説明

光設備遠隔監視制御システム、光設備遠隔監視制御装置、クロージャ装置、光設備遠隔監視制御方法及びプログラム

【課題】光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システム、光設備遠隔監視制御装置、クロージャ装置、光設備遠隔監視制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】
本発明の光設備遠隔監視制御システムにおけるクロージャ装置3は、光設備遠隔監視制御装置1から当該クロージャ装置3内の充電式の電池部の起動に用いるコマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換する光信号受信部32と、センサ6からのセンシングデータの取得を制御するセンサ制御部34と、受信したコマンド光信号に応じて、センサ6及びセンサ制御部34を起動させるために電池部332からの電源供給を制御する電源供給制御部33とを備える。センサ制御部34は、電源供給制御部33によって電源供給された後に、センサ6からのセンシングデータを光設備遠隔監視制御装置1へ転送するとともに、センシングデータの転送後に、電源供給制御部33に対してセンサ6及びセンサ制御部34への電源供給の停止を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下埋設された通信土木設備の状態を、通信土木設備に取り付けた各種センサによって遠隔地から制御して点検又は監視する光設備遠隔監視制御システムに関するものであり、特に、光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システム、光設備遠隔監視制御装置、クロージャ装置、光設備遠隔監視制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の通信土木設備の点検方法では、地下埋設された通信土木設備内の状態を遠隔地から自動的に把握することができなかったため、点検者が通信土木設備(例えば、マンホール)の中に入って目視する必要があった。
【0003】
この点検作業を省力化する方法として、地下埋設されている通信土木設備にセンサ及び電池部を設置し、電磁誘導方式のリーダライタを用いて各種センサへの給電、制御及び通信を実施する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
一方、地下埋設された光ファイバケーブルからなる光通信の設備(以下、「光設備」と称する)では、光ファイバケーブルの接続のためにクロージャが用いられる。図7に示すように、一般的に用いられるクロージャ300は、容器300a,300bで、多芯構造の光ファイバ71をそれぞれ接続するための接続部72を有する光ファイバケーブル7を内包して保護するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−85925号公報
【特許文献2】特開平8−191257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から知られている、地下埋設された通信土木設備の点検方法では、通信土木設備の形状、設置されている位置(深さ)、通信する際の気象・地盤条件が揃わない場合に十分な給電及び通信ができず、安定した制御が困難であった。
【0007】
また、上記の従来からの点検方法では、地上と地下の通信、及び地下の各種センサの待機において常時電池部の電力消費が必要となるため、数十年規模の長期間で交換することなく継続して使用することを想定すると、大容量の電池部が必要となり、通信土木設備内に設置するスペースを確保することが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて為されたものであり、光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システム、光設備遠隔監視制御装置、クロージャ装置、光設備遠隔監視制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による光設備遠隔監視制御システムでは、光通信用の光ファイバケーブル及びクロージャが設置された通信土木設備における点検を対象とし、作業の安定性、システムの長寿命化による低コスト化の観点から、光ファイバケーブル内に送信される光を用いて電池部を充電する光電変換機能及び充電機能、並びに通信土木設備に設置されたセンサからのデータを蓄積及び送信させるセンサ制御機能を有するクロージャ装置を当該通信土木設備に設け、光設備遠隔監視制御装置によって、光ファイバケーブル内に送信される光を用いて発電した電力で、このクロージャ装置及びセンサを起動させ、遠隔制御するように構成する。
【0010】
即ち、本発明の光設備遠隔監視制御システムは、光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムであって、前記通信土木設備に設置される光ファイバケーブルの接続機能を有するクロージャ装置と、前記クロージャ装置に接続されるとともに、前記通信土木設備の状態を検知するためのセンサと、前記クロージャ装置に対して前記光ファイバケーブルを通じてコマンド光信号を送信し、前記クロージャ装置を起動させて前記センサからのセンシングデータを取得するよう前記クロージャ装置を遠隔制御する光設備遠隔監視制御装置とを備え、前記クロージャ装置は、前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いる前記コマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換する光信号受信部と、前記センサからのセンシングデータの取得を制御するセンサ制御部と、前記受信したコマンド光信号に応じて、前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるために前記充電式の電池部からの電源供給を制御する電源供給制御部とを有し、前記センサ制御部は、前記電源供給制御部によって電源供給された後に、