説明

光照射ユニット

【課題】 互いに発光波長帯が異なる紫外線ランプおよび蛍光ランプが並設されてなる光照射ユニットにおいて、点灯を所望しない蛍光ランプの蛍光体が意図せず励起されてこれに係る波長帯域の光が放射されずに、点灯を所望する紫外線ランプに係る波長帯域の光のみを放射することができる光照射ユニットの提供。
【解決手段】 光照射ユニットは、棒状の紫外線ランプと棒状の蛍光ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設されたものであって、前記紫外線ランプおよび前記蛍光ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、前記蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射される紫外光の波長帯が互いに異なる紫外線ランプおよび蛍光ランプが並設されてなる光照射ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の希ガス蛍光ランプが並設されてなる光照射ユニットが知られており(例えば、特許文献1参照。)、さらにこのような光照射ユニットにおける複数本の希ガス蛍光ランプが互いに発光波長帯が異なるものとされているものが、植物の育成に係る装置として開発されている。この植物の育成に係る光照射ユニットは、点灯させる希ガス蛍光ランプを選択することにより、所望の発光波長帯の光を放射することができる。
【0003】
しかしながら、このような互いに発光波長帯が異なる複数本の希ガス蛍光ランプが並設されてなる光照射ユニットにおいては、所望する一の希ガス蛍光ランプから放射される波長帯域の光と共に、当該一の希ガス蛍光ランプからの放射光によって意図せず他の希ガス蛍光ランプの蛍光体が励起されてこれに係る波長帯域の光も放射されてしまう、といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−179240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、互いに発光波長帯が異なる紫外線ランプおよび蛍光ランプが並設されてなる光照射ユニットにおいて、点灯を所望しない蛍光ランプの蛍光体が意図せず励起されてこれに係る波長帯域の光が放射されずに、点灯を所望する紫外線ランプに係る波長帯域の光のみを放射することができる光照射ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光照射ユニットは、棒状の紫外線ランプと棒状の蛍光ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設された光照射ユニットにおいて、
前記紫外線ランプおよび前記蛍光ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、
前記蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものであることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の光照射ユニットは、棒状の蛍光ランプと棒状の紫外線ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設された光照射ユニットにおいて、
前記蛍光ランプおよび前記紫外線ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、
前記蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、当該紫外線ランプから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるものであることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の光照射ユニットは、棒状の第1の蛍光ランプと棒状の第2の蛍光ランプと棒状の紫外線ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設された光照射ユニットにおいて、
前記第1の蛍光ランプ、前記第2の蛍光ランプおよび前記紫外線ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、
前記第1の蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものであると共に、
前記第2の蛍光ランプが、前記第1の蛍光ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、当該第1の蛍光ランプから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光照射ユニットによれば、蛍光ランプが、紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるので、紫外線ランプに係る波長帯域の光のみの放射が所望された場合であっても、当該紫外線ランプから放射される波長帯域の光が蛍光ランプの発光管を透過しないために、蛍光ランプが意図せず発光してこれに係る不所望の波長帯域の光が放射されることがなく、点灯を所望する紫外線ランプに係る波長帯域の光のみを放射することができる。
【0010】
