入力装置
【課題】検出手段に接続されるハーネスに含まれるワイヤの本数を減少させることにより、ハーネスの可撓性を向上させることができ、操作者が操作する際にハーネスが障害になることがない入力装置を提供する。
【解決手段】指の空間的な動作に対応する入力コードを出力する入力装置は、利用者の指又は手の装着部に装着され、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を検出する検出手段と、前記検出手段にハーネスを介して接続され、当該検出手段により検出された前記検出信号に対応する入力コードを出力するコード出力手段と、を含み、前記検出手段は、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成する検出部と、前記検出部により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を、前記ハーネスを介して前記コード出力部へ出力する合成信号出力部と、を備え、前記コード出力手段は、前記合成信号出力部により出力された合成信号に基づいて、前記入力コードを出力する。
【解決手段】指の空間的な動作に対応する入力コードを出力する入力装置は、利用者の指又は手の装着部に装着され、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を検出する検出手段と、前記検出手段にハーネスを介して接続され、当該検出手段により検出された前記検出信号に対応する入力コードを出力するコード出力手段と、を含み、前記検出手段は、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成する検出部と、前記検出部により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を、前記ハーネスを介して前記コード出力部へ出力する合成信号出力部と、を備え、前記コード出力手段は、前記合成信号出力部により出力された合成信号に基づいて、前記入力コードを出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置の技術分野に属し、より詳細には、指の空間的な動きに伴って変化する検出信号を検出し、当該検出された検出信号に対応する入力コードを出力する入力装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置等において、アルファベット等の文字を入力する際の入力装置として、各文字に対応し指により操作されるキーが配列されたキーボードが使用されている。このキーボードは、その配置のためのスペースが必要であり、省スペースの観点からキーボードの小型化が望まれている。しかし、キーボードのキーが指により操作される点を考慮すると、操作性の観点から、キーボードの小型化には限界がある。
【0003】
そこで、現在、入力装置として、キーボードの配置のためのスペースが不要である仮想キーボード装置が提案されている。この種のキーボード装置では、指にセンサを装着し、当該センサにより指の空間的な動作を検出し、当該検出した動作を示す動作信号に対応する入力コードが出力される。このような仮想キーボード装置に関する従来技術は、例えば、下記特許文献1乃至特許文献3に記載されている。
【0004】
特許文献1乃至特許文献2に示される電子楽器においては、指の動きを検出する曲げセンサを有する手袋を手に装着し、指の動きに応じた曲げセンサからの検出信号に基づいて、楽音の発生を制御する。また、特許文献3では、手の機能が制限された人用のデータ入力デバイスにおいて、指の動きを検出する曲げセンサを有する手袋を手に装着し、指の動きに応じた曲げセンサからの検出信号に基づいて、キーボードのキー入力として指の動きを認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−233442号公報
【特許文献2】特開平9−119806号公報
【特許文献3】特願2004−528660号(特表2006−503350号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1乃至特許文献2に示される電子楽器において、曲げセンサは、手袋の5個の指部のそれぞれに設けられ、各曲げセンサは、コードを介して楽音発生制御部に接続されている。また、特許文献3に示されるデータ入力デバイスでは、曲げセンサは、手袋の複数個所に設けられ、各曲げセンサは、データケーブルを介してカップリングに接続されている。
【0007】
前記曲げセンサに接続されるハーネス(コードあるいはデータケーブル)は、複数のワイヤ含む。ハーネスに含まれるワイヤの本数が多い場合には、ハーネスの可撓性が低下し、操作者が仮想キーボード装置について操作する際にハーネスが障害になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点等に鑑みて為されたものであり、その目的の一例は、検出手段に接続されるハーネスに含まれるワイヤの本数を減少させることにより、ハーネスの可撓性を向上させることができ、操作者が操作する際にハーネスが障害になることがない入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、指の空間的な動作に対応する入力コードを出力する入力装置において、利用者の指又は手の装着部に装着され、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を検出する検出手段と、前記検出手段にハーネスを介して接続され、当該検出手段により検出された前記検出信号に対応する入力コードを出力するコード出力手段と、を含み、前記検出手段は、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成する検出部と、前記検出部により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を、前記ハーネスを介して前記コード出力部へ出力する合成信号出力部と、を備え、前記コード出力手段は、前記合成信号出力部により出力された合成信号に基づいて、前記入力コードを出力することを特徴とする入力装置である。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記検出手段は、当該検出手段が装着されている前記装着部について予め設定されているX軸、Y軸、及びZ軸それぞれについて前記指の前記動作により前記装着部に発生する加速度を検出して前記動作を検出することを特徴とすることを特徴とする入力装置である。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の入力装置において、前記検出部により生成される複数の検出信号は、複数の動作信号を備えたアナログ検出信号であり、前記合成信号出力部は、前記アナログ検出信号のうちの複数の動作信号を時系列的に1つに統合して時系列信号を出力するマルチプレクサを含み、前記時系列信号において、前記複数の動作信号のそれぞれの直前には、当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されていることを特徴とする入力装置である。