説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】蛍光体層の温度上昇を抑制し、蛍光体層の劣化や蛍光体層の波長変換効率の低下が生じにくい光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、蛍光体層13bを含み、かつ所定の回転軸Axの回りに回転可能な基板13aと、蛍光体層13bを励起する励起光を発する光源11と、基板13aが回転しているときに、蛍光体層13bのうち第1の領域には、一の周回において前記励起光を照射し、前記第1の領域のうち少なくとも一部の領域には、他の周回において前記励起光を照射しないように、光源11の発光を制御する制御装置61と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター用の光源装置として、特許文献1に記載の光源装置が知られている。特許文献1の光源装置は、回転可能な基板上に蛍光体層を形成し、基板を回転させながら蛍光体層を励起光源で励起させて所望の波長の光を得るものである。特許文献1の光源装置では、蛍光体層が回転可能な基板上に設けられているため、蛍光体層の集光スポットに対応する箇所に励起光が照射されて蛍光体層が発熱しても、当該箇所が直ぐに集光スポットから外れ、次に励起光が照射されるまで周囲の空気によって冷却される。そのため、特定箇所に励起光が連続的に照射される場合に比べて、蛍光体層の温度上昇が抑制され、蛍光体層の劣化や、蛍光体層の波長変換効率の低下が生じにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−277516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光源装置では基板が回転しているため、或る周回で励起光が照射された箇所は、次の周回(1回転周期経過後)で励起光が照射されるまでの間に周囲の空気によって冷却される。しかし、各周回において蛍光体層のうち励起光が照射される領域は同じである。つまり、蛍光体層の特定箇所に周回毎に短い時間間隔で励起光が繰り返し照射されるため、当該箇所が十分冷却されず、蛍光体層の温度上昇を十分に抑制できなくなる。その結果、蛍光体層の劣化や、蛍光体層の波長変換効率の低下が生じる。
【0005】
本発明の目的は、蛍光体層の温度上昇を抑制し、蛍光体層の劣化や蛍光体層の波長変換効率の低下が生じにくい光源装置およびプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源装置は、蛍光体層を含み、かつ所定の回転軸の回りに回転可能な基板と、前記蛍光体層を励起する励起光を間欠的に発する光源と、前記基板が回転しているときに、前記蛍光体層のうち第1の領域には、一の周回において前記励起光が照射され、前記第1の領域のうち少なくとも一部の領域には、他の周回において前記励起光が照射されないように、前記基板の回転を制御する回転周期決定装置と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、蛍光体層の励起光が照射される領域は一の周回と他の周回とで互いに異なる。そのため、励起光が照射される蛍光体層の領域が周回毎に常に同じである場合に比べて、蛍光体層の冷却効果が高く、蛍光体層の温度上昇が小さくなる。よって、蛍光体層の劣化や蛍光体層の波長変換効率の低下が生じにくい光源装置が提供される。
【0008】
前記回転周期決定装置は、前記基板が回転しているときに、前記蛍光体層のうち前記一の周回において前記励起光が照射される領域と、前記蛍光体層のうち前記他の周回において前記励起光が照射される領域とが互いに重ならないように、前記基板の回転を制御してもよい。また、前記回転周期決定装置は、前記基板が回転しているときに、前記蛍光体層のうち前記一の周回において前記励起光が照射されない領域と、前記蛍光体層のうち前記他の周回において前記励起光が照射されない領域とが互いに重ならないように、前記基板の回転を制御してもよい。
【0009】
この構成によれば、一の周回と他の周回とで、蛍光体層の励起光が照射される位置を基板の回転方向に沿って確実に分散させることができる。
【0010】
前記蛍光体層を前記基板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割したときに、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち第1のセグメントに照射される前記励起光の積算光量は、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち前記第1のセグメントとは異なる第2のセグメントに照射される前記励起光の積算光量と等しくてもよい。
【0011】
この構成によれば、蛍光体層の劣化の度合いや、蛍光体層の波長変換効率の大きさがセグメントごとにばらつくことを抑制することができる。よって、長寿命で且つ点灯時の明るさの変動が生じにくい光源装置が提供される。この場合、全てのセグメントにおいて、単位時間あたりに照射される前記励起光の積算光量が互いに等しければ、このような効果は最も大きくなる。
【0012】
前記他の周回を、前記一の周回の次の周回としてもよい。
【0013】
この構成によれば、一の周回とその次の周回とで、蛍光体層の励起光が照射される位置を基板の回転方向に沿って確実に分散させることができる。
【0014】
前記光源の発光タイミングを制御する発光タイミング信号として、フレーム周期に同期した周期を有する発光タイミング信号を生成する発光タイミング生成装置をさらに備え、前記回転周期決定装置は、前記基板の回転周期として、前記発光タイミング信号の周期の非整数倍の回転周期を決定してもよい。
【0015】
この構成によれば、1周回ごとに蛍光体層の励起光が照射される位置を基板の回転方向に沿って確実に分散させることができる。
【0016】
前記回転周期決定装置は、前記光源の発光期間のデューティをδ(0<δ<1)として、前記発光タイミング信号の周期の(1+δ)倍の周期を前記基板の回転周期として決定してもよい。
【0017】
この構成によれば、回転蛍光板の回転周期と光源の発光周期との最小公倍数を1単位時間として、1単位時間ごとに励起光の照射位置を周期的に変動させることができる。また、蛍光体を基板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割した場合に、全てのセグメントにおいて、1単位時間あたりに照射される励起光の積算光量を互いに等しくすることができる。
【0018】
前記デューティδは0.5以下であってもよい。
【0019】
この構成によれば、ある周回にて励起光が照射された領域と、次の周回にて励起光が照射された領域とが重ならないため、蛍光体層の温度上昇が効果的に抑制される。
【0020】
本発明の光源装置は、蛍光体層を含み、かつ所定の回転軸の回りに回転可能な基板と、前記蛍光体層を励起する励起光を間欠的に発する光源と、前記基板の回転が前記励起光の発光と非同期となるように、かつ、前記蛍光体層を前記基板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割したときに、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち第1のセグメントに照射される前記励起光の積算光量が、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち前記第1のセグメントとは異なる第2のセグメントに照射される前記励起光の積算光量と等しくなるように、前記基板の回転を制御する回転周期決定装置と、を備えている。
【0021】
この構成によれば、蛍光体層の励起光が照射される領域は一の周回と他の周回とで互いに異なる。そのため、励起光が照射される蛍光体層の領域が周回毎に常に同じである場合に比べて、蛍光体層の冷却効果が高く、蛍光体層の温度上昇が小さくなる。よって、蛍光体層の劣化や蛍光体層の波長変換効率の低下が生じにくい光源装置が提供される。さらに、蛍光体層の劣化の度合いや、蛍光体層の波長変換効率の大きさがセグメントごとにばらつくことを抑制することができる。よって、長寿命で且つ点灯時の明るさの変動が生じにくい光源装置が提供される。
