説明

入力装置

【目的】 磁気センサの数を低減し、低コスト化を図ることができる入力装置を提供する。
【構成】 4方向にスライド操作可能な操作部材100と、スライダ200a、200b、200cと、スライダ200cのフランジ220cにX及び−X方向に間隔を空けて配設され且つ互いに磁極が逆である磁石611a、612aと、フランジ220cにY及び−Y方向に間隔を空けて配設され且つ互いに磁極が逆である磁石611b、612bと、原点位置で磁石611a、612aとの間の中間地点の下側に配置される磁気センサ620aと、原点位置で磁石611b、612bとの間の中間地点の下側に配置される磁気センサ620bとを備える。磁気センサ620aは、接近する磁石611a、612aの磁極に応じた信号を出力し、磁気センサ620bは、接近する磁石611b、612bの磁極に応じた信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともX、−X、Y及び−Y方向に移動操作可能な入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の入力装置としては、X、−X、Y及び−Y方向へ移動操作を検出する第1検出部と、押下操作を検出する第2検出部とを備えているものがある。第1検出部は、操作部材の基部X、−X、Y及び−Y方向に対応する位置に各々設けられた4つの磁石と、プリント基板上に前記磁石に対応するように配置された4つのホール素子とを有している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−288459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように第1検出部は4つの磁石と4つのホール素子を必要としている。このため、部品点数が増加し、複合操作型入力装置のコスト高の要因となっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、磁気センサの数を低減し、低コスト化を図ることができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の入力装置は、所定の原点位置から少なくとも相対する2方向に移動操作可能な操作部材と、操作部材の移動方向に沿って間隔を空けて配置されており且つ該操作部材の移動に応じて移動する一対の磁石と、前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記磁石の間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される磁気センサとを備えている。前記磁石は前記磁気センサ側の磁極が互いに逆になっている。前記磁気センサは、前記操作部材の移動に応じて接近する前記磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。
【0007】
このような第1の入力装置による場合、前記操作部材の相対する移動に応じて前記磁石の一方が前記磁気センサに接近すると、該磁気センサが前記磁石の一方の磁極に応じた信号を出力するようになっている。このように操作部材の2方向の移動を一つの磁気センサで検出することができるため、従来例に比べて磁気センサの数を減らすことができる。よって、前記第1の入力装置の部品点数の低減及び構成の簡略化を図ることができ、その結果として前記第1の入力装置の低コスト化を図ることができる。
【0008】
本発明の第2の入力装置は、所定の原点位置から少なくともX、−X、Y及び−Y方向に移動操作可能な操作部材と、前記操作部材のX、−X方向に対応する位置に配設され且つ互いに磁極が逆である第1、第2磁石と、前記操作部材のY、−Y方向に対応する位置に配設され且つ互いに磁極が逆である第3、第4磁石と、前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第1磁石と前記第2磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第1磁気センサと、前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第3磁石と前記第4磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第2磁気センサとを備えている。前記第1磁気センサは、前記操作部材のX、−X方向の移動に応じて接近する前記第1、第2磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。前記第2磁気センサは、前記操作部材のY、−Y方向の移動に応じて接近する前記第3、第4磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。
【0009】
このような第2の入力装置による場合、前記操作部材のX、−X方向の移動に応じて前記第1、第2磁石が前記第1磁気センサに接近すると、該第1磁気センサが前記第1、第2磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっており、前記操作部材のY、−Y方向の移動に応じて前記第3、第4磁石が前記第2磁気センサに接近すると、該第2磁気センサが前記第3、第4磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。このように2つの第1、第2の磁気センサで操作部材のX、−X、Y及び−Y方向への操作移動を検出することができるため、従来例に比べて磁気センサの数を減らすことができる。よって、前記第2の入力装置の部品点数の低減及び構成の簡略化を図ることができ、その結果として前記第2の入力装置の低コスト化を図ることができる。
【0010】
前記第2の入力装置は、前記操作部材のX、−X、Y及び−Y方向側に配置された第1、第2、第3及び第4側壁部と、前記第1、第2、第3及び第4側壁部と前記操作部材との間に各々介在し、該操作部材を原点位置へ付勢する第1、第2、第3及び第4付勢手段とを更に備えた構成とすることができる。この場合、前記操作部材が原点位置からX、−X、Y、−Y方向に移動操作されると、前記操作部材と前記第1、第2、第3、第4側壁部との間で第1、第2、第3、第4付勢手段が圧縮される。これにより増加する第1、第2、第3、第4付勢手段の付勢力により前記操作部材を原点位置へ復帰させることができる。また、第1、第2、第3及び第4付勢手段によりX、−X、Y及び−Y方向から操作部材を付勢する構成であるため、第1、第2、第3及び第4付勢手段を交換することにより、操作部材の操作感及びストロークの調整が可能である。また、第1、第2、第3及び第4付勢手段のうち一部に他と付勢力が異なるものを用いることにより、操作部材の所定方向の操作感と他の方向の操作感とを異ならせることもできる。
【0011】
本願の第3の入力装置は、所定の原点位置から少なくともX、−X、Y及び−Y方向に移動操作可能な操作部材と、前記操作部材が貫通しており且つ該操作部材のX、−X方向の移動と共に、X、−X方向に移動する第1スライダと、前記操作部材が貫通しており且つ該操作部材のY、−Y方向の移動と共に、Y、−Y方向に移動する第2スライダと、前記第1スライダにX及び−X方向に間隔を空けて配設され且つ互いに磁極が逆である第1、第2磁石と、前記第2スライダにY及び−Y方向に間隔を空けて配設され且つ互いに磁極が逆である第3、第4磁石と、前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第1磁石と前記第2磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第1磁気センサと、前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第3磁石と前記第4磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第2磁気センサとを備えている。前記第1磁気センサは、前記操作部材のX、−X方向の移動に応じて接近する前記第1、第2磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。前記第2磁気センサは、前記操作部材のY、−Y方向の移動に応じて接近する前記第3、第4磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。
【0012】
このような第3の入力装置による場合、前記操作部材のX、−X方向の移動に応じて前記第1、第2磁石が前記第1磁気センサに接近すると、該第1磁気センサが前記第1、第2磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっており、前記操作部材のY、−Y方向の移動に応じて前記第3、第4磁石が前記第2磁気センサに接近すると、該第2磁気センサが前記第3、第4磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっている。このように2つの第1、第2の磁気センサで操作部材のX、−X、Y及び−Y方向への操作移動を検出することができるため、従来例に比べて磁気センサの数を減らすことができる。よって、前記第3の入力装置の部品点数の低減及び構成の簡略化を図ることができ、その結果として前記第3の入力装置の低コスト化を図ることができる。
【0013】
前記第3の入力装置は、前記第1スライダにY、−Y方向に移動自在に組み合わせられると共に、前記第2スライダにX、−X方向に移動自在に組み合わせられた第3スライダを更に備えた構成とすることができる。前記第3スライダは、前記第1スライダのX、−X方向への移動に応じてX、−X方向に移動する一方、前記第2スライダのY、−Y方向への移動に応じてY、−Y方向に移動するようになっている。前記第1、第2磁石は、前記第1スライダではなく、前記第3スライダにX及び−X方向に間隔を空けて配設されている。前記第3、第4磁石は、前記第2スライダではなく、前記第3スライダにY及び−Y方向に間隔を空けて配設されている。
【0014】
