説明

免疫原コンジュゲート

本発明は、キャリアーに結合した、少なくとも1つの血管内皮増殖因子(VEGF)ペプチド成分(moiety)を含む免疫原コンジュゲートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類血管内皮増殖因子(VEGF)または断片の免疫原コンジュゲート、それらの類似体または誘導体に関し、さらに、腫瘍血管新生に関する病気の治療および予防への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
VEGFは、脈管形成および新脈管形成を誘導する強力なマイトゲン(有糸分裂促進物質)である。脈管形成は、胚形成の間、初期内皮細胞の分化を通じた血管のde novo発生である。他方、新脈管形成は、新しい組織を通じたすでに存在する血管からの新たな血液毛管の形成である。このため、VEGFは、修復メカニズムの一部として、低酸素症によるVEGF誘導が後に新脈形成の原因となる損傷組織において発見された。VEGFは、また、更年期前の女性における子宮内膜症の月経周期の再生にも関係する。
【0003】
天然VEGFは、ヒトやげっ歯類を含む種の全範囲において、注目すべき配列相同性を示す。一般的に、これは、単一遺伝子のスプライシングされた変異の二量化によって生産される糖タンパク質である。121、165、189および206のアミノ酸残基であるポリペプチド鎖が同定されている(非特許文献1)。これらのうち、121アミノ酸残基のイソ型VEGF121は、新脈管形成における最も強力な分子であることが証明されている。
【非特許文献1】Polypeptide chains of 121, 165, 189 and 206 amino acid residues have been identified (Houck, K.A. et al 1996; Mol. Endocrinol. 5: 1806-1814).
【発明の開示】
【0004】
我々は、強力な免疫原であり、また、腫瘍血管新生に関する病気を攻撃するため免疫療法に使用することができる、VEGF誘導体を生産できることを見出した。特に、1以上のVEGFペプチド成分が、免疫原コンジュゲートを形成するためのタンパク質やポリペプチドのようなキャリアーに結合しているVEGF誘導体を開発した。コンジュゲート免疫原は、天然VEGFに結合してその効果を中和する抗体を誘導する免疫された宿主において有効である。
【0005】
このように本発明の一形態は、腫瘍の攻撃、特に、腫瘍転移の攻撃に使用するための(例えば、血管新生を通じた腫瘍血管新生の攻撃や、このように転移を制限することによる腫瘍の拡散の制御に使用するための)薬剤を製造するために、キャリアーに結合した少なくとも1つの血管内皮増殖因子ペプチド成分を含む免疫原コンジュゲートの使用を提供する。
【0006】
本発明の他の形態において、例えば、治療または予防に使用するための、特に腫瘍や腫瘍転移を攻撃するための、キャリアーに結合した少なくとも1以上の血管内皮増殖因子ペプチド成分を含む免疫原コンジュゲートを提供する。
【0007】
VEGFコンジュゲートは、増殖因子の活性が特異的な抗増殖因子または抗ポリペプチド抗体により中和されるように、天然VEGF分子に対して患者を免疫するために使用できる。
【0008】
VEGFペプチド成分は、いくつかのペプチド成分であってもよく、体内において天然VEGFの生物活性を有する必要はなく、天然VEGFの免疫擬態(immunomimic)(例えば、天然VEGF分子に結合し、また、前記分子を無能力にする抗体が生じるような、免疫学的に擬態(mimic)VEGF)として作用できればよい。
【0009】
このようなペプチド成分は、1つまたは複数のアミノ酸が置換、付加または欠失することによる天然VEGF配列の修飾を含んでもよく、また、アミノ酸残基の配列は化学的に修飾されてもよいが、VEGF免疫原活性を保持する。このような機能的(例えば、免疫学的)に同等な変異は、自然の生物学的変異として生じ、もしくは、例えば、化学合成や、修飾、部位特異的もしくはランダム突然変異等の突然変異のような、公知であり基本的な技術を用いて調製できる。修飾を考慮する上で重要な特徴は、VEGFペプチドは、天然VEGFの免疫擬態(immunomimic)として作用する能力を保持していることである。このように、例えば、1つのアミノ酸は、荷電密度、親水性または疎水性、大きさおよび立体配置に関するような、VEGFペプチドまたはそのエピトープの物理化学的特性を保存し、且つ、免疫学上の構造を保存する、他のアミノ酸によって置換されてもよい。「付加」変異は、1つまたは複数のアミノ酸の内部配列への挿入と同様に、N末端またはC末端融合を含んでもよい。欠失は、内部配列でもよいし、N末端もしくはC末端からの切断であってもよい。ここで使用される「VEGFペプチド」という用語は、天然VEGFペプチドおよびそれらの機能的に等価な変異を全て含む。
【0010】
一般的に、VEGFペプチド成分は、天然VEGF配列の全てまたは断片(例えば、8-100アミノ酸断片、より好ましくは10-30アミノ酸断片、特に好ましくは12-25アミノ酸断片)に対して高いホモロジー(例えば、少なくとも80%ホモロジー、好ましくは少なくとも90%ホモロジー)を有するアミノ酸配列を含む。天然VEGF配列のグリコシレーション部位と重複、接合または隣接(例えば、5アミノ酸残基)する天然VEGF配列の断片、特にN末端方向におけるグリコシレーション部位から初めの12アミノ酸残基のうち少なくとも8アミノ酸残基を含む断片、より好ましくはN末端方向におけるグリコシレーション部位から初めの16アミノ酸残基のうち少なくとも12アミノ酸残基を含む断片に対して、高いホモロジーを有することが特に好ましい。
