説明

光電変換装置、および太陽電池

【課題】新たな材料やタンデム構造を採用しなくても、光電変換効率を向上することのできる光電変換装置、および太陽電池を提供する。
【解決手段】有機太陽電池10は、透光性の基板1の一方面に、透光性の第1電極2、P型半導体層3、N型半導体層4、および第2電極5がこの順に積層されている。P型半導体層3は、第1P型半導体層31および第2P型半導体層32を備え、第1P型半導体層31の光吸収域は、PN接合面6に近い第2P型半導体層32の光吸収域に比較して短波長側にある。第1P型半導体層31のHOMOレベルは第2P型半導体層32のHOMOレベル以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光を電気に変換する光電変換装置、および当該光電変換装置を備えた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入射した光を電気に変換する光電変換装置としては、光センサや太陽電池などが挙げられるが、特に太陽電池については、特に近年、クリーンエネルギー技術に対する要望から研究、実用化が盛んに行なわれている。また、太陽電池に関しては、シリコン、砒化ガリウム、硫化カドミウムなどの無機材料に代えて、有機材料を用いることが検討されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、有機材料は光吸収域が狭いため、発電効率の面で従来のシリコン太陽電池に及ばないのが現状である。そこで、光吸収域の異なる複数のセルをタンデム化(直列積層化)した構造や、新たな材料開発が行なわれている。
【非特許文献1】C.W.Tang,[Applied Physics Letters], Vol.48, p183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タンデム化はデバイスの製作コストの上昇を招くとともに、複数のセルにおいて、発生電流の整合化が図れなかった場合、発生電流の最も小さいセルが太陽電池全体の発生電流を規定するという問題点がある。また、新たな材料開発には多大なコストと時間がかかるという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、新たな材料やタンデム構造を採用しなくても、光電変換効率を向上することのできる光電変換装置、および太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、P型半導体層と、該P型半導体層との間にPN接合面を構成するN型半導体層と、前記P型半導体層に電気的接続する第1電極と、前記N型半導体層に電気的接続する第2電極と、を有する光電変換装置において、前記P型半導体層および前記N型半導体層のうちの少なくとも一方は、光吸収域が異なる複数の半導体層が積層された積層構造を備え、当該複数の半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層の光吸収域が前記PN接合に近い半導体層の光吸収域に比較して短波長側にあることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る光電変換装置では、前記P型半導体層および前記N型半導体層のうちの少なくとも一方では、光吸収域が異なる複数の半導体層が積層され、これらの複数の半導体層において隣接する2つの半導体層では、PN接合面から遠い側に位置する半導体層の光吸収域がPN接合に近い半導体層の光吸収域に比較して短波長側にある。すなわち、複数の半導体層において隣接する2つの半導体層では、PN接合面に近い側の半導体層ではエネルギーギャップが小さく、PN接合面から遠い側に位置する半導体層はエネルギーギャップが大きい。このため、複数の半導体層が位置する側からPN接合面に向けて光が入射した際、PN接合面から遠い側に位置する半導体層で吸収された光エネルギーは、PN接合面に近い側に位置する半導体層に励起エネルギーとして移動し励起状態を形成する。また、PN接合面から遠い側に位置する半導体層で吸収されずに、PN接合面に近い側に位置する半導体層に入射した光は、この半導体層で励起状態を形成し、かかる励起状態は、隣接する半導体層から移動した励起エネルギーで形成された励起状態と本質的に同一である。このため、PN接合面付近では電荷分離が効率よく発生するので、大きな電流を取り出すことができる。このように本発明によれば、タンデム構造や新たな材料を採用しなくても、複数の半導体層を好適な組み合わせで積層するだけで光電変換効率を高めることができる。また、PN接合面から遠い側の半導体層の光吸収域を短波長側にし、PN接合面から遠い側の半導体層のエネルギーギャップを大きくしたため、PN接合面から遠い側の半導体層から、PN接合面から近い側の半導体層へのエネルギー移動を効率よく利用することができる。
【0008】
本発明において、前記P型半導体層および前記N型半導体層のうち、前記積層構造を備えた半導体層は、前記複数の半導体層として、複数の有機半導体層を備えている構成を採用することができる。有機材料であれば、材料の選択範囲が広いので、最適な組み合わせを得やすいという利点がある。
【0009】
本発明において、前記P型半導体層および前記N型半導体層のいずれもが有機半導体層からなることが好ましい。有機材料であれば、広い面積でも成膜できるので、光電変換装置を太陽電池として構成するのに適している。
【0010】
