説明

光記録媒体の表面上の耐汚染レベルの評価方法および装置並びに光記録媒体

【課題】従来技術では、高密度光ディスクの表面上で発生する耐汚染レベルは、単に十分に熟練した製造者の個人的な判定によってのみ評価され、この際の判定は、ディスクの表面に付着された汚染された実際の指紋または汚染物の量やレベルを観察することに基づいていた。従来の耐汚染レベル評価方法によって検査が行われる時、ある程度の誤判定が発生し、この誤判定によって欠陥のあるディスクが出荷され販売される恐れがあった。
【解決手段】記録媒体上の耐汚染レベル評価方法を提供する。人工物質が付着されたスタンプを光記録媒体上に接触させることによって、光記録媒体の表面上に人工指紋を形成するステップと、指紋に対する感度を決定するため、人工指紋の形成された領域内のシンボルエラーレート(SER)を測定し、測定されたSERによって光記録媒体が良好な品質を持つか粗悪な品質を持つかを判断するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、光ディスクのような光記録媒体に関し、より詳細には、光ディスクの表面上の耐汚染レベルを評価する方法に関する。本発明は広い分野に応用が可能であり、中でも光ディスクの表面上に形成された保護膜の特性を量子化(quantize)することによってその安定性を改善するのに特に好適である。
【0002】
一般に、光ディスクは、レーザービームを用いて光ディスクの表面上に情報を記録するのに使用される。より具体的に、光ディスクは、デジタル信号に変換された音声、映像および文字情報を持つ大容量のデータ記憶手段である。低い強度のレーザービームが入射され、相異なる強度で反射された光を認識することによって光ディスクの読出を行う。光ディスク媒体は、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、レーザーディスク(LD)などを含む。また、近来、ブルーレイディスク(BD)および次世代ディスク(AOD)が、次世代記憶手段の標準規格として活発に競いあいながら開発されている。
【0003】
ブルーレイディスクは、高解像度ビデオディスクレコーダ(HDVDR)を目標に開発されている。ブルーレイディスクは、青紫色半導体レーザ(BPSL)を使用する次世代光ディスク記憶手段とされている。したがって、ブルーレイディスクは、27ギカバイト(GB)の記憶容量を持ち、これは、通常の映画を13時間再生できることと、高解像度TV(HDTV)画質を持つヴィジュアル素材を2時間再生することに対応する。上述したように、従来のDVDの短所を補うことのできる次世代記憶手段としてブルーレイディスクに対する関心と焦点は高まりつつある。しかしながら、ブルーレイディスクの微細な信号特性のために、傷、変形もしくは形状欠陥、指紋、製造プロセス中における不純物付着などに起因した品質欠陥が発生することがある。したがって、ブルーレイディスクの製造完了後には品質検査プロセスが実行され、検査済みの製品が出荷され市販される。
【0004】
一般に、従来技術の光ディスク品質検査プロセスは、4つの測定フローによって行われる。同一の製造装置で製造された複数の光ディスクがいずれも同じ特性を持つと言う条件で、製造者は光ディスクを無作為に選択し、選択された光ディスクを測定システム上にマウントする。第1の測定フローでは、光ディスクからの高周波信号とジッター(jitter)を測定する。第2の測定フローでは、光ディスクから再生された信号に基づいてサーボ信号(すなわち、フォーカスエラー信号およびトラックエラー信号)を測定する。第3の測定フローでは、現在品質検査中の光ディスクの機械的特性を検出する。最後に、最後(第4)の測定フローでは、光ディスクの光学特性を測定する。
【0005】
上述のように、従来技術の光ディスク品質検査プロセスは、情報記録時の精度検査、光ディスクの機械的および光学的特性検査などからなる。高密度光ディスクを使用する間に、記録/再生情報のためのレーザービームの入射面上に生じうる指紋のような化学的および物理的な汚染は、光ディスク信号の品質低下を招く。このため、データを損ねるだけでなく、ディスク上の記録/再生情報を不能にしてしまう。そこで、このような問題が発生するのを防止するために、耐汚染レベルおよび表面安定性を改善するようにディスクの表面上に保護膜が形成され、光ディスクは、汚染からディスクを保護するためにカートリッジに挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、最近では、ディスクの体積を最小化するために、保護膜のみを有しカートリッジを備えないディスクが市販されている。したがって、ディスクの表面上に形成される保護膜の耐汚染レベルを量子化する(quantize)ことが、ディスクの効率的な製造および利用のための重要な要素とされている。
