説明

光断層画像化装置

【課題】光ファイバがプローブ外筒に収容された光プローブを内視鏡の鉗子導入口から挿入して内視鏡先端から突出配置してOCT計測を行う光断層画像化装置において、内視鏡の鉗子導入口までの光伝送路部分の揺れなどの状態変動に起因する測定精度の低下を防止し、モニタ上に表示される断層画像の揺れや回転ずれを防止することができる光断層画像化装置を提供する。
【解決手段】OCTプローブ600とOCTプロセッサ400と接続するケーブル606は、駆動ユニット604により接続され、OCTプローブ600内の光ファイバは、ケーブル606内の光ファイバに対して駆動ユニット604内のロータリージョイントにより回動可能に接続される。そして、駆動ユニット604は内視鏡100の鉗子挿入部138に装着される。従って、ケーブル606の揺れなどによってOCTプローブ600に揺れなどの状態変動が生じず、その状態変動によってOCTプローブ600内の光ファイバの回転位置や回転速度が変動する不具合が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光断層画像化装置に係り、特に光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測により光断層画像を生成する光断層画像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、内視鏡と共に用いる光断層画像化装置の実用化が図られており、光断層画像化装置の光プローブ(OCTプローブ)の先端を内視鏡挿入部の先端面から突出配置することで被検体内の壁面から組織内部へと浸入した深さ方向への断層情報を取得し、光断層画像として画像化することが可能となっている。
【0003】
光断層画像化装置は、例えば低コヒーレンス光による干渉を用いた光干渉断層(OCT)計測法を利用した装置として知られており、OCT計測は、光源から出射された低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割した後、測定光を測定部位に照射し、測定部位からの反射光と参照光とを合波して、反射光と参照光との干渉光の強度に基づいて光断層画像を取得する計測法である。
【0004】
現在、OCT計測の種類としてTD(Time Domain)−OCT計測とFD(Fourier Domain)−OCT計測が知られており、TD−OCT計測が、参照光の光路長を変更しながら干渉光強度を測定することによって測定部位の深さ位置に対応する反射率分布を取得し、断層画像化するもの(例えば、特許文献1、2参照)であるのに対して、FD−OCT計測は、測定光と参照光との光路長を変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、得られたスペクトル干渉強度信号をフーリエ変換等により周波数解析することで、深さ位置に対応した反射率分布を取得し、断層画像化するもの(例えば、特許文献3参照)である。
【0005】
このような光断層画像化装置において、内視鏡と共に使用されるものは、一般に、光源、干渉計、演算処理部などを筐体内部に収容した装置本体(OCTプロセッサ)と、OCTプロセッサの筐体に光コネクタにより装着される光ファイバケーブルと、光ファイバケーブルに光学的に接続されるOCTプローブと、光ファイバケーブルとOCTプローブとの接続部分に設置される駆動ユニットとを備えている(例えば、特許文献4、5、6参照)。
【0006】
光ファイバケーブルは、その内部の光ファイバ(連結光ファイバ)によって、OCTプロセッサの光コネクタから出射される測定光をOCTプローブまで伝送すると共に、OCTプローブにより伝送された測定部位からの反射光をOCTプロセッサまで伝送するための中継用のケーブルである。
【0007】
OCTプローブは、測定部位への測定光の照射と測定部位からの反射光の取り込みを行うと共に、それらの光を伝送するものであり、全体が可撓性を有する長筒状のシースに覆われており、そのシース内に光ファイバが収容され、光ファイバの先端部に所定の光学ユニットが取り付けられた構造を有している。このOCTプローブは、内視鏡の鉗子導入口から挿入され、内視鏡挿入部の鉗子チャンネルを挿通した先端部が内視鏡挿入部の先端面から突出配置される。そして、光ファイバケーブルにより伝送された測定光がOCTプローブ内の光ファイバにより先端部の光学ユニットまで伝送され、その測定光が光学ユニットによりOCTプローブの軸方向(光ファイバの光軸方向)に対して略直交する方向の測定部位へと集光して照射される。また、測定部位から反射光が光学ユニットにより光ファイバに取り込まれて光ファイバケーブルまで伝送される。
【0008】
駆動ユニットは、光ファイバケーブルの連結光ファイバと、OCTプローブの光ファイバとを光学的に接続すると共に、その接続状態を維持しながら、光ファイバケーブルの連結光ファイバに対してOCTプローブの光ファイバをシース内で回転又は直進(進退移動)させるための装置である。この駆動ユニットでOCTプローブの光ファイバを回転又は直進させることにより、その光ファイバの先端部に連結された光学ユニットをシース内で回転又は直進させることができるようになっている。例えば、光学ユニットを回転させると、測定光の照射位置がOCTプローブの軸に対して周方向に回転移動するため、それに沿った測定部位を回転走査(ラジアル走査)することができ、OCTプローブの軸に対して略直交する面内の断層情報を得ることができる。光学ユニットを直進させると、測定光の照射位置がOCTプローブの軸方向に直進するため、それに沿った測定部位を直進走査(リニア走査)することができ、OCTプローブの軸方向に沿った面内の断層情報を得ることができる。光学ユニットの回転と直進を交互、又は、同時に行うことによってラジアル走査とリニア走査の両走査を組み合わせることが可能であり、これによって測定部位の3次元的な断層情報を取得することができる。光学ユニットの回転と直進を同時に行うことによって測定部位を螺旋状に走査する方法はスパイラル走査として知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−131222号公報
【特許文献2】特開2001−264246号公報
【特許文献3】特開2006−132996号公報
【特許文献4】特開2000−321034号公報
【特許文献5】特開2010−43994号公報
【特許文献6】特開2010−46216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように内視鏡と共に光断層画像化装置を用いてOCT計測を行う場合に、内視鏡の鉗子導入口から挿入されたOCTプローブの先端が内視鏡挿入部の先端面から突出配置され、測定部位に押し当てられる。このとき、OCTプロセッサの光コネクタから内視鏡の鉗子導入口までの光伝送路部分には、光ファイバケーブル、駆動ユニット、及び、OCTプローブの余長部分が配置される。
【0011】
通常、駆動ユニットによりOCTプローブの光学ユニットを動作させて測定部位の走査を行っている際には、OCTプローブのシースは、鉗子チャンネルとの摩擦によって、又は、術者が鉗子導入口付近でOCTプローブの余長部分を把持することによって動くことなく、測定部位に対して一定の状態に保持される。
【0012】
