説明

光重合性組成物

【目的】 400nm以上の可視光線、特にAr+レーザーやYAG−SHGレーザーの出力に対応する488nm、532nm付近の光に対しても感度の高い光重合開始剤を含み、感光材料として保存安定性に優れた光重合性組成物を提供する。
【構成】i)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一個有する化合物、ii) 一般式[I]
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基等を表わすか、もしくは、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R9とR10、R10とR11、R11とR12が互いに結合しても良く、R5は水素原子、アルキル基等、R6は置換、又は無置換のアルケニルアルキル基等、R7、R8はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基等を表す)で表される化合物、及び、iii) 該成分(ii)との共存下で光照射によって活性ラジカルを発生する活性剤を含有することを特徴とする光重合性組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光重合性組成物に関する。さらに詳細には、可視光に対し優れた感光性を有する新規な組成の光重合開始系からなる光重合性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】光重合性組成物は光照射により引き起こされる重合反応の結果、組成物の物性変化を生じる材料であり、印刷、プリント回路、超LSI等の微細加工、塗料、インキ、ホログラム記録、3次元造形等の広い分野に用いられ、その用途はますます拡大されている。該組成物は基本的には、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤よりなる。この種の組成物は光照射により重合反応を生じ、硬化し不溶化する事から、該組成物に、さらに必要に応じて皮膜形成能を有するバインダー樹脂、熱重合禁止剤等を加えた感光性組成物を適当な皮膜となし、所望の陰画像を通して光照射を行い、適当な溶媒により非照射部のみを除去する(以下、単に現像と呼ぶ)事により所望の硬化画像を形成する事ができる。この様な画像形成法が印刷版等を作成する際に使用されるものとして極めて有用であることはよく知られている。
【0003】該重合性組成物における、光重合開始剤としては従来、ベンジル、ベンゾインエーテル、ミヒラーケトン、アントラキノン、アクリジン、フェナジン、あるいはベンゾフェノン等が用いられてきた。しかしながら、これらの光重合開始剤からなる組成物は、感光速度が低く、さらに、400nm以下の紫外波長域の光に対する光重合能力に比較し、400nm以上の可視光に対する光重合能力が極めて低い。したがって、従来の光重合開始剤からなる光重合性組成物はその応用範囲が著しく限定されていた。
【0004】また少量の光照射により高い硬化を得ることのできる感光性組成物は永く望まれている。それは、例えば非接触型の投影露光に適合する感光性材料として有用である。また、近年、可視レーザーを用いた画像形成技術が実用段階にあり、可視光線に対し、高い光重合能力を有する感光性組成物が強く望まれている。該可視レーザー光としては、Ar+レーザーの488nm波長光、YAG−SHGレーザーの532nm波長光などを用いた方法が有望視されている。
【0005】可視光線に対し感応する光重合開始系からなる光重合組成物に関しては、従来いくつかの提案がなされてきた。例えば、米国特許2,850,445号によればある種の感光性染料、例えば、ローズベンガル、エオシン、エリスロシン等が効果的な可視光感応性を有していると報告されている。また改良技術として、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤及び染料の系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、3−ケトクマリン化合物と活性ハロゲン化合物の系(特開昭58−15503号)、置換トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−15102号)等の提案がなされてきた。これらの技術は確かに可視光線に有効ではあるが、実用的見地からは、感度は不十分である。また、特開平2−244050には高感度な開始系として4−チアゾリジノン骨格を有する色素とラジカル発生剤の系が提案されている。この系は確かに高感度ではあったが、実用的には尚、十分ではなく、改良が望まれていた。さらに、該色素に関しては、組成物を構成する他の成分との相溶性が低い事が実用に際する大きな障害となっていた。すなわち、結果として、感光材料中への色素の添加濃度は低く制限され、また、材料の保存中に該色素が析出し、感光性の劣化等の、望ましくない特性変化を生じる原因となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感度の光重合性組成物を提供することである。すなわち、本発明の目的は広く一般に付加重合性エチレン性不飽和化合物を含む光重合性組成物の光重合速度を増大させる光重合開始剤を含んだ光重合性組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、400nm以上の可視光線、特にAr+レーザーやYAG−SHGレーザーの出力に対応する488nm、532nm付近の光に対しても感度の高い光重合開始剤を含んだ光重合性組成物を提供することにある。さらに、別の目的は、感光材料としての保存安定性に優れた光重合性組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ある特定の光重合開始系を含む光重合性組成物が、極めて高い光重合速度をしめし、また、400nm以上の可視光線に対しても高い感光性をしめし、且つ保存安定性に優れる事を見出し、本発明に到達したものである。
【0008】即ち、本発明は、下記の成分(i)〜(iii)を含有する事を特徴とする光重合性組成物である。
i)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一個有する化合物ii)一般式[I]
【0009】
【化2】


