説明

免疫系機能を改変するためのサイトカインとサイトカイン受容体の組合せ

本発明は、サイトカイン及びケモカイン受容体又はc_タンパク質共役受容体の少なくとも一部分を含むペプチドを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、免疫系機能を改変するのに使用して、例えば自己免疫疾患、多発性硬化症、移植拒絶反応、乾癬及び喘息などの免疫系障害を治療することができる。本発明は、医薬組成物中で使用することができるペプチド、及び本発明の医薬組成物を調製するための方法も提供する。本発明は、自己免疫疾患、多発性硬化症、移植拒絶反応、乾癬及び喘息などの免疫系障害を治療するための方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトカインと結合するペプチド、及び免疫障害におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の刊行物は、本発明を理解するのに妥当であると考えられる。
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www.leaddiscovery.co.uk、2005年2月。
【0003】
健康及び疾患におけるケモカイン
免疫系は外来病原体と戦い、内因性疾患を緩和し、及び物理的損傷を修復することによって健康を促進する。感染、損傷、又はその他の形で損なわれた組織は、ケモカイン(CK)と呼ばれる化学遊走物質を血流中に放出することによって免疫系の細胞を動員する。同じCKは白血球の活性化を誘導し、リンパ球の分化を誘発する[Rossi、2000;Zlotnik、2000]。免疫細胞の配置は、病原体の攻撃に立ち向かうためだけでなく、免疫監視及び「自己」に対する寛容性にも不可欠である[Mackay、2001]。50個に近い異なるヒトCK及び20個のCK受容体(CKR)が、種々の病原体及び病状に応答する。CK系の厳密な制御調節は、様々な病原体の攻撃に対する迅速、規則的且つ適切な応答をもたらす。健康と同じく重要なのは、免疫系が「自己」に対して作用することを妨げる制御である。病的損傷に対して不適切であり、過剰であり、又は長期化する免疫応答は、存在する場合、健康な組織に対して損傷を引き起こす。このような異常な免疫応答は、多発性硬化症、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性結腸炎)、関節リウマチ、乾癬、喘息及び若年性糖尿病、主要且つ一般的な自己免疫疾患の臨床状態の原因となる。疾患の動物モデルを用いた実験による研究[Gerard、2001;Dogan、2004;Szeanecz、2003]及び臨床的観察[Gerard、2001;Godessart、2001]から、CK及びその同系受容体のレベルが特定の自己免疫疾患と相関関係があることが示唆された。
【0004】
自己免疫疾患の現在の治療
個々の自己免疫疾患の病因は知られていないが、疾患の病因は個々の場合、「自己」を対象とする免疫細胞の活動の結果である。したがって、「最先端の」治療は疾患の寛解の誘導及び維持に限られるということになる。若年成人における神経性障害の最も一般的な原因である多発性硬化症(MS)は再発−寛解の過程を示し、第二次進行期が続く。ステロイドは、再発の期間を短縮し回復を加速させるための治療の第一選択肢である。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を用いた長期の治療を与えて、寛解を維持するか、或いは延長させる。炎症性腸疾患(IBD)は、今日100万人を超えるアメリカ人を侵している[www.leaddiscovery.co.uk、2005年2月]。重度の腹痛及び下痢によって示されるように、炎症性腸疾患は腸癌の高いリスクと関係がある。軽度のIBDに罹患している患者に関しては、NSAIDを用いて寛解を誘導する。その悪い副作用のために、ステロイドは適度〜重度の疾患を有する患者及びNSAIDに応答しない患者用に保留されている。ステロイドが疾患に無効であるときは、免疫抑制剤を使用する。
【0005】
自己免疫の確立された新たな治療は、免疫系を調節し、必要な場合は免疫系を抑制することによって働く。両方の手法が副作用のリスクを負い、短期の副作用は知られており、長期の副作用は常に予想することができる訳ではない。重度のMS及びIBD用の第一選択治療薬であるステロイドの欠点:胃腸、皮膚、神経、内分泌、眼及び代謝の副作用は充分文書化されている。MSにおける寛解はインターフェロンβ及び酢酸グラチラマー(コパキソン)によって「延長される」が、再発頻度の30%の低下に等しい薬効は、疲労、痛み及び膀胱機能障害などの重度の副作用によって相殺される。IBDにおける寛解を延長する薬剤の範囲は広いが、その副作用はやはり重大である。NSIADは相当数のIBD患者に容認し得ず、その代替薬である、免疫抑制剤5−AZT及び6−mpは重度の副作用を引き起こす。レミケードによって例示される新世代の抗体薬剤の長期の使用は、負の側面を明らかにし始めている。レミケードは結核、日和見感染及び潜在性MSの活性化と関連付けられてきている(Centocor、Inc.2005)。この悪下した安全性プロファイルに、高いコスト及び静脈内注入による投与を加味すると、この革新的治療は、試行及び試験済みの薬剤に対する魅力的な代替手段に満たないものとなる。疾患再発における急性炎症を治療し、長期の治療をもたらして寛解を維持する改良型薬剤が必要である。
【0006】
従来の薬剤標的としてのケモカイン受容体(CKR)
CKRというGタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーの構成要素は、薬剤標的の系統を有する。45%を超える全ての市場の薬剤がGPCRを標的とする[Horuk、2003]。GPCRのリガンドが低分子量ペプチド(ヒスタミン、ドーパミン、セロトニン)であることを考慮して、CKRは小分子薬剤の御しやすい標的であり得ると予想された(Proudfootら、2003)。開発中の候補及び破棄されてしまった候補を含めた、CKRを標的とする薬剤候補の大部分は実際、小分子の阻害剤である[Wells、2006]。立体的及びエネルギー的考慮事項[Onuffer、2002]及び経験的試験[Sabroe、2000]に基づいて、CKRの小分子アンタゴニストは、不活性立体配座で受容体を安定化させることによってリガンド−受容体相互作用を阻害する、CKの非競合的阻害剤であるに違いないと提案された。
【0007】
CKRはそれらの同系及び無関係なCKリガンドの両方と相互作用することが知られており、これは「冗長性」として知られる現象である。CK−CKR相互作用の機能定義として、「同系」CKR−CK対は、CKRがナノグラムのCKにより活性化されて細胞内シグナル伝達(カルシウム動員、キナーゼ及びリパーゼ活性化)を誘導するCKR及びCKとして定義する。同じCK−CKR系に関して、「無関係な」CKR−CKの組合せは、正の、負の、又は非生産的な細胞内応答を誘導するために少なくとも3桁程度を超えるCK、マイクログラムを必要とするCKRとして定義する。
【0008】
CKRのGPCRとの同一性は、薬剤開発における明らかな有利点である。しかし、生理的免疫におけるこれらのGPCRの不規則な関与によって、CKRは不確かな薬剤標的となり、さらには治療に不向きなものとなる。炎症性T細胞及び単球によって発現される受容体、CCR2に対する抗体を使用して、実験的コラーゲン誘導関節炎を治療した[Bruhl、2004]。治療は疾患初期中(第0〜15日)は効果があったが、疾患進行中(第21〜36日)は有害であった。免疫寛容を担う制御T細胞の亜集団が、疾患進行期中に数倍に増殖することが明らかとなった。抗体は、制御T細胞のCCR2受容体を阻害することによって、疾患の症状を悪化させた。実施例中では、異なる細胞型によって発現された同じ薬剤標的、CCR2、の阻害は、標的CKRを発現する細胞の機能に応じて治療的、又は病的である可能性がある。CK、RANTES/CCL5CK分類:[Zlotnik、2000])及びその同系受容体のCCR5は、生理的免疫にも不可欠な疾患関連タンパク質の例である。高レベルのCCL5及びCCR5は、実験的糸球体腎炎において糸球体細胞増殖及びマクロファージ浸潤と関係があった。受容体を阻害するCK類似体(Met−RANTES及びアミノ−オキシペンタン−RANTES)は、糸球体細胞増殖及びマクロファージ浸潤を低下させたが、臨床症状は悪化させた[Anders、2003]。CK類似体は白血球動員の治療アンタゴニストであるが、常在マクロファージの病原性活性化物質であることが観察された。GPCR薬剤の標的であることが確証されたCKRは、生理的免疫のメディエータとして治療に不向きである可能性がある。
【0009】
CK及びCKRは、相互作用タンパク質のネットワークを構成する[Schwarz、2002]。ネットワークの個々のタンパク質を対象とする薬剤は、概してネットワークを乱す危険がある。したがって、ネットワークの相互作用及び相互依存タンパク質が生理的免疫に不可欠であるとき、そのタンパク質の1つを標的とすることは免疫系の全体機能に影響を与える能性があり、したがって薬剤の有効性を低下させる可能性があるということになる。CK遺伝子のノックアウトは、CKネットワーク干渉の生理的結果を試験するための好ましい実験的手法となっている。MCP1/CCL2欠損マウス及びそれらの野生型相当物由来の炎症細胞の比較試験において、MCP−1/CCL2の除去は疾患に対する免疫応答を変えたことが見出された[Ferreira、2005]。欠損及び野生型疾患マウス由来の同等の組織及び細胞は、その各々のCK及びCK受容体プロファイルの有意な差異を示した。ネットワーク原理もMCP−1/CCL2欠損マウス由来の組織において観察した。CKノックアウトマウスのマクロファージにおけるMCP−1/CCL2の再構成系発現は、CK、MCP−1/CCL2不活性化により特異的に誘導されたCKの発現を選択的に抑制した。遺伝的に改変された動物における生理的免疫は、それらの野生型相当物と同様に、ネットワークの応答及び適合の原理によって決定された。
【0010】
