光波長選択制御装置
【課題】光波長選択制御装置に関し、波長選択光フィルタによる波長選択処理を高精度に行なえるようにする。
【解決手段】N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部1Aと、前記周波数信号を出力するm個の周波数発振器2a−1〜2a−mと、この周波数発振器2a−1〜2a−mから出力される周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部3Aと、前記周波数発振器2a−1〜2a−mからの周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部4a−1〜4a−mとをそなえるとともに、前記制御部3Aが、周波数発振器2a−1〜2a−mから出力される周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように前記停止部4a−1〜4a−mを制御する。
【解決手段】N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部1Aと、前記周波数信号を出力するm個の周波数発振器2a−1〜2a−mと、この周波数発振器2a−1〜2a−mから出力される周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部3Aと、前記周波数発振器2a−1〜2a−mからの周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部4a−1〜4a−mとをそなえるとともに、前記制御部3Aが、周波数発振器2a−1〜2a−mから出力される周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように前記停止部4a−1〜4a−mを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重された光信号から任意の光信号を選択して光伝送を行なう光波長選択制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光ファイバの帯域特性を活かした波長多重(WDM;Wavelength Division Multiplexing)伝送方式は、伝送容量を拡大させたり、信号の分岐/挿入の容易さから柔軟性を向上させた光ネットワークを構築できる伝送方式として期待されている。
具体的に、このWDM伝送方式は、複数の異なる波長をもった光信号を波長多重して一本の光ファイバで伝送するので、同じ伝送速度の信号を多重化するなら、一本の光ファイバに一種類の波長の光信号を高速に変調して送信する伝送方式に比べ、波長多重数分だけ情報量を多く送信することができる。また、低速の光信号でも、波長多重することにより、高速の一波長の光信号を伝送する伝送方式と同じ伝送容量を得ることができる。
【0003】
ところで、上記のWDM伝送方式において、伝送される光信号の波長間隔は、隣接する波長の光信号の影響を受けない程度に離れている必要があるが、現在の光増幅器には、帯域が十数ナノメートル以上のものがあるので、上記の波長間隔を1ナノメートル前後にまで狭めたWDM伝送システムの実現も可能であり、実システムとして導入されつつある。
さらに、最近では、このようなWDM伝送システムに基づいた光ネットワークの研究も盛んに行なわれている。その一例としては、例えば、WDM信号を或るポイントから或るポイントへ送信するだけでなく、伝送路の途中に設けられたノードと呼ばれる中継点において、多重化された光信号のうちのある特定な波長の光信号だけを選択的に透過する一方、それ以外の波長の信号をそのノードで受信したり、そのノードから別の信号の光を挿入して別のノードへ送信したりすることのできる、ADM(Add- Drop Multiplex)機能をもったネットワークがある。このADM機能は、信号を光の状態のままで自由に分岐/挿入できることが特徴で、WDM伝送技術に特有の技術である。
【0004】
ここで、上述のようなWDM伝送システムに重要なデバイスとして、波長選択光フィルタ(以下、単に光フィルタということがある)がある。例えば、WDM伝送システムの受信側では、波長多重光信号(WDM信号)を波長毎に分離して受信を行なうため、この光フィルタが使用される。この場合の波長選択光フィルタは、伝送されてくる光信号以外の不要な信号(他信号)を除去するとともに、伝送路に設置される光アンプにより発生するノイズを除去する意味でも用いられる。このため、通常、この光フィルタには、他信号やノイズをできるだけ抑圧すべく、波長毎の透過帯域をできるだけ狭帯域にすることが要求されるほか、任意の波長の信号を選択できるように、選択波長が可変であることも要求される。
【0005】
さらに、このような波長選択光フィルタは、例えば、光ネットワークにおける光ADMノードや光クロスコネクト装置(図示略)等にも用いられる。光ADMノードでは、任意の波長の光信号を送信(挿入)し、任意の波長の光信号を受信(分岐)する機能が必要であるため、挿入側,分岐側ともに、この光フィルタが用いられ、それぞれ、選択波長が可変であることが要求される。
【0006】
一方、光クロスコネクト装置では、光信号の波長変換を行なう部分にこの光フィルタが使用される。即ち、電気信号を任意の波長の光で送信するために、伝送可能な状態であるN波多重されたCW(Continuous Wave)光から所望の波長の光だけをこの光フィルタで選択し、伝送信号を印加するのである。
このような波長選択光フィルタとしては、例えば、音響光学効果を利用した光フィルタ(AOTF;Acousto-Optical Tunable Filter)がある。
【0007】
図14はこのAOTFの構成を示すブロック図で、この図14に示すAOTF50は、光入力ポート50a,光導波路501,偏波分離部(PBS;Polarization Beam Sprit)502,507,SAW吸収体503,506,くし形電極(IDT)504,SAWクラッド部(Ti−deep拡散部)505,光出力ポート50b,50cをそなえて構成されており、光導波路501を伝搬する光信号とSAWクラッド部505を伝搬する表面弾性波とが干渉して一部の波長の光のみが偏光変換を受け、この偏光変換された光のみをスプリッタ(PBS507)で分離することで、波長の一部を取り出す(選択する)ことができるようになっている。
【0008】
具体的には、IDT504(電極対数N,開口長W)に取り出すべき波長の光に対応するRF信号を与えることにより、取り出すべき波長の光にのみ偏光変換を与える表面弾性波(SAW;Surface Acoustic Wave )を発生させてSAWクラッド部505を伝搬させる。なお、このとき、IDT504からSAWクラッド部505の両側に向けてマイクロ波が発生してPBS502,507での偏波分離処理に影響を与える可能性があるが、このマイクロ波はSAW吸収体503,506によって吸収されている。
【0009】
そして、この状態において、光信号が入力ポート50aから入力されてくると、この光信号はPBS502において偏波分離されて、TEモードの光信号とTMモードの光信号としてそれぞれ光導波路501a,501bを伝搬する。
すると、これらの各信号は、SAWクラッド部505を伝搬している上記の表面弾性波の干渉を受けることにより、取り出したい波長の光信号のみが偏波変換(TE−TMモード変換)される。そして、このように偏波変換された光信号は、PBS507において偏波分離されることにより、取り出したい波長の光信号(選択光信号)のみが一方の光出力ポート50cから出力される。なお、選択されなかった光信号は、他方の光出力ポート50bから出力される。
【0010】
ここで、このAOTF50による波長選択処理において、AOTF50(デバイス)の温度が一定の状態であれば、上記表面弾性波の周波数と選択光信号の周波数との関係は1:1になる。従って、AOTF50は、一定の温度条件下において、IDT504に供給するRF信号の周波数を変化させれば選択光波長が変化する。これにより、選択波長可変の光フィルタがAOTF50によって実現される。
【0011】
なお、このAOTF50は、それぞれ周波数の異なる複数のRF信号を混合してIDT504に供給すると、各RF信号の周波数に対応して複数の光波長を一度に選択することもできる。即ち、このAOTF50は、1波だけではなく、任意の波長の光信号を複数同時に選択するADM(多波長選択光)フィルタとして使用する場合にも非常に有効なのである。
【0012】
以下、このAOTF50が適用される実際のシステムについて説明する。
図12はWDM伝送システムの構成例を示すブロック図である。この図12に示すWDM伝送システム600Aでは、送信系61′において、光源(LD)610−1〜610−nで生成されるそれぞれ異なる波長の光信号のサイドバンド等の不要成分がバンドパスフィルタ(BPF)613′−1〜613′−n(nは自然数)で除去される。そして、各光信号は、それぞれ、変調器(MOD)61c−1〜61c−nで変調され、合波器61dにおいて多重合波されたのち受信系62′へ送信される。なお、上述のBPF613′−1〜613′−nは、光源610−1〜610−nにおいて波長変動が生じた場合の他チャンネルへの影響を除去する役目も果たしている。
【0013】
一方、受信系62′では、送信系61′からの光信号を分波器62dにて分波したのち、上記AOTF50と同様の構成を有するAOTF62a−1〜62a−nにおいてそれぞれ一波の光信号を選択して、所望の波長の光信号を受信部62b−1〜62b−nにおいて受信する。
ところで、このWDM伝送システム600Aは、この図12に示すように、送信系61′,受信系62′ともに、或る波長に対応する送信機能,受信機能の障害時にそれぞれ予備として機能する、送信光源冗長部64及び受信部冗長部65を有している。
【0014】
具体的に、送信光源冗長部64は、出力光波長可変型のチューナブル光源(T−LD)610A,上記のAOTF50と同様のAOTF613A,変調部(MOD)61c′をそなえて構成されており、LD610−1〜610−n,BPF613′−1〜613′−n,MOD61c−1〜61c−nの組からなる各波長毎の送信機能のいずれかに障害が発生した場合に、チューナブル光源610Aの出力波長,AOTF613Aの選択波長がそれぞれ障害の生じた波長に切り替えられることで、障害部分に替わって機能するようになっている。
【0015】
一方、受信部冗長部65は、上記のAOTF50と同様のAOTF62A,上記の受信部62b−1〜62b−nと同様の受信部62Bをそなえて構成されており、上記の送信光源冗長部64と同様に、AOTF62a−1〜62a−n,受信器62b−1〜62b−nの組からなる各波長毎の受信機能のいずれかに障害が発生した場合に、AOTF62Aの選択波長が障害の発生した波長に切り替えられることで、障害部分に代わって機能するようになっている。
【0016】
このように、上記のWDM伝送システム600Aでは、送信系61′,受信系62′に、それぞれ、選択波長変更可能なAOTFを用いた予備系を設けることにより、システム全体の信頼性を向上させることができる。
次に、図13は光ADMノードの構成例を示すブロック図で、この図13に示す光ADMノード600は、光ADM部60,送信系61,受信系62及び光増幅器63をそなえて構成されている。
【0017】
ここで、光ADM部60は、伝送されてくる光信号に対する分岐/挿入処理を施すもので、光信号の分岐のための波長選択光フィルタとして上記のAOTF50と同様のAOTF60aをそなえて構成されている。但し、このAOTF60aは、波長選択用のRF信号(f1 ,f2 ,...,fx ;x≦n)の周波数に応じて複数波長の光信号を選択(多波長選択)できるようになっている。
【0018】
また、送信系61は、送信可能なN波(Nは自然数)のうち任意の波長の光信号を光ADM部60への入力光信号に挿入すべく光ADM部60に送信するもので、例えば、波長多重信号分配光源61a,ゲートスイッチ61b−1〜61b−n(nは自然数),変調器(MOD)61c−1〜61c−n,合波器61d,光増幅器61eをそなえて構成されている。
【0019】
ここで、波長多重信号分配光源61aは、光ADM部60において入力光信号に挿入すべき波長の光信号を生成・出力するもので、このために、本波長多重信号分配光源61aには、異なる波長λ1〜λnの光(信号)を出力する光源(LD)610−1〜610−nと、LD610−1〜610−nから出力される各波長λ1〜λnの光を合波する合波器611と、合波器611において合波された光信号をλ1〜λnのn波長に分波する分波器612と、分波器612において分波された光出力のうちの対応する波長(λ1〜λn)の光のみを通過させるAOTF613−1〜613−nと、波長安定化回路614とが設けられている。なお、上記AOTF613−1〜613−nも、それぞれ、上記のAOTF50と同様のもので、ここでは、1波選択用の光フィルタとして用いられている。
【0020】
即ち、この送信系61は、AOTF613−1〜613−nを用いることにより、送信可能なN波のうち任意の波長の光信号を任意の数だけ選択して送信することができるのである。
なお、波長安定化回路614は、上述の分波器612にて分波された光出力をモニタして、LD610−1〜610−nから出力される光波長の微小なズレ等を調整することにより、送信光信号の波長λ1〜λnを安定させるためのものである。
【0021】
次に、ゲートスイッチ61b−1〜61b−nは、図13に示すように、各々直列(相互)に接続された複数のAOTF613−1〜613−nにおいて分岐され後述する受信部62b−1〜62b−x(x≦n)で受信されることにより、空き状態となる波長λ1〜λnの光信号を光ADM部60で新たに挿入するか否かによって切り替えられるものであり、変調器61c−1〜61c−nは、ゲートスイッチ61b−1〜61b−nを通過してきた光信号を変調するものである。また、合波器61dは、変調器61c−1〜61c−nにおいて変調された光信号を合波するものであり、光増幅器61eはこの合波器61dで合波された光信号を増幅するものである。
【0022】
一方、図13に示す受信系62は、光ADM部60によって選択(分岐)された光信号を受信するもので、AOTF62a−1〜62a−x(x≦n),受信部62b−1〜62b−xを有している。なお、ここで用いられるAOTF62a−1〜62a−xも、それぞれ、上記のAOTF50と同様のものであるが、この場合は、1種類の周波数のRF信号を与えられることにより、一波長の光信号を選択する光フィルタとして用いられている。
【0023】
ここで、受信部62b−1〜62b−xは、AOTF62a−1〜62a−xにおいて分岐される所定波長(λ1〜λx)の光信号をそれぞれ受信するものである。
例えば、光ADM部60に波長λ1〜λ8のWDM光信号が入力され、AOTF60aにおいて波長λ1〜λ4のWDM光信号が選択される場合、受信系62では、その選択された波長λ1〜λ4のWDM光信号を、それぞれ、4つのAOTF62a−1〜62a−4により波長選択され、波長毎に分離して受信することになる。
【0024】
即ち、AOTF62a−1では波長λ1〜λ4のWDM光信号から周波数f1のRF信号に対応する波長λ1の光信号のみが選択され、この選択光信号が受信部62b−1において受信される。AOTF62a−2ではAOTF62a−1で選択されなかった波長λ2〜λ4のWDM光信号から周波数f2のRF信号に対応する波長λ2の光信号が選択され、この選択光信号が受信部62b−2において受信される。他のAOTF62a−3,62a−4においても周波数f3,f4のRF信号に対応する波長λ3,λ4の光信号が選択され、各選択光信号が受信部62b−3,62b−4で受信される。
【0025】
なお、図13に示す光増幅器63は、光ADM部60において選択されなかった光信号(即ち、次のシステムへ伝送する光信号)を所定の伝送距離だけ伝送できるよう増幅するものである。
このように、上述の光ADMノード600では、伝送されてくる複数波長の光信号(WDM信号)のうち、光ADM部60にて任意の波長の光信号を分岐して受信したり、任意の空き波長の光信号を挿入して送信したりすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、上述の受信系62,62′(図13,図12参照)では、例えば、AOTF62a−1において、最初に波長λ1の光信号を分岐(選択)し、その後、波長λ5の光信号を分岐するよう切り替える場合、AOTF62a−1に供給するRF信号の周波数は波長λ1に対応する値(f1)から波長λ5に対応する値(f5)に切り替えられる。
ところが、このとき、RF信号の周波数は、f1からf5に連続的に変わるため、AOTF62a−1において選択される波長もこの周波数の変化に伴い連続的に変化することになる。このため、受信部62b−1では、本来受信すべき波長λ5の光信号を受信するまでに、波長λ2,λ3,λ4等の波長λ5以外の光信号が受信されてしまう。従って、システムを運用しながら受信信号の波長を切り替えることは非常に不適切である。
【0027】
特に、上記の光ADMノード600や光クロスコネクト装置の場合には、上記のような波長選択処理後に、複数の波長の光信号を合波して伝送するため、上述したように、波長λ1から波長λ5に選択波長を切り替えたとき、他の波長λ2〜λ4の光信号が瞬時でも透過してしまうと、選択対象の波長以外の他の光信号と同じ波長の光信号が漏れだすことになってしまい、コヒーレントクロストークとして他の波長の光信号に影響を与え、伝送特性が劣化することになるのである。
【0028】
そこで、上述の課題を解決するために、特開平7−199252号公報に示されるような技術が提案されている。
図15はこの技術を説明するための光波長選択制御装置の一例を示すブロック図で、この図15に示す光波長選択制御装置100は、AOTF50,RF発振器51,制御部52をそなえて構成されている。
【0029】
ここで、AOTF50は、図14により前述したものと同様のものであり、RF発振器51は、上述のAOTF50に選択すべき光信号の波長に対応する周波数をもったRF信号を出力するもので、この技術では、制御部52からの制御信号(周波数制御信号,振幅制御信号)に応じて、出力RF信号の周波数,振幅が制御されるようになっている。
そして、制御部52は、このようにRF発振器51において発振するRF信号の周波数,振幅を制御するもので、選択される波長の光信号を変更する際には、振幅制御信号を出力し、RF発振器51におけるRF信号の振幅をゼロあるいは充分小さく抑えた上で、周波数制御信号を出力して所定の周波数に切り替えたのち、上記振幅制御信号の出力を停止することにより、上述の振幅を回復させるようになっている。
【0030】
なお、このように、RF信号の周波数の変更中に他波長の光信号が選択されないようにするには、図15に破線で示すように、上述のRF発振器51の出力側にスイッチ(SW)53を設けてRF発振器51から出力されるRF信号を他のRF信号に変更する際に、制御部52によりスイッチ53をOFF状態に制御することでも実現できる。
このような構成により、上述の光波長選択制御装置100では、AOTF50で選択すべき波長を切り替えるときには、AOTF50に供給するRF信号の振幅を充分に小さくし、この状態で、次に選択すべき波長に対応する周波数にRF発振器51の発振周波数を変更する。つまり、この光波長選択制御装置100は、AOTF50へのRF信号の周波数が変更中である場合には、AOTF50で非選択対象の他信号が選択されないようにRF信号の振幅を制御するのである。
【0031】
しかしながら、上記のように、AOTF50に供給するRF信号の振幅をゼロあるいは充分小さく抑えた場合やスイッチ53を用いてRF信号の出力を停止した場合でも、AOTF50の消光比が充分でない場合には、他信号を透過させてしまう可能性がある。例えば、WDM伝送では、AOTF50の消光比として20〜25dB程度必要であるが、現状では、20dBを満足していないのが実情であるため、このような現象が生じる可能性が高い。
【0032】
また、AOTF50を光ネットワークに用いる場合には、上述の消光比が充分でないとコヒーレントクロストークとして伝送特性に影響を与え、伝送特性を劣化させるため、この影響を抑圧するためには、少なくとも45dB程度の消光比が要求されている。
本発明は、以上のような課題に鑑み創案されたもので、波長選択光フィルタを多段構成にすることにより、任意の波長の光信号を高精度に選択(抽出)して波長選択処理の消光比を大幅に向上できるようにするとともに、選択すべき複数の波長の光信号を他の光信号に切り替える際、非選択対象の波長の光信号に影響を与えないようにした、光波長選択制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
このため、本発明の一態様に係る光波長選択制御装置は、N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するm個の周波数発振器と、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部と、該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部とをそなえるとともに、該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該停止部を制御することを特徴としている。
【0034】
また、上記波長選択部は、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を、該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されてもよい。
さらに、上記波長選択部は、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されてもよい。
【0035】
また、上記波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていてもよい。
さらに、上記制御部は、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されてもよく、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択部の温度制御を行なうように構成されてもよい。
【0036】
また、上記停止部は、該制御部からのオフ制御により、該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されてもよく、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されてもよい。
