説明

光源装置、光源ユニットおよび顕微鏡システム

【課題】複数の励起波長を用いて標本の同時観察が可能であるとともに、励起波長に対する拡張性に優れた光源装置、光源ユニットおよび顕微鏡システムを提供すること。
【解決手段】互いに異なる波長の光をそれぞれ出射する光源装置20,30,40を有し、標本Sを観察する顕微鏡1aと接続して、顕微鏡1aに異なる波長の光を供給する光源ユニット1bであって、光源装置20,30,40は、所定波長の光を発光する光源と、光源の光軸と交差し、該光軸に対して傾斜して設けられ、所定波長の光を反射または透過するダイクロイックミラーと、顕微鏡および/または他の光源装置と連結する連結手段と、を備え、各光源装置20,30,40は、出射光の波長の大小関係に応じた順で連結され、連結状態において各出射光の経路の一部が一致する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、蛍光色素にて特異的に標本を染色して観察する顕微鏡に用いられる光源装置、光源ユニットおよび顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、蛍光色素にて特異的に標本を染色して観察する顕微鏡において、光源には高輝度の高圧水銀ランプ等が用いられている。また、近年、これに代わる光源として、高輝度LED(Light Emitting Diode)が開発され、長寿命化、高速応答性など、高圧水銀ランプ等より優れた特性を有し、顕微鏡の光源として使用され始めている。
【0003】
一方、蛍光色素は、観察部位の区分けなどを目的として紫外から赤外に至るまでの広帯域で、複数種用いられる。複数種の励起波長を用いる際、上述した高輝度LEDを使用する場合には、使用する励起波長に応じた光を発するLEDを用意する必要がある。
【0004】
ここで、LEDを用いた光源装置として、LED光源とダイクロイックミラーとで構成されるフィルターキューブが回転可能なプレート上に複数設けられた顕微鏡が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。フィルターキューブは、使用する励起波長に応じて複数配置することができ、プレートを回転させて所望の励起波長のLEDを選択して蛍光観察を可能にする。
【0005】
ところで、顕微鏡での観察において、観察部位が複数存在する場合、複数の蛍光色素を観察することとなる。この場合には、複数の蛍光色素を同時に観察すれば、効率よく観察を行うことができる。しかしながら、特許文献1に示す顕微鏡では、プレートを回転させて所望の励起波長のフィルターキューブを選択する構成であるため、複数の蛍光色素を同時に観察することができなかった。
【0006】
これに対して、複数の蛍光色素を同時に観察可能な技術として、波長選択フィルターを用いて、複数のLEDからの光を合成する波長合成器を有する顕微鏡が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。これにより、複数の励起波長を標本に照射して、異なる蛍光色素の光を同時に観察することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7502164号明細書
【特許文献2】特開2005−345716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2が開示する顕微鏡は、波長合成器に取り付け可能な数の励起波長を合成することしかできない。このため、合成する波長の上限が限られてしまい、励起波長に対する拡張性が低いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、複数の励起波長を用いて標本の同時観察が可能であるとともに、励起波長に対する拡張性に優れた光源装置、光源ユニットおよび顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる光源ユニットは、互いに異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源装置を有し、標本を観察する顕微鏡と接続して、該顕微鏡に前記異なる波長の光を供給する光源ユニットであって、前記光源装置は、所定波長の光を発光する光源と、前記光源の光軸と交差し、該光軸に対して傾斜して設けられ、所定波長の光を反射または透過するダイクロイックミラーと、前記顕微鏡および/または他の光源装置と連結する連結手段と、を備え、前記複数の光源装置は、出射光の波長の大小関係に応じた順で連結され、連結状態において各出射光の経路の一部が一致することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記光源装置は、前記複数の光源装置のうちの他の光源装置と間違った順序で連結されるのを防止する誤装着防止手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記誤装着防止手段は、前記他の光源装置と連結する側面で突出するピンと、前記ピンに対向する側面に設けられ、前記他の光源装置との連結順が正しい場合のみ当該他の光源装置が有するピンを収容可能なピン溝と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記誤装着防止手段は、各光源装置の表面に記載され、前記出射光の波長の大小関係に対応する数字であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記複数の光源装置は、前記顕微鏡に近接する側から波長の小さい順で接続され、前記ダイクロイックミラーは、所定長以下の光を反射するとともに、前記所定長よりも長い波長の光を透過することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記複数の光源装置は、前記顕微鏡に近接する側から波長の大きい順で接続され、前記ダイクロイックミラーは、所定長以下の光を透過するとともに、前記所定長よりも長い波長の光を反射することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記連結手段は、前記光軸に垂直な方向であって前記ダイクロイックミラーと交差する軸に沿って突出するとともに、該軸を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部と、前記軸に沿って前記凸部と異なる側に設けられ、該軸を中心軸とする円筒状をなす凹部と、を有し、前記凸部は、他の光源装置の凹部と嵌合することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる光源ユニットは、上記の発明において、前記連結手段は、前記光軸に沿って突出するとともに、該光軸を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部と、前記光軸に垂直な方向であって前記ダイクロイックミラーと交差する軸に沿って設けられ、該軸を中心軸とする円筒状をなす凹部と、を有し、前記凸部は、他の光源装置の凹部と嵌合することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明にかかる光源ユニットと、前記光源ユニットと接続して標本を観察する顕微鏡と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記光源ユニットは、前記顕微鏡と電気的に接続可能な複数の光源側接続部を有し、前記顕微鏡は、前記光源側接続部に対応して設けられる顕微鏡側接続部を複数有し、複数の前記顕微鏡側接続部のうち、一対の顕微鏡側接続部が短絡していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記顕微鏡は、複数の蛍光色素にて特異的に染色されている標本を観察する蛍光顕微鏡であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる光源装置は、標本を観察する顕微鏡に接続され、該顕微鏡に所定波長の光を供給し、少なくとも前記顕微鏡と連結可能な光源装置であって、所定波長の光を発光する光源と、前記光源の光軸と交差し、該光軸に対して傾斜して設けられ、所定波長の光を反射または透過するダイクロイックミラーと、前記ダイクロイックミラーの光の透過または反射による光の進行経路に沿って前記顕微鏡および/または他の光源装置と連結する連結手段と、前記連結手段において前記顕微鏡または他の光源装置と間違って連結されるのを防止する誤装着防止手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる光源装置、光源ユニットおよび顕微鏡システムは、顕微鏡に対して1または複数の光源を接続して1または複数の波長の光を供給するとともに、使用する波長の光の数に応じた光源を顕微鏡に接続するようにしたので、複数の蛍光色素の観察が可能であるとともに、励起波長に対して拡張性に優れた構成を実現するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの全体構成を模式的に示す分解図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの顕微鏡の構成を模式的に示す側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの光源装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの光源装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの光源装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの光源装置の、各励起波長に対するLEDの出力およびダイクロイックミラーの透過率を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの要部の構成を説明する側面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの要部の構成を説明する外観図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの光源装置の、各励起波長に対するLEDの出力およびダイクロイックミラーの透過率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1にかかる顕微鏡システムについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1にかかる顕微鏡システムの全体構成を示す模式図である。図2は、本実施の形態1にかかる顕微鏡システムの全体構成を模式的に示す分解図である。
【0026】
図1,2に示すように、顕微鏡システム1は、蛍光色素にて特異的に標本Sを染色して観察する顕微鏡1aと、顕微鏡1aに入射する光の光源であって、1または複数の励起波長を含む光を出射する光源ユニット1bと、光源ユニット1bに電源を供給する光源用の電源ユニット1cとで構成される。
【0027】
図3は、顕微鏡1aの構成を模式的に示す側面図である。顕微鏡1aは、観察対象の標本Sが載置されるステージ10と、側面視略コの字状を有し、ステージ10を支持するとともに、標本Sを拡大観察するための対物レンズ11を保持する顕微鏡本体12と、顕微鏡本体12の上部後方(図1の右方)に配設され、光源ユニット1bから1または複数の励起波長の光を含む照射光が入射される光源接続部13と、光源接続部13から入射された光を標本Sに照射する落射投光部14と、顕微鏡本体12の上部に載置された鏡筒15と、鏡筒15に取り付けられ、標本Sの標本像を目視観察するための双眼部16と、光源接続部13の下方に設けられて光源接続部13と同一方向に刳り抜かれ、内部で電力線の他方の端部と接続する顕微鏡側接続部としての凹コネクタ群18と、光源接続部13と凹コネクタ群18と間に設けられて光源接続部13と同一方向に刳り抜かれたピン溝19と、を備える。
【0028】
光源接続部13は、中空円筒状をなし、光源ユニット1bと接続する。また、光源接続部13は、顕微鏡本体12の光源接続部13の近傍に固定されたメネジ13aと、先端が略錘状の棒状をなし、メネジ13aに螺合可能であり、略錘状をなす先端で光源ユニット1bとの接続部分を固定する固定ネジ13bを有する。光源接続部13に入射した光は、連通孔17を通過して落射投光部14に進入する。
【0029】
落射投光部14は、リレーレンズである瞳投影レンズ14aと、対物レンズ11の上方に設けられ、瞳投影レンズ14aを介して入射した励起光を反射するとともに、標本Sから反射した蛍光を透過するダイクロイックミラー14bと、ダイクロイックミラー14bを保持し、直動ガイド14cによって紙面に垂直な方向に移動可能な波長選択フィルター14dと、を有する。また、ダイクロイックミラー14bは、観察対象の蛍光に応じて紙面に垂直な方向に複数並設される。瞳投影レンズ14aおよびダイクロイックミラー14bのそれぞれの中心は、光源接続部13の円筒高さ方向の中心軸A1を通過するように配置されている。顕微鏡1aは、観察する蛍光波長に応じて、直動ガイド14cを駆動して波長選択フィルター14dを移動させることによって、複数の波長の蛍光をそれぞれ観察することができる。
【0030】
鏡筒15は、入射した観察光の光路を切り換えて双眼部16へと導く。標本Sの標本像は、鏡筒15の内部で双眼部16内に導入され、接眼レンズを介して検鏡者に目視観察される。あるいは、鏡筒15に接続されるテレビカメラ等によって撮像される。
【0031】
凹コネクタ群18は、光源接続部13と同一方向に刳り抜かれた複数の凹コネクタ18a〜18eを有する。ここで、凹コネクタ18dと凹コネクタ18eとは、短絡されている。また、ピン溝19は、光源接続部13の形成面であって、光源接続部13と凹コネクタ群18との間に、中心軸A1と同一方向に刳り抜かれて形成される。
【0032】
光源ユニット1bは、1または複数(本実施の形態1では3つ)の光源装置20,30,40から構成される。光源装置20,30,40は、異なる励起波長の光を出射するLED光源21,31,41をそれぞれ有する。光源装置20,30,40は、顕微鏡1aと接続する側から光源装置20、光源装置30、光源装置40の順で連結される。このとき、LED光源21,31,41がそれぞれ出射する光の波長(励起波長)は、LED光源21、LED光源31、LED光源41の順で大きくなる。また、顕微鏡1aから最も離れた光源装置40には、遮光部材からなるキャップ50が取り付けられ、外部からの光の進入を防止している。
【0033】
図4は、光源装置20の構成を模式的に示す側面図である。図4に示す光源装置20は、例えば波長360nmの紫外光を発光するLED光源21と、LED光源21の光軸である軸A2と交差し、軸A2に対して傾斜して設けられ、LED光源21から出射されてコリメートレンズ22によって調整された軸A2に沿って進入する光を反射して、光路を軸A2に垂直な軸A3に切り替えるとともに、波長が360nmよりも長い波長の光を透過するダイクロイックミラー23と、軸A3に沿って突出するとともに、軸A3を中心軸とする中空円筒状をなす凸部24(連結手段)と、軸A3に沿って凸部24と異なる側に設けられ、軸A3を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凹部25(連結手段)と、凸部24の下方に設けられて凸部24と同一方向に突出し、内部で電力線の一方の端部と接続する光源側接続部としての凸コネクタ群26と、凹部25の下方に設けられて凹部25と同一方向に刳り抜かれ、内部で電力線の他方の端部と接続する凹コネクタ群27と、凸部24と凸コネクタ群26と間に設けられて凸部24と同一方向に突出するピン28(誤装着防止手段)と、凹部25と凹コネクタ群27と間に設けられて凹部25と同一方向に刳り抜かれたピン溝29(誤装着防止手段)と、を有する。なお、凸部24、凸コネクタ群26およびピン28は、同じ側面に設けられる。また、凹部25、凹コネクタ群27およびピン溝29は、軸A2に沿って設けられる。ここで、軸A2,A3は、ダイクロイックミラー23の凸部24側の表面における中心を通過している。
【0034】
凸部24は、外周側面において軸A2に略垂直な方向に切り欠かれた切欠き部24aを有する。切欠き部24aは、軸A2に垂直な方向に対して外部側から内部側に向けて縮径している。また、凹部25は、中空円筒状の軸を凹部25の内部空間に向けて固定したメネジ25aと、先端が略錘状の棒状をなし、メネジ25aに螺合可能であり、略錘状をなす先端で他の光源装置の凸部との接続部分を固定する固定ネジ25bとを有する。ここで、軸A3方向において、凸部24の基端部(端面S1)から切欠き部24aの最深部の位置までの距離d1は、凹部25の基端部(端面S2)から固定ネジ25bの長手方向の中心軸までの距離d2より若干小さくなっているが、同等程度でもよく、距離d2と距離d1との差は、大きくても切欠き部24aの開口径より小さい。
【0035】