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の入力装置において、前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性と前記識別部の極性とは、相違することを特徴とする入力装置である。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性は、プラスであり、前記識別部の極性は、マイナスであることを特徴とする入力装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、合成信号出力部は、検出部により生成された複数の検出信号を合成し、少ない個数の合成信号を出力するので、検出手段とコード出力手段との間のハーネスに含まれるワイヤの本数を減少させることができる。従って、ハーネスの可撓性を向上させることができ、利用者が操作する際にハーネスが障害になることがない。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、指の動作に対応するX軸、Y軸、及びZ軸方向の動きを少ない個数の合成信号で示すことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、複数の動作信号のそれぞれの直前に当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、複数の動作信号の極性と識別部の極性とが相違するので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、複数の動作信号の極性はプラスであり、識別部の極性はマイナスであるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】仮想キーボード装置の構成を示す図である。
【図2】仮想キーボード装置の他の構成を示す図である。
【図3】指センサを示す図である。
【図4】静止状態での指センサの出力電圧を示すグラフ図である。
【図5】キー押下げ時における指センサの出力電圧を示すグラフ図である。
【図6】パターン判断部を含む入力コード出力部の構成を示す図である。
【図7】仮想キーボード装置の学習動作を示すフローチャート図である。
【図8】仮想キーボード装置を含むシステムを示す図である。
【図9】本願の実施の形態による仮想キーボード装置を示す図である。
【図10】センサ部により生成される複数の検出信号がデジタル信号である場合を示す図である。
【図11】センサ部により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合を示す図である。
【図12】センサ部により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合のセンサ部、合成信号出力部、及び入力コード出力部の接続関係を示すブロック図である。
【図13】センサ部から出力される、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の出力電圧を示す図である。
【図14】Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号が時系列的に1つに統合された時系列信号Voutの出力電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、仮想キーボード装置に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0021】
仮想キーボード装置の概略
まず、仮想キーボード装置の概略について説明する。
【0022】
図1には、仮想キーボード装置の構成が示されている。図1において、利用者の装着部としての左手10L及び右手10Rの指14−1乃至14−5及び14−6乃至14−10には、それぞれ、指センサ16−1乃至16−5及び16−6乃至16−10が装着されている。この指センサ16は、指の空間的な動作に伴って変化する動作信号を検出するセンサであり、例えば、加速度センサ又はジャイロセンサから構成されている。なお、指センサ16の詳細については、後述する。左手10L及び右手10Rの例えば手の甲には、それぞれ、データ収集部18、20が装着されており、当該データ収集部18、20には、指センサ16−1乃至16−5及び16−6乃至16−10からの動作信号がハーネス22−1乃至22−5及び22−6乃至22−10を介して供給される。データ収集部18、20は、それぞれ、無線部24、26を有しており、当該無線部24、26からの動作信号は、入力コード出力部28の無線部30に受信される。データ収集部18、20に収集された動作信号は有線(ハーネス)を介して、入力コード出力部28に受信されてもよい。
【0023】
入力コード出力部28は、無線部30に加え、動作パターン辞書部32、及び動作パターン判断部34を備えている。動作パターン辞書部32は、指の動作信号のパターンを示すパターン情報を記憶する記憶部である。前記動作パターン判断部34は、前記動作パターン辞書部32に記憶されているパターン情報に対応する動作信号と、前記無線部30から供給された動作信号とを比較し、検出された動作信号に対応する入力コードを出力する。前記出力された入力コードは、入力コード出力部28に設けられた無線部36から、文字表示器38の無線部40に送信される。文字表示器38は、表示部42を有しており、当該表示部42には、指の動作により入力された入力コードとして例えば文字コード44が表示される。この場合も、入力コード出力部28と文字表示器38は有線(ハーネス)で接続され、通信されてもよい。
【0024】
図2には、仮想キーボード装置の他の構成が示されている。前記図1の構成では、左手10L及び右手10Rにそれぞれデータ収集部18、20が装着されていたが、図2の構成では、データ収集部が設けられていない。そして、指センサ16−1乃至16−5及び16−6乃至16−10からの動作信号は、ハーネス22−1乃至22−5及び22−6乃至22−10を介して、入力コード出力部28の動作パターン判断部34に供給されることとなる。
【0025】
図3には、前記指センサ16の例として加速度センサが示されている。図3において、指センサ16は、3軸加速度センサであり、X軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれについて指の動作による加速度を検出する。なお、Z軸は、重力加速度の方向44を示す。
【0026】
図4には、指の静止状態での指センサ16の出力電圧の例が示されている。図4において、Z軸方向の出力電圧は、X軸方向及びY軸方向の出力電圧と比較して、重力加速度分(符号46を参照)だけ異なることが分かる。
【0027】
図5には、空間内でキー押下げ動作をした時の指センサ16の出力電圧が示されている。図5は、仮想キーボードにおいて文字Qのキーを押下げるように左手10Lの指を動作させた場合の指センサの出力電圧を示している。尚、本発明の仮想キーボードのキー配列はJIS配列を採用している。図5の上段、中段、及び下段のグラフは、それぞれ、小指14−6、薬指14−4、及び親指14−1に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧を示す。なお、他の指に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧につぃては、図示を省略する。そして、図5において、文字Qのキーを押下げる際(符合48で示す時間を参照)には、小指14−5の動作が大きく、すなわち、図5の上段に示されるように、小指14−5に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧の変化は、他の指に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧の変化と比較して、大きいことが分かる。
