説明

入力装置

【課題】導電体を検出するための電極に導通している配線の抵抗値を低減することができる入力装置を提供すること。
【解決手段】複数の帯状電極と、上記複数の帯状電極と各別に導通する配線層112,配線部43,および配線層62と、方向zにおいて上記帯状電極に導電体が接近したときに生じる静電容量の変化によって上記導電体の接近を検出し、配線層62および配線部43を介して配線層112に接続しているICチップ71と、を備える入力装置A1であって、配線層112,配線部43,および配線層62の通電方向における異なる2つの接続点において配線層112,配線部43,または配線62と導通しており、方向z視において配線層112と重なるバイパス電極層61およびバイパス導電部41を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを構成する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の入力装置の一例を示している。図10は、図9のX−X線に沿った要部平面図である。これらの図に示された入力装置Xは、液晶表示パネルYと重ねて用いられることにより、いわゆるタッチパネルを構成している。このタッチパネルは、たとえば携帯電話機Zの表示手段および操作手段として用いられる。入力装置Xは、平行に配置された透明基板91,92を有する。透明基板91には透明帯状配線93が、透明基板92には透明帯状配線94が、それぞれ形成されている。透明帯状配線93,94は、平行に配置された複数の帯状要素からなる。透明帯状配線93の帯状要素と透明帯状配線94の帯状要素とは、互いに直角に配置されている。透明帯状配線93は、フレキシブル基板97を介して図示しないICチップに接続されている。透明帯状配線94は、複数の配線9aを介してフレキシブル基板98に接続されている。フレキシブル基板98は、上記の図示しないICチップに接続されている。配線9aは、たとえば、透明帯状配線94の外縁に沿って延びるように形成されている。
【0003】
携帯電話機Zは、筐体の一部を構成する透明カバー95を有している。入力装置Xは、透明接着剤96によって透明カバー95に接合されている。入力装置Xの図9下方には、液晶表示パネルYが配置されている。携帯電話機Zの使用者が携帯電話機Zを操作するときに、指Fgを透明カバー95に対して接近させ、あるいは接触させると、透明帯状配線93,94との間に静電容量が生じる。この静電容量の大きさを上記ICチップによって検出することにより、指Fgが平面視においてどの位置に接近してきたかを検出することができる。
【0004】
入力装置Xにおいて、透明帯状配線93,94と接続している配線の低抵抗化を図りたいといった要望が強い。しかしながら、従来の入力装置Xでは、かかる要望を十分に満足させることができていなかった。特に、配線9aは、方向xに沿って入力装置Xのほぼ右端から左端まで配置され長くなるため、抵抗値が高くなっていた。この抵抗値を下げるため、メッキをするなどして金属により構成された配線9aを形成する必要があった。
【0005】
【特許文献1】特開2008−33777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、導電体を検出するための電極に導通している配線の抵抗値を低減することができる入力装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される入力装置は、複数の第1の電極要素、上記複数の第1の電極要素と各別に導通する複数の第1の配線、上記第1の電極要素の厚さ方向において、上記第1の電極要素に導電体が接近したときに生じる静電容量の変化によって上記導電体の接近を検出し、かつ、上記第1の配線に接続している制御手段、を備える入力装置であって、上記第1の配線の通電方向における異なる2つの接続点において上記第1の配線と導通しており、上記厚さ方向視において上記第1の配線と重なるバイパス配線を備えることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、上記第1の電極要素から上記制御手段までの通電経路として、上記第1の配線に上記バイパス配線が加わる。そのため、上記第1の電極要素から上記制御手段までの抵抗値を低減できる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の電極要素は上記導電体を検出する検出領域に形成され、上記第1の配線は上記検出領域と異なる非検出領域に形成されている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の電極要素は透明であり、上記バイパス配線は上記非検出領域に形成されている。