、データ領域2のトラックピッチTpDが媒体情報領域3のトラックピッチTpRより狭い場合を示している。
【0100】
データ領域2のトラックピッチTpDと媒体情報領域3のトラックピッチTpRとが同じ場合、データ領域2のトラック数を増やすことはできないが、トラックピッチを変更する機構を再生装置10に設けることなく、記録情報の高密度化が可能となる。
【0101】
一方、データ領域2のトラックピッチTpDが媒体情報領域3のトラックピッチTpRより狭い場合、データ領域2のトラック数を増やすことができるため、記録情報のさらなる高密度化が可能となる。ただし、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設ける必要がある。なお、この場合でも、超解像再生層6によって、擬似的にレーザスポットが縮小されるので、クロストーク特性の悪化やトラッキングが不安定になることがない。
【0102】
次に、図3で示した超解像再生層6について説明する。該超解像再生層6は、酸化金属膜、特に、酸化亜鉛、酸化セリウム、または酸化チタン等から形成される酸化金属膜、もしくはこれらを主成分とする無機膜であることが望ましい。この場合、優れた超解像特性が得られ、かつ十分な再生耐久性が得られる。上記の効果が得られる理由について、図9を用いて説明する。
【0103】
図9は、超解像再生層6として、酸化金属膜を用いた場合の、超解像媒体1の空間分解能を示している。上記酸化金属膜は、酸化亜鉛、酸化セリウム、または酸化チタンを、スパッタにより約120nm程度積層して形成している。なお、超解像再生層6として、上記酸化金属膜を有する場合の超解像媒体1の構造は、上記図3と同様に、基板4上に反射層5及び超解像再生層6(上記酸化金属膜)ならびにカバー層7を設けた構造となっている。基板4及びカバー層7は、ポリカーボネートにより形成され、反射層5は、50nmのアルミニッケル膜により形成されている。また、超解像媒体1の再生は、再生レーザ波長が408nm,開口数NAが0.65の光学系を有する評価機で、再生レーザパワーPrを3.5mWで行った。なお、通常媒体用の再生レーザパワーは、通常1.0mW程度である。
【0104】
図9から明らかなように、上記3種類の酸化金属膜は、評価機の光学系解像限界より短いプリピットにおいても、C/Nが検出されている。すなわち、上記3種類の酸化金属膜は、超解像再生層として用いることができるということがわかる。また、その超解像特性は、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛の順に良好となり、特に酸化亜鉛および酸化セリウムは、酸化チタンより良好な超解像特性を示している。
【0105】
さらに、上記金属酸化膜は、有機材料に比べて、熱による温度変化に対し、耐久性に優れているため、特許文献2に開示されているような有機材料を超解像再生層に用いる場合に比べて、再生耐久性に優れている。なお、酸化亜鉛を超解像再生層6として用いた超解像媒体1の再生耐久試験を行ったところ、予想通り劣化は見られなかった。すなわち、上記酸化金属膜を超解像再生層6として用いることで、従来の超解像媒体に比べて、超解像特性および再生耐久性に優れた超解像媒体1を実現できる。
【0106】
なお、上記実施形態では、再生専用媒体で、断面構造がBDタイプの超解像媒体1を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10〜図12に示す、各種の光情報記録媒体に適応可能である。
【0107】
図10(a)(b)は、書き換え可能媒体で、図10(a)はBDタイプの断面構造を、図10(b)はDVDタイプの断面構造を示している。図11は、再生専用媒体で、DVDタイプの断面構造を示している。図12(a)(b)は、再生専用媒体で、図12(a)は図3の反射層5が再生レーザを吸収し熱に変換する吸光層である断面構造を、図10(b)は図11の反射層が吸光層である断面構造を示している。
【0108】
図10(a)に示す、断面構造がBDタイプの書き換え可能媒体は、基板30上に、反射層31、記録層32、および超解像再生層33が順に積層され、さらにカバー層34が設けられた構造となっている。図10(b)に示す、断面構造がDVDタイプの書き換え可能媒体は、透明基板35上に、超解像再生層36、記録層37、および反射層38が順に積層され、さらにカバー層39が設けられた構造となっている。図11に示す、断面構造がDVDタイプの再生専用媒体は、透明基板40上に、超解像再生層41および反射層42が順に積層され、さらにカバー層43が設けられた構造となっている。
【0109】
図12(a)に示す、断面構造がBDタイプの再生専用媒体は、基板44上に、吸光層45および超解像再生層46が順に積層され、さらにカバー層47が設けられた構造となっている。図12(b)に示す、断面構造がDVDタイプの再生専用媒体は、透明基板48上に、超解像再生層49および吸光層50が順に積層され、さらにカバー層51が設けられた構造となっている。
【0110】
ところで、一般に、酸化金属膜を超解像再生層として有する超解像媒体や特許文献2に記載の超解像再生層を用いた超解像媒体の再生を行う場合、再生レーザによるレーザスポット内が、所定以上の温度に上昇することが必要である。そのため、図12(a)(b)に示すように、吸光層45、50を備える構造の場合、上記レーザスポット内の温度が上がり易くなり、感度が向上する。
【0111】
その結果、再生レーザパワーを低く設定することができ、再生装置の消費電力を低減できる。なお、酸化亜鉛により形成された超解像再生層を用いた超解像媒体では、特に感度の向上が見られた。また、超解像再生層自体が再生レーザを吸収して熱を発生する必要が少なくなり、再生耐久性がより向上する。なお、吸光層45、50の具体的な材料としては、SiもしくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
また、超解像媒体1および図10〜図12に示す各種の光情報記録媒体に、再生レーザを照射することにより発生した熱を放出する放熱層を設けてもよい。図13は、図12(a)に示す、断面構造がBDタイプの再生専用媒体に放熱層52を設けた場合の断面構造を示している。放熱層52を設けることにより、再生レーザが照射されることにより発生する熱が必要以上に蓄積されることを防ぐことができるため、再生耐久性がより向上し、より信頼性の高い信号再生が行える。なお、放熱層52が、熱伝導性の高い金属膜により形成されていることで、さらなる再生耐久性および信頼性の高い信号再生が可能となる。
【0113】
また、放熱層の金属膜は反射率が高いため、放熱層は光を反射する反射層としての機能も有する。従って、放熱層を設ける場合、反射層を設けなくてもよい。
【0114】
また、本願が請求する超解像媒体の膜構造は上記に限るものではなく、超解像特性を示す膜構造であればよい。例えば、特許文献に記載されている膜構造や、国際特許番号WO2002/058060や、スーパーレンズと呼ばれるAppl.Phys.Lett,73,2078-2080に記載されているような膜構造であればよい。
