説明

全地球ナビゲーション受信機

搬送波ストリップされたGNSS信号が、符号NCOによって決定される様々なレートに従ってサンプリングされ、バッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定するタイムスタンプ符号を生成するように構成されたタイミング回路を含むGNSSデジタル信号のための信号処理のシステム及び方法。このように符号サンプルを取ることによって、実行されるサーチ・タスクのための単独プロセッサ、例えばハードウェアにおける同じシリコンおいて実現される非同期並列相関器、あるいは同じデバイスあるいは単独物理デバイスにおいて実現されるグラフィック加速装置のようなメディア・プロセッサ、に対して非同期的にサンプルを転送することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線ポジショニング信号の受信機、特に、GNSS(全地球ナビゲーション衛星システム)、GPS、GLONASSあるいはガリレオ信号のような衛星ローカリゼーション信号の取得及びトラッキングのための受信機に関する。本発明は、このような受信機において使用されるソフトウェアにも関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、GNSS受信機の一般的な実現を概略図で示している。例示された受信機は、RFダウン変換及びデジタル化を行う第1モジュール101と、通常、汎用プロセッサあるいはデジタル信号プロセッサ109を中心として製造され、相関付けを実行し手順をトラッキングするためのプログラムを実行する第2相関モジュール102とを備える。ナビゲーション計算は、示されるように外部プロセッサ111、あるいは同信号プロセッサ109のいずれかによって実行される。図1における例の区分は、しばしば別々のチップあるいは集積回路における実施例に対応している。しかし、単一チップ解決法も提案されている。
【0003】
GNSSシステムにおいて、ソースはGNSS宇宙ビークル(SV)の周囲を旋回している。GPSの場合、その他の無線ローカリゼーション・システムに容易に拡張可能であり、以下に続く記述は特定の実施形態について論じるためのベースとして、これを使用するだろう。こうして、この発明が必ずしもこの特定のナビゲーション・システムに限定される必要はないことが理解される。GPSにおいて、各宇宙ビークルは2つのマイクロ波搬送波信号を発している。1575.42MHzの信号L1は、ナビゲーション・メッセージを搬送する。1227.60MHzの信号L2は、とりわけ電離層遅延を測定するために使用される。L1信号及び/あるいはL2信号は、3つのバイナリ符号で変調される。
【0004】
C/A符号(粗捕捉)は、L1搬送波信号の位相を変調する。C/A符号は、1023ビット(1ミリ秒)毎に反復する1.023MHzの擬似ランダム雑音(PNR)である。各SVは、異なるC/A符号を使用する。この雑音に似た符号は、雑音に対する耐性を向上するために、1MHzの帯域幅にわたって、変調された信号のスペクトルを拡散させる。
【0005】
ナビゲーション・メッセージも、L1−C/A符号信号を変調する。GPS衛星軌道、クロック補正、及びその他のシステムパラメータを記述するのは、データ・ビットから成る50Hzの信号である。
【0006】
P符号(正確)は、L1信号及びL2信号の両方を変調し、暗号鍵によって認証されたユーザのみによる使用のためのものである。
【0007】
GPS受信機のタスクは、所定の瞬間に目視されうる様々な宇宙ビークルから受信された信号を取得することである。そのために、図1の回路はアンテナ104を備える。アンテナ104の出力信号は、第1RFプロセッサにおいて低雑音増幅器105によって増幅され、変換ユニット106において中間周波数信号(IF信号)へとダウン・コンバートされる。IF信号は1つの同相(I)成分及び1つの4位相(Q)成分を備えていることが多い。これらの成分は、アナログ・デジタル変換器108によってデジタル信号(I、Q)へ変換され、更なる処理のために相関器モジュール102へ送られる。
【0008】
相関付けブロック(102)の機能は、まずRFインタフェース(101)によって送られた信号から、任意の顕著な残差搬送波を取り除き、その後様々なSVからのI信号及びQ信号を逆拡散することである。そのために、相関付けステージは、最初にデジタルNCO(107)を使用してIFを取り除き、その後、入力信号を、各既存の、あるいは適当なSVのPRN信号の、局所的に生成された複製と一時的にアライメントさせることである。計算オーバヘッド及び取得時間を低減するために、専用ハードウェア相関器を使用することによって、アライメントが時間ドメインにおいて実行される。しかし、このアライメントは更に入力信号I及び入力信号QのFFT変換に、各SVを特徴付けるPRN信号のFFT変換を結合させることによって、周波数ドメインにおいても実行される。