しかしながら、OCTプローブの光ファイバ及び光学ユニットはシース内に挿脱可能に挿入されているだけで機械的には独立しているため、シース内で自由に動くことができる状態となっている。そのため、OCT計測中において、OCTプロセッサから内視鏡の鉗子導入口までの光伝送路部分に揺れ等の状態変動が生じ、OCTプローブの余長部分に状態変動が生じると、装置が認識している走査位置(測定方向)と実際の走査位置との誤差が生じ、測定精度を低下させてしまう等の問題があった。
【0013】
例えば、OCTプローブの余長部分に揺れが生じた場合、OCTプローブ自身の剛性によりその揺れを開放する方向に力が働く。このときシースは上記のように内視鏡の鉗子チャンネルとの摩擦等によって一定の状態に保持されているため、余長部分での揺れとしてそのまま残る。一方、シース内の光ファイバは光学ユニットが取り付けられた先端側がどの部分にも固定されていないため、余長部分に生じた揺れを開放することができる。従って、余長部分の揺れに対してシースと光ファイバ(及び光学ユニット)の動きが異なることになる。そのため、OCTプローブの余長部分の揺れによって光学ユニットがシースに対して相対的に回転又は直進する場合があり、このとき装置が認識している走査位置と実際の走査位置にずれが生じる。
【0014】
また、OCTプローブの余長部分が湾曲している場合にはシースと光ファイバとが一部において接触した状態となっている。このような状態でOCTプローブの光ファイバを回転させた場合に、OCTプローブの余長部分の揺れなどによってシースと光ファイバとの間の摩擦力に変化が生じるため、光ファイバの回転速度に変動が生じる。そのため、光学ユニットの回転速度に変動が生じ、装置が認識している走査位置と実際の走査位置にずれが生じる。
【0015】
OCT計測中にこのような事態が生じると、測定精度の低下を招くと共に、取得した断層情報から断層画像を生成してモニタに表示した際に断層画像に揺れが生じたり、回転ずれを起こす等の問題が生じていた。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置本体から内視鏡の鉗子導入口までの光伝送路部分における揺れなどの状態変動に起因する測定精度の低下を防止し、また、モニタ上に表示される断層画像の揺れや回転ずれを防止することができる光断層画像化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、請求項1に係る光断層画像化装置は、測定部位に測定光を照射し、該測定光が照射された測定部位からの反射光を取得することにより測定部位の断層画像を取得する光断層画像化装置であって、前記測定光を装置本体から前記測定部位の近傍の先端位置まで伝送すると共に、前記反射光を前記先端位置から装置本体まで伝送する光伝送路を備え、該光伝送路は、長筒状のプローブ外筒内に光ファイバを収容して構成された光プローブの光ファイバであって、前記先端位置から前記装置本体への所定の中継位置までの光伝送路を形成する回転光ファイバと、前記中継位置から前記装置本体までの光伝送路を形成する連結光ファイバと、前記連結光ファイバに対して前記回転光ファイバを回動可能に支持すると共に前記回転光ファイバと前記連結光ファイバとを光学的に接続するロータリージョイントと、から構成され、前記測定部位の断層画像を取得するための計測時において前記光プローブの先端部が内視鏡の鉗子導入口から挿入されて該内視鏡の挿入部先端の鉗子導出口から突出配置される光断層画像化装置において、前記ロータリージョイントを前記鉗子導入口に固持するために前記鉗子導入口に着脱可能に装着される装着手段を備えた、ことを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、ロータリージョイントが鉗子導入口に固持されると共に、鉗子導入口から外部に露出した光プローブの余長部分がないため、装置本体と鉗子導入口との間の光伝送部分に揺れなどの状態変動が生じても、その状態変動の影響はロータリージョイントよりも先端側の光プローブの回転光ファイバには与えられない。また、光プローブの回転光ファイバは内視鏡の挿入部内部に挿入配置された状態であるため回転光ファイバ自体に揺れなどの不作為の状態変動も生じない。従って、測定精度の低下が防止され、また、断層画像をモニタに表示した際の断層画像の揺れや回転ずれが防止される。
【0019】
請求項2に係る光断層画像化装置は、請求項1に係る発明において、前記ロータリージョイントは、前記回転光ファイバを回転用モータで回転させるための回転駆動機構を備え、前記ロータリージョイントと前記回転駆動機構を保持した駆動ユニットが前記装着手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、駆動ユニットにより光プローブの回転光ファイバを回転用モータで回転させることが可能な構成を有し、その駆動ユニットにロータリージョイントと装着手段が設けられる。従って、ロータリージョイントだけでなく回転光ファイバ側を回転用モータで回転させるための回転駆動機構も装着手段によって鉗子導入口に装着され、回転駆動機構にも揺れなどの状態変動が生じず、回転駆動機構の状態変動によって回転光ファイバの状態変動が生じることも防止される。
【0021】
請求項3に係る光断層画像化装置は、請求項2に係る発明において、前記駆動ユニットの筐体内に前記回転用モータが収容保持されていることを特徴としている。
【0022】
本発明は、回転駆動機構を介して回転光ファイバを回転させる回転用モータも駆動ユニットが備えている態様を示す。
【0023】
請求項4に係る光断層画像化装置は、請求項1、2、又は、3に係る発明において、前記ロータリージョイントは、前記回転光ファイバを直進用モータで直進移動させるための直進駆動機構を備え、前記ロータリージョイントと前記直進駆動機構を保持した駆動ユニットが前記装着手段を備えたことを特徴としている。
【0024】
本発明によれば、駆動ユニットにより光プローブの回転光ファイバを直進用モータで直進移動させることが可能な構成を有し、その駆動ユニットにロータリージョイントと装着手段が設けられる。従って、ロータリージョイントだけでなく回転光ファイバ側を直進用モータで直進させるための直進駆動機構も装着手段によって鉗子導入口に装着され、直進駆動機構にも揺れなどの状態変動が生じず、直進駆動機構の状態変動によって回転光ファイバの状態変動が生じることも防止される。
【0025】
請求項5に係る光断層画像化装置は、請求項4に係る発明において、前記駆動ユニットの筐体内に前記直進用モータが収容保持されていることを特徴としている。
【0026】
本発明は、直進駆動機構を介して回転光ファイバを直進させる直進させる直進用モータも駆動ユニットが備えている態様を示す。
【0027】
請求項6に係る光断層画像化装置は、請求項2、3、4、又は、5に係る発明において、前記ロータリージョイントとは、前記駆動ユニットの筐体に対して固定され、前記連結光ファイバの端部を固持する固定筒と、前記駆動ユニットに対して回動可能に支持され、前記回転光ファイバの端部を固持する回転筒とを備えたことを特徴としている。
【0028】
本発明は、ロータリージョイントの構成の一形態を示す。
【0029】
請求項7に係る光断層画像化装置は、請求項2乃至6のうちのいずれか1に記載の発明において、前記装着手段は、前記駆動ユニットの筐体に設けられたことを特徴としている。
