光通信デバイスおよび光通信システム
【課題】 同じデバイスによる双方向通信が可能な光通信デバイスを提供する。
【解決手段】 通信デバイス200・201は、光電子素子4と該光電子素子4の送受する情報を電気信号に変換する入力信号増幅回路1及び出力信号増幅回路2とを有しており、光電子素子4は、送信モードと受信モードとを通信方向制御端子5からの制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行うものであるから、同じデバイスにより双方向通信を行うことが可能となる。
【解決手段】 通信デバイス200・201は、光電子素子4と該光電子素子4の送受する情報を電気信号に変換する入力信号増幅回路1及び出力信号増幅回路2とを有しており、光電子素子4は、送信モードと受信モードとを通信方向制御端子5からの制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行うものであるから、同じデバイスにより双方向通信を行うことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向性の通信を可能とする光通信デバイスおよび光通信システムに関するものであって、たとえば不具合解析手段または位置ズレや遮蔽物などを検知するセンサとして用いられ得る光通信デバイスおよび光通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を用いた無線通信が様々な分野で利用されている。無線通信はデータ伝送路としてのケーブルが不要であることから、例えば携帯機器間での通信、PCとプリンタ間での通信など様々な機器間での通信に利用されている。特に光通信は電波を用いた通信方式と比べ低コストであり、電磁放射ノイズによる影響も受けないため、今後ますます利用範囲が広がるものと予想される。
【0003】
従来の光通信システムは、専用の発光デバイスと専用の受光デバイスという組み合わせからなり、1セットのデバイスは一方向の通信のみを行なう。そのため双方向の通信を実現するために、2セットのデバイスを用いる方法が広く使われている。
【0004】
例えば、図12に示されるように、従来の光送受信デバイス280は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備え、同様に光送受信デバイス281は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備えている。このとき、光送受信デバイス280の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス281のフォトダイオード46によって受光される。同様に、光送受信デバイス281の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス280のフォトダイオード46によって受光される。つまり、赤外線LED45は光送信専用に用いられ、かつフォトダイオード46は光受信専用に用いられる。したがって双方向の通信を実現するためには、光送受信デバイス280および光送受信デバイス281はともに、赤外線LED45およびフォトダイオード46を有する必要がある。
【0005】
また、従来の光通信方式としてIrDAが広く使われている。IrDAは、高品質な通信を行う際に伝送エラーを検出する為の通信プロトコルを有しているため、データ通信開始および終了時にエラーチェック用の時間を必要とする。
【0006】
IrDAを使用した光通信方式の伝送速度は、IrDA1.0 SIRで最高115.2kbps、IrDA1.1 FIRで最高4Mbpsである。しかしながら、現在の通信データの高画質化の需要に対して低速であるため通信時間がかかってしまう(115.2kbpsだとデータサイズにもよるが1枚数十秒を費やしている)。また、IrDAでは3台以上は繋がらず、1対多の通信が実現できない。
【0007】
また、従来の光通信システムは、通信機能としてしか利用できず、高付加価値をつけるために照明やセンサ機能を取り込む場合は、照明システムやセンサシステムをさらに追加する必要がある。
【0008】
図13には、光通信システム50に侵入者センサ51を追加した、従来のシステム53の例が示されている。
【0009】
光通信システム50は、光送受信デバイス280および光送受信デバイス281からなる。光送受信デバイス280は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備え、同様に光送受信デバイス281は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備えている。このとき、光送受信デバイス280の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス281のフォトダイオード46によって受光される。同様に、光送受信デバイス281の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス280のフォトダイオード46によって受光される。
【0010】
侵入者センサ51は、赤外線LED45およびフォトダイオード46からなる。このとき、赤外線LED45から送信された光は、床52によって反射され、フォトダイオード46によって受光される。侵入者センサ51は、フォトダイオード46によって受光される光が、例えば侵入者によって遮られた場合、侵入者を検知するためのセンサとして機能する。
【0011】
つまりシステム53は、光通信システム50に侵入者センサ51を別個に追加することによって、通信機能および侵入者検知機能を備えることを可能とする。
【0012】
また、従来から、上記のような光通信を行うために可視光が広く使われている。例えば、異なる信号にしたがって発光制御され、略同一方向に光を放出するように配列された複数の発光素子と、上記発光素子に近接して配置された受光素子とを具備したことを特徴とする光通信装置が開示されている。しかしながら、上記光通信装置は、通信機能としての役割のみが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
また、光通信を行なうために可視光を用いる例として、複数の信号の各々をそれぞれ異なる波長の可視光に変換し、その各可視光を受信エリアの一部が重畳するように送信する可視光送信手段と、上記可視光送信手段により上記受信エリアに送信された上記複数の可視光のうちの少なくとも一つの可視光を波長選択性フィルタにより選択して受光し、受光した可視光を光電変換して復調する可視光受信手段とを備えた可視光通信装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
また、従来から、光通信信号として赤外線を用いる方法が広く使われている。しかしながら赤外線は可視光領域外であるために目視することができない。そのため、現在の通信状況を確認するためには確認用の装置や機器などを必要とする。
【0015】
たとえば、図14に示されるように、光送受信デバイス280は、赤外線LED45、フォトダイオード46、送信/受信用制御IC47および赤色LED55を備え、同様に光送受信デバイス281は、赤外線LED45、フォトダイオード46,送信/受信用制御IC47および赤色LED55を備えている。光送受信デバイス280の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス281のフォトダイオード46によって受光される。同様に、光送受信デバイス281の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス280のフォトダイオード46によって受光される。このとき光通信に異常が生じた場合、赤色LED55を発光させることによって、異常の発生を告知することが可能となる。
【0016】
上記のような通信機能状態のエラーを知らせるセンサとして可視光を用いたものが広く使われている。たとえば、赤外線信号を送信する送信部、および赤外線信号を受信する受信部の双方が装備され、同様の装備を有する被制御装置に、双方向赤外線通信による情報交換で制御信号を伝達する赤外線制御装置において、被制御装置との間での情報交換に基づいて、赤外線通信が可能であるか否かを判断する判断手段と、判断手段からの出力に応答して、判断手段によって通信不可能と判断されるとき、ユーザに対して予め定める告知を行う告知手段と、ユーザからの選択入力に応答して、告知手段の告知動作の有効または無効を選択する選択手段とを含むことを特徴とする赤外線制御装置が開示されている。ここで、上記告知手段として、音響出力によってユーザに対する告知を行なう発音手段、可視光の発光によってユーザに対する告知を行なう発光手段、振動の発生によってユーザに対する告知を行なう振動手段あるいは液晶画面表示によってユーザに対する告知を行なう表示手段などを用いる赤外線制御装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−261176号公報(平成9年(1997)10月3日公開)
【特許文献2】特開2004−193908公報(平成16年(2004)7月8日公開)
【特許文献3】特開平11−272372号公報(平成11年(1999)10月8日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の構成では、光通信システムを構成する上で、エラー検出を周囲に知らせるためには、専用のデバイスを必要とするため、部品点数が増えてしまうという問題を生じる。また、コストアップや実装面積の増加を招いてしまうという問題を生じる。
