説明

光路変換素子および撮像装置

【課題】光路を高速に切り替えることができ、かつ、高解像度な画像を得ることができる光路変換素子を提供することを目的とする。
【解決手段】通過する光に位相変調を与える複数の位相変調部11aが離散的に形成されており、かつ、光を透過する透過部11bが形成されている板状の離散型位相変調マスク11と、光を遮る複数の遮光部12aが離散的に形成されており、かつ、光を透過する透過部12bが形成されている板状の離散型アパチャー12とを備え、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、少なくとも板面の一部が光の入射方向から見て互いに重なり合うように配置され、離散型位相変調マスク11および離散型アパチャー12の少なくとも一方は、入射方向と交差する交差方向に移動可能に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光路を変化させるための光路変換素子およびそれを備える撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置に用いられる光路変換素子としては、例えば、位相変調マスク、焦点可変液晶レンズ、光学レンズ、あるいはプリズム等が提案されている。
【0003】
これらの光路変換素子の中には、幾何学的に特有な形状の光学素子を利用して光路を変化させるもの(例えば、特許文献1を参照)、あるいは光学素子に電圧をかけることにより屈折率を変化させて光路を変化させるもの(例えば、特許文献2を参照)がある。
【0004】
特許文献1では、光路変換素子として一対の位相変調マスクが用いられている。この一対の位相変調マスクの一方を他方に対して回転させることにより、光路を変化させて、光学系の被写界深度を拡大する。
【0005】
具体的には、一対の位相変調マスクのそれぞれは、一方の面が平面で、もう一方の面がz=kx3(ここにkは定数)で表される曲面の形状をした部材である。また、一対の位相変調マスクの一方は固定して配置され、他方は90度の範囲で回転可能な状態で配置される。
【0006】
そして、初期状態として、回転可能な位相変調マスクは、固定された位相変調マスクで生じる位相変調を打ち消すように配置される。この場合、一対の位相変調マスクは、実質的に平行平面板として作用し、この一対の位相変調マスクを通過する光に位相変調を与えない。
【0007】
次に、回転可能に配置された位相変調マスクを90度回転させる。この場合、一対の位相変調マスクは、通過する光に位相変調を与える。例えば、一対の位相変調マスクを通過する光が、X方向とY方向とにそれぞれ変調を受けて、光路が二次元的に変化される。
【0008】
このように、一対の位相変調マスクは、相対的な位置関係を、光学レンズの光軸を中心にして90度ずらされることにより、z=k(x3+y3)(ここでkは定数)で表されるような、キュービック位相変調マスクと同様の変調作用を発生させることができる。この場合、一対の位相変調マスクを通過した光は、屈折し、所望の光束に変換されるので、一対の位相変調マスクは、光学系の被写界深度を拡大することができる。
【0009】
つまり、特許文献1に記載の一対の位相変調マスクは、90度回転されることで、通過する光に対して、位相変調を与えない状態と位相変調を与える状態とを切り替えることができる。言い換えると、一対の位相変調マスクは、光路を変化させることができる。
【0010】
また、特許文献2にも示されているように、液晶の屈折率変化を利用して光路を変化させる焦点可変液晶レンズが提案されている。
【0011】
この焦点可変液晶レンズは、液晶分子を同心円状または放射状に配向させたレンズの形状をした液晶セルである。焦点可変液晶レンズに外部より電界または磁界を印加して液晶分子の配向状態を制御し、液晶の屈折率を連続的に変化させることにより、焦点距離を変化させることができる。
【0012】
このように、液晶分子に電圧を加えることで、容易に光路を変化させることができるため、焦点可変液晶レンズは、光路変換素子として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−98303号公報
【特許文献2】特開昭61−138922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、デジタルスチルカメラあるいはデジタルビデオカメラ等に用いられる撮像装置においては、撮像装置の使いやすさの向上の観点から、被写界深度を拡大する場合と、拡大しない場合とを高速に切り替えることが要求される。つまり、撮像装置では、光路を高速に切り替えることが要求される。
【0015】
しかしながら、特許文献1に示したような、位相変調マスクを移動させるような方法では、基本的に位相変調マスクの大きさのおおむね半分以上の距離を機械的に移動させる必要があるため、移動するのに時間がかかり高速な切り替えを実現することは困難である。
【0016】
また、特許文献2にも示したような、液晶の屈折率変化を利用した焦点可変液晶レンズでは、液晶分子の応答速度が液晶の粘性に律速されてしまう。そのため、特許文献2の焦点可変液晶レンズでは、光路を高速に切り替えることが困難である。
【0017】
さらには、液晶素子は屈折率の温度依存性が光学ガラスと比べて大きく、特に、液晶の屈折率変化を利用して焦点距離を変化させるような場合には、焦点位置での結像性能に悪影響を及ぼす。したがって、特許文献2の焦点可変液晶レンズでは、高解像度な画像を得にくいという課題も有する。
【0018】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、光路を高速に切り替えることができ、かつ、高解像度な画像を得ることができる光路変換素子およびそれを備える撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る光路変換装置は、通過する光に位相変調を与える複数の位相変調部が離散的に形成されており、かつ、光を透過する第1透過部が形成されている板状の位相変調マスクと、光を遮る複数の遮光部が離散的に形成されており、かつ、光を透過する第2透過部が形成されている板状の遮光部材とを備え、前記位相変調マスクと前記遮光部材とは、少なくとも板面の一部が光の入射方向から見て互いに重なり合うように配置され、前記位相変調マスクおよび前記遮光部材の少なくとも一方は、前記入射方向と交差する交差方向に移動可能に配置される。
【0020】
この構成によれば、位相変調マスクに複数の位相変調部が離散的に形成され、遮光部材に複数の遮光部が離散的に形成される。したがって、光の入射方向と交差する方向に位相変調マスクおよび遮光部材の少なくとも一方を移動させることにより、複数の位相変調部と複数の遮光部との重なり方を変化させ、位相変調を受ける光の量を変化させることができる。つまり、位相変調を受ける光の量を変化させるために位相変調マスクを大きく移動させる必要がないので、光路を高速に切り替えることができる。さらに、位相変調マスクそのものの屈折率を変化させる必要がないので、屈折率の温度依存性が大きい液晶素子を位相変調マスクとして用いなくてもよい。したがって、高解像度な画像を得ることができる。
【0021】
また、前記位相変調マスクにおける前記位相変調部の配置パターンと、前記遮光部材における前記遮光部の配置パターンとは、同一であり、前記遮光部と前記位相変調部とは、形状および大きさが同一であることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、位相変調部の配置パターンと遮光部の配置パターンとが同一となる。つまり、位相変調部と遮光部とを重ね合わせることができるので、不要な迷光が発生することを抑制することができ、良好な光学特性を得ることができる。
【0023】
また、前記位相変調マスクにおいて、前記位相変調部と前記第1透過部とは、前記交差方向において交互に配列されており、前記遮光部材において、前記遮光部と前記第2透過部とは、前記交差方向において交互に配列されていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、交差方向において互いに隣り合う位相変調部と第1透過部との距離だけ、位相変調マスクおよび遮光部材の少なくとも一方を移動させれば、位相変調部と遮光部とが重なり合う状態から位相変調部と第2透過部とが重なり合う状態に変化させることができる。つまり、さらに小さな移動量で光路を切り替えることができるので、さらに高速に光路を切り替えることが可能となる。
【0025】
また、前記位相変調マスクにおいて、前記複数の位相変調部と複数の前記第2透過部とは市松模様状に配列されており、前記遮光部材において、前記複数の遮光部と複数の前記第1透過部とは市松模様状に配列されていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、開口率50%を実現することができ、かつ、光の入射方向から見たときに遮光部および第2透過部のいずれかが位相変調部を覆うように位相変調マスクおよび遮光部材を配置することができる。つまり、光の光路を高速に切り替えることができ、かつ、高解像度な画像を得ることができることに加えて、比較的多くの光を撮像素子に入射させることが可能となる。
【0027】
また、前記複数の位相変調部のそれぞれには、一方の面に、位相変調を与えるための曲面形状が形成されており、前記複数の遮光部のそれぞれは、光を透過する基板上に遮光性を有する遮光膜を形成することにより形成され、前記位相変調マスクと前記遮光部材とは、前記曲面形状が形成されている側の板面と前記遮光膜が形成されている側の板面とが対向するように配置されていることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、位相変調を与えるための曲面と遮光膜との間隔を小さくすることができる。その結果、位相変調マスクで発生した不要光を遮光部材に形成された遮光膜で効率的に遮光でき、良好な光学特性を得ることができる。
【0029】
また、本発明の一態様に係る撮像装置は、上記に記載の光路変換素子と、前記遮光板および前記位相変調マスクの少なくとも一方を前記交差方向に移動させる移動手段とを備える。
【0030】