【0030】
本発明は、ロータリージョイントが駆動ユニットに保持されている場合に装着手段の一態様である。
【0031】
請求項8に係る光断層画像化装置は、請求項1乃至7のうちのいずれか1に記載の発明において、前記装着手段は、前記鉗子導入口からの前記光プローブ全体の挿入量を調整可能に前記鉗子導入口に装着されることを特徴としている。
【0032】
本発明によれば、鉗子導入口からの光プローブ全体の挿入量が調整可能であるため、鉗子導出口からの光プローブの突出量を調整することが可能である。
【0033】
請求項9に係る光断層画像化装置は、請求項1乃至8のうちのいずれか1に記載の発明において、前記装着手段は、前記鉗子導入口内に挿入される挿入部を有し、該挿入部と前記鉗子導入口内との嵌合によって前記鉗子導入口に装着されることを特徴としている。
【0034】
本発明によれば、鉗子導入口に挿入して嵌合する装着手段の挿入部によって、簡易な構成で、かつ、簡易な作業でロータリージョイントを鉗子導入口に固持させることができる。
【0035】
請求項10に係る光断層画像化装置は、請求項1乃至9のうちのいずれか1に記載の発明において、前記光プローブは、前記回転光ファイバの先端位置から出射された測定光を前記光プローブの軸方向に対して略直交方向に位置する測定部位に照射すると共に、該測定部位からの反射光を前記回転光ファイバの先端位置から入射させる光学ユニットが前記回転光ファイバの先端位置に取り付けられた構成を有することを特徴としている。
【0036】
本発明は、光プローブの構成の一体用を示し、回転光ファイバと共に光学ユニットが回転又は直進し、これによって測定部位のラジカル走査やリニア走査、又は、これらを組み合わせた走査が行われる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、装置本体から内視鏡の鉗子導入口までの光伝送部分における揺れなどの状態変動に起因する測定精度の低下を防止することができ、モニタ上に表示される断層画像の揺れや回転ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る光断層画像化装置を用いた画像診断装置を示す外観図。
【図2】OCTプロセッサ及びOCTプローブの内部構成を示すブロック図。
【図3】OCTプローブの構成を示した断面図。
【図4】駆動ユニットの内部構成を示した断面図
【図5】OCT計測時のOCTプローブ先端の様子を示した図。
【図6】3次元的に取得した断層画像により形成される3次元ボリュームデータの構成を示した図。
【図7】OCT計測時におけるモニタ装置の表示画面の一形態を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る光断層画像化装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0040】
図1は本発明に係る光断層画像化装置を用いた画像診断装置10を示す外観図である。
【0041】
同図に示す画像診断装置10は、周知の内視鏡装置と共にOCT計測法を使用した光断層画像化装置を用いて画像診断を行うものであり、内視鏡装置を構成する内視鏡100、内視鏡プロセッサ200、及び、光源装置300と、光断層画像化装置を構成するOCTプロセッサ(装置本体)400と、両装置において使用されるモニタ装置500とを備えている。
【0042】
まず内視鏡装置について簡単に説明すると、内視鏡100は、手元操作部112と、この手元操作部112に連設される挿入部114とを備えている。術者は手元操作部112を把持して操作し、挿入部114を被検者の体内に挿入することによって観察を行う。
【0043】
手元操作部112には、ユニバーサルケーブル116が接続され、ユニバーサルケーブル116の先端にLGコネクタ120が設けられる。このLGコネクタ120を光源装置300に着脱自在に連結することによって、挿入部114の先端部に配設された照明光学系152に照明光が送られる。また、LGコネクタ120には、ユニバーサルケーブル116を介して電気コネクタ110が接続され、電気コネクタ110が内視鏡プロセッサ200に着脱自在に連結される。これにより、内視鏡100で得られた観察画像のデータが内視鏡プロセッサ200に出力され、内視鏡プロセッサ200に接続されたモニタ装置500に画像が表示される。
【0044】
また、手元操作部112には、送気・送水ボタン126、吸引ボタン128、シャッタボタン130、機能切替ボタン132、一対のアングルノブ134、一対のロックレバー136が設けられているが、これらの部材についての説明は省略する。
【0045】
さらに、手元操作部112には、鉗子挿入部138が設けられており、この鉗子挿入部138の鉗子口(鉗子導入口)139が挿入部114内を挿通する鉗子チャンネルを通じて先端部144の鉗子口(鉗子導出口)156に連通されている。本実施の形態の画像診断装置10では、OCTプロセッサ400にケーブル606及び駆動ユニット604を介して接続されたOCTプローブ600を鉗子挿入部138の鉗子導入口139から挿入することによって、OCTプローブ600の先端部を鉗子導出口156から導出する。
【0046】
内視鏡100の挿入部114は、手元操作部112側から順に、軟性部140、湾曲部142、先端部144で構成されている。軟性部140は、可撓性を有しており、例えば金属製の網管から成る心材に、樹脂などの被覆を被せることによって構成されている。湾曲部142は、手元操作部112のアングルノブ134、134を回動することによって遠隔的に湾曲するように構成されている。先端部144は、観察光学系150、照明光学系152、送気・送水ノズル154、鉗子導出口156等を備えている。
【0047】
観察光学系150は、先端部144の先端面に配設されており、この観察光学系150の奥にCCD180が配設されている。CCD180により撮像された観察像の信号は、挿入部114、手元操作部112、及び、ユニバーサルケーブル116を挿通する信号線により内視鏡プロセッサ200に取り込まれて映像信号に変換される。これにより、内視鏡プロセッサ200に接続されたモニタ装置500に観察画像が表示される。
【0048】
照明光学系152は、観察光学系150に隣接して設けられており、照明光学系152の奥には、ユニバーサルケーブル116、手元操作部112、及び、挿入部114を挿通したライトガイド170の出射端が配設されている。光源装置300から照射された照明光がこのライトガイド170を介して照明光学系152に伝送され、照明光学系152から前方の観察範囲に照射される。
【0049】
鉗子導出口156には、チューブ状の鉗子チャンネル(不図示)が接続される。鉗子チャンネルは挿入部114の内部に挿通された後、分岐され、一方が手元操作部112の鉗子挿入部138に連通され、他方が手元操作部112内の吸引バルブ(不図示)に接続される。上記のようにOCTプローブ600を鉗子挿入部138の鉗子導入口139から挿入した場合には、そのOCTプローブ600を鉗子導出口156から導出することができ、吸引ボタン128によって吸引バルブを操作した場合には、鉗子導出口156から病変部等を吸引することができるようになっている。
【0050】