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記電源供給制御部に対して前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給の停止を指示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の光設備遠隔監視制御システムにおいて、前記電源供給制御部は、前記受信したコマンド光信号に応じて前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるとともに、前記センサ制御部からの前記電源供給の停止の指示に応じて前記充電式の電池部からの電源供給を停止するよう制御する電池制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の光設備遠隔監視制御システムにおいて、前記光信号受信部は、前記変換した電気エネルギーを前記充電式の電池部に充電する発電部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の光設備遠隔監視制御システムにおいて、前記光信号受信部は、前記光ファイバケーブルにおける複数本の芯線を介してコマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光設備遠隔監視制御システムにおいて、前記電源供給制御部は、前記充電式の電池部の蓄電量が所定量以下になった時点で補充するよう制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光設備遠隔監視制御システムにおいて、前記電源供給制御部は、前記充電式の電池部の蓄電量が所定以上となるように補充する制御を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光設備遠隔監視制御システムにおいて、前記コマンド光信号は、個々のクロージャ装置の起動、前記充電式の電池部の充電及び出力、及び前記センサからのセンシングデータの転送のうちのいずれの処理を実行させるかを識別させる信号パターンからなり、前記光信号受信部は、該コマンド光信号に応じた処理を実行するための信号解析部を備えることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明のクロージャ装置は、光設備遠隔監視制御装置によって光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムにおける、クロージャ装置であって、前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いるコマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換する光信号受信部と、当該クロージャ装置に接続されたセンサからセンシングデータの取得を制御するセンサ制御部と、前記受信したコマンド光信号に応じて、前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるために前記充電式の電池部からの電源供給を制御する電源供給制御部とを備え、前記センサ制御部は、前記電源供給制御部によって電源供給された後に、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記電源供給制御部に対して前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給の停止を指示することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の光設備遠隔監視制御方法は、通信土木設備に設置される光ファイバケーブルの接続機能を有するクロージャ装置に対して前記光ファイバケーブルを通じてコマンド光信号を送信し、前記クロージャ装置を起動させて前記クロージャ装置に接続されたセンサからのセンシングデータを取得するよう遠隔制御する光設備遠隔監視制御装置を備える、光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムにおける光設備遠隔監視制御方法であって、前記クロージャ装置の処理手順は、前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いる前記コマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換するステップと、前記センサからのセンシングデータの取得を制御するステップと、前記受信したコマンド光信号に応じて、前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるために前記充電式の電池部からの電源供給を制御するステップと、前記電源供給された後に、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給を停止するステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明は、光設備遠隔監視制御装置によって光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムにおける、クロージャ装置のセンサ制御部を構成するコンピュータに、前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いる前記コマンド光信号を受信して変換された電気エネルギーに応じて、当該クロージャ装置に接続されたセンサからセンシングデータの取得を制御するステップと、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給を停止させるステップと、を実行させるためのプログラムとして構成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光ファイバケーブル内に送信される光を用いて電池部を充電する光電変換機能及び充電機能、並びに通信土木設備に設置されたセンサからのデータを蓄積及び送信させるセンサ制御機能を有するクロージャ装置を点検対象の通信土木設備内に設け、通信土木設備内の状態の点検が必要なときのみ、遠隔地から光ファイバケーブルを経由して光を送信し、クロージャ装置内で発電した電力によってクロージャ装置内の電池部を起動、好適には充電し、点検時以外は休止状態とするよう制御するので、電磁誘導等の無線方式を使用した従来の点検方法に比べて確実に必要な設備管理情報(センシングデータ)を取得することができるとともに、通信土木設備の監視に要するシステム全体の低消費電力化を図ることができ、より小規模な電池部で長期間使用することができるようになる。従って、クロージャ装置及びセンサのメンテナンス頻度を低下させ、且つシステム全体の構成を小規模かつ単純化させるため、システム全体の安定化、省力化、及び低消費電力化を図ることができるようになる。
