説明

光重合用容器、及び光重合器

【課題】携行して運びやすい光重合用容器及び光重合器を提供する。
【解決手段】展開の姿勢で内側に歯科補綴物40を設置可能であるとともに、歯科補綴物を設置していないときに折りたたみ可能である容器11、20と、光を通過可能に容器の壁を貫通し、容器の内外を連通する導光部12と、を備える光重合用容器10、及びこれを備える光重合器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入れ歯等の歯科補綴物等に用いられる光硬化性材料を硬化させる際に使用される光重合用容器、及び光重合器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科の分野において、入れ歯(デンチャー)等の歯科補綴物を製作又は補修するに際しては光硬化性の材料(光重合材)を用いることが多い。すなわち、当該材料を硬化させる前に形状を造り込み、光を照射して硬化させることで形状を確定させる。そして、この光重合材を硬化させるために光を照射する機器が光重合器である。
【0003】
光重合材は所定の波長の光を照射することにより硬化する性質がある。当該硬化する波長は光重合材の種類により異なるが、通常は430nm〜480nmの青色や紫色領域であることが多い。そのため、従来から青色や紫色の発光ダイオード(LED)を備えた光重合器が開示されている(特許文献1、特許文献2)。また、それ以前にはハロゲンランプやキセノンランプを用いて光重合材を硬化させる光重合器もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−33374号公報
【特許文献2】特開2005−161002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、高齢化社会に対応する医療形態として訪問診療が注目され、増加する傾向にある。そして、今後も訪問診療のさらなる需要の増加が予想される。歯科分野においても例外ではなく、歯科医による訪問診療が行われる機会が増えると考えられる。
【0006】
歯科における訪問診療の中には、口腔内の歯牙等の治療だけでなく、入れ歯等の歯科補綴物のメンテナンス(補修)が含まれる。これには例えば、合わなくなった入れ歯に対し、光重合材を付加して形を整えて硬化させ、口腔内に適合するように入れ歯の形状を変えることを挙げることができる。
【0007】
ところが、歯科補綴物の製造、補修には光重合器が必要であり、従来のように重量があり大きい光重合器を訪問診療に持ち出すのは困難であった。従って、歯科補綴物を一度持ち帰って硬化させ、後日届けるといった対応をとることが多かった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、携行して運びやすい光重合用容器及び光重合器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
請求項1に記載の発明は、展開の姿勢で内側に歯科補綴物(40)を設置可能であるとともに、歯科補綴物を設置していないときに折りたたみ可能である容器(11、20)と、光を通過可能に容器の壁を貫通し、容器の内外を連通する導光部(12)と、を備える光重合用容器(10)である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光重合用容器(10)において、容器(11、20)は、展開の姿勢において、板状の天板(11)と、該天板の一方の面側から歯科補綴物を囲むことが可能に設けられた壁部(20)と、を備え、壁部のうち天板とは離隔した側の端部が天板側に近づくことにより折りたたみ可能とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光重合用容器(10)と、該光重合用容器の導光部に設置された光源(30)と、を備える光重合器(1)である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、展開の姿勢で内側に歯科補綴物(70)を設置可能であるとともに、歯科補綴物を設置していないときに折りたたみ可能である容器(61、20)と、容器の展開の姿勢で内側となる面に備えられる光源(62、63)と、を具備する光重合器(51)である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光重合器(51)の容器(61、20)は、展開の姿勢において、板状の天板(61)と、該天板の一方の面側から歯科補綴物(70)を囲むことが可能に設けられた壁部(20)と、を備え、壁部のうち天板とは離隔した側の端部が天板側に近づくことにより折りたたみ可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携行して運びやすい光重合用容器、光重合器を提供することができる。従って光重合をおこなう場所や状況の選択肢が広がり、施術者及び患者の双方にとって利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態にかかる光重合用容器の外観を表わした斜視図である。図1(a)が展開された姿勢、図1(b)が折りたたまれた姿勢である。
