説明

入力支援方法

【課題】 本発明は、行われた処理に基づいて次の操作の候補をわかりやすい形で提示し、よって使用者の利便を図ることを目的とする
【解決手段】 行われた処理に基づいて選択が容易な形で次の操作名を表示する入力支援方法であって、ショートカットメニューがカーソルの上方向に展開される場合に、ショートカットメニュー内の名称の表示順序を、ショートカットメニューがカーソルの下方向に展開される場合と逆にする、入力支援方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種ソフトにおける入力を容易にするための入力支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ますますディスプレイが大画面化し、また情報量を多くするために小さな文字で多くの文字が表示されるようになった。そのため、使用者にとって、特に高齢者においてはより少ない手順で、よりわかりやすい形で入力をすることができるための支援方法が求められている。
たとえば、ワード(登録商標)や一太郎(登録商標)などのワープロソフトや、エクセル(登録商標)などの表集計ソフト、アクセス(登録商標)などのデータベースソフトにおいては、ソフト立ち上げ時にはおおむね画面上方にツールバー領域が設けられ、かかる領域にツールバーのアイコンが並んで表示される。しかしたとえば文字データを切り取り又はコピーした場合に、次の操作の大半は貼り付けであるのに対し、文字データをコピーするという操作を実行することを受けて、次に予測される操作のアイコンを目立つようにしてアクセスを容易にすること、またはアイコンをカーソルの近くに表示してカーソルの移動距離の短縮を図るような入力支援方法は提供されていなかった。
また、大画面のディスプレイにおいては、たとえば画面下部に操作領域があった場合にはツールバーの表示される画面の上端部分には、視線ではなく顔自体を動かす必要があり、一連のアイコンの列に埋没した目的とするアイコンを探すのはなかなか困難である。ことに近年の高解像度ディスプレイにおいてはアイコンも小さくなり、高齢者にはいちいち探すのが困難であり、小さなアイコンを正確にクリックすることも困難である。間違えて隣のアイコンをクリックすると、操作を取り消した後に再度の操作が必要であり、作業性を著しく低下させていた。
【0003】
本出願人は、特願2004−24439において、行われた処理に基づいて次の操作の候補を、操作の選択が容易にできる形で提示する入力支援方法を提案した。より詳細には、行われた処理に基づいて次の候補の操作を選定し、その結果に基づいて選択が容易な形で該候補の操作のアイコンまたは操作名を表示することを含む入力支援方法であって、該選択が容易な形での表示が、候補の操作のアイコンの表示を変化させること、メニューバー表示領域またはツールバー表示領域に設けられた領域における候補の操作のアイコンの表示もしくは該表示を変化させること、画面上の任意の場所における候補の操作のアイコンの表示もしくは該表示を変化させること、画面上の任意の場所における別ウインドーでの候補の操作のアイコンの表示もしくは該表示を変化させること、の少なくともいずれか1つである入力支援方法を提案した。この提案において、具体的には、候補の操作のアイコンの表示を変化させることとは、次の操作の候補のアイコンを、現在表示されている位置において明るくしたり、点滅、明滅、変色、もしくは拡大表示させたり、外側を枠で囲んで目立つようにすることができるとされ、またツールボックス表示領域において特別の領域を確保し、該領域に次の操作の候補のアイコンを表示することができるとされた。
また、画面上の任意の領域に上記のアイコン表示領域を設けてもよいし、さらには画面上の任意の領域に別ウインドーを開いて次の操作の候補のアイコン表示することもできるされ、またツールボックスの特別の領域に表示する場合や、画面上の任意の領域にアイコン表示をする場合、および画面上の任意の領域に別ウインドーを開いて次の候補の操作のアイコンを表示する場合にも、アイコンを明るくしたり、点滅、明滅、変色、もしくは拡大表示させたり、外側を枠で囲んで目立つようにすることができるとされた。
たとえばワープロソフトなどにおいて、文字データが切り取りまたはコピーされると、貼り付けをはじめとする次の操作のひとつまたは複数の候補を選定し、その操作に該当するアイコンを明るくしたり、点滅、明滅、変色、もしくは拡大表示させたり、外側を枠で囲んで目立つようにすることができるとされた。ここでアイコンを明るくするとは、アイコンのイメージの明度および/またはブライトネスを大きくすることをいい、点滅とはアイコンを間歇的に表示することをいい、明滅とはアイコンのイメージの明度および/またはブライトネスを規則的または不規則的に変化させることをいい、変色とはアイコンのイメージの色を変化させることをいうとされ、またこれらを同時に行ってもよいとされた。
さらには、画面上部のアイコンが表示されていない領域に、該当する候補のアイコンを表示するための特定の領域を設けて、当該領域に候補のアイコンを表示するようにしてもよいとされ、さらなる他の方法としては、画面上の任意の位置、好ましくはカーソルの近傍にこれらの候補のアイコンを表示するための領域を提供することもできるとされ、いずれの場合も該当するアイコンを明るくしたり、点滅、明滅、変色、もしくは拡大表示させたり、外側を枠で囲んで目立つようにすることができるとされた。また画面上部のアイコンが表示されていない領域に候補の操作のアイコンを拡大表示することが好ましいとされた。
