光線力学的治療のための装置および方法
本発明は、光線力学的治療および/または微生物を破壊または減少させるための装置であって、少なくとも1つの光源(10.1、10.2、10.3)を有し、それによって治療すべき創傷領域(44)に適用される光感作物質が照射によって活性化される照射ユニット(2)を含む装置に関する。装置は、創傷の画像を記録するために照射ユニット(2)内に配置されたカメラ、およびそれによって照射ユニットが創傷領域(44)に対して配向されることが可能な位置決めユニット(6)を、さらに含む。本発明はさらに、このような装置を動作させるための方法に関する。本発明の問題は、最小装置関連コストおよび/または扱いやすさを伴って、それぞれの状況に応じて制御されることが可能な、効果的な創傷治療を可能にすることにある。本発明によれば、光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)は、案内要素(12)によって、および駆動ユニット(19)によって、照射ユニット(2)内を移動可能であって、創傷領域(4)の少なくとも2つの異なる照射位置(14)に連続的に位置することが可能である。カメラ(28)によって記録されディスプレイ(20)上に提示されるカメラ画像には挿入グリッド(46)が重ね合わせられ、これは光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)の照射位置(14)に対応する。ディスプレイ(20)は、光源(10.1、10.2、10.3)によって照射されるべき照射フィールドがディスプレイ(20)内において標識手段(51)で標識されることが可能なように、設計される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに提供される特徴による、光線力学的治療のための、および/または微生物を破壊または減少させるための装置に関する。本発明はさらに、光線力学的治療のための、および/または微生物を破壊または減少させるためのこのような装置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2005/035058号は、位置決め要素によって移動可能な照射ユニットを含む、このような装置および方法を開示している。照射ユニットは、治療すべき創傷領域に適用される光感作物質がそれによって活性化される、いくつかの光源を含む。照射ユニットは、治療を実行する前、および実行中に、それによって創傷領域の画像が取得されるカメラを含む。光源は、いくつかの発光ダイオード(LED)を含み、冷却器によって照射ユニット内に固定される、クラスタランプの形態で設計されている。さらに、創傷領域からの照射ユニットの距離を監視するために、距離センサが設けられている。
【0003】
さらに、国際公開第2004/105874号は、レーザとして顕著に設計された光源を有する照射ユニットを含む装置を開示している。光活性化可能な物質、具体的には染料を用いて、微生物は、適切な波長およびパワー密度を有する光で照射された後に、感作および/または着色されて破壊される。光線力学的治療(PDT)または抗菌光線力学的治療(aPDT)の作用の原理は、微生物の選択的な作用および/または着色に続く、光感作物質とも称される光活性化可能物質へのエネルギー伝送の物理的作用に基づき、ここで反応のためのエネルギーは、細胞膜において利用可能とされる。照射装置の光源によって生成されるエネルギーは微生物に集中し、「正常環境」における非照射状態において発生する反応の平衡位置が移動し、その結果、微生物が破壊される。知られている装置は、照射ユニットに結合可能であって光導体を含むアプリケータを含み、ここでアプリケータの自由末端は、治療すべき領域を照射する目的で、これに可能な限り近づくように案内される。この装置は、特に歯科医学または口腔、顎、または顔面野において、成功裏に適用されてきた。知られている装置は、たとえば広い表面積の創傷の治療、または創傷治癒の領域において、無条件に採用されることは不可能である。ここで、単なる例として、尾骨領域においてもはや移動不可能な患者に発生する創傷潰瘍(辱創)、静脈瘤または血管閉塞によって生じる下肢潰瘍(下腿潰瘍など)、糖尿病の結果として発症する可能性のある、糖尿病性足症候群(足部潰瘍)などの皮膚潰瘍、または手術創などの急性感染創傷などの、一般的な慢性創傷または皮膚潰瘍が、参照されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/035058号
【特許文献2】国際公開第2004/105874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づき、本発明の目的は、創傷治癒のために、光線力学的治療(PDT)または抗菌光線力学的治療(aPDT)を適用するための装置および方法を提案することにあり、具体的には、短時間内で最大可能な創傷領域のために、確実な適用および/または証明された殺微生物効果が達成される。それぞれの環境に応じて制御されることが可能な有効な創傷治療は、可能な限り低い装置関連コスト、および/または高い機能的信頼性を伴って、実現されるべきである。装置ならびに方法は、医学的および/または治療的要件への適合が、容易でなければならない。装置は、大きな複雑さを伴わずに、創傷上の様々な位置への適合が容易であるべきであり、調整しやすくなければならない。さらに、位置決め要素が、治療を施す人によって調整される位置にこのユニットを確実に保持することができるように、照射ユニットの重量は、可能な限り最低のレベルで指定可能でなければならない。装置の移動可能性は最適化されるべきであり、とりわけ軽量および/または小型寸法が達成されるべきである。さらに、光源および/またはレーザダイオードへの損傷を防止するように、衝撃または打撃に対する改善された減衰が実現されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に提供される特徴による装置に関連して実現される。方法に関しては、目的は、方法請求項に提供される特徴によって実現される。
【0007】
本発明による装置および/または本発明による方法、または装置の使用は、単純な設計および/または容易な操作を提供する一方で、創傷治癒の分野での機能的に確実で実用的な適用を可能にする。創傷治癒にPDTまたはaPDTを適用するための本発明による治療システムは、具体的には、最大可能な創傷領域向けを含む、短時間内の確実な適用および/または証明された最適な殺微生物効果を、可能にする。光感作物質に含有される色素、特に青色色素、および/またはHELBO Blue Kutanが、治療領域および/または治療すべき創傷、またはその一部に適用される。規定時間は色素分子が微生物と結合することができるように、光感作物質の作用に対して指定され、具体的には少なくとも2分間である。その後、過剰な色素が迅速にすすぎ落とされおよび/または拭き取られ、ここで以下の手順が採用される:スワブスティックを用いて過剰な色素を吸引するステップと、生理食塩水およびNaClをしみこませたスワブで治療領域上を掃過するステップと、最後に別のスワブスティックを用いて残留液を吸引するステップと、である。その上で、適切な波長およびエネルギーを有する光へ曝すことが実行される。この目的のため、およそ661nmの波長、少なくとも100mW/cm2のパワー密度、および少なくともおよそ3〜5J/cm2のエネルギーを有する光が好ましくは提供され、および/またはこれは、光感作物質が活性化されることで微生物の破壊を誘発するようになっている。
【0008】
少なくとも1つの光源が、案内要素によって照射ユニット内に移動可能に設けられ、これは、創傷領域の少なくとも2つの異なる照射位置に向けられるように、特に線形ガイドとして設計されている。カメラによって記録された創傷領域はディスプレイ上に表示され、そしてディスプレイはグリッドをさらに表示するか、またはグリッドは表示された創傷領域のカメラ画像上に重ね合わせられ、ここでグリッドの各フィールドは好ましくは、ある照射場から次の照射場へ連続しておよび/または継続して移動可能なように、明確に案内要素によって照射ユニットに設けられた少なくとも1つの光源のそれぞれの位置にしたがって、照射場に対応している。治療を施す人は、少なくとも1つの光源によって、照射すべきフィールドを選択および/または標識することができる。ディスプレイは有利なことに操作ユニットの一部であり、これは、創傷領域の画像を走査または生成するため、および照射を開始または停止するためのボタン、あるいはその他の入力キーを、さらに含む。さらに操作ユニットは好ましくは、治療すべき創傷、または治療すべき体内部位からの照射ユニットの距離のための表示要素を含み、この距離は距離センサによって捕捉される。ボタンおよび距離表示器とともに、ディスプレイは好ましくは操作ユニットに組み込まれており、これは都合よく照射ユニットの外部に設けられ、および/またはユーザによって容易にアクセス可能な別のユニットとして設計される。
【0009】
本発明による装置および/または方法および/または治療システムは、明確に以下の利点を達成する:
現在利用可能なオプションを、少なくとも付加的に増加した作用と相乗的に使用すること、
頻繁な交換を必要とする高価な装着品が省略可能なので、創傷治療の総費用を低減すること、
特に微生物の破壊において、効果を著しく高めること、
知られている装着品における銀など、高価で有限な資源を節約することによる、持続可能性、
伝統的な全身抗生物質療法のような、耐性の発現がないこと、
銀によるアレルギーまたは疼痛症状を引き起こすリスクなど、現在採用されている治療形態の副作用を回避すること、
創傷治癒が速く、それによって特に慢性創傷治癒問題の場合に、入院期間の短縮が達成されること、
薬剤費および装着品を節約すること、
特にコスト節約という形態での、健康管理機構にとって、ひいては全体的な健康管理システムにとっての、全体的な経済的利点。
【0010】
本発明による装置および/または照射装置は、後により詳細に記載される、以下の構成要素またはモジュールを実質的に含む:
電子的または機械的距離監視を含み、随意的にまたは好ましくは操作ユニットが含まれる、照射ユニット(照射ヘッド)、
安全要素を含む、機器カートに随意的に組み込まれる、電源ユニット、
照射ユニットを機器カートに接続するための関節アームおよび/または位置決めアーム、および
ユニット全体を担持および/または収容する、機器カート。
【0011】
本発明による装置およびその使用のための方法は、特に以下の皮膚創傷の治療において、操作が容易であって高い機能的信頼性を提供しながら、病原微生物を減少させるためにPDTが実行されることを可能にする(aPDT):
慢性創傷(辱創性潰瘍)
急性感染創傷(術後創など)
局所感染創傷、および
鬱血創傷における創傷治癒の誘導。
【0012】
この目的のため、以下の構成要素またはモジュールが採用される:
光源/照射装置
光感作物質溶液、特にHELBO Blue Kutan
アプリケータまたはスワブなどのような補助器具。
【0013】
とりわけ以下に挙げられる病原微生物の除去が示され、臨床試験的研究によって検証された。本発明にしたがって処置された創傷における典型的な微生物スペクトルは以下の病原菌を含む:
黄色ブドウ球菌 バクテロイデス種
大腸菌 プロテウス種
長球菌種 F群連鎖球菌
緑色連鎖球菌 スタフィロコッカスシュライフェリ
B群連鎖球菌 エンテロバクタクロアカエ
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 化膿連鎖球菌
緑膿菌
【0014】
HELBO Woundsとも称される、本発明による治療システムは、本質的に以下の構成要素を含む:
色素(光感作物質)、
照射装置、および
アプリケータ、拭き落とし器具、ブラシなどとともに色素を含む無菌治療セットの形態を取るものなどの、随意的補助器具。
【0015】
採用される光感作物質は、具体的にはHELBO Blue Kutan色素であり、これはすでに承認されている。この色素は消耗品であり、一回分使用量毎に分封されており、これらは定義された最大創傷領域を有する創傷の治療に十分である。
【0016】
本発明は、図に示される例示的実施形態に基づいて以下により詳細に記載されるが、この点に関してこれによって本発明を限定するものではない。図解は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】全体的なシステムの設計を示す図である。
【図2】移動可能に設けられた光源を示す図である。
【図3】空間的照射のための光源の構成を示す図である。
【図4】筐体および関節アームを含む照射ユニットの図である。
【図5】筐体および関節アームを含む照射ユニットの図である。
【図6】筐体および関節アームを含む照射ユニットの図である。
【図7】照射ユニットまたは照射装置の3つのレーザユニットの配置を示す図である。
【図8】操作ユニットの図である。
【図9】操作ユニットの代替構成を示す図である。
【図10】下肢創傷上への照射ユニットの位置決めを示す図である。
【図11】照射ユニットの位置決めのフローチャートである。
【図12】平面的照射の図である。
【図13】空間的照射の図である。
【図14】空間的照射の図である。
【図15】旋回可能な光源またはレーザダイオードの位置決めのフローチャートである。
【図16】ディスプレイ内に挿入されたグリッドを有する創傷のカメラ画像である。
【図17】標識された選択照射フィールドを有する、図16によるカメラ画像である。
【図18】連続距離制御を含む、照射のフローチャートである。
【図19】グリッドおよび様々な照射位置の選択フィールドを有する、ディスプレイ内の創傷のカメラ画像である。
【図20】グリッドおよび様々な照射位置の選択フィールドを有する、ディスプレイ内の創傷のカメラ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、全体的なシステムまたは治療システムの設計を示し、これはHELBO Woundsとも称され、本質的に以下の構成要素を含む:
特にレーザ光向けに採用される、光源および/または複数の光源は、必要とされるパワー密度で所定領域を照射することができる。
治療領域の総面積を、所定の、好ましくは短い時間の範囲内で、少数の光源、より具体的にはレーザダイオードを用いる光に曝すことができるようにし、本発明による光源および/または複数の光源は、1つの照射位置から次の照射位置へ、案内要素および駆動ユニットによって、各例において照射されているそれぞれの副領域に対して、照射ユニット内で移動させられる。
【0019】
照射装置および/または機器は、実質的に以下の構成要素からなり、その詳細な特性は、後に記載される:
電子的または機械的に実現および/または設計された、距離監視を含む照射ユニット2(照射ヘッド)であって、さらに好ましくは、とりわけディスプレイを含む操作ユニットが組み込まれている、照射ユニット2、
操作ユニット、
好ましくは機器カートに組み込まれ、さらに好ましくは安全要素を含む、電源ユニット4、
照射ユニット2を機器カート8に接続するための、関節アーム6および/または位置決めアームおよび/または位置決め要素、および
ユニット全体を担持する、機器カート8。
【0020】
HELBO Woundsシステムの使用および/または方法の実行は、創傷洗浄後、および創傷包帯前に提供される。代替として、使用および/または方法の実行は、適用研究および適用観察に応じて行われることが可能である。
【0021】
装置および方法の中心部分は、とりわけレーザ技術を用いる、照射ヘッドおよび/または照射ユニット2の構成である。必要とされるパワーデータを実現するために、以下が提供される:
光源、より具体的には半導体レーザダイオードが、線形またはマトリクス形状で設けられ、レーザダイオードの数は使用されるタイプの出力パワーに基づく。照射は好ましくは、治療すべき治療領域を空間的に照射するように、および必要とされる高パワー密度を達成するように、三方向から実行される。
【0022】
図2は概略的な設計を示し、ここで光源および/または複数の光源10.1、10.2および/またはレーザユニットは、矢印16の方向に、照射位置14(AからF)にわたって、特に線形に、案内レール12に沿って、案内要素および駆動ユニットによって、連続的に移動させられる。この変形例では、空間的照射は実行されない。2つの光源10.1および10.2はフレームまたはキャリッジ17上に設けられており、これは案内要素の一部であって、1つの照射位置から次の照射位置へ案内レール12に沿って駆動ユニット19によって、移動させられることが可能である。
【0023】
図3は、様々な副領域AからDが連続的に照射される、矢印16によって示される移動方向に沿った空間的照射のための、3つの光源10.1、10.2、および10.3および/またはレーザダイオードおよび/またはレーザユニットを含む構成の概略図である。光源10.1、10.2、および10.3はレーザシステム24上に設けられているが、これは、関連する案内要素を含む、ここでは図示されないフレーム上を、矢印16の方向に移動させられることが可能であり、様々な副領域AからDに関連して位置決めされることが可能である。2つの側方光源10.2、10.3、またはレーザダイオードは、治療すべき表面の輪郭に有利に適合することができるように、中央光源10.1に対して旋回可能に設けられている。簡素化のため、以下、光源はレーザダイオードと称されるが、しかしこれにより本発明を限定するものではない。
【0024】
装置は好ましくは、以下の5つの主モジュールに分割され、その語頭に付された英数字が、以下において使用される。
M1照射ユニット2
M2位置決め要素/位置決めアーム/関節アーム6
M3安全要素を含む電源ユニット4
M4機器カート8
(M5治療セット)
【0025】
M1モジュール−照射ユニット2−は、3つのサブモジュールに有利に分割される:
M1Aレーザユニット10
M1B制御モジュール
M1C筐体18および照射ユニット2
【0026】
図4から図6は、そこに組み込まれた筐体18およびディスプレイ20を含む、照射ユニット2の特定の実施形態の図を示す。ディスプレイ20はとりわけ、以下に記載される操作ユニットの一部である。照射ユニット2は、治療領域に対する事前定義可能および/または自由な位置決めのために、位置決め要素の玉継ぎ手22によって関節アーム6に結合されており、ここでユーザは筐体のハンドル23を都合よく握持する。レーザシステム24は、3つのレーザダイオード10.1、10.2、および10.3を含み、線形ガイド26によって移動および/または位置決めされることが可能である。さらに、カメラ28が設けられており、これは好ましくはレーザユニット24に結合され、位置決め可能である。レーザシステム24の移動は、線形ガイド26によって定義され、本実施形態において好ましくは実質的に15cmである。本発明の範囲内において、線形ガイド26はまた、異なる移動量で定義されてもよい。レーザシステム24は、空間的または三次元配置の、3つの光源および/またはレーザユニット10.1、10.2、および10.3を含む。
【0027】
図7は、3つのレーザユニット10.1から10.3の配置を示し、ここで側方レーザユニットは中央しレーザユニット10.1に対して実質的に20°旋回した状態で配置されており、回転中心はターゲット領域または治療領域内に位置している。一例として、線30は、レーザユニットによって照射される太い脚の表面を示しており、足の直径は105mmである。照射ユニット2に実装される3つの同じレーザユニットの各々は、レーザダイオード32、ヒートシンク34、およびレンズ36を含む。線38は、照射装置の半透明および/または透明保護板を示しており、ここでこの保護板はとりわけポリカーボネートで作られている。レーザユニットの各々は実質的に、
内部または外部冷却を有するレーザダイオード、
平行レンズ、
ビームを均質化するための2つのマイクロレンズアレイ、
レンズマウントおよびホルダ、を含む。
【0028】
モジュールおよび構成要素の特徴および/または機能および/または特性のうちのいくつかは、以後必要に応じて説明され、その協調は個別に、または本発明による装置と明確に組み合わせて実行され、および/または本発明による方法を用いて実現される。
【0029】
M1Aレーザユニット
レーザユニット10は、とりわけ以下の要件を満たす:
光源としてのレーザの使用であって、レーザ光は好ましくは少なくともおよそ661nm(+/−20nm)の波長を有する
光の波長は、使用される色素を活性化させるものに対応しなければならない
色素を活性化させるように、照射される創傷面において少なくとも10mW/cm2のパワー密度
創傷面に対する単位面積あたりで印加される必要なエネルギー、または有効量:3〜5J/cm2
最適な照射(正しいパワー密度など)を保証するように、照射ユニットの距離は照射システムに合わせて調節される。カメラ画像を記録し、適切なパワー密度での放射を遂行することができるように、制御距離は10cmである(創傷面に対するレーザダイオード射出点)。装置による(特に曲面での)創傷との接触を防止するために、最小距離は8cmである。十分なパワー密度を保証するために、最大距離は12cmである(ビームのそれぞれの中心での測定)。
【0030】
筐体18は、レーザユニットの特定距離で患者との接触が発生しないように設計されている。
【0031】
一回限りの照射が、創傷の大部分をカバーする創傷領域を照射する。これらの創傷の形状は非常に大きく異なるので、確定的なサイズは確立され得ない。しかしながら、目的は、理想的には10分以内の間、ヒト下肢の表面のおよそ半分に相当するサイズを有する創傷に照射できるようにすることである。治療の間(照射ユニットを位置決めし直すことなく)、15×13cmの平坦領域(または曲面領域を照射する際には15×10cm)を照射することが可能でなければならない。
【0032】
この照射すべき最小創傷領域は、規定された100mW/cm2のパワー密度が存在する、臨床的に有効な面積を指す。ガウス分布に注意しなければならない。必要であれば、適切なレンズまたはビームホモジナイザが使用されるべきである。全領域の均質な照射;パワー密度はいずれの領域においても100mW/cm2より大きくなければならない;上述のパワー密度は、ビーム円錐が重複する領域において超過する可能性がある。