続いて、本発明に係る光断層画像化装置について説明する。本発明に係る光断層画像化装置は、画像診断装置10において上記のような内視鏡装置と共に使用され、装置本体であるOCTプロセッサ400と、OCTプロセッサ400の筐体にコネクタ410により装着されるケーブル606と、ケーブル606に接続されるOCTプローブ600と、ケーブル606とケーブルとの接続部分に設置される駆動ユニット604とを備えている。
【0051】
OCTプロセッサ400は、詳細を後述するようにOCT計測のために必要な光学部品や回路部品等を筐体内に収容した装置本体であり、コネクタ410によりOCTプロセッサ400に接続されたケーブル606内の光ファイバにOCT計測のための測定光を出射し、また、その測定光が照射された測定部位からの反射光をケーブル606から取り込むようになっている。また、ケーブル606内の電気信号線を通じて駆動ユニット604との間で電気信号のやり取りも行うようになっている。
【0052】
ケーブル606は、OCTプロセッサ400と駆動ユニット604との間の光伝送及び電気信号伝送を行うための中継用ケーブルであり、上記のようにOCTプロセッサ400から出射される測定光をOCTプローブ600まで伝送し、また、OCTプローブ600により伝送された測定部位からの反射光をOCTプロセッサ400まで伝送する光ファイバや、OCTプロセッサ400と駆動ユニット604との間で電気信号を伝送する電気信号線を内部に収容している。
【0053】
駆動ユニット604は、詳細は後述するが、ケーブル606内の光ファイバとOCTプローブ600内の光ファイバとを光学的に接続すると共に、OCTプローブ600内の光ファイバをOCTプローブ600の軸周りに回転させ、また、OCTプローブ600の軸方向に直進(進退移動)させるための装置であり、OCT計測時には、内視鏡100の鉗子挿入部138に装着されるようになっている。
【0054】
OCTプローブ600は、測定部位への測定光の照射と測定部位からの反射光の取り込みを行うと共に、それらの光を伝送するものであり、構成についての詳細は後述するが、ケーブル606内の光ファイバにより伝送された測定光をOCTプローブ600の先端部まで伝送して測定部位に照射し、その測定光が照射された測定部位からの反射光を取り込み、ケーブル606内の光ファイバまで伝送する。
【0055】
図2はOCTプロセッサ400、OCTプローブ600の内部構成を示すブロック図の一例である。
【0056】
同図に示すOCTプロセッサ400は、光を生成する光源ユニット12と、光源ユニット12により生成された光を測定光と参照光に分岐し、かつ、測定部位Sからの反射光と参照光を合波して干渉光を生成する分岐合波部14と、参照光の光路長を調整する光路長調整部18と、分岐合波部14で生成された干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出部20と、干渉光検出部20で検出された干渉信号を処理する処理部22とを有する。さらに、OCTプロセッサ400は、光源ユニット12から出射された光を分光する光ファイバカプラ28と、参照光を検出する検出部30aと測定部位Sからの反射光(以下、単に反射光と記す場合には測定光が照射された測定部位Sからの反射光を示す)を検出する検出部30bと、処理部22への各種条件の入力、設定の変更等を行う操作制御部32とを有する。また、光の経路として光ファイバを用い、各部に測定光、参照光、反射光等を伝送している。
【0057】
光源ユニット12は、半導体光増幅器40と、光分岐器42と、コリメータレンズ44と、回折格子素子46と、光学系48と、回転多面鏡50とを有し、周波数を一定の周期で掃引させたレーザ光Laを出射する。
【0058】
半導体光増幅器(半導体利得媒質)40は、駆動電流が印加されることで、微弱な放出光を出射し、また、入射された光を増幅する。この半導体光増幅器40には、光ファイバFB10が接続されている。具体的には、光ファイバFB10の一端は、半導体光増幅器40から光が出射される部分に接続され、光ファイバFB10の他端は、半導体光増幅器40に光を入射する部分に接続されており、半導体光増幅器40から出射された光は、光ファイバFB10に入射し、再び半導体光増幅器40に入射する。
【0059】
このように、半導体光増幅器40及び光ファイバFB10で光路のループを形成することで、半導体光増幅器40及び光ファイバFB10が光共振器となり、半導体光増幅器40に駆動電流が印加されることで、パルス状のレーザ光が生成される。
【0060】
光分岐器42は、光ファイバFB10の光路上に設けられ、光ファイバFB11とも接続している。光分岐器42は、光ファイバFB10内を導波する光の一部を光ファイバFB11に分岐させる。
【0061】
コリメータレンズ44は、光ファイバFB11の他端、つまり光ファイバFB10と接続していない端部に配置され、光ファイバFB11から出射された光を平行光にする。
【0062】
回折格子素子46は、コリメータレンズ44で生成された平行光の光路上に所定角度傾斜して配置されている。回折格子素子46は、コリメータレンズ44から出射される平行光を分光する。
【0063】
光学系48は、回折格子素子46で分光された光の光路上に配置されている。光学系48は、複数のレンズで構成されており、回折格子素子46で分光された光を屈折させ、屈折させた光を平行光にする。
【0064】
回転多面鏡50は、光学系48で生成された平行光の光路上に配置され、平行光を反射する。回転多面鏡50は、図2のR1方向に等速で回転する回転体であり、回転軸に垂直な面が正八角形であり、平行光が照射される側面(八角形の各辺を構成する面)が照射された光を反射する反射面で構成されている。回転多面鏡50は、回転することで、各反射面の角度を光学系48の光軸に対して変化させる。
【0065】
光ファイバFB11から出射された光は、コリメータレンズ44、回折格子素子46、光学系48を通り、回転多面鏡50で反射される。反射された光は、光学系48、回折格子素子46、コリメータレンズ44を通り、光ファイバFB11に入射する。
【0066】
ここで、上述したように、回転多面鏡50の反射面の角度が光学系48の光軸に対して変化するため、回転多面鏡50が光を反射する角度は時間により変化する。このため、回折格子素子46により分光された光のうち、特定の周波数域の光だけが再び光ファイバFB11に入射する。ここで、光プアィバFB11に入射する特定の周波数域の光は、光学系48の光軸と回転多面鏡50の反射面との角度により決まるため、光ファイバFB11に入射する光の周波数域は、光学系48の光軸と回転多面鏡50の反射面との角度により変化する。
【0067】
光ファイバFB11に入射した特定の周波数域の光は、光分岐器42から光ファイバFB10に入射され、光ファイバFB10の光と合波される。これにより、光ファイバFB10に導光されるパルス状のレーザ光は、特定の周波数域のレーザ光となり、この特定周波数域のレーザ光Laが光ファイバFB1に出射される。
【0068】
ここで、回転多面鏡50が矢印Rl方向に等速で回転しているため、再び光ファイバFB1lに入射される光の波長λは、時間の経過に伴って一定の周期で変化する。これにより、光ファイバFB1に出射されるレーザ光Laの周波数も、時間の経過に伴った一定の周期で変化する。
【0069】
光源ユニット12は、このような構成であり、波長掃引されたレーザ光Laを光ファイバFB1側に出射する。
【0070】