このような構成によれば、上記バイパス配線を形成しても、上記検出領域における上記第1の電極要素を透過する光の透過率や反射率に影響を与えない。そのため、上記第1の電極要素をとおして視認する文字や画像の見栄えを維持することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記バイパス配線は、バイパス電極層と、上記バイパス電極層および上記第1の配線を導通させるバイパス導電部と、を含み、上記第1の配線は、第1の配線層を含み、上記第1の電極要素および上記第1の配線層を表面側に備えている第1の基板、上記バイパス電極層を上記第1の基板の上記表面に対向する裏面側に備えている第2の基板、をさらに有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記バイパス導電部は、上記厚さ方向のみに沿って通電させる。このような構成によれば、複数の上記第1の配線どうしが、上記バイパス導電部を通して導通してしまうおそれがない。そのため、上記厚さ方向視において、複数の上記第1の配線どうしを、より近接させつつ配置することができる。その結果、上記第1の配線の配線パターンを決定する際に、上記バイパス配線を形成する影響を受けにくくすることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記厚さ方向視において、上記バイパス電極層は、上記第1の配線層と同一形状である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1の電極要素はいずれも、第1の方向に沿って延びる帯状であり、上記第1の方向と異なる第2の方向に沿って延びており、上記第2の基板の上記裏面側に形成された、帯状の複数の第2の電極要素を備えている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2の電極要素と上記バイパス電極層とが同一の材料により構成されている。このような構成によれば、上記第2の電極要素を形成する際に、上記バイパス電極層を形成することができる。そのため、上記バイパス電極層の形成工程を簡素なものとすることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の配線はそれぞれ、上記第2の方向に沿って、上記第1の電極要素の端部から上記第2の方向における上記検出領域の端部にわたって形成されている。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる入力装置の要部平面図を示している。図2は、図1のII−II線に沿った断面図を示している。図3は、図1のIII−III線に沿った断面図を示している。これらの図に示された入力装置A1は、基板1,2、壁部4、樹脂層31、スペーサ32、ICチップ71、および、フレキシブル基板72、を備えている。図1においては、理解の便宜上、樹脂層31、スペーサ32、ICチップ71、フレキシブル基板72を省略している。図2、図3は、理解の便宜上、方向zにおける縮尺を誇張して、概念的に示している。図4は、図1に示したもののうち、基板2が備えている電極を示している。図5は、図1に示したもののうち、基板1が備えている電極を示している。入力装置A1は、導電体である指Fgが接近したことを静電容量の変化により検出するためのものである。図2、図3に示すように、入力装置A1は、液晶表示パネルBと重ね合わせられることにより、いわゆるタッチパネルを構成している。図1に表れているように、方向z視において、入力装置A1に対して指Fgを接近させ指Fgの接近を検出する領域が、検出領域s1である。一方、方向z視において、入力装置A1の検出領域s1以外の枠状の領域が、非検出領域s2である。
【0020】
図2に表れているように、基板1は、透過板13、電極層11、シールド層15を備えている。基板1は、表面1aおよび裏面1bを有する。表面1aは、基板2の裏面2bに対向している。透過板13は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト(PC)などの透明樹脂の単層樹脂体、あるいは、ガラスからなる透明な板である。
【0021】
電極層11は、基板1の表面1a側に形成されている。電極層11は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料から構成されている。図5に表れているように、電極層11は、複数の帯状電極111および配線層112を有している。複数の帯状電極111は、互いに平行に配置されている。帯状電極111は、検出領域s1に形成されている。帯状電極111はそれぞれ、ほぼ菱形状に膨らんだ部分とくびれた部分とが、方向yに沿って交互に配置された形状である。この膨らんだ部分は、菱形状に限らず、丸型状、多角形状、その他の形状でも構わない。
