光抽出器の作製方法
光抽出器を作製する方法が開示されている。基板から光を抽出するための光学的構成体を作製する方法は、(a)表面を有する基板を準備する工程と、(b)基板の表面を露出させる空き領域を形成する、複数の構造体を基板の表面上に配設する工程と、(c)構造体の少なくとも一部を収縮させる工程と、(d)オーバーコートを施して、収縮した構造体と空き領域中の基板の表面を被覆する工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、半導体発光デバイスに関する。本発明は、特に改善された輝度を有する半導体発光デバイスに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
発光デバイスは、投射型ディスプレイシステム、液晶ディスプレイ用のバックライトなどを含む、多種多様な用途で使用される。投射システムは、通常、高圧水銀ランプなど、1つ以上の白色光源を使用する。白色光線は、普通、3原色、すなわち、赤色、緑色、及び青色に分かれ、それぞれの画像形成空間光変調器へと導かれて、原色ごとに画像を生成する。得られる原色画像ビームは、組み合わされ、見るために投射スクリーン上に投射される。
【0003】
ごく最近では、発光ダイオード(LED)が白色光源の代替として考えられている。LEDは、従来の光源に匹敵する輝度及び動作寿命を提供する可能性を有する。しかしながら、現行のLEDは、例えば、高屈折率領域で光がトラップされるために比較的非効率的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は半導体発光デバイスに関する。一つの実施形態では、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための半導体ポテンシャル井戸と、半導体ポテンシャル井戸上に配設され、第1の屈折率を有する外側層と、第1の屈折率よりも小さい第2の屈折率を有する、外側層上に配設された構造化された層を含む。構造化された層は、外側層上に直接に配設された複数の構造体と、外側層を露出させる複数の開口と、を含む。半導体光変換構成体は、構造化された層の少なくとも一部及び複数の開口中の外側層の一部の上に直接に配設された、構造化されたオーバーコートを更に含む。オーバーコートは、第2の屈折率よりも大きい第3の屈折率を有する。ある場合には、構造化されたオーバーコートの平均厚さは、約1000nm以下、又は約700nm以下である。ある場合には、オーバーコートの外側表面は、構造化された層の外側表面に一致する。
【0005】
別の実施形態では、発光システムは、LEDと、LEDが発光する光を下方変換する光変換構成体とを含み、構造化された最も外側の表面を有する。構造化された表面は、光変換構成体の内側層を露出させる、複数の開口を有する。発光システムは、構造化された最も外側の表面と内側層の露出された領域上に形成された、構造化されたオーバーコートを更に含む。構造化されたオーバーコートは、光変換構成体からの光抽出を増強する。オーバーコートの外側表面は、構造化された最も外側の表面に一致する。ある場合には、オーバーコートの屈折率は、約1.8〜約2.7の範囲にある。
【0006】
別の実施形態では、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収するための第1の半導体層と、第1の波長の吸収される光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための半導体ポテンシャル井戸と、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収する能力のある第2の半導体層と、を含む。第1の半導体層は、最大の第1の屈折率を第2の波長で有する。第2の半導体層は、最大の第1の屈折率よりも大きい第2の屈折率を第2の波長で有する。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第1の半導体層の最小のバンドギャップエネルギーよりも小さい。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、第1の波長に中心があるスペクトルを有し、第1の波長よりも長い波長λeを含む入射光により照射された場合、第1の半導体層は、第1の波長の光を吸収するが、λeの光を吸収せず、第2の半導体層はλeの光を吸収する。
【0007】
別の実施形態では、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収するための第1の半導体層と、第1の波長の吸収される光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための半導体ポテンシャル井戸と、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収する能力のある第2の半導体層と、を含む。第2の半導体層は、第1の半導体層の最小のバンドギャップエネルギー未満のバンドギャップエネルギーを有する。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の波長での第2の半導体層の屈折率は、第2の波長での第1の半導体層の最大の屈折率よりも大きい。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、半導体光変換構成体は、同一の遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。ある場合には、半導体光変換構成体は、異なる遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。
【0008】
別の実施形態では、光学的構成体は、可視域中の第1の波長で屈折率n1を有する第1の半導体層と、第1の半導体層上に配設され、屈折率n2(ここで、n2はn1よりも小さい)を第1の波長で有する第2の半導体層と、第2の半導体層上に配設され、屈折率n3(ここで、n3はn2よりも大きい)を第1の波長で有する第3の半導体層と、第3の半導体層上に直接に配設された構造化された層と、構造化された層の少なくとも一部の上に直接に配設されたオーバーコートを含む。光学的構成体は第1の波長で実質的に透過性である。ある場合には、オーバーコートはフォトニック結晶を含む。ある場合には、第1の半導体層はポテンシャル井戸である。ある場合には、第2の半導体層は、第1の波長で実質的に光吸収性であるが、第2の波長では光吸収性でない。ある場合には、第3の半導体層は、第1の波長で実質的に光吸収性であるが、第2の波長では光吸収性でない。
【0009】
別の実施形態では、発光システムは、第1の波長及びより長い第2の波長で発光する光源と、第1の波長で光を吸収する能力があるが、第2の波長で光を吸収する能力がない、1つ以上の第1の半導体光吸収層を含む。1つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源が発光する光の少なくとも80%を吸収する。発光システムは、1つ以上の第1の半導体光吸収層が吸収する光の少なくとも一部をより長い波長の出力光に変換する半導体ポテンシャル井戸と、第2の波長で光を吸収する能力がある、1つ以上の第2の半導体光吸収層を更に含む。1つ以上の第2の半導体光吸収層は、光源が発光する残余の光を吸収する。ある場合には、1つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源が発光する光の少なくとも90%を吸収する。ある場合には、1つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源が発光する光の少なくとも95%を吸収する。ある場合には、発光システムは、同一の又は異なる遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。
【0010】
別の実施形態では、半導体光変換構成体は、入射光の全部でないが、一部を吸収するためのバンドギャップエネルギーEabsを有する第1の半導体層と、吸収された入射光の少なくとも一部を下方変換するためのEabs未満の遷移エネルギーEtrを有する半導体ポテンシャル井戸と、残余の入射光を吸収するためのEabs未満及びEtrよりも大きいバンドギャップエネルギーElbを有する、第2の半導体層と、を含む。ある場合には、第1の半導体層により吸収される入射光の一部及び第2の半導体層により吸収される残余の入射光は、スペクトルの異なる波長領域を含む。ある場合には、半導体光変換構成体は、Eabsよりも大きいバンドギャップエネルギーEwを有する半導体ウインドウを更に含む。ある場合には、Ewは、入射光のフォトンエネルギーよりも大きい。ある場合には、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸に密に隣接する。ある場合には、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸に直接に隣接する。ある場合には、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸と第2の半導体層との間に配設される。ある場合には、第1及び第2の半導体層のそれぞれは、半導体ポテンシャル井戸に直接に隣接する。
【0011】
別の実施形態では、基板から光を抽出するための光学的構成体を作製する方法は、(a)表面を有する基板を準備する工程と、(b)基板の表面を露出させる空き領域を形成する、複数の構造体を基板の表面上に配設する工程と、(c)構造体の少なくとも一部を収縮させる工程と、(d)オーバーコートを施して、収縮した構造体と空き領域中の基板の表面を被覆する工程と、を含む。ある場合には、工程(c)は、エッチング剤を複数の構造体に施すことにより行われる。ある場合には、エッチング剤を施した後、複数の構造体による基板の表面のパーセント被覆率は減少する。ある場合には、複数の構造体はポリスチレンを含む。ある場合には、複数の構造体は複数の粒子を含む。ある場合には、エッチング剤を施す前は複数の粒子は実質的に球形であり、エッチング剤を施した後は実質的に円錐状である。ある場合には、工程(a)から(d)は順次行われる。ある場合には、この方法は、構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含み、ある場合には、構造体の少なくとも一部をリフローする工程は複数の構造体に熱を加えることにより行われる。ある場合には、粒子の少なくとも一部を収縮させる工程及びリフローする工程は、同時に行われる。ある場合には、構造体は、工程(c)において少なくとも20%、又は少なくとも40%収縮する。ある場合には、工程(d)におけるオーバーコートは、構造化されたオーバーコートを含む。ある場合には、工程(d)におけるオーバーコートは、複数の構造体の外側表面に一致する外側の構造化された表面を有する。
【0012】
別の実施形態では、光を基板から抽出するために基板の表面上に複数の構造体を作製する方法は、(a)表面を有する基板を準備する工程と、(b)基板の表面の所望の第1のパーセント面積被覆率を確認する工程と、(c)基板の表面上に複数の構造体を配設して、所望の第1のパーセント面積被覆率よりも大きい第2のパーセント面積被覆率を得る工程と、(d)構造体の少なくとも一部を収縮させて、パーセント面積被覆率を所望の第1のパーセント面積被覆率まで低減させる工程と、を含む。ある場合には、この方法は、構造化されたオーバーコートを施して、収縮した構造体と、非被覆領域中の基板の表面を被覆する工程を更に含む。ある場合には、この方法は、複数の構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含む。
【0013】
別の実施形態では、光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための第1の屈折率を有する蛍光体スラブと、蛍光体スラブ上に配設され、第1の屈折率よりも小さい第2の屈折率を有する構造化された層を含む。構造化された層は、蛍光体スラブ上に直接に配設された複数の構造体と、蛍光体スラブを露出する複数の開口と、を含む。光変換構成体は、構造化された層の少なくとも一部と複数の開口中の蛍光体スラブの一部との上に直接に配設された構造化されたオーバーコートを更に含む。構造化されたオーバーコートは、第2の屈折率よりも大きい第3の屈折率を有する。ある場合には、構造化されたオーバーコートは、蛍光体スラブからの第2の波長の光の抽出を増強する。ある場合には、構造化されたオーバーコートは、Si3N4、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO2、ZrO2、Ta2O5、HfO2、及びシリケートの少なくとも1つを含む。ある場合には、第1及び第2の屈折率の差は、少なくとも0.3、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.9である。ある場合には、第3及び第2の屈折率の差は、少なくとも0.3、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.9である。ある場合には、構造化されたオーバーコートの構造化された外側表面は、構造化された層の外側表面に一致する。ある場合には、光変換構成体は、光変換構成体をカプセル化するカプセル化層を更に含む。ある場合には、構造化されたオーバーコートの第2の波長での屈折率は、約1.35〜約2.2の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付の図面に関連して以下の本発明の種々の実施形態の「発明を実施するための形態」を考慮したとき、より完全に理解し正しく認識され得る。
【図1】発光システムの概略側面図。
【図2】構造化された層とオーバーコートの概略側面図。
【図3】別の構造化された層と別のオーバーコートの概略側面図。
【図4】別の構造化された層と別のオーバーコートの概略側面図。
【図5A】ナノ粒子の単層の走査型電子顕微鏡(SEM)像。
【図5B】ナノ粒子の多層の走査型電子顕微鏡(SEM)像。
【図6A】ナノ粒子のオーバーコートされた単層のSEM像。
【図6B】ナノ粒子のオーバーコートされた多層のSEM像。
【図7】ナノ粒子の別のオーバーコートされた単層のSEM像。
【図8】発光システムの概略側面図。
【図9】発光の概略の強度スペクトル。
【図10】光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図11】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図12】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図13】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図14】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図15】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図16】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図17】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図18】光学的構成体の概略側面図。
【図19】発光システムの概略側面図。
【図20】オーバーコート屈折率の関数として計算されたパーセント抽出効率のプロット。
【図21A】光学的構成体を作製する方法における中間の段階又は工程におけるデバイスの概略図。
【図21B】光学的構成体を作製する方法における中間の段階又は工程におけるデバイスの概略図。
【図21C】光学的構成体を作製する方法における中間の段階又は工程におけるデバイスの概略図。
【図22A】ポリスチレン粒子の単層のSEM像。
【図22B】エッチングされ、リフローされた図22A中の粒子のSEM像。
【図22C】ZnSによりオーバーコートされた図22B中の粒子のSEM像。
【図23】光源の概略側面図。
【図24】オーバーコート屈折率の関数として計算されたパーセント抽出効率のプロット。
【0015】
多数の図で使用される同一の参照番号は、同一又は類似の特性及び機能を有する同一又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願は、半導体光源と1つ以上の波長変換器とを含み、変換器が半導体波長変換器であることができる、半導体発光デバイスを開示している。本出願は、光抽出を増強するための構造体を更に開示している。
【0017】
一部の開示されたデバイスは、III〜V族などの同一の半導体群からの光源と光変換層とを有する。このような場合には、例えば、III〜V族波長変換器をIII〜V族LEDなどのIII〜V族光源の上に直接モノリシックに成長させ、作製することが実行可能であることもある。しかしながら、ある場合には、所望の出力波長、高変換効率又は他の望ましい性質を持つ波長変換器は、LEDが属する半導体群と異なる半導体群からのものでもよい。そのような場合では、一方の部品を他方の上に高品質に成長させることは不可能であるか、又は実現不可能な場合がある。例えば、高効率波長変換器は、II〜VI族のものであることができ、LEDなどの光源は、III〜V族のものであることができる。このような場合、光変換器を光源に取り付けるためにいろいろな方法を使用することができる。いくつかのこのような方法は、2007年12月10日出願の米国特許出願番号61/012608で述べられている。
【0018】
この出願で開示されている波長変換器は、光源により発光される光を下方変換する。本明細書で使用するとき、下方変換は、変換された光の波長が、変換されていない光又は入射光の波長よりも大きいことを意味する。
【0019】
図19は、光源1910と光変換層1920と光抽出層1930とを含む発光システム1900の概略側面図である。光源1910は、通常、スペクトルのUV又は青色領域の第1の波長λ1の光1915を発光する。光変換層1920は、光1915の少なくとも一部を通常、スペクトルの緑色又は赤色領域のより長い第2の波長λ2の光1925に変換する。光抽出層1930は、光変換層1920からの光1925の抽出を増強することにより、発光システムの出力光の輝度又は強度を改善する。例えば、光抽出層1930は、そうでなければ光変換層1920の中でトラップされるか、又はそうでなければ光変換層1920により透過されない光を抽出する。
【0020】
一般に、光変換層1920は、第1の波長の光の少なくとも一部を第2の波長の光に変換する能力のある、任意の要素又は材料を含むことができる。例えば、層1920は、蛍光体、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料、フォトルミネッセンス半導体層、半導体ポテンシャル井戸、又は集合体若しくは複数の半導体量子ドットを含むことができる。光変換層1920で使用され得る例示の蛍光体には、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。他の有用な蛍光体には、ドープYAG、シリケート、シリコンオキシナイトライド、シリコンナイトライド、及びアルミネートベースの蛍光体が挙げられる。このような蛍光体の例には、Ce:YAG、SrSiON:Eu、SrBaSiO:Eu、SrSiN:Eu及びBaSrSiN:Euが挙げられる。
【0021】
ある場合には、光変換層1920は、Ce:YAGスラブなどのスラブ蛍光体を含むことができる。例えば、米国特許第7,361,938号に述べられているように、例えばCe:YAG蛍光粒子を高い温度及び圧力で焼成して、実質的に光学的に透過性で、非散乱性のスラブを形成することにより、Ce:YAGスラブを作製することができる。
【0022】
光抽出層1930は、光変換層1920上に直接に配設された構造化された層1940と、構造化された層上に配設された、構造化されたオーバーコート1950などのオーバーコート1950と、を含む。構造化された層1940は、光変換層1920上に直接に配設された複数の構造体を含む。ある場合には、オーバーコートの外側表面は、構造化された層の外側表面に一致する。
【0023】
ある場合には、λ2での構造体の屈折率は、光変換層1920中の最外側層の同一の波長での屈折率よりも小さい。例えば、出力表面上のフォトレジストを光パターニングなどパターン化することにより、あるいはナノ粒子などの粒子の部分的若しくは完全な単層、又は多層を出力表面上に堆積することによって、低屈折率の構造化された層1940を光変換層の出力表面1921上に形成することができる。ある場合には、構造化された層は、例えば、構造化された層のλ2での屈折率を低下させるために、空気を含むことができる。例えば、ある場合には、構造化された層は、出力表面1921上に中空構造体又は粒子を含むことができる。空気又は空気ポケットを含む構造化された層1940は、例えば、出力表面上に有機材料などの材料をパターン作成し、パターン化された材料をオーバーコートによりオーバーコートし、並びにオーバーコートされたパターン化材料の一部を除去して、例えば、一部を高い温度で分解し、空気領域を形成することによって、出力表面上に形成することができる。ある場合には、構造化された層1940中の構造体の屈折率は、構造化された層に直接隣接した、光変換層1920中の最外側層の屈折率未満である。
【0024】
オーバーコート1950は、光変換層1920からの光の抽出を増強する。ある場合には、オーバーコートは、Al2O3、TiO2、ZrO2、La2O3、Ta2O5、HfO2、シリケート、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、又はインジウム−スズオキシドなどのガラス状材料又は金属酸化物を含むことができる。ある場合には、オーバーコートは、ZnS、ZnSe、ZnO、又はZnSxSe1−xなどの半導体合金を含有するオーバーコートなどの半導体オーバーコートであることができる。ある場合には、オーバーコートは、緻密化されたゾル−ゲルなどのゾル−ゲルであることができる。ある場合には、オーバーコートの屈折率は、構造化された層に直接に隣接した、光変換層1920中の最外側層の屈折率よりも大きい。
【0025】
図1は、フォトンエネルギーE1を有する第1の波長λ1の光を発光するエレクトロルミネッセンスデバイス110と、第1の波長の光の少なくとも一部をフォトンエネルギーE2を有するより長い第2の波長λ2の光に変換するための半導体光変換構成体115と、を含む、半導体ルミネッセンス要素105の概略側面図である。