【0018】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、同種のデバイスによって双方向通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る光通信デバイスは、上記課題を解決するために、光電子素子と該光電子素子の送受する情報を電気信号に変換する電気信号変換手段とを有する光信号デバイスであって、前記光電子素子は、送信モードと受信モードとを制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行うものであることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、同じ光電子素子により送信及び受信を行うことが可能となるから、例えば、本発明の同じ光通信デバイス用いて双方向の光通信が可能となる。このため、光通信システムを構成する部品点数を削減することが可能となる。その結果、本発明の光通信デバイスは、低コスト化および省スペース化を可能とするという効果を奏する。なお、送信モードと受信モードとを切換える制御信号は、例えば、光通信デバイスに通信方向制御端子を設け、当該通信方向制御端子の設定に基いた制御信号を、光電子素子に入力する構成を採用することができるが、この構成に限られるものではなく、上記の構成以外には、例えば、送信モードと受信モードとを切換えるため制御信号を外部から受信する構成が挙げられる。
【0021】
本発明に係る光通信デバイスでは、上記光電子素子は、通信状態に応じて異なるパターンの可視光を発光するものであることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、情報送信手段または情報受信手段のレンズや樹脂などに反射された可視光を目視することが可能であるので、光通信の成立している箇所を、容易に視認することを可能とするという効果を奏する。なお、上記「異なるパターンの可視光を発光する」とは、外部から視認することができる程度に、通信状態の変化に応じて、光電子素子の可視光の発光状態を変化させることをいい、例えば、予め規定された所定の範囲から逸脱した通信状態となった場合のみ発光すること、通信状態を段階的にレベル分けししておき、当該レベルに応じて異なるパターンで点滅すること等が挙げられる。
【0023】
本発明に係る光通信デバイスでは、上記光電子素子は、情報を所定時間受信しない場合に点滅するものであることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、光通信が成立していない領域に存在する光電子素子を発光点滅することで、不具合の発生および不具合箇所を容易かつ早急に発見できるという効果を奏する。
【0025】
また、上記の構成によれば、例えば、ほこりなどの遮蔽物の出現などによる通信状態の異常を、容易かつ早急に認識できるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る光通信デバイスでは、上記光電子素子は、前記光電子素子が受光する光の強度に応じて点滅パターンを変えるものであることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、情報受信手段と情報送信手段の位置にズレが生じた場合、位置のズレが、情報受信手段と情報送信手段との間の距離が遠のく方向にずれる時と、情報受信手段と情報送信手段との間の距離が近づく方向にずれる時とで、光電子素子が異なるパターンで点滅することが可能となる。その結果、位置ズレの発生状況を容易かつ早急に発見できるという効果を奏する。
【0028】
本発明に係る光通信システムは、上記の光通信デバイスを複数備えているものである。
【0029】
上記の構成によれば、一セットの同種のデバイスによって双方向の光通信が可能となるので、光通信システムを構成する部品点数を削減することが可能となる。その結果、本発明の光通信システムでは、低コスト化および省スペース化を可能とするという効果を奏する。
【0030】
本発明に係る光通信システムでは、上記複数の光通信デバイスの光電子素子が、互いに電気的に絶縁されていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、個々の光電子素子に生じた不具合が、不具合を生じていない他の周辺部に影響することを防ぐことを可能とするという効果を奏する。
【0032】
本発明に係る光通信システムでは、上記複数の光通信デバイスのうちの一つが、上記光電子素子を複数備えたものであることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、送信光を送った光電子素子と同種の光電子素子を複数(N)個用意することによって1対Nの同一情報の通信を可能とする光通信システムを提供することを可能とするという効果を奏する。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る光通信デバイスおよび光通信システムは、送信モードと受信モードとを外部から受信した制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行う光電子素子を備えているため、一セットの同種のデバイスによる双方向通信を可能とするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態について図1ないし図11に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
〔実施の形態1〕
図2は、送信側が送信用として、受信側が受信用として同種の光電子素子を使用して光通信システムを構成する基本概念図である。
【0037】
光送信デバイス210は、光電子素子に情報を送る手段10および光電子素子4を備え、光受信デバイス211は、光電子素子からの情報を電気信号に変換する手段11および光電子素子4を備える。
【0038】
このとき光送信デバイス210に入力された入力信号12は、光電子素子に情報を送る手段10によって光電子素子4へと送られる。情報を受け取った光送信デバイス210の光電子素子4は、光受信デバイス211に光を送信する。上記光は、光受信デバイス211の光電子素子4によって受光される。受光された光は、光電子素子からの情報を電気信号に変換する手段11によって出力信号13に変換される。
【0039】
また、図3は、図2を詳しく記載したものであって、送信側は入力信号増幅回路1を、受信側は出力信号増幅回路2を用いることで片方向の光通信を実現した例である。このとき、送信側から受信側にアナログデータをそのまま伝えるだけなので通信プロトコルを必要としない。通信プロトコルを必要としないので、データ品質の低いマルチメディア通信に利用できる。
【0040】
具体的には、光送受信デバイス(光通信デバイス)200は、入力信号増幅回路(電子信号変換手段)1、出力信号増幅回路(電子信号変換手段)2、制御回路(電子信号変換手段)3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。同様に、光送受信デバイス(光通信デバイス)201は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。光送受信デバイス200において、通信方向制御端子5を‘H’に設定した場合、制御回路3によって入力信号増幅回路1が選択される。一方、光送受信デバイス201において、通信方向制御端子5を‘L’に設定した場合、制御回路3によって出力信号増幅回路2が選択される。その結果、光送受信デバイス200が、入力信号12を入力されたとき、入力信号12は、入力信号増幅回路1を介して光電子素子4へと送られる。情報を受け取った光電子素子4は、光送受信デバイス201に光を送信する。上記光は、光送受信デバイス201の光電子素子4によって受光される。受光された光は、出力信号増幅回路2を介して、出力信号13に変換される。
【0041】
上記のように、光送受信デバイス200は、通信制御方向制御端子5を‘H’に設定することによって光送信デバイスとして機能し、光送受信デバイス201は、通信制御方向制御端子5を‘L’に設定することによって光受信デバイスとして機能する。
【0042】
〔実施の形態2〕
図1は、制御信号からの信号によって、通信方向制御端子5の設定を‘H’または‘L’に切り換えることによって、光送受信デバイスを送信モードまたは受信モードに切り替えることを可能とし、その結果、双方向通信を実現した本実施の形態の光通信デバイスの概略構成を示している。なお、本実施の形態及び以下に説明する実施の形態においては、既に説明した部材と同様の機能を奏する部材には、同じ番号を付し、説明を省略することとする。本実施の形態の光通信デバイスにおいて情報を送受信する部分は共に同種の光電子素子4なので、送受信する際には以下のような手順で実現される。
【0043】
光送受信デバイス200は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。同様に、光送受信デバイス201は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。
【0044】
まず、図中の各構成要素のうち、送信側の通信方向制御端子5と受信側の通信方向制御端子5とは、論理が正反対の関係をなしている。つまり光送受信デバイス200の通信方向制御端子5が‘H’に設定される場合、光送受信デバイス201の通信方向制御端子5は‘L’に設定され、光送受信デバイス200の通信方向制御端子5が‘L’に設定される場合、光送受信デバイス201の通信方向制御端子5は‘H’に設定される。
【0045】
ここで、光送受信デバイス200および光送受信デバイス201は同じデバイスであるので、上述の通信方向制御端子5の電圧レベルに応じて、制御回路3は、入力信号増幅回路1または出力信号増幅回路2のいずれかを選択するように動作する。
【0046】
つまり、光送受信デバイス200において、通信制御方向制御端子5を‘H’に設定した場合、制御回路3によって入力信号増幅回路1が選択される。その結果、光送受信デバイス200は、光送信デバイスとして機能する。このとき、送受信デバイス201において、通信制御方向制御端子5は‘L’に設定され、制御回路3によって出力信号増幅回路2が選択される。その結果、光送受信デバイス201は、光受信デバイスとして機能する。