【0010】(式中、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスフォノ基、置換ホスフォノ基、ホスフォナト基、置換ホスフォナト基、シアノ基、ニトロ基を表すか、もしくは、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R9とR10、R10とR11、R11とR12が互いに結合して脂肪族又は芳香族環を形成していても良く、R5は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、又は置換アリール基を表し、R6は置換、又は無置換のアルケニルアルキル基、アルキニルアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、R7、R8はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換カルボニル基を表す)で表される化合物、及び、iii)該成分(ii)との共存下で光照射によって活性ラジカルを発生する活性剤。
【0011】以下、本発明の光重合性組成物の各成分について、詳しく説明する。本発明に使用される成分(i)の付加重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一個有する化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
【0012】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0013】メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0014】イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0015】クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0016】マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0017】その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(D)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
【0018】
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (D)
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌Vol.1、20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものを使用することができる。なお、これらの使用量は、全成分に対し5〜50重量%(以下%と略称する。)、好ましくは10〜40%である。
【0019】本発明に使用される成分(ii)は前記一般式[I]で表される化合物である。
【0020】一般式[I]におけるR1、R2、R3、R4、の例を以下に示す。アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基をあげることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等をあげることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0021】置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキルアルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキルアリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリールアルコキシカルボニルアミノ基、N−アリールアリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl)) 、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基があげられる。これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基があげられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスホナトフェニル基等をあげることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等があげられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブテニル基、トリメチルシリルエチニル基等があげられる。アシル基(R13CO−)におけるR13としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基をあげることができる。これら置換基の内、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルフォ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基があげられる。一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものをあげることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基をあげることができる。好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルフォリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルフォフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルフォナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイル基、オクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等をあげることができる。
【0022】アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、をあげることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0023】置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものをあげることができる。これらの、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルフォリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルフォフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等をあげることができる。
【0024】置換オキシ基(R14O−)としては、R14が水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基をあげる事ができる。これらにおけるアルキル基、ならびにアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに、アリール基、置換アリール基として示したものをあげる事ができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R15O−)としては、R15が、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基のものをあげることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基、がより好ましい。好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、ホスフォノオキシ基、フォスフォナトオキシ基等があげられる。
【0025】置換チオ基(R16S−)としてはR16が水素を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルチオ基をあげることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基として前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものをあげる事ができ、アシルチオ基におけるアシル基(R15O−)のR15は前述のとうりである。これらの中ではアルキルチオ基、ならびにアリールチオ基がより好ましい。好ましい置換チオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカルボニルチオ基等があげられる。
【0026】置換アミノ基(R17NH−,(R18)(R19)N−)としては、R17,R18,R19が水素を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキルアルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキルアリーロキシカルボニアミノ基、N−アリールアルコキシカルボニルアミノ基、N−アリールアリーロキシカルボニルアミノ基があげられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものをあげることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基におけるアシル基(R15CO−)のR15は前述のとうりである。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、があげられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等があげられる。
【0027】置換カルボニル基(R20−CO−)としては、R20が一価の非金属原子団のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基があげられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものをあげることができる。これらの内、より好ましい置換基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、があげられ、更により好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基があげられる。好ましい置換基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルフォリノカルボニル基等があげられる。
【0028】置換スルフィニル基(R21−SO−)としてはR21が一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基があげられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものをあげることができる。これらの内、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が、あげられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等があげられる。
【0029】置換スルホニル基(R22−SO2−)としては,R22が一価の非金属原子団のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基をあげることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものをあげることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等があげられる。
【0030】スルホナト基(−SO3-)は前述のとうり、スルホ基(−SO3H)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類、等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)があげられる。
【0031】置換ホスフォノ基とはホスフォノ基上の水酸基の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、アルキルアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、モノアリールホスフォノ基があげられる。これらの中ではジアルキルホスフォノ基、ならびにジアリールホスフォノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスフォノ基、ジブチルホスフォノ基、ジフェニルホスフォノ基等があげられる。
【0032】ホスフォナト基(−PO32-、−PO3-)とは前述のとうり、ホスフォノ基(−PO32)の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類、等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)があげられる。
【0033】置換ホスフォナト基とは前述の置換ホスフォノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))の共役塩基基をあげることができる。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類当、等)、ならびに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)があげられる。
【0034】以上にあげたR1、R2、R3、R4の例の内、より好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基(−OH)、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、シアノ基、ニトロ基があげられ、さらにより好ましくは、該置換アルキル基上の置換基がハロゲン原子、−OR51(R51は、先の述べたアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールの例のもの)であるものがあげられる。
【0035】次に、R1とR2、R2とR3、R3とR4が互いに結合して環を形成する場合の例を示す。R1とR2、R2とR3、R3とR4が互いに結合して形成する脂肪族環としては、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環をあげることができ、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環をあげることができる。これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く(置換基の例としては、アルキル基ならびに前述の置換アルキル基上の置換基の例として挙げたものをあげることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていても良い。これらの好ましい具体例としては、式[I]中の、これらが結合する炭素原子を含むベンゼン環と協同して、ベンゾシクロペンテン環、ベンゾシクロヘキセン環、ベンゾシクロヘプテン環、ベンゾシクロオクテン環、1,3−ベンゾシクロヘキサジエン環、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキサインデン環、ジュロリジン環をなすもの等があげられる。
【0036】R1とR2、R2とR3、R3とR4が互いに結合して芳香族環を形成する例としては、これらが結合する炭素原子を含むベンゼン環と協同して、ナフタレン、アントラセン環をなすものをあげることができ、より、好ましくはナフタレン環をなすものがあげられる。これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良い(置換基の例としては、アルキル基、ならびに前述の置換アルキル基上の置換基の例としてあげたものをあげることができる)。
【0037】以下に、一般式[I]におけるR1、R2、R3、R4の最も好ましい例を具体的に示す。
【0038】
【化3】


