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免疫原性応答を誘発する改変された癌細胞を作製するために癌細胞を処理する方法
説明

免疫原性応答を誘発する改変された癌細胞を作製するために癌細胞を処理する方法

【課題】免疫原性を有する改変された癌細胞粒子を含むワクチン組成物の作製方法を提供する。
【解決手段】癌細胞から脂質を抽出するのに有用な溶媒系を用いて癌細胞を脱脂し、癌細胞抗原を露出させた改変された癌細胞粒子を調製する。これと薬学的に許容可能なキャリアとを組み合わせてワクチン組成物を作製する。改変された癌細胞粒子は動物又はヒトに投与された場合、ポジティブな免疫原性応答を開始させ、癌を治療し、予防し、又は癌の進行を遅延させるのを助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞から脂質を抽出するのに有用な溶媒系を用いる脱脂方法を提供し、それによって、改変された癌細胞粒子を作製する。癌細胞の脱脂に際して、癌細胞抗原のいくつかは無傷のままである。これらの露出された抗原(すなわちエピトープ)は、抗体産生を促進及び増進する。結果として生じる脂質含有量が減少した改変された癌細胞又は癌細胞の一部分は、動物又はヒトに投与された場合、ポジティブな免疫原性応答を開始させ、癌の発症若しくは進行を治療、予防、又は遅延するのを助ける。本発明は、薬学的に許容可能なキャリアと共に改変された癌細胞を含む自己ワクチン組成物及び異種ワクチン組成物を提供する。本発明は、癌の発症若しくは進行を治療、予防、又は遅延するためにこれらのワクチン剤を投与する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
序論
癌は、様々な病因の中でも、毎年何十億もの動物及びヒトに影響し、社会に莫大な経済的負担を与える。癌は、異常な塊、組織塊、又は過剰な細胞分裂から生じた、良性若しくは悪性である癌性の細胞として定義することができる。癌は、医薬分野における当業者の医師、特に腫瘍学に通じた医師に既知である、それらの癌をすべて含む。癌は外胚葉細胞、中胚葉細胞及び内胚葉細胞から生じるものを含むが、これらに限定されず、そして免疫系、内分泌系、中枢神経系、呼吸系、生殖器系、胃腸系及び外皮の癌を含む。そのような癌は、AIDS関連癌、副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、腸癌、脳及び中枢神経系の癌、乳癌、カルチノイド癌、子宮頸癌、軟骨肉腫、絨毛腫、結腸直腸癌、内分泌癌、子宮内膜癌、ユーイング肉腫、眼癌、胃癌、消化管癌、泌尿生殖器癌、神経膠腫、婦人科癌、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、下咽頭癌、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、基底細胞癌、中皮腫、骨髄腫、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、食道癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、下垂体癌、腎細胞癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌、絨毛性癌、子宮癌、膣癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルム癌、他の腫瘍及び癌の形態によって生じたものを含む。
【0003】
正常細胞と同様に、癌細胞はそれらを囲む細胞膜の主成分として脂質を含んでいる。なぜ癌細胞が形成されるかは完全には知られていないが、一般には、癌は細胞分裂の異常制御によって引き起こされると考えられる。これは、免疫系の異常、遺伝的な異常、放射線にによって引き起こされた変異、特定のウイルス、日光、及びタバコ、ベンゼン、及び他の化学物質のような癌を引き起こす薬剤によって引き起こされるかもしれない。患者が癌を罹患する場合、熱、悪寒、寝汗、体重減少、食欲不振、疲労、倦怠感、息切れ、胸痛、下痢、血便、血尿、他の不快感を含む多くの症状を被る。
【0004】
癌細胞は制御不能な様式で増殖するが、この細胞は必ずしも身体に対して「外来のもの」として見えず、したがって標的とするのが困難であるので、患者の身体から癌を除去することは困難なことである。既存の癌治療は、癌細胞への標的化が不十分な傾向があり、したがって患者の健常な組織に対して非常に有害である。そのような治療は、X線、化学療法、陽子線療法、手術又はそれらの組み合わせを含む。これらの癌細胞に対してポジティブな免疫応答を引き起こすような、身体の免疫系の刺激が可能となることが好ましい。
【0005】
ヒト免疫系は、異なる外来の因子から共同で身体を防御する様々な細胞型から成る。免疫系は、主として抗原認識及び抗原除去に関与する、体液性免疫応答及び細胞性免疫応答
を含む、外的要素の標的化及び除去のための複数の手段を提供する。外的要素に対する免疫応答は、通常はマクロファージ又は樹状突起細胞(dendrite cells)である、抗原提示細胞(APC)と組み合わせて、Bリンパ球(B細胞)又はTリンパ球(T細胞)の存在を必要とする。APCは抗原を捕捉する、特殊化した免疫細胞である。一旦APCに入ると、抗原は、抗原表面の固有のマーカーであるエピトープと呼ばれるより小さな断片に分解される。これらのエピトープは、APCの表面上に続いて提示され、外来の因子の防御における抗体応答を引き起こす役割がある。
【0006】
体液性免疫応答において、(固有のエピトープマーカーの形式で)身体に対して外来の抗原を提示するAPCが認識される場合、B細胞は活性化され、増殖して抗体を産生する。これらの抗体は、APC上に存在する抗原に対して特異的に結合する。抗体が結合した後、APCは抗原全体を包み込み、それを死滅させる。この種の抗体免疫応答は、主として様々な感染の予防に関与する。
【0007】
細胞性免疫応答において、外来の抗原を提示するAPCを認識すると、T細胞は活性化される。細胞性免疫応答には2つの工程がある。第1の工程は、増殖して、APCにより提示された抗原を特異的に示す標的細胞を死滅させる、細胞傷害性T細胞(CTL)又はCD8+キラーT細胞の活性化を含む。第2の工程は、抗体の産生及びCD8+細胞の活性を制御するヘルパーT細胞(HTL)又はCD4+T細胞を含む。CD4+T細胞は、CD8+T細胞に対してそれらが効率的に増殖し、機能することを可能にする増殖因子を提供する。
【0008】
今では、癌細胞が癌関連抗原を発現すると知られているが、癌細胞は、免疫系から癌抗原を隠す能力のために、及び/又は露出された抗原がヒト免疫系を正常に認識又は許容する正常で非変異の分化分子又は分化タンパク質であるために、免疫応答をしばしば回避する可能性がある。癌の治療に効果的な免疫療法の使用のために、患者は、癌部位に到達し、且つ癌細胞を破壊するエフェクター機構を有し得る十分な数の癌反応性リンパ球を有するか、又は提供される必要がある。
【0009】
現在まで、癌を標的化し浸透する能力、癌による抗原発現の消失に対処する能力、抗癌前駆物質を活性化させるために癌の不能化を行う能力、及び免疫抑制因子の局所的な存在に取り組む能力を含む、癌ワクチンによって生じた免疫応答は、癌の回避メカニズムを克服することができていない。いくつかの成功は、自己リンパ球をex vivoで癌細胞に対して感作し、次に患者中へ注入により戻されるという細胞移入療法で観察されている。
【0010】
癌ワクチン免疫療法のためのアジュバントの1つは、患者のポジティブな抗癌免疫応答を誘発する非常に強力な抗原提示細胞である樹状細胞(DC)を使用する。樹状細胞は、MHCクラスI及びMHCクラスII分子、ナイーブT細胞、CD4+ヘルパーT細胞、CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、ナチュラルキラー(NK)細胞及び胸腺由来NK(NKT)細胞の刺激のためのシグナルを提供する共刺激性分子及び接着分子を発現する。DCには、様々な型の分子を取り込む能力がある。したがって、DCは様々な形式で腫瘍関連抗原(TAA)を包含することが可能であり、ワクチンとして投与することができる。
【0011】
DCに基づいた1つのアプローチは、癌抗原発現の保持をDCの抗原提示能力及び免疫刺激性能力と組み合わせるために、DCと癌細胞との融合によって生成されたDC−癌細胞ハイブリッドを使用する。動物モデルにおいて、DC−癌細胞ハイブリッドによる免疫付与は、いくつかの形式の抗癌的な防御を提供するか、又は発症した疾患を根絶することができる。癌細胞株又は初代ヒト癌細胞(乳癌細胞を含む)で構成された自己DCのハイ
ブリッドは、自己癌細胞型に対してCTL応答をin vitroで誘導することが示されている。腎細胞癌及び神経膠腫の治療のための最近の第I相臨床試験は、DC−癌細胞ハイブリッドによるワクチン接種が患者の抗癌免疫応答を安全に誘導することができることを実証している。ポリエチレングリコール(PEG)を使用する従来の融合技術は、再現性の欠如及び方法の標準化の難しさによって妨げられる。代替案として、電気融合をDC−癌細胞ハイブリッドの産生に使用している(Akporiaye, et al著「乳癌治療のための樹状細胞−腫瘍細胞融合ワクチンの前臨床研究(Pre-Clinical Studies of Dendritic Cell-Tumor Cell Fusion Vaccines to Treat Breast Cancer)」を参照)。
【0012】
したがって必要なものは、癌のさらなる増殖を防止するために、癌細胞を破壊するのではなく、むしろ改変して、自己免疫応答又は異種免疫応答を誘発する効果的な脱脂プロセスである。
【0013】
必要なものは、防御免疫応答を開始させることが可能な改変された癌細胞を患者に提供するための治療方法及び治療系である。
【0014】
さらに必要なものは、患者のポジティブな免疫応答を誘発するために既存のDC−癌細胞療法技術で使用することができる腫瘍関連抗原を、同定及び明らかにする方法である。
【0015】
必要なものは、患者に防御免疫応答を開始することができる改変された癌細胞を投与することを含む、抗体産生を増進する方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、本明細書において記述されたワクチンの投与を介して、癌を治療し、癌を予防し、又は癌の発症を遅らせ、又は癌の進行を遅らせるための単純で効果的、且つ効率的な方法を提供することによって上記された問題を解決する。本発明の方法は、癌関連抗原の構造に対して有害な効果を有しない溶媒系を利用して、癌細胞の脂質構造を改変するのに効果的である。本発明は、脱脂を介して、少なくとも部分的に除去された脂質エンベロープを有する改変された癌細胞を作製するために、最適な溶媒/エネルギー系を利用し、それにより、単独で又はDC−癌細胞ハイブリッドの形態で、患者のポジティブな免疫応答を生み出すことができる癌関連抗原を露出又は改変し、患者に増殖する癌に対するある程度の防御を提供するか、若しくは癌の発生又は再発を予防するか、若しくは癌の発症を遅らせる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、癌細胞が改変形態で存在するような癌細胞を含む体液の処理によって、癌に対して自己由来の患者特異的なワクチンを産生するのにも効果的である。ワクチンを作製するために、癌サンプルを患者から取り出し(すなわち、生検を実行するか、又は癌細胞を含む血液若しくは他のサンプルを取り出す)、癌細胞を単離し、癌細胞抗原の構造的な全体性を保持する最適な溶媒系を使用して部分的に脱脂する。1つの実施の形態において、脂質含有量が減少した改変された癌細胞を作製するためにこの様式で処理された癌細胞は、動物又はヒトの免疫応答を開始し、脱脂された癌細胞の露出したエピトープと結合する抗体を作製するために、動物又はヒトのような受容者に薬学的に許容可能なキャリア及び任意でアジュバントと共に投与される。別の実施の形態において、改変された癌細胞を作製するためにこの様式で処理された癌細胞は、例えばDC−癌細胞ハイブリッドを作製するために使用され、次に、動物又はヒトの免疫応答を開始し、脱脂された癌細胞の露出したエピトープと結合する抗体を作製するために、動物又はヒトのような受容者に薬学的に許容可能なキャリア及び任意でアジュバントと共に投与される。
