免疫反応を増加させるための方法
本発明は免疫系の細胞のCbl−b機能を減少させるか、または阻害して、それにより抗原に対する細胞の免疫反応を増加させることを含む、抗原と接触した免疫系の細胞の免疫反応を増加させるインビトロまたはエキソビボにおける方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞の免疫応答を調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
能動免疫はとても危うい感染症に対する総合的な戦いを初めて可能にさせ、いくつかの場合において、安価な非常に効率的な内因性防御メカニズムを使用して世界的な根絶を達成さえさせた。したがって、努力が種々の適応症に対する予防的および治療的ワクチン接種アプローチを開発するために費やされ、これからも費やされるであろう。しかしながら、効率的な免疫は免疫応答の誘導を必要とし、そしてそれは防御免疫を引き起こす。しかしながら、免疫抗原の免疫原性の欠如は起こるべき所望の効果の機能不全を引き起こす。非常に興味があり特異的な抗原製剤は、マラリア、HIV、インフルエンザまたは腫瘍疾患(わずかな著名な例を挙げる)の予防および処置に対して、すでに開発されている。しかしながら、これらの処置は、例えば、免疫抗原の免疫原性の欠如により成功していない。さらに、広く使用されているワクチン、例えば、処置されたものの約80%に対してのみ保護的な免疫応答力価を実際に構築するB型肝炎ワクチンでさえ、免疫原性の欠如の問題を引き起こす。免疫系の反応性の欠如に関する主な理由はこれらの抗原が“異物”として認識されないことである。哺乳動物において、抗原提示細胞(APC)により提示される構造が内因性として認識されるか、または異物として認識されるかどうかを決定するものは主にT細胞である。免疫応答を誘導するため、本質的に2つの別々のシグナルが、互いに独立して、必要である。このメカニズムは免疫系のオーバーシュートを防止する。第1の必須条件は、T細胞受容体に関してAPCにより提供される抗原を認識することである。これが起こらない場合、次にさらなる反応が起こらない。さらに、免疫応答の誘導のため、T細胞表面におけるCD28受容体と危険として抗原構造を分類したときのみAPCにおいて発現されるB7の相互作用を有することは絶対的に必須である。最低限の免疫原性のみを有するワクチン接種抗原でのワクチン接種の場合、B7とCD28の間の連絡の相互作用を介する共刺激が起こらず、次に免疫応答を引き起こさないが、代わりにT細胞レベルにおいて耐性の発生を引き起こす。しかしながら、共刺激の必要性は酵素E3−ユビキチンリガーゼCbl−bをオフにすることにより迂回することができることが証明されている。この酵素が免疫反応のコントロールにおける決定的なスイッチである(Chiang et al., J Clin Invest (2007) doi:10.1172/JCI29472)。しかしながら、Cbl−bの非存在下において、高い免疫原性である投与される物質は強い免疫応答の誘導を引き起こし得る。さらに、Cbl−b−欠損マウス(ホモ接合型遺伝子ノックアウト)は生存可能であり、それらの免疫系は効率的に自己誘発腫瘍を認識し、主にCD8+T細胞に基づく溶解免疫応答を構築することができる(Loeser et al., JEM (2007) doi:10.1084/iem.20061699)。しかしながら、記載されている酵素の完全な除去はスーパー抗原の免疫後の自己免疫の増加も引き起こす。したがって、Loeser et al.は、負の調節因子としてCbl−bがT細胞の“免疫反応”に関与することを示すことができている。
【0003】
特定の遺伝子発現の減衰のためのSiRNA技術は、また、すでに低い効率を有するCbl−bに関して記載している。US2007/0087988はHPK1を調節するための方法、この発現をCbl−b発現を増加させることにより増加させることができる(逆もまた同様(例えば、Cbl−b siRNAの阻害により))ことに関する。
【0004】
US2007/00543355はCbl−bペプチドおよびCbl−b−関連タンパク質、特にPOSHならびにCbl−b−関連疾患の処置のためのそれらの使用を記載している。
【0005】
WO2004/078130A2はPOSH−関連疾患、例えば、ウイルス性疾患、癌および神経障害の処置のための組成物に関する。POSHはCbl−bを含む複数のPOSH−関連タンパク質と共に利用することができる。
【0006】
US2006/0292119A1は細胞における負の免疫調節因子の阻害により免疫細胞の免疫応答を増加させる方法に関する。このような負の免疫調節因子は、例えば、ユビキチン化、脱ユビキチン化およびスモイル化による分子安定性と関連するタンパク質ならびにNFkB阻害因子の発現を阻害する転写因子またはNFkB標的遺伝子の転写の抑制因子から選択される。
【0007】
しかしながら、臨床的適用のためのCbl−bメディエーターの使用は記載されていない。したがって、本発明の1つの目的は、免疫反応を調節するための方法を利用できるようにし、実用化することである。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明は免疫系の細胞のCbl−b機能を減少させるか、または阻害して、それにより抗原に対する細胞の免疫反応を増加させることを含む、抗原と接触した免疫系の細胞の免疫反応を増加させるインビトロまたはエキソビボにおける方法に関する。
【0009】
Cbl−b遺伝子およびその遺伝子産物は関連分野において詳細に記載されている(UniGene Id. Hs.3144 and Hs. 381921)。Cbl−b配列は、例えば、アクセッション番号NM_008279およびNP_009112の下に、GenBankデータベースにおいて公開されている。抗−Cbl−b抗体、siRNAおよびアンチセンス阻害因子は市販されている。特定のsiRNAはCbl−b発現、したがってCbl−b機能をも減少させるか、または阻害するために適当であり、混合RNA/DNAヌクレオチドと共にUS21007/0054355に記載されており、例えば、約20塩基長である。
【0010】
自己免疫反応の誘導を引き起こすことができる免疫系の過剰反応の危険性を中和するために、例えば、T細胞におけるCbl−b機能の阻害/ノックアウトを正確に定義された期間においてのみ実施することができる。したがって、与えられた免疫抗原に対して特異的な免疫応答の発生をサポートするための限定された期間のみ、制御されている方法においてCbl−bを軽減するが、即座に“正常”の免疫学的状態に回復させることにより自己免疫性疾患を防止することが、アジュバント治療的ワクチン接種アプローチのために必須である。したがって、本発明にしたがって、免疫系の単離された細胞の特定の選択物のみをインビトロまたはエキソビボにて処理し、次に患者に戻す。したがって、インビトロまたはエキソビボにおける効率的なCbl−b減衰のための1つのアプローチは、免疫反応を増加させるための必須条件である。
【0011】
Cbl−b機能をCbl−bの発現を減少させるか、または阻害することにより、好ましくは減少させるか、または阻害する。減少または阻害なる用語は、機能の完全な阻害までの、変化していない天然機能と比較してCbl−bの機能(および/または発現)における減少に関する。機能(および/または発現)を好ましくは少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%減少させる。
【0012】
好ましい態様において、Cbl−bの機能を好ましくは一時的に減少させるか、または阻害する。言い換えれば、該機能を上記のとおり一時的にのみ減少させ、次に、例えば、阻害因子、例えば、Cbl−b siRNAの消費もしくは崩壊または非−Cbl−b−異常細胞の新生(インビボ)により回復することができる。免疫細胞におけるCbl−bの一時的な減少も、例えば、治療的成功が達成されるまで、繰り返し達成することができる。
【0013】
Cbl−bの発現を好ましくはCbl−bアンチセンスRNAまたはsiRNAを使用することにより減少させるか、または阻害する。この目的のため、それら同士がハイブリダイズし、それによりそれらを不活性化できるように、標的(Cbl−b)mRNA配列の部分に相補的である短鎖DNAおよび/またはRNA配列を使用する。これらの配列の長さは好ましくは少なくとも15、18、20、22、25、28、30、35、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180または200塩基、最大で完全な標的配列、好ましくは最大で2502、2000、1500、1000、500または300塩基である。配列番号1、2、3、4、5、6、7および/または8の配列を好ましくは使用する。
【0014】
同様に、Cbl−bの機能を複数の他の既知の因子により、例えば、Cbl−bアンタゴニスト因子、阻害因子、特にアプタマーまたはイントラマーを使用することにより、減少させるか、または阻害することができる。Cbl−bの効果および/または機能を抑制するすべてのアンタゴニスト因子または阻害因子が、また、細胞の免疫反応を増加させるために本発明にしたがって使用され得る。アンタゴニスト因子または阻害因子は、好ましくはインビトロ、エキソビボ、または、さらにインビボにて免疫系の細胞の免疫反応性を増加させるための医薬品を製造するために使用される。これは、抑制された、または非効率的な免疫系を有する疾患、特に癌の処置、ならびにインビボまたはエキソビボにて免疫系の細胞と接触させることができる(ワクチン接種)抗原に対する免疫応答の増加を可能にする。
【0015】
本発明は、また、特にc−CblアンチセンスRNAまたはsiRNAを使用することにより、好ましくは一時的な減少または阻害により、細胞のc−Cbl機能を減少させるか、または阻害して、抗原に対する細胞の免疫反応を減少させることを含む、免疫系の細胞の免疫反応を減少させる方法に関する。免疫反応を増加させるために、Cbl−bと一緒にc−Cblを軽減することは絶対的に必要ではない。実施例に示されているとおり、代わりにc−Cblの減衰はCbl−bの阻害により達成される効果の逆転を引き起こす。したがって、Cbl−bおよびc−Cblはアンタゴニスト機能を有する。C−Cblは、また、その減衰が免疫寛容の増加を引き起こすという、T細胞反応性の微調節においてこれまでに未知の機能を果たす。したがって、c−Cbl機能の減少または阻害は免疫抑制に対して適当であり、したがって、例えば、炎症またはアレルギーにおいてその使用を可能にする。減衰の程度および方向がCbl−bおよび/またはc−Cbl(本明細書に記載されているCbl−bと類似)の減少または阻害において用量に依存するため、両方の因子を一緒にこれらの機能において減少させ得る。免疫反応を増加させるために、Cbl−bの減少はc−Cblの減少より重要である(逆もまた同様)。C−CblアンチセンスまたはsiRNAはCbl−bに対する上記のものと同じ配列系を有し得る。配列番号9、10、11、12、13、14、15および/または16の配列を好ましくは使用する。
【0016】
特別な態様において、抗原を取り込み、好ましくは抗原フラグメントを提示するか、または、より良くは、HLAに関連する抗原フラグメントを認識し、それにより活性化される細胞を特に使用する。
【0017】
好ましい態様において、本発明において使用される細胞は、抗原提示細胞、PBMC(末梢血単核細胞)、T−リンパ球、B−リンパ球、単球、マクロファージおよび/または樹状細胞、特にT−リンパ球、CD8+T−リンパ球、CD4+T−リンパ球、特にTh1、Th2、Th17、Tregs(制御性T細胞)またはCTL(細胞毒性T細胞)、NK細胞またはNKT細胞である。同様に、一般的にCD3/CD19−陰性リンパ球も使用することができる。NK細胞はとりわけそれらの好ましいグループを形成する。抗原は好ましくは細胞に取り込まれ、そして細胞は抗原、好ましくは抗原フラグメントを提示する。PBMCおよびT細胞は、とりわけ強い抗原−特異的反応を誘導するために処置に対する組合せにおいてとりわけ好ましい。他の態様において、特に免疫反応を全体的に増加するために(例えば、免疫不全を処置するために)、種々のT細胞は単独にて広範な効果を達成するために十分である。本発明の免疫反応の増加は好ましくはこれらの細胞、特にCD8またはCD4細胞ならびにNKおよび/またはNKT細胞が介在する。
【0018】