【0009】
時間ドメインあるいは周波数ドメインにおいてこの相関付けを実施するために、異なる製造業者によって使用されている様々なアルゴリズムが存在する。しかしながら、相関付け処理及び逆拡散処理は、多くの処理電力を必要とする。例えば、周波数ドメインにおける相関付けは、FFTの計算、CA符号のFFT変換の複素共役による乗算、及び高速な時間周波数変換のために必要な結果に基づく逆FFTのために、多くの処理電力を必要とする。トラッキング位相の間は通常冗長であるサーチ処理を実行するために、多くの計算リソースが必要とされる。それ以上に高いのでなければ、似たような計算電力が時間ドメインにおける同等の動作を実施するために必要とされ、一般に専用ハードウェア相関付けエンジンによって実行される。これらの処理要件に加えて、この処理はデータ及び結果のための大容量のストレージをも必要する。
【0010】
相関器102は、デジタル処理されたデータを出力する。このデータは、取得及びナビゲーション・プロセッサ111へと供給され、例えば受信機のポジションを含む、ポジション関連データが計算及び表示される。相関器によるデータ出力の性質は、受信機のアーキテクチャに従って様々であり、いくつかのモジュールが既にロケーション座標を伝える一方で、その他のモジュールは旋回しているSVの擬似範囲のような中間値を伝えるのみである。
【0011】
従来技術において、相関器102は自らのデータ及び命令メモリ110にアクセスする専用の信号処理エンジン109を中心にして製造されることが多い。相関器の周知の例は、出願人によって製造されたNJ1030、NJ2020、及びNJ3030ベースバンド・プロセッサを含む。
【0012】
FFTを計算するため、及びモジュール102によって実行されるその他の様々な計算のための相関器として、専用ASICあるいはFPGAを使用することが更に周知である。
【0013】
プロセッサ、Asic及びFPGAは、高価な上に電力及びスペースを要する。故に、相関付け及びトラッキング手順のために必要とされるハードウェア・リソース102は、受信器全体の値段、体積及び電力消費量について顕著なインパクトがある。加えて、これらのリソースはしばしばGPSアルゴリズムに向けられ、GPS機能によって必要とされなくなった場合でさえ、その他の目的のためには使用されえない。
【0014】
相関付けに必要とされるFFTの計算のために、システムにおいて汎用CPU111を使用することも提案されてきた。汎用CPUは高速であるが、全体のシステム・スループットは十分に速くないことが多く、特にGPSサーチ処理の要件を満たすためのスケーリングを必要とするだろう。更に、この解決法は利用可能なメモリ帯域幅の使用を非効率にし、CPUに大きな負荷をかけるため、CPUをその他のタスクから妨げる。
【0015】
高感度GNSS受信機において、トラッキング・モードに入る前に最初に信号を検出し位置決めするために、大きな符号位相ウィンドウにわたって長期間積分を実行することが度々必要となる。超並列相関付けアプローチを使用することによって、この問題に取り組むことは周知である。超並列相関付けアプローチでは、データが、まずサンプリング及び搬送波ストリップされ、その後レジスタにおいてバッファリングされるので、サンプリング・ブロックに対して非同期的な高クロック速度で動作する複数の物理相関器チャネルを使用して、処理されうる。しかし、この解決法において、サンプルは変調符号と正確にアライメントされていない。よって、残差搬送波ストリッピング及び相関付けステージにおけるサンプル再アライメントを実行するための、より複雑なハードウェアが必要となる。
【0016】
従って、従来技術よりも安価で、電力消費が少なくてスペースを取らず、そしてリソースを効率的に共有することによってナビゲーション機能が必要とされない場合に、その他のシステム機能のためにもリソースが使用されうる無線ポジショニング信号受信機にとって必要なデジタル処理電力を提供することが、本発明の目的である。
【0017】
この種の周知のアーキテクチャよりも単純な構造で経済的な、向上した超並列相関器を持つ高感度GNSS受信機を提供することも、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0018】
本発明によると、これらの目的は独立請求項の目的によって達成される。その他オプションの特徴及び実施形態は、従属請求項の目的である。
【0019】
