説明

光通信用アダプタ

【課題】シャッタ部材の上に重ねた状態でストッパー部材を挿入孔の端部に設置することができる光通信用アダプタを提供する。
【解決手段】光通信用アダプタ10Aでは、シャッタ部材17の第1底板が底壁凹部に嵌合し、ストッパー部材18の第2底板がシャッタ部材17の第1底板の上に重なった状態で底壁凹部に嵌合し、シャッタ部材17の第1両側板が側壁凹部に嵌合し、ストッパー部材18の第2両側板がシャッタ部材17の第1両側板の上に重なった状態で側壁凹部に嵌合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続用コネクタどうしまたは光ファイバ接続用コネクタと半導体レーザ等の光発信装置とを接続する光通信用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ等の光発信装置から発信されるレーザ光を光ファイバを利用して伝送する光通信において、光ファイバを接続する手段として、光ファイバ接続用コネクタを着脱可能に挿入する光通信用アダプタが利用されている。光発信装置からレーザ光を発信した状態で、アダプタに挿入された光ファイバ接続用コネクタの着脱作業を行うと、作業者の目がアダプタから漏出するレーザ光に曝させる危険がある。
【0003】
そのような危険を回避するため、頂底壁および両側壁から形成されたハウジングと、ハウジングを前後方向へ貫通して光ファイバ接続用コネクタを着脱可能に挿入する挿入孔と、挿入孔の中央部に設置されてコネクタのフェルールを支持する光接続用スリーブと、挿入孔の一方の端部に設置されるシャッタ部材(シャッタ金具)と、挿入孔の他方の端部に設置されるストッパー部材(ストッパー金具)とを有する光通信用アダプタがある(特許文献1参照)。
【0004】
シャッタ部材は、底板と、底板の両側縁から上方へ延びる両側板と、底板の前端縁につながって底板から上方へ傾斜して延びる弾性変形可能なシャッタ板とから形成されている。シャッタ部材では、その底板がハウジングの底壁に当接し、その両側板がハウジングの両側壁に形成された側壁凹部に嵌合するとともに、そのシャッタ板が挿入孔の端部に位置して端部を遮蔽している。ストッパー部材は、底板と、底板の両側縁から上方へ延びる両側板と、両側板に作られた弾性変形可能な係止板とから形成されている。ストッパー部材では、その底板がハウジングの底壁に当接し、その両側板がハウジングの両側壁に形成された側壁凹部に嵌合する。
【0005】
シャッタ部材のシャッタ板は、挿入孔の一方の端部の内側に位置して挿入孔の中央部に向かって傾斜しつつ挿入孔を遮蔽する。アダプタは、ストッパー部材の係止板を利用して光通信に使用する取り付けパネルや各種装置、各種機器の所定の箇所に取り付けることができる。このアダプタは、挿入孔に光ファイバ接続用コネクタを挿入すると、コネクタに押圧されてシャッタ板が弾性変形し、シャッタ板が挿入孔の中央部に向かって倒れ、挿入孔の遮蔽が解除される。コネクタを挿入孔から抜き取ると、シャッタ板がその弾性力(反発力)によって起き上がり、挿入孔を再び遮蔽する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−243978号公報(JP.A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に開示の光通信用アダプタは、シャッタ部材を挿入孔の一方の端部に設置し、ストッパー部材を挿入孔の他方の端部に設置することはできるが、シャッタ部材を挿入孔の両端部に設置しつつ、そのシャッタ部材の上に重ねた状態でストッパー部材を挿入孔の端部に設置することはできない。したがって、一方の端部においてレーザ光を遮蔽することはできるが、他方の端部においてレーザ光を遮蔽することができず、光発信装置からレーザ光を発信した状態で、光ファイバ接続用コネクタの着脱作業を行う場合、作業者の目がアダプタから漏出するレーザ光に曝させる危険が残る。
【0008】
本発明の目的は、シャッタ部材を挿入孔の両端部に設置しつつ、そのシャッタ部材の上に重ねた状態でストッパー部材を挿入孔の端部に設置することができる光通信用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の前提は、前後方向へ延びる頂底壁および両側壁と、それら壁に囲繞されて前後方向へ貫通し、光ファイバ接続用コネクタを着脱可能に挿入する挿入孔と、挿入孔の両端部に着脱可能に設置されて挿入孔の両端部を開閉可能なシャッタ部材と、挿入孔の中央部に設置されてコネクタのフェルールを支持する光接続用スリーブとを有する光通信用アダプタである。
【0010】
前記前提における本発明の特徴は、アダプタが挿入孔の両端部の少なくとも一方に着脱可能に設置されるストッパー部材を含み、シャッタ部材が、第1底板と、第1底板の両側縁から上方へ延びる第1両側板と、第1両側板の間に位置して第1底板の前端縁から上方へ延びる連結板と、連結板につながって第1底板から上方へ延びるとともに、所定の曲率半径を有して湾曲する弾性変形可能なシャッタ板とを有し、ストッパー部材が、第2底板と、第2底板の両側縁から上方へ延びる第2両側板と、第2両側板に形成された弾性変形可能な係止板とを有し、両端部に延びる底壁の外面には、その外面から内面に向かって凹む底壁第1凹部と、底壁第1凹部よりも中央部の側に位置し、その外面から内面に向かって凹むとともに底壁第1凹部よりも凹み深さが浅い底壁第2凹部とが形成され、両端部に延びる両側壁の外面には、その外面から内面に向かって凹む側壁第1凹部と、その外面から内面に向かって凹むとともに側壁第1凹部よりも凹み深さが浅い側壁第2凹部とが形成され、シャッタ部材の第1底板が底壁第1凹部に嵌合しつつ底壁第2凹部と略同一平面を形成し、ストッパー部材の第2底板が第1底板の上に重なった状態で底壁第2凹部に嵌合し、シャッタ部材の第1両側板が側壁第1凹部に嵌合しつつ側壁第2凹部と略同一平面を形成し、ストッパー部材の第2両側板が第1両側板の上に重なった状態で側壁第2凹部に嵌合し、シャッタ部材のシャッタ板が、挿入孔の両端部に位置して挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲しつつ挿入孔を遮蔽するとともに、コネクタを挿入孔に挿入したときにコネクタに押圧されて挿入孔の中央部に向かって倒れることにある。
【0011】
本発明の一例として、両端部に延びる底壁の端面には、挿入孔の中央部に向かって凹む端面凹部が形成され、シャッタ部材の連結板が端面凹部に嵌合している。
【0012】
本発明の他の一例としては、シャッタ部材の第1底板が底壁第1凹部と略同形同大に成形されて底壁第1凹部の全域に密着し、シャッタ部材の第1両側板が側壁第1凹部と略同形同大に成形されて側壁第1凹部の全域に密着するとともに、ストッパー部材の第2底板が底壁第2凹部とシャッタ部材の第1底板とに密着し、ストッパー部材の第2両側板が側壁第2凹部とシャッタ部材の第1両側板とに密着している。
【0013】
本発明の他の一例として、両端部に延びる底壁の外面には、底壁第1凹部よりも両端部の側に位置し、その外面から内面に向かって凹むとともに底壁第2凹部よりも凹み深さが浅い底壁第3凹部と、底壁第1凹部および底壁第3凹部につながる底壁段差部とが形成され、シャッタ部材の第1底板が、底壁第1凹部に嵌合する第1嵌合部と、底壁第3凹部に嵌合する第2嵌合部と、第1および第2嵌合部の間に位置して底壁段差部に嵌合する段差嵌合部とを有する。
【0014】
本発明の他の一例として、両端部に延びる底壁の内面には、その内面から外面に向かって凹むとともに、シャッタ部材のシャッタ板が挿入孔の中央部に向かって倒れたときにそのシャッタ板を収容する収容凹部が形成されている。
【0015】
本発明の他の一例としては、シャッタ部材のシャッタ板が、その基端に位置して底壁の内面に密着する固定部と、その延出端に位置して挿入孔の中央部に向かって所定角度で折れ曲がる折曲部と、固定部と折曲部との間に位置して挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲する湾曲部とを有する。
【0016】
本発明の他の一例として、アダプタでは、それを前後方向へ二分する中心線を挟み、底壁第1凹部どうしが対称型に形成され、底壁第2凹部どうしが対称型に形成され、底壁第3凹部どうしが対称型に形成されているとともに、側壁第1凹部どうしが対称型に形成され、側壁第2凹部どうしが対称型に形成されている。
【0017】
本発明の他の一例としては、アダプタが、両側壁の間に位置して前後方向へ延びる少なくとも1つの仕切壁を含むとともに、仕切板を挟んで横方向へ並ぶ少なくとも2つの挿入孔を備え、シャッタ部材が底板を共有しつつ横方向へ並ぶ少なくとも2つの連結板とシャッタ板とを有し、それらシャッタ板がそれら挿入孔の両端部に位置してそれら挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲する。
【0018】
本発明の他の一例としては、シャッタ部材の底板がそれらシャッタ板の間に位置して挿入孔の中央部に向かって凹む凹部を有する。