【0039】
【化4】


【0040】
【化5】


【0041】次に、一般式[I]におけるR5の例を以下に示す。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、としては前述のR1、R2、R3、R4の例として示したものをあげることができる。R5の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェネチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、アリロキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、モルフォリノエチル基、モルフォリノプロピル基、スルホプロピル基、スルホナトプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルプロピル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−エチルアミノカルバモイルメチル基、N−フェニルカルバモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルブチル基、p−トリエンスルホニルアミノプロピル基、ベンゾイルアミノヘキシル基、ホスフォノメチル基、ホスフォノエチル基、ホスホノプロピル基、p−ホスフォノベンジルアミノカルボニルエチル基、ホスフォナトメチル基、ホスフォナトプロピル基、ホスフォナトブチル基、p−ホスフォナトベンジルアミノカルボニルエチル基をあげることができる。
【0042】次に、一般式[I]におけるR6の例を以下にしめす。R6は−R23−C(R24)=C(R25)(R26)、ならびに−R27−C≡C−R28で表わされる、置換、または無置換のアルケニルアルキル基、アルキニルアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基、である。ここで、R23ならびにR27は共有結合もしくは、炭素原子数1から20までの直鎖状、分岐状ならびに環状のアルキレン基を表し、より好ましくは共有結合、もしくは炭素原子数1から6までの直鎖状、炭素原子数2から8までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を表す。R24、R25、R26、R28としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基を表す(これらの例としては、前述のR1、R2、R3、R4の例として示したものをあげることができる)。R24、R25、R26、R28のより好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子ならびに炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基をあげることができる。R6の好ましい具体例としては、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、2−オクテニル基、7−オクテニル基、1−メチルプロペニル基、1,1−ジメチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基、2−エチルプロペニル基、3,3−ジメチルプロペニル基、2−シクロヘキセニル基、ゲラニル基(7,7,3,3−テトラメチル2,6−ヘプタジエニル基)、シトロネニル基(7,7,3−トリメチル−5−ペプテニル基)、2−クロロ−2−プロペニル基、3−クロロ−2−プロペニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、1,1−ジメチルプロピニル基、1,1−ジエチルプロピニル基、4,4−ジメチル−2−ブチニル基、ビニル基、クロロエチニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、スチリル基、エチニル基、2−フェニルエチニル基をあげることができる。R6の最も好ましい例としては、アリル基、及び、2−プロピニル基、ビニル基、エチニル基をあげることができる。
【0043】次に、一般式[I]におけるR7ならびにR8の例を以下に示す。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基の例としては、先に、R1、R2、R3、R4の例として示したものをそれぞれあげることができる。
【0044】次に、一般式[I]におけるR9、R10、R11ならびにR12の例を以下に示す。これらの置換基としては、R1、R2、R3、R4の例としてあげたものが好適である。また、R9とR10、R10とR11、R11とR12が互いに結合して環を形成する場合に関しても、先にR1〜R4についてしめしたものをあげることができる。
【0045】以下に、一般式[I]におけるR7、R8、R9、R10、R11、R12のさらにより好ましい例を具体的に示す。
【0046】
【化6】