疾患の実験動物モデルでは、ネットワークの関連性は細胞レベルで最も顕著である。多発性硬化症のげっ歯類モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を使用して、疾患の発症におけるCCR2の役割を試験した[Gaupp、2003]。CNSへの単球及びマクロファージの動員を、CCR2ノックアウト、疾患誘導マウスにおいて調べた。予想したこととは反対に、CCR2の不活性化はマウスにおけるEAEに耐性を与えなかった。CNSの病変は低レベルの単球、害された単球機能の証拠を含んでいたが、さらに高レベルの好中球を含んでいた。実験マウスのCK(IL−8/CXCL8)及びCK受容体(CCR1、CCR5)プロファイルは、病変中の増大した好中球レベルと一致したことが見出された。CCR2欠損マウスのCK−CKRネットワークは、代替の免疫制御分子及びエフェクター細胞が関与する「代償性」免疫応答による疾患誘導に応答したことが提案された。前述の例は、ネットワーク原理のさらに他の表現である。疾患関連タンパク質、一般に生理的プロセスに重要であるタンパク質の中和は、それ自体が病的であり得る逆の応答を誘導する可能性がある。重度のヒト関節リウマチの症状を再現する実験的関節炎のネズミモデルは、ネットワーク干渉の生理的結果の他の例証を与えた[Quinones、2004]。CCR2ノックアウトマウスを使用して、実験的関節炎における受容体の役割を試験した。CKRは疾患の病因と関係があり、したがって、CCR2ノックアウトマウスの表現型が、重度のヒト関節炎、高いT細胞レベル及び炎症関節中に濃縮された単球及びマクロファージにおいて見られた表現型と類似している可能性があることは予想されなかった。CKR不全マウスにおける疾患が、他のCKRの発現を刺激して炎症細胞を動員したと説明された。生理的に、また治療効果にとっても不可欠なネットワークを乱す結果から、代償反応が誘導されて、現状が統合される可能性があるが、潜在的に悪化する可能性もある。
【0011】
CK−CKR軸は、GPCR及びそれらの小分子リガンドの「薬剤的」属性にもかかわらず、薬剤標的として明らかに問題である。CK−CKR軸は、生理的免疫の中核をなす相互作用及び相互依存的制御タンパク質のネットワークとして機能する。代償的及びおそらく有害である応答は、したがってこのネットワークの薬理学的介入の不可避な結果である可能性がある。
【0012】
ケモカイン−ケモカイン受容体のネットワーク
in vitroで不均衡な数のケモカイン(CK)リガンド、明確に定義されていないリガンド特異性及び不確かなCK機能が、CKの「冗長性」及びさらに悪いことに「混乱」の証拠として挙げられた。このような形容辞は、当時のデータと一致するが、生理的免疫及び病的自己免疫に不可欠であるCK−ケモカイン受容体(CKR)のネットワークと適合しない。後の機能試験及び構造−活性分析に照らし合わせたオリジナルデータの再検討によって、リガンド対受容体の比と表面上無差別的な受容体の活性化の両方における生理的関連が明らかになる。まず始めに、その同系受容体のアゴニストであるCKは、遊走及びCa2+フラックスアッセイにより測定して、無関係な受容体の天然アンタゴニストであることが見出された。受容体の3個のアゴニスト、CXCR3、MIG/CXCL9、IP10/CXCL10及びI−TAC/CXCL−11は、無関係な受容体、CCR3のアンタゴニストであることが示された[Loetscher、2001]。3個の中で最も強力なI−TAC/CXCL11は、CCR5の天然アンタゴニストであることが見出された[Petkovic、2004]。エオタキシン/CCL11、CCR3のアゴニストは、それぞれ無関係な受容体CCR5及びCCR2のアゴニスト及び天然アンタゴニストであることがさらに示された[Ogilvie、2001]。CCR3、エオタキシン3/CCL26の他の同系リガンド及びアゴニストは、無関係な受容体CCR1及びCCR5の天然アンタゴニストであることが見出された[Petkovic、2004]。MCP3/CCL7、受容体CCR1、2及び3の同系アゴニストは受容体、CCR5の天然アンタゴニストであることが示された[Blanpain、1999]。CKRの同時活性化と阻害は、機能的に異なる白血球の亜集団の動員を制御するための機構であると解釈された。その点を実証するために、MIG/CXCL9及びエオタキシン/CCL11は、Th1細胞とTh2細胞の間の均衡を変えることによって、アレルギー性気道炎症の過程を測定することができた[Thomas、2004;Fulkerson、2004]。MIG/CXCL9は、Th1細胞によって発現されるCXCR3のアゴニスト、及びTh2細胞によって発現されるCCR3のアンタゴニストである。エオタキシン/CCL11、CCR3の同系リガンドは、無関係な受容体、CXCR3において高親和性結合部位を有することも示された[Xanthou、2003]。改善点、CKRの活性化/阻害は、同じ受容体の差異的活性化によるT細胞動員の制御であった[Thomas、2002]。IP−10/CXCL10及びMIG/CXCL9、CXCR3の同系リガンドは、それぞれ好酸球蓄積及び気道過敏症を増大、又は低下させることができた。累積データは現在、免疫細胞の疾患に関連する分布及び活性が実際、種々のCKRに関するCKの多様性及び特異性の結果生じるものであることを示している。
【0013】
実験データも臨床的証拠も野生型と疾患関連CKを区別していないので、生理的及び病的免疫応答の免疫細胞を動員するのはおそらく同じ化学誘引物質である。CKの病原性は、過度の、不適切且つ持続的な野生型CKの活性、CKネットワークの脱制御と一致する現象の結果であるようである。CKと受容体の結合の分析を実施して、CK−CKR相互作用の制御に関する分子的基盤を解明した。MIG/CXCL9及びIP−10/CXCL10は受容体CXCR3とは競合的に結合するが、第三の関連CK、ITAC/CXCL11に関しては非競合的に結合する[Cox、2001]。この実施例では、機能的関連があるCKは、それらの同系受容体中の別々の重複部位と相互作用することが示された。CKの異常な活性、無関係な受容体と相互作用するCKの活性は、CKネットワーク制御自体に関するより多くの情報を与える可能性がある。例えば、CXCR3の同系リガンドはCCR3の機能的応答を阻害し、その受容体の同系リガンド、エオタキシン/CCL11を置換することが観察された[Loetscher、2001]。同系のより詳細な試験は、ITAC/CXCL11、CXCR3の同系リガンドは、後者の受容体、CCR3の細胞外ループ由来のエオタキシン/CCL11を効率良く置換したことを開示した。同系リガンドと無関係なリガンドは、したがって、同じ受容体中に重複する結合部位を共有し得る[Xanthou、2003]。他の異常ではあるが、情報を与える観察結果は、エオタキシン/CCL11及びその無関係な受容体、CXCR3に関する。エオタキシン/CCL11はin vitroにおいてCXCR3のアゴニストでもアンタゴニストでもないが、この受容体は、競合によってITAC/CXCL11により占有され得る、このCKに対する高親和性結合部位を有する[Xanthou、2003]。
【0014】
革新的な薬剤標的としてのケモカイン
分子構造−活性分析及び結合試験の結果は、文脈を考慮するとCK活性の制御物質であるCK結合配列を受容体が含むということである。CKRの文脈では、制御要素は考えられるが、受容体は生理的免疫に不可欠であるので問題のある薬剤標的である。
【0015】
CK受容体の機能試験及び相補的分子分析は、生理的及び疾患関連CKの受容体における制御配列を開示している。無関係な受容体とのCKの異常な相互作用は、一般的なCK−CKRネットワーク活性に重要である偏在する謎の制御配列を示す。CKの結合活性を改変することができるCKR由来CBPは、前例がない訳ではない。IL−8/CXCL8とGRO−α/CXCL1の結合を担う受容体配列を同定及び定義するための試験では、受容体由来の配列はCK結合の競合阻害剤であることが示された[Gayle、1993]。同じ受容体、CXCR1の細胞外ドメイン由来のペプチドは、同系CK、IL−8/CXCL8のアンタゴニストであることが見出され[Attwood、1996]、化学修飾すると、このペプチドはさらに強力な阻害剤となった[Attwood、1997]。さらに近年、CKRのCCR2及びCCR3の細胞外ループ中の配列と相同的なMCP1/CCL2結合ペプチドは、CCR2とのMCP−1/CCL2の結合をアンタゴナイズすることによってアンギオスタチック状態であることが示された[Kim、2005]。
【0016】
薬剤作用のメカニズム−免疫不均衡の再調整
全ての自己免疫疾患の病原性は明らかに、無秩序且つ機能障害性の免疫活性である。任意の治療手法の課題は、同一個体において臨床症状を引き起こし且つ疾患に対して防御する、免疫プロセスを操作することである。今日まで、いずれの療法もこの課題を満足に満たしていない。自己免疫疾患は、相当な副作用を引き起こす低有効性の薬剤で治療される。現在の薬剤の大部分は、その欠陥がそれらの作用機構、疾患関連タンパク質の不可逆的阻害におそらく由来する小さな合成分子である。
【0017】
CKRを標的とする薬剤候補は、小さな合成分子のクラスに属する[Wells、2006]。前の考察に従うと、この型の薬剤は本質的に欠陥がある。生理的免疫に不可欠であるネットワークとしてのCK及びそれらの受容体の編成を考慮すると、CKRを無難に阻害及び中和することは全く予想することができない。ネットワーク活性の原理が分子及び細胞レベルで免疫応答を支配し、阻害薬剤活性の治療的、又は有害な結果を決定する。ネットワークの最大の目的は、均衡を再調整するための応答を誘導するネットワークの免疫均衡、任意の摂動を維持することである。自己免疫疾患の実験モデル及び臨床的証拠は、疾患そのものが免疫不均衡として現れ、均衡を再調整することによって健康が回復されるネットワーク活性の多数の例をもたらす。例えば、有害な好酸球及び防御Th1リンパ球を誘導する肺中のアレルゲン攻撃誘発を行う[Fulkerson、2004;Thomas、2002]。アレルゲン誘導型CK、エオタキシン/CCL11は炎症性好酸球を動員する。同時に、Th1細胞はCK、MIG/CXCL9、好酸球の天然阻害剤を発現する。推測されたのは、アレルギー肺の炎症状態は、正の制御CKと負の制御CKの間の競合によって決定され、その競合の結果はTh1と好酸球細胞の間の均衡に変わったということであった。1型糖尿病、疱疹間質性角膜炎及び多発性硬化症の臨床症状は、1型環境による感染、Tヘルパー(Th)リンパ球均衡の傾きである[Christen、2004]。この仮説の支持は、糖尿病誘発RIP−LCMVマウスモデルによって与えられた。1型CK及びサイトカインは、RIP−LCMVマウスの糖尿病状態の原因であることが示された。1型誘導因子の阻害、又は2型サイトカインの投与による免疫不均衡の再調整は治療的であり得ることが、検証によって示唆された。免疫均衡は、再発−寛解する多発性硬化症における疾患進行の顕著な決定要因であると論じられた[Nakajima、2004]。Th1関連CKのレベルはMSの活性期において上昇するが、一方Th2反応を誘導することが報告されているMCP−l/CCL2は寛解中に上昇する。活性MSを有する患者由来の血液の分析によって、上昇したレベルのTh1リンパ球及び有意に低下したレベルのCCR2、MCP−l/CCL2の同系受容体を発現する単球が明らかになった。上昇したMCP−1/CCL2及びCCR2を発現する末梢血単球の一部はThl/Th2の不均衡を正して、疾患寛解の状態を作り出すことができるという証拠として、これらの結果は解釈された。
【0018】
Thl−Th2の二分は生理的免疫における免疫均衡に影響を与え、自己免疫疾患に特徴的である免疫不均衡を引き起こす際の決定要因である。最も一般的な生理条件下において、Thl及びTh2様細胞は平衡状態にあり、免疫均衡の確定及び維持に貢献する。固有及び外来刺激が、新たな、一時的平衡及び免疫不均衡を作り出すThl及びTh2様免疫応答を誘導する。免疫細胞レパートリーの改変を伴う応答は、新たなThl−Th2平衡を確定し、免疫均衡を回復させる。自己免疫疾患では、寛容の消失は病的なThl−Th2の不均衡及び免疫不均衡として表される。治療の不在下では、Thl−Th2の不均衡の解決は一時的であり、持続的な免疫不均衡が再発をもたらす。したがって自己免疫疾患の有効な治療は、Thl−Th2細胞平衡を回復させて、寛容性と疾患寛解の免疫不均衡を再調整するはずである。したがって、自己免疫疾患を治療するための1つの方法は、病的平衡状態を変えることであるということになる。新たな平衡を作り出し寛容性の免疫不均衡を再調整するために、薬理学的介入が必要とされる。その適用はますます増加し、最大の治療効果、及び最少の、有害な副作用に関する平衡動力学の原理と一致するはずである。
【0019】
自己免疫疾患の研究において頻発する主題は、生理的免疫及び病的自己免疫の介入である。免疫制御物質とエフェクターが均衡状態にあるとき前者の状態が得られ、それらが不均衡状態にあるとき後者、疾患状態が得られることを示すために、証拠が提示されてきている。均衡は制御タンパク質のネットワークに偶発的であることを考慮して、タンパク質、ただし疾患関連タンパク質の不在は不均衡の前兆となる。したがって、ネットワーク関連タンパク質の疾患関連活性を調節し無効にしない薬剤の、有効性を探求しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、ケモカイン及びケモカイン受容体タンパク質の少なくとも1つの断片からなる組合せは、免疫系機能に影響を与えることができるという、新規で予想外の発見に基づく。本発明者は、ケモカイン及びケモカイン受容体の少なくとも1つの断片からなる組合せは、ケモカイン又はケモカイン受容体の少なくとも1つの断片を単独で投与するときに観察される影響と異なる形式で、免疫系機能に影響を与えることができることを見出している。本発明の医薬組成物を使用して免疫系機能を改変することができ、したがって免疫系疾患を治療することができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、その第一の態様において、本発明は、
(a)サイトカインと、
(b)サイトカイン受容体又はGタンパク質共役受容体(GPCR)の少なくとも一部分を含むペプチドと、
(c)生理的に許容される担体と
を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
サイトカインはケモカインであってよい。受容体がサイトカイン受容体であり得る場合、それはケモカイン受容体であってよい。
【0023】
好ましい実施形態では、医薬組成物のペプチドは、受容体の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む。さらにより好ましい実施形態では、医薬組成物のペプチドは、受容体の制御配列の少なくとも一部分を含む。医薬組成物は、受容体の少なくとも一部分の不在下で、炎症性サイトカイン、構成的サイトカイン又は二重機能性サイトカインであるサイトカインを含むことができる。ペプチドはケモカインと結合することができる。
【0024】
例えば、ケモカインMIGは炎症状態において高レベルで発現され、炎症性CKとして分類される。本明細書で「ペプチド8」と呼ぶペプチドWVFGNAMCKは、ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2;単球遊走タンパク質1受容体)のECL−2の断片である。以下に実証するように、ペプチド8は疾患誘導マウスに単独で投与するとき炎症誘発効果を有し、疾患を誘導した未治療動物と比較して44%炎症を増大させる。しかし、全く予想外なことに、MIGとペプチド8の組合せは、疾患誘導動物に投与するとき抗炎症効果を有する。
【0025】
他の例として、ケモカインRANTESは疾患誘導マウスに単独で投与するとき炎症誘発性であり、ペプチド8は疾患誘導マウスに単独で投与するとき炎症誘発効果を有する。しかし、RANTESとペプチド8の組合せは、疾患誘導マウスに一緒に投与するとき抗炎症効果を有する。
【0026】
特定の理論に拘束するものではないが、サイトカインと受容体の少なくとも一部分を組み合わせて投与すると、受容体の少なくとも一部分はサイトカインと結合し、したがってin vivoでのサイトカインと受容体の結合性を改変すると考えられる。したがって、現在好ましい実施形態では、ペプチドはサイトカインと結合する。
【0027】
医薬組成物は、投与に適した任意の形であってよい。好ましい実施形態では、医薬組成物は注射に適した形である。
【0028】
医薬組成物のペプチドは、以下に記載する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12から選択される配列を含むことができる。医薬組成物のペプチドは、ペプチド配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12のいずれか1つと少なくとも70%の相同性を有し、ケモカインと結合することができる。
【0029】
ペプチド中の1つ又は複数のアミノ酸は、立体光学異性体(D異性体)、植物由来の稀なアミノ酸、非天然アミノ酸又はアミノ酸模倣体、又は化学修飾されたアミノ酸であってよい。このような化学修飾されたアミノ酸は当技術分野でよく知られており、アセチル化、アシル化、リン酸化、脱リン酸化、グリコシル化、ミリストレーション、アミド化、アスパラギン酸/アスパラギンヒドロキシル化、ホスホパンテタン結合、メチル化、メチルチオール化、プレンジル基結合、インテインN−/C−末端スプライシング、ADP−リボシル化、臭素化、シトルリン化、脱アミノ化、ジヒドロキシル化、ホルミル化、ゲラニル−ゲラニル化、糖化、又はパルミトイル化によって修飾されたアミノ酸を含む。
【0030】
その第二の態様において、本発明は、自己免疫疾患、多発性硬化症、移植拒絶反応、乾癬及び喘息などの免疫系機能を改変するための本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0031】
その第三の態様において、本発明は、免疫系障害を治療するための方法であって、
(a)サイトカインと、
(b)サイトカイン受容体又はGPCRの少なくとも一部分を含むペプチドと、
(c)生理的に許容される担体と
を含む医薬組成物を、このような治療を必要とする個体に投与することを含む方法を提供する。
【0032】
その第四の態様において、本発明は、
(a)可溶化サイトカインと、
(b)サイトカイン受容体又はGPCRの少なくとも一部分を含む可溶化ペプチドと
を含む医薬組成物を調製するための方法であって、サイトカインとペプチドをex vivoで組み合わせることを含む方法を提供する。
【0033】
その第五の態様において、本発明は、
(c)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12、
(d)サイトカインと結合することができるペプチドと少なくとも70%の相同性を有するペプチド、及び
(e)少なくとも1つのアミノ酸が化学修飾されている(a)又は(b)のペプチド
から選択されるペプチドを提供する。
【0034】
本発明を理解し、それを実際どのようにして実施することができるかを見るために、添付の図面を参照しながら、単なる非制限的な実施例により実施形態を次に記載する。
【実施例】
【0035】
物質及び方法
ケモカイン(CK):以下のCKを、PreproTech Inc.(Rocky Hill、NJ USA)から得た。
【0036】
炎症性CK:(1)GRO−α(CXCL1カタログ番号300−11)、(2)GRO−β(CXCL2カタログ番号300−39)、(3)NAP−2(CXCL7カタログ番号300−14)、(4)IL−8(72aa)(CXCL8カタログ番号200−08M)、(5)IL−8(77aa)(CXCL8カタログ番号200−08)、(6)MIG(CXCL9カタログ番号300−26)、(7)IP−10(CXCL10カタログ番号300−12)、(8)I−TAC(CXCL11カタログ番号300−46)、(9)I−309(CCL1カタログ番号300−37)、(10)MCP−1(CCL2カタログ番号300−04)、(11)MCP−2(CCL8カタログ番号300−15)、(11)MCP−4(CCL13カタログ番号300−24)、(12)MIP−1α(CCL3カタログ番号300−08)、(13)MIP−1α(CCL4カタログ番号300−09)、(14)RANTES(CCL5カタログ番号300−06)、(15)エオタキシン(CCL11カタログ番号300−21)、(16)エオタキシン2(CCL24カタログ番号300−33)、(17)エオタキシン3(CCL26カタログ番号300−48)。
【0037】
構成的CK:(1)TARC(CCL17カタログ番号300−30)、(2)MDC(69aa)、(CCL22カタログ番号300−36A)、(3)SDF−1α(CXCL12カタログ番号300−28a)、(4)SDF−1β(CXCL12カタログ番号300−28b)、(5)BCA−1(CXCL13、カタログ番号300−47)、(6)MIP−3α(CCL20カタログ番号300−29A)、(7)MIP−3β(CCL19カタログ番号300−29B)、(8)エキソダス−2(CCL21カタログ番号300−35)、(9)TECK(CCL25カタログ番号300−45)、(10)CTAC(CCL27カタログ番号300−54)。
【0038】
二重機能性(炎症性及び構成的)CK:(1)フラクタルカイン(CX3CL1カタログ番号300−31)、(2)リンホタクチン(XCL−1カタログ番号300−20)、(3)PF−4(CXCL4カタログ番号300−16)。
【0039】
CKR制御領域に由来する以下の13個のアミノ酸配列を使用した。
【0040】
配列番号1:SYYDDVGL、本明細書では「ペプチド1」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体3型(CCR3;好酸球エオタキシン受容体)のN末端。ビオチン化ペプチド(N末端)はBiomerTechnology、USAによって合成され、DMSO(0.05%、HO中)に溶かした。
【0041】
配列番号2:WVFGFIGMCK、本明細書では「ペプチド2」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体3型(CCR3;好酸球エオタキシン受容体)の細胞外ループ(ECL)−2。ビオチン化ペプチド(N末端)はSigma、イスラエルによって合成され、HO中に溶かした。
【0042】
配列番号3:LFGNDCE、本明細書では「ペプチド5」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体3型(CCR3;好酸球エオタキシン受容体)のECL−4。ビオチン化ペプチド(N末端)はSigma、イスラエルによって合成され、HO中に溶かした。
【0043】
配列番号4:WVFGTFLCK、本明細書では「ペプチド7」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2;単球遊走タンパク質1受容体)のECL−2。ビオチン化ペプチド(N末端)はBiomerTechnology、USAによって合成され、DMSO(0.1%、HO中)に溶かした。
【0044】
配列番号5:WVFGNAMCK、本明細書では「ペプチド8」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2;単球遊走タンパク質1受容体)のECL−2。ビオチン化ペプチド(N末端)はBiomerTechnology、USAによって合成され、DMSO(0.1%、HO中)に溶かした。
【0045】
配列番号6:FFGLNNC、本明細書では「ペプチド10」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体5型(CCR5;HIV−1融合共受容体)のECL−4。ビオチン化ペプチド(N末端)はBiomerTechnology、USAによって合成され、DMSO(0.1%、HO中)に溶かした。
【0046】
配列番号7:TTFFDYDYG、本明細書では「ファージ提示(Ph)ペプチド11」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2;単球遊走タンパク質1受容体)のN末端。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0047】
配列番号8:EDSVY、本明細書では「Ph−ペプチド13」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2;単球遊走タンパク質1受容体)のECL−3。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0048】
配列番号9:WVFGSGLCK、本明細書では「Ph−ペプチド15」と呼ぶ。由来:ヒトC−X−Cケモカイン受容体2型(CXCR3;インターフェロン誘導性タンパク質10受容体)のECL−2。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0049】
配列番号10:HHTCSLHFP、本明細書では「Ph−ペプチド16」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体1型(CCR1;マクロファージ炎症性タンパク質1−α受容体)のECL−3。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0050】
配列番号11:HYTCSSHFP、本明細書では「Ph−ペプチド17」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体5型(CCR5;HIV−1融合共受容体)のECL−3。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0051】
配列番号12:DRYLNIVHAT、本明細書では「Ph−ペプチド18」と呼ぶ。由来:ヒトC−X−Cケモカイン受容体3型(CXCR3;インターフェロン誘導性タンパク質10受容体)のECL−3。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0052】
配列番号13:TKCQKE、本明細書では「Ph−ペプチド20」と呼ぶ。由来:ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2;単球遊走タンパク質1受容体)のECL−3。組換えペプチドをクローニングし、M13クローニングベクターによって発現させた。
【0053】
ケモカイン結合ペプチドの結合のマイクロアレイ分析
(1)プリンティング:ケモカイン(CK)溶液(水中)を、50及び25g/mlの最終濃度までプリンティング試薬(GenTel BioSurfaces USA)を用いて連続希釈した。BSA(Amresco、カタログ番号0032−256)/BSA−ビオチン(Sigma、カタログ番号A8549)対照溶液(水中)は、100ug/mlまでプリンティング試薬を用いて希釈した。自動点滴ロボット(16ピンのプリンティングツール、0.4mmのヘッド;BioRobotics、UK)を使用して、サンプル当たり5回反復して(25μg/ml及び50μg/ml)、20℃〜30℃、50〜70%の相対湿度でPATHタンパク質マイクロアレイスライド(GenTel、製品番号.2−1005/−1025)上にCK/BSA対照をプリンティングした。プリンティングしたマイクロアレイスライドは、使用前に少なくとも24時間、室温又は4℃で保存した。
(2);ブロッキング:ブロッキングバッファー(500μl/区画;PATHblock、GenTel、製品番号2−1014)をスライドに添加して、室温(RT)で1時間置いた。ブロッキングバッファーを除去した後、スライドは25分間空気乾燥させた。
(3)ペプチド結合:ペプチドは区画毎に洗浄バッファー、300μl(GenTel、PATHwash、製品番号2−1016)に添加し、穏やかに攪拌しながら1時間室温でインキュベートした。
(4)洗浄:スライドは洗浄バッファーを用いて二回洗浄した(300μl/区画)。
(5)一次標識結合:室温で45分間Cy3標識ストレプトアビジン(1mg/ml、300μl/区画、DyLight547、Pierce製品番号21424)を用いて直接光から保護しながら、スライドをインキュベートした。
(6)一次洗浄:スライドは洗浄バッファーを用いて二回洗浄した(300μl/区画)。
(7)二次標識結合:ステップ(5)を繰り返した。
(8)二次洗浄:ステップ(6)を繰り返した。
(9)リンス:スライドはリンスバッファーを用いて二回洗浄し(PATHrinse、GenTel、製品番号2−1018)、充分乾燥させた。
(10)スキャニング:ScarnArray Life Scanner(Packard BioChip Technologies、USA)を用いてペプチド結合、標識スライドをスキャンした(レーザー強度60%、ゲイン80%、解像10μm)。
【0054】
分析:マイクロアレイの定量分析はNiles Scientific(USA)のSpotReaderプログラムによって実施し、CK濃度の関数として相対蛍光(RF)として表した。マイクロアレイの読取値(Cy3蛍光)を定量化して、CKに関するCBPの相対的結合親和性を測定し、且つ推測によってCKとの結合に対するCBPの特異性を測定した。
【0055】
ファージ提示ケモカイン結合ペプチドの結合のマイクロアレイ分析
(1)プリンティング:ケモカイン(CK)溶液(水中)を、50μg及び25μg/mlの最終濃度までプリンティング試薬(GenTel BioSurfaces USA)を用いて連続希釈した。BSA/BSA−ビオチン対照溶液(水中)を、100μg/mlまでプリンティング試薬を用いて希釈した。M13ファージ対照(M13KEgIIIクローニングベクター、New England Biolabs、カタログ番号E8101S)の増幅ストックを、トリス緩衝生理食塩水(TBS;pH7.5、4℃)中に保存し、作用力価(10pfu/μl)までプリンティング試薬を用いて希釈した。自動点滴ロボット(16ピンのプリンティングツール、0.4mmのヘッド;BioRobotics、UK)を使用して、CK/BSA対照/M13対照をプリンティングした、サンプル当たり5回の反復(CK25μg/ml及び50μg/ml、BSAμg/ml、M13 20μl)、20℃〜30℃、及び50〜70%の相対湿度でPATHタンパク質マイクロアレイスライド(GenTel、製品番号2−1005/−1025)上。プリンティングしたマイクロアレイスライドは、使用前に少なくとも24時間、室温又は4℃で保存した。
(2)ブロッキング:ブロッキングバッファー(500μl/区画;PATHblock、GenTel、製品番号2−1014)をスライドに添加して、室温(RT)で1時間置いた。ブロッキングバッファーを除去した後、スライドは25分間空気乾燥させた。
(2)ファージ提示結合ペプチド:増幅させた組換えファージのストックをTBS中に保存し、作用力価(10pfu/μl)まで洗浄バッファーを用いて希釈した。組換えファージの懸濁液(300μl)を区画毎に添加し、穏やかに攪拌しながら1時間室温でインキュベートした。
(3)一次洗浄:スライドは洗浄バッファーを用いて二回洗浄した(300μl/区画)。
(4)一次抗体(Ab)標識:室温で45分間、一次Ab(1mg/ml、2500倍希釈(洗浄試薬)、300μl;マウス抗M13モノクローナルAb;Amersham Biosciences、UK;製品コード27−9420−01)と共に、スライドをインキュベートした。
(5)二次洗浄:スライドは洗浄バッファーを用いて二回洗浄した(300μl/区画)。
(6)二次Ab標識:二次Ab(1.5mg/ml、5000倍希釈(洗浄試薬)、300μl;Cy3結合AffiniPureヤギ抗マウスIgG;Jackson ImmunoReserch Labs、USA;製品コード115−165−062)と共に、スライドをインキュベートした。
(7)三次洗浄:スライドは洗浄バッファーを用いて二回洗浄した(300μl/区画)。
(8)リンス:スライドはリンスバッファーを用いて二回洗浄し(PATHrinse、GenTel、製品番号2−1018)、次いで充分乾燥させた。
(9)スキャニング:ScarnArray Life Scanner(Packard BioChip Technologies、USA)を用いてペプチド結合、標識スライドをスキャンした(レーザー強度60%、ゲイン80%、解像10μm)。
(10)分析:マイクロアレイの定量分析はNiles Scientific(USA)のSpotReaderプログラムによって実施し、CK濃度の関数として相対蛍光(RF)として表した。マイクロアレイの読取値(Cy3蛍光)を定量化して、CKに関するCBPの相対的結合親和性を測定し、且つ推測によってCKとの結合に対するCBPの特異性を測定した。
【0056】
CK−ペプチドの組合せ
CKとペプチドの特異的組合せを含む試験サンプルを、試験管内でCKとペプチドを混合することによって調製し、実験動物に注射する前に1時間〜3時間氷上に混合物を保存した。
【0057】
抗炎症性対照試薬
デキサメタゾンリン酸ナトリウム(Dexacort Forte、Teva)を、1mg/mlの最終濃度までリン酸バッファー生理食塩水(PBS、GIBCO)に溶かし、200μl(200μg)で注射した。
【0058】
疾患(一般的な炎症)の動物モデル:遅延型過敏症
遅延型過敏症(DTH)反応は、抗原に応じて、免疫機能の有益な(例えば、ウイルス、細菌及び真菌に対する耐性)、又は有害な(例えば、アレルギー性皮膚炎及び自己免疫)態様を媒介する抗原特異的な細胞性免疫応答である。遅延型過敏症(DTH)反応は、慢性炎症疾患のモデルとして一般に使用される、何故ならそれらはいずれも抗原によって開始され、抗原特異的T細胞によって持続されるからである。
【0059】
ペプチドをマウスモデルにおいて、それらの抗炎症又は炎症誘発効果に関して試験した。
【0060】
マウスにおける接触過敏症(CHS)反応は、強い刺激性がなく攻撃誘発前に感作曝露を必要とするオキサゾロン(4−エトキシメチレン−2−オキサゾリン−5−オン)などの物質を使用する点で、典型的な皮膚炎症モデルとは異なる。オキサゾロン特異的T細胞の役割は、非投薬レシピエントに反応を移動させる感作ドナーマウス由来の精製T細胞の能力によって実証されてきており[Asherson、1968]、CD4T細胞とCD8T細胞の両方が、炎症応答を開始させ他の白血球を動員するために必要とされる[Gocinski、1990]。
【0061】
感作:第0日に腹部の皮膚に油(Kodak))に溶かしたオキサゾロン(SigmaE0753、100μl(2%(wt/vol)を施すことによって、動物(BalbC、メス、7〜8週齢、群当たり5匹)を感作させた。
【0062】
攻撃誘発:左耳にオキサゾロン(10μl(0.5%(wt/vol)油中)を施すことによって、動物を攻撃誘発した。10μlの担体(油)は第6日に右耳に施した。
【0063】
治療:試験試薬(CK、ペプチド、CK−ペプチドの組合せ、抗炎症対照)を治療日に凍結ストック(−20℃)から調製し、攻撃誘発1時間前及び攻撃誘発1時間後に(注射当たり0.2mlで)腹膜内注射するまで氷上に保存した。
【0064】
測定:第7日に攻撃誘発後24時間で、ダイアル式厚さゲージ(Mitutoyo、日本)を用いて耳の厚さを測定した。個々のペプチド及びCK、及びペプチドとCKの複合体の炎症誘発活性又は抗炎症活性を、デキサメタゾン(Dexa)の抗炎症活性に対して計算した。Dexaは、この実施例では、測定炎症値を36%低下させ、試験試薬の炎症誘発活性又は抗炎症活性の計算値に関する100%の標準物質として使用した抗炎症標準物質である。抗炎症効果は、未治療群の動物及びDexaの有効性(100%の抗炎症効果)に対して計算したその値と比較した、炎症の低下として測定した。炎症誘発効果は、未治療群及びDexaに対して計算したその値と比較した、炎症の増大として測定した。
【0065】
結果
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとケモカイン結合ペプチド5(CBP5)の結合のマイクロアレイ分析。図1は、数種のケモカインとCBP5の結合親和性を示す。CBP5は、比較的高い親和性(>3000相対蛍光単位(RFU)、0〜12000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、エオタキシン、エオタキシン3、MCP−4及びRANTES、CBP5が由来する受容体の同系CKリガンドと結合した。同じペプチドが、比較的高い親和性でIL−8、MIG、I−309、MCP−1及びTARC、CKR、CCR3の無関係な炎症性CKリガンドと結合した。CBP5は構成的に発現されたCK、SDF1−α/β、MIP3−α及びTECK及び二重機能性CK、フラクタルカインとも結合したが、これらはいずれもCKR、CCR3の同系リガンドではない。
【0066】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとケモカイン結合ペプチド8(CBP8)の結合のマイクロアレイ分析。図2中に示すように、CBP8は、比較的高い親和性(>1500相対蛍光単位(RFU)、0〜6000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP−1及び−4、CBP8が由来する受容体の同系CKリガンドと結合した。同じペプチドが、比較的高い親和性でMIG、I−309、エオタキシン、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、SDF1−β、BCA−1、エキソダス−2、TECK、及び二重機能性CK、フラクタルカインと結合し、これらはいずれもCBP8が由来するCKRの無関係なCKリガンドである。
【0067】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとケモカイン結合ペプチド10(CBP10)の結合のマイクロアレイ分析。図3中に示すように、CBP10は、比較的高い親和性(>5000相対蛍光単位(RFU)、0〜20000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP2、CBP10が由来するCKRの同系リガンドと結合した。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、IP−10、I−TAC、I−309、MCP−1、−4、エオタキシン、エオタキシン2/3及び構成的に発現されたCK、SDF1−α/β BCA−1 エキソダス−2及びTECK、及び二重機能性CK、フラクタルカイン及びリンホタクチンと結合し、これらはいずれもCBP10が由来するCKRの無関係なCKリガンドである。
【0068】
CBP2(WVFGHGMCK;ヒトC−C CKR3型(CCR3)の細胞外ループ(ECL)−2由来) ヒト炎症性CK、IL−8(72aa;CXCL8)、MIG(CXCL9)、I−309(CCL1)、MCP−1(CCL2)、MIP−1α(CCL3)、RANTES(CCL5)、(15)エオタキシン(CCL11)、エオタキシン2(CCL24)、エオタキシン3(CCL26)、TARC(CCL17)、ヒト構成的CK、SDF−1α(CXCLl2)、SDF−1β(CXCL12)、MIP−3α(CCL20)及びCK、PF−4(CXCL4)に対してCBP2をスクリーニングした。結果は図4A/B中に示す。実験の読取値(Cy3蛍光)を定量化して、CKに関するCBPの相対的結合親和性を測定し、且つ推測によってCKとの結合に対するCBPの結合特異性を測定した。
CBP2は、比較的高い親和性(>10000相対蛍光単位(RFU)、0〜60000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、エオタキシン及びエオタキシン3、CBP2が由来する受容体の同系CKリガンドと結合した。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、MIG及びI−309及び構成的に発現されたCK、SDF1−α/β及びMIP3−αと結合し、これらはいずれもCBP2が由来するCKRの無関係なCKリガンドである。
【0069】
CKRのECL−2に由来するCBP2、CCR3は、エオタキシン3、受容体の同系CKリガンドと比較的高い親和性で結合した。エオタキシン3とのCBP2の相互作用は、その同系受容体とのCKの生理的相互作用と一致する。同じペプチドが、比較的高い親和性でMIG及びI−309、CKR、CCR3の無関係な炎症性CKリガンドと結合した。CBP2は構成的に発現されたCK、SDF1−α/β及びMIP3−αとも結合したが、これらはいずれもCKR、CCR3の同系リガンドではない。無関係な炎症性及び構成的CKは、CKR、CCR3の構造的状況でCBP2配列と相互作用することによってCCR2活性を変えることが、後者の観察結果から推測される。その天然CKRとは無関係に、CBP3はCK活性、CKR、CCR3の同系及び無関係なCKリガンドの活性の考えられる制御物質である。
【0070】
CBP7(WVFGTFLCK;ヒトC−Cケモカイン受容体2型(CCR2)のECL−2由来) ヒト炎症性CK、IL−8(72aa;CXCL8)、MIG(CXCL9)、IP−10(CXCL10)、I−TAC(CXCL11)、I−309(CCL1)、MCP−1(CCL2)、MIP−1α(CCL3)、RANTES(CCL5)、エオタキシン(CCL11)、エオタキシン2(CCL24)、エオタキシン3(CCL26)、TARC(CCL17)、ヒト構成的CK、SDF−1α(CXCL12)、SDF−1β(CXCL12)、MIP−3α(CCL20)及び機能が不明なCK、PF−4(CXCL4)に対してペプチド7(CBP7)をスクリーニングし、マイクロアレイ形式で表した。実験の読取値(Cy3蛍光)を定量化して、CKに関するCBPの相対的結合親和性を測定し、且つ推測によってCKに対するCBP7の結合特異性を測定した。
【0071】
結果は図5中に示す。CBP7は、比較的高い親和性(>2000相対蛍光単位(RFU)、0〜10000RFUの上方75%の範囲の応答)で、CKI−309、エオタキシン及びエオタキシン3、並びに構成的に発現されたCK、SDF1−α及び−βと結合し、これらはいずれもCBP7が由来するCKRの同系CKリガンドではない。
【0072】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとケモカイン結合ペプチドの結合の陰性対照マイクロアレイ分析。ペプチド不在下での結合のマイクロアレイ分析(陰性対照)を、ペプチド存在下での分析と平行して実施した。CBP5、−8、及び10に関する陰性対照の結果は図6中に示す。CBP7に関する陰性対照の結果は図7中に示す。CBP2に関する陰性対照の結果は図8A及び8B中に示す。
【0073】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p11の結合のマイクロアレイ分析。図9中に示すように、Ph−p11は、比較的高い親和性(>5000相対蛍光単位(RFU)0〜20000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP−1、−2及び−4、Ph−p11のペプチドが由来した受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、MIG、RANTES、エオタキシン、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、TECK、及び二重機能性リンホタクチンと結合し、これらはいずれもPh−p11のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0074】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p13の結合のマイクロアレイ分析。図10中に示すように、Ph−p13は、比較的高い親和性(>1500相対蛍光単位(RFU)0〜6000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP−4、Ph−p13のペプチドが由来する受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、エオタキシン、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、TECKと結合し、これらはいずれもPh−p13のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0075】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p15の結合のマイクロアレイ分析。図11中に示すように、Ph−p15は、比較的高い親和性(>30000相対蛍光単位(RFU)0〜60000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MIG、IP−10及びI−TAC、Ph−p15のペプチドが由来する受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、IL−8(77)、MCP1/2/4、RANTES、エオタキシン、エオタキシン2、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、BCA−1、エキソダス2及びTECK及び二重機能性CK、フラクタルカイン及びリンホタクチンと結合し、これらはいずれもPh−p15のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0076】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p16の結合のマイクロアレイ分析。図12中に示すように、Ph−p16は、比較的高い親和性(>30000相対蛍光単位(RFU)0〜60000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP−4及びRANTES、Ph−p16のペプチドが由来する受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、MIG、MCP1/2、エオタキシン、エオタキシン2、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、BCA−1、エキソダス2及びTECK及び二重機能性CK、フラクタルカイン及びリンホタクチンと結合し、これらはいずれもPh−p16のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0077】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p17の結合のマイクロアレイ分析。図13中に示すように、Ph−p17は、比較的高い親和性(>4500相対蛍光単位(RFU)0〜22000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP−2及びRANTES、Ph−p17のペプチドが由来する受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、IL−8(77)、MIG、IP−10、I−TAC、MCP1/4、エオタキシン、エオタキシン2及びエオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、BCA−1、エキソダス2及びTECK及び二重機能性CKリンホタクチンと結合し、これらはいずれもPh−p17のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0078】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p18の結合のマイクロアレイ分析。図14中に示すように、Ph−p18は、比較的高い親和性(>6500相対蛍光単位(RFU)0〜26000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MIG及びI−TAC、Ph−p18のペプチドが由来する受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、IL−8(72)、IL−8(77)、MCP1/2/4、RANTES、エオタキシン、エオタキシン2、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、BCA−1、エキソダス2及びTECK及び二重機能性CK、フラクタルカイン及びリンホタクチンと結合し、これらはいずれもPh−p18のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0079】
炎症性CK、構成的に発現されたCK及び二重機能性CKとファージ提示ペプチド、Ph−p20の結合のマイクロアレイ分析。図15中に示すように、Ph−p20は、比較的高い親和性(>12500相対蛍光単位(RFU)0〜50000RFUの上方75%の範囲の応答)で、炎症性CK、MCP−1、−2及び−4、Ph−p20のペプチドが由来する受容体の同系CKリガンドと結合する。同じペプチドが、比較的高い親和性で炎症性CK、GRO−β、IL−8(72)、IL−8(77)、IP−10、I−TAC、RANTES、エオタキシン、エオタキシン3、及び構成的に発現されたCK、BCA−1、エキソダス2及びTECK及び二重機能性CK、フラクタルカイン及びリンホタクチンと結合し、これらはいずれもPh−p20のペプチドが由来するCKRの無関係なCKリガンドである。組換えファージのRFU値は、ファージ自体(陰性対照)のRFU値を差し引くことによって計算した。
【0080】
CK MIG(CXCL9)、ペプチド8及びMIGと組み合わせた異なる投与量のペプチド8の有効性。CK MIGは炎症状態において高レベルで発現され、炎症性CKとして定義する。図16中に示すように、疾患誘導マウスに投与した200ngのMIGは炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が38%増大した(−38、図16中)。1100ngのペプチド8は疾患誘導マウスに投与したとき炎症誘発効果を有しており、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が44%増大した(−44)。MIGとペプチド8の組合せは、疾患誘導動物に投与したとき抗炎症効果を有していた。20ngのMIG及び100ngのペプチド8からなる投与量を用いると、抗炎症効果は疾患を誘導した未治療動物と比較して5%(5)であった。100ngのMIG及び550ngのペプチド8からなる投与量、並びに200ngのMIG及び1000ngのペプチド8からなる投与量を用いると、抗炎症効果はそれぞれ55%(55)及び14%(14)であった。それぞれの投与量の分子比は1:50(CK:ペプチド)であった。
【0081】
CK、RANTES(CCL5)及びペプチド5並びにRANTESと組み合わせた異なる投与量のペプチド5の有効性。CK RANTESは炎症状態において高レベルで発現され、炎症性CKとして分類する。図17中に示すように、疾患誘導マウスに投与した200ngのRANTESはわずかに炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が<3%増大した(<−3%、図17中)。1300ngのペプチド5は疾患誘導マウスに投与したとき抗炎症効果を有しており、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が11%(11)低下した。RANTESとペプチド5の組合せは、20ngのRANTES及び130ngのペプチド5からなる投与量で疾患誘導動物に投与したとき18%(−18)の炎症誘発効果を有していた。100ngのRANTES及び550ngのペプチド5からなる投与量では、この組合せの抗炎症効果は疾患を誘導した未治療動物と比較して34%(34)であった。200ngのRANTES及び1300ngのペプチド5からなる投与量では、抗炎症効果は18%(18)であった。それぞれの投与量の分子比は1:50(CK:ペプチド)であった。RANTES単独の炎症誘発活性及びペプチド5自体の抗炎症活性を考慮すると、CK−ペプチドの組合せの活性は、RANTES−ペプチド5複合体の形成及びその複合体の安定性の証拠である。次善の投与量(RANTES:20ng−ペプチド5 130ng)では、複合体は炎症誘発活性を示し、CKの二相性と一致した。低濃度では、CKは標的(炎症)細胞の移動を誘導する化学誘引物質である。比較的高濃度では、CKは標的細胞の移動を阻害する。最適投与量(RANTES:100ng−ペプチド6:−550ng)が、疾患関連、野生型CKの競合阻害剤の生物活性と一致する最大の抗炎症効果に必要であった。最適を超える投与量では、活性複合体は疾患状態の無関係なCK受容体を活性化し、反指標的な、炎症誘発応答を誘導した。
【0082】
CK RANTES(CCL5)、ペプチド8及びRANTESと組み合わせた異なる投与量のペプチド8の有効性。ここで図18を参照すると、前に示したように、疾患誘導マウスに投与したとき200ngのCK RANTESは炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が<3%増大した(<−3、図18中)。1100ngのペプチド8は疾患誘導マウスに投与したとき炎症誘発効果を有しており、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が44%増大した(−44)。RANTESとペプチド8の組合せは、2つの投与量、RANTES:2ng及びペプチド8:20ng(52%(52))及びRANTES:10ng及びペプチド8:100ng(25%(25))で疾患誘導動物に投与したとき抗炎症効果を有していた。RANTES:50ng及びペプチド8:500ngの投与量を用いると、炎症誘発効果は疾患を誘導した未治療動物と比較して36%(−36)であった。それぞれの投与量の分子比は1:50(CK:ペプチド)であった。個々の要素(RANTES及びペプチド8)の炎症誘発活性及びCK−ペプチドの組合せの抗炎症活性は、安定した複合体の形成の証拠である。最大の抗炎症活性を、RANTES:2ng及びペプチド8:20ngからなる組合せを用いて観察し、疾患関連、野生型CKの競合阻害剤の生物活性と一致した。最適を超える投与量では、活性複合体は疾患状態と無関係なCK受容体を活性化し、示唆されるものとは反対の炎症誘発応答を誘導した。
【0083】
CK MCP1(CCL2)、ペプチド1及びMCP1と組み合わせた異なる投与量のペプチド1の有効性。CK MCP1は炎症状態において高レベルで発現され、炎症性CKとして分類する。図19中に示すように、疾患誘導マウスに投与した200ngのMCP1は炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が23%増大した(−23、図19中)。1400ngのペプチド1は疾患誘導マウスに投与したとき炎症誘発効果を有しており、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が34%増大した(−34)。MCP1とペプチド1の組合せは、2つの投与量、MCP1:20ng及びペプチド1:140ng(55%(55))及びMCP1:100ng及びペプチド1:700ng(23%(23))で疾患誘導動物に投与したとき炎症誘発効果を有していた。MCP1:200ng及びペプチド1:1400ngの投与量では、抗炎症効果は疾患を誘導した未治療動物と比較して33%(33)であった。それぞれの投与量の分子比は1:50、CK:ペプチドであった。個々の要素(MIG及びペプチド1)の炎症誘発活性及びCK−ペプチドの組合せの抗炎症活性は、安定した複合体の形成の証拠である。次善の投与量(MCP1:20ng−ペプチド1:140ng;MCP1:100ng−ペプチド1:700ng)では、複合体は炎症誘発活性を示し、CKの二相性と一致した。低濃度では、CKは標的(炎症)細胞の移動を誘導する化学誘引物質である。比較的高濃度では、CKは標的細胞の移動を阻害する。最適投与量(MCP1:200ng及びペプチド1:1400ngが、疾患関連、野生型CKの競合阻害剤の生物活性と一致する最大の抗炎症効果に必要であった。
【0084】
CK、MCP1(CCL2)、ペプチド5及びMCP1と組み合わせた異なる投与量のペプチド5の有効性。CK MCP1は炎症状態において高レベルで発現され、炎症性CKとして分類する。図20中に示すように、疾患誘導マウスに投与したとき200ngのMCP1は炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が23%増大した(−23、図20中)。1300ngのペプチド5は疾患誘導マウスに投与したとき抗炎症効果を有しており、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が11%(11)低下した。MCP1とペプチド5の組合せは、2つの投与量、MCP1:20ng及びペプチド5:120ng(23%(−23))及びMCP1:200ng及びペプチド5:1200ng(11%(−11))で疾患誘導動物に投与したとき炎症誘発効果を有していた。MCP1:100ng及びペプチド5:600ngの投与量を用いると、抗炎症効果は疾患を誘導した未治療動物と比較して79%(79)であった。それぞれの投与量の分子比は1:50、CK:ペプチドであった。個々の要素(MCP1及びペプチド5)の炎症誘発活性及びCK−ペプチドの組合せの抗炎症活性は、安定した複合体の形成の証拠である。次善の投与量(MCP1:20ng−ペプチド5:120ng)では、複合体は炎症誘発活性を示し、CKの二相性と一致した。低濃度では、CKは標的(炎症)細胞の移動を誘導する化学誘引物質である。比較的高濃度では、CKは標的細胞の移動を阻害する。最適投与量(MCP1:100ng及びペプチド5:600ngが、疾患関連、野生型CKの競合阻害剤の生物活性と一致する抗炎症効果に必要であった。最適を超える投与量では、活性複合体は疾患状態の無関係なCK受容体を活性化し、反指標的な、炎症誘発応答を誘導した。
【0085】
別々及び一緒にした、CK−ペプチドの組合せ、RANTES(CCL5)−ペプチド1及びRANTES−ペプチド8の有効性。図21中に示すように、100ngのRANTESと750ngのペプチド1の組合せからなる投与量は、疾患誘導マウスに投与すると炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が30%増大した(−30、図21中)。これとは対照的に、10ngのRANTESと100ngのペプチド8の組合せからなる投与量は抗炎症性であり、炎症は25%(25)低下した。それぞれRANTES−ペプチドの組合せ、RANTES−ペプチド1及びRANTES−ペプチド8の反指標的治療活性は、ペプチドのそれぞれが相反する方法でRANTES活性を調節し、それぞれの組合せは安定した複合体であった証拠であった。疾患誘導動物にRANTES−ペプチド1及びRANTES−ペプチド8を投与した正味の影響は(38%(38)抗炎症性)、複合体の薬理学的性質と関係がある。正味の抗炎症性の影響は、同じ疾患関連CK受容体の機能的に異なる複合体間の競合の結果、或いは代替的に機能的に対抗する炎症誘発性受容体と抗炎症性受容体の活性化の結果であり得る。
【0086】
別々及び一緒にした、CK−ペプチドの組合せ、IP10(CXCL10)−ペプチド8及びRANTES(CCL5)−ペプチド8の有効性。100ngのIP10と750ngのペプチド8の組合せからなる投与量は、疾患誘導マウスに投与すると炎症誘発性であり、疾患を誘導した未治療動物と比較して炎症が60%増大した(−60、図22中)。10ngのRANTESと100ngのペプチド8の組合せからなる投与量は抗炎症性であり、炎症は25%(25)低下した。この2つのCK−ペプチドの組合せの反指標的治療活性は、ペプチド8が炎症性CKIP10及びRANTESの活性を相反する方法で調節した証拠である。正味の抗炎症性の影響は、同じ疾患関連CK受容体の機能的に異なる複合体間の競合の結果、或いは代替的に機能的に対抗する炎症誘発性受容体と抗炎症性受容体の活性化の結果であり得る。
【0087】
治療指標
関節リウマチ 臨床的観察及び実証的証拠は、関節リウマチの病原性におけるRANTES、MIG、MCP−1及びIP10及びこれらそれぞれの同系受容体の役割を示している[www.iddb3.com、Wells、2006]。RANTESとCBP5(図17参照)、RANTESとCBP8(図18参照)、MEGとCBP8(図16参照)、MCP−1とCBP1(図19参照)、MCP1とCBP5(図20参照)、又はIP10とCBP8(図22参照)からなる組合せを、関節リウマチの治療において使用することができる。
【0088】
喘息 CK、RANTES及びMCP−1並びにCK受容体、CCR3、CBP1及びCBP5の原型、CCR2、CBP8の原型は喘息の病原性と関係がある[www.iddb3.com、Wells、2006]。RANTESとCBP5(図17参照)、RANTESとCBP8(図18参照)、MCP−1とCBP1(図19参照)、又はMCP1とCBP5(図20参照)の組合せを、喘息の治療において使用することができる。
【0089】
移植拒絶反応 CK、MIG、RANTES、MCP−1及びIP10並びにCK受容体、CCR2、CBP8の原型のレベルは臓器移植拒絶反応と相関関係がある(www.iddb3.com、Wells、2006)。MIGとCBP8(図16参照)、RANTESとCBP5(図17参照)、RANTESとCBP8(図18参照)、MCP−1とCBP1(図19参照)、MCP1とCBP5(図20参照)、又はIP10とCBP8(図22参照)の組合せを、移植拒絶反応の治療において使用することができる。
【0090】
多発性硬化症 MIG、RANTES、MCP−1及びIP10は多発性硬化症関連CKであり、CK受容体、CCR2、CBP8の原型は、この疾患と関係がある(www.iddb3.com、Wells、2006)。MIGとCBP8(図16参照)、RANTESとCBP5(図17参照)、RANTESとCBP8(図18参照)、MCP−1とCBP1(図19参照)、MCP1とCBP5(図20参照)、又はIP10とCBP8(図22参照)の組合せを、移植拒絶反応の治療において使用することができる。
【0091】
炎症性腸疾患 CK、RANTESは炎症性腸疾患の病原性と関係がある(www.iddb3.com、Wells、2006)。RANTESとCBP5(図17参照)、又はRANTESとCBP8(図18参照)の組合せを、この疾患の治療において使用することができる。
【0092】
乾癬 CK、MIG及びRANTESは乾癬の病原性と関係がある(www.iddb3.com、Wells、2006)。MIGとCBP8(図16参照)、RANTESとCBP5(図17参照)、又はRANTESとCBP8(図18参照)の組合せを、この疾患の治療において使用することができる。
【0093】
AIDS RANTESの同系受容体、CCR5はHIV感染及びAIDSの治療用の有効な薬剤標的と関係がある(www.iddb3.com、Wells、2006)。RANTESとCBP5(図17参照)、又はRANTESとCBP8(図18参照)の組合せを、この疾患の治療においてウイルスの競合阻害剤として使用することができる。
【0094】
癌 転移及び血管新生は癌の病原性に不可欠である。CKは転移の細胞移動、及び血管新生の血管形成を媒介する。CK−CBPの組合せは、これらの病原性の過程の潜在的な調節物質であり、したがって、その過程に対する治療剤である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】ケモカイン結合ペプチド(CBP)5のケモカイン結合を示す図である。
【図2】CBP8のケモカイン結合を示す図である。
【図3】CBP10のケモカイン結合を示す図である。
【図4】CBP2のケモカイン結合を示す図である。
【図5】CBP7のケモカイン結合を示す図である。
【図6】それぞれ図1、2及び3の結合実験と平行して実施したCBP5、CBP8、及びCBP10ペプチドの不在下(陰性対照)での陰性対照のマイクロアレイ分析を示す図である。
【図7】図5の結合実験と平行して実施したCBP7の不在下(陰性対照)での陰性対照のマイクロアレイ分析を示す図である。
【図8】図4の結合実験と平行して実施したCBP2の不在下(陰性対照)での陰性対照のマイクロアレイ分析を示す図である。
【図9】ファージ提示ペプチド(Ph−p)11のケモカイン結合を示す図である。
【図10】Ph−p13のケモカイン結合を示す図である。
【図11】Ph−p15のケモカイン結合を示す図である。
【図12】Ph−p16のケモカイン結合を示す図である。
【図13】Ph−p17のケモカイン結合を示す図である。
【図14】Ph−p18のケモカイン結合を示す図である。
【図15】Ph−p20のケモカイン結合を示す図である。
【図16】疾患、遅延型過敏症(DTH)誘導マウスに投与したときの、CK、MIGと組み合わせたCBP8の効果を示す図である。
【図17】疾患、DTH誘導マウスに投与したときの、CK、RANTESと組み合わせたCBP5の効果を示す図である。
【図18】疾患、DTH誘導マウスに投与したときの、CK、RANTESと組み合わせたCBP8の効果を示す図である。
【図19】疾患、DTH誘導マウスに投与したときの、CK、MCP−1と組み合わせたCBP1の効果を示す図である。
【図20】疾患、DTH誘導マウスに投与したときの、CK、MCP−1と組み合わせたCBP5の効果を示す図である。
【図21】疾患、DTH誘導マウスに投与したときの、CBP8−RANTESと組み合わせたCBP−CKの組合せ、CBP1−RANTESの効果を示す図である。
【図22】疾患、DTH誘導マウスに投与したときの、CBP8−RANTESと組み合わせたCBP−CKの組合せ、CBP8−IP−10の効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)サイトカインと、
(b)サイトカイン受容体又はGタンパク質共役受容体(GPCR)の少なくとも一部分を含むペプチドと、
(c)生理的に許容される担体と
を含む医薬組成物。
【請求項2】
注射に適した形である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
サイトカインがケモカインである、請求項1又は請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
受容体がサイトカイン受容体である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
サイトカイン受容体がケモカイン受容体である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
受容体がGPCR受容体である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ペプチドがサイトカインと結合する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ペプチドがサイトカイン受容体の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ペプチドがサイトカイン受容体の制御配列の少なくとも一部分を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
サイトカインが炎症性サイトカインである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
サイトカインが構成的サイトカインである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
サイトカインが二重機能性サイトカインである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
サイトカインが
(a)GRO−α;
(b)GRO−β;
(c)NAP−2;
(d)IL−8;
(e)IL−8;
(f)MIG;
(g)IP−10;
(h)I−TAC;
(i)I−309;
(j)MCP−1;
(k)MCP−2;
(l)MCP−4;
(m)MIP−1;
(n)MIP−1α;
(o)RANTES;
(p)エオタキシン;
(q)エオタキシン2;
(r)エオタキシン3;
(s)TARC;
(t)MDC;
(u)SDF−1α;
(v)SDF−1β;
(w)BCA−1;
(x)MIP−3α;
(y)MIP−3β;
(z)エキソダス−2;
(aa)TECK;
(bb)CTAC;
(cc)フラクタルカイン;
(dd)リンホタクチン;及び
(ee)PF−4
から選択される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12から選択される配列を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ペプチドが、ペプチド配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12のいずれか1つと少なくとも70%の相同性を有する、請求項7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ペプチド中の1つ又は複数のアミノ酸が化学修飾されたアミノ酸である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
1つ又は複数のアミノ酸が、立体光学異性体(D異性体)、植物由来の稀なアミノ酸、非天然アミノ酸若しくはアミノ酸模倣体であり、又はアセチル化、アシル化、リン酸化、脱リン酸化、グリコシル化、ミリストレーション、アミド化、アスパラギン酸/アスパラギンヒドロキシル化、ホスホパンテタン結合、メチル化、メチルチオール化、プレンジル基結合、インテインN−/C−末端スプライシング、ADP−リボシル化、臭素化、シトルリン化、脱アミノ化、ジヒドロキシル化、ホルミル化、ゲラニル−ゲラニル化、糖化、及びパルミトイル化から選択される任意の1つ又は複数の修飾によって修飾されている、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
免疫系機能を改変するための、請求項1から17までのいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
免疫系障害を治療するための、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
免疫系障害が、自己免疫疾患、多発性硬化症、移植拒絶反応、乾癬及び喘息から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
免疫系障害を治療するための方法であって、
(a)サイトカインと、
(b)サイトカイン受容体又はGPCRの少なくとも一部分を含むペプチドと、
(c)生理的に許容される担体と
を含む医薬組成物を、このような治療を必要とする個体に投与することを含む上記方法。
【請求項22】
注射に適した形である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
サイトカインがケモカインである、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
受容体がサイトカイン受容体である、請求項21から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
サイトカイン受容体がケモカイン受容体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
受容体がGPCRである、請求項21から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ペプチドがサイトカインと結合する、請求項21から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ペプチドが受容体の細胞外ドメインの少なくとも一部分を含む、請求項21から27までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ペプチドが受容体の制御配列の少なくとも一部分を含む、請求項27又は28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
サイトカインが炎症性サイトカインである、請求項21から29までに記載の方法。
【請求項31】
サイトカインが構成的サイトカインである、請求項21から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
サイトカインが二重機能性サイトカインである、請求項21から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
サイトカインが
(a)GRO−α;
(b)GRO−β;
(c)NAP−2;
(d)IL−8;
(e)IL−8;
(f)MIG;
(g)IP−10;
(h)I−TAC;
(i)I−309;
(j)MCP−1;
(k)MCP−2;
(l)MCP−4;
(m)MIP−1;
(n)MIP−1α;
(o)RANTES;
(p)エオタキシン;
(q)エオタキシン2;
(r)エオタキシン3;
(s)TARC;
(t)MDC;
(u)SDF−1α;
(v)SDF−1β;
(w)BCA−1;
(x)MIP−3α;
(y)MIP−3β;
(z)エキソダス−2;
(aa)TECK;
(bb)CTAC;
(cc)フラクタルカイン;
(dd)リンホタクチン;及び
(ee)PF−4
から選択される、請求項21から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12から選択される配列を含む、請求項21から33までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ペプチドが、ペプチド配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12のいずれか1つと少なくとも70%の相同性を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
ペプチド中の1つ又は複数のアミノ酸が、化学修飾されたアミノ酸である、請求項21から35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
1つ又は複数のアミノ酸が、アセチル化、アシル化、リン酸化、脱リン酸化、グリコシル化、ミリストレーション、アミド化、アスパラギン酸/アスパラギンヒドロキシル化、ホスホパンテタン結合、メチル化、メチルチオール化、プレンジル基結合、インテインN−/C−末端スプライシング、ADP−リボシル化、臭素化、シトルリン化、脱アミノ化、ジヒドロキシル化、ホルミル化、ゲラニル−ゲラニル化、糖化、及びパルミトイル化から選択される任意の1つ又は複数の修飾によって修飾されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
免疫系障害が自己免疫疾患、多発性硬化症、移植拒絶反応、乾癬及び喘息から選択される、請求項21から37までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
(a)可溶化サイトカインと、
(b)サイトカイン受容体又はGPCRの少なくとも一部分を含む可溶化ペプチドと
を含む医薬組成物を調製するための方法であって、サイトカインとペプチドをex vivoで組み合わせることを含む方法。
【請求項40】
前記組合せを所定の時間インキュベートすることをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項41】
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12から選ばれるペプチド、
(b)サイトカインと結合することができる(a)のペプチドと少なくとも70%の相同性を有するペプチド、及び
(c)少なくとも1つのアミノ酸が化学修飾されている(a)又は(b)のペプチド
から選択されるペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−521413(P2010−521413A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500002(P2009−500002)
【出願日】平成19年3月18日(2007.3.18)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000350
【国際公開番号】WO2007/105224
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508278435)プロタゴニスツ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】