【0019】
本発明の他の一例としては、シャッタ板の曲率半径が5.0〜7.5の範囲にある。
【0020】
本発明の他の一例としては、シャッタ部材の厚み寸法が0.01〜0.1mmの範囲にあり、シャッタ板の弾性反発力が0.1〜0.6Nの範囲にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る光通信用アダプタによれば、底壁に底壁第1凹部および底壁第2凹部が形成され、両側壁に側壁第1凹部および側壁第2凹部が形成され、シャッタ部材の底板と両側板とが底壁第1凹部と側壁第1凹部とに嵌合し、ストッパー部材の底板がシャッタ部材の底板の上に重なった状態で底壁第2凹部に嵌合するとともに、ストッパー部材の両側板がシャッタ部材の両側板の上に重なった状態で側壁第2凹部に嵌合するから、挿入孔の端部にシャッタ部材とストッパー部材との両者を設置することができる。アダプタは、挿入孔の両端部にシャッタ部材を設置することができ、挿入孔の両端部の少なくとも一方にストッパー部材を設置することができるから、挿入孔の両端部においてレーザ光を遮蔽することができ、挿入孔の両端部において光ファイバ接続用コネクタの着脱作業を行ったとしても、作業者の目がアダプタから漏出するレーザ光に曝させる危険はない。アダプタは、シャッタ部材が第1底板と第1底板の両側縁から上方へ延びる第1両側板と第1底板の前端縁から上方へ延びる連結板と連結板につながって所定の曲率半径で湾曲するシャッタ板とから作られ、ストッパー部材が第2底板と第2底板の両側縁から上方へ延びる第2両側板と第2両側板に形成された係止板とから作られるから、プレス成形加工によってシャッタ部材やストッパー部材を短時間に大量に製作することができ、低い製作コストでシャッタ部材やストッパー部材を製作することができ、その結果、アダプタ自体を低い単価で作ることができる。アダプタは、シャッタ部材の第1底板を底壁に形成された底壁第1凹部に嵌合させ、シャッタ部材の第1両側板を両側壁に形成された側壁第1凹部に嵌合させることで、シャッタ部材をアダプタに簡単に取り付けることができ、ストッパー部材の第2底板を底壁に形成された底壁第2凹部に嵌合させ、ストッパー部材の第2両側板を両側壁に形成された側壁第2凹部に嵌合させることで、ストッパー部材をアダプタに簡単に取り付けることができるから、シャッタ部材やストッパー部材のアダプタに対する取り付けが容易であり、組み立てに手間や時間がかからず、その結果、アダプタ自体を低い単価で作ることができる。このアダプタは、その挿入孔に光ファイバ接続用コネクタを挿入すると、シャッタ部材のシャッタ板がコネクタに押圧されて挿入孔の中央部に向かって倒れるから、シャッタ板による遮蔽が解除され、レーザ光を接続させることができる。また、コネクタを挿入孔から抜き取ると、シャッタ板がその弾性力によって起き上がり、挿入孔を再び遮蔽するから、アダプタにおけるレーザ光の漏出を確実に防ぐことができる。
【0022】
シャッタ部材の連結板がアダプタの底壁の端面に形成された端面凹部に嵌合する光通信用アダプタは、端面凹部に嵌合するシャッタ部材の連結板によってシャッタ部材がアダプタに確実に固定され、シャッタ部材のずれ動きやシャッタ部材のアダプタからの抜脱を防ぐことができ、シャッタ部材を利用して挿入孔を確実に遮蔽することができる。
【0023】
シャッタ部材の第1底板が底壁第1凹部と略同形同大に成形されて底壁第1凹部の全域に密着し、シャッタ部材の第1両側板が側壁第1凹部と略同形同大に成形されて側壁第1凹部の全域に密着するとともに、ストッパー部材の第2底板が底壁第2凹部とシャッタ部材の第1底板とに密着し、ストッパー部材の第2両側板が側壁第2凹部とシャッタ部材の第1両側板とに密着する光通信用アダプタは、底壁第1凹部全域に密着するシャッタ部材の第1底板や側壁第1凹部全域に密着するシャッタ部材の第1両側板によってシャッタ部材がアダプタに確実に固定され、シャッタ部材のずれ動きやシャッタ部材のアダプタからの抜脱を防ぐことができ、シャッタ部材を利用して挿入孔を確実に遮蔽することができる。アダプタは、底壁第2凹部とシャッタ部材の第1底板とに密着するストッパー部材の第2底板や側壁第2凹部とシャッタ部材の第1両側板とに密着するストッパー部材の第2両側板によってシャッタ部材とストッパー部材とがアダプタに確実に固定され、シャッタ部材およびストッパー部材のずれ動きやシャッタ部材およびストッパー部材のアダプタからの抜脱を防ぐことができる。
【0024】
底壁第2凹部よりも凹み深さが浅い底壁第3凹部と底壁第1凹部および底壁第3凹部につながる底壁段差部とが形成され、シャッタ部材の第1底板が底壁第1凹部に嵌合する第1嵌合部と底壁第3凹部に嵌合する第2嵌合部と底壁段差部に嵌合する段差嵌合部とを有する光通信用アダプタは、第1底板の第1嵌合部が底壁第1凹部に嵌合し、第1底板の第2嵌合部が底壁第3凹部に嵌合するとともに、第1底板の段差嵌合部が底壁段差部に嵌合するから、シャッタ部材がアダプタに確実に固定され、シャッタ部材のずれ動きやシャッタ部材のアダプタからの抜脱を防ぐことができ、シャッタ部材を利用して挿入孔を確実に遮蔽することができる。このアダプタは、シャッタ部材の底板に形成された段差嵌合部がリブとして機能するから、底板の捩れや折れ曲がりを防ぐことができ、底板を底壁の底壁第1凹部や底壁第3凹部、底壁段差部に確実に密着させることができ、シャッタ部材をアダプタに確実に固定することができる。
【0025】
シャッタ部材のシャッタ板が挿入孔の中央部に向かって倒れたときにそのシャッタ板を収容する収容凹部が底壁の内面に形成された光通信用アダプタは、シャッタ板が倒れる過程においてシャッタ板が収容凹部に順次収容されるから、シャッタ板が光ファイバ接続用コネクタの端部への挿入や抜き取りの邪魔をすることはなく、コネクタを挿入孔に円滑に挿入することができるとともに、コネクタを挿入孔から円滑に抜き取ることができる。
【0026】
シャッタ部材のシャッタ板が底壁の内面に密着する固定部と所定角度で折れ曲がる折曲部と挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲する湾曲部とを有する光通信用アダプタは、底板とシャッタ板の固定部とがアダプタの底壁の内外面を挟み込んだ状態となるから、シャッタ部材がアダプタに確実に固定され、シャッタ部材のずれ動きやシャッタ部材のアダプタからの抜脱を防ぐことができ、シャッタ部材を利用して挿入孔を確実に遮蔽することができる。アダプタは、シャッタ部材のシャッタ板の折曲部が挿入孔の中央部に向かって所定角度で折れ曲がるから、光ファイバ接続用コネクタを挿入孔に挿入したときに、シャッタ板の延出端のエッジがコネクタに接触することなく、シャッタ板の延出端のエッジがコネクタに接触することによるコネクタの傷付きを防ぐことができる。このアダプタは、シャッタ板の固定部と折曲部との間に位置する湾曲部が挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲するから、湾曲部によってシャッタ板の弾性力(反発力)が均一に分散してシャッタ板の耐久性が向上し、シャッタ板が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したとしても、シャッタ板の弾性力が低下することはなく、繰り返しの使用においてシャッタ板を利用して挿入孔を確実に遮蔽することができる。
【0027】
中心線を挟んで底壁第1凹部どうしが対称型に形成され、底壁第2凹部どうしが対称型に形成され、底壁第3凹部どうしが対称型に形成されているとともに、側壁第1凹部どうしが対称型に形成され、側壁第2凹部どうしが対称型に形成された光通信用アダプタは、挿入孔の両端部に同一形状のシャッタ部材を設置することができ、挿入孔の両端部に同一形状のストッパー部材を設置することができる。アダプタは、挿入孔の両端部にシャッタ部材を設置することができ、挿入孔の両端部の少なくとも一方にストッパー部材を設置することができるから、挿入孔の両端部においてレーザ光を遮蔽することができ、挿入孔の両端部において光ファイバ接続用コネクタの着脱作業を行ったとしても、作業者の目がアダプタから漏出するレーザ光に曝させる危険はない。
【0028】