【0026】
半導体光変換構成体115は、エレクトロルミネッセンスデバイス110に面する第1のウインドウ120と、第1のウインドウ上に配設された第1の吸収層130と、第1の吸収層上に配設されたポテンシャル井戸140と、ポテンシャル井戸上に配設された第2の吸収層131と、第2の吸収層上に配設された第2のウインドウ121と、第2のウインドウ上に直接に配設された構造化された層150と、構造化された層上に配設されたオーバーコート160と、オーバーコート上に配設され、半導体エレクトロルミネッセンス要素105をカプセル化するカプセル化層170と、を含む。
【0027】
一般に、光変換器118は、第1の波長λ1の光の少なくとも一部を第2の波長λ2の光に変換する能力のある、任意の要素も含むとができる。例えば、光変換器118は、蛍光体、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料を含むことができる。光変換器118で使用され得る例示の蛍光体には、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。
【0028】
ある場合には、層140は、ポテンシャル井戸、量子井戸、量子ドット、又は、それぞれを多数若しくは複数、含むことができる。無機半導体ポテンシャル井戸及び量子井戸などの無機のポテンシャル井戸及び量子井戸は、通常、例えば、有機材料と比較して増加した光変換効率を有し、水分などの環境要素に低感受性であることにより、信頼性が高い。更に、無機のポテンシャル井戸及び量子井戸は、より狭い出力スペクトルを有する傾向にあり、例えば、改善された色域をもたらす。
【0029】
本明細書で使用するとき、ポテンシャル井戸は、キャリアを一つの次元内だけに閉じ込めるように設計された多層半導体構造体内の半導体層を意味しており、その際、半導体層は、周囲の層よりも低い伝導帯エネルギー、及び/又は、周囲の層よりも高い価電子帯エネルギーを有する。量子井戸は、一般に、量子化効果が井戸内の電子正孔対再結合のためのエネルギーを増大させるほど充分に薄いポテンシャル井戸を意味する。量子井戸は、通常、約100nm以下又は約10nm以下の厚さを有する。量子ドットは、通常、約100nm以下の、又は約10nm以下の最大寸法を有する。
【0030】
ある場合には、ポテンシャル井戸又は量子井戸140は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光するフォトンのエネルギーE1よりも小さい遷移エネルギーEpwを有する、II〜VI半導体ポテンシャル井戸又は量子井戸を含む。一般に、ポテンシャル井戸又は量子井戸140の遷移エネルギーは、ポテンシャル井戸又は量子井戸が再発光するフォトンのエネルギーE2に実質的に等しい。
【0031】
ある場合には、ポテンシャル井戸140は、合金の3つの構成要素として化合物ZnSe、CdSe及びMgSeを有する、CdMgZnSe合金を含むことができる。ある場合では、Cd、Mg及びZnのうちの1つ以上、特にMgは、合金に存在しなくてもよい。例えば、ポテンシャル井戸140は、赤色で再発光することができるCd0.70Zn0.30Se量子井戸、又は緑色で再発光することができるCd0.33Zn0.67Se量子井戸を含むことができる。別の例として、ポテンシャル井戸140は、Cd、Zn、Se、及び所望によりMgの合金を含むことができ、その場合、合金系は、Cd(Mg)ZnSeによって表すことができる。別の例として、ポテンシャル井戸140は、Cd、Mg、Se、及び所望によりZnの合金を含むことができる。ある場合には、ポテンシャル井戸はZnSeTeを含むことができる。ある場合には、量子井戸140は、約1nm〜約100nm、又は約2nm〜約35nmの範囲の厚さを有する。
【0032】
一般に、ポテンシャル井戸140は、任意の伝導帯及び/又は価電子帯プロファイルを有することができる。例示のプロフィールは、例えば、米国特許出願番号60/893804に述べられている。
【0033】
ある場合には、ポテンシャル井戸140は、nドープ又はpドープされていてよく、その際、ドーピングは、任意の好適な方法によって、及び任意の好適なドーパントを含めることによって、達成することができる。ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110及びポテンシャル井戸140は、2つの異なる半導体群からのものであることができる。例えば、このような場合、エレクトロルミネッセンスデバイス110はIII〜V半導体デバイスであることができ、ポテンシャル井戸140はII〜VIポテンシャル井戸であることができる。ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110はAlGaInN半導体合金を含むことができ、ポテンシャル井戸140はCd(Mg)ZnSe半導体合金を含むことができ、ここで括弧に括られている材料は任意の材料である。
【0034】
一般に、半導体光変換構成体115は1つ以上のポテンシャル井戸を有することができる。ある場合には、構成体115は、多数のポテンシャル井戸を有することができる。例えば、このような場合、構成体115は、少なくとも2つのポテンシャル井戸、又は少なくとも5つのポテンシャル井戸、又は少なくとも10個のポテンシャル井戸を有することができる。ある場合には、構成体115は、異なる遷移エネルギーを持つ、少なくとも2つのポテンシャル井戸、又は少なくとも3つのポテンシャル井戸、又は少なくとも4つのポテンシャル井戸を有することができる。
【0035】
ある場合には、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1の光を実質的に吸収する。例えば、このような場合、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1の光の少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%を吸収する。ある場合には、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1で実質的に光学的に透過性である。例えば、このような場合、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1の光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を透過する。
【0036】
光吸収層130及び131は、半導体光変換構成体115中での光180の吸収及びキャリアの発生を助ける。ある場合には、光吸収層130及び131は、光180の少なくとも一部を吸収し、結果として電子空孔キャリアなどの光生成キャリア対を作り出す。キャリアは、光吸収層からポテンシャル井戸140に拡散又は移動し、そこで再結合し、第2の波長λ2の光を発光する。
【0037】
光吸収層130及び131は、光生成キャリアがキャリアを再結合し、第2の波長λ2の光を発光するためにポテンシャル井戸に効率的に拡散することができるように、ポテンシャル井戸に近接して配置される。
【0038】
ある場合には、半導体光変換構成体115中の光吸収層は、ポテンシャル井戸140に直接隣接することができ、これは介在層が吸収層とポテンシャル井戸との間に配設されないということを意味する。例えば、図1では、第1の光吸収層130及び第2の光吸収層131のそれぞれはポテンシャル井戸140に直接に隣接する。ある場合には、半導体光変換構成体115中の光吸収層は、ポテンシャル井戸140に密に隣接することができ、これは1つ又は少数の介在層が吸収層とポテンシャル井戸との間に配設されてもよいということを意味する。例えば、ある場合には、図1に示されないが、1つ以上の介在層を第1の光吸収層130とポテンシャル井戸140との間に配設することができる。
【0039】
ある場合には、光吸収層は、II〜VI族半導体など、無機半導体などの半導体を含んでもよい。例えば、吸収層130及び131の1つ以上は、Cd(Mg)ZnSe半導体合金を含むことができる。
【0040】
ある場合には、光吸収層は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光するフォトンのエネルギーE1よりも小さいバンドギャップエネルギーEabsを有する。このような場合、光吸収層は、エレクトロルミネッセンスデバイスにより発光される光を強く吸収するなど、吸収することができる。ある場合には、光吸収層は、ポテンシャル井戸140の遷移エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する。このような場合、光吸収層は、ポテンシャル井戸が第2の波長λ2で再発光する光181に対して実質的に光学的に透過性である。
【0041】
ある場合には、第2の光吸収層131などの光吸収層は、第2の波長λ2で発光する光181のフォトンエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する。このような場合、光吸収層は、光181の少なくとも一部を吸収することができる。このような場合、吸収された光の少なくとも一部を第3の長波長λ3の光に下方変換することができる。
【0042】
ある場合には、半導体光変換構成体115中の少なくとも1つの光吸収層は、ドーパントによりドープされる。光吸収層がCd(Mg)ZnSe合金を含むときのような場合には、ドーパントは、VII族n−型ドーパントであることができる。ある場合には、ドーパントは、塩素又はヨウ素を含むことができる。ある場合には、ドーパントの数密度は、約1017cm−3〜約1018cm−3の範囲にある。他の例示のドーパントはAl、Ga、In、F、Br、I及びNを含む。
【0043】
例示の半導体光変換構成体115は、2つの光吸収層130及び131を含む。一般に、半導体光変換構成体は、ゼロ、1つ、2つ、又は2つ以上の吸収層を有することができる。ある場合には、半導体光変換構成体115は、異なるバンドギャップエネルギーを有する、少なくとも2つの、又は少なくとも3つの、又は少なくとも4つの光吸収層を有することができる。
【0044】
一般に、光吸収層は、光吸収層中の光生成キャリアがポテンシャル井戸まで拡散する妥当な機会を有するように、対応するポテンシャル井戸に充分に密接している。半導体多層スタックが光吸収層を含まない場合には、ポテンシャル井戸は、第1の波長λ1で実質的に光吸収性であることができる。
【0045】
第1のウインドウ120及び第2のウインドウ121は、主として、吸収層及び/又はポテンシャル井戸中で光生成する、電子空孔対などのキャリアに構成体115中で自由表面又は外部表面まで移動する機会を、全く又は殆ど与えないために、バリアを提供するように設計される。例えば、第1のウインドウ120は、主として、第1の吸収層130で発生するキャリアが表面123まで移動してキャリアが非輻射的に再結合できないように設計される。ある場合には、ウインドウ120及び121は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光するフォトンのエネルギーE1よりも大きい、バンドギャップエネルギーEwを有する。このような場合、ウインドウ120及び121は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光する光、及び、ポテンシャル井戸140が再発光する光、に対して実質的に光学的に透過性である。
【0046】
例示の半導体光変換構成体115は2つのウインドウを含む。一般に、光変換構成体は、ゼロ、1つ又は2つのウインドウを有することができる。例えば、ある場合には、半導体光変換構成体115は、エレクトロルミネッセンスデバイス110とポテンシャル井戸140との間に、又はエレクトロルミネッセンスデバイス110と吸収層130との間に配設される、単一のウインドウを有することができる。
【0047】
ある場合には、半導体光変換構成体115中の2つの隣接する層間の境界面の位置は、明確な(well-defined)又ははっきりとした(sharp)境界面であってもよい。層内の材料組成が厚さ方向に沿った距離の関数として変化する場合などには、2つの隣接する層間の境界面は、明確でなくてもよく、例えば段階的な領域を規定する段階的な境界面であってもよい。例えば、ある場合には、第1の吸収層130及び第1のウインドウ120は、同一であるが、材料濃度が異なる、材料成分を有することができる。このような場合、吸収層の材料組成は、ウインドウ層の材料組成に応じて漸次変化し、2層間の段階的な境界又は領域を生じる。例えば、両方の層がMgを含む場合では、Mgの濃度は吸収層からウインドウへ段階的に移るときに増加していてもよい。
【0048】
第2のウインドウ121は、波長λ2を含む対象の波長領域中で屈折率n1を有する。ある場合には、λ1はUV又は青色波長であり、λ2は約420nm〜約650nmの範囲の可視波長である。このような場合、n1は、スペクトルの可視域中の屈折率であることができる。ある場合には、n1は、波長λ2での、又はその近くの波長での屈折率である。
【0049】
例示の半導体光変換構成体115中で、第2のウインドウ121は、ポテンシャル井戸140上に配設され、半導体光変換構成体の外側層121及び最外側層を光変換器118中で形成する。構造化された層150は、例えば、λ2での屈折率n2を有し、外側層又は第2のウインドウ121上に直接に配設される。屈折率n2は、第2のウインドウ121の屈折率n1よりも小さい。ある場合には、n1とn2との差は、少なくとも0.2、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.4、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.6、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.8、又は少なくとも0.9である。
【0050】
構造化された層150は、構造体151〜154などの複数の構造体を含む。複数の構造体中の一部の構造体は、構造体151と152のように、離散したものであることができる。一部の構造体は、ベース155を通じて相互に連結した構造体153及び154のように、ベースを通して連結したものであることができる。構造化された層150は、開口101及び102など、第2のウインドウ121を露出させる、複数の開口を含む。
【0051】
ある場合には、構造化された層150は、第2の波長λ2で実質的に光学的に透過性である。例えば、このような場合、構造化された層の波長λ2での全光学的透過率は、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0052】
ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、構造体の規則的な配列物を形成する。ある場合には、構造体は、第2のウインドウ121の最上表面125にわたってランダムに配置される。ある場合には、構造化された層150は、例えば、ワッフル模様に類似した、構造体の少なくとも一部の間で開口を持つ複数又は配列した連結した構造体を含む連続層である。
【0053】
ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、複数の離散した構造体を形成する。例えば、ある場合には、構造化された層は、複数の粒子を含むことができる。例えば、図3中の構造化された層350は、粒子351及び352などの複数の粒子を有する。ある場合には、粒子は、実質的にミクロ粒子又はナノ粒子である。例えば、このような場合、粒子の平均の大きさは、2000nm以下、又は1500nm以下、又は1000nm以下、又は750nm以下である。構造化された層350中の粒子は、規則的又は不規則な形状など任意の形状も有することができる。
【0054】
ある場合には、図1中の構造化された層150は、粒子の実質的な区分が実質的に球形である、複数の粒子を含む。例えば、このような場合、粒子の最小寸法に対する最大寸法の比率は、1.3以下、又は1.25以下、又は1.2以下、又は1.15以下、又は1.1以下である。
【0055】
ある場合には、構造化された層150は、パターン形成可能な又は光パターン形成可能な有機材料などの有機材料又はフォトレジストなどのポリマーを含むことができる。ある場合には、構造化された層150は、ポリスチレン微小球などのポリスチレンを含むことができる。ある場合には、構造化された層150は、金属酸化物又はガラスなどの無機材料を含むことができる。無機材料の例には、SiO2、GeO2、Al2O3、MgF2、及びシリケートガラスが挙げられる。
【0056】
ある場合には、構造化された層150は、最上表面125にわたって密に充填された構造体の単層又は一層を含むことができる。ある場合には、構造化された層150は、構造体の下位単層を包含することができ、これは構造体が密に充填されていないということ、及び/あるいは、構造体を全く含まない若しくは極めて僅かしか含まない構造体の名目の又は平均の大きさよりも実質的に大きい領域が存在するということを意味する。このような場合、下位単層の構造化された層150中の空き領域は、単一粒子などの単一構造体の平均の大きさよりも実質的に大きくなることができる。
【0057】
ある場合には、構造化された層150は、構造体の多層を含むことができる。例えば、図4は、粒子451の多層を含む第2のウインドウ121上に直接に配設された構造化された層450の概略側面図である。構造化された層は、連続的なオーバーコート460によりコーティングされ、カプセル化層470はオーバーコートを被覆する。
【0058】
構造化されたオーバーコート160は、構造化された層150の少なくとも一部の上、及び、ウインドウが構造化された層150中の開口を通して露出される領域中の第2のウインドウ121の一部の上に直接に配設される。オーバーコート160は、例えば、第2の屈折率n2よりも大きい、波長λ2での第3の屈折率n3を有する。ある場合には、n3はn1よりも小さい。ある場合には、n3はn1よりも大きい。ある場合には、n3とn2との差は、少なくとも0.2、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.4、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.6、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.8、又は少なくとも0.9である。
【0059】
ある場合には、オーバーコート160は、そうでなければ第2のウインドウの表面125で全内部反射されることになる光181を抽出することができる。このような場合、オーバーコートは、半導体光変換構成体115からの第2の波長λ2の光181の抽出を増強する。
【0060】
ある場合には、構造化されたオーバーコート160の外側表面162は、構造化された層150の外側表面161と実質的に一致する。例えば、ある場合には、真空堆積法を用いて、オーバーコート160を構造化された層150上に配設することができる。このような場合、外側表面162は、外側表面161に一致することができる。ある場合には、構造化されたオーバーコートの平均の厚さは、構造化された層150中の構造体の平均の大きさ以下である。ある場合には、オーバーコート160の平均の厚さは、1000nm以下、又は800nm以下、又は700nm以下、又は600nm以下、又は500nm以下、又は400nm以下である。
【0061】
ある場合には、オーバーコート160は、第2の波長λ2で実質的に光学的に透過性である。例えば、このような場合、波長λ2でのオーバーコートの全光学的透過率は、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0062】
ある場合には、オーバーコート160は、例えば、1つ以上のアイランドを含むことにより、不連続層であることができる。例えば、図2で、構造化された層250は、第2のウインドウ121上に直接に配設され、構造体251と252との間の開口255を規定する。オーバーコート260は、構造化された層250上に、及び空き領域中では、第2のウインドウ121上に直接に配設され、空いていてかつ露出された領域255中にアイランド261を形成する。ある場合には、オーバーコート160は、連続層であることができる。例えば、図3中、構造化された層350上に直接に配設されたオーバーコート360は、連続層を形成する。
【0063】
ある場合には、オーバーコート160は、半導体、金属酸化物又はセラミックを含むことができる。ある場合には、オーバーコートは、Si3N4、シリコンオキシナイトライド、シリケート、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdS、CdSe、CdSSe、ITO、TiO2、ZrO2、Ta2O5、及びHfO2の少なくとも1つを含むことができる。
【0064】
カプセル化層170は、オーバーコート160上に配設され、半導体ルミネッセンス要素105をカプセル化し、例えば、環境中の水分から要素を保護する。ある場合には、カプセル化層は、例えば、半導体ルミネッセンス要素を出るときの光181を平行化するための屈折力などの光学的機能を有することができる。
【0065】
エレクトロルミネッセンスデバイス110は、電気信号に応じて発光する能力のある任意のデバイスであることができる。例えば、エレクトロルミネッセンスデバイスは、電流に応答してフォトンを発する能力のある発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオードであることができる。LEDエレクトロルミネセントデバイス110は、用途において望ましい可能性のあるいかなる波長でも光を発光することができる。例えば、LEDは、UV波長、可視波長、又はIR波長で光を発光することができる。場合によっては、LEDは、UVフォトンを放出可能な短波長LEDとすることができる。一般に、LEDは、Si若しくはGeなどのIV族元素、InAs、AlAs、GaAs、InP、AlP、GaP、InS(登録商標)b、AlSb、GaSb、GaN、AlN、InNなどのIII〜V化合物、並びにAlGaInP、AlGaInNなどのIII〜V化合物の合金;ZnSe、CdSe、BeSe、MgSe、ZnTe、CdTe、BeTe、MgTe、ZnS、CdS、BeS、MgSなどのII〜VI化合物、及びII〜VI化合物の合金、又は、以上に列挙した化合物のいずれかの合金といった、有機半導体又は無機半導体などの任意の好適な材料から構成することができる。