【0047】
一方、光送受信デバイス200において、通信制御方向制御端子5を‘L’に設定した場合、制御回路3によって出力信号増幅回路2が選択される。その結果、光送受信デバイス200は、光受信デバイスとして機能する。このとき、光送受信デバイス201において、通信制御方向制御端子5は‘H’に設定され、制御回路3によって入力信号増幅回路1が選択される。その結果、光送受信デバイス201は、光送信デバイスとして機能する。
【0048】
つまり、本発明の光通信システムにおける双方向の通信は、例えば以下の(1)〜(4)の手順に従ってなされ得る。
(1)光送受信デバイス200または光送受信デバイス201のいずれかを送信モードとするために、光送受信デバイス200または光送受信デバイス201のいずれかの通信方向制御端子5を‘H’に設定する。
(2)(1)と同時に、(2)のステップで‘H’に設定されなかった方の光送受信デバイスの通信方向制御端子5を‘L’に設定する。
(3)(1)、(2)により光送受信デバイス200および光送受信デバイス201は、それぞれ内蔵してある入力信号増幅回路1または出力信号増幅回路2を選択する。
(4)送信と受信の状態の切り替える場合は、光を送信する光送受信デバイスが、最後のデータを送り終えてから所定の時間が経った後、通信方向制御端子5の状態を反転することによって簡単に実現できる。
【0049】
〔実施の形態3〕
図4は、概略同じ波長の発光を使用して、1対N同一情報通信(分離機)を行なう光通信システムを構成する光通信デバイスの要部を示した一例である。
【0050】
光送受信デバイス(光通信システム)220は、複数の受光LED15を備えている。このとき、光電子素子である受光LEDを青色とし、入力単色光16を青色とする。入力青色光のエネルギーは、受光用のすべての受光LED15のバンドギャップと概略同じである。それゆえ、入力青色光は、すべての受光LED15を励起することができる。励起された受光LED15は、光電流を発生することが可能である。光電流が電圧に変換され増幅されることによって、入力青色光の情報を取り出すことが可能となる。以上のように、複数の同じ受光LEDを並べることによって、簡単に分離機を構成することが可能な光通信デバイスとなるから、1対複数の光通信が可能な光通信システムを実現することができる。
【0051】
〔実施の形態4〕
図5(a)および図5(b)は、光通信デバイスの他にセンサなどの他のデバイスを外付けすることなく、動作状態制御端子70を制御することで、1台で通信モードまたはセンサモードに対応することが可能な高付加価値な光通信システムを示したものである。
【0052】
図5(a)に示すように、光送受信デバイス230は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4、通信方向制御端子5および動作状態制御端子20を備えている。同様に、光送受信デバイス231は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4、通信方向制御端子5および動作状態制御端子20を備えている。
【0053】
光送受信デバイス(光通信デバイス)230、および光送受信デバイス(光通信デバイス)231は、これらの通信方向制御端子5のうち、一方を‘H’とし、他方を‘L’とすることにより、通信方向を固定(送信側⇒受信側)することができるものである。また、動作状態制御端子20は、‘H’とすることで昼間用の光通信動作に、‘L’とすることで夜間用の侵入者センサ動作に、光送受信デバイス230及び231の動作を設定するものである。侵入者により受信側である光送受信デバイス231の光電子素子4が受光する光が遮られ、ある一定時間以上経つと侵入者の侵入を周囲に知らせるために、容易に視認できるような点滅パターンで受信側の光電子素子4は点滅する。
【0054】
光送受信デバイス230の通信方向制御端子5を‘H’に設定し、光送受信デバイス231の通信方向制御端子5を‘L’に設定することによって、通信方向を固定する。
【0055】
このとき動作状態制御端子20を‘H’とすることによって、昼間用の光通信動作に設定する。この場合、図5(a)に示すように、光送受信デバイス230と光送受信デバイス231とは、上記固定された方向の光通信を行うことができる。また、通信方向制御端子5におけるHとLとの設定を上記と逆にすれば、逆方向に通信方向を固定することができる。
【0056】
また、夜間は動作状態制御端子20を‘L’とすることによって、夜間用の侵入者センサ動作に設定する。この場合、図5(b)に示すように、光送受信デバイス230の光電子素子4から光送受信デバイス231の光電子素子4に送信される光が、侵入者などによって遮られ、所定の時間以上経過すると、容易に視認できるような点滅パターンで光送受信デバイス231の光電子素子4が点滅することにより、侵入者の侵入を周囲に知らせることができる。
【0057】
〔実施の形態5〕
図6は、光通信が成立している箇所を視認することが可能な光通信システムを示したものである。
【0058】
本実施形態の光通信システムは、光送受信デバイス(光通信デバイス)240および光送受信デバイス(光通信デバイス)241からなる。ここで、たとえば、光送受信デバイス240は光送信デバイスとして設定され、光送受信デバイス241は光受信デバイスとして設定される。つまり、光通信の方向がこのように設定された場合には、光送受信デバイス240から送信される光が、光送受信デバイス241によって受光され、この状態が正常な状態とされる。
【0059】
上記正常な状態では、光送受信デバイス240および光送受信デバイス241との間で光通信を行う。本実施の形態の光送受信デバイス240および光送受信デバイス241が備える光電子素子4は、可視光を用いて通信を行うものである。このため、光送信部および光受信部のレンズまたは樹脂などによって、通信光が反射されるが、この反射された通信光(可視光)は容易に視認できるので、光通信の成立を容易に視認することが可能となる。
【0060】
〔実施の形態6〕
図7は、光通信が成立していない時に、そのことを外部に知らせることが可能な例を示したものである。
【0061】
ここで、光送受信デバイス(光通信デバイス)250を送信モードに設定し、光送受信デバイス(光通信デバイス)251を受信モードに設定する。光送受信デバイス250から光が送信されているにも関わらず、遮蔽物25の影響で光送受信デバイス251の受信部分に光が所定の時間以上入力されない場合、光送受信デバイス251が、送信(発光)デバイスにもなる。このとき光送受信デバイス251は、外部から通信状態の異常を認識できるように、自らの光電子素子4を点滅させる。このことによって、周囲は光通信不具合箇所を容易かつ早急に確認することができる。より具体的には、受光側である光送受信デバイス251の光電子素子4が受光した通信用の光の光度を電圧レベルに変換し、その電圧レベルが基準電圧より低くなった場合、光電子素子4を点滅させるように動作する。このとき、受光側での光の強さを電圧レベルに変換した値と基準電圧とを比較し、その差が所定の値以内である場合を正常な状態とする。
【0062】
〔実施の形態7〕
図8は、本実施の形態の光通信システムを位置ズレセンサとして使用する場合を示しており、受信側である光送受信デバイス261が基準位置よりも近づいた場合の例を表している。
【0063】
同図に示すように、本実施の形態の光送受信デバイス260及び光送受信デバイス261はいずれも、発光LED(青)30及び受光LED(青)31を備えている。これら発光LED(青)30及び受光LED(青)31は、光電子素子4(図1参照)よりなるものであるが、本実施の形態では、通信用の光を発光(発信)する側のものを発光LED(青)30、通信用の光を受光(受信)する側のものを受光LED(青)31としている。後述するように、本実施の形態では、受光LED(青)31の受光した光の強度(光度)の変化に基いて、受光LED(青)31が外部に異常(位置ズレ)を知らせるものである。
【0064】
光送受信デバイス260の発光LED(青)30から光送受信デバイス261の受光LED(青)31へ光が送受信される。この場合、受信側である光送受信デバイス261が、本来の位置35から光送受信デバイス260に対して近づくことによって受光LED(青)31に入力される光の光度が増加する。この受光の光度を電圧レベルに変換し、基準電圧と比較し、基準電圧より高くなることで、受光LED(青)31を早く点滅させる。このことによって周囲に位置ズレが近づく方向に発生していることを知らせることができる。
【0065】
図9は、本実施の形態の光通信システムを位置ズレセンサとして使用する場合を示しており、位置ズレセンサとしての使用時で、受信側である光送受信デバイス261が基準位置よりも遠のいた場合の例を表している。
【0066】
光送受信デバイス260の発光LED(青)30から光送受信デバイス261の受光LED(青)31へ光が送受信される。この場合、受信側である光送受信デバイス261が、本来の位置35から光送受信デバイス260に対して遠のくことによって受光LED(青)31に入力される光の光度が減少する。この受光の光度を電圧レベルに変換し、基準電圧と比較し、基準電圧より低くなることで、受光LED(青)31を遅く点滅させる。このことによって周囲に位置ズレが遠のく方向に発生していることを知らせることができる。
【0067】
上述した受信側である光送受信デバイス261が基準位置よりも、光送受信デバイス260に近づいた場合と遠のいた場合とを合わせた構成とすれば、位置ズレの発生状態を早急に容易に確認することができる。また、近づいた場合と遠のいた場合とで、受光LED(青)31を異なるパターンで発光するものとすれば、本来の位置35からのズレが、光送受信デバイス261と光送受信デバイス260との距離が小さくなる方向か大きくなる方向かを判別することが容易になる。
【0068】
〔実施の形態8〕
図10は、遮蔽物センサとして使用される場合、ほこりなどの遮蔽物によって入射光の光度が低下した場合の状態を表している。
【0069】
