説明

全方位照射の発光ダイオード照明器具

【課題】本発明は、従来の技術の欠点を解決する全方位照射の発光ダイオード照明器具を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、発光ダイオード31を光源とする照明器具300に関し、特に、全方位照射を達成する発光ダイオード照明器具に関する。本発明は、複合レンズ33によって、発光ダイオード光源の出射光線を修飾することで、光線の照射範囲が360度となる全方位照射を達成させる。本発明の複合レンズは、中央上部レンズ、周辺翼状レンズ、及び、環状壁面レンズによって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明器具に関し、特に全方位照射を達成する発光ダイオード照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
図1 従来の技術
従来の発光ダイオード照明器具は図1に示したように、一片の発光ダイオードチップ11が回路板10上面に設置されている。
発光ダイオードチップ11が通電されると、図1の照明器具が点灯する。
断面図で示すと、その光線照射範囲は、最大でも180度の照射範囲でしかなく、図1の照明器具は半球状の照射領域を有する。
このタイプの照明器具は、装飾用照明器具の光源とするには適さない。
例えば、天井から吊り下げるタイプの照明器具はシェードを有する。
シェードは通常透光または半透光のカバーである。
その機能は、デザイン性を強調したり、美しい色彩を表現したりする目的を有し、全方位照射の光源を必要とする。
近年、発光ダイオードが発熱量の低さ及びそれに相応するエネルギー効率の高さ等の長所を有することから、すでに一般の照明器具に取って代わるものとして開発が進んでいる。
さらに、全方位照明の照明器具に取って代わることも常に研究開発担当者が追求する課題の一つとなっている。
しかしながら、本発明の技術が提供される以前には、全方位照射の発光ダイオード照明器具が開発されておらず、本発明こそが、全方位照明の照明器具を開発するものであり、この全方位照明光源のニーズに応えるものである。
【0003】
図2 他の従来の技術
従来のタングステンランプ12は、図2に示したように、一種の全方位照射の光源であり、断面図で示すと、その照射範囲は約360度である。
したがって、このタイプの従来のランプは、装飾照明器具の光源として極めて適している。
発光ダイオード技術は近年急速に発展し、資料によると、発光ダイオード照明器具は、従来の白熱ランプに比べて、約80%のエネルギーの節約が可能であり、従来の蛍光ランプと比べると、約50%のエネルギーの節約が可能である。
発光ダイオード照明器具は省エネ及び環境保護の長所を有し、照明の分野で徐々に研究開発の主流となっている。
長年、研究開発担当者は、従来の白熱ランプに取って代わる全方位照射の発光ダイオード照明器具を開発することを目標としてきた。
しかしながら、本技術が提供される以前には、全方位照射の発光ダイオード照明器具が開発されておらず、本発明こそが、全方位照明の照明器具を開発するものであり、この全方位照明光源のニーズに応えるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、従来の技術の欠点を解決する全方位照射の発光ダイオード照明器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、従来の技術の欠点を解決する全方位照射の発光ダイオード照明器具を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を備える。
【0007】
本発明の全方位照射の発光ダイオード照明器具は、複合レンズを出射光線の修飾レンズとするもので、断面図で示すと、本発明の複合レンズは、発光ダイオード光源を出射光線として、360度の範囲における照射を修飾する。
本発明の複合レンズは、中央上部レンズ、翼状レンズ、及び環状壁面レンズの三部分を備える。
このうち、中央上部レンズは、第一群光線を屈折させて、光線をレンズ上方の領域に扇出照射する。
翼状レンズは、内部全反射機能(total internal reflection,TIR)を有して、中央上部レンズ周辺に設置されて中央上部レンズに接続される。
そして、全反射の原理を利用して、第二群光線を反射させて、光線をレンズ周辺の下方領域に扇出照射する。
環状壁面レンズは、翼状レンズ下方に設置されて、第三群光線を屈折させて、光線をレンズ周辺の上方領域に扇出照射する。
【0008】
