説明

光触媒を担持した光透過性部材とその応用

【課題】
光触媒付き光透過性部材などの光触媒活性を高める。
【解決手段】
本発明の光触媒装置(光触媒付き光透過性部材)10は、第1表面100aと第1表面100aと対向する第2表面100bを有する板状またはシート状の無機材料、有機樹脂からなる透明又は半透明の光透過性部材100と、第1表面100aに配置された紫外線応答型光触媒を含有する膜状又はシート状の紫外線応答型光触媒101と、第2表面100bに配置された可視光応答型光触媒を含有する可視光応答型光触媒102を備える。太陽光線等の紫外線と可視光線を含む光線を第1表面100a側から光触媒付き光透過性部材10に入射させて、その両面に配置された紫外線応答型光触媒101と可視光応答型光触媒102を励起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を担持した透明または半透明なガラス、プラスチックからなる光透過性部材とその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒を担持した光透過性部材(透光性部材)として、例えば特許文献1、特許文献2などが知られている。
【0003】
特許文献1(特許第3383932号公報)、特許文献2(米国特許第6,238,630号公報)には、結合材を用いるかまたは結合材を用いずに、板状などの光透過性支持体(光透過性部材、導光性部材)の少なくとも一表面に酸化チタン等の多数の光触媒粒子を固定した光触媒層とからなる光触媒含有装置が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献3(特開平09−071437号公報)、ガラス板の少なくとも一方の面に光触媒作用を有する酸化チタン薄膜2を設けた窓用ガラスが開示されている。
【0005】
例えば、特許文献4(特開2003−184445号公報)には、窓ガラスの室外側表面には少なくとも光触媒材料を含有している薄膜が形成されたた建築物用窓構造が開示されている。
【0006】
例えば、特許文献5(特開平9−227159公報)には、基材の表面に接合された実質的に透明で光触媒性半導体材料を含む層を備えた乗り物の前後方窓ガラス乗り物の前後方窓ガラスが開示されている。
【0007】
例えば、特許文献6(特開2000−319641公報)には、自動車用ガラスの表面の一部に、光触媒機能を有する半導体を含む親水性被膜の領域が形成されてなる膜付き自動車用窓ガラスが開示されている。
【0008】
例えば、特許文献7(特開2005−240434)には、屋外に面する開口部に設置された建具が、複数枚の透光板をそれらの間に空気層が形成されるように互いに間隔をおいて備えたものからなり、該建具の空気層内に光触媒からなる屋内空気清浄システムが開示されている。
【0009】
例えば、特許文献7には、光触媒を含む空気清浄材が設けられると共に、該建具に、空気層と屋内空間とを連通する空気出口と、同空気層と屋内空間とを連通する空気入口とが設けられ、屋内の空気が空気入口を通じて空気層に送り込まれ、空気清浄材で清浄化された後、空気出口を通じて屋内に送り返されるようになされている屋内空気清浄システムが開示されている。
【0010】
例えば、特許文献8(特開平10−221503公報)には、基材表面に、光触媒 粒子と、撥水性シリコ−ンと、前記撥水性シリコ−ンの前記光触媒 の光励起による親水化を防止するための物質とを含有する実質的に透明な表面層が形成されているガラスレンズが開示されている。
【0011】
例えば、特許文献9(特開平10−221504公報)には、基材表面に、光触媒 粒子と、撥水性シリコ−ンと、前記撥水性シリコ−ンの前記光触媒の光励起による親水化を防止するための物質とを含有する実質的に透明な表面層が形成されているプラスチックレンズが開示されている。
【0012】
例えば、特許文献10(特開平11−101901公報)には、染料、顔料、蓄光部材、抗菌部材、光触媒、反射防止膜の内、少なくとも2種類以上の機能性部材を表面に備えた車載用、信号機用、眼鏡用、光学用レンズが開示されている。
【0013】
可視光応答型光触媒は、例えば、特許文献11乃至特許文献15に開示されている。
【0014】
例えば、特許文献11(特開2004−988号公報)、特許文献12(特許第3601532号公報)には、酸化チタン結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換したTi−O−N構成を含み、チタン原子と窒素原子との化学結合を有する、可視光領域において光触媒作用を発現する可視光応答型光触媒物質(窒素ドープ酸化チタン)が開示されている。
【0015】
特許文献13(特開2002−239395号公報)、特許文献14(特開2004−73910号公報)には、酸化チタンなどの光触媒粒子の表面にハロゲン化白金化合物を含有している、可視光の照射下で励起可能な可視光応答型光触媒(白金化合物担持酸化チタン)が開示されている。
【0016】
特許文献15(特開2002−239395号公報)、特許文献16(特開2004−73910号公報)には、硫黄原子を陽イオンとして含有することを特徴とする可視光領域でその活性を発現するチタン、ジルコニウム、タンタルおよびストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物または複合酸化物である含硫黄金属酸化物からなる硫黄ドープ酸化チタンが開示されている。
【0017】
【特許文献1】特許第3383932号公報
【特許文献2】米国特許第6,238,630号公報
【特許文献3】特開平09−071437号公報
【特許文献4】特開2003−184445号公報
【特許文献5】特開平9−227159公報
【特許文献6】特開2000−319641公報
【特許文献7】特開2005−240434公報
【特許文献8】特開平10−221503公報
【特許文献9】特開平10−221504公報
【特許文献10】特開平11−101901公報
【特許文献11】特開2004−988号公報
【特許文献12】特許第3601532号公報
【特許文献13】特開2002−239395号公報
【特許文献14】特開2004−73910号公報
【特許文献15】特開2002−239395号公報
【特許文献16】特開2004−73910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