特に、これらの目的は、GNSSデジタル信号のための信号処理システムによって達成される。GNSSデジタル信号は、ドップラー・シフト及び符号位相シフトを有し、既知の変調符号によって変調された無線ローカリゼーション信号を各々が発する複数の無線ローカリゼーション衛星から受信された拡散スペクトル無線ローカリゼーション信号を備える。この信号プロセッサは搬送波ストリップされたGNSS信号を読み込む少なくとも1つのサンプリング・ステージを備える。このステージは、その取得が意図されている衛星の変調符号の、1つの予め定められた特徴に合わせて基準クロックを生成するようにプログラムされたプログラマブル発振器と、基準クロックによって決定されたプログラム可能な持続期間の複数のサンプルを生成するためにプログラマブル発振器によって駆動される蓄積手段と、サンプリング・ステージによって生成された一連のサンプルを格納するように構成された1つのバッファ・メモリとを備える。この信号プロセッサは、バッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定するタイムスタンプを生成するように構成されたタイミング回路によって特徴付けられる。この少なくとも1つのサンプリング・ステージは、プログラマブル発振器と、蓄積手段と、1つのバッファ・メモリとを備える。プログラマブル発振器は、その取得が意図されている衛星の変調符号の1つの予め定められた特徴に合わせて基準クロックを生成するためにプログラムされる。蓄積手段は、プログラマブル持続期間の所定の数のサンプルを生成するためにプラグラマブル発振器によって動作させられ、基準クロックによって判定される。1つのバッファ・メモリは、サンプリング・ステージによって製造された一連のサンプルを格納するように構成され、バッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定するタイムスタンプを生成するように構成されたタイミング回路によって特徴づけられる。
【0020】
更に、これらの目的は、上記のシステムに対応し、上記のシステムによって実行される処理方法、すなわちGNSS無線ローカリゼーション信号を処理する方法によって達成される。この方法は、ドップラー・シフト及び符号位相シフトを有し、既知の符号によって変調された無線ローカリゼーション信号を各々が発する複数の無線ローカリゼーション衛星から受信された拡散スペクトル無線ローカリゼーション信号を備える搬送波ストリップされたGNSS信号を生成あるいは受信するステップと、その取得が意図されている衛星の変調符号の1つの予め定められた特徴に合わせて基準クロック信号を生成するプログラマブル発振器をパイロットするステップと、基準クロックによって定められたサンプリング時間において、搬送波ストリップされたGNSS信号をサンプリングしオプションで蓄積するステップと、こうして獲得されたサンプルを、1つのメモリに格納するステップとを備える。このメモリにサンプルを格納するステップは、バッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定する1つあるいはいくつかのタイムスタンプ符号を生成するステップと、タイムスタンプ符号に基づいてバッファ・メモリにおけるサンプルのサンプリング時間を突き止めるステップと、複数の相関値を生成するために、バッファ・メモリにおけるサンプルを、変調符号の局所的なレプリカと相関付けるステップとによって特徴付けられる。この方法は、搬送波ストリップされたGNSS信号を生成あるいは受信することと、プログラマブル発振器をパイロットすることと、搬送波ストリップされたGNSS信号をサンプリングし任意で蓄積することと、このサンプルを格納することとを備える。(上記の方法において生成あるいは受信される)搬送波ストリップされたGNSS信号は、拡散スペクトル無線ローカリゼーション信号を備え、各々が既知のコードによって変調された無線ローカリゼーション信号を発する無線ローカリゼーション衛星から受信され、ドップラー・シフト及び符号位相シフトを有する。プログラマブル発振器をパイロットすることで、その取得が意図されている衛星の変調符号の1つの予め定められた特徴に合わせて基準クロックが生成される。搬送波ストリップされたGNSS信号は、基準クロックによって定められたサンプリング時間でサンプルされ任意で蓄積される。こうして入手されたサンプルをバッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定する1あるいはいくつかのタイムスタンプ符号のステップによって特徴付けられた1つのメモリに格納される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、例として示され、これらの図によって例示される実施形態の説明の助けを借りて、より良く理解されるだろう。
【図1】図1は、周知のGNSS受信機を簡略化された図式形式で示している。