前記第3の入力装置は、前記操作部材のX、−X、Y及び−Y方向側に配置された第1、第2、第3及び第4側壁部と、前記第1側壁部と前記第1スライダとの間に介在し、該第1スライダを−X方向に付勢する第1付勢手段と、前記第2側壁部と前記第1スライダとの間に介在し、該第1スライダをX方向に付勢する第2付勢手段と、前記第3側壁部と前記第2スライダとの間に介在し、該第2スライダを−Y方向に付勢する第3付勢手段と、前記第4側壁部と前記第2スライダとの間に介在し、該第2スライダをY方向に付勢する第4付勢手段とを更に備えた構成とすることができる。この場合、前記操作部材が原点位置からX、−X方向に移動操作されると、前記第1スライダと前記第1、第2側壁部との間で第1、第2付勢手段が圧縮される。これにより増加する第1、第2付勢手段の付勢力により前記操作部材を原点位置へ復帰させることができる。前記操作部材が原点位置からY、−Y方向に移動操作されると、前記第2スライダと前記第3、第4側壁部との間で第3、第4付勢手段が圧縮される。これにより増加する第3、第4付勢手段の付勢力により前記操作部材を原点位置へ復帰させることができる。また、第1、第2、第3及び第4付勢手段により前記第1、第2スライダを介してX、−X、Y及び−Y方向から操作部材を付勢する構成であるため、第1、第2、第3及び第4付勢手段を交換することにより、操作部材の操作感及びストロークの調整が可能である。また、第1、第2、第3及び第4付勢手段のうち一部に他と付勢力が異なるものを用いることにより、操作部材の所定方向の操作感と他の方向の操作感とを異ならせることもできる。
【0015】
前記第1、第2、第3及び第4付勢手段は、ベース部と、可動部と、前記ベース部上に設けられ且つ前記可動部を支持する支持部とを有する構成とすることができる。前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位するようになっている。この場合、前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位することにより、前記操作部材のX、−X、Y及び−Y方向への移動操作に操作感(クリック感)が生じる。よって、前記操作部材の操作性が向上する。
【0016】
前記操作部材が原点位置からX、−X、Y及び−Y方向に直交する−Z方向に押下操作可能になっている場合、前記第2、第3の入力装置は、前記操作部材をZ方向に付勢する第5付勢手段と、前記操作部材の−Z方向側の端部又は第5付勢手段に設けられ且つ前記操作部材の−Z方向側への移動に応じて−Z方向へ移動する第5磁石と、前記第5磁石の−Z方向側に配置されており且つ前記第5磁石の−Z方向側への移動に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第3磁気センサとを更に備えた構成とすることができる。この場合、第5付勢手段の付勢力により押下操作された操作部材が原点位置に復帰する。また、第5付勢手段が−Z方向側から操作部材を付勢する構成であるため、第5付勢手段を交換することにより、操作部材の操作力及びストロークの調整が可能である。
【0017】
前記第5付勢手段は、ベース部と、可動部と、前記ベース部上に設けられ且つ前記可動部を支持する支持部とを有する構成とすることができる。前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位するようになっている。この場合、前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位することにより、前記操作部材の押下移動操作に操作感(クリック感)が生じ、該操作部材の操作性が向上する。
【0018】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合、前記第2、第3の入力装置は、前記操作部材に前記周方向に沿って環状に磁極が交互に入れ替わるように配列されており、且つ前記操作部材の回転に応じて回転する複数の第6磁石と、前記第6磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第6磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えた構成とすることができる。また、前記第6磁石に代えて第7磁石を用いることも可能である。第7磁石は、前記操作部材に設けられており且つ前記周方向に沿って磁極が交互に入れ替わるように着滋されたリング体であって、前記操作部材の回転に応じて回転するようになっている。この場合、第4磁気センサは、前記第7磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力するようになっている。
【0019】
この場合、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7磁石と前記第1、第2、第3、第4磁気センサとが非接触であるため、両者の電気接続が不要であり且つ両者の接触不良等による信頼性の劣化等が生じることもない。また、操作部材のX、−X、Y及び−Y方向の移動を検出する前記第1、第2、第3、第4磁石及び第1、第2磁気センサと、操作部材の押下移動を検出する前記第5磁石及び第3磁気センサと、操作部材の回転移動を検出する前記第6又は第7磁石、及び第4磁気センサとが各々独立しているため、寸法調整や感度調整を柔軟に行うことができる。
【0020】
前記第2、第3の入力装置は、前記操作部材の回転と共に前記周方向に回転する回転体を更に備えた構成とすることができる。この場合、前記第6磁石又は第7磁石が前記操作部材ではなく、前記回転体に取り付けることができる。
【0021】
前記第3スライダは角筒状のボックス部を有する構成とすることができる。この場合、前記操作部材は前記ボックス部上に設置されており且つ該ボックス部と外形が略同じ略矩形状のプレートを有している。前記第2スライダは、前記プレート上に設置されたスライド部と、このスライド部に設けられた一対のアーム部を有している。前記第1スライダは、前記第2スライダのスライド部上に設置されたスライド部と、このスライド部に設けられた一対のアーム部を有している。前記第2スライダの前記アーム部が前記ボックス部及びプレートのY、−Y又はX、−X方向側の外面に、前記第1スライダの前記アーム部が前記ボックス部及びプレートのX、−X又はY、−Y方向側の外面に各々当接している。この場合、前記第3スライダのボックス部上に、前記操作部材のプレート、前記第2スライダのスライド部及び前記第1スライダのスライド部をこの順で積層すると共に、前記第2スライダの前記アーム部が前記ボックス部及びプレートのY、−Y又はX、−X方向側の外面に、前記第1スライダの前記アーム部が前記ボックス部及びプレートのX、−X又はY、−Y方向側の外面に各々当接させるだけで、前記操作部材、第1、第2及び第3スライダを組み合わせることができる。よって、前記操作部材、第1、第2及び第3スライダの組み合わせが簡単になり、製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
前記操作部材は、前記プレートを周方向に回転自在に貫通するシャフトを更に有する構成とすることができる。前記シャフトの−Z方向側の端部及び回転体は、前記第3スライダのボックス部内に収容されていることが好ましい。この場合、前記シャフトの−Z方向側の端部及び回転体が第3スライダとZ又は−Z方向に並列配置された場合に比べて、前記第2、第3の入力装置の装置高を低減することができる。
【0023】
前記前記第5付勢手段は、前記操作部材と前記回転体との間に配置することができる。この場合、前記シャフトの−Z方向側の端部、第5付勢手段及び回転体は、前記第3スライダのボックス部内に収容されていることが好ましい。この場合、前記シャフトの−Z方向側の端部、第5付勢手段及び回転体が第3スライダとZ又は−Z方向に並列配置された場合に比べて、前記第2、第3の入力装置の装置高を低減することができる。
【0024】
前記第2、第3の入力装置は、前記操作部材の−Z方向側に配置された基板を更に備えた構成とすることができる。この場合、前記基板上には前記第1、第2、第3及び第4磁気センサが実装されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る入力装置の概略図であって、(a)が斜視図、(b)が図1(a)中のA−A断面図である。
【図2】前記入力装置の上方から見た分解斜視図である。
【図3】前記入力装置の下方から見た分解斜視図である。
【図4】(a)は、前記入力装置のカバーを取り外し且つ第1、第2、第3スライダを透過させた状態を示す状態を示す概略的平面図、(b)は第1スライダを除去し、第2、第3スライダの位置関係を示す模式的平面図、(c)は第2スライダを除去し、第1、第3スライダの位置関係を示す模式的平面図である。
【図5】前記入力装置のケースの概略図であって、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が底面図、(d)が図4(b)中B−B断面図である。
【図6】(a)が前記入力装置の第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石と第1、第2、第3、第4磁気センサとの位置関係を示す模式的平面図、(b)が前記入力装置の第3スライダ及び回転体と第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石との位置関係を示す模式的平面図、(c)が前記入力装置の基板上の第1、第2、第3、第4磁気センサの位置関係を示す模式的平面図である。
【図7】前記入力装置のカバーを取り外し且つ第1、第2、第3スライダを透過させた状態を示す状態を示す概略的平面図であって、操作部材が−X方向に移動操作された状態を示す図である。
【図8】(a)は操作部材がX方向に移動操作された状態の第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石と第1、第2、第3、第4磁気センサとの位置関係を示す模式的平面図、(b)は操作部材が−X方向に移動操作された状態の第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石と第1、第2、第3、第4磁気センサとの位置関係を示す模式的平面図である。
【図9】前記入力装置のカバーを取り外し且つ第1、第2、第3スライダを透過させた状態を示す状態を示す概略的平面図であって、操作部材がY方向に移動操作された状態を示す図である。
【図10】(a)は操作部材がY方向に移動操作された状態の第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石と第1、第2、第3、第4磁気センサとの位置関係を示す模式的平面図、(b)は操作部材が−Y方向に移動操作された状態の第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石と第1、第2、第3、第4磁気センサとの位置関係を示す模式的平面図である。