光送受信デバイス260の発光LED(青)30から光送受信デバイス261の受光LED(青)31へ光が送受信される。このとき、発光LED30からの光が遮蔽物25などによって遮られ、受信側である光送受信デバイス261の受光LED31に十分な光度が得られない場合、受光される光度を換算した電圧レベルが基準電圧より低くなる。このとき、光送受信デバイス261が、送信(発光)デバイスにもなる。つまり光送受信デバイス261は、外部から異常を認識できるように遅く点滅して知らせることが可能である。このように、光電子素子4(図1参照)よりなる受光LED31が、通信状態に応じて異なるパターンの光(可視光)を発光することにより、外部から通信状態の異常を容易に視認することが可能となる。
【0070】
〔実施の形態9〕
図11(a)〜図11(c)は、異なる複数電源を使用して光通信を行なっているときに、各光通信デバイスに備えられた個々の光電子素子が繋がっていない構成である本実施形態の光通信システムを示している。
【0071】
図11(a)に示すように、光送受信デバイス(光通信デバイス)270は電源9V系によって動作し、光送受信デバイス(光通信デバイス)271は電源5V系によって動作している。このとき光送受信デバイス270と光送受信デバイス271は電気的に絶縁された状態で光の送受信を行なっている。
【0072】
光送受信デバイス270および光送受信デバイス271が電気的に絶縁されていない構成の光通信システムの場合、光送受信デバイス270側で線くず40などによってショートが発生した時、光送受信デバイス271は何らかの影響を受ける。しかし、図11(b)に示すように、本実施形態の光通信システムは、光送受信デバイス270および光送受信デバイス271が電気的に絶縁されているので、光送受信デバイス270側で線くず40などによってショートが発生した時、光送受信デバイス271は全く影響を受けることがない。
【0073】
したがって、図11(c)に示すように、所定の時間経過しても光送受信デバイス270から光受信デバイス271に信号が入力されない場合には、本発明の光通信システムは、通信タイムエラーと判断して、光送受信デバイス271の光電子素子4を点滅、点灯などさせることによって周囲に通信異常を知らせることが可能となる。このように、本実施形態の光通信システムは、当該光通信システムを構成する光通信デバイスの何れかにショート等による異常が発生した場合、当該異常を検知すべき他の光通信デバイスにまで電気的な影響が及ぶことが無いから、異常の発生を通信状態の変化として検知することができる。
【0074】
また、本発明は以下のように構成することも可能である。
【0075】
光電子素子による情報送信手段とその光電子素子に情報を送る手段と光電子素子による情報受信手段とその光電子素子からの情報を電気信号に変換する手段とを有する光通信システムで、光電子素子として例えばLEDを使用した場合、外部からの入力信号をLEDに情報を送る手段を介して、その出力信号をLEDで光送信し、その光送信信号を別のLEDで受信し、その受信信号を電気信号に変える手段を介して外部に出力する光通信システムにおいて、送信部分と受信部分共に同型の光電子素子を用いることを特徴とする光通信システム。
【0076】
上記光通信システムは、外部からの制御信号で送信モードもしくは受信モードの設定をすることで簡単な通信プロトコルを持せて送受信するものであっても良い。
【0077】
上記光通信システムは、光通信時に単一電源使用、異なる複数電源を使用していても、個々の光電子素子は繋がっていないので、周辺部分への影響を防ぐものであっても良い。
【0078】
上記光通信システムは、複数個の同種の光電子素子を用いた単色の光通信光に対し、バンドギャップエネルギーが同等かそれよりも低い光電子素子により1:N同一情報通信可能(分離器)であっても良い。
【0079】
上記光通信システムは、送信部、受信部のレンズや樹脂などに反射された光を目視することで通信の状況を確認することが可能であっても良い。
【0080】
上記光通信システムは、意図した通りに光が入力されない場合に光電子素子の入力部分で異常を認識させることのできる発光点滅パターンを発生しても良い。
【0081】
上記光通信システムは、光電子素子を点滅させることで位置ズレの発生を周囲に知らせるセンサになっても良い。
【0082】
上記光通信システムは、光電子素子の点滅パターンを変えることで位置ズレの発生が遠のいたのか、近づいたのかを周囲に知らせるセンサになっても良い。
【0083】
上記光通信システムは、光電子素子を点滅させることでほこりなどの遮蔽物の発生を周囲に知らせるセンサになっても良い。
【0084】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明に係る光通信システムは、情報送信手段および情報受信手段が、同種の光電子素子からなり、外部からの制御信号によって上記情報送信手段および上記情報受信手段が、送信モードまたは受信モードのいずれにも設定されることを可能とする構成を備えているために、一セットの同種のデバイスによる双方向通信、通信プロトコルの簡略化、1対N通信、通信機能の他に検知機能などの通信機能以外の付加価値の付与、および通信状態の視認化を可能とする。そのために本発明は、各種光通信装置、各種検知センサおよびそれらの部品を製造する分野に広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、外部信号によって双方向への通信を制御する、同種の光電子素子を用いた光通信システムの模式図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、同種の光電子素子を用いた光通信システムの模式図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、同種の光電子素子を用いた場合のプロトコルの無い片方向の光通信システムの模式図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、1:Nの同一情報の通信を行なう分離器の模式図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の実施形態を示すものであり、光通信および侵入者の検知が可能である光通信システムの模式図である。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、光通信が成立していることを視認することが可能である光通信システムの模式図である。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、遮蔽物によって光通信が成立していないことを周囲に知らせる光通信システムの模式図である。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、受信側が基準位置から近づくことを検知する位置ズレセンサとして用いられる光通信システムの模式図である。
【図9】本発明の実施形態を示すものであり、受信側が基準位置から遠のくことを検知する位置ズレセンサとして用いられる光通信システムの模式図である。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、遮蔽物センサとして使用される場合、ほこりなどの障害物によって受光LEDでの光度が低下した光通信システムの模式図である。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の実施形態を示すものであり、異なる複数電源を使用して光通信を行なっているときに、個々の光電子素子が繋がっていない本発明の光通信システムを示す模式図である。
【図12】従来技術を示すものであり、赤外線LEDおよびフォトダイオードを用いた光通信システムの模式図である。
【図13】従来技術を示すものであり、侵入者を検知する構成を有する光通信システムの模式図である。
【図14】従来技術を示すものであり、通信エラー発生時に可視LEDを用いて周囲にエラーを知らせる構成を有する光通信システムの模式図である。
【符号の説明】
【0087】
1 入力信号増幅回路(電子信号変換手段)
2 出力信号増幅回路(電子信号変換手段)
3 制御回路
4 光電子素子
5 通信方向制御端子
12 入力信号
13 出力信号
15 受光LED
16 入力単色光
20 動作状態制御端子
25 遮蔽物
30 受光LED
35 本来の位置
40 線くず
45 赤色LED
46 フォトダイオード
47 送信/受信用制御IC
50 光通信システム
51 侵入者センサ
52 床
53 システム
55 赤色LED
200,201,220,230,231,240,250,251,260,261,270,271 光送受信デバイス(光通信デバイス)
210 光送信デバイス
211 光受信デバイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向性の通信を可能とする光通信デバイスおよび光通信システムに関するものであって、たとえば不具合解析手段または位置ズレや遮蔽物などを検知するセンサとして用いられ得る光通信デバイスおよび光通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を用いた無線通信が様々な分野で利用されている。無線通信はデータ伝送路としてのケーブルが不要であることから、例えば携帯機器間での通信、PCとプリンタ間での通信など様々な機器間での通信に利用されている。特に光通信は電波を用いた通信方式と比べ低コストであり、電磁放射ノイズによる影響も受けないため、今後ますます利用範囲が広がるものと予想される。
【0003】
従来の光通信システムは、専用の発光デバイスと専用の受光デバイスという組み合わせからなり、1セットのデバイスは一方向の通信のみを行なう。そのため双方向の通信を実現するために、2セットのデバイスを用いる方法が広く使われている。
【0004】