エレクトロポレーションは好ましくは細胞、特にT細胞またはNK細胞のCbl−b阻害因子、例えば、Cbl−b siRNAまたはノックアウトCbl−b構築物とのトランスフェクションのために使用される。トランスフェクション、すなわち、Cbl−bの阻害を引き起こすあらゆる培地がこの目的のために適当である。Optimem(Gibco、#31985−047)はこのような培地の1つの例である。
【0019】
加えて、細胞を、また、免疫刺激物質、例えば、免疫刺激サイトカインまたは他の免疫刺激受容体(例えば、TLR、トール様受容体)のリガンドまたは表面分子、好ましくはCD3および/またはCD28に対する抗体にて処理、すなわち、刺激し、細胞による免疫応答を促進し得る。
【0020】
Cbl−bの阻害は、また、樹状細胞ワクチン接種、好ましくは抗腫瘍ワクチン接種の一部として使用され得る。
【0021】
あるいは、および/または、加えて、Cbl−b−阻害細胞と好ましくは腫瘍(細胞)抗原にて負荷された、患者から得られる樹状細胞のインビトロ共培養を阻害する細胞も本発明の目的のための共培養に使用することが可能である。
【0022】
本明細書において使用される“ワクチン接種”は、絶対的な感覚にて−すなわち、免疫系により絶対的な保護を引き起こす免疫原の投与−ではなく、むしろ免疫学的投与として免疫系による保護を増加させる、および/またはワクチン抗原に対する免疫系、特にそれらの細胞を活性化するとして理解するべきである。
【0023】
1つの特定の局面において、本発明は、患者の免疫系の細胞を単離し、Cbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子を使用することによりインビトロまたはエキソビボにおける免疫反応を増加させ、そして患者に細胞を再移植することを含む、患者における抗原に対する免疫反応を増加させる、および/または免疫反応それ自体を増加させるための医薬組成物の製造のためのCbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子の使用であって、免疫反応は細胞のCbl−b機能の減少または阻害により増加される使用に関する。
【0024】
ワクチン接種、抗原の投与と同時に、好ましくは限定された期間の免疫反応の増加の実行は、循環T細胞のごく一部においてCbl−b発現を減少させることにより誘導することができる。PBMC(末梢血単核細胞)は患者の骨髄からの全血および/または血液細胞および腫瘍組織それ自体(TIL)から得られ、理想的にはあらかじめ数日間、例えば、5日間免疫化され、インビトロまたはエキソビボにてCbl−b−特異的siRNA減衰バッチで処理されている。この方法は非常に迅速に実施される。理想的な場合において、この細胞製造物は取り出されたほんの数分後に再び患者に投与され得る。細胞は所望により細胞が再移植される前にそれぞれの細胞に対して適当であるエキソ−ビボ−刺激プロトコールにより増殖または拡大され得る。ほんの数パーセントの患者のT細胞集団を示すインビトロにて活性化されたT細胞は、受容者で循環している間にリンパ節において抗原提示細胞と出会うと、これらの抗原提示細胞はすでに起こっている免疫により抗原を取り込み、そこに移動する。インビトロにて処理されたT細胞は共刺激シグナルを必要としないため、それらは免疫抗原の認識後に即座に急増し、細胞レベルおよび体液レベルの両方における免疫応答の誘導に全身的に寄与するサイトカインを分泌する。このバッチによって、弱い免疫原性抗原でさえ長期免疫保護の確立を引き起こす。同様に、癌患者における自己腫瘍の拒絶反応はこの方法において誘導することができる。受動免疫法、例えば、腫瘍−抗原−特異的抗体と組み合わせた化学療法/放射線治療の一つおよび/または同時のいずれかにて使用され、Cbl−bアンタゴニスト因子は免疫反応を増加させる。
【0025】
したがって、この方法を、所望により疾患特異的抗原の選択と共に先天性または後天性免疫不全、特にAIDS、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、薬物誘導免疫抑制または癌を処置するために使用する。固形腫瘍を含む癌の処置が特に好ましい。
【0026】
処置の成功のチャンスを増加させるため、癌の処置は好ましくは別の抗腫瘍治療、特に化学療法、放射線治療、治療的生体細胞または樹状細胞(腫瘍)ワクチン接種の投与と組み合わせて投与される。Cbl−bの阻害を樹状細胞ワクチン接種、好ましくは抗腫瘍ワクチン接種の一部として使用することができる。あるいは、および/または加えて、Cbl−b−阻害細胞と好ましくは腫瘍(細胞)抗原にて負荷された、患者から得られる樹状細胞のインビトロ共培養ならびに本発明の目的のための共培養の使用も可能である。
【0027】
インビトロまたはエキソビボにおける免疫反応の増加は上記のとおりの治療方法において実施され得、細胞は細胞の除去前または後に所望により抗原に暴露される。
【0028】
免疫抗原の提示、抗原提示細胞によるそれらの摂取およびさらに取り込まれた物質を活性化T細胞に提示する局所リンパ節へのこれらの細胞の移動の時間的順序も、治療的実施において重要である。したがって、患者は、より好ましくは細胞の単離前、特に好ましくは細胞の単離の少なくとも1、2、3、4または5日および/または最大20、16、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1週間前に好ましくは抗原を接種する。あるいは、インビトロまたはエキソビボにおける抗原を有する細胞の次のワクチン接種または処理も可能にする。
【0029】
加えて、好ましくは患者由来であり、対応する抗原と接触し、次にCbl−b−阻害免疫細胞、好ましくはT細胞の投与と一緒または投与のすぐ前もしくは後のいずれかにて特異的な免疫反応の増加に寄与することができる、抗原提示細胞も使用することができる。
【0030】
該細胞は好ましくは特定の抗原または特定の抗原を含む細胞に対して特異的であり、抗原の特異性または存在に対して選択され、選択された細胞の免疫反応を増加させる。免疫を増加させる特異性を有する特定の抗原および/または細胞の選択を介して、免疫応答は標的方法で患者における特定の標的に対して指向させることができる。このような標的は特に腫瘍(少なくとも1個以上の腫瘍抗原の選択を介する)または病原体である。
【0031】
細胞の分離と平行して、トランスフェクションバッチにおける対応するsiRNAが同じ滅菌使い捨てチューブ中に置かれていることが考えられる。したがって、他の局面において、本発明は、特に抗原に対する免疫系の細胞の免疫反応を増加させるためのCbl−b阻害因子を含む、好ましくは滅菌容器、例えば、使い捨てチューブに関する。
【0032】
同様に、本発明は、特に本発明の方法により抗原に対する免疫系の細胞の免疫反応を増加させるための、免疫系の細胞を保持するための容器、特に使い捨てチューブ、ならびにCbl−b阻害因子、例えば、siRNAを含むキットを提供する。
【0033】
容器および/またはキットは、また、さらに刺激を増加させるための、免疫刺激物質、好ましくはサイトカインまたは他の受容体(例えば、TLR)のリガンドまたは表面分子、好ましくはCD3および/またはCD28に対する抗体を含み得る。同様に、キットまたは容器は、また、安定化成分、培地またはバッファー(細胞の安定化のため)、トランスフェクションまたはヌクレオフェクション(nucleofection)溶液、好ましくは細胞培地、例えば、RPMIまたはOptimemを含み得る。
【0034】
本発明は下記図および実施例(それらに限定されない)により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は共刺激による(a)、Cbl−b発現の減衰の場合において、T細胞受容体の単独刺激による(c)、通常、活性化を引き起こさない(b)T細胞活性化の簡略化された概略図を示す;
【0036】
【図2】図2はCbl−b発現のウエスタンブロット分析を示す。CD8+細胞をヒトPBMCから単離し、Cbl−b−siRNAにてトランスフェクトし、培地に維持し、そして抗−CD3刺激または抗−CD3および抗−CD28刺激後に刺激なしの対照グループと比較した。Fynをローディング対照として使用した;
【0037】
【図3】図3はsiRNA処理2日後のヒトCD8+細胞のIFN−γ分泌を示す。IFN−γ濃度を刺激(培地)なし(左)、CD3−特異的共刺激(中央)後またはCD3およびCD28−特異的共刺激(右)後のCD8+T細胞の上清において測定した。非特異的siRNA(1つ目の棒)、Cbl−b−特異的siRNA(2つ目の棒)、c−Cbl−特異的siRNA(3つ目の棒)ならびにCbl−b−特異的およびc−Cbl−特異的siRNA(4つ目の棒)の手段によりトランスフェクトされた2日齢細胞集団を比較した;
【0038】
【図4】図4はsiRNA処理20日後のヒトCD8+細胞のIL−2分泌を示す。IL−2濃度を刺激(培地)なし(左)、CD3−特異的刺激(中央)後またはCD3およびCD28−特異的共刺激(右)後のCD8+T細胞の上清において測定した。非特異的siRNA(1つ目の棒)、Cbl−b−特異的siRNA(2つ目の棒)、c−Cbl−特異的siRNA(3つ目の棒)ならびにCbl−b−特異的およびc−Cbl−特異的siRNA(4つ目の棒)の手段によりトランスフェクトされた2日齢細胞集団を比較した;
【0039】
【図5】図5は免疫反応を増加させるためのインビトロCbl−b減衰バッチの時間的順序を示す;
【0040】
【図6】図6はPBMCから単離されたヒトT細胞によるsiRNA摂取(A)およびCD8−細胞−枯渇PBMCによるsiRNA摂取(B)を示す;
【0041】
【図7】図7はRNAi後のCbl−b mRNA発現(A)およびウエスタンブロットにおけるRNAi後の生産されたCbl−b タンパク質の量(B)を示す;
【0042】
【図8】図8はCbl−b阻害後のIFN−γ、TNF−α、IL−2生産を示す;
【0043】
【図9】図9は時間プロフィールとしてCbl−b阻害後のIFN−γ生産を示す;
【0044】
【図10】図10はCD107a+CD69(A)、CD107a、CD3、CD40L、ICAM(B)マーカー発現により測定されるT細胞反応性の増加を示す。
【0045】
【図11】図11Aは治療用CD8細胞におけるCbl−b抑制有り/無しの処理後のマウスにおける腫瘍成長;Bは処理後のEG7ova腫瘍を有するマウスの死亡率を示す。
【実施例】
【0046】
実施例:
実施例1:配列
以下のsiRNA配列を、単独または組み合わせて、Cbl−bを阻害するために使用した:
1. センス配列:
G.A.A.C.A.U.C.A.C.A.G.G.A.C.U.A.U.G.A.U.U(配列番号1)
アンチセンス配列:
5’−P.U.C.A.U.A.G.U.C.C.U.G.U.G.A.U.G.U.U.C.U.U(配列番号2)
2. センス配列:
G.U.A.C.U.G.G.U.C.C.G.U.U.A.G.C.A.A.A.U.U(配列番号3)
アンチセンス配列:
5’−P.U.U.U.G.C.U.A.A.C.G.G.A.C.C.A.G.U.A.C.U.U(配列番号4)
3. センス配列:
G.G.U.C.G.A.A.U.U.U.U.G.G.G.U.A.U.U.A.U.U(配列番号5)
アンチセンス配列:
5’−P.U.A.A.U.A.C.C.C.A.A.A.A.U.U.C.G.A.C.C.U.U(配列番号6)
4. センス配列:
U.A.U.C.A.G.C.A.U.U.U.A.C.G.A.C.U.U.A.U.U(配列番号7)
アンチセンス配列:
5’−P.U.A.A.G.U.C.G.U.A.A.A.U.G.C.U.G.A.U.A.U.U(配列番号8)
以下のsiRNA配列を、単独または組み合わせて、c−Cblを阻害するために使用した:
1. センス配列
A.A.U.C.A.A.C.U.C.U.G.A.A.C.G.G.A.A.A.U.U(配列番号9)
アンチセンス配列
5’−P.U.U.U.C.C.G.U.U.C.A.G.A.G.U.U.G.A.U.U.U.U(配列番号10)
2. センス配列
G.A.C.A.A.U.C.C.C.U.C.A.C.A.A.U.A.A.A.U.U (配列番号11)
アンチセンス配列
5’−P.U.U.U.A.U.U.G.U.G.A.G.G.G.A.U.U.G.U.C.U.U(配列番号12)
3. センス配列
U.A.G.C.C.C.A.C.C.U.U.A.U.A.U.C.U.U.A.U.U(配列番号13)
アンチセンス配列