【0018】
したがって、部分的に脂質エンベロープを除去し、エンベロープの下に隠されたタンパク質抗原を露出又は改変することによって、脂肪含有癌細胞から新規のワクチンを開発することができる効果的な方法が提供され、様々な手段を介して患者に再度導入された場合に、今度はポジティブな免疫応答を生じる。
【0019】
本発明により治療され得る癌は、医薬分野における当業者の医師、特に腫瘍学に通じた医師に既知のそれらの癌をすべて含む。癌は外胚葉細胞、中胚葉細胞及び内胚葉細胞から生じるものを含むが、これらに限定されず、並びに免疫系、内分泌系、中枢神経系、呼吸系、生殖器系、胃腸系及び外皮の癌を含む。そのような癌は、AIDS関連癌、副腎皮質癌、基底細胞癌、肛門癌、膀胱癌、腸癌、脳及び中枢神経系の癌、乳癌、カルチノイド癌、子宮頸癌、軟骨肉腫、絨毛腫、結腸直腸癌、内分泌癌、子宮内膜癌、ユーイング肉腫、眼癌、胃癌、消化管癌、泌尿生殖器癌、神経膠腫、婦人科癌、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、下咽頭癌、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、食道癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、下垂体癌、腎細胞癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌、絨毛性癌、子宮癌、膣癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルム癌、他の腫瘍及び癌の形態から生じたものを含む。
【0020】
したがって本発明の目的は、薬学的に許容可能なキャリア中に、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞と任意で免疫賦活剤を含むワクチン組成物を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、薬学的に許容可能なキャリア中に、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞と、樹状細胞と、任意で免疫賦活剤を含むワクチン組成物を提供することである。
【0022】
さらに、本発明の別の目的は、動物又はヒトの免疫原性応答を誘導するのに有用な医薬の調製において、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの抗原を有する癌細胞を使用することである。医薬品はさらに免疫賦活剤又は樹状細胞を含んでもよい。
【0023】
さらに、本発明の別の目的は、免疫原性応答が動物又はヒトの癌を治療又は予防する、動物又はヒトの免疫原性応答を誘導するのに有用な医薬の調製において、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの抗原を有する癌細胞を使用することである。医薬はさらに免疫賦活剤又は樹状細胞を含んでもよい。
【0024】
したがって、本発明の目的は、そこに含まれる脂質含有量を減少させるように、癌細胞を改変するために癌細胞を処理する方法を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、動物又はヒトに、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞を投与するとによって、癌を治療する方法を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、動物又はヒトに、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞を投与するとによって、癌を予防するか、又は癌の発症を遅らせる方法を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、癌細胞抗原を提示するDC−癌細胞ハイブリッドを使用して癌を治療する方法であって、該癌細胞は脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む、方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、癌細胞抗原を提示するDC−癌細胞ハイブリッドを使用して、癌を予防するか、又は癌の発症を遅らせる方法を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、癌細胞上で抗原決定基を露出する方法を提供することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、完全に又は部分的に癌細胞を脱脂し、それによって脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む改変された癌細胞を作製することである。
【0031】
本発明のさらなる目的は、癌細胞の構造タンパク質又は抗原を保持しながら、癌細胞を部分的に、実質的に、又は完全に脱脂することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、癌細胞が部分的に脱脂された改変された癌細胞である、DC−癌細胞ハイブリッドを含むワクチンを使用する本発明の方法を使用して、癌を有するヒト及び動物を治療することである。その治療は、薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活化合物と共に、動物又はヒトに投与されてもよい。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞を含むワクチンを使用する本発明の方法を使用して、癌を有するヒト及び動物を治療することである。その治療は、薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活剤化合物と共に、動物又はヒトに投与されてもよい。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、癌細胞が脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む、DC−癌細胞ハイブリッドを含むワクチンを投与することによる本発明の方法により、癌を発症する危険性のあるヒト及び動物を治療することである。その治療は、薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活剤化合物と共に、動物又はヒトに投与されてもよい。
【0035】
本発明のさらに別の目的は、減少した脂質を有し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞を投与することによる本発明の方法により、癌を発症する危険性のあるヒト及び動物を治療することである。
【0036】
本発明のさらに別の目的は、動物又はヒトの免疫原性応答を開始するために、薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活剤化合物と共に、動物又はヒトに投与されてもよい、脂質含有量が減少した癌細胞由来の癌細胞関連抗原を含むワクチンを投与することによる本発明の方法を使用して、癌を有するヒト及び動物を治療することである。
【0037】
本発明のさらに別の目的は、動物又はヒトの免疫原性応答を開始するために、薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活剤化合物と共に、動物又はヒトに投与されてもよい、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞を含む癌細胞を含むワクチンを投与することによる本発明の方法を使用して、癌を発症する危険性のあるヒト及び動物を治療することである。
【0038】
本発明のさらなる別の目的は、動物又はヒトにおける抗体の産生をもたらす免疫原性応答を開始するために、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞を、薬学的に許容可能なキャリアと共に動物又はヒトに投与することを含む、抗体産生を増進する方法を提供することである。
【0039】
本発明はまた、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を含む癌細胞であって、患者に投与された場合、この癌細胞が免疫応答を誘発し、癌に対する防御を刺激する
、癌細胞を提供する。
【0040】
本発明はまた、部分的に脱脂された癌細胞を含む患者特異的な改変された癌細胞であって、その部分的に脱脂された癌細胞が、脱脂されていない癌細胞を脱脂プロセスに露出することによって産生され、脂質含有量が減少した癌細胞が、該脱脂されていない癌細胞において露出又は改変されなかった少なくとも1つの露出又は改変された患者特異的抗原を含む、癌細胞を提供する。
【0041】
本発明はまた、脂質含有癌細胞から脂質を抽出することができる第1の有機溶媒と流体中の脂質含有癌細胞が接触すること、脂質含有癌細胞から脂質を抽出するのに十分な時間、流体及び第1の有機溶媒を混合すること、有機相及び水相を分離させること、及び患者に投与された場合に改変された癌細胞がポジティブな免疫応答を誘発することができる、脂質含有量が減少した改変された癌細胞を含む水相を回収することを含む、ワクチンを作製する方法を提供する。
【0042】
本発明はまた、患者から脂質含有癌細胞を含む流体を得る工程と、脂質含有癌細胞を含む流体を、脂質含有癌細胞から脂質を抽出することができる第1の有機溶媒と接触させる工程と、流体及び第1の有機溶媒を混合する工程と、有機及び水相を分離させる工程と、脂質含有量が減少した改変された癌細胞粒子を含む水相を回収する工程と、脂質含有量が減少した改変された癌細胞が動物又はヒトにおいてポジティブな免疫応答を誘発する、脂質含有量が減少した改変された癌細胞を含む水相を動物又はヒトに導入する工程とを含む、複数の脂質含有癌細胞を有する患者においてポジティブな免疫応答を誘発する方法を提供する。
【0043】
明示された実施形態に対する様々な改変は当業者に容易に明らかであり、本明細書において示された開示は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、他の実施形態及び用途に対して適用可能であり得る。
【0044】
明細書に組み入れられ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
定義
用語「流体」とは、動物又はヒトのような生物から得られた体液(これに限定されない)を含む、癌細胞を含む任意の流体を意味する。本発明の方法により処理され得る流体は、血漿と、血清と、リンパ液と、脳脊髄液と、腹水と、胸膜水と、心嚢液と、精液、射精液、卵胞液及び羊水(これらに限定されない)を含む、生殖器系の様々な流体と、正常血清、ウシ胎仔血清又は任意の他の動物又はヒトに由来した血清のような細胞培養試薬と、抗体及びサイトカインの様々な調製物のような免疫学的試薬とを含むが、これらに限定されない。生物から得られたそのような体液は生物の中に含まれる他の流体を含むが、これらに限定されない。他の流体は、任意の選択された流体中に懸濁された癌細胞を含む実験用サンプルを含んでもよい。他の流体は細胞培養試薬を含んでおり、それらの多くは、様々な動物から得られ、細胞及び組織培養の用途において増殖培地として使用する「正常血清」(これらに限定されない)を含む、生物から得られた流体のような生体化合物を含む。
