説明

光照射美容器具

【課題】周期的に変動する生理状態に応じた光照射を行う。
【解決手段】肌の美容のための光を皮膚に対して照射する光源部2と、生体が有しているリズムに関する情報を納めた生体リズム情報記憶部3と、時計部4と、時計部から得られる現在日時情報と上記生体リズム情報記憶部から得られる生体のリズムに関する情報とに基づいて上記光源部の光出力を制御する制御手段5とを備える。生体が有しているリズムに応じた光照射を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の美容のために肌に対して光を照射する光照射美容器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を照射することで肌の美容を図る光照射美容器具には、照射する光としてレーザー光を用いるもの、低出力の非コヒーレント光を用いるもの等、各種存在しているが、この光照射に際し、皮膚の色を検出して肌の色に応じて光照射時間を制御するもの(特許文献1)があるとともに、皮膚表面の電磁波に対応するインレット信号によって光照射をフィードバック制御するもの(特許文献2)がある。
【0003】
しかし、いずれのものにおいても、生体が有している周期的変動による生理状態変化に対応した光照射を行うことはできない。
【特許文献1】特開平5−146517号公報
【特許文献2】特開平9−285520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、周期的に変動する生理状態に応じた光照射を行う光照射美容器具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る光照射美容器具は、肌の美容のための光を皮膚に対して照射する光源部と、生体が有しているリズムに関する情報を納めた生体リズム情報記憶部と、時計部と、時計部から得られる現在日時情報と上記生体リズム情報記憶部から得られる生体のリズムに関する情報とに基づいて上記光源部の光出力を制御する制御手段とを備えていることに特徴を有している。生体が有しているリズムに応じた光照射を行うことができる。
【0006】
生体リズム情報記憶部に納めた情報としては、季節変動や日内変動、潮汐周期(に対応する生体のリズム)を用いることができる。
【0007】
このほか、使用者の月経に関する情報を入力するための情報入力部を備えるとともに、前記生体リズム情報記憶部に納めた情報が月経周期についての情報であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、生体が有しているリズムに応じた光照射を行うことができて、より適切な強度の光照射を行うことができる上に、過度な光照射を行ってしまう虞を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図1に示すように、この光照射美容器具は、光源部2と、生体が有しているリズムに関する情報を納めた生体リズム情報記憶部3と、時計部4と、上記光源部2の光出力を制御する制御手段5とを備えている。
【0010】
なお、光照射美容器具の形態はどのようなものであってもよい。たとえば図2(a)に示すような手で持つことができるサイズに形成されているハウジング1の一端側に光源部2を配して、光源部2における光照射用開口部を肌に押し付けて肌の特定部位のみに光を照射するものや、図2(b)に示すように、机上などに設置するベース10に可動アーム11を介して光源部2を取り付けることで、光源部2からの光照射方向を任意に変更することができるようにしたものであってもよい。
【0011】
生体リズム情報記憶部3は、生体が有している季節変動と日内変動と潮汐周期に対応する変動に関する情報を記憶している。まず季節変動について説明すると、図3に示すように、春夏期においては肌が黄味寄りで彩度が高く且つ明度が低くなり、秋冬期においては肌の赤みと白みが増し、彩度が低く明度が高くなる。なお、図中イは額、ロは頬、ハは側頸部のデータを示す。
【0012】
このために、図4に示すように、春夏期においては、光源部2の光出力を定常出力の8割程度に減じ、秋冬期においては光源部2の光出力を定常出力の例えば1.2倍とするデータを季節変動データとして生体リズム情報記憶部3に記憶させておき、光照射に際しては、制御部5が時計部4が出力する日時データから、現在どの季節にあるのかを判別して、上記季節変動データに基づいた倍率の光出力が得られるように光源部2に供給する電流値を制御する。肌の色調の変化は、使用者自身は気づきにくいが、この点を考慮した光照射を行うことができる。
【0013】
肌の色相は年齢によっても変化していく(図5参照)。このために使用者の年齢に応じて図6に示すように光照射強度を変化させることも好ましい。この場合、使用者の年齢(もしくは生年月日)を入力することができるようにしておく。
