説明

入力信号を等化するために使用されるようにイコライザに提供される係数を決定するために測定されたエラーを用いること

【課題】入力信号を等化するために使用されるようにイコライザに提供される係数を決定するために被測定エラーを使用するリード・チャネル、ストレージ・ドライブ及び方法が提供される。
【解決手段】リード・チャネルは、記憶媒体から読まれた信号を処理するために記憶装置に組み込まれる。イコライザは、イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために係数を使用する。検出器は、入力リード信号により表されるデータを含む出力値を決定するために被調整イコライザ出力信号を処理する。イコライザ・アダプタは、基準被測定エラーと、この基準被測定エラーと関連付けられた被調整イコライザ信号を作るために使われる係数とを提供し得るようにされる。イコライザ・アダプタは、検出器からの新しい被測定エラーをもたらす入力リード信号を等化するために用いられる新しいイコライザ係数を計算し、その新しいイコライザ係数について新しい被測定エラーを計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号を等化するために使用されるようにイコライザに提供される係数を決定するために測定されたエラーを用いるためのシステム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープカートリッジは、保存され後に読み返されるデータを記憶する磁気テープを含む。磁気テープ・ドライブは、通例並列のトラックのセットとしてデータを磁気テープに書き込み、後に磁気テープ・ドライブはデータを読み返す。データを読み返すために、磁気テープ・ドライブは、通例、並列のトラックの各々を読む並列のリード・ヘッドと、リード・ヘッドが磁気テープ上の磁気信号を検出し得るように磁気テープをリード・ヘッドに関して移動させるためのドライブ・システムと、リード・ヘッドにより感知された磁気信号をデジタル的にサンプリングして磁気信号のデジタル・サンプルを提供するためのリード・チャネルとを含む。デジタル・サンプルはデータ・ビットに復号され、並列のトラックからのデータ・ビットが、保存されたデータとなるように結合される。リード・チャネルは、通例、ライト・ヘッド、磁気テープ、及びリード・ヘッドの磁気記録特性に起因する信号の変化を補償するために各リード・ヘッドのためにイコライザを必要とする。1つのテープ・ドライブで書き込まれた磁気テープが他のテープ・ドライブにより読み出されるように、磁気テープ・カートリッジは複数のテープ・ドライブ間で交換され得る。いろいろに書き込まれた磁気テープに対するリード・ヘッドの応答における変動に起因して、記録された信号の読み返しが許容し得ないほど悪くなることがある。
【0003】
磁気テープ・ドライブにおいて実現される適合イコライザは、所望の振幅と実際の振幅との間のエラーを減少させるイコライザ特性を見出すために方程式のセットを解く。従って、イコライザは磁気テープに関して使用開始時に計算され得、或いは使用中に数回再計算され得る。更に、所望の振幅を推定することは困難であり得る。従って、多くの場合に、所望の振幅はランダム・データ信号ではなくて同期信号或いはデータ・セット・セパレータ信号のような、既知の特性を持った信号を使用することによって推定されるのが最善である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気テープでは、記録特性は、トラックごとに異なるだけではなくて、1つの又は複数のトラックに沿って連続的に変化し得る。従って、選択されたイコライザ特性は、磁気テープの先頭或いは特定のトラック位置では満足できるものであっても、トラックに沿って何処かのポイントでデータ・リード・エラーの増大をもたらし得る。更に、いろいろなメーカーからのいろいろなテープ・ドライブが、いろいろな磁気特性を、すなわちいろいろな信号対雑音比を有するテープ・カートリッジにデータ・セットを書き込み得る。その上、テープ・ドライブは、僅かに異なる磁気記録特性を夫々有する幾つかの異なるベンダにより製造されるテープを読むように要求される。更に、データ・セットは、データが読み出される時の条件とは異なる広範な環境条件の下でテープ・カートリッジに書き込まれたかもしれない。
【0005】
上記の問題に対処するべく、アナログ・デジタル(A/D)変換器の出力において読み返し信号に作用してイコライザ特性の連続的調整を提供するイコライザの係数を調整するために平均最小二乗(LMS)アルゴリズムが使用され得る。しかし、現在のインプリメンテーションでは、適応アルゴリズムの安定した動作を確保するために、イコライザの割合に多くの(例えば30-40%も)タップ係数が固定されなければならない。これは、変化する条件に充分に適応するイコライザの能力を制限する。データ・セットが多様な磁気報告特性を持ち得る環境でテープ・ドライブが動作するならば、大抵のイコライザ係数が読み返し信号に適応することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、第1の側面において、記憶媒体から読まれた信号を処理するために記憶装置に組み込まれるリード・チャネルを提供し、このリード・チャネルは:イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために係数を用いるイコライザと;入力リード信号により表されるデータを含む出力値を決定するために、被調整イコライザ(adjusted equalizer)出力信号を処理する検出器と;イコライザ・アダプタとを含み、このイコライザ・アダプタは:基準被測定エラーと、この基準被測定エラー(reference measured error)と関連付けられた被調整イコライザ信号を作るために使われる係数とを提供するオペレーションと;検出器からの新しい被測定エラーをもたらす入力リード信号(input read signal)を等化するために用いられる新しいイコライザ係数を計算するオペレーションと;その新しいイコライザ係数について新しい被測定エラーを計算するオペレーションと;その新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと;新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していないと判定したことに応答して、新しいイコライザ係数と新しい被測定エラーとを保存するオペレーションと;新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、基準被測定エラーと関連付けられているイコライザ係数を、入力リード信号を等化するために用いられるようにイコライザに提供するオペレーションとを含むオペレーションを実行し得るようになっている。
