説明

光書き込みヘッド

【課題】複数の光源とダイクロイックミラーからなる光書き込みヘッドにおいて、非点収差補正手段の構成を簡単にし、組立てが容易でコンパクトな構造にすること。
【解決手段】光源11の光は、ダイクロイックミラーDM1,DM2、セルホックレンズアレイSLA、凹型のシリンドリカルレンズ34を透過して印画紙PPに結像する。同様に光源12の光は、非点収差均一化部材31を透過し、ダイクロイックミラーDM1で反射し、ダイクロイックミラーDM2を透過し、光源13の光は、非点収差均一化部材32を透過し、ダイクロイックミラーDM2で反射して印画紙PPに結像する。非点収差均一化部材32の板厚は、非点収差均一化部材31の2倍である。各光源の光の非点収差は、均一化され、共通のシリンドリカルレンズ34によって補正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、印画紙等の記録媒体に画像等を書き込む光書き込みヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来3個の発光素子アレイ(光源と呼ぶ)と2個のダイクロイックミラーからなる光書き込みヘッドが提案されている(例えば特許文献1参照)。図6は、その光書き込みヘッドの断面図を示す。
図6の光書き込みヘッドは、3個の光源11,12,13、ガラスの平行平板(短冊状板)からなるダイクロイックミラーDM1,DM2、セルホックレンズアレイ(等倍率結像素子)SLAを備えている。
光源11の光は、ダイクロイックミラーDM1,DM2、セルホックレンズアレイSLAを透過して印画紙PPに結像する。光源12の光は、ダイクロイックミラーDM1で反射し、ダイクロイックミラーDM2、セルホックレンズアレイSLAを透過して印画紙PPに結像する。光源13の光は、ダイクロイックミラーDM2で反射し、セルホックレンズアレイSLAを透過して印画紙PPに結像する。その際、光源11の光は、ダイクロイックミラーDM1,DM2を透過し、光源12の光は、ダイクロイックミラーDM2を透過するが、光源13の光は、ダイクロイックミラーDM1,DM2を透過しない。したがって光源11,12,13の光は、ダイクロイックミラーDM1,DM2を透過する回数が相違する。
【0003】
光源11,12の光は、ダイクロイックミラーを透過するとき非点収差が生じるため、印画紙PPに結像する光点(結像ドットと呼ぶ)は、ピントが甘くなって紙面の左右方向に広がり、正方形が長方形に、或いは円が楕円形になる。光源13の光は、非点収差が生じない。したがって図6の光書き込みヘッドの光源11,12,13の光は、光源によって非点収差の大きさが相違する。
【0004】
そこで非点収差を補正するため、光路にシリンドリカルレンズを配置した光書き込みヘッドが提案されている(例えば特許文献2参照)。図7(a)は、その光書き込みヘッドの断面図を示す。
図7(a)の光書き込みヘッドは、2つの光源11,12、ガラスの平行平板からなるダイクロイックミラーDM1、凸型のシリンドリカルレンズ21、非球面レンズ22を備えている。
光源11の光は、シリンドリカルレンズ21、ダイクロイックミラーDM1、非球面レンズ22を透過して印画紙PPに結像する。光源12の光は、ダイクロイックミラーDM1で反射し、非球面レンズ22を透過して印画紙PPに結像する。光源11の光は、ダイクロイックミラーDM1を透過するとき非点収差が生じるため、光源11とダイクロイックミラーDM1の間にシリンドリカルレンズ21を配置して、その非点収差を補正している。その結果、光源11と光源12の光の結像ドットは、大きさが同じになり、非点収差のない状態になる。
【0005】
図7(b)は、図6の光書き込みヘッドに、図7(a)のシリンドリカルレンズによる非点収差の補正方法を適用した光書き込みヘッドの断面図を示す。
図7(b)の光書き込みヘッドは、光源11とダイクロイックミラーDM1の間にシリンドリカルレンズ231を配置し、光源12とダイクロイックミラーDM1の間にシリンドリカルレンズ232を配置してある。シリンドリカルレンズ231は、ダイクロイックミラーDM1,DM2によって生じる非点収差を補正し、シリンドリカルレンズ232は、ダイクロイックミラーDM2によって生じる非点収差を補正する。