【0022】
図5に示すように、配線層112はそれぞれ、帯状電極111のいずれかと導通している。配線層112は、非検出領域s2に形成されている。配線層112はそれぞれ、方向xに沿って、帯状電極111の端部から方向xにおける検出領域s1の端部にわたって形成されている。図5の下側に形成されている配線層112をそれぞれ、配線層112a,112b,112c,112dとしている。
【0023】
図2,図3に示すように、シールド層15は、基板1の裏面1b側に形成されている。シールド層15は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料からなる薄膜である。図示していないが、シールド層15は、検出領域s1に形成されている。シールド層15は、外来の電磁ノイズを電極層11および後述の電極層21が拾ってしまうことを防止するためのものである。シールド層15は、図示しない配線によりグランド端子または電源電圧端子に接続されている。
【0024】
図2、図3に表れているように、基板2は、透過板23、電極層21、バイパス電極層61、および配線層62を備えている。基板2は、表面2aと裏面2bとを有する。表面2aは、接触面とされており、指Fgが接近したときに接する面である。表面2aには、たとえばコーティング層(図示略)を形成してもよい。このコーティング層は、外来光が反射することにより、視認性が悪化することを抑制したり、透過板23に傷が生じることを防止したりする機能を果たす。裏面2bは、基板1の表面1aと対向している。
【0025】
透過板23は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト(PC)などの透明樹脂の単層樹脂体、あるいは、ガラスからなる透明な板である。
【0026】
電極層21は、基板2の裏面2b側に形成されている。図1、図4に表れているように、電極層21は、複数の帯状電極211を有している。複数の帯状電極211は、互いに平行に配置されている。帯状電極211はそれぞれ、ほぼ菱形状に膨らんだ部分とくびれた部分とが、方向xに沿って交互に配置された形状である。この膨らんだ部分は、菱形状に限らず、丸型状、多角形状、その他の形状でも構わない。帯状電極211の膨らんだ部分は、帯状電極111の膨らんだ部分と方向z視において重ならないように配置されている。また、複数の帯状電極211の膨らんだ部分どうしの隙間には、複数の帯状電極111の膨らんだ部分がはまり込むように配置されている。帯状電極211は、たとえばITO,IZOなどの透明な導電性材料から構成されている。
【0027】
図3に表れているように、バイパス電極層61は、基板2の裏面2b側に形成されている。図1、図4、図5に表れているように、バイパス電極層61は、方向z視において、配線層112と同一形状とされている。バイパス電極層61は、電極層21と同様に、ITO,IZOなどの透明な導電性材料から構成された薄膜である。図4の下方に示されているバイパス電極層61を、バイパス電極層61a,61b,61c,61dとしている。
【0028】
図3に表れているように、複数の配線層62は、基板2の裏面2b側に形成されている。図4の下方に示されている配線層62を、配線層62a,62b,62c,62dとしている。配線層62aは、バイパス電極層61aとのみ導通している。配線層62bとバイパス電極層61b、配線層62cとバイパス電極層61c、配線層62dとバイパス電極層61dについても同様である。
【0029】
図2、図3に表れているように、壁部4は、基板1および基板2の間に配置されている。図1に表れているように、壁部4は、方向z視において、ほぼ四角形のリング状である。壁部4は、基板1の縁近傍に沿って形成されている。また、壁部4は、非検出領域s2に配置されている。そのため、壁部4は、方向z視において液晶表示パネルBの表示領域と重ならない。壁部4は、基板1および基板2を接着している。壁部4は、主に絶縁性樹脂から構成されている。
【0030】
図3、図4、図5に示すように、壁部4には、複数のバイパス導電部41が形成されている。バイパス導電部41は、壁部4を構成する絶縁性樹脂に微小な導電性粒子が複数個、混入されたものである。これらの導電性粒子はいずれも、ほぼ一定の直径を有する球状である。バイパス導電部41aにおいて、導電性粒子はいずれも、バイパス電極層61aおよび配線層112aに接している。そのためバイパス導電部41aは、方向zに沿ってのみ電流を流す。これにより、バイパス電極層61aは、配線層112aのみと導通しており、配線層112a以外の配線層112b,112c,112dなどと導通していない。バイパス電極層61bと配線層112b、バイパス電極層61cと配線層112c、バイパス電極層61dと配線層112dについても同様である。
【0031】
本実施形態において、バイパス導電部41と配線層112とが接続している点が、本発明にかかる接続点の一方に相当する。また、本実施形態では、バイパス電極層61とバイパス導電部41とにより、本発明にかかるバイパス配線が構成されている。
【0032】
図3、図4、図5に示すように、壁部4には、配線部43が形成されている。配線部43は、方向zに沿って延びる角柱状である。図3、図4に示すように、配線部43は、配線層62とバイパス電極層61との接続部分に接している。この接続部分が、本発明にかかる接続点の他方に相当する。配線部43は、バイパス導電部41と同様に、壁部4を構成する絶縁性樹脂に微小な導電性粒子が複数個、混入されたものである。配線部43は、方向zに沿ってのみ電流を流す。そのため、バイパス電極層61aは、配線層112aのみと導通しており、配線層112a以外の配線層112b,112c,112dなどと導通していない。バイパス電極層61bと配線層112b、バイパス電極層61cと配線層112c、バイパス電極層61dと配線層112dについても同様である。なお、本実施形態では、配線層112と配線部43と配線層62とにより、本発明にかかる第1の配線が構成されている。
【0033】
図2、図3に表れているように、壁部4、基板1,2に囲まれることにより、空間が形成されている。複数のスペーサ32が、この空間に収容されている。スペーサ32は、基板1の表面1aおよび基板2の裏面2bに接している。スペーサ32は、方向z視において、たとえば1mm平方内に20〜40個程度の割合で散在している。各スペーサ32は、10μm以下の直径を有する球状である。スペーサ32の直径は、基板1,2の間隔を決定する。各スペーサ32は、シリカまたはアクリル樹脂(たとえば、清水化学工業:ミクロパールシリーズ)からなる。
【0034】
樹脂層31は、上記空間に形成されている。樹脂層31は、光を良好に透過するとともに、電極層11,21を互いに絶縁可能なものを用いればよい。
【0035】
フレキシブル基板72は、方向xにおける基板2の端部に設けられている。ICチップ71は、フレキシブル基板72を介して、複数の帯状電極111,211と接続している。ICチップ71は、帯状電極111,211を、独立に、かつ、常に検出可能に構成されている。なお、COG(Chip On Glass)の場合には、ICチップ71は基板2に搭載されている。
【0036】
液晶表示パネルBは、たとえば互いに対向する透明基板およびTFT基板と、これらに挟まれた液晶層とを備えており、たとえば携帯電話機の操作に供する操作メニュー画面や、画像などを表示する機能を有する。液晶表示パネルBに表示された画像は、入力装置A1をとおして視認可能である。液晶表示パネルBの表示面は、方向z視において帯状電極111,211と重なるように配置されている。
【0037】
入力装置A1および液晶表示パネルBは、携帯電話機などに組み込まれて、たとえば以下のようにして使用される。
【0038】
液晶表示パネルBには、たとえば携帯電話機の諸機能を発揮させるボタンを模したアイコンを含む操作メニュー画面を表示させる。使用者がなんら操作をしない状態においては、各帯状電極111,211には静電容量がほとんど生じていない。次いで、使用者は、選択したい機能に対応するアイコンを触るようにして、指Fgを基板2の表面2aに接近させる。このとき、各帯状電極111,211と指Fgの距離が短くなる。これにより、指Fgと各帯状電極111,211との間に静電容量が生じる。複数の帯状電極111,211のうち指Fgとの距離が近いものほど静電容量が大きい。すなわち、指Fgと複数の帯状電極111との静電容量を比較することによって、複数の帯状電極111が配列された方向における指Fgの位置を検出することができる。同様に、指Fgと複数の帯状電極211の静電容量を比較することによって、複数の帯状電極211が配列された方向における指Fgの位置を検出することができる。この結果、指Fgの方向z視における位置が確定され、使用者が触れようとしたアイコンが特定される。そして、携帯電話機は、このアイコンに対応する機能を発揮する。
【0039】
次に、入力装置A1の作用について説明する。
【0040】
本実施形態によれば、帯状電極111からICチップ71までの通電経路として、配線層112から配線部43を経由し配線層62に至る経路に、バイパス導電部41からバイパス電極層61、そして配線層62に至る経路が加わる。そのため、帯状電極111からICチップ71までの抵抗値を低減させることができる。
【0041】