また、前記移動手段は、前記入射方向から見て、前記位相変調部と前記遮光部とが重なり合う状態から、前記位相変調部と前記第2透過部とが重なり合う状態に変化するように、前記位相変調マスクおよび前記遮光部材の少なくとも一方を前記交差方向に移動させることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、通過する光に位相変調を与えない状態から位相変調を与える状態に高速に変化させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、位相変調を受ける光の量を変化させるために位相変調マスクを大きく移動させる必要がないので、光路を高速に切り替えることができる。さらに、位相変調マスクそのものの屈折率を変化させる必要がないので、高解像度な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係る離散型位相変調マスクを示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る離散型アパチャーを示す図
【図4】本発明の実施の形態に係る光路変換素子の動作を説明するための図
【図5A】本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させる前のMTF特性を示す図
【図5B】本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させる前のデフォーカス特性を示す図
【図6A】本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させた後のMTF特性を示す図
【図6B】本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させた後のデフォーカス特性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す図である。以降の図において、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向を示す。また、Z方向は、光軸と平行な方向である。なお、本実施の形態では、Z方向が光の入射方向に相当し、Y方向が光の入射方向と交差する交差方向に相当する。
【0036】
図1に示すように、撮像装置100は、光路変換素子10と、移動手段13と、光学レンズ系14と、カバーガラス15と、撮像素子16とを備える。また、光路変換素子10は、離散型位相変調マスク11と、離散型アパチャー12とを備える。
【0037】
光路変換素子10は、光路を変化させることができる素子であり、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とを備える。
【0038】
離散型位相変調マスク11は、通過する光の位相を変調することができる板状の位相変調マスクである。本実施の形態では、離散型位相変調マスク11は、光の入射方向と交差する方向であるY方向に移動可能に配置される。
【0039】
離散型アパチャー12は、離散型位相変調マスク11によって位相変調された光および位相変調されなかった光を選択的に遮光する板状の遮光部材である。本実施の形態では、離散型アパチャー12は、光学レンズ系14の光軸に対して固定して設置される。
【0040】
これらの離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、少なくとも板面の一部が光の入射方向から見て互いに重なり合うように配置される。具体的には、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、光が入射する領域のすべてにおいて互いに重なり合うように配置される。
【0041】
なお、離散型位相変調マスク11および離散型アパチャー12の詳細については、図2および図3を用いて後述する。
【0042】
移動手段13は、離散型アパチャー12を光の入射方向と交差する方向に移動させる。つまり、移動手段13は、光路を変化させるために、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12との相対位置を変化させる。
【0043】
本実施の形態では、移動手段13は、離散型位相変調マスク11をY方向に平行移動させるための高速駆動機構を備える。より具体的には、移動手段13は、例えば、VCM(Voice Coil Motor)あるいはピエゾアクチュエーターを高速駆動機構として備える。
【0044】
VCMは、磁界中のコイルに電流を流すことで発生する力を利用して離散型位相変調マスク11を移動させる駆動素子であり、離散型位相変調マスク11の周りに磁石やコイルを配置して用いる。
【0045】
ピエゾアクチュエーターは、ピエゾ素子に電圧を印加することで発生した変位を利用して離散型位相変調マスク11を移動させる駆動素子であり、離散型位相変調マスク11のサイズに関係なく比較的自由な位置に配置することができる。
【0046】
特に、本実施の形態のように、移動距離が比較的短い場合には、VCMに比べて、小型で高速、高精度駆動が可能であるほか、低消費電力化にも優れているピエゾ素子が、移動手段として有効である。
【0047】