【0033】
照射継続時間は15分を超えてはならない。最大治療継続時間は15分である;この継続時間は非常に広い面積の場合超えられる可能性がある;15分以内で治療され得る領域が確立されるべきである。
【0034】
照射は、三次元全てを考慮に入れるべきである。可能性のあるビーム角によるいかなる減少も考慮されなければならず、照射誤差を防止するための対策が採用されるべきである(不十分なパワー密度→不十分なエネルギー)。照射は好ましくは、実質的に均質なパワー密度を用いて、3つの空間的方向から実行される。曲面(脚など)を照射するときには、パワー密度は、光源からより離れた部位において100mW/cm2未満に下がってはならない。以下の限界は、より近い位置の部位において超過されてはならない:
500mW/cm2(レーザクラス3Bの限界)
定格出力パワーの±20%(EN60825による)
出力される光パワーの一貫性が照射継続時間全体にわたって保証され(→パワー変動、個々の光源の故障...)、ここで特に距離制御および/または出力パワーの一定した制御が、実行される。
光源によって発生した廃熱の適切な放散が保証される。領域を照射するのに必要とされる光源の数が増加するので、光源の領域において温度上昇が予想される。光源向けに適切に設計された冷却が必須である。冷却は、継続動作向けに設計されるべきである。最高許容可能表面温度に準じる関連基準が遵守されるべきである。光源または装置の熱は、光源の最高温度値または標準仕様を超えてはならない。外面の熱:1990年の60601−1基準に準拠:適用部品の最高表面温度は41℃=患者と直接接触する部品。ユーザによって常に保持される金属部品の最高表面温度は55℃である。創傷の領域における許容不可能な通風(ファンによって発生する)は予防される。
出力放射線を確実および容易に測定および調節するために、校正装置が提供される。
装置などに対する激突による損傷を防止するような、レーザダイオードの耐衝撃/衝突マウンティング。衝撃は、レーザダイオード担体または照射ヘッド機構全体の弾性マウンティングによって緩和される。
出力レーザパワーは固定され、それぞれのパワー密度および固定的に定義された距離にしたがって調節される。出力パワーは固定的に定義された値に合わせて常に制御されており、具体的には制御電子回路(レーザダイオードドライバモジュール)。
【0035】
M1Aとその他のモジュールとの間のインターフェース
M1B:レーザダイオードはM1Bによって起動または停止される。
M1B:線形ガイドの移動部品(「キャリッジ」)へのレーザダイオード(冷却およびレンズも含む)の取り付け。レーザダイオード担体はフレームとして設計されており、これが線形ガイドの移動部品を形成する。
M1B:レーザダイオードドライバモジュールの実装
M1C:筐体内の換気出口
M2/M3:ダイオード用電源
M1B制御モジュール
【0036】
制御モジュールは、以下を含む:
(たとえばステッピングモータおよび位置決定のためのインクリメンタルエンコーダを用いて)レーザユニットを直線的に移動させて位置決めするためのリニアドライブ。レーザユニットの線形移動性は、照射ユニットの主延伸方向に沿って定義される。線形ユニットの長さは、照射可能な最大面積の長さにしたがっており、好ましくは10から25cmの範囲内、より具体的には14から20cmの範囲内である。
(たとえばステッピングモータおよび位置決定のためのインクリメンタルエンコーダを用いて)側方旋回可能なレーザダイオードを位置決めするためのそれぞれの駆動ユニット。これは、曲面領域(脚など)および平坦領域(背中など)を照射することができるように、中央レーザダイオードに向かって配置されている。側方配置ダイオードは10°から30°、より具体的には実質的に20°の好ましく定義された角度範囲で、旋回可能である。
照射可能な領域の画像を提供する、少なくとも1つのカメラ。好ましくはカラーカメラが提供され、これは照射可能な総領域の画像を記録および供給する。創傷面からの規定距離でカメラアングルが十分ではない場合には、随意的に複数のカメラまたはその領域を走査する可動カメラ(レーザユニットと協働する専用線形ガイドまたは移動)が使用されてもよい。なお、創傷面が曲面である場合には、画像用カメラアングルは外側レーザダイオードのビーム方向に対応しないことに留意すべきである。良好なカメラ画像を得るように、少なくとも1つの追加光源が提供されることが、さらに好ましい。
【0037】
距離センサ:
このダイオードとともに移動する、中央レーザダイオードの領域内の距離センサ。
1つは照射ユニットの長尺末端(場合により両端)にあり、これは創傷からの照射ユニット/レーザダイオードの距離を測定する。
創傷表面からの外側旋回可能ダイオードの距離を測定する、それぞれの距離センサ。距離センサは、中央および側方レーザダイオード向けに提供され、照射ユニットの一端に固定される。好適なフェイルセーフ変形例は、少なくとも中央レーザダイオード上に2つの距離センサを含む。距離センサは、または複数の距離センサは、特に超音波センサまたはレーザセンサとして設計されている。測定精度は好ましくは、およそ±5mmの範囲である。
【0038】
特にタッチ画面を含む、ディスプレイ
スタイラスまたは指を使用して入力が実行され、ここで使い捨て手袋を用いる手術が可能でなければならない。ディスプレイの向きは、機器カートの横に立っているユーザがこれを容易におよび/または良好に認識または解釈できるように、定義される。ディスプレイ(少なくとも8インチ)は、カメラ画像を示し、これをグリッドに重ね合わせ、選択されたフィールドを示すかまたは離間した位置決めを支援するための赤/緑バーを示すために、使用される。ディスプレイは、非常に長身ではないユーザであってもいかなる位置でもディスプレイを読み取ることが可能なように、配置される。
【0039】
入力キー
走査(カメラ記録開始)
開始−停止(照射の開始/停止)。好ましくは、必要な入力キーの全てを含む膜型キーボードが提供される。さらに、入力キーは随意的にディスプレイに組み込まれている。加えて、入力キーは、キーストロークが照射ユニットの調節された位置を変更しないように、設計および/または配置される。
【0040】
緊急時停止押しボタン
作動させると全ての駆動モータおよびレーザ照射が停止する、照射ユニットおよび機器カート上の緊急時停止押しボタン。
【0041】
制御ソフトウェア
たとえば埋め込みシステムの形態の制御ソフトウェアは、以下の機能を実行および/または制御する:
プロセッサおよび電子部品:
制御ソフトウェアが起動するプロセッサ、ならびにドライブ、センサ、カメラ、ディスプレイ、入力キー、および緊急時停止を制御するための電子回路パッケージ。さらに、システム故障の場合に緊急時停止機能を起動させるように、制御ソフトウェア/電子回路の機能の保護が提供される(ウォッチドッグハードウェア/ソフトウェア)。
装置の「内部に手を伸ばした」ときに個人を保護するための、下面のアクセスガード:レーザビーム射出開口から規定可能距離に物体が侵入したときに、休止モードが起動される(レーザオフ)。
機械的構成要素:
全ての構成要素、特に線形ガイド、ドライブ、カメラ、ディスプレイ、操作要素、センサ、またはダイオードのアクセス保護を担持する、フレーム。
関連基準によるレーザ動作表示器:
緑色:レーザ準備完了(キー操作スイッチが起動し、装置のスイッチがオンになり、レーザダイオードの温度が正常範囲内である)。
黄色/橙色:レーザ発光用−開始が押された−装置が光放射を放出
赤色:エラー(絶対に必要ではない)
表示器は、関連基準(EN60825、EN60601−1−22)に準拠してディスプレイに組み込まれるか、もしくは専用照明(LED、LEDストリップなど)として設計される。
手動再起動ユニット:
電源異常などの後、照射が自動的に継続してはならない。
動作時間の記憶装置:
装置の合計動作時間および個々のダイオードのレーザ動作時間が、恒久的に記憶される。
【0042】
M1Bとその他のモジュールとの間のインターフェース
M1A:レーザダイオード制御器の直接作動/サンプリングにより、レーザダイオードおよび様々な監視機能を起動/停止(電圧制御);
3つの全てのダイオードの作動/監視。
ダイオードオン/オフ、電圧制御。レーザダイオード制御器からの電圧信号による、レーザダイオード温度の監視。LDの温度が確立された範囲内にあるときだけ照射が認められる。レーザダイオードシステムの監視、許容された範囲からの逸脱時の警告(損傷に関する助言)。レーザダイオードファン冷却器の回転速度の監視(冷却器が動作していない場合に警告)。随意的に:電圧信号によるレーザパワーの制御。
M1A:線形ガイドの移動部品(「キャリッジ」)への(3つの)レーザダイオード(冷却およびいずれのレンズも含む)の取り付け。ダイオードを収容するフレームは線形ガイドの一部。レーザダイオードユニットへのインターフェースはとりわけラバージョー/ラバーリングなどを含む。
M1A:レーザダイオードドライバモジュールの実装:
ヒートシンク/ファンを含む、(3つの)レーザダイオードドライバモジュールを実装するために、照射ユニット内に空間が設けられる(寸法およそ120×70×60mm;静止状態または「レーザキャリッジ」上の実装)。
M1C:筐体へのフレームの接続、およびディスプレイの、入力キー/膜型キーボード、または緊急時停止の筐体内の実装。関節アームと照射ユニットとの間の接続領域において、回転運動、特に横断照射ユニット軸に沿った水平軸を中心とする回転運動が好ましくは可能となり、ここで照射ユニットは好ましくは、選択された位置に置いて自動的にロックされることが可能である。
M2/M3:電源
M2:位置決め要素/位置決めアームへの照射ユニットの取り付け。
【0043】
M1C照射ユニット筐体
ユーザインターフェースの固定操作要素を含み、換気出口を含む筐体:側面の吸気口および排気口(あるいは上面に位置するが、しかし可能であれば液体による直接の侵入から保護される)、可能であればレーザダイオードの廃熱を外部に送る、わずかな常時通風を可能にするように、専用ファンを含む。好ましくは筐体の上面への操作要素の実装。レーザ放射が存在する場所なので、筐体の下面は通常開放されている。
随意的に:機器カートへの専用取り付け部(関節アーム)を含む専用タッチ画面(照射ユニットから独立)。
下部装置面は可変的に閉鎖可能であるべきであり、これはたとえば、それぞれのレーザ射出点のみが開放されており(またはガラス/プラスチックパネルで覆われている)、その一方で残りの開口部は一種の「カーテン」などによって閉鎖されている。アクセスおよび埃/ごみに対する保護としての、照射ユニットの下面の剛性被覆:透明ポリカーボネート(PC)パネル、長手方向装置軸に沿って湾曲(r=240mm)、2mm厚。
創傷領域上で照射ユニットを手動で位置決めするためのハンドル。少なくとも2つのハンドルが、筐体上に横方向に設けられている。
筐体漏れ電流の監視:
AKM1C4:筐体漏れ電流は、限界値の範囲内である(たとえば、照射ユニットに低電圧を供給し、EN60601の全ての関連する章を適用することによる)。
筐体形状は創傷面との接触を防止するために、体型に適合すべきである。筐体は、レーザユニットの指定距離で、とりわけ湾曲した治療領域において、患者との接触が生じないように設計されなければならない。
筐体(材料)による電子回路のEMC遮蔽
外部の湿気に対する保護:
筐体は、下層の電子回路に(特に上部から)侵入する液体からの保護を提供すべきである(固定操作要素上のガスケットなど)。
筐体に適した材料、とりわけ陽極酸化または粉体塗装されたアルミニウムの使用。
【0044】
M2位置決め要素モジュール
具体的には関節アーム6および/または関節スタンドを備える構成であって、理想的には高速中心固定を備えている。高速中心固定を備える関節アーム/関節スタンド、全治治療継続時間の間、100%固定された位置決め;搬送位置に固定。照射ユニット2との接続のため、位置決め要素は好ましくは既述の玉継ぎ手22を含み、この継ぎ手もまた有利に高速中心固定および/または固定位置決めを備える。
照射ユニットは、身体のいずれの部分も照射可能でなければならない(患者が横たわった状態で、一般的な患者用ベッドの高さの範囲にこれが適用される場合)。機器カートの外縁から照射ユニットの中心までの水平範囲:少なくとも100cm。垂直範囲(63から136cmの高さのビーム出力面)。
電源ユニットから照射ユニットまでの電源用ケーブル。ケーブルは、隠し配線されるべきであり、可能な限り、関節アームの内部またはこれに沿っている。
【0045】
プロセッサおよび安全要素を含むM3電源ユニットモジュール
実装された中央オン/オフスイッチを含む筐体。
主電源接続線を備える電源。主電源電圧から低電圧への変換であって、ケーブルにより照射ユニットに送られる。
電源のEMC適合性またはEMC規制に準じた筐体による遮蔽。
主電源ユニットまたは変圧器:
電圧5V(レーザダイオード、リアルタイムシステム)および12V(PCシステム/プロセッサ)
レーザダイオードの消費電力およそ6A
有利なことにPCシステムとして設計され、必要であれば、個別に設けられてケーブルで接続された、プロセッサ。
【0046】
M5治療セットモジュール
治療セットと称される構成要素は、各個別のaPDT適用に必要とされる材料を含む。
光感作物質:完全に開発済みであってすでに皮膚表面への適用が承認されている、HELBO Blue Kutanが利用可能であると仮定すると、この色素溶液が、本装置との使用のために使用される。したがって、以下のパラメータは規定済みと見なされるべきである−およそ661nmの波長、光活性成分の最大吸収。
治療セットあたりの光感作物質充填量は、照射可能な最大創傷面積を着色するのに十分でなければならない。およそ50cm2を着色するのに、0.5mlのHELBO Blue Kutanで十分である。
随意的/将来的変形例:
異なる損傷サイズ向けに可変的大充填量を含む治療セット。
治療セットのさらなる内容は、塗布、拭き落とし、創傷のすすぎなどに必要とされる全ての補助器具を含むべきである。
治療セットの全ての個別部品は、適切に包装されて無菌的に流通されるべきである。
【0047】
図8は操作ユニット40の図を示し、これは好ましくは照射ユニットの筐体上に設けられている。操作ユニット40はディスプレイ20を含み、その上に、カメラによって記録され、プロセッサによって処理された創傷領域のライブカメラ画像42が挿入され、創傷領域44が示される。さらに、とりわけプロセッサによって生成された、グリッドフィールド46が、ライブカメラ画像42に挿入され、重ね合わせられる。好ましくは正方形のグリッドフィールドの各々は、レーザユニットによって生成された照射フィールドに対応する。これは、図6に基づいて記載される3つのレーザダイオードを含むレーザシステムに基づいており、それによって3つの照射フィールド47、48、49が同時に生成され得る。照射フィールド47、48、49は、互いに隣接して、矢印16で示されるようなレーザシステムの移動方向を横断するように、位置している。案内要素および駆動ユニットによって、レーザシステムは移動方向16において連続的に移動し、本発明によれば、移動方向16において互いに隣り合って位置する照射フィールドが連続的に照射されてグリッドフィールド46全体に対応するマトリクス状照射が実行されるように、位置決めされる。創傷領域44を占めるグリッドフィールドのみを照射するように、これらは、ここではクロスXによって示される、適切な標識手段を用いて標識される。ディスプレイ20がタッチ画面として設計されている場合、標識は、上述のフィールドをタップまたはタッチすることによって実行される。代替として、標識はたとえば、それぞれのフィールド上でのマウスクリック50によって、プロセッサまたはPCシステムによって、実行されることが可能である。行われた選択にしたがって、照射が実行される際に、創傷領域44のこのように標識されたフィールドのみが照射される。
【0048】
ディスプレイ20は距離表示器52をさらに含みこれは創傷領域44に対する照射ユニットの位置を示す。たとえばバーまたは三角記号54、55が全て赤い場合には、照射ユニットは両端において遠すぎる位置にある。対照的に、たとえばバーまたは三角記号54、55が緑色の場合には、少なくとも左右両側にある先端56の領域において、照射ユニットは両側が正しい距離に位置している。操作ユニット14は走査キー58および開始/停止キー59をさらに含む。
【0049】
図9は操作ユニット40の、またはディスプレイ20のユーザインターフェースの、代替実施例を示し、ここで距離表示器は2つの部分52、53に分割されており、これらはカメラ画像42と隣接して左または右に設けられている。これは、創傷領域に対する操作ユニットの空間的または幾何学的関係にしたがって、改善された直感的配置を実現する。
【0050】
装置の動作原理および方法の様々なステップは、以下により詳細に記載される。
【0051】
ステップ1:創傷上に照射ユニットを位置決め
A 「長尺創傷」を照射することであって、照射ユニットの長手軸の方向および/または移動方向の創傷の長さが、2つの照射領域よりも長い。治療を施す人は、上述のハンドルを用いて、創傷領域上で平行に照射ユニット20を位置決めする。2つの距離センサは、それぞれ照射ユニット2の末端に位置決めされる。1つの距離センサは好ましくは中央ダイオードのレーザシステム上に設けられるが、これは元々は照射ユニット2の一端に位置している。第二距離センサは、照射ユニット2の他方の末端にしっかりと設けられている。2つの距離センサは、下層の創傷面または創傷領域からの中央レーザダイオードの移動平面のそれぞれの距離を測定する。
【0052】
B 短尺創傷を照射することであって、長手軸方向におけるその長さは2つの選択可能な照射領域よりも大きくない。変形例Aとは対照的に、調節の間、距離は照射ユニット2の一端のみにおいて、好ましくは中央レーザダイオードの距離センサによって、測定される。この距離が一端において正しいときに、創傷が走査されることが可能である。その後、距離が正しい場合にのみ、照射領域を選択することが可能である。なお、両方の走査中に、カメラ画像および距離が決定されることに留意されたい。
【0053】
図10は、下肢62の創傷60上への照射ユニット2の位置決めを示す。位置決め要素6に取り付けまたは連結されている照射ユニット2は、上述の変形例Aにしたがって、治療を施す人によって創傷領域60上で平行に位置決めされるが、ここで照射ユニットは、創傷の長手軸と実質的に平行に配置される。矢印64、65は、距離センサの測定ビームを示す。図8または図9に基づいて記載される距離表示器を用いて、距離はディスプレイ上に、とりわけカラーで、2つの距離センサの各々について記号またはバーを用いて、図形で示される。たとえば、距離が正しい規定範囲内であれば緑色のバーが点灯され、そうでなければ赤色のバーが点灯される。たとえば、以下の意味が適用される:
濃い緑色:たとえば100mmの、定義された理想距離からの距離が、+/−5mmであって、実質的に遵守されている。
【0054】
薄い緑色:理想距離からの距離が+/−10mm;小さい公差。
【0055】
明るい赤色:理想距離からの距離が+/−20mm;より大きい公差。
【0056】
濃い赤色:理想距離からの距離が20mmより大きい;過剰または許容不可能な距離。
【0057】
照射、より具体的には開始/停止キーの起動による照射は、具体的には緑色で示された理想距離、正しい距離が設定されており、レーザダイオードの作動温度も規定範囲内である場合にのみ、認められてもよい。
【0058】
図11は、照射ユニットを位置決めするための関連フローチャートを示す。フローチャートは左距離センサの全体について提供されるが、その一方で右距離センサによる対応する同等距離測定はブロック66により示される。
【0059】
ステップ2:外側旋回可能レーザダイオードを配向
この方法ステップは、特に図3、図6、および図7に基づいて記載された装置の実施形態のために実行され、図12,図13、および図14に基づいてより詳細に記載される。中央レーザダイオード10.1の距離は、ステップ1に基づいてすでに正しく調節されている。外側ダイオード10.2、10.3におけるそれぞれの距離センサ68、69は、創傷面からの距離を測定する。図12によれば、2つの外側ダイオード10.2、10.3の適合を必要とすることなく、実質的に平坦な創傷領域44上に、平面的照射が適用される。矢印70、71は距離センサの測定放射線を示し、その一方でレーザ照射は三角形で示されている。図13および図14は、下肢62の空間的照射を示す。レーザダイオード10.1、10.2、10.3の移動方向は、図平面に対して直角に裏面に向かって、または図中に向かっている。図13は、中央ダイオード10.1の距離がすでに調節された状態での、開始位置を示す。距離センサは当初は大きすぎる値を提供するので、2つの外側ダイオード10.2、10.3はまだ脚の曲率に適合させられる必要がある。図14に示されるように、2つの外側または側方ダイオードは、正しい距離に到達するまで、関連するドライブによって、内向きに自動的に旋回されられる。それぞれの回転中心は好ましくは、三角形として示されているビーム光線の接点72、73である。側方ダイオード10.2、10.3の配向および/または距離測定が連続的に、およびより具体的に好ましくは1秒間に数回実行されることは、特に重要である。患者による移動はこのように好ましく反応され、および/または距離はレーザユニットの移動中に変化する解剖学的環境に適応する。
【0060】
図15は、2つの旋回可能側方ダイオードの位置決めのフローチャートを示す。
【0061】
ステップ3:創傷領域を撮像
照射ユニットが位置決めされた後、照射ユニットに組み込まれたカメラは創傷の画像を記録するが、そのサイズは、照射されてもよい領域と、少なくとも大まかにおよび/または正確に対応する。代替として、カメラ画像はいくつかの個別画像からなってもよく、好ましくはいくつかのカメラが提供されるか、または1台の可動カメラが提供される。図8にしたがってすでに記載されたように、1台または複数のカメラによって記録された、照射可能な最大創傷領域の画像は、ディスプレイ上に示されてグリッドと重ね合わされ、これは様々な照射位置を示しおよび/または様々な照射位置に対応する。