【0007】
好ましくは、被測定エラーは、被調整イコライザ出力信号と、検出器からの出力値とに基づく。
【0008】
好ましくは、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、データ・セットの末端が検出されるまでイコライザ適応は停止され、固定されたイコライザ係数が入力リード信号を等化するために使用されるようにイコライザに提供される。
【0009】
好ましくは、データ・セットの末端を検出したこと、及び、基準被測定エラーより新しい被測定エラーが改善していることを検出したことに応答して、新しいイコライザ係数が保存され、新しい被測定エラーが基準被測定エラーとして保存される。
【0010】
好ましくは、被測定エラーは、検出器への入力と検出器からの出力との差として測定されたエラーの二乗平均値を含み、被測定エラーは検出器への入力における信号対雑音比に対応する。
【0011】
好ましくは、イコライザ・アダプタは、更に、初期被測定エラー計算フェーズのためにリード入力信号を等化するために使われるように、固定された係数をイコライザに提供するオペレーションと、その等化された入力信号から被測定エラーを計算するオペレーションとを実行し得るようにされる。
【0012】
好ましくは、新しい被測定エラーは、固定された係数を用いて等化された入力信号に基いて計算され、イコライザ・アダプタは、更に、基準被測定エラーのために値が存在しないと判定したことに応答して、新しい被測定エラーを基準被測定エラーとして保存し、かつ、固定された係数を、入力信号を等化するために使われるように保存するオペレーションと;初期被測定エラー計算フェーズのために固定された係数を使用することに応答して、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと;新しい被測定エラーが或るマージンを超えて劣化していると判定したことに応答して、新しい被測定エラーを基準被測定エラーとして保存し、かつ、固定された係数を、入力信号を等化するために使用されるように保存するオペレーションと、を実行し得るようにされる。
【0013】
好ましくは、新しい係数を計算するオペレーションと、イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するためにその新しい係数を使用するオペレーションと、新しい被測定エラーが劣化しているか否かを判定するオペレーションとはデータ・セットの末端が検出されるまで実行され、イコライザ・アダプタは、更に、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して或るマージンを超えて劣化していると判定したことに応答して、イコライザ適応を停止すると共に入力信号を等化するために用いられるように固定された係数をイコライザに提供するか否かを判定するオペレーションを実行し得るようにされる。
【0014】
好ましくは、イコライザ・アダプタは、更に:新しい被測定エラーが劣化しているか否かを判定するオペレーションと;被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していないときに新しい係数と基準被測定エラーとしての新しい被測定エラーとを保存するオペレーションと;被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化しているときに前の係数と規準被測定エラーとしての前の被測定エラーとをリロードするオペレーションとを実行し得るようにされる。
【0015】
好ましくは、次のデータ・セットからの入力信号を処理するべく初期被測定エラー計算フェーズのために固定された係数を使用するか否かをユーザ設定可能なパラメータが示す。
【0016】
好ましくは、被測定エラーは検出器の入力と出力との差に基づき、新しい係数は検出器の出力を用いて計算される。
【0017】
第2の側面において、自身に結合された記憶媒体に関して入出力(I/O)オペレーションを実行するためのストレージ・ドライブが提供され、それは、記憶媒体からデータを読むヘッドと、第1の側面に従うリード・チャネルとを含む。
【0018】
第3の側面において、記憶媒体から読まれた信号を処理する方法が提供され、この方法は:イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために係数を使用するオペレーションと;入力リード信号により表されるデータを含む出力値を決定するために被調整イコライザ出力信号を処理するオペレーションと;基準被測定エラーと、この基準被測定エラーと関連付けられた被調整イコライザ信号を作るために使用される係数とを提供するオペレーションと;検出器からの新しい被測定エラーをもたらす入力リード信号を等化するために用いられる新しいイコライザ係数を計算するオペレーションと;その新しいイコライザ係数について新しい被測定エラーを計算するオペレーションと;その新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと;新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していないと判定したことに応答して、新しいイコライザ係数と新しい被測定エラーとを保存するオペレーションと;新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、基準被測定エラーと関連付けられている係数を、入力リード信号を等化するために用いられるようにイコライザに提供するオペレーションと、を含む。