【図2】図2は、本発明の1つの態様に従うサンプリング回路の構造を概略図的に例示している。
【図3】図3のブロック図は、本発明に従うGNSSの構造を示している。
【図4】図4のブロック図は、本発明に従うGNSSの構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2は、本発明のGNSS受信機のためのサンプリング・ユニットの可能な実施例を概略図的に示している。図面を簡略化するために示されてはいないが、搬送波ワイプオフ・セクション205は入力部において、一般にスカラーIFあるいは複合低IFデジタル信号203を受信し、搬送波ストリップされた複合信号を生成する。搬送波NCO210は、当該技術において周知であるように、受信されたシステムにおける搬送波のバリエーションに従うように制御され、搬送波を伴わない、あるいはごく小さな搬送波を伴う信号を提供する。
【0023】
サンプル蓄積器240は、符号NCO260によって提供される基準タイミング信号によって判定されたレートで、搬送波ストリップされた信号をサンプリングする。取得が意図されている衛星の変調符号の、1つの予め定められた特徴、例えば、クロック・ドリフト及びドップラー・シフトの影響のために補償された変調符号のチップ・レートと同期するタイミング信号を生成するために、符号NCO260は制御される。例えばチップ長毎に4サンプルのように、ドップラー・シフト・チップ・レートkの正確な倍数であるレートn・kで搬送波ストリップされた信号のサンプル・シリーズを、サンプル蓄積器240は生成する。サンプリングが符号NCO260によって制御されているという事実のおかげで、サンプルはその取得が意図されている符号のチップと自動的にアライメントされ、このアライメントは不確定の期間にわたって存続するだろう。
【0024】
サンプル・コントローラ250は、サンプルの蓄積及びサンプル・バッファ280におけるそれらのアライメントを制御する。サンプルは、サンプル・バッファ280からサンプルRAM290へ格納される。サンプルRAM290におけるサンプル・シリーズは、例えばサーキュラ・バッファ内に、あるいは別の形式でサンプル・コントローラ250によってアレンジされ、適切なインタフェース285によって、GNSSシステムのその他の部分に対して利用可能になる。
【0025】
バッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定するタイムスタンプ符号を生成するために、カウンタ275及びレジスタ270が、符号NCO260へ結合される。タイムスタンプ符号は、サンプルが取られる際における符号位相の尺度であり、相関付け動作においては、サンプルを、サーチされた符号とアライメントするために使用されうる。
【0026】
このようなアライメントを容易にするために、対象となる信号の既知の特徴で処理されるブロックにおいて、サンプルの正確なサンプル時間を関連付ける必要がある。これには、データの各ブロックのためのタイムスタンプ基準が利用可能で、そのようなタイムスタンプが、符号位相要件に容易に関連しうることが必要である。
【0027】
データは符号に対して同期的にサンプリングされるので、NCO260は、アライメントを維持するサンプル・レートを制御するために使用される。NCOは、好適には、過去のサンプリング・レートをカウントし、符号チップをカウントし、理想的には符号長のモジュロ、及びコンプリート符号エポックの数をカウントするように拡張される。
【0028】
このようなデータのためのタイムスタンプを使用して、正しい符号位相関係が簡単に、かつ誤りなく計算されうる。サンプルは一般にRAM290内のサイクリック・バッファに格納されるため、各サンプルのためにタイムスタンプ符号を生成し格納することは望ましくないだろう。しかし、厳密に必要というわけではないが、データ・サンプルは符号NCO260と同期して取得されるので1つの連続ブロックのうちの1つのサンプルのためのタイムスタンプを十分に維持できるので、ブロックにおける全てのサンプルと符号位相の関連を理解することができる。これによって、後に説明されるように、集めたサンプルの非同期並列相関付けが十分可能になる。
【0029】
例示された例において、データがサンプルされて、サンプル・バッファ280内にバッファされ、その後サーキュラ・バッファを実装するRAM290にと、短い移動で書き込まれる。この場合において、1つの解決法は、最も新しくRAMに書き込まれたサンプルのタイムスタンプを維持することである。このことから、最も古いサンプルのタイムスタンプが、一定値を単純に減算することによって判定される。
【0030】
DSP制御ユニット310は、必要とされる制御信号を生成してメモリ・アクセスを可能にし、タイムスタンプ符号をサンプリングし、それらをサンプルRAM290へと格納するか、あるいはそれらをその他の成分に対して利用可能にする。