【0062】
図16は、ディスプレイ上の創傷領域44および挿入グリッド46を含むカメラ画像42を示す。グリッドは移動方向16を横断する方向で3つに分割されており、この方向の各グリッドフィールドは、3つのレーザダイオードのそれぞれの照射位置に対応する。たとえば、移動方向16に沿って、5つの点における細区分が提供される。
【0063】
ステップ4:照射領域を選択
ステップ3に基づいて、図17に示されるように、照射すべきグリッドフィールドが定義される。最初は、フィールドは選択されておらず、これはそれぞれのフィールドを選択することによって選択される。ディスプレイがタッチ画面またはタッチパネルとして設計されている場合、適切なグリッドフィールド上を指で押すことで、フィールドの選択を変更する。選択されたフィールドは好ましくは、たとえば陰影またはハッチングなど、視覚的に異なる方法で標識および/または示され、記録されたオリジナルカメラ画像は依然として認識可能でなければならない。一例として、図8によれば、ここでは標識51はクロスによって示されている。
【0064】
ステップ5:照射を開始
照射は、図8に示される開始/停止キー59を押すことによって開始される。距離が正しく選択され、距離測定値にしたがって承認が与えられたとき、さらに少なくとも1つのフィールドが選択された場合にのみ、開始/停止キーが起動されることは、特に重要である。レーザユニットは開始点で照射を開始するが、これは案内要素、とりわけ線形ガイドの2つの末端のうちの1つに位置する。各位置は、線形ガイドの移動方向または変位方向のレーザユニットの位置決めにしたがって規定継続時間だけ、そしてより具体的にはレーザユニットの設計に応じたパワー密度に到達した後で、照射される。その後、レーザユニットまたはレーザシステムは次の位置に移動し、そこで照射が継続する。選択フィールドは必ずしも照射位置に対応する必要がないことは、指摘されるべきである。変位方向の方向でレーザダイオードによって一度に照射される領域または面積のサイズは、場合によりグリッドフィールド(複数可)の開口部よりも小さくてもよい。そのような場合には、選択されたフィールドを照射するために、2つ以上の照射位置が必要とされる。たとえば、フィールドあたりの照射継続時間が40秒である場合、選択フィールドは、たとえば6mmの、5つの照射点に対応する。本発明によれば、選択されたフィールドのみが照射される。ダイオードは、その位置が選択されなければ、それぞれの位置で停止する。変位方向の位置でフィールドが選択されなかった場合、または移動距離に関して互いに隣り合う3つのフィールドのいずれも選択されなかった場合には、レーザユニットはただちに次の位置に移動させられる。
【0065】
図18は、より具体的には連続距離制御を含む、照射のフローチャートを示す。側方レーザダイオードの距離測定および適合が、図15に示されるように平行してまたは同時に、実行される。
【0066】
図19および図20は、グリッド46に沿った創傷または創傷領域44および標識51にしたがって選択されたフィールドのカメラ画像を示す。灰色で強調された領域74は、レーザダイオードによってそれぞれの時間に物理的に照射される下層に位置する領域を示しており、関連するレーザダイオードが起動されている。対照的に、クロスハッチングで強調された領域76は、関連するレーザダイオードが停止しているので、照射されない。図19はレーザシステムの第一照射位置を示し、図20は移動方向16における、より具体的にはそれぞれ同じグリッドフィールド46の、レーザシステムの第二照射位置を示す。
【0067】
ステップ6:連続距離制御
治療中に患者などの動きから生じる距離変化を防止するように、本発明によれば、中央レーザダイオードと創傷面との間の距離は、連続的に制御される。中央レーザダイオードの距離は好ましくは、ターゲット領域の照射中、および/またはレーザユニットのさらなる線形移動の間、連続的に監視される。距離が規定範囲外である場合には、処置または照射が中断される。必要とされる距離が再確立されるとすぐに、具体的には開始/停止キーを押すことによって、より具体的には現在の位置から開始して、中断の後に治療を継続することができる。
【0068】
ステップ7:治療の終了
照射は、以下の場合に終了される。
a)全てのフィールドが照射されたとき;
b)治療が誤った距離のため自動的に中断され、継続されなかったとき;
c)最大合計治療時間に到達したとき。こうして、エラーの場合には光源が自動的に停止される;
d)治療開始後および治療終了前に開始/停止キーが押されたとき;および
e)緊急時停止押しボタンが押されたとき。
【0069】
レーザユニットの線形移動は、全ての選択フィールドが照射された後に自動的に停止させられ、好ましくは音声および/または光フィードバックが提供される。開始/停止キーの簡単および/または不注意による押下による治療終了後の創傷の照射の新たな開始を防止するように、治療すべき全ての領域は、治療が終了した後に選択解除される。さらに、開始/停止キーは有利なことに、あるタイプの中断機能を有する。所定の距離が維持されている限り、停止の後、またはたとえ誤った距離の結果としての自動停止の後でも、開始/停止キーを再度押すことにより、再開することが可能である;新たな開始は最後に照射された位置で行われ、この位置での照射時間が再開される。照射時間は、上述の位置における再開のため、具体的には残り時間プラス好ましくは少なくともおよそ5秒で事前定義されるバッファ期間から、随意的に定義または計算されることも可能である。
【0070】
装置の様々な構成要素または要素の要件および基準として以下に提供される特徴、特性、または動作原理は、先に述べられた記載に加えて、またはその代替として、およびより具体的には個別に、または有利な組み合わせにおいて、本発明による装置において、本発明の範囲内で実現され、または本発明による方法によって実行される。
【0071】
ドライブ
3つのレーザダイオードを用いておよそ15×13cmの領域を照射することが可能でなければならない。この目的のため、リニアドライブによってダイオードが移動させられる必要がある。リニアドライブは、リアルタイムシステムによって作動される。
【0072】
2つの外側ダイオードは、(照射平面または中央ダイオードに対して)20°の固定角度で設けられている。
【0073】
カラーカメラ
示されるカメラ写真は、照射すべき領域全体の画像を表すべきである。1つの画像を用いて領域を示すことができない場合には、いくつかのカメラ、または線形ガイド(専用またはレーザガイド付き)を有する1つのカメラを用いることが可能である。記録されるカメラ画像は、可能な限り創傷の最も信頼できる表示を生じるように、ディスプレイ上の表示に先立って、PCシステムのソフトウェアによって処理される必要がある。(記録画像の光学制御)
【0074】
追加光源
創傷からの距離が短いために照明条件が不十分な場合には、光源が提供される。光源は、画像の継続時間(走査)の間、起動されるべきである。開始画面が作動しているとき、光源は、距離センサのうちの1つが200mm未満の距離を測定するときにだけ起動される(装置が使用されているときだけ照明がオンになり、スイッチが入ってもすぐにはつかないように)。照明は、照射中はオフにされる。
【0075】
距離センサ
皮膚とレーザダイオードとの間の距離の測定値はおよそ100mmまでとすべきである(AKM1A4)。測定精度は少なくとも±5mmでなければならない。Helboサービスメニューにおいて距離値を変更することが可能でなければならない。測定には適切なセンサ(赤外線)が使用されなければならない。1つの距離センサが各レーザダイオードに使用されることになり、このセンサは照射領域の中心までの距離(装置の長手軸に対して)を測定する。加えて、筐体上にセンサが必要とされる。装置は、筐体上のセンサ、および中央レーザダイオード上のセンサによって調節される。(測定結果の監視および実際の距離との比較)
【0076】
ディスプレイ
少なくとも8”のタッチ画面が、カメラ画像を可視化するため、照射すべき領域を選択するため、および操作のために、使用される。
【0077】
使い捨て手袋を用いての操作が可能でなければならない。ディスプレイおよび筐体は、上方から侵入する湿気から保護されなければならない。(カメラ画像の光学制御、タッチ画面の機能的チェック)
【0078】
入力キー
キー操作スイッチは、リアルタイムシステムおよびPCシステムの電源全体を中断させる。キー操作スイッチによって起動された後、リアルタイムおよびPCシステムが起動し、開始画面が表示される。これはまた、電源停止に続いて照射が自動的に開始しないことを保証するものでもある。装置のスイッチが入っているときは、スタンバイキーが押されるとディスプレイのスイッチがオフになり、技術的可能性および有益性に応じて、PCおよびリアルタイムシステム(=スタンバイモード)もまた電源が切られる。このモードは、点灯する赤色LED(おそらく直接押しボタン上にある)によって表示される。スタンバイからの起動:スタンバイキーを再度押すことにより(技術的に可能な場合、タッチ画面をタップすることによっても)−全システム構成要素が再び起動される−開始画面が表示される。緑色LEDは操作準備完了状態を示す(これには緑色LEDが使用可能である)−赤色キーLEDがその後停止される(または緑色である)。
【0079】
スタンバイキーは、照射中または休止モードでは、有効ではない。
【0080】
20分間の無操作の後(時間は設定可能)、スタンバイモードが自動的に起動する。
【0081】
以下の操作要素が、ディスプレイおよび/またはタッチ画面に提供される:
継続/戻る
画面間スイッチ
走査:
カメラ画像の記録を開始
開始/休止:
選択フィールドの照射を開始または中断
中止:
治療を中断
警告信号の停止(「音声中断」)
【0082】
治療フローに応じて、そのときに起動されてもよいこれらの操作要素のみが、選択される。起動可能な操作要素は、図形的に、またはカラーで、非起動要素と比較して強調されるべきである(縁取りなどによって)。
【0083】
全ての操作要素は、液体による侵入から保護されるべきである。
【0084】
(キーを確定して機能的試験を実行する)。
【0085】
緊急時停止
緊急時停止押しボタンは、リアルタイムシステムを停止させる(全ての駆動モータおよびレーザダイオードを含む)。緊急時停止押しボタンは、指針(EN60601−1−22)に準拠して設計されなければならない。
【0086】
遠隔制御可能安全要素は、緊急時停止押しボタンのように取り扱われる。緊急時停止が作動されると、以下の構成要素への電源が遮断される:
リニアドライブ
レーザダイオード
リアルタイムシステム
【0087】
レーザダイオードの消費電力は高いので、電源はリレーによって中断される。
【0088】
緊急時停止が起動されたことを示すメッセージが画面上に出力される:「緊急時停止または外部安全回路が起動されました。中断の原因を確認してから治療を再開してください。」
【0089】
緊急時停止押しボタンが解除された後、システムは再度初期化され、(ユーザによる作動を伴わずに)メッセージが消えて、開始画面が表示される。(緊急時停止およびドア接点スイッチを作動)。
【0090】
アクセスガード
アクセスガードは、装置の下面に設けられるべきである。照射中にだれかが装置に手を伸ばした場合、レーザ照射は中断されなければならない(休止モード)。
【0091】
アクセスガードは距離センサによって実現される。連続測定の間に80mm未満の物体からの距離が測定された場合には(レーザダイオード射出開口から皮膚までの距離、設定可能)、全ての駆動モータおよびレーザダイオードが停止される。Helboサービスメニューにおいてこの距離値を変更することが可能でなければならない。対応する警告がディスプレイ上に示され、プログラムは休止モードに切り替わる。
【0092】
レーザ動作表示器
レーザ動作表示器は、EN60825およびEN60601−1−22基準に準拠しなければならず、ディスプレイ上に、またはLEDの使用によって、提供されることが可能である。動作表示キーは3つの色が使用されるべきである:
緑色
レーザは動作可能−キー操作スイッチは起動され、PCおよびリアルタイムシステムは電源供給され、レーザダイオードは動作温度を有している
黄色
レーザ発振
赤色
エラー発生:
レーザダイオードの故障
その他の重大な不具合
【0093】
保護用レーザゴーグル注意書き:赤字記号および指示テキストを可能な限り回避すること!(動作表示器の目視検査)
【0094】
動作時間の記憶装置
レーザダイオードの動作時間が記録されなければならない。
【0095】
記憶された動作時間をリセットすることが可能でなければならない。(治療が終了した後に動作時間を読み取る)。
【0096】
制御モジュール
「M1B」制御モジュールは、レーザダイオードの制御および位置決めを含む。「M1B」制御モジュールは、2つの構成要素に分割される:
リアルタイムシステム:
レーザダイオードの作動、距離測定、アクセスガードなど、全てのセーフティクリティカルプロセスはこの構成要素によって行われる。制御はリアルタイム可能でなければならない。
【0097】
PCシステム
PCシステムは、画像の処理、照射すべき領域の選択、動作時間の記憶、およびユーザとの対話処理を行う。
【0098】
埋め込み構成要素向けのインターフェース
PCシステムおよびリアルタイムシステムは、シリアルインターフェースを通じて通信する。通信は、伝送プロトコルによって保証される。「心拍」は、プロトコルにおいて定義されるべきであり、定期的に伝送されなければならない。構成要素のうちの1つが応答しない場合には、緊急時停止が開始されなければならない。エラーメッセージがディスプレイ上に示される。(PCシステムおよびリアルタイムシステムの通信を中断し、エラーは表示されなければならず、治療は中止する)。
【0099】
レーザダイオード電流監視
レーザダイオードの消費電力は、照射中に監視されなければならない。消費電力の変動が20%を超える場合には、ダイオードが故障しているので、治療は終了中止されなければならない。
【0100】
電力は、レーザ制御器の出力によって監視される。
【0101】
EMC、防爆
ハードウェアを開発する際には、EMC基準(EN60601−1−2)が考慮されなければならない;EN60601−1による防爆条件も、参照されるべきである。
【0102】
遠隔制御可能安全要素
EN60825およびEN60601−1−22基準による、ドア接点スイッチ。
【0103】
スイッチが作動されると(接点が開放されると)、レーザダイオードは停止されなければならない(緊急時停止と類似の機能)。この機能のための電子回路は、EN60601−1による試験に合格すべきである(サージエネルギー容量)。
【0104】
リアルタイムシステム
タスク
リアルタイムシステムは、以下を担当する
動作管理の承認
リニアドライブの制御
距離の測定
レーザダイオードの制御
【0105】
照射の承認
照射ユニットが調節された後、各位置での距離を測定するように、照射要素の全長が一度トレースされる(各選択可能領域について最小および最大距離が判断され、その結果、領域が完全に有効範囲内か否かの情報を得る)。有効範囲(8〜12cmの距離、これらの距離値はHelboサービスメニューにおいて変更可能)が、PCシステムに伝送される。距離が短すぎる場合には、フィールドは選択されることが不可能である。
【0106】
距離測定
距離は、リアルタイムシステムによって連続的に測定されなければならない。距離測定用のセンサは、リアルタイムシステムに接続されている。各センサの距離は、1秒あたり数回読み取られて処理される。
【0107】
距離が短すぎる場合の停止
距離が許容範囲外<<80mmまたは>120mmの場合には、Helboサービスメニューにおいて距離値を変更することが可能であるべき−専用の制限値セットが設けられるべき(走査からではなく)−レーザダイオードの緊急時停止が実行されなければならない。プログラムが中断され、メッセージがPCシステムに送られる。(距離を短縮−停止が実行されなければならない)
【0108】
照射の開始
照射プロセスは、創傷からの距離が照射されるべき領域の緑色範囲になるまで開始されてはならない。
【0109】
(距離が短すぎる場合には照射は開始されてはならない−距離は領域の選択後に変更される)。
【0110】
照射
ある領域の照射を開始するとき、レーザユニットはまず位置決めされなければならない。次に、レーザダイオードが特定の継続時間(40秒)だけ起動される。継続時間はレーザダイオードによるパワー出力に依存し、Helboサービスメニューにおいてこれを変更することが可能でなければならない。
【0111】
照射すべき領域の時間が終了すると、レーザユニットは次の領域上に位置決めされる。レーザダイオードは各ステップの間に停止および再起動されるべきではない(2つの領域が連続して照射される場合)。照射が選択されなかった領域は省略される;さらなる領域が存在しない場合には、照射は適切に終了する。領域は、長手方向の5つの照射位置に対応する(Helboサービスメニューにおいてこの値および移動距離(6mm)を変更することが可能でなければならない)。
【0112】
リアルタイムシステムは、PCシステム上で選択された領域のみを照射してもよい。(領域の選択および照射領域の制御)。
【0113】
治療の終了
全ての領域が照射されてしまうと、レーザダイオードは停止され、治療の終了がPCシステムに報告される。(治療の終了を待つ)
【0114】
時間超過
領域は、特定継続時間の間のみ照射されてもよい。時間は、互いに独立している2つのシステムによって制御される(EN60601−1−22)。
【0115】
レーザダイオードの時間は、リアルタイムシステムによって測定される。最大時間が超過されると、ダイオードは停止され、エラーがPCシステムに伝送される。加えて、レーザダイオードの起動の継続時間が、適切なハードウェア回路によって監視される。ダイオードが超過した持続時間にわたって起動されていると、レーザダイオードはハードウェアによって停止される。各位置の最大起動継続時間は、120秒である。
【0116】
照射中の休止
PCシステムは、照射プロセスの休止を開始してもよい。リアルタイムシステムが休止命令を受信すると、照射が中断されて、レーザダイオードが停止される。治療が継続されるときには、残り時間が5秒だけ増加され(Helboサービスメニューにおいて値を変更することが可能でなければならない)、その領域の照射が継続する。(トリガ休止、照射は正しく継続される)。
【0117】
安全機能
プログラムクラッシュおよび無限ループを防止するために、ウォッチドッグが実現される。プログラムは周期的な間隔でウォッチドッグをリセットしなければならず、そうでなければリセットが実行される。
【0118】
領域があまりにも長時間照射されないことを保証するために、レーザダイオードが120秒より長く起動された後に、ハードウェアは自動停止を実行する。
【0119】
レーザダイオード温度およびダイオード電流は、連続的に監視される。値が有効範囲外である場合には、レーザダイオードの損傷を防止するように、停止が行われる。ドア接点スイッチまたは緊急時停止スイッチが作動されると、レーザダイオードはオフに切り替えられなければならない。
【0120】
PCシステムとリアルタイムシステムとの間の通信が中断すると、治療は終中止されなければならない。
【0121】
冷却
各レーザダイオードは、ファンによって冷却される。ファンの速度測定信号が監視されなければならない。ファンが故障すると、治療が中止され、PCシステムにエラーが報告される。
【0122】
動作準備
動作準備は、全てのレーザダイオードが動作温度になってファンが動作可能となるまで、PCシステムに報告されない。
【0123】
PCシステム
PCシステムは以下を担当する:
カメラ画像の可視化
距離測定の表示
照射の開始および停止
動作時間の記憶
照射すべき領域の記憶
【0124】
画面/メッセージ/音声通知
画面は、以下を表示する:
1.ウェルカム画面(任意):オフ、継続
2.開始画面:システム開始後に現れ、照射ユニットを位置決めするために使用される−ライブカメラ画像が表示され、距離表示器と重ね合わせられる。操作要素:戻る(ウェルカム画面へ)、継続(治療画面へ)
3.治療画面:照射グリッドが下層のカメラ画像、現在の距離測定の縮小表示、照射の進行状況とともに表示される。操作要素:戻る(開始画面へ)、走査、開始/休止、中止
4.サービスメニュー:設定、ユーザアクセス可能であってはならない
【0125】
音声休止操作要素が全ての画面上に提供されるべきである。
【0126】
言語:
ドイツ語、英語−多言語オプションが提供されるべきであり、追加言語を実現しやすくすべきである。
【0127】
サービスメニューは英語のみ。
【0128】
記号:
全てのメッセージは記号で支援される。
【0129】
エラーメッセージ:
メッセージには2つのエラーカテゴリ:
a)ユーザまたは治療エラー−エラーメッセージについてはそれぞれのREQを参照
b)システムまたは装置エラー、点灯された赤色エラーLED、エラーメッセージ:「装置エラーxxx。装置を再起動してください。エラーが再発する場合はテクニカルサポートに電話してください。」
【0130】
音声通知:音声警告信号が各メッセージについて発信されるべきである。
【0131】
距離測定−図形表示
リアルタイムシステムからの距離測定データはPCシステムにおいて処理され、距離はディスプレイ上にカラーで図形的に提示される。
【0132】
バーの色は、以下のように定義される(距離はサービスメニューで設定可能):
濃い緑色:理想距離(100mm)からの距離が±5mm(95mm〜105mm)
薄い緑色:理想距離からの距離が±10mm(90mm〜110mm)
明るい赤色:理想距離からの距離が±20mm(80mm〜120mm)
濃い赤色:理想距離からの距離が20mmより大きい
(表現色は、基準に準拠した保護用レーザゴーグルを用いて確認されるべきである!)
