説明

光走査装置及びそれを備えた内視鏡装置、光走査方法

【課題】ファイババンドルを用いた光走査装置において、走査に必要な時間を短くする。
【解決手段】光走査装置は、複数のファイバによって構成されたファイババンドル(7)と、前記ファイババンドルの一方の端面に向けて、前記複数のファイバのいずれかに選択的に光を射出する光射出部(3)と、前記ファイババンドルの他方の端面からの射出光で対象物の走査を行う走査部(9)、とを備える。前記走査部は連続的に走査を行い、前記走査部が連続的に走査を行っている間に、前記光射出部が、前記ファイババンドルの少なくとも一つのファイバに選択的に光を射出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及びそれを備えた内視鏡装置、光走査方法に関する。特に、内視鏡、レーザープロジェクタ、顕微鏡等に好適な光走査装置及び光走査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光走査装置において、複数の取得データを重畳して画像の高解像度化を行うものが知られている(特許文献1参照)。ここでは、レーザー走査装置(光射出部)が、ファイババンドルの近位端を一周期走査する間中は、ファイババンドルの遠位端を一位置に固定して、一回のデータ取得が為される。レーザー走査装置が一周期走査し終えた後で、ファイババンドル遠位端を次の位置へ移動させ停止させた後、レーザー走査装置でまた走査を開始するというプロセスを繰り返す。これにより、複数回のデータ取得が行われ、複数の取得データを重畳して画像の高解像度化が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−516760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、ファイババンドル遠位端が断続的な走査を行い、又、レーザー走査装置の走査とファイババンドル遠位端の走査とは同時に行われない。このため、走査に必要な時間が長くなる。さらに、ファイババンドルは弾性体であるため、ファイババンドル遠位端を移動、停止させると、停止後に遠位端の振動が治まるまで時間がかかり走査に必要な時間が長くなる。
【0005】
本発明は、ファイババンドルを用いた光走査装置において、走査に必要な時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る光走査装置は、複数のファイバによって構成されたファイババンドルと、前記ファイババンドルの一方の端面に向けて、前記複数のファイバのいずれかに選択的に光を射出する光射出部と、前記ファイババンドルの他方の端面からの射出光で対象物の走査を行う走査部、とを備え、前記走査部は連続的に走査を行い、前記走査部が連続的に走査を行っている間に、前記光射出部が、前記ファイババンドルの少なくとも一つのファイバに選択的に光を射出することを特徴とする。
【0007】
本発明の別の態様に係る光走査方法は、複数のファイバによって構成されたファイババンドルの一方の端面に向けて、前記複数のファイバのいずれかに選択的に光を射出する光射出ステップと、前記ファイババンドルの他方の端面からの射出光で連続的に対象物の走査を行う走査ステップ、とを含み、前記走査ステップにおいて連続的に走査が行われる間に、前記光射出ステップにおいて、前記ファイババンドルの少なくとも一つのファイバに選択的に光が射出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、走査に必要な時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】光走査装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】(a)走査部が行う走査を示し、第一の周期を示す図である。(b)光射出部が行う走査を示し、第二の周期を示す図である。(c)第三の周期を示す図である。(d)走査対象領域での走査の一例を示す図である。(e)走査対象領域での走査の他の一例を示す図である。
【図3】走査対象領域の走査方法の第一実施例を示す図である。
【図4】(a)第一実施例において光射出部の走査パターンを示す図である。(b)第一実施例において走査部の走査パターンを示す図である。
【図5】コントローラが実行する走査制御の第一実施例を示すフローチャートである。
【図6】走査対象領域の走査方法の第二実施例を示す図である。