【図11】操作部材がY及び−X方向に移動操作された状態の第1、第2、第3、第4、第5、第6磁石と第1、第2、第3、第4磁気センサとの位置関係を示す模式的平面図である。
【図12】前記入力装置の図1(a)中のA−A断面図であって、操作部材が−Z方向に押下操作された状態を示す図である。
【図13】前記入力装置の第7磁石に替えて複数の第6磁石が取り付けられた状態を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る入力装置について図1乃至図12を参照しつつ説明する。図1に示す入力装置は、操作部材100を原点位置からX、−X、Y、−Y、XY、−X−Y、X−Y、−XYの8方向へスライド操作入力可能なスライド操作入力機能、操作部材100を原点位置から−Z方向へ押下操作入力可能な押下操作入力機能及び操作部材100を周方向へ回転操作入力可能な回転操作入力機能を備えた複合操作型入力装置である。この入力装置は、操作部材100と、第1、第2、第3スライダ200a、200b、200cと、回転体300と、ケース400と、第1、第2の原点復帰機構500a、500bと、第1、第2のスライド検出部600a、600bと、押下検出部700と、回転検出部800と、基板900とを備えている。以下、各部について詳しく説明する。
【0027】
基板900は、図1、図2、図3及び図6(c)に示すように、周知のプリント基板である。この基板900は、略矩形状の基板本体の四辺に複数の外部接続端子910が突設された構成となっている。この外部接続端子910は本入力装置が備えられる電子機器のメイン基板等に直接又はリード線等を用いて間接的に接続されている。また、基板900の4つ角部には位置決め孔920が各々設けられている。
【0028】
ケース400は、図1乃至図5に示すように、ボディ410と、カバー420とを有している。ボディ410は、基板900上に載置された有底の略角筒状の射出成形品であって、4つの側壁部411、412、413、414(第1、第2、第3、第4側壁部)を有している。この側壁部411、412、413、414はボディ410の底板部の4辺部に立設された矩形状の板体であって、操作部材100の周りのX、−X、Y、−Y方向側に配置されている。側壁部411、412、413、414の上端部には、ガイド凹部411a、412a、413a、414aが設けられている。ガイド凹部411a、412aはY及び−Y方向に延びており、ガイド凹部413a、414aはX及び−X方向に延びている。ガイド凹部411a、412a、413a、414aの底面には、図5に示すように、上方に凸の一対の突起が各々設けられている。また、側壁部411、412、413、414の内面には、保持部411b、412b、413b、414bが設けられている。保持部411b、412b、413b、414bは、略U字状のポケットであって、その断面形状が略L字状になっている。また、ボディ410の底板部には、図5(b)及び図5(c)に示すように、厚み方向に貫通する収容孔415が4つ開設されている。この収容孔415に、第1、第2のスライド検出部600a、600bの磁気センサ620a、620b、押下検出部700の磁気センサ720、回転検出部800の磁気センサ820が各々収容されている。また、ボディ410の底板部には、下方に凸の4つの位置決め用のボス416が設けられている。このボス416が基板900の位置決め孔920に各々嵌合する。
【0029】
カバー420は、図1乃至図3に示すように、ボディ410に被せられた略矩形状のカップ体である。このカバー420の天板には、略矩形状の開口421が設けられている。また、前記天板の四辺部から垂下された4つの側壁部の下端には複数の係止片422が延設されている。この係止片422が略L字状に折り曲げられ、基板900の裏面に当接している。これにより、カバー420及びボディ410が基板900上に固定されている。
【0030】
第3スライダ200cは、図1(b)、図2及び図4(a)に示すように、ボディ410内に収容され、該ボディ410の底板部の突起上に基板900に沿ってスライド移動自在に載置されている。この第3スライダ200cは、有底の角筒状のボックス部210cの4つの角部の下端部に4つの略矩形状のフランジ220cが突設された形状となっている。図4(b)及び図6(b)に示すように、Y及び−Y方向に隣り合うフランジ220cの間には隙間230cが、X及び−X方向に隣り合うフランジ220cの間には隙間240cが生じている。また、ボックス部210cの底部には円形の貫通孔が設けられている。このボックス部210cの貫通孔の周縁部250c及びフランジ220cが、図1(b)に示すように、ボディ410の底板部の突起上に載置される部分となっている。
【0031】
回転体300は、図1(b)、図2及び図3に示すように、第3スライダ200c内に配置されている。この回転体300は、円筒状の円筒部310の外周面の下端部にリング状の鍔部320が設けられた構成となっている。鍔部320の外縁部が第3スライダ200cの周縁部250c上に回転自在に支持されている。また、円筒部310の内周面の下端部にはリング状の載置部311が設けられている。この載置部311の中央部には円形の貫通孔が開設されている。円筒部310の上端部には、図2及び図3に示すように、ガイド凹部312が設けられている。
【0032】
操作部材100は、図1(b)、図2及び図3に示すように、シャフト110と、固定部120とを有している。固定部120は、略矩形状のプレート121と、このプレート121を厚み方向に貫通する円筒状のガイド部122と、プレート121の下面に設けられた円筒部123とを有している。プレート121は、その外形が第3スライダ200cのボックス部210cの外形と略同じ板体であるである。すなわち、プレート121の外周縁部が第3スライダ200cのボックス部210cの上端部に載置され、該ボックス部210cの上側開口を塞ぐ蓋として機能するようになっている。円筒部123には、放射状に4つの係止凸部123aが設けられている。この係止凸部123aがボックス部210cの係止凹部211cに挿入されるようになっている。シャフト110は、円柱状の本体部111の下端部に下向きの円形のカップ体である連結部112が設けられた構成となっている。本体部111はガイド部122内にZ及び−Z方向に移動自在及び周方向に回転自在に挿入されている。この本体部111及びガイド部122が後述する第1、第2スライダ200a、200bの長孔211a、213b及びカバー420の開口421を通って外部に操作可能に突出している。本体部111の中心とカバー420の開口421の中心とが略一致する位置が操作部材100の上記原点位置となっている。操作部材100は、原点位置から周囲の任意方向にスライド操作可能になっている。また、連結部112の内径は回転体300の円筒部310の外径よりも若干大きくなっている。すなわち、連結部112内に円筒部310がZ及び−Z方向に移動自在に挿入されている。連結部112内には、図3に示すように、十字凸部112aが設けられている。この十字凸部112aの中心部は、第2の原点復帰機構500bのラバー510bを介して回転体300の載置部311上に載置されている。また、十字凸部112aの端部が円筒部310のガイド凹部312にZ及び−Z方向に移動自在に挿入されている。これにより、シャフト110が回転体300に対してZ及び−Z方向に移動自在となると共に、シャフト110が回転体300と共に周方向に回転自在となっている。
【0033】
第2の原点復帰機構500bは、操作部材100のシャフト110の下端部(十字凸部112a)と回転体300の載置部311との間に介在するラバー510b(第5付勢手段)を有している。ラバー510bは、リング状のベース部511bと、ベース部511bの内径よりも外径が小さい円柱状の可動部512bと、上方に向けて漸次縮径する円筒状の支持部513bと有している。支持部513bは、ベース部511bの内縁部上に設けられている。可動部512bは支持部513bの上端部に設けられている。すなわち、可動部512bは支持部513aによりベース部511b上で支持されている。ベース部511bは載置部311上に載置されている。可動部512aはシャフト110の下端部(十字凸部112a)に当接し、該シャフト110を支持している。シャフト110が−Z方向に移動する際に、ラバー510bがシャフト110の下端部(十字凸部112a)と回転体300の載置部311との間で圧縮されると、支持部513bが弾性変形して屈曲し、可動部512bがベース部511b側に位置変位する。これにより、ラバー510bにシャフト110をZ方向に付勢する付勢力が生じる。この付勢力により、−Z方向に操作されたシャフト110を原点位置に復帰させるようになっている。また、支持部513bの屈曲及び可動部512bの位置変位により、操作部材100の−Z方向への押下操作にクリック感が生じる。
【0034】
第2スライダ200bは、図1(b)、図2、図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、X及び−X方向に延びる長板状のスライド部210bを有している。このスライド部210bは操作部材100のプレート121上に載置されている。また、スライド部210bの中央部には、X及び−X方向に延びた長孔211bが設けられている。スライド部210bの長孔211bの両側には、X及び−X方向に延びた一対の矩形状の挿入孔212bが設けられている。一方、第1スライダ200aは、図1(b)、図2、図3、図4(a)及び図4(c)に示すように、Y及び−Y方向に延びる長板状のスライド部210aを有している。スライド部210aは第2スライダ200bのスライド部210b上に直交配置されている。また、スライド部210bの中央部には、Y及び−Y方向に延びた長孔211aが設けられている。長孔211a、211b及びカバー420の開口421は、操作部材100が原点位置に位置するとき、その中心が一致している。
【0035】