【0031】
RAM290におけるサンプルは、実行されるサーチ・タスク及び取得タスクのために、単独のプロセッサあるいはサーチ・エンジンに対して非同期的に転送されうる。単独のプロセッサは、例えば図2のサンプラ回路と同じシリコン・チップにおいて、もしくは単独シリコン・ダイ上あるいは単独の物理デバイス上に実装され、適切な相互接続バスによってサンプルRAM290に格納されるサンプルへのアクセスを有する、非同期並列相関器でありうる。
【0032】
図3は、本発明の1つの態様に従うGNSS受信機の簡略化された構造を表している。データは、各サンプルを的確な時間に割り当てることを可能にするタイムスタンプ、あるいは符号位相を伴って、サンプラ200によってサンプルRAM290へと格納される。サーチ・エンジン400は、複数の相関値を生成するために、バッファ・メモリ内のサンプルと、変調符号の局所的なレプリカとを相関付けるように構成された1つあるいはいくつかの高速相関器を備えている。これら相関器は、望ましくはサンプリング速度に対して非同期的に高クロック速度で動作させられる。故に、周知の時間多重化技術によって、とても大きな相関値あるいは、ドップラー・シフト/符号位相サーチ空間における「タップ」を提供しうる。この相関付けは、周波数ドメイン(FFT相関付け)あるいは時間ドメインのどちらかにおいて実行されうる。
【0033】
選択された設計によると、サーチ・エンジン440において実施されるサーチ・ストラテジーは、例えば、第1サーチ段階すなわち「スキマー」、それに続く更に精密なサーチ段階すなわち「ディスティラー」を含むように、とても緻密に作り込まれうる。第1サーチ段階すなわち「スキマー」は多数のタップ上に含まれる大きなサーチ空間における第1のサーチを実行する。それに続く「ディスティラー」は、第1のサーチ段階において高い相関値を引き出したそれらのタップ上におけるより精密なレゾリューション及び感度で動作する。しかし、本発明は、異なるサーチ・エンジンにも適用可能である。重要なことに、タイムスタンプ符号によって、サーチ・エンジン400が相関付けにおいて考慮される各サンプルの符号位相を特定することが、相関付けが起こる時間とは関係なく可能になる。これによって、サーチ・エンジン400の完全に非同期的な動作が可能になる。
【0034】
サーチ・エンジンが、本物の衛星信号を含んでいる可能性のある適切な数のタップを識別すると、これらはCPU360によってトラッキング・モジュール380へとハンドオーバされる。トラッキング・モジュール380は、周波数及び位相における衛星信号を確認し、その後それらを追跡することを担当する。当該技術において周知であるように、これらはポジション情報及びナビゲーション情報を獲得するために活用される。これには、別々の独立したエンジン間で、符号位相の情報を転送する必要があり、更に、信号の検出はこれに関連付けられた処理待ち時間を有するだろう。これには、次のトラッキングの位相あるいはサーチ確認チャネルの位相と、前のサーチ処理のために使用されたデータ・サンプルとの間の関連性を予測するためのいくつかの方法が必要となる。
【0035】
msティック・パルスのような、ある種の基準時間信号を実現することによって、及びこの処理が可能になる時点でこれら両方のエンジンの位相を測定するためにこの信号を使用することによって、この時間基準に対するSV PRN符号の相対位相が計算され、新規のチャネルを初期化するために使用される。
【0036】
例えば、規則的なmsパルスを使用して、データ・サンプル・カウンタの位相が1ms間隔でサンプリングされうる。検出された信号の位相は、サンプリングされたデータと比較されて知られる。その後、これはこのイベントの発生に関連して将来のmsティックで符号の正確な位相を外挿するという平凡なタスクになる。これはその後、トラッキング・エンジンの符号生成器を、対象となる符号位相の中心に正確に位置するように、既知のイベントにおいて、初期化するために使用される
サーチ・エンジン400が単独デバイス内にある場合において、望ましい通信チャネルは、例えば、図4に示されているようなFireWireインタフェース50、あるいは、Hi−speed USB、USB3.0のような高速直列バスであろう。この場合において、サーチ・エンジンは、単独CPU440、バス・リンク50の他方側の互換可能インタフェース402に対応する直列インタフェース401、サービスRAM405、及び高速かつ効率的に相関付け及び/あるいはフーリエ変換を計算するために使用されるベクトル・プロセッサ430を含む。これを達成するために、直列バスを介して接続されたグラフィック・プロセッサのような外部プロセッサを使用する際は、プロセッサに送られた各データ・サンプル・セットの正確なタイムスタンプを関連付ける必要がある。このために、データの各ブロックをタイムスタンプと共に送信するパケット・フォーマットが使用されることが提案されている。このようなパケットがパケットの開始のタイムスタンプを含んでいる場合、例えば効率的な処理のためにデータが格納されるべき正確なロケーションを判定するために、この情報を利用するDMA伝送メカニズムを予見することが可能である。