【0133】
距離表示器は、2つの異なる入力画面上に示される:
1.開始画面:照射ユニットを調節−ライブカメラ画像(未処理)が表示され(末端位置にカメラおよび距離センサを備え、固定距離センサが実装されていないキャリッジ)、距離表示器と重ねられる。現在測定されている距離を表すバーのみがベタ塗りで示されるので、距離バーは透明に示される。
【0134】
2.治療画面:現在の距離測定の縮小表示(キャリッジ上の固定センサおよび中央距離センサ)(任意)
【0135】
照射ユニットの調節:照射ユニットが大きい創傷上に配置される場合、両端の距離は緑色範囲内でなければならない(=9〜11cmの距離、Helboサービスメニューにおいてこの距離値を変更することが可能でなければならない)。より小さい創傷の場合には、照射要素の一端のみが緑色範囲に含まれることが可能である。調節中の距離は、中央レーザダイオードによって測定される。走査プロセス中、有効範囲が決定される(プロセスは、照射要素の一端が有効範囲内にあるときに開始可能である)。(リアルタイムシステムからのデータおよびディスプレイ上の表示の比較)。
【0136】
カメラ画像、グリッド、照射領域
PCシステムはカメラ画像を処理し、これはその後ディスプレイ上に表示される。グリッドが画像の上に配置される。グリッドフィールドのサイズ(照射領域内)は:
長さ(長手方向装置軸):30mm(6mm単位で5つの照射位置に対応)
幅:45mm
【0137】
グリッドは合計5×3のフィールドからなり、これによって画像全体が150mm×105〜135mmの面積をカバーする。
【0138】
画面上のフィールドのサイズは、元のサイズのおよそ半分(15×23mm幅×高さ)−そしていずれの場合も、可能な限り大きい。
【0139】
(ディスプレイ上の表示を創傷と比較;フィールドは、距離がOKの場合のみ選択可能)。
【0140】
走査
走査キーが作動されると、画像情報が読み取られ、創傷からの距離が各照射位置に置いて測定される。メッセージ:「走査が完了しました。照射するフィールドを選択してください。」
【0141】
走査により、有効距離範囲内ではない領域は、自動的に赤色のXで強調される。
【0142】
照射領域は、創傷からレーザダイオードまでの距離が有効範囲(50〜120mm、いずれの場合も各レーザダイオードの照射フィールドの中心で測定;HelboサービスメニューにおいてこのREQの全ての距離値を変更が可能であるべき)内である場合にのみ選択されるべきである。これはまた距離が装置の全長にわたって維持され得ない場合にも、より小さい創傷が照射されることを可能にする。しかしながら、ユーザは、照射が有効ではない副領域(X)も選択してもよい。
【0143】
開始
PCシステムは、少なくとも1つの領域が選択され、創傷からの距離が有効範囲内である場合にのみ、照射プロセスを開始することができる。
【0144】
照射プロセスを開始する前に、メッセージ「治療開始−保護ゴーグルを着用してください!」が(ゴーグルの記号とともに)表示され、音声信号が発信される。照射は3秒の遅延の後に開始され、メッセージは10秒後に自動的に消える(設定可能)。
【0145】
「開始」ボタンのテキストは「休止」に変更される:(開始は少なくとも1つの領域が選択されている場合にのみ可能)。
【0146】
照射
選択された領域は、リアルタイムシステムに伝送される。各選択領域は40秒間照射される。Helboサービスメニューにおいてこの継続時間を変更することが可能であるべきである。一旦プログラムが開始されてしまうと、領域の変更はもはや不可能である。実行中の治療および照射領域は、たとえばレーザ位置を表す移動バーによって、ディスプレイ上で可視化される。すでに照射された領域は、カラー(異なる赤色相)で強調されるべきである。
【0147】
残り照射時間が表示されるべきである。
【0148】
(レーザ位置を制御し、選択領域と比較)。
【0149】
連続距離制御
レーザダイオードの距離(3つ全てに該当)が近すぎるかまたは遠すぎることをリアルタイムシステムが報告すると、ディスプレイ上に通知が表示され、プログラムは休止モードに切り替わる。治療は、距離が再び有効範囲(80mm〜120mm;Helboサービスメニューにおいてこの距離値を変更可能であるべき)内になったときにのみ継続可能である。最小距離の監視機能は常時起動されており、その一方で最大距離については、領域が照射のために選択されたときにのみ起動される。
【0150】
治療の終了
リアルタイムシステムは、全ての領域が照射されるとすぐに、治療の終了を報告する。PCシステムは、音声メッセージおよび視覚メッセージを送信する。新たな照射を防止するために、全ての領域が選択解除される。
【0151】
メッセージを表示するために、ディスプレイ上にテキストが必要とされる(翻訳が必要と思われる)。最小距離が照射中に遵守されない場合には(REQ305)、患者が装置と接触した可能性があるので、「治療が終了しました」のメッセージの確認後に、ディスプレイ上に衛生対策に関する通知も表示される。このメッセージは、次の処置を開始する前に(起動後、またはスタンバイからの起動後)、再度確認および表示される。
【0152】
テキスト:患者が装置と接触した可能性があります−特に念入りに洗浄してください!
【0153】
時間超過
リアルタイムシステムが時間超過(レーザダイオードの最大起動継続時間)を報告した場合、ディスプレイ上にエラーが表示され、現在の治療は継続できなくなる。
【0154】
エラーメッセージを表示するために、ディスプレイ上にテキストが必要とされる(翻訳が必要と思われる)。「装置エラーxxx。装置を再起動してください。エラーが再発する場合はテクニカルサポートに電話してください。」
【0155】
保護用レーザゴーグル注意書き:赤字記号および指示テキストを可能な限り回避すること!
【0156】
照射中の休止
現在の治療は、タッチ画面上のキーを用いて休止されることが可能である。
【0157】
「休止」ボタンのテキストが「開始」に変更される:
進捗バーが点滅する。
【0158】
情報メッセージがグリッド上に流れる「被照射身体部位がまだ正しい位置にあることを確認してください;ない場合には、治療を中止してください。」
【0159】
照射中の創傷からの距離が有効範囲内にない場合には、PCシステムも同様に休止モードに切り替わる。
【0160】
装置が休止モードにあるとき、継続するには2つの選択肢がある:開始/休止キー:(距離は再び修正されなければならない);中止キー:(距離が正しくない場合、またはたとえば患者が動きすぎたなど、別の理由による)を用いて治療を継続
(治療を中断および継続)
【0161】
終了
現在の治療は、タッチ画面上のキーを用いて終了可能である。以下のシナリオが可能である:
1.照射中、または
2.休止モード中:クエリ「治療が進行中です。本当に終了しますか?、終了する場合:「治療が終了されました。選択された領域は完全には照射されませんでした!」
3.治療画面の表示中(「戻る」と同じ機能)
【0162】
プロセスが中止された後、装置は元の状態にリセットされる(開始画面)。
(治療を中断および継続する)
【0163】
動作時間
以下のデータが記憶される:
レーザダイオードあたりの動作時間の秒数
治療の開始
治療あたりの照射フィールド
エラー
合計動作時間
【0164】
データは、サービスメニューでディスプレイ上に表示されることが可能である。このメニューに使用される言語は英語である。
【0165】
サービスメニューは、タッチ画面上の特殊な組み合わせを通じてアクセスされる。
【0166】
安全機能
リアルタイムシステムとの通信は、伝送プロトコルによって保証される。接続が切断されるかまたはリアルタイムシステムが応答しなくなった場合には、ディスプレイ上にエラーが表示される。
【0167】
一般要件
筐体を開発する際に、EM60601−1、EN60625−1基準が参照されるべきである。さらに、EN60601−6による電気医療機器における使用の適合性が、検証および認証されるべきである。
【0168】
照射ユニットの総重量は、13kgを超えるべきではない。したがって、軽量材料(アルミニウムなど)が使用されるべきである。このため絶対に必須な構成要素のみが、照射ユニットに組み込まれるべきである。重量のため、PCシステムは、タッチ画面を除いて、機器カート上に設置されるべきである。筐体は洗浄が容易であるべき;くぼみおよび溝は回避されるべきである。
【0169】
筐体
照射ユニットの筐体には、以下の構成要素が組み込まれなければならない:
リニアドライブおよび案内フレーム
レーザダイオード
レーザダイオード用制御装置
リアルタイムシステム用ハードウェア
タッチ画面、PC
レーザ動作表示器
スタンバイキー
【0170】
筐体は、上方から侵入する液体から保護されなければならない。通風は、患者の創傷または患者に向けられてはならない。損傷を防止するために、下面にカバー(透明ポリカーボネート(PC)パネル、長手方向装置軸に沿って湾曲(r=240mm)、2mm厚)が提供される。
【0171】
照射ユニットを位置決めするためのハンドルが、筐体上横方向に必要とされる。照射ユニットは、関節アームに実装される。これはVESA75マウントにしたがって収容され、照射ユニットの回転運動が可能となるように設計されるべきである。
【0172】
筐体のサイズは、組み込まれる構成要素によって、ならびにリニアドライブおよび側方案内によって、定義される。
【0173】
EN60601−1による0.5mAの最大筐体漏れ電流が、遵守されなければならない。採用される材料も同様に、システムのEMC遮蔽に貢献すべきである。筐体は、電子回路を保護するように、液体による侵入から保護されなければならない。
【0174】
線形ガイド
15cmの長さにわたってレーザダイオードを移動させることが可能でなければならない。この目的のため、位置決定のためのインクリメンタルエンコーダを含む、ステッピングモータなどの適切なドライブが、使用されるべきである。
【0175】
レーザダイオードは、衝撃が緩和されるように実装されなければならない。
【0176】
側方ダイオードの案内
側方レーザダイオードは、所定距離を置いて、中央ダイオードにしっかりと接続される。これらは20°の角度だけ、内側に旋回させられる。
【符号の説明】
【0177】
2 照射ユニット
4 電源ユニット
6 位置決め要素/関節アーム/位置決めアーム
8 機器カート
10 光源/レーザダイオード/レーザユニット
12 案内要素/案内レール/線形ガイド
14 照射位置/照射フィールド
16 矢印/移動方向
17 フレーム/キャリッジ
18 筐体
19 駆動ユニット
20 ディスプレイ
22 玉継ぎ手
23 ハンドル
24 レーザシステム
26 線形ガイド
28 カメラ
30 表面/線
32 レーザダイオード
34 ヒートシンク
36 レンズ
38 線/保護板
40 操作ユニット
42 ライブカメラ画像
44 創傷領域
46 グリッド
47〜49 照射フィールド
50 マウスクリック
51 標識/クロス
52、53 距離表示器
54、55 記号/バー
56 54、55の先端
58 走査キー
59 開始/停止キー
60 創傷
62 下肢/脚
64、65、70、71 矢印
66 ブロック
68、69 距離センサ
72、73 接点
74 灰色で強調された領域
76 クロス/ハッチング領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに提供される特徴による、光線力学的治療のための、および/または微生物を破壊または減少させるための装置に関する。本発明はさらに、光線力学的治療のための、および/または微生物を破壊または減少させるためのこのような装置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2005/035058号は、位置決め要素によって移動可能な照射ユニットを含む、このような装置および方法を開示している。照射ユニットは、治療すべき創傷領域に適用される光感作物質がそれによって活性化される、いくつかの光源を含む。照射ユニットは、治療を実行する前、および実行中に、それによって創傷領域の画像が取得されるカメラを含む。光源は、いくつかの発光ダイオード(LED)を含み、冷却器によって照射ユニット内に固定される、クラスタランプの形態で設計されている。さらに、創傷領域からの照射ユニットの距離を監視するために、距離センサが設けられている。
【0003】
さらに、国際公開第2004/105874号は、レーザとして顕著に設計された光源を有する照射ユニットを含む装置を開示している。光活性化可能な物質、具体的には染料を用いて、微生物は、適切な波長およびパワー密度を有する光で照射された後に、感作および/または着色されて破壊される。光線力学的治療(PDT)または抗菌光線力学的治療(aPDT)の作用の原理は、微生物の選択的な作用および/または着色に続く、光感作物質とも称される光活性化可能物質へのエネルギー伝送の物理的作用に基づき、ここで反応のためのエネルギーは、細胞膜において利用可能とされる。照射装置の光源によって生成されるエネルギーは微生物に集中し、「正常環境」における非照射状態において発生する反応の平衡位置が移動し、その結果、微生物が破壊される。知られている装置は、照射ユニットに結合可能であって光導体を含むアプリケータを含み、ここでアプリケータの自由末端は、治療すべき領域を照射する目的で、これに可能な限り近づくように案内される。この装置は、特に歯科医学または口腔、顎、または顔面野において、成功裏に適用されてきた。知られている装置は、たとえば広い表面積の創傷の治療、または創傷治癒の領域において、無条件に採用されることは不可能である。ここで、単なる例として、尾骨領域においてもはや移動不可能な患者に発生する創傷潰瘍(辱創)、静脈瘤または血管閉塞によって生じる下肢潰瘍(下腿潰瘍など)、糖尿病の結果として発症する可能性のある、糖尿病性足症候群(足部潰瘍)などの皮膚潰瘍、または手術創などの急性感染創傷などの、一般的な慢性創傷または皮膚潰瘍が、参照されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/035058号
【特許文献2】国際公開第2004/105874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づき、本発明の目的は、創傷治癒のために、光線力学的治療(PDT)または抗菌光線力学的治療(aPDT)を適用するための装置および方法を提案することにあり、具体的には、短時間内で最大可能な創傷領域のために、確実な適用および/または証明された殺微生物効果が達成される。それぞれの環境に応じて制御されることが可能な有効な創傷治療は、可能な限り低い装置関連コスト、および/または高い機能的信頼性を伴って、実現されるべきである。装置ならびに方法は、医学的および/または治療的要件への適合が、容易でなければならない。装置は、大きな複雑さを伴わずに、創傷上の様々な位置への適合が容易であるべきであり、調整しやすくなければならない。さらに、位置決め要素が、治療を施す人によって調整される位置にこのユニットを確実に保持することができるように、照射ユニットの重量は、可能な限り最低のレベルで指定可能でなければならない。装置の移動可能性は最適化されるべきであり、とりわけ軽量および/または小型寸法が達成されるべきである。さらに、光源および/またはレーザダイオードへの損傷を防止するように、衝撃または打撃に対する改善された減衰が実現されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に提供される特徴による装置に関連して実現される。方法に関しては、目的は、方法請求項に提供される特徴によって実現される。
【0007】
本発明による装置および/または本発明による方法、または装置の使用は、単純な設計および/または容易な操作を提供する一方で、創傷治癒の分野での機能的に確実で実用的な適用を可能にする。創傷治癒にPDTまたはaPDTを適用するための本発明による治療システムは、具体的には、最大可能な創傷領域向けを含む、短時間内の確実な適用および/または証明された最適な殺微生物効果を、可能にする。光感作物質に含有される色素、特に青色色素、および/またはHELBO Blue Kutanが、治療領域および/または治療すべき創傷、またはその一部に適用される。規定時間は色素分子が微生物と結合することができるように、光感作物質の作用に対して指定され、具体的には少なくとも2分間である。その後、過剰な色素が迅速にすすぎ落とされおよび/または拭き取られ、ここで以下の手順が採用される:スワブスティックを用いて過剰な色素を吸引するステップと、生理食塩水およびNaClをしみこませたスワブで治療領域上を掃過するステップと、最後に別のスワブスティックを用いて残留液を吸引するステップと、である。その上で、適切な波長およびエネルギーを有する光へ曝すことが実行される。この目的のため、およそ661nmの波長、少なくとも100mW/cm2のパワー密度、および少なくともおよそ3〜5J/cm2のエネルギーを有する光が好ましくは提供され、および/またはこれは、光感作物質が活性化されることで微生物の破壊を誘発するようになっている。
【0008】
少なくとも1つの光源が、案内要素によって照射ユニット内に移動可能に設けられ、これは、創傷領域の少なくとも2つの異なる照射位置に向けられるように、特に線形ガイドとして設計されている。カメラによって記録された創傷領域はディスプレイ上に表示され、そしてディスプレイはグリッドをさらに表示するか、またはグリッドは表示された創傷領域のカメラ画像上に重ね合わせられ、ここでグリッドの各フィールドは好ましくは、ある照射場から次の照射場へ連続しておよび/または継続して移動可能なように、明確に案内要素によって照射ユニットに設けられた少なくとも1つの光源のそれぞれの位置にしたがって、照射場に対応している。治療を施す人は、少なくとも1つの光源によって、照射すべきフィールドを選択および/または標識することができる。ディスプレイは有利なことに操作ユニットの一部であり、これは、創傷領域の画像を走査または生成するため、および照射を開始または停止するためのボタン、あるいはその他の入力キーを、さらに含む。さらに操作ユニットは好ましくは、治療すべき創傷、または治療すべき体内部位からの照射ユニットの距離のための表示要素を含み、この距離は距離センサによって捕捉される。ボタンおよび距離表示器とともに、ディスプレイは好ましくは操作ユニットに組み込まれており、これは都合よく照射ユニットの外部に設けられ、および/またはユーザによって容易にアクセス可能な別のユニットとして設計される。
【0009】
本発明による装置および/または方法および/または治療システムは、明確に以下の利点を達成する:
現在利用可能なオプションを、少なくとも付加的に増加した作用と相乗的に使用すること、
頻繁な交換を必要とする高価な装着品が省略可能なので、創傷治療の総費用を低減すること、
特に微生物の破壊において、効果を著しく高めること、
知られている装着品における銀など、高価で有限な資源を節約することによる、持続可能性、