【0004】
また、ワード(登録商標)などでは右クリックでショートカットメニューを展開する場合に、カーソルの位置により、カーソルの上方向または下方向にメニューが展開されるが、どちらの場合も同じ順番で操作名が並べられたメニューが表示される。このためカーソルが画面下部にあり、メニューがカーソルよりも上方向に展開される場合に、たとえばコピーをしてその次に貼り付けを行いたい場合には、次に使用される貼り付けの名称がもっとも遠い場所に表示されてしまっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、行われた処理に基づいて次の操作の候補をわかりやすい形で提示し、よって使用者の利便を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の入力支援方法においては、ショートカットメニューがカーソルの上方向に展開される場合に、ショートカットメニュー内の操作の名称の表示順序を、ショートカットメニューがカーソルの下方向に展開される場合と逆にすることができる。さらに、ショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開される場合に、ショートカットメニュー内の領域においてカーソルと同じ行、またはカーソルと最も近い行、ないしその近くに少なくとも1つの候補の操作名を表示することができる。また上記のいずれの場合にも、予測される操作の操作名を、反転表示、着色、点滅、拡大のような、より強調された表示をすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、よりユーザーフレンドリーな入力支援方法が提供される。
本願発明においては、行われた直前の操作に基づいて次の操作の候補が提示され、それがアクセスがより容易な態様で表示される。したがって、操作名を探すのが容易となり、またカーソルの物理的な移動距離が短くなり、作業による疲労を低減する。また誤操作が少なくなるので、作業効率が向上される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明においては、たとえば、右クリックにより表示されるショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開される場合には、ショートカットメニュー内の操作の名称の表示順序を、ショートカットメニューがカーソルの下方向に展開される場合と逆にすることができる。たとえば、ショートカットメニューがカーソルよりも下方向に展開される位置において右クリックした場合、表示されるショートカットメニューは、上から、切り取り、コピー、貼り付けという順番で操作名が表示されるが、本願発明の方法においては、ショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開される場合には、下から、切り取り、コピー、貼り付けという順番で操作名が表示される。したがって、操作者は短いカーソル移動距離で操作を行うことができる。このため視線の移動も短くなり、目の疲労が軽減され、作業効率が向上する。
また異なる態様として、行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、ショートカットメニューがカーソルの上方向に展開される場合に、ショートカットメニューの領域の下部領域に、切り取り、コピー、および貼り付けの操作名が表示される、入力支援方法も提供される。
本明細書において、行われた処理とは、たとえば文字列の切り取りやコピーだけではなく、単なる領域指定や、たとえば左クリックにより行われるカーソル位置の決定のようなものも含まれる。
【0009】
また、次の操作の候補の少なくとも1つの操作名がショートカットメニュー内の下部領域、好ましくはカーソルに近い位置、さらに好ましくはカーソルと同じ行、カーソルに最も近い行、またはショートカットメニュー領域内の最下行に表示されることができる。ここでショートカットメニュー内の下部領域とは、ショートカットメニューの領域の下半分の領域をいう。好ましくは、ショートカットメニューの領域の下から3分の一または4分の一の領域に次の操作の候補の少なくとも1つの操作名が表示される。たとえば直前の操作が切り取りまたはコピーであれば、貼り付けの操作名が上記の場所に表示される。
さらに、たとえば1から5行程度の、表示される操作名を変更することができる領域をショートカットメニューの領域内に設け、当該領域に次の操作の候補となる操作名を表示することができる。前記の表示される操作名を変更することができる領域は、ショートカットメニュー内の下部領域、好ましくはカーソルに近い領域、さらに好ましくはカーソルと同じ行を含む領域、カーソルに最も近い行を含む領域、またはショートカットメニュー領域内の最下行を含む領域に提供される。下部領域とは上記の通りであり、好ましくはショートカットメニューの領域の下から3分の一または4分の一の領域が利用される。