また、スライド部210bの長さ寸法の両端部(X、−X方向の端部)には、図1(b)、図2及び図3に示すように、上り段差部213bが設けられている。この上り段差部213bが、ボディ410の側壁部411、412のガイド凹部411a、412aに挿入され、該ガイド凹部411a、412aの突起とカバー420の天板との間でY及び−Y方向に移動自在にガイドされている。このように上り段差部213bがガイドされることにより、スライド部210bがケース400内をY及び−Y方向にスライド移動可能となっている。一方、スライド部210aの長さ寸法の両端部(Y、−Y方向の端部)は、図4(a)に示すように、ボディ410の側壁部413、414のガイド凹部413a、414aに挿入され、該ガイド凹部413a、414aの突起とカバー420の天板との間でX及び−X方向に移動自在にガイドされている。このようにスライド部210aがケース400内をX及び−X方向にスライド移動可能となっている。
【0036】
第2スライダ200bのスライド部210bの幅方向の両端部(Y、−Y方向の端部)には、図2、図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、一対のアーム部220bが設けられている。アーム部220bは第3スライダ200cのボックス部210cのY、−Y方向の外面に沿って各々垂下され、該アーム部220bの先端部が第3スライダ200cの隙間240cに挿入されている。このアーム部220bが、操作部材100のプレート121のY、−Y方向の外面及び第3スライダ200cのボックス部210cの前記外面に各々当接しており、該プレート121の前記外面及びボックス部210cの前記外面に沿ってX及び−X方向に各々移動自在になっている。また、アーム部220bの先端部は第3スライダ200cの隙間240c内をX及び−X方向に各々移動自在になっている。このように第2スライダ200bは、操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cに対してX及び−X方向に移動自在に組み合わせられている。一方、第1スライダ200aのスライド部210aの幅方向の両端部(X、−X方向の端部)には、図1(b)、図2、図3、図4(a)及び図4(c)に示すように、一対のアーム部220aが設けられている。アーム部220aは、第2スライダ200bの挿入孔212bを貫通し且つ第3スライダ200cのボックス部210cのX、−X方向の外面に沿うように各々延びている。アーム部220aの先端部は第3スライダ200cの隙間230cに各々挿入されている。アーム部220aは操作部材100のプレート121のX、−X方向の外面及び第3スライダ200cのボックス部210cに当接しており、該プレート121の前記外面及びボックス部210cの前記外面に沿ってY及び−Y方向に各々移動自在になっている。アーム部220aの先端部は第3スライダ200cの隙間230c内をY及び−Y方向に各々移動自在になっている。このように第1スライダ200aは、操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cに対してY及び−Y方向に移動自在に組み合わせられている。
【0037】
従って、操作部材100がY、−Y方向へスライド移動すると、第2スライダ200b及び第3スライダ200cがY、−Y方向へ移動する。このとき、操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cが第1スライダ200aの一対のアーム部220aの間をY、−Y方向へ移動する。換言すると、第1スライダ200aの一対のアーム部220aが操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cのX、−X方向の外面に沿って−Y、Y方向に各々移動し、該アーム部220aの先端部が第3スライダ200cの隙間230c内を−Y、Y方向に各々移動する。このため、第1スライダ200aは移動しない。一方、操作部材100がX、−X方向へスライド移動すると、第1スライダ200a及び第3スライダ200cがX、−X方向へ移動する。このとき、操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cが第2スライダ200bの一対のアーム部220bの間をX、−X方向へ移動する。すなわち、第2スライダ200bの一対のアーム部220bが操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cのY、−Y方向の外面に沿って−X、X方向に各々移動し、該アーム部220bの先端部が第3スライダ200cの隙間240c内を−X、X方向に各々移動する。このため、第2スライダ200bは移動しない。
【0038】
なお、アーム部220bの外面には円柱状の突起221bが、アーム部220aの外面には円柱状の突起221aが設けられている。
【0039】
第1の原点復帰機構500aは、4つのラバー510a(第1、第2、第3、第4付勢手段)を有している。このラバー510aが、ボディ410の側壁部411と第1スライダ200aのX方向側のアーム部220aの突起221aとの間、ボディ410の側壁部412と第1スライダ200aの−X方向側のアーム部220aの突起221aとの間、側壁部413と第2スライダ200bのY方向側のアーム部220bの突起221bとの間及び側壁部414と第2スライダ200bの−Y方向側のアーム部220bの突起221bとの間に各々介在している。このようにラバー510aが−X、X、−Y、Y方向から第1、第2スライダ200a、200bを各々付勢することにより、該第1、第2スライダ200a、200bを介して操作部材100を原点位置で保持している。
【0040】
ラバー510aは、リング状のベース部511aと、ベース部511aの内径よりも外径が小さい円盤状の可動部512aと、先端側に向けて漸次縮径する円筒状の支持部513aと有している。支持部513aは、ベース部511aの内縁部上に設けられている。可動部512aは支持部513aの先端部に設けられている。すなわち、可動部512aは支持部513aによりベース部511a上で支持されている。ベース部511aは、側壁部411、412、413、414の保持部411b、412b、413b、414bに各々挿入され、保持されている。可動部512aは、アーム部220a、アーム部220bの突起221a、214b1に各々当接している。アーム部220aがX、−X方向にスライド移動する際に、ラバー510aがボディ410の側壁部411、412とアーム部220aの突起221aとの間で圧縮されると、支持部513aが弾性変形して屈曲し、可動部512aがベース部511a側に位置変位する。これにより、ラバー510aにアーム部220aの突起221aを−X、X方向に付勢する付勢力が増加するようになっている。この付勢力により、X、−X方向にスライド移動した操作部材100を原点位置に復帰させるようになっている。同様に、アーム部220bがY、−Y方向にスライド移動する際に、ラバー510aがボディ410の側壁部413、414とアーム部220bの突起221bとの間で圧縮されると、支持部513aが弾性変形して屈曲し、可動部512aがベース部511a側に位置変位する。これにより、ラバー510aにアーム部220bの214b1を−Y、Y方向に付勢する付勢力が増加するようになっている。この付勢力により、Y、−Y方向にスライド移動した操作部材100を原点位置に復帰させるようになっている。なお、支持部513aの屈曲及び可動部512aの位置変位により、操作部材100のX、−X、Y及び−Y方向へのスライド操作にクリック感が生じる。
【0041】
第1のスライド検出部600aは、図4及び図6に示すように、操作部材100のX及び−X方向の成分を含む方向へのスライド移動を検出する検出手段である。この第1スライド検出部600aは、磁石611a、612a(第1、第2磁石)と、磁気センサ620a(第1磁気センサ)とを有している。磁石611a、612aは円柱体であって、高さ方向に着滋されている。磁石611a、612aは、第3スライダ200cの−Y及び−X方向側のフランジ220cに、X及び−X方向に沿って一列で間隔をあけて配設されている。磁石611a、612aは互いに磁極が逆になっている。具体的には、磁石611aはN極を下方に向けて、磁石612aはS極を下方に向けて配置されている。磁気センサ620aとしては磁極判別タイプのホール素子を用いている。この磁気センサ620aは、操作部材100が原点位置に位置している状態で、基板900上における磁石611aと磁石612aとの間の中間地点の下側箇所(すなわち、前記中間地点から下方に位置ズレした位置)に配設されている。磁気センサ620aは、操作部材100のX方向の成分を含むスライド移動に応じて磁石611aが接近すると、磁石611aの磁極に応じた第1出力信号を出力し、操作部材100の−X方向の成分を含むスライド移動に応じて磁石612aが接近すると、磁石612aの磁極に応じた第2出力信号(すなわち、第1出力信号と位相が逆の信号)を出力するようになっている。このように磁石611a、612aの磁極(すなわち、N極かS極か)に応じて磁気センサ620aから出力された第1、第2出力信号が、基板900を通じて上記電子機器に入力されるようになっている。
【0042】
第2のスライド検出部600bは、図4及び図6に示すように、操作部材100のY及び−Y方向の成分を含む方向へのスライド移動を検出する検出手段である。この第2スライド検出部600bは、磁石611b、612b(第3、第4磁石)と、磁気センサ620b(第2磁気センサ)とを有している。磁石611b、612bは円柱体であって、高さ方向に着滋されている。磁石611b、612bは、第3スライダ200cのY及び−X方向側のフランジ220cに、−Y及びY方向に沿って一列で間隔をあけて配設されている。磁石611b、612bは互いに磁極が逆になっている。具体的には、磁石611bはN極を下方に向けて、磁石612bはS極を下方に向けて配置されている。磁気センサ620bとしては磁極判別タイプのホール素子を用いている。この磁気センサ620bは、操作部材100が原点位置に位置している状態で、基板900上における磁石611bと磁石612bとの間の中間地点の下側箇所(すなわち、前記中間地点から下方に位置ズレした位置)に配設されている。磁気センサ620bは、操作部材100のY方向の成分を含む移動に応じて磁石611bが接近すると、該磁石611bの磁極に応じた第3出力信号を出力し、操作部材100の−Y方向の成分を含む移動に応じて磁石612bが接近すると、該磁石612bの磁極に応じた第4出力信号(すなわち、第3出力信号と位相が逆の信号)を出力させるようになっている。このように磁石611b、612bの磁極(すなわち、N極かS極か)に応じて磁気センサ620bから出力された第3、第4出力信号が、基板900を通じて上記電子機器に入力されるようになっている。
【0043】