また、本発明の光照射ユニットによれば、蛍光ランプが、紫外線ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、当該の紫外線ランプから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるので、紫外線ランプに係る波長帯域の光のみの放射が所望された場合であっても、当該紫外線ランプから放射される波長帯域の光によって蛍光ランプの蛍光体が意図せず励起されてこれに係る不所望の波長帯域の光が放射されることがなく、点灯を所望する紫外線ランプに係る波長帯域の光のみを放射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の光照射ユニットの構成の一例を模式的に示す説明図であって、(a)は断面模式図、(b)は底面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光照射ユニットの構成の一例における発光管の光透過波長帯、発光管または蛍光体から放射される光の発光波長帯および蛍光体の励起波長帯の関係を示す概略図である。
【図3】本発明の光照射ユニットに配設される希ガス蛍光ランプの構成の一例を示す説明用断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る光照射ユニットの構成の一例における発光管の光透過波長帯、蛍光体から放射される光の発光波長帯および蛍光体の励起波長帯の関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る光照射ユニットは、棒状の紫外線ランプと棒状の蛍光ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設されたものであって、紫外線ランプおよび蛍光ランプが、互いに発光波長帯が異なるものであり、蛍光ランプが、紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものであることを特徴とするものである。
本発明において、「発光波長帯」とは、ピーク波長の発光強度の10%以上の大きさの発光強度を有する波長域をいう。
【0014】
本発明において、紫外線ランプとは、紫外領域の光を放射するものであって、例えば外部電極型の希ガス蛍光ランプ、希ガス放電ランプ、エキシマランプなどを挙げることができる。
また、本発明において、蛍光ランプとは、紫外線ランプのうち、蛍光体を有するものであって、例えば外部電極型の希ガス蛍光ランプなどを挙げることができる。
希ガス蛍光ランプは、下記に詳述するように、発光管の内表面に所定の励起波長帯の光を所定の発光波長帯の光に変換する蛍光体による膜が形成され、かつ、当該発光管内に希ガスが封入されてなるランプであり、希ガス中での放電による紫外線で蛍光体を励起させることによる発光を利用するものである。
また、希ガス放電ランプは、蛍光体を有さず、発光管内に希ガスが封入されてなるランプであり、希ガス中での放電による発光を利用するものである。
また、エキシマランプは、発光管内に誘電体バリア放電によってエキシマ分子を生成する放電用ガスが封入されてなるランプであり、エキシマ放電によってエキシマ分子を形成し、当該エキシマ分子から放射される光を利用するものである。
【0015】
図1は、本発明の光照射ユニットの構成の一例を模式的に示す説明図であって、(a)は断面模式図、(b)は底面模式図である。
この光照射ユニット20は、一方(図1(a)において下方)に向けて一面が開口された、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属材よりなる箱状の筐体25内に、1本の棒状の紫外線ランプ10A、および3本の棒状の蛍光ランプ10B〜10Dが、当該筐体25における開口面に平行な方向であって互いに同一の方向に伸びた状態で並んで配置されて収容されている。
この筐体25の開口面と対向する天井面は、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dからの放射光を反射させて筐体25の開口面に向かって放射する反射ミラー21とされている。
この光照射ユニット20における紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dは、個々に図示しない点灯装置に電気的に接続されている。これにより、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dは個々に点灯することができる状態とされている。
この光照射ユニット20においては、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dの過熱を抑止するための冷却機構が備えられていてもよい。具体的には、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dの周囲領域に冷却風を流過させる構造のものなどを用いることができる。
【0016】
そして、本発明の光照射ユニット20は、少なくとも蛍光ランプ10Bおよび当該蛍光ランプ10Bからの放射光が入射される位置、例えば隣接した位置に配設された蛍光ランプ10Cの2本が、互いに発光波長帯の異なるものとされており、さらに、当該蛍光ランプ10Cが、蛍光ランプ10Bから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものとされる。
【0017】
