説明

共役グアニジンの存在下における巨大分子種の表面の化学的性質の変性

本発明は、変性した表面を有する巨大分子種を調製するための方法であって、最初に-OH及び/または-SH官能基を担持する巨大分子種(M)を、少なくとも1つの共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)、及び(i)a,b-不飽和のカルボニル基C=C-C=O及び/もしくはa,b-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=Sを含む少なくとも1つの基、ならびに/または(ii)環状エーテル、環状チオエーテル及びアジリジン環から選択される、3〜5員環の少なくとも1つの複素環式基、ならびに/または(iii)イソシアネート-N=C=Oもしくはチオイソシアネート-N=C=S基、及びZが電子吸引性基である式>C=CZ-の3価の基から選択される少なくとも1つの基を含む反応性基を含む反応性の種(E)と接触させるステップ(e)を含む方法に関する。本発明は、このような状況において得られる、変性した表面を有する巨大分子種にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性または非水性の複合媒体(例えば、インク、塗料、ワニスまたは接着剤組成物等)における添加剤として特に適切であり、所望の用途に依存してその表面の官能性が大きく変化可能である新規な巨大分子種に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、このような巨大分子種を合成するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の記載の目的において、用語「巨大分子種」は、液体またはゲル化組成物中に分散体(粒子または粒子の凝集体)の形態において分散させることのできる無機、有機または無機及び有機混成の化合物を意味することを意図し、分散体のサイズは、少なくとも5nm、より好ましくは少なくとも10nm、一般的には1mm未満であり、これらのサイズは一般的には15nmを超え、最も多くの場合は20nmを超え、例えば25nm〜100ミクロン、特に50nm〜10ミクロンである。
【0004】
本発明の目的において、巨大分子種という概念は、ポリマー(特に分枝状の構造を有するポリマー)及び無機粒子(特に、有機基によって表面が変性した無機粒子)の両方を含む。
【0005】
上述の種類の巨大分子種をインク、塗料、ワニスまたは接着剤型の組成物中に増量剤または添加剤として組み込むことによって、上記組成物に、特異的な流動学的特性(例えば、粘度を調節する特性)、または特定の官能性(組成物から得られる薄膜の機械的強度、組成物の着色、乾燥速度、組成物の接着性の性質、及び特に、PMMA、ポリカーボネート、鋼、金属またはガラス等の所与の基質に対する親和性)を与えることは、既知の手法である。
【0006】
上述した種類の巨大分子の添加剤を使用する際に繰り返し生じる問題は上述した種類の巨大分子の添加剤を導入した複合組成物中における分散の問題であり、多くの場合は、実質的な効率を得るのが困難であることが判明している。しかし、分散の効率が高くなければ、添加剤はその機能を最適に発揮することができない。一方、分散が不良である場合には、組成物の特性に対して有害となることさえある。
【0007】
巨大分子の添加剤の使用に関連する別の欠点は、これらの添加剤を使用した組成物における粘度の増大である。巨大分子の添加剤は実際に粘度を発生させ、粘度は非常に高くなる可能性があり、例えば組成物の取扱性にとって有害であるため、用途によっては使用が禁止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第168167号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Macromolecules、27巻、5520〜5522ページ
【非特許文献2】Reactiveand Functional Polymers、48巻、65〜74ページ
【非特許文献3】Progress in Polymer Science、25巻、453〜571ページ
【非特許文献4】The Journal of Polymer Science、Part A、36巻、1685〜1698ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、適応できる官能性を有し、インク、塗料、ワニスまたは接着剤等の複合組成物中における分散の効率を高くすることができ、このような組成物中に組み込まれた際に好ましくは粘度を増大させ過ぎない巨大分子種の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この趣旨で、第1の態様によれば、本発明の主題は、変性した表面を有する巨大分子種を調製するための方法であって、最初に-OH及び/または-SH官能基を担持する巨大分子種(M)を、
- 少なくとも1つの共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)、及び
- (考えられ得る基のなかでも特に)
(i)α-β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O(例えば、アクリル、メタクリルまたはアクリルアミド基)及び/もしくはα-β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=Sを含む少なくとも1つの基、ならびに/または
(ii)3〜5員環(好ましくは3または4員環)の少なくとも1つの複素環式基であって、上記基は環状エーテル、環状チオエーテル及びアジリジン環から選択され、この複素環式基は好ましくは少なくとも1つのエポキシ、チオエポキシもしくはアジリジン基、より好ましくは少なくとも1つのエポキシもしくはチオエポキシ基である少なくとも1つの複素環式基である、少なくとも1つの複素環式基、ならびに/または
(iii)イソシアネート-N=C=Oもしくはチオイソシアネート-N=C=S基、及びZが電子吸引性基(例えば、4-ニトロジフェニル、シアノまたは-C=N-基)である式>C=CZ-の3価の基から選択される少なくとも1つの基
を含む反応性基を含む反応性の種(E)
と接触させるステップ(e)を含む方法である。
【0012】
本発明の方法のステップ(e)において、最初にOH及び/またはSH官能基を担持する巨大分子種(M)の表面が、少なくとも1つの共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)の存在下において、反応性の種(E)によって変性される。
【0013】
本発明の記載の目的において、用語「共役グアニジン官能基」は、そのイミン基の窒素に対してα-位に不飽和を担持するグアニジン官能基を意味することを意図する。
【0014】
言い換えれば、共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)は、本発明の記載の目的において、下記の図式に対応する官能基を担持する化合物である。
【0015】
【化1】