次に、分岐合波部14は、例えば2×2の光ファイバカプラで構成されており、光ファイバFB1、光ファイバFB2、光ファイバFB3、光ファイバFB4とそれぞれ光学的に接続されている。
【0071】
分岐合波部14は、光源ユニット12から光ファイバFB1を介して入射した光Laを測定光L1と参照光L2とに分割し、測定光L1を光ファイバFB2に入射させ、参照光L2を光ファイバFB3に入射させる。光ファイバFB2は、図1のコネクタ410により接続されたケーブル606内の光ファイバ(連結光ファイバ)FB9に光ジョイント15により光学的に接続され、また、その光ファイバFB9は、図1に示した駆動ユニット604内においてOCTプローブ600内の光ファイバ623にロータリージョイント26により光学的に接続されており、光ファイバFB3により分割された測定光L1は光ファイバ623の先端部まで伝送されて測定部位Sに照射される。また、測定光L1が照射された測定部位Sからの反射光L3が光ファイバ623の先端部から取り込まれて光ファイバFB2を戻り、分岐合波部14に入射する。
【0072】
さらに、分岐合波部14は、光ファイバFB3に入射され、後述する光路長調整部18により周波数シフト及び光路長の変更が施された後、光ファイバFB3を戻り、分岐合波部14に入射した参照光L2と、分岐合波部14に入射した測定部位Sからの反射光L3とを合波し、光プアィバFB4に出射する。
【0073】
光路長調整部18は、光ファイバFB3の参照光L2の出射側(つまり、光ファイバFB3の分岐合波部14とは反対側の端部)に配置されている。
【0074】
光路長調整部18は、光ファイバFB3から出射された光を平行光にする第1光学レンズ64と、第1光学レンズ64で平行光にされた光を集光する第2光学レンズ66と、第2光学レンズ66で集光された光を反射する反射ミラー68と、第2光学レンズ66及び反射ミラー68を支持する基台70と、基台70を光軸方向に平行な方向に移動させるミラー移動機構72とを有し、第1光学レンズ64と第2光学レンズ66との距離を変化させることで参照光L2の光路長を調整する。
【0075】
第1光学レンズ64は、光ファイバFB3のコアから出射された参照光L2を平行光にすると共に、反射ミラー68で反射された参照光L2を光ファイバFB3のコアに集光する。
【0076】
第2光学レンズ66は、第1光学レンズ64により平行光にされた参照光L2を反射ミラー68上に集光すると共に、反射ミラー68により反射された参照光L2を平行光にする。このように、第1光学レンズ64と第2光学レンズ66とにより共焦点光学系が形成されている。
【0077】
また、反射ミラー68は、第2光学レンズ66で集光される光の焦点に配置されており、第2光学レンズ66で集光された参照光L2を反射する。
【0078】
これにより、光ファイバFB3から出射した参照光L2は、第1光学レンズ64により平行光になり、第2光学レンズ66により反射ミラー68上に集光される。その後、反射ミラー68により反射された参照光L2は、第2光学レンズ66により平行光になり、第1光学レンズ64により光ファイバFB3のコアに集光される。
【0079】
また、基台70は、第2光学レンズ66と反射ミラー68とを固定し、ミラー移動機構72は、基台70を第1光学レンズ64の光軸方向(図2矢印A方向)に移動させる。ミラー移動機構72で、基台70を矢印A方向に移動させることで、第1光学レンズ64と第2光学レンズ66との距離を変更することができ、参照光L2の光路長を調整することができる。
【0080】
干渉光検出部20は、光ファイバFB4と接続されており、分岐合波部14で参照光L2と反射光L3とを合波して生成された干渉光L4を干渉信号として検出する。
【0081】
ここで、OCTプロセッサ400は、光ファイバFB1から光ファイバFB5にレーザ光Laを分岐する光ファイバカプラ28と、光ファイバカプラ28から分岐させた光ファイバFB5に設けられ、分岐されたレーザ光Laの光強度を検出する検出部30aと、光ファイバFB4の光路上に干渉光L4の光強度を検出する検出部30bとを有する。干渉光検出部20は、検出部30a及び検出部30bの検出結果に基づいて、光ファイバFB4から検出する干渉光L4の光強度のバランスを調整する。
【0082】
処理部22は、干渉光検出部20で検出した干渉信号から、測定位置におけるOCTプローブ600と測定部位Sとの接触している領域、より正確には、OCTプローブ600のプローブ外筒(シース)620の表面と測定部位の表面とが接触しているとみなせる領域を検出し、さらに、干渉光検出部20で検出した干渉信号から、断層画像を取得する。
【0083】
操作制御部32は、キーボード、マウス等の入力手段と、入力された情報に基づいて各種条件を管理する制御手段とを有し、処理部22に接続されている。操作制御部32は、入力手段から入力されたオペレータの指示に基づいて、処理部22における各種処理条件等の入力、設定、変更等を行う。
【0084】
また、処理部22は、図1に示したコネクタ410により接続されたケーブル606内の電気信号線を介して駆動ユニット604に電気的に接続されている。駆動ユニット604には、後述のようにOCTプローブ600内の光ファイバ623を回転や直進させるためモータが搭載されており、それらのモータを駆動するための駆動信号が処理部22から駆動ユニット604に与えられる。また、駆動ユニット604には、光ファイバ623の回転位置や直進位置を検出するポテンショメータが搭載されており、それらのポテンショメータからの位置信号が駆動ユニット604から処理部22に与えられるようになっている。
【0085】
尚、操作制御部32は、操作画面をモニタ装置500に表示させてもよいし、別途表示部を設けて操作画面を表示させてもよい。また、操作制御部32で、光源ユニット12、干渉光検出部20、駆動ユニット604、光路長ならびに検出部30a及び30bの動作制御や各種条件の設定を行うようにしてもよい。
【0086】
OCTプローブ600は、駆動ユニット604を介して、図1に示したケーブル606内の光ファイバFB9と接続されており、光ファイバFB9から測定光L1が入射され、入射された測定光L1を測定部位Sに照射し、測定部位Sからの反射光L3を取得し、取得した反射光L3を光ファイバFB9に出射する。
【0087】
図3に示すように、このOCTプローブ600の先端部は、シース620と、キャップ622と、光ファイバ623と、バネ624と、固定部材626と、光学ユニット(光学レンズ)628とを有している。
【0088】
シース620は、可撓性を有する長筒状の部材であり、測定光L1及び反射光L3が透過する材料からなっている。尚、シース620は、測定光L1及び反射光L3が通過する先端(光ファイバFB9が配置されている側とは反対側の端部)側の一部が全周に渡って光を透過する材料(透明な材料)で形成されていればよい。
【0089】
キャップ622は、シース620の先端に設けられ、シース620の先端を閉塞している。
【0090】
光ファイバ623は、線状部材であり、シース620内にシース620の軸に沿って収容されており、ケーブル606内の光ファイバFB9により伝送された測定光L1を光学ユニット628まで伝送すると共に、測定光L1を測定部位Sに照射して光学ユニット628で取得した測定部位Sからの反射光L3を光ファイバFB9まで伝送する。
【0091】