【0021】
また、有線の光ファイバケーブルを経由した光通信を使用することから、光設備遠隔監視制御装置からの制御コマンドをクロージャ装置内の電池部の起動及び/又は充電に用いる光信号と兼用させ、この制御コマンド機能及び起動・充電機能を兼用したコマンド光信号に応じて、個々のクロージャ装置が遠隔制御されるように構成したので、効率よくクロージャ装置からの設備管理情報(センシングデータ)を取得することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムの概略図である。
【図2】本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムにおける地下埋設された通信土木設備内の概略構成図である。
【図3】本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムにおけるクロージャ装置の概略構成図である。
【図4】本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システム及びクロージャ装置のブロック図である。
【図5】本発明による別の実施例の光設備遠隔監視制御システムにおけるクロージャ装置のブロック図である。
【図6】本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムにおける動作フロー図である。
【図7】地下埋設された光ファイバケーブルからなる光通信の光設備で用いられる、一般的なクロージャの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムについて図面を参照しながら説明する。尚、本発明に係る光設備遠隔監視制御装置、クロージャ装置、光設備遠隔監視制御方法及びプログラムは、本実施例の光設備遠隔監視制御システムの説明から明らかになる。
【0024】
〔システム構成〕
図1は、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムの概略図である。本実施例の光設備遠隔監視制御システムは、光通信用の光ファイバケーブル及びクロージャが地下4に埋設された通信土木設備における点検を対象とし、光設備遠隔監視制御装置1によって、光通信網2を介して、個々のクロージャ装置3−1,・・・,3−N(代表的に、クロージャ装置3と称する)を遠隔制御して、通信土木設備における点検を実施するよう構成される。尚、光設備遠隔監視制御装置1は、サーバとして機能するコンピュータである。
【0025】
図2は、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムにおける地下埋設された通信土木設備内の概略構成図である。図2に示すように、地下埋設された通信土木設備であるマンホール5に設置された光ファイバケーブル7には、1つ以上のクロージャ装置3が設置され、個々のクロージャ装置3には、リード線35を介して各種センサ(代表的に、センサ6と称する)が接続されている。
【0026】
光ファイバケーブル7及びクロージャ装置3は、光通信サービスを提供するために既に設置されている光ファイバケーブルと、既設のクロージャ(例えば、図7に示すクロージャ300)を本実施例に係るクロージャ装置3に取り替えるだけで実現可能である。
【0027】
センサ6は、通信土木設備(例えば、マンホール5)の内部或いは表面に設置され、この環境下で動作するよう構成されたものであり、例えば、マンホール5内を360°で撮影するパノラマカメラ、照明が無く暗いマンホール5内でも撮影が可能な赤外線カメラ又は超音波センサ、歪みを点検する歪みゲージ、マンホール5上を車両が通過した場合の振動を点検する振動計又は加速度センサ、マンホール5内に溜まった水の水位を点検する水位センサ、マンホール5内の温度を点検する温度センサ、マンホール5内の湿度を点検する湿度センサ、マンホール5内の有毒ガスの有無を検知する各種気体センサ等が用いられる。尚、センサ6はこれら以外のものを使用しても差し支えない。
【0028】
図3は、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムにおけるクロージャ装置の概略構成図である。クロージャ装置3は、多芯構造の光ファイバ71をそれぞれ接続するための接続部72を有する光ファイバケーブル7に対して、通常の光通信に用いる芯線の光ファイバ71については接続部72で接続し、本実施例の光設備遠隔監視制御システムにおける点検に用いる1本以上の芯線の光ファイバ71については光信号受信部32を介して、電源供給制御部33及びセンサ制御部34に接続するよう制御基板31が設けられる。センサ制御部34は、リード線35を介してセンサ6の起動に伴ってセンサ出力(センシングデータ)を取得することができるように構成される。
【0029】
