説明

全寸法対応区画線施工機及び前後両方向キャスター車輪

【課題】 区画線施工現場は交通規制された道路上に多くの機材と車両を持ち込んでおり、機材の多さが道路占有面積を増やし、規制道路長を長くし交通渋滞の原因になっていて、その積み下ろし作業の時間や区画線施工時間の短縮が課題である。
【解決手段】 一刻も早く交通規制を解除するため、前後両方向に自動的に旋回無しで対応するキャスター車輪を備え、右前車輪を前方に移動し、その後ろ溶融材容器の下までスリットを位置させ、現行での全規格巾のスリットを装着可能にした、全寸法に対応できる区画線施工機を使用することで、機材の縮小がはかられ、道路占有面積の縮小、機材積み下ろし時間の及び区画線施工時間の短縮をはかり、施工コストを下げると共に交通渋滞緩和に貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、右前車輪を前方に移動することで、その車輪の後ろ溶融材容器の下までスリットを位置することが出来、15cmから45cm巾までのスリットを取付け可能にした。
また前後両方向対応を自動的に出来るキャスター車輪を考案しこれを備えることで、施工機の移動及び施工位置セッティングの為の前進、後退の繰り返しにも、キャスター車輪は180度旋回しないので、機体の左右振れも無くスムーズに作業が出来る、全規格巾区画線に対応可能な、手押し式の全寸法対応区画線施工機である。
【背景技術】
【0002】
従来この作業の施工機は、15cm、20cm巾の区画線を手押式施工機図5すなわち前進方向移動で対応し、30cm及び45cm巾の区画線はそれぞれ個別の手引式施工機図8が在り、手引式での作業は後ろ向きに後退しながら施工機を引っ張り施工していて、作業員は不自然な動きを強いられている。
【0003】
区画線の施工は道路上において交通規制をしながら行う作業で、その場所を終えたらつぎへ移動と、これを1日数箇所から10数箇所と移動の繰り返しで、交通渋滞を避けるためには作業時間を短くし、交通規制時間を短縮する必要がある。又機材の数もこれを運ぶ車両の台数も少ない方が良く、同じ台数でも可能な限り小型車両が良い。施工機についても30cm及び45cm施工機図7は構造的に溶融材の補給容量が少なく、作業途中で溶融材を補給する頻度が高く作業時間を延ばす原因になっている。21は45cmスリット兼溶融材容器で22はビーズ散布器兼ビーズ容器。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
区画線施工機は15cm、20cm、30cm及び45cm巾のスリットを用意することで、現行の規格全ての区画線巾に手押式施工機一台図1で対応し、上記手引き施工による不自然な作業行動も解消し、施工作業全体が効率化することで施工時間や交通渋滞等の問題を解決し、30cm、45cm巾の施工機7を不要にし、機材をスリム化することが課題である。
【問題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明が提供する区画線施工機は、自動的に旋回無しで前後両方向に変位出来る、前後両方向キャスター車輪を考案し、それを右前車輪と後車輪に備え、右前車輪を前方に移動し、その後ろ溶融材容器3の下までスリット6が位置出来るようにしたことで、今まで個別の施工機で対応してきた巾の広い45cm及び30cm巾の区画線も、そのスリットの装着が可能になり、現行の全規格巾区画線に対応できる、手押し式の全寸法対応区画線施工機である。
本機使用のキャスター車輪は、インナーフォーク13及びガイド突起14を有するアウターフォーク12と、ストッパー16とそれを支持するスプリング15とを備えたキャスター車輪で、前進から後退に変わる時或はその逆のとき、ストッパー16がタイヤ17をロックし、インナーフォーク13と一体化し、アウターフォーク12下面のガイド突起14に沿って転がり、キャスターが180度旋回無しで、自動的に前後両方向に変位することの出来る、前後両方向キャスター車輪である。
【発明の効果】
【0006】
全寸法対応区画線施工機を使用することにより、通常3台の施工機を必要とするところこの1台で済み、現場ごとに行う機材の積み下ろしにかかる時間の無駄をなくし、作業車の荷台スペースを有効に使えることで工事車両を減らし、あるいは小型車化することが出来、また溶融材容器容量が大きいことから作業途中での溶融材補給頻度が少ないことになり、作業効率を良くなる。
特に大規模スクランブル交差点等での施工ではその効率効果が大きく、交通規制解除を早くすることで、工事による交通渋滞を避ける効果が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0007】
本実施例の全寸法対応区画線施工機は、前後両方向キャスター右前車輪7を左右前輪軸上より前方に移動し、スリット6を溶融材容器3の下まで位置させることでこれまで不可能だった巾の広い30cm及び45cmスリット6の取り付けを可能にしたことで、従来の15cm及び20cm巾スリットを加え、この施工機1台で現行の区画線全巾サイズの施工を可能にした。
又45cm巾の区画線は主に横断歩道と道路中央部のゼブラゾーンに設置されていて、施工長も4m前後の比較的短い線で、施工時には本機も前進後退を繰り返すことになり、普通のキャスター車輪だとその度ごとに180度旋回し、本機を左右にゆさぶる事になる。
