説明

入浴車および台車

【課題】
本発明の目的は、訪問入浴サービスにおいて、入浴車に搭載した浴槽の運搬性を向上するとともに、浴槽を運搬する際の介護従事者の労力の軽減を図るための手段を提供することである。
【解決手段】
分割浴槽5を分割した状態で入浴車100に搬入または入浴車100から搬出するのに用いられる台車3であって、台車3は、分割浴槽5を着脱自在に支持し、入浴車100の車内に設置された一対のレール部1に沿ってスライドする本体部31と、本体部31の搬出側に設けられた一対の車輪33とを有し、分割浴槽5を支持した状態の台車3を入浴車100から搬出し、台車3を牽引することにより、分割浴槽5ごと移動可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴車および台車に関し、具体的には、訪問入浴サービスの際に使用される入浴車、および前記入浴車に分割浴槽とともに搭載されており、前記サービスの際に分割浴槽を入浴車に搬入または入浴車から搬出するのに用いられる台車に関する。
【背景技術】
【0002】
訪問入浴サービスは、在宅の身障者や寝たきり老人などの要介護者に対する介護サービスの一環として行われている。このような訪問入浴サービスでは、近年、自動車(入浴車)に搭載する浴槽を分割式のもの(分割浴槽)とすることにより、車載スペースの確保を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
訪問入浴サービスに従事する介護従事者は、要介護者の住居まで訪問して、入浴車から分割した状態で積載された分割浴槽を搬出し、複数人によって手作業で要介護者のいる住居内等に運び入れる(十分な搬入スペースがある場合には、屋外で分割浴槽を組み立てた状態で住居内に運び入れてもよい)。そして、分割浴槽を組み立て、浴槽内に湯をはり、要介護者に対する入浴が行われる。要介護者の入浴後、浴槽内の湯を抜き、分割浴槽を分割した後、分割した状態の分割浴槽は、介護従事者によって再び入浴車に搬入される。
【0004】
浴槽として分割式のものを用いることによって、等身大の大きさの浴槽を運搬する場合に比べて、浴槽を入浴車から搬入出する際や、住居内等へと運び入れる際の運搬性は向上する。また、浴槽を移送するための入浴車として小型車を用いることができる。しかしながら、従来の等身大の浴槽、分割した状態の分割浴槽にかかわらず、浴槽の運搬は、複数人によって浴槽を持ち上げることにより行われており、依然として介護従事者の負担は大きい。また、浴槽を運搬するのに複数人の介護従事者が必要となるため、浴槽と浴槽以外の入浴サービス用の部品(例えば、浴槽にお湯を入れるためのホースや要介護者を浴槽に入浴させるための入浴タンカ等)を入浴車から住居内に全て運搬するのに、入浴車と住居内とを何度も往復する必要があり、極めて作業効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3100453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、訪問入浴サービスにおいて、入浴車に搭載した浴槽の運搬性を向上するとともに、浴槽を運搬する際の介護従事者の労力の軽減を図るための手段を備えた入浴車を提供すること、また、かかる手段として、分割した状態の分割浴槽を入浴車に搬入または入浴車から搬出するのに用いられ、上記課題を達成することが可能な台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は以下の(1)〜(18)の本発明により達成される。
(1)分割浴槽を分割した状態で車中に積載して移送し、訪問入浴サービス提供時に前記分割浴槽を搬入または搬出する入浴車であって、分割浴槽と、入浴車の荷台に設置されたスライド手段と、前記分割浴槽を着脱自在に支持し、前記スライド手段に沿ってスライドする本体部と、当該本体部の搬出側の端部に設けられた一対の車輪とを有する台車と、前記台車を前記入浴車に搬入した状態で、前記台車を前記スライド手段に対して位置決めする台車位置決め手段とを有することを特徴とする入浴車。
【0008】
(2)前記スライド手段は、一対のレール部で構成されており、前記一対のレール部は、それぞれ、前記台車の前記本体部がスライドするほぼ平行に配置された一対のスライド部を有し、前記台車の前記本体部は、これらのスライド部に対応する一対の長辺部と、当該一対の長辺部の前後を連結する一対の連結部とを有する上記(1)に記載の入浴車。
【0009】
(3)前記台車の各長辺部は、対応する各スライド部に当接するローラを有する上記(2)に記載の入浴車。
【0010】
(4)前記台車位置決め手段は、前記台車の前記レール部に対する前後方向の位置決めを行う前後方向位置決め手段と、前記台車の前記レール部に対する左右方向の位置決めを行う左右方向位置決め手段と、前記台車の前記レール部に対する上下方向の位置決めを行う上下方向位置決め手段とで構成されている上記(3)に記載の入浴車。
【0011】
(5)前記左右方向位置決め手段として、各レール部は、さらに、各スライド部にそれぞれ立設されたガイド部を有し、かつ、前記台車の各長辺部は、対応する各スライド部に立設された前記ガイド部をそれぞれ挿入する溝を有し、前記ガイド部を前記溝に挿入した状態で、前記本体部を前記スライド部に対してスライドさせたときに、前記本体部のスライド方向とほぼ直交する方向への移動が防止される上記(4)に記載の入浴車。
【0012】
