説明

入退室管理システム

【課題】
青少年の深夜立入禁止に対応する際の受付時の年齢確認、時間管理することが別途必要となり、店員にとっては大きな負担になっているという問題点があった。
そこで、本発明は上述の問題点に鑑みなされたもので、青少年の立入禁止時間帯にかかる入退室時間を管理することで、法令順守を確実に実行するとともに、店員の負担を軽減することを目的とする。
【解決手段】
受付時に利用客の年齢と利用時間を入力する受付端末と、年齢に応じて入室禁止時間帯データを記憶する記憶装置と、利用客の年齢と入室禁止時間帯データを参照して退室時刻を設定し、退室時刻が入室禁止時間帯であれば、入室禁止時間帯であることを利用客に通知する管理サーバと、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケボックス店で利用できる入退室の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常カラオケボックス店では、利用客が入室する際に受付で利用時間を設定し、退室時間が近づくと店員が残り時間を利用客にインターホンで知らせたり、または、効率化を図るために、退室時間の管理と利用者への予告を自動的に行うシステムがある。例えば、特開平9−179573公報では、入室時間からの時間を計測して、退室時間が近づくとカラオケの表示装置に表示することが開示されている。これにより、店員が各客室へ電話やインターホンで連絡したり直接対応したりしなくても退室時間の予告をすることができるようにすることで、店員の負担を軽減している。
【特許文献1】特開平9−179573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カラオケボックス店(インターネットカフェ店、まんが喫茶店も同様)等は、各自治体が定める青少年保護育成条例によって、青少年の深夜の立ち入りが禁止されている。
【0004】
そのため各店舗では、「青少年の深夜立入禁止」を表示するとともに、入室禁止時間帯または、利用時間が入室禁止時間に掛かる場合、受付時に利用者の年齢確認を行なったり、入室禁止時刻がきたら退室を促がしたりしなければならない。
【0005】
しかしながら、特開平9−179573公報で開示されている装置では利用時間を管理する機能しかないため、店員は、青少年の深夜立入禁止に対応する受付時の年齢確認、時間管理することが別途必要となり、店員にとっては大きな負担になっているという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は上述の問題点に鑑みなされたもので、青少年の立入禁止時間帯にかかる入退室時間を管理することで、法令順守を確実に実行するとともに、店員の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、一人またはグループで利用できる施設で各利用客の年齢と施設の利用時間からなる利用客の入退室を管理するデータを入力する受付入力手段と、前記受付入力手段によって入力されたデータを記憶する入力情報記憶手段と、予め利用客の年齢に応じて前記施設の入室禁止時間帯を定めた入室禁止時間帯データを記憶する入室禁止時間帯データ記憶手段とを有する記憶手段と、前記記憶手段に記憶したデータから各利用客の入退室を管理する管理手段とを備え、
前記管理手段は前記各利用客の年齢と前記入室禁止時間帯データを照合し、前記各利用客が入室禁止の対象者か否かを判断し、前記入室禁止対象者が存在する場合、前記施設の利用開始から前記利用時間経過後の時刻と前記入室禁止時間帯の時刻のうちいずれか早く到達する時刻を退室時刻として設定する。
【0008】
請求項2の発明では、前記管理手段は退室時刻に到達する前に退室時刻通知手段によって利用客に退室時刻を通知するとともに、前記入室禁止時間帯データにより設定された退室時刻の場合、前記退室時刻通知手段は入室禁止時間帯であることを通知する。
【0009】