【0011】
VEGFペプチド成分は、少なくとも下記配列番号1で表されるVEGF121の71-100断片と高いホモロジー(好ましくは100%ホモロジー)を示すオリゴペプチドを含むことが最も好ましい。
配列番号1
TEESNITMQI MRIKPHQGQH IGEMSFLQHN
【0012】
VEGFペプチド成分は、オリゴペプチド(T)a(M)b(Q)c(I)dMRIKPHQGQ(H)e(I)f(G)g(E)h(M)i(S)j(F)k(L)l(Q)mを含むことが好ましく、a〜mは、それぞれ0または1であり、作製した配列が、配列番号1に対応しなければ、a〜cおよびf〜mは1ではない。e〜gは、好ましくは1であり、より好ましくはe〜jが1である。
【0013】
VEGFペプチド成分は、N末端を介してキャリアーと結合していることが好ましい。C末端を介して結合する場合、少なくとも14-merであることが好ましく、特にHIGEM配列を含むことが好ましい。
【0014】
VEGFペプチド成分は、キャリアー結合成分を介してキャリアーと容易に結合できる。コンジュゲートの前駆体として、ペプチドキャリアー結合成分と結合した少なくとも1つのVEGFペプチド成分を含むVEGF誘導体を調製してもよい。このような誘導体は、さらに本発明の形態を形成する。
【0015】
本発明のさらなる形態は、ペプチドキャリアー結合成分に結合した少なくとも1つのVEGFペプチド成分を含む血管内皮増殖因子誘導体を提供する。
【0016】
前記キャリアー結合成分は、VEGFペプチド成分が標準的な結合技術を用いて迅速に前記キャリアーと結合することを介して、VEGFペプチド成分が免疫学的キャリアーに接触する手段として働き、一般的に、タンパク質またはポリペプチドであり、反応性側鎖を有するアミノ酸残基を含むことが好ましい。このような側鎖は、遊離水酸基、カルボキシル基またはチオール基を含むことが好ましい。このようなアミノ酸は、システイン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基もしくはN-アセチルシステイン等のこれらの誘導体が適当である。
【0017】
本発明のVEGF誘導体は、免疫治療に使用できる抗体を誘導するため、免疫学的キャリアーへの結合促進を示し、これらの誘導体は、この点に関して天然ペプチドよりも優れている。
【0018】
前記キャリアー結合成分は、VEGFペプチド成分のN末端またはC末端におけるペプチド伸長の形態、または2以上のVEGFペプチド成分間の鎖部分から吊下がるペプチドもしくは前記鎖部分内に配置されたペプチドの形態をとる。
【0019】
このようにVEGF誘導体は、下記式Iであることが好ましい。
((A)-Xn)m-Lp-Y-[Lq(Xr-(A))s]t (I)
【0020】
前記式において、
Aは、VEGFペプチド成分であり、
Xは、アミノ酸であり、
Yは、遊離-SH、-OHまたは-COOH基を持つ側鎖を有するアミノ酸であり、
Lは、1以上の部位において(A)-Xn)-基に結合可能な有機物リンカーであり、例えば、10 (A)Xn 成分まであり、
nおよびrは、それぞれ0-20であり、
mおよびsは、それぞれ1であり、例えば、1〜10、好ましくは1、2、3または4であり、p、qおよびtは、それぞれ0または1であり、mが2の条件の場合、pは1、sが2の場合qは1である。
【0021】
Aは、配列番号1の部分に相当する12-25merのVEGFペプチド成分である。Xは、VEGFペプチド成分のN末端またはC末端に結合し、好ましくはN末端である。
【0022】
グループLは、有機リンカー構造であり、好ましくは、天然または合成アミノ酸もしくは擬似アミノ酸を含む、直鎖または分枝鎖もしくは単一アミノ酸残基のペプチド鎖である。しかしながら、カルボキシ-もしくはアミン-末端樹枝状またはカスケードポリマーであってもよく、例えば、分枝ポリアミンである。
【0023】
tが0の場合、式(I)の化合物は、単純なN末端またはC末端伸長として、キャリアー結合成分(例えば、X-YまたはX-L-Y)がVEGFペプチド成分のN末端またはC末端に結合している誘導体を含む。または、複数のVEGFペプチド成分は、例えば、樹枝状配列として、グループYにおけるキャリアー結合成分末端に結合し、または、前記VEGFペプチド成分は、キャリアー結合成分の複数の部位で結合する。
【0024】
tが1の場合、前記誘導体は2量体型構造の形態をとってもよく、前記キャリアー結合成分の前記キャリアー結合基Yは、誘導体の鎖部分内に位置し、例えば、2以上のVEGFペプチド成分間が効果的である。
【0025】
また、tが1であり、Lがアミノ酸残基またはペプチド鎖の場合、Lは、鎖が転化した(chain inverting)アミノ酸もしくは擬似アミノ酸(例えば、ジアミンもしくはジカルボン酸のように、2つのペプチド成分と結合可能な化合物)であり又はこれを含み、これは、ペプチド鎖のN末端からC末端方向が転化(inverting)もしくは逆方向(reversing)となることが可能な化合物である。このような化合物は、一般的に、例えば、グルタミン酸、アルキレンジアミン、アルキレンジカルボン酸のような、2つのアミノ基もしくは2つのカルボキル基を含む。tが1の場合、さらに((A)-Xn)-基の全数は、8を超えることが好ましい。
【0026】
式(I)の好ましい化合物は、nおよびrがそれぞれ0〜10であり、好ましくは1〜6であり、mおよびsは、それぞれ8であり、このましくは1,2,4である。