断面図で示すと、第一扇出照射範囲、第二扇出照射範囲、及び第三扇出照射範囲を加えれば、360度の範囲を照射することが可能である。
実質的には、全ての方向を照射可能な全方位照射の発光ダイオード照明器具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の全方位照射の発光ダイオード照明器具は、複合レンズを出射光線の修飾レンズとする。
本発明の複合レンズは、中央上部レンズ、翼状レンズ、及び環状壁面レンズの三部分を備える。
このうち、中央上部レンズは、第一群光線を屈折させて、光線をレンズ上方の領域に扇出照射する。
翼状レンズは、内部全反射機能(total internal reflection,TIR)を有して、中央上部レンズ周辺に設置されて中央上部レンズに接続される。
そして、全反射の原理を利用して、第二群光線を反射させて、光線をレンズ周辺の下方領域に扇出照射する。
環状壁面レンズは、翼状レンズ下方に設置されて、第三群光線を屈折させて、光線をレンズ周辺の上方領域に扇出照射する。
したがって、本発明の複合レンズは、発光ダイオード光源を出射光線として、360度の範囲における照射を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図3は、本発明の第一群光線が扇状に放出される状態を示した図である。
図3に示した本発明の複合レンズ33は、中央上部レンズ331を有する。
中央上部レンズ331は凹レンズで、レンズ下方の光源(例として挙げているが、必ずしも発光ダイオードであるとは限らない。このうち、発光ダイオードはチップ型の発光ダイオード31でも可能だが、これに限られるものではない。)の第一群光線を、レンズ上方領域に扇状に照射する。
図中の点線L−T1とL−T2が示す円錐状の領域である。
断面図で示すと、照射範囲は、90度の範囲に及び、発光ダイオード31の直上を基準として、0から45度及び315から360度の範囲である。
【0011】
図4は、本発明の第二群光線が扇状に放出される状態を示した図である。
図4に示した本発明の複合レンズ33は、周辺に位置する翼状レンズ332を有し、中央上部レンズ331の周辺に設置される。
翼状レンズ332は、内部全反射の効果を有し、チップ型の発光ダイオード31の第二群光線を、全反射機能によって、第二扇出範囲に反射する。
断面図で示すと、周辺下方90度の範囲に及ぶことが可能である。
照射範囲は、発光ダイオード31の直上を基準として、図中のL−B1からL−B2に示した90から180度及び180から270度の範囲である。
【0012】
図5は、本発明の第三群光線が扇状に放出される状態を示した図である。
図5に示した本発明の複合レンズ33は、環状壁面333を有し、翼状レンズ332の下方に設置される。
環状壁面333は、光線を発散させる効果を有し、チップ型の発光ダイオード31の第三群光線を屈折させて扇出する。
断面図で示すと、光線扇出領域は、周辺上方45度の範囲に及び、照射範囲は、発光ダイオード31の直上を基準として、図中のL−S1からL−S2に示した45から90度及び270から315度の範囲である。
【0013】
断面図で示すと、第一群光線が照射する扇出範囲は、発光ダイオード31の直上を基準として、0から45度及び315から360度、第二群光線が照射する扇出範囲は、発光ダイオード31の直上を基準として、90から180度及び180から270度、第三群光線が照射する扇出範囲は、発光ダイオード31の直上を基準として、45から90度及び90から315度であり、この三領域の照射範囲を合わせると、照射光線分布が360度となり、全体的に全方位照射の照明器具を構成することになる。
【0014】
図6Aは、本発明の複合レンズの上から見た平面図である。
図中に示された複合レンズ33の上端には中央上部レンズ331を有し、中央上部レンズ331周辺を囲むように翼状レンズ332を有する。
【0015】
図6Bは、本発明の複合レンズの断面図である。
図中に示された複合レンズ33の上端には中央上部レンズ331を有し、中央上部レンズ331周辺を囲むように翼状レンズ332が設置され、翼状レンズ332下方には環状壁面333が設置される。
【0016】
図6Cは、本発明の複合レンズの下から見た底面図である。
図中に示された複合レンズ33の下方には環状壁面333を有し、環状壁面333中央には円柱空間335を有する。
【0017】
図7は、本発明の実施形態一を示した図である。
図7に示された発光ダイオード照明器具300は、チップ型の発光ダイオード31が回路板30上に設置され、複合レンズ33が回路板30上方に設置されて、チップ型の発光ダイオード31を覆うことによって、全方位照射の発光ダイオード照明器具300が構成され、その光線照射範囲は、360度空間に及ぶ。