【0115】
最後に、光情報記録媒体再生装置10の制御部19の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0116】
すなわち、光情報記録媒体再生装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである光情報記録媒体再生装置10の制御部19の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、光情報記録媒体再生装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0117】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0118】
また、光情報記録媒体再生装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0119】
また、光情報記録媒体としては、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disk Recordable)、CD−RW(Compact Disk Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)、BD(Blu-ray Disc),BD(Blu-ray Disc)−ROM等の光学読取式のディスクや、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクを挙げることができ、本発明において記録の方式や大きさを問うものではない。
【0120】
さらに、光情報記録媒体再生装置には、再生又は記録専用の装置の他、再生及び記録の両方が可能な装置が含まれ、その使用形態において据え置き用、携帯用の如何を問うものではない。
【0121】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0122】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピットは、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されている。
【0123】
上記の構成によれば、本発明に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報は、上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されている。このため、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0124】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域の記録マーク群の最短記録マーク長より長い。
【0125】
上記の構成によれば、本発明に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報を記録しているプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域の記録マーク群の最短記録マーク長より長い。このため、上記第1領域の記録マーク群の最短記録マーク長を解像限界以下またはその付近となる光学系を有する再生装置で再生した場合、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0126】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む凹及び/または凸からなるプリピットによりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピットは、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されている。
【0127】
上記の構成によれば、本発明に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報は、上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されている。このため、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0128】
本発明に係る超解像光情報記録媒体は、凹及び/または凸からなるプリピットによりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が凹及び/または凸からなるプリピットにより記録された第2領域とが、割り当てられた超解像光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成するプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長い。
【0129】
上記の構成によれば、本発明に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の上記媒体識別情報を記録しているプリピット群の最短プリピット長は、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長い。このため、上記プリピット群の最短プリピット長を解像限界以下またはその付近となる光学系を有する再生装置で再生した場合、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、上記媒体識別情報を再生することができる。これにより、通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで、超解像光情報記録媒体であることを識別できる超解像光情報記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0130】
本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、上記超解像光情報記録媒体と、上記記録マークまたは上記プリピットの長さが、上記光学系解像限界の長さ以上である光情報記録媒体である通常光情報記録媒体とを再生可能な光情報記録媒体再生装置であって、上記光情報記録媒体の所望位置に記録された情報を再生する再生手段と、自装置の動作を制御する制御手段とを備えており、該制御手段は、上記再生手段を制御して、上記通常光情報記録媒体の再生に適した再生光のパワーで上記媒体識別情報を再生させて取得する識別情報取得手段と、取得した媒体識別情報により、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体であるか否かを識別する媒体識別手段とを備えることを特徴としている。
【0131】