【0027】
X基は、好ましくは、側鎖を有さないアミノ酸、または、ヒドロカルビル側鎖(好ましくは、アルキル、C3-7 シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-7 シクロルキル-もしくはシクロアルケニル-アルキル、アルカリル、アラルキルキルまたはアルカリルアルキル成分であり、それぞれのアルキル成分が、飽和もしくは不飽和であり、6個までの炭素を含み、それぞれのアリル成分が好ましくはフェニル環である)を有するアミノ酸で表され、特に好ましくは脂肪族側鎖を有するアミノ酸で表される。グリシン、アラニン、-アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンが好ましく、グリシンが特に好ましい。
【0028】
Y基は、好ましくはシステイン、チロシン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸またはN-アセチルシステインのようなそれらの誘導体である。
【0029】
L基は、特にtが0の場合、例えば、リジン、アルギニン、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような、少なくとも2つのアミンまたはカルボキシル基を含むアミノ酸もしくは擬似アミノ酸を少なくとも1残基含むことが好ましい。このような好ましいL基は、例えば、2〜15のアミノ酸残基を含む、直鎖もしくは分枝鎖ペプチドである。もちろん分枝は、例えば、リジンもしくはアルギニンの側鎖アミン基、または、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸の側鎖カルボキシル基のような、アミノ酸残基側鎖のアミンまたはカルボキル基におけるペプチド結合形成により生じる。1以上、例えば、1〜3のリジン残基を含むL基が、特に好ましい。分枝は、リジンの-アミノ基および-アミノ基の両方における、ペプチド結合形成によって生じてもよい。
【0030】
式(I)の好ましい化合物は、式(II)〜(IV)の化合物を含む。下記式において、A,X,L,nおよびrは、前述の通りであり、mは2である。
【0031】
(A)-Xn-Y (II)
(A)-Xn-L-Y (III)
((A)-Xn)m-L-Y (IV)
(A)-Xn-L-Y-L-Xr-(A) (V)
【0032】
式(IV)の化合物が1以上の(A)基を含む場合、例えば、全てがN末端または全てがC末端に結合するというように、同一の末端に結合していることが好ましい。式(II)および(III)の化合物において、XがVEGFペプチドであるA基に、C末端で結合している場合、Yは、システインであることが好ましい。XがAのN末端に結合している場合、Yは、好ましくはN-アセチルシステインである。式(II)〜(V)において、XnまたはXrは、それぞれ1〜6のグリシン残基の鎖であることが好ましい。式(IV)の化合物において、mは好ましくは2または4である。式(III)〜(IV)において、Lは、リジン、-リジン-(X)u、-lys-lys-(X)uまたは-lys-lys-(X)u-lysであることが好ましい。Uは、0〜10であり、好ましくは0〜6であり、xは、前述のようなアミノ酸である。このように、式(IV)の化合物は、式(VI)および(VII)の化合物が好ましい。
【0033】
【化1】

【0034】
A,X,Y,nおよびuは、前述の通りであり、Kはリジンである。
【0035】
式(V)の2量体型誘導体において、VEGFペプチド成分は、VEGFペプチドの逆向き(reversed)配列変形もしくは、転化(inverted)配列変形であってもよく、例えば、VEGFペプチド成分は、構成アミノ酸の順序が保存されている、
本発明における代表的なVEGF誘導体は、以下のものを含む。
【0036】
【化2】

【0037】
A-(Gly)1-2-成分は、-アミノもしくは-アミノ基のいずれかと結合してもよい。
【0038】
【化3】

【0039】
Aは、VEGFであり、A'は、逆方向(reversed)もしくは転化(inverted)VEGF配列である。
【0040】
グリシンが好ましいが、脂肪族側鎖アミノ酸は、前記式において1以上のグリシン残基の代わりに使用できる。
【0041】
コンピューター使用エネルギー最小化モデリングにより試験した本発明のペプチド誘導体は、一般に、小さいため、単独で最適な免疫とならないと考えられるが、前記キャリアー結合成分を通じてキャリアーに結合した場合、これらのペプチド誘導体は、強力且つ潜在的な保護免疫応答を引き出すことが分かった。これらのコンジュゲートは、腫瘍脈管形成に対する免疫療法における使用に極めて適している。理論に縛られた願望ではなく、キャリアー結合成分を用いてペプチドをキャリアーと結合することによって、天然VEGF配列と同じようなコンホメーションを有する誘導体が結果として得られると考えられる。
【0042】
本発明の新規誘導体は、例えば、多くの通常の方法を使用することによって得られる。例えば、ペプチドに関する方法としては、アミノ酸を段階的に固相マトリックスに結合させた成長ペプチドに添加するMerrifield 固相法(Merrifield, R.B 1962; Fed. Proc. Amer. Soc. Biol. 21: 412 and Merrifield, R.B. 1963; Jour. Amer. Chem. Soc. 85: 2149)や、慣用のFMOC化学等である。所望に応じて、成長鎖におけるアミノ酸の反応側鎖基は、鎖合成の間プロテクトしてもよい。側鎖構造は、同様の方法によって調製できる。
【0043】
前記新規誘導体が直鎖ペプチドの場合、これらは、前述のように、例えば、Sambrookらの方法(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, 1989.)のように、技術分野における公知の方法を用いた組換えDNA発現により調製できる。
【0044】
このように、本発明は、本発明のVEGFペプチド誘導体をコードする核酸分子、および、それらと相補的な配列である核酸分子を提供する。
【0045】
さらに、本発明において、我々は、本発明の核酸分子からなる発現ベクターを提供する。このようなベクターは、大腸菌や酵母等の原核細胞または真核細胞のような微生物、植物、哺乳類細胞のような動物における発現に適している。
【0046】
本発明の誘導体と前記キャリアーの結合は、例えば、ヘテロ二機能性結合剤での処理等、技術において公知の方法によって行うことができる。結合が、末端システイン(またはN-アセチルシステイン)を通じている場合、前記結合剤は、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンアミドエステルが使用できる。この場合、マレイミドは、ペプチドキャリアーにおける1以上のリジン側鎖を修飾し、チオエステル結合を、末端システイン残基で形成する。他の結合剤として、例えば、カルボジイミド結合剤のような公知のものも使用できる。
【0047】
このような目的のため、技術分野における公知のキャリアーが使用できる。例えば、精製ツベルクリンタンパク質、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、スカシ貝ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin)、グルタチオンSトランスフェラーゼまたはそれらの誘導体があげられる。
【0048】
VEGF誘導体が直鎖ペプチドであり、前記キャリアーがタンパク質またはポリペプチドの場合、ペプチドコンジュゲート全体は、例えば、コンジュゲート分子をコードする核酸分子を適当な宿主細胞で発現させる、組換えDNA法によって調製できる。
【0049】
本発明の新規VEGFコンジュゲートは、脈管形成活性および/もしくはVEGFの標準レベルまたはレベルの上昇に関連する疾患を治癒するための免疫療法に使用でき、これは、現在利用されている方法と比較して有利な方法であることを表している。患者の適応性は、現在の療法が関与する場合よりも、少しの投与回数である場合が増え、望ましくない副作用も避けられる。
【0050】
このように、さらに本発明は、本発明のVEGFコンジュゲートを、1以上の薬学的に許容できるキャリアーまたは賦形剤と共に含む製薬組成物を提供する。
【0051】
さらに、本発明は、治療または予防のための本発明のVEGFコンジュゲートを提供する。
【0052】
さらに本発明は、ヒトまたは非ヒト(例えば、哺乳類)患者に効果的な量の本発明のVEGFコンジュゲートを投与する工程を含む、前記患者の腫瘍を攻撃する方法を提供する。
【0053】
このように前記方法は、定着した腫瘍の血管新生の制御に使用でき、転移によるガンの広がりを防止できる。
【0054】
一実施形態において、本発明の方法は、例えば、患者において検出されていないような、転移に対する免疫法である。この形態において、腫瘍が検出された場合に、コンジュゲートを投与でき、例えば、悪性が検出される前や、検出された腫瘍の治療(例えば、化学療法、外科治療または放射線治療)が開始または完了する前等である。
【0055】
前記VEGFコンジュゲートは、非経口(例えば、腹腔内、皮下、筋肉内、例えば、吸収される誘導体が、患者の皮膚に十分に浸透できる速度に促進されるように、金のペレットまたはビーズのような不活性粒子の形態で、真皮内に、または静脈内)、局所的(例えば、皮膚へのクリームとして)、関節内、粘膜(例えば、経口、鼻、膣、直腸、眼内経路を通じて)、または肺内輸送(例えば、吸入器やネブライザーのような、前記薬剤を直接に肺や気管支システムに輸送するようデザインされたデバイスによって)を含む従来法により投与できる。そして、例えば、文献(Remingtons Pharmaceutical Sciences, ed. Gennaro, Mack Publishing Company, Pennsylvania, USA (1990).)に記載されているような、任意に1以上の薬学的に許容されるキャリアーまたは賦形剤と共に、従来の薬学方法に従って調製できる。
【0056】
このような組成物は、例えば、粘膜、非経口または経口投与用の投与形態に調製される。
【0057】
実際の治療形態もしくは予防形態、製剤および投薬は、個々の患者の程度に依存し、個々の状況に基づいて、医師により考案される。
【0058】
製剤の形態は、投与ルートに適当なものがあげられる。例えば、皮下または筋肉内注射による非経口投与は、任意で、1以上の免疫アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム、サポニン、quil A、ムラミールジペプチド、ミネラルまたは植物油、小胞ベースのアジュバント、非イオンブロックコポリマー、DEAEデキストラン)を添加した、注射用のPBS、生理食塩水もしくは水による、コンジュゲート類縁体の滅菌懸濁液があげられる。防腐剤のような添加剤も使用できる。
【0059】
注射の投与量は、1-100μgペプチド当量の範囲があげられ、投与頻度は、3ヶ月もしくは6ヶ月ごとに1回以上から、1年ごともしくは5年ごとに1回以上である。
