説明

光源

光源は、マグネトロン(1)によって電力を供給され、励起可能な充填物を有するプラズマ空洞(8)を備える石英ルツボ(2)を備え、使用時には当該石英ルツボ(2)から光が放射される。二つのアルミニウム連結ブロック(3,4)が共に連結され、前記ブロック(3)は前記マグネトロン(1)のケーシング(5)にネジ(図示せず)で連結される。前記石英ルツボはファラデーケージ(6)によって前記ブロックに連結され、当該ファラデーケージ(6)はその縁部(7)で前記ブロック(4)に固定される穴のあいた金属包囲体の形状をなす。前記マグネトロンの出力構造(11)は、当該出力構造(11)に電気的に接触して適合する導電性の銅キャップ(12)を有する。前記キャップは銅ロッド(14)によって延長される。前記ロッドは、前記ブロック(3,4)を通って、前記ルツボ(2)内の内径(15)の中まで伸びており、前記マグネトロンから前記ルツボの中にマイクロ波を連結する。空隙(16)が前記ブロック3内において前記キャップ(12)の周りに備えられる。前記キャップから、前記ロッドは、アルミナセラミックスチューブ(17)内をごくわずかな空隙を有しつつ、この空隙と、前記ブロック(3)の終端壁の開口部に配置される前記ブロック(4)のボス(18)と、を通過して伸びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,737,809号明細書(特許文献1)において、以下のように記載され特許請求されている。
【0003】
1.(a)事前に選択された形状で事前に選択された寸法のセラミック誘電材料を備えた本体を有し、前記本体は第1導波路外表面によって決定される第1側を有する導波路と、
(b)前記導波路本体の内側に位置して密接に接触し、マイクロ波源から前記本体内にマイクロ波エネルギーを連結するように適合され、このマイクロ波源は出力と入力を有していて、事前に選択された周波数と強度において、約0.5〜約30GHzの周波数範囲内で動作するものであり、前記本体が少なくとも1つの電界最大値を有する少なくとも1つの共振モードで共振するように、前記周波数と、前記強度と、前記本体の形状及び寸法が選択されて、前記マイクロ波源の出力に接続される第1マイクロ波供給口と、
(c)前記第1表面から前記導波路の本体内によって依存する封入された第1空洞共振器と、
(d)動作時の電界最大値に対応する位置で前記空洞共振器内に配置され、共振している前記導波路の本体からマイクロ波エネルギーを受取ると発光プラズマを形成する充填ガスを包含する第1バルブと、
を備えることを特徴とするランプ。
【0004】
我々は、このランプをセラミック導波路ランプと名付け、その技術開発を行い、特にマイクロ波源の出力インピーダンスを導波路の入力インピーダンスに整合させるための整合回路の開発を行った。これは、我々の国際特許出願番号PCT/GB2007/001935(『出願第1935号』:特許文献2)に記載されている。英国出願番号GB0820183.2での英国国内段階への移行時に、主要な請求項は次のように補正されている。
【0005】
1.マイクロ波エネルギー源によって駆動されるランプであって、
・無電極放電バルブと、
・前記バルブにマイクロ波エネルギーを放射するための放射器と、
・導電性シールドで覆われるセラミック材料から形成されるバルブ受け器と、
・マイクロ波回路と、を備え、
前記受け器は、
・前記バルブを収容し、前記バルブから光を輝かせるように開口する第1の凹部と、
・前記放射器を収容し、前記放射器にマイクロ波を接続できるように開口する第2の凹部と、を備え、
前記マイクロ波回路は、
・前記マイクロ波エネルギー源からのマイクロ波エネルギー用の入力部と、
・前記セラミック受け器内の前記放射器への出力接続部と、を備え、
前記マイクロ波回路が、
・バンドバスフィルタとして構成され、前記マイクロ波エネルギー源の出力インピーダンスを、前記回路,前記受け器およびバルブ結合体の入力インピーダンスへ整合させる容量性−誘電性回路(a capacitative-inductive circuit)、
であることを特徴とするランプ。
【0006】
我々の導波路内の無電極バルブの開発では、光が導波路を通じて放射できるように前記ランプと前記導波路を組み合わせている。この開発は、我々の国際出願番号PCT/GB2008/003829(特許文献3)の主題である。これは以下のように記載し特許請求している。