【図7】(a)第二実施例において光射出部の走査パターンを示す図である。(b)第二実施例において走査部の走査パターンを示す図である。なお、太線の矢印は3回連続して横方向の走査を行うことを示す。
【図8】コントローラが実行する走査制御の第二実施例を示すフローチャートである。
【図9】走査部の走査周期より光射出部の走査周期のほうが小さい場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、光走査装置について説明する。なお、光走査装置は、内視鏡に設けられるものとして、第一実施形態を説明する。しかし、本発明はこれに限定されることなく適用可能である。例えば、光走査装置は、プロジェクタや顕微鏡に設けられてもよい。
【0011】
光走査装置は、光源1、光射出部3(光射出手段)、ファイババンドル7、走査部9(走査手段)を有する。なお、ファイババンドル7は、斜視図を用いて記載されている。
【0012】
光源1は、三原色の光として赤色(R)の光(波長λr)、緑色(G)の光(波長λg)、及び青色(B)の光(波長λb)を射出する。光源1は、白色光源とRGBフィルタを備えることにより三原色の光を射出するものでよい。或いは、光源1は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光ダイオードやレーザダイオードを備えることにより、三原色の光を射出するものでもよい。また、光源1は、三原色に限らず、所望の数の所望の色の光を射出するものでもよい。
【0013】
光射出部3は、光源1からの光を、ファイババンドル7の一方の端面(近位端)のファイバの一つに向けて射出する。これにより、光射出部3は、ファイババンドル7の複数nの光ファイバから一本の光ファイバを順次選択し、選択した光ファイバに光を入射させる。光は選択した光ファイバを通って走査部9に達する。
【0014】
本実施形態において、光射出部3は、互いに垂直な方向に偏向動作を行う第一と第二のガルバノミラー3a、3b(光路選択部)から構成される。ガルバノミラー3a、3bは、図示しないアクチュエータ(モータ等)を介して、コントローラ15により制御される。光射出部3は、二つのガルバノミラー3a、3bを用いて、ファイババンドル7の近位端において二次元的な走査を行う。コントローラ15はガルバノミラー3a、3bの角度を連続的(アナログ的に)変化させてもよい。この場合、光が一本のファイバを通っている間、そのファイバを通る一つの光路が選択されている。なお、コントローラ15は、ガルバノミラー3a、3bの角度を数値的に(デジタル的に)制御してよい。
【0015】
ファイババンドル7は、束ねられた複数n本の光ファイバから構成される。各光ファイバは、ファイババンドル7の近位端において入射した光を伝送して、ファイババンドルの他方の端面(遠位端)から射出させる。なお、nは、例えば、数本から数千本である。
【0016】
光射出部3とファイババンドル7の間には、適宜、レンズ群5が設けられる。レンズ群5は、光射出部3から出た光がファイババンドル7のうちの一本の光ファイバに入射するよう焦点が調整されている。ファイババンドル7と走査部9の間にも、適宜、レンズ群11が設けられる。レンズ群11は、光ファイバからの光をほぼ平行光にして、走査部9に入射させる。走査部9からの光は、レンズ群13によって、対象物の走査の対象である走査対象領域(走査対象面)100に合焦する。レンズ群13により、所定倍率で走査範囲が拡大される。レンズ群5、11、13は、それぞれ一以上のレンズを含む。
【0017】
走査部9は、ファイババンドルの遠位端から射出した射出光で、走査対象領域100を連続的に且つ周期的に走査する。走査部9が走査を行っている間に、光射出部3が少なくとも一つのファイバに選択的に光を射出する。また、走査部9と光射出部3は、同時に走査を行う。ファイバ(F1,F2,F3等)へ光が入射している間、そのファイバに対応する部分領域(A1,A2,A3等)が走査される。各走査の間、走査位置(走査点)が、対応する部分領域(A1,A2,A3等)内を隈なく移動する。図1では、例として、基準の走査位置(P1)とその他の走査位置(P2)が示されている。基準の走査位置は、走査部9が動作していない場合にファイバコアからの光が達する走査点に相当する。その他の走査位置は、走査部9が動作している場合に、走査部9からの光が到達する点である。各部分領域は重複しないか、一部だけが重複するように隣接している。
【0018】