【図2】図2(a)が図1(a)のIIa−IIaに沿って切断した図、図2(b)が図1(a)のIIb−IIbに沿って切断した図である。
【図3】光重合器の斜視図である。
【図4】ハンドピース型光重合器の斜視図である。
【図5】歯科補綴物の光重合をする方法を説明するための断面図である。
【図6】第二実施形態にかかる光重合器の外観を表わした斜視図である。図6(a)が展開された姿勢、図6(b)が折りたたまれた姿勢である。
【図7】図7(a)が図6(a)のVIIa−VIIaに沿って切断した図、図7(b)が図6(a)のVIIb−VIIbに沿って切断した図である。
【図8】歯科補綴物の光重合をする方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、第一実施形態を説明する図で、光重合用容器10の外観を表した斜視図である。図1(a)は展開の姿勢、図1(b)は折りたたまれた姿勢を表している。また、図2には、光重合用容器10の一部を切断した図を示した。具体的には図2(a)は図1(a)のIIa−IIaに沿って切断した図、図2(b)は図1(a)のIIb−IIbに沿って切断した図である。
【0019】
図1、図2からわかるように、光重合用容器10は、天板11、及び壁部20を備えている。以下に詳しく説明する。
【0020】
天板11は光重合をおこなう空間を形成する容器の一部として機能する板状の部材であり、展開の姿勢で容器の上部を形成する。本実施形態では天板11は平面視略正方形の板状部材である。
【0021】
また、天板11の略中央には円形の孔11aが開けられており、天板11の厚さ方向に貫通している。そして円形の孔11aの縁から立設するように円筒状の導光部12が配置されている。従って導光部12の円筒の内側から天板11の孔11aを通じて天板11の表裏方向が光透過可能に貫通している。
【0022】
さらに、導光部12の円筒状の内側には光拡散板13が配置されている。光拡散板13は、光を拡散しつつ透過させることができる部材であり、公知のものを適用することが可能である。これには例えば透光性のある材料中に光拡散粒子を分散させたものや拡散レンズが挙げられる。
【0023】
また、天板11の四辺のうち、対向する2つの辺で、後述する第二壁25が配置される辺には回動軸用突起14が配置され、ここには図2(a)からわかるように回動軸14aが設けられている。
【0024】
壁部20は、図1(a)に表された姿勢で天板11の縁部から垂下するように複数の板状の部材等が組み合わされて構成されている。かかる構成により、光重合のための空間を形成する容器の一部として機能し、後述するように、展開の姿勢で歯科補綴物を囲むことができる。一方で、折りたたみの姿勢では光重合用容器を薄く折りたたむことが可能となる。光重合用容器10の作用については後で説明する。
【0025】
壁部20は、端部部材21、第一壁24、及び第二壁25を備えている。
端部部材21は、棒状の枠部21a、21a、21b、21bが矩形枠状に形成された部材で、枠の大きさは天板11の外周と概ね同じ程度である。ここで、枠部21aは第一壁24が配置される枠部であり、枠部21bは第二壁25が配置される枠部である。枠部21aと枠部21bとはその厚さ(図1の紙面上下方向大きさ)が異なるように形成されている。具体的には、枠部21aは薄く、枠部21bは厚く形成されている。
【0026】
また、各枠部21a、21bの長手方向略中央には、回動軸用突起22、23が配置され、ここには図2(a)、図2(b)からわかるように回動軸22a、23aが設けられている。
【0027】
第一壁24は、板状の部材であり、展開の姿勢て光重合用容器10の容器のうち側壁の一部となる部材である。図2(b)からよくわかるように、第一壁24は対向するように2つ設けられている。第一壁24の高さ(図1(a)における紙面上下方向大きさ)は、平面視正方形である天板11の辺の長さの概ね半分とされている。
【0028】
また、第一壁24には、枠部21aに設けられた回動軸用突起22を挿入可能な溝24aが形成されるとともに、回動軸22aの端部を挿入できるように不図示の孔が設けられている。
【0029】
第二壁25は、展開の姿勢で光重合用容器10の容器のうち側壁の一部となる部材である。第二壁25は2つの矩形板状部材である板26、27を有し、板26と板27とはその一端同士がヒンジ28により連結されている。当該ヒンジ28により板26と板27とは、図1(a)に表れたように端面同士が突き合わされたように並列する姿勢と、図1(b)に表れたように板面同士が重なるように配置される姿勢と、の両方の姿勢に変形することができる。ヒンジ28の種類は特に限定されることはなく、上記のような姿勢を取ることができれば公知のものを用いることが可能である。