【0046】
用語「第1の抽出溶媒」とは、脂質含有細胞又は流体からの脂質の抽出を促進するために使用する、1つ又は複数の溶媒を含む溶媒を意味する。用語「第1の抽出溶媒」は、本明細書において「第1の有機溶媒」と同じ意味で使用される。この溶媒は流体に添加され、除去されるまで流体中に残存する。適切な第1の抽出溶媒は、アルコール、炭化水素、
アミン、エーテル及びそれらの組み合わせ(これらに限定されない)を含む、脂質を抽出又は溶解する溶媒を含む。第1の抽出溶媒はアルコール及びエーテルの組み合わせでもよい。第1の抽出溶媒は、n−ブタノール、ジ−イソプロピルエーテル(DIPE)、ジエチルエーテル及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、第1の抽出溶媒は任意で界面活性剤を含んでもよい。
【0047】
用語「第2の抽出溶媒」は、第1の抽出溶媒の部分の除去を促進するために利用され得る、1つ又は複数の溶媒として定義される。適切な第2の抽出溶媒は、流体からの第1の抽出溶媒の除去を促進する任意の溶媒を含む。第2の抽出溶媒は、エーテル、アルコール、炭化水素、アミン及びそれらの組み合わせ(これらに限定されない)を含む、第1の抽出溶媒の除去を促進する任意の溶媒を含む。好ましい第2の抽出溶媒は、流体から、n−ブタノールのようなアルコールの除去を促進する、ジエチルエーテル及びジ−イソプロピルエーテルを含む。用語「解乳化剤」は、水層中のエマルジョンに存在し得る第1の抽出溶媒の除去を助ける第2の抽出溶媒である。用語「解乳化剤」とは、水層中のエマルジョンに存在し得る第1の抽出溶媒の除去を助ける試薬を意味する。
【0048】
当業者に既知の界面活性剤及び界面活性物質は、本発明中の少なくとも第1の抽出溶媒と組み合わせて使用されてもよい。そのような界面活性剤及び界面活性物質は、様々なイオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。そのような界面活性剤及び界面活性物質は、様々な形態のトリトン(Triton)又はツイーン(Tween)を含むが、これらに限定されない。
【0049】
用語「改変された癌細胞」及び「癌細胞粒子」は、同じ意味で使用され、それらの脂質含有量を減少させるために癌細胞への本発明のプロセスの適用に起因する、改変された癌細胞、癌細胞粒子又はその断片を記述する。
【0050】
用語「脱脂」は、癌細胞から脂質の全濃度の少なくとも一部を除去するプロセスを指す。
【0051】
用語「脂質」は、ヒト又は動物中に存在する脂肪又は脂肪様物質の群の任意の1つ又は複数として定義される。脂肪又は脂肪様物質は水における不溶性及び有機溶媒中の可溶性を特徴とする。用語「脂質」は当業者に既知であり、極性脂質、無極性脂質、複合脂質、単純脂質、トリグリセリド、脂肪酸、グリセロリン脂質(リン脂質)、スフィンゴ脂質、脂肪酸のエステルのような真脂肪(true fat)、グリセロール、セレブロシド、ワックス、及びコレステロール及びエルゴステロールのようなステロールを含むが、これらに限定されない。癌細胞からの除去が可能な脂質は、極性脂質、無極性脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール、リン脂質又はそれらの組み合わせの除去を含むが、これらに限定されない。1つの実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度は、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の80%未満である。別の実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度は、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の50%未満である。好ましい実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度は、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の30%未満である。さらなる実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度は、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の20%未満である。さらなる実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度は、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の10%未満である。さらなる実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度は、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の5%未満である。別の実施形態において、改変された癌細胞中に残存する脂質の全濃度が、もとの癌細胞中の脂質の全濃度の1%〜80%の間である。
【0052】
さらに、脱脂されていない癌細胞と比較して、改変された癌細胞及び癌細胞粒子は、1
つの実施形態において全タンパク質含有量の50%を超えるタンパク質回収率を有してもよい。
【0053】
用語「薬学的に許容可能なキャリア又は薬学的に許容可能なビヒクル」は、有害な生理応答を引き起こさずに、生きている動物又はヒト組織に接触する用途のための適切であり、有害な様式で組成物の他の構成要素と相互作用しない、水又は生理食塩水、ゲル、軟膏、溶媒、希釈剤、流体軟膏基礎剤、リポソーム、ミセル、巨大ミセル等(これらに限定されない)を含む、任意の流体を意味するために、本明細書において使用される。
【0054】
用語「患者」は動物又はヒトを指す。
【0055】
用語「患者特異的抗原」は、その患者へ導入された場合、患者に特異的な免疫応答を誘導することができる抗原を指す。そのような患者特異的抗原は、癌関連抗原又は腫瘍関連抗原であってもよい。患者特異的抗原は、任意の抗原(例えば癌関連抗原)も含んでいる。
【0056】
用語「腫瘍関連抗原(TAA)又は癌細胞関連抗原」は、腫瘍又は癌細胞と関連するものとして当業者に既知の抗原を指す。本発明によって具体化されたTAAの非限定的な例は、表1中に見出すことができる。TAAが細胞表面抗原(癌細胞に結合した膜)を含むことができることは、当業者に明らかである。多くのそのような抗原、例えばGP−100には糖鎖が付加する。別の実施形態において、TAAはまた細胞内の癌特異的抗原を含むことができる。本明細書において実証されるように、DCは脱脂された癌細胞を取り込み、処理することができる。したがって、本発明は、細胞媒介性免疫系に対する細胞内の癌特異的抗原の提示のための方法を包含する。
【0057】
【表1−1】

【0058】
【表1−2】

【0059】
改変された癌細胞を生産する方法
当業者は、複数の脱脂プロセスが本発明の範囲内に包含されることを認識する。好ましい実施形態において、機械混合系と共に溶媒系は実質的に癌細胞を脱脂するために使用される。脱脂プロセスは、系の中への溶媒及びエネルギー入力の合計量に依存する。様々な溶媒レベル及び混合方法は、下記に述べられるように、プロセスの全体の枠組みに依存して使用することができる。癌細胞の脂質含有量を減少させる本発明の方法の実行により、改変された癌細胞又は癌細胞粒子が作製される。これらの改変された癌細胞は、より低レベルの脂質を有しており、免疫原性である。本方法は、未処理の癌細胞によって通常は免疫系に提示されないエピトープを露出又は改変する。脱脂はエピトープを露出するだけでなく、抗原の脱脂後に提示されるコンフォーメーション形態のために、腫瘍関連抗原の抗
原処理及び提示を促進すると考えられている。本発明の方法は、先行技術の方法が遭遇した多数の問題を解決する。癌細胞の脂質エンベロープの脂質含有量を実質的に減少させ、改変された癌細胞を無傷のままにすることによって、本発明の方法は追加の抗原を露出又は改変する。宿主免疫系は、改変された癌細胞を外来のものとして認識する。本発明の方法を使用して作製されるものは、追加の抗原が露出される改変された癌細胞又は癌細胞粒子であり、それによって投与後に患者においてポジティブな免疫原性応答を開始するために実際の癌細胞のエピトープを使用する。
【0060】
本明細書において開示された方法のいくつかの実施形態により得られた、改変され、部分的に脱脂された癌細胞又は癌粒子は、いくつかの局面において、動物又はヒトにおける治療的免疫付与及び免疫応答の誘導のための新規の治療ワクチン組成物を表す。1つの局面において、本明細書において開示された方法により得られた、改変され、部分的に脱脂された癌細胞は、癌に罹患した動物又はヒトにおける治療的免疫付与及び免疫応答の誘導に有用である。別の実施形態において、本明細書において開示された方法により得られた改変された癌細胞は、癌が発症する可能性がある場合、免疫応答を誘発するために、癌を有しない動物及びヒトの免疫付与に有用である。本発明の1つの実施形態において、改変され、部分的に脱脂された癌細胞及びそのような細胞を含む組成物の投与は、癌増殖、癌と関連した状態又は臨床症状の治療、緩和、又は抑制の新たな方法を提供する。
【0061】
本発明のいくつかの態様に従って得られた部分的に脱脂された癌細胞及び癌細胞粒子は、従来の癌細胞と相違する少なくともいくつかの構造的特性を有する。そのような特性は、脂質含有量の減少、改変されたタンパク質含有量、又は脂質含有量に対するタンパク質含有量の比率を含むが、これらに限定されない。例えば、本発明のいくつかの実施形態に記載の部分的に脱脂された癌細胞又は癌細胞粒子は、脱脂されていない癌細胞のコレステロール含有量よりも低いコレステロール含有量を有する。1つの実施形態において、部分的に脱脂された癌細胞粒子のより低コレステロール含有量は、脱脂されていない癌細胞のコレステロール含有量よりも少なくとも70%〜99%低いかもしれない。別の実施形態において、改変されていない癌細胞と比較して、改変され、部分的に脱脂された癌細胞粒子中のコレステロール含有量は、例えば約99%、90%、70%、50%、30%、又は20%まで減少する。コレステロールが、癌細胞の処理の後に減少し得る脂質のほんの1つの形態であることは理解されるべきであり、本明細書において定義されるような他の脂質、又はこれらの脂質の組み合わせが減少されてもよい。
【0062】
改変され、部分的に脱脂された癌細胞は、例えば癌細胞の全タンパク質含有量の50%超を保持するように特徴づけられてもよい。本発明の1つの実施形態において、改変された癌細胞で保持されるTAAは表1で見出されるTAAを含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、TAAはGP100及びTRP−2を含む。しかしながら、改変された癌細胞で保持されたTAAは、存在する癌の型に依存して様々であることが当業者によって認識される。
【0063】
ワクチン産生に有用な脱脂された癌細胞又は癌粒子を産生する癌細胞からの脂質の除去で使用される典型的な溶媒系
脂質含有癌細胞を部分的に又は完全に脱脂するプロセス、及びワクチンの産生で利用される溶媒又は溶媒の組み合わせは、1つの実施形態においてタンパク質の回収を介して測定することができる、癌細胞の抗原成分を保持しながら脂質を可溶化するのに効果的な任意の溶媒又はその組み合わせであり得る。癌細胞の抗原成分を無傷のままにするこの脱脂プロセスは、適切な溶媒−エネルギー系の定義の問題である。適切な溶媒は炭化水素、エーテル、アルコール、フェノール、エステル、ハロ炭化水素、ハロカーボン、アミン、及びそれらの混合物を含む。芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は脂環式炭化水素も使用されてもよい。本発明と使用されてもよい他の適切な溶媒は、アミン及びアミンの混合物