さらには、たとえば切り取り、コピーおよび貼り付けのような関連性のある一群の操作をブロックとし、該ブロックをショートカットメニューの領域の下部に移動させて表示することもできる。
【0010】
また異なる態様として、ショートカットメニューの展開方向にかかわらず、すなわちショートカットメニューがカーソルの下方向に展開される場合でもカーソルの上方向に展開される場合でも、候補の作業名が表示される場所を上方または下方に限定することができ、さらにたとえば候補操作名の少なくとも1つを反転表示などの強調された表示として、操作がより迅速に行われるようにすることもできる。
【0011】
本願明細書において、ショートカットメニューは、右クリックにより表示されるものに限定されるわけではなく、簡単な操作で表示される、操作名が表示された領域であることができる。
またショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開されるとは、画面上のカーソルに対して、画面の上方向に向けてショートカットメニューが表示されることをいう。
また、明細書中の切り取り、コピー、および貼り付けなどの操作の名称は例示に過ぎず、他の操作名とすることもできる。
また本発明において操作名とは各種言語による表示のみならず、アイコンのようなシンボルないし図案により表示されるものも含まれる。
さらに本発明は上記の操作に限定されるものでなく、ある操作に基づいて次の操作の候補が予測できるようなすべての操作について適用できることが理解されるべきである。
【0012】
行われた操作に基づいて予測される次に行われる操作は、アンケートや調査によってあらかじめ決定することができる。コンピュータの初期設定においては上記のようにして決定されたデータに基づいて候補の操作が選定されるが、使用者ごとにデータをコンピュータのメモリー内に蓄積し、得られたデータに基づいて適宜修正し、予想の正確性を向上することが望ましい。
【0013】
また本発明にかかる方法は、いわゆるワープロソフト、表集計ソフト、データベースソフトの入力支援に限らず、コンピューターなどに対するすべての入力操作に対して有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、ショートカットメニューがカーソルの上方向に展開される場合に、ショートカットメニュー内の操作の名称の表示順序を、ショートカットメニューがカーソルの下方向に展開される場合と逆にする、入力支援方法。
【請求項2】
行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、ショートカットメニューがカーソルの上方向に展開される場合に、ショートカットメニューの領域の下部領域に、切り取り、コピー、および貼り付けの操作名が表示される、入力支援方法。
【請求項3】
行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、行われた処理に基づいて次の操作を予測し、その結果に基づいて、
ショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開される場合に、ショートカットメニューの領域の下部領域に少なくとも1つの候補の操作名を示す入力支援方法。
【請求項4】
行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、行われた処理に基づいて次の操作を予測し、その結果に基づいて、
ショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開される場合に、ショートカットメニューの領域内のカーソルと最も近い行に少なくとも1つの候補の操作名を示す入力支援方法。
【請求項5】
行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、行われた処理に基づいて次の操作を予測し、その結果に基づいて、
ショートカットメニューがカーソルよりも上方向に展開される場合に、ショートカットメニューの領域内のカーソルと同じ行に少なくとも1つの候補の操作名を示す入力支援方法。
【請求項6】
行われた処理に基づいて選択が容易な形で操作名を表示する入力支援方法であって、行われた処理に基づいて次の操作を予測し、その結果に基づいて、ショートカットメニュー内に表示を変更できる領域を設け、当該領域に前記の予測された候補の操作名を表示する、入力支援方法。
【請求項7】
前記の行われた処理が、カーソル位置の決定または領域指定である、請求項1から6のいずれか1項記載の入力支援方法。
【請求項8】
前記の行われた処理が、切り取りまたはコピーであって、予測された候補の操作名が貼り付けである、請求項1から6のいずれか1項記載の入力支援方法。

【公開番号】特開2012−181810(P2012−181810A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49755(P2011−49755)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【特許番号】特許第4930891号(P4930891)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(504271490)
【出願人】(502392157)
【Fターム(参考)】