もし特許文献1乃至特許文献10に開示された光触媒を担持した光透過性部材(透光性部材)の両面に紫外線応答型光触媒膜を形成した場合に、一方の表面側から太陽光線、蛍光ランプから紫外線と可視光線を含む光線を光透過性部材(透光性部材)に入射すると、紫外線は一方の表面に配置された紫外線応答型光触媒膜でほとんど吸収されて、一方の表面に配置された紫外線応答型光触媒膜は紫外線により励起されて、光触媒活性を発現する。
【0019】
しかしながら、他方の表面に配置された紫外線応答型光触媒膜にはほとんどまたは少ししか紫外線が伝達されず他方の表面に配置された紫外線応答型光触媒膜はほとんど光触媒活性を発現しない。
【0020】
光触媒を担持した光透過性部材(透光性部材)の両面に光触媒膜を形成した場合に、両面の光触媒膜が共に高い光触媒活性を発現することが期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、光触媒を担持した光透過性部材(透光性部材)の両面に光触媒膜を形成した場合にも、
両面の光触媒膜が共に高い光触媒活性を発現する
【0022】
本発明の一態様は、第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する板状またはシート状の光透過性部材と、前記第1の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒部材と、前記第2の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の可視光応答型光触媒を含有する可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持した光透過性部材である。
【0023】
本発明の他の態様は、第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する板状またはシート状の光透過性部材と、前記第1の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒部材と、前記第2の表面に全面的に又は部分的に配置された可視光応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の可視光応答型光触媒部材を備えた光触媒を担持した光透過性部材を準備し、紫外線と可視光を含む光線を前記第1の表面側から前記光透過性部材に入射させて、紫外線により前記紫外線応答型光触媒部材を励起し、
前記光透過性部材を透過した可視光により前記可視光応答型光触媒部材を励起する、光触媒を担持した光透過性部材の励起方法である。
【0024】
本発明の他の態様は、対向する一対の表面を有する光透過性部材と、紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成または接着された紫外線応答型光触媒部材と、可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成または接着された可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持した光透過性部材である。
【0025】
本発明の他の態様は、第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する板状またはシート状の光透過性部材と、前記第1の表面に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒部材と、前記第2の表面に配置された膜状またはシート状の可視光応答型光触媒を含有する可視光応答型光触媒部材を備え、前記紫外線応答型光触媒部材および、または前記可視光応答型光触媒部材が所定のパターン状の形状に前記光透過性部材に配置された、光触媒を担持した光透過性部材である。
【0026】
本発明の他の態様は、第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する窓用光透過性部材と、前記第1の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒と、前記第2の表面に全面的に又は部分的に配置された可視光応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の可視光応答型光触媒を備え、前記第1の表面を屋外側または車外側などの開放空間側に配置し、前記第2の表面を屋内側または車内側などの閉塞空間側に配置した、光触媒を担持した窓用光透過性部材である。
【0027】
本発明の他の態様は、対向する一対の表面を有する窓用光透過性部材と、紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材を備え、室外側または車外側などの開放空間側に前記紫外線応答型光触媒部材を配置し、屋内側または車外側などの閉塞空間側に前記可視光応答型光触媒部材を配置した、光触媒を担持した窓用光透過性部材である。
【0028】
本発明の他の態様は、室外側または車外側などの開放空間側に配置した第1の窓用光透過性部材と、第1の窓用光透過性部材と所定空間を保って屋内側または車内側などの閉塞空間側に配置した第2の窓用光透過性部材と、第1の窓用光透過性部材の内面に配置された紫外線応答型光触媒を含有する第1の光触媒膜と、第2の窓用光透過性部材の内面に配置された可視光応答型光触媒を含有する第2の光触媒膜を備えた、光触媒を担持した窓である。
【0029】
本発明の他の態様は、室外側または車外側などの開放空間側に配置した第1の窓用光透過性部材と、第1の窓用光透過性部材と所定空間を保って室内側または車内側などの閉塞空間側に配置した第2の窓用光透過性部材と、第1の窓用光透過性部材の内面に配置された紫外線応答型光触媒を含有する第1の光触媒膜と、第2の窓用光透過性部材の内面に配置された可視光応答型光触媒を含有する第2の光触媒膜を備え、第2の窓用光透過性部材に少なくとも一つの貫通孔を設け、前記貫通孔を経由して屋内の空気を前記所定空間内に通気可能とした、空気清浄機能付き窓である。
【0030】
本発明の他の態様は、対向する一対の表面を有するレンズ部材などの光学素子と、紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持したレンズ部材などの光学素子である。
【0031】
本発明の他の態様は、対向する一対の表面を有するレンズ部材と、紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材からなる光触媒を担持したレンズ部材を備えた、光触媒を担持した眼鏡である。