【0066】
ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、1つ以上のp型及び/又はn型半導体層、1つ以上のポテンシャル井戸及び/又は量子井戸を含み得る1つ以上の活性層、緩衝層、基板層、並びに単板層を含むことができる。ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、III〜V族LEDなどのIII〜V族半導体光源であることができ、AlGaInN半導体合金を含んでもよい。例えば、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、GaNベースのLEDであることができる。別の例として、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、ZnOベースのLEDなどのII〜VI族LEDであることができる。
【0067】
開示される構成体の利点の一部を、以下の実施例によって更に説明する。この実施例で列挙される特定の材料、量及び寸法、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0068】
(実施例1):
図1の光変換器118に類似した半導体光変換構成体を作製した。表Iに相対的な層の順番と、異なる層に対する材料組成及び厚さの見積もり値を要約する。
【0069】
【表1】
【0070】
最初に、GaInAs緩衝層をInP基板上に分子線エピタキシー法(MBE)により成長させて、II〜VI成長のための表面を調製した。続いて、光変換用のII〜V族エピタキシャル層を成長させるために、構成体を超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへ移動させた。変換器118は、4つのCdZnSe量子井戸140を含んだ。それぞれの量子井戸140を、GaInNベースのレーザーダイオードが発光する440nmの青色光を吸収することができるCdMgZnSe吸収層、130と131との間にサンドイッチした。
【0071】
構成体をガラス顕微鏡スライドに接着剤で取り付けた後、InP基板を3HCl:1H2Oの溶液により除去した。エッチング剤はGaInAs緩衝層(層#2)で停止した。30mLの水酸化アンモニウム(30重量%)、5mLの過酸化水素(30重量%)、40gのアジピン酸、及び200mLの水の攪拌した溶液中で緩衝層を引き続いて除去して、顕微鏡スライドに付着したII〜VI光変換器118のみを残した。
【0072】
(実施例2):
構成体を構成体のウインドウ側からλin=440nmの青色光を発光するレーザーダイオードにより照射した場合の、実施例1で作製した構成体の外部量子効率(EQE)を計算した。測定された再発光波長はλout=539nmであった。EQEを式(Pout/Pin)×(λin/λout)から計算した。式中、Pinは入射エネルギーであり、Poutは構成体を出る、変換された光の出射エネルギーであった。計算されたEQEは23%であった。
【0073】
(実施例3):
実施例1で作製した構成体の吸収層側をSiO2ナノ粒子によりコーティングして、構造化された層150に類似する構造化された層を得た。粒子は、約440nmの平均直径を有し、Nissan Chemical America Corporation(Houston,Texas)から入手した。粒子を1−メトキシ−2−プロパノール中で5重量%固体含量まで分散した。ディップコーティング法を約65mm/分の速度で用いて、溶液を構成体上にコーティングした。第1のこのような試料(試料A)を1回ディップコーティングした。第2のこのような試料(試料B)を数回ディップコーティングした。図5A及び5Bは、それぞれ試料A及びBの側面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。実施例2で述べた方法を用いて、試料A及びBのEQEをそれぞれ30.7%及び38.2%であると計算した。
【0074】
(実施例4):
プラズマ増強化学蒸着(PECVD)法を用いて、実施例3からの試料A及びBをSi3N4オーバーコートによりコーティングして、オーバーコートされた試料A1及びB1をそれぞれ得た。オーバーコートの厚さは約300nmであり、Si3N4の屈折率は約1.8であった。図6A及び6Bは、オーバーコートされた試料A1及びB1の側面のSEM像である。実施例2で述べた方法を用いて、試料A1及びB1のEQEをそれぞれ41.2%及び41.5%であると計算した。1回粒子ディップコートした試料の場合、Si3N4オーバーコートの追加は、EQEを30.7%から41.2%まで増加させ、約34%の増加であった。多数回の粒子ディップコートを行った試料の場合、Si3N4オーバーコートの追加は、EQEを38.2%から41.5%まで増加させ、約8.6%の増加であった。
【0075】
(実施例5):
実施例3で述べた方法を繰り返して、新しい試料C(1回ディップ)を作製した。実施例2で述べた方法を用いると、試料Cの計算されたEQEは33.45%であった。
【0076】
次に、真空昇華法を用いて、試料CをZnSによりオーバーコートし、オーバーコート試料C1を得た。オーバーコートの厚さは約400nmであり、ZnSオーバーコートの屈折率を2.4であると見積もった。図7は、試料C1の側面のSEM像である。実施例2で述べた方法を用いると、試料C1の計算されたEQEは45.13%であった。したがって、ZnSオーバーコートの追加はEQEを33.45%から45.13%まで増加させ、約34.9%の増加であった。
【0077】
(実施例6):
実施例3で述べた方法を繰り返して、新しい試料D1〜D4を作製した。実施例2で述べた方法を用いると、試料D1〜D4の計算されたEQEは、それぞれ22.1%、19.93%、21.25%、及び25.7%であった。次に、実施例3で述べた方法を用いて、SiO2粒子の単層により異なるディップ速度で試料をコーティングした。試料D1〜D4に対して得られる見積りパーセント面積被覆率は、それぞれ、30%、40%、50%、及び70%であった。得られた試料に対する計算されたEQEは、それぞれ29.47%、33.45%、31.76%、及び41.5%であった。したがって、SiO2粒子の追加は試料D1〜D4のEQEをそれぞれ33%、68%、49%、及び61%増加させた。
【0078】
図8は、フォトンエネルギーE1を有する第1の波長λ1の光850を発光するLEDなどの光源810と、第1の波長の光の少なくとも一部をフォトンエネルギーE2を有するλ2の光に変換するための半導体光変換構成体815を含む発光システム800の概略側面図である。
【0079】
半導体光変換構成体815は、光変換器818、構成体818上に直接に配設された構造化された層150、及び構造化された層上に配設された構造化されたオーバーコート160などのオーバーコート160を含む。
【0080】
光変換器818は、光源810に面する第1のウインドウ120と、第1、第2、第3及び第4のポテンシャル井戸840、841、842及び843と、4つのポテンシャル井戸を囲む第1、第2、第3、第4及び第5の光吸収層830、831、832、833及び834と、補助的な光吸収層870と、を含む。
【0081】
光吸収層830〜834は、光吸収層130及び131に類似し、光850の少なくとも一部を吸収し、結果として光生成電子空孔対などの光生成キャリアを生じさせ、光生成キャリアは、光吸収層からポテンシャル井戸840〜843まで拡散又は移動し、再結合し、第2の波長λ2に光を発光する。光吸収層830〜834は、光生成キャリアがキャリアを再結合し、第2の波長λ2の光852を発光するためにポテンシャル井戸に効率的に拡散することができるように、ポテンシャル井戸に近接して配置される。ある場合には、光吸収層830〜834は、例えばポテンシャル井戸840〜843よりも低い屈折率を第2の波長で有する。
【0082】
ある場合には、光850の一部は、吸収層830〜834及び/又はポテンシャル井戸840〜843により吸収されず、吸収層とポテンシャル井戸により光851として透過される。例えば、ある場合には、発光850は、図9で概略的に示す、水平軸が波長であり、垂直軸が任意単位の強度である、強度スペクトル910を有することができる。このような場合、波長λ1は、ピーク強度Ioを有するピーク発光波長であることができ、光吸収層830〜834のバンドギャップ波長は、例えば、λabsにおいてλ1よりも充分に大きくなることができ、光850の実質的な部分が吸収層により吸収される。ある場合には、λabsは充分に小さく、ポテンシャル井戸まで拡散する光生成キャリア対に対して高い温度でも充分な閉じ込めを提供する。このような場合、図9でλabsの右に位置するスペクトル910のテール端に概ね対応する光850の一部は、吸収層830〜834及び/又はポテンシャル井戸840〜843により吸収されず、吸収層とポテンシャル井戸により第1の波長の光851として透過される。このような場合、補助的な光吸収層870は、他の層により吸収されない残存する光又は残余の光851を吸収することができる。ある場合には、補助的な光吸収層870のバンドギャップ波長λlbは、λabsよりも充分に大きく、光851の本質的に全部は補助的な光吸収層により吸収される。このような場合、発光システム800の出力光860は、本質的にλ2にあり、λ1で光量を全く、又は極めて僅かしか持たない。このような場合、補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層830〜834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さい。例えば、図10は、図8からの光変換器818の概略のバンドダイヤグラムであり、小さいElbと大きいEabsを示す。図10中、Ec及びEvは、それぞれ、伝導帯と価電子帯を表す。出力光860の光強度を最適化するのが望ましい場合などでは、補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、図10に示すように、ポテンシャル井戸840〜843の遷移エネルギーEpwよりも大きい。このような場合、Elbは、λ2でのフォトンのエネルギーE2よりも大きい。
【0083】
補助的な光吸収層870のバンドギャップエネルギーが第5吸収層834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さいなどの場合には、補助的な光吸収層870の波長λ2での屈折率は、光吸収層834の屈折率よりも大きい。このような場合、光変換器818中でウエーブガイド又はトラップされたλ2での光学モードの電場は、構造化された層150に向かって移動する。これは、構造化された層150及び/又はオーバーコート160の中に更に延びる光学モードのエバネッセントテールを生じさせることができ、翻って、構造化された層とオーバーコートによる光852の増進された抽出をもたらす。
【0084】
ある場合には、ポンプ光源810(図8及び9を参照)は、第1の波長λd及びより長い第2の波長λeで発光する。第1の波長は、ある場合には、ポンプ光源のピーク発光波長λ1であることができる。光吸収層830〜834は、波長λdの光を吸収する能力がある。しかし、光吸収層は、λeが光吸収層のバンドギャップ波長λabsよりも長いために、波長λeの光を吸収する能力がない。ある場合には、光吸収層は、光850の実質的な部分を吸収することができる。例えば、このような場合、光吸収層は、光850の少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を吸収する能力がある。ポテンシャル井戸840〜843は、光吸収層により吸収される光の少なくとも一部をより長い波長の出力光860に変換する。補助的な光吸収層870は、第1の波長λd及び第2の波長λeの光を吸収する能力があり、光源810により発せられる残余の光を吸収する。
【0085】
ある場合には、半導体光変換構成体815は、補助的な光吸収層870からの光を抽出するのに、構造化された層150及びオーバーコート160中の構造体以外の、又はそれに追加される手段を含むことができる。例えば、補助的な光吸収層の最上表面をパターン化又はテクスチュア化、例えば粗化、することにより、光を抽出することができる。別の例として、補助的な光吸収層の外部表面上にフォトニック結晶を形成することにより、光を抽出することができる。代表的なフォトニック結晶は、例えば、米国特許第6,987,288号及び同第7,161,188号に記載されている。ある場合には、補助的な光吸収層の出力表面上に光学的要素を形成することにより、光を抽出することができ、ここで、光学的要素は、いかなる要素であることができ、そうでなければ、例えば、内部全反射により補助的な光吸収層から出られない、光の少なくとも一部を抽出する能力のある任意の形状を有することができる。例示の光抽出器は、例えば、同一所有者の米国特許出願公開第2007/0284565号、2006年11月17日出願の同一所有者の米国特許仮出願番号60/866,265、及び2006年6月12日出願の同一所有者の米国暫定特許出願番号60/804,544で述べられている。
【0086】
ある場合には、光吸収層834及び補助的な光吸収層870の少なくとも1つは、組成漸変材料であることができる。このような場合、吸収層の厚さ方向に沿った少なくとも1つの場所における補助的な光吸収層870のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層834の最小のバンドギャップエネルギーよりも小さい。例えば、図11は、一定のバンドギャップエネルギーEabsと線形組成漸変型の補助的な光吸収層1130を持つ光吸収層1120を含む、光変換器1100の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層870のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さい。ある場合には、層の厚さ方向に沿った少なくとも1つの場所における補助的な光吸収層870のλ2での屈折率は、光吸収層834のλ2での最大の屈折率よりも大きい。
【0087】
一般に、光変換器818中の、補助的な光吸収層870と、光吸収層830〜34などの光吸収層は、出願において実行可能及び/又は望ましい、いかなる形状のバンドダイヤグラムも有することができる。例えば、図12は、ポテンシャル井戸1210と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1220と、線形組成漸変型のバンドギャップを有する補助的な光吸収層1230と、を含む、光変換器818に類似の光変換器1218の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層1230のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1210の遷移エネルギーEtrよりも大きい。
【0088】
別の例として、図13は、ポテンシャル井戸1310と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1320と、埋め込まれたポテンシャル井戸又は量子井戸1360を含む一定のバンドギャップエネルギーElbを持つ補助的な光吸収層と、を含む、光変換器1318の概略のバンドダイヤグラムである。バンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1310の遷移エネルギーEtrよりも大きい。更に別の例として、図14は、ポテンシャル井戸1410と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1420と、ポテンシャル井戸又は量子井戸1460を含む、曲がったバンドダイヤグラムを持つ補助的な光吸収層1430と、を含む、光変換器1418の概略のバンドダイヤグラムである。補助的な光吸収層は、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1410の遷移エネルギーEtrよりも大きい、場所「X」でバンドギャップエネルギーElbを有する。
【0089】
ある場合には、図8中の光変換器層818は、光生成キャリアが例えば光変換器の外側表面若しくは内側領域まで移動又は拡散するのを防止するために、ウインドウ120などの、又はそれに追加した1つ以上のキャリアブロック層を含むことができる。例えば、図15は、光吸収層1520中のキャリアが補助的な光吸収層1530まで拡散するなど、移動するのをブロックするために、ポテンシャル井戸1510と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1520と、一定のバンドギャップエネルギーElbを持つ補助的な光吸収層1530と、層1520と1530との間に配設された一定のバンドギャップエネルギーEcbを持つキャリアバリア層1540と、を含む、光変換器1518の概略のバンドダイヤグラムである。バンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1510の遷移エネルギーEtrよりも大きい。別の例として、図16は、例えば、ポテンシャル井戸1610及び光吸収層1620中でキャリアが補助的な光吸収層1630まで移動するのをブロックするために、ポテンシャル井戸1610と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1620と、補助的な光吸収層1630及びキャリアバリア層1640を含む組成線形漸変領域1670と、を含む、光変換器1618の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1610の遷移エネルギーEtrよりも大きい。更に別の例として、図17は、例えば光吸収層1720及び/又は補助的な光吸収層1730中のキャリアが例えば図示していない光変換器1718の出力表面まで移動するのをブロックするために、ポテンシャル井戸1710と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1720と、補助的な光吸収層1730及びキャリアバリア層又はウインドウ1740を含む非線形組成傾斜型領域1770と、を含む、光変換器1718の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1710の遷移エネルギーEtrよりも大きい。
【0090】
(実施例7):
図1の光変換器118に類似した半導体光変換構成体を作製した。表IIに相対的な層の順番と、異なる層に対する材料組成、厚さ、バルクバンドギャップエネルギー、及び屈折率の見積もり値を要約する。
【0091】
【表2】
【0092】
最初に、GaInAs緩衝層をInP基板上にMBEにより成長させて、II〜VI成長のための表面を調製した。続いて、光変換用のII〜V族エピタキシャル層を成長させるために、構成体を超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへ移動させた。変換器118は、4つのCdZnSe量子井戸140を含んだ。それぞれの量子井戸140を、GaInNベースのレーザーダイオードが発光する440nmの青色光を吸収することができるCdMgZnSe吸収層の間にサンドイッチした。
【0093】
構成体をガラス顕微鏡スライドに接着剤で取り付けた後、InP基板を3HCl:1H2Oの溶液により除去した。エッチング剤はGaInAs緩衝層(層#2)で停止した。30mLの水酸化アンモニウム(30重量%)、5mLの過酸化水素(30重量%)、40gのアジピン酸、及び200mLの水の攪拌した溶液中で緩衝層を引き続いて除去して、顕微鏡スライドに付着したII〜VI光変換器118のみを残した。
【0094】
得られた構成体をウインドウ側からGaInN青色ポンプLEDにより照射することができ、453nmでのピーク発光と、図9のスペクトル910に類似のスペクトルを得る。構成体の再発光される出力光は、量子井戸に対する2.305eVの遷移エネルギーに対応する、538nmのピーク発光を有することができる。表IIに示すように、光吸収層は、スペクトル910において481nmの波長λabsに対応する、2.578eVのバンドギャップエネルギーを有するものであった。λabsの左側のスペクトル910の下の領域に対応する入射光の約96%は、吸収層により吸収可能であり、λabsの右側の領域に対応する残余の4%は、補助的な光吸収層により吸収可能である。
【0095】
構成体のキャリア閉じ込めエネルギー(ポテンシャル井戸の全深さ)は0.273eV(2.578〜2.305)であった。この構成体に類似であるが、補助的な光吸収層と同一の材料を有する光吸収層を持つ構成体は、本質的に全部のポンプ光を吸収するが、0.185eV(2.490〜2.305)の低下した閉じ込めエネルギーを有する。結果として、光吸収層と補助的な光吸収層の複合使用は、閉じ込めエネルギーを0.185eVからto0.273eVまで増加させ、ほぼ48%の増加であり、一方補助的な光吸収層は約4%の入射ポンプ光を吸収するのみであった。
【0096】
図1に戻って、異なるシステムパラメーターの関数としての構造化された層150及びオーバーコート160の抽出効率を、光学的構成体1800(図18に側面図を概略示す)に対して数値解析した。光学的構成体は、基板1810と、基板1810の最上表面1812上に直接に配列された球形粒子1855の正方形アレイを含む構造化された層1850と、基板の構造化された層及び露出された領域上に直接に配設されたオーバーコート1820と、を含んだ。基板の屈折率n1は2.646であった。粒子1855の直径Dは200nmであり、粒子の屈折率n2は、例えば、SiO2粒子に対応する1.45であった。隣接粒子の間の間隔Pは500nmであった。粒子は、基板1810の最上表面1812の50%を被覆した。オーバーコートに対しては、ランド厚さt1は100nmであり、寸法t2及びt3はそれぞれ100nmであり、t4は300nmであった。数値シミュレーション時にオーバーコートの屈折率n3を変えた。
【0097】
光源1805を基板の底部表面1814に配置し、540nmの均一な光1807を発光させた。光学的構成体1800の抽出効率をモデル化し、有効な二次元時間領域差分法(FDTD)を用いて、数値計算した。抽出効率を発光した入射光1807のパワーに対する出力光1840のパワーの比として定義した。構造化された層及びオーバーコートが不在の場合、抽出効率は16.4%であった。
【0098】