(6)前記前後方向位置決め手段として、前記ガイド部は、それぞれ対応する位置に、上端側が開放するスリットを有し、かつ、前記台車の搬出側の連結部は、下方に突出して設けられ、前記スリットに挿入される板片を有し、前記入浴車に前記台車を搬入した状態で、前記板片を前記スリットに挿入することにより、前記本体部のスライド方向への移動が防止される上記(5)に記載の入浴車。
【0013】
(7)前記上下方向位置決め手段として、前記入浴車に設けられた台車固定機構を有し、
前記台車の前記本体部は、前記入浴車に前記台車を搬入した状態で、前記台車固定機構によって前記レール部に固定されることにより、前記本体部の前記レール部に対する上下方向への移動が防止される上記(6)に記載の入浴車。
【0014】
(8)前記台車固定機構は、前記台車の前記本体部の搬出側の連結部から離間した第1の位置と、前記本体部の搬出側の連結部に係合する第2の位置とに変位可能に設けられた台車固定用部材を有する上記(7)に記載の入浴車。
【0015】
(9)前記本体部の搬出側の連結部は、前記入浴車に前記台車を搬入した状態で、前記台車固定用部材を前記第2の位置にロックするロック機構を有する上記(8)に記載の入浴車。
【0016】
(10)前記台車固定用部材は、前記第2の位置において、前記台車の前記本体部の搬出側の連結部端面に当接する第1の板状部と、前記第1の板状部に対して屈曲または湾曲するように設けられ、前記本体部の搬出側の連結部上面側に位置する第2の板状部とを有し、前記ロック機構は、前記台車固定用部材が前記第2の位置にあるとき、前記第1の板状部の前記本体部の搬出側の連結部とは反対側に位置して、前記台車固定用部材の前記第2の位置から前記第1の位置への変位を阻止するロックバーを有する上記(9)に記載の入浴車。
【0017】
(11)前記第1の板状部は、上端に開放する切欠きを有し、前記ロック機構の前記ロックバーは、基端部と先端部とを有する略L字状部材であり、その基端部を回転中心として回転可能に前記台車の前記本体部の前記搬出側の連結部端面に設けられており、前記ロックバーは、その先端部を鉛直上方に向けた状態で、前記台車固定用部材を前記第1の位置から前記第2の位置に、前記第1の板状部の前記切欠きを介して回動可能にする上記(10)に記載の入浴車。
【0018】
(12)前記第2の板状部は、前記第1の板状部の前記切欠きの両側に、一対で設けられた一対の板片で構成されている上記(11)に記載の入浴車。
【0019】
(13)前記台車の前記本体部は、前記台車固定用部材を前記第1の位置に位置させ、前記入浴車から前記台車を搬出した際に、前記台車固定用部材の前記第2の板状部材と前記本体部の搬入側の連結部とが係止する上記(10)ないし(12)のいずれかに記載の入浴車。
【0020】
(14)前記台車の前記本体部の搬入側には、取っ手が設けられている上記(13)に記載の入浴車。
【0021】
(15)分割浴槽を分割した状態で入浴車に搬入または当該入浴車から搬出するのに用いられる台車であって、前記分割浴槽を着脱自在に支持し、前記入浴車の車内に設置されたスライド手段に沿ってスライドする本体部と、前記本体部の搬出側に設けられた一対の車輪とを有し、前記分割浴槽を支持した状態の前記台車を前記入浴車から搬出し、前記台車を牽引することにより、前記分割浴槽ごと移動可能となっていることを特徴とする台車。
【0022】
(16)前記台車の前記本体部は、前記入浴車から前記台車を搬出して、前記本体部を地面に対してほぼ垂直に立てた状態で、前記台車の前記一対の車輪を前記地面から離間させることにより、前記分割浴槽とともに前記台車を支持して、前記台車が移動するのを防止する第1の移動防止機構を有する上記(15)に記載の台車。
【0023】
(17)前記台車の前記本体部は、前記入浴車から前記台車を搬出して、前記本体部を地面に対してほぼ平行に寝かせた状態で、前記台車の前記一対の車輪を前記地面から離間させることにより、前記本体部とともに前記台車を支持して、前記台車が移動するのを防止する第2の移動防止機構を有する上記(15)または(16)に記載の台車。
【0024】
(18)前記分割浴槽を支持した状態の前記台車を前記入浴車から搬出する際に、前記台車の前記分割浴槽はカバーで覆われており、前記カバーは、訪問入浴サービスに用いる備品を収納する収納部を有するとともに、前記分割浴槽の分割された各浴槽同士を前記台車に固定する浴槽固定手段を有している上記(15)ないし(17)のいずれかに記載の台車。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】分割した状態の分割浴槽および折り畳んだ状態の入浴タンカを固定(支持)した台車を入浴車に搬入した状態で、入浴車を斜め後方から見た図(内部を透視して示す)である。
【図2】図1に示す分割した状態の分割浴槽と、折り畳んだ状態の入浴タンカとを固定するための台車の分解斜視図である。
【図3】図1に示す入浴車の荷台に設置された構造物の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す台車の下面図である。
【図5】台車を入浴車に搬入した状態における台車とレール部との関係を説明するための部分断面図である。
【図6】台車を入浴車に搬入した状態で、上下方向位置決め手段によって台車が固定されていない状態を説明するための斜視図である。
【図7】台車を入浴車に搬入した状態で、上下方向位置決め手段によって台車が固定されている状態を説明するための斜視図である。
【図8】台車をレール部の後方にスライドさせて、台車を入浴車から搬出する状態を示す斜視図である。