ここで、図2に示すように光ファイバ623と光ファイバFB9とは、駆動ユニット604内においてロータリージョイント26で接続されており、光ファイバ623の回転が光ファイバFB9に伝達しない状態で、光学的に接続されている。また、光ファイバ623は、シース620に対して回転自在な状態で配置されている。
【0092】
バネ624は、光ファイバ623の外周に固定されている。また、光ファイバ623及びバネ624は、駆動ユニット604に接続されている。
【0093】
光学ユニット(光学レンズ)628は、光ファイバ623の先端(光ファイバFB9との接続している側とは反対側の端部)に配置されており、先端部が、光ファイバ623から出射された測定光L1を測定部位Sに対し集光するために略球状の形状で形成されている。この光学ユニット628により、光ファイバ623から出射した測定光L1が測定部位Sに照射され、測定部位Sからの反射光L3が集光されて光ファイバ623に入射するようになっている。尚、光学ユニット628の構成はこれに限らず,本実施の形態と同様の作用を奏する構成であればあればよい。
【0094】
固定部材626は、光ファイバ623と光学ユニット628との接続部の外周に配置されており、光学ユニット628を光ファイバ623の端部に連結して固定している。
【0095】
また、光ファイバ623及びバネ624は、駆動ユニット604に接続されており、後述のように駆動ユニット604により光ファイバ623及びバネ624を回転させることで、光学ユニット628をシース620に対し、矢印R2方向に回転させることができるようになっている。また、駆動ユニット604は、回転エンコーダを備え(図示せず)、回転エンコーダからの信号に基づいて光学ユニット628の位置情報(角度情報)から測定光L1の照射位置を検出する。つまり、回転している光学ユニット628の回転方向における基準位置に対する角度を検出して、測定位置を検出する。
【0096】
さらに、光ファイバ623、バネ624、固定部材626、及び光学ユニット628は、駆動ユニット604により、シース620内部を矢印S1方向(鉗子導入口方向)、及びS2方向(鉗子導出口方向:シース620の先端方向)に移動可能に構成されている。
【0097】
次に上記駆動ユニット604の構成について説明する。図4は、駆動ユニット604の内部構成を示した断面図である。
【0098】
同図に示すように駆動ユニット604は、筐体700、鉗子口装着部702、固定筒704、回転筒706、モータ708、710等を備えている。
【0099】
筐体700は、図1のように例えば円筒状の周壁部700Aと円板状の前端壁部700B及び後端壁部700Cとから形成されており、これらの周壁部700A、前端壁部700B、及び、後端壁部700Cによって駆動ユニット604の略全体が覆われると共に、駆動ユニット604の構成部品が内部に収容保持されている。前端壁部700Aには、挿通孔700Dが形成されており、その挿通孔700DにOCTプローブ600のシース620内に収容された光ファイバ623が挿通されると共に、前端壁部700Bにおける挿通孔700Dの周辺部にシース620の端部が固着される。後端壁部700Cには、挿通孔700Eが形成されており、図1に示したOCTプロセッサ400にコネクタ410により接続されたケーブル606内の光ファイバ(連結光ファイバ)FB9がその挿通孔700Eに挿通される。
【0100】
鉗子口装着部702は、例えば図1にも示したように円筒状に形成され、筐体700の前端壁部700Bの挿通孔700Dを囲むようにして前端壁部700Bに固着され、前端壁部700Bから突出配置されている。また、鉗子口装着部702の外周面は、内視鏡100の鉗子挿入部138における鉗子導入口139の内周面と略同一径に形成されている。従って、鉗子口装着部702を鉗子導入口139に挿入すると、鉗子口装着部702が鉗子導入口139の内周面との摩擦により回転と直進とが略規制された状態で鉗子導入口139内に嵌合する。これによって、駆動ユニット604が鉗子挿入部138に着脱可能に装着されるようになっている。尚、鉗子口装着部702は筐体700に一体形成するようにしてもよい。
【0101】
固定筒704は、円筒状に形成されており、内部を貫通する貫通孔704Aにより光ファイバFB9の端部及びコリメータレンズ720を固持すると共に、内部フレーム722に固定されている。内部フレーム722は、筐体700に対して前後方向(紙面左右方向)に移動可能に支持されている。
【0102】
一方、回転筒706は、円筒状に形成され、内部を貫通する貫通孔706Aにより光ファイバ623の端部及びコリメータレンズ724を固持すると共に、軸受け726及び固定スリーブ728を介して内部フレーム722に回動自在に軸支されている。尚、光ファイバ623の外周部に配置される図3で示したバネ624は図4では省略しているが、そのバネ624は例えば回転筒706の端面に固着される。固定スリーブ728は、円筒状に形成され、内部フレーム722における固定筒704の周辺部に固着されて突出配置されており、軸受け726は、固定スリーブ728の内周面と回転筒706の外周面の間に配置されて、固定スリーブ728に対して回転筒706を回動自在に支持している。尚、内部フレーム722は、内部フレーム722に一体形成してもよい。
【0103】
これらの固定筒704と回転筒706によりOCTプロセッサ400に接続されたケーブル606内の光ファイバFB9に対してOCTプローブ600の光ファイバ623が回動可能に支持されている。
【0104】
また、固定筒704に固持された光ファイバFB9の端部及びコリメータレンズ720と、回転筒706に固持された光ファイバ623の端部及びコリメータレンズ724は、それらの光軸が同軸上となるように配置されている。そして、光ファイバFB9、623の各々の端面から出射された光がコリメータレンズ720、724の各々により平行光化されて伝搬され、他方のコリメータレンズ724、720により集光されて、他方の光ファイバ623、FB9の端面から内部へと入射するようになっている。これにより、光ファイバFB9と光ファイバ623とが光学的に接続されると共に、光ファイバ623が光ファイバFB9に対して回動可能な状態で光学的に接続されており、いわゆるロータリージョイント26(図2参照)が構成されている。
【0105】
また、回転筒706の外周面には、歯車730が固着され、その歯車730に歯車732が噛合されている。歯車732は、モータ708の回転軸に取り付けられており、モータ708は内部フレーム722に固定されている。従って、モータ708を駆動することによって、その動力が歯車732及び歯車730を介して回転筒706に伝達し、回転筒706が回転するようになっている。これにより、モータ708を駆動することによってOCTプローブ600の光ファイバ623がシース620内で回転し、光ファイバ623の先端に取り付けられた光学ユニット628が回転する。
【0106】
さらに、内側フレーム722は筐体700に対して前後方向に移動可能に支持されており、内側フレーム722にはリニア移動支持部材740が固着されている。そのリニア移動支持部材740にはネジ孔が形成されており、そのネジ孔に例えばボールネジ742が螺合される。ボールネジ742はモータ710により回動し、モータ710は筐体700に固定されている。従って、モータ710を駆動することによって、その動力がボールネジ742及びリニア移動支持部材740を介して内部フレーム722に伝達し、内部フレーム722が前後方向(紙面左右方向)に直進移動するようになっている。これにより、モータ710を駆動することにより内部フレーム722に支持されたロータリージョイント26の構成部品全体が直進移動し、OCTプローブ600の光ファイバ623がシース620に対して軸方向に直進移動して光ファイバ623の先端に取り付けられた光学ユニット628が直進する。