【0028】
図6には、動作パターン判断部34を含む入力コード出力部の構成が示されている。図6において、例えば左手について考えると、指14のそれぞれについて指センサ16が装着され、1つの指センサ16は、3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)の動作信号を出力する。従って、動作パターン判断部34には、5×3=15個の動作信号50が供給される。なお、15個の動作信号50、すなわち、15個のデータを、ニューラルネットワークを用いて各文字52にマッピングすることにより学習を行い、動作パターン辞書部32における辞書パターンを作成又は更新する。この学習動作について、図7を用いて説明する。
【0029】
図7には、仮想キーボード装置の学習動作を示すフローチャートが示されている。図7において、ステップS10で電源をオンにし、ステップS12に進む。そして、ステップS12で入力操作者の判断により学習モードであると、ステップS14に進み、キーボードを入力コード出力部28(図1、2を参照)に接続する。ステップS16でキーボードを打鍵し、ステップS18で、この打鍵時の指センサ16の加速度データの読み込みを行い、ステップS20で、加速度データの必要個所のデータ加工(例えば加速度データの変化時点から±500msにおけるデータ加工)を行う。ステップS22で、ニューラルネットワークで学習し、ステップS24で、新しい辞書パターンを構築し、ステップS26で入力操作者の判断により学習終了でないと、ステップS16に戻り、一方、ステップS26で入力操作者の判断により学習終了であると、ステップS28に進む。なお、前記ステップS12で入力操作者の判断により学習モードでないと、ステップS28に進む。
【0030】
ステップS28で、指センサの加速度データの読込みが行われ、ステップS30で、加速度データをデータテーブル値と比較し、手、指が動いたか否かが判断される。ステップS30でNoの場合には、ステップS28に戻り、ステップS30でYesの場合には、ステップS32に進み、加速度データの必要個所のデータ加工(例えば指センサの変化時点から±500msにおけるデータ加工)を行う。ステップS34で、加速度データに基づく指の動作がデータベースとして保有されている辞書パターンと比較され、ステップS36で、最も近い入力コードに対応した入力コードが出力され、ステップS38で、当該入力コードは、パーソナルコンピュータ等の文字出力機器に送信され、ステップS40に進む。
【0031】
ステップS40で入力操作者の判断により入力を継続しない場合には、ステップS42で電源がオフにされ、一方、ステップS40で入力操作者の判断により入力を継続する場合には、ステップS44に進む。ステップS44で、入力操作者が表示画面60(後述する図8を参照)を見ることにより入力操作者の判断により正確な文字入力がされている場合には、ステップS28に進み、一方、ステップS44で、入力操作者が表示画面60(後述する図8を参照)を見ることにより入力操作者の判断により正確な文字入力がされていない場合には、ステップS12に進む。
【0032】
なお、上記図7のフローチャートにおいて、ステップS12、S26、S40、及びS44における入力操作者の判断について説明すると、データ収集部18、若しくは20に操作ボタンを設け、入力操作者(すなわち利用者)は、判断に応じた操作を当該操作ボタンに対して行い、仮想キーボード装置は、当該操作ボタンに対して行われた操作に応じて判断を行う。
【0033】
図8には、仮想キーボード装置を含むシステムが示されている。図8において、各指に装着される指センサ16からの動作信号は、動作パターン判断部34に供給され、当該動作パターン判断部34は、指センサ16からの動作信号と、動作パターン辞書部32に記憶されているパターン情報に対応する動作信号とを比較し、検出された動作信号に対応する入力コードをパーソナルコンピュータ56に供給する。パーソナルコンピュータ56は、入力コードを表示装置58に出力し、入力コードにより示される文字、例えばA、B、C、・・・の列59が表示装置58の表示画面60に表示されるようにする。
【0034】
本願の実施の形態による仮想キーボード装置
図9には、本願の実施の形態による仮想キーボード装置が示されている。図9において、指センサ16は、指14の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成するセンサ部62と、当該センサ部62により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を出力する合成信号出力部64と、から構成されている。なお、センサ部62は、前述した3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)の加速度センサから構成される。指センサ16の合成信号出力部64からの合成信号は、ハーネス22を介して入力コード出力部28に供給される。なお、入力コード出力部28は、前述したように、動作パターン辞書部32及び動作パターン判断部34を備える。
【0035】
図10には、センサ部62により生成される複数の検出信号がデジタル信号である場合が示され、通信方式SPIの場合には、複数のデジタル検出信号は、VDD信号、GND信号、MISO信号、MOSI信号、SCLK信号、及びCS信号から構成される。また、図11には、センサ部62により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合が示され、指センサ16が3軸加速度センサの場合には、複数のアナログ検出信号は、VDD信号、GND信号、及び複数の動作信号から構成されており、複数の動作信号は、指センサ16としての3軸加速度センサのX軸、Y軸、Z軸のそれぞれについてのVout(X)信号、Vout(Y)信号、Vout(Z)信号から構成される。
【0036】
図12には、センサ部62により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合のセンサ部62、合成信号出力部64、及び入力コード出力部28の接続関係が示されている。図12において、センサ部62からの複数の信号、すなわち、VDD信号、GND信号、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号は、合成信号出力部64に供給される。合成信号出力部64は、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号を時系列的に1つに統合して時系列信号Voutを出力するマルチプレクサを有しており、当該合成信号出力部64は、VDD信号、及びGND信号をそのまま入力コード出力部28に供給するが、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号については時系列的に1つに統合された時系列信号Voutを入力コード出力部28に供給する。このように、センサ部62から出力される信号の個数と比較して、合成信号出力部64から出力される信号の個数を減少させることができるので、合成信号出力部64と入力コード出力部28とを接続するハーネス22に含まれるワイヤの本数を減少させることができる。
