光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート
【課題】立体映像の鮮明性を改善させた光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートを提供する。
【解決手段】光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートは、凸型レンズ及び光透過調整フィルタが繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、前記レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層と、前記焦点距離層の下部に形成された立体層と、を含み、前記光透過調整フィルタは、前記凸型レンズより小さな大きさであって、前記光透過調整フィルタを通過した光が前記立体層に到逹できないように抑制している。
【解決手段】光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートは、凸型レンズ及び光透過調整フィルタが繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、前記レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層と、前記焦点距離層の下部に形成された立体層と、を含み、前記光透過調整フィルタは、前記凸型レンズより小さな大きさであって、前記光透過調整フィルタを通過した光が前記立体層に到逹できないように抑制している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイシート(sheet)に関するものであり、より詳細には、凸型レンズアレイの間に光透過を調節するためのフィルタが形成され、立体映像の鮮明性を改善できる光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズアレイシートは、多様な分野に使用され、代表的には、液晶ディスプレイ用、立体映像ディスプレイ、面光源装置、バックライトユニット、立体印刷用レンズアレイシートなどに適用されている。
【0003】
図1は、従来の立体印刷用レンズアレイシートの構造を示した図面である。
【0004】
図1を参照すると、立体印刷用レンズアレイシート10は、曲率半径を有する半球型又は四角錐又は六角錘形態の凸型レンズ12がアレイ形態に配列されたレンズアレイ層13と、該レンズアレイ層13の下部に形成され、レンズの曲率半径に対応して適切な焦点距離を設定するための焦点距離層14と、前記焦点距離層14の下部に形成され、立体のイメージが結ばれる立体層11とを備える。
【0005】
図2は、立体印刷用レンズアレイシートにおいて、レンズのピッチ、曲率半径及びレンズアレイシート厚さ間の関係を説明する図面である。
【0006】
図2を参照すると、レンズのピッチ15、曲率半径42及びレンズアレイシート厚さ間の関係は、レンズの曲率半径42の大きさによって画角43が決定され、この画角43によって立体実現のための焦点距離14が決まる関係にある。
【0007】
したがって、レンズ媒質の屈折率が低く、個々レンズの曲率半径42が大きいほど、立体実現のための焦点距離層14が厚くなる。これによってレンズアレイシートの総厚さ19も厚くなる。反対に、レンズ媒質自体の屈折率が高く、曲率半径42が小さいほど、立体実現のための焦点距離層14が薄くなる。これによってレンズアレイシートの総厚さ19も薄くなる。
【0008】
レンズアレイシートは、薄いほど透明度が増加して望ましいが、薄いレンズアレイシートに立体イメージを適切に結像させようとすると、レンズの曲率半径42を小さくなるしかない。
【0009】
下記の(数1)〜(数4)は、レンズピッチ15、曲率半径42及びレンズアレイシートの総厚さ19の関係を示したものである。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】
【数3】
【0013】
【数4】
【0014】
ここで、rは曲率半径、pはレンズピッチ、dはレンズのエンボス部分の深さ、tはレンズアレイシートの総厚さ、nは屈折率をそれぞれ示す。
【0015】
前記(数1)〜(数4)で見るように、曲率半径42が小さいほど、レンズアレイシートの厚さが薄くなって望ましいものであることが分かる。しかし、レンズのピッチ15による最小の曲率半径は、既に決まっており、レンズアレイシートの厚さを任意に薄くすることはできなくなる。
【0016】
これを無視して曲率半径が小さな凸型レンズを無理やりに製作することは可能である。例えば、インチ当たり70個で構成されたレンズアレイシートの場合には、最小曲率半径42は0.1814mmになるが、これより小さな曲率半径42のレンズを製作した場合、レンズ間の間隔20が生ずることになる。この場合、間隔20を透過する直進性光37が、凸型レンズ13の屈折による結像を妨害する成分になってしまい、立体層10が薄暗く見えたり、極端には立体効果を感じることができなくなってしまう。
【0017】
図3は、従来の立体印刷用レンズアレイシートにおいてレンズの曲率半径が小さくなった場合に現われる前述の問題点を説明するための図面である。
【0018】
図3を参照すると、焦点距離を短くするためには、曲率半径が小さなレンズを作らなければならないが、この場合、前述のように、入射光がレンズを通過しない間隔、すなわち、透明層20をレンズとレンズとの間に形成するしかない。このとき、立体層11には透明層20を透過する光37とレンズを通過する光38が混在して結像するようになる。このような場合、立体イメージの立体感、色相、明度、彩度、シャープネスなどはかなり減少し、最良の立体観察は困難である。
【0019】
一方、立体印刷用レンズアレイシートの多数の層を単一樹脂層で製作した場合には、各樹脂材質が有する固有の長所と短所が現われるようになる。
【0020】
例えば、PP(ポリプロピレン)の場合には、とても安価であるという長所があるが、透明度が低下し、接着力に問題があり、寸法安全性と印刷適性が良くないという短所がある。そして、A−PET(Polyethylene Terephthalate)の場合には、高透明度、高屈折率及び寸法安全性があるという長所があるが、その代わりに接着力に問題があり、印刷適性が良くないという短所がある。また、PET−Gの場合には、高透明度、良い印刷適性、高屈折率及び寸法安全性の長所があるが、高価であるという短所があり、それぞれの樹脂には長所と短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国公開第2002/0085287号
【特許文献2】特開2010−243574号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明が解決しようとする技術的課題は、曲率半径が小さなレンズアレイに起因して生ずる透明層を適切に除去すると共に、光透過調整フィルタ層を有するレンズシートを提供することにある。