【0007】
1.マイクロ波エネルギーで駆動される光源であって、
・そこから光を出すために半透明な材料からなり、中に密封空洞を有する固体のプラズマのルツボと、
・前記プラズマのルツボを囲み、前記プラズマのルツボから光を出すために、少なくとも部分的に光を伝送しつつ、マイクロ波を閉じ込めるファラデーケージと、
・発光プラズマを生成するためにマイクロ波エネルギーによって励起可能な材料からなる、前記空洞内の充填材と、
・プラズマ誘導マイクロ波エネルギーを前記充填材に伝送するために、前記プラズマのルツボ内に配置されるアンテナと、を備え、
前記アンテナは、
・マイクロ波エネルギー源へ連結するために前記プラズマのルツボの外側に伸びている接続部を有し、
その配置は、前記空洞内のプラズマからの光が前記プラズマのルツボを通り抜け、そこから前記ケージを介して放射できるようになっていることを特徴とする光源。
【0008】
この光源の理解のために、我々は以下の定義を使用する。
【0009】
「半透明」とは、半透明であるとされている物の材料が透明或いは半透明であることを意味する。
【0010】
「プラズマのルツボ」とは、プラズマを閉じ込める密封体であって、後者の充填材が前記アンテナからのマイクロ波エネルギーによって励起されるときに、前記プラズマは前記空洞内にある。
【0011】
我々はこの光源をLERと名付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,737,809号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/138276号
【特許文献3】国際公開第2009/063205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
我々は、導波路内に挿入される無電極バルブを用いるセラミック導波路ランプと、LERとの間の意義深い差異に気付いた。前者においては、始動と定常状態動作との間で、前記導波路の入力の変化がある。これは、ランプを駆動するマイクロ波源の出力インピーダンスとのインピーダンスの不整合を引き起こす。この不整合は、我々の『出願第1935号』のバンドパス整合回路において調整され、当該不整合が始動時と通常動作中の両方のマイクロ波エネルギーを通過することを可能にする。(我々は、このインピーダンスの変化の理由を理解していると十分に確信してはいない。しかし、我々はそれがセラミック導波路ランプのバルブと導波路との間の容量のずれと関係があると信じている。)LERの場合は、このような入力インピーダンスの変化はない。実際に、LERの入力インピーダンスが始動と通常動作の間で実質的に一定のままであることに気付き驚かされた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
我々の特許出願第0907947.6号において、以下を記載している。
【0015】
マイクロ波エネルギーで駆動される光源であって、
・そこから光を出すために半透明な材料からなり、中に密封空洞を有する固体のプラズマのルツボと、
・前記プラズマのルツボを囲み、前記プラズマのルツボから光を出すために、少なくとも部分的に光を伝送しつつ、マイクロ波を閉じ込めるファラデーケージと、
・発光プラズマを生成するためにマイクロ波エネルギーによって励起可能な材料からなる、前記空洞内の充填材と、
・プラズマ誘導マイクロ波エネルギーを前記充填材に伝送するために、前記プラズマのルツボ内に配置されるアンテナと、を備え、
前記アンテナは、
・前記マイクロ波エネルギー源へ連結するために前記プラズマのルツボの外側に伸びている接続部を有し、
前記光源はまた、
・前記密封空洞内で発光プラズマを励起するために、前記半透明のルツボと前記ファラデーケージの内部において、共振を励起する周波数でマイクロ波を発生させる発生器と、
・前記発生器から前記アンテナへマイクロ波を連結するための導波路と、を備え、
前記導波路は、
・実質的に半波長の2倍以上の長さであり、
・その入力端から4分の1波長に配置される、前記発生器からの出力部と、
・その出力端から4分の1波長に配置される、前記アンテナの接続部への入力部と、
を有することを特徴とする光源。
【0016】
我々は、前記発生器と前記アンテナとの間の同軸接続によって、前記導波路を代用し得ることを究明したという点において、今や前記発生器から前記アンテナへマイクロ波を連結する導波路の代替を開発した。