具体的には、図2に示されるように、蛍光ランプ10Cの発光管は、300nm以上の波長帯域の光を透過し、300nm未満の波長帯域の光を遮蔽する材料からなる。すなわち、蛍光ランプ10Bから放射される220〜280nmの波長帯域の光は遮蔽されて蛍光ランプ10Cに入射されない状態とされている。
【0018】
光照射ユニット20における紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dは、少なくとも発光波長帯の異なる2種のものが含まれていればよく、例えば、2本ずつ発光波長帯の同じである同種のものが備えられていてもよく、1本のみが発光波長帯の異なる種類のものであってもよく、4本すべてが発光波長帯の異なる種類のものであってもよい。
【0019】
以上の光照射ユニット20においては、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dのうち、所望の波長帯域の光を放射するランプ(以下、「点灯所望ランプ」ともいう。)が点灯されると、当該点灯所望ランプから放射された波長帯域の光は、直接的に、あるいは反射ミラー21によって反射されて筐体25の開口面を通過して被照射物に照射される。
【0020】
光照射ユニット20における紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dの点灯順は、特に限定されず、用途に応じて適宜に設定することができる。
また、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10B〜10Dのうち同時に点灯する本数は、特に限定されずに1本でも全部でもよく、適宜に設定することができる。
【0021】
〔希ガス蛍光ランプ〕
以上のような光照射ユニット20に備えられる蛍光ランプの一例として、例えば外部電極型の希ガス蛍光ランプについて説明する。
希ガス蛍光ランプは、図3に示されるように、ガラスなどの透光性の誘電材料よりなる発光管12を備え、当該発光管12の外表面上に、発光管12を挟んで離間する一対の帯状の外部電極14,14が、発光管12の管軸方向に沿って配設されており、発光管12の内表面には、所定の発光波長帯の光を発光する蛍光体による蛍光体膜11が周方向における一部分を除いて形成されており、この蛍光体膜11が形成されていない一部分により、光取り出し用のアパーチャ部11Aが形成されている。さらに、発光管12の内部空間である放電空間Sには、希ガスよりなる発光ガスが封入されてなる。
図3において、16,16は、外部電極14,14に電気的に接続される図示しない給電部以外を被覆する保護膜であって、例えばガラスペーストを焼成することにより、形成することができるものである。
【0022】
外部電極14,14を構成する材料は、導電性のものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウム、白金、アルミニウムなどを好適に用いることができ、発光管12の外表面にテープ状金属を貼付したり、導電性ペーストをスクリーン印刷して焼成したりすることにより、形成することができる。
【0023】
発光管12を構成する材料は、蛍光体膜11から発せられる波長帯域の光を透過させることができるものであって、具体的には、例えば合成石英ガラス、石英ガラス、オゾンレス石英ガラス、酸化セリウムコーティングの石英ガラス、紫外線透過ガラス、軟質ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスなどを用いることができる。
【0024】
蛍光体膜11を構成する蛍光体は、所定の励起波長帯の光を所定の発光波長帯の光に変換するものであって、具体的には、例えばLaPO4 :Pr、LaPO4 :Ce、Ce0.8 (Mg0.8 ,Ba0.1 )Al1118.6、YPO4 :Pr、YAl3 4 12:Bi、SrB4 7 :Eu、YPO4 :Ce、YPO4 :Ndなどを用いることができる。
【0025】
発光管12の内部に封入される希ガス(封入ガス)としては、例えばXeガス、Krガス、Arガス、Neガスまたはそれらの混合ガスなどが挙げられ、封入圧は、例えば封入ガスがXeガスである場合、50〜500Torrとすることが好ましい。NeガスおよびXeガスの混合ガスであってその質量比がNeガス:Xeガス=7:3である場合、300〜600Torrとすることが好ましい。
【0026】
この希ガス蛍光ランプにおいては、外部電極14,14間に高周波電圧が印加されると、誘電材料からなる発光管12を介して放電空間S内にエキシマ放電が発生し、このエキシマ放電により発生した真空紫外光によって蛍光体膜11を構成する蛍光体が励起されて発光管12の外部に光が放射される。
【0027】
以上のような光照射ユニット20によれば、蛍光ランプ10Cが、蛍光ランプ10Bから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるので、蛍光ランプ10Bに係る波長帯域の光のみの放射が所望された場合であっても、当該蛍光ランプ10Bから放射される波長帯域の光が蛍光ランプ10Cの発光管を透過しないために、蛍光ランプ10Cが意図せず発光してこれに係る不所望の波長帯域の光が放射されることがなく、点灯を所望する蛍光ランプ10Bに係る波長帯域の光のみを放射することができる。
【0028】
本発明の第1の実施の形態における光照射ユニット20においては、上記の実施の形態に限られず、種々の変更を加えることができる。
【0029】