図20は、構造化された層及び構造化されたオーバーコートが存在する場合のn3の関数としての光学的構成体1800の抽出効率を示す。空気オーバーコート(図20の点P1に対応するn3=1)に対する抽出効率は19.2%であった。したがって、オーバーコート無し(又は空気)の場合には、粒子は、抽出効率を16.4%から19.2%に増加させ、約17.1%の増加であった。SiO2オーバーコートに対応する点P2(n3=1.45)における抽出効率は、19.8%であり、オーバーコート無しよりも約20.7%の増加であった。図20の点P3〜P5は、それぞれ、Si3N4、ZnS、及びZnSeオーバーコートに対応する。抽出効率は、概ね、領域Q1の線L1、領域Q2の線L2、及び領域Q3の線L3に従う。領域Q2の線L2は、オーバーコート屈折率n3が約2.0〜約2.7の範囲にあり、線L1及びL3よりも大きい勾配を有することに対応する。領域Q2は、構造化されたオーバーコート屈折率への抽出効率の依存性が大きいことを示す。
【0099】
ある場合には、オーバーコート170を施す前に構造化された層150を改変することができる。例えば、ある場合には、構造化された層をオーバーコート170によりコーティングする前に構造化された層150中の構造体の少なくとも一部の形状及び/又は大きさを改変することができる。図21A〜21Cを参照しながら、一つのこのような例示の方法を述べる。図21Aは、半導体基板2110と、半導体基板上に直接に配設された構造化された層2120と、を含む、光学的構成体2100の概略の側面図である。基板は、例えば、図1の第2のウインドウ121又は図8の補助的な吸収層870に類似であることができる。ある場合には、基板2120は、多層、例えば補助的な吸収層870に類似であることができる層であることができる。
【0100】
構造化された層2120は、例えば、図1の構造化された層150に類似であることができる。構造化された層2120は、基板2110上に直接に配設された複数の離散した粒子2122を含む。ある場合には、粒子2122は、ポリマー系など有機であることができる。例示のポリマーには、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(PP))、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー及びエポキシなどが挙げられる。
【0101】
粒子2122は、基板2110の最上表面2126上に単層を形成する。単層は、空き領域2124などの空き領域を含み、基板の最上表面を露出する。ある場合には、粒子をエッチング剤に曝露することにより、粒子の大きさを収縮又は低減させることができる。例えば、エッチング剤により、それぞれの粒子の一部を除去して、より小さな又は収縮した粒子を得ることができる。例示のエッチング方法には湿式又は乾式化学エッチング、及び反応性イオンエッチングが挙げられる。ある場合には、粒子はポリスチレンであり、エッチング方法は酸素プラズマ又は反応性イオンエッチングである。
【0102】
ある場合には、粒子を充分な熱に曝露することにより、粒子2122をリフローさせる。例えば、ポリマー粒子2122を粒子の融点又はその近傍の温度でリフローさせることができる。ある場合には、エッチング剤及び熱を粒子に同時に適用して、粒子の少なくとも一部を収縮させ、リフローさせることができる。ある場合には、エッチング工程は熱を発生し、若干の熱を加えるか、又は追加の熱なしで粒子をリフローさせることができる。
【0103】
ある場合には、構造体2122の平均の大きさは、構造体の表面密度を実質的に決定することができ、エッチング時間などのエッチングの量は、エッチング工程後の構造体(構造体2132)によるパーセント面積被覆率を決定することができる。ある場合には、所望の表面構造体密度及びパーセント表面被覆率に基づいて、必要とされる初期の平均の構造体の大きさ及びエッチング量を計算、又は決定することができる。例えば、所定の所望の粒子密度に対しては、平均の粒子直径Rを求めることができ、所定の所望のパーセント面積被覆率に対しては、実験データに基づいて、例えばエッチング時間などのエッチングパラメーターを求めることができる。次に、例えば、平均直径Rを持つ密充填した粒子の単層を表面に施して、所望の表面粒子密度を得る。次に、予め決められたエッチングパラメーターにしたがって粒子をエッチングして、エッチングされた粒子により所望のパーセント表面被覆率を得ることができる。ある場合には、粒子をオーバーコートすることができる。
【0104】
ある場合には、所望の最終のパーセント表面被覆率を得るために、第1の複数の構造体を最上表面2126上に配設して、所望の最終のパーセント面積被覆率よりも大きい初期のパーセント面積被覆率を得る。次に、構造体の少なくとも一部を充分に収縮させて、初期のパーセント面積被覆率を所望の最終のパーセント面積被覆率まで縮小することができる。ある場合には、構造体の少なくとも一部をリフローすることができる。ある場合には、次に、構造体をオーバーコートによりコーティングして、収縮させた構造体と、未被覆領域中の最上表面を被覆する。
【0105】
充分な熱と、1つ以上のエッチング剤にかけた後、光学的構成体2100を図21Bで概略的に示した光学的構成体2150に改変する。特に、層2120中の粒子2122を部分的にエッチングし、リフローした後で、構造化された層2120を構造化された層2130に変化又は改変する。構造化された層2130は、対応する粒子2122よりも小さく、熱への曝露によりリフロー済の粒子2132を含む。リフロー後、粒子2132は平坦な底部2134を有する。ある場合には、粒子2132は、ドーム状又は円錐状である。ある場合には、リフロー及び粒子の収縮の工程を同一の時間又は同時に行うことができる。ある場合には、2つの工程を順次行うことができる。例えば、粒子の大きさをエッチング剤により縮小し、続いて加熱工程を行って、エッチングされた粒子をリフローすることができる。
【0106】
ある場合には、複数の粒子による基板2110の最上表面2126のパーセント被覆率は、エッチング剤及び熱を粒子に適用した後に減少する。例えば、このような場合、粒子2122は、図21Aの最上表面2126の第1のパーセントを被覆し、粒子2132は、図21Bの最上表面2126の第2のパーセントを被覆し、ここで、第2のパーセントは第1のパーセント未満である。
【0107】
ある場合には、収縮工程は、粒子の平均の側面大きさなどの平均の大きさを少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%縮小することができる。ある場合には、複数の構造体による基板の最上表面のパーセント面積被覆率は、収縮工程の後減少する。例えば、このような場合、パーセント面積被覆率は、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%減少し得る。
【0108】
ある場合には、光学的構成体2150をオーバーコート2160によりコーティングして、図21Cに概略的に示す光学的構成体2180を得る。オーバーコート2160は、複数の粒子2132と、空き領域2124などの空き領域中の基板2110の最上表面を被覆する。
【0109】
基板2110は、例えばスペクトルの可視領域において屈折率n1を有し、構造化された層2130中の粒子2132は屈折率n2を有し、オーバーコート2160は屈折率n3を有する。ある場合には、n2はn1未満である。例えば、このような場合、基板2110は、約2〜約2.7、又は約2〜約2.5の範囲の屈折率を有する半導体材料を含み、粒子2132は、約1.5〜約1.8の範囲の屈折率を有するポリマーを含む。ある場合には、n3はn1よりも大きい。例えば、このような場合、基板2110は、約2〜約2.3の範囲の屈折率を有する半導体材料を含み、オーバーコート2160は、約2.3〜約2.7の範囲の屈折率を有する異なる半導体を含む。
【0110】
(実施例8):
実施例1で述べた方法を用いて、半導体光変換構成体を作製した。構成体の計算されたEQEは15.29%であった。構成体の吸収層側をポリスチレン(PS)微小球によりコーティングして、図21Aの構造化された層2120に類似の構造化された層を得た。微小球は約1000nmの平均直径を有し、これをVWR Scientific Products(South Plainfield,NewJersey)から入手した。微小球の屈折率は約1.59であり、構成体中の吸収層の屈折率は約2.6であった。微小球をH2O中10重量%固体含量まで分散した。約200rpmの速度で約20秒間、続いて約5000rpmの速度で約5秒間スピン−オンコーティング法を用いて、溶液を吸収層の最上表面(図21Aの最上表面2126)に塗布した。図22Aは、得られた試料のSEM像であり、密充填の球形PS粒子を光変換構成体の最上表面上に示す。微小球による最上表面の面積被覆率は約90%であり、得られた試料の計算されたEQEは22.9%であった。したがって、PS粒子は、EQEを15.29%から22.9%まで増加させ、約49.8%の増加であった。次いで、試料を酸素プラズマ(6mT、80WのRFパワー、及び1200Wの誘導結合プラズマパワー)中でエッチングして、リフローし、粒子の大きさを縮小した。粒子による得られた表面被覆率は約64%であった。したがって、エッチング工程は、パーセント面積被覆率を約90%から約64%まで低下させた。図22Bは得られた試料のSEM像である。粒子は円錐状又はドーム状であり、平らな底部を有した。得られた試料の計算されたEQEは、27.8%であった。次に、真空蒸着法を用いて、試料をZnSによりオーバーコートした。オーバーコートの厚さは約400nmであり、ZnSオーバーコートの屈折率は約2.4であった。図22Cは得られた試料のSEM像である。得られた試料の計算されたEQEは、37.8%であった。したがって、ZnSオーバーコートの追加は、EQEを27.8%から37.8%まで増加させ、約36%の増加であった。
【0111】
(実施例9):
実施例1で述べた方法を用いて、半導体光変換構成体を作製した。構成体の計算されたEQEは、17.65%であった。構成体の吸収層側をポリスチレン(PS)微小球によりコーティングして、図21Aの構造化された層2120に類似の構造化された層を得た。微小球は約500nmの平均直径を有し、これをVWR Scientific Products(South Plainfield,NewJersey)から入手した。微小球の屈折率は約1.59であり、構成体中の吸収層の屈折率は約2.6であった。微小球をH2O中に1.5重量%固体含量まで分散した。ディップコーティング法を約65mm/分の速度で用いて、この溶液を吸収層の最上表面(図21A中の最上表面2126)に塗布した。この試料を1回ディップコーティングした。得られた試料の計算されたEQEは、26.40%であった。したがって、PS粒子は、EQEを17.65%から26.40%まで増加させ、約49.6%の増加であった。次いで、試料を酸素プラズマ(200mT、200mW、及び20.32cm(8インチ)直径のプラテン)中でエッチングして、若干収縮させ、粒子をリフローした。得られた粒子は円錐状又はドーム状であり、平らな底部を有した。次に、真空蒸着法を用いて、試料をZnSによりオーバーコートした。オーバーコートの厚さは約400nmであり、ZnSオーバーコートの屈折率は約2.4であった。得られた試料の計算されたEQEは、35.5%であった。したがって、ZnSオーバーコートの追加は、EQEを26.4%から35.5%まで増加させ、約34.5%の増加であった。
【0112】
図23は、第1の波長λ1の光850を発光するLED光源と、光850の少なくとも一部をより長い第2の波長λ2の光852に変換する光変換層2315と、を含む、光源2300の概略側面図である。光変換構成体2315は、基板2320上に配設され、第1の屈折率n1を有する蛍光体スラブ2330を含む。蛍光体スラブ2330は、光850の少なくとも一部を吸収し、吸収された光の少なくとも一部を波長λ2の光852として再発光する。蛍光体スラブ2330として使用できる例示の蛍光体には、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。他の有用な蛍光体には、ドープYAG、シリケート、シリコンオキシナイトライド、シリコンナイトライド、及びアルミネートベースの蛍光体が挙げられる。このような蛍光体の例には、Ce:YAG、SrSiON:Eu、SrBaSiO:Eu、SrSiN:Eu及びBaSrSiN:Euが挙げられる。
【0113】
基板2320は、用途に好適であり得るいずれの材料も含むことができる。例示の材料には、ガラス、ポリマー、アルミナ、サファイアなどのセラミック、及び光を通すために1つ以上の透明な開口又は穴を含む金属などの金属が挙げられる。ある場合には、基板2320は、第1の波長で実質的に光学的に透過性である。ある場合には、基板はλ1で不透明であってもよい。このような場合、基板は、光850が基板を通るための1つ以上の光学的な、又は他の形の開口を含むことができる。ある場合には、基板2320は、図23で示されていないが、λ2での反射体又はヒートシンクなどの他の機能層を含むことができる。
【0114】
光変換構成体2315は、蛍光体スラブ2330上に配設された構造化された層150を更に含む。構造化された層150は、蛍光体スラブの第1の屈折率n1よりも小さい第2の屈折率n2を有する。構造化された層は、蛍光体スラブ上に直接に配設された複数の構造体151と、蛍光体スラブを露出させる複数の開口2305と、を含む。光変換構成体2315は、構造化された層150の少なくとも一部と開口2305などの複数の開口中の蛍光体スラブの一部との上に直接に配設された、オーバーコート160に類似した構造化されたオーバーコート2360を更に含む。構造化されたオーバーコート2360は、第2の屈折率n2よりも大きい第3の屈折率n3を有する。
【0115】
ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は、トラップされた光のエバネッセントテールを構造化されたオーバーコートの中にまで延ばすことにより、蛍光体スラブ中にトラップされた第2の波長λ2の光の抽出を増強することができる。テールを延ばすことによって、構造体151によりトラップされた光の散乱を増加して、蛍光体スラブからのトラップされた光の抽出を増加させる。
【0116】
ある場合には、構造化された層150は、第2の波長で実質的に光学的に透過性である。ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は、第2の波長で実質的に光学的に透過性である。ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、ある場合には、複数の離散した粒子の実質的な区分が実質的に球形である、離散した粒子などの複数の離散した構造体を含む。ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、複数の相互に接続された構造体を含む。
【0117】
ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は、Si3N4、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO2、ZrO2、Ta2O5、HfO2、及びシリケートガラスなどのシリケートの少なくとも1つを含む。ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は半導体を含む。ある場合には、構造化されたオーバーコート2360の構造化された外側表面2361は、構造化された層150の構造化された外側表面2362に一致する。
【0118】
図18の光学的構成体1800を用いて、異なるシステムパラメーターの関数としての光変換構成体2315の抽出効率を数値解析した。基板の屈折率n1は、蛍光体スラブ2330などの蛍光体スラブに対する典型的な値の1.84であった。粒子1855の直径Dは200nmであり、粒子の屈折率n2は、例えば、SiO2粒子に対応する1.45であった。隣接粒子の間の間隔Pは500nmであった。粒子は、基板1810の最上表面1812の50%を被覆した。オーバーコートに対しては、ランド厚さt1は100nmであり、寸法t2及びt3はそれぞれ100nmであり、t4は300nmであった。数値シミュレーション時にオーバーコートの屈折率n3を変えた。
【0119】
光源1805を基板の底部表面1814に配置し、540nmの均一な光1807を発光させた。光学的構成体1800の抽出効率をモデル化し、有効な二次元時間領域差分法(FDTD)を用いて、数値計算した。
【0120】
図24は、構造化された層及びオーバーコートの存在する場合のn3の関数としての光学的構成体1800の抽出効率を示す。SiO2オーバーコートに対応する点Q1(n3=1.45)における抽出効率は、40.5%であった。図24中の点Q2及びQ3は、それぞれSi3N4とTiO2オーバーコートに対応する。約1.35〜約2.2の、又は約1.45〜約2.2の範囲のn3に対しては、抽出効率は少なくとも約40%である。ある場合には、オーバーコートは、約1.38〜約1.39の範囲の屈折率を有するMgF2を含むことができる。ある場合には、オーバーコートは、多孔質コーティングを含むことができる。例えば、オーバーコートは、約1.45未満の屈折率、例えば、約1.4、又は約1.35、又は約1.30、又は約1.29の屈折率を有する、多孔質SiO2コーティングを含むことができる。
【0121】
本明細書で使用するとき、「垂直の」、「水平の」、「上方の」、「下方の」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「最上」及び「最下」などの用語、並びに他の類似の用語は、諸図に示される相対的位置を指す。広くは、物理的実施形態は異なる配向を有することができ、その場合、用語は、装置の実際の配向に修正された相対位置を意味することを意図している。例えば、図1における構成体が、この図における向きと比較して上下を逆さにされた場合にも、第1の吸収層130は、依然として、ポテンシャル井戸140の「下」にあると見なされる。
【0122】
本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ添付の「特許請求の範囲」により規定されるように本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変形例、実施形態及び代替例を全て網羅しようとするものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、半導体発光デバイスに関する。本発明は、特に改善された輝度を有する半導体発光デバイスに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
発光デバイスは、投射型ディスプレイシステム、液晶ディスプレイ用のバックライトなどを含む、多種多様な用途で使用される。投射システムは、通常、高圧水銀ランプなど、1つ以上の白色光源を使用する。白色光線は、普通、3原色、すなわち、赤色、緑色、及び青色に分かれ、それぞれの画像形成空間光変調器へと導かれて、原色ごとに画像を生成する。得られる原色画像ビームは、組み合わされ、見るために投射スクリーン上に投射される。
【0003】
ごく最近では、発光ダイオード(LED)が白色光源の代替として考えられている。LEDは、従来の光源に匹敵する輝度及び動作寿命を提供する可能性を有する。しかしながら、現行のLEDは、例えば、高屈折率領域で光がトラップされるために比較的非効率的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は半導体発光デバイスに関する。一つの実施形態では、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための半導体ポテンシャル井戸と、半導体ポテンシャル井戸上に配設され、第1の屈折率を有する外側層と、第1の屈折率よりも小さい第2の屈折率を有する、外側層上に配設された構造化された層を含む。構造化された層は、外側層上に直接に配設された複数の構造体と、外側層を露出させる複数の開口と、を含む。半導体光変換構成体は、構造化された層の少なくとも一部及び複数の開口中の外側層の一部の上に直接に配設された、構造化されたオーバーコートを更に含む。オーバーコートは、第2の屈折率よりも大きい第3の屈折率を有する。ある場合には、構造化されたオーバーコートの平均厚さは、約1000nm以下、又は約700nm以下である。ある場合には、オーバーコートの外側表面は、構造化された層の外側表面に一致する。
【0005】
別の実施形態では、発光システムは、LEDと、LEDが発光する光を下方変換する光変換構成体とを含み、構造化された最も外側の表面を有する。構造化された表面は、光変換構成体の内側層を露出させる、複数の開口を有する。発光システムは、構造化された最も外側の表面と内側層の露出された領域上に形成された、構造化されたオーバーコートを更に含む。構造化されたオーバーコートは、光変換構成体からの光抽出を増強する。オーバーコートの外側表面は、構造化された最も外側の表面に一致する。ある場合には、オーバーコートの屈折率は、約1.8〜約2.7の範囲にある。
【0006】
別の実施形態では、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収するための第1の半導体層と、第1の波長の吸収される光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための半導体ポテンシャル井戸と、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収する能力のある第2の半導体層と、を含む。第1の半導体層は、最大の第1の屈折率を第2の波長で有する。第2の半導体層は、最大の第1の屈折率よりも大きい第2の屈折率を第2の波長で有する。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第1の半導体層の最小のバンドギャップエネルギーよりも小さい。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、第1の波長に中心があるスペクトルを有し、第1の波長よりも長い波長λeを含む入射光により照射された場合、第1の半導体層は、第1の波長の光を吸収するが、λeの光を吸収せず、第2の半導体層はλeの光を吸収する。
【0007】