【0030】
図2(a)からよくわかるように、第二壁25は対向するように2つ設けられている。第二壁25の高さ(図1(a)における紙面上下方向大きさ)は、光重合用容器10の展開の姿勢で、その上端が第一壁24の上端の高さ位置と概ね同じとなるように形成されている。
【0031】
また、第二壁25において、板26には、ヒンジ28が配置される辺とは反対側となる辺に枠部21bに設けられた回動軸用突起23を挿入可能な溝26aが形成されるとともに、回動軸23aの端部が挿入できるように不図示の孔が設けられている。一方、板27には、ヒンジ28が配置される辺とは反対側となる辺に天板11に設けられた回動軸用突起14を挿入可能な溝27aが形成されるとともに、回動軸14aの端部が挿入できるように不図示の孔が設けられている。
【0032】
上記のような各構成部材を有する壁部20は次のように組み合わされて構成されている。すなわち、端部部材21の枠部21aに具備される回動軸用突起22を第一壁24の溝24aに挿入し、回動軸22aにより両者が互いに回動可能となるように連結する。一方、端部部材21の枠部21bに具備される回動軸用突起23を第二壁25の溝26aに挿入し、回動軸23aにより両者が互いに回動可能となるように連結する。
【0033】
そして、天板11と壁部20とが次のように組み合わせられて光重合用容器10が構成されている。すなわち、天板11に具備される回動軸用突起14を第二壁25の溝27aに挿入し、回動軸14aにより両者が互いに回動可能となるように連結する。
【0034】
ここで、天板11、第一壁24、第二壁25の面のうち、展開の姿勢で内側となる面は、光が反射し易い表面とされていることが好ましい。これには例えば鏡面や白色面等を挙げることができる。具体的には例えば当該内側となる面を研磨したり、鏡面や白色面を有する反射板を貼付することにより当該面を得ることができる。これにより内側となる面の光の反射の効率を上げ、反射により光重合材の重合効率を高めることが可能となる。
【0035】
次に、光重合用容器10の展開及び折りたたみについて説明する。上記した光重合用容器10は、図1(a)に示した展開の姿勢及び図1(b)に示した折りたたみの姿勢とすることができる。具体的には、図1(a)の展開の姿勢から、第一壁24については図2(b)にBで示したように回動軸22aを中心にその下端部を軸として倒れるように回動する。一方、第二壁25については図2(a)にAで示したようにヒンジ28で連結された板26、27の端部が内側に突出するように移動することができる。これにともなって板26は回動軸23aを中心に、板27は回動軸14aを中心に回動するとともに、図2にCで示したように天板11と、壁部20の天板11から離隔した端部である端部部材21とを引き寄せるように近付けることができる。これにより図1(b)のような折りたたみの姿勢とすることが可能である。
折りたたみの姿勢から展開の姿勢とするには上記を遡るように行えばよい。
【0036】
これにより、使用しないときには折りたたみの姿勢に変形して薄くすることができるので、携行して運びやすい光重合用容器とすることができる。
【0037】
図3は光重合用容器10と、これに設置される光照射器30を表した斜視図である。すなわち、光重合用容器10と光照射器30とにより光重合器1を構成することができる。
光照射器30は、光源として機能し、いわゆるハンドピース型光重合器である(以下、本実施形態では、「光照射器30」を「ハンドピース型光重合器30」と記載することもある。)。図4には通常のハンドピース型光重合器30の外観を示した。ハンドピース型光重合器30は、その先端部を口腔内に挿入し、歯牙に直接付着させた光重合材を硬化させるための機器である。従って、訪問診療等にも通常に携行され、その持ち運びも容易なものである。
【0038】
通常のハンドピース型光重合器30は、図4からわかるように、本体31及びハンドピース型光重合器の導光部32を有している。本体31には光重合材を硬化させることができる波長の光を発光する光源が含まれている。光重合材は430nm〜480nmの光を照射することで硬化するものが多いので、この波長域に少なくとも1つの波長ピークを有する光源が用いられる。消費電力や寿命、及びこの波長域に強いピークを有するものが入手できるとの観点から光源として青色LEDが用いられることが多い。本体31にはその他スイッチ等を備え、光源の点灯、消灯を選択することができるように構成されている。
【0039】
ハンドピース型光重合器の導光部32は本体31からの光を導いて出射する筒状部材であり、口腔内に光源からの光を導き、目標とする部位に適切に光を照射させるための部材である。
【0040】