【0019】
好ましくは、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、データ・セットの末端が検出されるまでイコライザ適応は停止され、固定されたイコライザ係数が入力リード信号を等化するために使用されるようにイコライザに提供される。
【0020】
好ましくは、データ・セットの末端を検出したこと、及び、基準被測定エラーより新しい被測定エラーが改善していることを検出したことに応答して、新しいイコライザ係数が保存され、新しい被測定エラーが基準被測定エラーとして保存される。
【0021】
好ましくは、新しい被測定エラーは、固定された係数を用いて等化された入力信号に基いて計算され、更に、基準被測定エラーのために値が存在しないと判定したことに応答して、新しい被測定エラーを基準被測定エラーとして保存し、かつ、固定された係数を、入力信号を等化するために使われるように保存するオペレーションと;初期被測定エラー計算フェーズのために固定された係数を使用することに応答して、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと;新しい被測定エラーが或るマージンを超えて劣化していると判定したことに応答して、新しい被測定エラーを基準測定エラーとして保存し、かつ、固定された係数を、入力信号を等化するために使用されるように保存するオペレーションと、を含む。
【0022】
好ましくは、新しい係数を計算するオペレーションと、イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するためにその新しい係数を使用するオペレーションと、新しい被測定エラーが劣化しているか否かを判定するオペレーションとはデータ・セットの末端が検出されるまで実行され、更に、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して或るマージンを超えて劣化していると判定したことに応答して、イコライザ適応を停止すると共に入力信号を等化するために用いられるように固定された係数をイコライザに提供するか否かを判定するオペレーションを含む。
【0023】
従って、入力信号を等化するために使用されるようにイコライザに提供される係数を決定するために被測定エラーを使用するリード・チャネル、ストレージ・ドライブ及び方法が提供される。リード・チャネルは、記憶媒体から読まれた信号を処理するために記憶装置に組み込まれる。イコライザは、イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために係数を使用する。検出器は、入力リード信号により表されるデータを含む出力値を決定するために被調整イコライザ出力信号を処理する。イコライザ・アダプタは、基準被測定エラーと、この基準被測定エラーと関連付けられた被調整イコライザ信号を作るために使われる係数とを提供し得るようにされる。イコライザ・アダプタは、検出器からの新しい被測定エラーをもたらす入力リード信号を等化するために用いられる新しいイコライザ係数を計算し、その新しいイコライザ係数について新しい被測定エラーを計算する。イコライザ・アダプタは、その新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定し、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していないと判定したことに応答して新しいイコライザ係数と新しい被測定エラーとを保存する。イコライザ・アダプタは、新しい被測定エラーが基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、基準被測定エラーと関連付けられているイコライザ係数を、入力リード信号を等化するために用いられるようにイコライザに提供する。
【0024】
次に、添付図面を参照して、単なる例として本発明の好ましい実施態様が記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の記述において本発明は図面と関連して好ましい実施態様に関して記載され、図面では同様の番号は同じ又は類似の要素を表す。本発明は、本発明の目的を達成するための最良の様式に関して記述されるけれども、その教示を考慮して、本発明の範囲から逸脱することなく変形が達成され得ることが当業者に認められるであろう。
【0026】
図1は、磁気テープ・ドライブ10の実施態様を示す。磁気テープ・ドライブは、磁気テープ・カートリッジ12の磁気テープ14に情報を読み書きするための手段を提供する。磁気テープ・カートリッジは、保存されて後に読まれるデータを格納するための磁気テープ記憶媒体を含む。更に、1つのテープ・ドライブで書かれた磁気テープが他のテープ・ドライブにより読まれるように、磁気テープ・カートリッジは複数のテープ・ドライブ間で交換され得る。磁気テープ・カートリッジ12は、1つ又は2つのリール15,16に巻かれた1つの長さの磁気テープ14を含む。
【0027】
シングル・リール磁気テープ・カートリッジ12が図示されており、その例は、リニア・テープ・オープン(LTO)フォーマットに従うシングル・リール磁気テープ・カートリッジである。磁気テープ・ドライブ10の例は、LTO技術に基づくIBM3580ウルトリウム(Ultrium)磁気テープ・ドライブである。シングル・リール磁気テープ・ドライブと関連するカートリッジとの別の例は、IBM3592 TotalStorage(IBM社の登録商標)エンタープライズ・磁気テープ・ドライブ及び関連する磁気テープ・カートリッジである。デュアル・リール・カートリッジの例は、IBM3570磁気テープ・カートリッジ及び関連するドライブである。代わりの実施態様では、使用され得る付加的なテープ・フォーマットは、デジタル・リニア・テープ(DLT)、デジタル・オーディオ・テープ(DAT)などを含む。
