説明

免疫機能調整のためのプロラクチン減少剤及び/又は増強剤の使用

【課題】クローン病、リウマチ性関節炎、繊維筋肉痛等の哺乳類の免疫系不全を治療、もしくは哺乳類の免疫反応を強化するためのプロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用を提供すること。
【解決手段】プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤を、所定時間等に投与して、プロラクチンプロフィールを哺乳類の同種同性の健康な者のプロラクチンプロフィールに適合又は近似させ、哺乳類の免疫系不全を治療するか、もしくは健康な者のプロラクチンに対する概日リズムにおける一日のピークに一致させる等により、哺乳類の免疫反応を強化するような、プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類の免疫システムの異常反応を修正つまり改善するための方法に関する。より詳細には、本発明は、哺乳類の免疫反応を調節する方法として、プロラクチンリズムの変更を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロラクチンと免疫
免疫の神経分泌的調節の重要性は、過去10年間にますます明らかになってきている(Besedovsky,H.O.et al.,J.Immunol.135:750s-754s,1985; Blalock,J.E.,Physiol.Rev.69: 1-54,1989; Berozi,I.,Dev.Comp.Immunol. 13: 329-341,1989)。この興味の大半は、下垂体前葉ホルモンであるプロラクチンに焦点を当ており、プロラクチンは免疫活性に対し、不定でしばしば相反するけれども、潜在的な影響力を持っていることが報告されている(Gala,R.R.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med. 198:5-13,1991; Nicoletti,J.et al.,Reprod.Immunol.15:113-121,1989; Vidaller,A.,et al.,Clin.Immunol.Immunopathol. 38:337-343,1986; Gerli,R.et al.,Clin.Immunol. 7:463-470,1987)。
免疫におけるプロラクチンの役割の一例は、下垂体を切除した哺乳類の免疫能力の外因性プロラクチン誘導による修復を示した研究にみられる(Gala,R.R.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med. 198:5-13,1991; Bercal,I.et al.,Acta Endocrinol. 98:506-513,1981)。切除を受けていない動物では、プロラクチン投与は、細胞又は抗体反応の刺激、並びにIL−2(IL−2産生及びIL−2レセプター発現形の両方)等の種々の免疫システムを上方調節する物質の刺激、リンパ球の数、活性及び細胞分裂反応の増強、マクロファージ細胞毒性の強化(Gala,R.R.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med. 198:5-13,1991; Bernton,E.W.et al.,Science 239:401-404,1988; Rovensky,J.et al.,Int.J.Immuno.Pharmac.13:267,1991)等の多くの免疫的効果と関連していた。
他の証拠により、自然的、病理学的、薬事的、又はストレス状態に起因する過プロラクチン血症(つまり外因性循環プロラクチンレベルの上昇)と、免疫抑制又は自己免疫疾患等の免疫機能不全との間に関連があることがわかった。これまでにプロラクチンとの関連性により悪化されることが観察されている自己免疫疾患は、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症を含む。Nicoletti,J.et al.,Reprod,Immunol. 15:113-121,1989; Vidaller,A.,et al.,Clin.Immunol.Immunopathol. 38:337-343,1986; Gerli,R.et al.,Clin.Immunol. 7:463-470,1987: McMurray,R.et al.,J.Immunol.147:3780,1991
これらの明らかに相反する結果を鑑みると(上昇したプロラクチンレベルに関連する異常免疫反応の増強、悪化された自己免疫反応、及び免疫抑制)、上昇した血中プロラクチンレベルが免疫システムに及ぼす影響は全く明らかではなかった。
近年、悪性疾患を含む種々の疾病に対抗するために免疫システムの能力を改善することに、研究の焦点があてられている。主な組織適合性抗体が、腫瘍の成長及び拡大に対抗する宿主において重要な役割を果たすことを示す実験的証拠が、急速に集まっている。
別の系列の研究は特に、免疫システムが自己の組織を「自己」として認識することができないという特徴、及び自己の組織が他の抗原性物質であるかのような、自己の組織に対する免疫反応の開始という特徴を有する自己免疫疾患の抑制に焦点を当てている。
さらに別の免疫学的強化研究が行われている分野では、AIDS等の種々の免疫不全に焦点を当てている。しかしながら研究を強化しているにもかかわらず、進歩は遅く、関連する免疫機構はとらえどころがないことがわかってきた。
多くの潜在的免疫調節剤が現在、臨床での有用性について第三者によって調査中である。これらの薬剤は、インターフェロン及びインターロイキン等の生物学的に誘導された化合物(並びにイソプリノシン(isoprinosine)及びピリミジノン(pyrimidinones)等の合成化合物)を含む。インターフェロン及び他のサイトカイン及びリンフォカインは、自然発生的な物質であるが、これらの臨床的使用(注射による投与を含む)は未だ一定して有利なものではない(及び/又は有利な結果は短期間しか持続しない)。さらに、サイトカイン及びリンフォカインによる治療は、毒性及び熱等のひどい副作用を伴うことが非常に多い。
従って、免疫学の分野においては、病理学的免疫システム反応を変更し、生来の免疫システムを調節する物質の内因的産生を調節する薬剤が必要とされている。免疫システムを「再プログラム化(re-program)」するのにこれらの薬剤を使用することは、(i)感染に対する宿主の抵抗を高め、存在する感染に対抗する能力を高め、(ii)免疫抑制に打ち勝ち、免疫不全を弱め、腫瘍に対する免疫性を高め、正常な免疫機能を回復し、(iii)自己免疫を予防又は抑制し、正常な免疫機能を回復する。
【0003】
プロラクチン及び概日リズム
プロラクチン活性を調整するのに概日リズムが重要な役割を果たし、またその逆も真であることが研究により実証された。
Meier,A.H.,Gen.Comp.Endocrinol. 3(Suppl 1):488-508,1972; Meier,A.H.,Trans.Am.Fish.Soc. 113:422-431,1984; Meier,A.H.et al.,Current Ornithology II(ed Johnston R.E.)303-343,1984; Cincotta,A.H.et al.,J.Endocrinol. 120:385-391,1989; Meier,A.H.,Amer. Zool. 15:905-916,1975; Meier,A.H.,Hormonal Correlates of Behavior(eds.Eleftherton and Sprott)469-549,1975等の文献は、概日リズムがどのようにプロラクチン活性を調節するかを示している。種々のセルタイプのプロラクチンに対する応答性における一日の変化は、脂肪蓄積、インスリンに対する脂肪生成応答性、移動習性、変態、繁殖、成長、ハトのそ嚢の発達、及び乳房の発達等の多くの生理学的プロセスの調節において主要な役割を有する(Meier,A.H.,Gen.Comp.Endocrinol3(Suppl 1):488-508,1972; Meier,A.H.,Amer.Zool. 15:905-916,1975; Meier,A.H.et al.,Science 173:1240-1242,1971)。前記の生理学的活動の一つを調節するにあたり、プロラクチンはその活動を刺激または抑制する効果を生じるか、もしくは何の効果も生じないことが観察されるであろう。これらの変化する効果は、血漿プロラクチン濃度のリズムの一日の内因的ピーク(つまり頂相(acrophase))の時間の関数、若しくは外因的ホルモン(又はプロラクチンレベルを増加させる物質)を毎日注射する時間の関数、又は内因的ピークといかなる誘発されたピークとの間の関係の関数であることが、近年動物において証明された。さらに、慎重な一日のインターバルに制限された高レベルのプロラクチンは、一日中一定の高レベルにあるプロラクチンよりも、動物においてはるかに高い生理学的(例えば代謝的)影響を有する(Cincotta,A.H.et al.,Horm.Metab.Res. 21:64-68,1989; Borer,K.T.in The Hamster: Reproduction and Behavior(ed.Siegel,H.I.)363-408,1985)。このような発見は、ある種の細胞にはプロラクチンに対する概日応答リズムがあるということを実証している。
ホルモンに対する生理学的応答性の一日の変化の第一の実証は、ノドジロシトド(white-throated sparrow)におけるプロラクチンに対する肥満応答性における劇的な変化である(Meier,A.H.et al.,Gen.Comp.Endocrinol. 8:110-114,1967)。16時間の概日光周期の日中に注射することにより体脂肪率が3倍増加し、光周期の早期に注射することにより脂肪蓄積が50%減少した。このようなプロラクチンに対する肥満応答の一日の変化は、続いて主要なすべての脊椎鋼の多くの類において証明され(Meier,A.H.,Amer.Zool. 15:905-916,1975; Meier,A.H.,Hormonal Correlates of Behavior(eds.Eleftherton and Sprott)469-549,1975)、このような一時的組織の基本的性質が示された。肥満化応答リズムは一定の光条件の基で持続し(Meier,A.H.et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med. 137:408-415,1971)、他の多くの外因性概日変化と同様に、概日リズムであることが示される。