【図9】図8の状態における分割した状態の分割浴槽および入浴タンカを固定した台車を、入浴車の斜め後方から見た図である。
【図10】入浴車から分割浴槽および入浴タンカを固定した台車を搬出し、牽引する状態を説明するための図である。
【図11】台車の車輪近傍の拡大断面図(車輪を透視して示す)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の台車および入浴車を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。
【0027】
本発明の入浴車は、分割浴槽を分割した状態で車中に搭載(積載)して移送するものであり、本発明の台車は、訪問入浴サービス提供時に、分割した状態の分割浴槽を入浴車に搬入または入浴車から搬出するのに用いられる。
【0028】
図1は、分割した状態の分割浴槽および折り畳んだ状態の入浴タンカを固定(支持)した台車を入浴車に搬入した状態で、入浴車を斜め後方から見た図(内部を透視して示す)、図2は、図1に示す分割した状態の分割浴槽と、折り畳んだ状態の入浴タンカとを固定するための台車の分解斜視図、図3は、図1に示す入浴車の荷台に設置された構造物の構成を示す斜視図、図4は、図2に示す台車の下面図である。
【0029】
図1に示す入浴車100は、ハッチバック式の自動車であり、その内部に荷台(車載スペース)101を有する。この荷台101に、図1および図2に示すような分割した状態の分割浴槽5および折り畳んだ状態の入浴タンカ4を固定(支持)した台車3を収納(搬入)することができる。
【0030】
分割浴槽5は、組み立てた状態で、その中に湯をはることにより、要介護者を入浴させるのに用いられる。この分割浴槽5は、図2に示すように、第1半割槽51と第2半割槽52とを有し、第1半割槽51を第2半割槽52に重ね合わせた状態で台車3に固定される。
【0031】
このような分割浴槽5は、訪問先において、第1半割槽51と第2半割槽52とを、それぞれが有する当接面511、521同士を当接させ、第2半割槽52の外部側面に設けられた連結機構53によって連結される。これにより、分割浴槽5が組み立てられる。
【0032】
また、第2半割槽52には、分割浴槽5を組み立てた際に、分割浴槽5を支持する脚部54(54a、54b)が設けられている。このうち、第1の脚部54aは、第2半割槽52底面の長手方向のほぼ中央部にU字状に設けられ、第2の脚部54bは、第1の脚部54aよりも当接面521側に設けられている。また、第1半割槽51にも、第2半割槽52の第1の脚部54aと同様に、第1半割槽51底面の長手方向のほぼ中央部にU字状の脚部が設けられている。組み立てられた分割浴槽5は、これらの脚部によって支持される。
【0033】
入浴タンカ4は、要介護者を入浴させる際に用いられるものである。この入浴タンカ4は、タンカ本体部41と、タンカ本体部41の長手方向のほぼ中央部に設けられた折り畳み部42とを有し、この折り畳み部42において、タンカ本体部41がほぼ半分の長さになるように折り畳むことができるようになっている。また、タンカ本体部41には、その両端部に、それぞれ一対の取っ手43が設けられている。
【0034】
かかる構成の入浴タンカ4は、訪問先において、タンカ本体部41を展開して、組み立てた浴槽5の上縁に載置し、図示しないネットを取り付ける。このネットの部分に要介護者を乗せた状態で、ネットを上下させることで要介護者を浴槽内に出し入れすることができる。
【0035】
これらの分割浴槽5および入浴タンカ4を固定した台車3を、入浴車100に搬入または入浴車100から搬出する際には、荷台101に設置されたスライド手段に沿って台車3をスライドさせるようになっている。このようなスライド手段としては、例えば、1枚の板の両側を曲げてスライド部および一対のガイド部を形成し、この一対のガイド部に沿って台車3がスライド部をスライドするようにしてもよい。また、荷台101に複数本のローラで構成されるスライド部および各ローラの両端側に一対のガイド部を設け、そのローラ上(スライド部)を台車3がガイド部に沿ってスライドするようにしてもよい。このように、スライド手段は特に限定されないが、本実施形態では、スライド手段として、図1および図3に示す一対のレール部1を用いた場合について説明する。かかる構成とすることにより、介護従事者一人であっても、この作業を比較的容易かつ円滑に行うことができる。
【0036】
なお、以下の説明では、台車3を入浴車100に搬入する側、すなわち、入浴車100の前方を「搬入側または前側」と言い、台車3を入浴車100から搬出する側、すなわち、入浴車100の後方を「搬出側または後側」と言う。
【0037】
まず、台車3の構成を説明するのに先立って、入浴車100側の構成について説明する。
【0038】
入浴車100の荷台101内には、図3に示す一対のレール部1、1と、一対のレール部1、1を荷台101の床面上に支持する支持体2と、入浴車100(荷台101)に台車3を搬入した際に、台車3をレール部1に固定する台車固定機構24(後述する)とを備える構造物が設置されている。この構造物は、荷台101の上面に設けられた固定具6により、入浴車100の荷台101に固定されている。
【0039】
支持体2は、例えば、溶接、ネジ止め等により、複数の金属製の棒材を組み立てなる枠体である。この支持体2上に、互いに対向してほぼ平行に配置された一対のレール部1、1が設けられている。各レール部1は、支持体2に対して、例えば、溶接、ネジ止め等により固定されている。
