説明

入退ゲート装置

【課題】 通行者に無線カードのかざし領域を戸惑うことなく視認させ、また、無線カードの照査結果をかざし領域と兼ねた表示部に表示して利便性の高い入退ゲート装置を提供する。
【解決手段】 無線カード15をかざして記録されている情報を受信するリーダ・ライタ13のアンテナ14を備え、且つ情報の結果を表示と、前記無線カードをかざす領域とを兼ねる表示部5を備えた入退ゲート装置において、透明樹脂材料あるいはガラス板から成り、少なくとも一側縁に配置されている光源体からの入光により拡散反射を誘因する反射面を設けた面発光体8から成る前記表示部とし、さらに、面発光体と光源体およびアンテナと一体化されたリーダ・ライタをユニット化した表示部を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行者が無線カードをかざす領域にかざすことでカード情報を照査し、進入路の開放と遮断をゲート板の開閉で制御すると共に、情報を照査するためのリーダ・ライタと、照査の結果を表示する表示部を具備した入退ゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入退ゲート装置は通行者の所持する無線カードを入退ゲート装置の所定の位置に設けられたかざし領域に近接させ、設置されているアンテナで受信し接続されたリーダ・ライタで無線カードの情報を読み取り、予め入力されているデータとの照査からゲート板の開閉を制御して進入路の開放あるいは遮断を行う。通常はゲート板を常時閉じた状態で通行が遮断され、照査の結果から適正カードの場合にはゲート板を開き通行を許可する方法が一般的である。無線カードをかざす領域には入退ゲート装置を連続して通行者を迅速に通過させる目的から、通行者が戸惑うことなく視認するための手段が必要とされる。この方法として、かざす領域に発光手段から導光手段で光を導くもの(例えば、特許文献1参照)、かざす領域に実像で標識を立体表示するもの(例えば、特許文献2参照)、が提案されている。
【0003】
【特許文献1】 特開平10−240975号公報(第2−7頁、第1図、第8図)
【特許文献2】 特開平10−162177号公報(第2−4頁、第1−18図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記「特許文献1」の提案は、かざす領域の照明をキセノン管等のフラッシュ光源を利用するためフラッシュ制御等、電源回路から出るノイズの影響で無線カードとアンテナ間の受信が不安定となるため、アンテナの受信に影響を受けない距離に電源回路およびフラッシュ光源部を離して設置する。このため、フラッシュ光源部から光を光導体でかざし領域まで導いて照明するものであるが、光導体が長く直線に配置することが困難のため、強い光源を発生する装置と電源回路が複雑となる等、照明装置が大型化となる。また、前記「特許文献2」の提案は、かざす領域に立体表示装置で標識を実像で立体表示するものであるが、立体表示装置が複雑で高価であり、立体表示に対し初めての通行者は、かざす領域に戸惑ってしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、以上の課題を鑑みてなされたもので、通行者に無線カードのかざし領域を戸惑うことなく視認させ、また、無線カードの照査結果をかざし領域と兼ねる表示部に表示して通行者が迅速に対応できる利便性の高い入退ゲート装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の入退ゲート装置によれば、請求項1に記載の発明は、無線カードをかざして記録されている情報を受信するリーダ・ライタのアンテナを備え、前記無線カードをかざす領域を兼ね、且つ情報の結果を表示する表示部を備えた入退ゲート装置において、前記表記部が透明樹脂材料あるいはガラス板から成り、少なくとも一側縁に配置されている光源体からの入光により拡散反射を誘因する反射面を設けた面発光体から成ることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の入退ゲート装置によれば、請求項2に記載に発明は、前記光源体が発光ダイオードである前記面発光体から成る前記表示部と、少なくとも一部分が重なる下方の近接した位置に、前記リーダ・ライタのアンテナを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以下に記載されるような効果を得られる。請求項1に記載の発明である入退ゲート装置によれば、無線カードをかざす領域を兼ねる表示部は、下面に拡散反射を誘因する手段が施された透明樹脂材料あるいはガラス板から成る面発光体で構成され、面発行体の側縁に配置された光源体から入光させることにより拡散反射を誘因し面発光体の表面が均一に明るく発光した状態に光る。したがって、面発光体で構成されたかざし領域を兼ねる表示部を一目瞭然で視認でき、また、かざし領域にカードをかざす前の色と、カード情報の結果から通行許可あるいは不許可で、それぞれ表示部の色を変化させることで通行者はカード照査の結果を色で視認でき、迅速な通行に対応できる。また、光導手段など複雑な構成を必要とせず表示部の構造を単純化して低コストにできる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記面発光体の側縁に配置された発光ダイオードを光源体にして構成される前記表示部は、光源体を制御する電源回路から発生するノイズはアンテナと情報カードの受信に影響を及ぼすものでなく、前記面発光体と発行ダイオードを光源体とした表示部にアンテナを近接に配置しても無線カードの情報を受信する電波の伝搬損失が少なく、前記発光体と前記光源体およびアンテナと一体化されたリーダ・ライタのユニット化が可能となり、構造が簡単で信頼性の高い表示部を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の入退ゲート装置にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明の入退ゲート装置の形態は、入退ゲート装置を利用する通行者が電磁誘導方式の無線カードをかざすためのかざし領域と、かざした無線カードの情報を受信してリーダ・ライタが読み取るアンテナを近接した位置に配置する。