例えば、図12に示されるように、従来の光送受信デバイス280は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備え、同様に光送受信デバイス281は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備えている。このとき、光送受信デバイス280の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス281のフォトダイオード46によって受光される。同様に、光送受信デバイス281の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス280のフォトダイオード46によって受光される。つまり、赤外線LED45は光送信専用に用いられ、かつフォトダイオード46は光受信専用に用いられる。したがって双方向の通信を実現するためには、光送受信デバイス280および光送受信デバイス281はともに、赤外線LED45およびフォトダイオード46を有する必要がある。
【0005】
また、従来の光通信方式としてIrDAが広く使われている。IrDAは、高品質な通信を行う際に伝送エラーを検出する為の通信プロトコルを有しているため、データ通信開始および終了時にエラーチェック用の時間を必要とする。
【0006】
IrDAを使用した光通信方式の伝送速度は、IrDA1.0 SIRで最高115.2kbps、IrDA1.1 FIRで最高4Mbpsである。しかしながら、現在の通信データの高画質化の需要に対して低速であるため通信時間がかかってしまう(115.2kbpsだとデータサイズにもよるが1枚数十秒を費やしている)。また、IrDAでは3台以上は繋がらず、1対多の通信が実現できない。
【0007】
また、従来の光通信システムは、通信機能としてしか利用できず、高付加価値をつけるために照明やセンサ機能を取り込む場合は、照明システムやセンサシステムをさらに追加する必要がある。
【0008】
図13には、光通信システム50に侵入者センサ51を追加した、従来のシステム53の例が示されている。
【0009】
光通信システム50は、光送受信デバイス280および光送受信デバイス281からなる。光送受信デバイス280は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備え、同様に光送受信デバイス281は、赤外線LED45、フォトダイオード46および送信/受信用制御IC47を備えている。このとき、光送受信デバイス280の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス281のフォトダイオード46によって受光される。同様に、光送受信デバイス281の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス280のフォトダイオード46によって受光される。
【0010】
侵入者センサ51は、赤外線LED45およびフォトダイオード46からなる。このとき、赤外線LED45から送信された光は、床52によって反射され、フォトダイオード46によって受光される。侵入者センサ51は、フォトダイオード46によって受光される光が、例えば侵入者によって遮られた場合、侵入者を検知するためのセンサとして機能する。
【0011】
つまりシステム53は、光通信システム50に侵入者センサ51を別個に追加することによって、通信機能および侵入者検知機能を備えることを可能とする。
【0012】
また、従来から、上記のような光通信を行うために可視光が広く使われている。例えば、異なる信号にしたがって発光制御され、略同一方向に光を放出するように配列された複数の発光素子と、上記発光素子に近接して配置された受光素子とを具備したことを特徴とする光通信装置が開示されている。しかしながら、上記光通信装置は、通信機能としての役割のみが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
また、光通信を行なうために可視光を用いる例として、複数の信号の各々をそれぞれ異なる波長の可視光に変換し、その各可視光を受信エリアの一部が重畳するように送信する可視光送信手段と、上記可視光送信手段により上記受信エリアに送信された上記複数の可視光のうちの少なくとも一つの可視光を波長選択性フィルタにより選択して受光し、受光した可視光を光電変換して復調する可視光受信手段とを備えた可視光通信装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
また、従来から、光通信信号として赤外線を用いる方法が広く使われている。しかしながら赤外線は可視光領域外であるために目視することができない。そのため、現在の通信状況を確認するためには確認用の装置や機器などを必要とする。
【0015】
たとえば、図14に示されるように、光送受信デバイス280は、赤外線LED45、フォトダイオード46、送信/受信用制御IC47および赤色LED55を備え、同様に光送受信デバイス281は、赤外線LED45、フォトダイオード46,送信/受信用制御IC47および赤色LED55を備えている。光送受信デバイス280の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス281のフォトダイオード46によって受光される。同様に、光送受信デバイス281の赤外線LED45から送信された光は、光送受信デバイス280のフォトダイオード46によって受光される。このとき光通信に異常が生じた場合、赤色LED55を発光させることによって、異常の発生を告知することが可能となる。
【0016】
上記のような通信機能状態のエラーを知らせるセンサとして可視光を用いたものが広く使われている。たとえば、赤外線信号を送信する送信部、および赤外線信号を受信する受信部の双方が装備され、同様の装備を有する被制御装置に、双方向赤外線通信による情報交換で制御信号を伝達する赤外線制御装置において、被制御装置との間での情報交換に基づいて、赤外線通信が可能であるか否かを判断する判断手段と、判断手段からの出力に応答して、判断手段によって通信不可能と判断されるとき、ユーザに対して予め定める告知を行う告知手段と、ユーザからの選択入力に応答して、告知手段の告知動作の有効または無効を選択する選択手段とを含むことを特徴とする赤外線制御装置が開示されている。ここで、上記告知手段として、音響出力によってユーザに対する告知を行なう発音手段、可視光の発光によってユーザに対する告知を行なう発光手段、振動の発生によってユーザに対する告知を行なう振動手段あるいは液晶画面表示によってユーザに対する告知を行なう表示手段などを用いる赤外線制御装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−261176号公報(平成9年(1997)10月3日公開)
【特許文献2】特開2004−193908公報(平成16年(2004)7月8日公開)
【特許文献3】特開平11−272372号公報(平成11年(1999)10月8日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の構成では、光通信システムを構成する上で、エラー検出を周囲に知らせるためには、専用のデバイスを必要とするため、部品点数が増えてしまうという問題を生じる。また、コストアップや実装面積の増加を招いてしまうという問題を生じる。
【0018】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、同種のデバイスによって双方向通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る光通信デバイスは、上記課題を解決するために、光電子素子と該光電子素子の送受する情報を電気信号に変換する電気信号変換手段とを有する光信号デバイスであって、前記光電子素子は、送信モードと受信モードとを制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行うものであることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、同じ光電子素子により送信及び受信を行うことが可能となるから、例えば、本発明の同じ光通信デバイス用いて双方向の光通信が可能となる。このため、光通信システムを構成する部品点数を削減することが可能となる。その結果、本発明の光通信デバイスは、低コスト化および省スペース化を可能とするという効果を奏する。なお、送信モードと受信モードとを切換える制御信号は、例えば、光通信デバイスに通信方向制御端子を設け、当該通信方向制御端子の設定に基いた制御信号を、光電子素子に入力する構成を採用することができるが、この構成に限られるものではなく、上記の構成以外には、例えば、送信モードと受信モードとを切換えるため制御信号を外部から受信する構成が挙げられる。
【0021】
本発明に係る光通信デバイスでは、上記光電子素子は、通信状態に応じて異なるパターンの可視光を発光するものであることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、情報送信手段または情報受信手段のレンズや樹脂などに反射された可視光を目視することが可能であるので、光通信の成立している箇所を、容易に視認することを可能とするという効果を奏する。なお、上記「異なるパターンの可視光を発光する」とは、外部から視認することができる程度に、通信状態の変化に応じて、光電子素子の可視光の発光状態を変化させることをいい、例えば、予め規定された所定の範囲から逸脱した通信状態となった場合のみ発光すること、通信状態を段階的にレベル分けししておき、当該レベルに応じて異なるパターンで点滅すること等が挙げられる。
【0023】
本発明に係る光通信デバイスでは、上記光電子素子は、情報を所定時間受信しない場合に点滅するものであることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、光通信が成立していない領域に存在する光電子素子を発光点滅することで、不具合の発生および不具合箇所を容易かつ早急に発見できるという効果を奏する。