【0007】
従来技術においては、高密度光ディスクの表面上で発生する耐汚染レベルを評価する量子化された方法は未だ開発されていない。耐汚染レベルは、単に十分に熟練した製造者の個人的な判定によってのみ評価され、この際の判定は、ディスクの表面に付着された汚染された実際の指紋または汚染物の量やレベルを観察することに基づいている。したがって、上述した従来の耐汚染レベル評価方法によって検査が行われる時は、ある程度の誤判定が発生し得る。この誤判定によって、欠陥のあるディスクが出荷され販売されてしまう恐れがあった。
【0008】
したがって、本発明は、従来技術の限界および短所に起因する1つ以上の問題を大幅に克服した光ディスク表面上の耐汚染レベルの評価方法を対象としている。
【0009】
本発明の目的は、光ディスク表面上の安定性を改善するために形成された保護膜の特性を量子化できる光ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の長所、目的および特徴は、部分的に後述する詳細な説明に開示することによって、部分的には実験の際に技術分野の当業者に明らかとなり、あるいは本発明の実施から自明になるだろう。本発明の目的と他の長所は、添付図面の他、後述される説明および請求の範囲に詳細に開示される構成によって実現され獲得できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここでは、上記の目的と長所を実現するために、本明細書で具体化され幅広く説明される本発明の目的とともに、光記録媒体上の耐汚染レベル評価方法において、人工物質の付着されたスタンプを光記録媒体上に接触させることによって、光記録媒体の表面上に人工指紋を形成するステップと、指紋に対する感度(sensitivity)を決定するために、人工指紋の形成された領域におけるシンボルエラーレートを測定するステップと、を備えることを特徴とする耐汚染レベル評価方法が提供される。
【0012】
人工指紋物質は、水、メタノール、塩化ナトリウム(NaCl)、尿素、乳酸、紫色染料のうち少なくとも1つで形成され得る。スタンプは、Si(シリコン)−ゴムで形成することができ、約10mmの直径を持つことができる。スタンプは、500gの圧力でディスクと接触させることができる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、光記録媒体の表面上の耐汚染レベル評価方法であって、(a)人工指紋物質の形成されたスタンプパッド上に所定の圧力でスタンプを接触させ、スタンプ上に人工指紋物質を付着させるステップと、(b)光記録媒体の表面上に人工指紋を形成するために、光記録媒体の表面上に人工指紋物質を持つスタンプを接触させるステップと、(c)人工指紋の形成された位置上のシンボルエラーレート(SER)によって指紋の感度を決定するステップと、を備えることを特徴とする耐汚染レベル評価方法が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、光記録媒体の表面上の耐汚染レベル評価方法において、過酷な条件または標準条件によって、ステップ(a)において人工スタンプ物質が付着されたスタンプがダミーに接触する回数を制御するステップをさらに備える。
【0015】
この時、スタンプからダミーへの接触回数が0または1である時、スタンプは過酷な条件であるとすることができ、スタンプからダミーへの接触回数が2から4との間にある時、スタンプは標準条件であるとすることができる。スタンプが過酷な条件にある場合、ステップ(c)は、SERが4.2×10-3よりも小さい時、光記録媒体は良好な品質を持つと判断するステップと、SERが4.2×10-3以上である時、光記録媒体は粗悪な品質を持つと判断するステップを備える。一方、スタンプが標準条件である場合、ステップ(c)は、SERが1.5×10-3よりも小さい時、光記録媒体は良好な品質を持つと判断するステップと、SERが1.5×10-3以上である時、光記録媒体は粗悪な品質を持つと判断するステップと、を備える。
【0016】
本発明のさらに他の態様によれば、上記の方法によって評価された光記録媒体と同じ種類の光記録媒体が提供される。
【0017】
本発明のさらに他の態様によれば、光記録媒体上の耐汚染レベル評価装置において、人工物質が付着されたスタンプを光記録媒体上に接触させることによって、光記録媒体の表面上に人工指紋を形成するスタンプと、指紋に対する感度を決定するために、人工指紋の形成された領域におけるシンボルエラーレート(SER)を測定する測定ユニットと、を備えることを特徴とする耐汚染レベル評価装置が提供される。
【0018】