押下検出部700は、図1(b)及び図6に示すように、操作部材100の−Z方向への押下移動を検出する検出手段である。この押下検出部700は、磁石710(第5磁石)と、磁気センサ720(第3磁気センサ)とを有している。磁石710は円柱体であって、高さ方向に着滋されている。この磁石710は第2の原点復帰機構500bのラバー510bの可動部512a内にN極又はS極を下に向けて配設されている。このため、磁石710は可動部512aの位置変位に応じて−Z方向に移動する。磁気センサ720としては単極検出タイプのホール素子を用いている。この磁気センサ720は、操作部材100が原点位置に位置している状態で、基板900上における磁石710の下側箇所(すなわち、磁石710の−Z方向側)に配設されている。磁気センサ720が磁石710の移動に伴う磁界の変化に応じて第5出力信号を出力するようになっている。この第5出力信号が、基板900を通じて上記電子機器に入力されるようになっている。
【0044】
回転検出部800は、図1(b)及び図6に示すように、操作部材100の周方向への回転移動及びその回転量を検出する検出手段である。この回転検出部800は、磁石810(第7磁石)と、磁気センサ820(第4磁気センサ)とを有している。磁石810はリング体であって、周方向に所定間隔で磁極が交互に逆になるように着滋されている。この磁石810は回転体300の鍔部320に設けられている。従って、磁石810は回転体300の回転に応じて周方向に回転する。磁気センサ820は、単極検出タイプホール素子821、822とを有している。ホール素子821、822は、操作部材100が原点位置に位置している状態で、基板900上における磁石810の回転軌道の一部の下側箇所に配設されている(すなわち、前記回転軌道の一部から下方に間隔を空けて配置されている。)。磁気センサ820は、回転する磁石810の磁界の変化をホール素子821、822で各々検出して操作部材100の回転角度及び回転量を2相の第6、第7出力信号として出力するようになっている。前記第6、第7出力信号が基板900の外部接続端子910を介して本入力装置が備えられる電子機器に入力されるようになっている。
【0045】
以下、上述した構成の入力装置の組み立て手順について詳しく説明する。なお、第3スライダ200cのフランジ220cには、磁石611a、612a、621a、622aが、回転体300の鍔部320には磁石810が、ラバー510bの可動部512bには磁石710が予め取り付けられている。また、基板900には、磁気センサ620a、620b、720、820が予め実装されている。
【0046】
まず、操作部材100のシャフト110の本体部111を固定部120のガイド部122内に挿入する。その一方で、回転体300を第3スライダ200cのボックス部210cの周縁部250c上に設置する。その後、回転体300の円筒部310にラバー510bを挿入し、該円筒部310内の載置部311上に載置する。その後、操作部材100のシャフト110を第3スライダ200cのボックス部210cに挿入し、該シャフト110の連結部112を回転体300の円筒部310に被せる。このとき、連結部112の十字凸部112aが円筒部310のガイド凹部312に挿入され、ラバー510b上に載置される。これと共に、操作部材100の係止凸部123aが第3スライダ200cのボックス部210cの係止凹部211cに挿入され、操作部材100の固定部120のプレート121がボックス部210c上に設置される。その後、第2スライダ200bの一対のアーム部220bの間に操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cを挿入し、アーム部220bの内面をプレート121及びボックス部210cのY、−Y方向の外面に当接させると共に、該第2スライダ200bのスライド部210bの長孔211bに操作部材のシャフト110の本体部111及び固定部120のガイド部122を挿入する。すると、第2スライダ200bのスライド部210bが操作部材100のプレート121上に設置される。その後、第1スライダ200aの一対のアーム部220aを第2スライダ200bのスライド部210bの一対の挿入孔212bに挿入し、外アーム部220aの間に操作部材100のプレート121及び第3スライダ200cのボックス部210cを挿入する。すると、アーム部220aの内面がプレート121及びボックス部210cのX、−X方向の外面に当接する。これと共に、該第1スライダ200aのスライド部210aの長孔211aに操作部材のシャフト110の本体部111及び固定部120のガイド部122が挿入される。これにより、第1スライダ200aのスライド部210aが第2スライダ200bのスライド部210b上に設置される。このようにして操作部材100、第1、第2、第3スライダ200a、200b、200c、回転体300及びラバー510bが組み合わされる。
【0047】
その後、ボディ410を基板900上に設置する。その後、組み合わされた操作部材100、第1、第2、第3スライダ200a、200b、200c、回転体300及びラバー510bをボディ410の底板部の突起上に設置する。このとき、第1スライダ200aのスライド部210aの長さ方向の両端部をボディ410の側壁部413、414のガイド凹部413a、414aに挿入し、第2スライダ200bのスライド部210bの上り段差部213bをボディ410の側壁部411、412のガイド凹部411a、412aに挿入する。その後、カバー420をボディ410に被せ、該カバー420の係止片422を折り曲げて基板900の下面に当接させる。このとき、スライド部210aの前記両端部がガイド凹部413a、414aとカバー420の天板との間でX及び−X方向に移動自在に保持され、スライド部210bの上り段差部211bがガイド凹部411a、412aとカバー420の天板との間でY及び−Y方向に移動自在に保持される。
【0048】
以下、上述の如く組み立てられた入力装置の操作方法及びこれに伴う各部の動作について説明する。
【0049】
操作部材100が図7に示すように原点位置から−X方向にスライド操作されると、第1スライダ200a及び第3スライダ200cが−X方向に移動する。このとき、第3スライダ200cのボックス部210cは、第2スライダ200bの一対のアーム部220bの間を−X方向に移動する。このため、第2スライダ200bは移動しない。これに伴って、図8(b)に示すように、第3スライダ200cのフランジ220cに設けられた第1スライド検出部600aの磁石611a、612aが−X方向に移動する。具体的には、磁石612aが磁気センサ620aに接近し、鉛直方向に対向する一方、磁石611aが磁気センサ620aから離れる。すると、磁気センサ620aが磁石612aの磁極に応じた第2出力信号を出力する。この第2出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100の−X方向へのスライド操作が検出される。このとき、図7に示すように、第1スライダ200aの−X方向側のアーム部220aとボディ410の側壁部412との間でラバー510aが圧縮され、該ラバー510aの支持部513aが弾性変形して屈曲し、可動部512aが−X方向に位置変位する。その後、操作部材100が解放されると、ラバー510aの支持部513aが復元し、可動部512aがX方向に位置変位する。これにより、操作部材100、第1スライダ200a及び第3スライダ200cがX方向に移動し、原点位置に復帰する。
【0050】
操作部材100が原点位置からX方向にスライド操作されると、操作部材100の−X方向へのスライド操作時と同様に、第1スライダ200a及び第3スライダ200cがX方向に移動する。このとき、図8(a)に示すように、磁石611aが磁気センサ620aに接近し、鉛直方向に対向する一方、磁石612aが磁気センサ620aから離れる。すると、磁気センサ620aが磁石611aの磁極に応じた第1出力信号を出力する。この第1出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100のX方向へのスライド操作が検出される。このとき、操作部材100の−X方向へのスライド操作時と同様に、ラバー510aが圧縮される。その後、操作部材100が解放されると、ラバー510aの復元より操作部材100、第1スライダ200a及び第3スライダ200cが−X方向に移動し、原点位置に復帰する。
【0051】
操作部材100が図9に示すように原点位置からY方向にスライド操作されると、第2スライダ200b及び第3スライダ200cがY方向に移動する。このとき、第3スライダ200cのボックス部210cは、第1スライダ200aの一対のアーム部220aの間をY方向に移動する。このため、第1スライダ200aは移動しない。これに伴って、図10(a)に示すように、第3スライダ200cのフランジ220cに設けられた第2スライド検出部600bの磁石611b、612bがY方向に移動する。具体的には、磁石611bが磁気センサ620bに接近し、鉛直方向に対向する一方、磁石612bが磁気センサ620bから離れる。すると、磁気センサ620bが磁石611bの磁極に応じて第3出力信号を出力する。この第3出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100のY方向へのスライド操作が検出される。このとき、図9に示すように、第2スライダ200bのY方向側のアーム部220bとボディ410の側壁部413との間でラバー510aが圧縮され、該ラバー510aの支持部513aが弾性変形して屈曲し、可動部512aがY方向に位置変位する。その後、操作部材100が解放されると、ラバー510aの支持部513aが復元し、可動部512aが−Y方向に位置変位する。これにより、操作部材100、第1スライダ200a及び第3スライダ200cが−Y方向に移動し、原点位置に復帰する。
【0052】
操作部材100が原点位置から−Y方向にスライド操作されると、操作部材100のY方向へのスライド操作時と同様に、第2スライダ200b及び第3スライダ200cが−Y方向に移動する。このとき、図10(b)に示すように、磁石612bが磁気センサ620bに接近し、鉛直方向に対向する一方、磁石611bが磁気センサ620bから離れる。すると、磁気センサ620bが磁石611bの磁極に応じて第4出力信号を出力する。この第4出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100のY方向へのスライド操作が検出される。このとき、操作部材100のY方向へのスライド操作時と同様に、ラバー510aが圧縮される。その後、操作部材100が解放されると、ラバー510aの復元より操作部材100、第2スライダ200b及び第3スライダ200cがY方向に移動し、原点位置に復帰する。