【0017】
したがって、本発明によれば、以下のものが提供される。
【0018】
マイクロ波エネルギーで駆動される光源であって、
・そこから光を出すために半透明な材料からなり、中に密封空洞を有する固体のプラズマのルツボと、
・前記プラズマのルツボを囲み、前記プラズマのルツボから光を出すために、少なくとも部分的に光を伝送するマイクロ波閉じ込み用のファラデーケージと、
・発光プラズマを生成するためにマイクロ波エネルギーによって励起可能な材料からなる、前記空洞内の充填材と、
・プラズマ誘導マイクロ波エネルギーを前記充填材に伝送するために、前記プラズマのルツボ内に配置されるアンテナと、を備え、
前記アンテナは、
・前記マイクロ波エネルギー源へ連結するために前記プラズマのルツボの外側に伸びている接続部を有し、
前記光源はまた、
・前記密封空洞内で発光プラズマを励起するためのものであって、マイクロ波の出力部を有するマイクロ波の発生器と、
・前記発生器を前記半透明なルツボへ取り付けるためのものであって、
・前記発生器の出力部から前記アンテナの接続部へ伸びる導電性の囲いを備えた通路、を有する取り付け手段と、
・前記発生器の出力部から前記アンテナの接続部までの前記通路に沿って通るものであって、前記発生器から、その中でプラズマが励起する前記半透明なルツボへの、マイクロ波エネルギー用の伝送線を、前記導電性の通路と共に形成する導電体と、
を備えることを特徴とする光源。
【0019】
好適には、前記発生器は、前記半透明なルツボの内部において、共振を励起する周波数でマイクロ波を発生させるのに適合する。
【0020】
好適には、前記ファラデーケージと前記マイクロ波発生器の筐体は、前記通路の前記導電性の囲いによって、共に電気的に接続される。通常は、前記ケージ,前記筐体,および前記囲いの全てが接地される。当該好適な実施例においては、前記導電性の囲いは、前記ファラデーケージおよび前記半透明なルツボと、前記マイクロ波発生器とを接続する金属体の穴である。
【0021】
好適には、前記導電体は前記穴と同軸で、当該導電体はスペーサによって前記穴の中心に保持される。便宜上、前記スペーサは固体誘電体材料で、本好適な実施例においてはアルミナセラミックス製である。
【0022】
本発明の理解に役立てるために、例として具体的な実施例が、添付図面を参照しながらここに記述される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における光源の分解図である。
【図2】図1の光源の部分的な中央断面図である。
【図3】好適な実施例の寸法を示す、図2と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
各図面を参照すると、前記光源はマグネトロン1によって電力を供給され、石英ルツボ(quartz crucible)2を有し、使用するとき当該石英ルツボ2から光が放射される。
【0025】
二つのアルミニウム連結ブロック3,4が一緒に連結され、前記ブロック3は前記マグネトロン1のケーシング5にネジ(図示せず)で連結される。前記石英ルツボはファラデーケージ6によって前記ブロック4に連結され、当該ファラデーケージ6はその縁部7で前記ブロック4に固定される穴のあいた金属包囲体の形状をなす。
【0026】
前記石英ルツボは中央空洞8内の励起充填材を包み込み、当該中央空洞はエンドボス9によって閉じられる。
【0027】
本発明によれば、前記マグネトロンの出力構造11は、当該出力構造11に電気的に接触して適合する導電性の銅キャップ12を有する。前記キャップは銅ロッド14によって拡張される。前記ロッドは、前記ブロック3,4を通って、前記ルツボ2内の内径15の中まで伸びており、前記マグネトロンから前記ルツボの中にマイクロ波を連結する。
【0028】
空隙16が、前記ブロック3内において前記キャップ12の周りに備えられる。前記キャップから、前記ロッドは、アルミナセラミックスチューブ17内で無視できるごくわずかな空隙を有しつつ、この空隙と、前記ブロック3の終端壁の開口部に配置される前記ブロック4のボス18とを通過して伸びる。
【0029】
前記各構成要素は、2.4GHzでの運用のために寸法づけられる。それらの寸法は図3に示される。
【0030】