上記の構成を有することにより、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体が、上記超解像光情報記録媒体であるか否かの識別を、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで、容易に、かつ的確に行うことができる。これにより、上記超解像光情報記録媒体と上記通常光情報記録媒体とのいずれの媒体も再生できる再生装置を実現することができるという効果を奏する。また、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで上記識別を行うため、上記再生装置の消費電力を低下させることができる。さらに、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで上記識別を行うため、上記超解像光情報記録媒体に最適な再生光のパワーで上記通常光情報記録媒体を破壊してしまうことがない。
【0132】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第2領域には、上記第1領域にコンテンツを記録するためのレーザ光のパワーを調整する情報と、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーとを調整する情報が記録可能なテストライトリード領域がさらに割り当てられており、上記テストライトリード領域の記録マーク群は、上記第1領域に形成される記録マーク群と同じ記録密度と変調方式とで形成されていることが好ましい。
【0133】
従来の記録再生装置は、コンテンツを記録するためのレーザ光のパワー(以下、記録レーザパワーと記載する)を判断する時、規格によって定められた再生エラーが最小となるまで徐々に記録レーザパワーを上げていき、上記再生エラーが最小となり、その後上記再生エラーが増加したところで、前回の記録レーザパワーが最適であると判断する。
【0134】
ここで、通常媒体を再生する場合、コンテンツを再生するためのレーザ光のパワー(以下、再生レーザパワーと記載する)は、再生装置間におけるレーザパワーの誤差を含めて規格化されていることと、破壊等がない限り、通常媒体の再生特性に再生レーザパワー依存性がほとんどないことから、再生装置で最適な再生レーザパワーを決定する必要はない。
【0135】
しかしながら、超解像光情報記録媒体では、通常媒体と異なり、再生レーザパワーが適切でないと再生自体が不可能になってしまう場合が多い。また、適切な再生レーザパワーは、従来の記録膜等とは異なり、再生レーザパワーを利用して超解像再生を引き起こす再生層の種類によって、大きく異なる。したがって、超解像光情報記録媒体では、記録レーザパワーの最適化と同時に、上述の記録レーザパワーの決定方法と同様な方法で、再生レーザパワーを最適化する必要がある。
【0136】
そこで、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の上記第2領域には、テストライトリード領域がさらに割り当てられており、上記テストライトリード領域には、上記第1領域にコンテンツを記録するためのレーザ光のパワーと、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーとを調整する情報が、上記第1領域に記録される記録マーク群と同じ記録密度と変調方式とで記録される。具体的には、例えば徐々に記録するためのレーザパワーを上げて複数の情報をライトリード領域に記録する。その後、前記複数の情報の各々について、再生するためのレーザパワーを徐々に上げながら再生する。その結果、再生エラーが最小となる記録するためのレーザパワーと再生するためのレーザパワー組み合わせとが得られる。すなわち、その値が上記第一領域における最適な記録するためのレーザパワーと再生するためのレーザパワーということになる。このように、上記第1領域への情報記録、及び情報再生を適切に行うことができるという効果を奏する。
【0137】
また、上記テストライトリード領域が上記第2領域に割り当てられているため、上記第1領域の記録容量を損なうことなく、記録レーザパワー及び再生レーザパワーを調整することができるという効果を奏する。
【0138】
なお、テストライトリード領域は、情報を記録した後は、新たに情報を記録する必要がなくなるためテストリード領域となる。
【0139】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記テストライトリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、上記第2領域内の上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0140】
上記の構成によれば、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。その理由を、例を挙げて以下に説明する。
【0141】
例えば、第2領域が第1領域より媒体の内周部に設けられ、かつ、上記第2領域において、テストライトリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより内周側に設けられている媒体(すなわち、上記テストライトリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられている媒体)では、次のように再生を行う。なお、上記媒体は、既にコンテンツが記録されているものとする。
【0142】
まず、再生装置は、上記媒体識別情報を再生し、媒体種類を認識した後、光学ヘッドをより内周側に存在する上記テストライトリード領域に移動させ、テストライトリードを行い、記録レーザパワーおよび再生レーザパワー等を決定する。その後、再び、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより外周側の上記第1領域に光学ヘッドを移動し、上記第1領域のコンテンツを再生することになる。このように、上記第2領域において、上記テストライトリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられていると、光学ヘッドが往復移動を行いながら再生を開始することになり、この結果、再生立ち上がり時間の増加、光学ヘッドの複雑な動きに起因した再生装置の故障率の増加という問題を生じる。
【0143】
これに対し、本発明の実施形態のように、第2領域において、テストライトリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い位置に設けられていると、光学ヘッドの移動が一方向への移動だけで複雑な動きをする必要がないため、再生立ち上がり時間を短縮できるとともに、再生装置の故障率を低減できるという効果を生じる。
【0144】
なお、ここでは、テストライトリード領域が、半径方向において、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い場合について記載したが、これに限られるものではなく、プリピットやグルーブが配列されている方向(再生を行っていく方向と同意)に近い場合も同様である(以降の第1領域に近いまたは遠いとの記述も同様)。