このような移動手段13によって離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12との相対位置が変化させられることにより、光路変換素子10は、離散型位相変調マスク11で位相変調を受けた光が離散型アパチャー12を通過する状態と、離散型位相変調マスク11で位相変調を受けなかった光が離散型アパチャー12を通過する状態とを切り替えることができる。つまり、光路変換素子10は、光路を変化させることができる。
【0048】
光学レンズ系14は、離散型アパチャー12を通過した光を伝送するための光学レンズ系である。つまり、光学レンズ系14は、光路変換素子10を通過した光を結像面に結像させる。なお、本実施の形態では、光学レンズ系14は、複数のレンズを備えているが、1枚のレンズだけを備えてもよい。
【0049】
カバーガラス15は、撮像素子16の撮像面を保護するための部材であり、撮像素子16の撮像面を覆うように設置される。なお、カバーガラス15は、必ずしも設置される必要はない。つまり、撮像装置100は、設計上の必要に応じてカバーガラス15を備えればよい。
【0050】
撮像素子16は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子である。撮像素子16は、光路変換素子10、光学レンズ系14およびカバーガラス15を介して撮像面に入射した光を電気信号に変換する。
【0051】
このように、離散型位相変調マスク11、離散型アパチャー12、光学レンズ系14、カバーガラス15、および撮像素子16は、それぞれが所定の位置に配置されており、離散型位相変調マスク11に入射した光は、離散型アパチャー12を経て光学レンズ系14、カバーガラス15を通過して撮像素子16の撮像面に結像する。
【0052】
なお、図1では、離散型位相変調マスク11を、離散型アパチャー12よりも光の入射方向の前側に配置していたが、離散型アパチャー12を離散型位相変調マスク11の前側に配置してもかまわない。
【0053】
また、図1では、離散型アパチャー12は、光学レンズ系14の前側に配置されていたが、必ずしも光学レンズ系14の前側に配置される必要はない。使用する光学仕様に応じて、離散型アパチャー12は、例えば、光学レンズ系14の中央部に配置されてもかまわない。
【0054】
また、離散型位相変調マスク11を通過する光がなるべく平行光である方が、離散型アパチャー12により効果的に遮光できるので更に好ましい。
【0055】
また、図1では、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、互いに間隔をあけて配置されているが、両者の間隔はできるだけ小さく、かつ、均一であることが好ましい。
【0056】
また、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、離散型位相変調マスク11の位相変調を与える面と、離散型アパチャー12の遮光膜形成面とが向かい合うように配置されるのが好ましい。つまり、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、位相変調を与えるための曲面形状が形成されている側の板面と遮光膜が形成されている側の板面とが対向するように設置されることが好ましい。
【0057】
これにより、光路変換素子10は、位相変調を与えるための曲面と遮光膜との間隔を小さくすることができる。その結果、光路変換素子10は、離散型位相変調マスク11で発生した不要光を、離散型アパチャー12の遮光膜で効率的に遮光でき、良好な光学特性を得ることができる。両者の距離が離れすぎると、不要光が離散型アパチャー12を通過し、撮像素子16の結像面に到達するので好ましくない。
【0058】
次に、図2を用いて、離散型位相変調マスク11の詳細について説明する。
【0059】
図2は、本発明の実施の形態に係る離散型位相変調マスクを示す図である。具体的には、図2は、離散型位相変調マスク11の平面形状が示されている。なお、図1には、離散型位相変調マスク11の断面形状が示されている。
【0060】
図2に示すように、離散型位相変調マスク11には、複数の位相変調部11aが離散的に形成されている。また、離散型位相変調マスク11には、光を透過する透過部11bが、位相変調部11aが形成されていない領域に形成されている。本実施の形態では、位相変調部11aと透過部11bとは、光の入射方向と交差する交差方向に交互に配列されている。
【0061】
より具体的には、本実施の形態では、位相変調部11aと透過部11bとは、市松模様状に配列されている。つまり、位相変調部11aと透過部11bとは、互いに直交する2つの方向(ここでは、X方向およびY方向)に交互に配列されている。そして、複数の位相変調部11aのそれぞれと複数の透過部11bのそれぞれとは、大きさが同一の正方形状である。
【0062】
また、離散型位相変調マスク11は、光の入射方向と交差する交差方向(ここでは、Y方向)に移動可能に配置される。つまり、離散型位相変調マスク11は、移動手段13によってY方向に移動される。
【0063】