【0023】
本発明の他の課題は、互いに異なる材質の複合樹脂層で作ったレンズシートによってより鮮明で高い立体感を有することができるレンズシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記技術的課題を達成するため、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートは、凸型レンズ及び光透過調整フィルタが繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、該レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層と、前記焦点距離層の下部に形成された立体層と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、光透過調整フィルタ層と多層構造の複合積層樹脂によって、既存の製品と比べてより薄いレンズアレイシートを生産することができる長所がある。
【0026】
また、本発明は、どの位置、どの方向から見ても視覚的に安定して、鮮明な立体感などを感じることができる長所がある。
【0027】
また、本発明は、後工程上の印刷適性、寸法安全性、カッティングの容易さ、優れた接着性及び成形性などを有するという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の立体印刷用レンズアレイシートの構造を示した図面である。
【図2】立体印刷用レンズアレイシートにおいて、レンズのピッチ、曲率半径及びレンズアレイシート厚さ間の関係を説明する図面である。
【図3】従来の立体印刷用レンズアレイシートにおいて、レンズの曲率半径が小さくなった場合に現われる問題点を説明するための図面である。
【図4】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第1実施形態を示す図面である。
【図5】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第2実施形態を示す図面である。
【図6】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの一部分(A−A‘)を示す図面である。
【図7】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第3実施形態を示す図面である。
【図8】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第4実施形態を示す図面である。
【図9】本発明のレンズの曲率半径によるレンズシートの厚さを比べて例示した図面である。
【図10】球面レンズと非球面レンズの場合にレンズの焦点位置及びレンズシートの厚さを比べた例示図面である。
【図11】本発明による光透過調整フィルタの多くの模様を示した図面である。
【図12】本発明の構成を示す立体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照して詳しく説明する。
【0030】
図4は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第1実施例を示す図面である。
【0031】
図4を参照すると、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート50は、凸型レンズ49および光透過調整フィルタ45が繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層47と、焦点距離層47の下部に形成された立体層52とで構成される。
【0032】
ここで、レンズアレイ層、焦点距離層47および立体層52は、樹脂系列の材質を使用して、それぞれの層が同じ樹脂を使用してもよく、又は他の樹脂を使用してもよい。また、それぞれの層は、互いに異なる樹脂材質を使用して複合層になったものでもよい。
【0033】
例えば、凸型レンズ49の上に、凸型レンズ49とは他の材質の樹脂層41を一層さらに追加して複合層41、49で構成することができる。焦点距離層47も、焦点距離層47とは異なる樹脂材質の層48をもう一つ付加して複合層47、48で構成してもよい。光透過調整フィルタ45も、複合層44、45で構成してもよい。
【0034】
複合層41、49になったレンズアレイ層は、多様な長所を有する。複合層41、49の材質として、A−PET、PET−G、PP、PVC、Acryl、PC、PSなどの樹脂を使用する場合、それぞれの層41、49をこのような樹脂のうちで互いに異なる材質にすると、各樹脂の長所を均等に活かすことができる。例えば、上部層41をA−PET(Polyethylene Terephthalate)にし、下部層49をPET−Gにした場合、複合層41、49はA−PETが有する高透明度、高屈折率、寸法安全性及び安価といった特性と、PET−Gが有する長所、即ち、良い印刷適性の特性を同時に有することができるようになる。このような樹脂の組合は、単に一つの例で挙げたことであるだけに過ぎず、本発明が前記例として挙げた組合せに限定されるものではない。
【0035】
本発明の主な特徴のうちひとつである光透過調整フィルタ45は、シート平面の上から見た場合、水平又は垂直方向の中の一方向にはレンズピッチ55程度だけ互いに離隔しているが、他の一方向には各ピッチで離隔されて区分的ではなく、連続的なライン(line)形態で作られている。そして、光透過調整フィルタ45の模様は、一方向に切断した断面は、図11に示すように、断面形状が楕円45、三角形85、多角形86の模様を有することができるが、これと垂直な他の方向に切断した場合には楕円45、三角形85、多角形86の模様が現われない。
【0036】
光透過調整フィルタ45の単位大きさは、凸型レンズ49の大きさより小さいために、光透過調整フィルタ45を通過して屈折した光は、立体層52に到逹する手前で焦点を結び、事前に回折または散乱してしまう。これによって凸型レンズ49を通過して屈折した光だけが立体層52に正確に焦点を結ぶようになる。そのため、立体物体23(図12参照)を観察するとき、立体物体23の深さ感、色感、明度、彩度、シャープネスなどがより向上するようになる。
【0037】
本発明の第1実施形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、第1凸型レンズ41と第1光透過調整フィルタ層44を屈折率1.575であるPET−G樹脂にして、凸型レンズの単位ピッチ55を363マイクロメータ、レンズの配列角度を45度、曲率半径42を150マイクロメータ、第1光透過調整フィルタ層44の幅57を63マイクロメータ、エンボス高さ58を50マイクロメータで構成し、第2凸型レンズ49と第2光透過調整フィルタ45を屈折率1.575であるA−PET樹脂にしたとき、望ましいレンズシートのうち一つになることを見出した。
【0038】