【0145】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記再生速度情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストライトリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0146】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体は、再生速度情報を、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。
【0147】
ところで、上記再生速度情報には、媒体に適切な再生光レーザを照射した場合に、デジタル信号化可能なアナログ波形を得るために必要な所謂再生情報と、コンテンツ等を再生するために再生されたアナログ波形をデジタル信号化するときに必要なデジタル処理情報がある。
【0148】
上記再生情報には、例えば、再生速度範囲情報がある。再生速度範囲情報は、超解像再生が熱によって可能になる場合は、再生速度が速すぎると熱が不足し超解像再生が不可能になり、遅すぎると発生する熱エネルギーが増大しすぎて媒体にダメージを与えてしまうため、超解像再生により安定にアナログ波形を得るために、再生速度を規定する情報である。
【0149】
上記デジタル処理情報には、例えば、再生クロック切替情報や再生速度切替情報などがある。再生クロック切替情報と再生速度切替情報とは、詳細は後述するが、記録密度の異なるランダムパターン(詳細後述)を再生した場合、得られるアナログ波形をデジタル信号化する場合に必要となる情報である。
【0150】
本発明の実施形態では、上記の構成により、上記再生速度情報が得られた上で、上記テストライトリード領域において上記第1領域のコンテンツを再生するための再生レーザパワーを決定することができる。すなわち、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を、上記テストライトリード領域の記録密度に適応した状態でデジタル信号化できるため、再生レーザパワーの決定ミスが生じないという効果を奏する。
【0151】
なお、再生速度とは、再生時の線速(媒体再生時にスピンドルモータによって媒体が回転することによって生じる光学ヘッドと再生位置再生方向への相対速度)のことを指す。
【0152】
また、第1領域のコンテンツを再生する場合についても、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を適切にデジタル信号化でき、コンテンツを安定して再生できる。
【0153】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域にコンテンツを記録するための記録条件情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記記録条件情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストライトリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0154】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体は、上記録条件情報を通常光情報記録媒体に最適な再生パワーで再生できる。
【0155】
また、上記記録条件情報に基づいて上記テストライトリード領域で再生レーザパワーが決定でき、再生レーザパワー決定ミスを生じないという効果を奏する。なお、上記記録条件情報とは、記録レーザパワーのみならず、記録マークを形成するための消去レーザパワー、レーザのパルス幅、タイミング等が含まれる。
【0156】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域における位置を特定するための領域位置情報が、上記第1領域の記録マーク群と同じ記録密度および変調方式の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記領域位置情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストライトリード領域より上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0157】
上記の構成によれば、例えば再生レーザパワー決定後、決定した再生レーザパワーのままで上記領域位置情報を再生でき、光学ヘッドの動きを簡単化する(一方向への移動となる)ことができる。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。また、上記の構成により、上記第2領域を狭く、上記第1領域を広くできるので、結果として情報記録容量を増大させることができるという効果を奏する。
【0158】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭いことが好ましい。
【0159】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体は、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭い。
【0160】
上記第1領域のトラックピッチと上記第2領域のトラックピッチとが同じ場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことはできないが、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設けることなく、記録情報の高密度化が可能となるという効果を奏する。一方、上記第1領域のトラックピッチを上記第2領域のトラックピッチより狭くした場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことができるため、記録情報のさらなる高密度化が可能となるという効果を奏する。ただし、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設ける必要がある。
【0161】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第2領域には、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーを調整する、凹及び/または凸からなるプリピットが形成されたテストリード領域がさらに割り当てられており、上記テストリード領域のプリピット群は、上記第1領域のプリピット群と同じ記録密度と変調方式とで形成されていることが好ましい。
【0162】
上述のように、超解像光情報記録媒体では、再生レーザパワーを最適化する必要がある。
【0163】