位相変調部11aは、通過する光に位相変調を与える部分である。具体的には、位相変調部11aには、一方の面に位相変調を与えるための曲面形状が形成され、他方の面に平面形状が形成されている。
【0064】
より具体的には、位相変調部11aの一方の面には、z=k(x3+y3)を満たす曲面形状が形成されている。ここで、kは定数である。なお、光軸の位置は、(x,y)=(0,0)で表される。
【0065】
このような曲面形状が、位相変調部11aの一方の面に形成されることにより、位相変調部11aは、通過する光に位相変調を与えることができる。その結果、光路変換素子10は、被写界深度を拡大することが可能となる。
【0066】
透過部11bは、第1透過部に相当し、光を透過する。つまり、透過部11bは、通過する光に位相変調を与えない。透過部11bには、双方の面に、互いに平行な平面形状が形成されている。
【0067】
このような離散型位相変調マスク11は、キュービック位相変調マスクに形成される曲面形状の一部を平面形状に置き換えたものであると言える。また、離散型位相変調マスク11は、キュービック位相変調マスクに形成される曲面形状が離散化されたものであるとも言える。
【0068】
なお、位相変調部11aに形成される曲面形状は、必ずしも、上記のような曲面形状である必要はない。例えば、曲面形状は、球面レンズ形状、非球面レンズ形状、フレネルレンズ形状、もしくは上記とは異なる多項式関数に基づく形状等であってもよい。
【0069】
具体的には、例えば、位相変調部11aに形成される曲面形状は、四次関数に基づく曲面形状であってもよい。つまり、位相変調部11aに形成される曲面形状は、QPM(Quartic Phase Mask)に形成される曲面形状であってもよい。また、位相変調部11aに形成される曲面形状は、通常の光学レンズ系において被写界深度を拡大するために用いられるレンズの形状であってもよい。これらの場合であっても、位相変調部11aは、通過する光に位相変調を与えることができ、光路変換素子10は、被写界深度を拡大することが可能となる。
【0070】
なお、光路変換素子10は、必ずしも被写界深度を拡大することができなくてもよい。つまり、光路変換素子10は、光路を変化させることができればよい。具体的には、光路変換素子10は、例えば、光路を変化させることにより、焦点距離を変化させることが可能であってもよい。
【0071】
なお、離散型位相変調マスク11は、例えば、光学ガラス材料あるいは樹脂材料からなる。光学ガラス材料としては、BK7、FD60、白板ガラス、あるいは石英等の透明なガラス材料が好適である。また、樹脂材料としては、例えば、熱膨張係数が小さいシクロオレフィンポリマー樹脂が好適である。
【0072】
また、離散型位相変調マスク11は、例えば、光学ガラス素材あるいは樹脂素材を切削もしくは成型することによって製造される。なお、離散型位相変調マスク11は、量産性の観点から、切削によって製造されるよりも成形によって製造される方が好ましい。
【0073】
次に、図3を用いて、離散型アパチャー12の詳細について説明する。
【0074】
図3は、本発明の実施の形態に係る離散型アパチャーを示す図である。図3には、離散型アパチャー12の平面形状が示されている。
【0075】
図3に示すように、離散型アパチャー12には、光を遮る複数の遮光部12aが離散的に形成されている。また、離散型アパチャー12には、光を透過する透過部12bが、遮光部12aが形成されていない領域に形成されている。この透過部12bは、第2透過部に相当する。本実施の形態では、遮光部12aと透過部12bとは、光の入射方向と交差する交差方向に交互に配列されている。
【0076】
より具体的には、本実施の形態では、遮光部12aと透過部12bとは、市松模様状に配列されている。つまり、遮光部12aと透過部12bとは、互いに直交する2つの方向(ここでは、X方向およびY方向)に交互に配列されている。そして、複数の遮光部12aのそれぞれと複数の透過部12bのそれぞれとは、大きさが同一の正方形状である。
【0077】
なお、上記から明らかなように、離散型位相変調マスク11における位相変調部11aの配置パターンと離散型アパチャー12における遮光部12aの配置パターンとは、同一である。
【0078】
ここで、離散型アパチャー12の製造方法について以下に説明する。
【0079】
離散型アパチャー12は、例えば、透明な基板上に複数の遮光膜を離散的に形成することにより製造される。この場合、遮光膜が形成された領域が遮光部12aに相当し、遮光膜が形成されなかった領域が透過部12bに相当する。
【0080】
離散型アパチャー12の基板材料としては、例えば光学ガラスあるいは樹脂フィルムを用いる。光学ガラスとしては、例えばBK7、FD60、白板ガラス、あるいは石英等の透明なガラス材料が用いられることが好ましい。
【0081】
光学ガラス上に形成する遮光膜は、例えば、スパッタ法、電子線蒸着法、あるいはスピンコート法等を用いて成膜する。遮光膜の材料としては、クロム、タングステン、チタン等の金属材料、もしくは樹脂に黒色顔料を分散させた遮光性樹脂材料を用いる。
【0082】
適切な膜厚の遮光膜を形成することで、透過する光を遮断しつつ、かつ遮光膜からの反射光が少ない遮光膜を形成することができる。