【0107】
モータ708、710は、OCTプロセッサ400に接続されたケーブル606内の電気信号線を通じてOCTプロセッサ400内の処理部22(図2参照)から与えられる駆動信号により駆動されるようになっており、処理部22は、OCT計測時において、モータ708、710に駆動信号を与えて駆動することによって光学ユニット628を所定動作させてラジアル走査、リニア走査等の所定の走査を実行する。
【0108】
また、図4では省略しているが、駆動ユニット604内には回転筒706の回転位置や、内部フレーム722の直進位置を検出するポテンショメータが設置され、それらのポテンショメータにより検出された位置信号がケーブル606内の電気信号線を通じて処理部22に与えられるようになっており、処理部22は、それらの位置信号により、光学ユニット628の回転位置や直進位置を把握し、走査位置を取得している。
【0109】
以上の如く構成された光断層画像化装置を用いてOCT計測を行う際の手順について説明すると、内視鏡100の挿入部114を被検者の体内に挿入した後、又は、挿入する前に、OCTプロセッサ400にケーブル606及び駆動ユニット604を介して接続されたOCTプローブ600を内視鏡100の鉗子導入口139から挿入し、駆動ユニット604の鉗子口装着部702を鉗子導入口139に挿入して装着する。このとき、術者は、鉗子口装着部702の鉗子導入口139への挿入量や回転位置を調整することによって、鉗子導出口156からのOCTプローブ600先端(シース620先端)の突出量や回転位置を調整することができる。これによって、OCT計測時においては、図5に示すように鉗子導出口156からシース620を突出配置させた状態にし、シース620の先端を測定部位Sに押し当てた状態(又は測定部位Sに近接させた状態)にする。
【0110】
続いて、術者がOCT計測の開始をOCTプロセッサ400の操作制御部32により指示すると、OCTプロセッサ400のコネクタ410から測定光が出射され、ケーブル606内の光ファイバFB9及びOCTプローブ600の光ファイバ623を伝送して光学ユニット628から測定部位Sに照射される。そして、その反射光が光学ユニット628から取り込まれ、OCTプローブ600の光ファイバ623及びケーブル606内の光ファイバFB9を伝送してOCTプロセッサ400に取り込まれる。
【0111】
また、これと同時にOCTプロセッサ400(処理部22)のコネクタ410から駆動ユニット604のモータ708、710を駆動するための駆動信号が出力され、ケーブル606内の電気信号線を伝送して駆動ユニット604のモータ708、710に与えられる。
【0112】
ここで、測定部位Sの走査方法は例えば術者が選択することが可能であり、ラジアル走査する際には、モータ708が駆動され、光学ユニット628が例えば図3の矢印R2方向に所定速度で回転する。これによって、測定光の照射位置が周方向に移動し、周方向に沿った位置における測定部位Sの走査(測定光の照射と反射光の取得)が行われる。リニア走査する際には、モータ710が駆動され、光学ユニット628が図3の矢印S2方向又は矢印S3方向に所定速度で直進する。これによって、測定光の照射位置がOCTプローブ600の軸方向に移動し、その軸方向に沿った位置における測定部位Sの走査が行われる。
【0113】
ラジアル走査とリニア走査を交互に行って測定部位Sの断面情報を3次元的に取得する場合には、モータ708、710が交互に駆動され、光学ユニット628が所定速度で所定回転するごとに所定量ずつ直進する。また、スパイラル走査する場合には、モータ708、710が同時に駆動され、光学ユニット628が所定速度で回転しながら所定速度で直進する。尚、各走査時の光学ユニットの回転方向や直進の移動方向は特定の方向に限定されない。
【0114】
このようにして測定部位Sを走査しながら測定光の照射と反射光の取り込みとが行われ、OCTプロセッサ400において、反射光と参照光との干渉光が干渉信号として検出され、その干渉信号から断層画像が生成される。ラジアル走査とリニア走査を交互に行って測定部位Sの断面情報を取得した場合には、図6(a)のように複数の断層画像が順次生成され、それらを繋げることによって図6(b)のように3次元画像が生成される。
【0115】
また、モニタ装置500の画面には、図7に示すように、内視鏡100の観察光学系150により現在撮影されている観察画像(内視鏡画像)532と共に、OCT計測により現在走査されている測定部位の断層画像512が表示される。
【0116】
以上のようにOCT計測が行われている際に、OCTプロセッサ400と内視鏡100の鉗子導入口139との間の光伝送路部分には、ケーブル606のみが配置されており、OCTプローブ600の余長部分は存在しない。そのため、OCTプロセッサ400と内視鏡100の鉗子導入口139との間の光伝送路部分に揺れ等の状態変動が生じたとすると、それによって直接的にOCTプローブ600に状態変動が生じることはない。一方、ケーブル606(光ファイバFB9)には状態変動が生じるが、ケーブル606は、OCTプロセッサ400のコネクタ410と駆動ユニット604に固定されており、また、駆動ユニット604は、ケーブル606の状態変動程度では鉗子導入口139に対して回転又は直進移動することがないため、光ファイバFB9は両端部において固定された状態に保持される。また、駆動ユニット604のロータリージョイント26によってOCTプローブ600の光ファイバ623とも直接的には連結されていない。従って、ケーブル606の状態変動によりOCTプローブ600に状態変動が生じることはなく、特にOCTプローブ600の光ファイバ623への影響は皆無となる。即ち、鉗子導入口139よりも外部の光伝送路部分の状態変動によってOCTプローブ600内の光ファイバ623及び光学ユニット628が状態変動することがなく、装置が認識している測定位置と実際の測定位置にずれが生じないようになっている。そのため、測定精度の低下が防止され、また、モニタ装置500に表示される断層画像512の揺れによる回転ずれが防止される。
【0117】