【0060】
経口投与のついては、コンジュゲート誘導体は、タブレット、液体、カプセル等の形態をとることができる。投与量は、製品の生物学的利用能に依存してインターバルで行われ、1-1000μgペプチド当量の範囲である。
【0061】
さらに本発明は、化学もしくは放射線治療と匹敵またはそれ以上に、ヒトまたは非ヒト患者におけるVEGFの最大遮断を達成する方法を提供し、前記方法は、前記患者に効果的な量の本発明のVEGFコンジュゲートを投与する工程を含む。
【0062】
本発明のVEGFコンジュゲートは、さらに、避妊として、または子宮内膜症治療において、女性もしくは、非ヒト哺乳類投与できる。このような方法の使用は、本発明の形態である。
【0063】
本発明について、以下の制限されない実施例において、実験データと共に、さらに詳細に記載する。
【0064】
表2は、各血清サンプル(日)ごとの抗体価+/-sem(OD 0.1増加に相当する希釈)を示す
マウスモデルコントロールグループ
Group A = Alhydrogel/Saline 偽薬を接種
Group B = VEGF 6 ワクチンを接種
Group C = VEGF 7 ワクチンを接種
Group D = VEGF 8 ワクチンを接種
Group E = VEGF 9 ワクチンを接種
表3は、メラノーマ細胞の投与に次ぐ、マウスモデル肺重量についての各VEGFワクチンの効果を示す。
【0065】
表4は、マウスモデルの肺におけるメラノーマコロニーの発達についての各VEGFワクチンの効果を示す。
【0066】
表2、3および4は、以下の誘導体から調製された免疫原を用いて作成した。
【0067】
N-Acetyl-VEGF 6-Gly-Cys
N-Acetyl-Cys-Gly-VEGF 7
N-Acetyl-VEGF 8-Gly-Cys
N-Acetyl-Cys-Gly-VEGF 9
【0068】
VEGF 6, 7, 8 および9 は、それぞれ配列番号2〜5の配列を有する。
配列番号2
TMQIMRIKPHQGQHIGEMS
配列番号3
TMQIMRIKPHQGQ
配列番号4
TMQIMRIKPHQGQ
配列番号5
MRIKPHQGQHIGEMS
【実施例1】
【0069】
ペプチド生成
ペプチドは、固相ペプチド合成のFmoc方法によって、Symphony Peptide Synthesiser(Protein Technologies)を用いて合成した。樹脂は、「Tentagel S-NH2 with a Rink Amide linker」を使用した。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Cys、His、AsnおよびGlnにはTrtを、Tyr、Thr、Asp、GluおよびSerにはtBuを、LysおよびTrpのindole NにはBocを、ArgにはPmcを使用した。カルボキシル基の活性化は、TBTU/HOBt/DIPEAを使用することにより行い、全ての結合はDMF中で行った。Fmoc基の脱保護は、20%ピペリジン含有DMFを用いて行った。樹脂からのペプチドの切断は、5%アニソール/5%チオアニソール/5%EDT/3%水/2%TES含有TFAを用いて1時間処理することにより行った。ペプチドは、40mm×210mm Deltapak C18 radial compression column(Waters Deltaprep 4000)を用いたRP-HPLCにより精製し、MALDI-TOF(Kratos Maldi 3)およびAAAにより特性を決定した。
【0070】
デンドリマーについては、Fmoc Lys(Fmoc)-OHを上述の方法によって結合させ、ペプチド伸長のために両方のアミノ基を与える。使用したFmocアミノ酸の量は、それに応じて増加させなければならない。
Rink Amide Linker = p-[(R,S--[1-(9H-フルオレンン-9-イル)-メトキシホルムアミド]-2,4-ジメトキシベンジル]-フェノキシ酢酸
Fmoc =9-フルオレニルメトキシカルボニル
Trt = トリチル, トリフェニルメチル
tBu = tertiary ブチル
Boc = tertiary ブチルオキシカルボニル
Pmc = 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル
TBTU = 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート
HOBt = N-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIPEA = ジイソプロピルエチルアミン
DMF = N,N ジメチルホルムアミド
EDT = エタンジチオール
TES = トリエチルシラン
TFA = トリフルオロ酢酸
RP-HPLC = 逆相高速液体クロマトグラフィー
MALDI-TOF = マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型法
AAA = アミノ酸分析器
Fmoc-Lys(Fmoc)-OH = ジ-9-フルオレニルメトキシカルボニルリジン
【0071】
以下のペプチドをこの方法によって合成した。
(1) N-Acetyl-VEGF 6-Gly-Cys Ac-TMQIMRIKPHQGQHIGEMSGC-NH2
(2) N-Acetyl-Cys-Gly-VEGF 7 Ac-CGTMQIMRIKPHQGQ-NH2
(3) N-Acetyl-VEGF 8-Gly-Cys Ac-TMQIMRIKPHQGQGC-NH2