光源11の光と光源12の光は、ダイクロイックミラーDM1,DM2によって生じる非点収差の大きさが相違するから、シリンドリカルレンズ231,232は、その非点収差の補正量が相違する。したがってシリンドリカルレンズ231,232の曲率は、その補正量に応じて所定の大きさに設定してある。
【0006】
【特許文献1】特開2007−47682号公報
【特許文献2】特開平10−181080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7(b)の光書き込みヘッドは、曲率の異なる2個のシリンドリカルレンズ231,232を用いているが、シリンドリカルレンズは、長尺であるから(長さは印画紙PPの幅に相当する)、全長の曲率を高精度でかつ均一に加工することは難しく、かつ曲率の異なる2種類のものを作製しなければならないから、シリンドリカルレンズのコストが高くなり、光書き込みヘッドのコストも高くなる。
また光源11,12,13、ダイクロイックミラーDM1,DM2及びシリンドリカルレンズ231,232からなる光源・ミラー部は、光学的に高精度で配置し密接させて一体的にコンパクトに組立てなければならないが、長尺のシリンドリカルレンズ231,232は、位置合せが難しく、また占有スペースが大きいため、光源・ミラー部のコンパクト化が困難である。
本願発明は、それらの問題点に鑑み、高価なシリンドリカルレンズの個数を少なくし、かつ光源・ミラー部をコンパクトに構成し組立てが容易になる光書き込みヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載の光書き込みヘッドは、複数の光源、平行平板からなるダイクロイックミラー及び透光性の平行平板からなる非点収差均一化部材からなる光源・ミラー部、セルホックレンズアレイ並びに各光源に共通の非点収差補正部材を備え、非点収差均一化部材はダイクロイックミラーと平行に配置し、セルホックレンズアレイは光源・ミラー部と記録媒体の間に配置し、非点収差補正部材はセルホックレンズアレイと記録媒体の間に配置してあることを特徴とする。
請求項2に記載の光書き込みヘッドは、請求項1に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記非点収差補正部材は凹型のシリンドリカルレンズからなることを特徴とする。
請求項3に記載の光書き込みヘッドは、請求項1に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記非点収差補正部材は透光性の平行平板からなり、光路中心軸に対して傾斜していることを特徴とする。
請求項4に記載の光書き込みヘッドは、請求項2又請求項3に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記光源は第1、第2、第3光源からなり、前記ダイクロイックミラーは直交する第1、第2ダイクロイックミラーからなることを特徴とする。
請求項5に記載の光書き込みヘッドは、請求項4に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記3個の光源は、第1光源の光は第1、第2ダイクロイックミラーを透過し、第2光源の光は第1非点収差均一化部材を透過し第1ダイクロイックミラーで反射し第2ダイクロイックミラーを透過し、第3光源の光は第2非点収差均一化部材を透過し第2ダイクロイックミラーで反射するように配置してあることを特徴とする。
請求項6に記載の光書き込みヘッドは、請求項4に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記3個の光源の内、第1光源の解像度は第2、第3光源の解像度の2倍以上であり、前記3個の光源は、第1光源の光は第1、第2ダイクロイックミラーを透過し、第2光源の光は第1ダイクロイックミラーで反射し第2ダイクロイックミラーを透過し、第3光源の光は非点収差均一化部材を透過し第2ダイクロイックミラーで反射するように配置してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の光書き込みヘッドは、透光性の平行平板からなる非点収差均一化部材により、各光源の光の非点収差を均一にした後、各光源に共通の非点収差補正部材によって非点収差を補正するから、非点収差補正部材は、1個でよい。したがって非点収差補正部材が凹型のシリンドリカルレンズの場合、加工の難しい高価なシリンドリカルレンズは、1個でよいから、光書き込みヘッドのコストを低減できる。また非点収差補正部材が平行平板の場合、構造が簡単になり安価になるから、光書き込みヘッドのコストをさらに低減できる。