両側壁の間に位置する少なくとも1つの仕切壁を含むとともに、仕切板を挟んで横方向へ並ぶ少なくとも2つの挿入孔を備え、シャッタ部材が底板を共有しつつ横方向へ並ぶ少なくとも2つの連結板とシャッタ板とを有する光通信用アダプタは、少なくとも2つの光ファイバ接続用コネクタを横方向へ並べた状態でそれらコネクタを挿入孔に挿入し、それらコネクタを介してレーザ光を接続させることができ、一度に複数の線路による光接続を行うことができる。アダプタは、挿入孔の両端部にシャッタ部材を設置することができ、挿入孔の両端部の少なくとも一方にストッパー部材を設置することができるから、挿入孔の両端部においてレーザ光を遮蔽することができ、挿入孔の両端部において光ファイバ接続用コネクタの着脱作業を行ったとしても、作業者の目がアダプタから漏出するレーザ光に曝させる危険はない。アダプタは、シャッタ部材が第1底板と第1底板の両側縁から上方へ延びる第1両側板と第1底板の前端縁から上方へ延びる少なくとも2つの連結板とそれら連結板につながって所定の曲率半径で湾曲する少なくとも2つのシャッタ板とから作られ、ストッパー部材が第2底板と第2底板の両側縁から上方へ延びる第2両側板と第2両側板に形成された係止板とから作られるから、プレス成形加工によってシャッタ部材やストッパー部材を短時間に大量に製作することができ、低い製作コストでシャッタ部材やストッパー部材を製作することができ、その結果、アダプタ自体を低い単価で作ることができる。アダプタは、シャッタ部材の第1底板を底壁に形成された底壁第1凹部に嵌合させ、シャッタ部材の第1両側板を両側壁に形成された側壁第1凹部に嵌合させることで、シャッタ部材をアダプタに簡単に取り付けることができ、ストッパー部材の第2底板を底壁に形成された底壁第2凹部に嵌合させ、ストッパー部材の第2両側板を両側壁に形成された側壁第2凹部に嵌合させることで、ストッパー部材をアダプタに簡単に取り付けることができるから、シャッタ部材やストッパー部材のアダプタに対する取り付けが容易であり、組み立てに手間や時間がかからず、その結果、アダプタ自体を低い単価で作ることができる。
【0029】
シャッタ部材の底板がそれらシャッタ板の間に位置して挿入孔の中央部に向かって凹む凹部を有する光通信用アダプタは、光ファイバ接続用コネクタの挿入によって一方のシャッタ部材のシャッタ板がその弾性力に抗して倒れたとしても、凹部によって一方のシャッタ板の倒れ込みの力が横方向へ並ぶ他方のシャッタ板に伝わることはなく、一方のシャッタ板が倒れたとしても、他方のシャッタ板がそれに追従して倒れることがなく、他方のシャッタ板によって他方の挿入孔を確実に遮蔽することができる。
【0030】
シャッタ板の曲率半径が5.0〜7.5の範囲にある光通信用アダプタは、シャッタ板の曲率半径が前記範囲にあるから、光ファイバ接続用コネクタを挿入孔に挿入したときに、シャッタ板の延出端のエッジがコネクタのフェルールに接触することなく、シャッタ板の延出端のエッジがコネクタのフェルールに接触することによるフェルールの傷付きを防ぐことができる。このアダプタは、シャッタ板が挿入孔の中央部に向かって前記曲率半径で湾曲するから、シャッタ板の弾性力(反発力)が均一に分散してシャッタ板の耐久性が向上し、シャッタ板が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したとしても、シャッタ板の弾性力が低下することはなく、繰り返しの使用においてもシャッタ板を利用して挿入孔を確実に遮蔽することができる。
【0031】
シャッタ部材の厚み寸法が0.01〜0.1mmの範囲にあり、シャッタ板の弾性反発力が0.1〜0.6Nの範囲にある光通信用アダプタは、シャッタ部材の厚み寸法が前記範囲にあるから、プレス成形加工によって同形同大のシャッタ部材を短時間に大量に製作することができ、低い製作コストでシャッタ部材を製作することができ、その結果、アダプタ自体を低い単価で作ることができる。このアダプタは、シャッタ板の弾性反発力が前記範囲にあるから、その挿入孔に光ファイバ接続用コネクタを挿入したときに、シャッタ部材のシャッタ板が挿入孔の中央部に向かって確実に倒れ、シャッタ板による遮蔽を確実に解除することができる。また、コネクタを挿入孔から抜き取ったときに、シャッタ板がその弾性力によって確実に起き上がるから、挿入孔を確実に遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一例として示す光通信用アダプタの斜視図。
【図2】アダプタの底壁を示す底面図。
【図3】アダプタの側壁を示す側面図。
【図4】シャッタ部材とストッパー部材とを取り付ける以前のアダプタの底壁を示す底面図。
【図5】シャッタ部材とストッパー部材とを取り付ける以前のアダプタの側壁を示す側面図。
【図6】一例として示すシャッタ部材の斜視図。
【図7】一例として示すストッパー部材の斜視図。
【図8】図1の8−8線矢視断面図。
【図9】光通信用アダプタの挿入孔の端部に対する光ファイバ接続用コネクタの挿入過程を示す図8と同様の矢視断面図。
【図10】光通信用アダプタの挿入孔の両端部に光ファイバ接続用コネクタを挿入した後の図8と同様の矢視断面図。
【図11】他の一例として示す光通信用アダプタの斜視図。
【図12】アダプタの底壁を示す底面図。
【図13】シャッタ部材とストッパー部材とを取り付ける以前のアダプタの底壁を示す底面図。
【図14】他の一例として示すシャッタ部材の斜視図。
【図15】他の一例として示すストッパー部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一例として示す光通信用アダプタの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る光通信用アダプタの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、アダプタ10Aの底壁12を示す底面図であり、図3は、アダプタ10Aの側壁13を示す側面図である。図4は、シャッタ部材17(遮蔽金具)とストッパー部材18(係止金具)とを取り付ける以前のアダプタ10Aの底壁12を示す底面図であり、図5は、シャッタ部材17とストッパー部材18とを取り付ける以前のアダプタ10Aの側壁13を示す側面図である。図6は、一例として示すシャッタ部材17の斜視図であり、図7は、一例として示すストッパー部材18の斜視図である。図8は、図1の8−8線矢視断面図である。図1〜3,6,7では、前後方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。
【0034】
光通信用アダプタ10Aは、半導体レーザ等の光発信装置から発信されるレーザ光(光信号)を光ファイバを利用して伝送する光通信において、光ファイバ等を接続する接続手段として利用される。アダプタ10Aは、合成樹脂あるいは亜鉛ダイカスト等の金属から作られたハウジングであり、図4,5に一点鎖線で示す中心線Lを挟んでその形状が対称型に成形されている(その形状が鏡像関係にある)。
【0035】
アダプタ10Aは、上下方向へ離間対向して前後方向へ延びる頂底壁11,12と、横方向へ離間対向して前後方向へ延びる両側壁13,14と、それら壁11〜14に囲繞されて前後方向へ貫通する挿入孔15と、挿入孔15に設置されたスリーブホルダ57および光接続用割りスリーブ16と(図8参照)、金属製(たとえば、ばね用ステンレス鋼板)のシャッタ部材17および金属製(たとえば、ばね用ステンレス鋼板)のストッパー部材18とを有する。両側壁13,14は、頂底壁11,12に直交してそれら壁11,12につながっている。
【0036】
挿入孔15は、前後方向へ離間対向する一対の両端部19,20と、それら両端部19,20の間に位置する中央部21とを有する。挿入孔15には、後記する光ファイバ接続用コネクタ58が着脱可能に挿入される。スリーブホルダ57は、中空円柱状に成形され、挿入孔15の中央部21に位置して前後方向へ延びている。光接続用割りスリーブ16は、挿入孔15の中央部21に位置し、スリーブホルダ57の内側に保持された状態で前後方向へ延びている。スリーブ16は、光ファイバ接続用コネクタ58を挿入孔15に挿入したときに、コネクタ58の端部から露出する円柱状のフェルール62を支持する(図10参照)。
【0037】
アダプタ10Aの両端部19,20には、光ファイバ接続用コネクタ58の係合部材61(図9,10参照)が着脱可能に係合する2つの係合部22,23(図8参照)が作られている。それら係合部22,23は、アダプタ10Aを前後方向に二分する中心線Lを挟んで両端部19,20に対称型に作られている(係合部22,23が鏡像関係にある)。それら係合部22,23は、両側壁13,14に形成されて両端部19,20から中央部21に向かって前後方向へ延びる第1フランジ24と、頂壁11と両側壁13,14との交差箇所に形成されて両端部19,20から中央部21に向かって前後方向へ延びる第2フランジ25と、それらフランジ24,25の間に位置して前後方向へ延びる案内溝26と、頂壁11に形成されてコネクタ58の係合部材61の係入突起69(図9,10参照)が着脱可能に係入する係入開口部27とから形成されている。第2フランジ25は、両端部19,20から中央部21に向かって上下方向下方へ傾斜している。
【0038】
アダプタ10Aの底壁12の外面には、中心線Lを挟んで前後方向に並ぶ2つの底壁凹部28が作られている。それら底壁凹部28は、中心線Lを挟んで対称型に作られている(底壁凹部28が鏡像関係にある)。アダプタ10Aの底壁12の両端面29には、挿入孔15の中央部21に向かって凹む2つの端面凹部30が作られている。それら端面凹部30は、中心線Lを挟んで対称型に作られている(端面凹部30が鏡像関係にある)。
【0039】