本発明において、前記P型半導体層および前記N型半導体層のうち、前記P型半導体層が前記積層構造を備え、当該P型半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMO(最高被占軌道)レベルが前記PN接合に近い半導体層のHOMOレベル以上であることが好ましい。このように構成すると、正孔を第1電極までスムーズに取り出すことができる。また、P型半導体層であれば、N型半導体に比較して、有機半導体の種類が多いので、組み合わせの自由度が高い。ここで、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルが、PN接合に近い半導体層のHOMOレベル以上であるとの構成には、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルとPN接合に近い半導体層のHOMOレベルとが同等の場合と、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルがPN接合に近い半導体層のHOMOレベルより高い場合とが含まれる。本発明において、双方のHOMOレベルが同等との構成には、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルがPN接合に近い半導体層のHOMOレベルより0.1eV程度低い場合も含まれる。但し、光電変換装置の内部抵抗を小さくするという観点からすれば、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルとPN接合に近い半導体層のHOMOレベルとが同一、あるいはPN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルがPN接合に近い半導体層のHOMOレベルより高いことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記P型半導体層および前記N型半導体層のうち、前記N型半導体層が前記積層構造を備えている構成を採用してもよい。この場合、当該N型半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMO(最低非占有軌道)レベルが前記PN接合に近い半導体層のLUMOレベル以下である構成を採用すればよい。ここで、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルが、PN接合に近い半導体層のLUMOレベル以下であるとの構成には、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルとPN接合に近い半導体層のLUMOレベルとが同等の場合と、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルがPN接合に近い半導体層のLUMOレベルより低い場合とが含まれる。本発明において、双方のLUMOレベルが同等との構成には、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルがPN接合に近い半導体層のLUMOレベルより0.1eV程度高い場合も含まれる。但し、光電変換装置の内部抵抗を小さくするという観点からすれば、PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルとPN接合に近い半導体層のLUMOレベルとが同一、あるいはPN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルがPN接合に近い半導体層のLUMOレベルより低いことが好ましい。
【0012】
本発明において、HOMOは、イオン化ポテンシャル測定装置で測定した値を用いることができ、LUMOは、測定した紫外可視吸収スペクトルにおける長波長端と、HOMOのレベルとの和により算出することができる。
【0013】
本発明において、前記積層構造では、半導体層が複数層であれば、層数に制限はないが、半導体層が2〜4層、積層されていることが好ましい。積層数が2〜4層であれば、太陽光を広い波長域にわたって利用することができる。また、積層数が多い場合には、作製プロセスの煩雑化や正孔の移動ロスが発生しやすいので、前記積層構造での積層数は2〜4層であることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記積層構造では、無機半導体層が積層構造を採用することもできる。この場合、P型半導体層が積層構造を備えているとすると、当該P型半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層の価電子帯の最高レベルが前記PN接合に近い半導体層の価電子帯の最高レベル以上であることが好ましい。また、N型半導体層が積層構造を備えているとすると、当該N型半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層の伝導帯の最低レベルが前記PN接合に近い半導体層の伝導帯の最低レベル以下であることが好ましい。
【0015】