走査部9は、互いに垂直な方向に偏向動作を行う2つの電気光学素子(EO)9a、9bを備える。電気光学素子9a、9bは、電気光学結晶から構成される。光の偏光方向と電圧の向きが平行である場合に、電気光学素子の偏向角は大きくなる。このため、光の偏光方向は、偏光板19等により調整される。さらに、2つの電気光学素子9a、9bの間にλ/2板21を設けて光の偏光方向が変えられる。
【0019】
コントローラ(制御部)15は、後段の電気光学素子9aの電極にY軸方向の電圧Vyを印加することによりY-Z面内でY軸方向の偏向動作を制御する。コントローラ15は、前段の電気光学素子9bの電極にX軸方向の電圧Vxを印加することによりX-Z面内でX軸方向の偏向動作を制御する。なお、Z軸は光軸方向の座標を示す。コントローラ15が電圧Vx、Vyを変更することにより、走査位置をX-Y面内で二次元的に移動できるため、走査部9による二次元的な走査が可能になる。コントローラ15は、電圧Vx、Vyの発生用の二つの電圧発生部を有する。
【0020】
電気光学素子では、電圧を印加することで屈折率の分布(屈折率分布)が生じ、電気光学素子に入射した光は、偏向して電気光学素子より射出する。また、屈折率分布は印加電圧により変化する。このため、電気光学素子への印加電圧を変化させることで、電気光学素子から射出する光線の方向が変わる。これにより対象物に照射する光のスポットを移動することができる。
【0021】
また、コントローラ(制御部)15は、中央演算処理装置(CPU)やメモリ等を有する。コントローラ15は、光源1や、光射出部3のガルバノミラー3a、3b等も制御する。
【0022】
本実施形態において、光走査装置は、内視鏡に搭載されるので、走査位置のうち各走査位置(サンプリング位置)からの反射光が検出用光ファイバ30を通して検出器32により検出(サンプリング)され、モニタ等に走査対象領域100の画像データを表示できる。
【0023】
図2(a)−(e)を参照して、走査部9の走査と光射出部3の走査との関係を説明する。図2(a)は、走査部9の走査の様子と第一の周期を示す。図2(b)は、光射出部3の走査の様子と第二の周期を示す。なお、第一の周期は、走査部9が光を所定の方向に偏向した後、再びこの所定の方向に光を偏向するまでの時間である。第二の周期は、光射出部3が所定のファイバに光を出射した後、再び光射出部3がこの所定のファイバに光を出射するまでの時間である。また、図2(c)は、あるファイバに光が入った後次のファイバに光が入るまでの時間である第三の周期を示す。
【0024】
まず、図2(d)のように、第二の周期は、第一の周期の整数倍であることが好適である。検出器32によって得られる画像データは、走査対象面100からの反射光の強度値とその強度値を示す時間であるため、強度値と時間から走査対象面100での走査位置が求められる。2回に分けて走査対象面100の画像を取得する場合において、第二の周期が第一の周期の整数倍であると、強度値と時間から求められる走査位置が同じであれば、同じ画像が撮像される。しかし、第二の周期が第一の周期の整数倍でないと、強度値と時間からは同じ場所を撮像していることになるにも関わらず、異なる画像が撮像される。従って、第二の周期は、第一の周期の整数倍であれば、強度値と時間から同じ場所を撮像していると判断される場合に、同じ画像データが取得される。
【0025】
特に、図2(e)のように、第二の周期が第一の周期のn倍(nはファイバの本数(整数))であれば、第一の周期の間中、各ファイバに光が入射しておりさらに好適である。走査部9が、第一の周期の走査で、走査対象領域内の第一の部分領域を走査し、この第一の周期の走査が完了した後光射出部3が光を入射させる光ファイバを変化させることにより、走査部9が第二の部分領域を走査する。従って、走査対象領域100を隈なく走査できる。なお、部分領域については後述する。
【0026】
又、あるファイバに光が入った後次のファイバに光が入るまでの時間である第三の周期は、第一の周期の整数倍であることが好適である。これにより、次のファイバに光が入るまでに、走査部9は一回以上走査することができる。特に、第三の周期が、各ファイバへ光が入射している時間と等しいことが好ましい。これにより、各ファイバに光が入射している間に走査部9は一回以上走査することができる。これにより、例えば、走査部9は複数の色に対して同一の部分領域を走査して、色ごとの画像データをサンプリングしたり、同一の部分領域から複数回サンプリングすることもできる。
【0027】