結局、本発明の第1実施形態によって、凸型レンズ41、49の曲率半径が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である181マイクロメータよりもさらに小さな150マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、レンズアレイシート50の厚さ59もまた411マイクロメータ程度になる印刷立体観測用マイクロレンズアレイシートを製作することが可能であった。
【0039】
本発明のすべての実施形態では、立体層51、52の立体パターンは、積層凸型レンズ41、49のアレイ配列と同一の角度で、90%〜99.95%と100.05%〜110%の範囲内で間隔を調整して配列すると、両眼の視差による印刷立体映像、エンボ立体映像が表現される。
【0040】
図5は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第2実施形態を示す図面である。
【0041】
図5を参照すると、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第2実施形態は、立体層51がエンボス形態を有する。本発明の第1実施形態である図4の立体層52の立体パターンが、レンズシートの形成後に印刷して製作されるのに対して、第2実施形態の立体層51は、レンズアレイ層41、49及び焦点距離層47、48の圧出加工と同時に製作できる。これによってより製造工程が簡単になるという追加の長所がある。
【0042】
本発明の第2実施形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、第1凸型レンズ41と第1光透過調整フィルタ層44を屈折率1.575であるPET−G樹脂にして、レンズの配列角度を45度、曲率半径を100マイクロメータ、第1光透過調整フィルタ層44の幅57を30マイクロメータ、エンボス高さ58を25マイクロメータで構成し、第2凸型レンズ49と第2光透過調整フィルタ45を屈折率1.575であるA−PET樹脂にしたとき、望ましいレンズシートのうち一つになることを見出した。このとき立体層51のエンボスパターンは、レンズピッチより1%程度小さな大きさで印刷するとさらに望ましい結果が得られた。
【0043】
結局、本発明によって、凸型レンズ41、49の曲率半径42が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である115マイクロメータよりもさらに小さな100マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、立体レンズシート50の厚さ59もまた272マイクロメータ程度になり、立体パターンの印刷過程を別途要しない立体観測用マイクロレンズシートを製作することが可能であった。
【0044】
図6は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの一部分(A−A’)を互いに区分的に分離して詳細に示した図面である。
【0045】
図7は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第3実施形態を示す図面である。
【0046】
図7を参照すると、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第3実施形態は、レンズアレイ層の上部に透明接着コーティング層61を塗布して、レンズシート上部を平滑化したことに特徴がある。
【0047】
本発明の第3実施形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、レンズ単位ピッチ55が339マイクロメータ、レンズの配列角度が45度配列で構成される屈折率1.575のPET−G樹脂であり、曲率半径42が140マイクロメータで設計された第1凸型レンズ層41と、幅57が58マイクロメータ、エンボス高さ58が40マイクロメータに設計した第1光透過調整フィルタ層44及び第2凸型レンズ層49と第2光透過調整フィルタ層45を屈折率1.575であるA−PET樹脂にした場合、下記の(数5)に代入した結果は、立体用レンズアレイシートの厚さ1260マイクロメータになった。
【0048】
【数5】
【0049】
ここで、f1は焦点距離層の厚さ、rはレンズ半径、n1は表面コーティング層の屈折率及びn2は凸型レンズの屈折率をそれぞれ示す。
【0050】
第2焦点距離層48の下部には、立体用印刷パターンピッチ56がレンズ単位ピッチ55より1.8%小さな大きさで加工し、積層凸型レンズ41、49の配列角度と同一に配列して高精密印刷処理すると、レンズシートと印刷パターンが一体化されて、レンズの表面が平滑化された図7のような立体用複合積層レンズシートの構成が可能である。
【0051】
結局、本発明によって、凸型レンズ41、49の曲率半径42が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である169マイクロメータよりもさらに小さな140マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、立体レンズシート50の厚さ59もまた1260マイクロメータ程度になり、表面が平滑化された印刷立体観測用マイクロレンズシートを製作することが可能であった。
【0052】
さらに、第1凸型レンズ層41及び光透過調整フィルタ45の表面の屈折率より低い屈折率の接着コーティング剤又はインク吸収用コーティング剤を塗布、硬化する過程で、表面コーティング液61の屈折率調整によって、印刷用立体マイクロレンズシートの焦点距離が自由に調整可能になり、積層凸型レンズ41、49の表面を平滑化されることで表面の光沢度及び表面強度が自由に調整可能になり、ひいては、より良い立体感を表現することができるようになった。
図8は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第4実施形態を示す図面である。
【0053】
図8を参照すると、図7の第3実施形態において立体層51がエンボス形態を有する。本発明の第1実施形態である図4の立体層52の立体パターンが、レンズシートの形成後に印刷して製作されるのに対して、第4実施形態の立体層51は、レンズアレイ層57、58及び焦点距離層47、48の圧出加工と同時に製作できる。これによってより製造工程が簡単になるという追加の長所がある。
【0054】
本発明の第4実施例形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、第1凸型レンズ41と第1光透過調整フィルタ層44を屈折率1.575であるPET−G樹脂にして、レンズの配列角度を45度、曲率半径42を75マイクロメータ、第1光透過調整フィルタ層47の幅57を45マイクロメータ、エンボス高さ58を38マイクロメータで構成し、第2凸型レンズ49と第2光透過調整フィルタ48を屈折率1.575であるA−PET樹脂にしたとき、レンズシートの厚さ59が205マイクロメータ程度の望ましいレンズシートのうち一つになることを見出した。このとき立体層51のエンボスパターンは、レンズピッチより1.7%程度小さな大きさで印刷するとさらに望ましい結果が得られた。