受信した無線カードの情報はリーダ・ライタで読み取り、接続されているCPU等の処理装置で予め入力されているデータと照査され入退ゲート装置の通行を許可、不許可の判定をする。許可する場合は入退ゲート装置の常時閉じられている状態のゲート板が開閉手段によって開放され通行を可能とする。入退ゲート装置の通行を許可、不許可の判定結果はかざし領域と兼ねる表示部に青や赤など色の違いで表示、または表示部に文字や標識を表示することで通行者は容易に視認できる。無線カードをかざす領域は通行者に戸惑うことなく視認させる必要から、下面を光の拡散反射させる反射手段を施した透明樹脂材料あるいはガラス板の少なくとも一側縁から発光ダイオード等の光源体から入光した光で、拡散反射により表示部を形成する面発光体の表面を均一に明るく表示部が一目瞭然に視認できる状態に発光する。前記拡散反射の反射手段として、使用する透明材料の下表面を化学エッチングやサンドブラスト加工する方法や微粒子ポリマーをコーティングしたフィルムを貼付ける等の方法がある。また、光源体に発光ダイオードを使用することで面発光体の一側縁に直線配列ができ厚みが薄く、単純な構造で視認のし易い表示板を具備した入退ゲート装置を提供する。
【0011】
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、本発明の入退ゲート装置に進入する通行者が戸惑うことなく無線カードのかざし領域を視認でき、また、かざした結果をかざし領域を兼ねる表示部で素早く確認でき、迅速な通行に対応ができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明に係わる入退ゲート装置の実施例について図面を参照して具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。本発明の入退ゲート装置1の構成は、左ゲート装置2と右ゲート装置3で進入路4が形成され通行者が所持している定期券サイズの無線カード15をかざす領域を兼ね、かざした無線カード15の照査結果を表示する表示部5を進入側に設けてある。通行者が退出の場合は進入路4と反対側が進入側となる。かざされた無線カード15の照査結果が通行許可の場合は常時閉じられている左ゲート板6、および右ゲート板7が開閉手段によって開かれ進入路4が開放され通行が可能となり、不許可の場合は左右ゲート6,7が閉じた状態を継続して通行ができない。表示部5は無線カード15をかざす領域を兼ねるため、通行者に戸惑うことなく視認できる表示の手段を必要とされる。
【0013】
このため、表示部5は透明樹脂あるいはガラス板の下表面を化学エッチングやサンドブラストで粗面化、あるいは微粒子ポリマーをコーティングした粗面化フィルムを貼付けた反射面9を形成した面発光体8から成り、さらに、面発光体8の少なくとも一側縁に沿って直線に配列した発光ダイオードを光源体11として面発光体8の側縁から照射して光12を入光させる。入光した光12は面発光体8の反射面9で光を効率良く拡散させて面発光体8の表面を美しく均一に発光させ視認し易い表示部5となる。さらに光源体11の発光ダイオードの色の選択で景観に優れ視認のし易い表示部5が形成される。また、発光体8に文字や図形などの標識を印刷や、加工によって形成すると無線カード15の照査の結果を通行者に視覚で訴えることもできる。
【0014】
面発光体8に入光する光源体11に発光ダイオードを使用することで、電源回路16から発生するノイズはアンテナ14と情報カード15の受信間に影響を及ぼすものでなく、リーダ・ライタ13と一体に構成されているアンテナ14を面発光体8の下方に近接して配置できるため表示部5のユニット化が可能となり、構造が簡単で信頼性の高い表示部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の入退ゲート装置の実施の形態を示す斜視図。
【図2】本発明の入退ゲート装置の右ゲート装置の上面図。
【図3】A−A′断面図。
【図4】B部拡大図。
【符号の説明】
【0016】
1 入退ゲート装置
2 左ゲート装置
3 右ゲート装置
4 進入路
5 表示部
6 左ゲート板
7 右ゲート板
8 面発光体
9 反射面
10 粗面化フィルム
11 光源体
12 光
13 リーダ・ライタ
14 アンテナ
15 無線カード
16 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線カードをかざして記録されている情報を受信するリーダ・ライタのアンテナを備え、前記無線カードをかざす領域を兼ね、且つ情報の結果を表示する表示部を備えた入退ゲート装置において、前記表示部が透明樹脂材料あるいはガラス板から成り、少なくとも一側縁に配置されている光源体からの入光により拡散反射を誘因する反射面を設けた面発光体から成ることを特徴とする入退ゲート装置。
【請求項2】
前記光源体が発光ダイオードである前記面発光体から成る前記表示部と、少なくとも一部分が重なる下方の近接した位置に、前記リーダ・ライタのアンテナを配置したことを特徴とする請求項1に記載の入退ゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−241972(P2007−241972A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104640(P2006−104640)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(394004996)日本ハルコン株式会社 (7)
【Fターム(参考)】