【0047】
【化7】


【0048】
【化8】


【0049】また、前記(a−1)〜(a−65)で示される部分骨格(a)と上記(b−1)〜(b−73)で示される部分骨格(b)とを順列組み合わせて一般式[I]を構成することができる。一般式[I]で表わされる化合物の最も好ましい具体例としては以下のものがあげられる。
【0050】
【化9】


【0051】
【化10】


【0052】
【化11】


【0053】
【化12】


【0054】一般式[I]で表わされる化合物は「Bull. Soc. Chimie. Belges」誌第57巻第364〜372頁(1948年)抄録:「Chemical Abstracts」誌第44巻第60c〜61d欄(1950年)に記載の方法で合成することができる。すなわち、例えば、化合物(I−1)は、3−アリル−5−[3−ブチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン]−4,5−ジヒドロ−2−(メチルチオ)−4−オキソチアゾリウム 4−メチルベンゼンスルホネートと1−インダノンとを塩基性の条件下で縮合することにより得られる。この際、塩基としては一般に汎用される塩基、例えば有機アミン、ピリジン類(トリアルキルアミン、ジメチルアミノピリジン等)、金属アミド類(リチウムジイソプロピルアミド等)、金属アルコキシド類(ナトリウムメトキシド等)、金属水素化物類(水素化ナトリウム等)が好適に使用できる。尚、一般式[I]の化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
【0055】本発明の光重合性組成物に用いられる一般式[I]の化合物は単独、あるいは2種以上を併用する事によって、好適に用いられる。
【0056】次に本発明に使用される成分(iii)について詳しく説明する。本発明における成分(iii)の活性剤は、成分(ii)の共存下、光照射により活性ラジカルを生成するもので有ればいずれも好適に使用できる。すなわち、光照射により励起された成分(ii)と何らかの相互作用(エネルギー移動、電子移動、励起錯体生成等)を経て活性ラジカルを生成する化合物群が好適に使用できる。好ましい活性剤の例としては、(a)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、等があげられる。
【0057】成分(iii)の一例である炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、下記一般式[II]から[VIII]のものを挙げることができる。
【0058】
【化13】


【0059】(式中、Xはハロゲン原子を表わす。Y1 は−CX′3、−NH2、−NHR′、−NR′2、−OR′を表わす。ここでR′はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。またRは−CX3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表わす。)で表わされる化合物。
【0060】
【化14】


【0061】(ただし、R29は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、X′はハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)で表わされる化合物。
【0062】一般式[IV]:R30−Z−CH(m-1)X″m−R31 [IV]
(ただし、R30は、アリール基又は置換アリール基であり、R31は、−C(=O)−NR3233、−C(=S)NR3233
【0063】
【化15】


【0064】又はハロゲンであり、Zは−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO2−であり、R32、R33はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R34は一般式[II]中のR′と同じであり、X″はハロゲン原子であり、mは1又は2である。)で表わされる化合物。
【0065】
【化16】


【0066】ただし、式中R35は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R36は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。
【0067】
【化17】


【0068】(ただし、Lは水素原子又は式:CO−(R37)q(CX3)r の置換基であり、Qはイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R基であり、Mは置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R38はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R37は炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)で表わされる、トリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
【0069】
【化18】


【0070】(ただし、Xはハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R38は水素原子又はCH3-tt基であり、R39はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)で表わされる、4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
【0071】
【化19】


【0072】(ただし、X′はハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R40は水素原子又はCH3-vv基であり、R41はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)で表わされる、2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
【0073】このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull. Chem. Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、たとえば、
【0074】
【化20】