伝統的な全身抗生物質療法のような、耐性の発現がないこと、
銀によるアレルギーまたは疼痛症状を引き起こすリスクなど、現在採用されている治療形態の副作用を回避すること、
創傷治癒が速く、それによって特に慢性創傷治癒問題の場合に、入院期間の短縮が達成されること、
薬剤費および装着品を節約すること、
特にコスト節約という形態での、健康管理機構にとって、ひいては全体的な健康管理システムにとっての、全体的な経済的利点。
【0010】
本発明による装置および/または照射装置は、後により詳細に記載される、以下の構成要素またはモジュールを実質的に含む:
電子的または機械的距離監視を含み、随意的にまたは好ましくは操作ユニットが含まれる、照射ユニット(照射ヘッド)、
安全要素を含む、機器カートに随意的に組み込まれる、電源ユニット、
照射ユニットを機器カートに接続するための関節アームおよび/または位置決めアーム、および
ユニット全体を担持および/または収容する、機器カート。
【0011】
本発明による装置およびその使用のための方法は、特に以下の皮膚創傷の治療において、操作が容易であって高い機能的信頼性を提供しながら、病原微生物を減少させるためにPDTが実行されることを可能にする(aPDT):
慢性創傷(辱創性潰瘍)
急性感染創傷(術後創など)
局所感染創傷、および
鬱血創傷における創傷治癒の誘導。
【0012】
この目的のため、以下の構成要素またはモジュールが採用される:
光源/照射装置
光感作物質溶液、特にHELBO Blue Kutan
アプリケータまたはスワブなどのような補助器具。
【0013】
とりわけ以下に挙げられる病原微生物の除去が示され、臨床試験的研究によって検証された。本発明にしたがって処置された創傷における典型的な微生物スペクトルは以下の病原菌を含む:
黄色ブドウ球菌 バクテロイデス種
大腸菌 プロテウス種
長球菌種 F群連鎖球菌
緑色連鎖球菌 スタフィロコッカスシュライフェリ
B群連鎖球菌 エンテロバクタクロアカエ
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 化膿連鎖球菌
緑膿菌
【0014】
HELBO Woundsとも称される、本発明による治療システムは、本質的に以下の構成要素を含む:
色素(光感作物質)、
照射装置、および
アプリケータ、拭き落とし器具、ブラシなどとともに色素を含む無菌治療セットの形態を取るものなどの、随意的補助器具。
【0015】
採用される光感作物質は、具体的にはHELBO Blue Kutan色素であり、これはすでに承認されている。この色素は消耗品であり、一回分使用量毎に分封されており、これらは定義された最大創傷領域を有する創傷の治療に十分である。
【0016】
本発明は、図に示される例示的実施形態に基づいて以下により詳細に記載されるが、この点に関してこれによって本発明を限定するものではない。図解は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】全体的なシステムの設計を示す図である。
【図2】移動可能に設けられた光源を示す図である。
【図3】空間的照射のための光源の構成を示す図である。
【図4】筐体および関節アームを含む照射ユニットの図である。
【図5】筐体および関節アームを含む照射ユニットの図である。
【図6】筐体および関節アームを含む照射ユニットの図である。
【図7】照射ユニットまたは照射装置の3つのレーザユニットの配置を示す図である。
【図8】操作ユニットの図である。
【図9】操作ユニットの代替構成を示す図である。
【図10】下肢創傷上への照射ユニットの位置決めを示す図である。
【図11】照射ユニットの位置決めのフローチャートである。
【図12】平面的照射の図である。
【図13】空間的照射の図である。
【図14】空間的照射の図である。
【図15】旋回可能な光源またはレーザダイオードの位置決めのフローチャートである。
【図16】ディスプレイ内に挿入されたグリッドを有する創傷のカメラ画像である。
【図17】標識された選択照射フィールドを有する、図16によるカメラ画像である。
【図18】連続距離制御を含む、照射のフローチャートである。
【図19】グリッドおよび様々な照射位置の選択フィールドを有する、ディスプレイ内の創傷のカメラ画像である。
【図20】グリッドおよび様々な照射位置の選択フィールドを有する、ディスプレイ内の創傷のカメラ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、全体的なシステムまたは治療システムの設計を示し、これはHELBO Woundsとも称され、本質的に以下の構成要素を含む:
特にレーザ光向けに採用される、光源および/または複数の光源は、必要とされるパワー密度で所定領域を照射することができる。
治療領域の総面積を、所定の、好ましくは短い時間の範囲内で、少数の光源、より具体的にはレーザダイオードを用いる光に曝すことができるようにし、本発明による光源および/または複数の光源は、1つの照射位置から次の照射位置へ、案内要素および駆動ユニットによって、各例において照射されているそれぞれの副領域に対して、照射ユニット内で移動させられる。
【0019】
照射装置および/または機器は、実質的に以下の構成要素からなり、その詳細な特性は、後に記載される:
電子的または機械的に実現および/または設計された、距離監視を含む照射ユニット2(照射ヘッド)であって、さらに好ましくは、とりわけディスプレイを含む操作ユニットが組み込まれている、照射ユニット2、
操作ユニット、
好ましくは機器カートに組み込まれ、さらに好ましくは安全要素を含む、電源ユニット4、
照射ユニット2を機器カート8に接続するための、関節アーム6および/または位置決めアームおよび/または位置決め要素、および
ユニット全体を担持する、機器カート8。
【0020】
HELBO Woundsシステムの使用および/または方法の実行は、創傷洗浄後、および創傷包帯前に提供される。代替として、使用および/または方法の実行は、適用研究および適用観察に応じて行われることが可能である。
【0021】
装置および方法の中心部分は、とりわけレーザ技術を用いる、照射ヘッドおよび/または照射ユニット2の構成である。必要とされるパワーデータを実現するために、以下が提供される:
光源、より具体的には半導体レーザダイオードが、線形またはマトリクス形状で設けられ、レーザダイオードの数は使用されるタイプの出力パワーに基づく。照射は好ましくは、治療すべき治療領域を空間的に照射するように、および必要とされる高パワー密度を達成するように、三方向から実行される。
【0022】
図2は概略的な設計を示し、ここで光源および/または複数の光源10.1、10.2および/またはレーザユニットは、矢印16の方向に、照射位置14(AからF)にわたって、特に線形に、案内レール12に沿って、案内要素および駆動ユニットによって、連続的に移動させられる。この変形例では、空間的照射は実行されない。2つの光源10.1および10.2はフレームまたはキャリッジ17上に設けられており、これは案内要素の一部であって、1つの照射位置から次の照射位置へ案内レール12に沿って駆動ユニット19によって、移動させられることが可能である。
【0023】
図3は、様々な副領域AからDが連続的に照射される、矢印16によって示される移動方向に沿った空間的照射のための、3つの光源10.1、10.2、および10.3および/またはレーザダイオードおよび/またはレーザユニットを含む構成の概略図である。光源10.1、10.2、および10.3はレーザシステム24上に設けられているが、これは、関連する案内要素を含む、ここでは図示されないフレーム上を、矢印16の方向に移動させられることが可能であり、様々な副領域AからDに関連して位置決めされることが可能である。2つの側方光源10.2、10.3、またはレーザダイオードは、治療すべき表面の輪郭に有利に適合することができるように、中央光源10.1に対して旋回可能に設けられている。簡素化のため、以下、光源はレーザダイオードと称されるが、しかしこれにより本発明を限定するものではない。
【0024】
装置は好ましくは、以下の5つの主モジュールに分割され、その語頭に付された英数字が、以下において使用される。
M1照射ユニット2
M2位置決め要素/位置決めアーム/関節アーム6
M3安全要素を含む電源ユニット4
M4機器カート8
(M5治療セット)
【0025】
M1モジュール−照射ユニット2−は、3つのサブモジュールに有利に分割される:
M1Aレーザユニット10
M1B制御モジュール
M1C筐体18および照射ユニット2
【0026】
図4から図6は、そこに組み込まれた筐体18およびディスプレイ20を含む、照射ユニット2の特定の実施形態の図を示す。ディスプレイ20はとりわけ、以下に記載される操作ユニットの一部である。照射ユニット2は、治療領域に対する事前定義可能および/または自由な位置決めのために、位置決め要素の玉継ぎ手22によって関節アーム6に結合されており、ここでユーザは筐体のハンドル23を都合よく握持する。レーザシステム24は、3つのレーザダイオード10.1、10.2、および10.3を含み、線形ガイド26によって移動および/または位置決めされることが可能である。さらに、カメラ28が設けられており、これは好ましくはレーザユニット24に結合され、位置決め可能である。レーザシステム24の移動は、線形ガイド26によって定義され、本実施形態において好ましくは実質的に15cmである。本発明の範囲内において、線形ガイド26はまた、異なる移動量で定義されてもよい。レーザシステム24は、空間的または三次元配置の、3つの光源および/またはレーザユニット10.1、10.2、および10.3を含む。
【0027】
図7は、3つのレーザユニット10.1から10.3の配置を示し、ここで側方レーザユニットは中央しレーザユニット10.1に対して実質的に20°旋回した状態で配置されており、回転中心はターゲット領域または治療領域内に位置している。一例として、線30は、レーザユニットによって照射される太い脚の表面を示しており、足の直径は105mmである。照射ユニット2に実装される3つの同じレーザユニットの各々は、レーザダイオード32、ヒートシンク34、およびレンズ36を含む。線38は、照射装置の半透明および/または透明保護板を示しており、ここでこの保護板はとりわけポリカーボネートで作られている。レーザユニットの各々は実質的に、
内部または外部冷却を有するレーザダイオード、
平行レンズ、
ビームを均質化するための2つのマイクロレンズアレイ、
レンズマウントおよびホルダ、を含む。
【0028】
モジュールおよび構成要素の特徴および/または機能および/または特性のうちのいくつかは、以後必要に応じて説明され、その協調は個別に、または本発明による装置と明確に組み合わせて実行され、および/または本発明による方法を用いて実現される。
【0029】
M1Aレーザユニット
レーザユニット10は、とりわけ以下の要件を満たす:
光源としてのレーザの使用であって、レーザ光は好ましくは少なくともおよそ661nm(+/−20nm)の波長を有する
光の波長は、使用される色素を活性化させるものに対応しなければならない
色素を活性化させるように、照射される創傷面において少なくとも10mW/cm2のパワー密度
創傷面に対する単位面積あたりで印加される必要なエネルギー、または有効量:3〜5J/cm2
最適な照射(正しいパワー密度など)を保証するように、照射ユニットの距離は照射システムに合わせて調節される。カメラ画像を記録し、適切なパワー密度での放射を遂行することができるように、制御距離は10cmである(創傷面に対するレーザダイオード射出点)。装置による(特に曲面での)創傷との接触を防止するために、最小距離は8cmである。十分なパワー密度を保証するために、最大距離は12cmである(ビームのそれぞれの中心での測定)。
【0030】
筐体18は、レーザユニットの特定距離で患者との接触が発生しないように設計されている。
【0031】
一回限りの照射が、創傷の大部分をカバーする創傷領域を照射する。これらの創傷の形状は非常に大きく異なるので、確定的なサイズは確立され得ない。しかしながら、目的は、理想的には10分以内の間、ヒト下肢の表面のおよそ半分に相当するサイズを有する創傷に照射できるようにすることである。治療の間(照射ユニットを位置決めし直すことなく)、15×13cmの平坦領域(または曲面領域を照射する際には15×10cm)を照射することが可能でなければならない。
【0032】
この照射すべき最小創傷領域は、規定された100mW/cm2のパワー密度が存在する、臨床的に有効な面積を指す。ガウス分布に注意しなければならない。必要であれば、適切なレンズまたはビームホモジナイザが使用されるべきである。全領域の均質な照射;パワー密度はいずれの領域においても100mW/cm2より大きくなければならない;上述のパワー密度は、ビーム円錐が重複する領域において超過する可能性がある。
【0033】
照射継続時間は15分を超えてはならない。最大治療継続時間は15分である;この継続時間は非常に広い面積の場合超えられる可能性がある;15分以内で治療され得る領域が確立されるべきである。
【0034】
照射は、三次元全てを考慮に入れるべきである。可能性のあるビーム角によるいかなる減少も考慮されなければならず、照射誤差を防止するための対策が採用されるべきである(不十分なパワー密度→不十分なエネルギー)。照射は好ましくは、実質的に均質なパワー密度を用いて、3つの空間的方向から実行される。曲面(脚など)を照射するときには、パワー密度は、光源からより離れた部位において100mW/cm2未満に下がってはならない。以下の限界は、より近い位置の部位において超過されてはならない:
500mW/cm2(レーザクラス3Bの限界)
定格出力パワーの±20%(EN60825による)
出力される光パワーの一貫性が照射継続時間全体にわたって保証され(→パワー変動、個々の光源の故障...)、ここで特に距離制御および/または出力パワーの一定した制御が、実行される。
光源によって発生した廃熱の適切な放散が保証される。領域を照射するのに必要とされる光源の数が増加するので、光源の領域において温度上昇が予想される。光源向けに適切に設計された冷却が必須である。冷却は、継続動作向けに設計されるべきである。最高許容可能表面温度に準じる関連基準が遵守されるべきである。光源または装置の熱は、光源の最高温度値または標準仕様を超えてはならない。外面の熱:1990年の60601−1基準に準拠:適用部品の最高表面温度は41℃=患者と直接接触する部品。ユーザによって常に保持される金属部品の最高表面温度は55℃である。創傷の領域における許容不可能な通風(ファンによって発生する)は予防される。
出力放射線を確実および容易に測定および調節するために、校正装置が提供される。
装置などに対する激突による損傷を防止するような、レーザダイオードの耐衝撃/衝突マウンティング。衝撃は、レーザダイオード担体または照射ヘッド機構全体の弾性マウンティングによって緩和される。
出力レーザパワーは固定され、それぞれのパワー密度および固定的に定義された距離にしたがって調節される。出力パワーは固定的に定義された値に合わせて常に制御されており、具体的には制御電子回路(レーザダイオードドライバモジュール)。
【0035】
M1Aとその他のモジュールとの間のインターフェース
M1B:レーザダイオードはM1Bによって起動または停止される。
M1B:線形ガイドの移動部品(「キャリッジ」)へのレーザダイオード(冷却およびレンズも含む)の取り付け。レーザダイオード担体はフレームとして設計されており、これが線形ガイドの移動部品を形成する。
M1B:レーザダイオードドライバモジュールの実装
M1C:筐体内の換気出口
M2/M3:ダイオード用電源
M1B制御モジュール
【0036】
制御モジュールは、以下を含む:
(たとえばステッピングモータおよび位置決定のためのインクリメンタルエンコーダを用いて)レーザユニットを直線的に移動させて位置決めするためのリニアドライブ。レーザユニットの線形移動性は、照射ユニットの主延伸方向に沿って定義される。線形ユニットの長さは、照射可能な最大面積の長さにしたがっており、好ましくは10から25cmの範囲内、より具体的には14から20cmの範囲内である。
(たとえばステッピングモータおよび位置決定のためのインクリメンタルエンコーダを用いて)側方旋回可能なレーザダイオードを位置決めするためのそれぞれの駆動ユニット。これは、曲面領域(脚など)および平坦領域(背中など)を照射することができるように、中央レーザダイオードに向かって配置されている。側方配置ダイオードは10°から30°、より具体的には実質的に20°の好ましく定義された角度範囲で、旋回可能である。
照射可能な領域の画像を提供する、少なくとも1つのカメラ。好ましくはカラーカメラが提供され、これは照射可能な総領域の画像を記録および供給する。創傷面からの規定距離でカメラアングルが十分ではない場合には、随意的に複数のカメラまたはその領域を走査する可動カメラ(レーザユニットと協働する専用線形ガイドまたは移動)が使用されてもよい。なお、創傷面が曲面である場合には、画像用カメラアングルは外側レーザダイオードのビーム方向に対応しないことに留意すべきである。良好なカメラ画像を得るように、少なくとも1つの追加光源が提供されることが、さらに好ましい。
【0037】
距離センサ:
このダイオードとともに移動する、中央レーザダイオードの領域内の距離センサ。
1つは照射ユニットの長尺末端(場合により両端)にあり、これは創傷からの照射ユニット/レーザダイオードの距離を測定する。
創傷表面からの外側旋回可能ダイオードの距離を測定する、それぞれの距離センサ。距離センサは、中央および側方レーザダイオード向けに提供され、照射ユニットの一端に固定される。好適なフェイルセーフ変形例は、少なくとも中央レーザダイオード上に2つの距離センサを含む。距離センサは、または複数の距離センサは、特に超音波センサまたはレーザセンサとして設計されている。測定精度は好ましくは、およそ±5mmの範囲である。
【0038】
特にタッチ画面を含む、ディスプレイ
スタイラスまたは指を使用して入力が実行され、ここで使い捨て手袋を用いる手術が可能でなければならない。ディスプレイの向きは、機器カートの横に立っているユーザがこれを容易におよび/または良好に認識または解釈できるように、定義される。ディスプレイ(少なくとも8インチ)は、カメラ画像を示し、これをグリッドに重ね合わせ、選択されたフィールドを示すかまたは離間した位置決めを支援するための赤/緑バーを示すために、使用される。ディスプレイは、非常に長身ではないユーザであってもいかなる位置でもディスプレイを読み取ることが可能なように、配置される。
【0039】
入力キー
走査(カメラ記録開始)
開始−停止(照射の開始/停止)。好ましくは、必要な入力キーの全てを含む膜型キーボードが提供される。さらに、入力キーは随意的にディスプレイに組み込まれている。加えて、入力キーは、キーストロークが照射ユニットの調節された位置を変更しないように、設計および/または配置される。