【0053】
操作部材100が図11に示すように原点位置から−X方向とY方向との間の方向(−XY方向)にスライド操作されたときには、上述した−X方向及びY方向の傾倒操作時の如く、各部が動作し、磁石612aが磁気センサ620aに、磁石611bが磁気センサ620bに接近する。これにより、磁気センサ620aが磁石612aの磁極に応じた第2出力信号を出力し、磁気センサ620bが磁石611bの磁極に応じた第3出力信号を出力する。このように第2、第3出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100の−XY方向へスライド操作が検出される。
【0054】
操作部材100が原点位置からX方向とY方向との間の方向(XY方向)にスライド操作されたときには、上述したX方向及びY方向の傾倒操作時の如く、各部が動作し、磁石611aが磁気センサ620aに、磁石611bが磁気センサ620bに接近する。これにより、磁気センサ620aが磁石611aの磁極に応じた第1出力信号を出力し、磁気センサ620bが磁石611bの磁極に応じた第3出力信号を出力する。このように第1、第3出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100のXY方向へのスライド操作が検出される。
【0055】
操作部材100が原点位置からX方向と−Y方向との間の方向(X−Y方向)にスライド操作されたときには、上述したX方向及び−Y方向の傾倒操作時の如く、各部が動作し、磁石611aが磁気センサ620aに、磁石612bが磁気センサ620bに接近する。これにより、磁気センサ620aが磁石611aの磁極に応じた第1出力信号を出力し、磁気センサ620bが磁石612bの磁極に応じた第4出力信号を出力する。このように第1、第4出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100のX−Y方向へのスライド操作が検出される。
【0056】
操作部材100が原点位置から−X方向と−Y方向との間の方向(−X−Y方向)にスライド操作されたときには、上述した−X方向及び−Y方向の傾倒操作時の如く、各部が動作し、磁石612aが磁気センサ620aに、磁石612bが磁気センサ620bに接近する。これにより、磁気センサ620aが磁石612aの磁極に応じた第2出力信号を出力し、磁気センサ620bが磁石612bの磁極に応じた第4出力信号を出力する。このように第2、第4出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100の−X−Y方向へのスライド操作が検出される。
【0057】
操作部材100のシャフト110が図12に示すように原点位置から−Z方向に押下操作されると、シャフト110が−Z方向に移動し、ラバー510bの可動部512bを−Z方向に押し下げる。これにより、ラバー510bの支持部513bが弾性変形して屈曲する。このとき、可動部512bに設けられた磁石710が磁気720に接近する。すると、磁気センサ720が磁石710の移動に伴う磁界の変化に応じて第5出力信号を出力する。この第5出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部により操作部材100の−Z方向への押下操作が検出される。その後、操作部材100が解放されると、ラバー510bの支持部513bが復元し、可動部512bがZ方向に位置変位し、シャフト110を原点位置へ押し上げる。
【0058】
操作部材100のシャフト110が周方向に回転操作されると、該シャフト110と共に回転体300及び磁石810が回転する。すると、磁気センサ820のホール素子821、822が、回転する磁石810の磁界の変化を各々検出して2相の第6、第7出力信号として出力する。この第6、第7出力信号が前記電子機器に入力されると、該電子機器の制御部は、第6、第7出力信号のいずれが先に入力されたか否かでシャフト110の回転方向を検出し、該第6、第7出力信号のパルス数でシャフト110の回転量を検出する。
【0059】
このような入力装置による場合、磁気センサ620aが操作部材100のX、−X方向の成分を含むスライド移動に応じて接近する磁石611a、612aの磁極に応じた第1、第2出力信号を出力する構成となっており、磁気センサ620bが操作部材100のY、−Y方向の成分を含むスライド移動に応じて接近する磁石611b、612bの磁極に応じた第3、第4出力信号を出力する構成となっている。すなわち、2つの磁気センサ620a、620bで操作部材100のX、−X、Y、−Y、XY、−X−Y、X−Y、−XYのスライド移動を検出することができるようになっているため、操作部材100の前記スライド移動を検出するために4つの磁気センサを用いる場合に比べて、磁気センサの数を減らすことができる。また、操作部材100の前記スライド移動を、磁石611a、612a、611b、612b及び磁気センサ620a、620bで、操作部材100の押下移動を磁石710及び磁気センサ720で、操作部材100の回転方向及び回転量を磁石810及び磁気センサ820で検出するようになっている。すなわち、磁石611a、612a、611b、612b、710、810(可動部)と磁気センサ620a、620b、720、820(検出部)とが非接触であるため、両者の電気接続が不要であり且つ両者の接触不良等による信頼性の劣化等が生じることもない。このため、磁気センサ620a、620b、720、820を一枚の基板900上に実装することができる。よって、前記入力装置の部品点数の低減及び構成の簡略化を図ることができ、その結果として前記入力装置の低コスト化を図ることができる。
【0060】
しかも、第3スライダ200cのボックス部210c上に、操作部材100のプレート121、第2スライダ200bのスライド部210b及び第1スライダ200aのスライド部210aがこの順で積層されると共に、第2スライダ200bの一対のアーム部220bがボックス部210c及びプレート121のY、−Y方向側の外面に、第1スライダ200aの一対のアーム部220aがボックス部210c及びプレート121のX、−X方向側の外面に各々当接させるだけで、操作部材100、第1、第2及び第3スライダ200a、200b、200cを組み合わせることができる。よって、操作部材100、第1、第2及び第3スライダ200a、200b、200cの組み合わせが簡単になり、この点でも前記入力装置の製造コストの低減を図ることができる。また、第3スライダ200cのボックス部210c内にシャフト110の下端部、回転体300及びラバー510bが収容されているため、これらがZ及び−Z方向方向に並列された場合に比べて装置高の低減を図ることができる。
【0061】
また、第1、第2のスライド検出部600a、600b、押下検出部700及び回転検出部800が各々独立しているため、第1、第2のスライド検出部600a、600b、押下検出部700及び回転検出部800の磁石及び磁気センサの各寸法、位置や磁気センサの感度調節を柔軟に行うことができる。更に、ラバー510aがX、−X、Y、−Yの4方向から第1、第2スライダ200a、200bを介して操作部材100を付勢する構成となっていることから、ラバー510aを交換することにより、操作部材100のスライド操作の操作力やストロークを調整することができる。また、ラバー510aのうち一部を他のラバー510aと付勢力が異なるものに交換することにおり、操作部材100の所定のスライド方向の操作感と他のスライド方向の操作感とを異ならせることもできる。
【0062】
なお、上述した入力装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0063】
上記実施の形態では、本入力装置は、操作部材100を8方向にスライド操作可能であるとしたが、少なくとも操作部材を相対する2方向にスライド操作可能な構成となっていれば良い。例えば、操作部材100をX及び−X方向のみスライド操作可能な構成とすることが可能である。この場合、前記入力装置は、操作部材100と、第1のスライド検出部600aとを少なくとも備えていれば良い。勿論、操作部材100をY及び−Y方向のみスライド操作可能な構成とすることが可能である。従って、操作部材を−Z方向への押下操作可能とする構成及び押下検出部700については、省略することが可能である。また、操作部材を周方向への回転操作可能とする構成及び回転検出部800についても、省略することが可能である。なお、操作部材100の操作方向を限定する場合には、カバー420の開口421に操作部材100の操作方向に延びる溝を形成するようにしても良い。例えば、操作部材100が4方向にスライド操作可能な構成とする場合には、カバー420の開口421を平面視十字形状とすることができる。
【0064】
上記実施の形態では、磁石611a、612a、611b、612bは、第3スライダ200cのフランジ220cに設けられているとしたが、磁石611a、612aを第1スライダ200aに、磁石611b、612bを第2スライダ200bに設けることが可能である。この場合、第3スライダ200cを省略することが可能である。また、磁石611a、612a、611b、612bを操作部材100のX、−X、Y、−Y方向に対応する位置に設けることも可能である。この場合、第1、第2、第3スライダ200a、200b、200cを省略することが可能である。また、磁石710、810も操作部材100に設けることも可能である。この場合、回転体300を省略することが可能である。また、磁石810は、リング体であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図13に示すように、複数の磁石810’(第6磁石)をリング状に且つ隣り合う磁石810’の磁気センサ820’側の磁極が逆になるように配置するようにしても良い。
【0065】