【0032】
(本発明の基本原理)
【0033】
図1を参照して本発明の基本原理について説明する。
【0034】
図1は本発明の基本原理を説明する概略断面図である。
【0035】
図1に示すように、基本的に、本発明の光触媒装置(光触媒を担持した光透過性部材または光触媒付き光透過性部材)10は、第1の表面100aと第1の表面100aと対向する第2の表面100bを有する板状またはシート状の無機材料、有機樹脂(ポリマー)からなる透明または半透明の光透過性部材(透光性部材)100と、第1の表面100aに配置された紫外線応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒101と、第2の表面100bに配置された可視光応答型光触媒を含有する可視光応答型光触媒102を備える。
【0036】
本発明に使用できる透明または半透明な光透過性を有する光透過性部材無機材料としては、例えばガラス、石英などが挙げられる。
【0037】
本発明に使用できる光透過性を有する有機樹脂(ポリマー)としては、例えば、メチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、無定形フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
【0038】
本発明に使用できる紫外線応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒101は、主として紫外線を吸収して光触媒活性を発揮する光触媒からなる。
【0039】
可視光応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の可視光応答型光触媒102としては、紫外線と可視光線を吸収して光触媒活性を発揮する光触媒、または主として可視光線を吸収して光触媒活性を発揮する光触媒からなる。
【0040】
この光触媒付き光透過性部材10に、図1の左側から紫外線と可視光線を含む太陽光線などの輻射線L1を光透過性部材10の第1の表面100aに向けて照射する。
【0041】
まず、輻射線L1に含まれる紫外線が紫外線応答型光触媒101の箇所でほとんど吸収される。
【0042】
これにより紫外線応答型光触媒101が光触媒活性を発揮する。
【0043】
次に、輻射線L1に含まれる可視光線L2は紫外線応答型光触媒102の箇所でほとんど吸収されずに板状またはシート状の光透過性部材100内を伝達し、第2の表面100bに向かって進行する。
【0044】
更に、可視光線L2の一部分は、紫外線応答型光触媒102の箇所でほとんど吸収されずに板状またはシート状の光透過性部材100内を伝達し、第2の表面100bに配置された可視光応答型光触媒102の箇所で吸収され、可視光線L2の残りの部分は、可視光応答型光触媒102から外部へ出射する。
【0045】
これにより可視光応答型光触媒102が光触媒活性を発揮する。
【0046】
以上により、この光透過性部材10は、紫外線と可視光線を含む太陽光線などの輻射線L1を光透過性部材10の一方の表面100aに向けて照射することにより、板状またはシート状の光透過性部材100の両方の表面100a、100bにおいて効率良く光触媒活性を発揮することができる。
【0047】
通常の可視光応答型光触媒102は、紫外線も吸収するので、紫外線の一部分が紫外線応答型光触媒101の箇所を透過すると、板状またはシート状の光透過性部材100を進行し、可視光応答型光触媒102の箇所で吸収され、光触媒活性を発揮する。
【0048】
光触媒付き光透過性部材10は、この光触媒活性により、殺菌、防汚(セルフクリーニング)、脱臭などの光分解活性と、光親水性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
全ての図面において同一又は同様の構成要素又は構成部分について同一の参照符号を付している。
【0050】
(光触媒)
【0051】
本発明の各種の実施の形態で使用できる紫外線応答型光触媒と可視光応答型光触媒について説明する。
【0052】
(紫外線応答型光触媒)
【0053】
本発明に使用できる紫外線応答型光触媒としては、公知のとしていずれの無機酸化物からなる光触媒系を用いてもよい。
【0054】
本発明に使用できる紫外線応答型光触媒としては、例えば、光触媒活性が高い光触媒酸化チタンを用いるのが特に望ましい。
【0055】
本発明に使用できる紫外線応答型光触媒としては、光触媒酸化チタンの他に、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化タングステンなどを用いてもよい。
【0056】
本発明に使用できる紫外線応答型光触媒の材料として市販されている例えば下記の紫外線応答型光触媒を用いることができる。
【0057】
石原産業株式会社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製の酸化チタンの粉体、STシリーズ、銘柄ST−01(粒径7nm)、銘柄ST−21(粒径20nm)、銘柄ST−31(粒径7nm)、銘柄ST−41(粒径200nm)、銘柄ST−30L(粒径7nm)、酸化チタンの水分散体、STSシリーズ、銘柄STS−01(ゾル)、粒径(7nm)、TiO2濃度(30wt%)、銘柄STS−02(ゾル)、TiO2濃度(30wt%)、銘柄STS−21(スラリー)、粒径(20nm)、TiO2濃度(40wt%)、銘柄STS−100(ゾル)、粒径(5nm)、TiO2濃度(20wt%)。
【0058】
本発明に用いられる紫外線応答型光触媒は、これらに限定されず紫外線を受けて光触媒活
性を示す任意の紫外線応答型光触媒を使用できる。
【0059】
(可視光応答型光触媒)
【0060】
本発明に使用できる可視光応答型光触媒として、例えば特許文献11乃至特許文献15に開示されている可視光応答型光触媒を用いることができる。
【0061】
本発明に使用できる可視光応答型光触媒としては、市販されている例えば下記の(a)乃
至(c)の可視光応答型光触媒が挙げられる。
【0062】
(a)石原産業株式会社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製の酸化チタンに白金化合物を担持した可視光励起型光触媒粉体(銘柄MPT−621、MPT−623など)。
【0063】