底壁凹部28は、図4に示すように、挿入孔15の両端部19,20の側(中心線Lの前後方向前方)に位置して底壁12の外面から内面に向かって上下方向へ凹む略矩形の底壁第1凹部31と、中央部21の側(底壁第1凹部31の前後方向後方)に位置して底壁12の外面から内面に向かって上下方向へ凹む略矩形の底壁第2凹部32と、底壁第1凹部31よりも底壁12の両端面29の側(底壁第1凹部31の前後方向前方)に位置して底壁12の外面から内面に向かって上下方向へ凹む略矩形の底壁第3凹部33と、底壁第1凹部31および底壁第3凹部33につながる底壁第1段差部34と、底壁第1凹部31および底壁第2凹部32につながる底壁第2段差部35とから形成されている。
【0040】
底壁第1凹部31は、中心線Lを挟んで対称型に作られている(底壁第1凹部31が鏡像関係にある)。底壁第2凹部32は、中心線Lを挟んで対称型に作られている(底壁第2凹部32が鏡像関係にある)。底壁第2凹部32は、その凹み深さ(底壁12の外面から内面に向かう底壁第2凹部32の凹み寸法)が底壁第1凹部分31のそれよりも浅く、底壁第3凹部33のそれよりも深い。
【0041】
底壁第3凹部33は、中心線Lを挟んで対称型に作られている(底壁第3凹部33が鏡像関係にある)。底壁第3凹部33は、その凹み深さ(底壁12の外面から内面に向かう底壁第3凹部33の凹み寸法)が底壁第2凹部32のそれよりも浅い。底壁第3凹部33では、その横方向両端縁が底壁12の内側に位置し、第3凹部33の横方向両端縁と底壁12との間に段差が生じ、底壁12が第3凹部33に対する障壁となっている。底壁第2凹部32と底壁12との間に残差が生じ、底壁12が第2凹部32に対する障壁となっている。底壁第1凹部31と底壁第2凹部32との間に残差が生じ、第2凹部32が第1凹部31に対する障壁となり、底壁第1凹部31と底壁第3凹部33との間に残差が生じ、第3凹部33が第1凹部31に対する障壁となっている。
【0042】
アダプタ10Aの底壁12の内面には、中心線を挟んで前後方向に並ぶ2つの収容凹部56が作られている(図8参照)。それら収容凹部56は、中心線Lを挟んで対称型に作られている(収容凹部56が鏡像関係にある)。収容凹部56は、底壁12の内面から外面に向かって上下方向へ凹んでいる。それら収容凹部56は、その平面形状がシャッタ部材17の後記する折曲部51および湾曲部52のそれよりもわずかに大きく、折曲部51および湾曲部52を収容可能である。
【0043】
アダプタ10Aの両側壁13,14の外面には、それらの外面から内面に向かって横方向へ凹む側壁凹部36が作られている。側壁凹部36は、一方の側壁13と他方の側壁14とにおいて同一形状に作られ、中心線Lを挟んで対称型に作られている(側壁凹部36が鏡像関係にある)。側壁凹部36は、図5に示すように、底壁12の側に位置して底壁第2凹部32につながる側壁第1凹部37と、側壁第1凹部37の内側に位置して底壁第1凹部31につながる側壁第2凹部38とから形成されている。
【0044】
側壁第2凹部38は、その凹み深さ(両側壁13,14の外面から内面に向かう第2凹部38の凹み寸法)が側壁第1凹部37のそれよりも深い。側壁第2凹部38は、底壁第1凹部31につながって前後方向の幅寸法が狭い幅狭い部分39と、幅狭い部分39につながって前後方向の幅寸法が幅狭い部分38のそれよりも広い幅広い部分40とを有する。側壁第1凹部37と両側壁13,14との間に残差が生じ、両側壁13,14が第1凹部37に対する障壁となっている。側壁第1凹部37と側壁第2凹部38との間に残差が生じ、第1凹部37が第2凹部37に対する障壁となっている。
【0045】
シャッタ部材17は、図6に示すように、略矩形の底板41(第1底板)と、底板41の両側縁から上方へ延びる両側板42(第1両側板)と、両側板42の間に位置して底板41の前端縁から上方へ延びる連結板43と、連結板43につながって底板41から上方へ延びるシャッタ板44とから形成されている。シャッタ部材17の底板41は、前後方向前方(挿入孔15の両端部19,20の側)に位置する第1嵌合部45と、前後方向後方(挿入孔15の中央部21の側)に位置する第2嵌合部46と、第1および第2嵌合部45,46の間に位置する段差嵌合部47とを有する。
【0046】
底板41の第1嵌合部45は、その平面形状が底壁第3凹部33の形状と略同形同大であり、第2嵌合部46は、その平面形状が底壁第1凹部31の形状と略同形同大である。段差嵌合部47は、その平面形状が底壁第1段差部34の形状と略同形同大である。シャッタ部材17の両側板42は、その平面形状が側壁第2凹部38の形状と略同形同大である。両側板42は、底板41につながって前後方向の幅寸法が狭い幅狭い部分48と、幅狭い部分48につながって前後方向の幅寸法が幅狭い部分48のそれよりも広い幅広い部分49とを有する。幅狭い部分48は、その平面形状が側壁第2凹部38の幅狭い部分39と略同形同大である。幅広い部分49は、その平面形状が側壁第2凹部38の幅広い部分40と略同形同大である。
【0047】
シャッタ板44は、連結板43の側を基端として弾性変形可能である。シャッタ板44は、その基端に位置して連結板43につながる固定部50と、その延出端に位置する折曲部51と、固定部50と折曲部51との間に位置する湾曲部52とを有する。折曲部51は、挿入孔15の中央部21に向かって所定角度で折れ曲がっている。湾曲部52は、所定の曲率半径を有して挿入孔15の中央部21に向かって凸となるように円弧を画いている。
【0048】
シャッタ部材17は、図1に示すように、挿入孔15の両端部19,20に着脱可能に固定されている。シャッタ部材17の両端部19,20への設置手順は、シャッタ部材17の両側板42をその弾性力に抗して横方向外方へ押し広げた後、シャッタ板44が挿入孔15の両端部19,20の内側に位置するとともに、連結板43が底壁端面29の端面凹部30に位置するように、シャッタ部材17の位置決めを行い、両側板42を側壁第2凹部38に嵌め込む。両側板42を側壁第2凹部38に嵌め込むと、シャッタ部材17の底板41が底壁凹部28に嵌め込まれる。
【0049】
シャッタ部材17の底板41の第1嵌合部45は、底壁第3凹部33に嵌め込まれ、第3凹部33の全体に嵌合かつ密着している。第1嵌合部45が底壁第3凹部33に嵌め込まれた状態では、第1嵌合部31の外面と底壁12の外面とが略同一平面になっている。シャッタ部材17の底板41の第2嵌合部46は、底壁第1凹部31に嵌め込まれ、第1凹部31の全体に嵌合かつ密着している。第2嵌合部46が底壁第1凹部31に嵌め込まれた状態では、第2嵌合部46の外面と底壁第2凹部32とが略同一平面になっている。シャッタ部材17の底板41の段差嵌合部47は、底壁第1段差部34に嵌合かつ密着している。
【0050】
シャッタ部材17の両側板42は、側壁第2凹部38に嵌め込まれ、第2凹部38に嵌合かつ密着している。両側板42が側壁第2凹部38に嵌め込まれた状態では、両側板42の外面と側壁第1凹部37の外面とが略同一平面になっている。両側板42の幅狭い部分48は、側壁第2凹部38の幅狭い部分39に嵌め込まれ、部分39の全体に嵌合かつ密着し、両側板42の狭い幅広い部分49は、側壁第2凹部38の幅広い部分40に嵌め込まれ、部分40に嵌合かつ密着している。
【0051】
シャッタ部材17の連結板43は、底壁端面29の端面凹部30に嵌合かつ密着している。シャッタ部材17のシャッタ板44のうちの折曲部51と湾曲部52とは、挿入孔15の両端部19,20に位置して挿入孔15を遮蔽している。シャッタ部材17では、底板41の第1嵌合部45とシャッタ板44の固定部50とがアダプタ10Aの底壁12の内外面を挟み込んでいる。
【0052】
ストッパー部材18は、図7に示すように、略矩形の底板53(第2底板)と、底板53の両側縁から上方へ延びる両側板54(第2両側板)と、両側壁54に形成されて横方向外方へ末広がりに傾斜して延びる係止板55とから形成されている。ストッパー部材18の底板53は、その平面形状が底壁第1凹部分31と底壁第2凹部32とを合わせた形状と略同形同大である。ストッパー部材18の両側板54は、その平面形状が側壁第1凹部37と側壁第2凹部38とを合わせた形状と略同形同大である。
【0053】
ストッパー部材18の端部20への設置手順は、ストッパー部材18の両側板54をその弾性力に抗して横方向外方へ押し広げた後、ストッパー部材18がシャッタ部材17の上に重なるようにストッパー部材18の位置決めを行い、両側板54を側壁第1凹部37に嵌め込む。両側板54を側壁第1凹部37に嵌め込むと、ストッパー部材18の底板53が底壁凹部28に嵌め込まれる。
【0054】
ストッパー部材18は、シャッタ部材17の上に重なった状態で、アダプタ10Aの一方の端部20に着脱可能に固定されている。ストッパー部材18の底板53は、シャッタ部材17の底板41の第2嵌合部46の上に重なった状態で、底壁第2凹部32に嵌め込まれ、第2凹部32の全体に嵌合かつ密着している。底板53が底壁第2凹部32に嵌め込まれた状態では、底板53の外面と底壁12の外面とが略同一平面になっている。ストッパー部材18の両側板54は、シャッタ部材17の両側板42の上に重なった状態で、側壁第1凹部37に嵌め込まれ、第1凹部37の全体に嵌合かつ密着している。両側板54が側壁第1凹部37に嵌め込まれた状態では、両側板54の外面と両側壁13,14の外面とが略同一平面になっている。