本願発明の非点収差補正部材は、光源・ミラー部の外に配置するから、光源・ミラー部は、組立てが容易になり、かつコンパクトになる。
【0010】
本願発明の光書き込みヘッドの非点収差均一化部材は、平行平板であって所定曲率の曲面を形成する必要がないから加工が容易で安価になり、かつダイクロイックミラーと同じ素材を用いることもできるから、加工コストを低減できる。また非点収差均一化部材は、ダイクロイックミラーと平行に配置するから、占有スペースが小さくなり、光源・ミラー部がコンパクトになる。かつ非点収差均一化部材は、光源・ミラー部を組立てるとき、ダイクロイックミラーと平行に配置すればよいから、位置合せが簡単になり、光源・ミラー部の組立てが容易になる。
本願発明の光書き込みヘッドは、光源の解像度が相違しているから、非点収差均一化部材の個数を少なくすることができる。したがって光源・ミラー部は、構造が簡単になり、位置合せも簡単になるから、組立てが容易になり、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図5により本願発明の実施例を説明する。なお各図に共通な部分は、同じ符号を使用している。
【実施例1】
【0012】
図1、図2により本願発明の実施例1の光書き込みヘッドを説明する。
図1は、光書き込みヘッドの断面図であり、図2は、光書き込みヘッドの非点収差の均一化と非点収差の補正を説明する図である。
図1において、11,12,13は、発光素子アレイ(光源と呼ぶ)で、各光源は、例えば赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を発光する。各光源は、蛍光発光管、発光ダイオード、EL、プラズマデバイス、液晶デバイス、PLZT等を用いることができる。DM1、DM2は、ガラス(透光性材)の平行平板(短冊状板)からなるダイクロイックミラーで、両者は、直交するように配置して一方の端部を他方に接着して一体的に形成してある。ダイクロイックミラーDM1、DM2の板厚は、同じである。31,32は、非点収差を均一にするための非点収差均一化部材で、ガラス(透光性材)の平行平板(短冊状板)からなり、夫々ダイクロイックミラーDM1、DM2と平行に配置してある。非点収差均一化部材31の板厚は、ダイクロイックミラーDM1の板厚と同じに、非点収差均一化部材32の板厚は、ダイクロイックミラーDM2の板厚の2倍(非点収差均一化部材31の板厚の2倍)に設定してある。非点収差均一化部材32は、ダイクロイックミラーDM2と同じ板厚のものを2枚、平行に配置しても良い。SLAは、セルホックレンズアレイ(等倍率結像素子)、34は、非点収差を補正するための部材(非点収差補正部材)である凹型のシリンドリカルレンズ、PPは、記録媒体である印画紙である。
【0013】
光書き込みヘッドは、光源11,12,13(第1、第2、第3光源)、ダイクロイックミラーDM1、DM2(第1、第2ダイクロイックミラー)及び非点収差均一化部材31,32(第1、第2非点収差均一化部材)からなる光源・ミラー部と、その外に配置したセルホックレンズアレイSLA、シリンドリカルレンズ34とからなり、光源・ミラー部は、前記光源、ダイクロイックミラー及び非点収差均一化部材を、光学的に高精度で配置し密接させて一体的に組立ててある。
光源11の光は、ダイクロイックミラーDM1、DM2、セルホックレンズアレイSLA、シリンドリカルレンズ34を透過して印画紙PPに結像する。光源12の光は、非点収差均一化部材31を透過し、ダイクロイックミラーDM1で反射し、ダイクロイックミラーDM2、セルホックレンズアレイSLA、シリンドリカルレンズ34を透過して印画紙PPに結像する。光源13の光は、非点収差均一化部材32を透過し、ダイクロイックミラーDM2で反射し、セルホックレンズアレイSLA、シリンドリカルレンズ34を透過して印画紙PPに結像する。
【0014】
次に図2を用いて、図1の光書き込みヘッドの非点収差の均一化と非点収差の補正について説明する。