【0083】
遮光膜のパターン形成方法としては、リソグラフィー法や電子線描画法、マスク蒸着法等の公知の技術で形成することができる。
【0084】
なお、離散型アパチャー12の製造方法は、上記に限定される必要はない。例えば、遮光性を有する基板に貫通孔を形成することにより、離散型アパチャー12を製造してもよい。この場合、貫通孔が形成されていない領域が遮光部12aに相当し、貫通孔が形成されている領域が透過部12bに相当する。
【0085】
次に、以上のように構成された光路変換素子10の各種動作について、図4を用いて説明する。
【0086】
図4は、本発明の実施の形態に係る光路変換素子の動作を説明するための図である。ここで、図4の(a)は、光路変換素子10を通過する光が位相変調を受けない状態を示す。また、図4の(b)は、光路変換素子10を通過する光が位相変調を受ける状態を示す。
【0087】
図4の(a)において、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、特定の位置関係で配置されている。すなわち、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、離散型位相変調マスク11の透過部11bと離散型アパチャー12の透過部12bとが光の入射方向から見て重なり合うように配置されている。これにより、透過部11bを通過した位相変調を受けなかった光は、離散型アパチャー12を通過して光学レンズ系14に入射する。
【0088】
また、図4の(a)において、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、離散型位相変調マスク11の位相変調部11aと離散型アパチャー12の遮光部12aとが光の入射方向から見て重なり合うように配置されている。これにより、位相変調部11aを通過した位相変調を受けた光は、遮光部12aによって遮断され、光学レンズ系14に入射しない。
【0089】
このように図4の(a)の状態では、離散型位相変調マスク11を通過した光のうち位相変調を受けなかった光のみが離散型アパチャー12を通過する。したがって、光路変換素子10を通過した光には位相変調が与えられない。
【0090】
ここで、移動手段13が、互いに隣り合う位相変調部11aと透過部11bとの中心間距離だけY方向に離散型位相変調マスク11を移動させることにより、図4の(b)の状態に変化する。
【0091】
図4の(b)において、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、離散型位相変調マスク11の位相変調部11aと離散型アパチャー12の透過部12bとが重なり合うように配置されている。これにより、位相変調部11aを通過した位相変調を受けた光は、離散型アパチャー12を通過して光学レンズ系14に入射する。
【0092】
また、図4の(b)において、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12とは、離散型位相変調マスク11の透過部11bと離散型アパチャー12の遮光部12aとが光の入射方向から見て重なり合うように配置されている。これにより、透過部11bを通過した位相変調を受けなかった光は、遮光部12aによって遮断され、光学レンズ系14に入射しない。
【0093】
このように図4の(b)の状態では、離散型位相変調マスク11を通過した光のうち位相変調を受けた光のみが離散型アパチャー12を通過する。したがって、光路変換素子10を通過した光には位相変調が与えられる。
【0094】
このように位相変調を受けた光が、光学レンズ系14およびカバーガラス15を介して撮像素子16の撮像面に結像する。このとき、位相変調の効果が発現し、被写界深度は拡大される。
【0095】
以上のように、移動手段13は、光の入射方向から見て、位相変調部11aと遮光部12aとが重なり合う状態(図4の(a))から、位相変調部11aと透過部12bとが重なり合う状態(図4の(b))に変化するように、離散型位相変調マスク11を光の入射方向と交差する方向に移動させる。その結果、移動手段13は、通過する光に位相変調を与えない状態から位相変調を与える状態に高速に変化させることができる。
【0096】
ここで、図4の(a)および図4の(b)のいずれの状態においても、離散型位相変調マスク11の光が通過する領域のすべてを、離散型アパチャー12が覆うことが好ましい。これにより、離散型位相変調マスク11と離散型アパチャー12を通過する光において、不要な迷光が発生することを抑制することができる。
【0097】
次に、図5A、図5B、図6A、および図6Bを用いて、本実施の形態に係る光路変換素子による効果を説明する。
【0098】
図5Aは、本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させる前のMTF特性を示す図である。また、図5Bは、本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化さる前のデフォーカス特性を示す図である。つまり、図5Aおよび図5Bは、図4の(a)に示す状態のときの光学特性を示す図である。