図4は、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システム及びクロージャ装置のブロック図である。クロージャ装置3は、光設備遠隔監視制御装置1から点検に用いる1本以上の芯線の光ファイバ71を介して、クロージャ装置3内の電池部332の起動及び充電に用いる光信号と制御コマンドを兼用させたコマンド光信号を受信する光信号受信部32と、受信したコマンド光信号によってセンサ6及びセンサ制御部34の電源供給を制御する電源供給制御部33と、センサ6からのセンシングデータの蓄積及び転送を制御するとともに、センシングデータの転送後に、電源供給制御部33に対してセンサ6及び自身(センサ制御部34)への電源供給の停止を指示するセンサ制御部34とを備える。尚、コマンド光信号における制御コマンドとは、例えば、所定の信号パターン(例えば、“0”及び“1”の繰り返しパターン)で、個々のクロージャ装置3の起動を識別させるものであれば任意のパターンで構成することができ、さらには、電池部332の充電や出力とセンサ6からのセンシングデータの転送とを識別させる信号パターンとすれば、光設備遠隔監視制御装置1による多様性ある遠隔制御を実現することができる。信号パターンで送信する利点として、光ファイバケーブル7における同一芯線の光ファイバ71上に、複数のクロージャ装置3を設けた場合に個々のクロージャ装置3を識別させることができることが挙げられる。ただし、光ファイバケーブル7における同一芯線の光ファイバ71上に複数のクロージャ装置3を設けない場合には、信号パターンでなくとも単純なON/OFFを表す光信号とすることができる。
【0030】
光信号受信部32は、光ファイバケーブル7から取り出した1つ以上の芯線の光ファイバ71が接続され、受信するコマンド光信号の光を電荷に変換する光電変換部321と、光電変換された電荷を所定の電気エネルギーに変換する発電部322とを備える。光電変換部321及び発電部322は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電素子として構成できるものであれば任意の素子を用いることができ、例えば50%程度の効率で変換し12Vの電圧が得られるフォトボル素子等がある。また、発電に用いる芯線の光ファイバ71を1本で構成することもできるが、複数本の芯線の光ファイバ71を用いて発電させるように構成することで、より発電効率を高めることができる。
【0031】
電源供給制御部33は、充電式の電池部332と、電池部332の出力のON/OFFを制御する電池制御部331とを備え、電池制御部331は、光信号受信部32から所定の電力が供給されることにより、点検前(コマンド光信号の受信前)ではOFF状態となっている電池部332をON状態に変更し、センサ6及びセンサ制御部34に電源供給して起動させる。また、電源供給制御部33は、電池部332をON状態に変更させるとともに、光信号受信部32から供給された電力により電池部332を充電するよう制御するのが好適である。さらに、電源供給制御部33は、センサ制御部34によるセンシングデータの転送後に、センサ制御部34からセンサ6及び自身(センサ制御部34)への電源供給の停止を指示する旨を受信した場合、電池部332の出力をOFFに変更する機能を有する。電池部332は、ニッケル水素、リチウムイオン等の充電池部等が用いられる。特に、電源供給制御部33は、電池部332の蓄電量を補充するように制御することができるため、電池部332の蓄電量が所定量以下になった時点で補充することや、電池部332の蓄電量が所定以上(例えば80〜100%充電)となるよう補充することもできる。
【0032】
電源供給制御部33をコンピュータとして構成した場合には、電源供給制御部33の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部(図示せず)に格納しておき、当該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0033】
センサ制御部34は、リード線35(センシングデータ出力線35a、制御線35b、及び給電線35cからなる)を介してセンサ6と接続され、光ファイバケーブル7から取り出した1つ以上の芯線の光ファイバ71を介して光設備遠隔監視制御装置1と接続される。また、センサ制御部34及びセンサ6は、電源供給制御部33の制御によって電池部332から電力が供給されて起動する。
【0034】
より具体的には、センサ制御部34は、電源供給制御部33の制御によって電池部332から電力が供給されると、同様に電源供給制御部33の制御によって給電線35cを介して電池部332から電力が供給されたセンサ6に対して、センシングデータの取得を行うよう制御線35bを介してセンサ6を制御するセンサ起動制御部341と、センシングデータ出力線35aを介して所定時間内に取得したセンシングデータを受信してセンシングデータ蓄積部343に一時記憶させるとともに、センシングデータの取得終了後に、センシングデータ蓄積部343からセンシングデータを読み出して光設備遠隔監視制御装置1に転送し、センサ6及びセンサ制御部34への電源供給の停止を電源供給制御部33に指示するセンシングデータ制御部342とを備える。センシングデータ制御部342は、センシングデータ蓄積部343からセンシングデータを読み出した後は、センシングデータ蓄積部343からデータを消去するように構成することもできる。また、センシングデータ制御部342は、センサ6からセンシングデータを取得するたびに、センシングデータ蓄積部343内のデータを更新するように構成することもできる。
【0035】
センサ制御部34をコンピュータとして構成した場合には、センサ制御部34の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部(センシングデータ蓄積部343と兼用可能)に格納しておき、当該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0036】
図5は、本発明による別の実施例の光設備遠隔監視制御システムにおけるクロージャ装置のブロック図である。図5に示すクロージャ装置3は、図4に示すものとは、光信号受信部32が信号解析部323を更に備える点で相違する。光設備遠隔監視制御装置1は、コマンド光信号として、例えば、所定の信号パターン(例えば、“0”及び“1”の繰り返しパターン)で、個々のクロージャ装置3の起動を識別させるとともに、電池部332の充電や出力、センサ6からのセンシングデータの転送を識別させる信号パターンで、クロージャ装置3を遠隔制御する。
【0037】