【0028】
磁気テープ・ドライブ10は、インターフェース21でホスト・システム20から受け取られたコマンドに従って磁気テープ・ドライブを操作するための記録システムの1つ以上のコントローラ18を含む。コントローラは、通例、ロジック、又はメモリ19を伴う1つ以上のマイクロプロセッサ、或いはその両方を含み、そのメモリは情報と、マイクロプロセッサを操作するためのプログラム情報とを格納するためのものである。プログラム情報は、フロッピー・ディスク又は光ディスクのようなコントローラ18への入力により、又は磁気テープ・カートリッジからの読み出しにより、又は他の何らかの適切な手段により、インターフェース21を介してメモリに供給され得る。磁気テープ・ドライブ10は、スタンドアロン・ユニットを含み、或いはテープ・ライブラリ又は他のサブシステムの一部を含み得る。磁気テープ・ドライブ10は、直接に、ライブラリを通して、或いはネットワークを介してホスト・システム20に結合され得て、インターフェース21において小型コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、光ファイバ・チャネル・インターフェースなどを使用することができる。磁気テープ・カートリッジ12は、磁気テープ・ドライブ10に挿入され、そして、リール15,16を回転させるモータ25によりテープが縦方向に移動されるときに記録システムの1つ以上のリード・ヘッド又はライト・ヘッド23或いはその両方が信号の形の情報を磁気テープ14に関して読み又は書き或いはその両方を行うように、磁気テープ・ドライブによりロードされる。磁気テープは、通例、複数の平行なトラック、又はトラックのグループを含む。当業者に知られているように、LTOフォーマットのような或るテープ・フォーマットでは、トラックは別々のラップの蛇状往復パターンに配置される。また、当業者に知られているように、ヘッドを所望の1つ又は複数のラップに位置させ、また或る実施態様では所望の1つ又は複数のラップを追跡し追うために、記録システムは、リード・ヘッド又はライト・ヘッド或いはその両方の他のセットへ電子的にスイッチングし、かつ、又は、磁気テープの横方向にリード・ヘッド又はライト・ヘッド23或いはその両方をシークし移動させるラップ制御システム27を含むことができる。ラップ制御システムは、モータ25の動作をモータ・ドライバ28を通して、共にコントローラ18による命令に応答して、制御することもできる。
【0029】
当業者に知られているように、コントローラ18は、バッファ30とリード/ライト・チャネル32とを使用して、データ・フローと、磁気テープに読み書きされるデータのためのフォーマッタとをも提供する。
【0030】
テープ・ドライブ10システムは、更に、リード・ヘッド(1つ又は複数)が磁気テープ上の磁気信号を検出し得るように磁気テープ14をリード・ヘッド(1つ又は複数)23に関して移動させるモータ25及びリール15,16を含む。リード/ライト・チャネル32のリード・チャネルは、更に処理される磁気信号のデジタル・サンプルを提供するために、リード・ヘッド(1つ又は複数)により検出された磁気信号をデジタル的にサンプリングする。
【0031】
図2は、イコライザにより使用される係数を調整するために被測定エラーを使用するイコライザ・アダプタの実施態様を含む図1のリード/ライト・チャネル32のリード・チャネルの一部の実施態様を示す。リード・チャネルが複数の平行なトラックを同時に読むことができる実施態様では、リード/ライト・チャネル32は複数のリード・チャネルを含むことができ、その場合、コンポーネントのうちの幾つかは共有され得る。
【0032】
図2は、リード・ヘッド23により感知された磁気信号のデジタル・サンプルを提供するリード・チャネル50のコンポーネントのうちの或るもの(全部ではない)の実施態様を示す。イコライザ52は信号54をアナログ・デジタル変換器(ADC)(図示されていない)から受け取り、この変換器は、テープから読まれたアナログ信号を、イコライザ52により処理され得るデジタル・サンプルに変換する。1つの実施態様では、イコライザ52は、調整可能なタップ係数を有する有限インパルス応答(FIR)フィルタを含むことができる。イコライザ52は、イコライザ出力において所望の信号特性を達成し、従ってライト・ヘッド、磁気テープ、及びリード・ヘッドの磁気記録特性に起因する信号の差を補償するためにデジタル・サンプルを処理する。その処理はタップ係数を使用する特定の関数の系列に基づき、それはイコライザ・アダプタ56により適応させられ得る。イコライザ52により出力された等化されたデジタル・サンプルは、ビット間隔又はシンボル間隔で隔てられた信号サンプルを提供するためにタイミング回路を含む補間回路58に供給される。
【0033】
磁気信号の情報内容の判定は、磁気信号の磁気遷移のタイミング又は位置を判定することを必要とする。通例、サンプル信号54は、磁気テープにデータを書くために使用されたクロックに関して非同期的にとられる。補間回路58は、その非同期サンプルを、ライト・クロックと或いは磁気記録遷移の位置と同期していると考えられ得るサンプルのセットに補間する。タイミング制御コンポーネント60は、補間回路58が同期サンプルを提供するための基準を導出するためにフェーズ・エラー生成論理と、フェーズ・ロックド・ループ(PLL)と、フェーズ補間論理とを含むことができる。可変利得増幅回路(VGA)62は、注文設計の論理回路を含むことができて、利得調整された(利得被調整)同期信号70のサンプルを最適レベルにスケーリングするために補間回路58からの信号の利得を調整する。
【0034】