【0022】
全ての前記セグメントにおいて、単位時間あたりに照射される前記励起光の積算光量を互いに等しくしてもよい。
【0023】
この構成によれば、蛍光体層の劣化の度合いや、蛍光体層の波長変換効率の大きさがセグメントごとにばらつくことを抑制する効果を高めることができる。
【0024】
本発明のプロジェクターは、本発明の光源装置と、前記光源装置から射出された前記蛍光を画像信号で変調する光変調素子と、前記光変調素子により変調された前記蛍光を投射する投射光学系と、を備えている。
【0025】
この構成によれば、蛍光体層の劣化や蛍光体層の波長変換効率の低下が生じにくいプロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態のプロジェクターの概略図である。
【図2】プロジェクターの動作を制御する制御系の機能構成を示すブロック図である。
【図3】蛍光体を回転蛍光板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割した図である。
【図4】回転蛍光板の回転周期と光源の発光タイミングとの関係を示す図である。
【図5】励起光が照射されるセグメントを1周回ごとに時系列的に示した図である。
【図6】プロジェクターの制御系が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のプロジェクターにおいて蛍光体を回転蛍光板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割した図である。
【図8】回転蛍光板の回転周期と光源の発光タイミングとの関係を示す図である。
【図9】励起光が照射されるセグメントを1周回ごとに時系列的に示した図である。
【図10】第3実施形態のプロジェクターの概略図である。
【図11】プロジェクターの動作を制御する制御系の機能構成を示すブロック図である。
【図12】蛍光体を回転蛍光板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割した図である。
【図13】回転蛍光板の回転周期と光源の発光タイミングとの関係を示す図である。
【図14】励起光が照射されるセグメントを1周回ごとに時系列的に示した図である。
【図15】回転蛍光板の回転周期と光源の発光タイミングとの関係を示す図である。
【図16】励起光が照射されるセグメントを1周回ごとに時系列的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のプロジェクター1の概略図である。
【0028】
プロジェクター1は、赤色用光源装置10Rと、緑色用光源装置10Gと、青色用光源装置10Bと、赤色用液晶表示素子30Rと、緑色用液晶表示素子30Gと、青色用液晶表示素子30Bと、色合成光学系40と、投射光学系50と、を備えている。
【0029】
緑色用光源装置10Gは、光源11と、集光レンズ12aと、コリメートレンズ12bと、回転蛍光板13と、モーター14と、ピックアップ光学系15と、ダイクロイックミラー16と、集光レンズ17と、ロッドインテグレーター18と、コリメートレンズ19と、を備えている。
【0030】
光源11は、固体光源35と、固体光源35から射出された光を平行化するコリメートレンズ36とを1組とする光学素子が5×5の2次元配列状に並べられた固体光源アレイである。固体光源35としては、例えば、励起光として青色レーザー光を射出する半導体レーザー素子(Laser Diode; LD)が用いられる。励起光は、例えば、波長が約450nmにおいて発光強度のピークが現れる特性を有する。
【0031】
光源11から射出された励起光は、集光レンズ12aとコリメートレンズ12bで一旦光束が細められる。その後、ダイクロイックミラー16にて90度光路が折り曲げられ、ピックアップ光学系15で回転蛍光板13の蛍光体13b上に集光される。蛍光体13bに入射した励起光は、集光スポット全体で□1mmの略正方形状となる。
【0032】
回転蛍光板13は、基板としての円板13aの一方の面に、蛍光体層としての蛍光体13bを円板13aの周方向に沿って連続的に形成したものである。回転蛍光板13は、モーター14によって回転自在に支持され、ピックアップ光学系15が集光した励起光を緑色の蛍光(以下、単に緑色光ということがある)に変換して射出する。
【0033】
円板13aは、例えば、アルミニウム基板等の金属基板で形成されている。円板13aの蛍光体13bが形成される面は、蛍光体13bから射出された緑色光を反射する反射面となっている。円板13aの円中心部には、モーター14の回転軸Axが貫通する穴が形成されている。なお、ここでは基板として円板13aを用いる例について説明したが、基板の形状は円板に限定されず平板であればよい。
【0034】
蛍光体13bは、緑色蛍光体を透明樹脂に混入した状態で円板13a上に塗布することにより形成されている。緑色蛍光体としては、例えば、βサイアロン(Si,Al)6(O,N)8:Euやシリケート系(Ca3Sc2Si3O12:Ce)などが使用できる。緑色蛍光体はこのほかにも各種存在するが、何を使用してもよい。透明樹脂はシリコーン樹脂であり、緑色蛍光体の粉末と混練され、塗布された後熱硬化され、円板13a上に固着されている。円板13aは、蛍光体にて発生した熱を効率よく放熱するための放熱板を兼ねている。
【0035】
回転蛍光板13は、光源11から射出された励起光が円板13aとは反対側から蛍光体13bに入射するように、蛍光体13bが形成された面を励起光が入射する側に向けて設けられている。
【0036】
モーター14は、回転蛍光板13を回転させる電動機である。モーター14は、後述するモーター駆動部から供給される回転指示信号を取り込み、回転指示信号に応じた回転周期で回転軸Axを回転させる。モーター14は、例えばホール素子で実現される位置検出センサーを備え、位置検出センサーによって検出される回転軸Axの基準位置を表す位置情報を出力する。
【0037】
ピックアップ光学系15は、単一または複数のレンズ、例えば、第1レンズ15aと第2レンズ15bとを備えており、光源11から射出された励起光を蛍光体13b上に集光するとともに、蛍光体13bから射出された緑色光を略平行化する。
【0038】
ダイクロイックミラー16は、光源11から射出された励起光を反射し、蛍光体13bから射出された緑色光を透過する波長選択透過反射部材である。蛍光体13bから射出された緑色光は、ピックアップ光学系15によって略平行化され、ダイクロイックミラー16によって残留励起光が除去された後、集光レンズ17によって再集光され、ロッドインテグレーター18を通過する。
【0039】
ロッドインテグレーター18は、光路方向に延在する角柱状の光学部材である。ロッドインテグレーター18内では多重反射により光が混合して均一化される。ロッドインテグレーター18から射出された緑色光は、コリメートレンズ19によって略平行化され、光変調素子としての緑色用液晶表示素子30Gに入射する。
【0040】
赤色用光源装置10Rは、光源20と、ロッドインテグレーター21と、コリメートレンズ22と、反射ミラー23と、を備えている。
【0041】
光源20としては、例えば、赤色光を射出する発光ダイオード(Light Emitting Diode; LED)が用いられる。赤色光は、例えば、波長が約600nmにおいて発光強度のピークが現れる特性を有する。光源20から射出された赤色光は、ロッドインテグレーター21によって輝度が均一化された後、コリメートレンズ22で略平行化され、反射ミラー23を介して、光変調素子としての赤色用液晶表示素子30Rに入射する。
【0042】
青色用光源装置10Bは、光源24と、ロッドインテグレーター25と、コリメートレンズ26と、反射ミラー27と、を備えている。
【0043】
光源24としては、例えば、青色光を射出する発光ダイオード(Light Emitting Diode; LED)が用いられる。青色光は、例えば、波長が約450nmにおいて発光強度のピークが現れる特性を有する。光源24から射出された青色光は、ロッドインテグレーター25によって輝度が均一化された後、コリメートレンズ26で略平行化され、反射ミラー27を介して、光変調素子としての青色用液晶表示素子30Bに入射する。
