説明

光点認識液面レベル計

【課題】河川、水路、ダム、貯水池などの水位を量水板の目盛りに対して誤差なしに高精度、非接触方式で測定することが課題である。
【解決手段】従来の非接触水位計として超音波式水位計、電波式水位計は超音波、電波の放射角度が広く距離が長い水位測定が困難であった。
また、圧力式水位計では水中の圧力センサーへの土砂堆積、付着物などによる誤差、または空気開放チューブからの水分の侵入により誤差が発生する。
本発明は量水板の目盛りに合わせて、設置したLED発光の光点を水面上と水面下で区別して認識することにより水位を測定する光点認識水位計である。
本水位計は複数の照光板ユニットを直列接続することで短スパンから長スパンまで水位測定を機械的機構なしに、非接触で可能とし、基準となる量水板との目盛校正を必要としない。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、▲1▼測定水深が大きく、測定スパンが長い場合の水位測定、▲2▼量水板目盛りの読み等の基準となる水位に対して水位誤差を生ぜず、ゼロ調整、フルスケール調整を必要としない。▲3▼傾斜がある断面のため池、ダムなどの水位測定が可能、等の特徴を有する光点認識液面レベル計を提供するものである。なお、本液面計は化学プラント等のタンク等の液面レベル測定にも適用できる。
【背景技術】
【0002】
発光器としてLEDランプは直線上に10mm以下の間隔で多数個を配置して、複数のLEDランプを自由に点灯制御回路によって点灯が可能である。また、赤外線用LED光は霧を透過する。
受光器として可視光線用、赤外線用の高感度素子が実用化されている。受光器としてのCCDによる撮像素子は高集積化が可能で、撮影画像として高分解能が得られる。また、赤外線用の撮像素子も高分解能の素子が得られている。
水位測定水面上限から測定水面下限まで、発光器を定位置間隔で配置した照光板を水位測定範囲に設置し、照光板上の発光器の点滅を受光器で受光する。水面下にある発光器のランプは点灯しても光は水により吸収され空気中に放射されないため、受光器による点灯状態の認識ができない。水面上の発光器の光は点灯状態の認識ができる。
照光板上の発光器を順次点灯し、点灯タイミングに合わせて、受光器が照光板上の光点位置認識する。
本発明は水面下、水面上に配置された発光器の光点を受光器で認識することにより、光点認識、光点非認識の境目の位置を検出することにより水位を測定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、河川、ダム、貯水地などの水位計には、機械的な方法としてフロート式が使用されている。この方式は水面の上昇下降にしたがつて上下するフロートに取付けたワイヤを巻き込むリールの回転角度から水位を換算するもので水位計測精度として±1cm程度が得られるが、土木構造物として大きな測水筒を必要とする。このために最近ではダム、大河川などの他はあまり使用されていない。
測定水面に接触して測定する接触式水位計として水圧式水位計が多く使用されている。
この方式は水深に比例した水圧を感圧素子で測定するもので、大気圧と比較して測定するために大気開放チューブを必要とし、このチューブから感圧部に湿気が入ったり、感圧部が河川等の土砂に埋もれると測定誤差の原因となる。このため、経年的な安定性が課題となっている。
非接触水位計としては超音波式水位計と電波式水位計が用いられている。
これらは、水面にセンサー部が接触しないために、経年的に安定な測定ができる。
しかし、超音波式、電波式ともセンサーからの距離によって、放射角度が広がり、放射角度内に超音波または電波を遮蔽する障害物が存在すれば使用できない等の理由により、実用的に測定できる水位が制限される。
なお、電波式は超音波式に比較して測定精度が良く、測定スパンに関係なく±1cmの精度が得られる。
本発明の光点認識水位計はフロート式のように規模の大きい測水筒を必要とせず、水圧式水位計のように経年的な測定精度劣化の問題がなく、電波式、超音波式のように測定水深の制限がない水位計である。
また、測定精度は量水板の目盛りに合わせて、発光器を配置することにより、ゼロ点、フルスケールの校正を必要とせず発光器の配置間隔と同等の精度が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1は水路で水位測定を行う場合の3照光板、13受光器の配置例を示す。
(イ)6測定水面上限から5測定水面下限まで、発光器を等間隔で配置した照光板を水位測定範囲に設置する。
(ロ)3照光板上の発光器を定められた順序と時間間隔で点灯するよう制御する。
(ハ)3照光板上の発光器を受光エリアとする13受光器によって発光器の点灯光を受光する。
(ニ)3照光板上で点灯した発光器の点灯タイミングに合わせて、受光器が点灯発光器の点灯光を検知する。
(ホ)2測定水面より下にある発光器の点灯認識は水中に点灯光が吸収されるため13受光器で検出できない。測定水面より上にある発光器の点灯認識は点灯光が13受光器に到達するために検出できる。
(ヘ)2測定水面は点灯認識不可の発光器の位置と点灯認識可の発光器の位置の間にあると判定する。
(ト)図1において2測定水面より上の黒丸●で示した11水面上の発光器の点灯は点灯認識され、2測定水面より下の白丸○で示した12水面下の発光器の点灯は点灯認識されない。以上により水位が測定できる。
【発明の効果】
【0005】
従来の水位計の課題を解決することにより得られる効果は以下による。
第1に、従来の機械式のフロート式水位計のように浮力とバランスしてワイヤを巻き込むリール機構などが不要のために、フロート式水位計設置のために必要な口径の大きい測水筒が不要である。
第2に、水圧式水位計のように感圧部を水中に沈めて使用する方式では大気解放チューブから感圧部に湿気が入ったり、感圧部が河川等の土砂に埋もれると測定誤差の原因となる。
光点認識水位計ではこれらにもとづく劣化要因はなく、ゼロ調整、フルスケール調整は必要がない。
第3に、3照光板をユニット化して、直列接続することにより超音波式水位計、電波式水位計に比べて長スパンの測定が可能である。