使用時に、前記マグネトロンで発生したマイクロ波は前記伝送線に沿って伝播し、当該伝送線は、前記各ブロックの内部で、前記構造11と、前記キャップ12と、前記ロッド14と、前記セラミックスチューブ17と、前記空隙16と、穴19と、に同軸に配置される前記ロッド14によって形成され、当該内径19内で前記セラミックスチューブはごくわずかな空隙を有して伸び、それらの全ては横断面が円形で同心である。前記ロッドの先端から、前記マイクロ波が前記石英ルツボの中に放射され、前記空洞8で最大電界強度を有しつつ電磁共振を起こすことで、光を放射するために石英ルツボの中でプラズマを引き起こす。前記プラズマは、前記ブロック4内の穴20の図示していないスタータによって開始される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波エネルギーで駆動される光源であって、
・そこから光を出すために半透明な材料からなり、中に密封空洞を有する固体のプラズマのルツボと、
・前記プラズマのルツボを囲み、前記プラズマのルツボから光を出すために、少なくとも部分的に光を伝送するマイクロ波閉じ込み用のファラデーケージと、
・発光プラズマを生成するためにマイクロ波エネルギーによって励起可能な材料からなる、前記空洞内の充填材と、
・プラズマ誘導マイクロ波エネルギーを前記充填材に伝送するために、前記プラズマのルツボ内に配置されるアンテナと、を備え、
前記アンテナは、
・前記マイクロ波エネルギー源へ連結するために前記プラズマのルツボの外側に伸びている接続部を有し、
前記光源はまた、
・前記密封空洞内で発光プラズマを励起するためのものであって、マイクロ波の出力部を有するマイクロ波の発生器と、
・前記発生器を前記半透明なルツボへ取り付けるためのものであって、
・前記発生器の出力部から前記アンテナの接続部へ伸びる導電性の囲いを備えた通路、を有する取り付け手段と、
・前記発生器の出力部から前記アンテナの接続部までの前記通路に沿って通るものであって、前記発生器から、その中でプラズマが励起する前記半透明なルツボへの、マイクロ波エネルギー用の伝送線を、前記導電性の通路と共に形成する導電体と、
を備えることを特徴とする光源。
【請求項2】
前記発生器は、前記半透明なルツボの内部において、共振を励起する周波数でマイクロ波を発生させるのに適合することを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記ファラデーケージと前記マイクロ波発生器の筐体は、前記通路の前記導電性の囲いによって共に電気的に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光源。
【請求項4】
前記ケージ,前記筐体,および前記囲いの全てに接地を備えることを特徴とする、請求項3に記載の光源。
【請求項5】
前記導電性の囲いは、前記ファラデーケージおよび前記半透明なルツボと、前記マイクロ波発生器とを接続する金属体の穴であることを特徴とする、請求項3または4に記載の光源。
【請求項6】
前記導電体は前記穴と同軸で、当該導電体はスペーサによって前記穴の中心に保持されることを特徴とする、請求項5に記載の光源。
【請求項7】
前記スペーサは固体誘電材料からなることを特徴とする、請求項6に記載の光源。
【請求項8】
前記固体誘電材料はアルミナセラミックスであることを特徴とする、請求項7に記載の光源。
【請求項9】
前記導電体は、前記マイクロ波発生器の出力構造に適合する金属キャップに接続されることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の光源。
【請求項10】
前記マイクロ波発生器はマグネトロンであることを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−501335(P2013−501335A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523374(P2012−523374)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001439
【国際公開番号】WO2011/015807
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(507212067)セラビジョン・リミテッド (14)
【Fターム(参考)】