【0055】
結局、本発明によって、凸型レンズ41、49の曲率半径42が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である97マイクロメータよりもさらに小さな75マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、立体レンズシート50の厚さ59もまた205マイクロメータになり、立体パターンの印刷過程を別途要しない立体観測用マイクロレンズシートを製作することが可能であった。
【0056】
本発明の多くの実施形態で言及した具体的な数値は、本発明の主な特徴である光透過調整フィルタが付加された本発明と、そうではない従来の構成とを比較して、本発明の効果を説明することを目的としており、本発明の権利範囲をそのような数値で限定することを意図して提示されたものではないことに留意しなければならない。
【0057】
図9は、レンズの曲率半径によるレンズシートの厚さを比べて例示した図面である。
【0058】
図9を参照すると、一番左側の図は、凸型レンズの大きさが半球面より小さい状態を示す。左側から二番目の図は、凸型レンズの大きさが半球面になり、レンズシートの厚さがさらに減って最小値になることができることを示す。
【0059】
そして、左から三番目の図は、本発明の実施形態によるレンズアレイ層に光透過調整フィルタを付加して、レンズアレイシートの厚さがさらに減少できることを示す。一番右の方の図は、本発明の他の実施形態に従って、凸型レンズを非球面形態に設計してレンズシートの厚さがさらに減少できることを示す。
【0060】
図10は、本発明の実施形態による非球面凸型レンズの効果を図解的に表示する。
【0061】
図10を参照すると、半球型の凸型レンズ89は、非球面凸型レンズ82で形成した後に光透過調整フィルタ層6を具備することによって、立体レンズシートの厚さ19はさらに薄くすることができる。一例として、非球面凸型レンズは楕円球面の凸型レンズにできる。
【0062】
図11は、本発明の実施形態による光透過調整フィルタの多くの模様を示した図面である。
【0063】
図11を参照すると、光透過調整フィルタ45の模様は、断面形状が楕円45、三角形85、多角形86などの様々な模様を有することができる。
【0064】
図12は、本発明の構成を示す立体斜視図である。
【0065】
図12を参照すると、凸型レンズ41、49および光透過調整フィルタ44、45が繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層47、48、焦点距離層の下部に形成された立体層51で構成されている。
【0066】
以上、本発明の技術思想を添付図面と共に説明したが、これは本発明の望ましい実施形態を例示的に説明したものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者なら誰も本発明の技術的思想の範疇を離脱しない範囲内で多様な変形及び模倣が可能であることは明白な事実である。
【符号の説明】
【0067】
41、49 凸型レンズ
44、45 光透過調整フィルタ
47、48 焦点距離層
50 レンズアレイシート
52 立体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイシート(sheet)に関するものであり、より詳細には、凸型レンズアレイの間に光透過を調節するためのフィルタが形成され、立体映像の鮮明性を改善できる光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズアレイシートは、多様な分野に使用され、代表的には、液晶ディスプレイ用、立体映像ディスプレイ、面光源装置、バックライトユニット、立体印刷用レンズアレイシートなどに適用されている。
【0003】
図1は、従来の立体印刷用レンズアレイシートの構造を示した図面である。
【0004】
図1を参照すると、立体印刷用レンズアレイシート10は、曲率半径を有する半球型又は四角錐又は六角錘形態の凸型レンズ12がアレイ形態に配列されたレンズアレイ層13と、該レンズアレイ層13の下部に形成され、レンズの曲率半径に対応して適切な焦点距離を設定するための焦点距離層14と、前記焦点距離層14の下部に形成され、立体のイメージが結ばれる立体層11とを備える。
【0005】
図2は、立体印刷用レンズアレイシートにおいて、レンズのピッチ、曲率半径及びレンズアレイシート厚さ間の関係を説明する図面である。
【0006】
図2を参照すると、レンズのピッチ15、曲率半径42及びレンズアレイシート厚さ間の関係は、レンズの曲率半径42の大きさによって画角43が決定され、この画角43によって立体実現のための焦点距離14が決まる関係にある。
【0007】
したがって、レンズ媒質の屈折率が低く、個々レンズの曲率半径42が大きいほど、立体実現のための焦点距離層14が厚くなる。これによってレンズアレイシートの総厚さ19も厚くなる。反対に、レンズ媒質自体の屈折率が高く、曲率半径42が小さいほど、立体実現のための焦点距離層14が薄くなる。これによってレンズアレイシートの総厚さ19も薄くなる。
【0008】
レンズアレイシートは、薄いほど透明度が増加して望ましいが、薄いレンズアレイシートに立体イメージを適切に結像させようとすると、レンズの曲率半径42を小さくなるしかない。
【0009】
下記の(数1)〜(数4)は、レンズピッチ15、曲率半径42及びレンズアレイシートの総厚さ19の関係を示したものである。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】
【数3】
【0013】
【数4】
【0014】
ここで、rは曲率半径、pはレンズピッチ、dはレンズのエンボス部分の深さ、tはレンズアレイシートの総厚さ、nは屈折率をそれぞれ示す。
【0015】
前記(数1)〜(数4)で見るように、曲率半径42が小さいほど、レンズアレイシートの厚さが薄くなって望ましいものであることが分かる。しかし、レンズのピッチ15による最小の曲率半径は、既に決まっており、レンズアレイシートの厚さを任意に薄くすることはできなくなる。
【0016】
これを無視して曲率半径が小さな凸型レンズを無理やりに製作することは可能である。例えば、インチ当たり70個で構成されたレンズアレイシートの場合には、最小曲率半径42は0.1814mmになるが、これより小さな曲率半径42のレンズを製作した場合、レンズ間の間隔20が生ずることになる。この場合、間隔20を透過する直進性光37が、凸型レンズ13の屈折による結像を妨害する成分になってしまい、立体層10が薄暗く見えたり、極端には立体効果を感じることができなくなってしまう。
【0017】
図3は、従来の立体印刷用レンズアレイシートにおいてレンズの曲率半径が小さくなった場合に現われる前述の問題点を説明するための図面である。
