説明

光集約型微生物の繁殖システム

【課題】微生物のヘクタール当りの収率を改善する。
【解決手段】本発明は、水盤システム(10)と、その水盤システム(10)で処置される養分懸濁液(12)に対応する微生物繁殖システムに関するものであって、水盤システム(10)は、水盤システム(10)内で養分懸濁液(12)の実質的に垂直な流れを達成するために複数の隔壁(14)によって形成される垂直迂回システムで構成される。更に、本発明は、養分懸濁液の中に突き出ていて分散液で満たされた複数の隔壁を通して光の導入が行われる養分懸濁液(12)を含む水盤システム(10)の中へ光を導入するシステムを用いる微生物繁殖方法に関連する。この方法によって、微生物のヘクタール当りの収率を改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物繁殖システムとそのシステムに対応する微生物繁殖方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物、特に藻類の繁殖は、通常、高さ約30cmの平板な開放的水盤内で起こる。
【0003】
そのような藻類の繁殖システムは、独国特許発明第2358701号明細書で知られているように、平板な水盤の内部に養分懸濁液を供給するための水平な流路である水平迂回システムのような複数の隔壁が配置されていて養分懸濁液で満たされた平板な水盤を具備する。ポンプ装置は、平板な水盤の内部で養分懸濁液を流動させたり、平板な水盤へ養分懸濁液を注ぐために備えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の平板な水盤の低さのために、水盤の容積利用率が低くなり、藻類のヘクタール当りの潜在的な収率が低い。そのうえ、平板な水盤内では、水面域の比率が大きいため、水盤又は水盤内の養分懸濁液が相対的に小容量であっても、入射する光によって水盤内で養分懸濁液が強く加熱され、それによって繁殖している微生物が損害を受ける。これに加え、平板な水盤の内部でのポンプ装置の使用により、生み出す養分懸濁液内の比較的高い圧力のために、養分懸濁液内の流れが繊細な微生物に損害を与え、これによって成長が抑制される。
【0005】
従って、システムとこれに対応する微生物繁殖方法を利用する本発明の目的は、微生物のヘクタール当りの収率を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明にかかる請求項1の特徴を具備した微生物繁殖システムと請求項14の特徴を具備した対応する方法を通して達成される。本発明の有利な開発物は、従属する請求項の中で明示される。
【0007】
本発明は、水盤システムが水盤システムの中の養分懸濁液の実質的に垂直な流れを達成するために、複数の隔壁によって構成された垂直迂回システムを具備するという技術的な教えを含む。
水盤システムの内部の垂直な流れのために、複数の平板な水盤ではなく、複数の深底の水盤を使用することが可能となる。水盤システムの深さは、好ましくは1.80mから2.20mの間である。水盤システムをより深くすることで、複数の平板な水盤を使用した場合よりも長い水盤システムを形成することができると同時に、その結果、本発明に係るシステムによって、必要床面積のヘクタール当りの微生物(特に藻類)の収率改善が達成され、水盤システムの容積は潜在力の全てに利用される。そのうえ、水盤システムの中の養分懸濁液の実質的に垂直な流れによって、養分懸濁液の過熱を回避できるため、微生物繁殖に特に有利な環境が確立される。更に、その垂直な流れにより養分懸濁液が特に好ましく攪拌され、その結果として養分懸濁液中の微生物の成長が刺激される。
【0008】
本発明の第1具体例は、養分懸濁液の溢れ領域を一つの水盤から隣の水盤にかけて形成する複数の副壁が並んで配置された幾多の水盤を具備する水盤システムを提供する。好ましくは、複数の水盤はU字型であって、幅が約2mから3m、高さが約1.80mから2.20m、長さが約0.2mから0.4mである。この場合、幾つもの複数の水盤は並んで配置されるため、むしろ100m以上の長さの水盤も想像に難くない。複数の水盤の内部の流れは、複数の隔壁に沿って水盤底までに関して主に垂直である。水盤底と隔壁の下端の間の領域と、隣り合う二つの水盤の溢れ領域(すなわち複数の副壁の上方)においてのみ、養分懸濁液は水平な流れを示す。複数の溢れ領域では養分懸濁液が動き続ける結果、何の補足的注入操作なしに水盤システム内で養分懸濁液は流動する。その結果として、水盤システムの内部の流動が、比較的低速で圧力なしに発生し、養分懸濁液の内部の微生物に特に優しい処置をし、成長過程において微生物への損害を避ける。