凸コネクタ群26は、軸A3と同一方向に突出した複数の凸コネクタ26a〜26eを有する。凸コネクタ26a〜26eは、それぞれ電力線の一方の端部に接続されている。また、凹コネクタ群27は、凹部25と同一方向に刳り抜かれた複数の凹コネクタ27a〜27eを有する。凹コネクタ27a〜27eは、それぞれ電力線の他方の端部に接続されている。ここで、LED光源21は、凸コネクタ26aと凹コネクタ27aとを繋ぐ電力線、および凸コネクタ26dと凹コネクタ27dとを繋ぐ電力線にそれぞれ接続されている。なお、電力線は、軸A3と平行に延びている。
【0036】
ピン28は、凸部24と同じ側の面から軸A3に沿って突出して形成される。ピン溝29は、凹部25の同じ側の面から軸A3に沿って刳り抜かれて形成されている。また、ピン溝29の深さは、上述したピン溝19と深さと同一である。
【0037】
図5は、光源装置30の構成を模式的に示す側面図である。図5に示す光源装置30は、例えば波長470nmの青色光を発光するLED光源31と、LED光源31の光軸である軸A4と交差し、軸A4に対して傾斜して設けられ、LED光源31から出射されてコリメートレンズ32によって調整された軸A4に沿って進入する光を反射して、光路を軸A4に垂直な軸A5に切り替えるとともに、波長が470nmよりも長い波長の光を透過するダイクロイックミラー33と、軸A5に沿って突出するとともに、軸A5を中心軸とする中空円筒状をなす凸部34(連結手段)と、軸A5に沿って凸部34と異なる側に設けられ、軸A5を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凹部35(連結手段)と、凸部34の下方に設けられて凸部34と同一方向に突出し、内部で電力線の一方の端部と接続する凸コネクタ群36と、凹部35の下方に設けられて凹部35と同一方向に刳り抜かれ、内部で電力線の他方の端部と接続する凹コネクタ群37と、凸部34と凸コネクタ群36と間に設けられて凸部34と同一方向に突出するピン38(誤装着防止手段)と、凹部35と凹コネクタ群37と間に設けられて凹部35と同一方向に刳り抜かれたピン溝39(誤装着防止手段)と、を有する。なお、軸A4,A5は、ダイクロイックミラー33の凸部34側の表面における中心を通過している。
【0038】
凸部34は、外周側面において軸A4に略垂直な方向に切り欠かれた切欠き部34aを有する。切欠き部34aは、切欠き部24aと同様に、軸A4に垂直な方向に対して外部側から内部側に向けて縮径している。また、凹部35は、中空円筒状の軸を凹部35の内部空間に向けて固定したメネジ35aと、先端が略錘状の棒状をなし、メネジ35aに螺合可能であり、略錘状をなす先端で他の光源装置の凸部との接続部分を固定する固定ネジ35bとを有する。上述した切欠き部34aは、上述した距離d1離れた位置に設けられる。また、固定ネジ35bは、上述した距離d2離れた位置に固定ネジ35bの中心軸が位置するように設けられる。
【0039】
凸コネクタ群36は、上述した凸コネクタ群26と同様、軸A5と同一方向に突出した複数の凸コネクタ36a〜36eを有する。凸コネクタ36a〜36eは、それぞれ電力線の一方の端部に接続されている。また、凹コネクタ群37は、上述した凹コネクタ群27と同様、凹部35と同一方向に刳り抜かれた複数の凹コネクタ37a〜37eを有する。凹コネクタ37a〜37eは、それぞれ電力線の他方の端部に接続されている。ここで、LED光源31は、凸コネクタ36bと凹コネクタ37bとを繋ぐ電力線、および凸コネクタ36dと凹コネクタ37dとを繋ぐ電力線にそれぞれ接続されている。なお、電力線は、軸A5と平行に延びている。
【0040】
ピン38は、凸部34と同じ側の面から軸A5に沿って突出して形成される。また、ピン38は、上述したピン28と同一形状をなして突出している。ピン溝39は、凹部35の同じ側の面から軸A5に沿って刳り抜かれて形成される。また、ピン溝39の深さは、上述したピン溝19と深さと同一である。
【0041】
図6は、光源装置40の構成を模式的に示す側面図である。図6に示す光源装置40は、例えば波長540nmの緑色光を発光するLED光源41と、LED光源41の光軸である軸A6と交差し、軸A6に対して傾斜して設けられ、LED光源41から出射されてコリメートレンズ42によって調整された軸A6に沿って進入する光を反射して、光路を軸A6に垂直な軸A7に切り替えるとともに、波長が540nmよりも長い波長の光を透過するダイクロイックミラー43と、軸A7に沿って突出するとともに、軸A7を中心軸とする中空円筒状をなす凸部44(連結手段)と、軸A7に沿って凸部44と異なる側に設けられ、軸A7を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凹部45(連結手段)と、凸部44の下方に設けられて凸部44と同一方向に突出し、内部で電力線の一方の端部と接続する凸コネクタ群46と、凹部45の下方に設けられて凹部45と同一方向に刳り抜かれ、内部で電力線の他方の端部と接続する凹コネクタ群47と、凸部44と凸コネクタ群46と間に設けられて凸部44と同一方向に突出するピン48(誤装着防止手段)と、凹部45と凹コネクタ群47と間に設けられて凹部45と同一方向に刳り抜かれたピン溝49(誤装着防止手段)と、を有する。なお、軸A6,A7は、ダイクロイックミラー43の凸部44側の表面における中心を通過している。
【0042】
凸部44は、外周側面において軸A6に略垂直な方向に切り欠かれた切欠き部44aを有する。切欠き部44aは、切欠き部24aと同様に、軸A4に垂直な方向に対して外部側から内部側に向けて縮径している。また、凹部45は、中空円筒状の軸を凹部45の内部空間に向けて固定したメネジ45aと、先端が略錘状の棒状をなし、メネジ45aに螺合可能であり、略錘状をなす先端で他の光源装置の凸部との接続部分を固定する固定ネジ45bとを有する。上述した切欠き部44aは、上述した距離d1離れた位置に設けられる。また、固定ネジ45bは、上述した距離d2離れた位置に固定ネジ45bの中心軸が位置するように設けられる。