【0018】
図8Aは、本発明の実施形態二を示した図である。
図中に示した全方位照射の発光ダイオード照明器具300下方には、口金40が設置されることで、本発明の全方位照射の発光ダイオード照明器具300を従来のソケットに設置できる。
口金40は、壁部金属401及び底部金属402を有し、絶縁層403が壁部金属401と底部金属402の間に設置されて電気的に絶縁させる。
チップ型の発光ダイオード31は、第一電極を有し、導線41Lを介して壁部金属401に電気的にカップリング接続される。
チップ型の発光ダイオード31は、第二電極を有し、導線41Rを介して底部金属402に電気的にカップリング接続される。
口金40が従来のソケットに回転して設置されると、図8Aの発光ダイオード照明器具は光線を発して、全方位領域を照射する。
【0019】
図8Bは、図8Aの照明器具に発光ダイオードチップを使用した場合を示した図である。
図8Bは、図8Aの点線で示した円形領域の拡大図である。
図に示したように、チップ型の発光ダイオード31は回路板30上方に設置される。
両側に貫通する穴44によって金属ピン411,412が通過する。
金属ピン411,412上端は回路板30の回路を経由し、それぞれチップ型の発光ダイオード31の二個の電極に電気的にカップリング接続される。
絶縁材料は、貫通穴44中に充填されて、金属ピン411,412を固定する。
コスト節約と工程の簡潔化を図る場合は、絶縁材料による貫通穴44の充填を行なわず、貫通穴44の隙間を開放状態を保持することも可能である。
【0020】
図8Cは、図8Aの照明器具に発光ダイオードランプを使用した場合を示した図である。
図中に示されたランプ型の発光ダイオード50は、本発明において、チップ型の発光ダイオード31に取って代わり、同様の効果を達成することが可能である。
【0021】
図9は、本発明の実施形態三を示した図である。
図中に示された従来の形状、例えば、ガラス等の透光材料で構成されたガラスカバー66は、本発明の口金40上方に設置されて、外観が従来の電球と同様の全方位照射の発光ダイオード照明器具を構成する。
図中に示した全方位発光ダイオード照明器具300は、ガラスカバー66内部下方に設置される。
【0022】
図10は、本発明の実施形態四を示した図である。
図中に示された二個またはさらに多くの全方位発光ダイオード照明器具300は、基材上方に設置されて照射効果を強化する。
【0023】
図11は、本発明の実施形態五を示した図である。
図中に示された二個またはさらに多くのチップ型の発光ダイオード31は、全方位発光ダイオード照明器具300下方に設置されて照射効果を強化する。
【0024】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の技術を示した図である。
【図2】他の従来の技術を示した図である。
【図3】本発明の第一群光線が扇状に放出される状態を示した図である。
【図4】本発明の第二群光線が扇状に放出される状態を示した図である。
【図5】本発明の第三群光線が扇状に放出される状態を示した図である。
【図6A】本発明の複合レンズの上から見た平面図である。
【図6B】本発明の複合レンズの断面図である。
【図6C】本発明の複合レンズの下から見た底面図である。
【図7】本発明の実施形態一を示した図である。
【図8A】本発明の実施形態二を示した図である。
【図8B】図8Aの照明器具にチップ型の発光ダイオードを使用した場合を示した図である。
【図8C】図8Aの照明器具にランプ型の発光ダイオードを使用した場合を示した図である。
【図9】本発明の実施形態三を示した図である。
【図10】本発明の実施形態四を示した図である。
【図11】本発明の実施形態五を示した図である。
【符号の説明】
【0026】
300 発光ダイオード照明器具
11 発光ダイオードチップ
12 タングステンランプ
10,30 回路板
31 チップ型の発光ダイオード
33 複合レンズ
331 中央上部レンズ
332 翼状レンズ
333 環状壁面レンズ
335 円柱空間
40 口金
44 貫通穴
50 ランプ型の発光ダイオード
401 壁部金属
402 底部金属
403 絶縁層
41R,41L 導線
411,412 金属ピン
66 ガラスカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードと、
複合レンズを備える全方位照射の発光ダイオード照明器具であって、