を含む。好ましい溶媒の組み合わせはアルコール及びエーテルを含む。1つの溶媒系は、水、又は生理学的に許容される緩衝液のような緩衝液において、濃縮又は希釈のいずれかが行なわれるDIPEである。1つの溶媒の組み合わせはアルコール及びエーテルを含む。別の好ましい溶媒は、非対称エーテル又はハロゲン化エーテルの形態のいずれかで、エーテル又はエーテルの組み合わせを含む。
【0064】
最適な溶媒系は、第1に、少なくとも部分的に癌細胞を脱脂すること、及び第2に、癌細胞の抗原性タンパク質に対する有害作用をほとんど又は全く有しないことの2つの目的を達成するものである。さらに、患者において免疫応答を開始するのに使用することができるように、溶媒系は、癌細胞粒子の全体性を維持するべきである。したがって、特定の溶媒、溶媒の組み合わせ、及び溶媒濃度が癌細胞タンパク質の許容できない分解を結果的にもたらすので、本発明において使用するには、厳しすぎるかもしれないことは留意されるべきである。
【0065】
真空及び場合によっては熱によって、癌細胞の抗原を破壊せずに除去を促進するために、溶媒、又は溶媒の組み合わせが比較的低沸点であることが好ましい。熱はタンパク質に対して有害な効果を有する可能性があるので、溶媒、又は溶媒の組み合わせが低温で利用されることも好ましい。溶媒、又は溶媒の組み合わせが、癌細胞を少なくとも部分的に脱脂することもまた好ましい。
【0066】
脱脂された癌細胞からの溶媒の除去は、第2の抽出溶媒又は解乳化剤の使用によって遂行されてもよい。例えば、エーテルのような解乳化剤は、エマルジョンからのアルコールのような第1の溶媒を取り除くのに使用されてもよい。溶媒の除去は、追加の溶媒を利用しない他の方法を通して遂行されてもよく、炭の使用を含むが、これらに限定されない。炭はスラリーで、又はその代わりに混合物が適用されるカラム中に使用されてもよい。炭は溶媒を取り除く好ましい方法である。パーベーパレイション法はまた、脱脂された癌細胞混合物から1つ又は複数の溶媒を取り除くために利用されてもよい。
【0067】
本発明中の脂質含有癌細胞からの脂質の除去で使用される適切なアミンの例は、水の中で実質的に不混和性のものである。典型的なアミンは、少なくとも6個の炭素原子の炭素鎖がある脂肪族アミンである。そのようなアミンの非限定的な例はC613NH2である。
【0068】
本発明で使用するのに好ましいアルコールは、単独で使用された場合、血漿又は他の体液とあまり混和性でないアルコールを含む。そのようなアルコールは、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、及びより高い炭素数を含むアルコールを含む、直鎖アルコール及び分枝鎖アルコールを含むが、これらに限定されない。アルコールは、単独で又は他の溶媒、例えばエーテルと組み合わせて使用されてもよい。アルコールの濃度は他の溶媒と組み合わせてではなく単独で使用された場合に、脂質を除去するために採用されてもよい。例えば、アルコールの濃度範囲は、0.1%〜99.9%である。例えば、採用されてもよいアルコールの濃度は、0.1%、1.0%、2.5%、5%、10.0%及び25%以上であるが、これらに限定されない。
【0069】
アルコールが別の溶媒、例えばエーテル、炭化水素、アミン、又はそれらの組み合わせと組み合わせて使用される場合、C1〜C8含有アルコールが使用されてもよい。別の溶媒と組み合わせて使用するに好ましいアルコールは、C4〜C8含有アルコールを含む。したがって、本発明の範囲以内にある好ましいアルコールは、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノール、並びにそれらのイソ型である。特に、C4アルコール又はブタノール(1−ブタノール及び2−ブタノール)が好ましい。具体的なアルコールの選択は利用される第2の溶媒に依存する。好ましい実施形態において、低級アルコールは低級エーテルと組み合わされる。
【0070】
エーテル単独で又は他の溶媒(好ましくはアルコール)と組み合わせて使用した場合、エーテルは、本発明の方法で使用される別の好ましい溶媒である。エチルエーテル、ジエチルエーテル、及びプロピルエーテル(ジ−イソプロピルエーテル(DIPE)を含むが、これに限定されない)(これらに限定されない)を含む、C4〜C8含有エーテルが特に好ましい。非対称エーテルもまた利用されてもよい。ハロゲン化対称エーテル及びハロゲン化非対称エーテルも利用されてもよい。
【0071】
エーテルなどの低濃度の溶媒は、他の溶媒と組み合わせてではなく単独で使用された場合に、脂質を除去するために採用されてもよい。例えば、エーテルの低濃度の範囲は、0.5%〜30%である。例えば、利用されてもよいエーテルの濃度は、0.625%、1.0%、1.25%、2.5%、3%、5.0%及び10%以上であるが、これらに限定されない。エーテルの希釈溶液が細胞から脂質を除去するのに効果的であることが観察された。そのような溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)のような水性緩衝液中の水溶液又は溶液であってもよい。重炭酸、クエン酸、トリス、トリス/EDTA及びトリズマ(Trizma)(これらに限定されない)を含む、他の生理的な緩衝液を使用してもよい。好ましいエーテルはジ−イソプロピルエーテル(DIPE)及びジエチルエーテル(DEE)である。DIPE及びDEEの溶媒混合物のように、エーテルも本発明中で組み合わせて使用してもよい。低濃度のエーテルもまたアルコール(例えばn−ブタノール)と組み合わせて使用してもよい。
【0072】
エーテル及びアルコールが、脂質含有癌細胞から脂質の除去のために第1の溶媒として組み合わせて使用される場合、アルコール及びエーテルの組み合わせが免疫原性タンパク質に有害な効果がなく、少なくとも部分的に癌細胞から脂質を除去するのに効果的であれば、任意の組み合わせを使用することができる。流体中に含まれる癌細胞の処理のために、アルコール及びエーテルが第1の溶媒として組み合わせられる場合、この溶媒中のエーテルに対するアルコールの有用な比率は、約99.99部のエーテルに対して約0.01部のアルコール〜40部のエーテルに対して60部のアルコールの範囲であり、具体的な範囲は互いに、約90部のエーテルに対して約10部のアルコール〜95部のエーテルに対して5部のアルコールの比率範囲で、約90部のエーテルに対して約10部のアルコール〜50部のエーテルに対して50部のアルコールの比率範囲で、約80部のエーテルに対して約20部のアルコール〜55部のエーテルに対して45部のアルコールの比率範囲で、約75部のエーテルに対して約25部のアルコールの範囲である。1つの実施形態において、エーテルに対するアルコールの比率は、1部のエーテル及び癌細胞を含む98部の流体に対して、1部のアルコールである。
【0073】
アルコール及びエーテルの特に好ましい組み合わせは、ブタノール及びDIPEの組み合わせである。流体中に含まれる癌の処理のための第1の溶媒として、ブタノール及びDIPEが組み合わせられる場合、この溶媒中のDIPEに対するブタノールの有用な比率は、互いに、約99.99部のDIPEに対して約0.01部のブタノール〜40部のDIPEに対して60部のブタノールであり、具体的には、約90部のDIPEに対して約10部のブタノール〜95部のDIPEに対して5部のブタノールの比率範囲で、約90部のDEPEに対して約10部のブタノール〜50部のDIPEに対して50部のブタノールの比率範囲で、約80部のDIPEに対して約20部のブタノール〜55部のDIPEに対して45部のブタノールの比率範囲で、約75部のDIPEに対して約25部のブタノールの範囲である。別の実施形態において、腫瘍細胞含有流体に対する組み合わされた溶媒の比率範囲は、約99.5部の腫瘍細胞含有流体に対して約0.5部の組み合わされた溶媒〜1部の癌細胞含有流体に対して2部の組み合わされた溶媒である。
【0074】
アルコール及びエーテルの別の組み合わせは、DEEとブタノールの組み合わせである
。ブタノールを第1の溶媒としてDEEと組み合わせて使用する場合、DEEに対するブタノールの有用な比率は、約99.99部のDEEに対する約0.01部のブタノール〜40部のDEEに対する60部のブタノールであり、具体的には、約90部のDEEに対する約10部のブタノール〜95部のDEEに対する5部のブタノールの比率範囲で、約90部のDEEに対する約10部のブタノール〜50部のDEEに対する50部のブタノールの比率範囲で、約80部のDEEに対する約20部のブタノール〜55部のDEEに対する45部のブタノールの比率範囲で、約60部のDEEに対する約40部のブタノールの範囲である。
【0075】
さらに、n−ブタノールを含む溶媒を利用する場合、本発明は最終的な溶媒/癌細胞懸濁液中に約0.1%〜5%のn−ブタノールをもたらす溶媒の比率も使用することができ、例えば、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%又は5%のn−ブタノールが使用されてもよい。
【0076】
液化炭化水素は、癌細胞中に見出された脂質のような低極性の化合物を溶解する。癌細胞の脂質膜を破壊するのに特に効果的なのは、約37℃で実質的に水不混和性及び流体である炭化水素である。適切な炭化水素は、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのようなC5〜C20脂肪族炭化水素と、クロロホルム、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン及び四塩化炭素のようなハロ脂肪族炭化水素と、各々が直鎖、分岐鎖又は環状構造、飽和又は不飽和であるチオ脂肪族炭化水素と、ベンゼンのような芳香族炭化水素と、トルエンのようなアルキルアレーンと、ハロアレーンと、ハロアルキルアレーンと、チオアレーンとを含むが、これらに限定されない。他の適切な溶媒はまた、ピリジン及びその脂肪族誘導体、そのチオ誘導体又はそのハロ誘導体のような、飽和複素環式化合物又は不飽和複素環式化合物を含んでいてもよい。
【0077】
本発明で使用されるのに適切なエステルは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びプロピオン酸エチルを含むが、これらに限定されない。使用されてもよい適切な界面活性剤/界面活性物質は、硫酸塩、スルホネート、リン酸塩(リン脂質を含む)、カルボキシレート及びスルホサクシネートを含むが、これらに限定されない。本発明で有用ないくつかの陰イオンの両親媒性の物質は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、デシル硫酸ナトリウム、ビス−(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホサクシネート(AOT)、コレステロール硫酸及びラウリン酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。
【0078】
露出された癌細胞関連抗原の産生ための癌細胞及びその処理
上述のように、癌細胞の癌細胞関連抗原を露出するために、様々な癌が本発明の方法で処理されてもよい。好ましい実施形態において、動物又はヒトから得られた癌サンプルは、脂質の除去及び癌細胞関連抗原の露出又は改変のために本発明の方法で処理される。この実施形態において、生検のような癌サンプルは、様々な外科技法を含む従来の任意の手段によって動物又はヒト患者から得ることができ、そして癌細胞を単離するためにそのサンプルを処理する。いくつかの癌細胞は、血漿、腹水、胸膜水、心嚢液及び脳脊髄液のような流体から得てもよい。癌細胞を切除し、単離させるそのような方法は、当業者に既知である。