【0075】
【化21】


【0076】等を挙げることができる。また、F.C.Schaefer等によるJ. Org. Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、たとえば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,5−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。
【0077】さらに特開昭62−58241号記載の化合物、たとえば
【0078】
【化22】


【0079】
【化23】


【0080】等を挙げることができる。更に特開平5−281728記載の化合物、例えば、
【0081】
【化24】


【0082】等を挙げることができる。あるいはさらにM.P.Hutt, E.F.ElslagerおよびL.M.Merbel著Journal of Heterocyclic chemistry第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群
【0083】
【化25】


【0084】
【化26】


【0085】
【化27】


【0086】
【化28】


【0087】
【化29】


【0088】
【化30】


【0089】あるいは、ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、例えば、4−(4−メトキシ−スチリル)−6−(3,3,3−トリクロルプロペニル)−2−ピロンおよび4−(3,4,5−トリメトキシ−スチリル)−6−トリクロルメチル−2−ピロン、あるいはドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、例えば、
【0090】
【化31】


【0091】
【化32】


【0092】
【化33】


【0093】また、成分(iii)の別の例である芳香族オニウム塩としては、周期律表の第V、VIおよびVII族の元素、具体的にはN,P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te,またはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩の例としては、特公昭52−14277号、特公昭52−14278号、特公昭52−14279号に示されている化合物を挙げることができる。
【0094】具体的には、
【0095】
【化34】


【0096】
【化35】


【0097】
【化36】


【0098】
【化37】


【0099】本発明に使用される成分(iii)の他の例である有機過酸化物としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−アミノパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
【0100】これらの中で、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−アミノパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0101】本発明で使用される成分(iii)としてのチオ化合物は、下記一般式[IX]で示される。
【0102】
【化38】


【0103】(ここで、R43はアルキル基、アリール基または置換アリール基を示し、R44は水素原子またはアルキル基を示す。また、R43とR44は、互いに結合して酸素、硫黄および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。)
上記一般式〔IX〕におけるR43のアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。またR44のアリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R44は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。
【0104】一般式[IX]で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
【0105】
【化39】


【0106】本発明に使用される成分(iii)の他の例であるヘキサアリールビイミダゾールとしては、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0107】本発明で使用される成分(iii)の他の例であるケトオキシムエステルとしては3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0108】本発明における成分(iii)の他の例であるボレート塩の例としては下記一般式[X]で表わされる化合物をあげる事ができる。
【0109】
【化40】


【0110】(ここで、R45、R46、R47およびR48に互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアルキニル基、もしくは置換又は非置換の複素環基を示し、R45、R46、R47およびR48はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R45、R46、R47およびR48のうち、少なくとも1つは置換又は非置換のアルキル基である。Z+はアルカリ金属カチオンまたは第4級アンモニウムカチオンを示す)。
【0111】上記R45〜R48のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば−Cl、Brなど)、シアミ基、ニトロ基、アリール基(好ましくはフェニル基)、ヒドロキシ基、
【0112】
【化41】


【0113】(ここでR49、R50は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す。)、−COOR51(ここでR51は水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す。)、−OCOR53又は−OR53(ここでR53は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す。)を置換基として有するものが含まれる。
【0114】上記R45〜R48のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる上記R45〜R48のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分岐、環状のものが含まれ、置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。
【0115】上記R45〜R48のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分岐のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R45〜R48の複素環基としては、N,SおよびOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。
【0116】一般式〔X〕で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物および以下に示すものがあげられる。
【0117】
【化42】