検出器64は、デジタル・サンプルにより表されるデータ情報を判定するためにVGA62からの利得被調整同期信号70を受け取る。検出されたビット(すなわち、1及び0)のストリームにより表される判定されたデータ情報は、更に処理されるべく信号65として出力される。1つの実施態様では、検出器64は、データ情報を判定する付加的な論理が後に続くスレショルド・デバイスであり得る。データ情報を判定する他に、検出器64は、そのスレショルド・デバイスを用いて、同期化された利得被調整イコライザ出力信号の推定値を生成し、この推定値を出力値68として提供することができる。他の1つの実施態様では、検出器64はシーケンス検出器であり得る。このシーケンス検出器は、データ情報を提供することができ、更に、検出器トレリス(detector trellis)からの(暫定的)判定を用いて、同期化された利得被調整イコライザ出力信号の推定値を生成して、その推定値を出力値68として提供することができる。同様に、シーケンス検出器は、検出器トレリス内の異なる場所からの(暫定的)判定を用いて、同期化された利得被調整イコライザ出力信号の別の推定値を生成して、その推定値を出力値69として提供することができる。検出器64からの出力値68、すなわち所望値の推定値と、利得被調整同期信号70とは、VGA回路62を調整するためにエラー信号を計算する利得制御装置66に提供される。同様に、検出器64からの出力値68と、利得被調整同期信号70とは、補間回路58を調整するためにタイミング制御装置60により使用される。更に、検出器64からの出力値68と利得被調整同期信号70とは、イコライザ52により使用される係数を調整するべくエラー信号を生成するイコライザ・アダプタ56の平均最小二乗(LMS)計算74コンポーネントに提供される。代わりの1つの実施態様では、LMS計算74は、係数を調整するために使用されるエラーを判定するために検出器出力68と補間回路58からの出力とを使用することができる。
【0035】
イコライザ・アダプタ56、利得制御装置66、およびタイミング制御装置60により計算されるエラー信号は、エラーの振幅と方向とを決定する符号付きの値である。振幅に依存しないエラー信号の単純なバージョンは、エラーの方向を示すためにエラー信号の符号だけを使用し得る。
【0036】
1つの実施態様では、イコライザ52は、検出器の出力68(所望値)と利得被調整同期信号70又は補間回路58からの出力との差を含むエラー信号により調整されたLMS計算74により供給される係数(ci,n)に基づいて出力(Z)を作る有限インパルス応答(FIR)フィルタを用いることにより入力信号54を調整することができる。式(1)は、入力54からのN個のサンプル(xn−i)とN個のフィルタ係数(ci,n)とを使用する等化された信号(Z)の生成を記述する。係数(ci,n)は、時間サイクルを示す指標nと、係数番号を示す指標iとを含む。
【0037】
【数1】

【0038】
イコライザ・アダプタ56は、検出器出力68と利得被調整同期信号70(又は補間回路58からの出力)とから計算されるエラー信号(e)に従って係数(ci,n)を調整する。プログラマブルなパラメータ()は係数が収束する速さを調節する、すなわち、アルファ()が大きいほど、収束が速い。1つの実施態様では、LMS計算74は、以下で式(2)で示されるLMSアルゴリズムを用いることによって調整された(被調整)係数(ci,n)を計算する。被調整係数は、等化された信号(Z)を計算するために式(1)でイコライザ52により使用される。
【0039】
【数2】

【0040】
或る実施態様では、イコライザとタイミング制御ループとの間に少量の相互作用が存在するので、LMS計算74は、あり得る不都合な収束の問題を避けるために、制約を受けなければならないかもしれない。これは、イコライザ係数(ci,n)のうちの幾つかを固定する(すなわち、調整しない)ことによって達成され得る。以下の式(3)は、一定の係数が、固定された係数の集合(I)の要素である指標(i)に存する場合にその現在の値に固定されるという仕方で、係数(ci,n)がどの様に計算され得るかを示している。
【0041】
【数3】

【0042】
すなわち、係数が固定された係数(I)の集合の要素であるならば、時間サイクル(n+1)についての係数ci,n+1は前の時間サイクル(n)からの係数ci,nにセットされる、すなわち、タップ係数は固定される。係数(ci,n)が固定された係数の集合の要素でなければ、それは調整される。リード・チャネル50の設計者は、実験に基づいて、固定される係数の個数を決定することができる。
【0043】
イコライザ・アダプタ56は二乗平均誤差(MSE)計算76コンポーネントを更に含み、これは、出力69と利得被調整同期信号70との差を含むエラー信号78からMSEを計算するために使用される。MSE制御装置80は、LMS計算74からの最近計算された係数を使用するか、それとも前に計算された旧係数を再使用するかを決定するために、測定された(被測定)MSE値を使用する。MSEは、以下の式(4)に従って検出器エラー信号78(err)の二乗された値の平均された値として計算され得る。
【0044】
【数4】

【0045】
mse(n-1)は前の時間サイクルからのMSE値を示し、(err(n))は現在の検出器エラー信号78を提供する。変数(a)は、エラー平均動作のための時定数を定める重率因子を含み、1/1024=0.00098を含み得る。MSEは信号対雑音比(SNR)の逆数の表示であり、MSEが小さくなればイコライザ適応が改善したのであり、MSEが大きくなれば性能の劣化があったのである。
【0046】
図3及び4は、入力信号54を調整するためにイコライザ52に提供される係数を決定するために、MSE制御装置80を含むイコライザ・アダプタ56のコンポーネントにより実行されるオペレーションの実施態様を示す。図3は、イコライザ52に提供される可能な最善のイコライザ係数を選択するために修飾子として使用されるMSEの初期推定値を決定するためにMSE制御装置80が初期フェーズで実行するオペレーションの実施態様を示す。前記のように、MSE及びSNRは、検出器64に提供される利得被調整同期信号70の質を表す。図3の初期化フェーズは、被測定エラー(例えば、MSE)の初期推定値を決定するために、データを読み始めるときに又はテープ媒体から新しいデータ・セットを読むときに、実行され得る。(ブロック100で)初期フェーズを開始したことに応答して、次のオペレーションを実行するMSE計算フェーズが始まる(ブロック102で)。MSE計算フェーズは、固定された数の入力信号54を読むことと関連付けられた固定されたサイクル数実行され得る。入力信号54を(ブロック104で)受け取ると、MSE制御装置80は、等化された信号を(ブロック106で)計算するために使用されるように、固定された(初期)タップ係数をイコライザ52に提供する。出力69と、固定された係数を用いて等化された利得被調整同期信号70との差に基づいて検出器エラー信号78を(ブロック108で)計算すると、MSE計算76は検出器エラー信号78から被測定エラー(MSE)を(ブロック110で)計算する。