また、本発明の他の態様に係る光波長選択制御装置は、N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意のm(mは1<m≦Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するN個の周波数発振器と、該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるN個の停止部と、該波長選択部において選択すべき光信号の波長を変更する際、変更後の波長に対応する周波数信号の出力を透過させるように該当する停止部を制御する一方、変更後の波長に対応する周波数信号以外の周波数信号の出力を停止させるように該当する停止部を制御する制御部とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0037】
また、上記波長選択部は、該波長多重光信号から任意のN波長の光信号を、該N個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されてもよく、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該N個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていてもよい。
【0038】
さらに、上記波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていてもよい。
また、上記制御部は、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されてもよく、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択光フィルタの温度制御を行なうように構成されてもよい。
【0039】
さらに、上記停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されてもよく、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されてもよい。
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、複数波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意の波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえ、これらの波長選択光フィルタが相互に接続されて多段構成化されるとともに、これらの波長選択光フィルタにおいて抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を波長選択用の周波数信号として出力する周波数発振器をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0040】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、上記周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうる第1停止部が上記の周波数発振器と波長選択光フィルタとの間に介装され、且つ、上述の制御部が、周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を変更している間、上記周波数信号の出力を停止させるように上記第1停止部を制御することを特徴としている。
【0041】
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発信部が上記の各波長選択光フィルタに対して共通の周波数発振器をそなえ、且つ、上記の制御部が、上記の共通モジュールの温度変化に応じて上記の周波数発振器を制御して周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0042】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発振器及び第1停止部がそれぞれ各波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、上記の制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記の共通モジュールの温度変化と各波長選択光フィルタの各温度特性とに応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0043】
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ個別モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発振器及び第1停止部が各波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、上記の制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記の個別モジュールの各温度変化に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0044】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の制御部が、上記共通モジュールの温度が所定の温度となるようにその共通モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴としている。
【0045】
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発振器及び第1停止部が各波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、上記の制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記共通モジュールの温度が所定の温度となるようにその共通モジュールの温度制御を行ない、且つ、上記の各波長選択光フィルタの各温度特性に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0046】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し個別モジュールとして構成されるとともに、上記の制御部が、各個別モジュールの温度がそれぞれ所定の温度となるように各個別モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴としている。
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、第1停止部が、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴としている。
【0047】
また、本発明の光波長選択制御装置は、上記の構成において、第1停止部が、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴としている。
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、上記の波長選択光フィルタの出力側に、波長選択光フィルタにおいて抽出された光信号の出力を停止しうる第2停止部が設けられ、且つ、上記の制御部が、周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を変更している間、上記の波長選択光フィルタにおいて抽出された光信号の出力を停止させるようにこの第2停止部を制御することを特徴としている。
【0048】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、波長選択光フィルタが、それぞれ、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、以下の少なくともいずれかの効果ないし利点が得られる。
N波長の波長多重光信号からm波長を選択している場合に選択波長を変更する際には、m個の停止部によりm個の周波数発振器からの周波数信号の出力を停止させた上で、周波数変更対象となる周波数発振器の周波数を所望の値に変更するので、選択波長の変更時に、非選択対象の他の光信号が選択光信号として漏れ出すことがない。従って、この場合も極めて高精度に抽出すべき波長の光信号を抽出することができ、波長多重光伝送システムの性能向上に大いに寄与する。また、この場合は波長多重光信号の多重度(N)よりも少ない(m個)の発振器で済むので、本装置の簡素化にも寄与している。
【0050】
さらに、上記の波長選択部を、N波長多重された波長多重光信号から任意のm波長の光信号をm個の周波数発振器からの周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成すれば、極めて簡素な構成で、m波長選択機能を実現することができる。
なお、上記の波長選択部を、複数の波長選択光フィルタを相互に接続することにより多段構成化すれば、この場合も、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができるので、選択光信号の品質を大幅に向上させることができる。また、上記の波長選択光フィルタも、音響光学チューナブルフィルタにより構成すれば、極めて容易に、上述した波長抽出機能を実現することができる。
【0051】
さらに、この場合も、上記の波長選択部の温度変化に応じて周波数発振器からの周波数信号の周波数を調整すれば、周波数発振器からは精度の高い周波数信号が出力されるので、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
また、上記の波長選択部の温度が所定の温度となるように温度制御を行なえば、波長選択部では、常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができ、やはり、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
【0052】
さらに、この場合も、上記の停止部を、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチ、もしくは、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の周波数変更中の波長選択フィルタへの周波数信号の出力停止機能を実現することができる。
【0053】
また、本発明によれば、入力光信号の波長数と同数の周波数発振器を設け、波長選択部において抽出すべき波長に対応する周波数発振器以外の周波数発振器の周波数信号の出力を該当する停止部のオフ制御により停止するので、停止部を個別にオン/オフ制御するだけで波長選択部での選択波長を変更することができる。従って、抽出すべき波長の光信号の精度を向上させることができ、且つ、波長選択処理を迅速に行なうことができる。
【0054】
さらに、上記の波長選択部を、波長多重光信号から任意のN波長の光信号をN個の周波数発振器からの周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の波長選択機能を実現することができる。
また、上記の波長選択部を、波長多重光信号から任意のm波長の光信号を上記のN個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの周波数信号に応じて抽出する複数の波長選択光フィルタを相互に接続して多段構成化して構成すれば、この場合も、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができるので、選択光信号の品質を大幅に向上させることができる。
【0055】
なお、上記の波長選択光フィルタも、音響光学チューナブルフィルタにより構成すれば、極めて容易に、上述した波長抽出機能を実現することができる。
さらに、この場合も、上記の波長選択部の温度変化に応じて周波数発振器からの周波数信号の周波数を調整すれば、周波数発振器からは精度の高い周波数信号が出力されるので、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
【0056】
また、上記の波長選択部の温度が所定の温度となるように温度制御を行なえば、波長選択部では、常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができ、やはり、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
さらに、この場合も、上記の停止部を、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチ、もしくは、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の周波数変更中の波長選択フィルタへの周波数信号の出力停止機能を実現することができる。
【0057】
また、複数の波長選択光フィルタが相互に接続されて多段構成化されるとともに、各波長選択フィルタにそれぞれ選択波長に対応する周波数信号を供給しているので、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができ、これにより、選択光信号品質が大幅に向上する。
なお、周波数発振器の出力側に第1停止部を設け、制御部において、その周波数発振器から出力される周波数信号の周波数が変更されている間は、波長選択フィルタへの周波数信号の出力が停止されるので、周波数発振器の発振周波数が連続的に変更されても、抽出すべき波長以外の他の波長が選択されることを防ぐことができ、さらに波長選択処理の精度を向上させることができる。
【0058】
さらに、制御部によって、波長選択光フィルタを有するモジュール(波長選択部)の温度変化に応じて周波数発振器からの周波数信号の周波数が調整されうるので、周波数発振器からは精度の高い周波数信号を出力することができ、これにより、波長選択光フィルタでの波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
また、上記の制御部が、波長選択光フィルタを有するモジュール(波長選択部)の温度が所定の温度となるように波長選択光フィルタ(波長選択部)の温度制御を行なえば、波長選択光フィルタでは、常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができ、やはり、波長選択光フィルタ(波長選択部)での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
【0059】
さらに、上記の第1停止部を、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチ、もしくは、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の周波数変更中の波長選択フィルタへの周波数信号の出力停止機能を実現することができる。
さらに、本発明によれば、波長選択光フィルタの出力側に第2停止部を設け、制御部が周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を変更している間は、波長選択フィルタで抽出された光信号の出力を停止することができるので、この場合も、非選択対象の他の波長の光信号の透過を確実に防ぐことができ、高精度に抽出すべき波長の光信号を抽出できる。
【0060】
なお、上記の波長選択光フィルタを、音響光学チューナブルフィルタにより構成すれば、極めて容易に、上述した波長抽出機能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(a)第1実施形態の説明
図1は本発明に関連する技術の第1実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図で、この図1に示すように、光波長選択制御装置10は、波長選択光フィルタ1−1,1−2,RF発振器2,制御部3,スイッチ4をそなえて構成されている。
【0062】
ここで、波長選択光フィルタ1−1,1−2は、それぞれ、複数波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意の波長の光信号を波長選択用のRF信号(周波数信号)に応じて抽出するもので、本実施形態では、図14により前述したものと同様の音響光学チューナブルフィルタ(AOTF;Acousto-OpticalTunable Filter)により構成されており、それぞれが、この図1に示すように、相互に接続されて多段構成化されている。ただし、ここでは、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有しており、1つのモジュール(共通モジュール)1として構成されている場合を考える。
【0063】
なお、この光波長選択制御装置10は、図1313にて前述した光ADMノード600の送信系61のAOTF613−1〜613−n部分や受信系62のAOTF62a−1〜62a−x部分あるいは光ADM部60等にそれぞれ適用することができる。
また、RF(Radio Frequency)発振器(周波数発振器)2は、AOTF1−1,1−2において選択(抽出)すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を波長選択用のRF信号として各AOTF1−1,1−2に出力するもので、本実施形態では、制御部3によって生成(発振)するRF信号の周波数が変更される発振周波数可変型のものが用いられている。
【0064】
さらに、制御部3は、このRF発振器2から出力されるRF信号の周波数を制御するもので、AOTF1−1,1−2で抽出すべき波長の光信号についての情報(選択波長変更指示信号)に応じてRF発振器2の発振周波数を制御するようになっている。
なお、この選択波長変更指示信号は、システム内の管理装置(図示略)から受信される。つまり、この制御部3は、前記の管理装置からの指示に応じてRF発振器2の発振周波数を制御することにより、AOTF1−1,1−2での選択波長を適宜に変更できるようになっているのである。
【0065】
また、この制御部3は、共通モジュール1の温度状態(変化)をモニタしてその温度変化に応じてRF発振器2からのRF信号の周波数(RF発振器2の発振周波数)の微調整を行なうことにより、AOTF1−1,1−2での波長選択処理の温度影響(選択波長にズレが生じて選択精度が劣化する等)を最小限に抑えることもできるようになっている。これにより、AOTF1−1,1−2では、精度の高い波長選択処理を行なうことができる。但し、この場合、デバイス(共通モジュール1)の温度と選択波長及びRF信号の周波数との関係は予め明確化されて対応テーブル等として制御部3内に記憶されているものとする。
【0066】
さらに、スイッチ(SW;第1停止部)4は、図1に示すように、AOTF1−1,1−2とRF発振器2との間に介装されて、RF発振器2からのRF信号の出力を停止しうるもので、ここでは、制御部3が上記の選択波長変更指示信号を受けることにより、RF発振器2の発振周波数を変更している間、制御部3によってオフ制御されて、RF発振器2からのRF信号の出力を停止し、RF発振器2の周波数が変更先の周波数となった時点でオン制御されて、RF発振器2からのRF信号をAOTF1−1,1−2へ出力するようになっている。なお、このとき、制御部3は、RF発振器2の発振周波数をモニタしているものとする。従って、最適なタイミングでRF発振器2からRF信号を出力することができる。
【0067】
つまり、本実施形態の制御部3は、RF発振器2の発振周波数を変更している間、RF発振器2からのRF信号の出力を停止させるようにスイッチ4をオフ制御するのである。これにより、AOTF1−1,1−2では、RF発振器2の発振周波数が連続的に変更されても、選択すべき波長以外の他の波長を選択することがない。
なお、AOTF1−1,1−2とRF発振器2との間には、上記停止部として、上述のスイッチ4の代わりに、図1に示すように、増幅器(AMP)4′を介装して、制御部3がRF信号の周波数を変更している間、この増幅器4′の増幅率(ゲイン)を制御部3が調整することによっても、RF信号の出力を停止状態にすることができる。
【0068】
即ち、この場合は、制御部3が、RF信号のレベル(振幅)がAOTF1−1,1−2での波長選択処理に影響を与えない範囲内となるように、増幅器4′の増幅率をできるだけ小さくすることにより、AOTF1−1,1−2側からみたときのRF信号の出力を停止状態にするのである。
以下、上述の光波長選択制御装置10による波長選択処理について、図2を用いて詳述する。
【0069】
例えば、本実施形態の光波長選択制御装置10において、波長λ1〜λ8のWDM信号のうち、波長λ1の光信号が選択される場合の動作について説明する。まず、AOTF1−1の光入力ポート1bから波長λ1〜λ8の光信号が入力されると、AOTF1−1では、RF発振器2から供給される周波数f1のRF信号に対応する波長λ1の光信号を選択し、この選択された波長λ1の光信号を光出力ポート1cから出力する。
【0070】
すると、上記の光出力ポート1cから出力された波長λ1の光信号は、次段のAOTF1−2の光入力ポート1b′にて受信され、AOTF1−2において、AOTF1−1と同様に、RF発振器2から供給される周波数f1のRF信号に対応する波長λ1の光信号を選択する。
つまり、上述の光波長選択制御装置10では、AOTF1−1,1−2を多段構成にすることにより、AOTF1−1において抽出された波長λ1の光信号を受けて、AOTF1−2においても同様に、同じ波長λ1の光信号を抽出することができるので、選択すべき波長の光信号の選択精度を向上させることができる。
【0071】
ところで、このとき、制御部3では、共通モジュール1の温度状態をモニタしてその温度変化に応じてRF発振器2からの発振周波数の微調整を行なっている。これにより、AOTF1−1,1−2における波長選択処理の温度影響が最小限に抑えられるので、AOTF1−1,1−2での波長選択精度がさらに向上している。
次に、この状態において、波長λ1の光信号から波長λ5の光信号に選択を切り替えるために、RF発振器2からの周波数f1のRF信号を周波数f5のRF信号に切り替える場合の動作について説明する。
【0072】
まず、光波長選択制御装置10では、前記の管理装置から選択波長変更指示信号を制御部3で受信すると(ステップa1)、制御部3が、スイッチ4をオフ制御(もしくは増幅器4′のゲインを制御)し、RF信号の出力を停止させる(ステップa2)。
そして、制御部3は、受信した上記波長選択指示信号に基づいて、変更すべき波長λ5の光信号に対応する周波数f5を決定し(ステップa3)、AOTF1−1,1−2へのRF信号の周波数が決定した周波数f5となるようにRF発振器2の発振周波数を制御する(ステップa4)。
【0073】
このとき、制御部3は、上記共通モジュール1の温度状態をモニタし、そのモニタ結果に基づいてAOTF1−1,1−2の基準温度時の発振周波数に対する補正(微調整)を行なった上で、RF発振器2の周波数を変更(掃引)し、周波数モニタ値がf5になったところでスイッチ4をオン状態に制御する(ステップa5)。そして、所望のRF信号がAOTF1−1,1−2に出力される。
【0074】