さらなる研究により、脂質代謝及び体脂肪蓄積等の多くの生理学的活動を調節するのに概日リズムが主要な役割を有することが示されている(Meier,A.H.et al.,Current Ornithology II(ed Johnston R.E.)303-343,1984; Meier,A.H.,Amer.Zool. 15:905-916,1975; Meier,A.H.,Hormonal Correlates of Behavior(eds.Elftherton and Sprott)469-549,1975; Meier,A.H.et al.,J.Am.Zool. 16:649-659,1976); Cincotta et al.,Life Sciences 45: 2247-2254,1989; Cincotta et al.,Ann.Nutr.Metab. 33:305-14,1989; 及びCincotta et al.,Horm. Metabol. Res. 21:64-68,1989)。これらの実験は、脂肪調節ホルモン(刺激)の概日リズムとこれらのホルモンに対する概日応答(ターゲット細胞における)との相互作用が、脂質生成及び脂肪蓄積の量を決定するということを示した。よってプロラクチンの高血漿濃度(刺激として作用する)は、太った動物では、プロラクチンに対する最大肥満応答の日中インターバルに生じ、痩せた動物では、一日の他の非応答時間に生じる(Meier,A.H.,Amer.Zool. 15:905-916,1975; Meier,A.H.,Hormonal Correlates of Behavior(eds.Eleftherton and Sprott)469-549,1975; Speiler,R.E.et al.,Nature 271:469-471,1978)。同様に、血漿インスリン(刺激として作用する)レベルは、太ったハムスターでは、インスリンに対する最大肝脂肪生成応答の日中インターバルに生じ、痩せたハムスターでは、一日の異なった時間に生じる(deSouza,C.J.et al.,Chronobiol.Int. 4:141-151,1987; Cincotta,A.H.et al.,J.Endocr. 103:141-146,1984)。これらの刺激と応答とのリズムの相関係は、概日神経中枢の発現形であると考えられ、これはさらに神経伝達物質剤及びホルモンの注射(プロラクチンを含む)によりリセットし、肥満又は痩せた動物を生むことができると考えられる(Meier,A.H.,Trans.Am.Fish.Soc. 113:422-431,1984; Meier,A.H.et al.,Current Ornithology II(ed Johnston R.E.)303-343,1984; Cincotta,A.H.et al.,J.Endocrinol. 120:385-391,1989; Emata,A.C.et al.,J.Exp.Zool. 233:29-34,1985; Cincotta,A.H.et al.,Chronobiol.Int'l 10:244-258,1993; Miller L.J.et al.,J.Interdisc.Cycles Res. 14: 85-94,1983)。
従って、時間を決めたプロラクチン投与又は強化は、ホルモンに対する応答すの概日リズムのもとにある組織(例えば脂質生成においては肝臓)に直接作用し、最終的な生理学的作用において一日の変化を生じ(Cincotta,A.H.et al.,Horm.Metab.Res. 21:64-68,1989)、多振動概日ペースメーカーシステムの概日神経内分泌振動の一つをリセットすることにより間接的に作用し、脂質代謝を制御する多概日(神経、ホルモン、及び組織)発現間の異なる相関係を設立する(Meier,A.H.,Trans.Am.Fish.Soc. 113:422-431,1984,Meier,A.H.et al.,Current Ornithology II(ed Johnston R.E.)303-343,1984; Cincotta,A.H.,et al.,J.Endocrinol. 120: 385-391,1989,Emata,A.C.et al.,J.Exp.Zool. 233:29-34,1985; Cincotta,A.H.et al.,Chronobiol.Int'l 10:244-258,1991; Miller,L.J.et al.,J.Interdisc.Cycles Res. 14: 85-94,1983)。
【0004】
本発明者らは、プロラクチンまたは循環プロラクチンレベルに影響を与える物質もまた概日リズムに影響を与え、実際このようなリズムを変更する(このようなリズムが、同性の痩せた、健康な、若い固体のリズムにより近似するように)ことに使用し、このリズムをリセットする(変更された状態で維持されるように)ことができることを先に示した。例えば、WO/93/12793、国際特許願第PCT/US93/12701、WO 93/00092、及び国際特許願PCT/US95/00663を参照のこと。本発明者らによるこの先の研究は、種々の代謝不全(肥満、糖尿病その他)に悩まされてるヒトにおいて臨床的に試験され、非常の好ましい結果を得ている。
特に、国際特許願第PCT/US93/12701、及び1994年6月23日出願の米国特許願第08/264,558号の優先権を主張して1995年6月23日に出願された国際特許出願において、本発明者らは、脊椎動物またはヒトである被検者において体脂肪蓄積を削減し、及びインスリン耐性、高インスリン症、及び高血糖症、及び特にタイプII糖尿病に関連する他の代謝系疾患の少くとも一つを低減する方法を開示した。より詳細には、先の出願は以下の方法を開示している:(i)正常な(健康な)ヒト又は脊椎動物(肥満、疾病、又は他の異常のない)の一日のプロラクチンレベルサイクルを評価する、(ii)ヒト又は脊椎動物の異常な一日のプロラクチンレベルサイクルを診断する、及び(iii)行うべき適切な調節を決定し、このような異常なプロラクチンレベルサイクルを正常化する。この方法は、プロラクチン低下剤及び/又はプロラクチン強化剤の少くとも一つを、24時間周期のうちの第一の所定時間(単数又は複数)に投与すること(プロラクチン低下剤のみを投与する場合)、及び/又は24時間周期のうちの第二の所定時間(単数又は複数)に投与すること(プロラクチン強化剤のみを投与する場合)を含む。この治療を数日間、数週間、又は数か月継続すると、異常なつまり非正常なプロラクチンレベルサイクルを長期間に渡って調節し、正常なプロラクチンレベルサイクルに近似させる(真似る)という結果を得る。
この利点は、治療の停止後においても、長期間に渡って維持される。結果として、種々の代謝異常に関連する異常な生理学的パラメーターが、正常なレベルに修復されるか、もしくは正常なレベルに近づくように変更される。この方法は、24時間周期のうち少くとも一部に異常なプロラクチンレベルを有する全てのヒトに適用可能であるが、免疫不全に悩むヒトに適用できる可能性については言及していない。
従って、プロラクチンと概日リズムとの相互依存性、特にこの依存性の時間感応性は、これまで免疫機能又は免疫機能不全と相関関係があるとは考えられていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、以下の仮定をした:(i)プロラクチンに対する免疫システムの応答の同様の一日の変化、(ii)プロラクチンレベルにおける時間を決められ、誘導された変化が、生来生じる免疫システム調節物(上方調節又は下方調節)の発生に影響を与えることにより、免疫反応を変更する能力。これらの仮定の実験的確認により本発明が見出され、免疫に対するプロラクチンの効果における明らかな矛盾を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの特徴は、免疫システム異常の改善又は修正を必要とする哺乳類の、このような異常を改善又は修正する方法にある。この方法は、哺乳類に、24時間周期の間の所定時間(単数又は複数)に、プロラクチン低下剤及び/又は強化剤を投与し、哺乳類の異常なプロラクチンプロフィールを、同種の若く健康な哺乳類のプロラクチンプロフィールに適合又は近似するように変更させることを含む。
本発明の別の特徴は、プロラクチン低下剤及び/又は強化剤の上記所定時間の投与を、被検者の変更されたプロラクチンリズムがリセットされ、治療停止後もリセットされた状態で長時間維持されるまで継続することによって、免疫システム異常を長期間にわたって改善又は修正し、免疫システム異常の改善を持続させる方法にある。
本発明の更に別の特徴は、哺乳類の免疫反応を増加させる(上方調節)方法(例えば被検者の、感染に対する免疫反応を開始する能力を増加させる目的で)にある。この方法は、被検者の血漿プロラクチンレベルを低下(又は強化)することによって、被検者の免疫反応を開始する能力が強化されるであろう時間(単数又は複数)に、プロラクチン低下剤及び/又は強化剤を時間を決めて投与することを含む。この方法はまた、正常な免疫システムを有する被検者にも実施することができる。
【0007】
従って本発明は、プロラクチンの概日リズムと一つ以上の免疫応答の概日リズムとの相関係を調節することにある。
本発明は、プロラクチンの概日リズムを、健康な若い被検者のリズムに近似するように正常化(つまりリセット)することを含む。
本発明はまた、プロラクチンの概日リズムを操作して、このような相及びプロラクチンに対する免疫学的応答との振幅関係とし、免疫反応の所定観点に増幅効果を生じさせることを含む。
【0008】
「免疫機能不全」又は「免疫異常」とは、それぞれ又は集合的に、免疫不全または免疫抑制(病原体又は腫瘍等他の病気に対する免疫反応を開始することが不能であること又はその能力が低下していることを特徴とする)の状態、及び/又は自己免疫のように誤って向けられた免疫活動の状態を意味する。免疫不全及び免疫抑制は、被検者の、T細胞又はB細胞反応を開始する(例えば混合リンパ球反応の低下、遅延型過敏症の低下、又は刺激に対するT細胞又はB細胞増殖の低下によって証明される)能力が低下している状態、被検者の、サイトカイン又はリンフォカイン又は抗体を生成する能力が低下している状態、又は被検者の、リンフォカインレセプターの発現が低下しているか、若しくは抗原提示能力が低下している(例えばクラスI又はクラスII主要組織適合遺伝子複合体の発現の低下によって証明される)状態を含む。このような免疫反応を開始する能力の低下は、先天性又は後天性免疫不全の結果、又は化学療法若しくは放射線、又は他の薬物誘導免疫抑制の結果として生じることがある。従って、免疫不全の修正又は改善は、上記の一つ以上の免疫反応の全体的又は部分的回復である。
【0009】
「プロラクチン低下剤」とは、哺乳類に投与した際に、循環プロラクチンレベルを低下することができる能力を持った物質又は組成物であり、「プロラクチン強化剤」とは、循環プロラクチンレベルを上昇させることができる能力を持った物質又は組成物であり、プロラクチン自身を含む。
プロラクチン低下剤及びプロラクチン強化剤を、集合的に「プロラクチン調節剤」と呼ぶ。
【0010】
被検者の「プロラクチンプロフィール」とは、循環プロラクチンレベル及び24時間周期全体又はその一部の変更型の描写であり、よって被検者の血漿プロラクチンの一日リズムの全体又は一部の表現である。
【0011】
「健康な」とは、悪性腫瘍、免疫システム不全及び代謝異常等の疾患のない若く、痩せた被検者である。健康な被検者は、正常なプロラクチンプロフィール、つまりその被検者の種及び性の基線から1SEM(標準平均誤差(standard error of the mean)以上離れていないプロラクチンプロフィールを有する被検者である。男性及び女性のヒトの正常なつまり基線プロフィールを図1に示す。
「誤った陽性」を防ぐために、一般に被検者に以下のことがなければ異常なプロラクチンプロフィールを有するとはみなさない:(a)被検者の日中血中プロラクチンレベルが、少くとも1時間、好ましくは少くとも2時間離れた日中の2点(またはそれ以上)の時点において、基線よりも少くとも1SEM高い場合、(b)被検者の日中血中プロラクチンレベルが、日中の1点の時点において、基線よりも少くとも2SEM高い場合、(c)被検者の夜間血中プロラクチンレベルが、2点(又はそれ以上)の離隔した時点((a)と同様)において、基線よりも少くとも1SEM低い場合、(d)被検者の夜間血中プロラクチンレベルが、夜間の1点において基線よりも少くとも2SEM低い場合。
【0012】
男性及び女性のヒトの基線を図1に示す。覚醒時間(07:00−22:00)の1SEMは、男性で約1−2ng/ml、女性で約1−3ng/mlであり、夜間(22:00−07:00)の1SEMは、男性で約3ng/ml、女性で約3−6ng/mlである。
ヒトにおいて、近付けるつまり近似させるべきプロラクチンレベルの一日のリズムつまりプロフィールの特徴は、07:00と22:00の間の時間の大半若しくは全てにおいて、低いプロラクチンレベル(男性で2−7ng/ml血漿、女性で2−10ng/ml)を達成することを含む。
理想的には、ピークプロラクチンレベルはまた、22:00と07:00の間(好ましくは1:00と4:00の間)に達成すべきである(ピークは少くとも10ng/ml、最も好ましくは男性で10−15ng/ml、少なくとも15ng/ml、好ましくは女性で15−25ng/mlでなければならない)。
【0013】
本発明の利点は以下のことを含む:
−疾病に対抗する必要がある場合の、免疫反応の上方調節、
−正常な免疫反応の回復(自己免疫、免疫不全の低下)。
本発明の利点は、プロラクチン調節剤投与の停止後も、長期間に渡って持続し得る。
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、以下の記載により明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において言及する全ての特許、特許出願、及び参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、本開示が優先する。
免疫反応に対するプロラクチン調節の効果
正常な免疫システムを有する被検者のプロラクチンレベルの変更(プロラクチンを投与すること、若しくはプロラクチン血中レベルを変化させる物質を投与することのいずれかによって)は、被検者の与えられた攻撃に対する免疫反応を開始する能力を強化又は低下させることがわかった。免疫反応への影響が刺激的であるか、抑制的であるは、プロラクチンレベルの変化が起こる時刻、及び変化の性質に依存する。したがって、マウスにおいて、好ましくは点灯後約10−12時間後(HALO)に、ホルモンの血漿レベルを、高プロラクチンに対する細胞の応答がピークに達した時刻又はその近辺において増加させることにより、正常な免疫反応(及びアロ抗原に対する免疫反応)が増加する。反対に、マウスにおいて、4−12HALO、好ましくは10−12HALOに、応答がピークに達した時刻又はその近辺においてプロラクチン血漿レベルを低下させることにより、免疫反応が抑制される。一方、マウスにおいて、好ましくは略点灯時刻(20−24HALO及び0−3HALO、好ましくは22−24HALO及び0−2HALO)に、プロラクチンに対する細胞応答が最低の時刻に、循環プロラクチンレベルを増加させると、免疫反応はしばしば(但し常にではない)抑制される。
【0015】
本明細書中の実験データより、9−12HALOにおけるプロラクチン注射(又はプロラクチン強化剤投与)により、注射等を受けていないコントロールと比較して、マウスのアロ抗原に対する混合リンパ球反応(MLR)が増加され、刺激を受けていないマウス脾臓細胞の増殖が増加される。16−24HALOに行ったプロラクチン注射(又はプロラクチン強化剤投与)はMLRに顕著な影響を及ぼさなかった。点灯時刻のプロラクチン注射(又は強化剤投与)は、注射等を受けていないコントロールと比較して、マウスの免疫反応の顕著な抑制(MLRによって測定)を生じた。これらの結果は、外来抗原に対するインビトロの免疫反応のインビボのプロラクチン変更の効果が、時刻に依存することを示している。遅延型過敏症(DTH)実験によって測定した、抗原に対するインビトロの反応もまた本明細書に記載する。上記のMLRと同様に、点灯時刻に行ったプロラクチン注射は、しばしば(但し常にではない)足蹠膨化反応を抑制し、プロラクチンが免疫反応を低下させるが、10HALOにおけるプロラクチン投与は、コントロールに対して顕著に刺激性であることを示している。
【0016】
免疫反応におけるプロラクチンの時刻依存の役割は、外因性プロラクチンに対する概日免疫反応の特定概日インターバルの間(つまり、マウスにおいて約9−12HALOのインターバル、及びマウスにおいて約0HALOのインターバル)に、プロラクチン血中レベルを低下させる(プロラクチン低下剤の投与により)、マウスによる実験結果によっても示される。内因的プロラクチン分泌を抑制するD2ドーパミン作動薬であるブロモクリプチンによる用量−応答研究は、ブロモクリプチンが、10HALOにおけるDTH反応に抑制作用を有するが、0HALOでは有さないことを示している。ブロモクリプチンはまた、10HALOに投与すると、コンカナバリンA(100%;p<0.01)又はリポ多糖類(47%;p<0.01)によるミトゲン刺激に対する、それぞれT細胞及びB細胞増殖反応を抑制するが、0HALOに投与すると抑制しないこともわかっている。
【0017】
上記のインビトロ及びインビボの免疫反応は、成熟したT細胞活性化に依存する。胸腺ホルモンは、胸腺内の前駆T細胞の分化にとって必須である。さらに胸腺ホルモンは、周辺T細胞活性(Baxevanis,C.N.et al.,Immunopharm 15:73-84,1988)、及び主要組織適合遺伝子複合体クラスII抗原発現(Baxevanis,C.N.et al.,J.Immunol. 148:1979-1984,1992)を強化し、抗原提示機能を改善し(Tzehoval,E.et al.,Immunopharm. 18:107-113,1989)、これら全てはMLR及びDTH反応性を促進することができる。プロラクチンが胸腺上皮細胞増殖並びに胸腺ホルモン生成を刺激する限りは(Dardenne,M.et al.,Endocrinology 125:3-12,1989)、プロラクチンもまた、胸腺細胞数に影響を及ぼす。
実際、5週令のマウスに毎日プロラクチン注射を、1か月に渡って点灯時刻又は11HALOに行った。11HALOにおけるプロラクチンによる治療により、コントロールに対して顕著に胸腺細胞の数が増加したが、点灯時刻のプロラクチン注射では増加しなかった。
上記の結果は、プロラクチンレベルの免疫調節効果、及び外因的プロラクチンに対する細胞応答とプロラクチンの所定時刻における低減又は強化との関係を示している。
【0018】
上記の実験はマウスで行ったものであるが、プロラクチン概日リズムを有するヒトを含む哺乳類に共通な免疫システムの特徴に依存するものである。これらの結果は、プロラクチンの血中レベルを、所定インターバルの間に操作し、免疫システムに所望の効果をもたらすことができることを示している。
【0019】
本発明の方法によれば、被検者のプロラクチンレベルを一日の特定時刻に変更することにより、被検者の免疫反応を改善する、若しくは正常な免疫反応を回復又は強化する、又は異常な免疫反応を改善する方法が提供される。この方法は、感染に対して免疫抑制された被検者(又は免疫抑制されていない被検者でも)の保護を強化するために使用することができる。免疫反応を強化することにより、ウイルス、バクテリア、又はかびによる感染等の個体内に侵入してくる病原体に対して、より高いレベルの保護を提供する。この方法はまた、原因にかかわらず、免疫が低下した又は免疫不全の個体の治療に有用である。この治療方法の恩恵をこうむるであろうさらに別の被検者は、非限定的に、アロ(同種異系)移植を受けた患者、外科の患者、アレルギー患者、火傷を負った患者、化学療法又は放射線治療を受けている癌患者、重症複合型免疫不全(SCID)又はディ・ジョージ症候群等のHIV感染患者又は先天性免疫不全の患者を含む。先天的又は臨床的状態によって、若しくは投薬によって免疫システムが制限されている(ただし完全には除去されていない)いかなる被検者も、本発明の利点を享受できるであろう。免疫反応の強化はまた、感染の恐れの高い、軍の新兵、サマーキャンプ、又は災害の被災者等居所を共にしているグループ、又は養老院の老人にとっても重要である。
【0020】
この方法はまた、有害な免疫反応によって引き起こされた被検者へのダメージを低下又は削除するためにも使用することができる。特に自己免疫疾患に悩まされる被検者の、このような状態が緩和されるか、B細胞、T細胞、又はその両方に依存するか。非限定的な例は、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、内分泌性眼障害、ブドウ膜網膜炎、タイプ1糖尿病の自己免疫相、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、グレーヴズ病、糸球体腎炎、自己免疫性肝臓障害、自己免疫性炎症性腸炎、及びクローン病である。免疫反応特性を有する炎症(例えばアナフィラキシー、アレルギー反応)に悩む被検者もまた本発明の治療方法の利益を享受することができるであろう。この方法はまた、組織又は臓器移植を受けた患者の治療にも有用であり、宿主誘導アロ移植片拒絶反応を低下させる。
【0021】
免疫反応を変更するためのプロラクチン調節剤の使用(a)免疫不全の被害者のプロラクチンリズム調節
与えられた種(及び性別)の若い成熟した健康な哺乳類、例えばヒト(ホルモン又は代謝不全、癌、若しくは他の感染又は病気にかかっていない)は、非常に予測可能な概日プロラクチンレベルリズムつまりプロフィールを有していることが知られている。図1の健康なヒトの男性及び女性の基線曲線は、このような若い健康な個体から得たものである。
【0022】
免疫不全を病んでいるヒトは、異常なプロラクチンリズムを有することも知られている。Nicoletti,supra; Vidaller,supra; Gerli,supra; McMurraysupra,Fraga,A.et al.,Arthritis Rheum. 32:524,1989; 及び Laulle,C.,J.Rheumatol. 14:266,1987。
刺激(血漿プロラクチン)リズムの概日ピークとプロラクチンに対する応答(免疫細胞リズム)との間の相関係は、免疫機能の状態にとって非常に重要である。これらのリズムのいずれかに影響を与える環境的及び薬剤学的要因は、免疫機能に悪影響を与えると考えられる。さらに、これらのリズムの一方又は両方の相移動は、免疫障害並びに癌に関連し得る(Bartsch,C.et al.,J.Pineal Res. 2:121-132,1985; Bartsch,C.et al.,Cancer 64:426-433,1989)。
例えば、自己免疫疾患の患者は、共通して日中、特に日の出後午前中には過プロラクチン血症であり、この時間には、ヒトにおいては、過剰な(基線より上)プロラクチンは免疫機能を抑制していると考えられる。このような個体の日中プロラクチンレベルを調節(低下)することにより、免疫機能の抑制を改善又は修正することができる。前記の実験に関して、これは、例えば0HALOにプロラクチンを投与することにより免疫機能が抑制された動物と同等であろう。免疫機能は、0HALOにプロラクチン低下剤を投与することにより、回復することができる。