本発明を適用した光電変換装置を太陽電池として用いれば、発電効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る光電変換装置では、半導体層に入射した光による励起状態と、隣接する半導体層からの励起エネルギーの移動による励起状態とを利用するため、PN接合面付近では電荷分離が効率よく発生する。従って、大きな電流を取り出すことができる。また、タンデム構造や新たな材料を採用しなくても、複数の半導体層を好適な組み合わせで積層するだけで光電変換効率を高めることができるという利点もある。また、PN接合面から遠い側の半導体層の光吸収域を短波長側にし、PN接合面から遠い側の半導体層のエネルギーギャップを大きくしたため、PN接合面から遠い側の半導体層から、PN接合面から近い側の半導体層へのエネルギー移動を効率よく利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照して、本発明を適用した光電変換装置としてPN接合型有機太陽電池を例に説明する。
【0018】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る太陽電池の構成を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態1に係る有機太陽電池の層構成、各層のエネルギーレベルの一例を示す説明図、および各層のエネルギーレベルの他の例を示す説明図である。
【0019】
図1(a)に示すように、本形態の太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)は、概ね、ガラスなどからなる透光性の基板1の一方面に、透光性の第1電極2、電子供与性を有するP型半導体層3、電子受容性を有するN型半導体層4、および第2電極5がこの順に積層された構成を有しており、P型半導体層3とN型半導体層4とはPN接合面6を構成している。かかる太陽電池10では、基板1の側から太陽光が入射する。
【0020】
本形態において、第1電極2は、P型半導体層3に対してオーミック接触可能な仕事関数を有する導電材料であって、光を透過させることが求められる。従って、第1電極2として、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)、In23、SnO2、ZnO等の透光性導電材料が用いられる。また、第1電極2としては、Snドープ酸化インジウム(In23:Sn)、Fドープ酸化錫(SnO2:F)、Sbドープ酸化錫(SnO2:Sb)、Alドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、Gaドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)など、上記の透光性導電材料に不純物をドープしたもので構成してもよい。
【0021】
第2電極5は、N型半導体層4とオーミック接触可能な仕事関数を有する導電材料であることが求められる。このような導電材料は、具体的には金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、インジウムなどの金属、それらの合金、上記の透光性導電材料、カーボンなどが挙げられる。
【0022】
太陽電池10において、第1電極2とP型半導体層3との界面に生じるキャリアの移動特性、および第2電極5とN型半導体層4との界面に生じるキャリアの移動特性は、両者の仕事関数やフェルミ準位で決定される。太陽電池10の場合、正孔を取り出す第1電極2(アノード)では、仕事関数は大きい方がキャリアの移動効率は高く、電子を取り出す第2電極5(カソード)の仕事関数は小さい方がキャリアの移動効率が高い。
【0023】
なお、第1電極2とP型半導体層3との間には、以下の化学式(1)で示すPEDOT(ポリ(エチレンジオキシチオフェン)):PSS(ポリ(スチレン・スルフォン酸))などのバッファー層を設けることもある。
【0024】
【化1】

【0025】
また、第2電極5とN型半導体層4との間には、LiF、未修飾フラーレン、ジメチルジフェニルフェナントロリン、以下の化学式2で示すBCP(Bathocuproine)からなるバッファ層を設けて、オーミック接合や正孔のブロックを行なうこともある。
【0026】
【化2】

【0027】
P型半導体層3は、電子供与性を有するものであれば特に限定されず、例えば、フタロシアニン類、芳香族三級アミン類、アセン類、チオフェンやセレノフェン誘導体などの化合物やこれらの化合物に水酸基やアルキル基、アミノ基、メチル基などが導入された誘導体、さらに、芳香族3級アミン、フェニレンビニレン、チオフェン、フルオレン、カルバゾール、ビニルカルバゾール、ピロールなどの化合物の重合体、あるいは、これらの化合物に水酸基やアルキル基、アミノ基、メチル基などが導入された誘導体の重合体が挙げられる。
【0028】
N型半導体としては、電子受容性を有するものであれば特に限定されず、例えばCdSe、CdTeなどの無機半導体の他、フラーレン誘導体、ペリレンイミド誘導体、ナフタレンイミド誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノリン金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、ベンゾオキサゾール金属錯体、ベンゾイミダゾール金属錯体などの有機半導体を用いることができる。フラーレンとしては、C60、C70、C84などを例示することができる。これらのフラーレンのうち、C60は、入手しやすく、コスト面で有利であるなどの利点を有している。
【0029】