そこで、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の上記第2領域には、テストリード領域がさらに割り当てられており、上記テストリード領域には、上記第1領域のコンテンツを再生するためのレーザ光のパワーを調整する、凹及び/または凸からなるプリピットが形成されている。これにより、上記第1領域での情報再生を適切に行うことができるという効果を奏する。
【0164】
また、上記テストリード領域が上記第2領域に割り当てられているため、上記第1領域の記録容量を損なうことなく、再生レーザパワーを調整することができるという効果を奏する。
【0165】
また、上記テストリード領域のプリピットは、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短くてもよい。これにより、最適な再生パワーを決定するために、上記のような再生エラーの判断処理を行う必要が無く、その結果、最適な再生パワーを迅速に決定することができ、再生装置の立ち上がり時間を短縮できるという効果を奏する。なお、上記テストリード領域に、上記第1領域のプリピット群の最短プリピット長より長く、最長プリピット長より短いプリピットが形成されていることにより迅速に最適な再生パワーを決定することができる理由については、実施の形態にて説明する。
【0166】
また、上記テストリード領域が、上記第2領域に割り当てられているため、上記第1領域の再生パワーを迅速に調整することができるという効果を奏する。
【0167】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより、上記第2領域内の上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0168】
上記の構成によれば、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になる。その理由を、例を挙げて以下に説明する。
【0169】
例えば、第2領域が第1領域より媒体の内周部に設けられ、かつ、上記第2領域において、テストリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより内周側に設けられている媒体(すなわち、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられている媒体)では、次のように再生を行う。
【0170】
まず、再生装置は、上記媒体識別情報を再生し、媒体種類を認識した後、光学ヘッドをより内周側に存在する上記テストリード領域に移動させ、テストリードを行い、再生レーザパワー等を決定する。その後、再び、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより外周側の上記第1領域に光学ヘッドを移動し、上記第1領域のコンテンツを再生することになる。このように、上記第2領域において、上記テストリード領域が、上記媒体識別情報が記録されたプリピットより上記第1領域から遠い位置に設けられていると、光学ヘッドが往復移動を行いながら再生を開始することになり、この結果、再生立ち上がり時間の増加、光学ヘッドの複雑な動きに起因した再生装置の故障率の増加という問題を生じる。
【0171】
これに対し、本発明の実施形態のように、第2領域において、テストリード領域が、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い位置に設けられていると、光学ヘッドの移動が一方向への移動だけで複雑な動きをする必要がないため、再生立ち上がり時間を短縮できるとともに、再生装置の故障率を低減できるという効果を生じる。
【0172】
なお、ここでは、テストリード領域が、半径方向において、媒体識別情報が記録されたプリピットより第1領域に近い場合について記載したが、これに限られるものではなく、プリピットやグルーブが配列されている方向(再生を行っていく方向と同意)に近い場合も同様である(以降の第1領域に近いまたは遠いとの記述も同様)。
【0173】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域のコンテンツの再生用の再生速度情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記再生速度情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0174】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体は、再生速度情報を、通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで再生できる。
【0175】
ところで、上記再生速度情報には、媒体に適切な再生光レーザを照射した場合に、デジタル信号化可能なアナログ波形を得るために必要な所謂再生情報と、コンテンツ等を再生するために再生されたアナログ波形をデジタル信号化するときに必要なデジタル処理情報がある。
【0176】
上記再生情報には、例えば、再生速度範囲情報がある。再生速度範囲情報は、超解像再生が熱によって可能になる場合は、再生速度が速すぎると熱が不足し超解像再生が不可能になり、遅すぎると発生する熱エネルギーが増大しすぎて媒体にダメージを与えてしまうため、超解像再生により安定にアナログ波形を得るために、再生速度を規定する情報である。
【0177】
上記デジタル処理情報には、例えば、再生クロック切替情報や再生速度切替情報などがある。再生クロック切替情報と再生速度切替情報とは、詳細は後述するが、記録密度の異なるランダムパターン(詳細後述)を再生した場合、得られるアナログ波形をデジタル信号化する場合に必要となる情報である。
【0178】
本発明の実施形態では、上記の構成により、上記再生速度情報が得られた上で、上記テストリード領域において上記第1領域のコンテンツを再生するための再生レーザパワーを決定することができる。すなわち、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を、上記テストリード領域の記録密度に適応した状態でデジタル信号化できるため、再生レーザパワーの決定ミスが生じないという効果を奏する。
【0179】
なお、再生速度とは、再生時の線速(媒体再生時にスピンドルモータによって媒体が回転することによって生じる光学ヘッドと再生位置再生方向への相対速度)のことを指す。
【0180】
また、第1領域のコンテンツを再生する場合についても、安定した超解像再生が可能となる再生速度で得られたアナログ波形を適切にデジタル信号化でき、コンテンツを安定して再生できる。