5’−P.U.A.A.G.A.U.A.U.A.A.G.G.U.G.G.G.C.U.A.U.U(配列番号14)
4. センス配列
G.G.A.G.A.C.A.C.A.U.U.U.C.G.G.A.U.U.A.U.U(配列番号15)
アンチセンス配列
5’−P.U.A.A.U.C.C.G.A.A.A.U.G.U.G.U.C.U.C.C.U.U(配列番号16)
【0047】
実施例2:Cbl−b発現における一時的な減少
この実施例において、T細胞の免疫反応がエキソビボにて影響され得ることを示す。
全血をCPTチューブ(Vacutainer)を使用することによりドナーから取り出し、PBMCを遠心分離により分離した。別の工程において、この製造物からCD8+細胞を濃縮した。これらをAmaxaトランスフェクション装置(実施例3に詳細なプロトコール)を使用するCbl−b−特異的siRNAの手段によりトランスフェクトし、さらに培養した。非特異的siRNAを有する同一のバッチをCbl−b−特異的siRNAの手段により同一のプロトコールを使用してトランスフェクトし、対照としてさらに培養した。Cbl−bおよびc−Cblの機能の可能性のある重複を推測するため、他の2つのバッチをc−Cbl−特異的siRNAならびにc−Cbl−特異的およびCbl−b−特異的siRNAの組合せにより処理した。すべてのバッチを2日間培養した。トランスフェクションがCbl−b発現の所望の減衰を引き起こした事実は、後のウエスタンブロット分析により証明した。Cbl−b発現を誘導するために、培養物をCD3にて、別のバッチにおいてCD3−特異的およびCD28−特異的抗体にて刺激した。すべての実験において、トランスフェクトされた製造物におけるCbl−b発現は、図2に示されるとおり、対照トランスフェクションの強度の5%未満にさせた。siRNAの安定性および結果としての発現の効率的な抑制は限定期間であり、他の細胞に伝達されないため、選択されるバッチはCbl−b発現の一時的な減衰であり、これはCbl−b siRNAの存在に正確に拘束されている。
【0048】
実施例3:トランスフェクションプロトコール
ヒトT細胞におけるsiRNAのヌクレオフェクション
ヌクレオフェクションを別のラボアシスタントと共に行うことにより実施する。一人がsiRNAオリゴのピペッティングを行い、もう一人が試料を培養培地に移す。これは該処理を有意に加速させる。
1. 細胞のための培地を製造する、RPMI(+pen/strep、+L−glut、+10%FCS)。
2. 培養培地を少なくとも2つの50mLFalconチューブ/構造物に(ヌクレオフェクトされた細胞を回収するために1つ、および細胞洗浄培地のために1つ)ピペットで取り、そして1mL/Lのヌクレオフェクション試料をそれぞれのチューブにピペットで取る。チューブを37℃にさらす。
3. それぞれのヌクレオフェクション試料に対してEppendorfチューブに印を付ける。
4. 7分間ヌクレオフェクト細胞を遠心し(410g)、上清を取り除く。Optimem(Gibco、#31985−047)を加える。
5. 細胞密度が40×106/mLとなる。それぞれのEppendorfチューブに100μL(=4×106細胞)をピペットで取る。
6. ヌクレオフェクション直前に1.5−2.5μMのsiRNA−オリゴを細胞を含むEppendorfチューブに加える。ピペッティングにより混合し、溶液を細胞に移す(気泡を発生させない)。テーブルに細胞を軽くたたき、気泡を取り除く。
7. ふたを閉め、細胞をAmaxaトランスフェクションデバイス(electroporator)に置く。(Optimem Nucleofector溶液を使用して最良の選択としてProgram U−14を行い、V−24は行わない)。x−ボタンを押し、OKシグナル後に細胞を取り出す。(次のエレクトロポレーション前に再びx−ボタンを押す)。
8. 即座に500μLのRPMI(37℃)をヌクレオフェクション細胞に加え、パスツールピペットを使用してピペッティングすることにより注意深く混合する。細胞を回収するFalconチューブに移す。細胞を500μLのあらかじめ加熱したRPMIにて1回洗浄し、細胞の残りを回収するFalconチューブに移す。
9. それぞれのサンプルにおいて工程5−7を繰り返す。
10. すべての試料がヌクレオフェクトされるまでFalconチューブをインキュベーターに置く。
11. 4mLの細胞懸濁液を6−ウェルプレートウェル(=2試料)にピペットで取り、プレートをインキュベーターに置く。
12. 次の日、細胞を回収し、それらをカウントし、上記のとおりに実施されたヌクレオフェクション後24時間の培養を開始する。RNAの単離のために一定量の細胞を取り、標的遺伝子が活性化の時点で下方調節されているかどうかをチェックする。タンパク質試料をタンパク質発現動力学に基づいて取る。
【0049】
実施例4:ヌクレオフェクション効率
CD8+を上記のとおりヒト末梢血から単離した。ネガティブ選択をビーズを使用して実施した。
結果(Amaxa comparison):
集団の純度:CD8+ 97%(FACS)
【表1】
Optimemでの実験:
【表2】
したがって、確かにCbl−bの発現の減少をタンパク質化学において検出した。
【0050】
実施例5:T細胞反応性の一時的な増加−IFN−γの測定
したがって、ヒトCD8+細胞におけるCbl−b発現を効率において少なくとも95%抑制することができることを証明した。別の結果として、今回、T細胞集団の反応性も増加させることができることを証明した。所望の効果がもっぱらCbl−b−特異的であり、所望の効果をc−CblによるCbl−b発現の減衰の場合には迂回することができないことを確認するため、別のアプローチにおいてc−Cblを軽減させ、そして第3のバッチにおいてc−CblおよびCbl−bを軽減させた。すべてのこれらのCD8+細胞培養物を2日間培養し、CD3、また、CD3およびCD28により刺激し、非刺激グループと比較した。通常、T細胞は急増するためにCD3およびCD28の共刺激が必要であり、これは培養物の上清における炎症性サイトカインの分泌により容易に検出することができる。このT細胞活性化を検出するために、上清におけるIFN−γ力価を測定した。T細胞反応性におけるsiRNA処理による発現の減衰の影響の図を図3に示す。トランスフェクション2日後、すべてのCD8+細胞培養物をCbl−bおよび/またはc−Cbl−特異的siRNAにてトランスフェクトし、記載されているとおりに刺激し、非特異的siRNAにてトランスフェクトした対照グループと比較した。非刺激細胞は本質的にIFN−γ発現をしなかった。CD3のみ刺激後、すべての培養物は、少なくとも500pg/mLのIFN−γを上清において検出できるように、高められた反応性を有した。c−Cbl−特異的siRNAおよび非特異的にトランスフェクトされた細胞に対するシグナルは非常に類似する(低い)ものであった。Cbl−b−特異的siRNAにてトランスフェクトされた細胞のみが、約3ng/mLのIFN−γ力価と関連する非常に高い反応性を有した。しかしながら、c−Cbl−およびCbl−b−特異的siRNAにより共トランスフェクトされた細胞製造物の反応性は、Cbl−b−特異的siRNA処理後のものより低く、わずか1.2ng/mLであった。すべての場合において、CD3−およびCD28−特異的共刺激は、予想通り、CD3−特異的刺激のみよりも確かに高いシグナルを生じた。非特異的siRNAにて処理された対照製造物は1.2ng/mLの量のIFN−γ力価を生じたが、Cbl−b−特異的siRNAにて処理された培養物は3.8ng/mLのIFN−γ濃度を有した。Cbl−bおよびc−Cbl−特異的に共軽減された培養物は、Cbl−b−軽減されたグループのものよりもさらに低い1.7ng/mLの力価を有したことは、注目すべきものであった。c−Cbl−特異的siRNAにて処理された細胞集団が有意に低い反応性を有し、わずか500pg/mLのIFN−γが上清において測定されたことも予期しないことであった。この濃度は非特異的に処理された共刺激された対照グループのものより有意に低く、抗−CD3のみにて刺激された対照グループの値に相当する。したがって、マウス系と対照的に、ヒトCD8+T細胞におけるCbl−bおよびc−Cblの冗長は実験的に排除され、Cbl−b(および、その上流調節因子)を介するが、Cbl−b/c−Cbl組合せを介さない治療的アプローチが免疫反応を増加させるために適当である。しかしながら、c−Cblの阻害は他の適用のための免疫−抑制、例えば、炎症またはアレルギーの処置を可能にする。
【0051】
単剤治療またはワクチン接種との組合せのいずれかとして設計されるこの同時治療的アプローチは、また、末梢にて播種性腫瘍細胞を認識し、免疫応答を構築することにより結局はそれらと闘うことができる。癌を診断された後即座に使用するとき、原発性腫瘍の転移もそれにより防止される。
【0052】
実施例6:T細胞反応性の一時的な増加−IL−2の測定
図4から見られるとおり、非常に類似した結果が同じ上清におけるIL−2濃度を測定することにより得られた。刺激なしで測定できる応答はないが、抗−CD3−特異的処理はすべてのグループにおいて確かに測定できるシグナルを誘導した。したがって、>200pg/mLがCbl−b−軽減されたグループにおいて測定された。Cbl−bおよびc−Cbl−共軽減された集団におけるIL−2濃度は再び低く、<100pg/mLであった。抗−CD3および抗−CD28−特異的共刺激は同様に高いシグナルを生じた。>800pg/mLのIL−2濃度をsiRNA処理にかかわらずすべてのグループにおいて測定した。対照グループは1.3および1.4ng/mLのCbl−b−軽減された力価と非常に類似した力価を生じた。このアプローチにおいてc−Cblのみを一つだけで使用するか、またはc−CblをCbl−bと共に使用するかどうかにかかわらず、c−Cbl−特異的減衰後のIL−2濃度が非常に低く、ほんの800pg/mLであったことは興味深い。
【0053】
実施例7:免疫反応の一時的な増加
インビトロまたはエキソビボ処理により、T細胞反応性を効率的に増加させ、T細胞受容体のみの刺激を介して、T細胞の増殖を誘導することを可能にする。これは本明細書に記載されている治療的アプローチのための必須条件である。この減衰はRNAi技術の使用による一時的な性質である。
これらの修飾された細胞の適用は、ワクチンの免疫原性を増加させ、そして、一般的に免疫系の反応性を増加させるために役立つ。基礎免疫の5日後、全血をCPTチューブにおいて患者から取る。約20分後、PBMCを遠心分離により単離する。細胞製造物をCbl−b−特異的siRNAにてトランスフェクトし、その後即座に患者に再移植する。10日目、再び全血を取り、血清を抽出した。炎症前サイトカイン力価をこの血清において測定し、対照グループと比較した。誘導された免疫応答の性質は、また、Th1−制御された免疫応答の細胞配向(IFN−γ、IL−2およびIL12力価の増加)またはTh2−指向免疫応答における液性傾向(IL4、IL5およびIL10力価の増加)に関して分析される。必要なとき、PBMC治療を有するか、または有さない他の追加免疫を14日間隔にて実施する(図5)。
【0054】
実施例8:CD4T細胞およびCD19B−細胞のヌクレオフェクション
PBMCを上記のとおりに単離し、実施例3(U14)と同じ条件下においてトランスフェクトした。トランスフェクションに対して使用されるオリゴ(siGLO red)を2μMの濃度において使用し、そして特定の摂取をFACSにより検出した;CD4およびCD8細胞の区別をCD8−TIFCおよびCD3−APCにて同時二重染色により実施した(図6A)。
PBMCを上記のとおりに製造し、それらのCD8細胞を単離した。次に残りのCD8−ネガティブ細胞を(3.3μMのオリゴ濃度を有するが)上記のとおりにsiGLO redにて再びトランスフェクトした。特定の摂取をCD3−FITCおよびCD19−APCにて同時二重染色によりFACSにより検出した(図6B)。使用されるオリゴの効率的な摂取が、また、主にNK細胞からなるCD3/CD19−ネガティブリンパ球の画分において起こったことを、この実験において観察されたことは興味があることである。
したがって、この実施例は、他の免疫細胞を、また、CD8細胞と同じトランスフェクション条件下において非常に効率的にトランスフェクトすることができることを示す。
【0055】
実施例9:mRNAおよびタンパク質レベルにおけるヒトCD4細胞におけるCbl−b発現の一時的な減少