(4) N-Acetyl-Cys-Gly-VEGF 9 Ac-CGMRIKPHQGQHIGEMS-NH2
【実施例2】
【0072】
コンジュゲーション工程
スカシ貝ヘモシアニン(KLH)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に、150molarの過剰なS-MBS(m-マレイミドベンゾイル -N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)を添加して、密封バイアル中、0.5時間、20-25℃で攪拌した。
【0073】
過剰のS-MBS架橋剤は、PBSを用いたクロマトグラフィー(G-25 Sephadex course matrixを用いたゲルろ過)により除去した。活性化されたKLHピークを回収し、遊離マレイミドを分析し、以下のように使用した。
【0074】
得られたKLHキャリアータンパク質溶液に、2molarの過剰なVEGF誘導体ペプチドを添加した。その溶液を、密封容器中で2-8℃、2時間まで攪拌した。
【0075】
コンジュゲートは、上述のゲルろ過クロマトグラフィーによって遊離ペプチドから精製した。
【0076】
最終的なコンジュゲートは、所望の操作濃度や処方に希釈した。
【0077】
この工程に続いて、実施例1のVEGF誘導体(1)〜(4)を、それぞれ、分別した活性化KLHとコンジュゲートさせた。
【実施例3】
【0078】
免疫実験
実施例2で述べたように分別したKLHにコンジュゲートさせた実施例1における4つのVEGF誘導体は、標準生理食塩水(0.9% (w/v))溶媒における0.4(w/v)水酸化アルミニウムゲル(Alhydrogel, Superfos s/a, Denmark)への吸着によって処方した。全てのコンジュゲートは、25g/mlペプチド当量溶液として使用した。C57BL/6 マウスが、1群あたり23匹のマウスである5つの処理群に使用された。前記処理群には、以下のものが与えられた。
Group A: Alhydrogel/Saline 偽薬ワクチン 0.2 ml/マウス.
Group B: N-Acetyl-VEGF 6-Gly-Cys 5g ペプチド当量/マウスあたりの免疫療法誘導体 0.2mlワクチン
Group C: N-Acetyl-Cys-Gly-VEGF 7 5g ペプチド当量/マウスあたりの免疫療法誘導体 0.2mlワクチン
Group D: N-Acetyl-VEGF 8-Gly-Cys 5g ペプチド当量/マウスあたりの免疫療法誘導体 0.2mlワクチン
Group E: N-Acetyl-Cys-Gly-VEGF 9 5g ペプチド当量/マウスあたりの免疫療法誘導体 0.2mlワクチン
皮下投与を採用し、実験過程の間、それぞれのマウスに特定の試験物を3回にわけて投与した。それぞれのマウスの体重は、各投与日と実験最後に測定した。
【0079】
実験工程
-50日、続いて-28日、-7日に、マウスに対して、賦形剤または試験物を一回皮下投与した。血清は、実験の-1日および+14日に分析のために調製した。
【0080】
それぞれの血液サンプルは、心臓穿刺により血清チューブ内に回収し、凝固させた。それから、血清を回収するためにサンプルを45分以内で遠心分離した。血清サンプルは、すぐに約-20℃で凍結させた。
【0081】
(表1) 実験工程のタイムスケジュール
日 処理 血清サンプル
-50 試験物、賦形剤
-28 試験物、賦形剤
-7 試験物、賦形剤
-1 非投与 +
14 非投与 +
【0082】
各血清サンプルは、ELISA法により、血清中に存在する抗VEGFペプチド抗体の抗体価測定による抗体応答という、通常の処理によって分析した。
【0083】
この分析は以下に示すようにして行った。
【0084】
96 well Nunc Maxisorp microtitre plateを、PBSで希釈した検出基質(N-アセチル-VEGF 6-Gly-Cys-BSA)100μlで、1時間、20-25℃でコートした(10μgペプチド当量/ウェル)。同時に、基質ブランクとして、別のウェルに100μlのPBSを添加した。
【0085】
200μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/0.1% Tween20で、前記プレートを3回洗浄した。
【0086】
前記血清サンプルをPBS/0.1% Tween 20により適当な希釈率に希釈した。希釈率は以下のとおりである。
【0087】
i) 1/100 5μl マウス血清 + 495μl PBS/0.1% Tween 20
ii) 1/1000 20μl (i) + 180μl PBS/0.1% Tween 20
iii) 1/2000 10μl (i) + 190μl PBS/0.1% Tween 20
iv) 1/5000 4μl (i) + 196μl PBS/0.1% Tween 20
【0088】
適当な希釈血清(100μl)を適当なウェルに添加し、1時間、20-25℃で、基質:抗体結合が起こるようにインキュベートした。
【0089】
前記プレートを、200μlのPBS/0.1% Tween 20で洗浄した。
【0090】
ウサギ抗マウスIgGペルオキシダーゼコンジュゲート1:5000を、PBS/0.1% Tween 20で希釈した(例えば、1μg IgGペルオキシダーゼ+5ml PBS/0.1% Tween 20)。
【0091】
希釈IgGペルオキシダーゼ100μlを適当なウェルに添加し、45分、20-25℃で放置した。
【0092】
前記プレートを200μlのPBSで3回洗浄した。