【0018】
図3を参照すると、焦点距離を短くするためには、曲率半径が小さなレンズを作らなければならないが、この場合、前述のように、入射光がレンズを通過しない間隔、すなわち、透明層20をレンズとレンズとの間に形成するしかない。このとき、立体層11には透明層20を透過する光37とレンズを通過する光38が混在して結像するようになる。このような場合、立体イメージの立体感、色相、明度、彩度、シャープネスなどはかなり減少し、最良の立体観察は困難である。
【0019】
一方、立体印刷用レンズアレイシートの多数の層を単一樹脂層で製作した場合には、各樹脂材質が有する固有の長所と短所が現われるようになる。
【0020】
例えば、PP(ポリプロピレン)の場合には、とても安価であるという長所があるが、透明度が低下し、接着力に問題があり、寸法安全性と印刷適性が良くないという短所がある。そして、A−PET(Polyethylene Terephthalate)の場合には、高透明度、高屈折率及び寸法安全性があるという長所があるが、その代わりに接着力に問題があり、印刷適性が良くないという短所がある。また、PET−Gの場合には、高透明度、良い印刷適性、高屈折率及び寸法安全性の長所があるが、高価であるという短所があり、それぞれの樹脂には長所と短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国公開第2002/0085287号
【特許文献2】特開2010−243574号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明が解決しようとする技術的課題は、曲率半径が小さなレンズアレイに起因して生ずる透明層を適切に除去すると共に、光透過調整フィルタ層を有するレンズシートを提供することにある。
【0023】
本発明の他の課題は、互いに異なる材質の複合樹脂層で作ったレンズシートによってより鮮明で高い立体感を有することができるレンズシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記技術的課題を達成するため、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートは、凸型レンズ及び光透過調整フィルタが繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、該レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層と、前記焦点距離層の下部に形成された立体層と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、光透過調整フィルタ層と多層構造の複合積層樹脂によって、既存の製品と比べてより薄いレンズアレイシートを生産することができる長所がある。
【0026】
また、本発明は、どの位置、どの方向から見ても視覚的に安定して、鮮明な立体感などを感じることができる長所がある。
【0027】
また、本発明は、後工程上の印刷適性、寸法安全性、カッティングの容易さ、優れた接着性及び成形性などを有するという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の立体印刷用レンズアレイシートの構造を示した図面である。
【図2】立体印刷用レンズアレイシートにおいて、レンズのピッチ、曲率半径及びレンズアレイシート厚さ間の関係を説明する図面である。
【図3】従来の立体印刷用レンズアレイシートにおいて、レンズの曲率半径が小さくなった場合に現われる問題点を説明するための図面である。
【図4】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第1実施形態を示す図面である。
【図5】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第2実施形態を示す図面である。
【図6】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの一部分(A−A‘)を示す図面である。
【図7】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第3実施形態を示す図面である。
【図8】本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第4実施形態を示す図面である。
【図9】本発明のレンズの曲率半径によるレンズシートの厚さを比べて例示した図面である。
【図10】球面レンズと非球面レンズの場合にレンズの焦点位置及びレンズシートの厚さを比べた例示図面である。
【図11】本発明による光透過調整フィルタの多くの模様を示した図面である。
【図12】本発明の構成を示す立体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照して詳しく説明する。
【0030】
図4は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第1実施例を示す図面である。
【0031】
図4を参照すると、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート50は、凸型レンズ49および光透過調整フィルタ45が繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層47と、焦点距離層47の下部に形成された立体層52とで構成される。
【0032】
ここで、レンズアレイ層、焦点距離層47および立体層52は、樹脂系列の材質を使用して、それぞれの層が同じ樹脂を使用してもよく、又は他の樹脂を使用してもよい。また、それぞれの層は、互いに異なる樹脂材質を使用して複合層になったものでもよい。
【0033】
例えば、凸型レンズ49の上に、凸型レンズ49とは他の材質の樹脂層41を一層さらに追加して複合層41、49で構成することができる。焦点距離層47も、焦点距離層47とは異なる樹脂材質の層48をもう一つ付加して複合層47、48で構成してもよい。光透過調整フィルタ45も、複合層44、45で構成してもよい。
【0034】
複合層41、49になったレンズアレイ層は、多様な長所を有する。複合層41、49の材質として、A−PET、PET−G、PP、PVC、Acryl、PC、PSなどの樹脂を使用する場合、それぞれの層41、49をこのような樹脂のうちで互いに異なる材質にすると、各樹脂の長所を均等に活かすことができる。例えば、上部層41をA−PET(Polyethylene Terephthalate)にし、下部層49をPET−Gにした場合、複合層41、49はA−PETが有する高透明度、高屈折率、寸法安全性及び安価といった特性と、PET−Gが有する長所、即ち、良い印刷適性の特性を同時に有することができるようになる。このような樹脂の組合は、単に一つの例で挙げたことであるだけに過ぎず、本発明が前記例として挙げた組合せに限定されるものではない。
【0035】