CD4細胞をCD8細胞の枯渇によりPBMCから単離し、PHA/抗−CD3/28刺激により培養した。2週間後、これらのCD4細胞にAmaxaトランスフェクションプロトコールを使用してCbl−b−特異的siRNAをトランスフェクトした(実施例3および8、参照)。同一のバッチに対照バッチとして同一のプロトコールを使用して非特異的siRNAをトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を1日以上、IL−2(5ng/mL)と培養し、次の日、抗−CD3/28にて刺激した。
トランスフェクトされた製造物におけるCbl−b mRNA発現は刺激されたCD4細胞における対照トランスフェクションと比較して、24時間にて約85%減少した(図7A)。Cbl−b mRNAにおける急激な減少は、ウエスタンブロットにおいて検出されるCbl−bのタンパク質の量において比較的強い減少と相関した(図7B)。
【0056】
実施例10:CD4T細胞反応性の増加−抗腫瘍活性を有するサイトカインの測定
T細胞−介在免疫応答におけるCD4−細胞の主な役割の1つは炎症性サイトカインの生産である。本明細書では特にサイトカインIL−2、IFN−γおよびTNF−αを挙げられている。
したがって、これらの3つのサイトカインの発現をELISAにより同定した。抗−CD2/28刺激の24時間後、これら3つのサイトカインはヒトCbl−b−サイレンスCD4T細胞において有意に増加した(図8)。
【0057】
実施例11:抗腫瘍活性を有するサイトカインの生産の増加を介するCD4T細胞反応性における増加の一時的な進行
Cbl−b−サイレンスT細胞の効率的な抗腫瘍活性を達成するために、T細胞刺激後の特定の期間にわたって維持することもサイトカイン生産の増加のために重要である。しかしながら、この期間は、また、患者の非悪性組織に対して望ましくない自己免疫を永久に確立する危険性を最小化するために限定すべきである。
【0058】
したがって、IFN−γの生産も種々の時間点においてFACSにおける細胞内染色により分析した。図9の線図は、IFN−γの著しい増加が少なくとも48時間維持され、刺激6日後にそれが対照のレベルに相当するところまで戻ったことを明白に示す。
【0059】
実施例12:T細胞反応性の増加−機能特性および/または刺激マーカー機能を有する表面分子の発現の増加
ヒトT細胞におけるCbl−bの機能的に成功したサイレンシングに対するマーカーとしてのサイトカイン生産のそれぞれの測定は技術的にかなり複雑であり、したがって、それは時間的に近いため、実行不可能な傾向にある。したがって、FACSによる機能的に重要な表面マーカーの発現も測定した。
【0060】
CD107aは細胞毒性T細胞の分泌活性に対する表面マーカーとして本明細書において定義され、したがってCD107aを抗−CD3/28刺激の24時間後にCbl−b−抑制されたCD8T細胞において測定した。したがって、Cbl−b siRNAにてトランスフェクトされたT細胞は非常に増加した分泌活性を現した(図10A)。
【0061】
CD107a分子がT細胞における小胞輸送と関連しているため、それはCD4T細胞の分泌活性に対する主マーカーとしても使用され得る。図10Bは、Cbl−b−siRNA−トランスフェクト細胞におけるCD107aの発現が、また、それ以外は同じように処理された対照細胞と比較して有意であったことを示す。
【0062】
CD40LおよびICAMは、T細胞刺激により誘導され得る2つの他の表面分子である。これらの2つの分子(特に抗原提示細胞とB−細胞の刺激/増殖の相互作用に関するCD40L、抗原提示細胞と血管系から(悪性)組織への移動の相互作用に関するICAM)は機能的関連性の分子である。図10Bはこれらの2つの表面分子の発現がCbl−b−siRNA−トランスフェクトされたヒトCD4T細胞において有意に増加したことを示す。
【0063】
T細胞反応性の増加に関与するここに記載されているメカニズムの1つは、細胞表面におけるCD3−受容体のあまり顕著でない減衰である。図10Bはさらに細胞表面におけるCD3受容体の量がCbl−b−siRNA−トランスフェクトされたヒトCD4T細胞において確かに増加したことを示す。
【0064】
従来のT細胞活性化マーカーCD69の細胞表面発現が、また、確かに増加したが、CD25の発現は変化していないままであることは興味深い。これは、CD25が、また、刺激マーカーとして定義されるが、その機能はとりわけいわゆるT−制御性細胞の存在および生存と関連するため、特定の機能的関連性であるかもしれない。
【0065】
全体的に、図10は、したがって、さらに機能的に重要な分子または表面マーカーとして働く分子をCbl−b−siRNAトランスフェクションにより細胞表面において明白に多量に検出することができることを示す。
【0066】
実施例13:Cbl−b−欠損T細胞および樹状細胞の関節移植はインビボ腫瘍モデルにおける有効な治療的方法である。
腫瘍を0.1ミリオンのEG7ova細胞の皮下注射により野生型マウスにおいて誘導させた。次にCD8T細胞および樹状細胞を5および6日目に注入し、この養子細胞治療の効果を腫瘍の成長を測定することにより連続的に追跡した。図11Aは、腫瘍成長をCbl−b−欠損T細胞の移植により野生型T細胞よりも非常に強く長期間にわたって抑制することができることを示す。
【0067】
図11Bは、また、Cbl−b−欠損T細胞における処理が80日間の観察の終わりまで処理された大部分のマウスの長期生存を保証したことを示す。それとは対照的に、野生型T細胞における処理は、対照グループと比較して、平均寿命をほんのわずかに長く誘導した。したがって、図11Bは、Cbl−b−欠損または抑制T細胞における処理が正常T細胞における処理と比較して顕著な利点を有することを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞の免疫応答を調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
能動免疫はとても危うい感染症に対する総合的な戦いを初めて可能にさせ、いくつかの場合において、安価な非常に効率的な内因性防御メカニズムを使用して世界的な根絶を達成さえさせた。したがって、努力が種々の適応症に対する予防的および治療的ワクチン接種アプローチを開発するために費やされ、これからも費やされるであろう。しかしながら、効率的な免疫は免疫応答の誘導を必要とし、そしてそれは防御免疫を引き起こす。しかしながら、免疫抗原の免疫原性の欠如は起こるべき所望の効果の機能不全を引き起こす。非常に興味があり特異的な抗原製剤は、マラリア、HIV、インフルエンザまたは腫瘍疾患(わずかな著名な例を挙げる)の予防および処置に対して、すでに開発されている。しかしながら、これらの処置は、例えば、免疫抗原の免疫原性の欠如により成功していない。さらに、広く使用されているワクチン、例えば、処置されたものの約80%に対してのみ保護的な免疫応答力価を実際に構築するB型肝炎ワクチンでさえ、免疫原性の欠如の問題を引き起こす。免疫系の反応性の欠如に関する主な理由はこれらの抗原が“異物”として認識されないことである。哺乳動物において、抗原提示細胞(APC)により提示される構造が内因性として認識されるか、または異物として認識されるかどうかを決定するものは主にT細胞である。免疫応答を誘導するため、本質的に2つの別々のシグナルが、互いに独立して、必要である。このメカニズムは免疫系のオーバーシュートを防止する。第1の必須条件は、T細胞受容体に関してAPCにより提供される抗原を認識することである。これが起こらない場合、次にさらなる反応が起こらない。さらに、免疫応答の誘導のため、T細胞表面におけるCD28受容体と危険として抗原構造を分類したときのみAPCにおいて発現されるB7の相互作用を有することは絶対的に必須である。最低限の免疫原性のみを有するワクチン接種抗原でのワクチン接種の場合、B7とCD28の間の連絡の相互作用を介する共刺激が起こらず、次に免疫応答を引き起こさないが、代わりにT細胞レベルにおいて耐性の発生を引き起こす。しかしながら、共刺激の必要性は酵素E3−ユビキチンリガーゼCbl−bをオフにすることにより迂回することができることが証明されている。この酵素が免疫反応のコントロールにおける決定的なスイッチである(Chiang et al., J Clin Invest (2007) doi:10.1172/JCI29472)。しかしながら、Cbl−bの非存在下において、高い免疫原性である投与される物質は強い免疫応答の誘導を引き起こし得る。さらに、Cbl−b−欠損マウス(ホモ接合型遺伝子ノックアウト)は生存可能であり、それらの免疫系は効率的に自己誘発腫瘍を認識し、主にCD8+T細胞に基づく溶解免疫応答を構築することができる(Loeser et al., JEM (2007) doi:10.1084/iem.20061699)。しかしながら、記載されている酵素の完全な除去はスーパー抗原の免疫後の自己免疫の増加も引き起こす。したがって、Loeser et al.は、負の調節因子としてCbl−bがT細胞の“免疫反応”に関与することを示すことができている。
【0003】
特定の遺伝子発現の減衰のためのSiRNA技術は、また、すでに低い効率を有するCbl−bに関して記載している。US2007/0087988はHPK1を調節するための方法、この発現をCbl−b発現を増加させることにより増加させることができる(逆もまた同様(例えば、Cbl−b siRNAの阻害により))ことに関する。
【0004】
US2007/00543355はCbl−bペプチドおよびCbl−b−関連タンパク質、特にPOSHならびにCbl−b−関連疾患の処置のためのそれらの使用を記載している。
【0005】
WO2004/078130A2はPOSH−関連疾患、例えば、ウイルス性疾患、癌および神経障害の処置のための組成物に関する。POSHはCbl−bを含む複数のPOSH−関連タンパク質と共に利用することができる。
【0006】
US2006/0292119A1は細胞における負の免疫調節因子の阻害により免疫細胞の免疫応答を増加させる方法に関する。このような負の免疫調節因子は、例えば、ユビキチン化、脱ユビキチン化およびスモイル化による分子安定性と関連するタンパク質ならびにNFkB阻害因子の発現を阻害する転写因子またはNFkB標的遺伝子の転写の抑制因子から選択される。
【0007】
しかしながら、臨床的適用のためのCbl−bメディエーターの使用は記載されていない。したがって、本発明の1つの目的は、免疫反応を調節するための方法を利用できるようにし、実用化することである。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明は免疫系の細胞のCbl−b機能を減少させるか、または阻害して、それにより抗原に対する細胞の免疫反応を増加させることを含む、抗原と接触した免疫系の細胞の免疫反応を増加させるインビトロまたはエキソビボにおける方法に関する。
【0009】
Cbl−b遺伝子およびその遺伝子産物は関連分野において詳細に記載されている(UniGene Id. Hs.3144 and Hs. 381921)。Cbl−b配列は、例えば、アクセッション番号NM_008279およびNP_009112の下に、GenBankデータベースにおいて公開されている。抗−Cbl−b抗体、siRNAおよびアンチセンス阻害因子は市販されている。特定のsiRNAはCbl−b発現、したがってCbl−b機能をも減少させるか、または阻害するために適当であり、混合RNA/DNAヌクレオチドと共にUS21007/0054355に記載されており、例えば、約20塩基長である。
【0010】
自己免疫反応の誘導を引き起こすことができる免疫系の過剰反応の危険性を中和するために、例えば、T細胞におけるCbl−b機能の阻害/ノックアウトを正確に定義された期間においてのみ実施することができる。したがって、与えられた免疫抗原に対して特異的な免疫応答の発生をサポートするための限定された期間のみ、制御されている方法においてCbl−bを軽減するが、即座に“正常”の免疫学的状態に回復させることにより自己免疫性疾患を防止することが、アジュバント治療的ワクチン接種アプローチのために必須である。したがって、本発明にしたがって、免疫系の単離された細胞の特定の選択物のみをインビトロまたはエキソビボにて処理し、次に患者に戻す。したがって、インビトロまたはエキソビボにおける効率的なCbl−b減衰のための1つのアプローチは、免疫反応を増加させるための必須条件である。