【0043】
凸コネクタ群46は、上述した凸コネクタ群26と同様、軸A7と同一方向に突出した複数の凸コネクタ46a〜46eを有する。凸コネクタ46a〜46eは、それぞれ電力線の一方の端部に接続されている。また、凹コネクタ群47は、上述した凹コネクタ群27と同様、凹部45と同一方向に刳り抜かれた複数の凹コネクタ47a〜47eを有する。凹コネクタ47a〜47eは、それぞれ電力線の他方の端部に接続されている。ここで、LED光源41は、凸コネクタ46cと凹コネクタ47cとを繋ぐ電力線、および凸コネクタ46dと凹コネクタ47dとを繋ぐ電力線にそれぞれ接続されている。なお、電力線は、軸A7と平行に延びている。
【0044】
ピン48は、凸部44と同じ側の面から軸A7に沿って突出して形成される。また、ピン48は、上述したピン28と同一形状をなして突出している。ピン溝49は、凹部45の同じ側の面から軸A7に沿って刳り抜かれて形成される。また、ピン溝49の深さは、上述したピン溝19と深さと同一である。
【0045】
ここで、各光源装置20〜40の凸部の突出方向に垂直な方向の断面における外径および凹部の中空円筒における内径は、切欠き部および固定ネジによる突出部分を除き、略同一である。
【0046】
次に、上述した顕微鏡1aのピン溝19および光源装置20,30,40のピン28,38,48およびピン溝29,39,49の配設位置(距離)の関係について説明する。ここで、顕微鏡1aにおいて、ピン溝19の上端と、中心軸A1(光源接続部13の中心軸)との距離をD0とする。また、ピン溝19の下端と、中心軸A1との距離をD1とする。
【0047】
また、光源装置20において、図4に示すように、ピン28の下端と、軸A3(凸部24の中心軸)との距離をD2とする。また、ピン溝29の上端と、軸A3(凹部25の中心軸)との距離をD3とし、ピン溝29の下端と、軸A3との距離をD1とする。
【0048】
光源装置30において、同様に、図5に示すように、ピン38の下端と、軸A5(凸部34の中心軸)との距離をD4とする。また、ピン溝39の上端と、軸A5(凹部35の中心軸)との距離をD5とし、ピン溝39の下端と、軸A5との距離をD1とする。
【0049】
光源装置40において、同様に、図6に示すように、ピン48の下端と、軸A7(凸部34の中心軸)との距離をD6とする。また、ピン溝49の上端と、軸A7(凹部45の中心軸)との距離をD7とし、ピン溝49の下端と、軸A7との距離をD1とする。
【0050】
上述した距離D0〜D7の大きさの関係は、D0<D3≦D2<D5≦D4<D7≦D6<D1である。なお、距離D3および距離D4の差(D4−D3)は、ピンの軸A2方向の長さ以上あればよい。同様に、距離D5および距離D6の差(D6−D5)は、ピンの軸A4方向の長さ以上あればよい。上述した関係により、各ピン溝19,29,39,49は、それぞれ正しい連結順である光源装置のピンのみを収容する。また、ピン溝19は、本実施の形態1にかかるピン28,38,48のいずれも収容することが可能である。
【0051】
以上の構成を有する光源装置20,30,40を接続する際、光源装置30の凸部34が光源装置20の凹部25と嵌合し、光源装置40の凸部44が光源装置30の凹部35と嵌合する。このとき、凸部34における切欠き部34aは、凹部25の固定ネジ25bによって係止される。また、凸部44における切欠き部44aは、凹部35の固定ネジ35bによって係止される。接続された状態においては、各光源装置20〜40の軸A3,A5,A7が直線状をなし、各LED光源21,31,41から出射された出射光の経路が一致する。
【0052】
この際、光源装置30のピン38は、光源装置20のピン溝29内に収容され、光源装置40のピン48は、光源装置30のピン溝39内に収容される。なお、光源装置30を用いない場合は、光源装置20の凹部25に対して光源装置40の凸部44が接続される。
【0053】
上述した光源装置の接続順により、各LED光源から出射された光に対してダイクロイックミラーによって、所定波長の反射および透過を行い、顕微鏡1aに合成された光を進入させることができる。このとき、上述したピンおよびピン溝は、誤装着を防止する手段として機能するほか、円筒状の凸部と凹部とにおける各光源装置の軸A3,A5,A7まわりの回転を防止する手段として機能する。なお、溝を十字やドーナツ状(円環状)にすることで、回転方向の自由度を上げることもできる。
【0054】
図7は、LED光源21,31,41からそれぞれ出射された各励起波長に対する光の出力およびダイクロイックミラー23,33の透過率(%)を示すグラフである。LED光源21,31,41からそれぞれ出射された光の出力において、曲線La1はLED光源21から出射された光の出力を示し、曲線La2はLED光源31から出射された光の出力を示し、曲線La3はLED光源41から出射された光の出力を示している。また、ダイクロイックミラー23,33の透過率において、各波長に対する曲線Lb1は各波長に対するダイクロイックミラー23の透過率を示し、曲線Lb2は各波長に対するダイクロイックミラー33の透過率を示している。
【0055】
図7に示すグラフからも分かるように、ダイクロイックミラー23は、LED光源21から出射された光を反射し、LED光源31,41から出射された光を透過する。また、ダイクロイックミラー33は、LED光源31から出射された光を反射し、LED光源41から出射された光を透過する。これにより、上述した各光源装置の接続順によって、各LED光源21,31,41から出射された光を選択的に反射および透過して合成し、この合成された光を顕微鏡1aに進入させることができる。
【0056】