【0055】
図9は、光通信用アダプタ10Aの挿入孔15の端部19に対する光ファイバ接続用コネクタ58の挿入過程を示す図8と同様の矢視断面図であり、図10は、光通信用アダプタ10Aの挿入孔15の両端部19,20に光ファイバ接続用コネクタ58を挿入した後の図8と同様の矢視断面図である。図9では、他方の端部20の図示を省略している。アダプタ10Aは、図示はしていないが、ストッパー部材18の係止板55を利用して光通信に使用する取り付けパネルや各種装置、各種機器の所定の箇所に取り付けられる。
【0056】
光ファイバ接続用コネクタ58は、図9,10に示すように、光ファイバ59を固定する鞘部材60と、アダプタ10Aの係合部22,23に着脱可能に係合する係合部材61とから形成されている。コネクタ58の先端からは、フェルール62の一部が露出している。鞘部材60は、合成樹脂から作られて可撓性を有し、光ファイバ59の外周面全域を包被している。係合部材61は、合成樹脂から作られた弾性変形可能な摘み部63と、合成樹脂から作られた弾性変形可能な係合部64とを有する。
【0057】
摘み部63は、鞘部材60の中央に位置して鞘部材60の外面に固定された基端部分65と、基端部分65から上下方向上方へ傾斜して前後方向へ延びる自由部分66とを有する。係合部64は、鞘部材60の前端に位置して鞘部材60の外面に固定された基端部分67と、基端部分67から上下方向上方へ傾斜して前後方向へ延びる自由部分68とを有する。係合部64の自由部分68は、その延出端が摘み部63の自由部分66の延出端の下に重なっている。係合部64の自由部分68の横方向両側には、横方向外方へ凸となる係入突起69が形成されている。
【0058】
コネクタ58では、摘み部63を上下方向下方へ押圧すると、摘み部63がその基端部分65を旋回軸としてその自由部分66が上下方向下方へ旋回するとともに、自由部分66の旋回に伴って、係合部64がその基端部分67を旋回軸としてその自由部分68が上下方向下方へ旋回し、係入突起69が上下方向下方へ移動する。
【0059】
光ファイバ接続用コネクタ58を光通信アダプタ10Aの挿入孔15の両端部19,20に挿入していない状態では、図8に示すように、シャッタ部材17のシャッタ板44(折曲部51および湾曲部52)が上下方向上方へ起立して両端部19,20を塞いでいる。図9に矢印X1で示すように、コネクタ58をアダプタ10Aの挿入孔14の端部19に押し込むと、コネクタ58の鞘部材60が端部19のうちの第1フランジ24の下方に開口する端部19に次第に進入するとともに、コネクタ58の係合部材61の係合部64が第1および第2フランジ24,25の間の案内溝26に次第に進入する。
【0060】
鞘部材60が端部19に進入すると、鞘部材60の下端縁がシャッタ板44の湾曲部52に当接し、鞘部材60の下端縁が湾曲部52を挿入孔15の中央部21に向かって押圧する(前後方向後方へ押圧する)。また、コネクタ58の係合部材61の係合部64が案内溝26に次第に進入すると、係合部64が第2フランジ25に当接かつ摺動し、第2フランジ25が係合部64を上下方向下方へ向かって押圧する。
【0061】
鞘部材60が湾曲部52を押圧すると、図9に矢印X2で示すように、鞘部材60がシャッタ板44の湾曲部52の弾性力に抗して湾曲部52を弾性変形させる。湾曲部52は、弾性変形しつつ挿入孔15の中央部21に向かって次第に倒れる。第2フランジ25が係合部64を押圧すると、第2フランジ25が係合部64の弾性力に抗して係合部64を弾性変形させる。係合部64は、弾性変形しつつその基端部分67を旋回軸としてその自由部分68が上下方向下方へ旋回し、係入突起69が上下方向下方へ移動する。
【0062】
コネクタ58をアダプタ10Aの挿入孔15の端部19にさらに押し込むと、係合部64の自由部分68が上下方向下方へさらに旋回し、係合部64の自由部分68の係入突起69が頂壁11の係入開口部27の位置に来ると、係合部64の自由部分68がその弾性力(反発力)によって上下方向上方へ変形するとともに、自由部分68の係入突起69が頂壁11の係入開口部27に係入する。係入突起69が係入開口部27に係入すると、図10に示すように、コネクタ58のアダプタ10Aの挿入孔15の両端部19,20への挿入が完了し、シャッタ板44の折曲部51および湾曲部52が倒れ、折曲部51および湾曲部52が収容凹部56に収容されるとともに、コネクタ58から露出するフェルール62がスリーブ16に収容される。なお、コネクタ58をアダプタ10Aの挿入孔15の両端部19,20に挿入すると、スリーブ16内においてフェルール62どうしが当接し、光ファイバ59どうしが光接続される。
【0063】
コネクタ58を両端部19,20から取り外すには、係合部材61の摘み部63を上下方向下方へ押圧する。摘み部63を上下方向下方へ押圧すると、摘み部63がその基端部分65を旋回軸としてその自由部分66が上下方向下方へ旋回するとともに、自由部分66の旋回に伴って、係合部64がその基端部分67を旋回軸としてその自由部分68が上下方向下方へ旋回し、係入突起69が上下方向下方へ移動する。係入突起69が上下方向下方へ移動すると、係入突起69が係入開口部27から外れ、その状態でコネクタ58をアダプタ10Aから引き抜く方向へ引っ張る。
【0064】
コネクタ58をアダプタ10Aから引き抜く方向へ引っ張ると、コネクタ58の係合部材61の係合部64が案内溝26を摺動するとともに、鞘部材60が両端部19,20を摺動し、鞘部材60と係合部材61とが両端部19,20から次第に引き抜かれる。それに伴ってシャッタ板44の湾曲部52がその弾性力(反発力)により、次第に起立し、コネクタ58をアダプタ10Aから完全に抜き取ると、折曲部51と湾曲部52とが完全に起立してコネクタ58を挿入する以前の状態に復帰し、折曲部51と湾曲部52とがアダプタ10Aの挿入孔15を遮蔽する。
【0065】
光通信用アダプタ10Aは、その挿入孔15に光ファイバ接続用コネクタ58を挿入すると、シャッタ部材17のシャッタ板44の折曲部51および湾曲部52がコネクタ58に押圧されて挿入孔15の中央部21に向かって倒れるから、シャッタ板44による遮蔽が解除され、光ファイバ59どうしを光接続させることができる。また、コネクタ58を挿入孔15から抜き取ると、シャッタ板44がその弾性力によって起き上がり、挿入孔15を再び遮蔽するから、アダプタ10Aにおける光の漏出を確実に防ぐことができる。
【0066】
アダプタ10Aでは、シャッタ部材17のシャッタ板44の湾曲部52の曲率半径が5.0〜7.5の範囲にある。曲率半径が5.0未満では、光ファイバ接続用コネクタ58を挿入孔15に挿入したときに、シャッタ板44の湾曲部52がコネクタ58のフェルール62に接触する場合があり、それによってフェルール62に傷が付く場合がある。曲率半径が7.5を超過すると、シャッタ板44を利用して挿入孔15の両端部19,20を完全に遮蔽することができない場合がある。
【0067】
アダプタ10Aは、シャッタ板44の湾曲部52の曲率半径が前記範囲にあるから、光ファイバ接続用コネクタ58を挿入孔15の両端部19,20に挿入したときに、シャッタ板44がコネクタ58のフェルール62に接触することなく、シャッタ板44がフェルール62に接触することによるフェルール62の傷付きを防ぐことができる。アダプタ10Aは、シャッタ板44の湾曲部52が挿入孔15の中央部21に向かって前記曲率半径で湾曲しているから、シャッタ板44の湾曲部52の弾性力が均一に分散してシャッタ板44の耐久性が向上し、シャッタ板44が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したとしても、シャッタ板44の弾性力が低下することはなく、繰り返しの使用においてシャッタ板44を利用して挿入孔15を確実に遮蔽することができる。
【0068】
アダプタ10Aでは、シャッタ部材17の厚み寸法が0.01〜0.1mmの範囲、好ましくは、0.02〜0.06mmの範囲、より好ましくは、0.03〜0.035mmの範囲にある。また。シャッタ板44の湾曲部52の弾性反発力が0.1〜0.6Nの範囲、好ましくは、0.2〜0.4Nの範囲にある。シャッタ部材17の厚み寸法が0.1mmを超過すると、シャッタ板44の湾曲部52の弾性反発力が必要以上に高くなり、湾曲部52が倒れ難く、コネクタ58をアダプタ10Aの挿入孔15の両端部19,20に円滑に挿入することができない場合がある。シャッタ部材17の厚み寸法が0.01mm未満では、シャッタ部材17の強度が低下し、シャッタ板44が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したときに、シャッタ板44の湾曲部52の弾性力が早期に低下する場合があり、シャッタ板44を利用して挿入孔15を遮蔽することができない場合がある。