図2(a)、(b)は、光源11,12,13の光が印画紙PPに結像した光点(結像ドットと呼ぶ)の列(結像ドット列)を示し、図2(a)は、図1のシリンドリカルレンズ34がないときの結像ドット列を、図2(b)は、シリンドリカルレンズ34があるときの結像ドット列を示す。Yは、光書き込みヘッドの移動方向を示す。
【0015】
図2において、D11は、光源11の光の結像ドット列を、D12は、光源12の光の結像ドット列を、D13は、光源13の光の結像ドット列を示す。図2(a)において、FM1,FM2,F31,F32は、非点収差による結像ドットの上下方向(Y方向)の広がりを示し、F11,F12,F13は、非点収差がないときの結像ドットを示す。結像ドットの広がりFM1〜F32の内、FM1は、ダイクロイックミラーDM1の非点収差による広がりを、FM2は、ダイクロイックミラーDM2の非点収差による広がりを、F31は、非点収差均一化部材31の非点収差による広がりを、F32は、非点収差均一化部材32の非点収差による広がりを示す。なお非点収差均一化部材32の板厚は、ダイクロイックミラーDM2の板厚の2倍であるから、非点収差均一化部材32の非点収差による結像ドットの広がりF32は、他の結像ドットの広がりの2倍になる。
【0016】
図1の光書き込みヘッドは、光源12,13の光の光路に非点収差均一化部材31,32を配置して非点収差を付加しているから、光源11,12,13の光の非点収差の大きさは、同じになり、結像ドット列D11、D12、D13の各結像ドットの上下方向の長さW1、W2、W3は、同じになる。
図2(a)のように非点収差を均一にした結像ドット列D11、D12、D13は、図1のようにシリンドリカルレンズ34を透過すると、各結像ドット列の結像ドットは、非点収差が補正されて、図2(b)のように非点収差のない結像ドットF11、F12、F13となる。
【0017】
図1の光書き込みヘッドは、加工の難しい高価なシリンドリカルレンズは1個でよいからコストを低減できる。またシリンドリカルレンズ34は、光源・ミラー部の外に配置するから、光源・ミラー部は、組立てが容易になりかつコンパクトになる。反面、図1の光書き込みヘッドは、非点収差均一化部材31,32が必要になるが、非点収差均一化部材31,32は、平行平板であり所定曲率の曲面を形成する必要がないから、加工が容易になり、かつ非点収差均一化部材31は、ダイクロイックミラーDM1,DM2と同じの素材を用いることができ、非点収差均一化部材32も、2枚を平行に配置する場合には、ダイクロイックミラーDM1,DM2と同じ素材を用いることができる。また非点収差均一化部材31,32は、ダイクロイックミラーDM1,DM2と平行に配置するから、それらの占有スペースは小さくなり、かつ位置合せや組立てが簡単になる。
【0018】
なお図1の光書き込みヘッドは、光源が3個の例であるが、光源が2個の場合にも、図1の光書き込みヘッドと同様に非点収差を補正することができる。光源が2個の場合には、光源11,12、ダイクロイックミラーDM1、非点収差均一化部材31によって光源・ミラー部を構成する。この場合光源12の光は、非点収差均一化部材31により非点収差が付加されるから、光源11の光の非点収差と同じになる。したって図1のシリンドリカルレンズ34は、光源11,12に共通に使用することができる。
【0019】
図3は、図1の光書き込みヘッドにおいて、凹型のシリンドリカルレンズ34に代えて、平行平板33を用いた例である。即ち図3の光書き込みヘッドは、非点収差補正部材としてガラスからなる平行平板を用いている。
平行平板33は、セルホックレンズアレイSLAの出射側の光路の中心軸に対する角度θが45度になるように、傾斜させて配置してある。平行平板33の板厚は、非点収差均一化部材32と同じである。
図1の光書き込みヘッドは、セルホックレンズアレイSLAの入射側(物点側)の光路において、各光源の光路の非点収差を均一化し、セルホックレンズアレイSLAの出射側(像点側)の光路に各光源に共通の凹型のシリンドリカルレンズ34を配置して非点収差を補正している。それに対して図3の光書き込みヘッドは、セルホックレンズアレイSLAの出射側の光路に平行平板33を傾斜するように配置して非点収差を補正している。
【0020】