【0025】
また、上記の構成によれば、例えば、ほこりなどの遮蔽物の出現などによる通信状態の異常を、容易かつ早急に認識できるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る光通信デバイスでは、上記光電子素子は、前記光電子素子が受光する光の強度に応じて点滅パターンを変えるものであることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、情報受信手段と情報送信手段の位置にズレが生じた場合、位置のズレが、情報受信手段と情報送信手段との間の距離が遠のく方向にずれる時と、情報受信手段と情報送信手段との間の距離が近づく方向にずれる時とで、光電子素子が異なるパターンで点滅することが可能となる。その結果、位置ズレの発生状況を容易かつ早急に発見できるという効果を奏する。
【0028】
本発明に係る光通信システムは、上記の光通信デバイスを複数備えているものである。
【0029】
上記の構成によれば、一セットの同種のデバイスによって双方向の光通信が可能となるので、光通信システムを構成する部品点数を削減することが可能となる。その結果、本発明の光通信システムでは、低コスト化および省スペース化を可能とするという効果を奏する。
【0030】
本発明に係る光通信システムでは、上記複数の光通信デバイスの光電子素子が、互いに電気的に絶縁されていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、個々の光電子素子に生じた不具合が、不具合を生じていない他の周辺部に影響することを防ぐことを可能とするという効果を奏する。
【0032】
本発明に係る光通信システムでは、上記複数の光通信デバイスのうちの一つが、上記光電子素子を複数備えたものであることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、送信光を送った光電子素子と同種の光電子素子を複数(N)個用意することによって1対Nの同一情報の通信を可能とする光通信システムを提供することを可能とするという効果を奏する。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る光通信デバイスおよび光通信システムは、送信モードと受信モードとを外部から受信した制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行う光電子素子を備えているため、一セットの同種のデバイスによる双方向通信を可能とするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態について図1ないし図11に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
〔実施の形態1〕
図2は、送信側が送信用として、受信側が受信用として同種の光電子素子を使用して光通信システムを構成する基本概念図である。
【0037】
光送信デバイス210は、光電子素子に情報を送る手段10および光電子素子4を備え、光受信デバイス211は、光電子素子からの情報を電気信号に変換する手段11および光電子素子4を備える。
【0038】
このとき光送信デバイス210に入力された入力信号12は、光電子素子に情報を送る手段10によって光電子素子4へと送られる。情報を受け取った光送信デバイス210の光電子素子4は、光受信デバイス211に光を送信する。上記光は、光受信デバイス211の光電子素子4によって受光される。受光された光は、光電子素子からの情報を電気信号に変換する手段11によって出力信号13に変換される。
【0039】
また、図3は、図2を詳しく記載したものであって、送信側は入力信号増幅回路1を、受信側は出力信号増幅回路2を用いることで片方向の光通信を実現した例である。このとき、送信側から受信側にアナログデータをそのまま伝えるだけなので通信プロトコルを必要としない。通信プロトコルを必要としないので、データ品質の低いマルチメディア通信に利用できる。
【0040】
具体的には、光送受信デバイス(光通信デバイス)200は、入力信号増幅回路(電子信号変換手段)1、出力信号増幅回路(電子信号変換手段)2、制御回路(電子信号変換手段)3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。同様に、光送受信デバイス(光通信デバイス)201は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。光送受信デバイス200において、通信方向制御端子5を‘H’に設定した場合、制御回路3によって入力信号増幅回路1が選択される。一方、光送受信デバイス201において、通信方向制御端子5を‘L’に設定した場合、制御回路3によって出力信号増幅回路2が選択される。その結果、光送受信デバイス200が、入力信号12を入力されたとき、入力信号12は、入力信号増幅回路1を介して光電子素子4へと送られる。情報を受け取った光電子素子4は、光送受信デバイス201に光を送信する。上記光は、光送受信デバイス201の光電子素子4によって受光される。受光された光は、出力信号増幅回路2を介して、出力信号13に変換される。
【0041】
上記のように、光送受信デバイス200は、通信制御方向制御端子5を‘H’に設定することによって光送信デバイスとして機能し、光送受信デバイス201は、通信制御方向制御端子5を‘L’に設定することによって光受信デバイスとして機能する。
【0042】
〔実施の形態2〕
図1は、制御信号からの信号によって、通信方向制御端子5の設定を‘H’または‘L’に切り換えることによって、光送受信デバイスを送信モードまたは受信モードに切り替えることを可能とし、その結果、双方向通信を実現した本実施の形態の光通信デバイスの概略構成を示している。なお、本実施の形態及び以下に説明する実施の形態においては、既に説明した部材と同様の機能を奏する部材には、同じ番号を付し、説明を省略することとする。本実施の形態の光通信デバイスにおいて情報を送受信する部分は共に同種の光電子素子4なので、送受信する際には以下のような手順で実現される。
【0043】
光送受信デバイス200は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。同様に、光送受信デバイス201は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4および通信方向制御端子5を備えている。
【0044】
まず、図中の各構成要素のうち、送信側の通信方向制御端子5と受信側の通信方向制御端子5とは、論理が正反対の関係をなしている。つまり光送受信デバイス200の通信方向制御端子5が‘H’に設定される場合、光送受信デバイス201の通信方向制御端子5は‘L’に設定され、光送受信デバイス200の通信方向制御端子5が‘L’に設定される場合、光送受信デバイス201の通信方向制御端子5は‘H’に設定される。
【0045】
ここで、光送受信デバイス200および光送受信デバイス201は同じデバイスであるので、上述の通信方向制御端子5の電圧レベルに応じて、制御回路3は、入力信号増幅回路1または出力信号増幅回路2のいずれかを選択するように動作する。
【0046】
つまり、光送受信デバイス200において、通信制御方向制御端子5を‘H’に設定した場合、制御回路3によって入力信号増幅回路1が選択される。その結果、光送受信デバイス200は、光送信デバイスとして機能する。このとき、送受信デバイス201において、通信制御方向制御端子5は‘L’に設定され、制御回路3によって出力信号増幅回路2が選択される。その結果、光送受信デバイス201は、光受信デバイスとして機能する。
【0047】
一方、光送受信デバイス200において、通信制御方向制御端子5を‘L’に設定した場合、制御回路3によって出力信号増幅回路2が選択される。その結果、光送受信デバイス200は、光受信デバイスとして機能する。このとき、光送受信デバイス201において、通信制御方向制御端子5は‘H’に設定され、制御回路3によって入力信号増幅回路1が選択される。その結果、光送受信デバイス201は、光送信デバイスとして機能する。
【0048】
つまり、本発明の光通信システムにおける双方向の通信は、例えば以下の(1)〜(4)の手順に従ってなされ得る。
(1)光送受信デバイス200または光送受信デバイス201のいずれかを送信モードとするために、光送受信デバイス200または光送受信デバイス201のいずれかの通信方向制御端子5を‘H’に設定する。
(2)(1)と同時に、(2)のステップで‘H’に設定されなかった方の光送受信デバイスの通信方向制御端子5を‘L’に設定する。
(3)(1)、(2)により光送受信デバイス200および光送受信デバイス201は、それぞれ内蔵してある入力信号増幅回路1または出力信号増幅回路2を選択する。
(4)送信と受信の状態の切り替える場合は、光を送信する光送受信デバイスが、最後のデータを送り終えてから所定の時間が経った後、通信方向制御端子5の状態を反転することによって簡単に実現できる。
【0049】
〔実施の形態3〕
図4は、概略同じ波長の発光を使用して、1対N同一情報通信(分離機)を行なう光通信システムを構成する光通信デバイスの要部を示した一例である。
【0050】
光送受信デバイス(光通信システム)220は、複数の受光LED15を備えている。このとき、光電子素子である受光LEDを青色とし、入力単色光16を青色とする。入力青色光のエネルギーは、受光用のすべての受光LED15のバンドギャップと概略同じである。それゆえ、入力青色光は、すべての受光LED15を励起することができる。励起された受光LED15は、光電流を発生することが可能である。光電流が電圧に変換され増幅されることによって、入力青色光の情報を取り出すことが可能となる。以上のように、複数の同じ受光LEDを並べることによって、簡単に分離機を構成することが可能な光通信デバイスとなるから、1対複数の光通信が可能な光通信システムを実現することができる。