【0069】
シャッタ板44の湾曲部52の弾性反発力が0.6Nを超過すると、湾曲部52が倒れ難くなり、コネクタ58をアダプタ10Aの挿入孔15の両端部19,20に円滑に挿入することができない場合がある。シャッタ板44の湾曲部52の弾性反発力が0.1N未満では、シャッタ板44が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したときに、シャッタ板44の湾曲部52の弾性力が早期に低下する場合があり、シャッタ板44を利用して挿入孔15を遮蔽することができない場合がある。
【0070】
アダプタ10Aは、シャッタ部材17の厚み寸法が前記範囲にあるから、プレス成形加工によって同形同大のシャッタ部材17を短時間に大量に製作することができ、低い製作コストでシャッタ部材17を製作することができる。その結果、アダプタ10A自体を低い単価で作ることができる。また、コネクタ58をアダプタ10Aの挿入孔15に円滑に挿入することができ、シャッタ板44が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したとしても、シャッタ板44の湾曲部52の弾性力が低下することはなく、シャッタ板44を利用して挿入孔15を確実に遮蔽することができる。
【0071】
アダプタ10Aは、シャッタ板44の弾性反発力が前記範囲にあるから、その挿入孔15に光ファイバ接続用コネクタ58を挿入したときに、シャッタ部材17のシャッタ板44が挿入孔15の中央部21に向かって確実に倒れるから、シャッタ板44による遮蔽を確実に解除することができる。また、コネクタ58を挿入孔15から抜き取ったときに、シャッタ板44の湾曲部52がその弾性力(反発力)によって確実に起き上がるから、挿入孔15を確実に遮蔽することができる。
【0072】
アダプタ10Aは、シャッタ部材17が底板41と底板41の両側縁から上方へ延びる両側板42と底板41の前端縁から上方へ延びる連結板43と連結板につながって所定の曲率半径で湾曲するシャッタ板44とから作られるから、シャッタ部材17の部品点数が少なく、それをプレス成形加工によって製作する場合であっても、加工の難易度が低く、プレス成形加工によって同形同大のシャッタ部材17を短時間に大量に製作することができる。アダプタ10Aは、ストッパー部材18が底板53と底板53の両側縁から上方へ延びる両側板54と両側板54に形成された係止板55とから作られるから、プレス成形加工によってシャッタ部材17のみならずストッパー部材18を短時間に大量に製作することができ、低い製作コストでシャッタ部材17やストッパー部材18を製作することができ、その結果、アダプタ10A自体を低い単価で作ることができる。
【0073】
アダプタ10Aは、シャッタ部材17の底板41をアダプタ10Aの底壁12の外面に形成された底壁凹部28に嵌合させ、シャッタ部材17の両側板42を両側壁13,14の外面に形成された側壁凹部36に嵌合させることで、シャッタ部材17をアダプタ10Aに簡単に取り付けることができる。アダプタ10Aは、ストッパー部材18がシャッタ部材17の上に重なるように、ストッパー部材18の底板53をアダプタ10Aの底壁12の外面に形成された底壁凹部28に嵌合させ、ストッパー部材18の両側板54を両側壁13,14の外面に形成された側壁凹部36に嵌合させることで、ストッパー部材18をアダプタ10Aに簡単に取り付けることができる。アダプタ10Aは、シャッタ部材17やストッパー部材18のアダプタ10Aに対する取り付けが容易であり、アダプタ10Aの組み立てに手間や時間がかからず、その結果、アダプタ10A自体を低い単価で作ることができる。
【0074】
アダプタ10Aは、シャッタ部材17の底板41の第1嵌合部45が底壁第3凹部33に嵌合し、底板41の第2嵌合部46が底壁第1底凹31に嵌合するとともに、底板41の段差嵌合部47が底壁段差部34に嵌合するから、シャッタ部材17がアダプタ10Aに確実に固定され、シャッタ部材17のずれ動きやシャッタ部材17のアダプタ10Aからの抜脱を防ぐことができ、シャッタ部材17を利用して挿入孔15を確実に遮蔽することができる。このアダプタ10Aは、シャッタ部材17の底板41に形成された段差嵌合部47がリブとして機能するから、底板41の捩れや折れ曲がりを防ぐことができ、底板41を底壁12の底凹部28に確実に密着させることができ、シャッタ部材17をアダプタ10Aに確実に固定することができる。
【0075】
アダプタ10Aは、底板41とシャッタ板44の固定部50とが底壁12の内外面を挟み込んだ状態となるから、シャッタ部材17がアダプタ10Aに確実に固定され、シャッタ部材17のずれ動きやシャッタ部材17のアダプタ10Aからの抜脱を防ぐことができ、シャッタ部材17を利用して挿入孔15を確実に遮蔽することができる。アダプタ10Aは、シャッタ部材17のシャッタ板44の折曲部51が挿入孔15の中央部21に向かって所定角度で折れ曲がるから、光ファイバ接続用コネクタ58を挿入孔15に挿入したときに、シャッタ板44の延出端のエッジがコネクタ58に接触することなく、シャッタ板44の延出端のエッジがコネクタ58に接触することによるコネクタ58の傷付きを防ぐことができる。アダプタ10Aは、シャッタ板44の湾曲部52が挿入孔15の中央部21に向かって凸となるように湾曲するから、湾曲部52によってシャッタ板44の弾性力が均一に分散してシャッタ板44の耐久性が向上し、シャッタ板44が倒れ込みと起き上がりとを繰り返したとしても、シャッタ板44の弾性力が低下することはなく、繰り返しの使用においてシャッタ板44を利用して挿入孔15を確実に遮蔽することができる。
【0076】
図11は、他の一例として示す光通信用アダプタ10Bの斜視図であり、図12は、アダプタ10Bの底壁12を示す底面図である。図13は、シャッタ部材17(遮蔽金具)とストッパー部材18(係止金具)とを取り付ける以前のアダプタ10Bの底壁12を示す底面図であり、図14は、他の一例として示すシャッタ部材17の斜視図である。図15は、他の一例として示すストッパー部材18の斜視図である。図11,14,15では、前後方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。
【0077】
この光通信用アダプタ10Bが図1のそれと異なるところは、仕切壁70を有する点、仕切板70を挟んで横方向へ並ぶ2つの挿入孔15を有する点、シャッタ部材17が底板41を共有しつつ横方向へ並ぶ2つの連結板43とシャッタ板44とを有する点にあり、このアダプタ10Bのその他の構成は図1のアダプタ10Aと同一であるから、図1のアダプタ10Aと同一の符号を付すとともに、図1のアダプタ10Aの説明を援用することで、このアダプタ10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0078】
アダプタ10Bは、前後方向へ延びる頂底壁11,12および両側壁13,14と、両側壁13,14の間に位置して前後方向へ延びる仕切壁70と、それら壁11〜14,70に囲繞されて前後方向へ貫通する2つの挿入孔15と、それら挿入孔15の中央部21に設置された2つのスリーブホルダ57および2つの光接続用割りスリーブ16と(図8援用)、シャッタ部材17およびストッパー部材18とを有する。アダプタ10Aの挿入孔15の両端部10,20には、光ファイバ接続用コネクタ58の係合部材61(図9援用)が着脱可能に係合する4つの係合部22,23が作られている(図8援用)。
【0079】
それら係合部22,23は、両側壁13,14と仕切壁70とに形成されて両端部19,20から中央部21に向かって前後方向へ延びる第1フランジ24と、頂壁11および両側壁13,14の交差箇所と頂壁11および仕切壁70の交差箇所とに形成されて両端部19,20から中央部21に向かって前後方向へ延びる第2フランジ25と、それらフランジ24,25の間に位置して前後方向へ延びる案内溝26と、頂壁11に形成されてコネクタ58の係合部材61の係入突起69(図9,10援用)が着脱可能に係入する係入開口部27とから形成されている。第2フランジ25は、両端部19,20から中央部21に向かって上下方向下方へ傾斜している。
【0080】
アダプタ10Bの底壁12の外面には、底壁12の内面に向かって上下方向へ凹む2つの底壁凹部28が作られている。それら底壁凹部28は、中心線Lを挟んで対称型に作られている。アダプタ10Bの底壁12の両端面29には、挿入孔15の中央部21に向かって凹む4つの端面凹部30が作られている。それら端面凹部30は、中心線Lを挟んで対称型に作られている。
【0081】
底壁凹部28は、図13に示すように、挿入孔15の両端部19,20の側に位置する底壁第1凹部31と、中央部21の側に位置する底壁第2凹部32と、底壁第1凹部31よりも両端面29の側に位置する底壁第3凹部33と、底壁第1凹部31および底壁第3凹部33につながる底壁第1段差部34と、底壁第1凹部31および底壁第2凹部32につながる底壁第2段差部35とから形成されている。