以上、上記実施の形態では、駆動ユニット604の鉗子口装着部702は、内視鏡100の鉗子挿入部138の鉗子導入口139に挿入して嵌合することによって鉗子導入口139に装着する構造としたが、これに限らず、鉗子導入口139に装着できる構造であれば、即ち、ロータリージョイント26を鉗子挿入部138に装着できる構造であれば、どのような構造の装着手段であってもよい。例えば、鉗子導入口139の内周面に嵌合するのではなく、鉗子挿入部138の外周に嵌合する円筒部によって装着する構造としてもよいし、嵌合ではなくネジ結合や磁力等を使用して鉗子挿入部138にロータリージョイント26(駆動ユニット604)を装着する構造としてもよい。また、駆動ユニット604の鉗子口装着部702は鉗子導入口139に嵌合させた状態でも術者の操作力により回転又は直進させて挿入量や回転位置を調整できるようにしたが、これに限らず、鉗子挿入部138に回転及び直進を規制した状態で装着できるようにしてもよい。例えば、鉗子挿入部138や鉗子導入口139が係合可能な凹凸形状を有する場合にはその凹凸形状に係合可能な部位を駆動ユニット604の鉗子口装着部702に形成して装着できるようにすればよい。ただし、このように駆動ユニット604の鉗子口装着部702を鉗子挿入部138に完全に固定する態様の場合には、OCTプローブ600のシース620が鉗子導出口139から突出する量は調整できないが、OCT計測時において適切な突出量となるようにシース620の長さを事前に調節するようにしてもよいし、駆動ユニット604にシース620の鉗子導入口139への挿入量(鉗子導出口139からの突出量)を調整する機構を設けても良い。
【0118】
また、上記実施の形態では、駆動ユニット604のモータ708、710をOCTプロセッサ400からの駆動信号により駆動制御するようにしたが、これに限らず、駆動ユニット604に設けたスイッチ等の指示部材の操作に従って駆動ユニット604の回路によりモータ708、710を駆動するようにしてもよい。また、モータ708、710は必ずしも駆動ユニット604に搭載されている必要はなく、必要なときに駆動ユニット604の外部からモータを連結してOCTプローブ600内の光ファイバ623をモータにより回転又は直進させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10…画像診断装置、12…光源ユニット、14…分岐合波部、18…光路長調整部、20…干渉光検出部、22…処理部、26…ロータリージョイント、28…光ファイバカプラ、30a、30b…検出部、32…操作制御部、40…半導体光増幅器、42…光分岐器、44…コリメータレンズ、46…回折格子素子、48…光学系、50…回転多面鏡、64…第1光学レンズ、66…第2光学レンズ、68…反射ミラー、70…基台、72…ミラー移動機構、100…内視鏡、110…電気コネクタ、112…手元操作部、114…挿入部、116…ユニバーサルケーブル、120…LGコネクタ、138…鉗子挿入部、139…鉗子導入口、140…軟性部、142…湾曲部、144…先端部、150…観察光学系、156…鉗子導出口、200…内視鏡プロセッサ、300…光源装置、400…OCTプロセッサ、410…コネクタ、500…モニタ装置、600…OCTプローブ、604…駆動ユニット604…ケーブル、620…プローブ外筒(シース)、622…キャップ、623、FB1〜FB11…光ファイバ、624…バネ、626…固定部材、628…光学ユニット(光学レンズ)、700…筐体、702…鉗子口装着部、704…固定筒、706…回転筒、708、710…モータ、720、724…コリメータレンズ、722…内部フレーム、726…軸受け、728…固定スリーブ、730、732…歯車、740…リニア移動支持部材、742…ボールネジ、La…レーザ光、L1…測定光、L2…参照光、L3…反射光、L4…干渉光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部位に測定光を照射し、該測定光が照射された測定部位からの反射光を取得することにより測定部位の断層画像を取得する光断層画像化装置であって、前記測定光を装置本体から前記測定部位の近傍の先端位置まで伝送すると共に、前記反射光を前記先端位置から装置本体まで伝送する光伝送路を備え、該光伝送路は、長筒状のプローブ外筒内に光ファイバを収容して構成された光プローブの光ファイバであって、前記先端位置から前記装置本体への所定の中継位置までの光伝送路を形成する回転光ファイバと、前記中継位置から前記装置本体までの光伝送路を形成する連結光ファイバと、前記連結光ファイバに対して前記回転光ファイバを回動可能に支持すると共に前記回転光ファイバと前記連結光ファイバとを光学的に接続するロータリージョイントと、から構成され、前記測定部位の断層画像を取得するための計測時において前記光プローブの先端部が内視鏡の鉗子導入口から挿入されて該内視鏡の挿入部先端の鉗子導出口から突出配置される光断層画像化装置において、
前記ロータリージョイントを前記鉗子導入口に固持するために前記鉗子導入口に着脱可能に装着される装着手段を備えた、
ことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項2】
前記ロータリージョイントは、前記回転光ファイバを回転用モータで回転させるための回転駆動機構を備え、前記ロータリージョイントと前記回転駆動機構を保持した駆動ユニットが前記装着手段を備えたことを特徴とする請求項1の光断層画像化装置。
【請求項3】
前記駆動ユニットの筐体内に前記回転用モータが収容保持されていることを特徴とする請求項2の光断層画像化装置。
【請求項4】
前記ロータリージョイントは、前記回転光ファイバを直進用モータで直進移動させるための直進駆動機構を備え、前記ロータリージョイントと前記直進駆動機構を保持した駆動ユニットが前記装着手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、又は、3の光断層画像化装置。
【請求項5】
前記駆動ユニットの筐体内に前記直進用モータが収容保持されていることを特徴とする請求項4の光断層画像化装置。
【請求項6】
前記ロータリージョイントとは、前記駆動ユニットの筐体に対して固定され、前記連結光ファイバの端部を固持する固定筒と、前記駆動ユニットに対して回動可能に支持され、前記回転光ファイバの端部を固持する回転筒とを備えたことを特徴とする請求項2、3、4、又は、5の光断層画像化装置。
【請求項7】
前記装着手段は、前記駆動ユニットの筐体に設けられたことを特徴とする請求項2乃至6のうちのいずれか1に記載の光断層画像化装置。
【請求項8】
前記装着手段は、前記鉗子導入口からの前記光プローブ全体の挿入量を調整可能に前記鉗子導入口に装着されることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1に記載の光断層画像化装置。
【請求項9】
前記装着手段は、前記鉗子導入口内に挿入される挿入部を有し、該挿入部と前記鉗子導入口内との嵌合によって前記鉗子導入口に装着されることを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1に記載の光断層画像化装置。
【請求項10】
前記光プローブは、前記回転光ファイバの先端位置から出射された測定光を前記光プローブの軸方向に対して略直交方向に位置する測定部位に照射すると共に、該測定部位からの反射光を前記回転光ファイバの先端位置から入射させる光学ユニットが前記回転光ファイバの先端位置に取り付けられた構成を有することを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1に記載の光断層画像化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52863(P2012−52863A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194377(P2010−194377)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】