【0014】
また、光照射を行った後の肌は一時的にバリア機能が低下した状態にあるが、このバリア機能は一日単位で周期的に回復し、19時〜23時の間に回復が低下する。図5はバリア機能回復率の日内変動を示している。このバリア機能回復率の日内変動データを生体リズム情報記憶部4に記憶させておき、時計部4から得られる現在日時と前回行った光照射日時、そして上記バリア機能回復率の日内変動データから、制御部5はバリア機能の開腹が低下する時間帯には光出力を例えば7割に減ずるように光源部2への電流値を制御し、前回の照射から1週間後には光出力が例えば1.5倍となるように光源部2への電流値を制御する。バリア機能が低下している状態での過度な光照射を防ぐことができるために、光照射による肌質改善をより確実に得ることができる上に、前回の光照射の情報も加味することで、連続照射を防いで安全性面の向上を図ることができる。
【0015】
さらに、大潮の日には生体が活性化されることが知られているが、潮汐周期(図9に示す日内の周期及び月の公転運動に伴う周期)に応じて生理状態も変化することから、潮汐周期を生体に関するリズムの一つとして生体リズム情報記憶部4に記憶させて、この潮汐周期情報に合わせて、例えば図10に示すように光照射強度を制御するようにしてもよい。上記大潮の時には光照射強度を1.3倍程度まで高めるのが好ましい。
【0016】
また、女性については、月経周期に応じた光出力調整を行えるようにしておくことが望ましい。図11に示すように、月経周期における卵胞期(図中α)と黄体期(図中β)とでは頬の色の色相が変化する上に、図12に示すように頬の表面温度も変化するからである。この場合、使用者の月経周期及び前回の月経開始日を入力することができるようにしておくとともに、入力された月経開始日から使用者の卵胞期や黄体期(図14参照)を自動計算し、それぞれの時期における肌状態に対応した光照射を行う。例えば、卵胞期においては肌が黄味よりに変化し、皮膚表面温度が低下することから、黄体期に比して光照射強度を半減させるのである。月経周期に伴って表れる肌の色変化や肌表面温度の変化に対応した光照射が可能となり、光照射美容効果の向上が得られると共に敏感な状態の肌への過度な照射を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の一例のブロック図である。
【図2】(a)は同上の外観の一例の概略断面図、(b)は他例の外観の側面図である。
【図3】(a)は季節による皮膚色の変化の説明図、(b)は季節による皮膚彩度の変化の説明図である。
【図4】季節変動に対応させた光照射強度の説明図である。
【図5】皮膚色相の加齢による変化の説明図である。
【図6】年齢に対応させた光照射強度の説明図である。
【図7】バリア快復率の日内変動についての説明図である。
【図8】日内変動に対応させた光照射強度の説明図である。
【図9】潮汐周期の説明図である。
【図10】潮汐周期に対応させた光照射強度の説明図である。
【図11】月経周期と頬の色相との相関の説明図である。
【図12】月経周期と頬の表面温度との相関の説明図である。
【図13】月経周期に対応させた光照射強度の説明図である。
【図14】月経周期についての説明図である。
【符号の説明】
【0018】
2 光源部
3 生体リズム情報記憶部
4 時計部
5 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌の美容のための光を皮膚に対して照射する光源部と、生体が有しているリズムに関する情報を納めた生体リズム情報記憶部と、時計部と、時計部から得られる現在日時情報と上記生体リズム情報記憶部から得られる生体のリズムに関する情報とに基づいて上記光源部の光出力を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする光照射美容器具。
【請求項2】
生体リズム情報記憶部に納めた情報が季節変動であることを特徴とする請求項1記載の光照射美容器具。
【請求項3】
生体リズム情報記憶部に納めた情報が日内変動であることを特徴とする請求項1記載の光照射美容器具。
【請求項4】
生体リズム情報記憶部に納めた情報が潮汐周期であることを特徴とする請求項1記載の光照射美容器具。
【請求項5】
使用者の月経に関する情報を入力するための情報入力部を備えるとともに、前記生体リズム情報記憶部に納めた情報が月経周期についての情報であることを特徴とする請求項1記載の光照射美容器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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