請求項3の発明では、前記入室禁止時間帯データにより設定された退室時刻に到達した場合、前記入室禁止対象者の退室したことを前記受付入力手段から入力することにより、前記退室時刻通知を解除し、前記退室時刻を前記受付入力手段で入力された利用時間に基づいた時刻に再設定する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、利用客の年齢による入室禁止時間帯と利用客の利用時間とを管理することで、入室時の入室禁止対象者の確認と退室時刻について自動的に入室禁止時間帯を含めた管理ができるため、店員の入室禁止時間対象者を管理する負担が軽減する。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、退室時刻が到達した時、利用客に退室時刻であることを通知するとともに、退室時刻が入室禁止時間帯であれば、入室禁止時間帯であることを通知することで、退室を強く促すことができるとともに店員の負担を軽減することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、入室禁止対象者と非対象者が混在して利用している場合、入室禁止対象者の退室を確認できるようにして、非対象者が引き続き利用できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る実施例のシステム構成例を図1に示している。本実施例は、多数の客室(ルーム1、ルーム2、・・・、ルームN)を備えたカラオケ店舗において、店舗の受付に設置され店員が各利用客の年齢や利用時間の受付入力を行う受付端末(受付入力手段)1と、利用客情報を記憶している利用客情報管理ファイル31、入室禁止時間帯データを記憶している入室禁止時間帯管理ファイル32、利用時間の管理情報を記憶している利用時間管理ファイル33の各管理ファイルを記憶する記憶装置(記憶手段)3と、利用客の個人情報の管理及び各客室の管理を行う管理サーバ(管理手段)2と、各客室に1台ずつ設置し、退室時刻などの情報を利用客に通知するための表示装置(退室時刻通知手段)4と、カラオケ装置5と、これらをLAN等のネットワークでそれぞれ接続され、これらシステム全体の制御を行う管理サーバ(管理手段)2とを備えている。
【0014】
また、利用客がカラオケの選局操作を行うためのリモコン6も備えている。
【0015】
なお、図1の記憶装置3は1つの記憶装置で各管理ファイルを記憶しているが、各管理ファイル別々の記憶装置にしても良い。
【0016】
受付端末1は、店員が利用客の受付を入力するためのキーボードと、利用客の会員カードの会員番号などのデータを読み込むカードリーダ(図示しない)と、受付操作または、記憶装置に記憶している情報を表示する表示装置と、管理サーバ2との間との通信手段から構成されている。
【0017】
図2は、記憶装置3に記憶した利用客管理ファイル31の1例で、会員番号、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号または携帯電話番号などが記憶されている。
【0018】
図3は、記憶装置3に記憶した入室禁止時間帯管理ファイル32の1例で、対象年齢と利用禁止時間帯からなっている。通常の青少年保護育成条例が18歳未満を対象に入室禁止時間23時〜4時までを規制されているので、ここでは、未成年者対象年齢を18未満とし、その入室禁止時間帯を23時〜4時としている。さらに対象年齢を18歳未満以外に15歳未満も設け、複数の年齢対象にも対応できるようになっている。
【0019】
図4は、記憶装置3に記憶した利用時間管理ファイル33の1例で、各部屋のルーム番号に対応して、希望の利用時間、利用開始時刻、退室時刻、利用客の会員番号などが記憶されている。
【0020】
図5は、店員が利用客の利用客の受付から退室時刻を確定するまでのフローを示した図である。
【0021】
店員は、受付端末1のカードリーダ(図になし)で各利用客が持つ店の会員カードに基づいて会員番号を読み取り、読み取った会員番号から管理サーバ2によって記憶装置3の中の利用客管理ファイル31を検索して利用客の年齢を取得する。また、会員カードを忘れた利用客の場合、氏名、生年月日、電話番号などをキーボードなどの入力機器で入力し、これらの情報を基に利用客管理マスタ31で検索して、会員であることを特定し、利用客の年齢を取得する。また、初めて利用する客に対しては、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号などをキーボードで入力し、会員カードを発行(図になし)するとともに、利用客管理ファイル31に入力内容を登録する。
【0022】
グループで利用する場合、グループ全員を上記の受付を行う。
【0023】
上記のように各利用客の年齢を取得するとともに、利用時間を入力する(ステップS1)。
【0024】