(b)豊田中央研究所が開発した窒素ドープ酸化チタン(TiO−N)。
【0064】
(c)積水樹脂株式会社から市販の酸化チタンに硫黄カチオンを導入し、鉄を担持させた
もの。
【0065】
本発明に用いられる可視光応答型光触媒は、例えば、特許文献7(特開2004−988
号公報)、特許文献8(特許第3601532号公報)、特許文献9(特開2002−2
39395号公報)、特許文献10(特開2004−73910号公報)、特許文献11
(特開2002−239395号公報)、特許文献12(特開2004−73910号公
報)、その他の多数の特許文献に開示されている可視光応答型光触媒を使用できる。
【0066】
本発明に用いられる可視光応答型光触媒は、これらに限定されず可視光を受けて光触媒活
性を示す任意の可視光応答型光触媒を使用できる。
【0067】
(本発明の第1の実施の形態)
【0068】
図2乃至図5を参照して、本発明を建築物用窓ガラスに適用した本発明の第1の実施の形態につ
いて説明する。
【0069】
図2は建築物用窓ガラスを示す一部を切り欠いた(省略した)概略断面図である。
【0070】
図3、図4、図5、図6はそれぞれ図2に示す部分PAを示す概略拡大断面図である。
【0071】
図2に示すように、建築物用窓ガラス10は、外壁105に形成された窓用開口部106に設け
たアルミニウム製などの窓枠(サッシ)103と、パッキング(ガスケット)104を介し
て窓枠103に取り付けた窓ガラス100からなる。
【0072】
建築物用窓ガラス10は、更に窓ガラス100の室外111側の表面100aに配置された紫外
線応答型の光触媒を含有する膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒部材101と、窓ガラス
100の室内112側の表面100bに配置された可視光応答型の光触媒を含有する膜状また
はシート状の可視光応答型光触媒部材102からなる。
【0073】
図3、図4、図5、図6に示すように、例えば、膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒部材101、膜状またはシート状の可視光応答型光触媒部材102としては、種々の形態で窓ガラス100(光透過性部材)の表面100a、100bに配置できる。
【0074】
図3に示す光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Aは、紫外線応答型光触媒材料を窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aをスパッタリング、CVDなどの気相沈着法により堆積させて紫外線応答型光触媒粒子からなる紫外線応答型光触媒堆積膜101Aをほぼ全面的(または部分的に)形成すると共に、可視光応答型光触媒材料を窓ガラス100(光透過性部材)の他表面100bに同じく気相沈着法により光触媒粒子からなる可視光応答型光触媒堆積膜102Bを堆積させている。
【0075】
または図3に示す光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Aは、窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aに紫外線応答型光触媒からなる多数の微粒子と水、アルコールなどの液体との混合液(光触媒分散液、光触媒コーティング液)を塗布、乾燥させ、そして窓ガラス100(光透過性部材)の他表面100bにからなる多数の微粒子と水などの液体との混合液 (光触媒分散液、光触媒コーティング液)を塗布、乾燥させ、その後に加熱、焼成により窓ガラス100に紫外線応答型光触媒膜101Aと可視光応答型光触媒膜102Bを形成して得ても良い。
【0076】
または図3に示す光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Aは、加熱、焼成後に紫外線応答型光触媒となる前駆体を含有する液体を窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aに塗布、乾燥させ、そして加熱、焼成後に可視光応答型光触媒となる前駆体を含有する液体を窓ガラス100(光透過性部材)の他表面100bに塗布、乾燥させ、その後に加熱、焼成により紫外線応答型光触媒膜101Aと可視光応答型光触媒膜102Bを得ても良い。
【0077】
図4に示すように、光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Bは、複数の紫外線応答型光触媒微粒子101Baを分散させた無機または有機樹脂からなる光透過性結合材膜101Bbからなる紫外線応答型光触媒膜101Bを窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aに形成し、複数の可視光応答型光触媒微粒子102Baを分散させた無機または有機樹脂からなる光透過性結合材膜102Bbからなる紫外線応答型光触媒膜102Bを窓ガラス(光透過性部材)100の他表面100bに形成しても良い。
【0078】
光透過性結合材膜101Bb、光透過性結合材膜102Bbの無機結合材(結着材、接着剤)の材料としては、低融点ガラスフリット、低融点ガラスビーズなどを用いても良い。
【0079】
光透過性結合材膜101Bb、光透過性結合材膜102Bbの有機結合材(結着材、接着剤)の材料としては、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いても良い。
【0080】
光触媒微粒子101Ba、102Baと外部の空気などと接触できるように光触媒微粒子101Ba、102Baを露出させるか、または光透過性結合材膜101Bb、光透過性結合材膜102Bbを多孔性とするのが望ましい。
【0081】
予めシリカゲル、ゼオライトなどの多孔性粒子に、多孔性粒子よりも平均径が小さな複数の光触媒微粒子101Ba、102Baを担持させた粒子を分散した光透過性結合材を用いることにより、光透過性結合材膜101Bb、光透過性結合材膜102Bbを多孔性としてもよく、それにより光触媒微粒子101Ba、102Baを露出することができる。
【0082】
図5に示すように、光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Cは、光透過性中間膜(プリコート膜)101Cc、光透過性中間膜(プリコート膜)102Ccをそれぞれ窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aと他表面100bと、紫外線応答型光触媒膜101C、可視光応答型光触媒膜102Cの間に介在している。