かかる抵抗値を低減する必要がない場合には、バイパス配線61を形成することによって、方向z視における配線層112の大きさを小さくすることができる。
【0042】
バイパス電極層61およびバイパス導電部41は、非検出領域s2に配置され、検出領域s1に配置されていない。そのため、バイパス電極層61およびバイパス導電部41を形成しても、透過板13や帯状電極111、および、透過板23や帯状電極211を透過する光の透過率や反射率に影響を与えない。そのため、入力装置A1をとおして視認する、液晶表示パネルBに表示される文字や画像の見栄えを、悪化させることがない。
【0043】
バイパス導電部41は、方向zのみに沿って通電させる。そのため、配線層112どうしがバイパス導電部41を通して導通してしまうことがない。これにより、複数の配線層112どうしをより近接させつつ配置することが可能となっている。その結果、バイパス電極層61およびバイパス導電部41を形成する影響を受けることなく、配線層112の配線パターンを決定することができる。
【0044】
バイパス導電部41や配線部43は、方向zに沿ってのみ電流を流す。また、バイパス電極層61が、配線層112と同一形状である。そのため、バイパス電極層61を配線層112と方向z視において重なるように配置するだけで、バイパス電極61と配線層112との意図しない導通を容易に防止しつつ、バイパス電極層61a,61b,61c,61dをそれぞれ、配線層112a,112b,112c,112dと確実に導通させることができる。
【0045】
バイパス電極層61が、帯状電極211と同一の材料により構成されている。そのため、基板2に帯状電極211を形成する際に、バイパス電極層61も同時に形成することができる。これにより、入力装置A1の製造工程を簡素なものとすることができる。
【0046】
図6〜図8は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0047】
図6は、本発明の第2実施形態にかかる入力装置を示している。同図は、第1実施形態を説明する際に用いた図3に対応する。図6に示した入力装置A2は、バイパス導電部41の形状が、第1実施形態にかかる入力装置A1と異なっている。
【0048】
入力装置A2では、壁部4の方向xに沿って延びる長辺の全体に導電粒子が混入されており、方向zに沿ってのみ電流を流す。そのため、配線層112はそれぞれ、いずれの位置においても、バイパス電極層61と導通している。このとき、帯状電極111から配線層62に至る電流の経路が複数あるともいえる。たとえば、壁部4のうち、図中左端においては配線部43が、図中右端においてはバイパス導電部41が形成されているといえる。このような構成によっても、第1実施形態と同様の利点を有する。
【0049】
図7は、本発明の第3実施形態にかかる入力装置を示している。同図は、第1実施形態を説明する際に用いた図3に対応する。同図に示した入力装置A3は、バイパス電極層61が、電極層21が形成された透過板23と異なる透過板81に形成された点において、第1実施形態にかかる入力装置A1と異なっている。
【0050】
入力装置A3においては、配線層112とバイパス電極層61との間には、方向zにのみ電流を流す異方性導電接着剤51が形成されている。この場合も、接着材51が形成されていることで、第2実施形態とまったく同様に、配線部43およびバイパス導電部41が形成されているといえる。
【0051】
図8は、本発明の第4実施形態にかかる入力装置を示している。同図に示された入力装置A4は、バイパス電極層61b,61c,61dが、配線層62に至るまでに分割されている。バイパス導電部41b,41c,41dは、それぞれ分割されたバイパス電極層が複数形成されている。
【0052】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る入力装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。上記実施形態では、バイパス電極層61と配線層112とが同一形状である例を示したが、本発明の範囲はこれに限られない。
【0053】
本発明にかかるバイパス配線は非検出領域s2に形成されているのが好ましいが、本発明にかかる入力装置は必ずしもこれに限られず、上記バイパス配線が検出領域s1にはみ出していてもよい。また、配線層112とバイパス電極層61とを、銀ペーストにより導通させてもよい。
【0054】
本実施形態では、2の電極層を有する入力装置を示したが、電極層が1層構造のものであってもよい。本発明にかかる電極要素が平行である必要がないのはもちろんである。
【0055】
また、本発明にかかる入力装置は液晶表示パネルBとともに用いられる必要はない。また、本発明にかかる第1および第2の電極要素、第1の配線、およびバイパス配線は、必ずしも透明である必要はない。これらは不透明である銅などにより構成されていてもよい。