上記磁気センサ620a、620bについては、極性判別タイプのホール素子を用いるとしたが、磁石611a、612a、611b、612bの磁極に応じた信号を出力することができるものである限り任意に設計変形することが可能である。例えば、磁気センサ620a、620bとしてフラックス・ゲートセンサ等を用いることができる。また、磁気センサ720についても、ホール素子を用いるとしたが、磁石710の移動に伴う磁界の変化に応じて信号を出力することができるものである限り任意に設計変形することが可能である。例えば、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気抵抗効果IC(MRIC)などであっても良い。磁気センサ820は、ホール素子821、822を有するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、シャフト110が一方向にのみ回転可能であり、該シャフト110の回転量のみを検出する場合には、一つのホール素子で足りる。この場合、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気抵抗効果IC(MRIC)などで代用することも可能である。
【0066】
また、上記実施の形態では、磁気センサ620a、620b、720、820は基板900上に実装されているとしたが、これに限定されるものではない。磁気センサ620aは前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第1磁石と前記第2磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される限りどのような箇所に配置するようにしても構わない。磁気センサ620bも同様に前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第3磁石と前記第4磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される限りどのような箇所に配置するようにしても構わない。例えば、磁気センサ620a、620bはボディ410の側壁部412、414に設けることも可能である。また、磁気センサ720も、第5磁石の−Z方向側に配置されている限りどのような箇所に配置するようにしても構わない。例えば、磁気センサ720はラバー510bのベース部511bや第3スライダ200cに設けることが可能である。また、磁気センサ820、820’は、第6、第7磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されている限りどのような箇所に配置するようにしても構わない。例えば、磁気センサ820は、第3スライダ200cに設けることが可能である。
【0067】
上記実施の形態では、第1スライダ200aは、一対のアーム部220aが第3スライダ200cのボックス部210c及び操作部材100のプレート121のX、−X方向の外面に当接しているとしたが、ボックス部210c及び操作部材100のプレート121のY、−Y方向の外面に当接するように設計変更することが可能である。同様に、第2スライダ200bは、一対のアーム部220bが第3スライダ200cのボックス部210c及び操作部材100のプレート121のY、−Y方向の外面に当接しているとしたが、ボックス部210c及び操作部材100のプレート121のX、−X方向の外面に当接するように設計変更することが可能である。また、アーム部220aは、第2スライダ200bの挿入孔212bを貫通しているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第2スライダ200bのスライド部210bの長さ方向の両端部に平面視略U字状の凹部を設け、該凹部にアーム部220aを挿入するようにしても構わない。また、第1スライダ200aを幅広にし、第2スライダ200bの移動範囲外にアーム部220aを配置するようにしても良い。
【0068】
ラバー510a、510bは、コイルスプリング、反転バネ等の周知の付勢手段により代用可能である。また、上記実施の形態では、ラバー510aは、アーム部220a、220bと側壁部411、412、413、414との間に介在するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ラバー510a等の前記付勢手段をアーム部220a、220bと干渉しないように第3スライダと側壁部411、412、413、414との間に配置することも可能である。また、上述の如く第1、第2、第3スライダが省略される場合には、ラバー510a等の前記付勢手段を操作部材100と側壁部411、412、413、414との間に配置することも可能である。また、ラバー510bは、シャフト110と回転体300との間に介在するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、シャフト110と、第3スライダ200c又は基板900との間に介在させることが可能である。
【0069】
なお、上記入力装置の各部の形状、位置及び数については、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。なお、上記実施の形態では、カバー420の開口421の中心とシャフト110の本体部111の中心とが一致する位置が原点位置であるとしたが、これに限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
100・・・・操作部材
121・・・プレート
200a・・・第1スライダ
210a・・スライド部
220a・・アーム部
200b・・・第2スライダ
210b・・スライド部
220b・・アーム部
200c・・・第3スライダ
210c・・ボックス部
300・・・・回転体
400・・・・ケース
410・・・ボディ
420・・・カバー
500a・・・第1原点復帰機構
510a・・ラバー(第1、第2、第3、第4付勢手段)
511a・ベース部
512a・可動部
513a・支持部
500b・・・第2原点復帰機構
510b・・ラバー(第5付勢手段)
511b・ベース部
512b・可動部
513b・支持部
600a・・・第1スライド検出部
611a・・磁石(第1磁石)
612a・・磁石(第2磁石)
620a・・磁気センサ(第1磁気センサ)
600b・・・第2スライド検出部
611b・・磁石(第3磁石)
612b・・磁石(第4磁石)
620b・・磁気センサ(第2磁気センサ)
700・・・・押下検出部
710・・・磁石(第5磁石)
720・・・磁気センサ(第3磁気センサ)
800・・・・回転検出部
810・・・磁石(第7磁石)
820・・・磁気センサ(第4磁気センサ)
810’・・磁石(第6磁石)
820’・・磁気センサ(第4磁気センサ)
900・・・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の原点位置から少なくとも相対する2方向に移動操作可能な操作部材と、
操作部材の移動方向に沿って間隔を空けて配置されており且つ該操作部材の移動に応じて移動する一対の磁石と、
前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記磁石の間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される磁気センサとを備えており、
前記磁石は前記磁気センサ側の磁極が互いに逆になっており、
前記磁気センサは、前記操作部材の移動に応じて接近する前記磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
所定の原点位置から少なくともX、−X、Y及び−Y方向に移動操作可能な操作部材と、
前記操作部材のX、−X方向に対応する位置に配設され且つ互いに磁極が逆である第1、第2磁石と、
前記操作部材のY、−Y方向に対応する位置に配設され且つ互いに磁極が逆である第3、第4磁石と、
前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第1磁石と前記第2磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第1磁気センサと、
前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第3磁石と前記第4磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第2磁気センサとを備えており、
前記第1磁気センサは、前記操作部材のX、−X方向の移動に応じて接近する前記第1、第2磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっており、
前記第2磁気センサは、前記操作部材のY、−Y方向の移動に応じて接近する前記第3、第4磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっていることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の入力装置において、
前記操作部材のX、−X、Y及び−Y方向側に配置された第1、第2、第3及び第4側壁部と、
前記第1、第2、第3及び第4側壁部と前記操作部材との間に各々介在し、該操作部材を原点位置へ付勢する第1、第2、第3及び第4付勢手段とを更に備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
所定の原点位置から少なくともX、−X、Y及び−Y方向に移動操作可能な操作部材と、
前記操作部材が貫通しており且つ該操作部材のX、−X方向の移動と共に、X、−X方向に移動する第1スライダと、
前記操作部材が貫通しており且つ該操作部材のY、−Y方向の移動と共に、Y、−Y方向に移動する第2スライダと、
前記第1スライダにX及び−X方向に間隔を空けて配設され且つ互いに磁極が逆である第1、第2磁石と、
前記第2スライダにY及び−Y方向に間隔を空けて配設され且つ互いに磁極が逆である第3、第4磁石と、
前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第1磁石と前記第2磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第1磁気センサと、
前記操作部材が原点位置に位置したとき、前記第3磁石と前記第4磁石との間の中間地点から離れる方向に位置ずれした位置に配置される第2磁気センサとを備えており、
前記第1磁気センサは、前記操作部材のX、−X方向の移動に応じて接近する前記第1、第2磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっており、
前記第2磁気センサは、前記操作部材のY、−Y方向の移動に応じて接近する前記第3、第4磁石の磁極に応じた信号を出力するようになっていることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4記載の入力装置において、