これを防ぎまたスリットのセッティングも容易にする為に、前後両方向キヤスター右前車輪7と前後両方向キャスター後車輪4とを考案し、これを備えたことが特徴の全寸法対応区画線施工機である。
【0008】
従来スリットは図6のように左右前車輪軸上の右車輪外側に位置させていることから、45cm巾スリットの取付けは重量バランス的に不可能だった。このことを解決するために右前車輪を前方に移動することで、右車輪後方溶融材容器3の下までスリットを位置出来ることで重量バランスが保たれ、45cmスリット6も取り付け可能にした。
右前車輪を前方に移動することにより左右車輪の軸が不揃になり、このままでは機体の旋回が不可能で、右前と後車輪にキャスター車輪を使用することで旋回は可能にはなる。
しかし路面に罫書かれた施工図線に1mm以下の精度で施工機を位置させる為に、施工機の前進後退を繰り返すことでその位置づけをするのだが、その度ごとにキャスター車輪が180度旋回し、本機を左右に揺らす事になり、施工位置セッティングは不可能である。
その欠点を解決したのが本機使用の前後両方向キャスター車輪4及び7である。
前後両方向キャスター右前車輪7を普通の車輪と取り替え、元の左前車輪8軸上の位置に戻すことで従来の15cm及び20cm巾専用としての使用もできる。
尚図1−1はビーズ容器で5はビーズ散布器で2はL.P.G容器、それと図5−20は20cmスリットである。
【0009】
前後両方向キャスター車輪は、機体が前進し矢印18方向の時タイヤ17は矢印19の方向に回転しており、ストッパープレート16はスプリングプレート15の先端部より吊り下がり、タイヤ17に接触し摺れているが、この場合ロック機能は働かない。
上記とは反対に、本機が矢印18の反対方向に動く時、タイヤ17は矢印19の逆に動きストッパープレート16がタイヤ17に食い込み、それをロックしインナーフォーク13と一体化し、インナーフォークがアウターフォーク12の下面をガイド突起14に沿って転がり始め図3−10から図3−11の状態に旋回無しで自動的に変位する。
その逆をストッパープレート16とスプリングプレート15が機能し、それを繰り返す。
車輪の位置が図3−10から図3−11へ変位するとき、又その逆の場合も本機の上下の変化がないので、つまりポテンシャルエネルギーに変化がないので、位置の水平移動に大きな力はいらない。図3−9は正面図である。
【産業上の利用可能性】
【0010】
前後両方向キャスター車輪は、前進位置から後退するとき或はその逆のとき、自動的にキャスターの旋回無しで後退位置、或はその逆の位置に変位出来るように成っている。
キャスター台車上のものが重量物で、たとえば工場内の部品材料等、或は研究室や病院で壊れやすいガラス容器、こぼれる心配のある液体類等の運搬用に適している。
またキャスター台車を何台も並べて置いてある中から一台引き出すような時に、キャスターの旋回が無いので、隣のキャスター台車にぶつかることがなく、スムーズに引き出だせる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明施工機の側面図
【図2】 図1の下部に配置した主要機器の平面図
【図3】 前後両方向キャスター車輪の拡大図
【図4】 前後両方向キャスター車輪の拡大機能図
【図5】 従来型手押式施工機側面図
【図6】 従来型手押式施工機平面図
【図7】 従来型手引式45cm施工機側面図
【図8】 従来型手引式45cm施工機平面図
【符号の説明】
【0012】
1. ビーズ容器
2. L・P・G容器
3. 溶融材容器
4. 前後両方向キャスター後車輪
5. ビーズ散布器
6. 45cmスリット
7. 前後両方向キャスター右前車輪
8. 左前車輪
9. 前後両方向キャスター車輪正面図
10.前後両方向キャスター車輪前進位置側面図
11.前後両方向キャスター車輪後退位置側面図
12.アウターフォーク
13.インナーフォーク
14.ガイド突起
15.スプリングプレート
16.ストッパープレート
17.車輪
18.矢印
19.矢印
20.20cmスリット
21.45cmスリット兼溶融材容器
22.ビーズ散布器兼ビーズ容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動的に旋回無しで前後両方向に変位出来る、前後両方向キャスター車輪を考案しそれを右前車輪と後車輪に備え、右前車輪を前方に移動し、その後ろ溶融材容器の下までスリットが位置出来るようにしたことで、今まで個別の施工機で対応してきた巾の広い45cm及び30cm巾の区画線も、そのスリットの装着が可能になり、現行の全規格巾区画線に対応出来る、手押し式の全寸法対応区画線施工機である。
【請求項2】
本機使用のキャスター車輪は、インナーフオーク及びガイド突起を有するアウターフオークと、ストッパーとそれを支持するスプリングとを備えたキャスター車輪で、前進から後退に変る時或はその逆のとき、ストッパーがタイヤをロックし、インナーフォークと一体化し、アウターフォーク下面のガイド突起に沿って転がり、キャスターが180度旋回無しで、自動的に前後両方向に変位することの出来る、前後両方向キャスター車輪である。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate