説明

免疫血液学的試験要素のための使い捨てフォイルパンチ

【課題】血液型又はスクリーンなどの免疫血液学の試験を実行するために有用な装置及び方法を開示する。
【解決手段】免疫診断分析器内の封止されたパックを使用する際に、擬陽性を低減する一方で、複数の試験での試薬の使用、並びに試薬アリコートを被覆する穿刺フォイルに利用される使い捨てパンチの再使用を可能にする装置及び装置の使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、臨床試験の分野、特に少なくとも1つの試験チャンバを有し、穿刺可能なフォイル層によって被覆される、免疫学的試験要素に関する。臨床試験は、免疫学的、免疫診断、及び他の臨床試験を含む。フォイル層は、試験チャンバの内容物へのアクセスを促進するための穿刺を可能にする、少なくとも一部によって画定される。
【背景技術】
【0002】
特に免疫血液学的(「IH」)試験のために、予め分配された試薬は、多くの場合において、試験環境で必要とされる際にアクセスされる、封止されたチャンバ内に提供される。例えば、BIOVUE(商標)カセット及びMTS Gel Cards(商標)は、各カラム内の予め分配された試薬の一体性を維持するために、反応チャンバの上のフォイル封止を使用する。他の比較可能なシステムも、IH試験のために、同様の試験要素を使用する。カード/カセットの誤操作によって、フォイル封止の内側が、予め分配された試薬と接触する可能性がある。
【0003】
免疫学的癒着反応は典型的に、様々な種類の血液型を特定し、並びに、血液サンプル及び他の水溶液中の様々な種類の抗体及び抗原を検出するために使用される。このような手順において、試験官又はマイクロプレートのいずれかの中で、赤血球のサンプルが血清又はプラズマと混合され、混合物がインキュベートされ、その後、遠心分離にかけられる。例えば、赤血球の血液型、又は血液サンプル中に特定の抗体が存在するかどうかによって、様々な反応が生じるか、又は生じない。これらの反応は、細胞塊又はその表面上に抗原又は抗体を有する粒子を生じ、これは癒着と称される。いずれかの癒着の不発は反応が生じなかったことを示し、一方で癒着の存在は、形成される塊の大きさ及び量によって、反応の存在、並びにサンプル及び反応強度の濃度の水準を示す。
【0004】
多くのこのような反応は、臨床診断分析及び他の分析における反応状態に含まれる。臨床実験試験及び診断システムには典型的には、スケジューラが挙げられ、これは、様々な時点で資源が分配され、分析器における動作を制御及び指定し、所望の試験が適宜、秩序のある方法で実行されることを可能にする。システムクロックは、分析器の様々な部分において工程が実施されるかを決定する。したがって、サンプルの位置、試薬の分配、信号検出などが、分析器の様々な部分により、共通のクロックに対して指定され、これらが同じ間隔と適合していることを確実にする。スケジューラは、特定のサンプルに関連する様々な予測される試験のために資源が確保される際に、サンプルが入力キューから受容されることを確実にする。必要とされる資源が利用可能でない限り、サンプルは入力キュー内にあり続ける。サンプルは更に、トレー(又はスロット)内に一回分で入れられる。好ましい分析器において、サンプルが吸引されて、その後、様々な試験のために、この吸引された量からサブサンプルが取られる。様々な種類の試験が分析器によりサポートされる、スケジューラの動作は、代表的な分析器の適度に適切な記述を提供する。
【0005】
様々な試験のために試薬は、好ましくは無菌パック内に提供される。このようなパックの例はBioVue Cassettes及びMTS Gel−Cards(一種のゲルカード)であり、これらは内部に予め分配された試薬の一体性を維持するために、フォイル封止を使用する。更に、封止された試薬の非常に少ないアリコートの使用は、費用及び潜在的な生体有害廃棄物を増加させるが、多くの反応において使用するために包装された試薬の、より大きな量は交差汚染の危険性を招き、これはカード/カセットの誤操作によってフォイルの内側が予め分配された試薬と接触し得る可能性があるためである。血液型又はスクリーンのいずれかに関する、偽陽性反応を生じる、1つのウェルから次のウェルへの試薬の移送は、現在のシステムによって良好に対処されない問題である。
【0006】
スケジューラによって指示され、予測されるように、臨床分析器を実行することを助ける、いくつかの構成要素は、ステッピング・モーターを含む。ステッピング・モーターの制御、並びに、したがってプローブ及び機械的運動は、本明細書において参照として組み込まれる、米国特許番号第5,646,049号に記載されるものなど、当該技術分野において既知の技術によって達成される。
【0007】
例えば、米国特許番号第5,512,432号に記載されるように、かつマイクロプレート又は試験管を使用せず、別の形態の癒着試験方法が開発され、商業化に成功してきた。この方法により、ゲル又はガラスビーズ微小球が、マイクロカラム又はマイクロ管と称される、小さなカラム内に収容される。抗Aなどの試薬が、マイクロカラム内に希釈剤中に分配され、試験赤血球がカラム上の反応チャンバ内に配置される。典型的に、透明のカード又はカセット内に形成される複数のカラムの1つであるカラムがその後、遠心分離される。遠心分離は、存在する場合、赤血球と試薬との間の反応を加速させ、またカラムの底部に向かういずれかの細胞を促進する。同時に、ガラスビーズ又はゲル材料が、フィルターとして機能し、カラム内の粒子の下方への移動に抵抗し、これを阻害する。結果として、マイクロカラム内の粒子の性質及び分布は、任意の凝固反応が生じたかどうか、もしそのような反応が生じた場合、カラムの癒着の相対位置に基づいて反応の強度の視覚的指標を提供する。癒着反応が生じない場合、マイクロ管内の赤血球の全て又は実質的に全てが、遠心分離手順の間に、ペレットの形態のカラムの底部まで下方に通過する。逆に、試薬と赤血球との間に強い反応が存在する場合、実質的に全ての赤血球が癒着し、ゲル又はビーズマトリックス上のマイクロ管上に大きな集塊が形成される(マトリックスはこれらの塊を通過させないような大きさである)。後者の2つの両極端の反応の中間に相当する反応が可能であり、赤血球の全てではなく一部が癒着する。癒着する赤血球の割合、及び癒着する粒子の大きさはそれぞれ、反応の強度と関連する。遠心分離プロセスに続き、全ての処理工程が完了した後に、人間の操作者又は機械画像により視覚的に試験され、赤血球と試薬との間の反応が分類される。反応が陽性又は陰性のいずれかとして分類され、陽性である場合、反応は更に、反応強度によって4つの分類の1つに分類される。
【0008】
ゲルカード及び/又はビーズカセットは、血液のグループ化、血液の分類、抗原又は抗体検出、並びに他の関連する用途及び使用の目的のために、上記の癒着反応を生成する目的のために、複数のマイクロ管を利用する試験要素である。これらの試験要素は一般的に、複数の透明なカラム又はマイクロ管を支持する平坦な機材を含み、これらのカラムのそれぞれは、一定量の不活性材料、例えば、ゲル材料又は複数のガラスビーズをそれぞれ含み、これは抗原若しくは抗体又は材料でコーティングされる(これらはそれぞれ、メーカーにより提供される)。貫通可能な包装は試験要素のアセンブリを完成し、接着剤により、ないしは別の方法で取り付けられたフォイル包装の形態の包装が、各カラムの内容物を被覆するために、試験要素の上側を被覆する。一度貫通すると、患者サンプルのアリコート、及び場合により試薬(例えば、メーカーによって最初に試薬が添加されていないか、又は試験により追加の試薬として)が、手動により又は自動装置を使用して、カラムに追加され得る。このようにして患者サンプルを含む試験要素(例えば、赤血球及び血清)がインキュベートされ、インキュベーションの後、遠心分離によりスピンダウンされ、癒着反応を加速させ、これは、試験要素若しくはカセットの各透明カラム内の癒着の位置に基づき、又は試験カラムの底部に位置する細胞に基づく癒着の欠落により、評価され得る。
【0009】
上記のように、これらの試験要素のそれぞれは、典型的にはカラムを被覆するカード又はカセットの頂部に配置されるフォイル包装を含み、包装は、患者サンプル、試薬又は他の材料を試験要素の少なくとも1つのマイクロ管内に分配する前に貫通され得る。ファイル包装は、カラムの内容部に対する封止を形成し、汚染を防ぎ、又はカラムの内容物が乾燥若しくは劣化するのを防ぐ。
【0010】
多くの自動、又は半自動装置、例えば、Ortho−Clinical Diagnostics,Inc.、DiaMed A.G.、及びGrifolsにより製造されるものが既知であり、これらは、複数のゲルカード又はビードカセット、例えば、とりわけ、Micro Typing Systems(商標),Inc.、DiaMed(商標)A.G.、及びBio−Rad(商標)によって製造及び販売されるものを使用する。典型的に、これらの装置は、貫通機能を達成するために、別個のアセンブリを使用する。1つの既知の形態において、フォイル包装を穿刺するためにピペットアセンブリプローブが使用される。試験カラムの内容物と接触する、穿刺のための計量プローブの使用は、汚染を避けるために、貫通工程後、使用の再開前に別個の洗浄操作を経なくてはならないことを意味する。潜在的な汚染の問題に加え、漏出並びに液体キャリーオーバーの取り扱いに関する問題が存在する。加えて、洗浄工程は、装置の寸法決め及び製造の複雑性の水準をより高いものにし、更にスループット時間を阻害する。別の既知の装置において、試験要素の各試験チャンバの封止を穿刺するための、複数の専用パンチ(集団パンチ)を有する、AUTOVUE(商標)、貫通アセンブリが提供される。この専用装置はまた、装置の全接地面積の寸法への増加を含め、複雑性の水準を高くする。後者のアセンブリはまた、限定的にではあるが、その再使用の間にパンチ自体の洗浄操作を必要とし、多くの異なる試験の必要性に適合する多数のパンチを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、既存のシステム及び補給品は、再試験又は誤った試験を生じ得る、擬陽性の結果に対する許容値、又は廃棄物の増加、並びに非効率性を生じる、単回使用パック内への試薬の包装のいずれかを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
臨床分析器において実行されることを意図される各試験に関して、臨床分析器において実施される試験において使用される試薬と適合する利用可能な1つ又は2つ以上の使い捨てパンチが存在する。好ましくは、このような臨床分析器は免疫血液学分析器であり、しかし他の使用、例えば免疫診断分析器もまた、本開示の範囲内である。代表的な持続時間においては、全ての使い捨てパンチが、より早い交換が保証されない限り、6ヶ月に一度交換され得る。一態様により、免疫診断試験分析器の代表的な実施形態は、再配置可能なパンチホルダー内の使い捨てパンチと、少なくとも1セットの封止された要素であって、それぞれは、試薬、サンプル及び反応混合物からなる群の少なくとも1つを保持するための、それぞれが穿孔可能な封止で封止された、要素と、を有する。好ましくは、穿孔可能な封止は、フォイル封止である。更に、フォイル封止は、事前に圧迫されてもよいが、これは必須ではない。各要素は、基材と、上記の基材によって支持される少なくとも1つの試験カラムであって、各上記の試験カラムは試験材料を含む、試験カラムと、封止された要素を形成するように、上記少なくとも1つの要素の上部を被覆する、接着剤ないしは別の方法で取り付けられた包装とを含み得る。使い捨てパンチは、要素に開口部を穿孔するために、好適な任意の形状を有するように画定されるが、ただし、これは要素内に又は要素から流体を吸引するために使用されない。カード/カセットの起こりえる誤操作により、フォイル封止の内側が、事前に分配された試薬又は先端部と接触する場合がある。1つのウェルから次のウェルへの試薬の移送は、血液型又は免疫診断分析器若しくは免疫血液学試験のスクリーンのいずれかに関する擬陽性反応を生じ得る。
【0013】
一態様において、免疫診断試験装置における交差汚染の低減のための代表的な方法は、多数の工程を含む。1つのこのような工程において、特定の試験の実行における、穿孔可能な封止を有する要素を使用する時間、例えばTが、典型的にはスケジューラによって推測される。使い捨てパンチは、任意の好適な形態をとることができるが、これは1つの要素から別の要素へと流体を吸引するために使用されない。使い捨てパンチは、個々に、より好ましくは使い捨てパンチの配列又は集合で保持され得る。各使い捨てパンチの前の使用がシステムによって追跡され、後の使用が、許容不可能な交差汚染、ないしは別の試験結果の劣化の可能性を招くことによって試験を劣化させないことを確実にする。この目的のため、パンチの特定の使用回数の超過、予測されるパンチの使用の持続時間の超過、及び閾値を超える制御試験結果の可変性の増加、から選択される条件の1つ又は2つ以上が満たされる場合、使い捨てパンチの交換が所望されるものと予測される。要素上の封止の開口部を穿孔するために使い捨てパンチが使用され、流体搬送先端部が要素から流体を吸引するか、又はこの要素内部に流体を分配することを可能にする。要素は、MTS Gel−Card、試薬保持容器、患者サンプル保持管、ビーズカセット、マイクロ管、試験管などの特定のチャンバであってもよい。
【0014】
使い捨てパンチは、2つ以上のアッセイに使用され得る場合、これはシステム上の全てのアッセイの穿孔の数を低減する。一態様により、免疫診断試験装置内の交差汚染を低減するための代表的な方法は、特定の試験のために一時的に指定され/利用可能な使い捨てパンチの前の使用が、特定の試験と適合するかどうかを決定することを含む。このような使い捨てパンチは、「現在の」使い捨てパンチとして一時的に示され得る。好ましい実施形態において、「現在の」使い捨てパンチは作動装置と関連する。現在の使い捨てパンチが適合しない場合、(すなわち、交差汚染の許容不可能な危険性を招く、試験又は試薬と使用される場合)、別の使い捨てパンチが「現在の」使い捨てパンチとなり、同様の方法で評価される。他の実施においては、多数の作動装置が存在し得ることに留意すべきである。好ましい実施形態において、1つ又はいくつかの作動装置が、より多くのパンチを操作する。更に、多くのパンチが存在する一方で、パンチの数は、パンチの補助によってアクセスされる必要がある、別個の種類の要素よりも少ない。多数のパンチの使用は、パンチのより効率的な使用を可能にし、パンチの交換は比較的に頻繁でなくなり、各種の要素がその独自の専用パンチを必要としない。代表的な方法に戻り、評価を合格する使い捨てパンチが存在しない場合、新しい使い捨てパンチが装填される。これは、新しいパンチを装填するためのルーティーンのスケジューリング及び/又は実行を必要とし得る。関連する態様において、使い捨てパンチは、これが使用される時間、又は穿孔されるように使用された封止の数など、適合性以外の理由のために新しい使い捨てパンチと交換され得る。新しいパンチが導入されるとき、異なる種類の要素との使用が追跡されて、これが他の適合する要素とのみ使用されることを確実にする。
【0015】
好ましい免疫血液学的分析器は、特定の要素を位置合わせする手段を含み、これは再配置可能なパンチホルダー内の使い捨てパンチを有する、チャンバ(カセット)であり得る。位置合わせ手段は、特定の要素の好適なパンチを決定するようにプロセッサをプログラミングし、命令の際に作動装置がパンチが要素上の封止を穿刺するように移動するように、問題のパンチを作動装置及び要素と位置合わせすることによって実施される。位置合わせ手段は、特定の要素の次の使用の時間の前に、使い捨てパンチ又は特定の要素を互いに隣合うように移動させるための、命令を生成する。これは、次の使用の時間において、必要に応じて使い捨てパンチを生成するために、使い捨てパンチが、特定の要素に対して正確に位置付けられる。好ましい実施形態において、要素は、要素から流体を吸引するため、又は流体をその中に分配するために、異なる位置へと移動する。好ましくは、流体搬送先端部は、使い捨て計量先端部、洗浄可能な計量先端部、及び再使用可能な計量先端部から選択される。
【0016】
一態様により、使い捨てパンチをそれに沿って移動するための、再配置可能なパンチホルダーのために好適な線形経路が提供される。別の態様において、別の好適な実施形態において、再配置可能なパンチホルダーは、使い捨てパンチを閉じた経路に沿って動かしてもよく、代表的な閉じた経路は円形の経路である。
【0017】
一態様に従い、使い捨てパンチが使い捨てパンチの次の計画される使用と適合するかどうかを決定するために、適合性試験の手段が提供される。適合性試験の手段は、問題の使い捨てパンチ(現在の使い捨てパンチ)が、その封止を穿刺される必要がある要素と適合するかどうかを決定するようにプロセッサをプログラミングすることによって実施され、他の適合する使い捨てパンチが得られない場合、使い捨てパンチは新しいパンチと交換される。更に、使い捨てパンチが使用された回数が評価されて、使い捨てパンチを交換するかどうかを決定する。好ましい代表的な実施形態において、試験又は試薬に対応する使い捨てパンチを特定するために、ルックアップ表が使用される。その後、適合性試験の手段は更に、新しい使い捨てパンチが必要であるかどうかを決定する(例えば、使い捨てパンチが使用された時間、又は分配可能なパンチが使用された回数による)。他の可能な基準は、疑われる交差汚染の発生を含む。使い捨てパンチが交換されるとき、有効性の観点において、好ましくはパンチネスト内のパンチの全て又はほとんどが交換される。
【0018】
別の好ましい実施形態において、免疫診断試験装置は、複数のチャンバを有するカセット又はカードを保持するカード/カセット調製ステーション、及び使い捨てパンチの操作構成内に保持される少なくとも1つの使い捨てパンチと、免疫診断試験装置によって実行される試験内の包装によって封止される特定の要素を使用するための時間を推測又は指定するためのソフトウェアと、少なくとも1つの使い捨てパンチ要素を特定の要素と位置合わせする手段と、流体搬送先端部が包装に接触することなく流体を吸引又は分配することを可能にするように、特定の要素上の包装に少なくとも1つの使い捨てパンチを使用して十分に大きな開口部を穿孔するための作動装置と、を含む。
【0019】
一般性を損なうことなく、免疫診断試験装置において、流体搬送先端部は、使い捨て計量先端部、洗浄可能計量先端部、及び再使用可能な計量先端部から選択される。包装は、フォイル封止であり得る。ある実施形態において、フォイル封止は更に事前に圧迫されていてもよい。
【0020】
一態様により、基材を含む免疫診断試験要素、前述の基材により支持される少なくとも1つの試験カラムであって、上記試験カラムは試験材料を含む、試験カラムと、例えば、接着剤により取り付けられたフォイル包装などの少なくとも1つの試験要素の頂部を被覆する接着剤ないしは別の方法取り付けられたラップとを含む、免疫診断試験要素が提供され、上記のフォイルラップは、上記の少なくとも1つの試験カラムそれぞれの真上に脆弱化部分を含み、各上記の脆弱化部分は上記部分を、フォイル包装を穿刺しない程度まで事前に圧迫することによって形成される。更なる詳細が、米国特許出願公開第20090246877号に見出される。
【0021】
少なくとも1つの事前に圧迫された部分を提供することにより、フォイル包装は局部的に劇的に脆弱化し、それによって、例えば計量先端部などの使い捨て流体吸引分配部材を使用して、各事前に圧迫された部分が容易に穿孔されることを可能にする。加えて、事前に圧迫された部分はまた、局部的に変形され、ボール状の凹部形状を示す。あるいは、事前の圧迫は、包装で試験要素を被覆する前に包装上に行われ得る。
【0022】
フォイルの事前圧迫は、は、フォイルの局部的変形を生じ、内側に湾曲したへこみを生じ、実質的にボール様の外観を形成する。この部分は、別個の操作によって容易に穿刺され得る。
【0023】
これらの、及び他の特徴は以下の発明を実施するための形態から容易に明らかになり、これは、以下の図面に関連して読まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一般的な使い捨てパンチの使用に対して適合する試薬及び適合しない試薬を示す、表内の試薬の代表的なリスト。
【図2】下の線形ホルダーの要素上の封止を穿孔するために、円形のパターンに構成された使い捨てパンチを例示する、免疫診断試験装置の部分。
【図3】MTS GelCardの単純化した図。
【図4】使い捨てパンチと位置合わせされた、MTS GelCard内のカラム。
【図5】使い捨てパンチ及び線形作動装置と位置合わせされたMTS GelCard内のカラム。
【図6】適合性試験の手段、及び使い捨てパンチを有する免疫診断分析器の操作に関連する位置合わせの実施。
【図7】適合性試験の手段の実施の異なる態様。
【図8】適合性試験の手段、及び使い捨てパンチと作動装置及び封止要素との位置合わせを生じるための、免疫診断分析器と使い捨てパンチの操作の関連における位置合わせの手段の動作。
【図9】資源の分配、及び封止された要素にアクセスするための使い捨てパンチの使用を含む、スケジューリング事象における免疫診断分析器の代表的な操作。
【図10】封止された要素へのアクセスのための使い捨てパンチの使用を含む、事象のスケジューリングを有する、免疫診断分析器の操作のための、別の代表的な論理フロー。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明は、使い捨てパンチ、及びそれによって穿刺される封止された要素を使用する、免疫診断分析器(また、文脈によって免疫血液学的分析器とも称される)の一定の代表的な実施形態に関連する。好ましい実施形態において、分析器は、ゲルカード又はビーズカセットを使用する。本明細書において記載される発明の概念はまた、少なくとも1つの試験チャンバ及び包装/封止(例えば、少なくとも1つの試験チャンバを被覆し、要素又は封止された要素とも称される)フォイル包装を含む、免疫診断分析器のいずれかの他の形態にそのまま関連することが、当業者には容易に明らかとなる。加えて、添付の図面に関連する視点を提供するために、本記載を通じて一定の用語が使用される。これらの用語は、明示的に示される場合を除いては限定としてみなされるべきではない。
【0026】
典型的には、反応チャンバの使用の前に、フォイルは物理的に取り除かれるか、又はピペットによってアクセスできる開口部を生成するために穿孔されなくてはならない。手動の試験のために、技術者は、試験を実行するために反応チャンバからフォイルを剥がす。自動化された免疫血液学的システムは、典型的には、ピペットプローブ自体、又は鋭い金属パンチによって、フォイルを穿刺することによって、反応チャンバへのアクセスを得る。AutoVue(商標)の場合、一連のパンチが、特定のカードの種類を開くために、集合的に配置される。各パンチは、1つのウェルから次のウェルへのキャリーオーバーを緩和するために、特定の反応チャンバの種類専用である。時間と共にこれらのパンチは汚れるか、又は汚染し、担当者によって洗浄されなくてはならない。ProVue(商標)の場合、ピペットは分配端部においてある角度で切断され、生じる鋭い点は、各計量事象の前にフォイルを穿孔するために使用される。この手法は、次の反応チャンバへのキャリーオーバーを避けるために、反応チャンバ内への各流体分配の後に、プローブの外側が洗浄されることを必要とする。
【0027】
VISION(商標)においては、使い捨て先端ピペット又は洗浄可能なプローブシステムを使用する。反応セル内への各流体の分配において、フォイル封止は、先端部が反応セル内に入る際に、フォイル封止と接触しないような方法で開かれるべきである。試験カラム上のフォイルの大きな開口部は、使い捨て先端部によるアクセスを可能にするために生成される必要がある。AutoVue(商標)の「集団パンチ」の手法は大きく、6ヶ月ごとの作業による清浄を必要とする。キャリーオーバーに対処する、新しい、より小さいフォイルパンチ機構が、結果として望ましい。フォイル開放機構は、使用のために、スケジュールされた試験カラムのみを開け、作業員の代わりに操作者によって作業され得る。封止への接触の防止は、例えば、A、B及びDなどの多数のカラムの種類に患者の赤血球などの流体/懸濁液をピペットで移すために同じ先端部が使用される際に特に重要である。ProVue(商標)に関する図1の表は、およそ13の事前に分配された試薬が存在することを示し、これらはキャリーオーバーすれば、流体が内部に分配される次のカラムの結果に影響し得る。ProVue(商標)は、20のこのような事前に分配された試薬を有する。
【0028】
開示される実施形態は、操作者によって定期的に交換され得る、使い捨てフォイルパンチを使用する。必要とされるこのようなパンチの数は、器具で実行される異なるカラム種類の数によって示される。穿刺パンチは、射出成形されたプラスチックの部品であるが、他の材料及び製造方法が使用され得る。各パンチは好ましくは定期的に操作者によって交換され得る。ほとんどの用途において、およそ20のパンチが、いずれかのセル間のキャリーオーバーを避けるために必要とされる。
【0029】
図1は、どの試薬/試験の組み合わせが一般的な使い捨てパンチの使用と適合するかを示す、表中の試薬の代表的なリストを提供する。予備知識のため、全ての交差汚染が、結果が許容不可能なまでに悪化を疑われるか、悪化し得るほどに試験の悪化が生じるわけではない。例えば、1つの要素から別の要素へのサンプルのキャリーオーバーは、異なるサンプルの混合が意図される場合を除き、許容可能ではない。一方で、図1に示されるように、試薬のキャリーオーバーは、一定の組み合わせに関しては結果に影響しないことがある。
【0030】
図2は、カード又はカセットのフォイル封止を貫通するために、各パンチが定位置に回転する、環状構成に保持された、多数のパンチの代表的な実施を例示する。穿刺される封止を有する要素を含むカードは、正しいカラムを正しいパンチにソフトウェアにより位置合わせするように回転する、緩衝装置内、パンチアセンブリの下に位置する。図2は、円形パンチホルダー210内に配置される、使い捨てパンチ205を示す、代表的な免疫診断分析器200などの部品を例示する。また、特定の使い捨てパンチ220上に作動装置215が示される。パンチホルダー210の下には要素ホルダー225があり、封止230が複数の要素を被覆し、その要素235は、作動装置215の動作によって押される使い捨てパンチ220の下端240の下にある。代表的な実施例における作動装置215、使い捨てパンチ220及び要素235の動作の位置合わせは、位置合わせ手段によって達成される。使い捨てパンチ235などの、特定の使い捨てパンチの選択はまた、適合性試験の手段に供される。使い捨てパンチ250を保持するための、線形パンチネスト245がまた図2に示される。このような別の形状及び設計はまた、器具200の部分として示されるパンチネスト210の代わりに実施され得る。例示されるパンチネスト245は、静的なカード/カセット/サンプル/要素の上に位置づけられ得る、線形構成を有する。作動装置は好ましくは、ソフトウェア制御の下で位置合わせ及び配置されて、別個の段階で移動する。線形構成は、器具200のパンチネスト210のものと対応する円形構成255と比較され得る。円形構成において、より小さい構成は、カード/カセット/サンプル/要素260を保持するより大きな構成の上に位置付けられたパンチネストである。本教示の実施におけるこのようなバリエーションは、本開示の範囲内に含まれる。
【0031】
図3は、封止305、及びチャンバ/カラム/マイクロ管310を有するゲルカード300を示す。このようなゲルカード300は、図2の要素ホルダー225に関して例示される方法において使用され得る。ゲルカード、又はビーズカセットは一般的に、複数のマイクロ管又は試験カラムを支持する平坦な部材などの支持部材を含む。代表的なマイクロ管310は、透明な材料から作製され、頂部の開いた開口部を有する上部315、内側にテーパ状の遷移部分320、及び下部325によって更に画定される。典型的にはメーカーによって提供される、所定量の不活性材料330が、各試験カラム310の下部325内に収容される。不活性材料330はSephacryl(商標)などのゲル材料、又は他の好適な材料であるが、ビーズカセットの場合においては、不活性材料は、ガラスのマトリックス又は他のビーズによって画定される。不活性材料は典型的には、約10〜100マイクロメートルの直径を有する複数の粒子を含む。
【0032】
更に、不活性材料は更に抗体によってコーティングされるか、又は単体結合された抗原若しくは抗体、例えば抗A(やはり典型的にはメーカーによって提供される)を備える。各試験要素310の上側に提供される穿刺可能なフォイル包装305は、内容物を保護し、またその脱水又は分解を防ぐため、マイクロ管を被覆及び封止する。
【0033】
上記の免疫診断試験要素、又は要素ホルダー225は、図2に示されるもののような、自動試験装置200内で使用され得る。すなわち、試験装置200は、試薬及びサンプル補給品、インキュベータステーション、遠心分離部、分析ステーション、及びドロワーアセンブリを含む、多くの構成要素を保持する。より具体的に、この装置200のサンプル及び試薬補給品は、ゲルカード225(図2)、300(図3)、400(図4)を含む。
【0034】
例えば、示される試験装置200において、図3に従って既に記載されたものなどの、複数の試験要素310が、最初にバーコードリーダー(図示されない)によって読み取られる。読み取りが良好であると、移送アセンブリを使用して、要素ホルダー225が装填される。作動装置435(図4)が展開されて、要素ホルダー225の所望の要素410の封止を開くピペットアセンブリのピペットが使用されて、サンプルを吸引し、一方で作動装置435(図4)が使用されて各マイクロ管を穿孔する。一度、穿孔工程が達成されると、その後、ピペットが使用されてサンプル及び試薬補給品から各試験カラム410(図4)へと、所定量の患者サンプル(かつ場合により追加的な試薬)を分配され、混合物が好適にインキュベートされ得る。
【0035】
図5は、使い捨てパンチが封止を穿孔するように、線形作動装置などの更なる詳細を示す。線形作動装置500は、示されるようにフォイルパンチ510に作用し、この使い捨てパンチ510はパンチネスト515内に位置し、ワッシャ520は衝撃吸収及びばね保持を提供する。ばね525は、ゲルカード535の要素540の封止530に開口部を穿孔する際に、線形作動装置500の作用によって圧迫され、使い捨てパンチ510は、穿刺穿孔の後にばね525のために、その位置に跳ね返る。
【0036】
インキュベーションの後、癒着反応を実行するため、要素ホルダー225、300、400は、インキュベータから取り除かれ、その後スピンダウンされ、よって、コーティングされた試薬の存在において赤血球が集塊化するために、癒着反応が加速される。各要素/カラム310内に配置された複数のビーズは、約10〜100マイクロメートルの範囲の直径を有する粒子を含み、マトリックスを提供して赤血球が濾過を通過することを可能にし、それより大きく形成された癒着を通過させない。生じた反応は免疫診断分析器200の分析ステーション(図示されない)内で、照明アセンブリ及び画像化サブシステムによって、画像化され得る。反応の評価のための機械画像は、自動データ生成を提供し得る。追加的な詳細は、共通の譲受人による米国特許番号第5,578,269号(Yaremko et al.)に提供され、その全内容が本明細書において参照として組み込まれる。
【0037】
図6に示されるような、典型的な分析器において、工程600において、スケジューラがスケジューラによって想定される次のサンプルを試験するために必要な資源を決定する。示されるスケジューラは、工程605において、必要な資源が利用可能となる時点を決定する。工程610に示されるように、スケジューラは直接的に、又はルーティーンの呼び出しにより、スケジューラによって想定される試験に必要な要素の位置を決定する。工程615において、使い捨パンチの集合から好適な使い捨てパンチが決定される。好ましくは、封止された要素の種類、又は実行される試験の種類のいずれかによって検索されるルックアップ表の補助により、決定が行われる。試験に必要な要素に開口部を穿孔するべく特定された使い捨てパンチが、要素と適合するかどうかという決定は、工程615〜625の間に決定される。試験工程615は、特定の要素又は実行される試験のために好適な使い捨てパンチを決定するために使用される。パンチネスト内に多くの使い捨てパンチが存在し、かつそれぞれが、交差汚染の見地に基づき、いくつかの試薬/試験と適合する場合、ルックアップ表は有用である。図1の表のような、大きなデータ構造を維持する代わりに、ルックアップ表の使用によりデータ構造の疎性を利用することが有利である。ルックアップ表を形成するべく、試験/試薬/要素とパンチネスト内の対応する使い捨てパンチ位置との間にマッピングを生成するために、図1に提供される例示的なデータなどのデータに基づいて行われ得る。適合可能な使い捨てパンチが利用可能でない場合、制御は620に移り、どの使い捨てパンチがパンチネスト内の空のスロットに追加されたかに従って、試験に必要な要素と適合するパンチを提供する。制御は工程620から工程625へと移り、ここで、適合可能な使い捨てパンチと試験を行うために必要な要素とを位置合わせする命令が生成される。工程615において使い捨てパンチが要素と適合するものと判断される場合、制御は工程615から工程625へと直接移ることができる。工程625の後、図6の例示的論理は終了する。
【0038】
図7は、使い捨てパンチでの免疫診断分析の操作のより詳細な図を提供する。工程700において、スケジューラは穿孔可能な封止を有する要素(使い捨てパンチの使用を必要とする要素)を使用する時間「T」を決定する。制御は決定工程705へと移りここで、使い捨てパンチの、特定の試験又は要素との適合性(好ましくは最初にルックアップ表を使用して特定される)が評価される。不適合性が検出される場合、制御は決定工程710に移り、ここで、例えば、問題の要素と適合可能である、図5のパンチネスト515内の別の使い捨てパンチが利用可能であるかどうかに関する決定がなされる。この工程はまた、交差汚染の見地から多くのパンチが要素/試験/試薬と適合する場合、このような使い捨てパンチが体系的に示され得る鎖又はツリーにおいて掲載されるという点において、ルックアップ表に関連するデータ構造から利益を受けることができる。使い捨てパンチと適合する別の要素を代わりに試験するバリエーションが、いくつかの場合において可能であり、工程710でカバーされることが意図される。適合する使い捨てパンチが利用可能でない場合、制御は工程715に移り、ここで、好ましくはこれをパンチネスト515(図5)に搭載することにより、新しいパンチが得られる。適合性試験の記載される手段は広くは、工程705〜710の工程の実施を含み、より好ましくはまた工程715及び720を含み、これは、免疫診断分析器の代表的な中央処理ユニットが、分析器の機械的及び感覚的部品が、現在の使い捨てパンチの過去の使用について保存されたデータに基づいてこれらを実行するように指示するようにプログラミングすることによる。当業者に既知であるように、アセンブリ言語、機械言語、JAVA、C又はこれらのバリエーション及び他のより高次の言語などのプログラミングツールの補助を有するこのようなプログラミングは、汎用性中央処理ユニットを、分析器を制御するための画定された性能を有するカスタムされた機械へと変換する。使用可能及び両立可能な使い捨てパンチの検出の際、ロジックにおける現在の使い捨てパンチが工程725に移るようにする。現在の使い捨てパンチが工程705中において適合すると判断される場合、制御は工程725へと移る。工程725中において、スケジューラは、動作する現在の使い捨てパンチが、時間「T」において、封止された要素の予測された位置と位置合わせするように、ルーティーンを呼び出す。この位置合わせは、時間「T」の直前であってもよく、指定時刻のはるか前であってもよい。工程725中の動作は、免疫診断分析器の代表的な中央処理ユニットのプログラミングにより、分析器の他の機械的及び感覚的部品を、保存された位置データに基づいて実行させ、位置合わせ手段にはフィードバック制御が含まれる。制御はその後、工程725から工程730に移り、ここで要素の封止に開口部が形成される。いくつかの実施形態において、使い捨てパンチは単に開口部を再開口するか、前に開かれた封止をより確実に開いてもよい。制御は工程735から工程730に移る。工程735において、その開口が使い捨てパンチによって開かれた要素の種類、及びパンチの使用回数、並びに使用頻度又は使用の種類に基づいて使い捨てパンチが交換される必要があるかどうかの決定に関連する他のデータが(図1の代表的な適合性表を参照)が更新及び記録される。
【0039】
図8は、適合性試験の手段、及び位置合わせ手段を含む、適合性試験の更なる代表的な詳細を提供し、これらは、免疫診断分析器の代表的な中央処理ユニットが、分析器の他の機械的及び感覚的部分がこれらを、現在の使い捨てパンチの過去の使用に関して保存された情報にもとづいて実行するように指示するようにプログラミングすることにより、実行可能である。工程800において、現在の使い捨てパンチが特定の要素と適合するかどうかが決定される(パンチが使用された回数、これが使用された持続時間、パンチが使用された試験結果の不合格又は可変性などを含む)。使い捨てパンチが適合する場合、制御は工程810に直接移る。また、制御は工程805に移り、ここで現在の使い捨てパンチが別の使い捨てパンチと交換され、これが現在の使い捨てパンチとなる。交換は、完全に新しいパンチがパンチネスト515(図5)に組み込まれるか、又はパンチネスト515に既に搭載された別のパンチの適合性を調べることによって行われ得る。既に記載したように、パンチネスト515の使い捨てパンチのこのような特定は、ルックアップ表、ツリー及び鎖などの構造及び構成を使用して容易に行われる。一度新しい使い捨てパンチが特定されると、制御は工程805から工程800へと戻る。このループは、制御が工程810に移る前に、適合する使い捨てパンチが適所にあることを確認し、適合性試験の手段が適合する使い捨てパンチを生じることを確実にする。適合する使い捨てパンチがない場合、工程805において、エラーメッセージが生成され、これを示す(この詳細は、図8において明示的に例示されない)。工程810の間、位置合わせ手段により行われるように、現在の使い捨てパンチが作動装置と位置合わせされたかどうかについての判定がなされる。位置合わせされていない場合、制御は工程815に移り、ここでこのような位置合わせが行われる。別の代表的な実施形態において、線形又は他の種類の作動装置が、現在の使い捨てパンチと位置合わせされ得る。現在の使い捨てパンチが作動装置と良好に位置合わせされると、制御は工程820に移る。工程820において、位置合わせ手段の別の態様において予測されるように、現在の使い捨てパンチが特定の要素(封止が開かれた要素)と位置合わせされるかどうかに関して判断がなされる。位置合わせされていない場合、制御は工程825に移り、ここでこのような位置合わせが実行されるか、又は適切な時間において代表的な中央処理ユニットで実行するため、命令が生成されるか又は実行に移される。現在の使い捨てパンチと特定の要素が良好に位置合わせされている場合、制御は工程820又は825から移り、この論理は終了する。
【0040】
図9は、免疫診断分析器の使い捨てパンチの使用の別の代表的な態様を提供する。工程900において、現在のサンプルを試験するときに、必要な資源が利用可能であるかどうかに対する決定がなされ、現在のサンプルは典型的にはスケジューラによって評価されるサンプルである。資源が利用可能であるとき、制御は工程905に流れ、ここで試験時間が勧められ、制御は工程900に戻る。この方法により、現在のサンプルの試験のための好適な時間が特定される。別の代表的な実施形態は、サンプルがSTATサンプルであるか(この場合、これは非STATサンプルよりも優先される)によって、資源が利用可能であるかを決定し得る。資源が工程900において利用可能であると決定される場合、制御は工程910へと移る。工程910において、資源が貯蔵されて、制御は工程915に移る。工程915において、現在のサンプルにおいて試験が最後の試験であるかどうかに対する判定がなされる。この工程は、サンプルの全ての試験を完了するために、全ての資源を提供することが典型的には望ましいため、封止されたサンプルからサンプルを吸引するときに有用である。試験が最後の試験ではないとき、制御は工程915から920に移り、別の試験のために情報を更新する。制御は工程900に移り、使い捨てパンチの使用と共に、工程920において特定される追加的な試験の資源及びスケジューリングの必要性を評価する。試験が最後の試験であり、サンプルが2つ以上の試験において分配される可能性がある場合、制御は工程925に移り、この間、適合性試験の手段のための命令が実行されて、適合性のある使い捨てパンチが展開されることを確実にする。適合性試験のための詳細の多くが先に記載されている。代表的な論理がここで終了する。
【0041】
別の態様において、代表的な実施形態に関する、図10の代表的な論理において示され、工程1000において、次の時点において要素が使い捨てパンチの使用を必要とするかどうかが決定される。必要がない場合、制御は工程1005に移り、ここで次の時点が更新されて、制御は工程1000に戻る。この方法において、使い捨てパンチが必要とされる時点が特定される。このような時点を特定すると、制御は工程1010に移り、ここで適合性試験の手段が、適合する使い捨てパンチが利用可能であるかどうかを判定するのを助ける。適合性試験の詳細は、特に、図6〜8に関連して先に記載されている。このようなパンチが利用可能である場合、制御は工程1020に移り、ここでパンチを試薬などと位置合わせするための命令を生成するために、位置合わせの手段が利用される。また、このようなパンチが存在するとき、制御は工程1015に移り、ここで、例えば、先に記載されたように適合するパンチが特定され、制御は上記の工程1020に移る。工程1020に続き、論理が終了する。
【0042】
本開示において、数字の変動及び修正が可能であることが理解される。このような変動は、以下の請求項の範囲内にあるものとみなされるべきである。引用した参照文献は全て、それらの全体が参考として組み込まれる。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 免疫診断試験装置における交差汚染を低減するための方法であって、
特定の試験の実施において、穿孔可能な封止を有する要素を使用する時間を推定する工程と、
使い捨てパンチを、封止された前記要素と位置合わせする工程であって、前記使い捨てパンチは、流体を吸引するために使用されない、工程と、
前記要素上の封止の開口部を穿孔する工程であって、流体搬送先端部が前記要素から流体を吸引するか、又は前記要素内部に流体を分配することを可能にする、工程とを含む、方法。
(2) 前記使い捨てパンチの前の使用が、前記特定の試験と適合するかどうかを決定する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記使い捨てパンチが前記特定の試験と適合しない場合、新しいパンチを使用する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) パンチの特定の使用回数の超過、予測されるパンチの使用の持続時間の超過、及び閾値を超える制御試験結果の可変性の増加、から選択される条件の1つ又は2つ以上が満たされる場合、使い捨てパンチを交換する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 別の使い捨てパンチが前記特定の試験と適合するように、使い捨てパンチの配列から前記別の使い捨てパンチを使用する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(6) 前記特定の試験の前記要素との使用のため、前記適合する使い捨てパンチを位置付けるために、使い捨てパンチ要素の構成を調節する工程を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記要素は、試験要素、試薬を提供するための複数のチャンバ、サンプルを保持する1つ又は2つ以上のチャンバ、反応混合物を保持する1つ又は2つ以上のチャンバ、ゲルカード内の特定のチャンバ、試薬保持容器、患者サンプル保持管、ビーズカセット、マイクロ管、及び試験管から選択される、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記使い捨てパンチは、使い捨てパンチの構成内に保持され、各使い捨てパンチは、これを使用して封止が穿孔される、要素の種類と関連する、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記流体搬送先端部は、使い捨て計量先端部又は洗浄可能プローブである、実施態様1に記載の方法。
(10) パンチネスト(punch nest)内の使い捨てパンチと、
試薬、サンプル及び反応混合物からなる群の少なくとも1つの部材を保持するための、穿孔可能な封止で封止された、少なくとも要素のセットと、