本発明の主な特徴のうちひとつである光透過調整フィルタ45は、シート平面の上から見た場合、水平又は垂直方向の中の一方向にはレンズピッチ55程度だけ互いに離隔しているが、他の一方向には各ピッチで離隔されて区分的ではなく、連続的なライン(line)形態で作られている。そして、光透過調整フィルタ45の模様は、一方向に切断した断面は、図11に示すように、断面形状が楕円45、三角形85、多角形86の模様を有することができるが、これと垂直な他の方向に切断した場合には楕円45、三角形85、多角形86の模様が現われない。
【0036】
光透過調整フィルタ45の単位大きさは、凸型レンズ49の大きさより小さいために、光透過調整フィルタ45を通過して屈折した光は、立体層52に到逹する手前で焦点を結び、事前に回折または散乱してしまう。これによって凸型レンズ49を通過して屈折した光だけが立体層52に正確に焦点を結ぶようになる。そのため、立体物体23(図12参照)を観察するとき、立体物体23の深さ感、色感、明度、彩度、シャープネスなどがより向上するようになる。
【0037】
本発明の第1実施形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、第1凸型レンズ41と第1光透過調整フィルタ層44を屈折率1.575であるPET−G樹脂にして、凸型レンズの単位ピッチ55を363マイクロメータ、レンズの配列角度を45度、曲率半径42を150マイクロメータ、第1光透過調整フィルタ層44の幅57を63マイクロメータ、エンボス高さ58を50マイクロメータで構成し、第2凸型レンズ49と第2光透過調整フィルタ45を屈折率1.575であるA−PET樹脂にしたとき、望ましいレンズシートのうち一つになることを見出した。
【0038】
結局、本発明の第1実施形態によって、凸型レンズ41、49の曲率半径が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である181マイクロメータよりもさらに小さな150マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、レンズアレイシート50の厚さ59もまた411マイクロメータ程度になる印刷立体観測用マイクロレンズアレイシートを製作することが可能であった。
【0039】
本発明のすべての実施形態では、立体層51、52の立体パターンは、積層凸型レンズ41、49のアレイ配列と同一の角度で、90%〜99.95%と100.05%〜110%の範囲内で間隔を調整して配列すると、両眼の視差による印刷立体映像、エンボ立体映像が表現される。
【0040】
図5は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第2実施形態を示す図面である。
【0041】
図5を参照すると、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第2実施形態は、立体層51がエンボス形態を有する。本発明の第1実施形態である図4の立体層52の立体パターンが、レンズシートの形成後に印刷して製作されるのに対して、第2実施形態の立体層51は、レンズアレイ層41、49及び焦点距離層47、48の圧出加工と同時に製作できる。これによってより製造工程が簡単になるという追加の長所がある。
【0042】
本発明の第2実施形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、第1凸型レンズ41と第1光透過調整フィルタ層44を屈折率1.575であるPET−G樹脂にして、レンズの配列角度を45度、曲率半径を100マイクロメータ、第1光透過調整フィルタ層44の幅57を30マイクロメータ、エンボス高さ58を25マイクロメータで構成し、第2凸型レンズ49と第2光透過調整フィルタ45を屈折率1.575であるA−PET樹脂にしたとき、望ましいレンズシートのうち一つになることを見出した。このとき立体層51のエンボスパターンは、レンズピッチより1%程度小さな大きさで印刷するとさらに望ましい結果が得られた。
【0043】
結局、本発明によって、凸型レンズ41、49の曲率半径42が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である115マイクロメータよりもさらに小さな100マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、立体レンズシート50の厚さ59もまた272マイクロメータ程度になり、立体パターンの印刷過程を別途要しない立体観測用マイクロレンズシートを製作することが可能であった。
【0044】
図6は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの一部分(A−A’)を互いに区分的に分離して詳細に示した図面である。
【0045】
図7は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第3実施形態を示す図面である。
【0046】
図7を参照すると、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第3実施形態は、レンズアレイ層の上部に透明接着コーティング層61を塗布して、レンズシート上部を平滑化したことに特徴がある。
【0047】
本発明の第3実施形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、レンズ単位ピッチ55が339マイクロメータ、レンズの配列角度が45度配列で構成される屈折率1.575のPET−G樹脂であり、曲率半径42が140マイクロメータで設計された第1凸型レンズ層41と、幅57が58マイクロメータ、エンボス高さ58が40マイクロメータに設計した第1光透過調整フィルタ層44及び第2凸型レンズ層49と第2光透過調整フィルタ層45を屈折率1.575であるA−PET樹脂にした場合、下記の(数5)に代入した結果は、立体用レンズアレイシートの厚さ1260マイクロメータになった。
【0048】
【数5】
【0049】
ここで、f1は焦点距離層の厚さ、rはレンズ半径、n1は表面コーティング層の屈折率及びn2は凸型レンズの屈折率をそれぞれ示す。
【0050】
第2焦点距離層48の下部には、立体用印刷パターンピッチ56がレンズ単位ピッチ55より1.8%小さな大きさで加工し、積層凸型レンズ41、49の配列角度と同一に配列して高精密印刷処理すると、レンズシートと印刷パターンが一体化されて、レンズの表面が平滑化された図7のような立体用複合積層レンズシートの構成が可能である。
【0051】
結局、本発明によって、凸型レンズ41、49の曲率半径42が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である169マイクロメータよりもさらに小さな140マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、立体レンズシート50の厚さ59もまた1260マイクロメータ程度になり、表面が平滑化された印刷立体観測用マイクロレンズシートを製作することが可能であった。