なお、上述のAOTF1−1の光入力ポート1aには、入力光信号のうち、欠けている波長に対応する波長の光信号や、上記AOTF1−1にて選択される波長に対応する波長の光信号を挿入している。そして、AOTF1−1において選択されなかった波長λ2〜λ8の光信号は光出力ポート1dから出力される。
このように、本発明の第1実施形態にかかる光波長選択制御装置10によれば、複数のAOTF1−1,1−2が相互に接続されて多段構成化されるとともに、各AOTF1−1,1−2にそれぞれRF発振器2から選択波長に対応する周波数をもったRF信号を供給しているので、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができ、選択光信号の品質が大幅に向上し、WDM伝送システムに要求される消光比を充分に満足することができる。
【0075】
特に、1本の光ファイバに8波長の光を多重伝送するWDM伝送システム(光ADMノードを含む)に要求される消光比(45dB程度)を充分に満足することができ、WDM伝送システムの性能向上に大いに寄与しうる。
なお、上述した実施形態では、RF発振器2の発振周波数変更中に制御部3がスイッチ4をオフ制御することで波長選択精度のさらなる向上を図っているが、AOTF1−1,1−2を多段構成にするだけでも(スイッチ制御しなくても)、波長選択処理の精度を向上させて所望の消光比を満足することができる。
【0076】
また、上述の制御部3は、共通モジュール1の温度が所定の(上記波長選択処理に最適な)温度となるように、例えば、ペルチェ効果を利用して上記共通モジュール1の温度を直接的に制御するようにしてもよい。この場合も、AOTF1−1,1−2では常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができるので、RF発振器2の発振周波数の微調整は必要ない。
【0077】
(b)第2実施形態の説明
図3は本発明の第2実施形態(上記の実施形態からの説明の流れ上、本発明に係るこの実施形態を第2実施形態と称する)にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図で、この図3に示す光波長選択制御装置10Aは、波長選択部1A,RF発振器2a−1〜2a−m(mは2以上の自然数),制御部3A,スイッチ4a−1〜4a−m,カプラ6Aをそなえて構成されている。
【0078】
具体的に、この光波長選択制御装置10Aは、多波長選択用のもので、図13に示す光ADMノード600の光ADM部60や、図12に示すWDM伝送システム600Aの送信光源冗長部64等に適用できる。例えば、図12に示す送信光源冗長部64においては、複数の波長用の送信機能に故障が生じた場合にもそれらの部分を同時にバックアップすることができる。
【0079】
ここで、波長選択部1Aは、N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm波長(mは1<m<Nを満足する自然数)の光信号を波長選択用のRF信号(周波数信号)に応じて抽出するもので、第1実施形態と同様に、波長選択光フィルタとしての音響光学チューナブルフィルタ(AOTF;図10参照)により構成されている。
【0080】
具体的に、このAOTF1Aは、選択すべき複数の波長に対応したRF信号を任意のRF発振器2a−1〜2a−mから供給されることにより、光入力ポート1fから入力されてくる光信号から複数の波長を有する光信号を選択することができるようになっている。なお、選択された波長の光信号は、光出力ポート1gから出力され、選択されなかった波長の光信号は、光出力ポート1hから出力されるようになっている。
【0081】
また、RF発振器(周波数発振器)2a−1〜2a−mは、それぞれ、AOTF1Aにおいて抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を波長選択用のRF信号としてAOTF1Aに出力するもので、本実施形態でも制御部3Aからの周波数制御信号に応じて、AOTF1Aに供給するRF信号の周波数が所望の値に制御されるようになっている。
【0082】
なお、各RF発振器2a−1〜2a−mは、ここでは、入力されてくるN種類の波長よりも少ない数(m個)だけ設けられており、各RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号はカプラ6Aで合波されてAOTF1Aに供給されるようになっている。
また、制御部3Aは、RF発振器2a−1〜2a−mから出力されるRF信号の周波数をそれぞれ制御するもので、抽出すべき波長の光信号を変更する情報(選択波長変更指示信号)をシステム全体を管理している管理装置(図示略)から受けると、その指示信号に応じて該当するRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更するようになっている。
【0083】
なお、この制御部3Aも、第1実施形態の制御部3と同様に、AOTF1Aの温度状態をモニタすることにより、AOTF1Aの温度変化に応じてRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数の微調整を行なえるようになっている。
また、スイッチ(停止部)4a−1〜4a−mは、RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の出力を停止しうるもので、具体的には、制御部3Aにおいて、RF発振器2a−1〜2a−mから出力されるRF信号の周波数を変更している間、対応するスイッチ4a−1〜4a−mをオフ制御して、RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の出力を停止させるようになっている。
【0084】
例えば、AOTF1Aにおいて、波長λ1〜λ8のWDM信号から波長λ1〜λ4の光信号を抽出している状態から抽出すべき光信号の波長をλ1,λ2,λ5,λ6に変更する場合、制御部3Aは、波長λ1〜λ4に対応する周波数f1〜f4を発振するようにRF発振器2a−1〜2a−4を制御している状態から、上記の選択波長変更指示信号を受けることにより、波長λ1,λ2,λ5,λ6に対応する周波数f1,f2,f5,f6を出力するようにRF発振器2a−1〜2a−4を制御する。
【0085】
この場合、制御部3Aは、スイッチ4a−3,4a−4を制御して、RF発振器2a−3,2a−4からの出力を停止させ、RF発振器2a−3,2a−4から出力される周波数をf3,f4からf5,f6に変更してからスイッチ4a−3,4a−4をオン制御するようになっている。
つまり、本実施形態では、WDM信号の波長数に比べてRF発振器2a−1〜2a−mの数が少なくて済むので、回路構成を簡素化することができる。
【0086】
さらに、カプラ6Aはスイッチ4a−1〜4a−mを介して入力されるRF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の周波数を合波してAOTF1Aに出力するものである。
以下、光波長選択制御装置10Aによる波長選択処理について、図4を用いて詳述する。なお、ここでは、例えば、4つのRF発振器2a−1〜2a−4(発振周波数f1〜f4)により波長λ1〜λ8のWDM信号のうちの波長λ1〜λ4の光信号を抽出している状態から抽出すべき光信号の波長をλ1,λ2,λ5,λ6に変更する場合について詳述する。
【0087】
まず、光波長選択制御装置10Aでは、RF発振器2a−1〜2a−4から周波数f1〜f4を発振することにより、AOTF1Aにおいて波長λ1〜λ4の光信号を抽出している。なお、このとき、スイッチ4a−1〜4a−4は制御部3Aによってオン制御されている。
この状態において、波長選択光フィルタ制御装置10Aは、選択波長変更指示信号を制御部3Aで受信すると(ステップb1)、制御部3Aが、変更すべき波長に対応する周波数(f3,f4)を出力しているRF発振器2a−3,2a−4のスイッチ4a−3,4a−4をオフ制御し、RF信号(周波数f3,f4)の出力を停止させる(ステップb2)。
【0088】
そして、制御部3は、受信した上記波長選択変更指示信号に基づいて変更すべき波長λ5,λ6の光信号に対応する周波数を決定し(ステップb3)、AOTF1AへのRF信号の周波数が決定した周波数f5,f6となるように該当するRF発振器2a−3,2a−4の発振周波数を制御する(ステップb4)。
このとき、制御部3Aは、AOTF1Aの温度状態をモニタし、そのモニタ結果に基づいてAOTF1Aの基準温度時の発振周波数に対する補正(微調整)を行なった上で、RF発振器2a−3,2a−4の周波数を変更(掃引)し、周波数モニタ値がf5,f6になったところで該当するスイッチ4a−3,4a−4をオン状態に制御する(ステップb5)。そして、変更したRF周波数f5,f6がAOTF1Aに出力される。
【0089】
このように、本発明の第2実施形態にかかる光波長選択制御装置10Aによれば、選択波長を変更する際には、スイッチ4a−1〜4a−mによりRF信号の出力を停止させた上で、変更の対象となるRF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の周波数を所望の値に変更するので、選択波長の変更時に、非選択対象の他の光信号が選択光信号として漏れだすことがない。従って、この場合も極めて高精度に選択すべき波長の光信号を抽出することができ、WDM伝送システムの性能向上に大いに寄与する。
【0090】
また、上述の光波長選択制御装置10Aによれば、WDM信号の波長数に比べてRF発振器2a−1〜2a−mの数が少なくて済むので、回路構成を簡略化することができる。
なお、ここでは、AOTF1Aに出力されている周波数のうち、変更のあった周波数をRF発振器2a−3,2a−4においてf3,f4からf5,f6に変更することについて詳述したが、例えば、本装置10Aに5個のRF発振器2a−1〜2a−5が設けられ、上述と同様の変更指示(λ1〜λ4の選択からλ1,λ2,λ5,λ6の選択に変更)があった場合には、スイッチ4a−3,4a−4をオフ制御して上記RF発振器2a−3,2a−4の出力を停止したあと、RF発振器2a−3(または2a−4)から出力されていた周波数f3(またはf4)を変更指示のあった周波数のうちの一方の周波数(f5)に変更し、もう一方の周波数(f6)をRF発振器2a−5から出力するように切り替えてもよい。
【0091】
この場合、周波数の変更時には、スイッチ4a−3,4a−4をオフ制御し、RF発振器2a−3,2a−4からの出力を停止させ、RF発振器2a−3(または2a−4)の周波数をf5に変更したのち、スイッチ4a−3(または4a−4)をオン制御して周波数f5のRF信号を出力するとともに、スイッチ4a−5をオン制御し、RF発振器2a−5から周波数f6のRF信号を出力する。
【0092】
このように、変更指示のあった周波数と実際発振している周波数との関係及びRF発振器2a−1〜2a−mの設置数に応じて、変更するRF発振器2a−1〜2a−mを決定することもできる。なお、このRF発振器2a−1〜2a−mにおいて、設置数のうちの一部しか波長選択処理に使用されない場合には、スイッチ4a−1〜4a−mのオン/オフ制御を限定することにより、波長選択処理に使用されている数(例えば、上述においては4個)のみ駆動するようにしてもよく、m個全て(例えば、上述においては5個)を駆動するようにしてもよい。
【0093】
また、本実施形態でも、制御部3Aは、ペルチェ効果を利用して、AOTF1Aの温度が所定の温度となるように、AOTF1Aの温度を直接的に制御するようにしてもよい。
さらに、上述のスイッチ4a−1〜4a−mは、第1実施形態と同様に、それぞれ、増幅器4′(図1参照)に代えてもよい。この場合の作用・効果については、上述の第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0094】
(c)第3実施形態の説明
図5は本発明の第3実施形態(上記の実施形態からの説明の流れ上、本発明に係るこの実施形態を第3実施形態と称する)にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図で、この図5に示す光波長選択制御装置10Bは、AOTFにより構成された波長選択部1A,RF発振器2b−1〜2b−n(nは自然数),制御部3B,スイッチ4b−1〜4b−n,カプラ6Aをそなえて構成されている。なお、この光波長選択制御装置10Bにおいても、上述の第2実施形態と同様に、WDM伝送システム600A(図12参照)や光ADMノード600(図13参照)等の適所に用いられる。
【0095】
また、この図5に示す光波長選択制御装置10Bは、上述の第2実施形態(図3)に示すものに比して、RF発振器2b−1〜2b−n,スイッチ4b−1〜4b−nが入力波長の種類(N種類)と同数(n=N個)だけ設けられており、各RF発振器2b−1〜2b−nがそれぞれ、固定周波数(f1〜fn)のRF信号を出力するようになっている(制御部3による周波数の変更制御は行なわれない)点が異なる。
【0096】
このため、本第3実施形態の制御部3Bは、AOTF1Aにおいて選択すべき波長を変更する際、変更後の波長に対応するRF信号の出力を透過させるように該当するスイッチ4b−1〜4b−nを制御する一方、変更後の波長に対応するRF信号以外のRF信号の出力を停止させるように該当するRF発振器2b−1〜2b−nの出力側に設けられたスイッチ4b−1〜4b−nを制御(オフ制御)するようになっている。
【0097】
つまり、上述の光波長選択制御装置10Bは、予め選択する(あるいは非選択する)光信号数m(mは1<m≦Nを満足する自然数)の最大値が決まっている場合には、その最大値だけのRF発振器2b−1〜2b−nとスイッチ4b−1〜4b−nとを設けて、スイッチ4b−1〜4b−nのオン/オフを切り替えるだけで、AOTF1Aにおいて任意のm波長の光信号を選択することができるのである。
【0098】
なお、上述の制御部3Bも、上述した第1,第2実施形態における制御部3,3Aと同様に、AOTF1Aの温度状態をモニタして、AOTF1Aの温度変化に応じてRF発振器2b−1〜2b−nのRF信号の発振周波数を微調整しうるようになっている(図5の点線A参照)。
上述の構成により、図5に示す光波長選択制御装置10Bは、上述の第2実施形態に示す光波長選択制御装置10Aとほぼ同様に動作する(図4参照)。
【0099】
但し、本実施形態の光波長選択制御装置10Bでは、選択波長を変更する際、図4に示すフローチャートのステップb4において、RF発振器2b−1〜2b−nの周波数を制御(掃引)する必要はなく、変更により選択対象となる波長に対応するスイッチ4b−1〜4b−nをオン制御する一方、非選択対象となる波長に対応するスイッチ4b−1〜4b−nをオフ制御するだけで、AOTF1Aでの選択波長を変更することができる。
【0100】
例えば、波長λ1〜λ8のWDM信号からλ1〜λ4の光信号を抽出している状態から抽出すべき光信号の波長をλ1,λ2,λ5,λ6に変更する場合、RF発振器2b−1〜2b−4から出力されている周波数f1〜f4は、選択波長変更指示信号により、スイッチ4b−3,4b−4がオフ制御され、変更後の周波数f5,f6を出力するためにスイッチ4b−5,4b−6をオン制御するのである。
【0101】
このように、本発明の第3実施形態にかかる光波長選択制御装置10Bによれば、入力光信号の波長数(N)と同数のRF発振器2b−1〜2b−nを設け、AOTF1Aにおいて選択すべき波長に対応するRF発振器2b−1〜2b−n以外のRF発振器2b−1〜2b−nのRF信号の出力を該当するスイッチ4b−1〜4b−nのオフ制御により停止するので、スイッチ4b−1〜4b−nを個別にオン/オフ制御するだけで、AOTF1Aでの選択波長を変更することができる。従って、波長選択処理の精度が大幅に向上し選択すべき波長の光信号の品質を向上させることができるとともに、波長選択処理自体を迅速に行なうことができる。
【0102】
また、本実施形態でも、上述の制御部3Bはペルチェ効果を利用してAOTF1Aの温度が所定の温度となるように、AOTF1Aの温度を直接的に制御するようにしてもよい。さらに、スイッチ4b−1〜4b−nも同様に、増幅器として構成できる。
(d)変形例の説明
次に、以下では、上述の各実施形態の変形例について説明する。
【0103】
(d−1)第1実施形態の第1変形例の説明
上述の第1実施形態に示す光波長選択制御装置10には、共通モジュール1(AOTF1−1,1−2)の出力側(後段)に、例えば、図1中に破線で示すように、光スイッチ5−2を設けてもよい。
ここで、この光スイッチ(第2停止部)5−2は、共通モジュール1(AOTF1−1,1−2)において抽出された光信号の出力を停止しうるもので、制御部3がRF発振器2から出力されるRF信号の周波数を変更している間、この制御部3によってオフ制御されて、AOTF1−1,1−2からの選択光信号の出力を停止するようになっている。
【0104】
つまり、この光スイッチ5−2は、RF発振器2のRF信号の発振周波数(以下、RF周波数ということがある)が変更されている間には、AOTF1−1,1−2の選択出力ポートとしての光出力ポート1c′から出力されるいずれの波長の光信号も透過しないようになっているのである。
従って、非選択対象の他の波長の光信号の透過をより確実に防ぐことができ、さらに、高精度に選択すべき波長の光信号を抽出できる。
【0105】
なお、この光スイッチ5−2は、共通モジュール1の前段に設けてもよい。また、後述するように各AOTF1−1,1−2がそれぞれ個別のモジュールとして構成される場合は、各AOTF1−1,1−2間に設けてもよいし、各AOTF1−1,1−2間とAOTF1−2の後段とのそれぞれに設けてもよいし、AOTF1−1の前段,各AOTF1−1,1−2間及びAOTF1−2の後段のそれぞれに設けてもよい。
【0106】
いずれの場合も、RF周波数が変更されている間は、制御部3によって光スイッチ5−2がオフ制御されて、AOTF1−1,1−2に光信号が入力されないので、同様に、いずれの波長の光信号も透過せず、非選択対象の他の波長の光信号の透過をより確実に防ぐことができる。
(d−2)第1実施形態の第2変形例の説明
ところで、第1実施形態にて前述した光波長選択制御装置10は、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュール1として構成される場合を前提に説明を行なったが、各AOTF1−1,1−2が、それぞれ異なる温度特性を有している場合やそれぞれ個別のモジュール(個別モジュール)として構成されている場合もある。以下、このような場合に対応した装置の説明を行なう。
【0107】
(d−2−1)各AOTF1−1,1−2がそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュール1として構成される場合
この場合、各AOTF1−1,1−2の温度特性がそれぞれ異なるので、各AOTF1−1,1−2へ供給(印加)すべきRF周波数が異なる可能性がある。そこで、この場合は、例えば図8に示すように、前記のRF発振器2及びスイッチ4を各AOTF1−1,1−2に対応して複数(2つ)設け、且つ、制御部3が、各スイッチ4をそれぞれ制御するとともに、共通モジュール1の温度変化と各AOTF1−1,1−2の各温度特性とに応じて各RF発振器2を制御して各RF周波数をそれぞれ調整しうるようにする。
【0108】
ただし、この場合も、各AOTF1−1,1−2の温度と選択波長及びRF周波数との関係が予め明確化されて対応テーブル等として制御部3内に記憶されているものとする。
これにより、図8に示す光波長選択制御装置10では、共通モジュール1を構成する各AOTF1−1,1−2の温度特性が異なる場合でも、それぞれの温度特性に応じて各RF発振器2のRF周波数をそれぞれ各AOTF1−1,1−2での波長選択に最適な値に調整することができ、高精度な波長選択処理を行なうことができる。
【0109】
なお、この場合も、図8中に破線で示すように、共通モジュール1の後段(前段でもよい)には、各RF発振器2の周波数変更中(選択波長切り替え時)に非選択光の透過を防ぐスイッチ5−2を設けてもよい。また、制御部3は、ペルチェ効果を利用して共通モジュール1の温度が所定の温度となるように、共通モジュール1の温度を直接的に制御するようにしてもよい。
【0110】
即ち、この場合、制御部3は、上記の各スイッチ4をそれぞれ制御するとともに、共通モジュール1の温度が所定の温度となるように共通モジュール1の温度制御を行ない、且つ、各AOTF1−1,1−2の各温度特性に応じて各RF発振器2を制御して各RF周波数をそれぞれ調整することになる。
(d−2−2)各AOTF1−1,1−2がそれぞれ異なる温度特性を有し個別のモジュール(個別モジュール)として構成される場合
この場合は、温度制御を行なう場合と温度モニタを行なう場合とで構成が異なる。例えば温度制御を行なう場合は、図9に示すように、制御部3が、各AOTF1−1,1−2の温度特性に応じて個別モジュール1−A,1−Bの温度をそれぞれRF周波数一定となる所定温度に制御すれば、温度特性の異なるAOTF1−1,1−2が個別のモジュール1−A,1−Bとして構成されていても、RF発振器2及びスイッチ4はそれぞれ各AOTF1−1,1−2に共通のままで、各AOTF1−1,1−2での波長選択処理の精度を向上させることができる。
【0111】
一方、温度モニタを行なう場合は、各モジュール1−A,1−Bの温度状態によって最適なRF周波数が異なるので、例えば図10に示すように、前記のRF発振器2及びスイッチ4を各AOTF1−1,1−2に対応して複数(2つ)設け、且つ、制御部3が、各スイッチ4をそれぞれ制御するとともに、各モジュール1−A,1−Bの各温度変化に応じて各RF発振器2を制御して各RF周波数をそれぞれ調整しうるようにする。
【0112】
これにより、図10に示す光波長選択制御装置10では、異なる温度特性のAOTF1−1,1−2が個別のモジュール1−A,1−Bとして構成されていても、各モジュール1−A,1−Bの温度状態に応じて各RF発振器2のRF周波数をそれぞれ各AOTF1−1,1−2での波長選択に最適な値に調整することができ、高精度な波長選択処理を行なうことができる。
【0113】
なお、いずれの場合も、RF発振器2の周波数変更中(選択波長切り替え時)に非選択光の透過を防ぐスイッチ5−2を、モジュール1−Bの後段(モジュール1−Bの前段,モジュール1−Aの前段,各モジュール1−A,1−B間)に設けてもよいし、各モジュール1−A,1−B間とモジュール1−Bの後段とのそれぞれに設けてもよいし、モジュール1−Aの前段,各モジュール1−A,1−B間及びモジュール1−Bの後段のそれぞれに設けてもよい。
【0114】
(d−3)第2実施形態の第1変形例の説明
また、上述の第2実施形態に示す光波長選択制御装置10A(図3参照)は、例えば、図6に示すように、図1に示すものと同様に、複数のAOTF1A−1,1A−2を相互に接続することにより多段構成化してもよい。ただし、この場合も、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有しており、1つのモジュール(共通モジュール)1として構成されている場合を考える。