ステップ(b)において、表面上に形成された人工指紋が、光記録媒体の1つのロングディスタンスコード(LDC)ブロックの少なくとも50%を覆うまで、光記録媒体の表面にスタンプを接触させ、ステップ(c)は、SERが4.2×10-3よりも小さい時、光記録媒体は良好な品質を持つと判断するステップと、SERが4.2×10-3以上である時、光記録媒体は粗悪な品質を持つと判断するステップとを備える。
【0019】
本発明についての上述の一般的な説明および後述する詳細な説明はいずれも、例示的なものであり、請求項における本発明に対する追加的な説明を提供するものとして理解されるべきである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明により光ディスク表面上の安定性を改善するために形成された保護膜の特性を量子化できる光ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法の手順を示す図である。
【図1B】ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法の手順を示す図である。
【図1C】ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法の手順を示す図である。
【図1D】ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法の手順を示す図である。
【図2】本発明によってスタンプがダミーに接触する回数とシンボルエラーレート(SER)の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施例によるディスク表面上の耐汚染レベル評価方法を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるディスク表面上の耐汚染レベル評価方法を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に示された数例を用いて、本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。図面中、同一の構成要素には、できる限り同一の参照符号を使用するものとする。
【0023】
図1Aから図1Dは、ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法の手順を示す図である。図1Aを参照すると、人工指紋を形成するためのスタンプ10が、少なくても一度スタンプパッド30に接触させる。この時、スタンプ10上には人工指紋物質が形成されることによって、スタンプパッド30に接触するスタンプ10に人工指紋物質を付着させる。続いて、人工指紋物質20aが付着されたスタンプ10は、図1Bに示すように、ダミーに少なくとも一度接触することによって、人工指紋物質20aがスタンプ10に過度に付着されるのを防止する。スタンプ10がダミー40と接触する回数によって、スタンプ10は過酷な条件と標準条件とに分けることができる。所定回数だけダミー40に接触させたスタンプ10は、その後、図1Cに示すように保護膜が形成されているディスク50と接触させることによって、人工指紋20bをディスク50の表面上に付着させる。この時、ダミーは、ポリカーボネート板で形成されていることが好ましい。その後、図1Dに示すように、ディスク50の表面上に形成された人工指紋20bのシンボルエラーレート(SER)が測定されることによって、指紋の感度を決定するか、または、製造されたディスクを良好および欠陥(不良)に区分する。
【0024】
SERは、関連データブロック内のエラーバイトの数を、データブロック内の総バイト数で除算した値で決定される。ブルーレイシステムにおいて、SERは、関連ロングディスタンスコード(LDC)内のエラーバイト数を、LDCブロック内の総バイト数で除算した値として決定される。
【0025】
図2を参照すると、製造されたディスク50の品質は、スタンプ10によってディスク50の表面上に形成された人工指紋20bの数およびシンボルエラーレート(SER)と人工指紋20bの数との関係によって判断され区分される。より具体的に、図2は、40mmの半径を持つブルーレイディスクの表面上にランダムに形成された直径10mm人工指紋の数とシンボルエラーレート(SER)の変化を表すデータを示す。ディスクの表面上に1つの人工指紋100のみが形成される時、ディスクの全トラックのうち約4%のみが覆われるようになる。また、ディスクの表面上に15個の人工指紋200が形成される時、ディスクの全トラックのうち約60%が覆われるようになる。
【0026】