【0079】
一旦この様式で、又は例えば癌細胞のサンプルを収容する保存施設から癌細胞を得る場合、上記されるように、癌細胞を、癌細胞中の脂質を可溶化することができる第1の有機溶媒と接触させる。第1の有機溶媒は、第1の溶媒が実質的に癌細胞の脂質を可溶化する(例えば細胞を囲む脂質エンベロープを溶解する)のに効果的な量で存在する比率で、癌細胞又は癌細胞を含む培地と組み合わされる。培地に対する第1の溶媒の許容可能な比率(癌細胞を含む培地に対する第1の有機溶媒の比率として表された)は、0.5〜4.0
:0.5〜4.0、0.8〜3.0:0.8〜3.0、及び1〜2:0.8〜1.5の範囲と記述される。様々な他の比率は、培地の性質、及びその培地中の癌細胞の濃度に応じて適用されてもよい。例えば、細胞培養液の場合には、0.5〜4.0:0.5〜4.0と、0.8〜3.0:0.8〜3.0、及び1〜2:0.8〜1.5の範囲が、細胞培養液に対する第1の有機溶媒の比率で利用されてもよい。
【0080】
上記されるように、癌細胞を含む培地を、第1の溶媒と接触させた後に、第1の溶媒及び培地は、ゆっくりした撹拌と、激しい撹拌と、ボルテックスと、旋回と、振盪と、ホモジナイゼーションと、転倒回転の適切な混合方法のうちの任意の1つを含むが、これらに限定されない方法を使用して混合される。1つの実施形態において、第1の溶媒及び培地は転倒回転を使用して混合される。別の実施形態において、第1の溶媒及び培地は振盪によって混合される。
【0081】
培地と第1の溶媒との十分な混合に必要な時間は、利用された混合方法に関係する。培地は、有機相と水相との間で密接な接触を可能にするのに十分な時間、及び第1の溶媒が癌細胞中に含まれていた脂質を少なくとも部分的に又は完全に可溶化するのに十分な時間混合される。典型的には、混合は、利用する混合方法及び処理する細胞量に依存して、約5秒〜約24時間、10秒〜約2時間、約10秒〜約10分、又は約30秒〜約1時間の時間で行われる。異なる方法に関連した混合時間の非限定例は、次の文で提示される。ゆっくりした撹拌及び転倒回転が、約5秒〜約24時間の時間行われてもよい。激しい撹拌及びボルテックスが、約5秒〜約30分の時間で行われてもよい。旋回が、約5秒〜約2時間の時間で行われてもよい。ホモジナイゼーションが、約5秒〜約10分の時間で行われてもよい。振盪が、約5秒〜約2時間の時間で行われてもよい。
【0082】
溶媒の分離
第1の溶媒を培地と混合した後に、溶媒は処理されている培地から分離される。有機相及び水相は、当業者に既知の任意の適切な様式によって分離されてもよい。第1の溶媒が流体の中で典型的には不混和性であるので、2つの層は分離が可能であり、不要な層が除去される。不要な層は溶解された脂質を含む溶媒層であり、その同定は、当業者に既知であるように、溶媒の密度が水相よりも大きいか又は小さいかに依存する。この様式の分離の利点は、溶媒層中に溶解される脂質が除去されてもよいことである。
【0083】
さらに分離は、ピペッティングによって不要な層を除去すること、遠心分離後に分離される層の除去が行なわれること、層を含んでいるチューブの底の経路又は穴の作製し、下層が通り過ぎることを可能にすること、特異的な層に対する接近及びそれらの層の除去を促進するために容器の長軸に沿って特異的な長さである弁又はポートを備えた容器を利用すること、並びに当業者に既知の任意の他の手段(これらに限定されない)を含む手段によって達成されてもよい。層を分離する別の方法は、特に溶媒層が揮発性である場合、任意で穏やかな加熱と組み合わせた、室温における減圧蒸留又は蒸発によるものである。遠心分離を利用する1つの実施形態において、約5〜15分間、900×gのような比較的低い重力が、相を分離するために利用される。
【0084】
溶媒を除去する好ましい方法は、炭、好ましくは活性炭の使用によるものである。この炭は、任意にカラム中に含まれる。代替的に、炭はスラリー状で使用されてもよい。炭の生体適合性のある様々な形式が、これらのカラムで使用されてもよい。溶媒を除去するパーベーパレイション法及び炭の使用は、溶媒を除去する好ましい方法である。
【0085】
処理された培地からの第1の溶媒の分離後に、第1の溶媒のいくらかはエマルジョンとして水層で捕捉されたままでもよい。任意で、解乳化剤が、捕捉された第1の溶媒の除去を促進するのに利用される。さらに溶媒を除去する別の方法は、中空糸型接触器の使用で
ある。解乳化剤は第1の溶媒の除去を促進するのに効果的な任意の試薬であってもよい。好ましい解乳化剤はエーテルであり、より好ましい解乳化剤はジエチルエーテルである。解乳化剤は流体に加えられてもよく、又は代替的に、流体は解乳化剤で分散してもよい。ワクチン調製物において、約1部のエマルジョンに対して約0.5〜4.0の比率のアルカン(体積:体積)は、解乳化剤として利用され、その後洗浄することによって、ワクチンの調製に使用される残った脱脂された癌細胞から、残存アルカンを除去することができる。好ましいアルカンは、ペンタン、ヘキサン、高次直鎖アルカン及び分枝鎖アルカンを含むが、これらに限定されない。
【0086】
エーテルのような解乳化剤は前段落中に記述されていたような手段を含めて、当業者に既知の手段によって除去されてもよい。系からエーテルのような解乳化剤を除去する1つの便利な方法は、運転中のドラフト又は環境から解乳化剤を回収及び除去するための他の適切な装置の中で系からエーテルを蒸発させることである。さらに、解乳化剤は、約10〜20mbarの圧力の有る状態又は圧力のない状態で、より高温度(例えば約24〜37℃へ)を適用することによって除去されてもよい。解乳化剤を除去する他の方法は、遠心分離による分離、その後の吸引による有機溶媒の除去、さらにその後の減圧下(例えば50mbar)での蒸発、又はさらに蒸発を助けるためのメニスカス上に窒素のような不活性ガスの供給を伴う。
【0087】
癌細胞又は本発明の脱脂方法により処理された癌細胞の断片は、当業者に既知の方法を使用して、回収又は濃縮されてもよい。そのような方法は、遠心分離、濾過、篩分け、細胞選別及びクロマトグラフィー(例えば親和性クロマトグラフィー)を含むが、これらに限定されない。
【0088】
癌細胞を含む体液を処理する方法(脱脂)
本発明の方法が、連続的又は不連続的な様式で利用されることが理解される。不連続的な操作又はバッチモードの操作において、本発明は、ヒト又は動物からこれまでに得られた癌組織サンプル又は分散細胞を利用する。サンプルは、少なくとも部分的に若しくは完全に脱脂された癌細胞、又は改変された癌細胞を含む新しいサンプルを産生するために、本発明の方法により処理される。本発明のこの様式の1つの実施形態は、動物又はヒトからこれまでに得られ、続いてDC−癌細胞ハイブリッドの作製に使用するために、細胞バンク中に保存された癌細胞サンプルを処理することである。これらのサンプルは、癌を除去するために、又は癌の増殖を最小限にするために、本発明の方法により投与されてもよい。
【0089】
癌細胞の脱脂は様々な手段によって達成することができる。バッチ法は、新鮮な癌細胞又は保存された癌細胞に使用することができる。この場合、様々な記述された有機溶媒又はその混合物は、癌細胞の脱脂に使用することができる。抽出時間は、溶媒又はその混合物及び採用された混合手順に依存する。
【0090】
本発明の方法の使用を介して、脂質含有癌細胞の脂質レベルを減少させ、例えば、脱脂された癌細胞粒子を含む流体を患者に投与してもよい。改変された癌細胞粒子を含むそのような流体は、ワクチンとして作用し、免疫応答を生じさせて癌の重症度を減少させることによって、患者において癌に対する防御を提供するか、又は癌に罹患した患者への治療を提供することができる。これらの改変された癌粒子は、改変された癌細胞粒子の露出したエピトープに対する受容者の免疫応答を誘導する。代替的に、改変された癌細胞粒子は薬学的に許容可能なキャリア、及び任意でアジュバントと組み合わせて、受容者の免疫応答を誘導するために、ヒト又は動物に、ワクチン組成物として投与されてもよい。
【0091】
本発明の別の実施形態において、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの抗原を有する
癌細胞は、動物又はヒトの免疫原性応答を誘導するのに有用な医薬品の調製に使用される。医薬品はさらに免疫賦活剤又は樹状細胞を含んでもよい。
【0092】
本発明のさらなる別の実施形態は、免疫原性応答が動物又はヒトの癌を治療又は予防する、動物又はヒトの免疫原性応答を誘導するのに有用な医薬品の調製において、脂質含有量が減少し、少なくとも1つの抗原を有する癌細胞を使用する。
【0093】
ワクチン産生−実施形態1
少なくとも部分的に又は実質的に脱脂され、腫瘍関連抗原を露出した改変された癌細胞は、免疫原性特性を有しており、ワクチンを含む組成物を作製するために薬学的に許容可能なキャリアと組み合わされる。このワクチン組成物は、任意でアジュバント又は免疫賦活剤と組み合わせて、動物又はヒトに投与される。組み合わせワクチンを含む自己ワクチン及び非自己ワクチンの両方が、本発明の範囲内である。ワクチン組成物が、複雑な癌に対する防御を提供するために、改変された癌細胞又はその構成要素の2つ以上の型を含んでもよいことは理解されるべきである。
【0094】
樹状細胞及び脱脂された癌細胞を利用するワクチン産生−実施形態2
樹状細胞は患者内の抗腫瘍応答を誘導するのに使用することができる。樹状細胞は、免疫監視、抗原捕捉、及び抗原提示に関与する細胞のネットワークを形成する、造血に由来する白血球である。当業者に既知のin vitroでDCを単離及び増殖するための多数の技術があり(M.B. Lutz et al. J. Imm. Methods 223(1999) 9277-9279を参照)、したがってそれらを免疫戦略に使用することができる。現在まで、既知の癌抗原を有する合成ペプチド、クラスI分子に由来する剥がれたペプチド(stripped peptides)、腫瘍RNA、又は腫瘍溶解物と共に、DCを癌に対する患者の免疫原性応答を改善するのに使用してきた。
【0095】
1つの実施形態において、腫瘍組織は取り出され、上記発明に従って脱脂され、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に入れられ、単細胞懸濁液を産生するのに使用される。例えば液体窒素中で、複数回(例えば3〜5回)の凍結サイクル及び室温での融解サイクルによって当業者に既知の技術を使用して、細胞を溶解する。好ましくは、溶解はモニタリングされる。大きな粒子を遠心分離によって除去し、上清はフィルターを通過させる。タンパク質含有量を測定し、後の使用のために保存する。この溶解工程の目的は、脱脂プロセスによって露出された抗原成分を産生することである。
【0096】
当業者に既知の方法に従って、末梢血から樹状細胞を生成した後に、樹状細胞を培養する、すなわち、約7日間培養し、次にさらにキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)及び前記癌細胞溶解物と共に培養する。当業者は、KLH、腫瘍溶解物、及びDCの相対量は、処理される腫瘍の種類に依存及び関連することを認識する。結果として生じた細胞をPBSで洗浄し、次に処理における使用のためにRPMI−1640中で再懸濁する。1つの実施形態では、細胞ワクチン調製物を、生理食塩水、PBS、又は他の承認された溶液(これらに限定されない)のようなヒトへの投与に適切な溶液で調製する。このプロセスはDC−癌細胞ハイブリッドを作製する。
【0097】
当業者に一般に既知であるように、KLHに加えて他の分子、例えばチログロブリン又は血清アルブミンが使用されてもよいことが理解される。
【0098】
本発明の方法により産生された実施形態1のワクチンの投与