【0118】本発明の成分(iii)の他の例であるアジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群をあげることができる。成分(iii)の他の例であるメタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体をあげることができる。
【0119】成分(iii)の他の例である活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類をあげることができる。本発明における成分(iii)のさらにより好ましい例としては上述の炭素ハロゲン結合を有する化合物をあげることができ、さらに最も好ましい例としては、一般式[II]であらわされるトリハロメチル−S−トリアジン化合物をあげる事ができる。
【0120】本発明における成分(iii)は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。本発明の組成物中のこれらの光重合開始系、すなわち成分(ii)および成分(iii)の含有濃度は通常わずかなものである。また、不適当に多い場合には有効光線の遮断等好ましくない結果を生じる。
【0121】本発明における光重合開始系の量は、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と必要に応じて添加される線状有機高分子重合体との合計に対して0.01%から60%、より好ましくは、1%から30%の範囲である。本発明に使用される光重合開始系の成分である成分(ii)と成分(iii)の比は、成分(ii)の有機染料1重量部に対して成分(iii)を0.01〜50重量部使用するのが適当であり、更に好ましくは0.02〜20重量部、最も好ましくは0.05〜10重量部である。
【0122】本発明の光重合性組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として、さらに加えて良い。この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journalof Polymer Society」第10巻、3173頁(1972年)、特公昭44−20189号、特開昭51−82102号、特開昭52−134692号、特開昭59−138205号、特開昭60−84305号、特開昭62−18537号、特開昭64−33104号、Research Disclosure 33825号記載の化合物等があげられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン、等があげられる。
【0123】共増感剤の別の例としては、チオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−705号、特公昭55−500806号、特開平5−142772号記載のチオール化合物、特開昭56−75643号のジスルフィド化合物等があげられ、具体的には、α−メルカプトベンゾチアゾール、α−メルカプトベンゾオキサゾール、α−メルカプトベンゾイミダゾール、α−メルカプド−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等があげられる。
【0124】また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号記載の水素供与体、特願平5−91089号記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250389号記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等があげられる。
【0125】さらに別の例としては、米国特許4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のアミノケトン化合物、例えば、
【0126】
【化43】


【0127】
【化44】


【0128】等があげられる。上記共増感剤を使用する場合には、成分(ii)の化合物1重量部に対して、0.01〜50重量部使用するのが適当であり、より好ましくは0.02〜20重量部、最も好ましくは0.05〜10重量部である。本発明の光重合性組成物には、バインダーとしての線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と相溶性を有している線状有機高分子重合体である限り、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像或は弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、現像剤として水、弱アルカリ水或は有機溶剤のいずれが使用されるかに応じて適宜選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度をあげるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85%である。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は3/7〜5/5である。
【0129】また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等があげられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0130】本発明においては、感光層の着色を目的として染料または顔料を添加することができる。染料もしくは顔料の添加量は全組成物の0.01%〜20%であり、より好ましくは0.5〜10%である。また、染料よりも顔料の方がより好ましい。顔料としては、市販のものの他、各種文献等に記載されている公知のものが利用できる。文献に関しては、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)等がある。
【0131】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、橙色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料等が挙げられる。この中でより好ましいのは、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料等である。
【0132】また、これらの顔料はポリマーの存在下に分散されたものであってもよく、そのようなポリマーとしては、例えば特願平6−193357号に記載の一般式(イ)〜(ハ)で表されるような、主鎖又は側鎖に脂肪族二重結合を有するポリマーを挙げることができる。
【0133】
【化45】


【0134】式中、R52、R53、R54、R55、R56、R57およびR58は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。X,Y及びZは、それぞれ独立に、二価の連結基である。Qは、脂肪族環を形成する原子団である。アルキル基としては、炭素原子数が好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基など)が挙げられる。
【0135】アリール基としては、炭素数6〜22のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、アンスリル基など)を挙げることができる。アルキル基及びアリール基は、置換基としてアルコキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基などで置換されていてもよい。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7 は、それぞれ、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチルであることが特に好ましい。
【0136】XおよびYで表される二価の連結基の例としては、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、イミノ基、酸素原子、硫黄原子およびそれらの組み合わせを挙げることができる。二価の連結基は、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基あるいはシアノ基等で置換されていてもよい。アルキレン基としては、炭素原子数が好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは3以下のアルキレン基(例えば、−CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )−など)が挙げられる。
【0137】アリーレン基としては、炭素数6〜22のアリーレン基(例えば、
【0138】
【化46】