【0044】
赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bは、液晶パネルの両面(光入射面および光射出面)に偏光板を貼着した透過型の光変調素子である。赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bは、赤色用光源装置10R、緑色用光源装置10Gおよび青色用光源装置10Bから入射した赤色光、緑色光および青色光を外部から供給される画像信号に基づいて変調し、赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光を生成する。
【0045】
色合成光学系40は、赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bで生成された赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光を合成し、光の三原色によるカラー画像光を形成するクロスダイクロイックプリズムである。クロスダイクロイックプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて立方体に形成した光学部材である。直角プリズム同士を貼り合わせたX字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は青色光を反射するものである。クロスダイクロイックプリズムは、これら誘電体多層膜によって進行方向をそれぞれ変更した赤色光および青色光と、透過する緑色光との進行方向をそろえることにより、赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光を合成する。
【0046】
色合成光学系40で合成された赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光は、投射光学系50によってスクリーンSCR上に拡大投射され、ユーザーの目にカラー画像として認識される。
【0047】
本実施形態の場合、プロジェクター1は、3D画像を表示するプロジェクターである。赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bは、右眼用画像と左眼用の画像を交互に生成する。ユーザーは、スクリーンSCRに投射された右眼用画像と左眼用画像をシャッター方式の3Dメガネを用いて観察する。
【0048】
3Dメガネは、赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bにおいて、右眼用画像から左眼用画像あるいは左眼用画像から右眼用画像に液晶の配向が切り換わるまでの過渡期間は、両目のシャッターをオフにする。そして、液晶の配向が完全に切り換わった段階で右眼あるいは左眼のシャッターをオンにする。そうすることで、右眼用画像と左眼用画像とが混在することによる表示不良(クロストーク)を低減している。
【0049】
液晶の配向が完全に切り換わるまでの過渡期間は、両目のシャッターがオフとされる。そのため、赤色用光源装置10R、緑色用光源装置10Gおよび青色用光源装置10Bでは、消費電力を抑えるために、過渡期間の出力光量はゼロ(非発光)とされる。よって、赤色用光源装置10R、緑色用光源装置10Gおよび青色用光源装置10Bでは、過渡期間をオフ、非過渡期間をオンとする間欠発光が行われる。
【0050】
図2は、プロジェクター1の動作を制御する制御系の機能構成を示すブロック図である。図2では、図1に示した構成のうち、特に本発明の特徴部となる、光源11の駆動制御に必要な構成のみを抜き出し簡略化して図示している。
【0051】
プロジェクター1は、制御系として、制御部(制御装置)61と、光源駆動部62と、モーター駆動部63と、画像信号供給部64と、を備えている。
【0052】
制御部61は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read ONLY Memory)と、RAM(Random Access Memory)と(いずれも図示を省略する。)を含んで実現される。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開しこのRAM上のプログラムのステップを実行する。このCPUによるプログラム実行によって、制御部61は、プロジェクター1全体の動作を制御する。制御部61は、制御プログラムの実行により、画像出力要求信号を画像信号供給部64に供給する。
【0053】
制御部61は、その機能構成として、発光タイミング生成装置としての発光タイミング生成部101と、回転周期決定装置としての回転周期決定部102と、を備えている。
【0054】
発光タイミング生成部101は、画像信号供給部64から供給されるフレーム同期信号を取り込み、光源11が射出する励起光、光源20が射出する赤色光、および光源24が射出する青色光の射出期間を制御するための発光タイミング信号をフレーム同期信号に同期させて生成し、その発光タイミング信号を光源駆動部62と回転周期決定部102とに供給する。
【0055】
フレーム同期信号は、映像のフレーム周期を決定する同期信号であり、例えば、60フレーム/秒(fps; frame par second)のフレームレートを有するパルス信号である。発光タイミング信号は、上記のとおりフレーム同期信号に同期した、例えば正アクティブのパルス信号である。
【0056】
本実施形態の場合、1フレーム期間が2つのサブフレームに分割され、1サブフレームごとに右眼用画像と左眼用画像が表示される。光源11、光源20および光源24は、右眼用画像と左眼用画像が表示されるタイミングに合わせて1サブフレームごとに1回ずつ発光する。そのため、フレーム同期信号のフレームレートが60fpsである場合、発光タイミング信号は、フレーム周期に同期した1/120秒の周期を有する正アクティブのパルス信号である。
【0057】
回転周期決定部102は、発光タイミング生成部101から供給される発光タイミング信号を取り込み、この発光タイミング信号のパルス周期に非同期である回転蛍光板13の回転周期を計算し、この回転周期の値(回転周期値)をモーター駆動部63に供給する。回転周期決定部102は、回転蛍光板13が回転しているときに、蛍光体13bのうち第1の領域には、一の周回において励起光が照射され、第1の領域のうち少なくとも一部の領域には、次の周回において励起光が照射されないように、発光タイミング信号のパルス周期の整数倍ではなく(非整数倍)且つ整数分の一倍でもない(非整数分の一倍)回転周期値を求め、この回転周期値をモーター駆動部63に供給する。
【0058】
また、回転周期決定部102は、モーター駆動部63から供給されるモーター14の回転軸Axの位置情報を取り込み、この位置情報に基づいてモーター14の回転軸Axが回転しているか否かを判定する。
【0059】
光源駆動部62は、制御部61の発光タイミング生成部101から供給される発光タイミング信号を取り込み、この発光タイミング信号が示すタイミングに基づいて光源11、光源20および光源24を間欠に発光させる。すなわち、光源駆動部62は、発光タイミング信号が正アクティブのパルス信号である場合、発光タイミング信号の正の期間において光源11、光源20および光源24を発光させる。本実施形態においては、光源11が射出する励起光のレベル値は一定である。
【0060】
モーター駆動部63は、制御部61の回転周期決定部102から供給される回転周期値を取り込み、この回転周期値を指定する回転指示信号を生成しモーター14に供給して駆動する。また、モーター駆動部63は、モーター14から供給される回転軸Axの位置情報を取り込み、その位置情報を回転周期決定部102に供給する。
【0061】
画像信号供給部64は、図示しない同期信号生成部を含み、この同期信号生成部が生成するフレーム同期信号を制御部61の発光タイミング生成部101に供給する。また、画像信号供給部64は、制御部61から供給される画像出力要求信号を取り込み、この画像出力要求信号に応じて、外部から供給される画像信号をフレーム同期信号に同期させて赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bに供給する。