【0040】
各レール部1は、図3に示すように、それぞれ、台車3の本体部31(後述する)がスライドするスライド部11と、スライド部11の長手方向に沿って立設され、本体部31をスライド部11に対してスライドさせる際に、本体部31をガイドするガイド部12とを有する。
【0041】
また、一対のスライド部11、11は、互いにほぼ平行となるように設けられており、各スライド部11の上面には、台車3の本体部31に設けられた後述するローラ32が摺接かつ摺動する。
【0042】
また、各ガイド部12は、各スライド部11の外側縁部に立設されており、台車3の本体部31に設けられた後述する各溝313に挿入される。
【0043】
各レール部1が有するスライド部11およびガイド部12は、一枚の金属製の帯材を短手方向の途中で折り曲げることにより、一体的に形成されている。
【0044】
また、一対のレール部1、1は、それぞれ、入浴車100の前側(搬入側)において、支持体2に支持されることにより、荷台101の床面の上面と所定の間隔をおいてほぼ平行となるように設けられている。一方、一対のレール部1、1は、入浴車100の後側(搬出側)において、下方に向かって傾斜するように設けられている。このような構成により、台車3を入浴車100内に搬入または入浴車100内から搬出する際の作業性が向上するとともに、台車3を入浴車100に搬入した際には、以下に説明する台車位置決め手段と相俟って、台車3の安定性が向上する。
【0045】
このような一対のレール部1、1に沿って、台車3をスライドさせることにより、分割浴槽5および入浴タンカ4を入浴車100に搬入または入浴車100から搬出することができる。
【0046】
次に、台車3の構成について説明する。
図2に示す台車3は、本体部31と、本体部31の下部に設けられた複数のローラ32と、本体部31の搬出側の端部に設けられた一対の車輪33と、本体部31の搬入側の端部に設けられた取っ手34と、分割浴槽5を台車3に固定する固定手段35とを有している。この台車3は、本体部31と分割浴槽5との間に入浴タンカ4を保持できるようになっている。
【0047】
本体部31は、分割浴槽5を着脱自在に支持するとともに、一対のレール部1、1に沿ってスライドするように構成されている。
【0048】
本体部31は、レール部1の一対のスライド部11、11に対応する一対の長辺部311a、311aと、一対の長辺部311a、311aの前後を連結する連結部(短辺部)311b、311bとを有し、外形が長方形状の枠部311で構成されている。また、本体部31は、枠部311の2つの長辺部311a、311aの途中を連結する補強部312を有しており、この補強部312が設けられることによって、枠部311が撓むのが防止されるとともに、本体部31全体としての強度が向上する。
【0049】
また、枠部311(本実施形態では、各長辺部311a)の下面には、その長手方向に沿って、一対の溝313、313が形成されている。各溝313に、対応する各レール部1の各ガイド部12が挿入される。各ガイド部12を各溝313に挿入した状態で、本体部31(台車3)をスライド部11(レール部1)に対してスライドさせたときに、本体部31のスライド方向とほぼ直交する方向への移動が防止される。
【0050】
各長辺部311aは、幅広の金属製の帯材を、溝313を有する所定の形状となるように、短手方向の途中で複数回折り曲げることにより形成されている。搬出側の短辺部311bは、幅狭の金属製の帯材を、短手方向の途中でL字状となるように、折り曲げることにより形成されている。また、搬入側の短辺部311bおよび補強部312には、それぞれ、幅狭の金属製の帯材が用いられている。本体部31は、これらの各帯材を、例えば、溶接、ネジ止め等により組み合わせることにより形成されている。
【0051】
枠部311(本実施形態では、各長辺部311a)の下面には、図4に示すように、枠部311の長手方向に回転可能な複数のローラ32が設けられている。本実施形態では、一対のローラ32が4組、合計8個設けられている。このローラ32は、本体部31(台車3)をレール部1のスライド部11に対してスライドさせる際に、各スライド部11の上面に摺接してスライド部11の上面上を摺動するようになっている。
【0052】
これにより、台車3を入浴車100内に搬入または入浴車100から搬出する作業をより容易にかつ円滑に行うことができる。本実施形態では、かかる作業を、各ガイド部12を各溝313に挿入した状態で行うことができる。この場合、本体部31(台車3)をレール部1のスライド部11に対してスライドさせる際に、台車3の本体部31をレール部1の搬出方向から搬入方向に対してまっすぐにスライドさせることができるので、その作業効率がより向上する。
【0053】
また、本体部31の搬出側には、一対の車輪33が設けられている。本実施形態では、各車輪33は、本体部31の各長辺部311aの搬出側の端部側面に、回転可能に設けられている。かかる構成によれば、訪問先において、分割浴槽5および入浴タンカ4を固定した台車3を、入浴車100から搬出すると、この車輪33がまず地面に接触する。
【0054】
そして、この状態で、台車3の搬入側の端部を把持して台車3を牽引することにより、台車に固定(支持)された分割浴槽5および入浴タンカ4ごと移動させることができる。
【0055】
一方、本体部31の搬入側の端部には、棒状の取っ手34が固定(固着)されている。この取っ手34を把持することにより、台車3を牽引して分割浴槽5および入浴タンカ4を移動させる作業を容易に行うことができる。