【0037】
以下、図13、及び図14を参照しながら、合成信号出力部64内のマルチプレクサによる処理を説明する。図13には、センサ部62から出力される、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)の出力電圧が示され、図14には、これらのVout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号が時系列的に1つに統合され、合成信号出力部64内のマルチプレクサから出力される時系列信号Voutの出力電圧が示されている。
【0038】
図14において、時系列信号Voutは、周期TxにおいてVout(X)信号を示し、周期TyにおいてVout(Y)信号を示し、周期TzにおいてVout(Z)信号を示す。時系列信号Voutにおいて、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の直前には、これらの信号を識別するための識別部IDx、IDy、及びIDzがそれぞれ付加されている。ここで、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号は、正の出力電圧値を有するのに対し、識別部IDxは、負の出力電圧値を有し、識別部IDy、及びIDzは、0の出力電圧値を有するように設定されている。これにより、時系列信号Voutを受信した入力コード出力部28は、負の出力電圧値を有する識別部IDx、及び0の出力電圧値を有するIDy及びIDzを検出することにより、時系列信号VoutにおいてVout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の開始時点を認識することができる。なお、入力コード出力部28の処理周期を考慮して、信号Vout(X)、Vout(Y)、及びVout(Z)の周期Tx、周期Ty、及び周期Tzは、入力コード出力部28の処理周期の3倍以上に設定されている。
【0039】
なお、上記の構成では、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号は、正の出力電圧値を有するのに対し、識別部IDxは、負の出力電圧値を有し、識別部IDy、及びIDzは、0の出力電圧値を有するように設定されているが、本願は、これに限定されない。例えば、識別部IDx、識別部IDy、及び識別信号IDzの極性がVout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の極性と同じである場合に、VDD信号がある期間に一定の出力電圧であるときに、当該期間を識別部として認識するように構成することも可能である。
【0040】
以上説明したように、本願の実施の形態による入力装置によれば、合成信号出力部66は、センサ部62により生成された複数の検出信号を合成し、少ない個数の合成信号を出力するので、指センサ16と入力コード出力部28との間のハーネス22に含まれるワイヤの本数を減少させることができる。従って、ハーネス22の可撓性を向上させることができ、利用者が操作する際にハーネスが障害になることがない。
【0041】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、センサ部62としてX軸、Y軸、Z軸の3軸加速度センサが使用されているので、指の動作に対応するX軸、Y軸、及びZ軸方向の動きを少ない個数の合成信号で示すことができる。
【0042】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、複数の動作信号のそれぞれの直前に当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0043】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、複数の動作信号の極性と識別部の極性とが相違するので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0044】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、複数の動作信号の極性はプラスであり、識別部の極性はマイナスであるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0045】
なお、本願の実施の形態による入力装置においては、指センサ16の装着部として手の指が設定されているが、指センサ16を手の甲に装着してもよい。あるいは、指センサ16を全ての指に装着せず、全ての指の空間的な動きを検出できるような特定の指にだけ指センサ16を装着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は入力装置の分野に利用することが可能であり、特に仮想キーボードを用いた入力装置の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0047】
10、10L、10R:手
14、14−1〜14−10:指
16、16−1〜16−10:指センサ
22:ハーネス
28:入力コード出力部
32:動作パターン辞書部
34:動作パターン判断部
62:センサ部
64:合成信号出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置の技術分野に属し、より詳細には、指の空間的な動きに伴って変化する検出信号を検出し、当該検出された検出信号に対応する入力コードを出力する入力装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置等において、アルファベット等の文字を入力する際の入力装置として、各文字に対応し指により操作されるキーが配列されたキーボードが使用されている。このキーボードは、その配置のためのスペースが必要であり、省スペースの観点からキーボードの小型化が望まれている。しかし、キーボードのキーが指により操作される点を考慮すると、操作性の観点から、キーボードの小型化には限界がある。
【0003】
そこで、現在、入力装置として、キーボードの配置のためのスペースが不要である仮想キーボード装置が提案されている。この種のキーボード装置では、指にセンサを装着し、当該センサにより指の空間的な動作を検出し、当該検出した動作を示す動作信号に対応する入力コードが出力される。このような仮想キーボード装置に関する従来技術は、例えば、下記特許文献1乃至特許文献3に記載されている。
【0004】
特許文献1乃至特許文献2に示される電子楽器においては、指の動きを検出する曲げセンサを有する手袋を手に装着し、指の動きに応じた曲げセンサからの検出信号に基づいて、楽音の発生を制御する。また、特許文献3では、手の機能が制限された人用のデータ入力デバイスにおいて、指の動きを検出する曲げセンサを有する手袋を手に装着し、指の動きに応じた曲げセンサからの検出信号に基づいて、キーボードのキー入力として指の動きを認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−233442号公報