【0062】
図3は、蛍光体13bを回転蛍光板13の回転方向に沿って複数のセグメント(回転軸を中心とした扇状の領域)に仮想的に分割した図である。なお、セグメントへの分割は説明の都合上のことで、実際に分割されているわけではない。図4は、回転蛍光板13の回転周期と光源11の発光タイミングとの関係を示す図である。図5は、励起光が照射されるセグメント(発光セグメント)を1周回ごとに時系列的に示した図である。図5において「○」は光源を発光させることを示し、「×」は光源を発光させないことを示す。
【0063】
図3に示すように、本実施形態の回転蛍光板13では、蛍光体13bは回転蛍光板13の回転方向に沿って3個のセグメント(セグメントAないしセグメントC)に仮想的に分割されている。光源11は一定の時間間隔でオン/オフを繰り返し、励起光は、蛍光体13b上の集光スポット70に一定の時間間隔で間欠的に照射される。回転蛍光板13は回転軸Axの周りに回転しているため、集光スポット70は蛍光体13bの上で回転軸Axの周りを移動する。光源11は一定の時間間隔でオン/オフを繰り返すため、光源11が1回点灯している間に集光スポット70が描く軌跡に対応する扇状領域を一の仮想セグメントとする。たとえばセグメントAが集光スポット70と重なったときに、光源11が発光してセグメントAに励起光70が照射されれば、セグメントAを発光セグメントと呼び、セグメントAが集光スポット70と重なったときに、光源11が発光せずセグメントAに励起光70が照射されなければ、セグメントAを非発光セグメントと呼ぶ。
【0064】
本実施形態では、後述するように、光源11がオンの期間(発光期間)と光源11がオフの期間(非発光期間)を互いに等しくし、発光期間のデューティを50%としている。そのため、回転蛍光板13の回転に伴って、1個のセグメントを発光セグメントとした後、その隣のセグメントを非発光セグメントとすることが繰り返される。ただし、個々のセグメントの中心角は互いに等しい。なお、発光期間のデューティは、発光期間/(発光期間+非発光期間)として算出される。
【0065】
図4に示すように、本実施形態の場合、3Dメガネは120Hzでスイッチングされ、開口期間(画像光を透過してユーザーに画像を視認させる期間)のデューティは50%である。蛍光体13bの発光期間(光源11の発光期間)も3Dメガネに合わせ、120Hz、デューティを50%(発光期間4.2ms)としているため、回転蛍光板13の回転数は例えば80Hz(回転周期は12.5ms)に設定される。
【0066】
回転蛍光板13の回転数は、光源を間欠発光させる際の発光周波数(3Dメガネのスイッチング周波数)をα(Hz)、調整係数をβとして、α(Hz)×βで算出される。調整係数βは、光源11の発光期間のデューティをδとして、β=1/(1+δ)で算出される。回転蛍光板13の回転周期は、回転数の逆数であるため、回転蛍光板13の回転周期は、光源11の発光周期(1/α)の(1+δ)倍となる。デューティδは、0<δ<1であるので、回転蛍光板13の回転周期は、光源11の発光周期の非整数倍となる。
【0067】
図5に示すように、蛍光体13b(光源11)の発光の1サイクル目は図3のセグメントAに励起光70が照射され、2サイクル目はセグメントCに励起光70が照射され、3サイクル目はセグメントBに励起光70が照射され、4サイクル目で再びセグメントAに励起光70が照射される。回転蛍光板13の回転から見ると、1周回目(期間T1)ではセグメントAとセグメントCとに励起光70が照射され、2周回目(期間T2)ではセグメントBに励起光70が照射され、3周回目(期間T3)では再びセグメントAとセグメントCとに励起光70が照射される。このように、2周回目(期間T2)の次の3周回目で再び1周回目(期間T1)に戻り、期間T1と期間T2からなる2サイクルが繰り返される。このように、1周回ごとに異なるセグメントに励起光が照射される。
【0068】
この構成では、発光セグメントと非発光セグメントとが回転蛍光板13の周回毎に入れ替わることから、ある周回における発光セグメントと、次の周回における発光セグメントとは互いに重ならず、ある周回における非発光セグメントと、次の周回における非発光セグメントも互いに重ならない。
【0069】
回転蛍光板13の回転周期12.5msと光源11の発光周期(3Dメガネのスイッチング周期)8.33msとの最小公倍数25ms(回転蛍光板13の回転周期の2回転分)を1単位時間とすると、1単位時間で最初の状態に戻り、以後、同じことが繰り返される。回転蛍光板13が2回転する間に各セグメントの発光期間は1回ずつで互いに等しくなっている。そのため、各セグメント(セグメントAないしセグメントC)の照射光量の時間平均は互いに等しい。言い換えれば、全てのセグメント(セグメントAないしセグメントC)において、1単位時間あたりに照射される励起光70の積算光量は互いに等しい。これにより、位置的、時間的に励起光70の照射部位が分散、平均化され、短時間に局部的に光が集中して温度上昇することが抑制される。
【0070】
図6は、プロジェクター1の制御系が実行する処理の手順を表すフローチャートである。
【0071】
制御部61が制御プログラムを起動し、また、画像信号供給部64の同期信号生成部がフレーム同期信号の生成を開始すると、同図のフローチャートによる処理が開始される。
【0072】
まず、ステップS1において、発光タイミング生成部101は、画像信号供給部64から供給されるフレーム同期信号を取り込み、このフレーム同期信号に同期する発光タイミング信号を生成して光源駆動部62と回転周期決定部102とに供給する。例えば、発光タイミング生成部101は、画像信号供給部64から周期が1/120秒であるフレーム同期信号を取り込み、このフレーム同期信号に同期する1/120秒周期である発光タイミング信号を生成して光源駆動部62と回転周期決定部102とに供給する。
【0073】
次に、ステップS2において、回転周期決定部102は、発光タイミング生成部101から供給される発光タイミング信号を取り込み、この発光タイミング信号のパルス周期に非同期である回転蛍光板13の回転周期を計算し、この回転周期値をモーター駆動部63に供給する。例えば、発光タイミング信号のパルス周期が1/120秒である場合、回転周期決定部102は、非整数である1.5を適用して1/120秒の1.5倍である1.5/120秒を回転周期値として求めてモーター駆動部63に供給する。非整数値(この例では1.5を指す。)は、あらかじめ決定されたものであってもよいし、適宜オペレーターにより設定されるものであってもよい。
【0074】
次に、ステップS3において、モーター駆動部63は、回転周期決定部102から供給される回転周期値を取り込み、この回転周期値を指定する回転指示信号を生成しモーター14に供給して駆動する。例えば、モーター駆動部63は、回転周期決定部102から供給される回転周期値である1.5/120を取り込み、この回転周期値を指定する回転指示信号、すなわち、モーター14の回転軸Axを120/1.5=80回転/秒で回転させるよう指示する内容の回転指示信号を生成してモーター14に供給する。
【0075】
次に、モーター駆動部63は、モーター14から供給される回転軸Axの位置情報を取り込み、その位置情報を回転周期決定部102に供給する。
【0076】
次に、回転周期決定部102は、モーター駆動部63から供給される回転軸Axの位置情報を取り込み、この位置情報に基づいてモーター14が回転動作しているか否かを判定する。回転周期決定部102は、モーター14が回転動作していないと判定した場合、異常状態を示す異常フラグを設定する。そして、制御部61は、異常フラグが設定されたときに、例えばアラーム信号を生成して外部に出力する。
【0077】
ステップS4において、光源駆動部62は、発光タイミング生成部101から供給される発光タイミング信号を取り込み、この発光タイミング信号に基づいて光源11、光源20および光源24を発光させる。例えば、発光タイミング信号のパルス周期が1/120秒(正アクティブ期間は、デューティを50%とすると、0.5/120秒)である場合、光源駆動部62は、発光タイミング信号の正の期間(0.5/120秒の期間)において光源11、光源20および光源24を発光させる。