電源ユニット1cは、電源を供給する電源供給部60と、電源供給部60とコネクタによって接続され、複数の凸コネクタ61a〜61dによって光源ユニット1bと接続する凸コネクタ群61とを有する。凸コネクタ群61は、光源ユニット1bの最後段に接続される光源装置の凹コネクタ群(本実施の形態1では、凹コネクタ群47)に接続して、光源ユニット1bへの電源の供給を行う。
【0057】
このとき、凸コネクタ群61において、凸コネクタ61aは凹コネクタ47aと接続し、凸コネクタ61bは凹コネクタ47bと接続し、凸コネクタ61cは凹コネクタ47cと接続し、凸コネクタ61dは凹コネクタ47eと接続する。また、光源ユニット1bは、光源ユニット1bの最前段の凸コネクタ群(本実施の形態1では、凸コネクタ群26)と顕微鏡1aの凹コネクタ群18とが接続した際に、短絡されている凹コネクタ18dおよび凹コネクタ18eを介して電源ユニット1cと電気的に接続される。
【0058】
これにより、光源ユニット1bにおいて、顕微鏡1aに未接続の状態で高輝度のLED光源が点灯することがないため、検鏡者が高輝度なLED光源の発光面を目視することがなく、安全性に優れた光源ユニットが提供できる。
【0059】
上述した光源ユニット1bを顕微鏡1aに接続する(凸部24と光源接続部13とが嵌合する)と、光源ユニット1bにおいて直線状をなす合成光の光軸が光源接続部13の中心軸A1と一致する。これにより、所定波長を含む光源ユニット1bからの合成光を、瞳投影レンズ14aを介してダイクロイックミラー14bに入射させ、標本Sに照射させることができる。
【0060】
上述した本実施の形態1によれば、顕微鏡に対して複数の光源を接続して合成した光を供給するとともに、使用する光源の数に応じて顕微鏡に接続するようにしたので、複数の蛍光色素の同時観察が可能であるとともに、励起波長に対する拡張性に優れた顕微鏡システムを提供することができる。
【0061】
また、従来の顕微鏡システムは、使用する励起波長が少ない場合、例えば励起波長が1つの場合であっても波長合成器を用いるため、不必要な波長合成器分、装置が大型化してしまうという問題があった。これに対し、本実施の形態にかかる顕微鏡システムは、必要な波長の光源装置を取り付ければよいため、使用する励起波長の数に応じた装置の小型化を図ることが可能となる。
【0062】
なお、光源装置において、凸部、凸コネクタ群およびピン、あるいは、凹部、凹コネクタ群およびピン溝は、それぞれ軸A2,A4,A6に沿って設けられるものとして説明したが、凸部および凹部、凸コネクタ群および凹コネクタ群、ピンおよびピン溝がそれぞれ対応した位置に設けられていれば、光軸に沿って設けられるものでなくてもよい。
【0063】
また、本実施の形態1では、顕微鏡に対して複数の光源装置が接続されてなるものであるが、実際の光源装置は、顕微鏡の1/10程度の大きさであるため、顕微鏡に対して光源装置を実施の形態1で示したような複数個(3個程度)接続した場合であっても、顕微鏡の重心位置が変化しない。したがって、顕微鏡に対して光源装置が複数個接続された場合であっても、顕微鏡の重心位置が変化して顕微鏡が転倒することはない。
【0064】
ここで、本実施の形態1において、光源装置の連結順を逆にすることも可能である。この際、光源装置20には、波長が360nmより短い波長の光を透過するダイクロイックミラーが配設され、光源装置30には、波長が470nmより短い波長の光を透過するダイクロイックミラーが配設され、光源装置40には、波長が540nmより短い波長の光を透過するダイクロイックミラーが配設される。
【0065】
上述した本実施の形態1において、顕微鏡は、蛍光色素にて特異的に標本Sを染色して観察する蛍光顕微鏡であるものとして説明したが、これに限らず、1または複数の光源を用いて標本の観察をする顕微鏡であれば適用可能である。
【0066】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの要部の構成を説明する側面図である。なお、図1等で上述したものと同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0067】
図8に示す顕微鏡システム2の光源ユニット1dは、上述した顕微鏡1aに接続して所定の励起波長の光を供給し、1または複数(本実施の形態1では3つ)の光源装置20a,30a,40aから構成される。光源装置20a,30a,40aは、上述した異なる励起波長の光を出射するLED光源21,31,41をそれぞれ有する。また、顕微鏡1aから最も離れた光源装置40aには、遮光部材からなるキャップ50aが配設される。
【0068】
光源装置20aは、上述したLED光源21と、LED光源21の光軸である軸A8と交差し、軸A8に対して傾斜して設けられ、LED光源21から出射されてコリメートレンズ22によって調整された光を透過するとともに、波長が360nmよりも長い波長の光を反射して軸A8に直交する方向から進入した光の進行方向を軸A8側に切り替えるダイクロイックミラー23aと、軸A8に沿って突出するとともに、軸A8を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部24bと、凸部24bの形成面と隣り合う面であって、ダイクロイックミラー23aが反射する光の経路を通過する面に設けられ、軸A8に直交する軸(軸A9)を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凹部25cと、を有する。
【0069】
光源装置30aは、上述したLED光源31と、LED光源31の光軸である軸A9と交差し、軸A9に対して傾斜して設けられ、LED光源31から出射されてコリメートレンズ32によって調整された光を透過するとともに、波長が470nmよりも長い波長の光を反射して軸A9に直交する方向から進入した光の進行方向を軸A9側に切り替えるダイクロイックミラー33aと、軸A9に沿って突出するとともに、軸A9を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部34bと、凸部34bの形成面と隣り合う面であって、ダイクロイックミラー33aが反射する光の経路を通過する面に設けられ、軸A9に直交する軸(軸A10)を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凹部35cと、を有する。
【0070】
光源装置40aは、上述したLED光源41と、LED光源41の光軸である軸A10と交差し、軸A10に対して傾斜して設けられ、LED光源41から出射されてコリメートレンズ42によって調整された光を透過するとともに、波長が540nmよりも長い波長の光を反射して軸A10に直交する方向から進入した光の進行方向を軸A10側に切り替えるダイクロイックミラー43aと、軸A10に沿って突出するとともに、軸A10を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部44bと、凸部44bの形成面と隣り合う面であって、ダイクロイックミラー43aが反射する光の経路を通過する面に設けられ、軸A10に直交する軸を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凹部45cと、を有する。なお、凹部45cには、キャップ50aが嵌合されている。
【0071】
上述した各光源装置20a,30a,40aを接続した際、上述した実施の形態1と同様に、凸部と凹部とがそれぞれ嵌合する。このとき、光源ユニット1dでは、接続対象の光源装置間で、凸部の形成面が互いに直交するように配設される。これにより、図1に示すような接続構成の光源ユニットと比して、顕微鏡と光源ユニットとの接続方向における光源ユニットの伸長方向を抑制することができる。なお、上述した実施の形態1のように、各凸部が切欠き部を有し、各凹部が固定ネジを有する構成としてもよい。
【0072】
図9は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの要部の構成の外観を説明する外観図である。図9に示すように、各光源装置20a,30a,40aの外面に連結順を示す数字を誤装着防止手段として表示させることで、検鏡者が容易に顕微鏡システムを組み立てることができる。
【0073】
図10は、LED光源21a,31a,41aからそれぞれ出射された各励起波長に対する光の出力およびダイクロイックミラー23a,33aの透過率(%)を示すグラフである。LED光源21a,31a,41aからそれぞれ出射された光の出力において、曲線La4はLED光源21から出射された光の出力を示し、曲線La5はLED光源31から出射された光の出力を示し、曲線La6はLED光源41から出射された光の出力を示している。また、ダイクロイックミラー23,33の透過率において、各波長に対する曲線Lb3は各波長に対するダイクロイックミラー23aの透過率を示し、曲線Lb4は各波長に対するダイクロイックミラー33aの透過率を示している。
【0074】
図10に示すグラフのように、ダイクロイックミラー23aは、LED光源21から出射された光を透過し、LED光源31,41から出射された光を反射する。また、ダイクロイックミラー33aは、LED光源31から出射された光を透過し、LED光源41から出射された光を反射する。これにより、上述した各光源装置の接続順によって、各LED光源21,31,41から出射された光を選択的に反射および透過して経路を一致させて合成し、この合成された光を顕微鏡1aに進入させることができる。
【0075】
上述した本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、顕微鏡に対して複数の光源を接続して合成した光を供給するとともに、使用する光源の数に応じて顕微鏡に接続するようにしたので、複数の蛍光色素の同時観察が可能であるとともに、励起波長に対する拡張性に優れ、使用する励起波長の数に応じて装置の小型化を図ることができる。
【0076】
また、本実施の形態2では、実施の形態1で示すような接続構成の光源ユニットと比して、顕微鏡と光源ユニットとの接続方向における光源ユニットの伸長方向を抑制することができるため、さらなる装置の小型化を図ることが可能となる。
【0077】
なお、各光源装置20a,30a,40aの外面に連結順を示す数字を表示させるものとして説明したが、上述した実施の形態1のようなピンおよびピン溝を配設して誤接続を防止するようにしてもよい。
【0078】
ここで、本実施の形態2において、光源装置の連結順を逆にすることも可能である。この際、光源装置20aには、波長が360nmより短い波長の光を反射するダイクロイックミラーが配設され、光源装置30aには、波長が470nmより短い波長の光を反射するダイクロイックミラーが配設され、光源装置40aには、波長が540nmより短い波長の光を反射するダイクロイックミラーが配設される。
【0079】
上述した実施の形態1,2において、励起波長を含む照射光が凸部側から出射されるものとして説明したが、凸部および凹部の配設位置を逆転させ、照射光が出射される側に凹部が設けられる構成であってもよい。
【0080】
以上のように、本発明にかかる光源装置、光源ユニットおよび顕微鏡システムは、複数の蛍光色素の同時観察が可能であるとともに、励起波長に対する拡張性に優れた構成を実現することに有用である。
【符号の説明】
【0081】
1,2 顕微鏡システム
1a 顕微鏡
1b,1d 光源ユニット
1c 電源ユニット
10 ステージ
11 対物レンズ
12 顕微鏡本体
13 光源接続部
13a,25a,35a,45a メネジ