受付端末1は、取得した利用客の年齢と記憶装置3の中の年齢に応じて青少年の入室禁止時間帯を管理する入室禁止時間帯管理ファイル32とを参照して、入室禁止の対象となる青少年が利用客の中にいるか判断する(ステップS2)。入室禁止対象となる青少年がいない場合(ステップS2−N)、ステップS6へジャンプする。
【0025】
一方、対象となる青少年がいる場合(ステップS2−Y)、対象なる青少年の年齢に応じた入室禁止時間帯データを入室禁止時間帯管理ファイル32より取得する(ステップS3)。
現在時刻とステップ3で取得した入室禁止時間帯とを比較し、現在時刻が入室禁止時間帯である場合(ステップS4−Y)、青少年の入室禁止時間帯にかかるために、受付端末1の表示装置に入室拒否を示すメッセージを表示して受付処理を終了する(ステップS5)。
【0026】
例えば、図2の会員番号181234は17歳のため、23時以降に利用すると、図7のように入室拒否を示す表示がされる。
【0027】
現在の時刻が取得した入室禁止時間帯でない場合(ステップS4−N)、ステップS6に進む。
【0028】
次のステップS6では、受付端末1は利用客が希望する利用時間より退室時刻を設定する。通常、利用客から1時間とか2時間とか利用時間を入力するため、例えば、現在時刻の20時から2時間の利用とすれば、退室時刻を22時と設定する(ステップS6)。
【0029】
なお、受付時に希望する退室時刻を直接入力してもかまわない。
【0030】
ステップS6で設定された退室時刻と入室禁止時間帯とを比較し、入室禁止時刻が遅い場合(ステップS7−N)、ステップS9へジャンプして、退室時刻を確定する(ステップS9)。
【0031】
例えば、図4のルームNo.Nの利用客は18歳以上なので、入室禁止時間帯の対象にならないためそのまま退室時刻が確定する。
【0032】
一方、退室時刻よりも入室禁止時刻が同じか早い場合(ステップS7−Y)、ステップS8に進み、退室時刻を利用禁止時刻に変更し(ステップS8)、ステップS9で退室時刻を確定する(ステップS9)。
【0033】
例えば、図4のルームNo.1の利用客は15歳未満なので、希望利用時間からの退室時刻は22時であるが、入室禁止時間帯21時の対象者となるので、退室時刻は21時となって確定する。ルームNo.3の利用客は、18歳未満の利用者が一人いるので、希望利用時間からの退室時刻は23時30分であるが、入室禁止時間帯23時の対象者がいるために、退室時刻は23時となって確定する。
【0034】
また、ルームNo.2の利用客は18歳未満なので入室禁止時間帯23時と、希望利用時間からの退室時刻は23時と同じ場合、23時以降は入室禁止時間帯になるので、退室時刻としては入室禁止時間帯で確定されたこととする。
【0035】
退室時刻を確定することで、受付端末1は図4のように利用するルーム番号、退室時刻、入室禁止対象者の会員コードなどを利用時間管理ファイル33に書き込む。
【0036】
図6は、退室時刻が訪れる時の退室通知と入室禁止対象者の退室確認を行うためのフローを示した図である。
【0037】
ステップS11では、現在の時刻が退室時刻かをチェックして、退室時刻間近例えば5分前になるとステップS12に移る。
【0038】
ステップS12では、退室時刻が訪れることを利用客に通知するために、各部屋に設置された表示装置4に退室時刻を訪れることを図8(a)のように告知表示させる。
【0039】
この退室時刻が入室禁止時間帯データによって設定された場合、表示装置4に図8(a)の表示したあとに、図8(b)のように入室禁止時間帯であることを表示し、その対象者名を表示しても良い。
【0040】
次にステップS13では、次の利用客の予約が入っていなくて利用延長可能な場合、図8(c)のように利用客に延長を希望するかを表示装置4に表示して確認し、利用客が備え付けのリモコンを操作して希望しないを選択した場合(ステップS13−N)、ステップS18へジャンプし、退室を促すために各部屋に設置されている表示装置4に図8(d)のように告知表示する(ステップS18)。
【0041】
一方、利用客が延長を希望する選択した場合(ステップS13−Y)、利用客の中に入室禁止対象となる青少年がいるかを判断する(ステップS14)。対象となる青少年の有無は、受付時に確認し、利用時間管理ファイル33に登録してあるので、その情報で確認できる。対象となる青少年がいない場合(ステップS14−N)、ステップS16へジャンプする。
【0042】
入室禁止対象となる青少年がいる場合(ステップS14−Y)、現在の時刻が入室禁止時間帯であるか判断する(ステップS15)。入室禁止時間帯である場合(ステップS15−Y)、ステップS17へ進む。入室禁止時間帯でなければ(ステップS15−N)、ステップS16に移る。