別の実施形態では、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収するための第1の半導体層と、第1の波長の吸収される光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための半導体ポテンシャル井戸と、第1の波長の光の少なくとも一部を吸収する能力のある第2の半導体層と、を含む。第2の半導体層は、第1の半導体層の最小のバンドギャップエネルギー未満のバンドギャップエネルギーを有する。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長のフォトンのエネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の波長での第2の半導体層の屈折率は、第2の波長での第1の半導体層の最大の屈折率よりも大きい。ある場合には、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きい。ある場合には、半導体光変換構成体は、同一の遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。ある場合には、半導体光変換構成体は、異なる遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。
【0008】
別の実施形態では、光学的構成体は、可視域中の第1の波長で屈折率n1を有する第1の半導体層と、第1の半導体層上に配設され、屈折率n2(ここで、n2はn1よりも小さい)を第1の波長で有する第2の半導体層と、第2の半導体層上に配設され、屈折率n3(ここで、n3はn2よりも大きい)を第1の波長で有する第3の半導体層と、第3の半導体層上に直接に配設された構造化された層と、構造化された層の少なくとも一部の上に直接に配設されたオーバーコートを含む。光学的構成体は第1の波長で実質的に透過性である。ある場合には、オーバーコートはフォトニック結晶を含む。ある場合には、第1の半導体層はポテンシャル井戸である。ある場合には、第2の半導体層は、第1の波長で実質的に光吸収性であるが、第2の波長では光吸収性でない。ある場合には、第3の半導体層は、第1の波長で実質的に光吸収性であるが、第2の波長では光吸収性でない。
【0009】
別の実施形態では、発光システムは、第1の波長及びより長い第2の波長で発光する光源と、第1の波長で光を吸収する能力があるが、第2の波長で光を吸収する能力がない、1つ以上の第1の半導体光吸収層を含む。1つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源が発光する光の少なくとも80%を吸収する。発光システムは、1つ以上の第1の半導体光吸収層が吸収する光の少なくとも一部をより長い波長の出力光に変換する半導体ポテンシャル井戸と、第2の波長で光を吸収する能力がある、1つ以上の第2の半導体光吸収層を更に含む。1つ以上の第2の半導体光吸収層は、光源が発光する残余の光を吸収する。ある場合には、1つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源が発光する光の少なくとも90%を吸収する。ある場合には、1つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源が発光する光の少なくとも95%を吸収する。ある場合には、発光システムは、同一の又は異なる遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。
【0010】
別の実施形態では、半導体光変換構成体は、入射光の全部でないが、一部を吸収するためのバンドギャップエネルギーEabsを有する第1の半導体層と、吸収された入射光の少なくとも一部を下方変換するためのEabs未満の遷移エネルギーEtrを有する半導体ポテンシャル井戸と、残余の入射光を吸収するためのEabs未満及びEtrよりも大きいバンドギャップエネルギーElbを有する、第2の半導体層と、を含む。ある場合には、第1の半導体層により吸収される入射光の一部及び第2の半導体層により吸収される残余の入射光は、スペクトルの異なる波長領域を含む。ある場合には、半導体光変換構成体は、Eabsよりも大きいバンドギャップエネルギーEwを有する半導体ウインドウを更に含む。ある場合には、Ewは、入射光のフォトンエネルギーよりも大きい。ある場合には、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸に密に隣接する。ある場合には、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸に直接に隣接する。ある場合には、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸と第2の半導体層との間に配設される。ある場合には、第1及び第2の半導体層のそれぞれは、半導体ポテンシャル井戸に直接に隣接する。
【0011】
別の実施形態では、基板から光を抽出するための光学的構成体を作製する方法は、(a)表面を有する基板を準備する工程と、(b)基板の表面を露出させる空き領域を形成する、複数の構造体を基板の表面上に配設する工程と、(c)構造体の少なくとも一部を収縮させる工程と、(d)オーバーコートを施して、収縮した構造体と空き領域中の基板の表面を被覆する工程と、を含む。ある場合には、工程(c)は、エッチング剤を複数の構造体に施すことにより行われる。ある場合には、エッチング剤を施した後、複数の構造体による基板の表面のパーセント被覆率は減少する。ある場合には、複数の構造体はポリスチレンを含む。ある場合には、複数の構造体は複数の粒子を含む。ある場合には、エッチング剤を施す前は複数の粒子は実質的に球形であり、エッチング剤を施した後は実質的に円錐状である。ある場合には、工程(a)から(d)は順次行われる。ある場合には、この方法は、構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含み、ある場合には、構造体の少なくとも一部をリフローする工程は複数の構造体に熱を加えることにより行われる。ある場合には、粒子の少なくとも一部を収縮させる工程及びリフローする工程は、同時に行われる。ある場合には、構造体は、工程(c)において少なくとも20%、又は少なくとも40%収縮する。ある場合には、工程(d)におけるオーバーコートは、構造化されたオーバーコートを含む。ある場合には、工程(d)におけるオーバーコートは、複数の構造体の外側表面に一致する外側の構造化された表面を有する。
【0012】
別の実施形態では、光を基板から抽出するために基板の表面上に複数の構造体を作製する方法は、(a)表面を有する基板を準備する工程と、(b)基板の表面の所望の第1のパーセント面積被覆率を確認する工程と、(c)基板の表面上に複数の構造体を配設して、所望の第1のパーセント面積被覆率よりも大きい第2のパーセント面積被覆率を得る工程と、(d)構造体の少なくとも一部を収縮させて、パーセント面積被覆率を所望の第1のパーセント面積被覆率まで低減させる工程と、を含む。ある場合には、この方法は、構造化されたオーバーコートを施して、収縮した構造体と、非被覆領域中の基板の表面を被覆する工程を更に含む。ある場合には、この方法は、複数の構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含む。
【0013】
別の実施形態では、光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部をより長い第2の波長の光に変換するための第1の屈折率を有する蛍光体スラブと、蛍光体スラブ上に配設され、第1の屈折率よりも小さい第2の屈折率を有する構造化された層を含む。構造化された層は、蛍光体スラブ上に直接に配設された複数の構造体と、蛍光体スラブを露出する複数の開口と、を含む。光変換構成体は、構造化された層の少なくとも一部と複数の開口中の蛍光体スラブの一部との上に直接に配設された構造化されたオーバーコートを更に含む。構造化されたオーバーコートは、第2の屈折率よりも大きい第3の屈折率を有する。ある場合には、構造化されたオーバーコートは、蛍光体スラブからの第2の波長の光の抽出を増強する。ある場合には、構造化されたオーバーコートは、Si3N4、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO2、ZrO2、Ta2O5、HfO2、及びシリケートの少なくとも1つを含む。ある場合には、第1及び第2の屈折率の差は、少なくとも0.3、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.9である。ある場合には、第3及び第2の屈折率の差は、少なくとも0.3、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.9である。ある場合には、構造化されたオーバーコートの構造化された外側表面は、構造化された層の外側表面に一致する。ある場合には、光変換構成体は、光変換構成体をカプセル化するカプセル化層を更に含む。ある場合には、構造化されたオーバーコートの第2の波長での屈折率は、約1.35〜約2.2の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付の図面に関連して以下の本発明の種々の実施形態の「発明を実施するための形態」を考慮したとき、より完全に理解し正しく認識され得る。
【図1】発光システムの概略側面図。
【図2】構造化された層とオーバーコートの概略側面図。
【図3】別の構造化された層と別のオーバーコートの概略側面図。
【図4】別の構造化された層と別のオーバーコートの概略側面図。
【図5A】ナノ粒子の単層の走査型電子顕微鏡(SEM)像。
【図5B】ナノ粒子の多層の走査型電子顕微鏡(SEM)像。
【図6A】ナノ粒子のオーバーコートされた単層のSEM像。
【図6B】ナノ粒子のオーバーコートされた多層のSEM像。
【図7】ナノ粒子の別のオーバーコートされた単層のSEM像。
【図8】発光システムの概略側面図。
【図9】発光の概略の強度スペクトル。
【図10】光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図11】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図12】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図13】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図14】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図15】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図16】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図17】別の光変換器の概略のバンドダイヤグラム。
【図18】光学的構成体の概略側面図。
【図19】発光システムの概略側面図。
【図20】オーバーコート屈折率の関数として計算されたパーセント抽出効率のプロット。
【図21A】光学的構成体を作製する方法における中間の段階又は工程におけるデバイスの概略図。
【図21B】光学的構成体を作製する方法における中間の段階又は工程におけるデバイスの概略図。
【図21C】光学的構成体を作製する方法における中間の段階又は工程におけるデバイスの概略図。
【図22A】ポリスチレン粒子の単層のSEM像。
【図22B】エッチングされ、リフローされた図22A中の粒子のSEM像。
【図22C】ZnSによりオーバーコートされた図22B中の粒子のSEM像。
【図23】光源の概略側面図。
【図24】オーバーコート屈折率の関数として計算されたパーセント抽出効率のプロット。
【0015】
多数の図で使用される同一の参照番号は、同一又は類似の特性及び機能を有する同一又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願は、半導体光源と1つ以上の波長変換器とを含み、変換器が半導体波長変換器であることができる、半導体発光デバイスを開示している。本出願は、光抽出を増強するための構造体を更に開示している。
【0017】
一部の開示されたデバイスは、III〜V族などの同一の半導体群からの光源と光変換層とを有する。このような場合には、例えば、III〜V族波長変換器をIII〜V族LEDなどのIII〜V族光源の上に直接モノリシックに成長させ、作製することが実行可能であることもある。しかしながら、ある場合には、所望の出力波長、高変換効率又は他の望ましい性質を持つ波長変換器は、LEDが属する半導体群と異なる半導体群からのものでもよい。そのような場合では、一方の部品を他方の上に高品質に成長させることは不可能であるか、又は実現不可能な場合がある。例えば、高効率波長変換器は、II〜VI族のものであることができ、LEDなどの光源は、III〜V族のものであることができる。このような場合、光変換器を光源に取り付けるためにいろいろな方法を使用することができる。いくつかのこのような方法は、2007年12月10日出願の米国特許出願番号61/012608で述べられている。
【0018】
この出願で開示されている波長変換器は、光源により発光される光を下方変換する。本明細書で使用するとき、下方変換は、変換された光の波長が、変換されていない光又は入射光の波長よりも大きいことを意味する。
【0019】
図19は、光源1910と光変換層1920と光抽出層1930とを含む発光システム1900の概略側面図である。光源1910は、通常、スペクトルのUV又は青色領域の第1の波長λ1の光1915を発光する。光変換層1920は、光1915の少なくとも一部を通常、スペクトルの緑色又は赤色領域のより長い第2の波長λ2の光1925に変換する。光抽出層1930は、光変換層1920からの光1925の抽出を増強することにより、発光システムの出力光の輝度又は強度を改善する。例えば、光抽出層1930は、そうでなければ光変換層1920の中でトラップされるか、又はそうでなければ光変換層1920により透過されない光を抽出する。
【0020】
一般に、光変換層1920は、第1の波長の光の少なくとも一部を第2の波長の光に変換する能力のある、任意の要素又は材料を含むことができる。例えば、層1920は、蛍光体、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料、フォトルミネッセンス半導体層、半導体ポテンシャル井戸、又は集合体若しくは複数の半導体量子ドットを含むことができる。光変換層1920で使用され得る例示の蛍光体には、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。他の有用な蛍光体には、ドープYAG、シリケート、シリコンオキシナイトライド、シリコンナイトライド、及びアルミネートベースの蛍光体が挙げられる。このような蛍光体の例には、Ce:YAG、SrSiON:Eu、SrBaSiO:Eu、SrSiN:Eu及びBaSrSiN:Euが挙げられる。
【0021】
ある場合には、光変換層1920は、Ce:YAGスラブなどのスラブ蛍光体を含むことができる。例えば、米国特許第7,361,938号に述べられているように、例えばCe:YAG蛍光粒子を高い温度及び圧力で焼成して、実質的に光学的に透過性で、非散乱性のスラブを形成することにより、Ce:YAGスラブを作製することができる。
【0022】
光抽出層1930は、光変換層1920上に直接に配設された構造化された層1940と、構造化された層上に配設された、構造化されたオーバーコート1950などのオーバーコート1950と、を含む。構造化された層1940は、光変換層1920上に直接に配設された複数の構造体を含む。ある場合には、オーバーコートの外側表面は、構造化された層の外側表面に一致する。
【0023】
ある場合には、λ2での構造体の屈折率は、光変換層1920中の最外側層の同一の波長での屈折率よりも小さい。例えば、出力表面上のフォトレジストを光パターニングなどパターン化することにより、あるいはナノ粒子などの粒子の部分的若しくは完全な単層、又は多層を出力表面上に堆積することによって、低屈折率の構造化された層1940を光変換層の出力表面1921上に形成することができる。ある場合には、構造化された層は、例えば、構造化された層のλ2での屈折率を低下させるために、空気を含むことができる。例えば、ある場合には、構造化された層は、出力表面1921上に中空構造体又は粒子を含むことができる。空気又は空気ポケットを含む構造化された層1940は、例えば、出力表面上に有機材料などの材料をパターン作成し、パターン化された材料をオーバーコートによりオーバーコートし、並びにオーバーコートされたパターン化材料の一部を除去して、例えば、一部を高い温度で分解し、空気領域を形成することによって、出力表面上に形成することができる。ある場合には、構造化された層1940中の構造体の屈折率は、構造化された層に直接隣接した、光変換層1920中の最外側層の屈折率未満である。
【0024】
オーバーコート1950は、光変換層1920からの光の抽出を増強する。ある場合には、オーバーコートは、Al2O3、TiO2、ZrO2、La2O3、Ta2O5、HfO2、シリケート、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、又はインジウム−スズオキシドなどのガラス状材料又は金属酸化物を含むことができる。ある場合には、オーバーコートは、ZnS、ZnSe、ZnO、又はZnSxSe1−xなどの半導体合金を含有するオーバーコートなどの半導体オーバーコートであることができる。ある場合には、オーバーコートは、緻密化されたゾル−ゲルなどのゾル−ゲルであることができる。ある場合には、オーバーコートの屈折率は、構造化された層に直接に隣接した、光変換層1920中の最外側層の屈折率よりも大きい。
【0025】
図1は、フォトンエネルギーE1を有する第1の波長λ1の光を発光するエレクトロルミネッセンスデバイス110と、第1の波長の光の少なくとも一部をフォトンエネルギーE2を有するより長い第2の波長λ2の光に変換するための半導体光変換構成体115と、を含む、半導体ルミネッセンス要素105の概略側面図である。
【0026】
半導体光変換構成体115は、エレクトロルミネッセンスデバイス110に面する第1のウインドウ120と、第1のウインドウ上に配設された第1の吸収層130と、第1の吸収層上に配設されたポテンシャル井戸140と、ポテンシャル井戸上に配設された第2の吸収層131と、第2の吸収層上に配設された第2のウインドウ121と、第2のウインドウ上に直接に配設された構造化された層150と、構造化された層上に配設されたオーバーコート160と、オーバーコート上に配設され、半導体エレクトロルミネッセンス要素105をカプセル化するカプセル化層170と、を含む。
【0027】
一般に、光変換器118は、第1の波長λ1の光の少なくとも一部を第2の波長λ2の光に変換する能力のある、任意の要素も含むとができる。例えば、光変換器118は、蛍光体、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料を含むことができる。光変換器118で使用され得る例示の蛍光体には、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。
【0028】
ある場合には、層140は、ポテンシャル井戸、量子井戸、量子ドット、又は、それぞれを多数若しくは複数、含むことができる。無機半導体ポテンシャル井戸及び量子井戸などの無機のポテンシャル井戸及び量子井戸は、通常、例えば、有機材料と比較して増加した光変換効率を有し、水分などの環境要素に低感受性であることにより、信頼性が高い。更に、無機のポテンシャル井戸及び量子井戸は、より狭い出力スペクトルを有する傾向にあり、例えば、改善された色域をもたらす。
【0029】
本明細書で使用するとき、ポテンシャル井戸は、キャリアを一つの次元内だけに閉じ込めるように設計された多層半導体構造体内の半導体層を意味しており、その際、半導体層は、周囲の層よりも低い伝導帯エネルギー、及び/又は、周囲の層よりも高い価電子帯エネルギーを有する。量子井戸は、一般に、量子化効果が井戸内の電子正孔対再結合のためのエネルギーを増大させるほど充分に薄いポテンシャル井戸を意味する。量子井戸は、通常、約100nm以下又は約10nm以下の厚さを有する。量子ドットは、通常、約100nm以下の、又は約10nm以下の最大寸法を有する。
【0030】
ある場合には、ポテンシャル井戸又は量子井戸140は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光するフォトンのエネルギーE1よりも小さい遷移エネルギーEpwを有する、II〜VI半導体ポテンシャル井戸又は量子井戸を含む。一般に、ポテンシャル井戸又は量子井戸140の遷移エネルギーは、ポテンシャル井戸又は量子井戸が再発光するフォトンのエネルギーE2に実質的に等しい。
【0031】
ある場合には、ポテンシャル井戸140は、合金の3つの構成要素として化合物ZnSe、CdSe及びMgSeを有する、CdMgZnSe合金を含むことができる。ある場合では、Cd、Mg及びZnのうちの1つ以上、特にMgは、合金に存在しなくてもよい。例えば、ポテンシャル井戸140は、赤色で再発光することができるCd0.70Zn0.30Se量子井戸、又は緑色で再発光することができるCd0.33Zn0.67Se量子井戸を含むことができる。別の例として、ポテンシャル井戸140は、Cd、Zn、Se、及び所望によりMgの合金を含むことができ、その場合、合金系は、Cd(Mg)ZnSeによって表すことができる。別の例として、ポテンシャル井戸140は、Cd、Mg、Se、及び所望によりZnの合金を含むことができる。ある場合には、ポテンシャル井戸はZnSeTeを含むことができる。ある場合には、量子井戸140は、約1nm〜約100nm、又は約2nm〜約35nmの範囲の厚さを有する。
【0032】
一般に、ポテンシャル井戸140は、任意の伝導帯及び/又は価電子帯プロファイルを有することができる。例示のプロフィールは、例えば、米国特許出願番号60/893804に述べられている。
【0033】
ある場合には、ポテンシャル井戸140は、nドープ又はpドープされていてよく、その際、ドーピングは、任意の好適な方法によって、及び任意の好適なドーパントを含めることによって、達成することができる。ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110及びポテンシャル井戸140は、2つの異なる半導体群からのものであることができる。例えば、このような場合、エレクトロルミネッセンスデバイス110はIII〜V半導体デバイスであることができ、ポテンシャル井戸140はII〜VIポテンシャル井戸であることができる。ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110はAlGaInN半導体合金を含むことができ、ポテンシャル井戸140はCd(Mg)ZnSe半導体合金を含むことができ、ここで括弧に括られている材料は任意の材料である。
【0034】
一般に、半導体光変換構成体115は1つ以上のポテンシャル井戸を有することができる。ある場合には、構成体115は、多数のポテンシャル井戸を有することができる。例えば、このような場合、構成体115は、少なくとも2つのポテンシャル井戸、又は少なくとも5つのポテンシャル井戸、又は少なくとも10個のポテンシャル井戸を有することができる。ある場合には、構成体115は、異なる遷移エネルギーを持つ、少なくとも2つのポテンシャル井戸、又は少なくとも3つのポテンシャル井戸、又は少なくとも4つのポテンシャル井戸を有することができる。
【0035】
ある場合には、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1の光を実質的に吸収する。例えば、このような場合、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1の光の少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%を吸収する。ある場合には、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1で実質的に光学的に透過性である。例えば、このような場合、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λ1の光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を透過する。
【0036】
光吸収層130及び131は、半導体光変換構成体115中での光180の吸収及びキャリアの発生を助ける。ある場合には、光吸収層130及び131は、光180の少なくとも一部を吸収し、結果として電子空孔キャリアなどの光生成キャリア対を作り出す。キャリアは、光吸収層からポテンシャル井戸140に拡散又は移動し、そこで再結合し、第2の波長λ2の光を発光する。
【0037】
光吸収層130及び131は、光生成キャリアがキャリアを再結合し、第2の波長λ2の光を発光するためにポテンシャル井戸に効率的に拡散することができるように、ポテンシャル井戸に近接して配置される。
【0038】
ある場合には、半導体光変換構成体115中の光吸収層は、ポテンシャル井戸140に直接隣接することができ、これは介在層が吸収層とポテンシャル井戸との間に配設されないということを意味する。例えば、図1では、第1の光吸収層130及び第2の光吸収層131のそれぞれはポテンシャル井戸140に直接に隣接する。ある場合には、半導体光変換構成体115中の光吸収層は、ポテンシャル井戸140に密に隣接することができ、これは1つ又は少数の介在層が吸収層とポテンシャル井戸との間に配設されてもよいということを意味する。例えば、ある場合には、図1に示されないが、1つ以上の介在層を第1の光吸収層130とポテンシャル井戸140との間に配設することができる。
【0039】
ある場合には、光吸収層は、II〜VI族半導体など、無機半導体などの半導体を含んでもよい。例えば、吸収層130及び131の1つ以上は、Cd(Mg)ZnSe半導体合金を含むことができる。
【0040】
ある場合には、光吸収層は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光するフォトンのエネルギーE1よりも小さいバンドギャップエネルギーEabsを有する。このような場合、光吸収層は、エレクトロルミネッセンスデバイスにより発光される光を強く吸収するなど、吸収することができる。ある場合には、光吸収層は、ポテンシャル井戸140の遷移エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する。このような場合、光吸収層は、ポテンシャル井戸が第2の波長λ2で再発光する光181に対して実質的に光学的に透過性である。
【0041】
ある場合には、第2の光吸収層131などの光吸収層は、第2の波長λ2で発光する光181のフォトンエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する。このような場合、光吸収層は、光181の少なくとも一部を吸収することができる。このような場合、吸収された光の少なくとも一部を第3の長波長λ3の光に下方変換することができる。
【0042】
ある場合には、半導体光変換構成体115中の少なくとも1つの光吸収層は、ドーパントによりドープされる。光吸収層がCd(Mg)ZnSe合金を含むときのような場合には、ドーパントは、VII族n−型ドーパントであることができる。ある場合には、ドーパントは、塩素又はヨウ素を含むことができる。ある場合には、ドーパントの数密度は、約1017cm−3〜約1018cm−3の範囲にある。他の例示のドーパントはAl、Ga、In、F、Br、I及びNを含む。
【0043】
例示の半導体光変換構成体115は、2つの光吸収層130及び131を含む。一般に、半導体光変換構成体は、ゼロ、1つ、2つ、又は2つ以上の吸収層を有することができる。ある場合には、半導体光変換構成体115は、異なるバンドギャップエネルギーを有する、少なくとも2つの、又は少なくとも3つの、又は少なくとも4つの光吸収層を有することができる。
【0044】
一般に、光吸収層は、光吸収層中の光生成キャリアがポテンシャル井戸まで拡散する妥当な機会を有するように、対応するポテンシャル井戸に充分に密接している。半導体多層スタックが光吸収層を含まない場合には、ポテンシャル井戸は、第1の波長λ1で実質的に光吸収性であることができる。
【0045】
第1のウインドウ120及び第2のウインドウ121は、主として、吸収層及び/又はポテンシャル井戸中で光生成する、電子空孔対などのキャリアに構成体115中で自由表面又は外部表面まで移動する機会を、全く又は殆ど与えないために、バリアを提供するように設計される。例えば、第1のウインドウ120は、主として、第1の吸収層130で発生するキャリアが表面123まで移動してキャリアが非輻射的に再結合できないように設計される。ある場合には、ウインドウ120及び121は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光するフォトンのエネルギーE1よりも大きい、バンドギャップエネルギーEwを有する。このような場合、ウインドウ120及び121は、エレクトロルミネッセンスデバイス110が発光する光、及び、ポテンシャル井戸140が再発光する光、に対して実質的に光学的に透過性である。
【0046】
例示の半導体光変換構成体115は2つのウインドウを含む。一般に、光変換構成体は、ゼロ、1つ又は2つのウインドウを有することができる。例えば、ある場合には、半導体光変換構成体115は、エレクトロルミネッセンスデバイス110とポテンシャル井戸140との間に、又はエレクトロルミネッセンスデバイス110と吸収層130との間に配設される、単一のウインドウを有することができる。
【0047】
ある場合には、半導体光変換構成体115中の2つの隣接する層間の境界面の位置は、明確な(well-defined)又ははっきりとした(sharp)境界面であってもよい。層内の材料組成が厚さ方向に沿った距離の関数として変化する場合などには、2つの隣接する層間の境界面は、明確でなくてもよく、例えば段階的な領域を規定する段階的な境界面であってもよい。例えば、ある場合には、第1の吸収層130及び第1のウインドウ120は、同一であるが、材料濃度が異なる、材料成分を有することができる。このような場合、吸収層の材料組成は、ウインドウ層の材料組成に応じて漸次変化し、2層間の段階的な境界又は領域を生じる。例えば、両方の層がMgを含む場合では、Mgの濃度は吸収層からウインドウへ段階的に移るときに増加していてもよい。
【0048】
第2のウインドウ121は、波長λ2を含む対象の波長領域中で屈折率n1を有する。ある場合には、λ1はUV又は青色波長であり、λ2は約420nm〜約650nmの範囲の可視波長である。このような場合、n1は、スペクトルの可視域中の屈折率であることができる。ある場合には、n1は、波長λ2での、又はその近くの波長での屈折率である。
【0049】
例示の半導体光変換構成体115中で、第2のウインドウ121は、ポテンシャル井戸140上に配設され、半導体光変換構成体の外側層121及び最外側層を光変換器118中で形成する。構造化された層150は、例えば、λ2での屈折率n2を有し、外側層又は第2のウインドウ121上に直接に配設される。屈折率n2は、第2のウインドウ121の屈折率n1よりも小さい。ある場合には、n1とn2との差は、少なくとも0.2、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.4、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.6、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.8、又は少なくとも0.9である。
【0050】
構造化された層150は、構造体151〜154などの複数の構造体を含む。複数の構造体中の一部の構造体は、構造体151と152のように、離散したものであることができる。一部の構造体は、ベース155を通じて相互に連結した構造体153及び154のように、ベースを通して連結したものであることができる。構造化された層150は、開口101及び102など、第2のウインドウ121を露出させる、複数の開口を含む。
【0051】
ある場合には、構造化された層150は、第2の波長λ2で実質的に光学的に透過性である。例えば、このような場合、構造化された層の波長λ2での全光学的透過率は、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0052】
ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、構造体の規則的な配列物を形成する。ある場合には、構造体は、第2のウインドウ121の最上表面125にわたってランダムに配置される。ある場合には、構造化された層150は、例えば、ワッフル模様に類似した、構造体の少なくとも一部の間で開口を持つ複数又は配列した連結した構造体を含む連続層である。
【0053】
ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、複数の離散した構造体を形成する。例えば、ある場合には、構造化された層は、複数の粒子を含むことができる。例えば、図3中の構造化された層350は、粒子351及び352などの複数の粒子を有する。ある場合には、粒子は、実質的にミクロ粒子又はナノ粒子である。例えば、このような場合、粒子の平均の大きさは、2000nm以下、又は1500nm以下、又は1000nm以下、又は750nm以下である。構造化された層350中の粒子は、規則的又は不規則な形状など任意の形状も有することができる。
【0054】
ある場合には、図1中の構造化された層150は、粒子の実質的な区分が実質的に球形である、複数の粒子を含む。例えば、このような場合、粒子の最小寸法に対する最大寸法の比率は、1.3以下、又は1.25以下、又は1.2以下、又は1.15以下、又は1.1以下である。
【0055】
ある場合には、構造化された層150は、パターン形成可能な又は光パターン形成可能な有機材料などの有機材料又はフォトレジストなどのポリマーを含むことができる。ある場合には、構造化された層150は、ポリスチレン微小球などのポリスチレンを含むことができる。ある場合には、構造化された層150は、金属酸化物又はガラスなどの無機材料を含むことができる。無機材料の例には、SiO2、GeO2、Al2O3、MgF2、及びシリケートガラスが挙げられる。
【0056】
ある場合には、構造化された層150は、最上表面125にわたって密に充填された構造体の単層又は一層を含むことができる。ある場合には、構造化された層150は、構造体の下位単層を包含することができ、これは構造体が密に充填されていないということ、及び/あるいは、構造体を全く含まない若しくは極めて僅かしか含まない構造体の名目の又は平均の大きさよりも実質的に大きい領域が存在するということを意味する。このような場合、下位単層の構造化された層150中の空き領域は、単一粒子などの単一構造体の平均の大きさよりも実質的に大きくなることができる。
【0057】
ある場合には、構造化された層150は、構造体の多層を含むことができる。例えば、図4は、粒子451の多層を含む第2のウインドウ121上に直接に配設された構造化された層450の概略側面図である。構造化された層は、連続的なオーバーコート460によりコーティングされ、カプセル化層470はオーバーコートを被覆する。
【0058】
構造化されたオーバーコート160は、構造化された層150の少なくとも一部の上、及び、ウインドウが構造化された層150中の開口を通して露出される領域中の第2のウインドウ121の一部の上に直接に配設される。オーバーコート160は、例えば、第2の屈折率n2よりも大きい、波長λ2での第3の屈折率n3を有する。ある場合には、n3はn1よりも小さい。ある場合には、n3はn1よりも大きい。ある場合には、n3とn2との差は、少なくとも0.2、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.4、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.6、又は少なくとも0.7、又は少なくとも0.8、又は少なくとも0.9である。
【0059】
ある場合には、オーバーコート160は、そうでなければ第2のウインドウの表面125で全内部反射されることになる光181を抽出することができる。このような場合、オーバーコートは、半導体光変換構成体115からの第2の波長λ2の光181の抽出を増強する。
【0060】
ある場合には、構造化されたオーバーコート160の外側表面162は、構造化された層150の外側表面161と実質的に一致する。例えば、ある場合には、真空堆積法を用いて、オーバーコート160を構造化された層150上に配設することができる。このような場合、外側表面162は、外側表面161に一致することができる。ある場合には、構造化されたオーバーコートの平均の厚さは、構造化された層150中の構造体の平均の大きさ以下である。ある場合には、オーバーコート160の平均の厚さは、1000nm以下、又は800nm以下、又は700nm以下、又は600nm以下、又は500nm以下、又は400nm以下である。
【0061】
ある場合には、オーバーコート160は、第2の波長λ2で実質的に光学的に透過性である。例えば、このような場合、波長λ2でのオーバーコートの全光学的透過率は、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0062】
ある場合には、オーバーコート160は、例えば、1つ以上のアイランドを含むことにより、不連続層であることができる。例えば、図2で、構造化された層250は、第2のウインドウ121上に直接に配設され、構造体251と252との間の開口255を規定する。オーバーコート260は、構造化された層250上に、及び空き領域中では、第2のウインドウ121上に直接に配設され、空いていてかつ露出された領域255中にアイランド261を形成する。ある場合には、オーバーコート160は、連続層であることができる。例えば、図3中、構造化された層350上に直接に配設されたオーバーコート360は、連続層を形成する。
【0063】
ある場合には、オーバーコート160は、半導体、金属酸化物又はセラミックを含むことができる。ある場合には、オーバーコートは、Si3N4、シリコンオキシナイトライド、シリケート、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdS、CdSe、CdSSe、ITO、TiO2、ZrO2、Ta2O5、及びHfO2の少なくとも1つを含むことができる。
【0064】
カプセル化層170は、オーバーコート160上に配設され、半導体ルミネッセンス要素105をカプセル化し、例えば、環境中の水分から要素を保護する。ある場合には、カプセル化層は、例えば、半導体ルミネッセンス要素を出るときの光181を平行化するための屈折力などの光学的機能を有することができる。
【0065】
エレクトロルミネッセンスデバイス110は、電気信号に応じて発光する能力のある任意のデバイスであることができる。例えば、エレクトロルミネッセンスデバイスは、電流に応答してフォトンを発する能力のある発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオードであることができる。LEDエレクトロルミネセントデバイス110は、用途において望ましい可能性のあるいかなる波長でも光を発光することができる。例えば、LEDは、UV波長、可視波長、又はIR波長で光を発光することができる。場合によっては、LEDは、UVフォトンを放出可能な短波長LEDとすることができる。一般に、LEDは、Si若しくはGeなどのIV族元素、InAs、AlAs、GaAs、InP、AlP、GaP、InS(登録商標)b、AlSb、GaSb、GaN、AlN、InNなどのIII〜V化合物、並びにAlGaInP、AlGaInNなどのIII〜V化合物の合金;ZnSe、CdSe、BeSe、MgSe、ZnTe、CdTe、BeTe、MgTe、ZnS、CdS、BeS、MgSなどのII〜VI化合物、及びII〜VI化合物の合金、又は、以上に列挙した化合物のいずれかの合金といった、有機半導体又は無機半導体などの任意の好適な材料から構成することができる。
【0066】
ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、1つ以上のp型及び/又はn型半導体層、1つ以上のポテンシャル井戸及び/又は量子井戸を含み得る1つ以上の活性層、緩衝層、基板層、並びに単板層を含むことができる。ある場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、III〜V族LEDなどのIII〜V族半導体光源であることができ、AlGaInN半導体合金を含んでもよい。例えば、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、GaNベースのLEDであることができる。別の例として、エレクトロルミネッセンスデバイス110は、ZnOベースのLEDなどのII〜VI族LEDであることができる。
【0067】
開示される構成体の利点の一部を、以下の実施例によって更に説明する。この実施例で列挙される特定の材料、量及び寸法、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0068】
(実施例1):
図1の光変換器118に類似した半導体光変換構成体を作製した。表Iに相対的な層の順番と、異なる層に対する材料組成及び厚さの見積もり値を要約する。
【0069】
【表1】
【0070】
最初に、GaInAs緩衝層をInP基板上に分子線エピタキシー法(MBE)により成長させて、II〜VI成長のための表面を調製した。続いて、光変換用のII〜V族エピタキシャル層を成長させるために、構成体を超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへ移動させた。変換器118は、4つのCdZnSe量子井戸140を含んだ。それぞれの量子井戸140を、GaInNベースのレーザーダイオードが発光する440nmの青色光を吸収することができるCdMgZnSe吸収層、130と131との間にサンドイッチした。
【0071】
構成体をガラス顕微鏡スライドに接着剤で取り付けた後、InP基板を3HCl:1H2Oの溶液により除去した。エッチング剤はGaInAs緩衝層(層#2)で停止した。30mLの水酸化アンモニウム(30重量%)、5mLの過酸化水素(30重量%)、40gのアジピン酸、及び200mLの水の攪拌した溶液中で緩衝層を引き続いて除去して、顕微鏡スライドに付着したII〜VI光変換器118のみを残した。
【0072】
(実施例2):
構成体を構成体のウインドウ側からλin=440nmの青色光を発光するレーザーダイオードにより照射した場合の、実施例1で作製した構成体の外部量子効率(EQE)を計算した。測定された再発光波長はλout=539nmであった。EQEを式(Pout/Pin)×(λin/λout)から計算した。式中、Pinは入射エネルギーであり、Poutは構成体を出る、変換された光の出射エネルギーであった。計算されたEQEは23%であった。
【0073】
(実施例3):
実施例1で作製した構成体の吸収層側をSiO2ナノ粒子によりコーティングして、構造化された層150に類似する構造化された層を得た。粒子は、約440nmの平均直径を有し、Nissan Chemical America Corporation(Houston,Texas)から入手した。粒子を1−メトキシ−2−プロパノール中で5重量%固体含量まで分散した。ディップコーティング法を約65mm/分の速度で用いて、溶液を構成体上にコーティングした。第1のこのような試料(試料A)を1回ディップコーティングした。第2のこのような試料(試料B)を数回ディップコーティングした。図5A及び5Bは、それぞれ試料A及びBの側面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。実施例2で述べた方法を用いて、試料A及びBのEQEをそれぞれ30.7%及び38.2%であると計算した。
【0074】
(実施例4):
プラズマ増強化学蒸着(PECVD)法を用いて、実施例3からの試料A及びBをSi3N4オーバーコートによりコーティングして、オーバーコートされた試料A1及びB1をそれぞれ得た。オーバーコートの厚さは約300nmであり、Si3N4の屈折率は約1.8であった。図6A及び6Bは、オーバーコートされた試料A1及びB1の側面のSEM像である。実施例2で述べた方法を用いて、試料A1及びB1のEQEをそれぞれ41.2%及び41.5%であると計算した。1回粒子ディップコートした試料の場合、Si3N4オーバーコートの追加は、EQEを30.7%から41.2%まで増加させ、約34%の増加であった。多数回の粒子ディップコートを行った試料の場合、Si3N4オーバーコートの追加は、EQEを38.2%から41.5%まで増加させ、約8.6%の増加であった。