【0115】
つまり、これらのAOTF1A−1,1A−2では、WDM信号から任意のm波長の光信号を、RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号に応じて抽出するようになっている。
但し、この場合、制御部3A′は、各AOTF1A−1,1A−2での波長選択処理に時間差が生じるので、一部のRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更して選択波長の一部を変更する場合でも、全スイッチ4a−1〜4a−mを、一旦、オフ制御して、全てのRF発振器2a−1〜2a−mからの出力を停止させ、発振周波数の変更が完了した時点で、全スイッチ4a−1〜4a−mをオン制御する。
【0116】
これにより、図6に示す光波長選択制御装置10A′も選択波長の変更時に非選択対象の他の波長の光信号の透過を防いで、波長選択処理を高精度に行なうことができる。
なお、このようにAOTF1A−1,1A−2を多段構成化した場合も、項目(d−2)にて上述したように、各AOTF1−1,1−2が、それぞれ異なる温度特性を有している場合やそれぞれ個別のモジュールとして構成されている場合には、前記と同様に、RF発振器2a−1〜2a−m及びスイッチ4a−1〜4a−mをそれぞれ各AOTF1A−1,1A−2に対応して複数分設けるなどして対応すればよい。
【0117】
(d−4)第2実施形態の第2変形例の説明
次に、図3に示す光波長選択制御装置10Aには、この図3中に破線で示すように、AOTF1Aの出力側に、光スイッチ5Aを設けてもよい。ここで、この光スイッチ5Aは、上述の光スイッチ5−2とほぼ同様に機能するもので、制御部3AがRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更している間、制御部3Aによってオフ制御されて、AOTF1Aの出力を停止するようになっている。
【0118】
但し、この場合、制御部3Aは、一部のRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更する場合でも全てのスイッチ4a−1〜4a−mをオフ制御する。
これにより、上述の光スイッチ5Aを設けた光波長選択制御装置10Aでは、スイッチ4a−1〜4a−mだけを設けた場合に比して、より確実に、非選択対象の波長の光信号が選択波長の光信号として透過することを防止することができる。
【0119】
(d−5)第3実施形態の第1変形例の説明
次に、上述の第3実施形態に示す光波長選択制御装置10B(図5参照)は、例えば、図7に示すように、図1に示すものと同様に、複数のAOTF1A−1,1A−2を相互に接続することにより、多段構成化してもよい。ただし、この場合も、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有しており、1つのモジュール(共通モジュール)1として構成されている場合を考える。
【0120】
つまり、これらのAOTF1A−1,1A−2では、WDM信号から任意のN波長の光信号を、RF発振器2b−1〜2b−nからのRF信号に応じて抽出するようになっている。
但し、この場合も、制御部3B′は、各AOTF1A−1,1A−2での波長選択処理に時間差が生じるので、選択波長の一部を変更する場合でも、全スイッチ4b−1〜4b−nをオフ制御して、全てのRF発振器2b−1〜2b−nからのRF信号の出力を、一旦、停止した後、変更後の選択波長に対応するRF信号を同時にAOTF1A−1,1A−2へ供給すべく該当するスイッチ4b−1〜4b−nだけをオン制御する。
【0121】
これにより、図7に示す光波長選択制御装置10B′は、図5に示すものに比して、より確実に、非選択対象の他の波長の光信号が選択対象の波長の光信号として透過することを防ぐことができる。従って、さらに波長選択処理の精度を向上することができる。
なお、この場合も、項目(d−2)にて上述したように、各AOTF1−1,1−2が、それぞれ異なる温度特性を有している場合やそれぞれ個別のモジュールとして構成されている場合には、前記と同様に、RF発振器2a−1〜2a−m及びスイッチ4a−1〜4a−mをそれぞれ各AOTF1A−1,1A−2に対応して複数分設けるなどして対応すればよい。
【0122】
(d−6)第3実施形態の第2変形例の説明
次に、図5に示す光波長選択制御装置10Bには、この図5中に破線で示すように、AOTF1Aの出力側に、光スイッチ5Bを設けてもよい。
ここで、この光スイッチ5Bも、上述の光スイッチ5−2,5Aとほぼ同様に機能するもので、制御部3BがRF発振器2b−1〜2b−nの発振周波数を変更している間、この制御部3Bによって全てのスイッチ4b−1〜4b−nとともにオフ制御されてAOTF1Aの出力を停止するようになっている。
【0123】
これにより、この場合も、スイッチ4b−1〜4b−nだけを設けた場合に比して、より確実に、非選択対象の他の波長の光信号が選択対象の波長の光信号として透過することを防ぐことができる。従って、さらに波長選択処理の精度を向上することができる。
(e)その他
上述の実施形態では、波長選択光フィルタとしてAOTFの場合を例にしたが、入力周波数信号に応じて光信号の波長選択を行なえるものであれば、AOTF以外のものでもよい。
【0124】
また、AOTFの温度変化を無視できるときは、温度モニタによるRF信号の周波数の微調整やAOTFに対する温度制御は行なわなくてもよい。さらに、上述の実施形態では、AOTFの多段構成として、2段構成の場合について詳述したが、勿論、3段以上の多段構成としてもよい。
さらに、上述の多段構成では、いずれの場合も、或る特定波長の光信号を高精度に選択する場合について述べたが、例えば図11に示すように、選択波長と非選択波長(透過波長)との関係を逆にすれば、或る特定波長の光信号を高精度にリジェクト(除去)することが可能になる。ただし、この場合は、非選択光を透過させる必要があるので、前記の光スイッチ5−2を設けることはできない。
【0125】
また、上述のRF発振器2,2a−1〜2a−m,2b−1〜2b−nに、電圧制御型のものを用いた場合には、制御部3,3A,3Bは、RF発振器2,2a−1〜2a−m,2b−1〜2b−nの発振周波数と印加電圧との関係を知っているので、RF信号の周波数をモニタすることにより、スイッチ4,4a−1〜4a−m,4b−1〜4b−n(又は増幅器4′)を制御する必要はなく、印加する電圧変更後の所定時間経過後に、スイッチ4,4a−1〜4a−m,4b−1〜4b−n(又は増幅器4′)を制御すればよい。
【0126】
(f)付記
(付記1)
複数波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意の波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえ、該波長選択光フィルタが相互に接続されて多段構成化されるとともに、
該波長選択光フィルタにおいて抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力する周波数発振器をそなえて構成されたことを特徴とする、光波長選択制御装置。
【0127】
(付記2)
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうる第1停止部が該周波数発振器と該波長選択光フィルタとの間に介装され、且つ、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該第1停止部を制御することを特徴とする、付記1記載の光波長選択制御装置。
【0128】
(付記3)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、
該制御部が、該共通モジュールの温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0129】
(付記4)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、該周波数発振器及び該第1停止部がそれぞれ該複数の波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、
該制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、該共通モジュールの温度変化と各波長選択光フィルタの各温度特性とに応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0130】
(付記5)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ個別モジュールとして構成されるとともに、該周波数発振器及び該第1停止部がそれぞれ該複数の波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、
該制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記の各個別モジュールの各温度変化に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0131】
(付記6)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、
該制御部が、該共通モジュールの温度が所定の温度となるように該共通モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0132】
(付記7)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、該周波数発振器及び該第1停止部がそれぞれ該複数の波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、
該制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、該共通モジュールの温度が所定の温度となるように該共通モジュールの温度制御を行ない、且つ、該波長選択光フィルタの各温度特性に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0133】
(付記8)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し個別モジュールとして構成されるとともに、
該制御部が、該個別モジュールの温度がそれぞれ所定の温度となるように該個別モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0134】
(付記9)
該第1停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
(付記10)
該第1停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0135】
(付記11)
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、
該波長選択光フィルタの出力側に、該波長選択光フィルタにおいて抽出された光信号の出力を停止しうる第2停止部が設けられ、且つ、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該第2停止部を制御することを特徴とする、付記1記載の光波長選択制御装置。
【0136】
(付記12)
該波長選択光フィルタが、それぞれ、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、付記1〜11のいずれか1項に記載の光波長選択制御装置。
(付記13)
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するm個の周波数発振器と、
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部とをそなえるとともに、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該停止部を制御することを特徴とする、光波長選択制御装置。
【0137】
(付記14)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を、該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
(付記15)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
【0138】
(付記16)
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、付記14又は付記15に記載の光波長選択制御装置。
(付記17)
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
【0139】
(付記18)
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択部の温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
(付記19)
該停止部が、該制御部からのオフ制御により、該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
【0140】
(付記20)
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
(付記21)
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意のm(mは1<m≦Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するN個の周波数発振器と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるN個の停止部と、
該波長選択部において選択すべき光信号の波長を変更する際、変更後の波長に対応する周波数信号の出力を透過させるように該当する停止部を制御する一方、変更後の波長に対応する周波数信号以外の周波数信号の出力を停止させるように該当する停止部を制御する制御部とをそなえて構成されていることを特徴とする、光波長選択制御装置。
【0141】
(付記22)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のN波長の光信号を、該N個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
(付記23)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該N個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【0142】
(付記24)
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、付記22又は付記23に記載の光波長選択制御装置。
(付記25)
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【0143】
(付記26)
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択光フィルタの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
(付記27)
該停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【0144】
(付記28)
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態にかかる光波長選択制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態にかかる光波長選択制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第3実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施形態の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例の構成を示すブロック図である。
【図9】第1実施形態の第2変形例の他の構成を示すブロック図である。
【図10】第1実施形態の第2変形例の他の構成を示すブロック図である。
【図11】光波長選択制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図12】WDM伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図13】光ADMノードの構成例を示すブロック図である。
【図14】AOTFの構成を示すブロック図である。
【図15】光波長選択制御装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0146】
1 共通モジュール
1−A,1−B モジュール
1−1,1−2,50,60a,62A,62a−1〜62a−x,613−1〜613−n,613A AOTF(波長選択光フィルタ)
1A,1A−1,1A−2 AOTF(波長選択部)
1a,1b,1b′,1e,1f,1f′ 光入力ポート
1c,1c′,1d,1d′,1g,1g′,1h,1h′ 光出力ポート
2,2a−1〜2a−m,2b−1〜2b−n RF発振器(周波数発振器)
3,3A,3A′,3B,3B′,52 制御部
4 スイッチ(第1停止部)
4a−1〜4a−m,4b−1〜4b−n スイッチ(停止部)
5−2,5A,5B 光スイッチ(第2停止部)
6A カプラ
10,10A,10B,10A′,10B′,100 光波長選択制御装置
50a 光入力ポート
50b,50c 光出力ポート
51 RF発振器
53 スイッチ
60 光ADM部
61 送信系(挿入系)
61′ 送信系
61a 波長多重信号分配光源
61b−1〜61b−n ゲートスイッチ
61c−1〜61c−n,61c′ 変調部(MOD)
61d,62d,611 合波器
61e,62c,63 光増幅器
62 受信系(分岐系)
62′ 受信系
62B,62b−1〜62b−x 受信部
64 送信光源冗長部
65 受信部冗長部
501,501a,501b 光導波路
502 偏波分離部(PBS;Polarization beam sprit )
503 SAW吸収体
504 くし形電極(IDT)
505 SAWクラッド部(Ti−deep拡散部)
506 SAW吸収体
507 偏波分離部(PBS)
600 ADMノード装置
600A WDM伝送システム
610−1〜610−n 光源(LD)
610A チューナブル光源(T−LD)
612 分波器
613′−1〜613′−n バンドパスフィルタ(BPF)
614 波長安定化回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重された光信号から任意の光信号を選択して光伝送を行なう光波長選択制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光ファイバの帯域特性を活かした波長多重(WDM;Wavelength Division Multiplexing)伝送方式は、伝送容量を拡大させたり、信号の分岐/挿入の容易さから柔軟性を向上させた光ネットワークを構築できる伝送方式として期待されている。
具体的に、このWDM伝送方式は、複数の異なる波長をもった光信号を波長多重して一本の光ファイバで伝送するので、同じ伝送速度の信号を多重化するなら、一本の光ファイバに一種類の波長の光信号を高速に変調して送信する伝送方式に比べ、波長多重数分だけ情報量を多く送信することができる。また、低速の光信号でも、波長多重することにより、高速の一波長の光信号を伝送する伝送方式と同じ伝送容量を得ることができる。
【0003】
ところで、上記のWDM伝送方式において、伝送される光信号の波長間隔は、隣接する波長の光信号の影響を受けない程度に離れている必要があるが、現在の光増幅器には、帯域が十数ナノメートル以上のものがあるので、上記の波長間隔を1ナノメートル前後にまで狭めたWDM伝送システムの実現も可能であり、実システムとして導入されつつある。
さらに、最近では、このようなWDM伝送システムに基づいた光ネットワークの研究も盛んに行なわれている。その一例としては、例えば、WDM信号を或るポイントから或るポイントへ送信するだけでなく、伝送路の途中に設けられたノードと呼ばれる中継点において、多重化された光信号のうちのある特定な波長の光信号だけを選択的に透過する一方、それ以外の波長の信号をそのノードで受信したり、そのノードから別の信号の光を挿入して別のノードへ送信したりすることのできる、ADM(Add- Drop Multiplex)機能をもったネットワークがある。このADM機能は、信号を光の状態のままで自由に分岐/挿入できることが特徴で、WDM伝送技術に特有の技術である。
【0004】
ここで、上述のようなWDM伝送システムに重要なデバイスとして、波長選択光フィルタ(以下、単に光フィルタということがある)がある。例えば、WDM伝送システムの受信側では、波長多重光信号(WDM信号)を波長毎に分離して受信を行なうため、この光フィルタが使用される。この場合の波長選択光フィルタは、伝送されてくる光信号以外の不要な信号(他信号)を除去するとともに、伝送路に設置される光アンプにより発生するノイズを除去する意味でも用いられる。このため、通常、この光フィルタには、他信号やノイズをできるだけ抑圧すべく、波長毎の透過帯域をできるだけ狭帯域にすることが要求されるほか、任意の波長の信号を選択できるように、選択波長が可変であることも要求される。
【0005】
さらに、このような波長選択光フィルタは、例えば、光ネットワークにおける光ADMノードや光クロスコネクト装置(図示略)等にも用いられる。光ADMノードでは、任意の波長の光信号を送信(挿入)し、任意の波長の光信号を受信(分岐)する機能が必要であるため、挿入側,分岐側ともに、この光フィルタが用いられ、それぞれ、選択波長が可変であることが要求される。
【0006】
一方、光クロスコネクト装置では、光信号の波長変換を行なう部分にこの光フィルタが使用される。即ち、電気信号を任意の波長の光で送信するために、伝送可能な状態であるN波多重されたCW(Continuous Wave)光から所望の波長の光だけをこの光フィルタで選択し、伝送信号を印加するのである。
このような波長選択光フィルタとしては、例えば、音響光学効果を利用した光フィルタ(AOTF;Acousto-Optical Tunable Filter)がある。
【0007】
図14はこのAOTFの構成を示すブロック図で、この図14に示すAOTF50は、光入力ポート50a,光導波路501,偏波分離部(PBS;Polarization Beam Sprit)502,507,SAW吸収体503,506,くし形電極(IDT)504,SAWクラッド部(Ti−deep拡散部)505,光出力ポート50b,50cをそなえて構成されており、光導波路501を伝搬する光信号とSAWクラッド部505を伝搬する表面弾性波とが干渉して一部の波長の光のみが偏光変換を受け、この偏光変換された光のみをスプリッタ(PBS507)で分離することで、波長の一部を取り出す(選択する)ことができるようになっている。
【0008】
具体的には、IDT504(電極対数N,開口長W)に取り出すべき波長の光に対応するRF信号を与えることにより、取り出すべき波長の光にのみ偏光変換を与える表面弾性波(SAW;Surface Acoustic Wave )を発生させてSAWクラッド部505を伝搬させる。なお、このとき、IDT504からSAWクラッド部505の両側に向けてマイクロ波が発生してPBS502,507での偏波分離処理に影響を与える可能性があるが、このマイクロ波はSAW吸収体503,506によって吸収されている。
【0009】
そして、この状態において、光信号が入力ポート50aから入力されてくると、この光信号はPBS502において偏波分離されて、TEモードの光信号とTMモードの光信号としてそれぞれ光導波路501a,501bを伝搬する。
すると、これらの各信号は、SAWクラッド部505を伝搬している上記の表面弾性波の干渉を受けることにより、取り出したい波長の光信号のみが偏波変換(TE−TMモード変換)される。そして、このように偏波変換された光信号は、PBS507において偏波分離されることにより、取り出したい波長の光信号(選択光信号)のみが一方の光出力ポート50cから出力される。なお、選択されなかった光信号は、他方の光出力ポート50bから出力される。
【0010】
ここで、このAOTF50による波長選択処理において、AOTF50(デバイス)の温度が一定の状態であれば、上記表面弾性波の周波数と選択光信号の周波数との関係は1:1になる。従って、AOTF50は、一定の温度条件下において、IDT504に供給するRF信号の周波数を変化させれば選択光波長が変化する。これにより、選択波長可変の光フィルタがAOTF50によって実現される。
【0011】
なお、このAOTF50は、それぞれ周波数の異なる複数のRF信号を混合してIDT504に供給すると、各RF信号の周波数に対応して複数の光波長を一度に選択することもできる。即ち、このAOTF50は、1波だけではなく、任意の波長の光信号を複数同時に選択するADM(多波長選択光)フィルタとして使用する場合にも非常に有効なのである。
【0012】
以下、このAOTF50が適用される実際のシステムについて説明する。
図12はWDM伝送システムの構成例を示すブロック図である。この図12に示すWDM伝送システム600Aでは、送信系61′において、光源(LD)610−1〜610−nで生成されるそれぞれ異なる波長の光信号のサイドバンド等の不要成分がバンドパスフィルタ(BPF)613′−1〜613′−n(nは自然数)で除去される。そして、各光信号は、それぞれ、変調器(MOD)61c−1〜61c−nで変調され、合波器61dにおいて多重合波されたのち受信系62′へ送信される。なお、上述のBPF613′−1〜613′−nは、光源610−1〜610−nにおいて波長変動が生じた場合の他チャンネルへの影響を除去する役目も果たしている。
【0013】
一方、受信系62′では、送信系61′からの光信号を分波器62dにて分波したのち、上記AOTF50と同様の構成を有するAOTF62a−1〜62a−nにおいてそれぞれ一波の光信号を選択して、所望の波長の光信号を受信部62b−1〜62b−nにおいて受信する。
ところで、このWDM伝送システム600Aは、この図12に示すように、送信系61′,受信系62′ともに、或る波長に対応する送信機能,受信機能の障害時にそれぞれ予備として機能する、送信光源冗長部64及び受信部冗長部65を有している。
【0014】
具体的に、送信光源冗長部64は、出力光波長可変型のチューナブル光源(T−LD)610A,上記のAOTF50と同様のAOTF613A,変調部(MOD)61c′をそなえて構成されており、LD610−1〜610−n,BPF613′−1〜613′−n,MOD61c−1〜61c−nの組からなる各波長毎の送信機能のいずれかに障害が発生した場合に、チューナブル光源610Aの出力波長,AOTF613Aの選択波長がそれぞれ障害の生じた波長に切り替えられることで、障害部分に替わって機能するようになっている。
【0015】
一方、受信部冗長部65は、上記のAOTF50と同様のAOTF62A,上記の受信部62b−1〜62b−nと同様の受信部62Bをそなえて構成されており、上記の送信光源冗長部64と同様に、AOTF62a−1〜62a−n,受信器62b−1〜62b−nの組からなる各波長毎の受信機能のいずれかに障害が発生した場合に、AOTF62Aの選択波長が障害の発生した波長に切り替えられることで、障害部分に代わって機能するようになっている。
【0016】
このように、上記のWDM伝送システム600Aでは、送信系61′,受信系62′に、それぞれ、選択波長変更可能なAOTFを用いた予備系を設けることにより、システム全体の信頼性を向上させることができる。
次に、図13は光ADMノードの構成例を示すブロック図で、この図13に示す光ADMノード600は、光ADM部60,送信系61,受信系62及び光増幅器63をそなえて構成されている。
【0017】
ここで、光ADM部60は、伝送されてくる光信号に対する分岐/挿入処理を施すもので、光信号の分岐のための波長選択光フィルタとして上記のAOTF50と同様のAOTF60aをそなえて構成されている。但し、このAOTF60aは、波長選択用のRF信号(f1 ,f2 ,...,fx ;x≦n)の周波数に応じて複数波長の光信号を選択(多波長選択)できるようになっている。
【0018】
また、送信系61は、送信可能なN波(Nは自然数)のうち任意の波長の光信号を光ADM部60への入力光信号に挿入すべく光ADM部60に送信するもので、例えば、波長多重信号分配光源61a,ゲートスイッチ61b−1〜61b−n(nは自然数),変調器(MOD)61c−1〜61c−n,合波器61d,光増幅器61eをそなえて構成されている。
【0019】
ここで、波長多重信号分配光源61aは、光ADM部60において入力光信号に挿入すべき波長の光信号を生成・出力するもので、このために、本波長多重信号分配光源61aには、異なる波長λ1〜λnの光(信号)を出力する光源(LD)610−1〜610−nと、LD610−1〜610−nから出力される各波長λ1〜λnの光を合波する合波器611と、合波器611において合波された光信号をλ1〜λnのn波長に分波する分波器612と、分波器612において分波された光出力のうちの対応する波長(λ1〜λn)の光のみを通過させるAOTF613−1〜613−nと、波長安定化回路614とが設けられている。なお、上記AOTF613−1〜613−nも、それぞれ、上記のAOTF50と同様のもので、ここでは、1波選択用の光フィルタとして用いられている。
【0020】
即ち、この送信系61は、AOTF613−1〜613−nを用いることにより、送信可能なN波のうち任意の波長の光信号を任意の数だけ選択して送信することができるのである。
なお、波長安定化回路614は、上述の分波器612にて分波された光出力をモニタして、LD610−1〜610−nから出力される光波長の微小なズレ等を調整することにより、送信光信号の波長λ1〜λnを安定させるためのものである。
【0021】
次に、ゲートスイッチ61b−1〜61b−nは、図13に示すように、各々直列(相互)に接続された複数のAOTF613−1〜613−nにおいて分岐され後述する受信部62b−1〜62b−x(x≦n)で受信されることにより、空き状態となる波長λ1〜λnの光信号を光ADM部60で新たに挿入するか否かによって切り替えられるものであり、変調器61c−1〜61c−nは、ゲートスイッチ61b−1〜61b−nを通過してきた光信号を変調するものである。また、合波器61dは、変調器61c−1〜61c−nにおいて変調された光信号を合波するものであり、光増幅器61eはこの合波器61dで合波された光信号を増幅するものである。
【0022】
一方、図13に示す受信系62は、光ADM部60によって選択(分岐)された光信号を受信するもので、AOTF62a−1〜62a−x(x≦n),受信部62b−1〜62b−xを有している。なお、ここで用いられるAOTF62a−1〜62a−xも、それぞれ、上記のAOTF50と同様のものであるが、この場合は、1種類の周波数のRF信号を与えられることにより、一波長の光信号を選択する光フィルタとして用いられている。
【0023】
ここで、受信部62b−1〜62b−xは、AOTF62a−1〜62a−xにおいて分岐される所定波長(λ1〜λx)の光信号をそれぞれ受信するものである。
例えば、光ADM部60に波長λ1〜λ8のWDM光信号が入力され、AOTF60aにおいて波長λ1〜λ4のWDM光信号が選択される場合、受信系62では、その選択された波長λ1〜λ4のWDM光信号を、それぞれ、4つのAOTF62a−1〜62a−4により波長選択され、波長毎に分離して受信することになる。
【0024】
即ち、AOTF62a−1では波長λ1〜λ4のWDM光信号から周波数f1のRF信号に対応する波長λ1の光信号のみが選択され、この選択光信号が受信部62b−1において受信される。AOTF62a−2ではAOTF62a−1で選択されなかった波長λ2〜λ4のWDM光信号から周波数f2のRF信号に対応する波長λ2の光信号が選択され、この選択光信号が受信部62b−2において受信される。他のAOTF62a−3,62a−4においても周波数f3,f4のRF信号に対応する波長λ3,λ4の光信号が選択され、各選択光信号が受信部62b−3,62b−4で受信される。
【0025】
なお、図13に示す光増幅器63は、光ADM部60において選択されなかった光信号(即ち、次のシステムへ伝送する光信号)を所定の伝送距離だけ伝送できるよう増幅するものである。
このように、上述の光ADMノード600では、伝送されてくる複数波長の光信号(WDM信号)のうち、光ADM部60にて任意の波長の光信号を分岐して受信したり、任意の空き波長の光信号を挿入して送信したりすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、上述の受信系62,62′(図13,図12参照)では、例えば、AOTF62a−1において、最初に波長λ1の光信号を分岐(選択)し、その後、波長λ5の光信号を分岐するよう切り替える場合、AOTF62a−1に供給するRF信号の周波数は波長λ1に対応する値(f1)から波長λ5に対応する値(f5)に切り替えられる。
ところが、このとき、RF信号の周波数は、f1からf5に連続的に変わるため、AOTF62a−1において選択される波長もこの周波数の変化に伴い連続的に変化することになる。このため、受信部62b−1では、本来受信すべき波長λ5の光信号を受信するまでに、波長λ2,λ3,λ4等の波長λ5以外の光信号が受信されてしまう。従って、システムを運用しながら受信信号の波長を切り替えることは非常に不適切である。
【0027】
特に、上記の光ADMノード600や光クロスコネクト装置の場合には、上記のような波長選択処理後に、複数の波長の光信号を合波して伝送するため、上述したように、波長λ1から波長λ5に選択波長を切り替えたとき、他の波長λ2〜λ4の光信号が瞬時でも透過してしまうと、選択対象の波長以外の他の光信号と同じ波長の光信号が漏れだすことになってしまい、コヒーレントクロストークとして他の波長の光信号に影響を与え、伝送特性が劣化することになるのである。
【0028】
そこで、上述の課題を解決するために、特開平7−199252号公報に示されるような技術が提案されている。
図15はこの技術を説明するための光波長選択制御装置の一例を示すブロック図で、この図15に示す光波長選択制御装置100は、AOTF50,RF発振器51,制御部52をそなえて構成されている。
【0029】
ここで、AOTF50は、図14により前述したものと同様のものであり、RF発振器51は、上述のAOTF50に選択すべき光信号の波長に対応する周波数をもったRF信号を出力するもので、この技術では、制御部52からの制御信号(周波数制御信号,振幅制御信号)に応じて、出力RF信号の周波数,振幅が制御されるようになっている。
そして、制御部52は、このようにRF発振器51において発振するRF信号の周波数,振幅を制御するもので、選択される波長の光信号を変更する際には、振幅制御信号を出力し、RF発振器51におけるRF信号の振幅をゼロあるいは充分小さく抑えた上で、周波数制御信号を出力して所定の周波数に切り替えたのち、上記振幅制御信号の出力を停止することにより、上述の振幅を回復させるようになっている。
【0030】
なお、このように、RF信号の周波数の変更中に他波長の光信号が選択されないようにするには、図15に破線で示すように、上述のRF発振器51の出力側にスイッチ(SW)53を設けてRF発振器51から出力されるRF信号を他のRF信号に変更する際に、制御部52によりスイッチ53をOFF状態に制御することでも実現できる。
このような構成により、上述の光波長選択制御装置100では、AOTF50で選択すべき波長を切り替えるときには、AOTF50に供給するRF信号の振幅を充分に小さくし、この状態で、次に選択すべき波長に対応する周波数にRF発振器51の発振周波数を変更する。つまり、この光波長選択制御装置100は、AOTF50へのRF信号の周波数が変更中である場合には、AOTF50で非選択対象の他信号が選択されないようにRF信号の振幅を制御するのである。
【0031】
しかしながら、上記のように、AOTF50に供給するRF信号の振幅をゼロあるいは充分小さく抑えた場合やスイッチ53を用いてRF信号の出力を停止した場合でも、AOTF50の消光比が充分でない場合には、他信号を透過させてしまう可能性がある。例えば、WDM伝送では、AOTF50の消光比として20〜25dB程度必要であるが、現状では、20dBを満足していないのが実情であるため、このような現象が生じる可能性が高い。
【0032】
また、AOTF50を光ネットワークに用いる場合には、上述の消光比が充分でないとコヒーレントクロストークとして伝送特性に影響を与え、伝送特性を劣化させるため、この影響を抑圧するためには、少なくとも45dB程度の消光比が要求されている。
本発明は、以上のような課題に鑑み創案されたもので、波長選択光フィルタを多段構成にすることにより、任意の波長の光信号を高精度に選択(抽出)して波長選択処理の消光比を大幅に向上できるようにするとともに、選択すべき複数の波長の光信号を他の光信号に切り替える際、非選択対象の波長の光信号に影響を与えないようにした、光波長選択制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
このため、本発明の一態様に係る光波長選択制御装置は、N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するm個の周波数発振器と、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部と、該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部とをそなえるとともに、該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該停止部を制御することを特徴としている。
【0034】
また、上記波長選択部は、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を、該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されてもよい。
さらに、上記波長選択部は、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されてもよい。
【0035】
また、上記波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていてもよい。
さらに、上記制御部は、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されてもよく、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択部の温度制御を行なうように構成されてもよい。
【0036】
また、上記停止部は、該制御部からのオフ制御により、該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されてもよく、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されてもよい。
また、本発明の他の態様に係る光波長選択制御装置は、N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意のm(mは1<m≦Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するN個の周波数発振器と、該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるN個の停止部と、該波長選択部において選択すべき光信号の波長を変更する際、変更後の波長に対応する周波数信号の出力を透過させるように該当する停止部を制御する一方、変更後の波長に対応する周波数信号以外の周波数信号の出力を停止させるように該当する停止部を制御する制御部とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0037】
また、上記波長選択部は、該波長多重光信号から任意のN波長の光信号を、該N個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されてもよく、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該N個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていてもよい。
【0038】
さらに、上記波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていてもよい。
また、上記制御部は、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されてもよく、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択光フィルタの温度制御を行なうように構成されてもよい。
【0039】
さらに、上記停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されてもよく、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されてもよい。
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、複数波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意の波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえ、これらの波長選択光フィルタが相互に接続されて多段構成化されるとともに、これらの波長選択光フィルタにおいて抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を波長選択用の周波数信号として出力する周波数発振器をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0040】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、上記周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうる第1停止部が上記の周波数発振器と波長選択光フィルタとの間に介装され、且つ、上述の制御部が、周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を変更している間、上記周波数信号の出力を停止させるように上記第1停止部を制御することを特徴としている。
【0041】
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発信部が上記の各波長選択光フィルタに対して共通の周波数発振器をそなえ、且つ、上記の制御部が、上記の共通モジュールの温度変化に応じて上記の周波数発振器を制御して周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0042】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発振器及び第1停止部がそれぞれ各波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、上記の制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記の共通モジュールの温度変化と各波長選択光フィルタの各温度特性とに応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0043】
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ個別モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発振器及び第1停止部が各波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、上記の制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記の個別モジュールの各温度変化に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0044】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記の複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の制御部が、上記共通モジュールの温度が所定の温度となるようにその共通モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴としている。
【0045】
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、上記の周波数発振器及び第1停止部が各波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、上記の制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記共通モジュールの温度が所定の温度となるようにその共通モジュールの温度制御を行ない、且つ、上記の各波長選択光フィルタの各温度特性に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴としている。
【0046】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し個別モジュールとして構成されるとともに、上記の制御部が、各個別モジュールの温度がそれぞれ所定の温度となるように各個別モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴としている。
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、第1停止部が、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴としている。
【0047】
また、本発明の光波長選択制御装置は、上記の構成において、第1停止部が、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴としている。
さらに、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、上記周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、上記の波長選択光フィルタの出力側に、波長選択光フィルタにおいて抽出された光信号の出力を停止しうる第2停止部が設けられ、且つ、上記の制御部が、周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を変更している間、上記の波長選択光フィルタにおいて抽出された光信号の出力を停止させるようにこの第2停止部を制御することを特徴としている。
【0048】
また、本発明に関連する技術である光波長選択制御装置は、上記の構成において、波長選択光フィルタが、それぞれ、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、以下の少なくともいずれかの効果ないし利点が得られる。
N波長の波長多重光信号からm波長を選択している場合に選択波長を変更する際には、m個の停止部によりm個の周波数発振器からの周波数信号の出力を停止させた上で、周波数変更対象となる周波数発振器の周波数を所望の値に変更するので、選択波長の変更時に、非選択対象の他の光信号が選択光信号として漏れ出すことがない。従って、この場合も極めて高精度に抽出すべき波長の光信号を抽出することができ、波長多重光伝送システムの性能向上に大いに寄与する。また、この場合は波長多重光信号の多重度(N)よりも少ない(m個)の発振器で済むので、本装置の簡素化にも寄与している。
【0050】
さらに、上記の波長選択部を、N波長多重された波長多重光信号から任意のm波長の光信号をm個の周波数発振器からの周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成すれば、極めて簡素な構成で、m波長選択機能を実現することができる。
なお、上記の波長選択部を、複数の波長選択光フィルタを相互に接続することにより多段構成化すれば、この場合も、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができるので、選択光信号の品質を大幅に向上させることができる。また、上記の波長選択光フィルタも、音響光学チューナブルフィルタにより構成すれば、極めて容易に、上述した波長抽出機能を実現することができる。
【0051】
さらに、この場合も、上記の波長選択部の温度変化に応じて周波数発振器からの周波数信号の周波数を調整すれば、周波数発振器からは精度の高い周波数信号が出力されるので、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
また、上記の波長選択部の温度が所定の温度となるように温度制御を行なえば、波長選択部では、常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができ、やはり、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
【0052】
さらに、この場合も、上記の停止部を、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチ、もしくは、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の周波数変更中の波長選択フィルタへの周波数信号の出力停止機能を実現することができる。
【0053】
また、本発明によれば、入力光信号の波長数と同数の周波数発振器を設け、波長選択部において抽出すべき波長に対応する周波数発振器以外の周波数発振器の周波数信号の出力を該当する停止部のオフ制御により停止するので、停止部を個別にオン/オフ制御するだけで波長選択部での選択波長を変更することができる。従って、抽出すべき波長の光信号の精度を向上させることができ、且つ、波長選択処理を迅速に行なうことができる。
【0054】
さらに、上記の波長選択部を、波長多重光信号から任意のN波長の光信号をN個の周波数発振器からの周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の波長選択機能を実現することができる。
また、上記の波長選択部を、波長多重光信号から任意のm波長の光信号を上記のN個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの周波数信号に応じて抽出する複数の波長選択光フィルタを相互に接続して多段構成化して構成すれば、この場合も、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができるので、選択光信号の品質を大幅に向上させることができる。
【0055】
なお、上記の波長選択光フィルタも、音響光学チューナブルフィルタにより構成すれば、極めて容易に、上述した波長抽出機能を実現することができる。
さらに、この場合も、上記の波長選択部の温度変化に応じて周波数発振器からの周波数信号の周波数を調整すれば、周波数発振器からは精度の高い周波数信号が出力されるので、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
【0056】
また、上記の波長選択部の温度が所定の温度となるように温度制御を行なえば、波長選択部では、常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができ、やはり、波長選択部での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
さらに、この場合も、上記の停止部を、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチ、もしくは、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の周波数変更中の波長選択フィルタへの周波数信号の出力停止機能を実現することができる。
【0057】
また、複数の波長選択光フィルタが相互に接続されて多段構成化されるとともに、各波長選択フィルタにそれぞれ選択波長に対応する周波数信号を供給しているので、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができ、これにより、選択光信号品質が大幅に向上する。
なお、周波数発振器の出力側に第1停止部を設け、制御部において、その周波数発振器から出力される周波数信号の周波数が変更されている間は、波長選択フィルタへの周波数信号の出力が停止されるので、周波数発振器の発振周波数が連続的に変更されても、抽出すべき波長以外の他の波長が選択されることを防ぐことができ、さらに波長選択処理の精度を向上させることができる。
【0058】
さらに、制御部によって、波長選択光フィルタを有するモジュール(波長選択部)の温度変化に応じて周波数発振器からの周波数信号の周波数が調整されうるので、周波数発振器からは精度の高い周波数信号を出力することができ、これにより、波長選択光フィルタでの波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
また、上記の制御部が、波長選択光フィルタを有するモジュール(波長選択部)の温度が所定の温度となるように波長選択光フィルタ(波長選択部)の温度制御を行なえば、波長選択光フィルタでは、常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができ、やはり、波長選択光フィルタ(波長選択部)での波長選択処理の精度をさらに高めることができる。
【0059】
さらに、上記の第1停止部を、周波数発振器からの周波数信号の出力を停止しうるスイッチ、もしくは、周波数発振器からの周波数信号の増幅率を調整されることにより周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成すれば、極めて簡素な構成で、上記の周波数変更中の波長選択フィルタへの周波数信号の出力停止機能を実現することができる。
さらに、本発明によれば、波長選択光フィルタの出力側に第2停止部を設け、制御部が周波数発振器から出力される周波数信号の周波数を変更している間は、波長選択フィルタで抽出された光信号の出力を停止することができるので、この場合も、非選択対象の他の波長の光信号の透過を確実に防ぐことができ、高精度に抽出すべき波長の光信号を抽出できる。
【0060】
なお、上記の波長選択光フィルタを、音響光学チューナブルフィルタにより構成すれば、極めて容易に、上述した波長抽出機能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(a)第1実施形態の説明
図1は本発明に関連する技術の第1実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図で、この図1に示すように、光波長選択制御装置10は、波長選択光フィルタ1−1,1−2,RF発振器2,制御部3,スイッチ4をそなえて構成されている。
【0062】
ここで、波長選択光フィルタ1−1,1−2は、それぞれ、複数波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意の波長の光信号を波長選択用のRF信号(周波数信号)に応じて抽出するもので、本実施形態では、図14により前述したものと同様の音響光学チューナブルフィルタ(AOTF;Acousto-OpticalTunable Filter)により構成されており、それぞれが、この図1に示すように、相互に接続されて多段構成化されている。ただし、ここでは、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有しており、1つのモジュール(共通モジュール)1として構成されている場合を考える。
【0063】
なお、この光波長選択制御装置10は、図1313にて前述した光ADMノード600の送信系61のAOTF613−1〜613−n部分や受信系62のAOTF62a−1〜62a−x部分あるいは光ADM部60等にそれぞれ適用することができる。
また、RF(Radio Frequency)発振器(周波数発振器)2は、AOTF1−1,1−2において選択(抽出)すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を波長選択用のRF信号として各AOTF1−1,1−2に出力するもので、本実施形態では、制御部3によって生成(発振)するRF信号の周波数が変更される発振周波数可変型のものが用いられている。
【0064】
さらに、制御部3は、このRF発振器2から出力されるRF信号の周波数を制御するもので、AOTF1−1,1−2で抽出すべき波長の光信号についての情報(選択波長変更指示信号)に応じてRF発振器2の発振周波数を制御するようになっている。
なお、この選択波長変更指示信号は、システム内の管理装置(図示略)から受信される。つまり、この制御部3は、前記の管理装置からの指示に応じてRF発振器2の発振周波数を制御することにより、AOTF1−1,1−2での選択波長を適宜に変更できるようになっているのである。
【0065】
また、この制御部3は、共通モジュール1の温度状態(変化)をモニタしてその温度変化に応じてRF発振器2からのRF信号の周波数(RF発振器2の発振周波数)の微調整を行なうことにより、AOTF1−1,1−2での波長選択処理の温度影響(選択波長にズレが生じて選択精度が劣化する等)を最小限に抑えることもできるようになっている。これにより、AOTF1−1,1−2では、精度の高い波長選択処理を行なうことができる。但し、この場合、デバイス(共通モジュール1)の温度と選択波長及びRF信号の周波数との関係は予め明確化されて対応テーブル等として制御部3内に記憶されているものとする。
【0066】
さらに、スイッチ(SW;第1停止部)4は、図1に示すように、AOTF1−1,1−2とRF発振器2との間に介装されて、RF発振器2からのRF信号の出力を停止しうるもので、ここでは、制御部3が上記の選択波長変更指示信号を受けることにより、RF発振器2の発振周波数を変更している間、制御部3によってオフ制御されて、RF発振器2からのRF信号の出力を停止し、RF発振器2の周波数が変更先の周波数となった時点でオン制御されて、RF発振器2からのRF信号をAOTF1−1,1−2へ出力するようになっている。なお、このとき、制御部3は、RF発振器2の発振周波数をモニタしているものとする。従って、最適なタイミングでRF発振器2からRF信号を出力することができる。
【0067】
つまり、本実施形態の制御部3は、RF発振器2の発振周波数を変更している間、RF発振器2からのRF信号の出力を停止させるようにスイッチ4をオフ制御するのである。これにより、AOTF1−1,1−2では、RF発振器2の発振周波数が連続的に変更されても、選択すべき波長以外の他の波長を選択することがない。
なお、AOTF1−1,1−2とRF発振器2との間には、上記停止部として、上述のスイッチ4の代わりに、図1に示すように、増幅器(AMP)4′を介装して、制御部3がRF信号の周波数を変更している間、この増幅器4′の増幅率(ゲイン)を制御部3が調整することによっても、RF信号の出力を停止状態にすることができる。
【0068】
即ち、この場合は、制御部3が、RF信号のレベル(振幅)がAOTF1−1,1−2での波長選択処理に影響を与えない範囲内となるように、増幅器4′の増幅率をできるだけ小さくすることにより、AOTF1−1,1−2側からみたときのRF信号の出力を停止状態にするのである。
以下、上述の光波長選択制御装置10による波長選択処理について、図2を用いて詳述する。
【0069】
例えば、本実施形態の光波長選択制御装置10において、波長λ1〜λ8のWDM信号のうち、波長λ1の光信号が選択される場合の動作について説明する。まず、AOTF1−1の光入力ポート1bから波長λ1〜λ8の光信号が入力されると、AOTF1−1では、RF発振器2から供給される周波数f1のRF信号に対応する波長λ1の光信号を選択し、この選択された波長λ1の光信号を光出力ポート1cから出力する。
【0070】
すると、上記の光出力ポート1cから出力された波長λ1の光信号は、次段のAOTF1−2の光入力ポート1b′にて受信され、AOTF1−2において、AOTF1−1と同様に、RF発振器2から供給される周波数f1のRF信号に対応する波長λ1の光信号を選択する。
つまり、上述の光波長選択制御装置10では、AOTF1−1,1−2を多段構成にすることにより、AOTF1−1において抽出された波長λ1の光信号を受けて、AOTF1−2においても同様に、同じ波長λ1の光信号を抽出することができるので、選択すべき波長の光信号の選択精度を向上させることができる。
【0071】
ところで、このとき、制御部3では、共通モジュール1の温度状態をモニタしてその温度変化に応じてRF発振器2からの発振周波数の微調整を行なっている。これにより、AOTF1−1,1−2における波長選択処理の温度影響が最小限に抑えられるので、AOTF1−1,1−2での波長選択精度がさらに向上している。
次に、この状態において、波長λ1の光信号から波長λ5の光信号に選択を切り替えるために、RF発振器2からの周波数f1のRF信号を周波数f5のRF信号に切り替える場合の動作について説明する。
【0072】
まず、光波長選択制御装置10では、前記の管理装置から選択波長変更指示信号を制御部3で受信すると(ステップa1)、制御部3が、スイッチ4をオフ制御(もしくは増幅器4′のゲインを制御)し、RF信号の出力を停止させる(ステップa2)。
そして、制御部3は、受信した上記波長選択指示信号に基づいて、変更すべき波長λ5の光信号に対応する周波数f5を決定し(ステップa3)、AOTF1−1,1−2へのRF信号の周波数が決定した周波数f5となるようにRF発振器2の発振周波数を制御する(ステップa4)。
【0073】
このとき、制御部3は、上記共通モジュール1の温度状態をモニタし、そのモニタ結果に基づいてAOTF1−1,1−2の基準温度時の発振周波数に対する補正(微調整)を行なった上で、RF発振器2の周波数を変更(掃引)し、周波数モニタ値がf5になったところでスイッチ4をオン状態に制御する(ステップa5)。そして、所望のRF信号がAOTF1−1,1−2に出力される。
【0074】
なお、上述のAOTF1−1の光入力ポート1aには、入力光信号のうち、欠けている波長に対応する波長の光信号や、上記AOTF1−1にて選択される波長に対応する波長の光信号を挿入している。そして、AOTF1−1において選択されなかった波長λ2〜λ8の光信号は光出力ポート1dから出力される。
このように、本発明の第1実施形態にかかる光波長選択制御装置10によれば、複数のAOTF1−1,1−2が相互に接続されて多段構成化されるとともに、各AOTF1−1,1−2にそれぞれRF発振器2から選択波長に対応する周波数をもったRF信号を供給しているので、同じ波長の光信号についての波長選択処理を複数回行なうことができ、選択光信号の品質が大幅に向上し、WDM伝送システムに要求される消光比を充分に満足することができる。
【0075】
特に、1本の光ファイバに8波長の光を多重伝送するWDM伝送システム(光ADMノードを含む)に要求される消光比(45dB程度)を充分に満足することができ、WDM伝送システムの性能向上に大いに寄与しうる。
なお、上述した実施形態では、RF発振器2の発振周波数変更中に制御部3がスイッチ4をオフ制御することで波長選択精度のさらなる向上を図っているが、AOTF1−1,1−2を多段構成にするだけでも(スイッチ制御しなくても)、波長選択処理の精度を向上させて所望の消光比を満足することができる。
【0076】
また、上述の制御部3は、共通モジュール1の温度が所定の(上記波長選択処理に最適な)温度となるように、例えば、ペルチェ効果を利用して上記共通モジュール1の温度を直接的に制御するようにしてもよい。この場合も、AOTF1−1,1−2では常に安定した温度条件下で波長選択処理を施すことができるので、RF発振器2の発振周波数の微調整は必要ない。
【0077】
(b)第2実施形態の説明
図3は本発明の第2実施形態(上記の実施形態からの説明の流れ上、本発明に係るこの実施形態を第2実施形態と称する)にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図で、この図3に示す光波長選択制御装置10Aは、波長選択部1A,RF発振器2a−1〜2a−m(mは2以上の自然数),制御部3A,スイッチ4a−1〜4a−m,カプラ6Aをそなえて構成されている。
【0078】
具体的に、この光波長選択制御装置10Aは、多波長選択用のもので、図13に示す光ADMノード600の光ADM部60や、図12に示すWDM伝送システム600Aの送信光源冗長部64等に適用できる。例えば、図12に示す送信光源冗長部64においては、複数の波長用の送信機能に故障が生じた場合にもそれらの部分を同時にバックアップすることができる。
【0079】
ここで、波長選択部1Aは、N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm波長(mは1<m<Nを満足する自然数)の光信号を波長選択用のRF信号(周波数信号)に応じて抽出するもので、第1実施形態と同様に、波長選択光フィルタとしての音響光学チューナブルフィルタ(AOTF;図10参照)により構成されている。
【0080】
具体的に、このAOTF1Aは、選択すべき複数の波長に対応したRF信号を任意のRF発振器2a−1〜2a−mから供給されることにより、光入力ポート1fから入力されてくる光信号から複数の波長を有する光信号を選択することができるようになっている。なお、選択された波長の光信号は、光出力ポート1gから出力され、選択されなかった波長の光信号は、光出力ポート1hから出力されるようになっている。
【0081】
また、RF発振器(周波数発振器)2a−1〜2a−mは、それぞれ、AOTF1Aにおいて抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を波長選択用のRF信号としてAOTF1Aに出力するもので、本実施形態でも制御部3Aからの周波数制御信号に応じて、AOTF1Aに供給するRF信号の周波数が所望の値に制御されるようになっている。
【0082】
なお、各RF発振器2a−1〜2a−mは、ここでは、入力されてくるN種類の波長よりも少ない数(m個)だけ設けられており、各RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号はカプラ6Aで合波されてAOTF1Aに供給されるようになっている。
また、制御部3Aは、RF発振器2a−1〜2a−mから出力されるRF信号の周波数をそれぞれ制御するもので、抽出すべき波長の光信号を変更する情報(選択波長変更指示信号)をシステム全体を管理している管理装置(図示略)から受けると、その指示信号に応じて該当するRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更するようになっている。
【0083】
なお、この制御部3Aも、第1実施形態の制御部3と同様に、AOTF1Aの温度状態をモニタすることにより、AOTF1Aの温度変化に応じてRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数の微調整を行なえるようになっている。
また、スイッチ(停止部)4a−1〜4a−mは、RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の出力を停止しうるもので、具体的には、制御部3Aにおいて、RF発振器2a−1〜2a−mから出力されるRF信号の周波数を変更している間、対応するスイッチ4a−1〜4a−mをオフ制御して、RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の出力を停止させるようになっている。
【0084】