【0083】
光透過性中間膜101Cc、光透過性中間膜102Ccは、紫外線応答型光触媒膜101C、可視光応答型光触媒膜102Cの示す光触媒活性により、窓ガラス(光透過性部材)100を変色、着色などの劣化から防ぐものである。
【0084】
光透過性中間膜101Cc、光透過性中間膜102Ccは、例えば、シリカガラス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの光触媒に不活性の材料からなるのが望ましい。
【0085】
または窓ガラス(光透過性部材)100からの成分により紫外線応答型光触媒膜101C、可視光応答型光触媒膜102Cの示す光触媒活性が低下するのを防ぐものである。
【0086】
即ち、図5に示すように、光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Cは、複数の紫外線応答型光触媒微粒子101Caを含有する光透過性結合材膜101Cbからなる紫外線応答型光触媒膜102Cを、無機または有機樹脂からなる光透過性中間膜101Ccを介在して光透過性窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aに形成し、複数の可視光応答型光触媒微粒子102Caを分散させた無機または有機樹脂からなる光透過性結合材膜102Cbからなる可視光応答型光触媒膜102Cを光透過性中間膜102Ccを介在して窓ガラス(光透過性部材)100の他表面100bに形成している。
【0087】
図6に示すように、光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Dは、予め紫外線応答型光触媒粒子101Daを含有する光透過性結合材膜101Dbを一表面に形成した光透過性シート101Dcと、予め可視光応答型光触媒粒子102Daを含有する光透過性結合材膜102Dbを他表面に形成した光透過性シート102Dcを用い、光透過性シート101Dcと光透過性シート102Dcを光透過性窓ガラス(光透過性部材)100の両表面100a、100b上に配置するものである。
【0088】
即ち、図6に示すように、光触媒担持窓ガラス(光触媒担光透過性部材)10Dは、予め紫外線応答型光触媒粒子101Daを含有する光透過性結合材膜101Dbを一表面に形成した光透過性シート101Dcを、光透過性接着剤、粘着材101Ddなどにより光透過性窓ガラス(光透過性部材)100の一表面100aに接着などにより固定し、予め可視光応答型光触媒粒子102Daを含有する光透過性結合材膜102Dbを他表面に形成した光透過性シート102Dcを光透過性接着剤、粘着材102Ddなどにより光透過性窓ガラス(光透過性部材)100の他表面100bに接着などにより固定しても良い。
【0089】
光透過性シート101Dc、光透過性シート102Dcとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルシート、ポリフロロエチレンフィルムなどの透明フッ素樹脂シートなどの光透過性ポリマーシートまたは膜状のガラスシートなどの光透過性無機シートを用いても良い。
【0090】
(本発明の第2の実施の形態)
【0091】
図7を参照して、本発明を自動車などの乗物用窓ガラスに適用した本発明の第2の実施の形態に
ついて説明する。
【0092】
図7は本発明の第2の実施の形態の窓ガラスを備えた自動車を示し、窓ガラスを断面とした概略
断面図である。
【0093】
図7において、自動車30は光触媒付き窓ガラス20を装着している。
【0094】
光触媒付き窓ガラス20は、基本的に前述の本発明の図1乃至図6に示す第1の実施の形態の窓
ガラス10と同様または同一である。
【0095】
光触媒付き窓ガラス20は、自動車用フロントウィンドーまたはリアウィンドーなどの窓ガラス
100の室外111側の表面にシート状または膜状の紫外線応答型光触媒部材101を形成、接
着して配置し、自動車用窓ガラス100の室内112側の表面にシート状または膜状の可視光応
答型光触媒部材102を形成、接着して配置している。
【0096】
従って第1の実施の形態と同様に、光触媒付き窓ガラス20に、自動車の室外111から紫外線と可視光線を含む太陽光線が窓ガラス20に向けて照射されると、太陽光線の紫外線成分が紫外線応答型光触媒部材101で吸収されて光触媒活性を発現する。
【0097】
それにより窓ガラス20の外面は光触媒活性により防汚効果、親水性効果を示す。
【0098】
光触媒の励起による防汚効果により窓ガラス20の外面は汚れが窓ガラス20の外面に付着し
た有機物は分解されて汚れが窓ガラス20の外面に付着しにくくなる。
【0099】
また光触媒の励起による親水性効果により窓ガラス20の外面に付着した水滴が膜状となって、
運転の視野を水滴により妨げるのを防ぐことができる。
【0100】
太陽光線の可視光成分はほとんど紫外線応答型光触媒部材101で吸収されることなく、窓ガラ
ス20を透過して窓ガラス20の内面に配置された可視光応答型光触媒部材102で一部が吸
収され、光触媒活性を発現する。それにより車内112の空気は脱臭されて浄化される。
【0101】
可視光応答型光触媒部材102で吸収されない残りの可視光成分は車内を照明する。
【0102】
紫外線応答型光触媒部材101は、窓ガラス20の室外101側の表面に部分的または全面的に
配置することができる。
【0103】
可視光応答型光触媒部材102は、窓ガラス20の室内102側の表面に部分的または全面的に
配置される。
【0104】
紫外線応答型光触媒部材101および、または可視光応答型光触媒部材102は、窓ガラス20
に島状、点状、格子状、ストライプ状などのパターン状に部分的に配置することができる。(後
に図11乃至図16を参照して詳記する。)
【0105】
通常、可視光応答型光触媒は、可視光線の青色光線をよく吸収するので、運転手が交通標識、交
通信号などの色彩情報を誤認しないように、窓ガラス20の内面には光触媒膜を形成する領域と
光触媒膜を形成しない領域を設けるのが望ましい。
【0106】
窓ガラス20の内面には可視光応答型光触媒膜を形成する領域と可視光応答型光触媒膜を形成
しない領域を設ける場合でも車内の空気は対流しているので実用上十分な脱臭効果が得られる。
【0107】
(本発明の第3の実施の形態)
【0108】