かかる構成の太陽電池10を製作するにあたっては、スパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、常圧CVD法、減圧CVD法、PVD法、ソルゲル法、電析法、スピンコート法、印刷法などによって基板1の表面上に各膜を積層する。
【0030】
(P型半導体層3の詳細構成)
本形態の太陽電池10において、P型半導体層3は、複数のP型半導体層が積層された構造(積層構造)を備えている。より具体的には、本形態において、P型半導体層3は、第1電極2が電気的に接続された第1P型半導体層31と、この第1P型半導体層31とPN接合面6との間に位置する第2P型半導体層32とを備えた2層構造を有している。第1P型半導体層31および第2P型半導体層32としては、前記したP型有機半導体を用いることができる。ここで、第1P型半導体層31とPN接合面6との間には、十分な膜厚の第2P型半導体層32が介在しており、第1P型半導体層31はN型半導体層4と接していない。
【0031】
かかる構成の有機太陽電池10において、P型半導体層3で隣接する2つの半導体層(第1P型半導体層31および第2P型半導体層32)のうち、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31のHOMOレベルは、PN接合面6に近い第2P型半導体層32のHOMOレベル以上である。すなわち、P型半導体層3では、図1(b)に示すように、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31のHOMOレベルと、PN接合面6に近い第2P型半導体層32のHOMOレベルとが等しいか、あるいは、図1(c)に示すように、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31のHOMOレベルは、PN接合面6に近い第2P型半導体層32のHOMOレベルより高い。
【0032】
また、図1(b)、(c)に示すように、PN接合面6から遠い第1P型半導体層31のエネルギーギャップ(LUMOレベルとHOMOレベルとの差)は、PN接合面6に近い第2P型半導体層32のエネルギーギャップより大きい。このため、PN接合面6から遠い第1P型半導体層31の光吸収域は、PN接合面6に近い第2P型半導体層32の光吸収域より短波長側にある。
【0033】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の有機太陽電池10において、P型半導体層3およびN型半導体層4のうち、P型半導体層3では、光吸収域が異なる複数の半導体層(第1P型半導体層31および第2P型半導体層32)が積層され、これらの複数の半導体層において隣接する2つの半導体層では、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31の光吸収域が、PN接合面6に近い第2P型半導体層32の光吸収域に比較して短波長側にある。すなわち、複数の半導体層において隣接する2つの半導体層では、PN接合面に近い側の第2P型半導体層32ではエネルギーギャップが小さく、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31はエネルギーギャップが大きい。
【0034】
このため、P型半導体層3が位置する側からPN接合面6に向けて光が入射した際、第1P型半導体層31で吸収された光エネルギーは、PN接合面6の側で隣接する第2P型半導体層32に励起エネルギーとして移動し、第2P型半導体層32において励起状態を形成する。また、第1P型半導体層31で吸収されずに第2P型半導体層32に入射した光は、第2P型半導体層32で励起状態を形成し、かかる励起状態は、第1P型半導体層31から移動した励起エネルギーで形成された励起状態と本質的に同一である。このため、PN接合面6付近では、入射した光の略全波長域の光によって電荷分離が効率よく発生するので、大きな電流を取り出すことができる。特に、PN接合面6から遠い側の第1P型半導体層31の光吸収域を短波長側にし、PN接合面6から遠い側の第1P型半導体層31のエネルギーギャップを大きくしたため、PN接合面6から遠い側の第1P型半導体層31からPN接合面6から近い側の第2P型半導体層32へのエネルギー移動を効率よく利用することができる。
【0035】
また、有機太陽電池10において、PN接合面6付近で電荷分離された正孔は、P型半導体層3の価電子帯を介して第1電極2から取り出され、電子はN型半導体層4の伝導帯を介して第2電極5から取り出されると見なすことができる。ここで、第1P型半導体層31のHOMOレベルは第2P型半導体層32のHOMOレベル以上である。このため、正孔が移動する際の障壁が存在しないので、正孔は第1電極2から効率よく取り出される。なお、電子が移動する際の障壁も存在しないので、電子は第2電極5から効率よく取り出される。
【0036】
それ故、本形態によれば、タンデム構造や新たな材料を採用しなくても、複数の半導体層(第1P型半導体層31および第2P型半導体層32)を好適な組み合わせで積層するだけで光電変換効率を高めることができる。
【0037】
[実施の形態2]
図2は、本発明の実施の形態2に係る太陽電池の構成を模式的に示す説明図であり、図2(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る有機太陽電池の各層のエネルギーレベルの一例を示す説明図、および各層のエネルギーレベルの他の例を示す説明図である。
【0038】