ハンドピース型光重合器30としては通常に市販されているものを用いることができる。ただし、光重合器1にハンドピース型光重合器30を光照射器30として用いるときには、ハンドピース型光重合器の導光部32を取り外して、本体31のみを光重合用容器10に連結する(図3参照)ことが好ましい。
【0041】
次に、具体的に光重合器1により歯科補綴物40に含まれる光重合材を硬化させる方法について一例を説明する。図5に説明のための断面図を示した。
【0042】
はじめに歯科医師等の施術者は、患者の口腔内の状態に適合するように入れ歯等の歯科補綴物の形状を調整する。このとき、形状の調整には硬化前の光重合材が用いられ、該光重合材を押圧する等して変形させて形を整える。
次に、テーブル等の上にシートPを敷き、その上に形を整えた歯科補綴物40を置く。光重合用容器10を上記ように操作する等して展開の姿勢とし、天板11が配置された側とは反対側から端部部材21の枠内及び壁部20の内側に歯科補綴物40が囲まれるように被せて光重合用容器10をテーブル上に載置する。
【0043】
これにより歯科補綴物40を含む光重合空間が形成される。そして光照射器30の本体31の光出射部分を光重合用容器10の導光部12の内側に挿入し、光照射器30の本体31から光を出射させる。
【0044】
光照射器30から出射された光は、図5に点線矢印に代表的な光路例(L1〜L5)を示したように、光拡散板13により光重合用容器10内に広がるように光が照射される。このように、導光部12内に光を拡散する手段が備えられたときには、光を広い範囲で均一にすることができ、歯科補綴物40にむらなく光を照射することが可能となる。
また天板11、第一壁24、第二壁25の内側面を光反射性のよい面としたときには、ここで反射した光を歯科補綴物40に照射することができ、照射効率の向上、すなわち硬化時間の短縮を図ることが可能となる。
すなわち、光拡散板13を透過した光は、直接(L1〜L3)、及び壁部20の内面で反射して(L4、L5)歯科補綴物40に照射される。これにより歯科補綴物40に含まれる光重合材が硬化する。
【0045】
光重合材が硬化した後は、光重合用容器10を取り去れば歯科補綴物40を取り出すことができる。
【0046】
以上のように、光重合用容器10、及びこれを用いた光重合器1によれば、その光源を着脱することが可能なので、光源を選択することができる。従って、本実施形態のように光照射器としてハンドピース型光重合器30を光源として用いることも可能となる。これにより、訪問診療等において既に携行しているハンドピース型光重合器30を用いることが可能なる。すなわち、訪問診療等には光重合用容器10のみを持っていけばよく利便性が高い。ここで、光重合用容器の大きさは特に限定されるものではないが、例えば1つの入れ歯を重合するという場合には、小さく形成することができ、その携行もさらに容易になる。この場合、光重合用容器の高さ(図5の紙面上下方向大きさ)は50mm〜200mm、縦横大きさ(図5の紙面左右、及び奥/手前方向)50mm〜200mmとすることができる。
【0047】
そして、光重合用容器10は上記したように折りたたんで携行することが可能なので、携行性が向上されている。
【0048】
また、このように光源を着脱可能とし、選択することができることにより、別途着脱可能な光照射器を準備しておいてもよい。これによれば、例えば訪問診療のときには携行するハンドピース型光重合器を用い、歯科医院内では別途準備した強い光を照射可能な光照射器を用いる等することもできる。
【0049】
図6は第二実施形態を説明する図で、光重合器51の外観を表した斜視図である。図6(a)は展開の姿勢、図6(b)は折りたたまれた姿勢を表している。また、図7には、光重合器51の一部を切断した図を示した。具体的には7(a)は図6のVIIa−VIIaに沿って切断した図、図2(b)は図1のVIIb−VIIbに沿って切断した図である。
【0050】
図6、図7からわかるように、光重合器51は、天板61、壁部20、及び光源62、63を備えている。以下に詳しく説明する。
【0051】
天板61は光重合をおこなう空間を形成する容器の一部として機能する板状の部材であり、展開の姿勢で光重合器51の上部を形成する。本実施形態では天板61は平面視略正方形の板状部材である。
【0052】
また、天板61の四辺のうち、対向する2つの辺で、第二壁25が配置される辺には回動軸用突起14が配置され、ここには図7(a)からわかるように回動軸14aが設けられている。
【0053】
壁部20は、上記第一実施形態で説明したものと共通するのでここでは同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
光源62は、図7(a)、図7(b)からわかるように面状の光源であり、天板61のうち、壁部20側の面に配置されている。
【0055】
光源63は、図7(a)、図7(b)からわかるように面状の光源であり、第一壁24の面うち、展開の姿勢で内側となる面に互いに対向するように配置されている。
【0056】