【0009】
更にまた、本発明の有利な具体例は、リング型の複数の水盤の装置を提供する。複数の水盤のリング型装置のために、養分懸濁液は、付加的な再循環のシステムによって最後の水盤から最初の水盤へ案内する工程なく、一つの水盤から次の水盤へ流れることができる。これと同時に、水盤システムは、微生物の収率が増加できるように、2倍のサイズに形成されることができる。複数の水盤のリング型装置によって、特に高効率を達成するシステムが実現できる。
【0010】
好ましくは、水盤システムへ養分懸濁液を導入するための押揚装置は、養分懸濁液が、押揚装置を経て、水盤システム内の最初の水盤の副壁を経て、養分懸濁液の貯蔵所から水盤システムへ流れるように備えられている。押揚装置は、養分懸濁液が貯蔵所から副壁を越えて最初の水盤へ溢れ出る時に、養分懸濁液が水盤システム内の最初の水盤の副壁を経て貯蔵所から水盤システムへ導入されるように水盤システムの外側に配置されていて養分懸濁液の貯蔵所を押し揚げる板の形状の中に形成することができる。この溢出のために、水盤システム内の養分懸濁液の内部で最初の水盤から最後の水盤へ続く流れが生じる。押揚装置の使用によって、養分懸濁液が(例えばポンプを用いての)圧力を加えることなしに水盤システムへ導入され、養分懸濁液を特に優しく処置することが可能となり、その結果、繁殖される微生物の細胞壁でさえも特に優しく処置されるため、一つの水盤から次の水盤へ運ぶ間に損害を受けない。バケットコンベヤーも大変適切な押揚装置である。
【0011】
更に具体例には、押揚装置と最初の水盤の間の副壁に上端アタッチメントが具備されている。上端アタッチメントによって、押揚装置と最初の水盤の間の副壁は、複数の個々の水盤間の他の複数の副壁より高くなっている。養分懸濁液は、水盤システムの中へ流れ込む時に、副壁とこれに配置されてより高くなった上端アタッチメントを乗り越えなくてはならない事実により、ポンプ装置を使用しなくとも、養分懸濁液の内部に特有の速度の流動が生じる。
【0012】
押揚装置の代わりとなる具体例は、ポンプを用いて養分懸濁液を水盤システム内へ導入する。しかしながら、押揚装置に加えてそのようなポンプを備えることで、その結果、養分懸濁液の特有の流動速度を、所定の精度で正確に定めることができる。複数の水盤がリング状に配置されてない場合には、流床を通して最後の水盤から最初の水盤へ養分懸濁液を戻すためのポンプを使用することができる。
【0013】
本発明の更なる具体例によれば、押揚装置は、最後の水盤と最初の水盤の間の連結管で形成される。モーターによって駆動する連結管に据え付けられたものは、閉ループ又は開ループの制御によって定められた速度で回転するスクリューコンベヤーである。そのスクリューコンベヤーが養分溶液内で所定の圧力を発生させた結果、養分溶液は、最後の水盤から連結管を通って最初の水盤へ運ばれて、最初の水盤中で「余分な液体」が生じる。水盤システムを通って養分溶液が運ばれることで、最初の水盤内における充填レベルが上昇する。
【0014】
本発明における更に有利な構成によると、複数の隔壁は複数の光伝導領域を具備する。複数の光伝導領域のために、好ましくは、光、熱、および、エネルギーが中空の複数の隔壁を経て養分懸濁液(特に水盤底の領域における養分懸濁液)の中へ導入され、その結果、養分懸濁液中の微生物の光合成と成長が増進される。この場合には、複数の隔壁は、全周面にわたって光が伝導するように形成されている。 複数の隔壁又は複数の光伝導領域は、例えば、艶消しガラス又は透明プラスチックで作られている。養分懸濁液内に渦巻きを引き起こす対流が、養分懸濁液を次々に特に好ましく攪拌する複数の隔壁を経て熱が養分懸濁液内へ導入されるために、養分懸濁液内の隔壁に沿った領域で発生する。
【0015】