【0023】
よって免疫不全の患者は、プロラクチンの概日リズム(プロラクチンプロフィールによって示される)を、図1の正常なつまり基線プロラクチン曲線に近似または近づくように調節することによって、非常に恩恵を享受する。調節されたプロフィールは、異常なプロフィールの全て又は一部が少くとも1ng/mlだけ正しい方向に移動すれば、正常なつまり健康なプロフィールに近似する。
この調節は、このような個体に、以下のうち一つ又は両方を投与することによって達成することができる:
これらのレベルが高過ぎる場合には、第一の所定時刻に(又は一つ以上の第一の所定時刻に)、日中プロラクチンレベルを低下させるのに効果的な第一の量のプロラクチン低下剤、また
これらのレベルが低過ぎる場合には、第二の所定時刻に(又は一つ以上の第二の所定時刻に)、夜間プロラクチンレベルを上昇させるのに効果的な第二の量のプロラクチン強化剤。
【0024】
一般に、プロラクチンレベル変更物質を投与する場合には、プロラクチンレベルが一日の適切な時間に変更されるように、その物質が(その薬物動力学的特性によって)プロラクチンレベルに影響を与えることを許容する、投与時間について適切な許可が必要である。よって、プロラクチン変更物質は以下のように投与されるであろう:
(a)プロラクチンを投与する場合、プロラクチンレベルを上昇させる必要がある時間間隔中に投与する;
(b)プロラクチン以外のプロラクチン強化剤を投与する場合、プロラクチンレベルを上昇させる必要がある時間間隔中またはその僅かに前に投与する(どれだけ前かは薬物動力学的特性による:通常0−3時間前が効果的であろう);
(c)プロラクチン低下剤を投与する場合、プロラクチンレベルを低下させる必要がある時間間隔中又はその僅かに前に投与する(ここでも、0−3時間前が一般に効果的であろう)。
【0025】
本発明の方法では、「プロラクチン強化剤」は、プロラクチン並びに循環プロラクチンレベルを増加させる物質(例えばプロラクチン分泌を刺激することにより)を含む。プロラクチン強化剤の非限定的な例は、プロラクチン;メラトニン;メトクロプラミド、ハロペリドール、ピモジド、フェノチアジン、ドムペリドン、スルピリド、及びクロルプロマジン等のドーパミン作動薬;セロトニンアゴニスト、つまりパルギリン等のMAO阻害剤、例えばメタドン等の合成モルヒネ類似物;例えばメトクロプラミド等の制吐薬;エストロゲン;及び種々の他のセロトニンアゴニスト、例えばトリプトファン、5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)、フルオキシタン、及びデキスフェンフルラミンである。さらに、薬剤学的に許容できる酸から形成した上記のプロラクチン強化性化合物の非毒性塩もまた、本発明の実施に有用である。本発明の実施においてメトクロプラミドが特に有用であることが分かった。
【0026】
プロラクチン低下剤の非限定的例は、ドーパミン及びある種の麦角系プロラクチン阻害化合物等のプロラクチン阻害性ドーパミン作動薬を含む。ドーパミン作動薬の非限定的例は、2−ブロモ−α−エルゴクリプチン;6−メチル−8 β−カルボベンジロキシ−アミノエチル−10−α−エルゴリン;8−アシルアミノエルゴリン、6−メチル−8−α−(N−アシル)アミノ−9−エルゴリン、及び6−メチル−8 α−(N−フェニルアセチル)アミノ−9−エルゴリン;エルゴコルニン;9,10−ジヒドロエルゴコルニン;及びD−2−ハロ−6−アルキル−8−置換エルゴリン、例えばD−2−ブロモ−6−メチル−8−シアノメチルエルゴリン;カルビードパ及びL−ドパ;及びリスリドを含む。さらに、薬剤学的に許容できる酸から形成した上記のプロラクチン低下剤の非毒性塩もまた、本発明の実施に有用である。本発明の実施において、ロモクリプチン、つまり2−ブロモ−α−エルゴクリプチンが特に有用であることが分かった。
【0027】
プロラクチン強化剤又は低下剤によって誘導された免疫反応の変更は、投薬の範囲に渡って用量に依存すると考えられる。
哺乳類の治療において、一般に、プロラクチン低下剤及び/又は強化剤のそれぞれの投薬は、各々通常一日一回、通常約10日から約180日間に渡って行われるが、治療は、(必要又は所望であれば)数か月間又は数年間、無期限に継続することができる。好ましいプロラクチン低下剤(速放性ブロモクリプチン)は、毎日体重1kgあたり約3μgから約100μg、好ましくは約10μgから約40μgの範囲の投薬レベルで投与し、好ましいプロラクチン強化剤(メトクロプラミド)は、1日体重1kgあたり約5μgから約200μg、好ましくは約5μgから約100μgの範囲の投与レベルで毎日投与し、プロラクチンプロフィールを修正、つまり変更する。
一方又は両方のプロラクチン変更物質の投与は、概日血漿プロラクチンリズムを、プロラクチン変更物質の投与によって変更された相及び振幅にリセットするのに十分な時間の間継続することができ、その時点で治療を停止してもよい。被検者が再発に悩まされた場合は、治療を再開してもよい。リセットに必要な時間はそれぞれであるが、通常30〜180の間である。
【0028】
ヒトの治療において、特に、プロラクチン低下剤(速放ブロモクリプチン)は一般に、一日体重1kgあたり、約3μgから約100μg、好ましくは約10μgから約40μgの範囲の投与レベルで投与する(代表的には一人あたり一日0.2−1.5mg;好ましくは0.8−8mg)。プロラクチン強化剤であるメトクロプラミドは一般に、一日体重1kgあたり、約1μgから約50μg、好ましくは約5μgから約20μgの範囲の投与レベルで投与する。(メトクロプラミドの一人当たりの一日の投薬範囲は、代表的には0.5〜5.0mg;好ましくは0.5〜2.0mgである)。このような治療(一方又は両方のプロラクチン変更物質を用いた)は、代表的には、約10日から通常約180日間継続し、患者の免疫機能を、痩せた、若い、健康なヒトの機能に変更及びリセットし、その時点で治療を停止してもよい。ある患者については(例えば特に身体的状態が悪い患者、又は高齢の患者)、上記の期間内にプロラクチンリズムをリセットすることができず、そのような患者は、プロラクチン強化剤及び/又は低下剤によるより長期に渡る、若しくは継続的な治療が必要であることもある。上記の投薬量及び投薬時刻の情報はブロモクリプチン及びメトクロプラミドについて作成したしたものであり、他の薬剤については本明細書に開示した投薬量及び投薬時刻の方法論を用いて変更する必要がある。
【0029】
本発明の実施において、プロラクチン低下化合物、及び/又はプロラクチン強化剤は、好ましくは経口で、又は皮下注射、静脈注射、筋肉注射によって、毎日被検者に投与する。皮膚からの送達システム、例えばスキンパッチ、並びに座薬及び薬剤投与のための他のよく知られたシステムもまた用いることができる。治療は、ヒトの場合一般に平均約10〜約180日間継続する。プロラクチン低下剤及び/又はプロラクチン強化剤は、このようにして、免疫システムを制御する神経振動の相及び振幅をリセットし、免疫機能を長期に渡って(例えば数か月または数年間)修正つまり改善することができる。免疫機能の改善または修正は、免疫不全の定義に関して、上記の免疫反応を開始する能力の部分的または完全な回復を観察することによって評価することができる。自己免疫疾患の場合には、改善または修正は、例えば、リウマチ性関節炎における関節痛又は膨化又は硬化;慢性−再発性多発性硬化症の多くの主要な発作;慢性進行性多発性硬化症の運動機能の安定化又は改善;クローン病の場合には腸炎;及び血清学的測定(二重鎖DNAに対する抗体、補体成分、及び循環免疫複合体等)、皮膚の発赤の数及び程度、又は全身性エリテマトーデスによる筋肉痛、関節痛、白血球数減少、又は血小板減少等、自己免疫疾患に起因する炎症に関連する臨床的症状の顕著な低下又は消滅によって、最もよく評価することができる。自己免疫疾患のレジュメの効力をモニターするのに使用可能な症状は、一般に当業界においてよく知られている。
【0030】
感染に対して免疫反応を開始する能力の改善は、感染性剤に対する試験によっても測定することができる。
約26週間の治療期間に、ブロモクリプチンの投与タイミングを最初に測定するには、一般に以下のより詳細なガイドラインに従う:
a)第1週から第6週 第一の投薬:患者の07:00、08:00、16:00、又は19:00のいずれか一つのプロラクチンレベルが雄で5.0ng/ml以上、又は雌で7.0ng/ml以上である場合には、速放ブロモクリプチン0.8mgを毎日06:00に投与する。
第二の投薬:第3週から開始して、0.8mgの速放ブロモクリプチンを含む第二の投薬も、毎日10:30に投与する。
【0031】
b)第7週から第12週 第一の投薬:07:00、08:00、16:00、又は19:00のいずれか一つのプロラクチン値が依然として、雄で5.0ng/ml以上、又は雌で7.0ng/ml以上である場合には、速放ブロモクリプチン1.6mgを毎日06:00に投与する。さもなくば、速放ブロモクリプチン0.8mgを毎日06:00に投与する。
第二の投薬:追加として、19:00のプロラクチンレベルが雄又は雌で1.5ng/ml以下である場合には、0.8mgの速放ブロモクリプチンの第二の投薬を、10:30ではなく、毎日08:30に投与する。19:00のプロラクチンレベルが雄及び雌で1.5ng/mlよりも高い場合には、第二の投薬は毎日10:30に投与し続ける。
19:00のプロラクチンレベルが雄及び雌で1.0ng/ml未満の場合は、第二の投薬は行わない。
【0032】
c)第13週から第26週 第一及び第二の投薬の両方について、ルールは第7週から第12週に記載したものと同様であり、以下に従う。
(i)16:00又は19:00の一方のプロラクチンレベルが雄で5.0ng/ml以上、雌で7.0ng/mlである場合には、患者が既に合計2.4mgのブロモクリプチンを受けていなければ、さらに0.8mgの速放ブロモクリプチンを第一の投薬に追加する。その場合、第二の投薬に0.8mgの速放ブロモクリプチンを追加する;
(ii)19:00のプロラクチンレベルが雄又は雌で1.5ng/ml未満である場合には、第二の投薬時間を2時間早く投与することで調節する;また (iii)08:00、16:00、及び19:00のそれぞれのプロラクチンレベルが雄又は雌で1.0ng/m1未満である場合には、第二の投薬から0.8mgの速放ブロモクリプチンを差し引く、若しくは第二の投薬がない場合には、第一の投薬から0.8mgの速放ブロモクリプチンを差し引く。大半の患者では、第一の投薬は最低0.8mgの速放ブロモクリプチンを含有していなければならない。
【0033】
上記の時刻及び量のスケジュールは、ブロモクリプチン投与のガイドラインを意図したものであり、当業者は治療する患者の実際のプロラクチンプロフィール又はキープロラクチンレベルに基づいて、ブロモクリプチン投与のさらに詳細なタイミング及び量を調節することができる。例えば、患者が与えられた投薬(単数又は複数)(例えば0.8mg)に応答しない(又は適切に応答しない)場合、投薬を増加することができる(例えば1.6mgまで)。
必要であれば、メトクロプラミド(一般に一日の投薬範囲は一人当たり0.5−5.0mg;好ましい一日の投薬範囲は一人当たり0.5−2.0mg)を、就寝時間の約1時間前に一度投与することができる。