さらに、前記複合レンズは、中央上部レンズと、
前記中央上部レンズを囲むように接続される翼状レンズと、
前記翼状レンズ下方に設置される環状壁面レンズとを備えて、
このうち、前記中央上部レンズは、前記発光ダイオードの第一群光線を上方に扇出照射し、前記翼状レンズは、全反射方式によって前記発光ダイオードの第二群光線を周辺下方に扇出照射し、前記環状壁面レンズは、前記発光ダイオードの第三群光線を周辺上方に扇出照射することを特徴とする
全方位照射の発光ダイオード照明器具。
【請求項2】
前記中央上部レンズは、凹レンズ効果を有し、前記翼状レンズは、全反射レンズ効果を有し、前記環状壁面レンズは、凹レンズ効果を有することを特徴とする
請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項3】
さらに、
前記発光ダイオードを載せるのに用いる基材を備えることを特徴とする
請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項4】
前記基材は、第一貫通穴及び第二貫通穴を備えて、
第一金属ピンは、前記第一貫通穴を通過して、上端が前記発光ダイオードの第一電極に電気的にカップリング接続されて、
第二金属ピンは、前記第二貫通穴を通過して、上端が前記発光ダイオードの第二電極に電気的にカップリング接続されることを特徴とする
請求項3に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項5】
さらに、
前記第一貫通穴に充填される第一絶縁材料と、
前記第二貫通穴に充填される第二絶縁材料とを備えることを特徴とする
請求項4に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項6】
さらに、
前記基材下方に設置される口金を備えて、
さらに、前記口金は、前記発光ダイオードの第一電極に電気的にカップリング接続される壁部金属と、
前記発光ダイオードの第二電極に電気的にカップリング接続される底部金属と、
前記壁部金属と底部金属の間に設置される絶縁材料とを備えることを特徴とする
請求項3に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項7】
さらに、
前記照明器具の上方に設置されるガラスカバーを備えることを特徴とする
請求項6に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項8】
前記発光ダイオードは、チップ状を呈することを特徴とする
請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項9】
前記発光ダイオードは、電球状を呈することを特徴とする
請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項10】
前記中央上部レンズによって扇出される光線は、前記発光ダイオードの直上を基準として、断面図の315から360度及び0から45度の範囲に及び、
前記翼状レンズによって扇出される光線は、前記発光ダイオードの直上を基準として、断面図の90から180度及び180から270度の範囲に及び、
前記環状壁面レンズによって扇出される光線は、前記発光ダイオードの直上を基準として、断面図の45から90度及び270から315度の範囲に及ぶことを特徴とする
請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
【請求項11】
中央上部レンズと、
前記中央上部レンズを取り囲んで接続される翼状レンズと、
前記翼状レンズ下方に設置される環状壁面レンズとを備えることを特徴とする
複合レンズ。
【請求項12】
基材と、
前記基材内に設置される少なくとも1個の請求項1に記載の前記全方位照射の発光ダイオード照明器具を備えることを特徴とする
発光ダイオード照明器具。
【請求項13】
前記発光ダイオードの数量は、1個または複数個であることを特徴とする
請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−119304(P2012−119304A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176010(P2011−176010)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(511195781)辰峯光電股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】