前記使い捨てパンチが前記要素のセットからの特定の要素と適合するかどうかを決定するための適合性試験の手段と、
前記パンチを前記特定の要素と位置合わせし、それによって前記パンチが前記穿孔可能な封止に開口部を形成し、流体搬送先端部が前記穿孔可能な封止に接触することなく、流体を吸引又は分配することを可能にする、手段とを含む、免疫診断試験分析器。
【0044】
(11) 前記パンチネストは直線経路に沿って前記使い捨てパンチを移動する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(12) 前記パンチネストは円形の経路に沿って前記使い捨てパンチを移動する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(13) 前記パンチネストは閉じた経路に沿って前記使い捨てパンチを移動する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(14) 前記適合性試験の手段は、前記パンチが再使用に適しているかどうかを判定するために、交差汚染の影響を受けやすい、試薬及び試験に関する、保存されたデータを利用する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(15) 前記適合性試験の手段は、前記パンチが再使用に適しているかを判定するために、前記パンチが閾値の使用回数を超えて使用されたかどうかを判定するために、保存されたデータを利用する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(16) 前記位置合わせの手段は、前記特定の要素上で前記使い捨てパンチを移動するための1つ又は2つ以上の命令を生成する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(17) 前記位置合わせの手段は、作動装置と前記使い捨てパンチを位置合わせするための1つ又は2つ以上の命令を生成する、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。
(18) 前記開口部を作製するために前記パンチを押す、作動装置を更に含む、実施態様10に記載の免疫診断試験分析器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫診断試験装置における交差汚染を低減するための方法であって、
特定の試験の実施において、穿孔可能な封止を有する要素を使用する時間を推定する工程と、
使い捨てパンチを、封止された前記要素と位置合わせする工程であって、前記使い捨てパンチは、流体を吸引するために使用されない、工程と、
前記要素上の封止の開口部を穿孔する工程であって、流体搬送先端部が前記要素から流体を吸引するか、又は前記要素内部に流体を分配することを可能にする、工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記使い捨てパンチの前の使用が、前記特定の試験と適合するかどうかを決定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使い捨てパンチが前記特定の試験と適合しない場合、新しいパンチを使用する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
パンチの特定の使用回数の超過、予測されるパンチの使用の持続時間の超過、及び閾値を超える制御試験結果の可変性の増加、から選択される条件の1つ又は2つ以上が満たされる場合、使い捨てパンチを交換する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記要素は、試験要素、試薬を提供するための複数のチャンバ、サンプルを保持する1つ又は2つ以上のチャンバ、反応混合物を保持する1つ又は2つ以上のチャンバ、ゲルカード内の特定のチャンバ、試薬保持容器、患者サンプル保持管、ビーズカセット、マイクロ管、及び試験管から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記使い捨てパンチは、使い捨てパンチの構成内に保持され、各使い捨てパンチは、これを使用して封止が穿孔される、要素の種類と関連する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
パンチネスト内の使い捨てパンチと、
試薬、サンプル及び反応混合物からなる群の少なくとも1つの部材を保持するための、穿孔可能な封止で封止された、少なくとも要素のセットと、
前記使い捨てパンチが前記要素のセットからの特定の要素と適合するかどうかを決定するための適合性試験の手段と、
前記パンチを前記特定の要素と位置合わせし、それによって前記パンチが前記穿孔可能な封止に開口部を形成し、流体搬送先端部が前記穿孔可能な封止に接触することなく、流体を吸引又は分配することを可能にする、手段とを含む、免疫診断試験分析器。
【請求項8】
前記適合性試験の手段は、前記パンチが再使用に適しているかどうかを判定するために、交差汚染の影響を受けやすい、試薬及び試験に関する、保存されたデータを利用する、請求項7に記載の免疫診断試験分析器。
【請求項9】
前記適合性試験の手段は、前記パンチが再使用に適しているかを判定するために、前記パンチが閾値の使用回数を超えて使用されたかどうかを判定するために、保存されたデータを利用する、請求項7に記載の免疫診断試験分析器。
【請求項10】
前記位置合わせの手段は、前記特定の要素上で前記使い捨てパンチを移動するための1つ又は2つ以上の命令を生成する、請求項7に記載の免疫診断試験分析器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−79957(P2013−79957A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−216112(P2012−216112)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(511093409)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】1001 U.S. Route 202, Raritan, New Jersey 08869, United States of America
【Fターム(参考)】