【0056】
さらに、本体部31には、図2に示すように、分割浴槽5を台車3に固定する固定手段35が設けられている。この固定手段35は、各長辺部311aの補強部312との接合部付近に設けられた浴槽脚部用ストッパ351と、各長辺部311aの搬出側端部に設けられたブロック状のストッパ352と、このストッパ352の近傍に設けられたベルト353とで構成されている。
【0057】
図1、図2に示すように、分割した状態の分割浴槽5を、第2の脚部54b近傍にストッパ352が位置するように台車3上に載置し、浴槽脚部用ストッパ351で第1の脚部54aを挟持することにより、分割浴槽5が台車に対して仮固定される。さらに、ベルト353を分割浴槽5に掛けて締め付けることにより、分割浴槽5が台車3に固定される。
【0058】
また、このとき、分割浴槽5と台車3との間に、入浴タンカ4を介在させることにより、入浴タンカ4も分割浴槽5とともに台車3に固定することができる。
【0059】
以上説明したような入浴車100は、さらに、荷台101に台車3を搬入した状態で、台車3のレール部1に対する位置決めを行う台車位置決め手段20を有する。
【0060】
以下、この台車位置決め手段20について説明する。
台車位置決め手段20は、台車3のレール部1に対する前後方向の位置決めを行う前後方向位置決め手段21と、台車3のレール部1に対する左右方向の位置決めを行う左右方向位置決め手段22と、台車3のレール部1に対する上下方向の位置決めを行う上下方向位置決め手段23とを有する。
【0061】
<前後方向位置決め手段>
まず、台車3のレール部1に対する前後方向の位置決めを行う前後方向位置決め手段21について説明する。
【0062】
図5は、台車を入浴車に搬入した状態における台車とレール部との関係を説明するための部分断面図である。
【0063】
図5に示すように、各レール部1の各ガイド部12には、それぞれ対応する位置に、上端側が開放するスリット121が設けられている。また、台車3の枠部311の搬出側の短辺部311bは、上述したように、幅狭の金属製の帯材が、短手方向の途中でL字状となるように折り曲げられており、その折り曲げられた部分が下方に突出する板片を形成している。この各ガイド部12に設けられた各スリット121と、台車3の枠部311の搬出側の短辺部311bとで前後方向位置決め手段21が構成されている。入浴車100に台車3を搬入した状態で、枠部311の搬出側の短辺部311bの下方に突出する板片をスリット121に挿入することにより、台車3の本体部31のスライド方向への移動が防止されるとともに、台車3のレール部1に対する前後方向の位置決めがなされる。
【0064】
<左右方向位置決め手段>
次に、台車3のレール部1に対する左右方向の位置決めを行う左右方向位置決め手段22について説明する。
【0065】
上述した台車3の各長辺部311aの下面に設けられた溝313と各レール部1の各ガイド部12とで、左右方向位置決め手段22が構成される。
【0066】
上述したように、入浴車100に台車3を搬入する際に、各レール部1の各ガイド部12を台車3の各長辺部311aに設けられた溝313に挿入した状態で、本体部31(台車3)をスライド部11(レール部1)に対してスライドさせたときに、本体部31のスライド方向とほぼ直交する方向への移動が防止される。これにより、台車3のレール部1に対する左右方向の位置決めがなされる。
【0067】
<上下方向位置決め手段>
次に、台車3のレール部1に対する上下方向の位置決めを行う上下方向位置決め手段23について説明する。
【0068】
図6は、台車を入浴車に搬入した状態で、上下方向位置決め手段によって台車が固定されていない状態を説明するための斜視図、図7は、台車を入浴車に搬入した状態で、上下方向位置決め手段によって台車が固定されている状態を説明するための斜視図である。
【0069】
このような上下方向位置決め手段23は、入浴車100の荷台101に設けられ、入浴車100に台車3を搬入した状態で、台車3をレール部1に固定する台車固定機構24と、台車3の本体部31の搬出側の短辺部311bに設けられ、台車固定機構24によってレール部1に台車3が固定された状態を保持するロック機構25とから構成されている。以下に台車固定機構24およびロック機構25について説明する。
【0070】
まず、台車固定機構24について説明する。
図3に示すように、台車固定機構24は、荷台101の床面に設けられた固定具6の搬出側の端部に設けられた蝶番(ヒンジ部)7と連結され、蝶番7を回動中心として固定具6(入浴車100)に対して回動可能な台車固定用部材241で構成されている。
【0071】
台車固定用部材241は、台車3を入浴車100に搬入した状態において、図6に示すような台車3の本体部31の搬出側の短辺部311bから離間した第1の位置と、図7に示すような本体部31の搬出側の短辺部311bに係合する第2の位置とに変位する。いいかえれば、台車固定用部材241は、蝶番7を回動中心軸として、第1の位置から第2の位置に、または第2の位置から第1の位置に回動する。
【0072】
図6に示す台車固定用部材241は、長方形状をなし、一対の長辺部のうちの一方の長辺部側で蝶番7と回動可能に連結する第1の板状部241aと、第1の板状部241aの他方の長辺部に、第1の板状部241aに対して屈曲(または湾曲)するように立設した第2の板状部241bとで構成されている。
【0073】