例えば、蛍光ランプ10Bと蛍光ランプ10Cが互いに発光波長帯が異なり、かつ、蛍光ランプ10Cが蛍光ランプ10Bから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなる関係にあるのみでなく、紫外線ランプ10Aと、当該紫外線ランプ10Aからの放射光が入射される位置、例えば隣接した位置に配設された蛍光ランプ10Bにおいても同様の関係にある構成とすることもできる。
すなわち、紫外線ランプ10Aおよび蛍光ランプ10Bが、互いに発光波長帯の異なるものとされ、さらに、蛍光ランプ10Bが、紫外線ランプ10Aから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものとすることができる。
具体的には、図2に示されるように、蛍光ランプ10Bの発光管は、200nm以上の波長帯域の光を透過し、200nm未満の波長帯域の光を遮蔽する材料からなる、すなわち、紫外線ランプ10Aから放射される172nmの波長帯域の光は遮蔽されて蛍光ランプ10Bに入射されない状態とされていてもよい。
【0030】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る光照射ユニットは、第1の実施の形態に係る光照射ユニット20と同様の配置構成を有するものであって、蛍光ランプおよび紫外線ランプが、互いに発光波長帯が異なるものであり、蛍光ランプが、紫外線ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、当該紫外線ランプから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるものであることを特徴とする。
【0031】
この例の光照射ユニットは、少なくとも紫外線ランプおよび当該紫外線ランプからの放射光が入射される位置、例えば隣接した位置に配設された蛍光ランプの2本が、互いに発光波長帯の異なるものとされており、さらに、当該蛍光ランプが、紫外線ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、その波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるものとされる。
【0032】
具体的には、図4を用いて説明すると、蛍光ランプ10δに備えられた蛍光体は、励起波長帯が140〜290nmのものである。すなわち、紫外線ランプ10γから放射される300〜360nmの波長帯域の光は蛍光ランプ10δに入射するが蛍光ランプ10δの蛍光体は励起しない状態とされている。
【0033】
この例の光照射ユニットにおける蛍光ランプおよび紫外線ランプは、少なくとも1本ずつが発光波長帯の異なる2種のものであればよく、例えば、同本ずつ発光波長帯の同じである同種のものが備えられていてもよく、1本のみが発光波長帯の異なる種類のものであってもよく、すべてが発光波長帯の異なる種類のものであってもよい。
【0034】
以上のような光照射ユニットによれば、蛍光ランプ10δが、紫外線ランプ10γから放射される波長帯域の光では励起せず、当該の紫外線ランプ10γから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるので、紫外線ランプ10γに係る波長帯域の光のみの放射が所望された場合であっても、当該紫外線ランプ10γから放射される波長帯域の光によって蛍光ランプ10δの蛍光体が意図せず励起されてこれに係る不所望の波長帯域の光が放射されることがなく、点灯を所望する紫外線ランプ10γに係る波長帯域の光のみを放射することができる。
【0035】
以上、本発明の光照射ユニットの実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
図2に示す光照射ユニットを作製し、この光照射ユニットについて、適宜の紫外線ランプを一つずつ順に単独で点灯させ、光照射ユニットからの放射光のスペクトルを調査したところ、不所望の紫外線ランプに係る波長帯域の光が混ざっていない、所望の紫外線ランプに係る波長帯域の光のみが得られていることが確認された。
【0038】
<紫外線ランプ〔10A〕:エキシマランプ>
・発光管:材質;合成石英ガラス(「F310」(信越石英株式会社製))、外径;φ10mm、全長;450mm、肉厚;0.5mm
・反射膜:材料;SiO2 −Al2 3 、アパーチャ;60〜180°
・封入ガス:種類;Xeガス、封入圧;50〜500Torr
・外部電極:材質;Ag+フリットガラス、幅;4mm、全長;410mm
・発光波長帯:146〜172nm付近
・エキシマランプの作製方法:発光管となる合成石英ガラス管の内表面にSiO2 やAl2 3 などからなる反射膜材料を塗布した後、アパーチャを切り、約700〜1000℃で焼成することにより反射膜を形成し、発光管の外表面に外部電極を印刷、焼成した後、保護膜を印刷、焼成し、合成石英ガラス管の端部を閉じ、600℃程度で加熱排気した後、封入ガスを導入し封じ切り、端子板を外部電極の端部にハンダにより接続し、端子板にリード線をハンダ付けすることにより、作製した。
【0039】
<蛍光ランプ〔10B〕:希ガス蛍光ランプ>
・発光管:材質;オゾンレス石英ガラス(「M235」(信越石英株式会社製))、外径;φ10mm、全長;450mm、肉厚;0.5mm
・蛍光体膜:蛍光体材料;LaPO4 :Pr(Pr濃度3%)、アパーチャ;70°±10°
・蛍光体の励起波長帯:140〜200nm
・蛍光体の発光波長帯:220〜280nm
・封入ガス:種類;Xeガス、封入圧;50〜500Torr
・外部電極:材質;Ag+フリットガラス、幅;4mm、全長;410mm