なお、上記の実施形態において、光射出部3は、走査手段としてのガルバノミラーから構成される場合を記載した。しかし、光射出部3は、走査手段としてのデジタルミラーデバイスから構成されてもよい。また、光射出部3は、光ファイバに対向して配置されるLED(発光ダイオード)アレイやLD(レーザダイオード)アレイから構成され、ファイババンドルのいずれか一つの光ファイバに選択的に光を入射してもよい。また、光射出部3は、振動的に変位する単一の光ファイバから構成され、ファイババンドルのいずれか一つの光ファイバに選択的に光を入射してもよい。
【0028】
また、本実施形態において、走査部9が、走査手段としての電気光学素子から構成される場合を記載した。しかし、走査部9は、特許文献1に記載のようにファイババンドルの遠位端を走査する手段から構成されてもよい。また、走査部9は、変位可能な偏心レンズ、音響光学素子、及び、MEMS(マイクロ-エレクトロ-メカニカルシステム)ミラー等の走査手段から構成されてもよい。なお、偏心レンズは、光軸に垂直方向に移動されるか光軸に対して傾けられ、光を偏向できる。
【0029】
<実施例1>
図3は、走査対象領域の走査方法の第一実施例(具体例)を示す図である。この実施例において、第二の周期が、第一の周期のn倍である。なお、nはファイババンドルの光ファイバの本数(9本)である。このため、第一の周期の間中、一つのファイバに光が入射している。なお、ここでは、第一の周期は走査部9の走査周期に等しい。第二の周期は、光射出部3の走査周期に等しい。
【0030】
図4(a)は、光射出部3の走査パターンを示す。図4(b)は、走査部9の走査パターンを示す。
【0031】
図3のように、光射出部3が、第i番目(1≦i≦n)の光ファイバに光を入射させている間、走査部9は走査対象領域100の第i番目の部分領域Ai(部分走査領域とも言う)を走査する。部分領域Aiは、第i番目(1≦i≦n)の光ファイバが走査を担当する領域である。部分領域Aiは、互いに重複しなくても良いし、一部重複していてもよい。本実施例においては、簡単のため、部分領域Aiが互いに重複しない場合について説明する。この場合、各部分領域Aiの面積は、走査対象領域100の面積をファイババンドル7の光ファイバの本数nで除算した値に略等しい。
【0032】
図3では、第1番目から第9番目の部分領域A1−A9が示されている。各部分領域Aiにおいて、例示として走査位置が9個示されている。内視鏡の場合、走査位置は、走査対象面から反射光が検出されるサンプリング位置を示す。走査位置は、図3の矢印の走査パターンのように、P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の順に部分領域内Aiで移動していく。第i番目の部分領域Aiにおいて第i番目の光ファイバからの光による走査が終了すると、次の第(i+1)番目の部分領域A(i+1)が第(i+1)番目の光ファイバからの光によって走査される。
【0033】
次に、図5のフローチャートを参照して、第一実施例においてコントローラが実行する走査制御について説明する。
【0034】
ステップS1において、整数の変数iに1を代入する。ステップS2において、第i番目の光ファイバに光を入射するよう光射出部3を制御する。ステップS3において、第i番目の部分領域Aiを走査するよう走査部9を制御する。
【0035】
ステップS4において、iがnに達したか判定される。即ち、全ての部分領域Aiが走査されて、走査対象領域100全体の走査が完了したか判断される。iがn未満の場合は、ステップS5において、iを1増加させた後、ルーチンはステップS2に進む。これにより第(i+1)番目の部分領域A(i+1)が第(i+1)番目の光ファイバからの光によって走査されるようにする。ステップS4で、iがn以上の場合は、制御を終了する。
【0036】
<実施例2>
図6に走査方法の第二実施例(具体例)を示す。第二実施例は、走査方法がラスタースキャンである場合を示す。この実施例において、第二の周期が第一の周期の3倍である。また、光射出部3の走査周期は走査部9の走査周期の3倍である。なお、走査部9の走査周期は第一の周期の略9倍に等しい。光射出部3の走査周期は、第二の周期の略9倍に等しい。
【0037】
図7(a)は、光射出部3の走査パターンを示す。図7(b)は、走査部9の走査パターンを示す。なお、図7(a)と(b)の太線の矢印はm回連続して横方向(Y方向)の走査を行うことを示す。なお、mは横方向のファイバの本数であり、ここではm=3である。
【0038】