第1の板状部241aは、その長手方向の長さが一対のレール部1、1が有する一対のガイド部12、12間の間隔よりも短く形成されており、台車固定用部材241を第1の位置において、長辺部の両端が各レール部1のスライド部11の上面に当接して支持されるように構成されている。
【0074】
また、第1の板状部241aは、そのほぼ中央部に上端に開放する切欠き242が設けられており、第2の板状部241bは、第1の板状部241aの切欠き242を介して、一対で設けられた板片で構成されている。これにより、後述するロック機構25を構成するロックバー36を用いて台車固定用部材241を第2の位置を保持(ロック)することができる。
【0075】
また、第2の位置において、第1の板状部241aは、台車3の搬出側の短辺部311b端面に当接するとともに、第2の板状部241bは、台車3の搬出側の短辺部311b上面側に位置するように構成されている。これにより、台車3の搬出側の短辺部311bが第1の板状部241aおよび第2の板状部241bと係合し、台車3がレール部1に対して固定されて、台車3のレール部1に対する上下方向への移動が防止される。
【0076】
このような第1の板状部241aおよび第2の板状部241bは、それぞれ金属製の板材で構成されており、1つの板材を切削および折り曲げることにより一体的に形成される。
【0077】
次に、この台車3がレール部1に対して固定された状態、すなわち、台車固定用部材241を第2の位置にした状態を保持(ロック)するロック機構25について説明する。
【0078】
図6に示すように、ロック機構25は、台車3の本体部31の搬出側の短辺部311b端面のほぼ中央部に設けられたL字状のロックバー36で構成されている。
【0079】
このロックバー36は、その基端部361が本体部31の搬出側の短辺部311b端面に設けられており、基端部361を回転中心として先端部362が回転可能に設けられている。
【0080】
また、ロックバー36は、その先端部362を鉛直上方に向けた状態で、台車固定用部材241を第1の位置から第2の位置に第1の板状部241aの切欠き242を介して回動可能にする。
【0081】
次に、台車固定機構24およびロック機構25による台車3のレール部1に対する上下方向の位置決めを行う手順について説明する。
【0082】
まず、荷台101に設けられた台車固定用部材241を第1の位置にし、各レール部1の各ガイド部12を台車3の本体部31の各溝313に挿入した状態で、台車3をレール部1に対してスライドさせていく。その後、本体部31の搬出側の短辺部311bの下方に突出する板片をスリット121に挿入する。これにより、台車3のレール部1に対する前後左右方向の位置決めが行われるとともに、レール部1に対する前後左右方向への移動が防止される。
【0083】
その後、台車3の搬出側の短辺部311b端面に設けられたロックバー36の先端部362を鉛直上方に向けた状態で、台車固定用部材241を第2の位置にすることにより、台車3の本体部31の搬出側の短辺部311bと台車固定用部材241とが係合し、台車3がレール部1に対して固定されて、台車3のレール部1に対する上下方向への移動が防止される。
【0084】
この状態で、ロックバー36の先端部362を鉛直下方に回動させることによって、図7に示すようにロックバー36の先端部362が、第1の板状部241a(台車固定用部材241)の台車3の本体部31の搬出側の短辺部311bとは反対側に位置する。これにより、台車固定用部材241の第2の位置から第1の位置への変位(回動)が防止されて、台車3がレール部1に対して固定された状態が保持されるとともに、台車3のレール部1に対する上下方向の位置決めが行われる。
【0085】
入浴車100は、上述したような台車位置決め手段20(方向位置決め手段21、左右方向位置決め手段22および上下方向位置決め手段23)によって、浴槽を移送する際(浴槽を積載した状態で移動する際)に、浴槽を確実に荷台101に固定することができる。
【0086】
次に、台車の使用方法(作用)について説明する。
図8は、台車をレール部の後方にスライドさせて、台車を入浴車から搬出する状態を示す斜視図、図9は、図8の状態における分割した状態の分割浴槽および入浴タンカを固定した台車を、入浴車の斜め後方から見た図、図10は、入浴車から分割浴槽および入浴タンカを固定した台車を搬出し、牽引する状態を説明するための図である。
【0087】
訪問先において、まず、ロック機構25を解除して(ロックバー36の先端部362を鉛直上方に回転させて)、図6に示すように、台車固定用部材241を第2の位置から第1の位置にする。
【0088】
次に、図9に示すように、台車固定用部材241を第1の位置の状態で、分割した状態の分割浴槽5および折り畳んだ状態の入浴タンカ4を固定した台車3をレール部1に沿って後方にスライドさせて、入浴車から搬出し、台車3の車輪33が地面に接触する。
【0089】
その際、図8に示すように、台車3の本体部31の搬入側の短辺部311bが、台車固定用部材241の第2の板状部241bに係止する。これにより、台車3を入浴車100から搬出する際に、介護従事者が誤って、台車3の本体部31から手を離してしまった場合でも、台車3が地面に落下するのを防止することができ。その結果、分割浴槽5等が破損するのを防止することができる。
【0090】
次に、台車3の本体部31の取っ手34を持って、台車3を牽引する。これにより、分割浴槽5および入浴タンカ4を移動することができる。このような台車3を用いることにより、介護従事者一人であっても、この作業を比較的容易かつ円滑に行うことができる。
【0091】
なお、台車3を入浴車100に搬入する際には、上記と反対の作業を行うようにすればよい。
【0092】
特に、台車3を入浴車100に搬入する際には、前記台車固定用部材241を第1の状態にして、台車3の本体部31の搬入側の短辺部311bを、台車固定用部材241の第2の板状部241bに係止させた後、台車3を持ち上げてレール部1に沿ってスライドさせる。これにより、介護従事者一人であっても、容易に台車3を入浴車100に搬入することができる。
【0093】
また、台車3の本体部31は、入浴車100から台車3を搬出した際に、本体部31を地面に対してほぼ垂直に立てた状態、または地面に対してほぼ水平に寝かせた状態で、台車3が移動するのを防止する移動防止手段37を有している。
【0094】
図11は、台車の車輪近傍の拡大断面図(車輪を透視して示す)である。
台車3の本体部31は、各長辺部311aの搬出側の端面側面と対応する各車輪34との間に、それぞれ、長辺部311aと平行に設けられた第1の車輪ストッパ37aと、第1の車輪ストッパ37aとほぼ直交して設けられた第2の車輪ストッパ37bとを有している。本実施形態において、移動防止手段37は、一対の車輪33にそれぞれ設けられた一対の第1の車輪ストッパ37aと、一対の第2の車輪ストッパ37bとで構成されている。
【0095】
図11に示すように、各第1の車輪ストッパ37aは、各車輪33の寸法よりも長く構成されている。そのため、一対の第1の車輪ストッパ37aは、台車3(本体部31)をほぼ垂直に立てた状態で、一対の車輪33が地面から離間し、台車3に固定された分割浴槽5の一部とともに前記台車3を支持する。これにより、台車3が移動するのを防止する。
【0096】
また、各第2の車輪ストッパ37bも、各車輪33の寸法よりも長く構成されている。そのため、一対の第2の車輪ストッパ37bは、台車3(本体部31)をほぼ水平に寝かせた状態で、一対の車輪33が地面から離間し、台車3(本体部31)の一部とともに前記台車3を支持する。これにより、分割浴槽5および入浴タンカ4を積載した台車3が移動するのを防止する。
【0097】
なお、台車3を運搬する際は、図11中に示す車輪33のAの範囲で接地して台車3を牽引する。
【0098】
また、分割浴槽5および入浴タンカ4を積載した台車3を入浴車100から搬出する際に、台車3の分割浴槽5および入浴タンカ4はカバー(図示せず)で覆われていてもよい。また、このようなカバーは、訪問入浴サービスに用いる備品(例えば、浴槽にお湯を入れるためのホース等)を収納する収納部を有しているのが好ましい。これにより、分割浴槽5および入浴タンカ4とともに、サービスに必要な備品も一緒に運搬することができ、介護従事者の作業性がより向上する。さらに、このようなカバーは、分割浴槽5の分割された第1半割槽51および第2半割槽52と入浴タンカ4とを台車3に固定する浴槽固定手段を有しているのが好ましい。これにより、台車3を牽引する際に、台車3から分割浴槽5および入浴タンカ4が落下するのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0099】
1…レール部 11…スライド部 12…ガイド部 121…スリット 2…支持体 3…台車 31…本体部 311…枠部 311a…長辺部 311b…短辺部 312…補強部 313…溝 32…ローラ 33…車輪 34…取っ手 35…固定手段 351…浴槽脚部用ストッパ 352…ブロック状のストッパ 353…ベルト 36…ロックバー 361…基端部 362…先端部 37…移動防止手段 37a…第1の車輪ストッパ 37b…第2の車輪ストッパ 4…入浴タンカ 41…タンカ本体部 42…折り畳み部 43…取っ手 5…分割浴槽 51…第1半割槽 511…当接面 52…第2半割槽 521…当接面 53…連結機構 54…脚部 54a…第1の脚部 54b…第2の脚部 6…固定具 7…蝶番(ヒンジ部) 100…入浴車 101…荷台 20…台車位置決め手段 21…前後方向位置決め手段 22…左右方向位置決め手段 23…上下方向位置決め手段 24…台車固定機構 241…台車固定用部材 241a…第1の板状部 241b…第2の板状部 242…切欠き 25…ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割浴槽を分割した状態で車中に積載して移送し、訪問入浴サービス提供時に前記分割浴槽を搬入または搬出する入浴車であって、
分割浴槽と、
入浴車の荷台に設置されたスライド手段と、
前記分割浴槽を着脱自在に支持し、前記スライド手段に沿ってスライドする本体部と、当該本体部の搬出側の端部に設けられた一対の車輪とを有する台車と、
前記台車を前記入浴車に搬入した状態で、前記台車を前記スライド手段に対して位置決めする台車位置決め手段とを有することを特徴とする入浴車。
【請求項2】
前記スライド手段は、一対のレール部で構成されており、
前記一対のレール部は、それぞれ、前記台車の前記本体部がスライドするほぼ平行に配置された一対のスライド部を有し、前記台車の前記本体部は、これらのスライド部に対応する一対の長辺部と、当該一対の長辺部の前後を連結する一対の連結部とを有する請求項1に記載の入浴車。
【請求項3】
前記台車の各長辺部は、対応する各スライド部に当接するローラを有する請求項2に記載の入浴車。
【請求項4】