【0093】
前記ペルオキシダーゼ基質3,31 ,5,51,-テトラメチルベンジジン (TMB)250μlを、4μlの30%過酸化水素を含む25mlの0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)に当分した。
【0094】
調製したTMB基質100μlを適当なウェル(ブランク用ウェルを含む)に添加した。抗体/基質結合が生じることにより、発色反応が起こった。15分、20-25℃で放置し、それから、50μlの10%硫酸を各ウェルに添加することによって反応を停止させた。
【0095】
プレートは、ペルオキシダーゼ酵素とTMB基質との反応により生じた405nmの光の吸光度を測定した。これが初期(抗VEGF)抗体結合量の相対量である。吸光度測定は、抗体価を決定するために統計パッケージ(SAS Institute 1997)により分析した。
【0096】
(表2)各血清サンプルの抗体価(+/-sem)
平均抗体価(ELISA)
処理グループ -1日 14日
A 0 0
B 17567 ± 2082 17567 ± 2082
C 7952 ± 3542 17355 ± 1998
D 11315 ± 3897 18144 ± 2163
D 15781 ± 4331 32625 ± 2144
-1日のデータ:n=3 14日のデータ:n=20
【0097】
抗体価データと並行して、毒性または有害効果の一般的な評価として、全動物について、体重、強制呼吸および一般的な外観の大まかな生理学的変化を測定した。
【0098】
各処理グループについて不利な効果は確認されず、VEGF処理は、動物において有害な生理的影響が無く、抗VEGF抗体の発生に効果的であった。
【実施例4】
【0099】
マウスの抗転移についての実験
VEGF免疫療法ワクチンの抗転移能を評価するため、実施例3で述べたワクチン接種したマウスを処理した。ワクチンもしくは偽薬のいずれも投与していないグループを追加し、抗転移コントロールグループとして並行して処理した。
【0100】
実験工程
各マウスに、実験0日目、0.1mlのB16/F10メラノーマ細胞懸濁液を静脈注射した。実験14日目に各マウスから肺を摘出した。肺の重量を量った後、B16/F10細胞の投与によるメラノーマコロニーを視覚化するため、Bouin`s solutionで固定化した。続いて、マウスから調製した肺の表面に存在するコロニーの数をカウントした。
【0101】
(表3)B16/F10メラノーマ細胞の投与に次ぐ、マウス肺重量についてのVEGFワクチン処理の効果
処理グループ 肺重量(mg) 変化%※
マウスコントロール 217.1 ± 4.56 - 4.5
A 227.2 ± 9.47 0
B 237.7 ± 7.46 + 4.6
C 250.3 ± 6.76 + 10.2
D 232.3 ± 6.21 + 2.2
E 250.6 ± 9.03 + 10.3
データは、平均±sem(n=19-20)として表す
※処理グループAとの比較
【0102】
(表4)B16/F10メラノーマ細胞の投与に次ぐ、マウスモデル肺コロニーについてのVEGFワクチン処理の効果
処理グループ コロニー数 変化%
A 81.2 ± 3.79 -
B 59.45 ± 6.28 26.8
C 74.3 ± 6.42 8.5
D 58.69 ± 5.36 * 27.5
E 53.2 ± 8.46 ** 34.5
データは、平均±sem(n=19-20)として表す
*P<0.05 **P<0.01 Kruskal-WallisおよびDunn`s testを用いた処理グループAとの比較
【0103】
表2は、報告された抗体価の結果により、それぞれの抗VEGF6、VEGF7およびVEGF9 IgG分子の発生を明確に表している。これは、調べているワクチンがターゲットペプチドに対する活性免疫を引き起こすことを示しており、抗VEGFペプチド抗体価0であった偽薬で免疫されたコントロール処理グループAとの比較により確認された。
【0104】
表3は、肺重量が、VEGFコンジュゲートで免疫された全てのグループにおいて増加したことを表している。マウスモデルコンロトールグループとの比較により、ワクチン処理されたグループB、CおよびDは、肺重量が15%まで増加した。同時に、免疫された偽薬コントロールグループは、ワクチンまたは偽薬を投与していないマウスモデルコントロールと比較して、肺重量がわずかな増加を示した。
【0105】
表4は、VEGFコンジュゲートで免疫されたグループにおける肺メラノーマコロニー数が、ワクチン偽薬のみで処理された偽薬グループ(グループA)と比較して3分の1にまで減少したことを示している。コロニー数が最も減少し、優れた代謝制御を示したのは、VEGF8およびVEGF9を含むワクチンで処理されたグループであった。
【0106】
全VEGF処理グループは、実験14日目において、優れた抗VEGFペプチドIgG抗体価を示した。それでもなお、VEGF8およびVEGF9での免疫に続いて発生したIgGは、確実に、腫瘍拡張を十分にコントロールする固有の能力を示した。これは、IgG分子が、腫瘍代謝を制御する最も強力な能力を潜在的に有しているペプチドVEGF8およびVEGF9に引き起こされることを強調している。これらのデータは、これらの実験に使用されるマウスモデルにおいて、天然VEGFと共に、ペプチドVEGF8およびVEGF9に引き起こされるIgG分子の特異な相互作用を表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアーに結合した少なくとも1つの血管内皮増殖因子(VEGF)ペプチド成分(moiety)を含む免疫原コンジュゲート。