【0011】
Cbl−b機能をCbl−bの発現を減少させるか、または阻害することにより、好ましくは減少させるか、または阻害する。減少または阻害なる用語は、機能の完全な阻害までの、変化していない天然機能と比較してCbl−bの機能(および/または発現)における減少に関する。機能(および/または発現)を好ましくは少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%減少させる。
【0012】
好ましい態様において、Cbl−bの機能を好ましくは一時的に減少させるか、または阻害する。言い換えれば、該機能を上記のとおり一時的にのみ減少させ、次に、例えば、阻害因子、例えば、Cbl−b siRNAの消費もしくは崩壊または非−Cbl−b−異常細胞の新生(インビボ)により回復することができる。免疫細胞におけるCbl−bの一時的な減少も、例えば、治療的成功が達成されるまで、繰り返し達成することができる。
【0013】
Cbl−bの発現を好ましくはCbl−bアンチセンスRNAまたはsiRNAを使用することにより減少させるか、または阻害する。この目的のため、それら同士がハイブリダイズし、それによりそれらを不活性化できるように、標的(Cbl−b)mRNA配列の部分に相補的である短鎖DNAおよび/またはRNA配列を使用する。これらの配列の長さは好ましくは少なくとも15、18、20、22、25、28、30、35、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180または200塩基、最大で完全な標的配列、好ましくは最大で2502、2000、1500、1000、500または300塩基である。配列番号1、2、3、4、5、6、7および/または8の配列を好ましくは使用する。
【0014】
同様に、Cbl−bの機能を複数の他の既知の因子により、例えば、Cbl−bアンタゴニスト因子、阻害因子、特にアプタマーまたはイントラマーを使用することにより、減少させるか、または阻害することができる。Cbl−bの効果および/または機能を抑制するすべてのアンタゴニスト因子または阻害因子が、また、細胞の免疫反応を増加させるために本発明にしたがって使用され得る。アンタゴニスト因子または阻害因子は、好ましくはインビトロ、エキソビボ、または、さらにインビボにて免疫系の細胞の免疫反応性を増加させるための医薬品を製造するために使用される。これは、抑制された、または非効率的な免疫系を有する疾患、特に癌の処置、ならびにインビボまたはエキソビボにて免疫系の細胞と接触させることができる(ワクチン接種)抗原に対する免疫応答の増加を可能にする。
【0015】
本発明は、また、特にc−CblアンチセンスRNAまたはsiRNAを使用することにより、好ましくは一時的な減少または阻害により、細胞のc−Cbl機能を減少させるか、または阻害して、抗原に対する細胞の免疫反応を減少させることを含む、免疫系の細胞の免疫反応を減少させる方法に関する。免疫反応を増加させるために、Cbl−bと一緒にc−Cblを軽減することは絶対的に必要ではない。実施例に示されているとおり、代わりにc−Cblの減衰はCbl−bの阻害により達成される効果の逆転を引き起こす。したがって、Cbl−bおよびc−Cblはアンタゴニスト機能を有する。C−Cblは、また、その減衰が免疫寛容の増加を引き起こすという、T細胞反応性の微調節においてこれまでに未知の機能を果たす。したがって、c−Cbl機能の減少または阻害は免疫抑制に対して適当であり、したがって、例えば、炎症またはアレルギーにおいてその使用を可能にする。減衰の程度および方向がCbl−bおよび/またはc−Cbl(本明細書に記載されているCbl−bと類似)の減少または阻害において用量に依存するため、両方の因子を一緒にこれらの機能において減少させ得る。免疫反応を増加させるために、Cbl−bの減少はc−Cblの減少より重要である(逆もまた同様)。C−CblアンチセンスまたはsiRNAはCbl−bに対する上記のものと同じ配列系を有し得る。配列番号9、10、11、12、13、14、15および/または16の配列を好ましくは使用する。
【0016】
特別な態様において、抗原を取り込み、好ましくは抗原フラグメントを提示するか、または、より良くは、HLAに関連する抗原フラグメントを認識し、それにより活性化される細胞を特に使用する。
【0017】
好ましい態様において、本発明において使用される細胞は、抗原提示細胞、PBMC(末梢血単核細胞)、T−リンパ球、B−リンパ球、単球、マクロファージおよび/または樹状細胞、特にT−リンパ球、CD8+T−リンパ球、CD4+T−リンパ球、特にTh1、Th2、Th17、Tregs(制御性T細胞)またはCTL(細胞毒性T細胞)、NK細胞またはNKT細胞である。同様に、一般的にCD3/CD19−陰性リンパ球も使用することができる。NK細胞はとりわけそれらの好ましいグループを形成する。抗原は好ましくは細胞に取り込まれ、そして細胞は抗原、好ましくは抗原フラグメントを提示する。PBMCおよびT細胞は、とりわけ強い抗原−特異的反応を誘導するために処置に対する組合せにおいてとりわけ好ましい。他の態様において、特に免疫反応を全体的に増加するために(例えば、免疫不全を処置するために)、種々のT細胞は単独にて広範な効果を達成するために十分である。本発明の免疫反応の増加は好ましくはこれらの細胞、特にCD8またはCD4細胞ならびにNKおよび/またはNKT細胞が介在する。
【0018】
エレクトロポレーションは好ましくは細胞、特にT細胞またはNK細胞のCbl−b阻害因子、例えば、Cbl−b siRNAまたはノックアウトCbl−b構築物とのトランスフェクションのために使用される。トランスフェクション、すなわち、Cbl−bの阻害を引き起こすあらゆる培地がこの目的のために適当である。Optimem(Gibco、#31985−047)はこのような培地の1つの例である。
【0019】
加えて、細胞を、また、免疫刺激物質、例えば、免疫刺激サイトカインまたは他の免疫刺激受容体(例えば、TLR、トール様受容体)のリガンドまたは表面分子、好ましくはCD3および/またはCD28に対する抗体にて処理、すなわち、刺激し、細胞による免疫応答を促進し得る。
【0020】
Cbl−bの阻害は、また、樹状細胞ワクチン接種、好ましくは抗腫瘍ワクチン接種の一部として使用され得る。
【0021】
あるいは、および/または、加えて、Cbl−b−阻害細胞と好ましくは腫瘍(細胞)抗原にて負荷された、患者から得られる樹状細胞のインビトロ共培養を阻害する細胞も本発明の目的のための共培養に使用することが可能である。
【0022】
本明細書において使用される“ワクチン接種”は、絶対的な感覚にて−すなわち、免疫系により絶対的な保護を引き起こす免疫原の投与−ではなく、むしろ免疫学的投与として免疫系による保護を増加させる、および/またはワクチン抗原に対する免疫系、特にそれらの細胞を活性化するとして理解するべきである。
【0023】
1つの特定の局面において、本発明は、患者の免疫系の細胞を単離し、Cbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子を使用することによりインビトロまたはエキソビボにおける免疫反応を増加させ、そして患者に細胞を再移植することを含む、患者における抗原に対する免疫反応を増加させる、および/または免疫反応それ自体を増加させるための医薬組成物の製造のためのCbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子の使用であって、免疫反応は細胞のCbl−b機能の減少または阻害により増加される使用に関する。
【0024】
ワクチン接種、抗原の投与と同時に、好ましくは限定された期間の免疫反応の増加の実行は、循環T細胞のごく一部においてCbl−b発現を減少させることにより誘導することができる。PBMC(末梢血単核細胞)は患者の骨髄からの全血および/または血液細胞および腫瘍組織それ自体(TIL)から得られ、理想的にはあらかじめ数日間、例えば、5日間免疫化され、インビトロまたはエキソビボにてCbl−b−特異的siRNA減衰バッチで処理されている。この方法は非常に迅速に実施される。理想的な場合において、この細胞製造物は取り出されたほんの数分後に再び患者に投与され得る。細胞は所望により細胞が再移植される前にそれぞれの細胞に対して適当であるエキソ−ビボ−刺激プロトコールにより増殖または拡大され得る。ほんの数パーセントの患者のT細胞集団を示すインビトロにて活性化されたT細胞は、受容者で循環している間にリンパ節において抗原提示細胞と出会うと、これらの抗原提示細胞はすでに起こっている免疫により抗原を取り込み、そこに移動する。インビトロにて処理されたT細胞は共刺激シグナルを必要としないため、それらは免疫抗原の認識後に即座に急増し、細胞レベルおよび体液レベルの両方における免疫応答の誘導に全身的に寄与するサイトカインを分泌する。このバッチによって、弱い免疫原性抗原でさえ長期免疫保護の確立を引き起こす。同様に、癌患者における自己腫瘍の拒絶反応はこの方法において誘導することができる。受動免疫法、例えば、腫瘍−抗原−特異的抗体と組み合わせた化学療法/放射線治療の一つおよび/または同時のいずれかにて使用され、Cbl−bアンタゴニスト因子は免疫反応を増加させる。
【0025】
したがって、この方法を、所望により疾患特異的抗原の選択と共に先天性または後天性免疫不全、特にAIDS、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、薬物誘導免疫抑制または癌を処置するために使用する。固形腫瘍を含む癌の処置が特に好ましい。
【0026】
処置の成功のチャンスを増加させるため、癌の処置は好ましくは別の抗腫瘍治療、特に化学療法、放射線治療、治療的生体細胞または樹状細胞(腫瘍)ワクチン接種の投与と組み合わせて投与される。Cbl−bの阻害を樹状細胞ワクチン接種、好ましくは抗腫瘍ワクチン接種の一部として使用することができる。あるいは、および/または加えて、Cbl−b−阻害細胞と好ましくは腫瘍(細胞)抗原にて負荷された、患者から得られる樹状細胞のインビトロ共培養ならびに本発明の目的のための共培養の使用も可能である。
【0027】
インビトロまたはエキソビボにおける免疫反応の増加は上記のとおりの治療方法において実施され得、細胞は細胞の除去前または後に所望により抗原に暴露される。
【0028】
免疫抗原の提示、抗原提示細胞によるそれらの摂取およびさらに取り込まれた物質を活性化T細胞に提示する局所リンパ節へのこれらの細胞の移動の時間的順序も、治療的実施において重要である。したがって、患者は、より好ましくは細胞の単離前、特に好ましくは細胞の単離の少なくとも1、2、3、4または5日および/または最大20、16、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1週間前に好ましくは抗原を接種する。あるいは、インビトロまたはエキソビボにおける抗原を有する細胞の次のワクチン接種または処理も可能にする。
【0029】
加えて、好ましくは患者由来であり、対応する抗原と接触し、次にCbl−b−阻害免疫細胞、好ましくはT細胞の投与と一緒または投与のすぐ前もしくは後のいずれかにて特異的な免疫反応の増加に寄与することができる、抗原提示細胞も使用することができる。
【0030】
該細胞は好ましくは特定の抗原または特定の抗原を含む細胞に対して特異的であり、抗原の特異性または存在に対して選択され、選択された細胞の免疫反応を増加させる。免疫を増加させる特異性を有する特定の抗原および/または細胞の選択を介して、免疫応答は標的方法で患者における特定の標的に対して指向させることができる。このような標的は特に腫瘍(少なくとも1個以上の腫瘍抗原の選択を介する)または病原体である。
【0031】
細胞の分離と平行して、トランスフェクションバッチにおける対応するsiRNAが同じ滅菌使い捨てチューブ中に置かれていることが考えられる。したがって、他の局面において、本発明は、特に抗原に対する免疫系の細胞の免疫反応を増加させるためのCbl−b阻害因子を含む、好ましくは滅菌容器、例えば、使い捨てチューブに関する。
【0032】
同様に、本発明は、特に本発明の方法により抗原に対する免疫系の細胞の免疫反応を増加させるための、免疫系の細胞を保持するための容器、特に使い捨てチューブ、ならびにCbl−b阻害因子、例えば、siRNAを含むキットを提供する。
【0033】