【0047】
(ブロック112で)初期被測定エラー(MSE)計算フェーズの終わりにまだ達していなければ、コントロールはブロック102に(ブロック112で)戻る。1つの実施態様では、初期被測定エラー(MSE)計算フェーズの終わりは、初期計算フェーズ・ループで費やされたサイクル数を数えるカウンタを評価することによって、判定され得る。そのカウンタが所定最大値に達したならば、初期MSE計算の収束が仮定されて初期被測定エラー(MSE)計算フェーズの終わりが宣言される。初期MSE計算フェーズの終わりに達したならば、コントロールはブロック114に進む。
【0048】
(ブロック114で)保存されている基準被測定エラー(MSEref)がゼロならば、すなわち、計算された初期MSEが最初の計算されたMSEであるならば、ブロック110で提供された被測定エラー(MSE)が基準被測定エラー(MSEref)として(ブロック116で)保存され、かつ、固定されたイコライザ係数が基準被測定エラー(MSEref)と関連付けられて保存される。1つの実施態様では、もし(ブロック118で)最近測定された(被測定)エラー(MSE)が基準被測定エラー(MSEref)と或るMSEマージン(デルタ)との合計より悪ければ、すなわちそれより大きければ(それは、イコライザ52出力から生じたSNRがそのMSEマージンを超えて劣化したことを意味する)、新しいデータ・セットにおける変動するSNR条件に対処するためにコントロールはブロック116に進んで、基準被測定エラー(MSEref)としての最近測定された(被測定)エラー(MSE)と、その更新された基準被測定エラー(MSEref)と関連付けられた固定された係数とを保存する。もし被測定エラー(MSE)が悪くなっていなければ、或いは最近の被測定エラー(MSE)を基準被測定エラー(MSEref)として保存した後、コントロールは図4のブロック150に進み(ブロック120で)、イコライザ52に提供するために実行時モード中に係数を調整する。
【0049】
図4は、入力信号54を等化するために使用される係数をイコライザ52に提供するために実行時モード中にイコライザ・アダプタ56により実行されるオペレーションの実施態様を示す。ブロック150で、LMSアルゴリズム74は、利得被調整同期信号70(又は補間回路58からの出力信号)と検出器64からの出力値68とに基づいて新しい係数を計算する。補間回路58が検出器64に送る等化された信号を作るべく入力信号54を調整するためにイコライザ52は新しいイコライザ係数を(ブロック152で)使用する。出力69と利得被調整同期信号70との差に基づいて検出器エラー信号78を(ブロック154で)計算すると、MSE計算76は検出器エラー信号78から被測定エラー(MSE)を(ブロック156で)計算する。もし(ブロック158で)被測定エラー(MSE)が基準被測定エラー(MSEref)と或るMSEマージン(デルタ)との合計より悪ければ、すなわち、MSEがそれより大きければ、LMS適応は停止され、現在のイコライザ係数が固定されて入力信号54を等化するために使用される(ブロック160で)。もし(ブロック162で)データ・セットの末端が検出されたならば(それは、テープ・ドライブ内で生成される信号を含むことができる)、コントロールはMSE制御80に進み、それは、現在の基準被測定エラー(MSEref)と関連付けられている前に保存されたイコライザ係数を、イコライザ52により使用されるように、(ブロック164で)リロードする。他の場合には、現在の固定されているイコライザ係数が入力信号54を等化するために使用される(ブロック160で)。
【0050】
もし(ブロック158で)被測定エラー信号が或るマージン(デルタ)を超えて悪くなってはいなくて、かつ(ブロック166で)データ・セットの末端が検出されていれば(それは、テープ・ドライブ内で生成される信号を含み得る)、データ・セットの末端での被測定エラー(MSE)が基準被参照被測定エラー(MSEref)より悪いか否かが、すなわちイコライザの性能が劣化したか否かが、(ブロック168で)判定される。前記のように、もし現在の被測定エラー(MSE)が基準被測定エラー(MSEref)より大きければ、SNRは劣化していると判定され得る。
【0051】
もし(ブロック168で)被測定エラー(MSE)が劣化していなければ、MSE制御80は(ブロック170で)被測定エラー(MSE)を新しい基準被測定エラー(MSEref)として保存すると共に、新しい基準被測定エラー(MSEref)と関連付けられた新しいイコライザ係数を保存する。
【0052】
もし(ブロック168で)被測定エラー(MSE)が劣化していれば、すなわち、被測定エラー(MSE)が基準被測定エラー(MSEref)より大きければ、MSE制御80は、現在の基準被測定エラー(MSEref)と関連付けられている前に保存されたイコライザ係数を、イコライザ52により使用されるように(ブロック164で)リロードする。この様に、最善のあり得る被測定エラー(MSE)を有する係数が使用される。
【0053】