【0099】
図5Aにおいて、縦軸は解像度の高さを表わすMTF(Modulation Transfer Function)を示し、横軸は空間周波数を示す。図5Aより、空間周波数が大きくなったときのMTFの低下度合いが比較的小さいことがわかる。つまり、光路変換素子10を用いても、比較的良好な解像性能が得られることがわかる。
【0100】
また、図5Bにおいて、縦軸はMTFを示し、横軸は焦点位置からの距離を示す。図5Bより、焦点位置の近傍では良好な解像性能が得られているが、焦点位置から離れるに従って、急激に解像性能が劣化することがわかる。
【0101】
図6Aは、本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させた後のMTF特性を示す図である。また、図6Bは、本発明の実施の形態に係る光路変換素子が光路を変化させた後のデフォーカス特性を示す図である。つまり、図6Aおよび図6Bは、図4の(b)に示す状態のときの光学特性を示す図である。
【0102】
図6Aより、空間周波数が大きくなったときのMTFの低下度合いが、図5Aと比べて大きくは変化していないことがわかる。つまり、図6Aの場合も、図5Aの場合と同様に、比較的良好な解像性能が得られることがわかる。
【0103】
また、図6Bより、焦点位置からの距離に対してMTFがあまり変化していないことがわかる。これは、図5Bと大きく異なり、明らかに、光路変換素子10により被写界深度が拡大されたことを示す。
【0104】
このように、本実施の形態に係る光路変換素子10は、比較的良好な解像性能を得つつ、被写界深度を拡大することができる。
【0105】
以上のように、本実施の形態に係る光路変換素子10によれば、離散型位相変調マスク11に複数の位相変調部11aが離散的に形成され、離散型アパチャー12に複数の遮光部12aが離散的に形成される。したがって、光の入射方向と交差する方向に離散型位相変調マスク11を移動させることにより、複数の位相変調部11aと複数の遮光部12aとの重なり方を変化させ、位相変調を受ける光の量を変化させることができる。
【0106】
つまり、光路変換素子10は、位相変調を受ける光の量を変化させるために離散型位相変調マスク11を大きく移動させる必要がないので、光路を高速に切り替えることができる。さらに、光路変換素子10では、離散型位相変調マスク11そのものの屈折率を変化させる必要がないので、屈折率の温度依存性が大きい液晶素子を位相変調マスクとして用いなくてもよい。したがって、光路変換素子10によれば、高解像度な画像を得ることができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る光路変換素子10において、位相変調部11aの配置パターンと遮光部12aの配置パターンとが同一となる。つまり、光路変換素子10は、位相変調部11aと遮光部12aとを重ね合わせることができるので、不要な迷光が発生することを抑制することができ、良好な光学特性を得ることができる。
【0108】
また、本実施の形態に係る光路変換素子10によれば、交差方向において互いに隣り合う位相変調部11aと透過部11bとの中心間距離だけ、離散型位相変調マスク11を移動させれば、位相変調部11aと遮光部12aとが重なり合う状態から、位相変調部11aと透過部12bとが重なり合う状態に変化させることができる。つまり、小さな移動量で光路を切り替えることができるので、高速に光路を切り替えることが可能となる。
【0109】
なお、撮像素子16に入射する光の量を多くすることを可能とするため、離散型アパチャー12の開口率は大きい方が好ましい。本実施の形態のように、離散型アパチャー12において遮光部12aと透過部12bとが市松模様状に配列されることで、離散型アパチャー12は、開口率50%を実現できる。さらに、光路変換素子10では、光の入射方向から見て、遮光部12aおよび透過部12bのいずれかが位相変調部11aを覆うように配置することができる。つまり、光路変換素子10は、光の光路を高速に切り替えることができ、かつ、高解像度な画像を得ることができることに加えて、比較的多くの光を撮像素子に入射させることが可能となる。
【0110】
このように、本実施の形態に係る光路変換素子10によれば、従来の位相変調マスクのように、位相変調マスクの基板自体を大きく回転移動させなくても、僅かに位相変調部11aと透過部11bとの間隔だけ離散型位相変調マスク11を移動させるだけで、容易に光に位相変調を与えない状態と位相変調を与える状態とを切り替えることができる。したがって、光路変換素子10によれば、従来よりも高速に光路を変化させることが可能となる。
【0111】
以上、本発明の一態様に係る光路変換素子およびそれを備える撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施した形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0112】