【0037】
望ましい実施形態においては、必要とされる計算能力を有する汎用コンピュータのためのグラフィック/サウンド・プロセッサのようなメディア・プロセッサから、ベクトル・プロセッサが得られる。別の選択肢として、ベクトル・プロセッサは、ビデオ・ゲームの物理エンジンにおける計算を処理するように設計されている物理プロセッサのようなビデオ・ゲーム加速装置から得られる。これは、図4におけるようにサーチ・モジュールが分かれている場合、及びGNSS受信機システムのその他の構成要素のようにサーチ・エンジン400が同じデバイスにおいて統合されている先の図3の実施形態にも、適用可能である。
【0038】
サーチ・エンジン400が全てのタップのために全てのデータを処理することが不可能な場合、例えば帯域幅として断続的に動作する相関器が利用可能となる。あるいはベクトル・プロセッサは多重化された手法における異なるタスクのシリーズのために使用されるので、相関付けのためのサンプルをアライメントし、失われたサンプルを、例えば0でパディングする必要がある。これは、符号とサンプルの位相関係の再構築を可能にするタイムスタンプされた符号によってなされうる。更に、不連続データ・サンプルをプロセッサに転送するための専用DMAスキームを使用する可能性、及びプロセッサ・メモリにおけるコヒーレントなデータ・セットを維持するために、ゼロのようなパディングを挿入するためにタイムスタンプ情報を利用する可能性がある。別の選択肢として、データはDMAによってバッファ・リストに転送されうる。各バッファの開始は、ソフトウェア・アルゴリズムを簡略化し、メモリ効率を向上するために、複数の符号長に対してアライメントされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドップラー・シフト及び符号位相シフトを有し、既知の変調符号によって変調された無線ローカリゼーション信号を各々が発する複数の無線ローカリゼーション衛星から受信された拡散スペクトル無線ローカリゼーション信号を備えるGNSSデジタル信号のための信号処理システムであって、信号プロセッサは、
搬送波ストリップされたGNSS信号を読み込む少なくとも1つのサンプリング・ステージを備え、前記サンプリング・ステージが、
その取得が意図されている衛星の前記変調符号の、1つの予め定められた特徴に合わせて基準タイミング信号を生成するようにプログラムされたプログラマブル発振器(260)と、
前記基準タイミング信号によって決定されたプログラム可能な持続期間の複数のサンプルを生成するために前記プログラマブル発振器(260)によって駆動される蓄積手段(240)と、
前記サンプリング・ステージによって生成された一連の前記サンプルを格納するように構成されたバッファ・メモリ(290)及びサンプル・バッファ(280)と
を備え、前記信号プロセッサは更に、
前記バッファ・メモリ(290)における前記サンプルの少なくとも1つのサンプリング時間を判定するタイムスタンプ符号を生成するように構成されたタイミング回路(270、275)
を備える信号プロセッサ。
【請求項2】
前記タイミング回路が、前記プログラマブル発振器に応じて動作し、及び/あるいは、前記プログラマブル発振器が、前記変調符号のチップ・レートあるいは前記チップ・プレートのある倍数に合わせて発振するように構成された請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記タイミング回路が、ドップラー・シフト及びクロック・ドリフトのために補償された前記変調符号のチップ・レートあるいは前記チップ・レートのある倍数に合わせて発振するように構成された請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記タイミング回路が、タイムスタンプ値が前記変調符号の位相の尺度である基準イベントに応じて、前記タイムスタンプ値を生成するように構成された請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記GNSS信号から搬送波成分を取り除き、搬送波ストリップされたGNSS信号を提供する、少なくとも1つの搬送波ワイプオフ・ユニットを更に備える請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