【0078】
次に、ステップS5において、制御部61は、画像出力要求信号を画像信号供給部64に供給する。
【0079】
次に、画像信号供給部64は、制御部61から供給される画像出力要求信号を取り込み、この画像出力要求信号に応じて、外部から供給される画像信号をフレーム同期信号に同期させて赤色用液晶表示素子30R、緑色用液晶表示素子30Gおよび青色用液晶表示素子30Bにそれぞれ供給する。
【0080】
以上説明した本実施形態のプロジェクター1においては、光源11が射出する励起光の射出周期(例えば、1/120秒)と、回転蛍光板13の回転周期(例えば、1.5/120秒)とは互いに異なり、非同期であるため、回転蛍光板13の蛍光体13b上に励起光が照射される領域は時間経過とともに周回移動する。蛍光体13bの励起光70が照射される領域は1周回ごとに異なり、一の周回と次の周回において連続して励起光が照射されない位置が生じる。そのため、蛍光体層の励起光が照射される領域が周回毎に常に同じである場合に比べて、蛍光体13bの温度上昇を小さくすることができる。よって、蛍光体13bの劣化や蛍光体13bの波長変換効率の低下が生じにくいプロジェクター1が提供される。
【0081】
また、本実施形態のプロジェクター1では、蛍光体13bを回転蛍光板13の回転方向に沿って複数のセグメント(セグメントA、セグメントBおよびセグメントC)に分割したときに、単位時間あたりに各セグメントに照射される励起光70の積算光量は互いに等しい。そのため、蛍光体13bの劣化の度合いや、蛍光体13bの波長変換効率の大きさがセグメントごとにばらつくことを抑制することができる。よって、長寿命で且つ1周回ごとに明るさの変動が生じにくいプロジェクターが提供される。
【0082】
ここで、比較例として、回転蛍光板の回転を光源の間欠発光と同期させた場合について説明する。回転蛍光板の回転を光源の間欠発光と同期させつつ、すべてのセグメントに均等に励起光を照射するためには、回転蛍光板の回転周期を光源の発光期間と等しくしなければならない。さもなければ、特定のセグメントに常に励起光が照射されることになる。回転蛍光板の回転を光源の間欠発光と同期させつつ、回転蛍光板の回転周期が光源の発光期間と等しくなるようにするためには、回転蛍光板を非常に高速で回転させなければならない。回転蛍光板の回転数が高ければ高いほど、騒音やモーターの消費電力が上昇する。しかし、本実施形態のプロジェクター1によれば、回転蛍光板の回転数を、回転蛍光板の回転を光源の発光と同期させた場合よりも低くすることができる。
【0083】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態のプロジェクターにおいて、蛍光体13bを回転蛍光板13の回転方向に沿って複数のセグメント(扇状領域)に分割した図である。図8は、回転蛍光板13の回転周期と光源11の発光タイミングとの関係を示す図である。図9は、励起光が照射されるセグメント(発光セグメント)を1周回ごとに時系列的に示した図である。図9において「○」は光源を発光させることを示し、「×」は光源を発光させないことを示す。
【0084】
図7に示すように、本実施形態の回転蛍光板13では、蛍光体13bは回転蛍光板13の回転方向に沿って17個のセグメント(セグメントAないしセグメントQ)に仮想的に分割されている。光源は一定の時間間隔でオン/オフを繰り返し、励起光70は蛍光体13bに対して一定の時間間隔で間欠的に照射される。本実施形態では、後述するように、光源11がオンの期間(発光期間)と光源11がオフの期間(非発光期間)の比を7:3としており、発光期間のデューティは70%である。そのため、回転蛍光板13の回転に伴って、連続する7セグメントを発光させた後、次の連続する3セグメントを非発光とすることが繰り返される。ただし、17個のセグメントの中心角は互いに等しい。なお、第2実施形態における一のセグメントは、光源11が1回点灯している間に集光スポット70が描く軌跡に対応する扇状領域を7等分した扇状領域である。
【0085】
図8に示すように、本実施形態の場合、3Dメガネは120Hzでスイッチングされ、開口期間(画像光を透過してユーザーに画像を視認させる期間)のデューティは70%である。蛍光体13bの発光期間(光源11の発光期間)も3Dメガネに合わせ、120Hz、デューティを70%としているため、回転蛍光板13の回転数は例えば120Hz×1/(1+0.7)=70.6Hz(回転周期14.17ms)に設定される。
【0086】
図9に示すように、回転蛍光板13の回転から見ると、1周回目(期間T1)は、互いに連続しているセグメントAないしセグメントGが発光し、次に続く互いに連続しているセグメントHないしセグメントJは発光しない。さらに、次に続く互いに連続しているセグメントKないしセグメントQが発光する。その後の2周回目(期間T2)では、次に続く互いに連続しているセグメントAないしセグメントCは発光せず、次に続く互いに連続しているセグメントDないしセグメントJが発光し、次に続く互いに連続しているセグメントKないしセグメントMは発光せず、次に続く互いに連続しているセグメントNないしセグメントQが発光する。以下、図9の通りに非発光セグメントを1周回ごとにずらしながら、10回転(期間T10経過後)で元に戻り、期間T1乃至期間T10からなる10サイクルが繰り返される。
【0087】
この構成では、ある周回における非発光セグメントと、次の周回における非発光セグメントとは互いに重ならない。
【0088】
回転蛍光板13の回転周期14.17msと光源11の発光周期(3Dメガネのスイッチング周期)8.33msとの最小公倍数141.7ms(回転蛍光板13の回転周期の10回転分)を1単位時間とすると、1単位時間で最初の状態に戻り、以後、同じことが繰り返される。回転蛍光板13が10回転する間に各セグメントの発光期間は7回ずつで互いに等しくなっている。そのため、各セグメント(セグメントAないしセグメントQ)における励起光70の照射光量の時間平均は互いに等しい。言い換えれば、全てのセグメント(セグメントAないしセグメントQ)において、1単位時間あたりに照射される励起光70の積算光量は互いに等しい。これにより、位置的、時間的に励起光70の照射部位が分散、平均化され、短時間に局部的に光が集中して温度上昇することが抑制される。
【0089】
本実施形態のプロジェクターでは、発光期間のデューティが50%を超えているので、ある周回における発光セグメントと、次の周回における発光セグメントとが互いに重ならないことは起こりえない。そのため、17個のセグメントのうちいずれかのセグメントは、連続する2つの周回で発光セグメントになるが、これはやむを得ない。しかし、回転蛍光板13の回転数と光源11の発光周波数(励起光70の射出周波数)との関係を調整することによって、第1実施形態と同様に、蛍光体13b上に励起光70が照射される位置を時間経過とともに周回移動させることができる。よって、蛍光体13bの温度が過度に上昇することが抑制され、蛍光体13bの劣化や蛍光体13bの波長変換効率の低下が生じにくいプロジェクターが提供される。
【0090】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態のプロジェクター2の概略図である。
本実施形態において、第1実施形態のプロジェクター1と共通する構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0091】
プロジェクター2は、赤色用光源装置80Rと、緑色用光源装置80Gと、青色用光源装置80Bと、色合成光学系90と、マイクロミラー型光変調素子100と、投射光学系50と、を備えている。
【0092】
緑色用光源装置80Gは、光源11と、集光レンズ12aと、コリメートレンズ12bと、回転蛍光板13と、モーター14と、ピックアップ光学系15と、ダイクロイックミラー16と、を備えている。
【0093】
光源11、集光レンズ12a、コリメートレンズ12b、回転蛍光板13、モーター14、ピックアップ光学系15およびダイクロイックミラー16の構成は、第1実施形態で説明したものと同じである。