当然ながら、上記の投薬は最適化を仮定したものであり、最低及び最大有効用量があるものと考えられる。換言すれば、免疫反応を調節するためのプロラクチンリズム又はレベルの調節は、特定の投薬範囲内で生じるであろう。(これもまた、ブロモクリプチンをプロラクチン調節剤として使用して、免疫反応を下方調節するため、以下の実施例2に記載される。)
【0034】
本発明の、異常なプロラクチンプロフィールを有する脊椎動物である被検者(動物又はヒト)のプロラクチンレベルプロフィールを、同種及び同性の若く健康なもののプロラクチンプロフィール(例えば図12の基線参照)に近似させ、近付けるようにリセットすることによる免疫システムの変更に関する特徴は、プロラクチン低下剤又はプロラクチン強化剤、若しくはその両方を、治療すべき被検者の異常な(治療前の)プロラクチンプロフィールによって決められた所定の用量及び時刻で投与することを含む。この変更をもたらすのに必要なプロラクチン低下剤及び/又は強化剤の量は、上記の範囲と同様であるが、これらのプロラクチン調節剤の投与回数は、異常なプロフィールが正常なプロラクチンプロフィール(基線曲線)と、どれだけ、いつ異なっているかを参照して決定する。投与量及びタイミングを決定するための方法もまた、国際特許願第PCT/US93/12701、及び1994年6月23日出願の米国特許願第08/264,558号の優先権を主張して1995年6月23日に出願された国際特許出願に記載されており、これら参照により組み込まれる。好ましい速放ブロモクリプチンの投与形態は、国際特許願第PCT/US94/14994に開示されており、これも参照により組み込まれる。
【0035】
b)免疫反応の強化 実施例1〜5に記載されるように、本発明は、免疫反応を強化(増加したT細胞反応又はB細胞反応等、免疫不全の定義について上記に記載したとおり)し、被検者が感染に対抗する能力を増加させる方法を提供する。これは、プロラクチン又は別のプロラクチン強化剤を、24時間のうち所定時間に投与することによって達成され、その時点で増加されたプロラクチンの血流レベルが免疫反応を強化する。
マウスにおいて、プロラクチンの注射又はプロラクチン強化剤の投与は、4−12HALOの時間間隔の間免疫学的に刺激性であり、この時間の間、免疫システムは増加したプロラクチンレベルに対してポジティブに反応する。
【0036】
本発明の方法のこの特徴に従って、プロラクチン概日リズムを有するいかなる哺乳類を治療するにあたっても、増加したプロラクチンに対するポジティブな免疫反応性の適切な間隔をまず突きとめる必要がある。これは、実施例1〜5に類似する実験によって行うことができる。MLR又はDTHの測定の代わりに、よく知られたリンパ球増殖又はリンパ球活性化アッセー又はリンパ球特徴化法(lymphocyte characterization methods)を用いて、増加したプロラクチンの効果を評価することができる。適切な時間間隔内の時点を一旦同定すると、プロラクチン強化剤の投与を行うことができる。投与時刻は、免疫反応を強化するのにプロラクチン強化が効果的であると見出された時点から離隔した時点(例えば3時間以内)で、実施例1〜5のような実験を繰り返すことにより、さらに最適化することができる。
【0037】
効果的な投与範囲、並びに最適量の確認は、当業者の知識の範囲内である。例えば、哺乳類への投与量は、比較的低い用量(例えば0.8mgのブロモクリプチン又は0.5mgのメトクロプラミド)から始めて、徐々に(例えば対数的に)増量し、以下の実施例1〜5に詳細に説明されたように、よく知られた方法に従って哺乳類の免疫反応を評価する。最適投与量は、最大又は最小のMLR、DTH反応、胸腺細胞数、又は他の免疫反応測定値を生じる量である。有効な投与量範囲は、少くとも一つの免疫反応測定値の少くとも統計的に顕著な変化を生じる範囲である。
哺乳類では、一般に免疫反応を強化するプロラクチン強化剤の量は、一日1kgあたり1〜50μgの範囲である。
強化剤がプロラクチンである場合は、一日1kgあたり10〜1000ngの範囲である。
ヒトでは、プロラクチンの量は一般に上記と同様であり、ドムペリドンの量は一日1kg当たり0.17〜17mgであり、5HTPの場合は一日1kg当たり1〜50mgである。
【0038】
理論に束縛されることなく、外因性プロラクチンの毎日の投与、若しくは外因性プロラクチンレベルの増加は、細胞を免疫反応性に準備させる統合された細胞予備活性化(preactivation)状態を仲裁すると仮定される。リンパ球のプロラクチン刺激は、外来抗原に対する強化された反応に必要な、オルニチンデカルボキシラーゼ、神経タンパクキナーゼC、IL−2生成、及びIL−2レセプター発現の活性を誘導する(Gala,R.R.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med. 198:5-13,1991; Russel,D.H.,Trends Pharm.Sci. 10:40-44,1989)。
【0039】
プロラクチンレセプターは、多形核神経細胞及びマクロファージ、並びにリンパ球上に同定されている(Gala,R.R.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med. 198:5-13,1991)ので、この予備活性化(preactivation)は、MLRを刺激することが知られている胸腺ホルモンの生成(Baxevanis,C.N.et al.,Immunopharm 15:73-84,1988)、サイトカインの生成(Tzehoval,E.et al.,Immunopharm. 18:107-113,1989)、及びクラスII MHCの発現を増加させることによる抗原提示能力の強化(Baxevanis,C.N.et al.,J.Immun. 148:1979-1984,1992)及び/又はおそらくB7抗原の発現を増加させることによる強化を含む、免疫反応を強化する種々の細胞活性(例えばMLR及びDTH)を目標化する役割を果たすかもしれない。
【0040】
他の生理学的システムにおける先の観察に基づいて、プロラクチンに対するこの免疫細胞性反応リズムの相(つまり一日のピーク)は、他のホルモン性又は神経性因子によって直接又は中枢的に同調させられ得る。ホルモン性因子は、例えばコルチコステロイド(Meier,A.H.,Trans.Am.Fish.Soc. 113:422-431,1984; Meier,A.H.et al.,Current Ornithology II(ed Johnston R.E.)303-343,1984; Cincotta,A.H.et al.,J.Endocrinol. 120:385-391,1989)を含む。神経性因子は、例えばドーパミン(Emata,A.C.et al.,J.Exo.Zool. 233:29-34,1985; Cincotta,A.H.et al.,Chronobiol.Int.(印刷中);Miller,L.J.et al.,J.Interdisc.Cycles Res. 14:85-94,1983)を含む。プロラクチンに対する免疫学的反応性の一日の変化は、確固たる免疫活動の概日リズムとは異なるものであることは明らかにしておくべきである(Fernandez,J.in Biologic Rhythms in Clinical and Laboratory Medicine(eds.Y.Touitou & E.Haus)493-503,1992)。
【実施例】
【0041】
本発明は、以下の実施例に記載される実験によってよりよく理解されるであろう。これらの実施例は、本発明の原理の説明するものとしてのみ解釈されるべきである。さらに、多くの変更及び変化は当業者にとって容易であるので、図示し説明されたままの構成及び操作に本発明が限定されることは望ましくない。従って、全ての適切な変更及び同等物は使用可能であり、本発明及び添付請求項の範囲に入るものである。
【0042】
実施例1:一方向混合リンパ球反応における プロラクチンの、一日のうちの時刻に依存した効果
成年雄のBALB/c及びC57BL/6マウス(Charles River,Wilmington,MA)の群(n=3〜6)を、生後から毎日12時間の日照時間に維持した。シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO)から入手可能ヒツジプロラクチンを、0/24、4、8、12、16又は20HALOにおいて腹腔内投与した(1mg/kg体重、20μg/動物/日、10日間にわたり)。対照群は、処理されなかった。次いで個体の脾臓細胞(応答細胞)を、対照又は実験マウスから標準的な方法で得、赤血球を除き、脾臓細胞を1mM L−グルタミン1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.01MHEPES、及び1%熱不活化正常マウス血清で補ったRPMI1640(Gibco,Grand Island,New York)に再懸濁した。刺激脾臓細胞を、正常雄C57BL/6マウスから得、4000radのガンマ照射で照射し、ハンクスの平衡塩類溶液で洗浄し、培地に再懸濁した。5×105個の応答細胞を、5×105の刺激細胞又は培地のみに、総体積0.2mlとなるよう、96ウェルの平底プレートに加えた。96時間後、細胞増殖を、1μCiの3H−チミジン(New England Nuclear,Boston,MA)と共に保温し、さらに18時間後に、細胞を回収しシンチレーションカウンターで計測した。それぞれの動物からの細胞懸濁液は、6倍にアッセイされ、各群3〜6マウスの平均+/−SEMとして表現された。図2は、3つの別の実験のうちの代表的な実験を示す。
【0043】
図2を参照することにより分かる通り、4〜12HALOになされたプロラクチン注入は、アロ抗原に対するMLR応答を実質的に増加させた(114%、p<0.05)。また、処理された動物からの刺激されていない応答脾臓細胞の増殖も、ネガティブな対照と比較して(より少ないが顕著な程度に)増加した。16〜20HALOになされた注入は、MLR応答において有意な効果を何ら持たなかったことに留意されるべきである。さらに、光照射開始(0/24HALO)における注入は、対照と比較して66%のMLR阻害を示した。
従って、この実施例における実験は、プロラクチンレベルの増加の時間ぎめの重要性を劇的に示す。異なる時間においての、循環するプロラクチンの量の増加は、アロ抗原に対する免疫応答の増加、又はアロ抗原に対する免疫応答の抑制を起こすか、又は何の顕著な効果も起こさない。
前記の結果は、図3にその結果が示される他の同様な実験(n=5)においても繰り返されている。
【0044】
実施例2:ハプテン特異的遅延型過敏症応答における ブロモクリプチンの一日のうちの時刻に依存した効果
毎日12時間の日照時間に維持した成年雄のBALB/cマウス(群当たり5〜6のマウス)に、12日間にわたり毎日0.5、1.5、2.5、又は5.0mg/kg体重のブロモクリプチンを、0又は10HALOのいずれかに注入した。対照群は、処理されなかった。薬物処理開始後6日後に、処理されたもの及びポジティブ対照(感作されるがブロモクリプチンなし)を、3.0×107個のABA−結合の同型雄脾臓細胞を皮下注射することにより、アゾベンゼンアルソネート(ABA)に感作させた(Bach,B.A.et al.,J.Immunol. 121: 1460-1468,1978)。ネガティブ対照群は、感作されなかった。感作後6日後、全てのマウスは足蹠において10mMのABA溶液30μlを受けた。足蹠を24時間後に測定し、注入していない足蹠の厚さを注入された足蹠のものから差し引くことにより、膨化応答を決定した。図10は、ポジティブ対照と比較した足蹠膨化の、4つの実験により得られた平均百分率阻害を示す。