第4に、測定精度は3照光板上のLEDの配置間隔を1cm以下とすることにより±1cm以下の水位測定精度が得られる。
第5に、3照光板の水平方向の設置位置を量水板の水平位置と合わせて設置することにより水位目盛りの校正を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】「光点認識水位計の基本構成を示した図面である。」
【図2】「光点認識水位計の基本構成の制御ブロック図である。」
【図3】「光点認識水位計の受光器にCCDカメラを用いた場合の基本構成を示した図面である。」
【図4】「光点認識水位計の受光器にCCDカメラを用いた場合の基本構成の制御ブロック図である。」
【図5】「光点認識水位計の受光器にCCDカメラを用いた場合の基本構成のカメラモニタ画面上の光点認識点を示したものである。」
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1の光点認識水位計の基本構成において、発光器は可視光線のLEDランプ、赤外線LEDランプ等用途により使い分けされる。また、受光素子についても可視光線の受光ダイオード、赤外線用の受光ダイオード等が用途により使い分けされる。
13受光器の設置位置はすべての発光器の受光エリアになるような位置とする。
【0008】
図3は水路で水位測定を行う場合の3照光板、4CCDカメラの配置例を示す。発光器としてLEDランプを用いている。
図4は3照光板で点灯するLEDランプ位置に同期して、点滅を8画像認識回路で認識するブロック図を示す。
図5は3照光板上のLEDランプの配置例および9カメラモニタ画面上での13光点認識エリアを示す。
(イ)6測定水面上限から5測定水面下限まで、LEDランプを等間隔で配置した照光板を水位測定範囲に設置する。
(ロ)照光板上のLEDランプは7LEDランプ点灯制御回路によって定められた順序と時間間隔で点灯するよう制御する。
(ハ)照光板上のLEDランプを撮像範囲とする4CCDカメラによって照光板を撮影する。
(ニ)照光板上で点灯制御するLEDランプの点灯タイミンクに合わせて、点灯LEDランプの照光板上の点灯認識を行う。
(ホ)点灯認識は4CCDカメラの撮像素子により撮影された画像をもとに行う。撮影画像は9カメラモニタ画面に表示され、この画像の13光点認識エリアに点灯したLEDランプの光点が存在することを8画像認識回路で画像処理によって行う。
(ヘ)すなわち、9カメラモニタ画面において、3照光板の決められた位置のLEDランプの点灯認識は点灯タイミングに合わせて、13光点認識エリアの点灯光を検知することにより行う。
(ト)2測定水面より下にあるLEDランプの点灯認識は水中に点灯光が吸収されるため13光点認識エリアで検出できない。測定水面より上にあるLEDランプの点灯認識は点灯光が撮像素子に到達するために13光点認識エリアで検出できる。
(チ)2測定水面は点灯認識不可のLEDランプの位置と点灯認識可のLEDランプの位置の間にあると判定する。
(リ)図5において2測定水面より上の黒丸●で示したLEDランプは点灯認識され、2測定水面より下の白丸○で示したLEDランプは点灯認識されない。
【0009】
2測定水面に対して実際の水位は波浪等の影響で、上下に振れる。これに対して点灯認識するLEDランプ位置、点灯認識しないLEDランプ位置を平均化することにより平均水位を求めることができる。
【0010】
河川、水路、ダムなどの水位の基準は基準点標高から求めた量水板によっている。
従って、水位計の基準標高は量水板をもとに決定される。
3照光板の構成方法として、量水板と一体構造で構成することにより、量水板の目盛りとズレを生じることがない。また、この場合4CCDカメラにより実水位を量水板で目視確認ができる。
【0011】
3照光板はLEDランプを1cm間隔で100個直列に並べた場合、1mとなる。一般に測定水位はフルスケールで数10m以上になる。例えば、測定スパンが20mの場合は1m長の照光板を20個直列接続して測定する。
【0012】
水路壁面に傾斜がある断面のため池、ダム、河川、水路に対しては照光板を傾斜に沿って斜めに取り付けて測定する。この場合、傾斜角度に従って、LEDランプの取付間隔を広げる方法と垂直断面と同じ間隔とし、傾斜角による補正演算によりスケール変換する方法がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)測定液面上限から測定液面下限まで、複数の発光器を定められた間隔で配置した照光板を液面測定範囲に設置する。
(ロ)照光板上の発光器は点灯制御回路によって定時間間隔で順次点灯するよう制御する制御装置を有するものとする。
(ハ)照光板上の発光器の受光エリアに配置した受光器または撮像素子によって照光板よりの光を受光する受光器を有するものとする。
(ニ)照光板上で点灯制御された発光器の点灯タイミンクに合わせて、受光器または撮像素子で点灯認識を行い、点灯した発光器を特定して、照光板上の発光器の点灯位置認識を行う。このための点灯位置認識回路を有するものとする。
(ホ)測定液面より下にある発光器の点灯による点灯位置認識は液中に点灯光が吸収されるためにできない。測定液面より上にある発光器の点灯による点灯位置認識は点灯光が受光器または撮像素子の受光エリアに配置されているためにできる。これにより、測定液面の液面レベルは点灯認識不可の発光器の位置と点灯認識可の発光器の位置の間にあると判定する。このための液面レベル判定出力回路を有するものとする。これにより液面レベルの測定ができる
以上の方法と構成よりなる光点認識液面レベル計

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−141256(P2011−141256A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13549(P2010−13549)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(594161046)
【Fターム(参考)】