【0094】
光源11から射出された励起光は、コリメートレンズ36で平行化され、集光レンズ12aとコリメートレンズ12bで一旦光束が細められる。その後、ダイクロイックミラー16にて90度光路が折り曲げられ、ピックアップ光学系15で回転蛍光板13の蛍光体13b上に集光される。蛍光体13bから射出された緑色光は、ピックアップ光学系15によって略平行化され、ダイクロイックミラー16によって残留励起光が除去された後、色合成光学系90に入射する。
【0095】
赤色用光源装置80Rは、光源20と、コリメートレンズ81と、を備えている。光源20の構成は、第1実施形態で説明したものと同じである。光源20から射出された赤色光は、コリメートレンズ81によって略平行化され、色合成光学系90に入射する。
【0096】
青色用光源装置80Bは、光源24と、コリメートレンズ82と、を備えている。光源24の構成は、第1実施形態で説明したものと同じである。光源24から射出された青色光は、コリメートレンズ82によって略平行化され、色合成光学系90に入射する。
【0097】
色合成光学系90は、クロスダイクロイックプリズム91と、集光レンズ92と、ロッドインテグレーター93と、集光レンズ94と、反射ミラー95と、を備えている。
【0098】
クロスダイクロイックプリズム91は、4つの直角プリズムを貼り合わせて立方体に形成した光学部材である。直角プリズム同士を貼り合わせたX字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は青色光を反射するものである。クロスダイクロイックプリズム91は、これら誘電体多層膜によって進行方向をそれぞれ変更した赤色光および青色光と、透過する緑色光との進行方向をそろえる。
【0099】
赤色用光源装置80R、緑色用光源装置80Gおよび青色用光源装置80Bは、時分割で交互に駆動される。赤色用光源装置80R、緑色用光源装置80Gおよび青色用光源装置80Bから順次射出された赤色光、緑色光および青色光はクロスダイクロイックプリズム91で進行方向が揃えられた後、集光レンズ92によって集光され、ロッドインテグレーター93によって輝度分布が均一化される。ロッドインテグレーター93から射出された赤色光、緑色光および青色光は、集光レンズ94で再集光された後、反射ミラー95で反射され、マイクロミラー型光変調素子100に順次入射する。
【0100】
マイクロミラー型光変調素子100は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって製造された反射型の光変調素子である。マイクロミラー型光変調素子100としては、例えばDMD(Digital Micromirror Device)(TI社の商標)が用いられる。マイクロミラー型光変調素子100は、反射ミラー95から順次入射した赤色光、緑色光および青色光を外部から供給される画像信号に基づいて変調し、赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光を順次生成する。マイクロミラー型光変調素子100で生成された赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光は投射光学系50でスクリーンSCR上に順次拡大投射され、ユーザーの目で混色されてカラー画像として認識される。
【0101】
本実施形態の場合、プロジェクター2は、2D画像を表示するプロジェクターである。1フレーム期間は3つのサブフレーム期間に分割され、1サブフレーム期間ごとに赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光が順次生成される。赤色用光源装置80R、緑色用光源装置80Gおよび青色用光源装置80Bは、他の色の画像光が生成されているときには、消費電力を抑えるために、出力光量がゼロ(非発光)とされる。よって、赤色用光源装置80R、緑色用光源装置80Gおよび青色用光源装置80Bでは、特定のサブフレーム期間のみをオンとし、それ以外のサブフレーム期間をオフとする間欠発光が行われる。
【0102】
図11は、プロジェクター2の動作を制御する制御系の機能構成を示すブロック図である。図11では、図10に示した構成のうち、特に本発明の特徴部となる、光源11の駆動制御に必要な構成のみを抜き出し簡略化して図示している。
【0103】
プロジェクター2は、制御系として、制御部(制御装置)61と、光源駆動部62と、モーター駆動部63と、画像信号供給部64と、を備えている。
【0104】
制御部61は、その機能構成として、発光タイミング生成装置としての発光タイミング生成部101と、回転周期決定装置としての回転周期決定部102と、を備えている。
【0105】
発光タイミング生成部101は、画像信号供給部64から供給されるフレーム同期信号を取り込み、光源11が射出する励起光の射出期間を制御するための第1の発光タイミング信号、光源20が射出する赤色光の射出期間を制御するための第2の発光タイミング信号、および光源24が射出する青色光の射出期間を制御するための第3の発光タイミング信号をフレーム同期信号に同期させて生成する。そして発光タイミング生成部101は、第1の発光タイミング信号と第2の発光タイミング信号と第3の発光タイミング信号とを光源駆動部62に供給する。また、発光タイミング生成部101は、第1の発光タイミング信号を回転周期決定部102に供給する。
【0106】
フレーム同期信号は、映像のフレーム周期を決定する同期信号であり、例えば、60フレーム/秒(fps; frame par second)のフレームレートを有するパルス信号である。第1乃至第3の発光タイミング信号はそれぞれ、上記のとおりフレーム同期信号に同期した、例えば正アクティブのパルス信号である。
【0107】
本実施形態の場合、1フレーム期間に1回ずつ光源11、光源20および光源24が発光する。そのため、フレーム同期信号のフレームレートが60fpsである場合、第1乃至第3の発光タイミング信号はそれぞれ、フレーム周波数に同期した1/60秒の周期を有する正アクティブのパルス信号である。
【0108】
回転周期決定部102は、発光タイミング生成部101から供給される第1の発光タイミング信号を取り込み、第1の発光タイミング信号のパルス周期に非同期である回転蛍光板13の回転周期を計算し、この回転周期の値(回転周期値)をモーター駆動部63に供給する。回転周期決定部102は、回転蛍光板13が回転しているときに、蛍光体13bのうち第1の領域には、一の周回において励起光が照射され、第1の領域のうち少なくとも一部の領域には、次の周回において励起光が照射されないように、第1の発光タイミング信号のパルス周期の整数倍ではなく(非整数倍)且つ整数分の一倍でもない(非整数分の一倍)回転周期値を求め、この回転周期値をモーター駆動部63に供給する。
【0109】
また、回転周期決定部102は、モーター駆動部63から供給されるモーター14の回転軸Axの位置情報を取り込み、この位置情報に基づいてモーター14の回転軸Axが回転しているか否かを判定する。
【0110】
光源駆動部62は、制御部61の発光タイミング生成部101から供給される第1乃至第3の発光タイミング信号を取り込み、第1乃至第3の発光タイミング信号が示すタイミングに基づいて光源11、光源20および光源24を間欠に発光させる。すなわち、光源駆動部62は、第1乃至第3の発光タイミング信号が正アクティブのパルス信号である場合、第1の発光タイミング信号の正の期間において光源11を発光させ、第2の発光タイミング信号の正の期間において光源20を発光させ、第3の発光タイミング信号の正の期間において光源24を発光させる。本実施形態においては、光源11が射出する励起光のレベル値は一定である。
【0111】
モーター駆動部63は、制御部61の回転周期決定部102から供給される回転周期値を取り込み、この回転周期値を指定する回転指示信号を生成しモーター14に供給して駆動する。また、モーター駆動部63は、モーター14から供給される回転軸Axの位置情報を取り込み、その位置情報を回転周期決定部102に供給する。
【0112】