また、ディスクの表面上に6個以上の人工指紋が形成される時、SERは飽和する(または、飽和状態にある)。より具体的に、6個以上の人工指紋は、1つの全体ロングディスタンスコード(LDC)ブロックを覆うのに充分である。本発明において、示されたSER結果によれば、一連の条件で図2に説明された検査の間に、製造されたディスクは、SERが4.2×10-3よりも小さい時に良好な品質を持つと判断され、SERが4.2×10-3以上である時に粗悪な品質を持つと判断される。以下、添付図面を参照しつつ、ディスク表面上の耐汚染レベル評価方法について詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図3は、本発明の第1の実施例によるディスク表面上の耐汚染レベル評価方法を示す図である。図3を参照すると、人工指紋を形成するためのスタンプは、スタンプ上に人工指紋物質を付着させるべく、人工指紋物質の形成されたスタンプパッド上に少なくとも一度接触させる(S10)。この時、人工指紋物質は、水、メタノール、塩化ナトリウム(NaCl)、尿素、乳酸および極少量の紫色染料のうち少なくとも1つで形成される。また、スタンプは、Si−ゴムで形成されることができ、人工指紋物質が付着されたスタンプは、約10mmの直径を有することが好ましい。その後、スタンプは、500gの圧力でスタンプパッドに接触させる。
【0028】
次に、人工指紋物質がスタンプに過度に付着されるのを防止するために、人工指紋物質の形成されたスタンプは、ダミー(すなわち、ポリカーボネート板)に少なくとも1度接触させる(S20からS30)。この時、スタンプは、ダミーとも500gの圧力で接触させ、ダミーに対するスタンプの接触回数によって、スタンプの条件は過酷な条件および標準条件に区分される。より具体的に、下記の表1に示すように、接触回数が0と1との間にあると、スタンプは過酷な条件であると判断され、接触回数が2から4の間にあると、スタンプは標準条件であると判断される。このような条件は、表1に示す接触回数に制限されるものではなく、ディスク表面上の耐汚染レベルを評価する検査装置によって変更ができる。
【0029】
【表1】

【0030】
したがって、ディスク表面上の耐汚染レベルを評価するに当たって、スタンプの条件が標準条件に設定された時、スタンプからダミーへの接触回数を、2回と4回との間に増やすことによって、スタンプを標準条件に設定する(S120)。続いて、所定回数だけダミーに接触させたスタンプは、保護膜の形成されたディスクに500gの圧力で一回のみ接触させることによって、ディスクの表面上に人工指紋を形成する(S60)。この時、ダミーはポリカーボネート板で形成されることが好ましい。その後、耐汚染レベルの評価によってディスクの品質(すなわち、良好または不良)を判断するために、ディスク上に形成された人工指紋のSERが測定される(S70)。この時、ディスクの品質、すなわちディスクが良好な品質を持つか粗悪な品質を持つかは、スタンプが過酷な条件であるか標準条件であるかによって変わってくる(S80)。
【0031】
上述したプロセスS80の結果に従って、現在使用されているスタンプが過酷な条件である場合、ディスクの表面上に形成された人工指紋のSER値が4.2×10-3よりも小さい時は、ディスクは良好な品質を持つと判断される(S100)。一方、SER値が4.2×10-3以上である時、ディスクは粗悪な品質を持つと判断される(S110)。また、上述したプロセスS80の結果に従って、現在使用されているスタンプが標準条件である場合、ディスクの表面上に形成された人工指紋のSER値が1.5×10-3よりも小さい時、ディスクは良好な品質を持つと判断される(S140)。一方、ディスクのSER値が1.5×10-3以上である時、ディスクは粗悪な品質を持つと判断される(S150)。
【0032】
スタンプが過酷な条件である場合のディスクの表面上に一度形成された人工指紋の基準評価値と、スタンプが標準条件である場合のディスクの表面上に一度形成された人工指紋の基準評価値とが同一に設定される場合、製造されたディスクの品質を判断するプロセス中には誤差が生じることがあるため、スタンプが標準条件にある場合、基準評価値は1.5×10-3に設定される。したがって、標準条件における基準評価値を、過酷な条件における基準評価値の1/3に設定することによって、同様な耐汚染レベルの評価が得られる。
【実施例2】
【0033】
図4は、本発明の第2の実施例によるディスク表面上の耐汚染レベル評価方法を示す図である。図4を参照すると、人工指紋を形成するためのスタンプは、スタンプ上に人工指紋物質を付着させるべく、人工指紋物質が形成されたスタンプパッド上に少なくとも一度接触させる(S200)。この時、人工指紋物質は、水、メタノール、塩化ナトリウム(NaCl)、尿素、乳酸および極少量の紫色染料のうちの少なくとも1つで形成される。また、スタンプは、Si−ゴムで形成することができ、人工指紋物質が付着されたスタンプは、約10mmの直径を持つことが好ましい。その後、スタンプは、500gの圧力でスタンプパッドに接触させる。