図10から分かる通り、異なる量のブロモクリプチンは、免疫系において、それらの投与時刻によって異なる効果をもたらした。従って、0HALOにおいて、0.5mg/kg又は1.5mg/kg又は2.5mg/kgのブロモクリプチンは足蹠膨化阻害において何の有意な効果も示さなかった。0 HALOに投与された5.0mg/kgのブロモクリプチンはDTH応答の有意な阻害をもたらした(即ち、有意な免疫抑制効果を有していた)。
【0045】
一方、10 HALOにおいて、1.5、2.5及び5.0のブロモクリプチン用量は、有意な抑制効果を有していた。これは、ブロモクリプチンが10 HALOに与えられた時のブロモクリプチンのDTH阻害(即ち免疫抑制)効果は、0 HALOに与えられた場合より大きいことを示している。ブロモクリプチンは、マウスにおいてプロラクチン分泌を、1.5mg/kg投与された場合約4〜6時間、また5mg/kg投与された場合約16時間阻害する。従って、0 HALOにおける5.0mg/kgの用量は、内因性プロラクチンの、長時間持続する抑制をもたらす。これは、プロラクチンへの免疫応答性の範囲(window)へ最も持続させる可能性がある。これらの結果は、プロラクチン減少剤の用量は、処理される哺乳類の毎日のプロラクチンレベルサイクルを除くほど高い必要はないが、一日のうちの所望のインターバルにおいてのみプロラクチンを実質的に減少させる濃度に維持される必要があることを示す。この実施例2の結果はまた、プロラクチンへの免疫応答性は、毎日のリズムに従うことを示す。この実施例2の実験はまた、プロラクチン調節剤の適切な用量又は用量範囲を決定するための方法を提供する。
一日当たり動物当たり20μgのプロラクチンを12日にわたり0 HALO又は11 HALOにおいて投与して、同じ形式の実験を行った。DTH応答(足蹠膨化mmとして表現される)を、ネガティブ及びポジティブ対照と比較して図9に示す。アスタリスクはポジティブ対照からの有意差を示す。
前記DTHの実験は、アロ抗原に対する免疫応答(例えば同種移植片)を含む、免疫応答の増加及び減少における本発明の有用性を確認するものである。
【0046】
実施例3
ブロモクリプチン(200μg/動物/日又は50μg/動物/日)を7日間にわたり0及び9 HALOにおいて投与した他は、実施例1のMLR実験を反復した。結果を図6(A及びB)に示す。ブロモクリプチン(プロラクチン減少)は、0 HALOにおいてMLRに何の効果も有さないが、9 HALOにおいて有意に阻害することが見いだされた。
ブロモクリプチン(50μg/動物/日、10日間)はまた、実施例1と同様なMLR実験においてブロモクリプチンが10 HALOに投与された場合、同量のブロモクリプチンが0 HALOに投与された場合に比べて、培地中のコンカナバリンA(ConA)による(100%阻害;p<0.01)(図7)、又はリポ多糖による(47%阻害;p<0.01)(図8)変異原性刺激に対するT−細胞及びB−細胞の増殖の応答について有意により阻害性であることも見いだされた。このことは、プロラクチンへの免疫応答性の毎日のリズムの存在を支持する。
【0047】
実施例4:プロラクチン強化剤の、MLRにおける一日のうちの時刻に依存する効果
プロラクチン強化剤のドムペリドン(血液脳関門を通らない)をマウス(群当たりn=5)に、23及び10 HALOにおいてマウスに1.7mg/kg/日の量で7日にわたり投与した他は、実施例1の実験を反復した。図4に示される結果において、10 HALOにおいて投与された場合ドムペリドンは有意にMLRを増加させたが、23 HALOにおいては増加させなかった。5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)を25mg/kg/日の量で7日間にわたり用い、同じ実験を行った。またもや、5HTPは0 HALOに投与された場合MLRを変化させなかったが、9 HALOに投与された場合MLRを有意に増加させた。結果は図5に示される。これらの実験は、プロラクチンの増加は、循環(血液)プロラクチンレベルを増加させる物質の投与により間接的に達成されうることを示している。
【0048】
実施例5:胸腺細胞数におけるプロラクチンの一日のうちの時刻に依存する効果
毎日12時間の日照時間に維持した成年(5週令)の雄BALB/cマウス(8〜10動物/群)に、毎日28日間ヤギプロラクチン(2.25mg/kg)を、0又は11 HALOにおいて注入した。対照群は処理しなかった。第29日目に、胸腺を除去し、細胞懸濁液を機械的分離により得、総細胞数を血球計算板チャンバーにおいて計数することにより決定した。図11の結果は、群当たり8〜10のマウスの平均細胞数+/−SEMを示す。
図11を参照することにより分かる通り、11 HALOにおけるプロラクチン処理は、胸腺細胞数を対照に比べて42%まで有意に増加させ、一方光照射開始におけるプロラクチン注入は増加させなかった。これらの結果は、免疫系に対するプロラクチンの刺激効果は、胸腺細胞にまで至ることを示す。さらに、これらの知見はまた、免疫応答性は概日リズムに従うことを支持する。
【0049】
以下の実施例6〜10において、様々な自己免疫疾患を有する患者が、ブロモクリプチンによって治療され正常化され(又は正常に近づけられ)、且つ彼らの毎日のプロラクチンプロフィールがリセットされた。結果として、それらの個体の免疫機能は改善され、それぞれの個体を苦しめていた自己免疫疾患に関連する炎症による少なくとも1つの症状がかなり減少し、及び/又は薬剤投与が減少又は中断された。
【0050】
実施例6:クローン病
被検者(男性;20歳)は、1992年に、診査手術及びバリウムX線によりクローン病と診断された。およそ12インチ(30.48cm)の小腸が炎症を起こしていた。被検者は、プレドニゾン40mg/日を、16週間にわたり0まで漸減して投与された。
被検者の24時間の治療前プロラクチンプロフィール(彼がプレドニゾンの服用をやめてから5か月後に得られたもの)を、図12において、「外来1」と標記された線としてグラフで示す。それは、日中を通して高すぎるプロラクチンレベルを示す。被検者は、1.25mgのブロモクリプチンを、毎日08:30hに20週間投与された。20週間の治療後にこの被検者についての再評価プロフィールを得た。それを図12において「外来2」と標記された線としてグラフで示す。(既に外来2において、日中のプロラクチン曲線下の区域は、実質的に減少して進歩を示しているが、10:00〜13:00及び16:00〜22:00において、プロラクチンは高すぎる値を維持している。不所望な早い午前中のピークが除かれていることもまた観察された。)この時から、用量は、日中の低いプロラクチンレベルを得るために、08:00hに一日当たり2.5mgに増加された。患者のさらなるプロラクチンプロフィール(2.5mg投与の開始後10か月において得たもの)における、この用量の変更の効果は、図1において外来3と標記された線において示され、これは被検者の日中の男性のプロラクチン水準は、日中の期間(07:00〜22:00)の殆どにおいて2〜7ng/mlの間であり、そのプロラクチンプロフィールは日中の標準プロフィールに近づいたことを示す。
【0051】
治療開始後15か月において、被検者は、まだ正しい夜間ピークを有していなかったが、日中のプロラクチン水準は明らかに改善された状態にとどまっていた。ブロモクリプチン治療は、2.5mg/日でさらに24週(合計20か月の治療)続けられた。
この患者の臨床的改善は、以下のことを含む:(1)この時期(3年)内における外科的切除術の回避;(2)第1の診断と最も最近のもの(治療後)とのX線の比較によると、プレドニゾンの2年間の中断にも拘らず腸の炎症区域の増加なし;(3)プレドニゾン治療に対する腸の応答による決定によると、最初の診断から治療の終了までを通して、瘢痕形成が最小であった;(4)診断前に比べて何の食事の変更が無かったにも拘らず、患者は、主な腸の不快感を何も報告しなかった。
【0052】
実施例7:慢性関節リウマチ
被検者(女性;55歳;5ft2in(157.48cm);171.251bs(77.68kg))は、以下の症状を有していた:
(a)1972年に診断された慢性関節リウマチ;首の滑液包炎は1992年に診断された;症状は、指における骨の変性を含んでいた;治療:毎日イブプロフェン1800mg(1992年10月から)、ブロモクリプチン治療期間中イブプロフェン400mgに減量し、治療12週後から完全に中断。
(b)肥満:136%IBW(メトロポリタン生命保険社(Metropolitan Life Insurance Co.NY,NY)から入手可能な標準表に基づく)。
被検者の治療前の24時間プロラクチンプロフィールを、図13の黒線としてグラフで示す(第0B週)。被検者のプロラクチンレベルは一日を通して、特に07:00hにおいて高すぎた。さらに、夜間のピークは前に移動していた。被検者は最初の2週間に1.6mgのブロモクリプチンを09:00に投与され、続く4週間に、被検者は0.8mgのブロモクリプチンを05:00に、1.6mgのブロモクリプチンを09:00に投与された。次の4週間(研究の第6〜10週)に、1.6mg用量のブロモクリプチンの投与時間は09:00から10:00hrに変更された。この患者の再評価プロフィールを、2、6(図示せず)及び10週後に得た。
【0053】
2週間後のこの患者のプロラクチンプロフィールにおいて観察される改善は、正常化したか正常に非常に近い午後及び早い夕方を通してのプロラクチンレベルからなっていた。しかしながら、07:00においてプロラクチンレベルはなお高すぎた。この患者の総用量は第3週から増加され、07:00hにおける患者のプロラクチンレベルを下げるための05:00hrにおいての0.8mgのブロモクリプチンを含んだ。確かに、07:00hrにおける患者のプロラクチンレベルは、6週間の治療後に正常近くまで減少した。治療は18週間続いた。図13にも見られるように、10週の治療後、患者の日中のプロラクチンレベルは正常に維持されたが夜間のプロラクチンレベルは正常レベルの下方まで減少した。しかしながらプロラクチンリズム修飾の実質的な臨床経験に基づき、本発明者らは、日中のプロラクチンレベルが正常化された(又は正常に近づけられた)自己免疫疾患に苦しむ患者は、例え夜間のレベルがそのままであっても、あるいは異常となっても、治療により利益を受けると考える。本発明者らは、この患者の利益は、夜間のレベルもまた正常化された場合、さらに増加するであろうと考える。
この患者においての臨床的改善は、以下のことを含む:12週間の治療ご全ての関節炎治療を停止し、以下の症状が消失した:関節の膨化、痛み及びこわばり;及び体脂肪の、65ポンド(29.48kg)から45ポンド(20.41kg)への、約20ポンド(9.07kg)の減少。患者の相対順もまた、本研究の間を通じて251bs(11.34kg)減少した。この患者のさらなる重要な臨床的利益は、上記の臨床的改善が、治療停止後さらに8か月持続したことであった。