【0181】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、上記第1領域における位置を特定するための領域位置情報が、上記第1領域の記録マーク群と同じ記録密度および変調方式の凹及び/または凸からなるプリピットによって記録されており、上記領域位置情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストリード領域より上記第1領域に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0182】
上記の構成によれば、再生レーザパワー決定後、決定した再生レーザパワーのままで上記領域位置情報を再生でき、光学ヘッドの動きを簡単化する(一方向への移動となる)ことができる。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。また、上記の構成により、上記第2領域を狭く、上記第1領域を広くできるので、結果として情報記録容量を増大させることができるという効果を奏する。
【0183】
DVD(Digital Versatile Disk)等で採用されているコピープロテクトのための媒体固有番号は、生産される媒体1枚ごとに異なるため、プリピットのように生産性の高い基板の圧縮成形時には形成できず、通常、媒体作製時の最後に、レーザ等で基板に凹部を形成することによって作製される。
【0184】
ここで、上記作製時に使用する大出力レーザの波長は、光ディスク再生で用いられるような短波長になるとコストが高いため、通常、光ディスク再生で用いられるものより大きなものとなっている(波長が大きいため、当然小さい凹部は作製できない)。また、大出力レーザで凹部を形成するため、元々ダメージがある状態であり、よりダメージとなりやすい高いレーザパワーでの再生は、媒体固有信号の再生劣化につながる可能性が高い。以上から、媒体固有信号の再生は、低いレーザパワーで行うことが好ましい。
【0185】
そこで、本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第2領域には、固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸からなるプリピットにより記録されており、上記固有番号有無情報が記録された凹及び/または凸からなるプリピットが、上記テストリード領域より上記第1領域から遠い位置に設けられていることが好ましい。
【0186】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体は、媒体固有番号を通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、すなわち低いレーザパワーで再生できるため、確実に上記媒体固有番号を再生できる。また、無駄なレーザパワーの切り替えを生じない。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。
【0187】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記の構成に加えて、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭いことが好ましい。
【0188】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体は、上記第1領域のトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同じか或いは、より狭い。
【0189】
上記第1領域のトラックピッチと上記第2領域のトラックピッチとが同じ場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことはできないが、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設けることなく、記録情報の高密度化が可能となるという効果を奏する。一方、上記第2領域のトラックピッチを上記第1領域のトラックピッチより狭くした場合は、上記第1領域のトラック数を増やすことができるため、記録情報の高密度化が可能となるという効果を奏する。ただし、トラックピッチを変更する機構を再生装置に設ける必要がある。
【0190】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第1領域が設けられた基板上に少なくとも記録層、超解像再生層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0191】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記第1領域が設けられた基板上に少なくとも超解像再生層、記録層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0192】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る記録/再生可能な超解像光情報記録媒体の膜構造は、DVDタイプおよびBD(Blu-ray Disc)タイプのいずれでも可能である。また、上記超解像再生層が、熱に対して耐久性を有する酸化金属膜であるため、上記超解像光情報記録媒体の再生耐久性が向上するという効果を奏する。
【0193】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも反射層、超解像再生層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0194】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも超解像再生層、反射層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0195】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも再生光を吸収し熱に変換する吸光層を有する吸光層、超解像再生層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0196】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、基板に上記第1領域と上記第2領域とが設けられ、上記基板上に少なくとも超解像再生層、再生光を吸収し熱に変換する吸光層を有する吸光層が順に積層され、上記超解像再生層は酸化金属膜であることが好ましい。
【0197】
上記の構成によれば、本発明の実施形態に係る再生専用の超解像光情報記録媒体の膜構造は、DVDタイプおよびBDタイプのいずれでも可能である。また、上記超解像再生層が、熱に対して耐久性を有する酸化金属膜であるため、上記超解像光情報記録媒体の再生耐久性が向上するという効果を奏する。
【0198】
さらに、上記再生専用の超解像光情報記録媒体のうち、吸光層を備える構造の場合、上記超解像再生層が再生光を吸収して熱を発生する必要が少なくなり、再生耐久性がより向上するという効果を奏する。また、再生光のパワーを低く設定しても、温度を上昇させ超解像特性を得ることができるため、再生時の消費電力を低下させることができるという効果を奏する。