例えば、AOTF1Aにおいて、波長λ1〜λ8のWDM信号から波長λ1〜λ4の光信号を抽出している状態から抽出すべき光信号の波長をλ1,λ2,λ5,λ6に変更する場合、制御部3Aは、波長λ1〜λ4に対応する周波数f1〜f4を発振するようにRF発振器2a−1〜2a−4を制御している状態から、上記の選択波長変更指示信号を受けることにより、波長λ1,λ2,λ5,λ6に対応する周波数f1,f2,f5,f6を出力するようにRF発振器2a−1〜2a−4を制御する。
【0085】
この場合、制御部3Aは、スイッチ4a−3,4a−4を制御して、RF発振器2a−3,2a−4からの出力を停止させ、RF発振器2a−3,2a−4から出力される周波数をf3,f4からf5,f6に変更してからスイッチ4a−3,4a−4をオン制御するようになっている。
つまり、本実施形態では、WDM信号の波長数に比べてRF発振器2a−1〜2a−mの数が少なくて済むので、回路構成を簡素化することができる。
【0086】
さらに、カプラ6Aはスイッチ4a−1〜4a−mを介して入力されるRF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の周波数を合波してAOTF1Aに出力するものである。
以下、光波長選択制御装置10Aによる波長選択処理について、図4を用いて詳述する。なお、ここでは、例えば、4つのRF発振器2a−1〜2a−4(発振周波数f1〜f4)により波長λ1〜λ8のWDM信号のうちの波長λ1〜λ4の光信号を抽出している状態から抽出すべき光信号の波長をλ1,λ2,λ5,λ6に変更する場合について詳述する。
【0087】
まず、光波長選択制御装置10Aでは、RF発振器2a−1〜2a−4から周波数f1〜f4を発振することにより、AOTF1Aにおいて波長λ1〜λ4の光信号を抽出している。なお、このとき、スイッチ4a−1〜4a−4は制御部3Aによってオン制御されている。
この状態において、波長選択光フィルタ制御装置10Aは、選択波長変更指示信号を制御部3Aで受信すると(ステップb1)、制御部3Aが、変更すべき波長に対応する周波数(f3,f4)を出力しているRF発振器2a−3,2a−4のスイッチ4a−3,4a−4をオフ制御し、RF信号(周波数f3,f4)の出力を停止させる(ステップb2)。
【0088】
そして、制御部3は、受信した上記波長選択変更指示信号に基づいて変更すべき波長λ5,λ6の光信号に対応する周波数を決定し(ステップb3)、AOTF1AへのRF信号の周波数が決定した周波数f5,f6となるように該当するRF発振器2a−3,2a−4の発振周波数を制御する(ステップb4)。
このとき、制御部3Aは、AOTF1Aの温度状態をモニタし、そのモニタ結果に基づいてAOTF1Aの基準温度時の発振周波数に対する補正(微調整)を行なった上で、RF発振器2a−3,2a−4の周波数を変更(掃引)し、周波数モニタ値がf5,f6になったところで該当するスイッチ4a−3,4a−4をオン状態に制御する(ステップb5)。そして、変更したRF周波数f5,f6がAOTF1Aに出力される。
【0089】
このように、本発明の第2実施形態にかかる光波長選択制御装置10Aによれば、選択波長を変更する際には、スイッチ4a−1〜4a−mによりRF信号の出力を停止させた上で、変更の対象となるRF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号の周波数を所望の値に変更するので、選択波長の変更時に、非選択対象の他の光信号が選択光信号として漏れだすことがない。従って、この場合も極めて高精度に選択すべき波長の光信号を抽出することができ、WDM伝送システムの性能向上に大いに寄与する。
【0090】
また、上述の光波長選択制御装置10Aによれば、WDM信号の波長数に比べてRF発振器2a−1〜2a−mの数が少なくて済むので、回路構成を簡略化することができる。
なお、ここでは、AOTF1Aに出力されている周波数のうち、変更のあった周波数をRF発振器2a−3,2a−4においてf3,f4からf5,f6に変更することについて詳述したが、例えば、本装置10Aに5個のRF発振器2a−1〜2a−5が設けられ、上述と同様の変更指示(λ1〜λ4の選択からλ1,λ2,λ5,λ6の選択に変更)があった場合には、スイッチ4a−3,4a−4をオフ制御して上記RF発振器2a−3,2a−4の出力を停止したあと、RF発振器2a−3(または2a−4)から出力されていた周波数f3(またはf4)を変更指示のあった周波数のうちの一方の周波数(f5)に変更し、もう一方の周波数(f6)をRF発振器2a−5から出力するように切り替えてもよい。
【0091】
この場合、周波数の変更時には、スイッチ4a−3,4a−4をオフ制御し、RF発振器2a−3,2a−4からの出力を停止させ、RF発振器2a−3(または2a−4)の周波数をf5に変更したのち、スイッチ4a−3(または4a−4)をオン制御して周波数f5のRF信号を出力するとともに、スイッチ4a−5をオン制御し、RF発振器2a−5から周波数f6のRF信号を出力する。
【0092】
このように、変更指示のあった周波数と実際発振している周波数との関係及びRF発振器2a−1〜2a−mの設置数に応じて、変更するRF発振器2a−1〜2a−mを決定することもできる。なお、このRF発振器2a−1〜2a−mにおいて、設置数のうちの一部しか波長選択処理に使用されない場合には、スイッチ4a−1〜4a−mのオン/オフ制御を限定することにより、波長選択処理に使用されている数(例えば、上述においては4個)のみ駆動するようにしてもよく、m個全て(例えば、上述においては5個)を駆動するようにしてもよい。
【0093】
また、本実施形態でも、制御部3Aは、ペルチェ効果を利用して、AOTF1Aの温度が所定の温度となるように、AOTF1Aの温度を直接的に制御するようにしてもよい。
さらに、上述のスイッチ4a−1〜4a−mは、第1実施形態と同様に、それぞれ、増幅器4′(図1参照)に代えてもよい。この場合の作用・効果については、上述の第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0094】
(c)第3実施形態の説明
図5は本発明の第3実施形態(上記の実施形態からの説明の流れ上、本発明に係るこの実施形態を第3実施形態と称する)にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図で、この図5に示す光波長選択制御装置10Bは、AOTFにより構成された波長選択部1A,RF発振器2b−1〜2b−n(nは自然数),制御部3B,スイッチ4b−1〜4b−n,カプラ6Aをそなえて構成されている。なお、この光波長選択制御装置10Bにおいても、上述の第2実施形態と同様に、WDM伝送システム600A(図12参照)や光ADMノード600(図13参照)等の適所に用いられる。
【0095】
また、この図5に示す光波長選択制御装置10Bは、上述の第2実施形態(図3)に示すものに比して、RF発振器2b−1〜2b−n,スイッチ4b−1〜4b−nが入力波長の種類(N種類)と同数(n=N個)だけ設けられており、各RF発振器2b−1〜2b−nがそれぞれ、固定周波数(f1〜fn)のRF信号を出力するようになっている(制御部3による周波数の変更制御は行なわれない)点が異なる。
【0096】
このため、本第3実施形態の制御部3Bは、AOTF1Aにおいて選択すべき波長を変更する際、変更後の波長に対応するRF信号の出力を透過させるように該当するスイッチ4b−1〜4b−nを制御する一方、変更後の波長に対応するRF信号以外のRF信号の出力を停止させるように該当するRF発振器2b−1〜2b−nの出力側に設けられたスイッチ4b−1〜4b−nを制御(オフ制御)するようになっている。
【0097】
つまり、上述の光波長選択制御装置10Bは、予め選択する(あるいは非選択する)光信号数m(mは1<m≦Nを満足する自然数)の最大値が決まっている場合には、その最大値だけのRF発振器2b−1〜2b−nとスイッチ4b−1〜4b−nとを設けて、スイッチ4b−1〜4b−nのオン/オフを切り替えるだけで、AOTF1Aにおいて任意のm波長の光信号を選択することができるのである。
【0098】
なお、上述の制御部3Bも、上述した第1,第2実施形態における制御部3,3Aと同様に、AOTF1Aの温度状態をモニタして、AOTF1Aの温度変化に応じてRF発振器2b−1〜2b−nのRF信号の発振周波数を微調整しうるようになっている(図5の点線A参照)。
上述の構成により、図5に示す光波長選択制御装置10Bは、上述の第2実施形態に示す光波長選択制御装置10Aとほぼ同様に動作する(図4参照)。
【0099】
但し、本実施形態の光波長選択制御装置10Bでは、選択波長を変更する際、図4に示すフローチャートのステップb4において、RF発振器2b−1〜2b−nの周波数を制御(掃引)する必要はなく、変更により選択対象となる波長に対応するスイッチ4b−1〜4b−nをオン制御する一方、非選択対象となる波長に対応するスイッチ4b−1〜4b−nをオフ制御するだけで、AOTF1Aでの選択波長を変更することができる。
【0100】
例えば、波長λ1〜λ8のWDM信号からλ1〜λ4の光信号を抽出している状態から抽出すべき光信号の波長をλ1,λ2,λ5,λ6に変更する場合、RF発振器2b−1〜2b−4から出力されている周波数f1〜f4は、選択波長変更指示信号により、スイッチ4b−3,4b−4がオフ制御され、変更後の周波数f5,f6を出力するためにスイッチ4b−5,4b−6をオン制御するのである。
【0101】
このように、本発明の第3実施形態にかかる光波長選択制御装置10Bによれば、入力光信号の波長数(N)と同数のRF発振器2b−1〜2b−nを設け、AOTF1Aにおいて選択すべき波長に対応するRF発振器2b−1〜2b−n以外のRF発振器2b−1〜2b−nのRF信号の出力を該当するスイッチ4b−1〜4b−nのオフ制御により停止するので、スイッチ4b−1〜4b−nを個別にオン/オフ制御するだけで、AOTF1Aでの選択波長を変更することができる。従って、波長選択処理の精度が大幅に向上し選択すべき波長の光信号の品質を向上させることができるとともに、波長選択処理自体を迅速に行なうことができる。
【0102】
また、本実施形態でも、上述の制御部3Bはペルチェ効果を利用してAOTF1Aの温度が所定の温度となるように、AOTF1Aの温度を直接的に制御するようにしてもよい。さらに、スイッチ4b−1〜4b−nも同様に、増幅器として構成できる。
(d)変形例の説明
次に、以下では、上述の各実施形態の変形例について説明する。
【0103】
(d−1)第1実施形態の第1変形例の説明
上述の第1実施形態に示す光波長選択制御装置10には、共通モジュール1(AOTF1−1,1−2)の出力側(後段)に、例えば、図1中に破線で示すように、光スイッチ5−2を設けてもよい。
ここで、この光スイッチ(第2停止部)5−2は、共通モジュール1(AOTF1−1,1−2)において抽出された光信号の出力を停止しうるもので、制御部3がRF発振器2から出力されるRF信号の周波数を変更している間、この制御部3によってオフ制御されて、AOTF1−1,1−2からの選択光信号の出力を停止するようになっている。
【0104】
つまり、この光スイッチ5−2は、RF発振器2のRF信号の発振周波数(以下、RF周波数ということがある)が変更されている間には、AOTF1−1,1−2の選択出力ポートとしての光出力ポート1c′から出力されるいずれの波長の光信号も透過しないようになっているのである。
従って、非選択対象の他の波長の光信号の透過をより確実に防ぐことができ、さらに、高精度に選択すべき波長の光信号を抽出できる。
【0105】
なお、この光スイッチ5−2は、共通モジュール1の前段に設けてもよい。また、後述するように各AOTF1−1,1−2がそれぞれ個別のモジュールとして構成される場合は、各AOTF1−1,1−2間に設けてもよいし、各AOTF1−1,1−2間とAOTF1−2の後段とのそれぞれに設けてもよいし、AOTF1−1の前段,各AOTF1−1,1−2間及びAOTF1−2の後段のそれぞれに設けてもよい。
【0106】
いずれの場合も、RF周波数が変更されている間は、制御部3によって光スイッチ5−2がオフ制御されて、AOTF1−1,1−2に光信号が入力されないので、同様に、いずれの波長の光信号も透過せず、非選択対象の他の波長の光信号の透過をより確実に防ぐことができる。
(d−2)第1実施形態の第2変形例の説明
ところで、第1実施形態にて前述した光波長選択制御装置10は、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュール1として構成される場合を前提に説明を行なったが、各AOTF1−1,1−2が、それぞれ異なる温度特性を有している場合やそれぞれ個別のモジュール(個別モジュール)として構成されている場合もある。以下、このような場合に対応した装置の説明を行なう。
【0107】
(d−2−1)各AOTF1−1,1−2がそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュール1として構成される場合
この場合、各AOTF1−1,1−2の温度特性がそれぞれ異なるので、各AOTF1−1,1−2へ供給(印加)すべきRF周波数が異なる可能性がある。そこで、この場合は、例えば図8に示すように、前記のRF発振器2及びスイッチ4を各AOTF1−1,1−2に対応して複数(2つ)設け、且つ、制御部3が、各スイッチ4をそれぞれ制御するとともに、共通モジュール1の温度変化と各AOTF1−1,1−2の各温度特性とに応じて各RF発振器2を制御して各RF周波数をそれぞれ調整しうるようにする。
【0108】
ただし、この場合も、各AOTF1−1,1−2の温度と選択波長及びRF周波数との関係が予め明確化されて対応テーブル等として制御部3内に記憶されているものとする。
これにより、図8に示す光波長選択制御装置10では、共通モジュール1を構成する各AOTF1−1,1−2の温度特性が異なる場合でも、それぞれの温度特性に応じて各RF発振器2のRF周波数をそれぞれ各AOTF1−1,1−2での波長選択に最適な値に調整することができ、高精度な波長選択処理を行なうことができる。
【0109】
なお、この場合も、図8中に破線で示すように、共通モジュール1の後段(前段でもよい)には、各RF発振器2の周波数変更中(選択波長切り替え時)に非選択光の透過を防ぐスイッチ5−2を設けてもよい。また、制御部3は、ペルチェ効果を利用して共通モジュール1の温度が所定の温度となるように、共通モジュール1の温度を直接的に制御するようにしてもよい。
【0110】
即ち、この場合、制御部3は、上記の各スイッチ4をそれぞれ制御するとともに、共通モジュール1の温度が所定の温度となるように共通モジュール1の温度制御を行ない、且つ、各AOTF1−1,1−2の各温度特性に応じて各RF発振器2を制御して各RF周波数をそれぞれ調整することになる。
(d−2−2)各AOTF1−1,1−2がそれぞれ異なる温度特性を有し個別のモジュール(個別モジュール)として構成される場合
この場合は、温度制御を行なう場合と温度モニタを行なう場合とで構成が異なる。例えば温度制御を行なう場合は、図9に示すように、制御部3が、各AOTF1−1,1−2の温度特性に応じて個別モジュール1−A,1−Bの温度をそれぞれRF周波数一定となる所定温度に制御すれば、温度特性の異なるAOTF1−1,1−2が個別のモジュール1−A,1−Bとして構成されていても、RF発振器2及びスイッチ4はそれぞれ各AOTF1−1,1−2に共通のままで、各AOTF1−1,1−2での波長選択処理の精度を向上させることができる。
【0111】
一方、温度モニタを行なう場合は、各モジュール1−A,1−Bの温度状態によって最適なRF周波数が異なるので、例えば図10に示すように、前記のRF発振器2及びスイッチ4を各AOTF1−1,1−2に対応して複数(2つ)設け、且つ、制御部3が、各スイッチ4をそれぞれ制御するとともに、各モジュール1−A,1−Bの各温度変化に応じて各RF発振器2を制御して各RF周波数をそれぞれ調整しうるようにする。
【0112】
これにより、図10に示す光波長選択制御装置10では、異なる温度特性のAOTF1−1,1−2が個別のモジュール1−A,1−Bとして構成されていても、各モジュール1−A,1−Bの温度状態に応じて各RF発振器2のRF周波数をそれぞれ各AOTF1−1,1−2での波長選択に最適な値に調整することができ、高精度な波長選択処理を行なうことができる。
【0113】
なお、いずれの場合も、RF発振器2の周波数変更中(選択波長切り替え時)に非選択光の透過を防ぐスイッチ5−2を、モジュール1−Bの後段(モジュール1−Bの前段,モジュール1−Aの前段,各モジュール1−A,1−B間)に設けてもよいし、各モジュール1−A,1−B間とモジュール1−Bの後段とのそれぞれに設けてもよいし、モジュール1−Aの前段,各モジュール1−A,1−B間及びモジュール1−Bの後段のそれぞれに設けてもよい。
【0114】
(d−3)第2実施形態の第1変形例の説明
また、上述の第2実施形態に示す光波長選択制御装置10A(図3参照)は、例えば、図6に示すように、図1に示すものと同様に、複数のAOTF1A−1,1A−2を相互に接続することにより多段構成化してもよい。ただし、この場合も、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有しており、1つのモジュール(共通モジュール)1として構成されている場合を考える。
【0115】
つまり、これらのAOTF1A−1,1A−2では、WDM信号から任意のm波長の光信号を、RF発振器2a−1〜2a−mからのRF信号に応じて抽出するようになっている。
但し、この場合、制御部3A′は、各AOTF1A−1,1A−2での波長選択処理に時間差が生じるので、一部のRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更して選択波長の一部を変更する場合でも、全スイッチ4a−1〜4a−mを、一旦、オフ制御して、全てのRF発振器2a−1〜2a−mからの出力を停止させ、発振周波数の変更が完了した時点で、全スイッチ4a−1〜4a−mをオン制御する。
【0116】
これにより、図6に示す光波長選択制御装置10A′も選択波長の変更時に非選択対象の他の波長の光信号の透過を防いで、波長選択処理を高精度に行なうことができる。
なお、このようにAOTF1A−1,1A−2を多段構成化した場合も、項目(d−2)にて上述したように、各AOTF1−1,1−2が、それぞれ異なる温度特性を有している場合やそれぞれ個別のモジュールとして構成されている場合には、前記と同様に、RF発振器2a−1〜2a−m及びスイッチ4a−1〜4a−mをそれぞれ各AOTF1A−1,1A−2に対応して複数分設けるなどして対応すればよい。
【0117】
(d−4)第2実施形態の第2変形例の説明
次に、図3に示す光波長選択制御装置10Aには、この図3中に破線で示すように、AOTF1Aの出力側に、光スイッチ5Aを設けてもよい。ここで、この光スイッチ5Aは、上述の光スイッチ5−2とほぼ同様に機能するもので、制御部3AがRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更している間、制御部3Aによってオフ制御されて、AOTF1Aの出力を停止するようになっている。
【0118】
但し、この場合、制御部3Aは、一部のRF発振器2a−1〜2a−mの発振周波数を変更する場合でも全てのスイッチ4a−1〜4a−mをオフ制御する。
これにより、上述の光スイッチ5Aを設けた光波長選択制御装置10Aでは、スイッチ4a−1〜4a−mだけを設けた場合に比して、より確実に、非選択対象の波長の光信号が選択波長の光信号として透過することを防止することができる。
【0119】
(d−5)第3実施形態の第1変形例の説明
次に、上述の第3実施形態に示す光波長選択制御装置10B(図5参照)は、例えば、図7に示すように、図1に示すものと同様に、複数のAOTF1A−1,1A−2を相互に接続することにより、多段構成化してもよい。ただし、この場合も、各AOTF1−1,1−2がそれぞれ同一の温度特性を有しており、1つのモジュール(共通モジュール)1として構成されている場合を考える。
【0120】
つまり、これらのAOTF1A−1,1A−2では、WDM信号から任意のN波長の光信号を、RF発振器2b−1〜2b−nからのRF信号に応じて抽出するようになっている。
但し、この場合も、制御部3B′は、各AOTF1A−1,1A−2での波長選択処理に時間差が生じるので、選択波長の一部を変更する場合でも、全スイッチ4b−1〜4b−nをオフ制御して、全てのRF発振器2b−1〜2b−nからのRF信号の出力を、一旦、停止した後、変更後の選択波長に対応するRF信号を同時にAOTF1A−1,1A−2へ供給すべく該当するスイッチ4b−1〜4b−nだけをオン制御する。
【0121】
これにより、図7に示す光波長選択制御装置10B′は、図5に示すものに比して、より確実に、非選択対象の他の波長の光信号が選択対象の波長の光信号として透過することを防ぐことができる。従って、さらに波長選択処理の精度を向上することができる。
なお、この場合も、項目(d−2)にて上述したように、各AOTF1−1,1−2が、それぞれ異なる温度特性を有している場合やそれぞれ個別のモジュールとして構成されている場合には、前記と同様に、RF発振器2a−1〜2a−m及びスイッチ4a−1〜4a−mをそれぞれ各AOTF1A−1,1A−2に対応して複数分設けるなどして対応すればよい。
【0122】
(d−6)第3実施形態の第2変形例の説明
次に、図5に示す光波長選択制御装置10Bには、この図5中に破線で示すように、AOTF1Aの出力側に、光スイッチ5Bを設けてもよい。
ここで、この光スイッチ5Bも、上述の光スイッチ5−2,5Aとほぼ同様に機能するもので、制御部3BがRF発振器2b−1〜2b−nの発振周波数を変更している間、この制御部3Bによって全てのスイッチ4b−1〜4b−nとともにオフ制御されてAOTF1Aの出力を停止するようになっている。
【0123】
これにより、この場合も、スイッチ4b−1〜4b−nだけを設けた場合に比して、より確実に、非選択対象の他の波長の光信号が選択対象の波長の光信号として透過することを防ぐことができる。従って、さらに波長選択処理の精度を向上することができる。
(e)その他
上述の実施形態では、波長選択光フィルタとしてAOTFの場合を例にしたが、入力周波数信号に応じて光信号の波長選択を行なえるものであれば、AOTF以外のものでもよい。
【0124】
また、AOTFの温度変化を無視できるときは、温度モニタによるRF信号の周波数の微調整やAOTFに対する温度制御は行なわなくてもよい。さらに、上述の実施形態では、AOTFの多段構成として、2段構成の場合について詳述したが、勿論、3段以上の多段構成としてもよい。
さらに、上述の多段構成では、いずれの場合も、或る特定波長の光信号を高精度に選択する場合について述べたが、例えば図11に示すように、選択波長と非選択波長(透過波長)との関係を逆にすれば、或る特定波長の光信号を高精度にリジェクト(除去)することが可能になる。ただし、この場合は、非選択光を透過させる必要があるので、前記の光スイッチ5−2を設けることはできない。
【0125】