【特許文献2】特開平9−119806号公報
【特許文献3】特願2004−528660号(特表2006−503350号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1乃至特許文献2に示される電子楽器において、曲げセンサは、手袋の5個の指部のそれぞれに設けられ、各曲げセンサは、コードを介して楽音発生制御部に接続されている。また、特許文献3に示されるデータ入力デバイスでは、曲げセンサは、手袋の複数個所に設けられ、各曲げセンサは、データケーブルを介してカップリングに接続されている。
【0007】
前記曲げセンサに接続されるハーネス(コードあるいはデータケーブル)は、複数のワイヤ含む。ハーネスに含まれるワイヤの本数が多い場合には、ハーネスの可撓性が低下し、操作者が仮想キーボード装置について操作する際にハーネスが障害になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点等に鑑みて為されたものであり、その目的の一例は、検出手段に接続されるハーネスに含まれるワイヤの本数を減少させることにより、ハーネスの可撓性を向上させることができ、操作者が操作する際にハーネスが障害になることがない入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、指の空間的な動作に対応する入力コードを出力する入力装置において、利用者の指又は手の装着部に装着され、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を検出する検出手段と、前記検出手段にハーネスを介して接続され、当該検出手段により検出された前記検出信号に対応する入力コードを出力するコード出力手段と、を含み、前記検出手段は、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成する検出部と、前記検出部により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を、前記ハーネスを介して前記コード出力部へ出力する合成信号出力部と、を備え、前記コード出力手段は、前記合成信号出力部により出力された合成信号に基づいて、前記入力コードを出力することを特徴とする入力装置である。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記検出手段は、当該検出手段が装着されている前記装着部について予め設定されているX軸、Y軸、及びZ軸それぞれについて前記指の前記動作により前記装着部に発生する加速度を検出して前記動作を検出することを特徴とすることを特徴とする入力装置である。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の入力装置において、前記検出部により生成される複数の検出信号は、複数の動作信号を備えたアナログ検出信号であり、前記合成信号出力部は、前記アナログ検出信号のうちの複数の動作信号を時系列的に1つに統合して時系列信号を出力するマルチプレクサを含み、前記時系列信号において、前記複数の動作信号のそれぞれの直前には、当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されていることを特徴とする入力装置である。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の入力装置において、前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性と前記識別部の極性とは、相違することを特徴とする入力装置である。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性は、プラスであり、前記識別部の極性は、マイナスであることを特徴とする入力装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、合成信号出力部は、検出部により生成された複数の検出信号を合成し、少ない個数の合成信号を出力するので、検出手段とコード出力手段との間のハーネスに含まれるワイヤの本数を減少させることができる。従って、ハーネスの可撓性を向上させることができ、利用者が操作する際にハーネスが障害になることがない。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、指の動作に対応するX軸、Y軸、及びZ軸方向の動きを少ない個数の合成信号で示すことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、複数の動作信号のそれぞれの直前に当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、複数の動作信号の極性と識別部の極性とが相違するので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、複数の動作信号の極性はプラスであり、識別部の極性はマイナスであるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】仮想キーボード装置の構成を示す図である。
【図2】仮想キーボード装置の他の構成を示す図である。
【図3】指センサを示す図である。
【図4】静止状態での指センサの出力電圧を示すグラフ図である。
【図5】キー押下げ時における指センサの出力電圧を示すグラフ図である。
【図6】パターン判断部を含む入力コード出力部の構成を示す図である。
【図7】仮想キーボード装置の学習動作を示すフローチャート図である。
【図8】仮想キーボード装置を含むシステムを示す図である。
【図9】本願の実施の形態による仮想キーボード装置を示す図である。
【図10】センサ部により生成される複数の検出信号がデジタル信号である場合を示す図である。
【図11】センサ部により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合を示す図である。
【図12】センサ部により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合のセンサ部、合成信号出力部、及び入力コード出力部の接続関係を示すブロック図である。
【図13】センサ部から出力される、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の出力電圧を示す図である。
【図14】Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号が時系列的に1つに統合された時系列信号Voutの出力電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、仮想キーボード装置に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0021】
仮想キーボード装置の概略
まず、仮想キーボード装置の概略について説明する。
【0022】