【0054】
実施例8:慢性関節リウマチ
被検者(女性;46歳;5ft5.7ins(166.9cm);2351bs(106.59kg))は、以下の症状を有していた:
(a)約6年間の慢性関節リウマチ;患者は、ナプロキセン(1500mg)及びアスピリン(680mg)の両方を毎日、並びに必要に応じてイブプロフェン(200mg)を服用していた。
(b)肥満:156%IBW(メトロポリタン生命保険社の標準表に基づく);
この患者の治療前の24時間のプロラクチンプロフィールを、図14の黒線としてグラフで示す。それは、治療前プロラクチンレベル(第0B週)は日中を通して、特に07:00hにおいて高すぎたことを示している。治療の最初の6週間の間、被検者は1.6mgのブロモクリプチンを09:30に投与された。第6週から10週の間、被検者は0.8mgのブロモクリプチンを05:00hrに投与され、1.6mgのブロモクリプチンを10:00hrに投与された。第10週から18週の間、被検者は1.6mgのブロモクリプチンを05:00hrに、0.8mgのブロモクリプチンを10:00hrに投与された。再評価プロラクチンプロフィールが10週間後及び18週間後を含む、いくつかのインターバルにおいて採られた。
【0055】
18週間後の被検者のプロラクチンプロフィールを、グラフで図14に示す。
このグラフは、患者の日中のプロラクチンレベルは一日の殆どにおいて正常まで又は正常近くまで減少したことを示している。このグラフはまた、患者が正しい夜間のピークを欠いていることを示している。しかしながらこの患者のプロフィールは、彼女の用量が変更された後10週から18週にかけて、19:00にピークが現れて幾分悪化した。
ブロモクリプチン治療は合計で18週間続いた。
この患者の臨床的改善点は、以下のことを含む:ナプロキセンの中断(治療中2週間の1つのインターバルを除く)及び18週間の治療後のチレノールへの代用、以下の症状のかなりの減少又は消失:痛み、関節の膨化及びこわばり並びに約15ポンド(6.80kg)の体脂肪の減少。これらの改善は、治療の停止後さらに約4か月続いた。
【0056】
実施例9:線維筋痛
被検者:(女性;38歳);線維筋痛を患っている。症状は、慢性疲労、胃疾患、並びに大腿及び下腿を含む四肢の慢性痛を含む。患者は処置開始前に、約1年間治療を受けていた。処置前投薬はなかった。
被検者の24時間ベース(治療前)のプロラクチンプロフィールを、図8に黒の実線でグラフに示す。グラフは、治療前のプロラクチンレベルが、日中は徐々に上昇し、夜間に適切なピークがないことを示している。最初にブロモクリプチンを、午前6:00に0.625mg投与し、メトクロプラミドを午後10時に2.5mg投与した。4週間後、投与を、午前6:00に1.25mgのブロモクリプチン、そして午後10時に1.25mgのメトクロプラミドに変更した。
8週間後(変更した投与で4週間目)、投与のさらなる変更はしなかった。さらに10週間後(合計18週間)、メトクロプラミドを停止し、ブロモクリプチンの治療をさらに4週間継続し、これを症状が実質的に消滅した時点で停止した。プロラクチンレベルの再評価を、17週間後(来院3、日中プロフィールは調べなかった)を含むいくつかのインターバルで行った。
【0057】
被検者の4週間後のプロラクチンプロフィールを、図15に灰色の実線でグラフに示し、17週間後のプロラクチンプロフィールを、図15に点線で示す。これらのグラフは、患者の日中プロラクチンレベルが、日中のある時点において幾分低下し、患者がよりよい夜間のピークを得たことを示している。
この患者における臨床的改善は、以下の症状の消滅を含む:慢性疲労、胃疾患、並びに大腿及び下腿を含む四肢の慢性痛。これらの臨床的改善は、治療終了後8か月継続し、治療は合計22週間続いた。
【0058】
実施例10:線維筋痛
被検者:(女性;27歳);線維筋痛を患っている。症状は、慢性疲労、胃疾患、全関節の痛みと腫れ、無月経、及び胸部の腫れを含む。患者は処置開始前に約5年間に渡って治療を受けていた。患者はチレノール650mg(毎日)及びコデイン含有チレノール16mg(毎日)を服用していた。
被検者の24時間ベースの治療前プロラクチンプロフィールを、図15に黒の実線でグラフに示す。グラフは、プロラクチンレベルが日中、特に13:00に高過ぎることを示している。治療の最初の24週間、患者に08:30に0.625mgのブロモクリプチンを投与した。その後9週間の治療では、患者に05:30に0.625mgのブロモクリプチン、及び09:30に0.625mgのブロモクリプチンを投与した。プロラクチンプロフィールの再評価を、治療の約24週間後及び35週間後を含むいくつかのインターバルにおいて行った。
被検者の24週間後のプロラクチンプロフィールを、図16に黒の点線でグラフに示す。このグラフは、患者の日中、特に10:00〜16:00のプロラクチンレベルが低下したことを示している。患者のプロラクチンレベルは、夕方において未だ幾分高めである。
この患者の臨床的改善は以下のことを含む:チレノール及びコデイン含有チレノールの停止、及び以下の症状の緩和:疲労、胃疾患、及び全ての関節の痛み。
さらに、正常な月経周期が回復し、胸部の腫れが鎮静した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】健康な男性(M)及び女性(F)の基線プロラクチン概日リズムつまりプロフィール曲線である。
【図2】混合リンパ球反応(MLR)と所定時刻のプロラクチン投与との関係を示す棒グラフである。星印は、コントロールからの顕著な差異を示す(p<0.05;スチューデントのt検定)。
【図3】混合リンパ球反応(MLR)と所定時刻のプロラクチン投与との関係を示す棒グラフである。星印は、コントロールからの顕著な差異を示す(p<0.05;スチューデントのt検定)。
【図4】図2と同様のグラフであるが、MLRとプロラクチン強化剤であるドムペリドン(domperidone)の所定時刻の投与との関係を示す。
【図5】図4と同様のグラフであるが、プロラクチン強化剤は5HTPである。
【図6A】図3と同様のグラフであるが、MLRと所定時刻のプロラクチン低下剤(200μgブロモクリプチン)の投与との関係を示す。
【図6B】図3と同様のグラフであるが、MLRと所定時刻のプロラクチン低下剤(50μgブロモクリプチン)の投与との関係を示す。
【図7】刺激であるコンカナバリンA(ConA)に対するT細胞反応とブロモクリプチンの所定時刻の投与との関係を示す棒グラフである。
【図8】図7と同様のグラフであるが、刺激であるリポ多糖類(LPS)に対するB細胞反応についてのものである。
【図9】遅延型過敏症(DTH)反応(足蹠膨化反応)とプロラクチンの所定時間投与との関係を示す棒グラフである。
【図10】図9と同様のグラフであるが、4つの実験によって得られた陽性コントロールに対する足蹠膨化反応の平均抑制パーセントを示す。星印は、足蹠膨化反応の陽性コントロールからの顕著な差異をミリメートル単位で示す(p<0.008;スチューデントのt検定)。
【図11】治療を受けたマウスとコントロールマウスとにおける、胸腺細胞数と所定時刻のプロラクチン投与との関係を示す棒グラフである。この結果は、1グループ当たり8−10匹のマウスの平均細胞数+/−SEMを示す。星印は、コントロールとの顕著な差異を示す(p<0.01;スチューデントのt検定)。
【図12】男性の基準プロラクチンプロフィール(つまり健康な若い男性の正常なプロラクチンプロフィール)MBと、そこに重ねて、クローン病にかかっている男性患者の治療前(黒線)プロラクチンレベルプロフィール(ng/ml血漿)及び治療中(灰色線及び点線)のプロラクチンプロフィールを示す一連のトレーシングである。
【図13】女性の基準プロラクチンプロフィールFB、並びに図12と同様に二人のリウマチ性関節炎の女性患者のトレーシングを示す。
【図14】女性の基準プロラクチンプロフィールFB、並びに図12と同様に二人のリウマチ性関節炎の女性患者のトレーシングを示す。
【図15】女性基準プロラクチンプロフィールFB、並びに図12と同様に二人の線維筋痛の女性患者のトレーシングを示す。
【図16】女性基準プロラクチンプロフィールFB、並びに図12と同様に二人の線維筋痛の女性患者のトレーシングを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一日の血中プロラクチンリズム及びプロフィールを有し免疫系不全の治療を必要とする哺乳類における、該血中プロラクチンプロフィールを調節するための、当該治療におけるプロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用であって、
前記プロラクチン減少剤は所定時間に投与するものであり、哺乳類の血中プロラクチンレベルを低下させることにより、一日の血中プロラクチンプロフィールの谷を、該哺乳類と同種同性の健康な者の標準的な一日の血中プロラクチンプロフィールの谷に適合又は近似させ、及び/又は
前記プロラクチン増強剤は所定時間に投与するものであり、哺乳類の血中プロラクチンレベルを上昇させることにより、一日の血中プロラクチンプロフォールのピークを、該哺乳類と同種同性の健康な者の標準的な一日の血中プロラクチンプロフィールのピークに適合又は近似させる、プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用。
【請求項2】
一日の血中プロラクチンリズム及びプロフィールを有し免疫系不全の治療を必要とする哺乳類における、該血中プロラクチンプロフィールを調節するための、当該治療におけるプロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用であって、
前記プロラクチン減少剤は、哺乳類の日中血中プロラクチンレベルを低下させるために所定時間に投与するものであり、及び/又は
前記プロラクチン増強剤は、哺乳類の夜間血中プロラクチンレベルを上昇させるために所定時間に投与するものである、プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用。
【請求項3】
前記治療を必要とする哺乳類の一日の血中プロラクチンプロフィールが、24時間のうちの時間をおいたインターバルで調節される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記プロラクチン減少剤がブロモクリプチンである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記プロラクチン増強剤が、メトクロプラミド、ドムペリドン、及び5−ヒドロキシトリプトファンからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
前記治療を必要とする哺乳類がヒトであり、前記ブロモクリプチンが一人一日当たり0.8〜8mgの範囲内の量で投与するものである、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記プロラクチン増強剤がメトクロプラミドであり、前記哺乳類がヒトであり、該メトクロプラミドが一人一日当たり0.5〜5.0mgの範囲内の量で投与するものである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記哺乳類の一日の血中プロラクチンプロフィールがリセットされて、前記標準的な一日の血中プロラクチンプロフィールに適合又は近似して、リセットされた一日の血中プロラクチンプロフィールとなり、