【0075】
(実施例5):
実施例3で述べた方法を繰り返して、新しい試料C(1回ディップ)を作製した。実施例2で述べた方法を用いると、試料Cの計算されたEQEは33.45%であった。
【0076】
次に、真空昇華法を用いて、試料CをZnSによりオーバーコートし、オーバーコート試料C1を得た。オーバーコートの厚さは約400nmであり、ZnSオーバーコートの屈折率を2.4であると見積もった。図7は、試料C1の側面のSEM像である。実施例2で述べた方法を用いると、試料C1の計算されたEQEは45.13%であった。したがって、ZnSオーバーコートの追加はEQEを33.45%から45.13%まで増加させ、約34.9%の増加であった。
【0077】
(実施例6):
実施例3で述べた方法を繰り返して、新しい試料D1〜D4を作製した。実施例2で述べた方法を用いると、試料D1〜D4の計算されたEQEは、それぞれ22.1%、19.93%、21.25%、及び25.7%であった。次に、実施例3で述べた方法を用いて、SiO2粒子の単層により異なるディップ速度で試料をコーティングした。試料D1〜D4に対して得られる見積りパーセント面積被覆率は、それぞれ、30%、40%、50%、及び70%であった。得られた試料に対する計算されたEQEは、それぞれ29.47%、33.45%、31.76%、及び41.5%であった。したがって、SiO2粒子の追加は試料D1〜D4のEQEをそれぞれ33%、68%、49%、及び61%増加させた。
【0078】
図8は、フォトンエネルギーE1を有する第1の波長λ1の光850を発光するLEDなどの光源810と、第1の波長の光の少なくとも一部をフォトンエネルギーE2を有するλ2の光に変換するための半導体光変換構成体815を含む発光システム800の概略側面図である。
【0079】
半導体光変換構成体815は、光変換器818、構成体818上に直接に配設された構造化された層150、及び構造化された層上に配設された構造化されたオーバーコート160などのオーバーコート160を含む。
【0080】
光変換器818は、光源810に面する第1のウインドウ120と、第1、第2、第3及び第4のポテンシャル井戸840、841、842及び843と、4つのポテンシャル井戸を囲む第1、第2、第3、第4及び第5の光吸収層830、831、832、833及び834と、補助的な光吸収層870と、を含む。
【0081】
光吸収層830〜834は、光吸収層130及び131に類似し、光850の少なくとも一部を吸収し、結果として光生成電子空孔対などの光生成キャリアを生じさせ、光生成キャリアは、光吸収層からポテンシャル井戸840〜843まで拡散又は移動し、再結合し、第2の波長λ2に光を発光する。光吸収層830〜834は、光生成キャリアがキャリアを再結合し、第2の波長λ2の光852を発光するためにポテンシャル井戸に効率的に拡散することができるように、ポテンシャル井戸に近接して配置される。ある場合には、光吸収層830〜834は、例えばポテンシャル井戸840〜843よりも低い屈折率を第2の波長で有する。
【0082】
ある場合には、光850の一部は、吸収層830〜834及び/又はポテンシャル井戸840〜843により吸収されず、吸収層とポテンシャル井戸により光851として透過される。例えば、ある場合には、発光850は、図9で概略的に示す、水平軸が波長であり、垂直軸が任意単位の強度である、強度スペクトル910を有することができる。このような場合、波長λ1は、ピーク強度Ioを有するピーク発光波長であることができ、光吸収層830〜834のバンドギャップ波長は、例えば、λabsにおいてλ1よりも充分に大きくなることができ、光850の実質的な部分が吸収層により吸収される。ある場合には、λabsは充分に小さく、ポテンシャル井戸まで拡散する光生成キャリア対に対して高い温度でも充分な閉じ込めを提供する。このような場合、図9でλabsの右に位置するスペクトル910のテール端に概ね対応する光850の一部は、吸収層830〜834及び/又はポテンシャル井戸840〜843により吸収されず、吸収層とポテンシャル井戸により第1の波長の光851として透過される。このような場合、補助的な光吸収層870は、他の層により吸収されない残存する光又は残余の光851を吸収することができる。ある場合には、補助的な光吸収層870のバンドギャップ波長λlbは、λabsよりも充分に大きく、光851の本質的に全部は補助的な光吸収層により吸収される。このような場合、発光システム800の出力光860は、本質的にλ2にあり、λ1で光量を全く、又は極めて僅かしか持たない。このような場合、補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層830〜834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さい。例えば、図10は、図8からの光変換器818の概略のバンドダイヤグラムであり、小さいElbと大きいEabsを示す。図10中、Ec及びEvは、それぞれ、伝導帯と価電子帯を表す。出力光860の光強度を最適化するのが望ましい場合などでは、補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、図10に示すように、ポテンシャル井戸840〜843の遷移エネルギーEpwよりも大きい。このような場合、Elbは、λ2でのフォトンのエネルギーE2よりも大きい。
【0083】
補助的な光吸収層870のバンドギャップエネルギーが第5吸収層834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さいなどの場合には、補助的な光吸収層870の波長λ2での屈折率は、光吸収層834の屈折率よりも大きい。このような場合、光変換器818中でウエーブガイド又はトラップされたλ2での光学モードの電場は、構造化された層150に向かって移動する。これは、構造化された層150及び/又はオーバーコート160の中に更に延びる光学モードのエバネッセントテールを生じさせることができ、翻って、構造化された層とオーバーコートによる光852の増進された抽出をもたらす。
【0084】
ある場合には、ポンプ光源810(図8及び9を参照)は、第1の波長λd及びより長い第2の波長λeで発光する。第1の波長は、ある場合には、ポンプ光源のピーク発光波長λ1であることができる。光吸収層830〜834は、波長λdの光を吸収する能力がある。しかし、光吸収層は、λeが光吸収層のバンドギャップ波長λabsよりも長いために、波長λeの光を吸収する能力がない。ある場合には、光吸収層は、光850の実質的な部分を吸収することができる。例えば、このような場合、光吸収層は、光850の少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を吸収する能力がある。ポテンシャル井戸840〜843は、光吸収層により吸収される光の少なくとも一部をより長い波長の出力光860に変換する。補助的な光吸収層870は、第1の波長λd及び第2の波長λeの光を吸収する能力があり、光源810により発せられる残余の光を吸収する。
【0085】
ある場合には、半導体光変換構成体815は、補助的な光吸収層870からの光を抽出するのに、構造化された層150及びオーバーコート160中の構造体以外の、又はそれに追加される手段を含むことができる。例えば、補助的な光吸収層の最上表面をパターン化又はテクスチュア化、例えば粗化、することにより、光を抽出することができる。別の例として、補助的な光吸収層の外部表面上にフォトニック結晶を形成することにより、光を抽出することができる。代表的なフォトニック結晶は、例えば、米国特許第6,987,288号及び同第7,161,188号に記載されている。ある場合には、補助的な光吸収層の出力表面上に光学的要素を形成することにより、光を抽出することができ、ここで、光学的要素は、いかなる要素であることができ、そうでなければ、例えば、内部全反射により補助的な光吸収層から出られない、光の少なくとも一部を抽出する能力のある任意の形状を有することができる。例示の光抽出器は、例えば、同一所有者の米国特許出願公開第2007/0284565号、2006年11月17日出願の同一所有者の米国特許仮出願番号60/866,265、及び2006年6月12日出願の同一所有者の米国暫定特許出願番号60/804,544で述べられている。
【0086】
ある場合には、光吸収層834及び補助的な光吸収層870の少なくとも1つは、組成漸変材料であることができる。このような場合、吸収層の厚さ方向に沿った少なくとも1つの場所における補助的な光吸収層870のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層834の最小のバンドギャップエネルギーよりも小さい。例えば、図11は、一定のバンドギャップエネルギーEabsと線形組成漸変型の補助的な光吸収層1130を持つ光吸収層1120を含む、光変換器1100の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層870のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さい。ある場合には、層の厚さ方向に沿った少なくとも1つの場所における補助的な光吸収層870のλ2での屈折率は、光吸収層834のλ2での最大の屈折率よりも大きい。
【0087】
一般に、光変換器818中の、補助的な光吸収層870と、光吸収層830〜34などの光吸収層は、出願において実行可能及び/又は望ましい、いかなる形状のバンドダイヤグラムも有することができる。例えば、図12は、ポテンシャル井戸1210と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1220と、線形組成漸変型のバンドギャップを有する補助的な光吸収層1230と、を含む、光変換器818に類似の光変換器1218の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層1230のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1210の遷移エネルギーEtrよりも大きい。
【0088】
別の例として、図13は、ポテンシャル井戸1310と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1320と、埋め込まれたポテンシャル井戸又は量子井戸1360を含む一定のバンドギャップエネルギーElbを持つ補助的な光吸収層と、を含む、光変換器1318の概略のバンドダイヤグラムである。バンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1310の遷移エネルギーEtrよりも大きい。更に別の例として、図14は、ポテンシャル井戸1410と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1420と、ポテンシャル井戸又は量子井戸1460を含む、曲がったバンドダイヤグラムを持つ補助的な光吸収層1430と、を含む、光変換器1418の概略のバンドダイヤグラムである。補助的な光吸収層は、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1410の遷移エネルギーEtrよりも大きい、場所「X」でバンドギャップエネルギーElbを有する。
【0089】
ある場合には、図8中の光変換器層818は、光生成キャリアが例えば光変換器の外側表面若しくは内側領域まで移動又は拡散するのを防止するために、ウインドウ120などの、又はそれに追加した1つ以上のキャリアブロック層を含むことができる。例えば、図15は、光吸収層1520中のキャリアが補助的な光吸収層1530まで拡散するなど、移動するのをブロックするために、ポテンシャル井戸1510と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1520と、一定のバンドギャップエネルギーElbを持つ補助的な光吸収層1530と、層1520と1530との間に配設された一定のバンドギャップエネルギーEcbを持つキャリアバリア層1540と、を含む、光変換器1518の概略のバンドダイヤグラムである。バンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1510の遷移エネルギーEtrよりも大きい。別の例として、図16は、例えば、ポテンシャル井戸1610及び光吸収層1620中でキャリアが補助的な光吸収層1630まで移動するのをブロックするために、ポテンシャル井戸1610と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1620と、補助的な光吸収層1630及びキャリアバリア層1640を含む組成線形漸変領域1670と、を含む、光変換器1618の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1610の遷移エネルギーEtrよりも大きい。更に別の例として、図17は、例えば光吸収層1720及び/又は補助的な光吸収層1730中のキャリアが例えば図示していない光変換器1718の出力表面まで移動するのをブロックするために、ポテンシャル井戸1710と、一定のバンドギャップエネルギーEabsを持つ光吸収層1720と、補助的な光吸収層1730及びキャリアバリア層又はウインドウ1740を含む非線形組成傾斜型領域1770と、を含む、光変換器1718の概略のバンドダイヤグラムである。場所「X」における補助的な光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsよりも小さく、ポテンシャル井戸1710の遷移エネルギーEtrよりも大きい。
【0090】
(実施例7):
図1の光変換器118に類似した半導体光変換構成体を作製した。表IIに相対的な層の順番と、異なる層に対する材料組成、厚さ、バルクバンドギャップエネルギー、及び屈折率の見積もり値を要約する。
【0091】
【表2】
【0092】
最初に、GaInAs緩衝層をInP基板上にMBEにより成長させて、II〜VI成長のための表面を調製した。続いて、光変換用のII〜V族エピタキシャル層を成長させるために、構成体を超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへ移動させた。変換器118は、4つのCdZnSe量子井戸140を含んだ。それぞれの量子井戸140を、GaInNベースのレーザーダイオードが発光する440nmの青色光を吸収することができるCdMgZnSe吸収層の間にサンドイッチした。
【0093】
構成体をガラス顕微鏡スライドに接着剤で取り付けた後、InP基板を3HCl:1H2Oの溶液により除去した。エッチング剤はGaInAs緩衝層(層#2)で停止した。30mLの水酸化アンモニウム(30重量%)、5mLの過酸化水素(30重量%)、40gのアジピン酸、及び200mLの水の攪拌した溶液中で緩衝層を引き続いて除去して、顕微鏡スライドに付着したII〜VI光変換器118のみを残した。
【0094】
得られた構成体をウインドウ側からGaInN青色ポンプLEDにより照射することができ、453nmでのピーク発光と、図9のスペクトル910に類似のスペクトルを得る。構成体の再発光される出力光は、量子井戸に対する2.305eVの遷移エネルギーに対応する、538nmのピーク発光を有することができる。表IIに示すように、光吸収層は、スペクトル910において481nmの波長λabsに対応する、2.578eVのバンドギャップエネルギーを有するものであった。λabsの左側のスペクトル910の下の領域に対応する入射光の約96%は、吸収層により吸収可能であり、λabsの右側の領域に対応する残余の4%は、補助的な光吸収層により吸収可能である。
【0095】
構成体のキャリア閉じ込めエネルギー(ポテンシャル井戸の全深さ)は0.273eV(2.578〜2.305)であった。この構成体に類似であるが、補助的な光吸収層と同一の材料を有する光吸収層を持つ構成体は、本質的に全部のポンプ光を吸収するが、0.185eV(2.490〜2.305)の低下した閉じ込めエネルギーを有する。結果として、光吸収層と補助的な光吸収層の複合使用は、閉じ込めエネルギーを0.185eVからto0.273eVまで増加させ、ほぼ48%の増加であり、一方補助的な光吸収層は約4%の入射ポンプ光を吸収するのみであった。
【0096】
図1に戻って、異なるシステムパラメーターの関数としての構造化された層150及びオーバーコート160の抽出効率を、光学的構成体1800(図18に側面図を概略示す)に対して数値解析した。光学的構成体は、基板1810と、基板1810の最上表面1812上に直接に配列された球形粒子1855の正方形アレイを含む構造化された層1850と、基板の構造化された層及び露出された領域上に直接に配設されたオーバーコート1820と、を含んだ。基板の屈折率n1は2.646であった。粒子1855の直径Dは200nmであり、粒子の屈折率n2は、例えば、SiO2粒子に対応する1.45であった。隣接粒子の間の間隔Pは500nmであった。粒子は、基板1810の最上表面1812の50%を被覆した。オーバーコートに対しては、ランド厚さt1は100nmであり、寸法t2及びt3はそれぞれ100nmであり、t4は300nmであった。数値シミュレーション時にオーバーコートの屈折率n3を変えた。
【0097】
光源1805を基板の底部表面1814に配置し、540nmの均一な光1807を発光させた。光学的構成体1800の抽出効率をモデル化し、有効な二次元時間領域差分法(FDTD)を用いて、数値計算した。抽出効率を発光した入射光1807のパワーに対する出力光1840のパワーの比として定義した。構造化された層及びオーバーコートが不在の場合、抽出効率は16.4%であった。
【0098】
図20は、構造化された層及び構造化されたオーバーコートが存在する場合のn3の関数としての光学的構成体1800の抽出効率を示す。空気オーバーコート(図20の点P1に対応するn3=1)に対する抽出効率は19.2%であった。したがって、オーバーコート無し(又は空気)の場合には、粒子は、抽出効率を16.4%から19.2%に増加させ、約17.1%の増加であった。SiO2オーバーコートに対応する点P2(n3=1.45)における抽出効率は、19.8%であり、オーバーコート無しよりも約20.7%の増加であった。図20の点P3〜P5は、それぞれ、Si3N4、ZnS、及びZnSeオーバーコートに対応する。抽出効率は、概ね、領域Q1の線L1、領域Q2の線L2、及び領域Q3の線L3に従う。領域Q2の線L2は、オーバーコート屈折率n3が約2.0〜約2.7の範囲にあり、線L1及びL3よりも大きい勾配を有することに対応する。領域Q2は、構造化されたオーバーコート屈折率への抽出効率の依存性が大きいことを示す。
【0099】
ある場合には、オーバーコート170を施す前に構造化された層150を改変することができる。例えば、ある場合には、構造化された層をオーバーコート170によりコーティングする前に構造化された層150中の構造体の少なくとも一部の形状及び/又は大きさを改変することができる。図21A〜21Cを参照しながら、一つのこのような例示の方法を述べる。図21Aは、半導体基板2110と、半導体基板上に直接に配設された構造化された層2120と、を含む、光学的構成体2100の概略の側面図である。基板は、例えば、図1の第2のウインドウ121又は図8の補助的な吸収層870に類似であることができる。ある場合には、基板2120は、多層、例えば補助的な吸収層870に類似であることができる層であることができる。
【0100】
構造化された層2120は、例えば、図1の構造化された層150に類似であることができる。構造化された層2120は、基板2110上に直接に配設された複数の離散した粒子2122を含む。ある場合には、粒子2122は、ポリマー系など有機であることができる。例示のポリマーには、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(PP))、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー及びエポキシなどが挙げられる。
【0101】
粒子2122は、基板2110の最上表面2126上に単層を形成する。単層は、空き領域2124などの空き領域を含み、基板の最上表面を露出する。ある場合には、粒子をエッチング剤に曝露することにより、粒子の大きさを収縮又は低減させることができる。例えば、エッチング剤により、それぞれの粒子の一部を除去して、より小さな又は収縮した粒子を得ることができる。例示のエッチング方法には湿式又は乾式化学エッチング、及び反応性イオンエッチングが挙げられる。ある場合には、粒子はポリスチレンであり、エッチング方法は酸素プラズマ又は反応性イオンエッチングである。
【0102】
ある場合には、粒子を充分な熱に曝露することにより、粒子2122をリフローさせる。例えば、ポリマー粒子2122を粒子の融点又はその近傍の温度でリフローさせることができる。ある場合には、エッチング剤及び熱を粒子に同時に適用して、粒子の少なくとも一部を収縮させ、リフローさせることができる。ある場合には、エッチング工程は熱を発生し、若干の熱を加えるか、又は追加の熱なしで粒子をリフローさせることができる。
【0103】
ある場合には、構造体2122の平均の大きさは、構造体の表面密度を実質的に決定することができ、エッチング時間などのエッチングの量は、エッチング工程後の構造体(構造体2132)によるパーセント面積被覆率を決定することができる。ある場合には、所望の表面構造体密度及びパーセント表面被覆率に基づいて、必要とされる初期の平均の構造体の大きさ及びエッチング量を計算、又は決定することができる。例えば、所定の所望の粒子密度に対しては、平均の粒子直径Rを求めることができ、所定の所望のパーセント面積被覆率に対しては、実験データに基づいて、例えばエッチング時間などのエッチングパラメーターを求めることができる。次に、例えば、平均直径Rを持つ密充填した粒子の単層を表面に施して、所望の表面粒子密度を得る。次に、予め決められたエッチングパラメーターにしたがって粒子をエッチングして、エッチングされた粒子により所望のパーセント表面被覆率を得ることができる。ある場合には、粒子をオーバーコートすることができる。
【0104】