【0040】
緊急時停止押しボタン
作動させると全ての駆動モータおよびレーザ照射が停止する、照射ユニットおよび機器カート上の緊急時停止押しボタン。
【0041】
制御ソフトウェア
たとえば埋め込みシステムの形態の制御ソフトウェアは、以下の機能を実行および/または制御する:
プロセッサおよび電子部品:
制御ソフトウェアが起動するプロセッサ、ならびにドライブ、センサ、カメラ、ディスプレイ、入力キー、および緊急時停止を制御するための電子回路パッケージ。さらに、システム故障の場合に緊急時停止機能を起動させるように、制御ソフトウェア/電子回路の機能の保護が提供される(ウォッチドッグハードウェア/ソフトウェア)。
装置の「内部に手を伸ばした」ときに個人を保護するための、下面のアクセスガード:レーザビーム射出開口から規定可能距離に物体が侵入したときに、休止モードが起動される(レーザオフ)。
機械的構成要素:
全ての構成要素、特に線形ガイド、ドライブ、カメラ、ディスプレイ、操作要素、センサ、またはダイオードのアクセス保護を担持する、フレーム。
関連基準によるレーザ動作表示器:
緑色:レーザ準備完了(キー操作スイッチが起動し、装置のスイッチがオンになり、レーザダイオードの温度が正常範囲内である)。
黄色/橙色:レーザ発光用−開始が押された−装置が光放射を放出
赤色:エラー(絶対に必要ではない)
表示器は、関連基準(EN60825、EN60601−1−22)に準拠してディスプレイに組み込まれるか、もしくは専用照明(LED、LEDストリップなど)として設計される。
手動再起動ユニット:
電源異常などの後、照射が自動的に継続してはならない。
動作時間の記憶装置:
装置の合計動作時間および個々のダイオードのレーザ動作時間が、恒久的に記憶される。
【0042】
M1Bとその他のモジュールとの間のインターフェース
M1A:レーザダイオード制御器の直接作動/サンプリングにより、レーザダイオードおよび様々な監視機能を起動/停止(電圧制御);
3つの全てのダイオードの作動/監視。
ダイオードオン/オフ、電圧制御。レーザダイオード制御器からの電圧信号による、レーザダイオード温度の監視。LDの温度が確立された範囲内にあるときだけ照射が認められる。レーザダイオードシステムの監視、許容された範囲からの逸脱時の警告(損傷に関する助言)。レーザダイオードファン冷却器の回転速度の監視(冷却器が動作していない場合に警告)。随意的に:電圧信号によるレーザパワーの制御。
M1A:線形ガイドの移動部品(「キャリッジ」)への(3つの)レーザダイオード(冷却およびいずれのレンズも含む)の取り付け。ダイオードを収容するフレームは線形ガイドの一部。レーザダイオードユニットへのインターフェースはとりわけラバージョー/ラバーリングなどを含む。
M1A:レーザダイオードドライバモジュールの実装:
ヒートシンク/ファンを含む、(3つの)レーザダイオードドライバモジュールを実装するために、照射ユニット内に空間が設けられる(寸法およそ120×70×60mm;静止状態または「レーザキャリッジ」上の実装)。
M1C:筐体へのフレームの接続、およびディスプレイの、入力キー/膜型キーボード、または緊急時停止の筐体内の実装。関節アームと照射ユニットとの間の接続領域において、回転運動、特に横断照射ユニット軸に沿った水平軸を中心とする回転運動が好ましくは可能となり、ここで照射ユニットは好ましくは、選択された位置に置いて自動的にロックされることが可能である。
M2/M3:電源
M2:位置決め要素/位置決めアームへの照射ユニットの取り付け。
【0043】
M1C照射ユニット筐体
ユーザインターフェースの固定操作要素を含み、換気出口を含む筐体:側面の吸気口および排気口(あるいは上面に位置するが、しかし可能であれば液体による直接の侵入から保護される)、可能であればレーザダイオードの廃熱を外部に送る、わずかな常時通風を可能にするように、専用ファンを含む。好ましくは筐体の上面への操作要素の実装。レーザ放射が存在する場所なので、筐体の下面は通常開放されている。
随意的に:機器カートへの専用取り付け部(関節アーム)を含む専用タッチ画面(照射ユニットから独立)。
下部装置面は可変的に閉鎖可能であるべきであり、これはたとえば、それぞれのレーザ射出点のみが開放されており(またはガラス/プラスチックパネルで覆われている)、その一方で残りの開口部は一種の「カーテン」などによって閉鎖されている。アクセスおよび埃/ごみに対する保護としての、照射ユニットの下面の剛性被覆:透明ポリカーボネート(PC)パネル、長手方向装置軸に沿って湾曲(r=240mm)、2mm厚。
創傷領域上で照射ユニットを手動で位置決めするためのハンドル。少なくとも2つのハンドルが、筐体上に横方向に設けられている。
筐体漏れ電流の監視:
AKM1C4:筐体漏れ電流は、限界値の範囲内である(たとえば、照射ユニットに低電圧を供給し、EN60601の全ての関連する章を適用することによる)。
筐体形状は創傷面との接触を防止するために、体型に適合すべきである。筐体は、レーザユニットの指定距離で、とりわけ湾曲した治療領域において、患者との接触が生じないように設計されなければならない。
筐体(材料)による電子回路のEMC遮蔽
外部の湿気に対する保護:
筐体は、下層の電子回路に(特に上部から)侵入する液体からの保護を提供すべきである(固定操作要素上のガスケットなど)。
筐体に適した材料、とりわけ陽極酸化または粉体塗装されたアルミニウムの使用。
【0044】
M2位置決め要素モジュール
具体的には関節アーム6および/または関節スタンドを備える構成であって、理想的には高速中心固定を備えている。高速中心固定を備える関節アーム/関節スタンド、全治治療継続時間の間、100%固定された位置決め;搬送位置に固定。照射ユニット2との接続のため、位置決め要素は好ましくは既述の玉継ぎ手22を含み、この継ぎ手もまた有利に高速中心固定および/または固定位置決めを備える。
照射ユニットは、身体のいずれの部分も照射可能でなければならない(患者が横たわった状態で、一般的な患者用ベッドの高さの範囲にこれが適用される場合)。機器カートの外縁から照射ユニットの中心までの水平範囲:少なくとも100cm。垂直範囲(63から136cmの高さのビーム出力面)。
電源ユニットから照射ユニットまでの電源用ケーブル。ケーブルは、隠し配線されるべきであり、可能な限り、関節アームの内部またはこれに沿っている。
【0045】
プロセッサおよび安全要素を含むM3電源ユニットモジュール
実装された中央オン/オフスイッチを含む筐体。
主電源接続線を備える電源。主電源電圧から低電圧への変換であって、ケーブルにより照射ユニットに送られる。
電源のEMC適合性またはEMC規制に準じた筐体による遮蔽。
主電源ユニットまたは変圧器:
電圧5V(レーザダイオード、リアルタイムシステム)および12V(PCシステム/プロセッサ)
レーザダイオードの消費電力およそ6A
有利なことにPCシステムとして設計され、必要であれば、個別に設けられてケーブルで接続された、プロセッサ。
【0046】
M5治療セットモジュール
治療セットと称される構成要素は、各個別のaPDT適用に必要とされる材料を含む。
光感作物質:完全に開発済みであってすでに皮膚表面への適用が承認されている、HELBO Blue Kutanが利用可能であると仮定すると、この色素溶液が、本装置との使用のために使用される。したがって、以下のパラメータは規定済みと見なされるべきである−およそ661nmの波長、光活性成分の最大吸収。
治療セットあたりの光感作物質充填量は、照射可能な最大創傷面積を着色するのに十分でなければならない。およそ50cm2を着色するのに、0.5mlのHELBO Blue Kutanで十分である。
随意的/将来的変形例:
異なる損傷サイズ向けに可変的大充填量を含む治療セット。
治療セットのさらなる内容は、塗布、拭き落とし、創傷のすすぎなどに必要とされる全ての補助器具を含むべきである。
治療セットの全ての個別部品は、適切に包装されて無菌的に流通されるべきである。
【0047】
図8は操作ユニット40の図を示し、これは好ましくは照射ユニットの筐体上に設けられている。操作ユニット40はディスプレイ20を含み、その上に、カメラによって記録され、プロセッサによって処理された創傷領域のライブカメラ画像42が挿入され、創傷領域44が示される。さらに、とりわけプロセッサによって生成された、グリッドフィールド46が、ライブカメラ画像42に挿入され、重ね合わせられる。好ましくは正方形のグリッドフィールドの各々は、レーザユニットによって生成された照射フィールドに対応する。これは、図6に基づいて記載される3つのレーザダイオードを含むレーザシステムに基づいており、それによって3つの照射フィールド47、48、49が同時に生成され得る。照射フィールド47、48、49は、互いに隣接して、矢印16で示されるようなレーザシステムの移動方向を横断するように、位置している。案内要素および駆動ユニットによって、レーザシステムは移動方向16において連続的に移動し、本発明によれば、移動方向16において互いに隣り合って位置する照射フィールドが連続的に照射されてグリッドフィールド46全体に対応するマトリクス状照射が実行されるように、位置決めされる。創傷領域44を占めるグリッドフィールドのみを照射するように、これらは、ここではクロスXによって示される、適切な標識手段を用いて標識される。ディスプレイ20がタッチ画面として設計されている場合、標識は、上述のフィールドをタップまたはタッチすることによって実行される。代替として、標識はたとえば、それぞれのフィールド上でのマウスクリック50によって、プロセッサまたはPCシステムによって、実行されることが可能である。行われた選択にしたがって、照射が実行される際に、創傷領域44のこのように標識されたフィールドのみが照射される。
【0048】
ディスプレイ20は距離表示器52をさらに含みこれは創傷領域44に対する照射ユニットの位置を示す。たとえばバーまたは三角記号54、55が全て赤い場合には、照射ユニットは両端において遠すぎる位置にある。対照的に、たとえばバーまたは三角記号54、55が緑色の場合には、少なくとも左右両側にある先端56の領域において、照射ユニットは両側が正しい距離に位置している。操作ユニット14は走査キー58および開始/停止キー59をさらに含む。
【0049】
図9は操作ユニット40の、またはディスプレイ20のユーザインターフェースの、代替実施例を示し、ここで距離表示器は2つの部分52、53に分割されており、これらはカメラ画像42と隣接して左または右に設けられている。これは、創傷領域に対する操作ユニットの空間的または幾何学的関係にしたがって、改善された直感的配置を実現する。
【0050】
装置の動作原理および方法の様々なステップは、以下により詳細に記載される。
【0051】
ステップ1:創傷上に照射ユニットを位置決め
A 「長尺創傷」を照射することであって、照射ユニットの長手軸の方向および/または移動方向の創傷の長さが、2つの照射領域よりも長い。治療を施す人は、上述のハンドルを用いて、創傷領域上で平行に照射ユニット20を位置決めする。2つの距離センサは、それぞれ照射ユニット2の末端に位置決めされる。1つの距離センサは好ましくは中央ダイオードのレーザシステム上に設けられるが、これは元々は照射ユニット2の一端に位置している。第二距離センサは、照射ユニット2の他方の末端にしっかりと設けられている。2つの距離センサは、下層の創傷面または創傷領域からの中央レーザダイオードの移動平面のそれぞれの距離を測定する。
【0052】
B 短尺創傷を照射することであって、長手軸方向におけるその長さは2つの選択可能な照射領域よりも大きくない。変形例Aとは対照的に、調節の間、距離は照射ユニット2の一端のみにおいて、好ましくは中央レーザダイオードの距離センサによって、測定される。この距離が一端において正しいときに、創傷が走査されることが可能である。その後、距離が正しい場合にのみ、照射領域を選択することが可能である。なお、両方の走査中に、カメラ画像および距離が決定されることに留意されたい。
【0053】
図10は、下肢62の創傷60上への照射ユニット2の位置決めを示す。位置決め要素6に取り付けまたは連結されている照射ユニット2は、上述の変形例Aにしたがって、治療を施す人によって創傷領域60上で平行に位置決めされるが、ここで照射ユニットは、創傷の長手軸と実質的に平行に配置される。矢印64、65は、距離センサの測定ビームを示す。図8または図9に基づいて記載される距離表示器を用いて、距離はディスプレイ上に、とりわけカラーで、2つの距離センサの各々について記号またはバーを用いて、図形で示される。たとえば、距離が正しい規定範囲内であれば緑色のバーが点灯され、そうでなければ赤色のバーが点灯される。たとえば、以下の意味が適用される:
濃い緑色:たとえば100mmの、定義された理想距離からの距離が、+/−5mmであって、実質的に遵守されている。
【0054】
薄い緑色:理想距離からの距離が+/−10mm;小さい公差。
【0055】
明るい赤色:理想距離からの距離が+/−20mm;より大きい公差。
【0056】
濃い赤色:理想距離からの距離が20mmより大きい;過剰または許容不可能な距離。
【0057】
照射、より具体的には開始/停止キーの起動による照射は、具体的には緑色で示された理想距離、正しい距離が設定されており、レーザダイオードの作動温度も規定範囲内である場合にのみ、認められてもよい。
【0058】
図11は、照射ユニットを位置決めするための関連フローチャートを示す。フローチャートは左距離センサの全体について提供されるが、その一方で右距離センサによる対応する同等距離測定はブロック66により示される。
【0059】
ステップ2:外側旋回可能レーザダイオードを配向
この方法ステップは、特に図3、図6、および図7に基づいて記載された装置の実施形態のために実行され、図12,図13、および図14に基づいてより詳細に記載される。中央レーザダイオード10.1の距離は、ステップ1に基づいてすでに正しく調節されている。外側ダイオード10.2、10.3におけるそれぞれの距離センサ68、69は、創傷面からの距離を測定する。図12によれば、2つの外側ダイオード10.2、10.3の適合を必要とすることなく、実質的に平坦な創傷領域44上に、平面的照射が適用される。矢印70、71は距離センサの測定放射線を示し、その一方でレーザ照射は三角形で示されている。図13および図14は、下肢62の空間的照射を示す。レーザダイオード10.1、10.2、10.3の移動方向は、図平面に対して直角に裏面に向かって、または図中に向かっている。図13は、中央ダイオード10.1の距離がすでに調節された状態での、開始位置を示す。距離センサは当初は大きすぎる値を提供するので、2つの外側ダイオード10.2、10.3はまだ脚の曲率に適合させられる必要がある。図14に示されるように、2つの外側または側方ダイオードは、正しい距離に到達するまで、関連するドライブによって、内向きに自動的に旋回されられる。それぞれの回転中心は好ましくは、三角形として示されているビーム光線の接点72、73である。側方ダイオード10.2、10.3の配向および/または距離測定が連続的に、およびより具体的に好ましくは1秒間に数回実行されることは、特に重要である。患者による移動はこのように好ましく反応され、および/または距離はレーザユニットの移動中に変化する解剖学的環境に適応する。
【0060】
図15は、2つの旋回可能側方ダイオードの位置決めのフローチャートを示す。
【0061】
ステップ3:創傷領域を撮像
照射ユニットが位置決めされた後、照射ユニットに組み込まれたカメラは創傷の画像を記録するが、そのサイズは、照射されてもよい領域と、少なくとも大まかにおよび/または正確に対応する。代替として、カメラ画像はいくつかの個別画像からなってもよく、好ましくはいくつかのカメラが提供されるか、または1台の可動カメラが提供される。図8にしたがってすでに記載されたように、1台または複数のカメラによって記録された、照射可能な最大創傷領域の画像は、ディスプレイ上に示されてグリッドと重ね合わされ、これは様々な照射位置を示しおよび/または様々な照射位置に対応する。
【0062】
図16は、ディスプレイ上の創傷領域44および挿入グリッド46を含むカメラ画像42を示す。グリッドは移動方向16を横断する方向で3つに分割されており、この方向の各グリッドフィールドは、3つのレーザダイオードのそれぞれの照射位置に対応する。たとえば、移動方向16に沿って、5つの点における細区分が提供される。
【0063】
ステップ4:照射領域を選択
ステップ3に基づいて、図17に示されるように、照射すべきグリッドフィールドが定義される。最初は、フィールドは選択されておらず、これはそれぞれのフィールドを選択することによって選択される。ディスプレイがタッチ画面またはタッチパネルとして設計されている場合、適切なグリッドフィールド上を指で押すことで、フィールドの選択を変更する。選択されたフィールドは好ましくは、たとえば陰影またはハッチングなど、視覚的に異なる方法で標識および/または示され、記録されたオリジナルカメラ画像は依然として認識可能でなければならない。一例として、図8によれば、ここでは標識51はクロスによって示されている。
【0064】
ステップ5:照射を開始
照射は、図8に示される開始/停止キー59を押すことによって開始される。距離が正しく選択され、距離測定値にしたがって承認が与えられたとき、さらに少なくとも1つのフィールドが選択された場合にのみ、開始/停止キーが起動されることは、特に重要である。レーザユニットは開始点で照射を開始するが、これは案内要素、とりわけ線形ガイドの2つの末端のうちの1つに位置する。各位置は、線形ガイドの移動方向または変位方向のレーザユニットの位置決めにしたがって規定継続時間だけ、そしてより具体的にはレーザユニットの設計に応じたパワー密度に到達した後で、照射される。その後、レーザユニットまたはレーザシステムは次の位置に移動し、そこで照射が継続する。選択フィールドは必ずしも照射位置に対応する必要がないことは、指摘されるべきである。変位方向の方向でレーザダイオードによって一度に照射される領域または面積のサイズは、場合によりグリッドフィールド(複数可)の開口部よりも小さくてもよい。そのような場合には、選択されたフィールドを照射するために、2つ以上の照射位置が必要とされる。たとえば、フィールドあたりの照射継続時間が40秒である場合、選択フィールドは、たとえば6mmの、5つの照射点に対応する。本発明によれば、選択されたフィールドのみが照射される。ダイオードは、その位置が選択されなければ、それぞれの位置で停止する。変位方向の位置でフィールドが選択されなかった場合、または移動距離に関して互いに隣り合う3つのフィールドのいずれも選択されなかった場合には、レーザユニットはただちに次の位置に移動させられる。
【0065】
図18は、より具体的には連続距離制御を含む、照射のフローチャートを示す。側方レーザダイオードの距離測定および適合が、図15に示されるように平行してまたは同時に、実行される。
【0066】