容器および/またはキットは、また、さらに刺激を増加させるための、免疫刺激物質、好ましくはサイトカインまたは他の受容体(例えば、TLR)のリガンドまたは表面分子、好ましくはCD3および/またはCD28に対する抗体を含み得る。同様に、キットまたは容器は、また、安定化成分、培地またはバッファー(細胞の安定化のため)、トランスフェクションまたはヌクレオフェクション(nucleofection)溶液、好ましくは細胞培地、例えば、RPMIまたはOptimemを含み得る。
【0034】
本発明は下記図および実施例(それらに限定されない)により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は共刺激による(a)、Cbl−b発現の減衰の場合において、T細胞受容体の単独刺激による(c)、通常、活性化を引き起こさない(b)T細胞活性化の簡略化された概略図を示す;
【0036】
【図2】図2はCbl−b発現のウエスタンブロット分析を示す。CD8+細胞をヒトPBMCから単離し、Cbl−b−siRNAにてトランスフェクトし、培地に維持し、そして抗−CD3刺激または抗−CD3および抗−CD28刺激後に刺激なしの対照グループと比較した。Fynをローディング対照として使用した;
【0037】
【図3】図3はsiRNA処理2日後のヒトCD8+細胞のIFN−γ分泌を示す。IFN−γ濃度を刺激(培地)なし(左)、CD3−特異的共刺激(中央)後またはCD3およびCD28−特異的共刺激(右)後のCD8+T細胞の上清において測定した。非特異的siRNA(1つ目の棒)、Cbl−b−特異的siRNA(2つ目の棒)、c−Cbl−特異的siRNA(3つ目の棒)ならびにCbl−b−特異的およびc−Cbl−特異的siRNA(4つ目の棒)の手段によりトランスフェクトされた2日齢細胞集団を比較した;
【0038】
【図4】図4はsiRNA処理20日後のヒトCD8+細胞のIL−2分泌を示す。IL−2濃度を刺激(培地)なし(左)、CD3−特異的刺激(中央)後またはCD3およびCD28−特異的共刺激(右)後のCD8+T細胞の上清において測定した。非特異的siRNA(1つ目の棒)、Cbl−b−特異的siRNA(2つ目の棒)、c−Cbl−特異的siRNA(3つ目の棒)ならびにCbl−b−特異的およびc−Cbl−特異的siRNA(4つ目の棒)の手段によりトランスフェクトされた2日齢細胞集団を比較した;
【0039】
【図5】図5は免疫反応を増加させるためのインビトロCbl−b減衰バッチの時間的順序を示す;
【0040】
【図6】図6はPBMCから単離されたヒトT細胞によるsiRNA摂取(A)およびCD8−細胞−枯渇PBMCによるsiRNA摂取(B)を示す;
【0041】
【図7】図7はRNAi後のCbl−b mRNA発現(A)およびウエスタンブロットにおけるRNAi後の生産されたCbl−b タンパク質の量(B)を示す;
【0042】
【図8】図8はCbl−b阻害後のIFN−γ、TNF−α、IL−2生産を示す;
【0043】
【図9】図9は時間プロフィールとしてCbl−b阻害後のIFN−γ生産を示す;
【0044】
【図10】図10はCD107a+CD69(A)、CD107a、CD3、CD40L、ICAM(B)マーカー発現により測定されるT細胞反応性の増加を示す。
【0045】
【図11】図11Aは治療用CD8細胞におけるCbl−b抑制有り/無しの処理後のマウスにおける腫瘍成長;Bは処理後のEG7ova腫瘍を有するマウスの死亡率を示す。
【実施例】
【0046】
実施例:
実施例1:配列
以下のsiRNA配列を、単独または組み合わせて、Cbl−bを阻害するために使用した:
1. センス配列:
G.A.A.C.A.U.C.A.C.A.G.G.A.C.U.A.U.G.A.U.U(配列番号1)
アンチセンス配列:
5’−P.U.C.A.U.A.G.U.C.C.U.G.U.G.A.U.G.U.U.C.U.U(配列番号2)
2. センス配列:
G.U.A.C.U.G.G.U.C.C.G.U.U.A.G.C.A.A.A.U.U(配列番号3)
アンチセンス配列:
5’−P.U.U.U.G.C.U.A.A.C.G.G.A.C.C.A.G.U.A.C.U.U(配列番号4)
3. センス配列:
G.G.U.C.G.A.A.U.U.U.U.G.G.G.U.A.U.U.A.U.U(配列番号5)
アンチセンス配列:
5’−P.U.A.A.U.A.C.C.C.A.A.A.A.U.U.C.G.A.C.C.U.U(配列番号6)
4. センス配列:
U.A.U.C.A.G.C.A.U.U.U.A.C.G.A.C.U.U.A.U.U(配列番号7)
アンチセンス配列:
5’−P.U.A.A.G.U.C.G.U.A.A.A.U.G.C.U.G.A.U.A.U.U(配列番号8)
以下のsiRNA配列を、単独または組み合わせて、c−Cblを阻害するために使用した:
1. センス配列
A.A.U.C.A.A.C.U.C.U.G.A.A.C.G.G.A.A.A.U.U(配列番号9)
アンチセンス配列
5’−P.U.U.U.C.C.G.U.U.C.A.G.A.G.U.U.G.A.U.U.U.U(配列番号10)
2. センス配列
G.A.C.A.A.U.C.C.C.U.C.A.C.A.A.U.A.A.A.U.U (配列番号11)
アンチセンス配列
5’−P.U.U.U.A.U.U.G.U.G.A.G.G.G.A.U.U.G.U.C.U.U(配列番号12)
3. センス配列
U.A.G.C.C.C.A.C.C.U.U.A.U.A.U.C.U.U.A.U.U(配列番号13)
アンチセンス配列
5’−P.U.A.A.G.A.U.A.U.A.A.G.G.U.G.G.G.C.U.A.U.U(配列番号14)
4. センス配列
G.G.A.G.A.C.A.C.A.U.U.U.C.G.G.A.U.U.A.U.U(配列番号15)
アンチセンス配列
5’−P.U.A.A.U.C.C.G.A.A.A.U.G.U.G.U.C.U.C.C.U.U(配列番号16)
【0047】
実施例2:Cbl−b発現における一時的な減少
この実施例において、T細胞の免疫反応がエキソビボにて影響され得ることを示す。
全血をCPTチューブ(Vacutainer)を使用することによりドナーから取り出し、PBMCを遠心分離により分離した。別の工程において、この製造物からCD8+細胞を濃縮した。これらをAmaxaトランスフェクション装置(実施例3に詳細なプロトコール)を使用するCbl−b−特異的siRNAの手段によりトランスフェクトし、さらに培養した。非特異的siRNAを有する同一のバッチをCbl−b−特異的siRNAの手段により同一のプロトコールを使用してトランスフェクトし、対照としてさらに培養した。Cbl−bおよびc−Cblの機能の可能性のある重複を推測するため、他の2つのバッチをc−Cbl−特異的siRNAならびにc−Cbl−特異的およびCbl−b−特異的siRNAの組合せにより処理した。すべてのバッチを2日間培養した。トランスフェクションがCbl−b発現の所望の減衰を引き起こした事実は、後のウエスタンブロット分析により証明した。Cbl−b発現を誘導するために、培養物をCD3にて、別のバッチにおいてCD3−特異的およびCD28−特異的抗体にて刺激した。すべての実験において、トランスフェクトされた製造物におけるCbl−b発現は、図2に示されるとおり、対照トランスフェクションの強度の5%未満にさせた。siRNAの安定性および結果としての発現の効率的な抑制は限定期間であり、他の細胞に伝達されないため、選択されるバッチはCbl−b発現の一時的な減衰であり、これはCbl−b siRNAの存在に正確に拘束されている。
【0048】
実施例3:トランスフェクションプロトコール
ヒトT細胞におけるsiRNAのヌクレオフェクション
ヌクレオフェクションを別のラボアシスタントと共に行うことにより実施する。一人がsiRNAオリゴのピペッティングを行い、もう一人が試料を培養培地に移す。これは該処理を有意に加速させる。
1. 細胞のための培地を製造する、RPMI(+pen/strep、+L−glut、+10%FCS)。
2. 培養培地を少なくとも2つの50mLFalconチューブ/構造物に(ヌクレオフェクトされた細胞を回収するために1つ、および細胞洗浄培地のために1つ)ピペットで取り、そして1mL/Lのヌクレオフェクション試料をそれぞれのチューブにピペットで取る。チューブを37℃にさらす。
3. それぞれのヌクレオフェクション試料に対してEppendorfチューブに印を付ける。
4. 7分間ヌクレオフェクト細胞を遠心し(410g)、上清を取り除く。Optimem(Gibco、#31985−047)を加える。
5. 細胞密度が40×106/mLとなる。それぞれのEppendorfチューブに100μL(=4×106細胞)をピペットで取る。
6. ヌクレオフェクション直前に1.5−2.5μMのsiRNA−オリゴを細胞を含むEppendorfチューブに加える。ピペッティングにより混合し、溶液を細胞に移す(気泡を発生させない)。テーブルに細胞を軽くたたき、気泡を取り除く。
7. ふたを閉め、細胞をAmaxaトランスフェクションデバイス(electroporator)に置く。(Optimem Nucleofector溶液を使用して最良の選択としてProgram U−14を行い、V−24は行わない)。x−ボタンを押し、OKシグナル後に細胞を取り出す。(次のエレクトロポレーション前に再びx−ボタンを押す)。
8. 即座に500μLのRPMI(37℃)をヌクレオフェクション細胞に加え、パスツールピペットを使用してピペッティングすることにより注意深く混合する。細胞を回収するFalconチューブに移す。細胞を500μLのあらかじめ加熱したRPMIにて1回洗浄し、細胞の残りを回収するFalconチューブに移す。
9. それぞれのサンプルにおいて工程5−7を繰り返す。
10. すべての試料がヌクレオフェクトされるまでFalconチューブをインキュベーターに置く。
11. 4mLの細胞懸濁液を6−ウェルプレートウェル(=2試料)にピペットで取り、プレートをインキュベーターに置く。
12. 次の日、細胞を回収し、それらをカウントし、上記のとおりに実施されたヌクレオフェクション後24時間の培養を開始する。RNAの単離のために一定量の細胞を取り、標的遺伝子が活性化の時点で下方調節されているかどうかをチェックする。タンパク質試料をタンパク質発現動力学に基づいて取る。
【0049】
実施例4:ヌクレオフェクション効率
CD8+を上記のとおりヒト末梢血から単離した。ネガティブ選択をビーズを使用して実施した。
結果(Amaxa comparison):
集団の純度:CD8+ 97%(FACS)
【表1】
Optimemでの実験:
【表2】
したがって、確かにCbl−bの発現の減少をタンパク質化学において検出した。
【0050】
実施例5:T細胞反応性の一時的な増加−IFN−γの測定
したがって、ヒトCD8+細胞におけるCbl−b発現を効率において少なくとも95%抑制することができることを証明した。別の結果として、今回、T細胞集団の反応性も増加させることができることを証明した。所望の効果がもっぱらCbl−b−特異的であり、所望の効果をc−CblによるCbl−b発現の減衰の場合には迂回することができないことを確認するため、別のアプローチにおいてc−Cblを軽減させ、そして第3のバッチにおいてc−CblおよびCbl−bを軽減させた。すべてのこれらのCD8+細胞培養物を2日間培養し、CD3、また、CD3およびCD28により刺激し、非刺激グループと比較した。通常、T細胞は急増するためにCD3およびCD28の共刺激が必要であり、これは培養物の上清における炎症性サイトカインの分泌により容易に検出することができる。このT細胞活性化を検出するために、上清におけるIFN−γ力価を測定した。T細胞反応性におけるsiRNA処理による発現の減衰の影響の図を図3に示す。トランスフェクション2日後、すべてのCD8+細胞培養物をCbl−bおよび/またはc−Cbl−特異的siRNAにてトランスフェクトし、記載されているとおりに刺激し、非特異的siRNAにてトランスフェクトした対照グループと比較した。非刺激細胞は本質的にIFN−γ発現をしなかった。CD3のみ刺激後、すべての培養物は、少なくとも500pg/mLのIFN−γを上清において検出できるように、高められた反応性を有した。c−Cbl−特異的siRNAおよび非特異的にトランスフェクトされた細胞に対するシグナルは非常に類似する(低い)ものであった。Cbl−b−特異的siRNAにてトランスフェクトされた細胞のみが、約3ng/mLのIFN−γ力価と関連する非常に高い反応性を有した。しかしながら、c−Cbl−およびCbl−b−特異的siRNAにより共トランスフェクトされた細胞製造物の反応性は、Cbl−b−特異的siRNA処理後のものより低く、わずか1.2ng/mLであった。すべての場合において、CD3−およびCD28−特異的共刺激は、予想通り、CD3−特異的刺激のみよりも確かに高いシグナルを生じた。非特異的siRNAにて処理された対照製造物は1.2ng/mLの量のIFN−γ力価を生じたが、Cbl−b−特異的siRNAにて処理された培養物は3.8ng/mLのIFN−γ濃度を有した。Cbl−bおよびc−Cbl−特異的に共軽減された培養物は、Cbl−b−軽減されたグループのものよりもさらに低い1.7ng/mLの力価を有したことは、注目すべきものであった。c−Cbl−特異的siRNAにて処理された細胞集団が有意に低い反応性を有し、わずか500pg/mLのIFN−γが上清において測定されたことも予期しないことであった。この濃度は非特異的に処理された共刺激された対照グループのものより有意に低く、抗−CD3のみにて刺激された対照グループの値に相当する。したがって、マウス系と対照的に、ヒトCD8+T細胞におけるCbl−bおよびc−Cblの冗長は実験的に排除され、Cbl−b(および、その上流調節因子)を介するが、Cbl−b/c−Cbl組合せを介さない治療的アプローチが免疫反応を増加させるために適当である。しかしながら、c−Cblの阻害は他の適用のための免疫−抑制、例えば、炎症またはアレルギーの処置を可能にする。