【0051】
〔実施の形態4〕
図5(a)および図5(b)は、光通信デバイスの他にセンサなどの他のデバイスを外付けすることなく、動作状態制御端子70を制御することで、1台で通信モードまたはセンサモードに対応することが可能な高付加価値な光通信システムを示したものである。
【0052】
図5(a)に示すように、光送受信デバイス230は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4、通信方向制御端子5および動作状態制御端子20を備えている。同様に、光送受信デバイス231は、入力信号増幅回路1、出力信号増幅回路2、制御回路3、光電子素子4、通信方向制御端子5および動作状態制御端子20を備えている。
【0053】
光送受信デバイス(光通信デバイス)230、および光送受信デバイス(光通信デバイス)231は、これらの通信方向制御端子5のうち、一方を‘H’とし、他方を‘L’とすることにより、通信方向を固定(送信側⇒受信側)することができるものである。また、動作状態制御端子20は、‘H’とすることで昼間用の光通信動作に、‘L’とすることで夜間用の侵入者センサ動作に、光送受信デバイス230及び231の動作を設定するものである。侵入者により受信側である光送受信デバイス231の光電子素子4が受光する光が遮られ、ある一定時間以上経つと侵入者の侵入を周囲に知らせるために、容易に視認できるような点滅パターンで受信側の光電子素子4は点滅する。
【0054】
光送受信デバイス230の通信方向制御端子5を‘H’に設定し、光送受信デバイス231の通信方向制御端子5を‘L’に設定することによって、通信方向を固定する。
【0055】
このとき動作状態制御端子20を‘H’とすることによって、昼間用の光通信動作に設定する。この場合、図5(a)に示すように、光送受信デバイス230と光送受信デバイス231とは、上記固定された方向の光通信を行うことができる。また、通信方向制御端子5におけるHとLとの設定を上記と逆にすれば、逆方向に通信方向を固定することができる。
【0056】
また、夜間は動作状態制御端子20を‘L’とすることによって、夜間用の侵入者センサ動作に設定する。この場合、図5(b)に示すように、光送受信デバイス230の光電子素子4から光送受信デバイス231の光電子素子4に送信される光が、侵入者などによって遮られ、所定の時間以上経過すると、容易に視認できるような点滅パターンで光送受信デバイス231の光電子素子4が点滅することにより、侵入者の侵入を周囲に知らせることができる。
【0057】
〔実施の形態5〕
図6は、光通信が成立している箇所を視認することが可能な光通信システムを示したものである。
【0058】
本実施形態の光通信システムは、光送受信デバイス(光通信デバイス)240および光送受信デバイス(光通信デバイス)241からなる。ここで、たとえば、光送受信デバイス240は光送信デバイスとして設定され、光送受信デバイス241は光受信デバイスとして設定される。つまり、光通信の方向がこのように設定された場合には、光送受信デバイス240から送信される光が、光送受信デバイス241によって受光され、この状態が正常な状態とされる。
【0059】
上記正常な状態では、光送受信デバイス240および光送受信デバイス241との間で光通信を行う。本実施の形態の光送受信デバイス240および光送受信デバイス241が備える光電子素子4は、可視光を用いて通信を行うものである。このため、光送信部および光受信部のレンズまたは樹脂などによって、通信光が反射されるが、この反射された通信光(可視光)は容易に視認できるので、光通信の成立を容易に視認することが可能となる。
【0060】
〔実施の形態6〕
図7は、光通信が成立していない時に、そのことを外部に知らせることが可能な例を示したものである。
【0061】
ここで、光送受信デバイス(光通信デバイス)250を送信モードに設定し、光送受信デバイス(光通信デバイス)251を受信モードに設定する。光送受信デバイス250から光が送信されているにも関わらず、遮蔽物25の影響で光送受信デバイス251の受信部分に光が所定の時間以上入力されない場合、光送受信デバイス251が、送信(発光)デバイスにもなる。このとき光送受信デバイス251は、外部から通信状態の異常を認識できるように、自らの光電子素子4を点滅させる。このことによって、周囲は光通信不具合箇所を容易かつ早急に確認することができる。より具体的には、受光側である光送受信デバイス251の光電子素子4が受光した通信用の光の光度を電圧レベルに変換し、その電圧レベルが基準電圧より低くなった場合、光電子素子4を点滅させるように動作する。このとき、受光側での光の強さを電圧レベルに変換した値と基準電圧とを比較し、その差が所定の値以内である場合を正常な状態とする。
【0062】
〔実施の形態7〕
図8は、本実施の形態の光通信システムを位置ズレセンサとして使用する場合を示しており、受信側である光送受信デバイス261が基準位置よりも近づいた場合の例を表している。
【0063】
同図に示すように、本実施の形態の光送受信デバイス260及び光送受信デバイス261はいずれも、発光LED(青)30及び受光LED(青)31を備えている。これら発光LED(青)30及び受光LED(青)31は、光電子素子4(図1参照)よりなるものであるが、本実施の形態では、通信用の光を発光(発信)する側のものを発光LED(青)30、通信用の光を受光(受信)する側のものを受光LED(青)31としている。後述するように、本実施の形態では、受光LED(青)31の受光した光の強度(光度)の変化に基いて、受光LED(青)31が外部に異常(位置ズレ)を知らせるものである。
【0064】
光送受信デバイス260の発光LED(青)30から光送受信デバイス261の受光LED(青)31へ光が送受信される。この場合、受信側である光送受信デバイス261が、本来の位置35から光送受信デバイス260に対して近づくことによって受光LED(青)31に入力される光の光度が増加する。この受光の光度を電圧レベルに変換し、基準電圧と比較し、基準電圧より高くなることで、受光LED(青)31を早く点滅させる。このことによって周囲に位置ズレが近づく方向に発生していることを知らせることができる。
【0065】
図9は、本実施の形態の光通信システムを位置ズレセンサとして使用する場合を示しており、位置ズレセンサとしての使用時で、受信側である光送受信デバイス261が基準位置よりも遠のいた場合の例を表している。
【0066】
光送受信デバイス260の発光LED(青)30から光送受信デバイス261の受光LED(青)31へ光が送受信される。この場合、受信側である光送受信デバイス261が、本来の位置35から光送受信デバイス260に対して遠のくことによって受光LED(青)31に入力される光の光度が減少する。この受光の光度を電圧レベルに変換し、基準電圧と比較し、基準電圧より低くなることで、受光LED(青)31を遅く点滅させる。このことによって周囲に位置ズレが遠のく方向に発生していることを知らせることができる。
【0067】
上述した受信側である光送受信デバイス261が基準位置よりも、光送受信デバイス260に近づいた場合と遠のいた場合とを合わせた構成とすれば、位置ズレの発生状態を早急に容易に確認することができる。また、近づいた場合と遠のいた場合とで、受光LED(青)31を異なるパターンで発光するものとすれば、本来の位置35からのズレが、光送受信デバイス261と光送受信デバイス260との距離が小さくなる方向か大きくなる方向かを判別することが容易になる。
【0068】
〔実施の形態8〕
図10は、遮蔽物センサとして使用される場合、ほこりなどの遮蔽物によって入射光の光度が低下した場合の状態を表している。
【0069】
光送受信デバイス260の発光LED(青)30から光送受信デバイス261の受光LED(青)31へ光が送受信される。このとき、発光LED30からの光が遮蔽物25などによって遮られ、受信側である光送受信デバイス261の受光LED31に十分な光度が得られない場合、受光される光度を換算した電圧レベルが基準電圧より低くなる。このとき、光送受信デバイス261が、送信(発光)デバイスにもなる。つまり光送受信デバイス261は、外部から異常を認識できるように遅く点滅して知らせることが可能である。このように、光電子素子4(図1参照)よりなる受光LED31が、通信状態に応じて異なるパターンの光(可視光)を発光することにより、外部から通信状態の異常を容易に視認することが可能となる。
【0070】
〔実施の形態9〕
図11(a)〜図11(c)は、異なる複数電源を使用して光通信を行なっているときに、各光通信デバイスに備えられた個々の光電子素子が繋がっていない構成である本実施形態の光通信システムを示している。
【0071】
図11(a)に示すように、光送受信デバイス(光通信デバイス)270は電源9V系によって動作し、光送受信デバイス(光通信デバイス)271は電源5V系によって動作している。このとき光送受信デバイス270と光送受信デバイス271は電気的に絶縁された状態で光の送受信を行なっている。
【0072】
光送受信デバイス270および光送受信デバイス271が電気的に絶縁されていない構成の光通信システムの場合、光送受信デバイス270側で線くず40などによってショートが発生した時、光送受信デバイス271は何らかの影響を受ける。しかし、図11(b)に示すように、本実施形態の光通信システムは、光送受信デバイス270および光送受信デバイス271が電気的に絶縁されているので、光送受信デバイス270側で線くず40などによってショートが発生した時、光送受信デバイス271は全く影響を受けることがない。
【0073】
したがって、図11(c)に示すように、所定の時間経過しても光送受信デバイス270から光受信デバイス271に信号が入力されない場合には、本発明の光通信システムは、通信タイムエラーと判断して、光送受信デバイス271の光電子素子4を点滅、点灯などさせることによって周囲に通信異常を知らせることが可能となる。このように、本実施形態の光通信システムは、当該光通信システムを構成する光通信デバイスの何れかにショート等による異常が発生した場合、当該異常を検知すべき他の光通信デバイスにまで電気的な影響が及ぶことが無いから、異常の発生を通信状態の変化として検知することができる。