図1には、仮想キーボード装置の構成が示されている。図1において、利用者の装着部としての左手10L及び右手10Rの指14−1乃至14−5及び14−6乃至14−10には、それぞれ、指センサ16−1乃至16−5及び16−6乃至16−10が装着されている。この指センサ16は、指の空間的な動作に伴って変化する動作信号を検出するセンサであり、例えば、加速度センサ又はジャイロセンサから構成されている。なお、指センサ16の詳細については、後述する。左手10L及び右手10Rの例えば手の甲には、それぞれ、データ収集部18、20が装着されており、当該データ収集部18、20には、指センサ16−1乃至16−5及び16−6乃至16−10からの動作信号がハーネス22−1乃至22−5及び22−6乃至22−10を介して供給される。データ収集部18、20は、それぞれ、無線部24、26を有しており、当該無線部24、26からの動作信号は、入力コード出力部28の無線部30に受信される。データ収集部18、20に収集された動作信号は有線(ハーネス)を介して、入力コード出力部28に受信されてもよい。
【0023】
入力コード出力部28は、無線部30に加え、動作パターン辞書部32、及び動作パターン判断部34を備えている。動作パターン辞書部32は、指の動作信号のパターンを示すパターン情報を記憶する記憶部である。前記動作パターン判断部34は、前記動作パターン辞書部32に記憶されているパターン情報に対応する動作信号と、前記無線部30から供給された動作信号とを比較し、検出された動作信号に対応する入力コードを出力する。前記出力された入力コードは、入力コード出力部28に設けられた無線部36から、文字表示器38の無線部40に送信される。文字表示器38は、表示部42を有しており、当該表示部42には、指の動作により入力された入力コードとして例えば文字コード44が表示される。この場合も、入力コード出力部28と文字表示器38は有線(ハーネス)で接続され、通信されてもよい。
【0024】
図2には、仮想キーボード装置の他の構成が示されている。前記図1の構成では、左手10L及び右手10Rにそれぞれデータ収集部18、20が装着されていたが、図2の構成では、データ収集部が設けられていない。そして、指センサ16−1乃至16−5及び16−6乃至16−10からの動作信号は、ハーネス22−1乃至22−5及び22−6乃至22−10を介して、入力コード出力部28の動作パターン判断部34に供給されることとなる。
【0025】
図3には、前記指センサ16の例として加速度センサが示されている。図3において、指センサ16は、3軸加速度センサであり、X軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれについて指の動作による加速度を検出する。なお、Z軸は、重力加速度の方向44を示す。
【0026】
図4には、指の静止状態での指センサ16の出力電圧の例が示されている。図4において、Z軸方向の出力電圧は、X軸方向及びY軸方向の出力電圧と比較して、重力加速度分(符号46を参照)だけ異なることが分かる。
【0027】
図5には、空間内でキー押下げ動作をした時の指センサ16の出力電圧が示されている。図5は、仮想キーボードにおいて文字Qのキーを押下げるように左手10Lの指を動作させた場合の指センサの出力電圧を示している。尚、本発明の仮想キーボードのキー配列はJIS配列を採用している。図5の上段、中段、及び下段のグラフは、それぞれ、小指14−6、薬指14−4、及び親指14−1に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧を示す。なお、他の指に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧につぃては、図示を省略する。そして、図5において、文字Qのキーを押下げる際(符合48で示す時間を参照)には、小指14−5の動作が大きく、すなわち、図5の上段に示されるように、小指14−5に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧の変化は、他の指に装着された加速度センサのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の出力電圧の変化と比較して、大きいことが分かる。
【0028】
図6には、動作パターン判断部34を含む入力コード出力部の構成が示されている。図6において、例えば左手について考えると、指14のそれぞれについて指センサ16が装着され、1つの指センサ16は、3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)の動作信号を出力する。従って、動作パターン判断部34には、5×3=15個の動作信号50が供給される。なお、15個の動作信号50、すなわち、15個のデータを、ニューラルネットワークを用いて各文字52にマッピングすることにより学習を行い、動作パターン辞書部32における辞書パターンを作成又は更新する。この学習動作について、図7を用いて説明する。
【0029】
図7には、仮想キーボード装置の学習動作を示すフローチャートが示されている。図7において、ステップS10で電源をオンにし、ステップS12に進む。そして、ステップS12で入力操作者の判断により学習モードであると、ステップS14に進み、キーボードを入力コード出力部28(図1、2を参照)に接続する。ステップS16でキーボードを打鍵し、ステップS18で、この打鍵時の指センサ16の加速度データの読み込みを行い、ステップS20で、加速度データの必要個所のデータ加工(例えば加速度データの変化時点から±500msにおけるデータ加工)を行う。ステップS22で、ニューラルネットワークで学習し、ステップS24で、新しい辞書パターンを構築し、ステップS26で入力操作者の判断により学習終了でないと、ステップS16に戻り、一方、ステップS26で入力操作者の判断により学習終了であると、ステップS28に進む。なお、前記ステップS12で入力操作者の判断により学習モードでないと、ステップS28に進む。
【0030】
ステップS28で、指センサの加速度データの読込みが行われ、ステップS30で、加速度データをデータテーブル値と比較し、手、指が動いたか否かが判断される。ステップS30でNoの場合には、ステップS28に戻り、ステップS30でYesの場合には、ステップS32に進み、加速度データの必要個所のデータ加工(例えば指センサの変化時点から±500msにおけるデータ加工)を行う。ステップS34で、加速度データに基づく指の動作がデータベースとして保有されている辞書パターンと比較され、ステップS36で、最も近い入力コードに対応した入力コードが出力され、ステップS38で、当該入力コードは、パーソナルコンピュータ等の文字出力機器に送信され、ステップS40に進む。
【0031】
ステップS40で入力操作者の判断により入力を継続しない場合には、ステップS42で電源がオフにされ、一方、ステップS40で入力操作者の判断により入力を継続する場合には、ステップS44に進む。ステップS44で、入力操作者が表示画面60(後述する図8を参照)を見ることにより入力操作者の判断により正確な文字入力がされている場合には、ステップS28に進み、一方、ステップS44で、入力操作者が表示画面60(後述する図8を参照)を見ることにより入力操作者の判断により正確な文字入力がされていない場合には、ステップS12に進む。
【0032】