平行平板33は、傾斜しているから非点収差均一化部材31,32と同様に非点収差を生じる。即ちセルホックレンズアレイSLAから出射して平行平板33を透過する光は、主走査方向Y1の光(光線)と副走査方向Y2の光(光線)とで収差量が異なる。したがって平行平板33を、セルホックレンズアレイSLAと記録媒体PPの間に配置すると、図1の凹型のシリンドリカルレンズ34と同様に非点収差を補正することができる。その非点収差の補正量は、平行平板33の傾斜角θ又は板厚、或いはその双方を変えることにより調整することができる。
図3の光書き込みヘッドは、非点収差補正部材に平行平板を用いるから、非点収差補正部材は、構造が簡単になり、安価に作製することができる。
【実施例2】
【0021】
図4、図5により本願発明の実施例2の光書き込みヘッドを説明する。
図4は、光書き込みヘッドの断面図であり、図5は、光書き込みヘッドの非点収差の均一化と非点収差の補正を説明する図である。
図4の光書き込みヘッドは、図1の光書き込みヘッドの非点収差均一化部材31を省略し、光源111の解像度を光源12,13の解像度の2倍に設定してある。光源111は、発光ダイオードを用い、光源12,13は、蛍光発光管を用いている。蛍光発光管は、赤色発光のエネルギーが弱く、発光ダイオードは、蛍光発光管と比較して相対的に赤色発光のエネルギーが強いため、一般に赤色発光に発光ダイオードを用い、緑色発光と青色発光に蛍光発光管を用いている。蛍光発光管は、通常解像度を300dpi(1インチ当り300ドット)に設定したものが市販され、発光ダイオードは、解像度を600dpiに設定したものが市販されており、図4、図5は両者を組合せた場合に相当する。
なお光源111,12,13の光源は、それらの発光素子に限らない。
【0022】
図4の光書き込みヘッドの光源・ミラー部は、光源111,12,13、ダイクロイックミラーDM1、DM2及び非点収差均一化部材32からなる。なお非点収差均一化部材32の板厚は、ダイクロイックミラーDM2の板厚と同じである。
図4の光書き込みヘッドの非点収差は、光源111の光がダイクロイックミラーDM1,DM2を透過するとき2回、光源12の光がダイクロイックミラーDM2を透過するとき1回、光源13の光が非点収差均一化部材32を透過するとき1回生じる。
【0023】
次に図5を用いて、図4の光書き込みヘッドの非点収差の均一化と非点収差の補正について説明する。
図5(a)、(b)は、光源111,12,13の光が印画紙PPに結像したときの結像ドット列を示し、図5(a)は、図4のシリンドリカルレンズ34がないときの結像ドット列を、図5(b)は、シリンドリカルレンズ34があるときの結像ドット列を示す。Yは、光書き込みヘッドの移動方向を示す。
図5(a)において、FM1は、ダイクロイックミラーDM1の非点収差による結像ドットの上下方向の広がりを、同様にFM2は、ダイクロイックミラーDM2の非点収差による広がりを、F32は、非点収差均一化部材32の非点収差による広がりを示し、F111,F12,F13は、非点収差がないときの結像ドットを示す。結像ドットF111の大きさは、結像ドットF12,F13の4分の1になる。
【0024】
光源111の解像度は、光源12,13の解像度の2倍であるから、結像ドット列D111の結像ドット数は、結像ドット列D12,D13の2倍になる。したがって結像ドット列D111の結像ドット2個は、結像ドット列D12,D13の結像ドット1個に対応している。なお光源111の発光ダイオードと光源12,13の蛍光発光管の発光エネルギーは、発光ダイオードの方が大きいから、結像ドットF111の2個の輝度は、結像ドットF12,F13の1個の輝度と略同じになる。
結像ドットF111の大きさは、結像ドットF12,F13よりも小さいが、光源111の光は、光源12,13の光よりも1回余分に非点収差が生じるから、結像ドットF111,F12,F13の上下方向の長さW1、W2、W3は、略同じになる。
【0025】
図4の光書き込みヘッドは、光源111の解像度を光源12,13の解像度の2倍にすることにより、非点収差均一化部材を1個にすることができるから、光源・ミラー部は、構造が簡単になりコンパクトになる。したがって図4の光書き込みヘッドは、組立てが容易になり、コストを低減できる。