【0043】
一方、入室禁止時間帯でない場合(ステップS15−N)、退室通知を解除して、延長時間により新たな退室時刻を設定し(ステップS16)、図5の受付処理の結合子▲1▼にジャンプして再度退室時刻設定を行う。
【0044】
なお、ステップS16では、延長する前の退室時刻が入室禁止時間帯で設定された場合、希望利用時間で設定される退室時刻に自動的に設定しても良い。
【0045】
ステップS15で、入室禁止時間帯であればステップS17で入室禁止対象者が退室する際、退室を証明するために会員カードを受付端末1のカードリーダに通す(ステップS17−Y)。入室禁止対象者が全て退室チェックするためにステップS14に戻る。
【0046】
入室禁止対象者が退室チェックをしなければ(ステップS17−N)、ステップS18に進み、退室要請のために各部屋の表示装置4に延長を認めないことを通知する。
【0047】
各部屋の表示装置4は、カラオケ演奏中に歌詞等を表示するカラオケ装置5に備わる表示装置を利用しても良いし、別の非カラオケコンテンツ用に、あるいは退室時刻通知専用の表示装置を付設してしても良い。
【0048】
また、利用客に退室時刻を通知する手段として表示装置の他に利用者の携帯電話に通話、またメールしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例に係るシステム構成例を示した図である。
【図2】本発明の利用客管理ファイルを示した図である。
【図3】本発明の入室禁止時間帯管理ファイルを示した図である。
【図4】本発明の利用時間管理ファイルを示した図である。
【図5】本発明の一実施例に係る利用客の受付から退室時刻を確定するまでのフローを示した図である。
【図6】本発明の一実施例に係る退室時刻が訪れる時の退室通知と入室禁止対象者の退室確認を行うためのフローを示した図である。
【図7】本発明の受付時に入室禁止対象者がいた場合の受付端末に表示する入室拒否メッセージ例である。
【図8】本発明の利用客へ退室通知例である。
【符号の説明】
【0050】
1 受付端末
2 管理サーバ
3 記憶装置
31 利用客管理ファイル
32 入室禁止時間管理ファイル
33 利用時間管理ファイル
4 表示装置
5 カラオケ装置
6 リモコン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一人またはグループで利用できる施設で各利用客の年齢と施設の利用時間からなる利用客の入退室を管理するデータを入力する受付入力手段と、前記受付入力手段によって入力されたデータを記憶する入力情報記憶手段と、予め利用客の年齢に応じて前記施設の入室禁止時間帯を定めた入室禁止時間帯データを記憶する入室禁止時間帯データ記憶手段とを有する記憶手段と、前記記憶手段に記憶したデータから各利用客の入退室を管理する管理手段とを備え、
前記管理手段は前記各利用客の年齢と前記入室禁止時間帯データを照合し、前記各利用客が入室禁止の対象者か否かを判断し、前記入室禁止対象者が存在する場合、前記施設の利用開始から前記利用時間経過後の時刻と前記入室禁止時間帯の時刻のうちいずれか早く到達する時刻を退室時刻として設定することを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記管理手段は退室時刻に到達する前に退室時刻通知手段によって利用客に退室時刻を通知するとともに、前記入室禁止時間帯データにより設定された退室時刻の場合、前記退室時刻通知手段は入室禁止時間帯であることを通知することを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記入室禁止時間帯データにより設定された退室時刻に到達した場合、前記入室禁止対象者の退室したことを前記受付入力手段から入力することにより、前記退室時刻通知を解除し、前記退室時刻を前記受付入力手段で入力された利用時間に基づいた時刻に再設定することを特徴とする請求項2に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55027(P2010−55027A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222790(P2008−222790)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】