なお、上記図7のフローチャートにおいて、ステップS12、S26、S40、及びS44における入力操作者の判断について説明すると、データ収集部18、若しくは20に操作ボタンを設け、入力操作者(すなわち利用者)は、判断に応じた操作を当該操作ボタンに対して行い、仮想キーボード装置は、当該操作ボタンに対して行われた操作に応じて判断を行う。
【0033】
図8には、仮想キーボード装置を含むシステムが示されている。図8において、各指に装着される指センサ16からの動作信号は、動作パターン判断部34に供給され、当該動作パターン判断部34は、指センサ16からの動作信号と、動作パターン辞書部32に記憶されているパターン情報に対応する動作信号とを比較し、検出された動作信号に対応する入力コードをパーソナルコンピュータ56に供給する。パーソナルコンピュータ56は、入力コードを表示装置58に出力し、入力コードにより示される文字、例えばA、B、C、・・・の列59が表示装置58の表示画面60に表示されるようにする。
【0034】
本願の実施の形態による仮想キーボード装置
図9には、本願の実施の形態による仮想キーボード装置が示されている。図9において、指センサ16は、指14の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成するセンサ部62と、当該センサ部62により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を出力する合成信号出力部64と、から構成されている。なお、センサ部62は、前述した3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)の加速度センサから構成される。指センサ16の合成信号出力部64からの合成信号は、ハーネス22を介して入力コード出力部28に供給される。なお、入力コード出力部28は、前述したように、動作パターン辞書部32及び動作パターン判断部34を備える。
【0035】
図10には、センサ部62により生成される複数の検出信号がデジタル信号である場合が示され、通信方式SPIの場合には、複数のデジタル検出信号は、VDD信号、GND信号、MISO信号、MOSI信号、SCLK信号、及びCS信号から構成される。また、図11には、センサ部62により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合が示され、指センサ16が3軸加速度センサの場合には、複数のアナログ検出信号は、VDD信号、GND信号、及び複数の動作信号から構成されており、複数の動作信号は、指センサ16としての3軸加速度センサのX軸、Y軸、Z軸のそれぞれについてのVout(X)信号、Vout(Y)信号、Vout(Z)信号から構成される。
【0036】
図12には、センサ部62により生成される複数の検出信号がアナログ信号である場合のセンサ部62、合成信号出力部64、及び入力コード出力部28の接続関係が示されている。図12において、センサ部62からの複数の信号、すなわち、VDD信号、GND信号、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号は、合成信号出力部64に供給される。合成信号出力部64は、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号を時系列的に1つに統合して時系列信号Voutを出力するマルチプレクサを有しており、当該合成信号出力部64は、VDD信号、及びGND信号をそのまま入力コード出力部28に供給するが、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号については時系列的に1つに統合された時系列信号Voutを入力コード出力部28に供給する。このように、センサ部62から出力される信号の個数と比較して、合成信号出力部64から出力される信号の個数を減少させることができるので、合成信号出力部64と入力コード出力部28とを接続するハーネス22に含まれるワイヤの本数を減少させることができる。
【0037】
以下、図13、及び図14を参照しながら、合成信号出力部64内のマルチプレクサによる処理を説明する。図13には、センサ部62から出力される、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)の出力電圧が示され、図14には、これらのVout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号が時系列的に1つに統合され、合成信号出力部64内のマルチプレクサから出力される時系列信号Voutの出力電圧が示されている。
【0038】
図14において、時系列信号Voutは、周期TxにおいてVout(X)信号を示し、周期TyにおいてVout(Y)信号を示し、周期TzにおいてVout(Z)信号を示す。時系列信号Voutにおいて、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の直前には、これらの信号を識別するための識別部IDx、IDy、及びIDzがそれぞれ付加されている。ここで、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号は、正の出力電圧値を有するのに対し、識別部IDxは、負の出力電圧値を有し、識別部IDy、及びIDzは、0の出力電圧値を有するように設定されている。これにより、時系列信号Voutを受信した入力コード出力部28は、負の出力電圧値を有する識別部IDx、及び0の出力電圧値を有するIDy及びIDzを検出することにより、時系列信号VoutにおいてVout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の開始時点を認識することができる。なお、入力コード出力部28の処理周期を考慮して、信号Vout(X)、Vout(Y)、及びVout(Z)の周期Tx、周期Ty、及び周期Tzは、入力コード出力部28の処理周期の3倍以上に設定されている。
【0039】
なお、上記の構成では、Vout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号は、正の出力電圧値を有するのに対し、識別部IDxは、負の出力電圧値を有し、識別部IDy、及びIDzは、0の出力電圧値を有するように設定されているが、本願は、これに限定されない。例えば、識別部IDx、識別部IDy、及び識別信号IDzの極性がVout(X)信号、Vout(Y)信号、及びVout(Z)信号の極性と同じである場合に、VDD信号がある期間に一定の出力電圧であるときに、当該期間を識別部として認識するように構成することも可能である。
【0040】
以上説明したように、本願の実施の形態による入力装置によれば、合成信号出力部66は、センサ部62により生成された複数の検出信号を合成し、少ない個数の合成信号を出力するので、指センサ16と入力コード出力部28との間のハーネス22に含まれるワイヤの本数を減少させることができる。従って、ハーネス22の可撓性を向上させることができ、利用者が操作する際にハーネスが障害になることがない。
【0041】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、センサ部62としてX軸、Y軸、Z軸の3軸加速度センサが使用されているので、指の動作に対応するX軸、Y軸、及びZ軸方向の動きを少ない個数の合成信号で示すことができる。