例えば、上記実施の形態において、移動手段13は、離散型位相変調マスク11を移動させていたが、離散型アパチャー12を移動させてもよい。つまり、移動手段13は、光の入射方向から見たときの、離散型位相変調マスク11および離散型アパチャー12の相対的な位置関係を変化させることができればよい。
【0113】
また、離散型位相変調マスク11において、複数の位相変調部11aと複数の透過部11bとは市松模様状に配列されていたが、必ずしも市松模様状に配列される必要はない。したがって、位相変調部11aおよび透過部11bの形状も正方形である必要はない。また、離散型位相変調マスク11において、位相変調部11aと透過部11bとは交互に配列される必要もない。さらに、離散型位相変調マスク11における位相変調部11aの配置パターンと離散型アパチャー12における遮光部12aの配置パターンとは同一である必要もない。
【0114】
このような場合であっても、光路変換素子10において、光の光路を変化させる際に、複数の位相変調部11aと複数の遮光部12aとの重なり方が変化されればよいので、移動手段13は、離散型位相変調マスク11を大きく移動させる必要がない。したがって、この光路変換素子10を用いれば、撮像装置100は、光路を高速に切り替えることができる。
【0115】
また、上記実施の形態において、移動手段13は、互いに隣り合う位相変調部11aと透過部11bとの中心間距離だけ離散型位相変調マスク11を移動させていたが、必ずしもこの距離である必要はない。例えば、移動手段13は、上記中心間距離の2倍あるいは3倍の距離だけ離散型位相変調マスク11を移動させてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態において示された離散型位相変調マスク11および離散型位相変調マスク11の形状は一例であり、例えば、四角形または六角形などの多角形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明にかかる光路変換素子は、デジタルスチルカメラ、あるいはデジタルビデオカメラ等に有用である。
【符号の説明】
【0118】
10 光路変換素子
11 離散型位相変調マスク
11a 位相変調部
11b、12b 透過部
12 離散型アパチャー
12a 遮光部
13 移動手段
14 光学レンズ系
15 カバーガラス
16 撮像素子
100 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する光に位相変調を与える複数の位相変調部が離散的に形成されており、かつ、光を透過する第1透過部が形成されている板状の位相変調マスクと、
光を遮る複数の遮光部が離散的に形成されており、かつ、光を透過する第2透過部が形成されている板状の遮光部材とを備え、
前記位相変調マスクと前記遮光部材とは、少なくとも板面の一部が光の入射方向から見て互いに重なり合うように配置され、
前記位相変調マスクおよび前記遮光部材の少なくとも一方は、前記入射方向と交差する交差方向に移動可能に配置される
光路変換素子。
【請求項2】
前記位相変調マスクにおける前記位相変調部の配置パターンと、前記遮光部材における前記遮光部の配置パターンとは、同一であり、
前記遮光部と前記位相変調部とは、形状および大きさが同一である
請求項1に記載の光路変換素子。
【請求項3】
前記位相変調マスクにおいて、前記位相変調部と前記第1透過部とは、前記交差方向において交互に配列されており、
前記遮光部材において、前記遮光部と前記第2透過部とは、前記交差方向において交互に配列されている
請求項2に記載の光路変換素子。
【請求項4】
前記位相変調マスクにおいて、前記複数の位相変調部と複数の前記第2透過部とは市松模様状に配列されており、
前記遮光部材において、前記複数の遮光部と複数の前記第1透過部とは市松模様状に配列されている
請求項3に記載の光路変換素子。
【請求項5】
前記複数の位相変調部のそれぞれには、一方の面に、位相変調を与えるための曲面形状が形成されており、
前記複数の遮光部のそれぞれは、光を透過する基板上に遮光性を有する遮光膜を形成することにより形成され、
前記位相変調マスクと前記遮光部材とは、前記曲面形状が形成されている側の板面と前記遮光膜が形成されている側の板面とが対向するように配置されている
請求項1に記載の光路変換素子。
【請求項6】
請求項1に記載の光路変換素子と、
前記遮光板および前記位相変調マスクの少なくとも一方を前記交差方向に移動させる移動手段とを備える
撮像装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記入射方向から見て、前記位相変調部と前記遮光部とが重なり合う状態から、前記位相変調部と前記第2透過部とが重なり合う状態に変化するように、前記位相変調マスクおよび前記遮光部材の少なくとも一方を前記交差方向に移動させる
請求項6に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−18355(P2012−18355A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156943(P2010−156943)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】