もし(ブロック170又は164で)イコライザ係数が保存され或いは前の係数がリロードされたならば、被測定エラー(MSE)値を再初期化するべく固定された係数を用いるために次のデータ・セットの先頭で初期化フェーズが実行されるべきか否か、或いは、被測定エラー(MSE)値を再初期化せずに使用される新しい係数を実行時モードがLMS計算74に計算させ続けるべきか否かが(ブロック172で)判定される。1つの実施態様では、管理者は、実行時モードを続行するべきか、それとも、次のデータ・セットを処理し始めるときに使用されるMSEを再計算するために初期化フェーズに戻るべきかを示す変数をセットすることができる。例えば、複数のデータ・セットが別々のテープ・ドライブによって或いは別々の環境条件下で書かれたらしいと管理者が判定すれば、管理者は、予期される新しい条件に基づいて基準MSE(MSEref)を再初期化するために各データ・セットの開始時に初期化を行うことを選択することができる。この場合、コントロールは図3のブロック102に進み、次のデータ・セットの先頭で初期MSE計算を実行する。或いは、もし同じテープ・ドライブがおそらく使用され、環境条件が余り変わっていないと管理者が判定したならば、基準被測定エラー(MSEref)を再計算しないほうが有利であろう。この場合、コントロールは(ブロック150の)実行時モードに直接進む。
【0054】
記述された実施態様は、新たに計算された係数について利得被調整同期信号70の被測定エラー(MSE)が性能劣化をもたらすか否かに基づいてリード入力信号を等化するために前に計算されたイコライザ係数を用いるかそれとも新たに計算されたイコライザ係数を用いるかを決定する技術を提供する。
【0055】
リード・チャネル50及びイコライザ・アダプタ56の記述されたコンポーネントは、個別的論理、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、カスタム・プロセッサなどを含む。
【0056】
リード・チャネル50の記述されたコンポーネントと、図3及び4に関して記述されたイコライザ・アダプタ56のオペレーションとは、プロセッサにより実行されるプログラム又は他のソフトウェア・インプリメンテーションのサブルーチンでも実現され得る。図3及び4に示されているオペレーションのような、イコライザ・アダプタ回路56のオペレーションを実行するその様なプログラムは、磁気記憶媒体(例えば、ハード・ディスク・ドライブ、フロッピー・ディスク、テープなど)、光記憶装置(CD-ROM、DVD、光ディスクなど)、揮発性及び不揮発性メモリ装置(例えば、EEPROM、ROM、PROM、RAM、DRAM、SRAM、フラッシュ・メモリ、ファームウェア、プログラマブル・ロジックなど)などのようなコンピュータ可読媒体において実現され得る。前記のオペレーションを実行するコードは更にハードウェア・ロジック(例えば、集積回路チップ、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)において実現され得る。
【0057】
別々のコンポーネントとして示された図1及び2のコンポーネントは単一の回路装置において実現され得、或いは1つの図示されたコンポーネントの複数の機能は別々の回路装置で実行され得る。
【0058】
ここで図示されたコンポーネントに変更を加え得ることを当業者は理解するであろう。更に、当業者は、ここで図示されたものとは異なる特定のコンポーネント配置を採用し得ることを理解するであろう。
【0059】
図3及び4の図示されたオペレーションは、或る順序で生じる或るイベントを示している。代わりの実施態様では、或るオペレーションは異なる順序で実行され、改変され或いは除去され得る。更に、ステップを上記論理に付け加えることができ、なお前記の実施態様と同様になり得る。更に、本書に記載されたオペレーションはシーケンシャルに行われ得、或いは或るオペレーションは並行して処理され得る。更に、オペレーションは単一の処理装置によって、或いは分散した複数の処理ユニットによって実行され得る。
【0060】
本発明の種々の実施態様についての以上の記述は、例解及び記述を目的として提示されている。網羅的であることや、発明を開示された形そのものに限定することは意図されていない。上記教示を考慮すれば多くの改変及び変形が可能である。本発明の範囲が、この詳細な記述によってではなくて、本書に添付されている請求項によって限定されることが意図されている。以上の明細書、例及びデータは、本発明の構成の製造及び使用についての完全な解説を提供する。本発明の範囲から逸脱せずに本発明の多くの実施態様を作ることができるので、本発明は、以降に添付されている請求項の中に存する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】テープ・ドライブの実施態様を示す。
【図2】テープ・ドライブ内のリード・チャネルの実施態様を示す。
【図3】イコライザに提供される係数を決定するオペレーションの実施態様を示す。
【図4】イコライザに提供される係数を決定するオペレーションの実施態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体から読まれた信号を処理するために記憶装置に組み込まれるリード・チャネルであって、前記リード・チャネルは、
イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために係数を用いるイコライザと、
前記入力リード信号により表されるデータを含む出力値を決定するために、被調整イコライザ出力信号を処理する検出器と、
イコライザ・アダプタとを含み、前記イコライザ・アダプタは、
基準被測定エラーと、前記基準被測定エラーと関連付けられた被調整イコライザ信号を作るために使われる係数とを提供するオペレーションと、
前記検出器からの新しい被測定エラーをもたらす入力リード信号を等化するために用いられる新しいイコライザ係数を計算するオペレーションと、
前記新しいイコライザ係数について新しい被測定エラーを計算するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化していないと判定したことに応答して、前記新しいイコライザ係数と前記新しい被測定エラーとを保存するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、前記基準被測定エラーと関連付けられているイコライザ係数を、入力リード信号を等化するために用いられるように前記イコライザに提供するオペレーションとを含むオペレーションを実行し得るようになっている、前記リード・チャネル。
【請求項2】
前記被測定エラーは、被調整イコライザ出力信号と、前記検出器からの出力値とに基づき、前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、データ・セットの末端が検出されるまでイコライザ適応は停止され、固定されたイコライザ係数が前記入力リード信号を等化するために使用されるように前記イコライザに提供される、請求項1のリード・チャネル。
【請求項3】
データ・セットの末端を検出したこと、及び、前記基準被測定エラーより前記新しい被測定エラーが改善していることを検出したことに応答して、前記新しいイコライザ係数が保存され、前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーとして保存される、請求項1又は請求項2のリード・チャネル。
【請求項4】
前記被測定エラーは、前記検出器への入力と前記検出器からの出力との差として測定されたエラーの二乗平均値を含み、前記被測定エラーは前記検出器への前記入力における信号対雑音比に対応する、前のいずれかの請求項のリード・チャネル。
【請求項5】
前記イコライザ・アダプタは、更に、
初期被測定エラー計算フェーズのために前記リード入力信号を等化するために使われるように、固定された係数を前記イコライザに提供するオペレーションと、
その等化された入力信号から前記被測定エラーを計算するオペレーションと、
を実行し得るようにされる、前のいずれかの請求項のリード・チャネル。
【請求項6】
前記新しい被測定エラーは、固定された係数を用いて等化された前記入力信号に基いて計算され、前記イコライザ・アダプタは、更に、
前記基準被測定エラーのために値が存在しないと判定したことに応答して、前記新しい被測定エラーを前記基準被測定エラーとして保存し、かつ、前記固定された係数を、前記入力信号を等化するために使われるように保存するオペレーションと、
初期被測定エラー計算フェーズのために前記固定された係数を使用することに応答して、前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが或るマージンを超えて劣化していると判定したことに応答して、前記新しい被測定エラーを前記基準被測定エラーとして保存し、かつ、前記固定された係数を、前記入力信号を等化するために使用されるように保存するオペレーションと、
を実行し得るようにされる、前のいずれかの請求項のリード・チャネル。
【請求項7】
前記新しい係数を計算するオペレーションと、イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために前記新しい係数を使用するオペレーションと、前記新しい被測定エラーが劣化しているか否かを判定するオペレーションとはデータ・セットの末端が検出されるまで実行され、前記イコライザ・アダプタは、更に、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して或るマージンを超えて劣化していると判定したことに応答して、イコライザ適応を停止すると共に前記入力信号を等化するために用いられるように固定された係数を前記イコライザに提供するか否かを判定するオペレーションを実行し得るようにされる、前のいずれかの請求項のリード・チャネル。
【請求項8】
前記イコライザ・アダプタは、更に、
前記新しい被測定エラーが劣化しているか否かを判定するオペレーションと、
前記被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化していないときに前記新しい係数と前記基準被測定エラーとしての前記新しい被測定エラーとを保存するオペレーションと、
前記被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化しているときに前の係数と規準被測定エラーとしての前の被測定エラーとをリロードするオペレーションと、
を実行し得るようにされる、請求項7のリード・チャネル。
【請求項9】
次のデータ・セットからの入力信号を処理するべく初期被測定エラー計算フェーズのために前記固定された係数を使用するか否かをユーザ設定可能なパラメータが示す、請求項8のリード・チャネル。
【請求項10】
記憶媒体から読まれた信号を処理する方法であって、
イコライザ出力信号を作るべく入力リード信号を等化するために係数を使用するオペレーションと、
前記入力リード信号により表されるデータを含む出力値を決定するために被調整イコライザ出力信号を処理するオペレーションと、
基準被測定エラーと、前記基準被測定エラーと関連付けられた被調整イコライザ信号を作るために使用される係数とを提供するオペレーションと、
検出器からの新しい被測定エラーをもたらす入力リード信号を等化するために用いられる新しいイコライザ係数を計算するオペレーションと、
前記新しいイコライザ係数について新しい被測定エラーを計算するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化しているか否かを判定するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化していないと判定したことに応答して、前記新しいイコライザ係数と前記新しい被測定エラーとを保存するオペレーションと、
前記新しい被測定エラーが前記基準被測定エラーに関して劣化していると判定したことに応答して、前記基準被測定エラーと関連付けられている係数を、入力リード信号を等化するために用いられるようにイコライザに提供するオペレーションと、を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−518767(P2009−518767A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543789(P2008−543789)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069110
【国際公開番号】WO2007/065842
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】