図19および図20は、グリッド46に沿った創傷または創傷領域44および標識51にしたがって選択されたフィールドのカメラ画像を示す。灰色で強調された領域74は、レーザダイオードによってそれぞれの時間に物理的に照射される下層に位置する領域を示しており、関連するレーザダイオードが起動されている。対照的に、クロスハッチングで強調された領域76は、関連するレーザダイオードが停止しているので、照射されない。図19はレーザシステムの第一照射位置を示し、図20は移動方向16における、より具体的にはそれぞれ同じグリッドフィールド46の、レーザシステムの第二照射位置を示す。
【0067】
ステップ6:連続距離制御
治療中に患者などの動きから生じる距離変化を防止するように、本発明によれば、中央レーザダイオードと創傷面との間の距離は、連続的に制御される。中央レーザダイオードの距離は好ましくは、ターゲット領域の照射中、および/またはレーザユニットのさらなる線形移動の間、連続的に監視される。距離が規定範囲外である場合には、処置または照射が中断される。必要とされる距離が再確立されるとすぐに、具体的には開始/停止キーを押すことによって、より具体的には現在の位置から開始して、中断の後に治療を継続することができる。
【0068】
ステップ7:治療の終了
照射は、以下の場合に終了される。
a)全てのフィールドが照射されたとき;
b)治療が誤った距離のため自動的に中断され、継続されなかったとき;
c)最大合計治療時間に到達したとき。こうして、エラーの場合には光源が自動的に停止される;
d)治療開始後および治療終了前に開始/停止キーが押されたとき;および
e)緊急時停止押しボタンが押されたとき。
【0069】
レーザユニットの線形移動は、全ての選択フィールドが照射された後に自動的に停止させられ、好ましくは音声および/または光フィードバックが提供される。開始/停止キーの簡単および/または不注意による押下による治療終了後の創傷の照射の新たな開始を防止するように、治療すべき全ての領域は、治療が終了した後に選択解除される。さらに、開始/停止キーは有利なことに、あるタイプの中断機能を有する。所定の距離が維持されている限り、停止の後、またはたとえ誤った距離の結果としての自動停止の後でも、開始/停止キーを再度押すことにより、再開することが可能である;新たな開始は最後に照射された位置で行われ、この位置での照射時間が再開される。照射時間は、上述の位置における再開のため、具体的には残り時間プラス好ましくは少なくともおよそ5秒で事前定義されるバッファ期間から、随意的に定義または計算されることも可能である。
【0070】
装置の様々な構成要素または要素の要件および基準として以下に提供される特徴、特性、または動作原理は、先に述べられた記載に加えて、またはその代替として、およびより具体的には個別に、または有利な組み合わせにおいて、本発明による装置において、本発明の範囲内で実現され、または本発明による方法によって実行される。
【0071】
ドライブ
3つのレーザダイオードを用いておよそ15×13cmの領域を照射することが可能でなければならない。この目的のため、リニアドライブによってダイオードが移動させられる必要がある。リニアドライブは、リアルタイムシステムによって作動される。
【0072】
2つの外側ダイオードは、(照射平面または中央ダイオードに対して)20°の固定角度で設けられている。
【0073】
カラーカメラ
示されるカメラ写真は、照射すべき領域全体の画像を表すべきである。1つの画像を用いて領域を示すことができない場合には、いくつかのカメラ、または線形ガイド(専用またはレーザガイド付き)を有する1つのカメラを用いることが可能である。記録されるカメラ画像は、可能な限り創傷の最も信頼できる表示を生じるように、ディスプレイ上の表示に先立って、PCシステムのソフトウェアによって処理される必要がある。(記録画像の光学制御)
【0074】
追加光源
創傷からの距離が短いために照明条件が不十分な場合には、光源が提供される。光源は、画像の継続時間(走査)の間、起動されるべきである。開始画面が作動しているとき、光源は、距離センサのうちの1つが200mm未満の距離を測定するときにだけ起動される(装置が使用されているときだけ照明がオンになり、スイッチが入ってもすぐにはつかないように)。照明は、照射中はオフにされる。
【0075】
距離センサ
皮膚とレーザダイオードとの間の距離の測定値はおよそ100mmまでとすべきである(AKM1A4)。測定精度は少なくとも±5mmでなければならない。Helboサービスメニューにおいて距離値を変更することが可能でなければならない。測定には適切なセンサ(赤外線)が使用されなければならない。1つの距離センサが各レーザダイオードに使用されることになり、このセンサは照射領域の中心までの距離(装置の長手軸に対して)を測定する。加えて、筐体上にセンサが必要とされる。装置は、筐体上のセンサ、および中央レーザダイオード上のセンサによって調節される。(測定結果の監視および実際の距離との比較)
【0076】
ディスプレイ
少なくとも8”のタッチ画面が、カメラ画像を可視化するため、照射すべき領域を選択するため、および操作のために、使用される。
【0077】
使い捨て手袋を用いての操作が可能でなければならない。ディスプレイおよび筐体は、上方から侵入する湿気から保護されなければならない。(カメラ画像の光学制御、タッチ画面の機能的チェック)
【0078】
入力キー
キー操作スイッチは、リアルタイムシステムおよびPCシステムの電源全体を中断させる。キー操作スイッチによって起動された後、リアルタイムおよびPCシステムが起動し、開始画面が表示される。これはまた、電源停止に続いて照射が自動的に開始しないことを保証するものでもある。装置のスイッチが入っているときは、スタンバイキーが押されるとディスプレイのスイッチがオフになり、技術的可能性および有益性に応じて、PCおよびリアルタイムシステム(=スタンバイモード)もまた電源が切られる。このモードは、点灯する赤色LED(おそらく直接押しボタン上にある)によって表示される。スタンバイからの起動:スタンバイキーを再度押すことにより(技術的に可能な場合、タッチ画面をタップすることによっても)−全システム構成要素が再び起動される−開始画面が表示される。緑色LEDは操作準備完了状態を示す(これには緑色LEDが使用可能である)−赤色キーLEDがその後停止される(または緑色である)。
【0079】
スタンバイキーは、照射中または休止モードでは、有効ではない。
【0080】
20分間の無操作の後(時間は設定可能)、スタンバイモードが自動的に起動する。
【0081】
以下の操作要素が、ディスプレイおよび/またはタッチ画面に提供される:
継続/戻る
画面間スイッチ
走査:
カメラ画像の記録を開始
開始/休止:
選択フィールドの照射を開始または中断
中止:
治療を中断
警告信号の停止(「音声中断」)
【0082】
治療フローに応じて、そのときに起動されてもよいこれらの操作要素のみが、選択される。起動可能な操作要素は、図形的に、またはカラーで、非起動要素と比較して強調されるべきである(縁取りなどによって)。
【0083】
全ての操作要素は、液体による侵入から保護されるべきである。
【0084】
(キーを確定して機能的試験を実行する)。
【0085】
緊急時停止
緊急時停止押しボタンは、リアルタイムシステムを停止させる(全ての駆動モータおよびレーザダイオードを含む)。緊急時停止押しボタンは、指針(EN60601−1−22)に準拠して設計されなければならない。
【0086】
遠隔制御可能安全要素は、緊急時停止押しボタンのように取り扱われる。緊急時停止が作動されると、以下の構成要素への電源が遮断される:
リニアドライブ
レーザダイオード
リアルタイムシステム
【0087】
レーザダイオードの消費電力は高いので、電源はリレーによって中断される。
【0088】
緊急時停止が起動されたことを示すメッセージが画面上に出力される:「緊急時停止または外部安全回路が起動されました。中断の原因を確認してから治療を再開してください。」
【0089】
緊急時停止押しボタンが解除された後、システムは再度初期化され、(ユーザによる作動を伴わずに)メッセージが消えて、開始画面が表示される。(緊急時停止およびドア接点スイッチを作動)。
【0090】
アクセスガード
アクセスガードは、装置の下面に設けられるべきである。照射中にだれかが装置に手を伸ばした場合、レーザ照射は中断されなければならない(休止モード)。
【0091】
アクセスガードは距離センサによって実現される。連続測定の間に80mm未満の物体からの距離が測定された場合には(レーザダイオード射出開口から皮膚までの距離、設定可能)、全ての駆動モータおよびレーザダイオードが停止される。Helboサービスメニューにおいてこの距離値を変更することが可能でなければならない。対応する警告がディスプレイ上に示され、プログラムは休止モードに切り替わる。
【0092】
レーザ動作表示器
レーザ動作表示器は、EN60825およびEN60601−1−22基準に準拠しなければならず、ディスプレイ上に、またはLEDの使用によって、提供されることが可能である。動作表示キーは3つの色が使用されるべきである:
緑色
レーザは動作可能−キー操作スイッチは起動され、PCおよびリアルタイムシステムは電源供給され、レーザダイオードは動作温度を有している
黄色
レーザ発振
赤色
エラー発生:
レーザダイオードの故障
その他の重大な不具合
【0093】
保護用レーザゴーグル注意書き:赤字記号および指示テキストを可能な限り回避すること!(動作表示器の目視検査)
【0094】
動作時間の記憶装置
レーザダイオードの動作時間が記録されなければならない。
【0095】
記憶された動作時間をリセットすることが可能でなければならない。(治療が終了した後に動作時間を読み取る)。
【0096】
制御モジュール
「M1B」制御モジュールは、レーザダイオードの制御および位置決めを含む。「M1B」制御モジュールは、2つの構成要素に分割される:
リアルタイムシステム:
レーザダイオードの作動、距離測定、アクセスガードなど、全てのセーフティクリティカルプロセスはこの構成要素によって行われる。制御はリアルタイム可能でなければならない。
【0097】
PCシステム
PCシステムは、画像の処理、照射すべき領域の選択、動作時間の記憶、およびユーザとの対話処理を行う。
【0098】
埋め込み構成要素向けのインターフェース
PCシステムおよびリアルタイムシステムは、シリアルインターフェースを通じて通信する。通信は、伝送プロトコルによって保証される。「心拍」は、プロトコルにおいて定義されるべきであり、定期的に伝送されなければならない。構成要素のうちの1つが応答しない場合には、緊急時停止が開始されなければならない。エラーメッセージがディスプレイ上に示される。(PCシステムおよびリアルタイムシステムの通信を中断し、エラーは表示されなければならず、治療は中止する)。
【0099】
レーザダイオード電流監視
レーザダイオードの消費電力は、照射中に監視されなければならない。消費電力の変動が20%を超える場合には、ダイオードが故障しているので、治療は終了中止されなければならない。
【0100】
電力は、レーザ制御器の出力によって監視される。
【0101】
EMC、防爆
ハードウェアを開発する際には、EMC基準(EN60601−1−2)が考慮されなければならない;EN60601−1による防爆条件も、参照されるべきである。
【0102】
遠隔制御可能安全要素
EN60825およびEN60601−1−22基準による、ドア接点スイッチ。
【0103】
スイッチが作動されると(接点が開放されると)、レーザダイオードは停止されなければならない(緊急時停止と類似の機能)。この機能のための電子回路は、EN60601−1による試験に合格すべきである(サージエネルギー容量)。
【0104】
リアルタイムシステム
タスク
リアルタイムシステムは、以下を担当する
動作管理の承認
リニアドライブの制御
距離の測定
レーザダイオードの制御
【0105】
照射の承認
照射ユニットが調節された後、各位置での距離を測定するように、照射要素の全長が一度トレースされる(各選択可能領域について最小および最大距離が判断され、その結果、領域が完全に有効範囲内か否かの情報を得る)。有効範囲(8〜12cmの距離、これらの距離値はHelboサービスメニューにおいて変更可能)が、PCシステムに伝送される。距離が短すぎる場合には、フィールドは選択されることが不可能である。
【0106】
距離測定
距離は、リアルタイムシステムによって連続的に測定されなければならない。距離測定用のセンサは、リアルタイムシステムに接続されている。各センサの距離は、1秒あたり数回読み取られて処理される。
【0107】
距離が短すぎる場合の停止
距離が許容範囲外<<80mmまたは>120mmの場合には、Helboサービスメニューにおいて距離値を変更することが可能であるべき−専用の制限値セットが設けられるべき(走査からではなく)−レーザダイオードの緊急時停止が実行されなければならない。プログラムが中断され、メッセージがPCシステムに送られる。(距離を短縮−停止が実行されなければならない)
【0108】
照射の開始
照射プロセスは、創傷からの距離が照射されるべき領域の緑色範囲になるまで開始されてはならない。
【0109】
(距離が短すぎる場合には照射は開始されてはならない−距離は領域の選択後に変更される)。
【0110】
照射
ある領域の照射を開始するとき、レーザユニットはまず位置決めされなければならない。次に、レーザダイオードが特定の継続時間(40秒)だけ起動される。継続時間はレーザダイオードによるパワー出力に依存し、Helboサービスメニューにおいてこれを変更することが可能でなければならない。
【0111】
照射すべき領域の時間が終了すると、レーザユニットは次の領域上に位置決めされる。レーザダイオードは各ステップの間に停止および再起動されるべきではない(2つの領域が連続して照射される場合)。照射が選択されなかった領域は省略される;さらなる領域が存在しない場合には、照射は適切に終了する。領域は、長手方向の5つの照射位置に対応する(Helboサービスメニューにおいてこの値および移動距離(6mm)を変更することが可能でなければならない)。
【0112】
リアルタイムシステムは、PCシステム上で選択された領域のみを照射してもよい。(領域の選択および照射領域の制御)。
【0113】
治療の終了
全ての領域が照射されてしまうと、レーザダイオードは停止され、治療の終了がPCシステムに報告される。(治療の終了を待つ)
【0114】
時間超過
領域は、特定継続時間の間のみ照射されてもよい。時間は、互いに独立している2つのシステムによって制御される(EN60601−1−22)。
【0115】
レーザダイオードの時間は、リアルタイムシステムによって測定される。最大時間が超過されると、ダイオードは停止され、エラーがPCシステムに伝送される。加えて、レーザダイオードの起動の継続時間が、適切なハードウェア回路によって監視される。ダイオードが超過した持続時間にわたって起動されていると、レーザダイオードはハードウェアによって停止される。各位置の最大起動継続時間は、120秒である。
【0116】
照射中の休止
PCシステムは、照射プロセスの休止を開始してもよい。リアルタイムシステムが休止命令を受信すると、照射が中断されて、レーザダイオードが停止される。治療が継続されるときには、残り時間が5秒だけ増加され(Helboサービスメニューにおいて値を変更することが可能でなければならない)、その領域の照射が継続する。(トリガ休止、照射は正しく継続される)。
【0117】
安全機能
プログラムクラッシュおよび無限ループを防止するために、ウォッチドッグが実現される。プログラムは周期的な間隔でウォッチドッグをリセットしなければならず、そうでなければリセットが実行される。
【0118】
領域があまりにも長時間照射されないことを保証するために、レーザダイオードが120秒より長く起動された後に、ハードウェアは自動停止を実行する。
【0119】
レーザダイオード温度およびダイオード電流は、連続的に監視される。値が有効範囲外である場合には、レーザダイオードの損傷を防止するように、停止が行われる。ドア接点スイッチまたは緊急時停止スイッチが作動されると、レーザダイオードはオフに切り替えられなければならない。
【0120】
PCシステムとリアルタイムシステムとの間の通信が中断すると、治療は終中止されなければならない。
【0121】
冷却
各レーザダイオードは、ファンによって冷却される。ファンの速度測定信号が監視されなければならない。ファンが故障すると、治療が中止され、PCシステムにエラーが報告される。
【0122】
動作準備
動作準備は、全てのレーザダイオードが動作温度になってファンが動作可能となるまで、PCシステムに報告されない。
【0123】
PCシステム
PCシステムは以下を担当する:
カメラ画像の可視化
距離測定の表示
照射の開始および停止
動作時間の記憶
照射すべき領域の記憶
【0124】
画面/メッセージ/音声通知
画面は、以下を表示する:
1.ウェルカム画面(任意):オフ、継続
2.開始画面:システム開始後に現れ、照射ユニットを位置決めするために使用される−ライブカメラ画像が表示され、距離表示器と重ね合わせられる。操作要素:戻る(ウェルカム画面へ)、継続(治療画面へ)
3.治療画面:照射グリッドが下層のカメラ画像、現在の距離測定の縮小表示、照射の進行状況とともに表示される。操作要素:戻る(開始画面へ)、走査、開始/休止、中止
4.サービスメニュー:設定、ユーザアクセス可能であってはならない
【0125】
音声休止操作要素が全ての画面上に提供されるべきである。
【0126】
言語:
ドイツ語、英語−多言語オプションが提供されるべきであり、追加言語を実現しやすくすべきである。
【0127】
サービスメニューは英語のみ。
【0128】
記号:
全てのメッセージは記号で支援される。
【0129】
エラーメッセージ:
メッセージには2つのエラーカテゴリ:
a)ユーザまたは治療エラー−エラーメッセージについてはそれぞれのREQを参照
b)システムまたは装置エラー、点灯された赤色エラーLED、エラーメッセージ:「装置エラーxxx。装置を再起動してください。エラーが再発する場合はテクニカルサポートに電話してください。」
【0130】
音声通知:音声警告信号が各メッセージについて発信されるべきである。
【0131】
距離測定−図形表示
リアルタイムシステムからの距離測定データはPCシステムにおいて処理され、距離はディスプレイ上にカラーで図形的に提示される。
【0132】
バーの色は、以下のように定義される(距離はサービスメニューで設定可能):
濃い緑色:理想距離(100mm)からの距離が±5mm(95mm〜105mm)
薄い緑色:理想距離からの距離が±10mm(90mm〜110mm)
明るい赤色:理想距離からの距離が±20mm(80mm〜120mm)
濃い赤色:理想距離からの距離が20mmより大きい
(表現色は、基準に準拠した保護用レーザゴーグルを用いて確認されるべきである!)