複数の隔壁は、分散液を具備している方が好ましい。この場合、複数の隔壁は、実質上中空設計であって、分散液で満たされている。分散液を用いることで、光、熱、および、エネルギーが、容易に複数の隔壁の内部へ導入され、養分懸濁液内へ導入され、そして均等に分布される。分散液は、特に効果的に光を高効率で養分懸濁液の中へ導入する光迂回器のように振舞う拡散粒子を含む。分散液は、この場合には、固体のままの顔料を含んだ水のような透明な液体から成る。好ましくは、分散液で完全に満たされた複数の隔壁のために、複数の隔壁は温度変動に大変ゆっくり反応する大量の流体を含むこととなり、その結果、略一定の温度で略一定のエネルギーと熱が、利用可能な養分懸濁液の中へ入る。
【0016】
更に有利な具体例によれば、複数の隔壁は、分散液を案内できるチューブ装置を具備している。好ましくは、チューブ装置は、複数の隔壁の長手方向全体にわたってくねる。分散液は、可能な限り一様な特有の速度で、チューブ装置を通って案内されるため、水盤システムやその中の養分懸濁液の内部を特に均一な温度にできる。
【0017】
好ましくは、複数の隔壁は、養分懸濁液の中へ光、エネルギー、および、熱を導入する発光ダイオード装置を具備する。好ましくは、発光ダイオード装置は、水盤システムのこの領域にも養分懸濁液の中へ十分な光を導入できるように、水盤底の領域における複数の隔壁の低部領域に配置される。発光ダイオード装置は、特に長い使用可能寿命に特徴がある。好ましくは、100W出力の発光ダイオードは、高い廃熱を達成するために用いられる。しかしながら、従来の発光物として、発光ダイオードの代わりに、白熱電球のようなものでもよい。
【0018】
更に好ましくは、複数の隔壁は、日光を束ねる複数の集光器を具備している。複数の集光器は、複数の水盤の外側における複数の隔壁の高部領域に配置される。複数の集光器は、周囲から日光を集めて束ね、複数の隔壁の中へ入射する。この場合、各隔壁は、セパレート型集光器を具備する。この束ねられた日光は、複数の隔壁を経て養分懸濁液へ移る高い光エネルギー成分と高い熱成分を具備する。養分懸濁液へのエネルギーと熱の導入が増加でき、その結果、光合成と微生物の成長を容易に低コストで改良できる。複数の集光器は、集光レンズのような光学機器で形成される。
【0019】
更なる具体例によれば、複数の隔壁や養分懸濁液の内部における出来るだけ最適な温度分布を定めるために、温度変化を出来るだけ速く均一にするための加熱素子及び/又は冷却素子を具備する複数の隔壁によって、微生物を繁殖するために最適な環境が実現できる。
【0020】
本発明の更なる具体例によれば、水盤壁の中又は上に、そして迂回壁の中又は上に付けられた加熱及び/又は冷却素子が、養分溶液における温度調節を提供する。加熱及び/又は冷却素子は、水盤壁又は迂回壁における水盤の内側に面している。更に、もちろん水盤壁の外側にも、加熱及び/又は冷却素子を配置することが出来る。水盤壁を通して熱が伝導しなければならないことで、養分溶液にとってより優しく低い温度勾配をもたらすことに強みを持つ。
【0021】
とりわけ必須の加熱及び/又は冷却エネルギーが、複数のポンプを使用する熱交換器を通り過ぎる分散液を案内することで保証される場合に有利である。
【0022】
更に又、本発明の有利な具体例は、ウエブを経て相互連絡される複数の隔壁を提供する。ウエブは、この場合、養分懸濁液上で複数の隔壁の上端に配置される。好ましくは、ウエブは中空であって、分散液は一つの隔壁から次の隔壁へウエブを経て流れることが出来るため、複数の隔壁の間における分散液の永久的な交換が起こる。加熱及び/又は冷却素子は、生物の成長にとって最適な温度に定めることを以って、ウエブの中に配置することが出来る。好ましくは、ウエブは、水盤システム上に配置されてもよく、複数の個々の隔壁へ集められた日光を移すことで、前記の水盤システムを日光の集光器として取り扱える。
【0023】
更に、本発明は、養分懸濁液の中に突き出ていて分散液で満たされた複数の隔壁を通って光が導入される養分懸濁液を含む水盤システムである前述の具体例と開発物を有したシステムを用いる微生物繁殖方法に関連する。
【0024】
分散液によって、出来るだけ効果的に微生物繁殖に必要とされる光と必要な熱を養分懸濁液の中へ容易に導入し、均等に分配することができる。
【0025】
好ましくは、この場合、分散液は、特に効果的に光を養分懸濁液の中へ導入する光迂回器のように振舞う拡散粒子を含む。分散液は、この場合には、固体のままの顔料を含んだ水のような透明な液体から成る。好ましくは、複数の隔壁は分散液によって完全に満たされ、その結果、複数の隔壁は温度変動に大変ゆっくり反応する大量の流体を含む。略一定の温度で略一定のエネルギーと熱が、利用可能な養分懸濁液の中へ入る。