前記第1スライダにY、−Y方向に移動自在に組み合わせられると共に、前記第2スライダにX、−X方向に移動自在に組み合わせられた第3スライダを更に備えており、
前記第3スライダは、前記第1スライダのX、−X方向への移動に応じてX、−X方向に移動する一方、前記第2スライダのY、−Y方向への移動に応じてY、−Y方向に移動するようになっており、
前記第1、第2磁石は、前記第1スライダではなく、前記第3スライダにX及び−X方向に間隔を空けて配設されており、
前記第3、第4磁石は、前記第2スライダではなく、前記第3スライダにY及び−Y方向に間隔を空けて配設されていることを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の入力装置において、
前記操作部材のX、−X、Y及び−Y方向側に配置された第1、第2、第3及び第4側壁部と、
前記第1側壁部と前記第1スライダとの間に介在し、該第1スライダを−X方向に付勢する第1付勢手段と、
前記第2側壁部と前記第1スライダとの間に介在し、該第1スライダをX方向に付勢する第2付勢手段と、
前記第3側壁部と前記第2スライダとの間に介在し、該第2スライダを−Y方向に付勢する第3付勢手段と、
前記第4側壁部と前記第2スライダとの間に介在し、該第2スライダをY方向に付勢する第4付勢手段とを更に備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項3又は6記載の入力装置において、
前記第1、第2、第3及び第4付勢手段は、ベース部と、可動部と、前記ベース部上に設けられ且つ前記可動部を支持する支持部とを有しており、
前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位するようになっていることを特徴とする入力装置。
【請求項8】
前記操作部材が原点位置からX、−X、Y及び−Y方向に直交する−Z方向に押下操作可能になっている場合の請求項2、3、4、5、6又は7記載の入力装置において、
前記操作部材をZ方向に付勢する第5付勢手段と、
前記操作部材の−Z方向側の端部又は第5付勢手段に設けられ且つ前記操作部材の−Z方向側への移動に応じて−Z方向へ移動する第5磁石と、
前記第5磁石の−Z方向側に配置されており且つ前記第5磁石の−Z方向側への移動に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第3磁気センサとを更に備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項8記載の入力装置において、
前記第5付勢手段は、ベース部と、可動部と、前記ベース部上に設けられ且つ前記可動部を支持する支持部とを有しており、
前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位するようになっていることを特徴とする入力装置。
【請求項10】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合の請求項2、3、4、5、6、7、8又は9記載の入力装置において、
前記操作部材に前記周方向に沿って環状に磁極が交互に入れ替わるように配列されており、且つ前記操作部材の回転に応じて回転する複数の第6磁石と、
前記第6磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第6磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えている入力装置。
【請求項11】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合の請求項2、3、4、5、6、7、8又は9記載の入力装置において、
前記操作部材に設けられており且つ前記周方向に沿って磁極が交互に入れ替わるように着滋されたリング体であって、前記操作部材の回転に応じて回転する第7磁石と、
前記第7磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第7磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えている入力装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載の入力装置において、
前記操作部材の回転と共に前記周方向に回転する回転体を更に備えており、
前記第6磁石又は第7磁石が前記操作部材ではなく、前記回転体に取り付けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項13】
請求項5記載の入力装置において、
前記第3スライダは角筒状のボックス部を有しており、
前記操作部材は、前記ボックス部上に設置されており且つ該ボックス部と外形が略同じ略矩形状のプレートを有しており、
前記第2スライダは、前記プレート上に設置されたスライド部と、このスライド部に設けられた一対のアーム部を有しており、
前記第1スライダは、前記第2スライダのスライド部上に設置されたスライド部と、このスライド部に設けられた一対のアーム部を有しており、
前記第2スライダの前記アーム部が前記ボックス部及びプレートのY、−Y又はX、−X方向側の外面に、前記第1スライダの前記アーム部が前記ボックス部及びプレートのX、−X又はY、−Y方向側の外面に各々当接していることを特徴とする入力装置。
【請求項14】
前記操作部材が原点位置からX、−X、Y及び−Y方向に直交する−Z方向に押下操作可能になっている場合の請求項13記載の入力装置において、
前記操作部材をZ方向に付勢する第5付勢手段と、
前記操作部材の−Z方向側の端部又は第5付勢手段に設けられ且つ前記操作部材の−Z方向側への移動に応じて−Z方向へ移動する第5磁石と、
前記第5磁石の−Z方向側に配置されており且つ前記第5磁石の−Z方向側への移動に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第3磁気センサとを更に備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項15】
請求項14記載の入力装置において、
前記第5付勢手段は、ベース部と、可動部と、前記ベース部上に設けられ且つ前記可動部を支持する支持部とを有しており、
前記操作部材の移動に応じて前記支持部が弾性変形し、前記可動部が前記ベース部側に位置変位するようになっていることを特徴とする入力装置。
【請求項16】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合の請求項13記載の入力装置において、
前記操作部材の回転に応じて回転する回転体と、
前記回転体に前記周方向に沿って環状に且つ磁極が交互に入れ替わるように配設された複数の第6磁石と、
前記第6磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第6磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えており、
前記操作部材は、前記プレートを周方向に回転自在に貫通するシャフトを更に有しており、
前記シャフトの−Z方向側の端部及び回転体は、前記第3スライダのボックス部内に収容されていることを特徴とする入力装置。
【請求項17】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合の請求項13記載の入力装置において、
前記操作部材の回転に応じて回転する回転体と、
前記回転体に設けられており且つ且つ前記周方向に沿って磁極が交互に入れ替わるように着滋されたリング状の第7磁石と、
前記第7磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第7磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えており、
前記操作部材は、前記プレートを周方向に回転自在に貫通するシャフトを更に有しており、
前記シャフトの−Z方向側の端部及び回転体は、前記第3スライダのボックス部内に収容されていることを特徴とする入力装置。
【請求項18】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合の請求項14又は15記載の入力装置において、
前記操作部材の回転に応じて回転する回転体と、
前記回転体に前記周方向に沿って環状に且つ磁極が交互に入れ替わるように配設された複数の第6磁石と、
前記第6磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第6磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えており、
前記操作部材は、前記プレートを周方向に回転自在に貫通するシャフトを更に有しており、
前記前記第5付勢手段は、前記操作部材と前記回転体との間に配置されており、
前記シャフトの−Z方向側の端部、第5付勢手段及び回転体は、前記第3スライダのボックス部内に収容されていることを特徴とする入力装置。
【請求項19】
前記操作部材が周方向に回転操作可能になっている場合の請求項14又は15記載の入力装置において、
前記操作部材の回転に応じて回転する回転体と、
前記回転体に設けられており且つ且つ前記周方向に沿って磁極が交互に入れ替わるように着滋されたリング状の第7磁石と、
前記第7磁石の回転軌道の一部に間隔を空けて配置されており且つ前記第7磁石の回転に伴う磁界の変化に応じて信号を出力する第4磁気センサとを更に備えており、
前記操作部材は、前記プレートを周方向に回転自在に貫通するシャフトを更に有しており、
前記前記第5付勢手段は、前記操作部材と前記回転体との間に配置されており、
前記シャフトの−Z方向側の端部、第5付勢手段及び回転体は、前記第3スライダのボックス部内に収容されていることを特徴とする入力装置。
【請求項20】
請求項10、11、15、16、17、18又は19記載の入力装置において、
前記操作部材の−Z方向側に配置された基板を更に備えており、
前記基板上には前記第1、第2、第3及び第4磁気センサが実装されていることを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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