画像信号供給部64は、図示しない同期信号生成部を含み、この同期信号生成部が生成するフレーム同期信号を制御部61の発光タイミング生成部101に供給する。また、画像信号供給部64は、制御部61から供給される画像出力要求信号を取り込み、この画像出力要求信号に応じて、外部から供給される画像信号をフレーム同期信号に同期させてマイクロミラー型光変調素子100に供給する。
【0113】
図12は、蛍光体13bを回転蛍光板13の回転方向に沿って複数のセグメント(扇状領域)に分割した図である。図13は、回転蛍光板13の回転周期と光源11の発光タイミングとの関係を示す図である。図14は、励起光が照射されるセグメント(発光セグメント)を1周回ごとに時系列的に示した図である。図14において「○」は光源を発光させることを示し、「×」は光源を発光させないことを示す。
【0114】
図12に示すように、本実施形態の回転蛍光板13では、蛍光体13bは回転蛍光板13の回転方向に沿って4個のセグメント(セグメントAないしセグメントD)に仮想的に分割されている。光源は一定の時間間隔でオン/オフを繰り返し、励起光70は蛍光体13bに対して一定の時間間隔で間欠的に照射される。本実施形態では、後述するように、光源11がオンの期間(発光期間)と光源11がオフの期間(非発光期間)の比を1:2としており、発光期間のデューティは1/3である。そのため、本実施形態では、回転蛍光板13の回転に伴って、1個のセグメントを発光セグメントとした後、次の連続する2個のセグメントを非発光セグメントとすることが繰り返される。ただし、4個のセグメントの中心角は互いに等しい。なお、第3実施形態における一のセグメントは、光源11が1回点灯している間に集光スポット70が描く軌跡に対応する扇状領域である。
【0115】
図13に示すように、蛍光体13bの発光周波数(光源の発光周波数)は60Hzであり、デューティは33%である。この場合、回転蛍光板の回転数は例えば120Hz×1/(1+0.33)=90Hz(回転周期11.1ms)に設定される。
【0116】
図14に示すように、回転蛍光板13の回転から見ると、1周回目(期間T1)は、セグメントAが発光し、次に続く互いに連続しているセグメントBよびセグメントCが非発光、そして次のセグメントDが発光となる。その後の2周回目(期間T2)は、次に続く互いに連続しているセグメントAおよびセグメントBが非発光、そして次のセグメントCが発光、そして次のセグメントDが非発光となる。以下、図14の通りに非発光セグメントを1周回ごとにずらしながら、3回転(期間T3経過後)で元に戻り、期間T1乃至期間T3からなる3サイクルが繰り返される。
【0117】
この構成では、ある周回における発光セグメントと、次の周回における発光セグメントとが重ならない。回転蛍光板13が3回転する間に各セグメントの発光期間は1回ずつで互いに等しくなっている。そのため、各セグメント(セグメントAないしセグメントD)における励起光70の照射光量の時間平均は互いに等しい。
【0118】
回転蛍光板13の回転周期11.1msと光源11の発光周期16.66msとの最小公倍数33、33ms(回転蛍光板13の回転周期の3回転分)を1単位時間とすると、1単位時間で最初の状態に戻り、以後、同じことが繰り返される。回転蛍光板13が3回転する間に各セグメントの発光期間は1回ずつで互いに等しくなっている。そのため、各セグメント(セグメントAないしセグメントD)における励起光70の照射光量の時間平均は互いに等しい。言い換えれば、全てのセグメント(セグメントAないしセグメントD)において、1単位時間あたりに照射される励起光70の積算光量は互いに等しい。これにより、位置的、時間的に励起光70の照射部位が分散、平均化され、短時間に局部的に光が集中して温度上昇することが抑制される。
【0119】
本実施形態のプロジェクター2では、発光期間のデューティが50%未満であるので、ある周回における非発光セグメントと、次の周回における非発光セグメントとが互いに重ならないことは起こりえない。そのため、4個のセグメントのうちいずれかのセグメントは、連続する2つの周回で発光セグメントになるが、これはやむを得ない。しかし、回転蛍光板13の回転数と光源11の発光周波数(励起光70の射出周波数)の関係を調整することによって、第1実施形態と同様に、蛍光体13b上に励起光が照射される位置を時間経過とともに周回移動させることができる。よって、蛍光体13bの温度が過度に上昇することが抑制され、蛍光体13bの劣化や蛍光体13bの波長変換効率の低下が生じにくいプロジェクターが提供される。
【0120】
[第4実施形態]
第1実施形態では、3D画像を表示するプロジェクターに本発明に係る光源装置を適用する例を示したが、第4実施形態では、2D画像を表示するプロジェクターに本発明にかかる光源装置を適用する例を示す。ただし、2D画像を表示するプロジェクターの構成は第1実施形態で示した3D画像を表示するプロジェクター1の構成と同一であるため、プロジェクターの構成に関する説明は省略する。
【0121】
本実施形態に係るプロジェクターでは、蛍光体13bからの緑色光の発光を調整することによって、生成される画像の色合いを調整することができる。本実施形態に係るプロジェクターの動作を制御する制御系の機能構成はプロジェクター1の動作を制御する制御系の機能構成と類似しているため、図2を適宜参照しながら制御系について説明する。また、第4実施形態のプロジェクターにおいては第1実施形態と同様に、蛍光体13bを回転蛍光板13の回転方向に沿って3個のセグメント(扇状領域)に分割するため、図3を適宜参照しながら本実施形態を説明する。なお、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0122】
図15は、回転蛍光板13の回転周期と光源11の発光タイミングとの関係を示す図である。図16は、励起光が照射されるセグメント(発光セグメント)を1周回ごとに時系列的に示した図である。図16において「○」は光源を発光させることを示し、「×」は光源を発光させないことを示す。
【0123】
初めに、図2を参照しながら、光源11およびモーター14の制御方法について説明する。本実施形態では、蛍光体13bからの緑色光の発光を最大出力の1/2に調整するために、光源11を間欠的に発光させる。
【0124】
発光タイミング生成部101は、画像信号供給部64から供給されるフレーム同期信号と、緑色光の発光を調整するための調整係数を取り込む。発光タイミング生成部101は、フレーム同期信号と調整係数とに基づいて、光源11が射出する励起光の射出期間を制御するための発光タイミング信号を生成し、その発光タイミング信号を光源駆動部62と回転周期決定部102とに供給する。発光タイミング信号は、例えば正アクティブのパルス信号である。この発光タイミング信号に基づいて、光源11は図15に示したように励起光を間欠的に射出する。
【0125】
光源11の発光の最小単位時間および光源11の非発光の最小単位時間をTEとする。発光の最小単位時間TEはフレーム周期の1/12である。
【0126】
回転周期決定部102は、発光タイミング生成部101から供給される発光タイミング信号を取り込み、回転蛍光板13の回転周期を計算する。回転周期決定部102は、回転蛍光板13が回転しているときに、蛍光体13bのうち第1の領域には、一の周回において励起光が照射され、第1の領域のうち少なくとも一部の領域には、他の周回において励起光が照射されないように回転周期値を決定する。具体的には、回転蛍光板13の回転周期をTEの3倍とする。
【0127】
図3に示すように、本実施形態の回転蛍光板13では、蛍光体13bを回転蛍光板13の回転方向に沿って3個のセグメント(セグメントAないしセグメントC)に仮想的に分割する。ただし、3個のセグメントの中心角は互いに等しい。なお、第4実施形態における一のセグメントは、光源11が点灯する最小単位時間TEの間に集光スポット70が描く軌跡に対応する扇状領域である。
【0128】