【0042】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、複数の動作信号のそれぞれの直前に当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0043】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、複数の動作信号の極性と識別部の極性とが相違するので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0044】
また、本願の実施の形態による入力装置によれば、複数の動作信号の極性はプラスであり、識別部の極性はマイナスであるので、当該識別部により、複数の動作信号を識別することができる。
【0045】
なお、本願の実施の形態による入力装置においては、指センサ16の装着部として手の指が設定されているが、指センサ16を手の甲に装着してもよい。あるいは、指センサ16を全ての指に装着せず、全ての指の空間的な動きを検出できるような特定の指にだけ指センサ16を装着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は入力装置の分野に利用することが可能であり、特に仮想キーボードを用いた入力装置の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0047】
10、10L、10R:手
14、14−1〜14−10:指
16、16−1〜16−10:指センサ
22:ハーネス
28:入力コード出力部
32:動作パターン辞書部
34:動作パターン判断部
62:センサ部
64:合成信号出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の空間的な動作に対応する入力コードを出力する入力装置において、
利用者の指又は手の装着部に装着され、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を検出する検出手段と、
前記検出手段にハーネスを介して接続され、当該検出手段により検出された前記検出信号に対応する入力コードを出力するコード出力手段と、を含み、
前記検出手段は、
前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成する検出部と、
前記検出部により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を、前記ハーネスを介して前記コード出力部へ出力する合成信号出力部と、を備え、
前記コード出力手段は、前記合成信号出力部により出力された合成信号に基づいて、前記入力コードを出力することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記検出手段は、当該検出手段が装着されている前記装着部について予め設定されているX軸、Y軸、及びZ軸それぞれについて前記指の前記動作により前記装着部に発生する加速度を検出して前記動作を検出することを特徴とすることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の入力装置において、
前記検出部により生成される複数の検出信号は、複数の動作信号を備えたアナログ検出信号であり、
前記合成信号出力部は、前記アナログ検出信号のうちの複数の動作信号を時系列的に1つに統合して時系列信号を出力するマルチプレクサを含み、
前記時系列信号において、前記複数の動作信号のそれぞれの直前には、当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されていることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の入力装置において、
前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性と前記識別部の極性とは、相違することを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置において、
前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性は、プラスであり、前記識別部の極性は、マイナスであることを特徴とする入力装置。
【請求項1】
指の空間的な動作に対応する入力コードを出力する入力装置において、
利用者の指又は手の装着部に装着され、前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を検出する検出手段と、
前記検出手段にハーネスを介して接続され、当該検出手段により検出された前記検出信号に対応する入力コードを出力するコード出力手段と、を含み、
前記検出手段は、
前記指の空間的な動きに伴って変化する複数の検出信号を生成する検出部と、
前記検出部により生成された複数の検出信号を合成し、前記複数の検出信号の個数よりも少ない個数の合成信号を、前記ハーネスを介して前記コード出力部へ出力する合成信号出力部と、を備え、
前記コード出力手段は、前記合成信号出力部により出力された合成信号に基づいて、前記入力コードを出力することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記検出手段は、当該検出手段が装着されている前記装着部について予め設定されているX軸、Y軸、及びZ軸それぞれについて前記指の前記動作により前記装着部に発生する加速度を検出して前記動作を検出することを特徴とすることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の入力装置において、
前記検出部により生成される複数の検出信号は、複数の動作信号を備えたアナログ検出信号であり、
前記合成信号出力部は、前記アナログ検出信号のうちの複数の動作信号を時系列的に1つに統合して時系列信号を出力するマルチプレクサを含み、
前記時系列信号において、前記複数の動作信号のそれぞれの直前には、当該複数の動作信号を識別するための識別部が付加されていることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の入力装置において、
前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性と前記識別部の極性とは、相違することを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置において、
前記時系列信号において、前記複数の動作信号の極性は、プラスであり、前記識別部の極性は、マイナスであることを特徴とする入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−238210(P2010−238210A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88474(P2009−88474)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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