実施の形態1では、P型半導体層3を多層構造としたが、本形態のように、N型半導体層4を多層構造としてもよい。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、特徴的な部分のみを説明する。
【0039】
図2(a)、(b)に示すように、本形態の太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)も、実施の形態1と同様、基板(図示せず)の一方面に、第1電極2、電子供与性を有するP型半導体層3、電子受容性を有するN型半導体層4、および第2電極5がこの順に積層された構成を有しており、P型半導体層3とN型半導体層4とはPN接合面6を構成している。
【0040】
本形態の太陽電池10において、N型半導体層4は、複数のN型半導体層が積層された構造(積層構造)を備えている。より具体的には、本形態において、N型半導体層4は、第2電極5が電気的に接続された第1N型半導体層41と、この第1N型半導体層41とPN接合面6との間に位置する第2N型半導体層42とを備えた2層構造を有している。ここで、第1N型半導体層41とPN接合面6との間には、第2N型半導体層42が介在しており、第1N半導体層41はP型半導体層3と接していない。
【0041】
かかる構成の有機太陽電池10において、N型半導体層4で隣接する2つの半導体層(第1N型半導体層41および第2N型半導体層42)のうち、PN接合面6から遠い側に位置する第1N型半導体層41のLUMOレベルは、PN接合面6に近い第2N型半導体層42のLUMOレベル以下である。すなわち、N型半導体層4では、図2(a)に示すように、PN接合面6から遠い側に位置する第1N型半導体層41のLUMOレベルと、PN接合面6に近い第2N型半導体層32のLUMOレベルとが等しいか、あるいは、図2(b)に示すように、PN接合面6から遠い側に位置する第1N型半導体層41のLUMOレベルは、PN接合面6に近い第2N型半導体層42のLUMOレベルより低い。
【0042】
また、図2(a)、(b)に示すように、PN接合面6から遠い第1N型半導体層41のエネルギーギャップ(LUMOレベルとHOMOレベルとの差)は、PN接合面6に近い第2N型半導体層42のエネルギーギャップより大きい。このため、PN接合面6から遠い第1N型半導体層41の光吸収域は、PN接合面6に近い第2N型半導体層42の光吸収域より短波長側にある。
【0043】
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、第1N型半導体層41から第2N型半導体層42への励起エネルギーの移動を利用することができる。それ故、タンデム構造や新たな材料を採用しなくても、複数の半導体層(第1N型半導体層41および第2N型半導体層42)を好適な組み合わせで積層するだけで光電変換効率を高めることができる。
【0044】
[他の実施の形態]
P型半導体層3およびN型半導体層4の双方を複数の半導体層の積層構造としてもよい。なお、積層構造を採用する場合の半導体層が数は3層以上でもよいが、積層数が2〜4層であれば、太陽光を広い波長域にわたって利用することができる。また、積層数が多い場合には、作製プロセスの煩雑化や、正孔の移動ロスが発生しやすいので、積層構造での積層数は2〜4層であることが好ましい。
【0045】
また、上記実施の形態1、2では、P型半導体層3およびN型半導体層4の双方を有機半導体層としたが、P型半導体層3およびN型半導体層4の一方、あるいは双方を無機半導体層としてもよい。この場合、P型半導体層が積層構造を備えているとすると、当該P型半導体層において隣接する2つの半導体層では、PN接合面から遠い側に位置する半導体層の価電子帯の最高レベル(HOMOレベルに対応)がPN接合面に近い半導体層の価電子帯の最高レベル以上である構成を採用する。また、N型半導体層が積層構造を備えているとすると、N型半導体層において隣接する2つの半導体層では、PN接合面から遠い側に位置する半導体層の伝導帯の最低レベル(LUMOレベルに対応)がPN接合面に近い半導体層の伝導帯の最低レベル以下である構成を採用する。
【0046】
上記実施の形態1、2はいずれも、本発明に係る光電変換装置を太陽電池として構成したが、光電変換装置を光センサとして構成した場合に、本発明を適用してもよい。
【0047】
[実施例]
次に、本発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例で用いたBP3T(2,5−ビス(4−ビフェニリル)−2,2′:5′,2″−ターチオフェン)、P6T、CuPc(銅フタロシアニン)、ZnPc(亜鉛フタロシアニン)、SnPc(錫フタロシアニン)の光吸収特性を図3に示す。ここで、図3に示すデータには、有機材料の膜厚が相違する条件での測定結果が含まれている。このため、図3に示すデータは、異なる有機材料の吸光度を比較するためのデータではない。なお、BP3T、P6T、およびCuPcは、以下の化学式3、4、5で示される。
【0048】
【化3】

【0049】
【化4】

【0050】
【化5】

【0051】
また、上記有機材料BP3T、P6T、CuPc、ZnPc、SnPcのHOMOレベルは、以下
BP3T=−5.1V
P6T =−4.7V
CuPc=−5.2V
ZnPc=−5.0V
SnPc=−5.7V
に示す通りである。
【0052】
(実施例1、2)
図1(a)において、本発明の実施例1、2に係る太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)は、ガラスからなる透光性の基板1の一方面に、ITOからなる透光性の第1電極2、P型半導体層3、フラーレン(C60)からなるN型半導体層4、およびアルミニウムからなる第2電極5がこの順に積層された構成を有しており、P型半導体層3とN型半導体層4とはPN接合面6を構成している。P型半導体層3と第1電極2との間には、膜厚30nm程度のPEDOT:PSS層が形成され、N型半導体層4と第2電極5との間には、膜厚6nm程度のBCP層が形成されている。
【0053】
実施例1に係る太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)において、P型半導体層3は、BP3Tからなる第1P型半導体層31と、CuPcからなる第2P型半導体層32とを備えた2層構造を有している。
【0054】
従って、実施例1に係る太陽電池10の層構成は、PEDOT:PSS/BP3T/CuPc/C60/BCPで表され、各層の厚さは、以下の通り
PEDOT:PSS層=30nm
第1P型半導体層31(BP3T)=40nm
第2P型半導体層32(CuPc)=10nm
N型半導体層4(C60):10nm
BCP層=6nm
である。
【0055】
かかる実施例1に係る太陽電池10において、P型半導体層3で隣接する2つの半導体層(第1P型半導体層31および第2P型半導体層32)のうち、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31(BP3T)のHOMOレベルは−5.1eVであり、PN接合面6に近い第2P型半導体層32(CuPc)のHOMOレベル(−5.2eV)以上である。
【0056】
また、第1P型半導体層31(BP3T)のエネルギーギャップ(LUMOレベルとHOMOレベルとの差)は、第2P型半導体層32(CuPc)のエネルギーギャップより大きい。このため、第2P型半導体層32(CuPc)は、図3に短い点線L3で示すように、600〜700nm付近に吸収ピークを有しているのに対して、第1P型半導体層31(BP3T)は、図3に実線L1で示すように、450nm以下の領域に吸収ピークを有しており、第1P型半導体層31(BP3T)の光吸収域は、第2P型半導体層32(CuPc)の光吸収域より短波長側にある。このようなBP3Tの色相は黄色であり、CuPcの色相は青色である。
【0057】
実施例2に係る太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)は、実施例1に係る太陽電池10において第1P型半導体層31をBP3Tに代えて、P6Tとした構成を有し、他の構成は実施例1に係る太陽電池10と同一である。
【0058】
従って、実施例2に係る太陽電池10の層構成は、PEDOT:PSS/P6T/CuPc/C60/BCPで表され、各層の厚さは、以下の通り
PEDOT:PSS層=30nm
第1P型半導体層31(P6T)=40nm
第2P型半導体層32(CuPc)=10nm
N型半導体層4(C60):10nm
BCP層=6nm
である。
【0059】
かかる実施例2に係る太陽電池10において、P型半導体層3で隣接する2つの半導体層(第1P型半導体層31および第2P型半導体層32)のうち、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31(P6T)のHOMOレベルは−4.7eVであり、PN接合面6に近い第2P型半導体層32(CuPc)のHOMOレベル(−5.2eV)以上である。
【0060】
また、第1P型半導体層31(P6T)のエネルギーギャップ(LUMOレベルとHOMOレベルとの差)は、第2P型半導体層32(CuPc)のエネルギーギャップより大きい。このため、第2P型半導体層32(CuPc)は、図3に長い点線L2で示すように、600〜700nm付近に吸収ピークを有しているのに対して、第1P型半導体層31(P6T)は、図3に短い実線L1で示すように、500nm以下の領域に吸収ピークを有しており、第1P型半導体層31(P6T)の光吸収域は、第2P型半導体層32(CuPc)の光吸収域より短波長側にある。
【0061】
なお、比較例1に係る太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)は、実施例1、2に係る太陽電池10において第1P型半導体層31(BP3T、P6T)を省いた構成を有し、他の構成は実施例1、2に係る太陽電池10と同一である。
【0062】
従って、比較例1に係る太陽電池10の層構成は、PEDOT:PSS/CuPc/C60/BCPで表され、各層の厚さは、以下の通り
PEDOT:PSS層=30nm
P型半導体層3(CuPc)=10nm
N型半導体層4(C60):10nm
BCP層=6nm
である。
【0063】
かかる構成の太陽電池10を製作するにあたっては、基板1に対して、スピンコート法、スパッタ法や真空蒸着法に各膜を順次積層していく。その際、所定領域に選択的に成膜する場合には、マスクスパッタ法やマスク蒸着法を用いればよい。
【0064】
図4(a)、(b)は、本発明の実施例1、2および比較例1に係る太陽電池の各波長の照射光に対する光子−電子変換量子効率を示すグラフ、および本発明の実施例1、2および比較例1に係る太陽電池の電流−電圧特性(発電特性)を示すグラフである。なお、図4(b)に示す結果は、擬似太陽光AM1.5G(100mW/cm2)を照射した際の発電特性である。
【0065】