光源62、63からの出射光には光重合材を硬化させることができる波長の光が含まれている。光重合材は430nm〜480nmの光を照射することで硬化するものが多いので、この波長域に少なくとも1つの波長ピークを有する光源が用いられることが好ましい。消費電力や寿命、及びこの波長域に強いピークを有するものが入手できるとの観点から光源として青色LEDが用いられることが多い。ただし、これに限定されることはなく、白色の光であってもよい。
【0057】
また、光源62、63の電源は電池や商用電源等、特に限定されることはない。これら電源のために不図示の電気配線やプラグ等が配置される。
【0058】
光重合器51の展開及び折りたたみについても、上記した第一実施形態で説明した光重合用容器10と共通するのでここでは説明を省略する。
【0059】
ただし、本実施形態では光重合器51は面状の薄い光源62、63を備えているので、光源を備えつつも適切に折りたたみが可能となるように構成されている。従って使用しないときには折りたたみの姿勢として薄くすることができるので、携行して運びやすい光重合器51とすることができる。一方、光源62、63が備えられているので展開後にすぐに使い始めることも可能である。
【0060】
次に、具体的に光重合器51により歯科補綴物70に含まれる光重合材を硬化させる方法について一例を説明する。図8に説明のための断面図を示した。
【0061】
はじめに歯科医師等の施術者は、患者の口腔内の状態に適合するように入れ歯等の歯科補綴物の形状を調整する。このとき、形状の調整には硬化前の光重合材が用いられ、該光重合材を押圧する等して変形させて形を整える。
次に、テーブル等の上にシートPを敷き、その上に形を整えた歯科補綴物70を置く。光重合器51を展開の姿勢とし、天板61が配置された側とは反対側から端部部材21の枠内及び壁部20の内側に歯科補綴物70が囲まれるように被せて光重合器51をテーブル上に載置する。
【0062】
これにより歯科補綴物70を含む光重合空間が形成される。そして光源62、63から光を出射させる。光源62、63から出射された光は、図8に点線矢印に代表的な光路例(L21〜L31)を示したように、直接歯科補綴物70に照射されて歯科補綴物70に含まれる光重合材が硬化する。
また天板61、第一壁24、第二壁25の内側面を光反射性のよい面としたときには、ここで反射した光を歯科補綴物70に照射することができ、照射効率の向上、すなわち硬化時間の短縮を図ることが可能となる。
【0063】
光重合材が硬化した後は、光重合器51を取り去れば歯科補綴物70を取り出すことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 光重合器
10 光重合用容器
11 天板
12 導光部
13 光拡散板
14 回動軸用突起
20 壁部
21 端部部材
30 光照射器
51 光重合器
61 天板
62 光源
63 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開の姿勢で内側に歯科補綴物を設置可能であるとともに、前記歯科補綴物を設置していないときに折りたたみ可能である容器と、
光を通過可能に前記容器の壁を貫通し、前記容器の内外を連通する導光部と、を備える光重合用容器。
【請求項2】
前記容器は、前記展開の姿勢において、板状の天板と、該天板の一方の面側から前記歯科補綴物を囲むことが可能に設けられた壁部と、を備え、
前記壁部のうち前記天板とは離隔した側の端部が前記天板側に近づくことにより折りたたみ可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の光重合用容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光重合用容器と、該光重合用容器の前記導光部に設置された光源と、を備える光重合器。
【請求項4】
展開の姿勢で内側に歯科補綴物を設置可能であるとともに、前記歯科補綴物を設置していないときに折りたたみ可能である容器と、
前記容器の前記展開の姿勢で内側となる面に備えられる光源と、を具備する光重合器。
【請求項5】
前記容器は、前記展開の姿勢において、板状の天板と、
該天板の一方の面側から前記歯科補綴物を囲むことが可能に設けられた壁部と、を備え、
前記壁部のうち前記天板とは離隔した側の端部が前記天板側に近づくことにより折りたたみ可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の光重合器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200402(P2012−200402A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67531(P2011−67531)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)