【0052】
さらに、第1凸型レンズ層41及び光透過調整フィルタ45の表面の屈折率より低い屈折率の接着コーティング剤又はインク吸収用コーティング剤を塗布、硬化する過程で、表面コーティング液61の屈折率調整によって、印刷用立体マイクロレンズシートの焦点距離が自由に調整可能になり、積層凸型レンズ41、49の表面を平滑化されることで表面の光沢度及び表面強度が自由に調整可能になり、ひいては、より良い立体感を表現することができるようになった。
図8は、本発明による光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシートの第4実施形態を示す図面である。
【0053】
図8を参照すると、図7の第3実施形態において立体層51がエンボス形態を有する。本発明の第1実施形態である図4の立体層52の立体パターンが、レンズシートの形成後に印刷して製作されるのに対して、第4実施形態の立体層51は、レンズアレイ層57、58及び焦点距離層47、48の圧出加工と同時に製作できる。これによってより製造工程が簡単になるという追加の長所がある。
【0054】
本発明の第4実施例形態に関して、発明者らが実験して得られた結果値のうち一つは、第1凸型レンズ41と第1光透過調整フィルタ層44を屈折率1.575であるPET−G樹脂にして、レンズの配列角度を45度、曲率半径42を75マイクロメータ、第1光透過調整フィルタ層47の幅57を45マイクロメータ、エンボス高さ58を38マイクロメータで構成し、第2凸型レンズ49と第2光透過調整フィルタ48を屈折率1.575であるA−PET樹脂にしたとき、レンズシートの厚さ59が205マイクロメータ程度の望ましいレンズシートのうち一つになることを見出した。このとき立体層51のエンボスパターンは、レンズピッチより1.7%程度小さな大きさで印刷するとさらに望ましい結果が得られた。
【0055】
結局、本発明によって、凸型レンズ41、49の曲率半径42が、レンズ周りに形成された光透過調整フィルタ44、45の存在によって、一般の球面レンズが有する最小曲率半径値である97マイクロメータよりもさらに小さな75マイクロメータの曲率半径設計が可能であり、立体レンズシート50の厚さ59もまた205マイクロメータになり、立体パターンの印刷過程を別途要しない立体観測用マイクロレンズシートを製作することが可能であった。
【0056】
本発明の多くの実施形態で言及した具体的な数値は、本発明の主な特徴である光透過調整フィルタが付加された本発明と、そうではない従来の構成とを比較して、本発明の効果を説明することを目的としており、本発明の権利範囲をそのような数値で限定することを意図して提示されたものではないことに留意しなければならない。
【0057】
図9は、レンズの曲率半径によるレンズシートの厚さを比べて例示した図面である。
【0058】
図9を参照すると、一番左側の図は、凸型レンズの大きさが半球面より小さい状態を示す。左側から二番目の図は、凸型レンズの大きさが半球面になり、レンズシートの厚さがさらに減って最小値になることができることを示す。
【0059】
そして、左から三番目の図は、本発明の実施形態によるレンズアレイ層に光透過調整フィルタを付加して、レンズアレイシートの厚さがさらに減少できることを示す。一番右の方の図は、本発明の他の実施形態に従って、凸型レンズを非球面形態に設計してレンズシートの厚さがさらに減少できることを示す。
【0060】
図10は、本発明の実施形態による非球面凸型レンズの効果を図解的に表示する。
【0061】
図10を参照すると、半球型の凸型レンズ89は、非球面凸型レンズ82で形成した後に光透過調整フィルタ層6を具備することによって、立体レンズシートの厚さ19はさらに薄くすることができる。一例として、非球面凸型レンズは楕円球面の凸型レンズにできる。
【0062】
図11は、本発明の実施形態による光透過調整フィルタの多くの模様を示した図面である。
【0063】
図11を参照すると、光透過調整フィルタ45の模様は、断面形状が楕円45、三角形85、多角形86などの様々な模様を有することができる。
【0064】
図12は、本発明の構成を示す立体斜視図である。
【0065】
図12を参照すると、凸型レンズ41、49および光透過調整フィルタ44、45が繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層47、48、焦点距離層の下部に形成された立体層51で構成されている。
【0066】
以上、本発明の技術思想を添付図面と共に説明したが、これは本発明の望ましい実施形態を例示的に説明したものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者なら誰も本発明の技術的思想の範疇を離脱しない範囲内で多様な変形及び模倣が可能であることは明白な事実である。
【符号の説明】
【0067】
41、49 凸型レンズ
44、45 光透過調整フィルタ
47、48 焦点距離層
50 レンズアレイシート
52 立体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸型レンズ及び光透過調整フィルタが繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、
前記レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層と、
前記焦点距離層の下部に形成された立体層と、を含み、
前記光透過調整フィルタは、前記凸型レンズより小さな大きさであって、前記光透過調整フィルタを通過した光が前記立体層に到逹できないように抑制することを特徴とする、光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項2】
前記立体層は、印刷によってパターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項3】
前記立体層は、前記レンズアレイ層及び前記焦点距離層の圧出加工と同時にエンボスパターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項4】
前記印刷によるパターンのピッチは、前記凸型レンズのピッチより小さなことを特徴とする請求項2に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項5】
前記エンボシングパターンのピッチは、前記凸型レンズのピッチより小さなことを特徴とする請求項3に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項6】
前記光透過調整フィルタは、楕円球面であることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項7】
前記凸型レンズは、楕円球面であることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項8】