【0139】など)が挙げられる。Xは、アルキレン基であることが好ましい。Yは、アルキレン基、カルボニル基、酸素原子およびそれらの組み合わせであることが好ましい。Qが形成する脂肪族環は、5員または6員環の組み合わされた炭素数5〜30の脂肪族環(例えばシクロヘキサン環、ノルボルネニル環、ジシクロペンタジエン環)であることが好ましい。脂肪族環には、橋頭炭素原子を有する二環系あるいは三環系炭化水素が含まれる。脂肪族環内の炭素原子間二重結合は、1つであることが好ましい。
【0140】本発明の光重合性組成物には、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他の公知の添加剤を加えてもよい。さらに塗布における面状をよくするために界面活性剤の添加が好ましい。界面活性剤としては、フッ素系の界面活性剤が好ましい。本発明の光重合性組成物を支持体上に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
【0141】上記支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられる。該寸度的に安定な板状物としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅などのような金属の板、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース,ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどがあげられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0142】また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。砂目立て処理としては、ブラシグレイン又は電解グレインが好ましい。電解グレインの電解液としては硝酸又は塩酸の水溶液が好ましく、特に硝酸が好ましい。
【0143】さらに、砂目立てしたのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0144】また、米国特許第3,658,662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。更に、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインと、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。ただし、珪酸ソーダ処理は必ずしもなくてもよい。
【0145】また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、たとえばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
【0146】これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。さらに支持体裏面には現像液へのアルミニウムの溶出を防止するために特開平5−2271号や特開平6−35174号に記載のバックコートを施こすのも好ましい。
【0147】支持体上に設けられた光重合性組成物の層の上には、空気中の酸素による重合禁止作用を防止するため、例えばポリビニルアルコール、特にケン化度95%以上のポリビニルアルコール、酸性セルロース類などのような酸素遮断性に優れたポリマーよりなる保護層を設けてもよい。この様な保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。塗布量は0.1〜5.0gが好ましく、0.5〜3gがさらに好ましい。
【0148】また本発明の光重合性組成物は通常の光重合反応に使用できる。さらに、印刷版、プリント基板等作成の際のフォトレジスト等多方面に適用することが可能である。特に本発明の光重合性組成物の特徴である高感度性と可視光領域までの幅広い分光感度特性により、Ar+レーザー、YAG−SHGレーザー等の可視光レーザー用の感光材料に適用すると良好な効果が得られる。
【0149】また、本発明の光重合性組成物は、高感度でかつ可視光に感光性があるため、マイクロカプセルを利用した画像形成システム用として特に有利に用いることができる。マイクロカプセルを利用した画像形成システムに利用するには例えば、特開昭57−197538号、同61−130945号、同58−88739号、同58−88740号、欧州特許第223,587A1号明細書等を参考にできる。この画像形成方法は例えば、エチレン性のビニル化合物及び光重合開始剤から成る光重合開始剤組成物と色素プレカーサーを含むマイクロカプセルを支持体に塗設し、この感光シートを画像様露光して露光部のマイクロカプセルを硬化させた後、顕色剤シートを重ねて全面加圧することにより、未露光部のマイクロカプセルを破壊し、色画像形成物質(例えば色素プレカーサー)を受像要素(例えば顕色剤層)に転写し、発色させる方法である。
【0150】本発明の光重合性組成物を用いた感光材料は、画像露光したのち、加熱してもよい。加熱濃度は60〜160°が好ましくさらに好ましくは80℃〜130℃である。加熱時間は1秒〜5分が好ましい。さらに、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの光重合性組成物を平版印刷版の作成に使用する際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液があげられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミン又はジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。該アルカリ剤は、濃度が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%になるように添加される。
【0151】また、該アルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3,375,171号および同第3,615,480号に記載されているものを挙げることができる。更に、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
【0152】しかし、有機溶媒等を含有すると、作業時の毒性、臭気等の衛生上の問題、火炎等の安全性の問題、泡の発生等の作業性の問題、廃液による公害等の問題等が発生するため、実質上有機溶媒を含まないものが好ましい。このような、実質上有機溶媒を含まない水性アルカリ現像液として例えば特開昭59−84241号及び特開昭57−192952号公報等に記載されている現像液組成物を使用することができる。
【0153】好適に用いられる市販の現像液は、DP−4(富士写真フイルム(株)製)を水で1/6〜1/30に稀釈した液である。本発明の光重合性組成物を用いた感光性平版印刷版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、特開昭59−58431号の各公報に記載されている方法、即ち、現像処理後、水洗してから不感脂化処理、またはそのまま不感脂化処理、または酸を含む水溶液での処理、または酸を含む水溶液で処理後不感脂化処理を施してもよい。さらに、この種の感光性平版印刷版の現像工程では、処理量に応じてアルカリ水溶液が消費されアルカリ濃度が減少したり、あるいは、自動現像液の長時間運転により空気によってアルカリ濃度が減少するため処理能力が低下するが、その際、特開昭54−62004号、同55−22759号、同55−115039号、同56−12645号、同58−95349号、同64−21451号、特開平1−180548号、特開平2−3065号に記載の補充液、並びに補充方法によって、処理能力を回復させることができる。
【0154】また、上記のような製版処理は、特開平2−7054号、同2−32357号に記載されているような自動現像機で行なうことが好ましい。なお、製版工程の最終工程で所望により塗布される不感脂化ガムとしては、特公昭62−16834号、同62−25118号、同63−52600号、特開昭62−7595号、同62−11693号、同62−83194号の各公報に記載されているものが好ましい。
【0155】さらに現像処理後、バーニング加熱処理又は後露光を行って印刷時の耐刷力を向上させることもできる。
【0156】
【発明の効果】本発明の光重合性組成物は、紫外線から可視光の幅広い領域の活性光線に対して高感度を有する。従って、光源として超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、及び太陽光等が使用できる。
【0157】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。厚さ0.3mmのアルミニウム板を10%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μ(Ra表示)であった。
【0158】このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコータで塗布し80℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2 のバックコート層を設けた支持体Aを作成した。
(ゾル−ゲル反応液の調製)
テトラエチルシリケート 50重量部 水 20重量部 メタノール 15重量部 リン酸 0.05重量部上記成分を混合、攪はんすると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
【0159】
ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(M.W.2000) 4重量部 ジメチルフタレート 5重量部 フッ素系界面活性剤(N−ブチルペルフルオロオクタン 0.7重量部 スルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレン アクリレート共重合体・分子量2万)
メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製) 50重量部 メタノール30%)
メタノール 800重量部このように処理されたアルミニウム板の面上に、下記組成の感光性組成物を乾燥塗布重量が1.4g/m2 となるように塗布し、80℃で2分間乾燥させ感光層を形成させた。
【0160】
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.0g アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 2.0g (共重合モル比 80/20) 成 分(ii) Xg 成 分(iii) Yg フッ素系ノニオン界面活性剤(F−177 0.03g 大日本インキ(株)製)
熱重合禁止剤 N−ニトロソフェニル 0.01g ヒドロキシルアミンアルミニウム塩
【0161】
【表1】