【0026】
複数の隔壁の長手方向全体にわたる温度制御の出来るだけ一様で容易な調整を実現するために、好ましくは、複数の隔壁に配置されているチューブ装置を通って流れる分散液が具備されている。
【0027】
本発明に係る有利な方法については、微生物繁殖のための本発明に係るシステムで十分に参照される。
【0028】
本発明は、より好ましい代表的な具体例を用いた添付図を参照して、更なる詳細を下記に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】微生物繁殖についての本発明によるシステムの第1具体例の図表を示す。
【図2】微生物繁殖についての本発明によるシステムの第2具体例の図表を示す。
【図3】本発明による隔壁の具体例の図表を示す。
【図4】本発明による水盤装置の具体例の図表を示す。
【図5】微生物繁殖についての本発明によるシステムの第3具体例の図表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、微生物繁殖についての水盤システム10、および、水盤システム10における養分懸濁液12を実質的に垂直な流れにするための複数の隔壁14によって構成された垂直迂回システムを具備する水盤システム10に配置されている養分懸濁液12を備えた本発明によるシステムの第1具体例の図表を示す。水盤システム10は、複数のU字型水盤16が並んで配置されており、その各水盤16に隔壁14が突き込まれている幾つかの開放部で構成されている。並んで配置されている複数の各水盤16は、一つの水盤16から隣の水盤へと続く養分懸濁液12の溢れ領域20を形成するための副壁18を具備する。水盤システム10において、養分懸濁液12は、副壁18と隔壁14の間の領域において、矢印で示すように、実質的に垂直な流れになる。その流れは、矢印で示すように、溢れ領域20と水盤底22と隔壁14の下端の間の領域において垂直迂回システムを構成するように歪められる。
【0031】
養分懸濁液12を水盤システム10に導入するために、押揚装置24が備えられる。
押揚装置は、養分懸濁液12が貯蔵所30の縁を越え、水盤システム10の最初の水盤16の副壁32を越えて水盤システム10に流れ込むように溢れ出るように、上下に移動することが出来、又、養分懸濁液貯蔵所30の底板28を上の方に移動させるために用いられる板26を具備する。この装置が達成する目的は、養分懸濁液12を、加圧せず、出来るだけ優しく水盤システム10に導入することにあり、そうすることによって、光が水盤システム10の内部を巡ることにもなる。貯蔵所30と最初の水盤16の間の副壁18は、上端アタッチメント34を具備し、その副壁32の高さは、水盤システム10に配置されている他の複数の副壁18の高さよりも高くなるように形成されている。
【0032】
隔壁14は、可能な限り中心になるように水盤16へと突き込まれている。隔壁14は光伝導領域を具備し、その光伝導領域を経由して光とエネルギーと熱を養分懸濁液に導入することが出来る。光伝導領域は、又、複数の隔壁14の全周面にわたって形成することが出来る。隔壁14や光伝導領域は、例えば、艶消しガラスや透明プラスチックで作ることが出来る。
【0033】
隔壁14は、中空設計にすることが望ましい。隔壁の内側に配置されるべきものは分散液であり、その分散液によって、光とエネルギーと熱が、隔壁に容易に貯えられ、養分懸濁液12に伝導される。分散液は、光をそらすものであるように作用し、従って、特に光の養分懸濁液12への効果的導入を促すことになる分散性粒子を具備する。その場合、分散液は、非溶解性の着色顔料を含む水を含んでいてもよい。隔壁14が分散液で好ましくは完全に満たされるために、隔壁14は、変動する温度に対して非常に緩やかに作用する多量の流動体を含有している。その結果、略一定の温度、従って、養分懸濁液12に導入されるエネルギーと熱の略一定の導入が得られる。
【0034】
隔壁14は、その下端に配置されることが望まれる発光ダイオード装置34を具備する。発光ダイオード装置34は、養分懸濁液12に付加的に光や熱を導入するために使用される。更に、隔壁14は、養分懸濁液12と水盤システム10の上側である隔壁14の高部領域に配置される集光器36を具備する。集光器36は、入射日光を集めて束ね、隔壁14に配置されている分散液へと転送し、その分散液を経由して、日光のエネルギーと熱と光が、代わって水盤システム10の中の養分懸濁液12に転送される。