脱脂された癌細胞を動物又はヒトに投与する場合、ワクチンを産生するために、この脱脂された癌細胞を薬学的に許容可能なキャリアと典型的には組み合わせ、任意で当業者に既知であるように、アジュバント又は免疫賦活剤と組み合わせる。ワクチン製剤は、単位
用量形態で便利に与えられ、当業者に既知の従来の薬学的技術によって調製されていてもよい。そのような技術は、有効成分及び液体キャリア(薬学的キャリア又は賦形剤)を一様及び密接に接触させることを含む。非経口投与に適切な製剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、及び対象の受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含み得る水溶性及び非水溶性の無菌注射溶液と、懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水溶性及び非水溶性の無菌懸濁液を含む。
【0099】
製剤は、単位用量容器又は複数用量容器(例えば密封したアンプル及びバイアル)中で提供され、使用の直前に無菌液体キャリア(例えば注射用水)の追加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存されてもよい。ワクチンは約4℃〜−100℃の温度で保存されてもよい。ワクチンは室温を含む様々な温度で凍結乾燥された状態で保存されてもよい。即時注射溶液及び懸濁液は、当業者によって一般に使用される無菌の粉末、顆粒及び錠剤から調製されていてもよい。ワクチンは、当業者に既知の従来の手段によって滅菌されてもよい。そのような手段は濾過、放射線照射及び熱を含むが、これらに限定されない。本発明のワクチンは、細菌増殖を阻害するためにチメロサールのような静菌剤と組み合わせてもよい。
【0100】
好ましい単位用量製剤は、投与された成分の、用量又は単位又は適切なその一部を含むものである。特に上で述べられた成分に加えて、本発明の製剤は、当業者が一般に使用する他の試薬を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0101】
ワクチンは、口腔及び舌下を含む経口、直腸、非経口、エアロゾル、鼻、筋肉内、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、及び局所的のような、様々な経路によって投与されてもよい。ワクチンは、例えば腋窩リンパ節、鼠径リンパ節又は頚リンパ節のようなリンパ節への投与、又は腸のリンパ組織(GALT)を介してリンパ組織の付近に投与されてもまたよい。
【0102】
本発明のワクチンは、溶液、エマルジョン及び懸濁液、ミクロスフェア、粒子、微粒子、ナノ粒子及びリポソーム(これらに限定されない)を含む、様々な形態で投与されてもよい。約1〜5回の投与が、1回の免疫付与レジメン当たりに必要とされ得ることが予測される。初回注射は、約1ng〜1g、約0.1mg〜800mg、及び約1mg〜500mgの範囲であり得る。追加注射は、1ng〜1g、約0.1mg〜750mg、及び約0.5mg〜500mgの範囲であり得る。投与量は投与経路によって変化する。筋肉注射は約0.01ml〜1.0mlの範囲であり得る。
【0103】
必要であれば、例えば患者の年齢及び大きさを考慮して、ワクチンを投与する医学又は獣医学分野の当業者は、初回注射及び追加注射で投与されるワクチン量に精通しているだろう。初回注射は、癌細胞の総タンパク質に基づいて約1ng未満〜1gの範囲であり得る。非限定的な範囲は1ml〜10mlであり得る。投与量は投与経路に依存して変化してもよい。
【0104】
本発明のワクチンは癌を検出した後に投与されてもよい。本発明のワクチンはヒト又は動物のいずれかに投与されてもよい。1つの実施形態において、脱脂された癌細胞の導入によって、癌の増殖が低減されてもよい。別の実施形態において、脱脂された癌細胞の導入によって、癌の大きさが実際に減少する。
【0105】
別の実施形態において、本発明のワクチンは、癌の発症を予防するか又は遅らせるために、癌のない又は癌を発症する危険性の高い個体に投与されてもよい。例えば、卵巣癌及び/又は乳癌を有していた母親及び/又は祖母を持つ女性は、卵巣癌又は乳癌を発症する可能性が高い。他の伴性の癌は当業者に既知であり、腫瘍学者は、家族歴、又は家族歴と
罹患しやすい環境因子若しくはライフスタイル因子との相互作用に基づいて、癌を発症する可能性が高いことを、患者に慣例的に助言する。本発明のワクチン投与、例えば卵巣癌を発症する危険性がある個体への卵巣癌に対するワクチンの投与は、その個体の卵巣癌の発生を遅らせるか又は予防する。
【0106】
本発明の方法により産生された実施形態2のワクチンの投与
上記されるように、DC−癌溶解物を生成した後に、それはワクチンを産生するために薬学的に許容可能なキャリアと典型的には組み合わされ、そして任意で当業者に既知であるように、アジュバント又は免疫賦活剤と組み合わされる。ワクチン製剤は、単位用量形態で便利なように提供され、当業者に既知の従来の薬学的技術によって調製されていてもよい。そのような技法は、有効成分及び液体キャリア(薬学的キャリア又は賦形剤)を一様及び密接に接触させることを含む。非経口投与に適切な製剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、及び対象の受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含み得る水溶性及び非水溶性の無菌注射溶液と、懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水溶性及び非水溶性の無菌懸濁液とを含む。
【0107】
DC療法の実行に対する1つの好ましいアプローチは、皮内投与又はリンパ節への直接投与を含む。1つの例示的な実施形態では、患者は、3週間ごとに最低1回及び最大10回の免疫付与のために、自己由来の癌溶解物をパルスしたDCを受ける。例えば、患者は3週間隔で4回のワクチン接種を受ける。免疫付与は臨床応答に依存して継続する。1つの実施形態において、1回のワクチン接種当たり注射される樹状細胞は、10×105〜32×106個である。しかしながら、癌の型及び要求される免疫の型によって、細胞の数が可変的であることは当業者によって認識される。患者は、毒性及び他の臨床応答についてモニタリングされる。
【0108】
アジュバンド
当業者に既知の様々なアジュバンドが、ワクチン組成物の一部として投与され得る。そのようなアジュバンドは、ポリマー、ブロックコポリマーを含むポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー等のコポリマー;ポリマーP1005;モノチド(monotide)ISA72;完全フロインドアジュバンド(動物用);不完全フロインドアジュバンド;ソルビタンモノオレエート;スクアレン;CRL−8300アジュバンド;ミョウバン;QS21、ムラミールジペプチド;トレハロース;マイコバクテリア抽出物を含む細菌抽出物;解毒した内毒素;膜脂質;油中水型混合物、水中油中水型混合物又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0109】
液体及びキャリアの懸濁
当業者に既知の様々な懸濁する流体又はキャリアは、ワクチン組成物を懸濁するのに利用されてもよい。そのような流体は、滅菌水、生理食塩水、緩衝液、増殖培地に由来した複雑な流体又は他の体液を含むが、これらに限定されない。当業者に既知の防腐剤、安定剤及び抗生物質は、ワクチン組成物中で利用されてもよい。
【0110】
以下の参考文献がその全体において本明細書中に参照として援用される:Jocham et al., Lancet 2004: 363, 594-599; Rosenberg, N.E. Journ. Med. 2004: 350, 14-1461-1463; Yamanaka et al., Brit. J. Cancer 2003: 89, 1172-1179; Brossart, Transfusion &
Apheresis Sci. 2002: 27, 183-186; O'Rourke et al., Cancer Immunol. Immunother. 2003: 52, 387-395; Lotem et al., Brit. J. Cancer 2994: 90, 773-780; Hersey et al., Cancer Immunol. Immunother. 2004: 53, 125-134; Limuna et al., J. Clin. Invest. 2004: 113, 1307-1317。
【0111】
以下の実験的な実施例は、癌細胞の脱脂プロセスを行ったこと、及び特に癌細胞が改変
されたことを示す例示的なものであり、それが由来した種でポジティブな免疫原性応答を示すことに言及している。他の実施形態及び用途が当業者に明らかになり、本発明がこれらの具体的且つ例示的な実施例又は好ましい実施形態に限定されないことが認識されるだろう。
【実施例1】
【0112】
脱脂プロトコル
癌細胞の脱脂は以下のように達成することができる。表2に示される癌細胞、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の約8×105個の細胞に、最終的な容量で3%ジイソプロピルエーテル(DIPE)及び0.05%トリトンX−100を加えた。癌細胞を1mlの生理食塩水中で再懸濁した。0.05%トリトンX−100及びDIPEは、最終的な濃度の3%まで加えられた。DIPE(30μlの希釈していない(neat)DIPE)を100%として癌細胞懸濁液に加え、5μlの希釈していない(100%)トリトンも加えて、1mLの癌細胞懸濁液の最終的な容量を作製した。溶媒混合物もまた独立して作製し、次に癌細胞懸濁液に加えることができる。癌細胞懸濁液を、室温で20分間転倒により混合した。サンプルを、続いて1000rpmで1分間遠心分離した。残存溶媒は、炭カラムを通して除去した。溶媒除去工程後に、細胞懸濁液を2.5mlの最終的な容量に希釈した。再懸濁されたペレットのアリコートを、下記に述べられるように、癌細胞の脱脂を確認するための総コレステロール含有量又は総タンパク質含有量を検出するのに使用した。
【0113】
上記の手順は、脱脂の規模によって修正することができることは、当業者には容易に明らかであるだろう。例えば、大規模な脱脂手順で、又はおそらく細胞懸濁液比率に対する異なる溶媒で、バルク溶媒層を除去することができ、残存溶媒に炭の使用による吸収又は遠心分離による除去のいずれかを行なう。
【実施例2】
【0114】
総コレステロール含有量及び総タンパク質含有量
実施例1からの再懸濁液溶液のアリコートを総コレステロール分析に使用した。実施例1からの再懸濁液溶液のさらなるアリコートを、市販のキットを使用して、総タンパク質測定に使用した。例えば、実施例1からの50μlの再懸濁液溶液を、アンプレックスレッド総コレステロール分析(Amplex Red Total Cholesterol Assay)(Molecular Probes, Eugene, Oregon)に使用した。別の50μlの再懸濁液溶液は、バイオラッド総タンパク質測定(BioRad Total Protein Assay)(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用して、総タンパク質測定に使用した。これらの研究の結果は表3に示され、コレステロール濃度の減少によって観察されるように、ソースにかかわらず脱脂されたすべての癌細胞株が首尾よく脱脂されたことを実証する。明らかに、実施例1に記述される3%DIPE−0.05%トリトンX−100のプロトコルは、マウス癌細胞株B16−F10を含む様々な癌細胞から脂質を効率的に除去する。表3により、50%超のタンパク質が保持されている一方、コレステロールの99%超が除去されていることが実証される。明らかに、B16−F10及びTF−1細胞株は、非常に効率的に脱脂された。さらに、良好なタンパク質回収率が達成されることから、細胞構造が維持されていると考えられる。