該リセットされた一日の血中プロラクチンプロフィールが、前記使用の中止後もリセットされた状態で維持される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項9】
免疫系不全の治療を必要とする哺乳類における、血中プロラクチンプロフィールを調節するための、当該治療におけるプロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用であって、
前記プロラクチン減少剤は、哺乳類の血中プロラクチンレベルを低下させることにより、一日の血中プロラクチンプロフィールの谷を、該哺乳類と同種同性の健康な者の一日の血中プロラクチンプロフィールの谷に適合又は近似させる所定時間に投与するものであり、
前記プロラクチン増強剤は、哺乳類の血中プロラクチンレベルを上昇させることにより、一日の血中プロラクチンプロフィールのピークを、該哺乳類と同種同性の健康な者の一日の血中プロラクチンプロフィールのピークに適合又は近似させる所定時間に投与するものである、プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用。
【請求項10】
自己免疫疾患の治療を必要とする患者におけるプロラクチンプロフィールを調節するための当該治療におけるプロラクチン減少剤の使用であって、
前記プロラクチン減少剤は、患者の血中プロラクチンレベルを低下させることにより、一日の血中プロラクチンプロフィールのピークを、該患者と同性の健康なヒトの一日の血中プロラクチンプロフィールのピークに適合又は近似させる所定時間に投与するものである、プロラクチン減少剤の使用。
【請求項11】
自己免疫疾患の治療を必要とする哺乳類における、当該治療におけるプロラクチン減少剤の使用であって、
前記プロラクチン減少剤は、該哺乳類と同種同性の健康な者の一日のプロラクチンプロフィールにおけるピークの一日のインターバルに適合又は近似する24時間のうちのインターバル中における該哺乳類の血流中の血中プロラクチンレベルを低下させるために、24時間のうちの所定時間に投与するものであり、それにより該時間における哺乳類のプロラクチンレベルを、前記同種同性の健康な者の一日のプロラクチンプロフィールのピークにおけるプロラクチンレベルに適合又は近似させる、プロラクチン減少剤の使用。
【請求項12】
免疫応答を増加させる治療を必要とする哺乳類における、当該免疫応答を増加させるためのプロラクチン増強剤の使用であって、該プロラクチン増強剤は、24時間のうち、増加したプロラクチンへの哺乳類の免疫系の免疫応答性が最もポジティブであるインターバル中において、24時間のうち血流中に追加のプロラクチンを与えるように予め決められた時間に投与するためのものである、免疫応答を増加させるためのプロラクチン増強剤の使用。
【請求項13】
前記プロラクチン増強剤がプロラクチンであり、該プロラクチンが、増加したプロラクチンへの前記免疫応答性が最もポジティブである一日のインターバル中に投与するものである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記プロラクチン増強剤が、増加したプロラクチンへの前記免疫応答性が最もポジティブである一日のインターバルの前に投与するプロラクチン刺激剤である、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記哺乳類がマウスであり、前記免疫応答性が最もポジティブである一日のインターバルが、約4〜約12HALOである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
免疫応答を増加させる治療を必要とする哺乳類における、当該免疫応答を増加させるためのプロラクチン増強剤の使用であって、該プロラクチン増強剤は、24時間のうち、該哺乳類と同種同性の健康な哺乳類の一日のプロラクチンプロフィールのピークと一致するインターバル中において、24時間のうち血流中に追加のプロラクチンを与えるように予め決められた時間に投与するためのものである、プロラクチン増強剤の使用。
【請求項17】
前記プロラクチン増強剤が、メトクロプラミド、ハロペリドール、ピモジド、フェノチアジン、ドムペリドン、スルピリド、クロルプロマジン、セロトニンアゴニスト、パルギリン、メサドン、エストロゲン、トリプトファン、5−ヒドロキシトリプトファン、メラトニン、フルオキシタン、デキシフェンフルラミン、プロラクチン、又はこれらの非毒性の塩である、請求項12又は16に記載の使用。
【請求項18】
前記セロトニンアゴニストがMAO阻害剤である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記哺乳類がヒトである、請求項12又は16に記載の使用。
【請求項20】
前記プロラクチン増強剤が、一日当たり体重1kgあたり1〜50μgの投与量範囲で投与するものである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記自己免疫疾患が、クローン病、リウマチ性関節炎、及び線維筋肉痛からなる群より選択される、請求項10又は11に記載の使用。
【請求項22】
前記プロラクチン減少剤がブロモクリプチンであり、前記予め決められた時間が略05:00と略13:00の間である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記ブロモクリプチンが、患者一人当たり一日当たり0.8〜8.0mgの範囲内の量で投与するものである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記予め決められた時間が略05:00と10:30との間であり、前記ブロモクリプチンの量が患者一人当たり一日当たり0.8〜3.2mgの範囲内である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
免疫応答の増加を必要とする哺乳類において当該免疫応答を増加させるための薬剤の製造におけるプロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用であって、前記薬剤は、一日のうち一回又は複数回の所定の時間に時間を決めて日毎に投与するものであって、該時間において、該哺乳類の血中プロラクチンレベルを低下又は上昇させることにより、該哺乳類の免疫応答を開始させる能力を増強する、プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用。
【請求項26】
免疫不全の治療を必要とする哺乳類において当該免疫不全を治療するための薬剤の製造におけるプロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用であって、前記薬剤は、一日のうち一回又は複数回の所定の時間に日毎に投与するものであって、該時間において該哺乳類の血中プロラクチンレベルを低下又は上昇させることにより免疫不全を改善する、プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤の使用。
【請求項27】
自己免疫疾患の治療を必要とする患者において当該自己免疫疾患を治療するための薬剤の製造におけるプロラクチン減少剤の使用であって、前記薬剤は、一日のうち所定の時間に日毎に投与するものであって、該一日のうちの所定の時間は、該患者と同性の健康なヒトのプロラクチンに対する免疫応答性の概日リズムにおける一日のピークに一致する、プロラクチン減少剤の使用。
【請求項28】
前記プロラクチン減少剤が、患者の一日のプロラクチンプロフィールにおけるピークを低下させることにより、該患者と同性の健康なヒトの標準的な一日のプロラクチンプロフィールにおけるピークに適合又は近似させるように、患者のプロラクチンレベルを低下させるように予め決められた一回又は複数回の時間に投与するものである、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記プロラクチン減少剤が、患者の自己免疫疾患を改善するために夜間血中プロラクチンレベルを低下させるように予め決められた一回又は複数回の時間に投与するものである、請求項27に記載の使用。
【請求項30】
前記プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤が、哺乳類の一日のプロラクチンプロフィールの谷を、該哺乳類と同種同性の健康な者の標準的な一日のプロラクチンプロフィールの谷に適合又は近似させるように、プロラクチンレベルを低下させるように予め決められた一回又は複数回の時間に投与するプロラクチン減少剤である、請求項25に記載の使用。
【請求項31】
前記プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤が、プロラクチン増強剤であり、哺乳類の一日のプロラクチンプロフィールのピークを、該哺乳類と同種同性の健康な者の標準的な一日のプロラクチンプロフィールのピークに適合又は近似させるように、プロラクチンレベルを上昇させるように予め決められた一回又は複数回の時間に投与するものである、請求項25に記載の使用。
【請求項32】
前記プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤が、プロラクチン減少剤であり、哺乳類の一日のプロラクチンプロフィールの谷を、該哺乳類と同種同性の健康な者の標準的な一日のプロラクチンプロフィールの谷に適合又は近似させるように、プロラクチンレベルを低下させるように予め決められた一回又は複数回の時間に投与するものである、請求項26に記載の使用。
【請求項33】
前記プロラクチン減少剤及び/又はプロラクチン増強剤が、プロラクチン増強剤であり、哺乳類の一日のプロラクチンプロフィールのピークを、該哺乳類と同種同性の健康な者の標準的な一日のプロラクチンプロフィールのピークに適合又は近似させるように、プロラクチンレベルを上昇させるように予め決められた一回又は複数回の時間に投与するものである、請求項26に記載の使用。
【請求項34】
前記予め決められた時間が略22:00と略04:00の間である、請求項12又は16に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−46504(P2009−46504A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259671(P2008−259671)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【分割の表示】特願平8−504489の分割
【原出願日】平成7年7月7日(1995.7.7)
【出願人】(508270691)ザ・ジェネラル・ホスピタル・コーポレーション,ディー/ビー/エー,マサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル (1)
【出願人】(508300183)ザ・ボード・オブ・スーパーバイザーズ・オブ・ルイジアナ・ステート・ユニバーシティー・アンド・アグリカルチュラル・アンド・メカニカル・カレッジ (1)
【Fターム(参考)】