図8を参照して、本発明を眼鏡などに用いるレンズ(光学素子)に適用した本発明の第3の実施の
形態について説明する。
【0109】
図8は、レンズの一部を切り欠き断面として示す本発明の第3の実施の形態の概略斜視図である。
【0110】
図8に示すように、眼鏡40は眼鏡枠(眼鏡フレーム)と一対の光触媒付きレンズ50からなる。
【0111】
眼鏡枠は、一対のレンズ枠(リム)61と、一対のレンズ50を結合するブリッジ62と、一対のテンプル(つる)60と、一端がテンプル60に接続され他端がテンプル60の一端と接続されたヒンジ63と、テンプル60の他端と接続された耳当て部材64と、鼻当てパッド(図示せず)からなる。
【0112】
光触媒付きレンズ50は左右のレンズ枠(リム)61にはめ込まれている。
【0113】
光触媒付きレンズ50は、光学プラスチックまたは光学ガラスからなるレンズ100と、レンズ100の外面に形成された第一の光触媒膜(光触媒コーティング膜)101と、レンズ100の内面に形成された第二の光触媒膜(光触媒コーティング膜)102からなる。
【0114】
レンズ100の外面の第一の光触媒膜(光触媒コーティング膜)101は、前述および図3乃至図6のいずれかに示した紫外線応答型光触媒を含有した紫外線応答型光触媒膜(またはシート)である。
【0115】
レンズ100の内面に形成された第二の光触媒膜(光触媒コーティング膜)102は、前述および図3乃至図6のいずれかに示した可視光線応答型光触媒を含有した可視光線応答型光触媒膜である。
【0116】
光触媒レンズ100に形成された紫外線応答型光触媒膜101と可視光線応答型光触媒膜10
2は、太陽光、蛍光灯などに含まれる近紫外線と可視光線とにより励起されて光触媒活性を発
現する。
【0117】
これにより光触媒レンズ100に付着された汚れ成分が分解されてクリーンに保たれる。
【0118】
(本発明の第4の実施の形態)
【0119】
図9を参照して、本発明を建築物用二重窓ガラスに適用した本発明の第4の実施の形態について
説明する。
【0120】
図9は、二重窓ガラス70示す本発明の第4の実施の形態の概略断面図である。
【0121】
図9に示すように、建築物用二重窓ガラス70は、外壁105に形成された窓用開口部106に
設けられたアルミニウム製などの窓枠(サッシ)103と、パッキング(ガスケット)104を
介して窓枠103に取り付けられ所定の間隔の空間107を介して対向する一対の窓ガラス1
00A、100Bからなる。
【0122】
一方の窓ガラス100Aは、建築の室外111側に配置され、他方の窓ガラス100Bは建築の
室内112側に配置される。
【0123】
図9に示すように、スペーサー108を、一対の窓ガラス100A、100Bの間の周縁には窓ガラス100A、100Bを所定間隔に保つために設けるのが望ましい。
【0124】
図9に示すように、一対の窓ガラス100A、100B間の周縁には、スペーサー108の外側に封止材(シール材)109を設けても良い。
【0125】
予め空間107をほぼ真空にして封止材(シール材)109により窓ガラス100A、100B間の周縁を封止して窓ガラス100A、100Bを一体化して、断熱性を有する二重窓ガラスとすることができる。
【0126】
窓ガラス100Aは、更に窓ガラス100の室外111側の表面に全面的または部分的に紫外線
応答型の光触媒を含有する膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒部材101が設けられる。
【0127】
窓ガラス100Bは、更に窓ガラス10Bの室内112側の表面に全面的または部分的に可視光
応答型の光触媒を含有する膜状またはシート状の可視光応答型光触媒部材102が設けられる。
【0128】
(本発明の第5の実施の形態)
【0129】
図10を参照して、本発明を建築物用二重窓ガラスに適用した本発明の第5の実施の形態につい
て説明する。
【0130】
図10は、建築物用二重窓ガラス80を示す本発明の第4の実施の形態の概略断面図である。
【0131】
本発明の第4の実施の形態では、室内の空気を積極的に浄化できる。
【0132】
図10に示すように、建築物用二重窓ガラス80は、外壁105に形成された窓用開口部106
に設けたアルミニウム製などの窓枠(サッシ)103と、パッキング(ガスケット)104を介
して窓枠103に取り付けられ所定の間隔の空間107を介して対向する一対の窓ガラス10
0C、100Dからなる。
【0133】
一方の窓ガラス100Cは、建築の室外111側に配置され、他方の窓ガラス100Dは建築の
室内112側に配置される。
【0134】
図10に示すように、スペーサー108を、一対の窓ガラス100C、100Dの間の周縁には窓ガラス100C、100Dを所定間隔に保つために設ける。
【0135】
図10に示すように、室内側に配置した窓ガラス100Dの上部と下部には、それぞれ少なくとも一つの貫通孔100D1、100D2が形成されており、空間107と室内112が連通され、空間107と室内112の空気が対流可能とされる。
【0136】
従って空間107と室内112の空気は、図10の参照符号AF1、AF2の矢印付き鎖線で示すように対流可能とされる。
【0137】
スペーサー108の外側に封止材(シール材)109を設けても良い。
【0138】
更に室内112の空気と、空間107内の空気を強制的に循環させるファン(送風機)FNを設けても良い。
【0139】
更に窓ガラス100C内面に全面的または部分的に紫外線応答型の光触媒を含有する膜状また
はシート状の紫外線応答型光触媒部材101が設けられる。
【0140】
更に窓ガラス100Dの内面に全面的または部分的に可視光応答型の光触媒を含有する膜状ま
たはシート状の可視光応答型光触媒部材102が設けられる。
【0141】
(パターン状の光触媒膜)
【0142】
前記の各種の実施の形態において、紫外線応答型光触媒(光触媒膜またはシート)および、ま
たは可視光応答型光触媒(光触媒膜またはシート)は、板状またはシート状の前記光透過性部材
の表面に任意のパターン状に部分的(選択的)に形成、配置することができる。
【0143】
これにより、前記光透過性部材の表面には光触媒膜が存在する領域と光触媒膜が存在しない領域ができる。
【0144】
図11乃至図16を参照して、パターン状の模様形状の光触媒膜を備えた光透過性部材の数例を
説明する。
【0145】
図11乃至図16はそれぞれパターン状の模様形状の光触媒膜101、102を備えた光透過性
部材100を示す概略平面図である。