【0034】
次に、人工指紋物質がスタンプに過度に付着されるのを防止するために、人工指紋物質の形成されたスタンプは、ダミー(すなわち、ポリカーボネート板)に少なくとも2回、そして4回よりは少なく接触させる(S210)。この時、スタンプは、ダミーとも500gの圧力で接触させる。その後、所定の回数だけダミーに接触させたスタンプを、保護膜の形成されたディスクに500gの圧力で接触させることによって、ディスクの表面上に人工指紋を形成する(S230)。その後、スタンプからのディスクの表面への接触回数を増やすことによって、ディスク表面上に形成された人工指紋は、ディスクの1つのロングディスタンスコード(LDC)ブロックの少なくとも50%を覆う。この時、1つのLDCブロック内の人工指紋の数が増加するにつれて、SERは増加(上昇)する。したがって、正確な耐汚染レベルを評価するためには、充分な数の人工指紋が1つのLDCブロックの少なくとも50%を覆うように形成されなければならない。例えば、ディスクが、40mmの半径を持つ時、ディスク上の1つのLDCブロックに形成された人工指紋は、1つのLDCブロックの少なくとも50%を覆うように、ディスク円周上の1/4で少なくとも3回、形成されなければならない。その後、ディスクの表面上に形成される人工指紋のSER値を測定した後、ディスクの品質(すなわち、良好または不良)が耐汚染レベルの評価を経て判断される(S250)。その後、ディスクは、SER値が4.2×10-3よりも小さい時、良好な品質を持つと判断され(S270)、SER値が4.2×10-3以上である時、粗悪な品質を持つと判断される(S280)。
【0035】
ディスクに対する汚染度検査時に製造者の単純な感覚(または、個人的な判断)に依存する代わりに、本発明は、ディスクの表面に汚染物を付着させてディスクのSER値を測定した後にディスクの品質を判断することによって、製造されたディスクの品質(すなわち、良好な品質または粗悪な品質)を判断する。
【0036】
本発明によるディスク表面の汚染度評価方法は、次のような効果を有する。まず、製造されたディスクの品質に大きい影響をおよぼす表面の汚染度が、客観的な基準値に基づいて量子化され、評価される。また、ディスク表面の安定性特性を改善するために、保護膜の特性を量子化することによって、評価結果の信頼度を改善できる。最後に、ディスクの品質、すなわちディスクが良好な品質であるかあるいは粗悪な品質であるかが、客観的な基準値に基づいて正確に判断される。このため、一貫した製品特性とユーザからの高い信頼度が保障される。
【0037】
本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、本発明の精神または範囲を逸脱しない限度内で種々の変更をすることもできる。したがって、本発明は、添付した請求の範囲とその均等物の内容の範囲にあるものであれば、このような変更も含むものとして理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、光ディスクのような光記録媒体およびその検査方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 スタンプ
20、20a 人工指紋物質
30 スタンプパッド
40 ダミー
50 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体の表面上の耐汚染レベルを評価する方法において、
(a)人工指紋物質が形成されたスタンプパッド上に所定の圧力でスタンプを接触させ、前記スタンプ上に前記人工指紋物質を付着させるステップと、
(b)前記光記録媒体の表面上に前記人工指紋物質を持つ前記スタンプを接触させて、前記光記録媒体の表面上に人工指紋を形成するステップと、
(c)前記人工指紋が形成された位置上のエラーレートに従って、前記指紋の感度を決定するステップとを備え、
前記決定するステップは、前記測定されたエラーレートを基準値と比較することによって前記感度を有するか否かを判断し、および前記エラーレートが前記基準4.2×10-3よりも小さい時、前記光記録媒体は良好な品質を持つと判断し、
前記エラーレートは、関連するロングディスタンスコード(LDC)ブロックにおける誤りのあるバイト数を前記LDCブロックのバイト数で除算して決定されること