13b,25b,35b,45b 固定ネジ
14 落射投光部
14a 瞳投影レンズ
14b,23,23a,33,33a,43,43a ダイクロイックミラー
14c 直動ガイド
14d 波長選択フィルター
15 鏡筒
16 双眼部
17 連通孔
18,27,37,47 凹コネクタ群
19,29,39,49 ピン溝
20,20a,30,30a,40,40a 光源装置
21,31,41 LED光源
22,32,42 コリメートレンズ
24,24b,34,34b,44,44b 凸部
24a,34a,44a 切欠き部
25,25c,35,35c,45,45c 凹部
26,36,46 凸コネクタ群
28,38,48 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源装置を有し、標本を観察する顕微鏡と接続して、該顕微鏡に前記異なる波長の光を供給する光源ユニットであって、
前記光源装置は、
所定波長の光を発光する光源と、
前記光源の光軸と交差し、該光軸に対して傾斜して設けられ、所定波長の光を反射または透過するダイクロイックミラーと、
前記顕微鏡および/または他の光源装置と連結する連結手段と、
を備え、
前記複数の光源装置は、出射光の波長の大小関係に応じた順で連結され、連結状態において各出射光の経路の一部が一致することを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記光源装置は、前記複数の光源装置のうちの他の光源装置と間違った順序で連結されるのを防止する誤装着防止手段を有することを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記誤装着防止手段は、
前記他の光源装置と連結する側面で突出するピンと、
前記ピンに対向する側面に設けられ、前記他の光源装置との連結順が正しい場合のみ当該他の光源装置が有するピンを収容可能なピン溝と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記誤装着防止手段は、各光源装置の表面に記載され、前記出射光の波長の大小関係に対応する数字であることを特徴とする請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記複数の光源装置は、前記顕微鏡に近接する側から波長の小さい順で接続され、
前記ダイクロイックミラーは、所定長以下の光を反射するとともに、前記所定長よりも長い波長の光を透過することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記複数の光源装置は、前記顕微鏡に近接する側から波長の大きい順で接続され、
前記ダイクロイックミラーは、所定長以下の光を透過するとともに、前記所定長よりも長い波長の光を反射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記連結手段は、
前記光軸に垂直な方向であって前記ダイクロイックミラーと交差する軸に沿って突出するとともに、該軸を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部と、
前記軸に沿って前記凸部と異なる側に設けられ、該軸を中心軸とする円筒状をなす凹部と、
を有し、
前記凸部は、他の光源装置の凹部と嵌合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記連結手段は、
前記光軸に沿って突出するとともに、該光軸を中心軸とする円筒状の内部空間を形成する凸部と、
前記光軸に垂直な方向であって前記ダイクロイックミラーと交差する軸に沿って設けられ、該軸を中心軸とする円筒状をなす凹部と、
を有し、
前記凸部は、他の光源装置の凹部と嵌合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光源ユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットと接続して標本を観察する顕微鏡と、
を備えたことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項10】
前記光源ユニットは、前記顕微鏡と電気的に接続可能な複数の光源側接続部を有し、
前記顕微鏡は、前記光源側接続部に対応して設けられる顕微鏡側接続部を複数有し、
複数の前記顕微鏡側接続部のうち、一対の顕微鏡側接続部が短絡していることを特徴とする請求項9に記載の顕微鏡システム。
【請求項11】
前記顕微鏡は、複数の蛍光色素にて特異的に染色されている標本を観察する蛍光顕微鏡であることを特徴とする請求項9または10に記載の顕微鏡システム。
【請求項12】
標本を観察する顕微鏡に接続され、該顕微鏡に所定波長の光を供給し、少なくとも前記顕微鏡と連結可能な光源装置であって、
所定波長の光を発光する光源と、
前記光源の光軸と交差し、該光軸に対して傾斜して設けられ、所定波長の光を反射または透過するダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーの光の透過または反射による光の進行経路に沿って前記顕微鏡および/または他の光源装置と連結する連結手段と、
前記連結手段において前記顕微鏡または他の光源装置と間違って連結されるのを防止する誤装着防止手段と、
を備えたことを特徴とする光源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−7791(P2013−7791A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138846(P2011−138846)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】