【0035】
隔壁14の内側の温度を最適水準に設定し得るようにするために、隔壁14は、更に、加熱又は冷却素子、或いは、加熱及び冷却素子(図示せず)を具備することが出来る。
【0036】
養分懸濁液12の混合状態を程よくする目的を達成し得るようにする隔壁14を経由して熱が養分懸濁液へと導入されため、養分懸濁液12の中で渦巻き効果を引き起こし得る対流効果が、養分懸濁液12の中の隔壁14に沿った領域において生じ得る。
【0037】
図2に示すように、第2具体例による複数の隔壁14は、中空設計になっており、その中に分散液が同様に配置されるウエブ38を介して、相互に連結され得る。複数の隔壁14の間における分散液の永久的交換が起こり得ることから、分散液は、一つの隔壁14から次の隔壁へとウエブ38を介して流動し得る。加熱又は冷却素子、或いは、加熱及び冷却素子40は、ウエブ38の中に配置することが出来、それによって微生物の成長に最適に温度を設定することが出来る。ウエブ38が水盤システム10の上部に好適に配置されるので、ウエブ38は、日光に対する集光器のような役割を果たすことが出来、そこに集められた日光は、分散液を介して個々の隔壁14へと転送される。
【0038】
図3は、隔壁14に沿った均一温度分布が形成されるように隔壁14の内側の分散液が通過して導かれるチューブ装置42を具備する隔壁14の具体例を図表的に示している。チューブ装置42は、隔壁14の内側に、隔壁14の全長にわたって蛇行するように配置されることが望ましい。
【0039】
水盤システム10を簡素にし実用性を高めるために、図4に示すように、複数の水盤16を、付加的システムを介して、複雑な方法で、養分懸濁液12を押し返すことなく、最後の水盤から最初の水盤へと養分懸濁液12が容易に流れわたるリング型に配置することが出来る。
【0040】
図5は、本発明によるシステムの第3具体例の図表を示し、養分懸濁液12は、ポンプ44を用いて水盤システム10へと導入されている。ここに、流床46は、複数の個々の水盤の下に配置されており、養分懸濁液12は、流床46を経由して複数の個々の水盤16へと運ばれる。養分懸濁液12は、一度最後の水盤を出ると、ポンプを用いて最初の水盤へと流床46を経由して注ぎ返され、こうして、養分懸濁液の流動迂回が構成されることになる。
【符号の説明】
【0041】
10:水盤システム
12:養分懸濁液
14:隔壁
16:水盤
18:副壁
20:溢れ領域
22:水盤底
24:押揚装置
26:板
28:底板
30:養分懸濁液貯蔵所
32:副壁
34:発光ダイオード装置
36:集光器
38:ウエブ
40:加熱・冷却素子
42:チューブ装置
44:ポンプ
46:流床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水盤システム(10)とその水盤システム(10)に配置されている養分懸濁液(12)を伴った微生物繁殖システムであり、
その水盤システム(10)が、その水盤システム(10)の中にある養分懸濁液(12)を実質的に垂直な流れにするための少なくとも部分的に一部領域で光伝導する複数の隔壁(14)によって構成された垂直迂回システムを具備する微生物繁殖システムであり、
その複数の隔壁(14)が、中空設計のものであり、又、養分懸濁液の中へと光をそらす分散液を具備することを特徴とする微生物繁殖システム。
【請求項2】
水盤システム(10)が、並んで配置されており、複数の副壁(18)を具備する幾多の水盤(16)を少なくとも具備し、
その各水盤(16)が一つの隔壁(14)と水盤(16)の副壁(18)を具備し、
複数の水盤(16)が、一つの水盤(16)から隣の水盤に向かう養分懸濁液(12)の溢れ領域(20)を構成するように並んで配置されていることを特徴とする請求項1の微生物繁殖システム。
【請求項3】
複数の水盤(16)になる装置がリング型である請求項2の微生物繁殖システム。
【請求項4】
水盤システム(10)に養分懸濁液(12)を導入するための押揚装置(24)が、水盤システム(10)にある最初の水盤(16)の副壁(18)を経由して養分懸濁液貯蔵所(30)から水盤システム(10)に養分懸濁液(12)が押揚装置(24)を経由して流れるように用意されていることを特徴とする請求項1と2と3の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項5】