【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【実施例3】
【0117】
未熟な樹状細胞の取り込み
未熟な樹状細胞(DC)は古典的な抗原提示細胞(APC)である。これらのDCは、効率的に病原体全体を取り込み、癌細胞/抗原を処理し、且つ抗体産生のためにB細胞に及び細胞介在性免疫応答のためにT細胞にエピトープを提示する。この実験において、未熟なDCを、蛍光活性化細胞分別(FACS)装置のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)チャンネルで読み取る色素(図1の「A」)により標識した。脱脂されたB16−F10黒色腫を、FACS装置のフィコエリトリン(PE)チャンネルで読み取る別個の色素(図1の「C」)により標識した。したがって、脱脂されたB16−F10細胞がDCによって取り込まれる場合、そのときB16−F10細胞の蛍光は低減するが、DCの蛍光は損なわれないままである。
【0118】
樹状細胞の取り込みプロトコルは、簡潔には、PKH26−GL(赤色色素シグマ(Red Dye Sigma)−PE)を使用して、脱脂されたB16−F10細胞を標識すること、及び1:1の比率(1×107:1×107)でPKH67−GL(緑色色素シグマ(Green Dye Sigma)−FITC)で標識された未熟なJAWS−II細胞と共にインキュベートすることを含んでいた。24時間のインキュベート後に、フローサイトメトリー分析を実行し、食作用を二重陽性細胞の数によって定義した。
【0119】
2mlの容量中に2×10-6MのPKH26色素及び1×107細胞数/mlの最終的な濃度で染色するために、以下の工程を無菌技法を使用して実行した:
1. 接着細胞又は結合細胞は、最初に、タンパク質分解酵素(すなわちトリプシン/EDTA)を使用して取り出し、単細胞浮遊液を形成した。
2. 工程はすべて25℃で実行された。合計約2×107個の単細胞を円錐形の底のポリプロピレンチューブに入れ、無血清培地を使用して1回洗浄した。
3. 細胞を5分間遠心分離し(400×g)、ゆるい沈殿とした。
4. 遠心分離後に注意深く上清を吸引し、ペレットにわずか25μlの上清を残した。5. 1mlの希釈剤C(Diluent C)(染色キットと共に供給される)を加え、溶液(PKH67−GL(緑色蛍光性細胞結合色素)、及びPKH−GL(赤色蛍光性細胞結合色素)、Sigma, St. Louis, MO)を、完全な分散を確実にするためにピペッティングによって再懸濁した。
6. 染色の直前に、4×10-6MのPKH26色素を希釈剤Cを使用して、ポリプロピレンチューブ中に調製した(2×ストックとして)。エタノール作用を最小限にするために、加えられた色素の量は個別のサンプル量の1%未満である。色素ストックのさらなる希釈が必要である場合、中間ストックを100%エタノールでの希釈によって作製する。その調製物は室温(25℃)で保存する。
7. 1mlの細胞(2×107個)を、1mlのPKH26色素(1×107細胞数/ml)に迅速に加えた。サンプルをピペッティングによって混合した。
8. その溶液を25℃で2〜5分間インキュベートした。25℃でのこの染色期間に、混合を確実にするためにチューブを周期的にゆっくりと転倒した。
9. 染色反応を停止するために、等量の血清又は適合するタンパク質溶液(すなわち1%のBSA)を加え、1分間インキュベートした。
10. 血清で停止したサンプルを、等量の完全培地で希釈した。
11. 染色溶液から細胞を取り出すために、細胞を25℃で10分間400×gで遠心分離した。
12. 上清を除去し、細胞ペレットをさらなる洗浄のために新しいチューブに移した。13. 細胞を洗浄するために10mlの完全培地を加え、次に遠心分離して、所望の濃度に再懸濁した。
【0120】
図1及び図2は、DCが、脱脂されたB16−F10細胞を効率的に取り込むことを示す。
【実施例4】
【0121】
in vivoの研究−治療的ワクチン接種
実施例3において観察されたDCによるB16−F10細胞の効率的な取り込みが任意の治療的ワクチン接種に利益をもたらしたか否かを調べるために、B16癌を有するマウスを、脱脂されたB16−F10細胞をパルスした自己DCで1回ワクチン接種した。
【0122】
簡潔には、樹状細胞のパルス(pulsing)は、1×106個の未熟な骨髄由来樹状細胞(BMDDC)を、1x106個の脱脂されたB16−F10細胞及び100ng/mlリピドAの24時間のパルスから成る。リピドAを加える前に、細胞をさらに24時間インキュベートした。2mlの培地を除去し、GM−CSF(10ng/mlマウスGM−CSF)及びリピドAを含む2mlの培地を戻して加えることによって、成熟した細胞にGM−CSF及びリピドAを与えた。
【0123】
癌抗原の調製は、使用される癌細胞、例えば本発明の方法(例えば3%DIPE及び0.05%トリトンX−100の溶媒混合物)を使用して脱脂されたB16−F10細胞から成る、B16−F10細胞を必要とした。
【0124】
マウスは、まずPBS中の2×105個のB16−F10細胞(50μl)を皮下注射することによって曝露された。次にin vivoにおけるマウスの接種は、A.免疫付与されていない(PBS)マウスと、B.2×105個のBMDDCのみで免疫付与したマウスと、C.2×105個の脱脂されたB16−F10のみで免疫付与したマウスと、
D.脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたBMDDCで免疫付与したマウスの試験群(1群当たり5匹のマウス)を使用して実行した。実験計画を図11に示す。
【0125】
実験的な目的は治療上の癌モデルを提供することであった。多くの癌患者が既存の癌を有し、1つの目標は、癌増殖を抑制し、したがって患者の生存を促進することである。図3及び図4は、ワクチンのただ1回の追加免疫後に、対照群と比較して、ワクチン接種した群において癌増殖の抑制が観察されたことを示している。上記された実験において、対照群は自己DCのみでワクチン接種した。本発明者らは、ワクチン接種したDCが自己癌細胞を取り込む可能性があり、癌に対する免疫応答を促進することができるので、この対照群はPBS対照群を使用するよりも正確であると考える。この実験の重要な特徴は、結果がただ1回のワクチン接種のサイクルの後に観察されたということである。多くのワクチン接種の手順は、免疫応答を生ずるために、複数のワクチン接種の繰り返しを必要とする。PBSの対照と比較して、脱脂されたB16−F10細胞によるワクチン接種は癌増殖を減少させたが(図3)、脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCをマウスにワクチン接種した場合ほど強力に減少させなかった(図4)。わずかな減少は、脱脂されたB16−F10細胞を取り込み、それらを処理するワクチン接種の局在領域において存在するDCのためであり得る(図1及び図2に実証されたように)。全体として、脱脂されたB16−F10細胞によるワクチン接種は、単独で又は樹状細胞ハイブリッドとして、異なる程度で既存のB16黒色腫に対して防御することをこの実験は実証した。
【実施例5】
【0126】
in vitroの研究−予防的ワクチン接種
脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCが、マウスでB16癌が発症するのを予防するという点で何らかの利益を有するか否かを調べるために、以下に述べるようにマウスを1回ワクチン接種し、B16−F10癌細胞で免疫性を試験した。
【0127】
簡潔には、利用される癌細胞、例えばB16−F10細胞は、
a)本発明の方法、例えば3%DIPE及び0.05%トリトンX−100の溶媒混合物を使用して脱脂された細胞、又は
b)複数の凍結融解サイクルを使用して溶解されたB16−F10細胞
から成っていた。
【0128】
次にin vivoにおけるマウスの接種は、A.免疫付与されていない(PBS)マウスと、B.2×105個のBMDDCのみで免疫付与したマウスと、C.2×105個の脱脂されたB16−F10のみで免疫付与したマウスと、D.脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたBMDDCで免疫付与したマウスの試験群(1群当たり5匹のマウス)を使用して実行した。免疫付与後6日目において、マウスは反対側の横腹に5×105個のB16−F10細胞を皮下注射することで曝露された。実験計画を図12に示す。
【0129】
実験は、脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCによるワクチン接種は、マウスをB16−F10癌細胞の曝露から適切に防御しないことを示した(図5及び図6)。しかしながら、本発明者らは、B16−F10黒色腫が効率的に免疫応答を引き起こさないので、B16−F10黒色腫が低免疫原性腫瘍モデルと考えられることに気付いた。したがって、本発明者らは、複数のワクチン接種の繰り返しが予防的癌モデルにおいて効果的かもしれないと推測する。
【実施例6】
【0130】
治療的ワクチン接種及び癌抗原特異的免疫応答
脱脂されたB16−F10細胞、又は脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCのいずれかによるワクチン接種が腫瘍抗原特異的免疫応答を生じさせるか否かを判定する
ために、B16特異的な腫瘍抗原GP100及びTRP−2に対する抗体価を測定した。
【0131】
ELISA分析を、マウス血清試料に対して以下のように実行した。プレートをコートするために、ペプチドを、コーティング緩衝液(50mMトリス(pH9.5))中に5μg/mlに希釈した。Nunc ImmulonのHBX 96ウェルELISAプレートの各々のウェルは100μl/ウェルでコートされた。各々のプレートを密閉し、一晩インキュベートした。プレートを軽く叩き、ペーパータオルでしみこませて、タンパク質をウェルから除去した。
【0132】
プレートをブロッキングするために、200μLのブロッキング緩衝液(2%FBS、1×PBS)を、すべてのウェルに加えた。各々のプレートを密閉し、37℃で1〜2時間インキュベートした。各々のウェルを、150μLの洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%ツイーン−20)で6回洗浄した。
【0133】
以下のように、一次抗体を調製した。簡潔には、サンプル希釈緩衝液(1×PBS、5%正常ヤギ血清(NGS))中に、1:20希釈のマウス血清サンプルを調製した。1:200、1:400、1:1000及び1:2000の希釈液を調製した。プレートを希釈血清50μLでコートし、60分間室温でインキュベートした。プレートを、150μLの洗浄緩衝液で6回洗浄した。
【0134】
以下のように、二次抗体を調製した。簡潔には、二次抗体(Fc特異的ヤギ抗マウスHRP、Sigmaから)をサンプル希釈緩衝液中で1:10000に希釈した。各々のウェルを100μl/ウェルでコートし、45分間室温でインキュベートした。ウェルを、150μLの洗浄緩衝液で6回洗浄した。
【0135】
ELISAの発色は、各々のウェルに100μLのTMB基質(Sigma)の添加を必要とし、室温で5分間インキュベートした。反応を100μLの1N硫酸で停止した。プレートをプレートリーダーで450nmの吸光度で読み取った。
【0136】