【0146】
図11乃至図16において、光透過性部材100は、光透過性部材100の一表面100aまた
は他表面100bに、パターン状の紫外線応答型光触媒膜101またはパターン状の可視光応答
型光触媒膜102を備えている。
【0147】
図11では、光透過性部材100の一表面100aまたは他表面100bにストライプ状(帯状)
の形状の複数の光触媒膜101または102が、互いに任意の間隔で配列されている。
【0148】
図12では、光透過性部材100の一表面100aまたは他表面100bにマトリクス状(格子
状)の形状の光触媒膜101または102が配置されている。
【0149】
図13では、光透過性部材100の一表面100aまたは他表面100bにほぼ矩形の形状の複
数の光触媒膜101または102が、互いに任意の間隔で島状に配列されている。
【0150】
図14では、光透過性部材100の一表面100aまたは他表面100bにほぼ円形の形状の複
数の光触媒膜101または102が、互いに任意の間隔で島状に配列されている。
【0151】
図15では、光透過性部材100の一表面100aまたは他表面100bのほぼ矩形の形状の複
数の島状領域を除く領域に光触媒膜101または102が配置されている。
【0152】
図16では、光透過性部材100の一表面100aまたは他表面100bのほぼ円形の形状の複
数の島状領域を除く領域に光触媒膜101または102が配置されている。
【0153】
前記の各種の実施の形態において、前記光触媒付き窓は、建築用窓、乗物用窓に限定されず、例えば計器用窓、ゴーグル用窓、太陽電池用窓などの光透過性部材に適用することができる。
【0154】
以上に添付図面を参照して各種の本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、本発明の精神と特許請求の範囲に基づいて各種の変形、設計変更および改良が可能であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】図1は、本発明の原理を説明する概略説明図である。
【図2】は本発明の第1の実施の形態を示す建築物用窓ガラスを示す一部を切り欠いた(省略した)概略断面図である。
【図3】図3は、図2に示す部分PAを示す光触媒付き光透過性部材の概略拡大断面図である。
【図4】図4は、図2に示す部分PAを示す他の光触媒付き光透過性部材の概略拡大断面図である。
【図5】図5は、図2に示す部分PAを示す他の光触媒付き光透過性部材の概略拡大断面図である。
【図6】図6は、図2に示す部分PAを示す他の光触媒付き光透過性部材の概略拡大断面図である。
【図7】図7は本発明の第2の実施の形態の窓ガラスを備えた自動車(乗物)を示し、窓ガラスを断面とした概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施の形態のレンズを備えた眼鏡を説明し、レンズの一部を切り欠き断面として示す概略斜視図である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態の二重窓ガラスを示し、その一部を切り欠いた(省略した)概略断面図である。
【図10】図10は、本発明の第5の実施の形態の二重窓ガラスを示し、その一部を切り欠いた(省略した)概略断面図である。
【図11】図11は、パターン状の模様形状の光触媒を備えた光透過性部材を示す概略平面図である。
【図12】図12は、パターン状の模様形状の光触媒を備えた光透過性部材を示す概略平面図である。
【図13】図13は、パターン状の模様形状の光触媒を備えた光透過性部材を示す概略平面図である。
【図14】図14は、他のパターン状の模様形状の光触媒を備えた光透過性部材を示す概略平面図である。
【図15】図15は、他のパターン状の模様形状の光触媒を備えた光透過性部材を示す概略平面図である。
【図16】図16は、他のパターン状の模様形状の光触媒を備えた光透過性部材を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0156】
L1;太陽光線(紫外線と可視光線)
L2;透過光線(可視光線)
L3;透過光線(可視光線)
L4;照明光線(可視光線)
10;光触媒を担持した光透過性部材(光触媒付き窓ガラスなど) 10A;光触媒を担持した光透過性部材(光触媒付き窓ガラスなど)
10B;光触媒を担持した光透過性部材(光触媒付き窓ガラスなど)
10C;光触媒を担持した光透過性部材(光触媒付き窓ガラスなど)
10D;光触媒を担持した光透過性部材(光触媒付き窓ガラスなど)
20;乗物用光触媒付き窓ガラス 30;乗物
40;光触媒レンズ付き眼鏡
50;光触媒付きレンズ 60;テンプル(つる)
61; レンズ枠(リム)
62; ブリッジ
63;耳当て部材
64;光触媒付きレンズ 70;建築物用光触媒付き二重窓ガラス
70;建築物用光触媒付き二重窓ガラス
80;建築物用光触媒付き二重窓ガラス(空気清浄装置)
100;光透過性ガラス板、光透過性プラスチック板(板状またはシート状の光透過性部材(透光性部材))
100a;一表面
100b;他表面
100A;光透過性板状部材、ガラス板、プラスチック板(板状またはシート状の光透過性部材)
100B;光透過性板状部材、ガラス板、プラスチック板(板状またはシート状の光透過性部材)
100C;光透過性板状部材、ガラス板、プラスチック板(板状またはシート状の光透過性部材)
100D;光透過性板状部材、ガラス板、プラスチック板(板状またはシート状の光透過性部材)
101;紫外線応答型光触媒部材
102;可視光応答型光触媒部材
103;窓枠(サッシ)
104;パッキング(ガスケット)
105;外壁
106;開口
107;空間
108;スペーサー
109;封止材(シール材)
111;屋外、車外
112;屋内、車内




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する板状またはシート状の光透過性部材と、
前記第1の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒部材と、
前記第2の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の可視光応答型光触媒を含有する可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持した光透過性部材。
【請求項2】