【0082】
底壁第1凹部31は、中心線Lを挟んで対称型に作られている。底壁第2凹部32は、中心線Lを挟んで対称型に作られている。底壁第2凹部32は、その凹み深さが底壁第1凹部分31のそれよりも浅く、底壁第3凹部33のそれよりも深い。底壁第3凹部33は、中心線Lを挟んで対称型に作られている。底壁第3凹部33は、その凹み深さが底壁第2凹部32のそれよりも浅い。
【0083】
底壁第3凹部33では、その横方向両端縁が底壁12の内側に位置し、第3凹部33の横方向両端縁と底壁12との間に段差が生じ、底壁12が第3凹部33に対する障壁となっている。底壁第2凹部32と底壁12との間に残差が生じ、底壁12が第2凹部32に対する障壁となっている。底壁第1凹部31と底壁第2凹部32との間に残差が生じ、第2凹部32が第1凹部31に対する障壁となり、底壁第1凹部31と底壁第3凹部33との間に残差が生じ、第3凹部33が第1凹部31に対する障壁となっている。
【0084】
アダプタ10Bの底壁12の内面には、底壁12の内面から外面に向かって上下方向へ凹む4つの収容凹部56が作られている(図8援用)。それら収容凹部56は、中心線Lを挟んで対称型に作られている。それら収容凹部56は、その平面形状がシャッタ部材17の折曲部51および湾曲部52のそれよりもわずかに大きく、折曲部51および湾曲部52を収容可能である。
【0085】
アダプタ10Bの両側壁13,14の外面には、それらの外面から内面に向かって横方向へ凹む側壁凹部36が作られている(図4援用)。側壁凹部36は、一方の側壁13と他方の側壁14とにおいて同一形状に作られ、中心線Lを挟んで対称型に作られている。側壁凹部36は、底壁12の側に位置して底壁第2凹部32につながる側壁第1凹部37と、第1凹部37の内側に位置して底壁第1凹部31につながる側壁第2凹部38とから形成されている(図5援用)。
【0086】
側壁第2凹部38は、その凹み深さが側壁第1凹部37のそれよりも深い。側壁第2凹部38は、底壁第1凹部31につながって前後方向の幅寸法が狭い幅狭い部分39と、幅狭い部分39につながる幅広い部分40とを有する。側壁第1凹部37と両側壁13,14との間に残差が生じ、側壁第1凹部37と側壁第2凹部38との間に残差が生じている。
【0087】
シャッタ部材17は、図14に示すように、略矩形の底板41(第1底板)と、底板41の両側縁から上方へ延びる両側板42(第1両側板)と、両側板42の間に位置して底板41の前端縁から上方へ延びる2つの連結板43と、それら連結板43につながって底板41から上方へ延びる2つのシャッタ板44とから形成されている。底板41は、前後方向前方に位置する第1嵌合部45と、前後方向後方に位置する第2嵌合部46と、第1および第2嵌合部45,46の間に位置する段差嵌合部47と、それらシャッタ板44の間に位置して挿入孔15の中央部21に向かって(前後方向後方)凹む凹部71とを有する。
【0088】
底板41の第1嵌合部45は、その平面形状が底壁第3凹部33の形状と略同形同大であり、第2嵌合部46は、その平面形状が底壁第1凹部31の形状と略同形同大である。段差嵌合部47は、その平面形状が底壁第1段差部34の形状と略同形同大である。シャッタ部材17の両側板42は、その平面形状が側壁第2凹部38の形状と略同形同大である。両側板42は、底板41につながって前後方向の幅寸法が狭い幅狭い部分48と、幅狭い部分48につながる幅広い部分49とを有する。幅狭い部分48は、その平面形状が側壁第2凹部38の幅狭い部分39と略同形同大である。幅広い部分49は、その平面形状が側壁第2凹部38の幅広い部分40と略同形同大である。
【0089】
それらシャッタ板44は、連結板43の側を基端として弾性変形可能である。それらシャッタ板44は、その基端に位置して連結板43につながる固定部50と、その延出端に位置して挿入孔15の中央部21に向かって所定角度で折れ曲がる折曲部51と、固定部50と折曲部51との間に位置して挿入孔15の中央部21に向かって凸となるように円弧を画く湾曲部52とを有する。
【0090】
シャッタ部材17は、図11に示すように、挿入孔15の両端部19,20に着脱可能に固定されている。このシャッタ部材17の両端部19,20への設置手順は、図1のシャッタ部材17のそれと同一である。シャッタ部材17の底板41の第1嵌合部45は、底壁第3凹部33に嵌め込まれ、第3凹部33の全体に嵌合かつ密着している。シャッタ部材17の底板41の第2嵌合部46は、底壁第1凹部31に嵌め込まれ、第1凹部31の全体に嵌合かつ密着している。シャッタ部材17の底板41の段差嵌合部47は、底壁第1段差部34に嵌合かつ密着している。
【0091】
シャッタ部材17の両側板42は、側壁第2凹部38に嵌め込まれ、第2凹部38に嵌合かつ密着している。両側板42の幅狭い部分48は、側壁第2凹部38の幅狭い部分39に嵌め込まれ、部分39の全体に嵌合かつ密着し、両側板42の狭い幅広い部分49は、側壁第2凹部38の幅広い部分40に嵌め込まれ、部分40に嵌合かつ密着している。シャッタ部材17の連結板43は、底壁端面29の端面凹部30に嵌合かつ密着している。シャッタ部材17のシャッタ板44のうちの折曲部51と湾曲部52とは、挿入孔15の両端部19,20に位置して挿入孔15を遮蔽している。シャッタ部材17では、底板41の第1嵌合部45とシャッタ板44の固定部50とがアダプタ10Bの底壁12の内外面を挟み込んでいる。
【0092】
ストッパー部材18は、図15に示すように、略矩形の底板53(第2底板)と、底板53の両側縁から上方へ延びる両側板54(第2両側板)と、両側壁54に形成されて横方向外方へ末広がりに傾斜して延びる係止板55とから形成されている。ストッパー部材18の底板53は、その平面形状が底壁第1凹部分31と底壁第2凹部32とを合わせた形状と略同形同大である。ストッパー部材18の両側板54は、その平面形状が側壁第1凹部37と側壁第2凹部38とを合わせた形状と略同形同大である。
【0093】
ストッパー部材18は、シャッタ部材17の上に重なった状態で、アダプタ10Aの一方の端部20に着脱可能に固定されている。このストッパー部材18の端部20への設置手順は、図1のストッパー部材18のそれと同一である。ストッパー部材18の底板53は、シャッタ部材17の底板41の第2嵌合部46の上に重なった状態で、底壁第2凹部32に嵌め込まれ、第2凹部32の全体に嵌合かつ密着している。ストッパー部材18の両側板54は、シャッタ部材17の両側板42の上に重なった状態で、側壁第1凹部37に嵌め込まれ、第1凹部37の全体に嵌合かつ密着している。
【0094】
アダプタ10Bは、図1のそれと同様に、ストッパー部材18の係止板55を利用して光通信に使用する取り付けパネルや各種装置、各種機器の所定の箇所に取り付けられる。アダプタ10Bに光ファイバ接続用コネクタ58を挿入する手順やアダプタ10Bからコネクタ58を抜き取る手順は、図1のアダプタ10Aのそれらと同一であるから、図9,10を援用するとともに、図9,10の説明を援用することで、それらの説明は省略する。なお、コネクタ58の構成は、図9,10に図示のそれと同一である。
【0095】
アダプタ10Bにおけるシャッタ部材17のシャッタ板44の湾曲部52の曲率半径は、図1のアダプタ10Aのシャッタ部材17のシャッタ板44の湾曲部52のそれと同一である。アダプタ10Bのシャッタ部材17の厚み寸法は、図1のアダプタ10Aのシャッタ部材17のそれと同一であり、アダプタ10Bにおけるシャッタ板44の湾曲部52の弾性反発力は、図1のシャッタ板44の湾曲部52のそれと同一である。
【0096】
この光通信用アダプタ10Bは、図1のアダプタ10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。アダプタ10Bは、2つの光ファイバ接続用コネクタ58を横方向へ並べた状態でそれらコネクタ58を挿入孔15の両端部19,20に挿入し、それらコネクタ58を介して光を接続させることができ、一度に複数の線路による光接続を行うことができる。
【0097】
アダプタ10Bは、シャッタ部材17が底板41と底板41の両側縁から上方へ延びる両側板42と底板41の前端縁から上方へ延びる2つの連結板43と連結板につながって所定の曲率半径で湾曲する2つのシャッタ板44とから作られるから、シャッタ部材17の部品点数が少なく、それをプレス成形加工によって製作する場合であっても、加工の難易度が低く、プレス成形加工によって同形同大のシャッタ部材17を短時間に大量に製作することができる。アダプタ10Bは、低い製作コストでシャッタ部材17やストッパー部材18を製作することができ、その結果、アダプタ10B自体を低い単価で作ることができる。
【0098】