【0133】
距離表示器は、2つの異なる入力画面上に示される:
1.開始画面:照射ユニットを調節−ライブカメラ画像(未処理)が表示され(末端位置にカメラおよび距離センサを備え、固定距離センサが実装されていないキャリッジ)、距離表示器と重ねられる。現在測定されている距離を表すバーのみがベタ塗りで示されるので、距離バーは透明に示される。
【0134】
2.治療画面:現在の距離測定の縮小表示(キャリッジ上の固定センサおよび中央距離センサ)(任意)
【0135】
照射ユニットの調節:照射ユニットが大きい創傷上に配置される場合、両端の距離は緑色範囲内でなければならない(=9〜11cmの距離、Helboサービスメニューにおいてこの距離値を変更することが可能でなければならない)。より小さい創傷の場合には、照射要素の一端のみが緑色範囲に含まれることが可能である。調節中の距離は、中央レーザダイオードによって測定される。走査プロセス中、有効範囲が決定される(プロセスは、照射要素の一端が有効範囲内にあるときに開始可能である)。(リアルタイムシステムからのデータおよびディスプレイ上の表示の比較)。
【0136】
カメラ画像、グリッド、照射領域
PCシステムはカメラ画像を処理し、これはその後ディスプレイ上に表示される。グリッドが画像の上に配置される。グリッドフィールドのサイズ(照射領域内)は:
長さ(長手方向装置軸):30mm(6mm単位で5つの照射位置に対応)
幅:45mm
【0137】
グリッドは合計5×3のフィールドからなり、これによって画像全体が150mm×105〜135mmの面積をカバーする。
【0138】
画面上のフィールドのサイズは、元のサイズのおよそ半分(15×23mm幅×高さ)−そしていずれの場合も、可能な限り大きい。
【0139】
(ディスプレイ上の表示を創傷と比較;フィールドは、距離がOKの場合のみ選択可能)。
【0140】
走査
走査キーが作動されると、画像情報が読み取られ、創傷からの距離が各照射位置に置いて測定される。メッセージ:「走査が完了しました。照射するフィールドを選択してください。」
【0141】
走査により、有効距離範囲内ではない領域は、自動的に赤色のXで強調される。
【0142】
照射領域は、創傷からレーザダイオードまでの距離が有効範囲(50〜120mm、いずれの場合も各レーザダイオードの照射フィールドの中心で測定;HelboサービスメニューにおいてこのREQの全ての距離値を変更が可能であるべき)内である場合にのみ選択されるべきである。これはまた距離が装置の全長にわたって維持され得ない場合にも、より小さい創傷が照射されることを可能にする。しかしながら、ユーザは、照射が有効ではない副領域(X)も選択してもよい。
【0143】
開始
PCシステムは、少なくとも1つの領域が選択され、創傷からの距離が有効範囲内である場合にのみ、照射プロセスを開始することができる。
【0144】
照射プロセスを開始する前に、メッセージ「治療開始−保護ゴーグルを着用してください!」が(ゴーグルの記号とともに)表示され、音声信号が発信される。照射は3秒の遅延の後に開始され、メッセージは10秒後に自動的に消える(設定可能)。
【0145】
「開始」ボタンのテキストは「休止」に変更される:(開始は少なくとも1つの領域が選択されている場合にのみ可能)。
【0146】
照射
選択された領域は、リアルタイムシステムに伝送される。各選択領域は40秒間照射される。Helboサービスメニューにおいてこの継続時間を変更することが可能であるべきである。一旦プログラムが開始されてしまうと、領域の変更はもはや不可能である。実行中の治療および照射領域は、たとえばレーザ位置を表す移動バーによって、ディスプレイ上で可視化される。すでに照射された領域は、カラー(異なる赤色相)で強調されるべきである。
【0147】
残り照射時間が表示されるべきである。
【0148】
(レーザ位置を制御し、選択領域と比較)。
【0149】
連続距離制御
レーザダイオードの距離(3つ全てに該当)が近すぎるかまたは遠すぎることをリアルタイムシステムが報告すると、ディスプレイ上に通知が表示され、プログラムは休止モードに切り替わる。治療は、距離が再び有効範囲(80mm〜120mm;Helboサービスメニューにおいてこの距離値を変更可能であるべき)内になったときにのみ継続可能である。最小距離の監視機能は常時起動されており、その一方で最大距離については、領域が照射のために選択されたときにのみ起動される。
【0150】
治療の終了
リアルタイムシステムは、全ての領域が照射されるとすぐに、治療の終了を報告する。PCシステムは、音声メッセージおよび視覚メッセージを送信する。新たな照射を防止するために、全ての領域が選択解除される。
【0151】
メッセージを表示するために、ディスプレイ上にテキストが必要とされる(翻訳が必要と思われる)。最小距離が照射中に遵守されない場合には(REQ305)、患者が装置と接触した可能性があるので、「治療が終了しました」のメッセージの確認後に、ディスプレイ上に衛生対策に関する通知も表示される。このメッセージは、次の処置を開始する前に(起動後、またはスタンバイからの起動後)、再度確認および表示される。
【0152】
テキスト:患者が装置と接触した可能性があります−特に念入りに洗浄してください!
【0153】
時間超過
リアルタイムシステムが時間超過(レーザダイオードの最大起動継続時間)を報告した場合、ディスプレイ上にエラーが表示され、現在の治療は継続できなくなる。
【0154】
エラーメッセージを表示するために、ディスプレイ上にテキストが必要とされる(翻訳が必要と思われる)。「装置エラーxxx。装置を再起動してください。エラーが再発する場合はテクニカルサポートに電話してください。」
【0155】
保護用レーザゴーグル注意書き:赤字記号および指示テキストを可能な限り回避すること!
【0156】
照射中の休止
現在の治療は、タッチ画面上のキーを用いて休止されることが可能である。
【0157】
「休止」ボタンのテキストが「開始」に変更される:
進捗バーが点滅する。
【0158】
情報メッセージがグリッド上に流れる「被照射身体部位がまだ正しい位置にあることを確認してください;ない場合には、治療を中止してください。」
【0159】
照射中の創傷からの距離が有効範囲内にない場合には、PCシステムも同様に休止モードに切り替わる。
【0160】
装置が休止モードにあるとき、継続するには2つの選択肢がある:開始/休止キー:(距離は再び修正されなければならない);中止キー:(距離が正しくない場合、またはたとえば患者が動きすぎたなど、別の理由による)を用いて治療を継続
(治療を中断および継続)
【0161】
終了
現在の治療は、タッチ画面上のキーを用いて終了可能である。以下のシナリオが可能である:
1.照射中、または
2.休止モード中:クエリ「治療が進行中です。本当に終了しますか?、終了する場合:「治療が終了されました。選択された領域は完全には照射されませんでした!」
3.治療画面の表示中(「戻る」と同じ機能)
【0162】
プロセスが中止された後、装置は元の状態にリセットされる(開始画面)。
(治療を中断および継続する)
【0163】
動作時間
以下のデータが記憶される:
レーザダイオードあたりの動作時間の秒数
治療の開始
治療あたりの照射フィールド
エラー
合計動作時間
【0164】
データは、サービスメニューでディスプレイ上に表示されることが可能である。このメニューに使用される言語は英語である。
【0165】
サービスメニューは、タッチ画面上の特殊な組み合わせを通じてアクセスされる。
【0166】
安全機能
リアルタイムシステムとの通信は、伝送プロトコルによって保証される。接続が切断されるかまたはリアルタイムシステムが応答しなくなった場合には、ディスプレイ上にエラーが表示される。
【0167】
一般要件
筐体を開発する際に、EM60601−1、EN60625−1基準が参照されるべきである。さらに、EN60601−6による電気医療機器における使用の適合性が、検証および認証されるべきである。
【0168】
照射ユニットの総重量は、13kgを超えるべきではない。したがって、軽量材料(アルミニウムなど)が使用されるべきである。このため絶対に必須な構成要素のみが、照射ユニットに組み込まれるべきである。重量のため、PCシステムは、タッチ画面を除いて、機器カート上に設置されるべきである。筐体は洗浄が容易であるべき;くぼみおよび溝は回避されるべきである。
【0169】
筐体
照射ユニットの筐体には、以下の構成要素が組み込まれなければならない:
リニアドライブおよび案内フレーム
レーザダイオード
レーザダイオード用制御装置
リアルタイムシステム用ハードウェア
タッチ画面、PC
レーザ動作表示器
スタンバイキー
【0170】
筐体は、上方から侵入する液体から保護されなければならない。通風は、患者の創傷または患者に向けられてはならない。損傷を防止するために、下面にカバー(透明ポリカーボネート(PC)パネル、長手方向装置軸に沿って湾曲(r=240mm)、2mm厚)が提供される。
【0171】
照射ユニットを位置決めするためのハンドルが、筐体上横方向に必要とされる。照射ユニットは、関節アームに実装される。これはVESA75マウントにしたがって収容され、照射ユニットの回転運動が可能となるように設計されるべきである。
【0172】
筐体のサイズは、組み込まれる構成要素によって、ならびにリニアドライブおよび側方案内によって、定義される。
【0173】
EN60601−1による0.5mAの最大筐体漏れ電流が、遵守されなければならない。採用される材料も同様に、システムのEMC遮蔽に貢献すべきである。筐体は、電子回路を保護するように、液体による侵入から保護されなければならない。
【0174】
線形ガイド
15cmの長さにわたってレーザダイオードを移動させることが可能でなければならない。この目的のため、位置決定のためのインクリメンタルエンコーダを含む、ステッピングモータなどの適切なドライブが、使用されるべきである。
【0175】
レーザダイオードは、衝撃が緩和されるように実装されなければならない。
【0176】
側方ダイオードの案内
側方レーザダイオードは、所定距離を置いて、中央ダイオードにしっかりと接続される。これらは20°の角度だけ、内側に旋回させられる。
【符号の説明】
【0177】
2 照射ユニット
4 電源ユニット
6 位置決め要素/関節アーム/位置決めアーム
8 機器カート
10 光源/レーザダイオード/レーザユニット
12 案内要素/案内レール/線形ガイド
14 照射位置/照射フィールド
16 矢印/移動方向
17 フレーム/キャリッジ
18 筐体
19 駆動ユニット
20 ディスプレイ
22 玉継ぎ手
23 ハンドル
24 レーザシステム
26 線形ガイド
28 カメラ
30 表面/線
32 レーザダイオード
34 ヒートシンク
36 レンズ
38 線/保護板
40 操作ユニット
42 ライブカメラ画像
44 創傷領域
46 グリッド
47〜49 照射フィールド
50 マウスクリック
51 標識/クロス
52、53 距離表示器
54、55 記号/バー
56 54、55の先端
58 走査キー
59 開始/停止キー
60 創傷
62 下肢/脚
64、65、70、71 矢印
66 ブロック
68、69 距離センサ
72、73 接点
74 灰色で強調された領域
76 クロス/ハッチング領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線力学的治療および/または微生物を破壊または減少させるための装置であって、少なくとも1つの光源(10.1、10.2、10.3)を有し、それによって治療すべき創傷領域(44)に適用される光感作物質が照射によって活性化される、照射ユニット(2)を含み、照射ユニット(2)内に設けられた、創傷の画像を記録するためのカメラ、およびそれによって照射ユニットが創傷領域(44)に対して配向されることが可能な位置決めユニット(6)をさらに含み、
光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)が、案内要素(12)によって、および駆動ユニット(19)によって照射ユニット(2)内を移動可能であって、創傷領域(4)の少なくとも2つの異なる照射位置(14)に連続的に位置すること;カメラ(28)によって記録されてディスプレイ(20)上に示されるカメラ画像には挿入グリッド(46)が重ね合わせられ、これが光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)の照射位置(14)に対応すること;およびディスプレイ(20)が、光源(10.1、10.2、10.3)によって照射されるべき照射フィールドがディスプレイ(20)内において標識手段(51)で標識されることが可能なように設計されること、を特徴とする装置。
【請求項2】
案内要素が案内レール(12)を含む線形ガイドとして設計され、光源、または複数の光源(10.1、10.2、10.3)が、案内要素のフレームまたはキャリッジ(17)上に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
照射源、または複数の照射源(10.1、10.2、10.3)が、レーザダイオードとして設計されるおよび/またはレーザユニット(10)上に設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
移動方向(16)に対して、少なくとも2つの光源(10)が、連続的に、またはこの方向を横断するように設けられ、3つの光源(10.1、10.2、10.3)が好ましくは移動方向(16)を横断するように設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ディスプレイ(20)が、入力キー(58、59)とともに、操作ユニット(40)内に設けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
カメラ(28)が、案内要素(12)上に、およびより具体的にはキャリッジ(17)上に、少なくとも1つの光源(10.1、10.2、10.3)とともに、設けられており、移動可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
光源または複数の光源(10)を移動方向(16)に沿って移動させるときに、ディスプレイ(20)によって標識された照射位置(14)または照射フィールド(AからF)のみが起動されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
移動方向(16)に、およびこれを横断するように設けられた、全ての照射フィールドが、創傷領域(44)のカメラ画像にしたがって照射されることが可能となるように、光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)が、ディスプレイ(20)内に挿入されるグリッド(46)にしたがって、案内要素(12)および駆動ユニット(19)によって連続的に位置決め可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
レーザシステムの少なくとも1つの光源(10.2、10.3)が、別の光源(10.1)に対して旋回可能に設けられるか、またはシステム(24)上で所定角度だけ旋回して設けられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
それによって、請求項1から8のいずれか一項に記載の、光線力学的治療のための、および/または微生物を破壊または減少させるための装置が実行可能な方法であって、
第一ステップにおいて、照射ユニットが創傷領域(44)上に位置決めされること;第二ステップにおいて、旋回可能に設けられた光源またはレーザダイオード(10)が配向されること;およびこれに続いてカメラ画像が、カメラ(28)によって創傷領域(44)について生成され、画像がディスプレイ(20)上に示され、グリッド(46)が重ね合わせられる、グリッド(46)が様々な照射位置(14)を示し、および/またはこれに対応し、最後に、光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)によってその後照射されるグリッドフィールドが、標識されることによって定義されることを特徴とする、方法。
【請求項1】
光線力学的治療および/または微生物を破壊または減少させるための装置であって、少なくとも1つの光源(10.1、10.2、10.3)を有し、それによって治療すべき創傷領域(44)に適用される光感作物質が照射によって活性化される、照射ユニット(2)を含み、照射ユニット(2)内に設けられた、創傷の画像を記録するためのカメラ、およびそれによって照射ユニットが創傷領域(44)に対して配向されることが可能な位置決めユニット(6)をさらに含み、
光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)が、案内要素(12)によって、および駆動ユニット(19)によって照射ユニット(2)内を移動可能であって、創傷領域(4)の少なくとも2つの異なる照射位置(14)に連続的に位置すること;カメラ(28)によって記録されてディスプレイ(20)上に示されるカメラ画像には挿入グリッド(46)が重ね合わせられ、これが光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)の照射位置(14)に対応すること;およびディスプレイ(20)が、光源(10.1、10.2、10.3)によって照射されるべき照射フィールドがディスプレイ(20)内において標識手段(51)で標識されることが可能なように設計されること、を特徴とする装置。
【請求項2】
案内要素が案内レール(12)を含む線形ガイドとして設計され、光源、または複数の光源(10.1、10.2、10.3)が、案内要素のフレームまたはキャリッジ(17)上に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
照射源、または複数の照射源(10.1、10.2、10.3)が、レーザダイオードとして設計されるおよび/またはレーザユニット(10)上に設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
移動方向(16)に対して、少なくとも2つの光源(10)が、連続的に、またはこの方向を横断するように設けられ、3つの光源(10.1、10.2、10.3)が好ましくは移動方向(16)を横断するように設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ディスプレイ(20)が、入力キー(58、59)とともに、操作ユニット(40)内に設けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
カメラ(28)が、案内要素(12)上に、およびより具体的にはキャリッジ(17)上に、少なくとも1つの光源(10.1、10.2、10.3)とともに、設けられており、移動可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
光源または複数の光源(10)を移動方向(16)に沿って移動させるときに、ディスプレイ(20)によって標識された照射位置(14)または照射フィールド(AからF)のみが起動されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
移動方向(16)に、およびこれを横断するように設けられた、全ての照射フィールドが、創傷領域(44)のカメラ画像にしたがって照射されることが可能となるように、光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)が、ディスプレイ(20)内に挿入されるグリッド(46)にしたがって、案内要素(12)および駆動ユニット(19)によって連続的に位置決め可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
レーザシステムの少なくとも1つの光源(10.2、10.3)が、別の光源(10.1)に対して旋回可能に設けられるか、またはシステム(24)上で所定角度だけ旋回して設けられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
それによって、請求項1から8のいずれか一項に記載の、光線力学的治療のための、および/または微生物を破壊または減少させるための装置が実行可能な方法であって、
第一ステップにおいて、照射ユニットが創傷領域(44)上に位置決めされること;第二ステップにおいて、旋回可能に設けられた光源またはレーザダイオード(10)が配向されること;およびこれに続いてカメラ画像が、カメラ(28)によって創傷領域(44)について生成され、画像がディスプレイ(20)上に示され、グリッド(46)が重ね合わせられる、グリッド(46)が様々な照射位置(14)を示し、および/またはこれに対応し、最後に、光源または複数の光源(10.1、10.2、10.3)によってその後照射されるグリッドフィールドが、標識されることによって定義されることを特徴とする、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2012−529316(P2012−529316A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514382(P2012−514382)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003457
【国際公開番号】WO2010/142430
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511248331)ブレーデント・メデイカル・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003457
【国際公開番号】WO2010/142430
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511248331)ブレーデント・メデイカル・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー (2)
【Fターム(参考)】
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