【0074】
また、本発明は以下のように構成することも可能である。
【0075】
光電子素子による情報送信手段とその光電子素子に情報を送る手段と光電子素子による情報受信手段とその光電子素子からの情報を電気信号に変換する手段とを有する光通信システムで、光電子素子として例えばLEDを使用した場合、外部からの入力信号をLEDに情報を送る手段を介して、その出力信号をLEDで光送信し、その光送信信号を別のLEDで受信し、その受信信号を電気信号に変える手段を介して外部に出力する光通信システムにおいて、送信部分と受信部分共に同型の光電子素子を用いることを特徴とする光通信システム。
【0076】
上記光通信システムは、外部からの制御信号で送信モードもしくは受信モードの設定をすることで簡単な通信プロトコルを持せて送受信するものであっても良い。
【0077】
上記光通信システムは、光通信時に単一電源使用、異なる複数電源を使用していても、個々の光電子素子は繋がっていないので、周辺部分への影響を防ぐものであっても良い。
【0078】
上記光通信システムは、複数個の同種の光電子素子を用いた単色の光通信光に対し、バンドギャップエネルギーが同等かそれよりも低い光電子素子により1:N同一情報通信可能(分離器)であっても良い。
【0079】
上記光通信システムは、送信部、受信部のレンズや樹脂などに反射された光を目視することで通信の状況を確認することが可能であっても良い。
【0080】
上記光通信システムは、意図した通りに光が入力されない場合に光電子素子の入力部分で異常を認識させることのできる発光点滅パターンを発生しても良い。
【0081】
上記光通信システムは、光電子素子を点滅させることで位置ズレの発生を周囲に知らせるセンサになっても良い。
【0082】
上記光通信システムは、光電子素子の点滅パターンを変えることで位置ズレの発生が遠のいたのか、近づいたのかを周囲に知らせるセンサになっても良い。
【0083】
上記光通信システムは、光電子素子を点滅させることでほこりなどの遮蔽物の発生を周囲に知らせるセンサになっても良い。
【0084】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明に係る光通信システムは、情報送信手段および情報受信手段が、同種の光電子素子からなり、外部からの制御信号によって上記情報送信手段および上記情報受信手段が、送信モードまたは受信モードのいずれにも設定されることを可能とする構成を備えているために、一セットの同種のデバイスによる双方向通信、通信プロトコルの簡略化、1対N通信、通信機能の他に検知機能などの通信機能以外の付加価値の付与、および通信状態の視認化を可能とする。そのために本発明は、各種光通信装置、各種検知センサおよびそれらの部品を製造する分野に広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、外部信号によって双方向への通信を制御する、同種の光電子素子を用いた光通信システムの模式図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、同種の光電子素子を用いた光通信システムの模式図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、同種の光電子素子を用いた場合のプロトコルの無い片方向の光通信システムの模式図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、1:Nの同一情報の通信を行なう分離器の模式図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の実施形態を示すものであり、光通信および侵入者の検知が可能である光通信システムの模式図である。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、光通信が成立していることを視認することが可能である光通信システムの模式図である。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、遮蔽物によって光通信が成立していないことを周囲に知らせる光通信システムの模式図である。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、受信側が基準位置から近づくことを検知する位置ズレセンサとして用いられる光通信システムの模式図である。
【図9】本発明の実施形態を示すものであり、受信側が基準位置から遠のくことを検知する位置ズレセンサとして用いられる光通信システムの模式図である。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、遮蔽物センサとして使用される場合、ほこりなどの障害物によって受光LEDでの光度が低下した光通信システムの模式図である。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の実施形態を示すものであり、異なる複数電源を使用して光通信を行なっているときに、個々の光電子素子が繋がっていない本発明の光通信システムを示す模式図である。
【図12】従来技術を示すものであり、赤外線LEDおよびフォトダイオードを用いた光通信システムの模式図である。
【図13】従来技術を示すものであり、侵入者を検知する構成を有する光通信システムの模式図である。
【図14】従来技術を示すものであり、通信エラー発生時に可視LEDを用いて周囲にエラーを知らせる構成を有する光通信システムの模式図である。
【符号の説明】
【0087】
1 入力信号増幅回路(電子信号変換手段)
2 出力信号増幅回路(電子信号変換手段)
3 制御回路
4 光電子素子
5 通信方向制御端子
12 入力信号
13 出力信号
15 受光LED
16 入力単色光
20 動作状態制御端子
25 遮蔽物
30 受光LED
35 本来の位置
40 線くず
45 赤色LED
46 フォトダイオード
47 送信/受信用制御IC
50 光通信システム
51 侵入者センサ
52 床
53 システム
55 赤色LED
200,201,220,230,231,240,250,251,260,261,270,271 光送受信デバイス(光通信デバイス)
210 光送信デバイス
211 光受信デバイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子素子と該光電子素子の送受する情報を電気信号に変換する電気信号変換手段とを有する光信号デバイスであって、
前記光電子素子は、送信モードと受信モードとを制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行うものであることを特徴とする光通信デバイス。
【請求項2】
前記光電子素子は、通信状態に応じて異なるパターンの可視光を発光するものであることを特徴とする請求項1に記載の光通信デバイス。
【請求項3】
前記光電子素子は、情報を所定時間受信しない場合に点滅するものであることを特徴とする請求項2に記載の光通信デバイス。
【請求項4】
前記光電子素子は、前記光電子素子が受光する光の強度に応じて点滅パターンを変える
ものであることを特徴とする請求項2に記載の光通信デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光通信デバイスを複数備えていることを特徴とする光通信システム。
【請求項6】
前記複数の光通信デバイスの光電子素子が、互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項5に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記複数の光通信デバイスのうちの一つが、上記光電子素子を複数備えたものであることを特徴とする請求項5に記載の光通信システム。
【請求項1】
光電子素子と該光電子素子の送受する情報を電気信号に変換する電気信号変換手段とを有する光信号デバイスであって、
前記光電子素子は、送信モードと受信モードとを制御信号により切換えて、発光による情報の発信と受光による情報の受信とを行うものであることを特徴とする光通信デバイス。
【請求項2】
前記光電子素子は、通信状態に応じて異なるパターンの可視光を発光するものであることを特徴とする請求項1に記載の光通信デバイス。
【請求項3】
前記光電子素子は、情報を所定時間受信しない場合に点滅するものであることを特徴とする請求項2に記載の光通信デバイス。
【請求項4】
前記光電子素子は、前記光電子素子が受光する光の強度に応じて点滅パターンを変える
ものであることを特徴とする請求項2に記載の光通信デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光通信デバイスを複数備えていることを特徴とする光通信システム。
【請求項6】
前記複数の光通信デバイスの光電子素子が、互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項5に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記複数の光通信デバイスのうちの一つが、上記光電子素子を複数備えたものであることを特徴とする請求項5に記載の光通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−246085(P2006−246085A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59705(P2005−59705)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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