なお光源111の解像度は、光源12,13の解像度の3倍、4倍にすることもできるが、その場合には、結像ドットF111が小さくなるから、ダイクロイックミラーDM1の板厚を厚くして、その非点収差による結像ドット111の広がりFM1を大きくし、前記結像ドットの長さW1、W2、W3を同じにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の実施例1に係る光書き込みヘッドの断面図を示す。
【図2】図1の光書き込みヘッドの非点収差の均一化と非点収差の補正を説明する図で、印画紙の結像ドット列を示す。
【図3】図1の光書き込みヘッドの非点収差補正部材を、平行平板に置き換えた例を示す。
【図4】本願発明の実施例2に係る光書き込みヘッドの断面図を示す。
【図5】図4の光書き込みヘッドの非点収差の均一化と非点収差の補正を説明する図で、印画紙の結像ドット列を示す。
【図6】従来の3光源と2個のダイクロイックミラーからなる光書き込みヘッドの断面図を示す。
【図7】従来の非点収差の補正手段を備えた光書き込みヘッドの断面図を示す。
【符号の説明】
【0027】
11,111,12,13 発光素子アレイ(光源)
31,32 非点収差均一化部材
33 非点収差補正用の平行平板
34 非点収差補正用のシリンドリカルレンズ
D11,D111,D12,D13 結像ドット列
DM1,DM2 ダイクロイックミラー
F11,F111,F12,F13 非点収差がないときの結像ドット
FM1,FM2,F31,F32 非点収差による結像ドットの広がり
SLA セルホックレンズアレイ
PP 印画紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源、平行平板からなるダイクロイックミラー及び透光性の平行平板からなる非点収差均一化部材からなる光源・ミラー部、セルホックレンズアレイ並びに各光源に共通の非点収差補正部材を備え、非点収差均一化部材はダイクロイックミラーと平行に配置し、セルホックレンズアレイは光源・ミラー部と記録媒体の間に配置し、非点収差補正部材はセルホックレンズアレイと記録媒体の間に配置してあることを特徴とする光書き込みヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記非点収差補正部材は凹型のシリンドリカルレンズからなることを特徴とする光書き込みヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記非点収差補正部材は透光性の平行平板からなり、光路中心軸に対して傾斜していることを特徴とする光書き込みヘッド。
【請求項4】
請求項2又請求項3に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記光源は第1、第2、第3光源からなり、前記ダイクロイックミラーは直交する第1、第2ダイクロイックミラーからなることを特徴とする光書き込みヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記3個の光源は、第1光源の光は第1、第2ダイクロイックミラーを透過し、第2光源の光は第1非点収差均一化部材を透過し第1ダイクロイックミラーで反射し第2ダイクロイックミラーを透過し、第3光源の光は第2非点収差均一化部材を透過し第2ダイクロイックミラーで反射するように配置してあることを特徴とする光書き込みヘッド。
【請求項6】
請求項4に記載の光書き込みヘッドにおいて、前記3個の光源の内、第1光源の解像度は第2、第3光源の解像度の2倍以上であり、前記3個の光源は、第1光源の光は第1、第2ダイクロイックミラーを透過し、第2光源の光は第1ダイクロイックミラーで反射し第2ダイクロイックミラーを透過し、第3光源の光は非点収差均一化部材を透過し第2ダイクロイックミラーで反射するように配置してあることを特徴とする光書き込みヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−14941(P2009−14941A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175668(P2007−175668)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】