このため、図5に示すクロージャ装置3における光信号受信部32が信号解析部323を更に備えており、信号解析部323は、光設備遠隔監視制御装置1からのコマンド光信号を解析して、コマンド光信号に応じて電源供給のみを行うか、又はセンシングデータの転送も行うかを識別する識別信号を電源供給制御部33及びセンサ制御部34に送出する。
【0038】
これにより、電源供給制御部33及びセンサ制御部34は、光設備遠隔監視制御装置1からのコマンド光信号に応じた多様性ある遠隔制御を行うことができるようになる。
【0039】
次に、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムの動作を説明する。
【0040】
〔システム動作〕
図6は、本発明による一実施例の光設備遠隔監視制御システムにおける動作フロー図である。光設備遠隔監視制御装置1は、起動対象のクロージャ装置3に、コマンド光信号を送信する(ステップS1)。
【0041】
クロージャ装置3は、コマンド光信号を受信して光設備遠隔監視制御装置1から送信された光ファイバケーブル7における光ファイバ71の光を光信号受信部32で受光して電気エネルギーに変換して発電し、自身が起動対象にあることを認識(又は判別)し(ステップS2)、電源供給制御部33によって電池部332の出力をOFFからONに変更し、センサ6及びセンサ制御部342に電源供給してセンサ6及びセンサ制御部342を起動させる(ステップS3)。また、光信号受信部32で発電した電力は電池部332に送られ、電池部332が充電される。
【0042】
クロージャ装置3は、センサ制御部34によって、通信土木設備に設置されたセンサ6を制御して通信土木設備の状態を点検するためのセンシングデータを取得し、センシングデータ蓄積部343に蓄積し、光ファイバケーブル7を経由して蓄積したセンシングデータを光設備遠隔監視制御装置1に返信する(ステップS4)。
【0043】
クロージャ装置3は、センサ制御部34によって、光設備遠隔監視制御装置1にセンシングデータを返信後、例えばセンシングデータ蓄積部343に蓄積したセンシングデータを消去して、センサ6及びセンサ制御部34への電源供給の停止を電源供給制御部33に指示し、電池部332の出力をOFFに変更させる(ステップS5)。尚、クロージャ装置3は、光設備遠隔監視制御装置1にセンシングデータを返信するにあたり、光設備遠隔監視制御装置1と相互通信して、光設備遠隔監視制御装置1からのデータ受信完了を確認した後、センサ6及びセンサ制御部34への電源供給の停止を電源供給制御部33に指示するように構成することもできる。
【0044】
以上のように、本発明によれば、光ファイバケーブル7内に送信される光を用いて電池部332を充電する光電変換機能及び充電機能、並びに通信土木設備に設置されたセンサ6からのデータを蓄積及び送信させるセンサ制御機能を有するクロージャ装置3を点検対象の通信土木設備内に設け、通信土木設備内の状態の点検が必要なときのみ、遠隔地から光ファイバケーブル7を経由して光を送信し、クロージャ装置3内で発電した電力によってクロージャ装置3内の電池部332を起動及び充電し、点検時以外は休止状態とするよう制御する。これにより、通信土木設備の監視に要するシステム全体の低消費電力化を図ることができ、より小規模な電池部332で長期間使用することができるようになり、クロージャ装置3及びセンサ6のメンテナンス頻度を低下させ、且つシステム全体の構成を小規模かつ単純化させるため、システム全体の安定化、省力化、及び低消費電力化を図ることができるようになる。
【0045】
また、有線の光ファイバケーブル7を経由した光通信を使用して、光設備遠隔監視制御装置1から、制御コマンド機能及び起動・充電機能を兼用したコマンド光信号を送信することにより、個々のクロージャ装置3を遠隔制御するように構成したので、効率よくクロージャ装置3からセンサ6のデータを取得することができるようになる。
【0046】
上記の実施例では特定の例について説明したが、本発明が適用される通信土木設備は、地下埋設されたマンホールに特定されるものではなく、橋梁、電柱、トンネル等の設備にも適用可能であり、さらには、既存のクロージャに変わる装置を光ファイバケーブルに接続することにより適用可能である。従って、本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、通信土木設備における点検を要するシステム全体の安定化、省力化、及び低消費電力化を図ることができるので、通信土木設備における点検を要する任意の用途に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 光設備遠隔監視制御装置
2 光通信網
3,3−1,3−N クロージャ装置
4 地下
5 マンホール
6 センサ
7 光ファイバケーブル
31 制御基板
32 光信号受信部
33 電源供給制御部
34 センサ制御部
35 リード線
35a センシングデータ出力線
35b 制御線
35c 給電線
71 芯線の光ファイバ
72 接続部
321 光電変換部
322 発電部
323 信号解析部
331 電池制御部
332 電池部
341 センサ起動制御部
342 センシングデータ制御部
343 センシングデータ蓄積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムであって、
前記通信土木設備に設置される光ファイバケーブルの接続機能を有するクロージャ装置と、
前記クロージャ装置に接続されるとともに、前記通信土木設備の状態を検知するためのセンサと、
前記クロージャ装置に対して前記光ファイバケーブルを通じてコマンド光信号を送信し、前記クロージャ装置を起動させて前記センサからのセンシングデータを取得するよう前記クロージャ装置を遠隔制御する光設備遠隔監視制御装置とを備え、
前記クロージャ装置は、
前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いる前記コマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換する光信号受信部と、
前記センサからのセンシングデータの取得を制御するセンサ制御部と、