アダプタ10Bは、シャッタ部材17の底板41をアダプタ10Bの底壁12の外面に形成された底壁凹部28に嵌合させ、シャッタ部材17の両側板42を両側壁13,14の外面に形成された側壁凹部36に嵌合させることで、シャッタ部材17をアダプタ10Bに簡単に取り付けることができる。アダプタ10Bは、ストッパー部材18がシャッタ部材17の上に重なるように、ストッパー部材18の底板53をアダプタ10Bの底壁12の外面に形成された底壁凹部28に嵌合させ、ストッパー部材18の両側板54を両側壁13,14の外面に形成された側壁凹部36に嵌合させることで、ストッパー部材18をアダプタ10Bに簡単に取り付けることができる。アダプタ10Bは、シャッタ部材17やストッパー部材18のアダプタ10Bに対する取り付けが容易であり、アダプタ10Bの組み立てに手間や時間がかからず、その結果、アダプタ10B自体を低い単価で作ることができる。
【0099】
アダプタ10Bは、光ファイバ接続用コネクタ58の挿入によってシャッタ部材17の一方のシャッタ板44がその弾性力に抗して倒れたとしても、凹部71によって一方のシャッタ板44の倒れ込みの力が横方向へ並ぶ他方のシャッタ板44に伝わることはなく、一方のシャッタ板44が倒れたとしても、他方のシャッタ板44がそれに追従して倒れることがなく、他方のシャッタ板44によって他方の挿入孔15を確実に遮蔽することができる。
【0100】
なお、図11のアダプタ10Bでは1つの仕切板70が設置され、横方向へ2つの挿入孔15が並んでいるが、仕切板70の数に特に限定はなく、アダプタ10Bに2つ以上の仕切板70が設置され、3つ以上の挿入孔15が横方向へ並んでいてもよい。この場合、シャッタ部材17には挿入口に数に応じて3つ以上の連結板43とシャッタ板44とが形成される。また、図1や図11のアダプタ10A,10Bではストッパー部材18が一方の端部20に設置されているが、ストッパー部材18を他方の端部19のみに設置することもでき、ストッパー部材18を両端部19,20に設置することもできる。
【符号の説明】
【0101】
10A 光通信用アダプタ
10B 光通信用アダプタ
11 頂壁
12 底壁
13 側壁
14 側壁
15 挿入孔
16 光接続用スリーブ
17 シャッタ部材
18 ストッパー部材
19 端部
20 端部
21 中央部
28 底壁凹部
29 両端面
30 端面凹部
31 底壁第1凹部
32 底壁第2凹部
33 底壁第3凹部
34 底壁第1段差部
35 底壁第2段差部
36 側壁凹部
37 側壁第1凹部
38 側壁第2凹部
41 底板(第1底板)
42 両側板(第1両側板)
43 連結板
44 シャッタ板
45 第1嵌合部
46 第2嵌合部
47 段差嵌合部
50 固定部
51 折曲部
52 湾曲部
53 底板(第2底板)
54 両側板(第2両側板)
55 係止板
70 仕切壁
71 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向へ延びる頂底壁および両側壁と、それら壁に囲繞されて前記前後方向へ貫通し、光ファイバ接続用コネクタを着脱可能に挿入する挿入孔と、前記挿入孔の両端部に着脱可能に設置されて該挿入孔の両端部を開閉可能なシャッタ部材と、前記挿入孔の中央部に設置されて前記コネクタのフェルールを支持する光接続用スリーブとを有する光通信用アダプタにおいて、
前記アダプタが、前記挿入孔の両端部の少なくとも一方に着脱可能に設置されるストッパー部材を含み、前記シャッタ部材が、第1底板と、前記第1底板の両側縁から上方へ延びる第1両側板と、前記第1両側板の間に位置して前記第1底板の前端縁から上方へ延びる連結板と、前記連結板につながって前記第1底板から上方へ延びるとともに、所定の曲率半径を有して湾曲する弾性変形可能なシャッタ板とを有し、前記ストッパー部材が、第2底板と、前記第2底板の両側縁から上方へ延びる第2両側板と、前記第2両側板に形成された弾性変形可能な係止板とを有し、
前記両端部に延びる底壁の外面には、該外面から内面に向かって凹む底壁第1凹部と、前記底壁第1凹部よりも前記中央部の側に位置し、該外面から内面に向かって凹むとともに前記底壁第1凹部よりも凹み深さが浅い底壁第2凹部とが形成され、前記両端部に延びる両側壁の外面には、該外面から内面に向かって凹む側壁第1凹部と、該外面から内面に向かって凹むとともに前記側壁第1凹部よりも凹み深さが浅い側壁第2凹部とが形成され、
前記シャッタ部材の第1底板が、前記底壁第1凹部に嵌合しつつ前記底壁第2凹部と略同一平面を形成し、前記ストッパー部材の第2底板が、前記第1底板の上に重なった状態で前記底壁第2凹部に嵌合し、前記シャッタ部材の第1両側板が、前記側壁第1凹部に嵌合しつつ前記側壁第2凹部と略同一平面を形成し、前記ストッパー部材の第2両側板が、前記第1両側板の上に重なった状態で前記側壁第2凹部に嵌合し、
前記シャッタ部材のシャッタ板が、前記挿入孔の両端部に位置して該挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲しつつ該挿入孔を遮蔽するとともに、前記コネクタを前記挿入孔に挿入したときに該コネクタに押圧されて該挿入孔の中央部に向かって倒れることを特徴とする光通信用アダプタ。
【請求項2】
前記両端部に延びる底壁の端面には、前記挿入孔の中央部に向かって凹む端面凹部が形成され、前記シャッタ部材の連結板が、前記端面凹部に嵌合している請求項1記載の光通信用アダプタ。
【請求項3】
前記シャッタ部材の第1底板が、前記底壁第1凹部と略同形同大に成形されて該底壁第1凹部の全域に密着し、前記シャッタ部材の第1両側板が、前記側壁第1凹部と略同形同大に成形されて該側壁第1凹部の全域に密着するとともに、前記ストッパー部材の第2底板が、前記底壁第2凹部と前記シャッタ部材の第1底板とに密着し、前記ストッパー部材の第2両側板が、前記側壁第2凹部と前記シャッタ部材の第1両側板とに密着している請求項1または請求項2に記載の光通信用アダプタ。
【請求項4】
前記両端部に延びる底壁の外面には、前記底壁第1凹部よりも前記両端部の側に位置し、該外面から内面に向かって凹むとともに前記底壁第2凹部よりも凹み深さが浅い底壁第3凹部と、前記底壁第1凹部および底壁第3凹部につながる底壁段差部とが形成され、前記シャッタ部材の第1底板が、前記底壁第1凹部に嵌合する第1嵌合部と、前記底壁第3凹部に嵌合する第2嵌合部と、前記第1および第2嵌合部の間に位置して前記底壁段差部に嵌合する段差嵌合部とを有する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の光通信用アダプタ。
【請求項5】
前記両端部に延びる底壁の内面には、該内面から外面に向かって凹むとともに、前記シャッタ部材のシャッタ板が前記挿入孔の中央部に向かって倒れたときにそのシャッタ板を収容する収容凹部が形成されている請求項1ないし請求項4いずれかに記載の光通信用アダプタ。
【請求項6】
前記シャッタ部材のシャッタ板が、その基端に位置して前記底壁の内面に密着する固定部と、その延出端に位置して前記挿入孔の中央部に向かって所定角度で折れ曲がる折曲部と、前記固定部と前記折曲部との間に位置して前記挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲する湾曲部とを有する請求項1ないし請求項5いずれかに記載の光通信用アダプタ。
【請求項7】
前記アダプタでは、それを前後方向へ二分する中心線を挟み、前記底壁第1凹部どうしが対称型に形成され、前記底壁第2凹部どうしが対称型に形成され、前記底壁第3凹部どうしが対称型に形成されているとともに、前記側壁第1凹部どうしが対称型に形成され、前記側壁第2凹部どうしが対称型に形成されている請求項4ないし請求項6いずれかに記載の光通信用アダプタ。
【請求項8】
前記アダプタが、前記両側壁の間に位置して前記前後方向へ延びる少なくとも1つの仕切壁を含むとともに、前記仕切板を挟んで横方向へ並ぶ少なくとも2つの前記挿入孔を備え、前記シャッタ部材が、前記底板を共有しつつ前記横方向へ並ぶ少なくとも2つの前記連結板と前記シャッタ板とを有し、それらシャッタ板が、それら挿入孔の両端部に位置してそれら挿入孔の中央部に向かって凸となるように湾曲する請求項1ないし請求項7いずれかに記載の光通信用アダプタ。
【請求項9】
前記シャッタ部材の底板が、それらシャッタ板の間に位置して前記挿入孔の中央部に向かって凹む凹部を有する請求項8記載の光通信用アダプタ。
【請求項10】
前記シャッタ板の曲率半径が、5.0〜7.5の範囲にある請求項1ないし請求項9いずれかに記載の光通信用アダプタ。
【請求項11】
前記シャッタ部材の厚み寸法が、0.01〜0.1mmの範囲にあり、前記シャッタ板の弾性反発力が、0.1〜0.6Nの範囲にある請求項1ないし請求項10いずれかに記載の光通信用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−37542(P2012−37542A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174374(P2010−174374)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【Fターム(参考)】