前記台車位置決め手段は、前記台車の前記レール部に対する前後方向の位置決めを行う前後方向位置決め手段と、前記台車の前記レール部に対する左右方向の位置決めを行う左右方向位置決め手段と、前記台車の前記レール部に対する上下方向の位置決めを行う上下方向位置決め手段とで構成されている請求項3に記載の入浴車。
【請求項5】
前記左右方向位置決め手段として、各レール部は、さらに、各スライド部にそれぞれ立設されたガイド部を有し、かつ、前記台車の各長辺部は、対応する各スライド部に立設された前記ガイド部をそれぞれ挿入する溝を有し、
前記ガイド部を前記溝に挿入した状態で、前記本体部を前記スライド部に対してスライドさせたときに、前記本体部のスライド方向とほぼ直交する方向への移動が防止される請求項4に記載の入浴車。
【請求項6】
前記前後方向位置決め手段として、前記ガイド部は、それぞれ対応する位置に、上端側が開放するスリットを有し、かつ、前記台車の搬出側の連結部は、下方に突出して設けられ、前記スリットに挿入される板片を有し、
前記入浴車に前記台車を搬入した状態で、前記板片を前記スリットに挿入することにより、前記本体部のスライド方向への移動が防止される請求項5に記載の入浴車。
【請求項7】
前記上下方向位置決め手段として、前記入浴車に設けられた台車固定機構を有し、
前記台車の前記本体部は、前記入浴車に前記台車を搬入した状態で、前記台車固定機構によって前記レール部に固定されることにより、前記本体部の前記レール部に対する上下方向への移動が防止される請求項6に記載の入浴車。
【請求項8】
前記台車固定機構は、前記台車の前記本体部の搬出側の連結部から離間した第1の位置と、前記本体部の搬出側の連結部に係合する第2の位置とに変位可能に設けられた台車固定用部材を有する請求項7に記載の入浴車。
【請求項9】
前記本体部の搬出側の連結部は、前記入浴車に前記台車を搬入した状態で、前記台車固定用部材を前記第2の位置にロックするロック機構を有する請求項8に記載の入浴車。
【請求項10】
前記台車固定用部材は、前記第2の位置において、前記台車の前記本体部の搬出側の連結部端面に当接する第1の板状部と、前記第1の板状部に対して屈曲または湾曲するように設けられ、前記本体部の搬出側の連結部上面側に位置する第2の板状部とを有し、
前記ロック機構は、前記台車固定用部材が前記第2の位置にあるとき、前記第1の板状部の前記本体部の搬出側の連結部とは反対側に位置して、前記台車固定用部材の前記第2の位置から前記第1の位置への変位を阻止するロックバーを有する請求項9に記載の入浴車。
【請求項11】
前記第1の板状部は、上端に開放する切欠きを有し、
前記ロック機構の前記ロックバーは、基端部と先端部とを有する略L字状部材であり、その基端部を回転中心として回転可能に前記台車の前記本体部の前記搬出側の連結部端面に設けられており、
前記ロックバーは、その先端部を鉛直上方に向けた状態で、前記台車固定用部材を前記第1の位置から前記第2の位置に、前記第1の板状部の前記切欠きを介して回動可能にする請求項10に記載の入浴車。
【請求項12】
前記第2の板状部は、前記第1の板状部の前記切欠きの両側に、一対で設けられた一対の板片で構成されている請求項11に記載の入浴車。
【請求項13】
前記台車の前記本体部は、前記台車固定用部材を前記第1の位置に位置させ、前記入浴車から前記台車を搬出した際に、前記台車固定用部材の前記第2の板状部材と前記本体部の搬入側の連結部とが係止する請求項10ないし12のいずれかに記載の入浴車。
【請求項14】
前記台車の前記本体部の搬入側には、取っ手が設けられている請求項13に記載の入浴車。
【請求項15】
分割浴槽を分割した状態で入浴車に搬入または当該入浴車から搬出するのに用いられる台車であって、
前記分割浴槽を着脱自在に支持し、前記入浴車の車内に設置されたスライド手段に沿ってスライドする本体部と、
前記本体部の搬出側に設けられた一対の車輪とを有し、
前記分割浴槽を支持した状態の前記台車を前記入浴車から搬出し、前記台車を牽引することにより、前記分割浴槽ごと移動可能となっていることを特徴とする台車。
【請求項16】
前記台車の前記本体部は、前記入浴車から前記台車を搬出して、前記本体部を地面に対してほぼ垂直に立てた状態で、前記台車の前記一対の車輪を前記地面から離間させることにより、前記分割浴槽とともに前記台車を支持して、前記台車が移動するのを防止する第1の移動防止機構を有する請求項15に記載の台車。
【請求項17】
前記台車の前記本体部は、前記入浴車から前記台車を搬出して、前記本体部を地面に対してほぼ平行に寝かせた状態で、前記台車の前記一対の車輪を前記地面から離間させることにより、前記本体部とともに前記台車を支持して、前記台車が移動するのを防止する第2の移動防止機構を有する請求項15または16に記載の台車。
【請求項18】
前記分割浴槽を支持した状態の前記台車を前記入浴車から搬出する際に、前記台車の前記分割浴槽はカバーで覆われており、
前記カバーは、訪問入浴サービスに用いる備品を収納する収納部を有するとともに、前記分割浴槽の分割された各浴槽同士を前記台車に固定する浴槽固定手段を有している請求項15ないし17のいずれかに記載の台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−68257(P2011−68257A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220864(P2009−220864)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000134121)株式会社デベロ (8)
【Fターム(参考)】