前記受信したコマンド光信号に応じて、前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるために前記充電式の電池部からの電源供給を制御する電源供給制御部とを有し、
前記センサ制御部は、前記電源供給制御部によって電源供給された後に、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記電源供給制御部に対して前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給の停止を指示することを特徴とする光設備遠隔監視制御システム。
【請求項2】
前記電源供給制御部は、前記受信したコマンド光信号に応じて前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるとともに、前記センサ制御部からの前記電源供給の停止の指示に応じて前記充電式の電池部からの電源供給を停止するよう制御する電池制御部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光設備遠隔監視制御システム。
【請求項3】
前記光信号受信部は、前記変換した電気エネルギーを前記充電式の電池部に充電する発電部を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光設備遠隔監視制御システム。
【請求項4】
前記光信号受信部は、前記光ファイバケーブルにおける複数本の芯線の光ファイバを介してコマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換するよう構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光設備遠隔監視制御システム。
【請求項5】
前記電源供給制御部は、前記充電式の電池部の蓄電量が所定量以下になった時点で補充するよう制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光設備遠隔監視制御システム。
【請求項6】
前記電源供給制御部は、前記充電式の電池部の蓄電量が所定以上となるように補充する制御を行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光設備遠隔監視制御システム。
【請求項7】
前記コマンド光信号は、個々のクロージャ装置の起動、前記充電式の電池部の充電及び出力、及び前記センサからのセンシングデータの転送のうちのいずれの処理を実行させるかを識別させる信号パターンからなり、
前記光信号受信部は、該コマンド光信号に応じた処理を実行するための信号解析部を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光設備遠隔監視制御システム。
【請求項8】
光設備遠隔監視制御装置によって光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムにおける、クロージャ装置であって、
前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いるコマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換する光信号受信部と、
当該クロージャ装置に接続されたセンサからセンシングデータの取得を制御するセンサ制御部と、
前記受信したコマンド光信号に応じて、前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるために前記充電式の電池部からの電源供給を制御する電源供給制御部とを備え、
前記センサ制御部は、前記電源供給制御部によって電源供給された後に、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記電源供給制御部に対して前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給の停止を指示することを特徴とするクロージャ装置。
【請求項9】
通信土木設備に設置される光ファイバケーブルの接続機能を有するクロージャ装置に対して前記光ファイバケーブルを通じてコマンド光信号を送信し、前記クロージャ装置を起動させて前記クロージャ装置に接続されたセンサからのセンシングデータを取得するよう遠隔制御する光設備遠隔監視制御装置を備える、光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムにおける光設備遠隔監視制御方法であって、
前記クロージャ装置の処理手順は、
前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いる前記コマンド光信号を受信して電気エネルギーに変換するステップと、
前記センサからのセンシングデータの取得を制御するステップと、
前記受信したコマンド光信号に応じて、前記センサ及び前記センサ制御部を起動させるために前記充電式の電池部からの電源供給を制御するステップと、
前記電源供給された後に、前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給を停止するステップと、
を含むことを特徴とする光設備遠隔監視制御方法。
【請求項10】
光設備遠隔監視制御装置によって光通信網を介して地下埋設された通信土木設備における状態を遠隔的に点検する光設備遠隔監視制御システムにおける、クロージャ装置のセンサ制御部を構成するコンピュータに、
前記光設備遠隔監視制御装置から当該クロージャ装置内の充電式の電池部の起動に用いる前記コマンド光信号を受信して変換された電気エネルギーに応じて、当該クロージャ装置に接続されたセンサからセンシングデータの取得を制御するステップと、
前記センサからのセンシングデータを前記光設備遠隔監視制御装置へ転送するとともに、前記センシングデータの転送後に、前記センサ及び前記センサ制御部への電源供給を停止させるステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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