説明

光源と加圧を利用した紙幣透かし像判別センサー

【課題】 多角面からの光源照射による紙面の透過及び反射の情報や加圧よって得られる情報により、紙幣に施されている透かし像を採取及び演算処理することで、偽造紙幣識別を高確率で可能とする。
【解決手段】 紙幣に施されている透かし像に対して、単光源もしくは単波長や複数波長の複数光源を照射し得られる透過光もしくは反射光の紙幣画像情報と、加圧により圧力センサーから得られる加圧情報を総合判断し既存の識別機構に追加することで、偽造紙幣識別の更なる向上に貢献する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造紙幣判別原理に於ける光源及び圧力による紙幣に施されている透かし像識別機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般市場に流通している紙幣には透かし像を始め様々な印刷方法を用いた偽造防止加工が施されている。
【0003】
近年パーソナルコンピューターを始め画像スキャン機器や家庭用印刷機械の目覚しい性能と機能との向上及びその急速な普及により紙幣偽造行為が容易にしてかつ大量に生産可能となっている。
【0004】
技術革新が進む現在に至っても、様々な紙幣使用箇所での偽造紙幣行使事件は絶えない。行使場所として主に、スーパー等のレジ清算所などの現金引換所え、及びタバコ、飲料水、切符販売に於ける自動販売機による自動清算所が挙げられる。
【0005】
偽造紙幣を判別するに当たり、即時にかつ容易にできるのが透かし像の識別である。しかしレジ清算所など人対人による現金引換えにおいて、一般に行われている天井光源を用いた透かし像判別は確実ではあるにも拘らず、その業務中に於ける確認行為の非効率性や、お客様に対する不信感や不快感を印象付けてしまう行為である性格上、万事における行使は難しいのが現状である。
【0006】
さらに、自動販売機に於ける機械判別機構に於いても、偽造紙幣行使場としての使用が絶えない現状から判断して完成度の高い状況とは判断しがたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【0008】
解決しようとする重要な課題は、健全な紙幣流通の改善策を講じるに当たり、紙幣印刷技術に於ける透かし像構成の高技術性とその識別の確実性は、偽造紙幣製造及び行使防止の更なる向上に貢献する可能性を充分残している点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、紙幣に施された透かし像をレジ作業中の直視による容易な判別や確認行為の与える不快感を解消し、さらに機械的自動判別に於ける性能向上を可能とするため、紙幣面に於ける透かし像を含めた混在する情報に対し、単光源もしくは複数の多角光源より得られる光情報と加圧により得られる圧力情報とを、相互補足しつつ既存の技術と合わせて総合的に判断することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光源と加圧による透かし像識別機構は、レジ清算所等に於ける現金取引の作業と並行しつつ視角によるその識別を可能とする利点があり、さらに目線を極端に変えることなく確認できることから紙幣使用者への違和感や不快感を大幅に軽減できる効果がある。
【0011】
本発明は、自動清算機械による透かし像の機械的自動判別に於いて、従来得られる情報に対して、透かし像印刷部に於ける光の透過及び反射像のデータや、加圧偽造印刷に対応する形成データを追加補足することで更なる紙幣判別機能の向上効果に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
省スペースにしてかつ迅速容易に、紙幣に施された透かし像の識別目的を、任意の部品点数で基本的構造の代表例を記した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の1実施例の断面図であり、1〜7は図2と同様である。
【0014】
紙幣通過ラインに於いて両面を挟む状態で紙面の加圧データを得る事により加圧による外傷や偽造加工された造影物を識別する。
【0015】
紙幣の片面へ光源から光照射を行い、同受光面からの反射光による折り目筋や外傷等の紙面データを採取する。
【0016】
紙幣の片面へ光源から光照射を行い、その反対面より透かし像を含めた様々な透過像データを採取する。
【0017】
この透過光により得られた採取データから、加圧データ及び反射光データを差し引くことにより、紙幣面上に混在する様々なデータの中から求める透かし像のより鮮明なデータを浮かび上がらせることを可能にする。必要に応じて、光源の紙幣に対する照射角度及び受光角度を考慮し、最大効率で最適の情報を採取可能な設定を施す。本発明の主体は紙幣紙面の情報を採取する構造にあるので、データ処理に関する演算子及び情報処理等に関する説明は省略する。
【0018】
図2は、図1の紙幣通過ラインに曲線を加えた場合である。さらにその曲線部に光源へ棒状もしくは筒状光源拡散樹脂からなる光拡散媒体を施した光透過データの採取部を装備し、判別機構の省スペース化を図る事を可能にした。
【0019】
さらに使用部品を極力削減し、下面透過光源から基本構成されるレジ清算作業向け視角確認構造の構築も可能である。紙幣下部より光源を得るため、目線を下ろした状態で紙幣上面に映し出される透かし像を確認でき、レジ清算作業の中断や、あからさまな確認行為による不快感も解消される。さらに、天井照明による透かし像確認作業への干渉を防止する目的でカバー等の設置も考慮し、紙幣脱落防止の固定部品を装備、センサーにより検査時のみに対応する自動電源装置を施すことにより、その汎用性と利便性を向上させる。
【0020】
この単体構造は極めて単純なため、単体による製品を既存のレジ清算機械へ単独装備が可能であり、その他の現金取引場所でも使用範囲を広げることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
現在様々な技術革新により、多種色にして高輝度、多角的照射範囲の選定を可能としたLED等により様々な光源、ELバックライト等の普及や圧力センサーの精度向上及び形状の多様化、省スペース化の可能性が広がる現在において、この判別機構を既存のシステムへ追加採用するに当たり、既存の汎用されている自動清算機械やレジ採算機械等の大幅な規格変更を伴うことなく、その偽造紙幣判別精度向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】透かし像判別センサーの実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図2】透かし像判別センサーの実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0023】
1 紙幣通過ライン
2 加圧部
3 圧力センサー
4 透過光光源
5 透過データ採取部
6 反射光光源
7 反射データ採取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単光源もしくは単波長や複数波長で構成される複数光源を、紙幣の片面へ照射した光により得られる透過光情報及び反射光情報と、紙幣面に加圧することにより得られる圧力情報を総合的に処理することで、紙幣に施された透かし像印刷の判別に於ける既存技術を更に向上させ、更には、より簡素化した構造から成る単体をレジ清算作業等の現金取引における迅速にしてかつ容易な確認作業を可能とし、偽造紙幣行使の防止と健全な紙幣流通の改善を目的とする、多角面からの光源照射と圧力センサーから構成される紙幣に施された透かし像印刷識別センサー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−195929(P2006−195929A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29698(P2005−29698)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(504223743)
【Fターム(参考)】