図6では、第1番目から第9番目の部分領域A1−A9が示されている。各部分領域Aiにおいて、例示として走査位置が9個示されている。ここでは、走査位置は、図6の矢印の走査パターンのように、P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9→P10→・・・→P19→・・・→P21→・・・の順に移動していく。
【0039】
次に、図8のフローチャートを参照して、第二実施例においてコントローラが実行する走査制御について説明する。
【0040】
ステップS11、S12、S13において、それぞれ整数の変数j、s、pに1を代入する。ステップS14において、第(j-1)m+p番目の光ファイバに光を入射するよう光射出部3を制御する。ステップS15において、第(j-1)m+p番目の部分領域Ai(i=(j-1)m+p)の第s列目の走査線上で走査を行うよう走査部9を制御する。
【0041】
ステップS16において、pがmに達したか判定される。即ち、図6の走査対象領域100の一本の走査線上での走査が完了したか判断される。pがm未満の場合、ステップS17でpを1増加させた後、ルーチンはステップS14に進む。pがmに達した場合、ルーチンはステップS18に進む。
【0042】
ステップS18において、sがrに達したか判定される。即ち、横一列の部分領域Ai(i=(j-1)m+1〜jm)において走査が完了したか判断される。なお、sは整数(1≦s≦r)であり、ここでrは、各部分領域Aiに含まれる走査線の本数(ここではr=3)である。sがr未満の場合、ステップS19で、第s+1列目の走査線上で走査を行うためにsを1増加させた後、ルーチンはステップS13に進む。sがrに達した場合、ルーチンはステップS20に進む。
【0043】
ステップS20において、jがkに達したか判定される。即ち、走査対象領域100全体の走査が完了したか判断される。なお、kは縦方向(X方向)のファイバの本数で、k×m=nを満たす整数である。jがk未満の場合、ステップS21でjを1増加させた後、ルーチンはステップS12に進む。jがkに達した場合、制御は終了する。
【0044】
上記の走査制御により、まず、第1番目の部分領域A1の第1列目において、第1番目の光ファイバからの光による走査が行われる。その後、第2番目の部分領域A2の第1列目において、第2番目の光ファイバからの光による走査が行われる。その後、第3番目の部分領域A3の第1列目において、第3番目の光ファイバからの光による走査が行われる。その後、第1番目の部分領域A1の第2列目において、第1番目の光ファイバからの光による走査が開始し、走査対象領域100の第2列目の走査線が第1列目の走査線と同様に走査される。その後、走査対象領域100の第3列目の走査線も第1列目の走査線と同様に走査される。
【0045】
これにより、走査対象領域100がラスタースキャンにより走査され、走査対象領域100の画像を画像表示器(モニタ)に表示することが簡便になる。
【0046】
<作用効果>
以下に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0047】
走査部は連続的に走査を行い、走査部が連続的に走査を行っている間(第一の周期の間)に、光射出部が少なくとも一つのファイバに選択的に光を射出する。これにより、走査に必要な時間を短くすることができる。また、走査部が、ファイババンドルの遠位端を変位させて走査する駆動装置(機械的な走査手段)から構成されるものであっても、遠位端を急激に加減速させることで遠位端およびに駆動装置に大きな負荷が掛かかることが防止できる。さらには、ファイババンドルおよび駆動装置の耐久性の低下を招くことが防止できる。
【0048】
本実施形態では、ファイババンドルの光源側の光射出部の走査周期が、ファイババンドルの遠位端側の走査部の走査周期以上であり、走査部の走査より、光射出部の走査の方が遅い。本実施形態と異なり、図9のように遠位端側の走査部の走査周期より光源側の光射出部の走査周期のほうが小さい場合を考える。即ち、遠位端側の走査部より、光源側の光射出部の走査の方が早い。この場合において、遠位端側の走査部が連続的に走査を行うなら、複数回のデータ取得のため、光射出部が一周期走査する間に走査部は次のサンプリング位置まで走査する必要がある。このため、1つのファイバ(例えば1番目のファイバ)から次のファイバ(例えば2番目のファイバ)に光が入射するときの時間差をΔt、走査部によるサンプリング位置の移動速度をvとすると、実際のサンプリング位置が本来のサンプリング位置からv×Δtだけずれることになる(図9参照)。本実施形態では、光射出部の走査周期が走査部の走査周期以上であり、このようなサンプリング位置のずれを防止できる。