発光タイミング信号および回転蛍光板13の回転周期を上記したように設定すると、セグメントA乃至セグメントCの発光タイミングは図16に示したようになる。回転蛍光板13の回転から見ると、1周回目(期間T1)と、1周回目に続く2周回目(期間T2)とにおいては、セグメントAが発光セグメントであり、次に続くセグメントBは非発光セグメントであり、次に続くセグメントCは発光セグメントである。そして、2周回目に続く3周回目(期間T3)と、3周回目に続く4周回目(期間T4)とにおいては、セグメントAが非発光セグメントであり、次に続くセグメントBは発光セグメントであり、次に続くセグメントCは非発光セグメントである。4周回目に続く5周回目(期間T5)では、再び、セグメントAが発光セグメントであり、次に続くセグメントBは非発光セグメントであり、次に続くセグメントCは発光セグメントである。このように、4周回目(期間T4)の次の5周回目で再び1周回目(期間T1)に戻り、期間T1乃至期間T4からなる4サイクルが繰り返される。
【0129】
上記の発光タイミングでは、セグメントAおよびセグメントCには、1周回目と2周回目に続けて励起光が照射される。しかし、セグメントAおよびセグメントCには、2周回目に続く3周回目および4周回目(期間T4)には続けて励起光が照射されない。そのため、蛍光体層の励起光が照射される領域が周回毎に常に同じである場合に比べて、蛍光体13bの温度上昇を小さくすることができる。
【0130】
図15に示したように、緑色用光源装置10Gから射出される緑色光の各フレーム周期における平均的な光強度は互いに等しくなり、各フレーム周期において全期間緑色用光源装置10Gから緑色光を射出する場合と比較して、緑色光の平均的な光強度を1/2に弱めることができる。このようにして、生成される画像の色合いを調整することができる。
【0131】
さらに、フレーム周期を1単位時間とすれば、1単位時間の間に各セグメントが発光する期間は2回ずつで互いに等しい。そのため、各セグメント(セグメントAないしセグメントC)の励起光照射光量の時間平均は互いに等しい。言い換えれば、全てのセグメント(セグメントAないしセグメントC)において、1単位時間あたりに照射される励起光70の積算光量は互いに等しい。これにより、位置的、時間的に励起光70の照射部位が分散、平均化され、短時間に局部的に光が集中して温度上昇することが抑制される。
【0132】
[変形形態]
第1実施形態ないし第3実施形態では、円板13aの上に蛍光体層13bが設けられていたが、円板13aの内部に蛍光体が分散されている基板を用いてもよい。
【0133】
また、第1実施形態ないし第3実施形態では、光源11を間欠発光させるプロジェクターの例として、右眼用画像と左眼用画像の間に非発光期間を設ける3D表示用プロジェクターと、フィールドシーケンシャル方式により赤色の画像光、緑色の画像光および青色の画像光を順次生成する2D表示用プロジェクターとを説明した。しかし、プロジェクターの構成はこれに限定されない。本発明は、光源を間欠発光させて回転基板上の蛍光体13bに間欠的に励起光を照射する構成に対して広く適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
10G…光源装置、11…光源、13a…円板(基板)、13b…蛍光体(蛍光体層)、30G…緑色用液晶表示素子(光変調素子)、50…投射光学系、61…制御部(制御装置)、70…励起光、80G…光源装置、100…マイクロミラー型光変調素子(光変調素子)、101…発光タイミング生成部(発光タイミング生成装置)、102…回転周期決定部(回転周期決定装置)、A〜Q…セグメント、Ax…回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体層を含み、かつ所定の回転軸の回りに回転可能な基板と、
前記蛍光体層を励起する励起光を間欠的に発する光源と、
前記基板が回転しているときに、前記蛍光体層のうち第1の領域には、一の周回において前記励起光が照射され、前記第1の領域のうち少なくとも一部の領域には、他の周回において前記励起光が照射されないように、前記基板の回転を制御する回転周期決定装置と、
を備えている光源装置。
【請求項2】
前記回転周期決定装置は、前記基板が回転しているときに、前記蛍光体層のうち前記一の周回において前記励起光が照射される領域と、前記蛍光体層のうち前記他の周回において前記励起光が照射される領域とが互いに重ならないように、前記基板の回転を制御する請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記回転周期決定装置は、前記基板が回転しているときに、前記蛍光体層のうち前記一の周回において前記励起光が照射されない領域と、前記蛍光体層のうち前記他の周回において前記励起光が照射されない領域とが互いに重ならないように、前記基板の回転を制御する請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記蛍光体層を前記基板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割したときに、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち第1のセグメントに照射される前記励起光の積算光量は、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち前記第1のセグメントとは異なる第2のセグメントに照射される前記励起光の積算光量と等しい請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記他の周回は、前記一の周回の次の周回である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
全ての前記セグメントにおいて、単位時間あたりに照射される前記励起光の積算光量は互いに等しい請求項4に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光源の発光タイミングを制御する発光タイミング信号として、フレーム周期に同期した周期を有する発光タイミング信号を生成する発光タイミング生成装置をさらに備え、
前記回転周期決定装置は、前記基板の回転周期として、前記発光タイミング信号の周期の非整数倍の回転周期を決定する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記回転周期決定装置は、前記光源の発光期間のデューティをδ(0<δ<1)として、前記発光タイミング信号の周期の(1+δ)倍の周期を前記基板の回転周期として決定する請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記デューティδは0.5以下である請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
蛍光体層を含み、かつ所定の回転軸の回りに回転可能な基板と、
前記蛍光体層を励起する励起光を間欠的に発する光源と、
前記基板の回転が前記励起光の発光と非同期となるように、かつ、前記蛍光体層を前記基板の回転方向に沿って複数のセグメントに分割したときに、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち第1のセグメントに照射される前記励起光の積算光量が、単位時間あたりに前記複数のセグメントのうち前記第1のセグメントとは異なる第2のセグメントに照射される前記励起光の積算光量と等しくなるように、前記基板の回転を制御する回転周期決定装置と、
を備えている光源装置。
【請求項11】
全ての前記セグメントにおいて、単位時間あたりに照射される前記励起光の積算光量は互いに等しい請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された前記蛍光を画像信号で変調する光変調素子と、
前記光変調素子により変調された前記蛍光を投射する投射光学系と、
を備えているプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−11794(P2013−11794A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145410(P2011−145410)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】