第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する板状またはシート状の光透過性部材と、
前記第1の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒部材と、
前記第2の表面に全面的に又は部分的に配置された可視光応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の可視光応答型光触媒部材を備えた光触媒を担持した光透過性部材を準備し、
紫外線と可視光を含む光線を前記第1の表面側から前記光透過性部材に入射させて、紫外線により前記紫外線応答型光触媒部材を励起し、
前記光透過性部材を透過した可視光により前記可視光応答型光触媒部材を励起する、光触媒を担持した光透過性部材の励起方法。
【請求項3】
対向する一対の表面を有する光透過性部材と、
紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成または接着された紫外線応答型光触媒部材と、
可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成または接着された可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持した光透過性部材。
【請求項4】
第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する窓用光透過性部材と、
前記第1の表面に全面的に又は部分的に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒と、
前記第2の表面に全面的に又は部分的に配置された可視光応答型光触媒を含有する膜状またはシート状の可視光応答型光触媒を備え、
前記第1の表面を開放空間側に配置し、前記第2の表面を閉塞空間側に配置した、光触媒を担持した窓用光透過性部材。
【請求項5】
対向する一対の表面を有する窓用光透過性部材と、
紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、
可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材を備え、
開放空間側に前記紫外線応答型光触媒部材を配置し、閉塞空間側に前記可視光応答型光触媒部材を配置した、光触媒を担持した窓用光透過性部材。
【請求項6】
開放空間側に配置した第1の窓用光透過性部材と、
第1の窓用光透過性部材と所定空間を保って閉塞空間側に配置した第2の窓用光透過性部材と、
第1の窓用光透過性部材の内面に配置された紫外線応答型光触媒を含有する第1の光触媒膜と、
第2の窓用光透過性部材の内面に配置された可視光応答型光触媒を含有する第2の光触媒膜を備えた、光触媒を担持した窓用光透過性部材。
【請求項7】
開放空間側に配置した第1の窓用光透過性部材と、
第1の窓用光透過性部材と所定空間を保って閉塞空間側に配置した第2の窓用光透過性部材と、
第1の窓用光透過性部材の内面に配置された紫外線応答型光触媒を含有する第1の光触媒膜と、
第2の窓用光透過性部材の内面に配置された可視光応答型光触媒を含有する第2の光触媒膜を備え、
第2の窓用光透過性部材に少なくとも一つの貫通孔を設け、前記貫通孔を経由して屋内の空気を前記所定空間内に通気可能とした、空気清浄機能付き窓用光透過性部材。
【請求項8】
対向する一対の表面を有する光学素子と、
紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、
可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持した光学素子。
【請求項9】
対向する一対の表面を有するレンズ部材と、
紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、
可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材を備えた、光触媒を担持したレンズ部材。
【請求項10】
対向する一対の表面を有するレンズ部材と、
紫外線応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、一方の前記表面に形成されたまたは接着された紫外線応答型光触媒部材と、
可視光応答型光触媒を含有する光触媒膜または光触媒シートからなり、他方の前記表面に形成されたまたは接着された可視光応答型光触媒部材からなる光触媒を担持したレンズ部材を備えた、光触媒を担持した眼鏡。
【請求項11】
第1の表面と前記第1の表面と対向する第2の表面を有する板状またはシート状の光透過性部材と、
前記第1の表面に配置された膜状またはシート状の紫外線応答型光触媒を含有する紫外線応答型光触媒部材と、
前記第2の表面に配置された膜状またはシート状の可視光応答型光触媒を含有する可視光応答型光触媒部材を備え、
前記紫外線応答型光触媒部材および、または前記可視光応答型光触媒部材が所定のパターン状の形状に前記光透過性部材に配置された、光触媒を担持した光透過性部材。
【請求項12】
請求項1または請求項3乃至請求項7のいずれかまたは請求項11において、前記光透過性部材が建築用窓である光触媒を担持した建築用窓。
【請求項13】
請求項1または請求項3乃至請求項7のいずれかまたは請求項11において、前記光透過性部材が乗物用窓である光触媒を担持した乗物用窓。
【請求項14】
請求項1または請求項3または請求項11において、前記光透過性部材がレンズである光触媒を担持したレンズ。
【請求項15】
請求項1または請求項3または請求項11において、前記光透過性部材が計器用窓である光触媒を担持した計器用窓
【請求項16】
請求項1または請求項3または請求項11において、前記光透過性部材がゴーグル用窓である光触媒を担持したゴーグル用窓。
【請求項17】
請求項1または請求項3または請求項11において、前記光透過性部材が太陽電池用窓である光触媒を担持した太陽電池用窓。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−160240(P2007−160240A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361225(P2005−361225)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(395012709)
【Fターム(参考)】