【0199】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記酸化金属膜が、酸化チタンもしくは酸化チタンを主成分とする無機膜、酸化セリウムもしくは酸化セリウムを主成分とする無機膜、または、酸化亜鉛もしくは酸化亜鉛を主成分とする無機膜であることが好ましい。
【0200】
上記の構成によれば、再生耐久性が向上し、より優れた超解像特性が得られることから高密度な記録情報の再生が行えるという効果を奏する。
【0201】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、上記吸光層が、SiもしくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金からなることが好ましい。
【0202】
上記の構成によれば、上記吸光層が、SiもしくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金から形成されていれば、再生耐久性がより向上し、再生時の消費電力をより低下させることができるという効果を奏する。
【0203】
本発明の実施形態に係る超解像光情報記録媒体は、再生光を照射することにより発生した熱を放出する放熱層を有することが好ましい。
【0204】
上記の構成によれば、再生光が照射されることにより発生する熱が必要以上に蓄積されることを防ぐことができるため、再生耐久性がより向上し、より信頼性の高い信号再生が行えるという効果を奏する。
【0205】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置は、上記媒体識別手段の識別の結果、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体である場合に、上記超解像光情報記録媒体の再生に適した再生光のパワーで再生を行うように上記再生手段の再生光のパワーを制御するパワー制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0206】
上記の構成を有することにより、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生光のパワーに的確に切り替えることができる。これにより、上記通常光情報記録媒体及び上記超解像光情報記録媒体の再生時に、最適な状態で再生が行えるという効果を奏する。また、上記再生光のパワーの切り替えが素早く行えるため、上記再生装置の立ち上がり時間を短縮できる。
【0207】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置は、上記の構成に加えて、上記パワー制御手段は、上記超解像光情報記録媒体の上記テストリード領域のプリピットを読み取った再生信号の振幅により、上記再生手段の再生光のパワーを制御することが好ましい。
【0208】
これにより、最適な再生パワーを決定するために、上述の、従来の再生装置の再生パワー決定方法における再生エラーの判断処理を行う必要が無く、その結果、最適な再生パワーを迅速に決定することができ、上記再生装置の立ち上がり時間を短縮できるという効果を奏する。
【0209】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置は、上記の構成に加えて、上記媒体識別手段の識別の結果、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体である場合に、上記超解像光情報記録媒体の再生に適した再生クロックで再生を行うように再生クロックを制御するクロック制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0210】
上記の構成を有することにより、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生クロックに的確に切り替えることができるため、上記通常光情報記録媒体及び上記超解像光情報記録媒体の再生時に、最適な状態で再生が行えるという効果を奏する。
【0211】
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体再生装置の制御方法は、上記超解像光情報記録媒体と、上記記録マークまたは上記プリピットの長さが上記光学系解像限界の長さ以上である光情報記録媒体である通常光情報記録媒体とを再生可能な光情報記録媒体再生装置の制御方法において、上記通常光情報記録媒体の再生に適した再生光のパワーで上記媒体識別情報を再生させて取得し、取得した媒体識別情報により、上記光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体であるか否かを識別することを特徴としている。
【0212】
上記の方法によれば、上記再生装置は、配備された光情報記録媒体が、上記超解像光情報記録媒体であるか否かの識別を、上記通常光情報記録媒体に適した再生光のパワーで、容易に、かつ的確に行うことができるという効果を奏する。
【0213】
なお、上記光情報記録媒体再生装置における制御手段を、上記光情報記録媒体再生装置制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記光情報記録媒体再生装置制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記光情報記録媒体再生装置制御プログラムを実行させることができる。
【0214】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、上記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0215】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む凹及び/または凸によりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0216】
上記の構成によれば、本発明の光情報記録媒体は、媒体固有番号を通常光情報記録媒体に最適な再生レーザパワーで、すなわち低いレーザパワーで再生できるため、確実に上記媒体固有番号を再生できる。また、無駄なレーザパワーの切り替えを生じない。よって、効率的な情報記録および/または情報再生が可能になるという効果を奏する。