【0051】
単剤治療またはワクチン接種との組合せのいずれかとして設計されるこの同時治療的アプローチは、また、末梢にて播種性腫瘍細胞を認識し、免疫応答を構築することにより結局はそれらと闘うことができる。癌を診断された後即座に使用するとき、原発性腫瘍の転移もそれにより防止される。
【0052】
実施例6:T細胞反応性の一時的な増加−IL−2の測定
図4から見られるとおり、非常に類似した結果が同じ上清におけるIL−2濃度を測定することにより得られた。刺激なしで測定できる応答はないが、抗−CD3−特異的処理はすべてのグループにおいて確かに測定できるシグナルを誘導した。したがって、>200pg/mLがCbl−b−軽減されたグループにおいて測定された。Cbl−bおよびc−Cbl−共軽減された集団におけるIL−2濃度は再び低く、<100pg/mLであった。抗−CD3および抗−CD28−特異的共刺激は同様に高いシグナルを生じた。>800pg/mLのIL−2濃度をsiRNA処理にかかわらずすべてのグループにおいて測定した。対照グループは1.3および1.4ng/mLのCbl−b−軽減された力価と非常に類似した力価を生じた。このアプローチにおいてc−Cblのみを一つだけで使用するか、またはc−CblをCbl−bと共に使用するかどうかにかかわらず、c−Cbl−特異的減衰後のIL−2濃度が非常に低く、ほんの800pg/mLであったことは興味深い。
【0053】
実施例7:免疫反応の一時的な増加
インビトロまたはエキソビボ処理により、T細胞反応性を効率的に増加させ、T細胞受容体のみの刺激を介して、T細胞の増殖を誘導することを可能にする。これは本明細書に記載されている治療的アプローチのための必須条件である。この減衰はRNAi技術の使用による一時的な性質である。
これらの修飾された細胞の適用は、ワクチンの免疫原性を増加させ、そして、一般的に免疫系の反応性を増加させるために役立つ。基礎免疫の5日後、全血をCPTチューブにおいて患者から取る。約20分後、PBMCを遠心分離により単離する。細胞製造物をCbl−b−特異的siRNAにてトランスフェクトし、その後即座に患者に再移植する。10日目、再び全血を取り、血清を抽出した。炎症前サイトカイン力価をこの血清において測定し、対照グループと比較した。誘導された免疫応答の性質は、また、Th1−制御された免疫応答の細胞配向(IFN−γ、IL−2およびIL12力価の増加)またはTh2−指向免疫応答における液性傾向(IL4、IL5およびIL10力価の増加)に関して分析される。必要なとき、PBMC治療を有するか、または有さない他の追加免疫を14日間隔にて実施する(図5)。
【0054】
実施例8:CD4T細胞およびCD19B−細胞のヌクレオフェクション
PBMCを上記のとおりに単離し、実施例3(U14)と同じ条件下においてトランスフェクトした。トランスフェクションに対して使用されるオリゴ(siGLO red)を2μMの濃度において使用し、そして特定の摂取をFACSにより検出した;CD4およびCD8細胞の区別をCD8−TIFCおよびCD3−APCにて同時二重染色により実施した(図6A)。
PBMCを上記のとおりに製造し、それらのCD8細胞を単離した。次に残りのCD8−ネガティブ細胞を(3.3μMのオリゴ濃度を有するが)上記のとおりにsiGLO redにて再びトランスフェクトした。特定の摂取をCD3−FITCおよびCD19−APCにて同時二重染色によりFACSにより検出した(図6B)。使用されるオリゴの効率的な摂取が、また、主にNK細胞からなるCD3/CD19−ネガティブリンパ球の画分において起こったことを、この実験において観察されたことは興味があることである。
したがって、この実施例は、他の免疫細胞を、また、CD8細胞と同じトランスフェクション条件下において非常に効率的にトランスフェクトすることができることを示す。
【0055】
実施例9:mRNAおよびタンパク質レベルにおけるヒトCD4細胞におけるCbl−b発現の一時的な減少
CD4細胞をCD8細胞の枯渇によりPBMCから単離し、PHA/抗−CD3/28刺激により培養した。2週間後、これらのCD4細胞にAmaxaトランスフェクションプロトコールを使用してCbl−b−特異的siRNAをトランスフェクトした(実施例3および8、参照)。同一のバッチに対照バッチとして同一のプロトコールを使用して非特異的siRNAをトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を1日以上、IL−2(5ng/mL)と培養し、次の日、抗−CD3/28にて刺激した。
トランスフェクトされた製造物におけるCbl−b mRNA発現は刺激されたCD4細胞における対照トランスフェクションと比較して、24時間にて約85%減少した(図7A)。Cbl−b mRNAにおける急激な減少は、ウエスタンブロットにおいて検出されるCbl−bのタンパク質の量において比較的強い減少と相関した(図7B)。
【0056】
実施例10:CD4T細胞反応性の増加−抗腫瘍活性を有するサイトカインの測定
T細胞−介在免疫応答におけるCD4−細胞の主な役割の1つは炎症性サイトカインの生産である。本明細書では特にサイトカインIL−2、IFN−γおよびTNF−αを挙げられている。
したがって、これらの3つのサイトカインの発現をELISAにより同定した。抗−CD2/28刺激の24時間後、これら3つのサイトカインはヒトCbl−b−サイレンスCD4T細胞において有意に増加した(図8)。
【0057】
実施例11:抗腫瘍活性を有するサイトカインの生産の増加を介するCD4T細胞反応性における増加の一時的な進行
Cbl−b−サイレンスT細胞の効率的な抗腫瘍活性を達成するために、T細胞刺激後の特定の期間にわたって維持することもサイトカイン生産の増加のために重要である。しかしながら、この期間は、また、患者の非悪性組織に対して望ましくない自己免疫を永久に確立する危険性を最小化するために限定すべきである。
【0058】
したがって、IFN−γの生産も種々の時間点においてFACSにおける細胞内染色により分析した。図9の線図は、IFN−γの著しい増加が少なくとも48時間維持され、刺激6日後にそれが対照のレベルに相当するところまで戻ったことを明白に示す。
【0059】
実施例12:T細胞反応性の増加−機能特性および/または刺激マーカー機能を有する表面分子の発現の増加
ヒトT細胞におけるCbl−bの機能的に成功したサイレンシングに対するマーカーとしてのサイトカイン生産のそれぞれの測定は技術的にかなり複雑であり、したがって、それは時間的に近いため、実行不可能な傾向にある。したがって、FACSによる機能的に重要な表面マーカーの発現も測定した。
【0060】
CD107aは細胞毒性T細胞の分泌活性に対する表面マーカーとして本明細書において定義され、したがってCD107aを抗−CD3/28刺激の24時間後にCbl−b−抑制されたCD8T細胞において測定した。したがって、Cbl−b siRNAにてトランスフェクトされたT細胞は非常に増加した分泌活性を現した(図10A)。
【0061】
CD107a分子がT細胞における小胞輸送と関連しているため、それはCD4T細胞の分泌活性に対する主マーカーとしても使用され得る。図10Bは、Cbl−b−siRNA−トランスフェクト細胞におけるCD107aの発現が、また、それ以外は同じように処理された対照細胞と比較して有意であったことを示す。
【0062】
CD40LおよびICAMは、T細胞刺激により誘導され得る2つの他の表面分子である。これらの2つの分子(特に抗原提示細胞とB−細胞の刺激/増殖の相互作用に関するCD40L、抗原提示細胞と血管系から(悪性)組織への移動の相互作用に関するICAM)は機能的関連性の分子である。図10Bはこれらの2つの表面分子の発現がCbl−b−siRNA−トランスフェクトされたヒトCD4T細胞において有意に増加したことを示す。
【0063】
T細胞反応性の増加に関与するここに記載されているメカニズムの1つは、細胞表面におけるCD3−受容体のあまり顕著でない減衰である。図10Bはさらに細胞表面におけるCD3受容体の量がCbl−b−siRNA−トランスフェクトされたヒトCD4T細胞において確かに増加したことを示す。
【0064】
従来のT細胞活性化マーカーCD69の細胞表面発現が、また、確かに増加したが、CD25の発現は変化していないままであることは興味深い。これは、CD25が、また、刺激マーカーとして定義されるが、その機能はとりわけいわゆるT−制御性細胞の存在および生存と関連するため、特定の機能的関連性であるかもしれない。
【0065】
全体的に、図10は、したがって、さらに機能的に重要な分子または表面マーカーとして働く分子をCbl−b−siRNAトランスフェクションにより細胞表面において明白に多量に検出することができることを示す。
【0066】
実施例13:Cbl−b−欠損T細胞および樹状細胞の関節移植はインビボ腫瘍モデルにおける有効な治療的方法である。
腫瘍を0.1ミリオンのEG7ova細胞の皮下注射により野生型マウスにおいて誘導させた。次にCD8T細胞および樹状細胞を5および6日目に注入し、この養子細胞治療の効果を腫瘍の成長を測定することにより連続的に追跡した。図11Aは、腫瘍成長をCbl−b−欠損T細胞の移植により野生型T細胞よりも非常に強く長期間にわたって抑制することができることを示す。
【0067】
図11Bは、また、Cbl−b−欠損T細胞における処理が80日間の観察の終わりまで処理された大部分のマウスの長期生存を保証したことを示す。それとは対照的に、野生型T細胞における処理は、対照グループと比較して、平均寿命をほんのわずかに長く誘導した。したがって、図11Bは、Cbl−b−欠損または抑制T細胞における処理が正常T細胞における処理と比較して顕著な利点を有することを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫系の細胞のCbl−b機能を減少させるか、または阻害して、抗原に対する細胞の免疫反応を増加させることを含む、抗原と接触した免疫系の細胞の免疫反応を増加させるインビトロまたはエキソビボにおける方法。
【請求項2】
Cbl−bの発現を減少させるか、または阻害することにより、Cbl−b機能を減少させるか、または阻害することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Cbl−bの機能の減少または阻害が一時的であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Cbl−bの発現をCbl−bアンチセンスRNAまたはsiRNAを使用することにより減少させるか、または阻害することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Cbl−bの機能をCbl−bアンタゴニスト因子、阻害因子、アプタマーまたはイントラマーを使用することにより減少させるか、または阻害することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