を特徴とする耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)は、前記スタンプを前記表面上に所定の圧力で接触させることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)において、前記所定の圧力は500gであることを特徴とする請求項2に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項4】
過酷な条件または標準条件に応じて、前記ステップ(a)から、前記人工スタンプ物質が付着された前記スタンプをダミーへ接触させる回数を制御するステップであって、前記スタンプが前記過酷な条件である場合、前記スタンプから前記ダミーへの接触回数は0または1であり、前記スタンプが前記標準条件である場合、スタンプからダミーへの接触回数は2から4の間にあること
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項5】
前記ダミーは、ポリカーボネートで形成されることを特徴とする請求項4に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項6】
前記人工指紋物質は、水、メタノール、塩化ナトリウム(NaCl)、尿素、乳酸、紫色染料のうち少なくとも1つで形成されることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項7】
前記スタンプは、Si(シリコン)−ゴムで形成されることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項8】
前記ステップ(a)において、前記スタンプは500gの圧力で前記スタンプパッドに接触させることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染レベルを評価する方法。
【請求項9】
光記録媒体上の耐汚染レベルの評価する装置であって、
人工物質の付着されたスタンプを光記録媒体上に接触させることによって、前記光記録媒体の表面上に人工指紋を形成するように構成されたスタンプと、
前記人工指紋の形成された領域におけるエラーレートを測定するように構成され、
前記測定されたエラーレートを基準値と比較するように構成され、
前記測定されたエラーレートが前記基準値4.2×10-3よりも小さい時、光記録媒体は良好な品質を持っていると判断するよう構成された測定ユニットとを備え、
前記エラーレートは、関連するロングディスタンスコード(LDC)ブロックにおける誤りのあるバイト数を前記LDCブロックのバイト数で除算して決定されること
を特徴とする耐汚染レベル評価装置。
【請求項10】
前記人工指紋物質は、水、メタノール、塩化ナトリウム(NaCl)、尿素、乳酸、紫色染料のうち少なくとも1つで形成されることを特徴とする請求項9に記載の耐汚染レベル評価装置。
【請求項11】
前記スタンプは、Si(シリコン)−ゴムで形成されることを特徴とする請求項9に記載の耐汚染レベル評価装置。
【請求項12】
前記スタンプは、500gの圧力でディスクと接触させることを特徴とする請求項9に記載の耐汚染レベル評価装置。
【請求項13】
汚染に対して十分な反発力を持つかまたは持たない入射表面を有する記録媒体であって、前記記録媒体を前記記録媒体の表面が十分な反発力を持つかどうかを決定する試験によって確認することができ、前記試験は、
前記光記録媒体の表面上に、所定の圧力で人工指紋物質を持つスタンプを接触させて、前記表面上に人工指紋を形成するステップと、
前記人工指紋が形成された領域上からエラーレートを測定するステップと、
前記人工指紋が形成された前記領域上のエラーレートに基づいて、前記指紋の感度を決定するステップとを含み、
前記エラーレートは、ロングディスタンスコード(LDC)ブロックにおける誤りのあるバイト数と、前記ブロックのバイト数との比として決定され、
前記エラーレートが基準4.2×10-3よりも小さい時、前記光記録媒体は良好な品質を持つと判断すること
を特徴とする記録媒体。
【請求項14】
前記所定の圧力は、500gであることを特徴とする請求項13に記載の記録媒体。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−205795(P2009−205795A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111309(P2009−111309)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【分割の表示】特願2006−539394(P2006−539394)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】