【0217】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、上記第2領域に記録されている上記再生速度に関する情報は、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報であり、上記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0218】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む凹及び/または凸によりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報及び上記第1領域のコンテンツ再生用の再生速度に関する情報が上記光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている第2領域とが、割り当てられている光情報記録媒体であって、上記第2領域に記録されている上記再生速度に関する情報は、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報であり、上記第2領域には、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸により記録されている。
【0219】
さらに、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報と、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されている。
【0220】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む、生産時に設けられる凹及び/または凸によりコンテンツが記録された第1領域と、媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報と、媒体固有番号の有無を判断するための固有番号有無情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されている。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本発明に係る超解像媒体は、光学読取式のディスク、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクに対して好適であるが、磁気ディスクなど、解像限界の長さより短い長さの記録マークを有する情報記録媒体にも適用できる。
【符号の説明】
【0222】
1 超解像媒体
2 データ領域(第1領域)
3 媒体情報領域(第2領域)
6、33、36、41、46、49、76 超解像再生層
10 光情報記録媒体再生装置(再生装置)
11 光情報記録媒体
19 制御部(制御手段)
21 光ピックアップ(再生手段)
24 信号処理部(識別情報取得手段)
25 媒体識別部(媒体識別手段)
26 パワー制御部(パワー制御手段)
27 再生クロック制御部(再生クロック制御手段)
32、37 記録層
5、42 反射層
45、50 吸光層
52 放熱層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、
媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、
上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、
上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、
且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、
媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられ、
上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、
上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、
且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられている光情報記録媒体にコンテンツを記録する記録方法であって、
上記テスト領域でレーザパワーを調整した後、上記第1領域にコンテンツを記録することを特徴とする記録方法。
【請求項1】
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、
媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられた光情報記録媒体であって、
上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、
上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、
且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短い長さを含む記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される第1領域と、
媒体の種類を特定するための媒体識別情報が生産時に設けられる凹及び/または凸により記録された第2領域とが、割り当てられ、
上記媒体識別情報を形成する凹及び/または凸は、上記光学系解像限界の長さ以上で形成されており、
上記第2領域には、さらに、上記第1領域に記録されたコンテンツを上記第2領域と同じ再生クロックにてデジタル処理されるよう当該コンテンツ再生時の線速を決定するための情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上の凹及び/または凸によって記録されていると共に、レーザパワーを調整するためのテスト領域が割り当てられ、
且つ上記テスト領域は、上記媒体識別情報が記録された生産時に設けられる凹及び/または凸より、上記第1領域に近い位置に設けられている光情報記録媒体にコンテンツを記録する記録方法であって、
上記テスト領域でレーザパワーを調整した後、上記第1領域にコンテンツを記録することを特徴とする記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−216280(P2012−216280A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142487(P2012−142487)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2010−133309(P2010−133309)の分割
【原出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU−RAY DISC
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2010−133309(P2010−133309)の分割
【原出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU−RAY DISC
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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