特にc−CblアンチセンスRNAまたはsiRNAの使用により、好ましくは一時的な減少または阻害により、細胞のc−Cbl機能を減少させるか、または阻害して、抗原に対する細胞の免疫反応を減少させることを含む、免疫系の細胞の免疫反応を減少させる方法。
【請求項7】
細胞が抗原を取り込み、好ましくは抗原フラグメントを提示するか、または、より良くは、HLAに関連する抗原フラグメントを認識し、それにより活性化されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
細胞が、抗原提示細胞、PBMC(末梢血単核細胞)、T−リンパ球、B−リンパ球、単球、マクロファージ、NK細胞、NKT細胞および/または樹状細胞、特にT−リンパ球、好ましくはCD8+またはCD4+T−リンパ球を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
細胞を免疫刺激物質、好ましくはサイトカイン、特にCD3および/またはCD28にて処理することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
患者の免疫系の細胞を単離し、Cbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子を使用することによりインビトロまたはエキソビボにおける細胞の免疫反応を増加させ、そして患者に細胞を再移植することにより患者における抗原に対する免疫反応を増加させるための医薬組成物の製造のためのCbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子の使用であって、ここで、免疫反応は細胞のCbl−b機能の減少または阻害により増加される使用。
【請求項11】
先天性または後天性免疫不全、特にAIDS、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、薬物誘導免疫抑制または癌の処置のための請求項10に記載の使用。
【請求項12】
癌が固形腫瘍を形成することを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
別の抗腫瘍処置、好ましくは化学療法、放射線治療、生体細胞または樹状細胞ワクチン接種、特に腫瘍ワクチン接種の投与と組み合わせた、癌の処置のための請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
患者が、好ましくは細胞の単離前、特に好ましくは細胞の単離の少なくとも2日および/または最大8週前に抗原をワクチン接種することを特徴とする、請求項10から13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
細胞をインビトロまたはエキソビボにおいて抗原と接触させることを特徴とする、請求項10から14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
インビトロまたはエキソビボにおける免疫反応における増加または細胞が請求項1から5および7から9に定義されていることを特徴とする、請求項10から15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
特定の抗原に特異的である細胞または特定の抗原を含む細胞を抗原の特異性または存在に対して選択し、選択された細胞の免疫反応を増加させることを特徴とする、請求項10から16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
抗原が腫瘍抗原であることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
細胞を再移植前に増殖させることを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
好ましくは請求項1から9のいずれかに定義されているか、または請求項10から19のいずれかに記載の使用のための、特に抗原に対する免疫系の細胞の免疫反応を増加させるためのCbl−b阻害因子を含む、容器、好ましくは使い捨てチューブ。
【請求項21】
細胞を保持するための容器、好ましくは使い捨てチューブ、Cbl−b阻害因子および好ましくは細胞培地および/またはトランスフェクションバッファーを含む、請求項1から9に記載の方法を実施するためのまたは請求項10から19に記載の使用のためのキット。
【請求項22】
免疫刺激物質、好ましくはサイトカイン、特にCD3および/またはCD28を含む、請求項20に記載の容器または請求項21に記載のキット。
【請求項1】
免疫系の細胞のCbl−b機能を減少させるか、または阻害して、抗原に対する細胞の免疫反応を増加させることを含む、抗原と接触した免疫系の細胞の免疫反応を増加させるインビトロまたはエキソビボにおける方法。
【請求項2】
Cbl−bの発現を減少させるか、または阻害することにより、Cbl−b機能を減少させるか、または阻害することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Cbl−bの機能の減少または阻害が一時的であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Cbl−bの発現をCbl−bアンチセンスRNAまたはsiRNAを使用することにより減少させるか、または阻害することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Cbl−bの機能をCbl−bアンタゴニスト因子、阻害因子、アプタマーまたはイントラマーを使用することにより減少させるか、または阻害することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
特にc−CblアンチセンスRNAまたはsiRNAの使用により、好ましくは一時的な減少または阻害により、細胞のc−Cbl機能を減少させるか、または阻害して、抗原に対する細胞の免疫反応を減少させることを含む、免疫系の細胞の免疫反応を減少させる方法。
【請求項7】
細胞が抗原を取り込み、好ましくは抗原フラグメントを提示するか、または、より良くは、HLAに関連する抗原フラグメントを認識し、それにより活性化されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
細胞が、抗原提示細胞、PBMC(末梢血単核細胞)、T−リンパ球、B−リンパ球、単球、マクロファージ、NK細胞、NKT細胞および/または樹状細胞、特にT−リンパ球、好ましくはCD8+またはCD4+T−リンパ球を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
細胞を免疫刺激物質、好ましくはサイトカイン、特にCD3および/またはCD28にて処理することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
患者の免疫系の細胞を単離し、Cbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子を使用することによりインビトロまたはエキソビボにおける細胞の免疫反応を増加させ、そして患者に細胞を再移植することにより患者における抗原に対する免疫反応を増加させるための医薬組成物の製造のためのCbl−b阻害因子またはアンタゴニスト因子の使用であって、ここで、免疫反応は細胞のCbl−b機能の減少または阻害により増加される使用。
【請求項11】
先天性または後天性免疫不全、特にAIDS、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、薬物誘導免疫抑制または癌の処置のための請求項10に記載の使用。
【請求項12】
癌が固形腫瘍を形成することを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
別の抗腫瘍処置、好ましくは化学療法、放射線治療、生体細胞または樹状細胞ワクチン接種、特に腫瘍ワクチン接種の投与と組み合わせた、癌の処置のための請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
患者が、好ましくは細胞の単離前、特に好ましくは細胞の単離の少なくとも2日および/または最大8週前に抗原をワクチン接種することを特徴とする、請求項10から13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
細胞をインビトロまたはエキソビボにおいて抗原と接触させることを特徴とする、請求項10から14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
インビトロまたはエキソビボにおける免疫反応における増加または細胞が請求項1から5および7から9に定義されていることを特徴とする、請求項10から15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
特定の抗原に特異的である細胞または特定の抗原を含む細胞を抗原の特異性または存在に対して選択し、選択された細胞の免疫反応を増加させることを特徴とする、請求項10から16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
抗原が腫瘍抗原であることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
細胞を再移植前に増殖させることを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
好ましくは請求項1から9のいずれかに定義されているか、または請求項10から19のいずれかに記載の使用のための、特に抗原に対する免疫系の細胞の免疫反応を増加させるためのCbl−b阻害因子を含む、容器、好ましくは使い捨てチューブ。
【請求項21】
細胞を保持するための容器、好ましくは使い捨てチューブ、Cbl−b阻害因子および好ましくは細胞培地および/またはトランスフェクションバッファーを含む、請求項1から9に記載の方法を実施するためのまたは請求項10から19に記載の使用のためのキット。
【請求項22】
免疫刺激物質、好ましくはサイトカイン、特にCD3および/またはCD28を含む、請求項20に記載の容器または請求項21に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−507806(P2011−507806A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537207(P2010−537207)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000443
【国際公開番号】WO2009/073905
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510019059)メディツィーニシェ・ウニヴェルジテート・インスブルック (2)
【氏名又は名称原語表記】MEDIZINISCHE UNIVERSITAET INNSBRUCK
【出願人】(509343116)アペイロン・バイオロジックス・アクチェンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】APEIRON Biologics AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000443
【国際公開番号】WO2009/073905
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510019059)メディツィーニシェ・ウニヴェルジテート・インスブルック (2)
【氏名又は名称原語表記】MEDIZINISCHE UNIVERSITAET INNSBRUCK
【出願人】(509343116)アペイロン・バイオロジックス・アクチェンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】APEIRON Biologics AG
【Fターム(参考)】
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