前記レンズアレイ層の上部には、接着表面コーティング剤が塗布されたことを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項9】
前記レンズアレイ層の上部には、接着表面コーティング剤が塗布されて平滑化されたことを特徴とする請求項8に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項10】
前記レンズアレイ層の上部に、インク吸収用コーティング層が付加されたことを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項11】
前記光透過調整フィルタの一断面は、非球面、三角形及び多角形のうちでいずれか一つの形態であることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項12】
前記焦点距離層は、第1焦点距離層及び前記第1焦点距離層の下部に形成された第2焦点距離層で積層されていることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項13】
前記レンズアレイ層の凸型レンズは、第1凸型レンズ及び前記第1凸型レンズ下部に形成された第2凸型レンズで積層されていることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項14】
前記レンズアレイ層の光透過調整フィルタは、第1光透過調整フィルタ及び前記第1光透過調整フィルタ下部に形成された第2光透過調整フィルタで積層されていることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項15】
前記第1凸型レンズの屈折率は、前記第2凸型レンズの屈折率より同じであるか、又は大きいことを特徴とする請求項13に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項16】
前記光透過調整フィルタは、平面上の垂直又は水平方向のうち一方向にはピッチを構成しないで連続的な模様で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項1】
凸型レンズ及び光透過調整フィルタが繰り返しアレイで構成されたレンズアレイ層と、
前記レンズアレイ層の下部に形成された焦点距離層と、
前記焦点距離層の下部に形成された立体層と、を含み、
前記光透過調整フィルタは、前記凸型レンズより小さな大きさであって、前記光透過調整フィルタを通過した光が前記立体層に到逹できないように抑制することを特徴とする、光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項2】
前記立体層は、印刷によってパターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項3】
前記立体層は、前記レンズアレイ層及び前記焦点距離層の圧出加工と同時にエンボスパターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項4】
前記印刷によるパターンのピッチは、前記凸型レンズのピッチより小さなことを特徴とする請求項2に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項5】
前記エンボシングパターンのピッチは、前記凸型レンズのピッチより小さなことを特徴とする請求項3に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項6】
前記光透過調整フィルタは、楕円球面であることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項7】
前記凸型レンズは、楕円球面であることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項8】
前記レンズアレイ層の上部には、接着表面コーティング剤が塗布されたことを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項9】
前記レンズアレイ層の上部には、接着表面コーティング剤が塗布されて平滑化されたことを特徴とする請求項8に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項10】
前記レンズアレイ層の上部に、インク吸収用コーティング層が付加されたことを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項11】
前記光透過調整フィルタの一断面は、非球面、三角形及び多角形のうちでいずれか一つの形態であることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項12】
前記焦点距離層は、第1焦点距離層及び前記第1焦点距離層の下部に形成された第2焦点距離層で積層されていることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項13】
前記レンズアレイ層の凸型レンズは、第1凸型レンズ及び前記第1凸型レンズ下部に形成された第2凸型レンズで積層されていることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項14】
前記レンズアレイ層の光透過調整フィルタは、第1光透過調整フィルタ及び前記第1光透過調整フィルタ下部に形成された第2光透過調整フィルタで積層されていることを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項15】
前記第1凸型レンズの屈折率は、前記第2凸型レンズの屈折率より同じであるか、又は大きいことを特徴とする請求項13に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【請求項16】
前記光透過調整フィルタは、平面上の垂直又は水平方向のうち一方向にはピッチを構成しないで連続的な模様で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光透過調整フィルタが形成されたレンズアレイシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−108513(P2012−108513A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250624(P2011−250624)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(511278534)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(511278534)
【Fターム(参考)】
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