脱脂されたB16−F10細胞によるワクチン接種は、PBSでワクチン接種した対照群よりも、高い抗体価を生じることが観察された(図7及び図8)。しかしながら、脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCははるかに高い全体の抗体価を有しており(図9及び10)、これにより脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCが、抗原処理及び抗原提示を実質的に促進したことが示された。脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCを受ける動物における抗体価は、DCだけでワクチン接種された動物における力価よりもはるかに高かった。この結果は、脱脂されたB16−F10細胞がDCによって効率的に処理及び提示され、それが促進された免疫応答をもたらすことを実証する。DC単独によるワクチン接種も、抗体応答を促進することが観察され(図9及び10)、恐らくこれは、既に存在する癌細胞を取り込んで、免疫応答のためにそれらを処理する導入したDCのためである。しかしながら、取り込み率、処理率及び/又は提示率は、脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCを受ける動物よりも低かった。全体としては、本発明者らは、脱脂されたB16−F10細胞のワクチン接種が、B16腫瘍抗原のTRP−2及びGP100に対する抗体を促進することを観察した(図7及び図8)。さらに、本発明者らは、脱脂されたB16−F10細胞をパルスしたDCのワクチン接種を受けた動物は、B16腫瘍抗原のTRP−2及びGP100に対する非常に促進された抗体価を示すことを見出した(図9及び図10)。本発明者らは、成熟したDCが、マウスからの既に存在する癌を取り込み、それらを処理し、それらを免疫系に提示することが可能であることを観察したが、このプロセスはDCが脱脂されたB16−F10細胞でパルスされた場合ほど効率的ではない。
【実施例7】
【0137】
骨髄由来樹状細胞の回収及び増殖のためのin vivoの実験的な手順
以下は、骨髄由来樹状細胞(BMDDC)のin vivoの回収及び増殖のための方法を記述する。この実験において、使用されるマウス種はC57BL/6(約8〜16週齢)であった。5匹のマウスが各々の群に割り当てられた。この実験における癌モデルは、免疫原性の低い腫瘍モデルであると知られているB16−F10黒色腫(C57BL/6マウス中)であった。骨髄を、大腿骨及び脛骨からFalconの100μmナイロン細胞ストレーナーを通して回収した。
【0138】
骨髄調製
4〜12週齢のC57BL/6のメスマウスの大腿骨及び脛骨を、Kleenexのティッシュペーパーでこすることによって周囲の筋組織から取り出し精製した。無傷の骨を、消毒のために70%エタノール中に2〜5分間置き、PBSで洗浄した。骨の両端をはさみで切断し、直径0.45mmの針を備えた注射器を使用して、骨髄をPBSで洗い流した。骨髄懸濁液中の塊を崩すために、激しいピペッティングを使用した。次にその懸濁液をPBSで1回洗浄した。細胞を、ペニシリン(100U/mL、Sigma)、ストレプトマイシン(100U/mL、Sigma)、L−グルタミン(2mM、Sigma)、2−メルカプトエタノール(50μM、Sigma)、10%の熱不活性化した濾過したウシ胎仔血清を補充した(R10)RPMI−1640(GIBCO BRL)(Millipore又はCorningの0.22μmフィルターですべてろ過した)に再懸濁した。
0日目:骨髄の播種。白血球を、200U/ml(=20ng/ml)のrmGM−CSFを含む10mlのR10培地中で100mmのディッシュ当たり2×106個で播種した。
3日目:200U/mlのrmGM−CSFを含む10mlのR10培地をさらに加えた。
6日目:培養上清の半分を回収し、取り出した培養上清を遠心分離し、ペレットを200U/mlのrmGM−CSFを含む10mlの新しいR10培地中で再懸濁した。その懸濁液をもとのプレートに再び戻した(re-plated back)。
7日目:未熟なDCに、溶解又は脱脂されたB16−F10細胞を与えた。1×106個のDC及び1×106個の脱脂されたB16−F10細胞を24時間加えた。
【0139】
成熟の完了
8日目:DC及び脱脂されたB16−F10細胞を、100ng/mlのリピドA又は1μg/mlのリポ多糖類(LPS)+30〜100U/mlのrm(組換型マウス)GM−CSFを使用して成熟させた。注射に先立って、細胞をさらに24時間インキュベートした。
【0140】
細胞収率の評価
培養された細胞を1回洗浄した。細胞のアリコートを、トリパンブルー溶液(Sigma)と共に1:1(体積:体積)で混合した。トリパンブルー陰性の大きな白血球(赤血球は大きさ及び形によって除外された)を生細胞として、顕微鏡下で計測した。
【0141】
FACS分析
1×105個の細胞を、0.1%アジ化ナトリウムを含む50μlハイブリドーマ培養上清、又は精製された一次抗体及び二次抗体により染色した(M.B. Lutz et al. Journal
of Immunological Methods 223(1999)77-92 79を参照)。細胞並びに一次抗体及び二次抗体(5〜20μg/ml)を、氷上で30分間インキュベートした。一次試薬及び二次試薬を、5%ウシ胎仔血清(FCS)及び0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS中で希釈し、このPBSは洗浄培地としてもまた有用だった。サンプルをFACScan(Becton Dickinson, Heidelberg, Germany)により分析した。
【0142】
以下の抗体が、Leenen et al, 1997で概説された培養上清としての表面染色及び細胞質染色に使用された:MHC分子:H−2 K−FITC_M1r42、ラットIgG2a(Pharmingen, San Diego, CA);共刺激接着分子:CD80_B7−1−PE、16−10A1、ハムスターIgG(Pharmingen)、CD86_B7−2−FITC、GL1、ラットIgG2a(Pharmingen);CD40−PE−HM40−3、ラットIgG2b(Pharmingen);DCマーカー:CD25_IL−2Ra、7D4、ラットIgM、NLDC−145 DEC−205、ラットIgG2a、CD11c PE_HL3、ハムスターIgG−PE、G235−2356(Pharmingen)。
【0143】
他の文献で詳細に記述されるように、BMDDCのエンドサイトーシス能を調べた(Sallusto et al, 1995 and Lutz et al, 1997を参照)。簡潔には、2×105個の細胞を、氷上(表面結合するがエンドサイトーシス無し)で、又は37℃水浴中(表面結合及びエンドサイトーシス有り)で30分間、1mg/mlのFITC−DXと共にインキュベートした。細胞を氷冷PBSで洗浄し、上に記述されるように表面MHCクラスII分子について染色した。
【0144】
全骨髄細胞を、10ng/mlマウスGM−CSF及び20ng/mlマウスIL−4を補充した完全IMDM(2mMグルタマックス(glutamax)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、50μM 2−ME、及び5%FCS)で6ウェルプレート中に置いた。各々のウェルから培地の50%を除去し、等量の新しい増殖因子を補充したcIMDMを加え戻すことによって2、3日ごとに培養物が与えられた。培養を6〜8日間維持した。非接着細胞及び緩く接着した細胞は、in vitro及びin vivoの実験のために、回収、洗浄及び使用されなかった。
【0145】
上に引用された特許、出版物及び要約はすべて、それらの全体の参照により本明細書において援用される。他の実施形態及び用途が当業者に明らかであり、本発明がこれらの具体的で例示的な実施例又は好ましい実施形態に限定されないことが認識される。上記のものは本発明の好ましい実施形態にのみ関し、多数の修正又は変更が、添付された請求項中で示されるような本発明の精神及び範囲から逸脱されずに、実施されてもよいことが当然理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】蛍光活性化細胞分別(FACS)(フィコエリトリン(PE)標識)によって測定されるような、脱脂されたB16−F10癌細胞の未熟な樹状細胞による取り込みを示した図である。
【図2】FACS(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識)によって測定されるような、脱脂されたB16−F10癌細胞の未熟な樹状細胞による取り込みを示した図である。
【図3】治療的なワクチン接種及び癌増殖の低減を示した図である。
【図4】図3に類似しており、脱脂されたB16−F10癌細胞をパルスしたDCを使用する、治療的なワクチン接種を示した図である。
【図5】脱脂されたB16−F10癌細胞を使用する予防的ワクチン接種を示した図である。
【図6】図5に類似しており、DC及び脱脂されたB16−F10癌細胞を使用する、予防的ワクチン接種を示した図である。
【図7】抗原特異的応答を誘導するために、脱脂されたB16−F10癌細胞を使用する、治療的ワクチン接種を示した図である。
【図8】抗原特異的応答を誘導するために、脱脂されたB16−F10癌細胞を使用する、治療的ワクチン接種を示した図である。
【図9】抗原特異的応答を誘導するために、DC及び脱脂されたB16−F10癌細胞を使用する、治療的ワクチン接種を示した図である。
【図10】抗原特異的応答を誘導するために、DC及び脱脂されたB16−F10癌細胞を使用する、治療的ワクチン接種を示した図である。
【図11】治療的ワクチン接種の実験計画の概略図である。
【図12】予防的ワクチン接種の実験計画の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワクチン組成物を作製する方法であって、
流体中の癌細胞を第1の抽出溶媒と接触させること、
前記癌細胞から脂質を抽出するのに十分な時間、前記流体と前記第1の抽出溶媒を混合し、それにより脂質含有量が減少した癌細胞を産生すること、
前記流体から前記溶媒層を取り去ること、
前記脂質含有量が減少した癌細胞を含む前記流体を回収すること、及び
薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活剤を加えること
を含む、方法。
【請求項2】
ワクチン組成物を作製するための方法であって、
流体中の癌細胞を第1の抽出溶媒と接触させ、前記癌細胞から脂質を抽出するのに十分な時間、前記流体と前記第1の抽出溶媒を混合し、それにより脂質含有量が減少した癌細胞を産生させ、前記流体から前記溶媒層を取り去り、前記脂質含有量が減少した癌細胞を含む前記流体を回収することによって癌細胞を脱脂する工程、
脂質含有量が減少し、少なくとも1つの癌細胞抗原を有する前記脱脂された癌細胞で樹状細胞をパルスし、癌細胞ハイブリッドを形成する工程、及び
薬学的に許容可能なキャリア及び任意で免疫賦活剤を加える工程
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−1577(P2009−1577A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164240(P2008−164240)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【分割の表示】特願2008−524087(P2008−524087)の分割
【原出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(505469539)リピッド サイエンシーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】