【0049】
また、第二の周期が第一の周期の整数倍である。従って、強度値と時間から同じ場所を撮像していると判断される場合に、同じ画像が撮像される。
【0050】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0051】
1 光源
3 光射出部(光射出手段)
7 ファイババンドル
9 走査部(走査手段)
15 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファイバによって構成されたファイババンドルと、
前記ファイババンドルの一方の端面に向けて、前記複数のファイバのいずれかに選択的に光を射出する光射出部と、
前記ファイババンドルの他方の端面からの射出光で対象物の走査を行う走査部、とを備え、
前記走査部は連続的に走査を行い、
前記走査部が連続的に走査を行っている間に、前記光射出部が、前記ファイババンドルの少なくとも一つのファイバに選択的に光を射出することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記ファイババンドルが、第一のファイバを有し、
前記走査部が、光を所定の方向に偏向した後、再び前記所定の方向に光を偏向するまでの時間を第一の周期とし、
前記光射出部が、前記第一のファイバに向けて光を射出した後、再び前記第一のファイバに向けて光を射出するまでの時間を第二の周期とした場合、
前記第二の周期が、前記第一の周期の整数倍である請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記ファイババンドルが、第二のファイバを有し、
前記光射出部が、前記第一のファイバに向けて光を射出した後、前記第二のファイバに向けて光を射出するまでの時間を第三の周期とした場合、
前記第三の周期が、前記第一の周期の整数倍である請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第三の周期が、前記第一のファイバへ光が入射している時間と、等しいことを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記走査部が、前記第一の周期の走査で、前記対象物の走査対象領域内の第一の部分領域を走査し、
前記第一の周期の走査が完了した後前記光射出部が光を入射させる光ファイバを変化させることにより、前記走査部が第二の部分領域を走査することを特徴とする、請求項2に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記対象物の走査がラスタースキャンにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記光射出部と前記走査部が周期的な走査を行い、
前記光射出部の走査周期が、前記走査部の走査周期以上であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記光射出部は、ガルバノミラー、デジタルミラーデバイス、LEDアレイ、LDアレイ、及び、振動的に変位する単一の光ファイバのうち少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記走査部は、電気光学素子、音響光学素子、偏心レンズ、MEMSミラー、または前記ファイババンドルの遠位端を変位させる駆動装置のうち少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の前記光走査装置を備えた内視鏡装置。
【請求項11】
複数のファイバによって構成されたファイババンドルの一方の端面に向けて、前記複数のファイバのいずれかに選択的に光を射出する光射出ステップと、
前記ファイババンドルの他方の端面からの射出光で連続的に対象物の走査を行う走査ステップ、とを含み、
前記走査ステップにおいて連続的に走査が行われる間に、前記光射出ステップにおいて、前記ファイババンドルの少なくとも一つのファイバに選択的に光が射出されることを特徴とする光走査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−27981(P2011−27981A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173253(P2009−173253)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】