ある場合には、所望の最終のパーセント表面被覆率を得るために、第1の複数の構造体を最上表面2126上に配設して、所望の最終のパーセント面積被覆率よりも大きい初期のパーセント面積被覆率を得る。次に、構造体の少なくとも一部を充分に収縮させて、初期のパーセント面積被覆率を所望の最終のパーセント面積被覆率まで縮小することができる。ある場合には、構造体の少なくとも一部をリフローすることができる。ある場合には、次に、構造体をオーバーコートによりコーティングして、収縮させた構造体と、未被覆領域中の最上表面を被覆する。
【0105】
充分な熱と、1つ以上のエッチング剤にかけた後、光学的構成体2100を図21Bで概略的に示した光学的構成体2150に改変する。特に、層2120中の粒子2122を部分的にエッチングし、リフローした後で、構造化された層2120を構造化された層2130に変化又は改変する。構造化された層2130は、対応する粒子2122よりも小さく、熱への曝露によりリフロー済の粒子2132を含む。リフロー後、粒子2132は平坦な底部2134を有する。ある場合には、粒子2132は、ドーム状又は円錐状である。ある場合には、リフロー及び粒子の収縮の工程を同一の時間又は同時に行うことができる。ある場合には、2つの工程を順次行うことができる。例えば、粒子の大きさをエッチング剤により縮小し、続いて加熱工程を行って、エッチングされた粒子をリフローすることができる。
【0106】
ある場合には、複数の粒子による基板2110の最上表面2126のパーセント被覆率は、エッチング剤及び熱を粒子に適用した後に減少する。例えば、このような場合、粒子2122は、図21Aの最上表面2126の第1のパーセントを被覆し、粒子2132は、図21Bの最上表面2126の第2のパーセントを被覆し、ここで、第2のパーセントは第1のパーセント未満である。
【0107】
ある場合には、収縮工程は、粒子の平均の側面大きさなどの平均の大きさを少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%縮小することができる。ある場合には、複数の構造体による基板の最上表面のパーセント面積被覆率は、収縮工程の後減少する。例えば、このような場合、パーセント面積被覆率は、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%減少し得る。
【0108】
ある場合には、光学的構成体2150をオーバーコート2160によりコーティングして、図21Cに概略的に示す光学的構成体2180を得る。オーバーコート2160は、複数の粒子2132と、空き領域2124などの空き領域中の基板2110の最上表面を被覆する。
【0109】
基板2110は、例えばスペクトルの可視領域において屈折率n1を有し、構造化された層2130中の粒子2132は屈折率n2を有し、オーバーコート2160は屈折率n3を有する。ある場合には、n2はn1未満である。例えば、このような場合、基板2110は、約2〜約2.7、又は約2〜約2.5の範囲の屈折率を有する半導体材料を含み、粒子2132は、約1.5〜約1.8の範囲の屈折率を有するポリマーを含む。ある場合には、n3はn1よりも大きい。例えば、このような場合、基板2110は、約2〜約2.3の範囲の屈折率を有する半導体材料を含み、オーバーコート2160は、約2.3〜約2.7の範囲の屈折率を有する異なる半導体を含む。
【0110】
(実施例8):
実施例1で述べた方法を用いて、半導体光変換構成体を作製した。構成体の計算されたEQEは15.29%であった。構成体の吸収層側をポリスチレン(PS)微小球によりコーティングして、図21Aの構造化された層2120に類似の構造化された層を得た。微小球は約1000nmの平均直径を有し、これをVWR Scientific Products(South Plainfield,NewJersey)から入手した。微小球の屈折率は約1.59であり、構成体中の吸収層の屈折率は約2.6であった。微小球をH2O中10重量%固体含量まで分散した。約200rpmの速度で約20秒間、続いて約5000rpmの速度で約5秒間スピン−オンコーティング法を用いて、溶液を吸収層の最上表面(図21Aの最上表面2126)に塗布した。図22Aは、得られた試料のSEM像であり、密充填の球形PS粒子を光変換構成体の最上表面上に示す。微小球による最上表面の面積被覆率は約90%であり、得られた試料の計算されたEQEは22.9%であった。したがって、PS粒子は、EQEを15.29%から22.9%まで増加させ、約49.8%の増加であった。次いで、試料を酸素プラズマ(6mT、80WのRFパワー、及び1200Wの誘導結合プラズマパワー)中でエッチングして、リフローし、粒子の大きさを縮小した。粒子による得られた表面被覆率は約64%であった。したがって、エッチング工程は、パーセント面積被覆率を約90%から約64%まで低下させた。図22Bは得られた試料のSEM像である。粒子は円錐状又はドーム状であり、平らな底部を有した。得られた試料の計算されたEQEは、27.8%であった。次に、真空蒸着法を用いて、試料をZnSによりオーバーコートした。オーバーコートの厚さは約400nmであり、ZnSオーバーコートの屈折率は約2.4であった。図22Cは得られた試料のSEM像である。得られた試料の計算されたEQEは、37.8%であった。したがって、ZnSオーバーコートの追加は、EQEを27.8%から37.8%まで増加させ、約36%の増加であった。
【0111】
(実施例9):
実施例1で述べた方法を用いて、半導体光変換構成体を作製した。構成体の計算されたEQEは、17.65%であった。構成体の吸収層側をポリスチレン(PS)微小球によりコーティングして、図21Aの構造化された層2120に類似の構造化された層を得た。微小球は約500nmの平均直径を有し、これをVWR Scientific Products(South Plainfield,NewJersey)から入手した。微小球の屈折率は約1.59であり、構成体中の吸収層の屈折率は約2.6であった。微小球をH2O中に1.5重量%固体含量まで分散した。ディップコーティング法を約65mm/分の速度で用いて、この溶液を吸収層の最上表面(図21A中の最上表面2126)に塗布した。この試料を1回ディップコーティングした。得られた試料の計算されたEQEは、26.40%であった。したがって、PS粒子は、EQEを17.65%から26.40%まで増加させ、約49.6%の増加であった。次いで、試料を酸素プラズマ(200mT、200mW、及び20.32cm(8インチ)直径のプラテン)中でエッチングして、若干収縮させ、粒子をリフローした。得られた粒子は円錐状又はドーム状であり、平らな底部を有した。次に、真空蒸着法を用いて、試料をZnSによりオーバーコートした。オーバーコートの厚さは約400nmであり、ZnSオーバーコートの屈折率は約2.4であった。得られた試料の計算されたEQEは、35.5%であった。したがって、ZnSオーバーコートの追加は、EQEを26.4%から35.5%まで増加させ、約34.5%の増加であった。
【0112】
図23は、第1の波長λ1の光850を発光するLED光源と、光850の少なくとも一部をより長い第2の波長λ2の光852に変換する光変換層2315と、を含む、光源2300の概略側面図である。光変換構成体2315は、基板2320上に配設され、第1の屈折率n1を有する蛍光体スラブ2330を含む。蛍光体スラブ2330は、光850の少なくとも一部を吸収し、吸収された光の少なくとも一部を波長λ2の光852として再発光する。蛍光体スラブ2330として使用できる例示の蛍光体には、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。他の有用な蛍光体には、ドープYAG、シリケート、シリコンオキシナイトライド、シリコンナイトライド、及びアルミネートベースの蛍光体が挙げられる。このような蛍光体の例には、Ce:YAG、SrSiON:Eu、SrBaSiO:Eu、SrSiN:Eu及びBaSrSiN:Euが挙げられる。
【0113】
基板2320は、用途に好適であり得るいずれの材料も含むことができる。例示の材料には、ガラス、ポリマー、アルミナ、サファイアなどのセラミック、及び光を通すために1つ以上の透明な開口又は穴を含む金属などの金属が挙げられる。ある場合には、基板2320は、第1の波長で実質的に光学的に透過性である。ある場合には、基板はλ1で不透明であってもよい。このような場合、基板は、光850が基板を通るための1つ以上の光学的な、又は他の形の開口を含むことができる。ある場合には、基板2320は、図23で示されていないが、λ2での反射体又はヒートシンクなどの他の機能層を含むことができる。
【0114】
光変換構成体2315は、蛍光体スラブ2330上に配設された構造化された層150を更に含む。構造化された層150は、蛍光体スラブの第1の屈折率n1よりも小さい第2の屈折率n2を有する。構造化された層は、蛍光体スラブ上に直接に配設された複数の構造体151と、蛍光体スラブを露出させる複数の開口2305と、を含む。光変換構成体2315は、構造化された層150の少なくとも一部と開口2305などの複数の開口中の蛍光体スラブの一部との上に直接に配設された、オーバーコート160に類似した構造化されたオーバーコート2360を更に含む。構造化されたオーバーコート2360は、第2の屈折率n2よりも大きい第3の屈折率n3を有する。
【0115】
ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は、トラップされた光のエバネッセントテールを構造化されたオーバーコートの中にまで延ばすことにより、蛍光体スラブ中にトラップされた第2の波長λ2の光の抽出を増強することができる。テールを延ばすことによって、構造体151によりトラップされた光の散乱を増加して、蛍光体スラブからのトラップされた光の抽出を増加させる。
【0116】
ある場合には、構造化された層150は、第2の波長で実質的に光学的に透過性である。ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は、第2の波長で実質的に光学的に透過性である。ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、ある場合には、複数の離散した粒子の実質的な区分が実質的に球形である、離散した粒子などの複数の離散した構造体を含む。ある場合には、構造化された層150中の複数の構造体は、複数の相互に接続された構造体を含む。
【0117】
ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は、Si3N4、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO2、ZrO2、Ta2O5、HfO2、及びシリケートガラスなどのシリケートの少なくとも1つを含む。ある場合には、構造化されたオーバーコート2360は半導体を含む。ある場合には、構造化されたオーバーコート2360の構造化された外側表面2361は、構造化された層150の構造化された外側表面2362に一致する。
【0118】
図18の光学的構成体1800を用いて、異なるシステムパラメーターの関数としての光変換構成体2315の抽出効率を数値解析した。基板の屈折率n1は、蛍光体スラブ2330などの蛍光体スラブに対する典型的な値の1.84であった。粒子1855の直径Dは200nmであり、粒子の屈折率n2は、例えば、SiO2粒子に対応する1.45であった。隣接粒子の間の間隔Pは500nmであった。粒子は、基板1810の最上表面1812の50%を被覆した。オーバーコートに対しては、ランド厚さt1は100nmであり、寸法t2及びt3はそれぞれ100nmであり、t4は300nmであった。数値シミュレーション時にオーバーコートの屈折率n3を変えた。
【0119】
光源1805を基板の底部表面1814に配置し、540nmの均一な光1807を発光させた。光学的構成体1800の抽出効率をモデル化し、有効な二次元時間領域差分法(FDTD)を用いて、数値計算した。
【0120】
図24は、構造化された層及びオーバーコートの存在する場合のn3の関数としての光学的構成体1800の抽出効率を示す。SiO2オーバーコートに対応する点Q1(n3=1.45)における抽出効率は、40.5%であった。図24中の点Q2及びQ3は、それぞれSi3N4とTiO2オーバーコートに対応する。約1.35〜約2.2の、又は約1.45〜約2.2の範囲のn3に対しては、抽出効率は少なくとも約40%である。ある場合には、オーバーコートは、約1.38〜約1.39の範囲の屈折率を有するMgF2を含むことができる。ある場合には、オーバーコートは、多孔質コーティングを含むことができる。例えば、オーバーコートは、約1.45未満の屈折率、例えば、約1.4、又は約1.35、又は約1.30、又は約1.29の屈折率を有する、多孔質SiO2コーティングを含むことができる。
【0121】
本明細書で使用するとき、「垂直の」、「水平の」、「上方の」、「下方の」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「最上」及び「最下」などの用語、並びに他の類似の用語は、諸図に示される相対的位置を指す。広くは、物理的実施形態は異なる配向を有することができ、その場合、用語は、装置の実際の配向に修正された相対位置を意味することを意図している。例えば、図1における構成体が、この図における向きと比較して上下を逆さにされた場合にも、第1の吸収層130は、依然として、ポテンシャル井戸140の「下」にあると見なされる。
【0122】
本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ添付の「特許請求の範囲」により規定されるように本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変形例、実施形態及び代替例を全て網羅しようとするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板から光を抽出するための光学的構成体を作製する方法であって、
(a)表面を有する基板を準備する工程と、
(b)前記基板の前記表面を露出させる空き領域を形成する、複数の構造体を前記基板の前記表面上に配設する工程と、
(c)前記構造体の少なくとも一部を収縮させる工程と、
(d)オーバーコートを施して、前記収縮した構造体と前記空き領域中の前記基板の前記表面を被覆する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程(c)がエッチング剤を前記複数の構造体に施すことにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エッチング剤を施した後、前記複数の構造体による前記基板の前記表面のパーセント被覆率が減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の構造体がポリスチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の構造体が複数の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エッチング剤を施す前は前記複数の粒子が実質的に球形であり、前記エッチング剤を施した後は実質的に円錐状である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板が屈折率n1を有し、前記複数の構造体が屈折率n2を有し、並びにn2がn1未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)から(d)が順次行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記構造体の少なくとも一部をリフローする工程が前記複数の構造体に熱を加えることにより行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子の少なくとも一部を収縮させる工程及びリフローする工程が同時に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記構造体の少なくとも一部が工程(c)において少なくとも20%収縮する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記構造体の少なくとも一部が工程(c)において少なくとも40%収縮する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)における前記オーバーコートが、構造化されたオーバーコートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(d)における前記オーバーコートが、前記複数の構造体の外側表面に一致する外側の構造化された表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
光を基板から抽出するために基板の表面上に複数の構造体を作製する方法であって、
(a)表面を有する基板を準備する工程と、
(b)前記基板の前記表面の所望の第1のパーセント面積被覆率を確認する工程と、
(c)前記基板の前記表面上に複数の構造体を配設して、前記所望の第1のパーセント面積被覆率よりも大きい第2のパーセント面積被覆率を得る工程と、
(d)前記構造体の少なくとも一部を収縮させて、前記パーセント面積被覆率を前記所望の第1のパーセント面積被覆率まで低減させる工程と、を含む、方法。
【請求項17】
構造化されたオーバーコートを施して、前記収縮した構造体と、非被覆領域中の前記基板の前記表面を被覆する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の構造体が複数の粒子を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項1】
基板から光を抽出するための光学的構成体を作製する方法であって、
(a)表面を有する基板を準備する工程と、
(b)前記基板の前記表面を露出させる空き領域を形成する、複数の構造体を前記基板の前記表面上に配設する工程と、
(c)前記構造体の少なくとも一部を収縮させる工程と、
(d)オーバーコートを施して、前記収縮した構造体と前記空き領域中の前記基板の前記表面を被覆する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程(c)がエッチング剤を前記複数の構造体に施すことにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エッチング剤を施した後、前記複数の構造体による前記基板の前記表面のパーセント被覆率が減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の構造体がポリスチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の構造体が複数の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エッチング剤を施す前は前記複数の粒子が実質的に球形であり、前記エッチング剤を施した後は実質的に円錐状である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板が屈折率n1を有し、前記複数の構造体が屈折率n2を有し、並びにn2がn1未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)から(d)が順次行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記構造体の少なくとも一部をリフローする工程が前記複数の構造体に熱を加えることにより行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子の少なくとも一部を収縮させる工程及びリフローする工程が同時に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記構造体の少なくとも一部が工程(c)において少なくとも20%収縮する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記構造体の少なくとも一部が工程(c)において少なくとも40%収縮する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)における前記オーバーコートが、構造化されたオーバーコートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(d)における前記オーバーコートが、前記複数の構造体の外側表面に一致する外側の構造化された表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
光を基板から抽出するために基板の表面上に複数の構造体を作製する方法であって、
(a)表面を有する基板を準備する工程と、
(b)前記基板の前記表面の所望の第1のパーセント面積被覆率を確認する工程と、
(c)前記基板の前記表面上に複数の構造体を配設して、前記所望の第1のパーセント面積被覆率よりも大きい第2のパーセント面積被覆率を得る工程と、
(d)前記構造体の少なくとも一部を収縮させて、前記パーセント面積被覆率を前記所望の第1のパーセント面積被覆率まで低減させる工程と、を含む、方法。
【請求項17】
構造化されたオーバーコートを施して、前記収縮した構造体と、非被覆領域中の前記基板の前記表面を被覆する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の構造体の少なくとも一部をリフローする工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の構造体が複数の粒子を含む、請求項16に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2011−526075(P2011−526075A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516394(P2011−516394)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/046077
【国際公開番号】WO2009/158158
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/046077
【国際公開番号】WO2009/158158
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]