押揚装置(24)と最初の水盤(16)の間の副壁(32)が上端アタッチメント(34)を具備することを特徴とする請求項4の微生物繁殖システム。
【請求項6】
押揚装置(24)が水盤システム(10)の最初の水盤(16)と水盤システム(10)の最後の水盤の間の連結管であり、その連結管を通って養分懸濁液(12)が流れることを特徴とする請求項4と5の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項7】
特に閉ループか開ループによるモーターを用いて駆動されるスクリューコンベアーが連結管の中に配置されていることを特徴とする請求項6の微生物繁殖システム。
【請求項8】
養分懸濁液(12)がポンプ(44)を用いて水盤システム(10)の中へと導入されることを特徴とする請求項1と2と3の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項9】
隔壁(14)が分散液を案内し得るチューブ装置(42)を具備することを特徴とする請求項1の微生物繁殖システム。
【請求項10】
隔壁(14)が発光ダイオード装置(34)を具備することを特徴とする請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項11】
隔壁(14)が日光を集めて束ねる集光器(36)を具備することを特徴とする請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項12】
隔壁(16)が加熱又は冷却素子、或いは、加熱及び冷却素子を具備することを特徴とする請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10と11の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項13】
加熱又は冷却素子、或いは、加熱及び冷却素子が、水盤の外壁の内か外に配置されていることを特徴とする請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10と11と12の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項14】
加熱又は冷却素子、或いは、加熱及び冷却素子が、境界壁の水盤の外側に配置されていることを特徴とする請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10と11と12と13の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項15】
複数の隔壁(16)がウエブ(38)を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10と11と12と13と14の何れかの微生物繁殖システム。
【請求項16】
養分懸濁液の中へと突き出され、分散液に満たされた複数の隔壁によって光が導入される請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10と11と12と13と14と15の何れかの養分懸濁液を含んでいる水盤システムの中へと光が導入される微生物繁殖システムによる微生物繁殖方法。
【請求項17】
分散液が光をそらす粒子を具備することを特徴とする請求項16の微生物繁殖方法。
【請求項18】
分散液が隔壁の中に配置されているチューブ装置を通って流れることを特徴とする請求項15と17の何れかの微生物繁殖方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−521655(P2011−521655A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512016(P2011−512016)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003966
【国際公開番号】WO2009/146898
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510321929)アルゲ オイル ジーエムベーハー ウント コー.ケージー (1)
【Fターム(参考)】