【0056】
また、本発明にかかる入力装置は、携帯電話機に用いられるものに限られない。たとえば、デジタルカメラ、パーソナルナビゲーションデバイス、自動預入支払機、等その他のタッチパネルを用いる機器において用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる入力装置の断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる入力装置の断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかる入力装置の要部平面図である。
【図9】従来の入力装置の一例を示した図である。
【図10】図9のX−X線に沿った要部平面図である。
【符号の説明】
【0058】
A1,A2,A3,A4 入力装置
B 液晶表示パネル
Fg 指
x 方向(第2の方向)
y 方向(第1の方向)
z (厚さ)方向
1 (第1の)基板
1a 表面
1b 裏面
11 (第1の)電極層
111 帯状電極(第1の電極要素)
112,112a,112b,112c,112d (第1の)配線層
13 透過板
15 シールド層
2 (第2の)基板
2a 表面
2b 裏面
21 電極層
211 帯状電極(第2の電極要素)
23 透過板
31 樹脂層
32 スペーサ
4 壁部
41,41a,41b,41c,41d バイパス導電部
43 配線部
51 接着剤
61,61a,61b,61c,61d バイパス電極層
62 配線層
81 透過板
71 ICチップ(制御手段)
72 フレキシブル基板
s1 検出領域
s2 非検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電極要素、
上記複数の第1の電極要素と各別に導通する複数の第1の配線、
上記第1の電極要素の厚さ方向において、上記第1の電極要素に導電体が接近したときに生じる静電容量の変化によって上記導電体の接近を検出し、かつ、上記第1の配線に接続している制御手段、
を備える入力装置であって、
上記第1の配線の通電方向における異なる2つの接続点において上記第1の配線と導通しており、上記厚さ方向視において上記第1の配線と重なるバイパス配線を備えることを特徴としている、入力装置。
【請求項2】
上記第1の電極要素は上記導電体を検出する検出領域に形成され、上記第1の配線は上記検出領域と異なる非検出領域に形成されている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
上記第1の電極要素は透明であり、
上記バイパス配線は上記非検出領域に形成されている、請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
上記バイパス配線は、バイパス電極層と、上記バイパス電極層および上記第1の配線を導通させるバイパス導電部と、を含み、
上記第1の配線は、第1の配線層を含み、
上記第1の電極要素および上記第1の配線層を表面側に備えている第1の基板、
上記バイパス電極層を上記第1の基板の上記表面に対向する裏面側に備えている第2の基板、
をさらに有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の入力装置。
【請求項5】
上記バイパス導電部は、上記厚さ方向のみに沿って通電させる、請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
上記厚さ方向視において、上記バイパス電極層は、上記第1の配線層と同一形状である、請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
複数の上記第1の電極要素はいずれも、第1の方向に沿って延びる帯状であり、
上記第1の方向と異なる第2の方向に沿って延びており、上記第2の基板の上記裏面側に形成された、帯状の複数の第2の電極要素を備えている、請求項4ないし6のいずれかに記載の入力装置。
【請求項8】
上記第2の電極要素と上記バイパス電極層とが同一の材料により構成されている、請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
上記第1の配線はそれぞれ、上記第2の方向に沿って、上記第1の電極要素の端部から上記第2の方向における上記検出領域の端部にわたって形成されている、請求項7または8に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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