図4(a)に長い点線L11で示すように、本発明の実施例1に係る太陽電池10(PEDOT:PSS/BP3T/CuPc/C60/BCP)は、〜700nmの広い波長域にわたって光子−電子変換量子効率が高い。なお、図4(a)には、比較例1の太陽電池(PEDOT:PSS/CuPc/C60/BCP)の特性を短い点線L10で示してある。
【0066】
図4(a)において点線L10、L11で示す結果を比較すると分るように、実施例1に係る太陽電池10は、比較例1に係る太陽電池に比して、光子−電子変換量子効率が高く、特に、500nm以下の短波長域における光子−電子変換量子効率が高い。それ故、本発明の実施例1に係る太陽電池10(PEDOT:PSS/BP3T/CuPc/C60/BCP)の電流−電圧特性を図4(b)に長い点線L11で示し、参考例1に係る太陽電池(PEDOT:PSS/CuPc/C60/BCP)の電流−電圧特性を図4(b)に短い点線L10で示すように、実施例1に係る太陽電池10は、エネルギー変換効率が高い。
【0067】
また、図4(a)に実線L12で示すように、本発明の実施例2に係る太陽電池10(PEDOT:PSS/P6T/CuPc/C60/BCP)も、実施例1と同様、〜700nmの広い波長域にわたって光子−電子変換量子効率が高い。このため、図4(b)に実線L12に示すように、本発明の実施例2に係る太陽電池10(PEDOT:PSS/P6T/CuPc/C60/BCP)も、実施例1と同様、エネルギー変換効率が高い。
【0068】
(実施例3)
図1(a)において、本発明の実施例3に係る太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)は、実施例2に係る太陽電池10において第2P型半導体層32をCuPcに代えて、SnPcとした構成を有し、他の構成は実施例1、2に係る太陽電池10と同一である。
【0069】
従って、実施例3に係る太陽電池10の層構成は、PEDOT:PSS/P6T/SnPc/C60/BCPで表され、各層の厚さは、以下の通り
PEDOT:PSS層=30nm
第1P型半導体層31(P6T)=40nm
第2P型半導体層32(SnPc)=10nm
N型半導体層4(C60):10nm
BCP層=6nm
である。
【0070】
かかる実施例3に係る太陽電池10において、P型半導体層3で隣接する2つの半導体層(第1P型半導体層31および第2P型半導体層32)のうち、PN接合面6から遠い側に位置する第1P型半導体層31(P6T)のHOMOレベルは−4.7eVであり、PN接合面6に近い第2P型半導体層32(SnPc)のHOMOレベル(−5.7eV)以上である。
【0071】
また、第1P型半導体層31(P6T)のエネルギーギャップ(LUMOレベルとHOMOレベルとの差)は、第2P型半導体層32(SnPc)のエネルギーギャップより大きい。このため、第2P型半導体層32(SnPc)は、図3に二点鎖線L5で示すように、700〜800nm付近に吸収ピークを有しているのに対して、第1P型半導体層31(P6T)は、図3に長い点線L2で示すように、500nm以下の領域に吸収ピークを有しており、第1P型半導体層31(P6T)の光吸収域は、第2P型半導体層32(SnPc)の光吸収域より短波長側にある。
【0072】
なお、比較例2に係る太陽電池10(PN接合型有機太陽電池)は、実施例3に係る太陽電池10において第1P型半導体層31(P6T)を省いた構成を有し、他の構成は実施例1、2に係る太陽電池10と同一である。
【0073】
従って、比較例1に係る太陽電池10の層構成は、PEDOT:PSS/SnPc/C60/BCPで表され、各層の厚さは、以下の通り
PEDOT:PSS層=30nm
P型半導体層3(SnPc)=10nm
N型半導体層4(C60):10nm
BCP層=6nm
である。
【0074】
かかる構成の太陽電池10を製作するにあたっても、実施例1、2と同様、基板1に対して、スピンコート法、スパッタ法や真空蒸着法に各膜を順次積層していく。その際、所定領域に選択的に成膜する場合には、マスクスパッタ法やマスク蒸着法を用いればよい。
【0075】
図5(a)、(b)は、本発明の実施例3および比較例1に係る太陽電池の各波長の照射光に対する光子−電子変換量子効率を示すグラフ、および本発明の実施例3および比較例1に係る太陽電池の電流−電圧特性(発電特性)を示すグラフである。
【0076】
図5(a)に実線L21で示すように、本発明の実施例3に係る太陽電池10(PEDOT:PSS/P6T/SnPc/C60/BCP)は、〜800nmの広い波長域にわたって光子−電子変換量子効率が高い。なお、図5(a)には、比較例2の太陽電池(PEDOT:PSS/SnPc/C60/BCP)の特性を短い点線L20で示してある。
【0077】
図4(a)において実線L21および点線20で示す結果を比較すると分るように、実施例3に係る太陽電池10は、比較例2に係る太陽電池に比して、光子−電子変換量子効率が高く、特に、600nm以下の短波長域における光子−電子変換量子効率が高い。
【0078】
それ故、本発明の実施例3に係る太陽電池10(PEDOT:PSS/BP3T/SnPc/C60/BCP)の電流−電圧特性を図5(b)に実線L21で示し、参考例2に係る太陽電池(PEDOT:PSS/SnPc/C60/BCP)の電流−電圧特性を図5(b)に点線L20で示すように、実施例3に係る太陽電池10は、エネルギー変換効率が高い。
【0079】
(太陽電池の内部抵抗とHOMOレベル差との関係)
図6に、本発明を適用した太陽電池において、内部抵抗とHOMOレベル差との相関関係を示すグラフである。図6において、横軸は、本発明の実施例1〜3に係る太陽電池10に用いた第1P型半導体層31のHOMOレベルから第2P型半導体層32のHOMOレベルを引いた値(ΔE)である。縦軸は、図4(b)および図5(b)に示す電流−電圧特性において、電流密度が0近傍における電流−電圧カーブの勾配(微分係数)の逆数から算出した太陽電池の内部抵抗である。なお、図6には、実施例1において第2P型半導体層32をCuPcからZnPcに変更した実施例4のデータもプロットしてあり、実施例4の他の構成は実施例1と同様である。
【0080】
図6からわかるように、本発明を適用した太陽電池10では、実施例2、3のように、第2P型半導体層32のHOMOレベルから第1P型半導体層31のHOMOレベルを引いた値(ΔE)が小さいほど、すなわち、第2P型半導体層32のHOMOレベルが第1P型半導体層31のHOMOレベルより高いほど、太陽電池10の内部抵抗が小さくなる傾向にある。一方、ΔEが0以上の場合、すなわち、第2P型半導体層32のHOMOレベルが第1P型半導体層31のHOMOレベルより低いと、内部抵抗が急激に大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係る太陽電池の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る太陽電池の構成を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施例に係る太陽電池で用いたP型半導体層の光吸収特性を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例1、2および比較例1に係る太陽電池の各波長の照射光に対する光子−電子変換量子効率を示すグラフ、および電流−電圧特性を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例3および比較例2に係る太陽電池の各波長の照射光に対する光子−電子変換量子効率を示すグラフ、および電流−電圧特性を示すグラフである。
【図6】本発明を適用した太陽電池において、内部抵抗とHOMOレベル差との相関関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0082】
1・・基板
2・・第1電極
3・・P型半導体層
4・・N型半導体層
5・・第2電極
6・・PN接合面
10・・太陽電池
31・・第1P型半導体層
32・・第2P型半導体層
41・・第1N型半導体層
42・・第2N型半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型半導体層と、該P型半導体層との間にPN接合面を構成するN型半導体層と、前記P型半導体層に電気的接続する第1電極と、前記N型半導体層に電気的接続する第2電極と、を有する光電変換装置において、
前記P型半導体層および前記N型半導体層のうちの少なくとも一方は、光吸収域が異なる複数の半導体層が積層された積層構造を備え、
当該複数の半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層の光吸収域が前記PN接合に近い半導体層の光吸収域に比較して短波長側にあることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記P型半導体層および前記N型半導体層のうち、前記積層構造を備えた半導体層は、前記複数の半導体層として、複数の有機半導体層を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記P型半導体層および前記N型半導体層のいずれもが有機半導体層からなることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記P型半導体層および前記N型半導体層のうち、前記P型半導体層が前記積層構造を備え、
当該P型半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層のHOMOレベルが前記PN接合に近い半導体層のHOMOレベル以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記P型半導体層および前記N型半導体層のうち、前記N型半導体層が前記積層構造を備え、
当該N型半導体層において隣接する2つの半導体層では、前記PN接合面から遠い側に位置する半導体層のLUMOレベルが前記PN接合に近い半導体層のLUMOレベル以下であることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記積層構造では、半導体層が2〜4層、積層されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の光電変換装置を備えていることを特徴とする太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−141268(P2010−141268A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318834(P2008−318834)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】