【0162】
メチルエチルケトン 20g プロピレングリコールモノメチルエーテル 20g尚、成分(ii)と成分(iii)の内容は下記表A参照。この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度1000)の3重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃/2分間乾燥させ保護層とした。
【0163】このようにして得られた感材上に富士写真フイルム(株)製の富士PSステップガイド(ΔD=0.15で不連続に透過濃度が変化するグレースケール)を密着させ、その上から露光した。光源には、キセノンランプを用い、ケンコー光学フィルターBP−49を通した光を照射した。PSステップガイド面でのエネルギーは0.25mJ/cm2であった。
【0164】露光した感材は120℃にて20秒間加熱を行なった後に現像した。感度は現像後のPSステップガイドのクリアー段数で示した。この段数の値が大きいほど感度が高い。尚、現像は下記の現像液に25℃、10秒間浸漬して行った。
DP−4(富士写真フイルム社製) 66.5g 水 881.4g リポミンLA(20%水溶液) 52.1gまた、保存安定性の試験として、上記で作成した感光材料を自然経時1ケ月させたものに関し、感光層からの析出物の有無を光学顕微鏡にて観察した。また同様に、オーブン中50℃での保存条件下での析出物を追跡した。
【0165】
【表2】


【0166】本発明における成分(ii)は比較例の化合物に対し、可視光に対する感度に優れる。また、該成分(ii)は比較例の化合物に対し、保存状態における感光層からの析出が明らかに抑制されている。すなわち、該成分(ii)を含む、光重合性組成物は、感度ならびに保存安定性に優れる事は明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 i)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一個有する化合物、ii) 一般式[I]
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスフォノ基、置換ホスフォノ基、ホスフォナト基、置換ホスフォナト基、シアノ基、ニトロ基を表すか、もしくは、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R9とR10、R10とR11、R11とR12が互いに結合して脂肪族又は芳香族環を形成していても良く、R5は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、又は置換アリール基を表し、R6は置換、又は無置換のアルケニルアルキル基、アルキニルアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、R7、R8はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換カルボニル基を表す)で表される化合物、及び、iii) 該成分(ii)との共存下で光照射によって活性ラジカルを発生する活性剤を含有することを特徴とする光重合性組成物。