・希ガス蛍光ランプの作製方法:発光管となる石英ガラス管の内表面に蛍光体材料を塗布した後、アパーチャを切り、約700〜1000℃で焼成することにより蛍光体膜を形成し、発光管の外表面に外部電極を印刷、焼成した後、保護膜を印刷、焼成し、オゾンレス石英ガラス管の端部を閉じ、600℃程度で加熱排気後、封入ガスを導入し封じ切り、端子板を外部電極の端部にハンダにより接続し、端子板にリード線をハンダ付けすることにより、作製した。
【0040】
<蛍光ランプ〔10C〕:希ガス蛍光ランプ>
・発光管:材質;軟質ガラス(「PS−94」(日本電気硝子株式会社製))、外径;φ10mm、全長;450mm、肉厚;0.5mm
・蛍光体膜:蛍光体材料;LaPO4 :Ce、アパーチャ;70°±10°
・蛍光体の励起波長帯:140〜290nm
・蛍光体の発光波長帯:300〜380nm
・封入ガス:種類;Xeガス、封入圧;50〜500Torr
・外部電極:材質;Ag+フリットガラス、幅;4mm、全長;410mm
・希ガス蛍光ランプの作製方法:発光管となる軟質ガラス管の内表面に蛍光体材料を塗布した後、アパーチャを切り、約500℃で焼成することにより蛍光体膜を形成し、発光管の外表面に外部電極を印刷、焼成した後、保護膜を印刷、焼成し、軟質ガラス管の端部を閉じ、400℃程度で加熱排気後、封入ガスを導入し封じ切り、端子板を外部電極の端部にハンダにより接続し、端子板にリード線をハンダ付けすることにより、作製した。
【0041】
<蛍光ランプ〔10D〕:希ガス蛍光ランプ>
・発光管:材質;軟質ガラス(「PS−94」(日本電気硝子株式会社製))、外径;φ10mm、全長;450mm、肉厚;0.5mm
・蛍光体膜:蛍光体材料;Ce0.8 (Mg0.8 ,Ba0.1 )Al1118.6、アパーチャ;70°±10°
・蛍光体の励起波長帯:140〜290nm
・蛍光体の発光波長帯:310〜430nm
・封入ガス:種類;Xeガス、封入圧;50〜500Torr
・外部電極:材質;Ag+フリットガラス、幅;4mm、全長;410mm
・希ガス蛍光ランプの作製方法:発光管となる軟質ガラス管の内表面に蛍光体材料を塗布した後、アパーチャを切り、約500℃で焼成することにより蛍光体膜を形成し、発光管の外表面に外部電極を印刷、焼成した後、保護膜を印刷、焼成し、軟質ガラス管の端部を閉じ、400℃程度で加熱排気後、封入ガスを導入し封じ切り、端子板を外部電極の端部にハンダにより接続し、端子板にリード線をハンダ付けすることにより、作製した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の光照射ユニットは、2種以上の異なる波長の光に反応するUV硬化型接着剤やUVインクなどを備えたものを被照射物として、これらを硬化、あるいは乾燥させる装置としての応用が期待できる。
【符号の説明】
【0043】
10A、10γ 紫外線ランプ
10B〜10D、10δ 蛍光ランプ
11 蛍光体膜
11A アパーチャ部
12 発光管
14 外部電極
16 保護膜
20 光照射ユニット
21 反射ミラー
25 筐体
S 放電空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の紫外線ランプと棒状の蛍光ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設された光照射ユニットにおいて、
前記紫外線ランプおよび前記蛍光ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、
前記蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものであることを特徴とする光照射ユニット。
【請求項2】
棒状の蛍光ランプと棒状の紫外線ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設された光照射ユニットにおいて、
前記蛍光ランプおよび前記紫外線ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、
前記蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、当該紫外線ランプから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるものであることを特徴とする光照射ユニット。
【請求項3】
棒状の第1の蛍光ランプと棒状の第2の蛍光ランプと棒状の紫外線ランプとが同方向に伸びるよう並んで配設された光照射ユニットにおいて、
前記第1の蛍光ランプ、前記第2の蛍光ランプおよび前記紫外線ランプは、互いに発光波長帯が異なるものであり、
前記第1の蛍光ランプが、前記紫外線ランプから放射される波長帯域の光を透過しない材料からなる発光管を備えてなるものであると共に、
前記第2の蛍光ランプが、前記第1の蛍光ランプから放射される波長帯域の光では励起せず、当該第1の蛍光ランプから放射される波長帯域の光の短波長端よりも短波長の波長帯域の光によって励起する蛍光体を備えてなるものであることを特徴とする光照射ユニット。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−142104(P2012−142104A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292246(P2010−292246)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】