【請求項2】
治療または予防に使用するための、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
腫瘍および腫瘍転移を攻撃するための、請求項1または2のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記VEGFペプチド成分が、天然VEGF配列の全体または断片に対して少なくとも80%のホモロジーを有するアミノ酸配列を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
天然VEGF配列の前記断片が、8〜100アミノ酸の断片である、請求項4記載のコンジュゲート。
【請求項6】
天然VEGF配列の前記断片が、12〜25アミノ酸の断片である、請求項4記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記ホモロジーが、グリコシレーション部位と重複、接合または隣接する天然VEGF配列断片とのホモロジーである、請求項4記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記断片が、N末端方向における前記グリコシレーション部位からはじめの16アミノ酸残基のうち少なくとも12アミノ酸残基を含む、請求項7記載のコンジュゲート。
【請求項9】
前記VEGFペプチド成分が、少なくとも配列番号1(TEESNITMQI MRIKPHQGQH IGEMSFLQHN)の配列を含むオリゴペプチドを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記VEGFペプチド成分が、下記式のオリゴペプチドを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
(T)a(M)b(Q)c(I)dMRIKPHQGQ(H)e(I)f(G)g(E)h(M)i(S)j(F)k(L)l(Q)m
前記式において、a〜mは、それぞれ0または1であり、
作製した配列が配列番号1の配列に一致しなければ、a〜cおよびf〜mは1ではなく、e〜gは、1である。
【請求項11】
e〜jが1である、請求項10記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記VEGFペプチド成分が、そのN末端を介して前記キャリアーと結合している、前述の請求項のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記キャリアーが、精製ツベルクリンタンパク、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、スカシ貝ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin)、グルタチオンSトランスフェラーゼおよびそれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つである、前述の請求項のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
腫瘍の攻撃に使用する薬剤の製造のため、キャリアーに結合した少なくとも1つの血管内皮増殖因子ペプチド成分を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の免疫原コンジュゲートの使用。
【請求項15】
ペプチドキャリアー結合成分に結合した少なくとも1つのVEGFペプチド成分含む、血管内皮増殖因子誘導体。
【請求項16】
血管内皮増殖因子誘導体をコードする核酸分子であって、請求項15記載のペプチドキャリアー結合成分に結合した少なくとも1つのVEGFペプチド成分、および、それらと相補的な配列の核酸分子を含む、前記核酸分子。
【請求項17】
請求項16記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項18】
1以上の薬学的に許容できるキャリアーまたは賦形剤と共に、請求項1〜13のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、製薬組成物。
【請求項19】
ヒトまたは非ヒト患者における腫瘍を攻撃する方法であって、前記患者に効果的な量の請求項1〜13のいずれか一項に記載のコンジュゲートを投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
化学療法または放射線治療により達成される遮断に匹敵するまたはそれ以上の、ヒトまたは非ヒト患者におけるVEGFの最大遮断を達成するための方法であって、前記患者に効果的な量の請求項1〜13のいずれか一項に記載のVEGFコンジュゲートを投与する工程を含む、前記方法。

【公表番号】特表2006−512049(P2006−512049A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−513318(P2004−513318)
【出願日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【国際出願番号】PCT/GB2003/002596
【国際公開番号】WO2003/106487
【国際公開日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(504462858)プロサリクス ピーエルシー (1)
【Fターム(参考)】