また、上述のRF発振器2,2a−1〜2a−m,2b−1〜2b−nに、電圧制御型のものを用いた場合には、制御部3,3A,3Bは、RF発振器2,2a−1〜2a−m,2b−1〜2b−nの発振周波数と印加電圧との関係を知っているので、RF信号の周波数をモニタすることにより、スイッチ4,4a−1〜4a−m,4b−1〜4b−n(又は増幅器4′)を制御する必要はなく、印加する電圧変更後の所定時間経過後に、スイッチ4,4a−1〜4a−m,4b−1〜4b−n(又は増幅器4′)を制御すればよい。
【0126】
(f)付記
(付記1)
複数波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意の波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえ、該波長選択光フィルタが相互に接続されて多段構成化されるとともに、
該波長選択光フィルタにおいて抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力する周波数発振器をそなえて構成されたことを特徴とする、光波長選択制御装置。
【0127】
(付記2)
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうる第1停止部が該周波数発振器と該波長選択光フィルタとの間に介装され、且つ、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該第1停止部を制御することを特徴とする、付記1記載の光波長選択制御装置。
【0128】
(付記3)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、
該制御部が、該共通モジュールの温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0129】
(付記4)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、該周波数発振器及び該第1停止部がそれぞれ該複数の波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、
該制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、該共通モジュールの温度変化と各波長選択光フィルタの各温度特性とに応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0130】
(付記5)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ個別モジュールとして構成されるとともに、該周波数発振器及び該第1停止部がそれぞれ該複数の波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、
該制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、上記の各個別モジュールの各温度変化に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0131】
(付記6)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ同一の温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、
該制御部が、該共通モジュールの温度が所定の温度となるように該共通モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0132】
(付記7)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し1つの共通モジュールとして構成されるとともに、該周波数発振器及び該第1停止部がそれぞれ該複数の波長選択光フィルタに対応して複数設けられ、且つ、
該制御部が、上記の各第1停止部をそれぞれ制御するとともに、該共通モジュールの温度が所定の温度となるように該共通モジュールの温度制御を行ない、且つ、該波長選択光フィルタの各温度特性に応じて上記の各周波数発振器を制御して各周波数信号の周波数をそれぞれ調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0133】
(付記8)
該複数の波長選択光フィルタがそれぞれ異なる温度特性を有し個別モジュールとして構成されるとともに、
該制御部が、該個別モジュールの温度がそれぞれ所定の温度となるように該個別モジュールの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0134】
(付記9)
該第1停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
(付記10)
該第1停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、付記2記載の光波長選択制御装置。
【0135】
(付記11)
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を制御する制御部をそなえるとともに、
該波長選択光フィルタの出力側に、該波長選択光フィルタにおいて抽出された光信号の出力を停止しうる第2停止部が設けられ、且つ、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該第2停止部を制御することを特徴とする、付記1記載の光波長選択制御装置。
【0136】
(付記12)
該波長選択光フィルタが、それぞれ、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、付記1〜11のいずれか1項に記載の光波長選択制御装置。
(付記13)
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するm個の周波数発振器と、
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部とをそなえるとともに、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該停止部を制御することを特徴とする、光波長選択制御装置。
【0137】
(付記14)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を、該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
(付記15)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
【0138】
(付記16)
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、付記14又は付記15に記載の光波長選択制御装置。
(付記17)
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
【0139】
(付記18)
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択部の温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
(付記19)
該停止部が、該制御部からのオフ制御により、該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
【0140】
(付記20)
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、付記13記載の光波長選択制御装置。
(付記21)
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意のm(mは1<m≦Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するN個の周波数発振器と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるN個の停止部と、
該波長選択部において選択すべき光信号の波長を変更する際、変更後の波長に対応する周波数信号の出力を透過させるように該当する停止部を制御する一方、変更後の波長に対応する周波数信号以外の周波数信号の出力を停止させるように該当する停止部を制御する制御部とをそなえて構成されていることを特徴とする、光波長選択制御装置。
【0141】
(付記22)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のN波長の光信号を、該N個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
(付記23)
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該N個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【0142】
(付記24)
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、付記22又は付記23に記載の光波長選択制御装置。
(付記25)
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【0143】
(付記26)
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択光フィルタの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
(付記27)
該停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【0144】
(付記28)
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、付記21記載の光波長選択制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態にかかる光波長選択制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態にかかる光波長選択制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第3実施形態にかかる光波長選択制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施形態の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例の構成を示すブロック図である。
【図9】第1実施形態の第2変形例の他の構成を示すブロック図である。
【図10】第1実施形態の第2変形例の他の構成を示すブロック図である。
【図11】光波長選択制御装置の他の構成を示すブロック図である。
【図12】WDM伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図13】光ADMノードの構成例を示すブロック図である。
【図14】AOTFの構成を示すブロック図である。
【図15】光波長選択制御装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0146】
1 共通モジュール
1−A,1−B モジュール
1−1,1−2,50,60a,62A,62a−1〜62a−x,613−1〜613−n,613A AOTF(波長選択光フィルタ)
1A,1A−1,1A−2 AOTF(波長選択部)
1a,1b,1b′,1e,1f,1f′ 光入力ポート
1c,1c′,1d,1d′,1g,1g′,1h,1h′ 光出力ポート
2,2a−1〜2a−m,2b−1〜2b−n RF発振器(周波数発振器)
3,3A,3A′,3B,3B′,52 制御部
4 スイッチ(第1停止部)
4a−1〜4a−m,4b−1〜4b−n スイッチ(停止部)
5−2,5A,5B 光スイッチ(第2停止部)
6A カプラ
10,10A,10B,10A′,10B′,100 光波長選択制御装置
50a 光入力ポート
50b,50c 光出力ポート
51 RF発振器
53 スイッチ
60 光ADM部
61 送信系(挿入系)
61′ 送信系
61a 波長多重信号分配光源
61b−1〜61b−n ゲートスイッチ
61c−1〜61c−n,61c′ 変調部(MOD)
61d,62d,611 合波器
61e,62c,63 光増幅器
62 受信系(分岐系)
62′ 受信系
62B,62b−1〜62b−x 受信部
64 送信光源冗長部
65 受信部冗長部
501,501a,501b 光導波路
502 偏波分離部(PBS;Polarization beam sprit )
503 SAW吸収体
504 くし形電極(IDT)
505 SAWクラッド部(Ti−deep拡散部)
506 SAW吸収体
507 偏波分離部(PBS)
600 ADMノード装置
600A WDM伝送システム
610−1〜610−n 光源(LD)
610A チューナブル光源(T−LD)
612 分波器
613′−1〜613′−n バンドパスフィルタ(BPF)
614 波長安定化回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するm個の周波数発振器と、
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部とをそなえるとともに、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該停止部を制御することを特徴とする、光波長選択制御装置。
【請求項2】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を、該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項3】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項4】
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の光波長選択制御装置。
【請求項5】
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項6】
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択部の温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項7】
該停止部が、該制御部からのオフ制御により、該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項8】
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項9】
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意のm(mは1<m≦Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するN個の周波数発振器と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるN個の停止部と、
該波長選択部において選択すべき光信号の波長を変更する際、変更後の波長に対応する周波数信号の出力を透過させるように該当する停止部を制御する一方、変更後の波長に対応する周波数信号以外の周波数信号の出力を停止させるように該当する停止部を制御する制御部とをそなえて構成されていることを特徴とする、光波長選択制御装置。
【請求項10】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のN波長の光信号を、該N個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項11】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該N個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項12】
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、請求項10又は請求項11に記載の光波長選択制御装置。
【請求項13】
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項14】
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択光フィルタの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項15】
該停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項16】
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項1】
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から最大でm(mは1<m<Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するm個の周波数発振器と、
該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数をそれぞれ制御しうる制御部と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるm個の停止部とをそなえるとともに、
該制御部が、該周波数発振器から出力される該周波数信号の周波数を変更している間、当該周波数信号の出力を停止させるように該停止部を制御することを特徴とする、光波長選択制御装置。
【請求項2】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を、該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項3】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該m個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項4】
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の光波長選択制御装置。
【請求項5】
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項6】
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択部の温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項7】
該停止部が、該制御部からのオフ制御により、該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項8】
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、請求項1記載の光波長選択制御装置。
【請求項9】
N(Nは2以上の自然数)波長の光信号が波長多重された波長多重光信号から任意のm(mは1<m≦Nを満足する自然数)波長の光信号を波長選択用の周波数信号に応じて抽出する波長選択部と、
該波長選択部において抽出すべき光信号の波長に対応した周波数をもった信号を該波長選択用の周波数信号として出力するN個の周波数発振器と、
該周波数発振器からの該周波数信号の出力をそれぞれ停止しうるN個の停止部と、
該波長選択部において選択すべき光信号の波長を変更する際、変更後の波長に対応する周波数信号の出力を透過させるように該当する停止部を制御する一方、変更後の波長に対応する周波数信号以外の周波数信号の出力を停止させるように該当する停止部を制御する制御部とをそなえて構成されていることを特徴とする、光波長選択制御装置。
【請求項10】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のN波長の光信号を、該N個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタとして構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項11】
該波長選択部が、該波長多重光信号から任意のm波長の光信号を該N個の周波数発振器のうちのm個の周波数発振器からの該周波数信号に応じて抽出する波長選択光フィルタを複数そなえるとともに、
該波長選択光フィルタが、相互に接続されて多段構成化されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項12】
該波長選択光フィルタが、音響光学チューナブルフィルタにより構成されていることを特徴とする、請求項10又は請求項11に記載の光波長選択制御装置。
【請求項13】
該制御部が、該波長選択部の温度変化に応じて該周波数発振器を制御して該周波数信号の周波数を調整しうるように構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項14】
該制御部が、該波長選択部の温度が所定の温度となるように該波長選択光フィルタの温度制御を行なうように構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項15】
該停止部が、該制御部からのオフ制御により該周波数発振器からの該周波数信号の出力を停止しうるスイッチとして構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【請求項16】
該停止部が、該周波数発振器からの該周波数信号の増幅率を該制御部によって調整されることにより該周波数信号の出力を停止しうる増幅器として構成されていることを特徴とする、請求項9記載の光波長選択制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−178507(P2006−178507A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85813(P2006−85813)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【分割の表示】特願平10−370475の分割
【原出願日】平成10年12月25日(1998.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【分割の表示】特願平10−370475の分割
【原出願日】平成10年12月25日(1998.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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