記バッファ・メモリにおけるサンプルを、複数の相関値を生成する、前記変調符号の局所的なレプリカと相関付けるように構成された少なくとも1つの相関器を更に備える請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記相関器のうちの少なくとも1つが、前記サンプリング・ステージとは非同期的に動作する単独のプロセッサを備え、前記単独のプロセッサは、前記タイミング回路によって提供された時間情報に基づいて、前記バッファ・メモリにおけるサンプルの時間ポジションを突き止めるように構成された請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記単独のプロセッサが、ベクトル・プロセッサか、グラフィック加速装置か、メディア処理エンジンか、サウンド・プロセッサか、あるいは物理プロセッサである請求項1乃至7のうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記単独のプロセッサに前記サンプル及び/あるいは前記時間情報を転送するように構成された直列バスをさらに含む請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記タイミング回路(270、275)が、前記プログラマブル発振器(260)の基準信号をカウントするように構成されたカウンタを備える請求項1乃至9のうち何れか1項に記載のシステム。
【請求項11】
GNSSローカリゼーション信号のための処理方法であって、
ドップラー・シフト及び符号位相シフトを有し、既知の符号によって変調された無線ローカリゼーション信号を各々が発する複数の無線ローカリゼーション衛星から受信された拡散スペクトル無線ローカリゼーション信号を備える搬送波ストリップされたGNSS信号を生成あるいは受信することと、
その取得が意図されている衛星の前記変調符号の、1つの予め定められた特徴に合わせて基準タイミング信号を生成するプログラマブル発振器をパイロットすることと、
前記基準タイミング信号によって決定されたサンプリング時間において、前記搬送波ストリップされたGNSS信号を蓄積及びサンプリングし、得られたサンプルを1つのメモリに格納することとからなる各ステップを備える方法であって、
前記サンプルを1つのメモリに格納することは、
前記バッファ・メモリにおけるサンプルのうちの少なくとも1つのサンプリング時間を判定する1つあるいはいくつかのタイムスタンプ符号を生成することと、
前記タイムスタンプ符号に基づいて前記バッファ・メモリにおけるサンプルのサンプリング時間を突き止めることと、
複数の相関値を生成するために、前記バッファ・メモリにおけるサンプルを、前記変調符号の局所的なレプリカと相関付けることとからなる各ステップによって特徴付けられた処理方法。
【請求項12】
前記ドップラー・シフトされた変調符号に合わせて基準タイミング信号を生成するために、前記プログラマブル発振器がパイロットされる請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
前記突き止めるステップおよび前記相関付けるステップを実行するようアレンジされ、前記サンプリング・ステージとは非同期的に動作する単独のプロセッサに、直列バス上で前記サンプルを転送するステップを更に備える請求項11に記載の処理方法。
【請求項14】
データ・サンプルが失われるイベントにおいてコヒーレントな相関付けを確実にするために、前記サンプルをパディングするステップを更に備える請求項12に記載の処理方法。
【請求項15】
前記タイムスタンプ符号が、前記プログラマブル発振器の基準信号をカウントするカウンタをサンプリングすることによって生成される請求項11に記載の処理方法。
【請求項16】
外部イベントの発生の際に、前記タイムスタンプ符号が生成される請求項11に記載の処理方法。
【請求項17】
前記相関付け処理の効率を向上させるために、メモリにおける前記サンプルのアライメントを制御するために、タイムスタンプ値が使用される請求項12又は13に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−506919(P2011−506919A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536481(P2010−536481)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066929
【国際公開番号】WO2009/071686
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】