【0016】
本発明に従う共役グアニジンにおいて、イミン基の窒素に対してα-位にある不飽和の存在は、特に、グアニジンに対して相当量の塩基性度を与え、これによって、共役でないグアニジンのpKaより大幅に大きなpKaを有することとなり、共役でないグアニジンについてのpKa約12と比較すると共役グアニジンのpKaは一般的に23を超えるまたは23に等しい(典型的には約25である)。
【0017】
本発明の方法のステップ(e)は、少なくとも1つの上述の種類の共役グアニジン官能基を担持する触媒の存在下において実施された場合に、巨大分子種(M)の表面における特異的な変性をもたらす。概略的には、反応性の種(E)の巨大分子種(M)上への共有結合によるグラフト化は、種(E)が担持する反応性基と巨大分子種が最初に担持する-OH及び/または-SH基との反応によって起こる。
【0018】
本発明の範囲内において、本発明者らによる研究により示すことができたのは、ステップ(e)に従って得られる、変性した表面を有する巨大分子種は、インク、塗料、ワニスまたは接着剤型の組成物中において分散させる際に特に適切であり、一般的に、巨大分子種を導入した組成物の粘度を過度に急激に増大させないことがわかった、ということである。
【0019】
また、本発明の方法の別の利点は、本発明の方法によれば、ステップ(e)に由来する、変性した巨大分子種の表面の官能性を非常に大きく変えることができ、使用された反応性の種(E)の性質を調整することによってこれを非常に簡便に実現することができるという点である。したがって、本発明の方法によれば、対象とする用途にとって適切な、特別仕様の巨大分子種を得ることができる。
【0020】
本発明の方法のステップ(e)において使用される触媒(C)は、少なくとも1つの上述の種類の共役グアニジン官能基を含むという条件で、非常に大きく変化することができる。
【0021】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、本発明の方法において使用される触媒(C)は、少なくとも1つの共役のビス-グアニジン官能基を含む。
【0022】
本発明の記載の目的において、用語「共役のビス-グアニジン官能基」は、下記式に対応する、5個の窒素原子を含む共役の構造を含む官能基を意味することを意図する。
【0023】
【化2】

【0024】
本発明の方法を履行する際に一般的に非常に適切であることが見いだされている1つの特定の実施形態によれば、下記式(I)に対応する共役のビス-グアニジン官能基を担持する触媒(C)が使用される。
【0025】
【化3】

【0026】
式中、R1〜R7基はそれぞれ、他の基とは独立して、
- 水素原子、または
- シアノ-CN基、または
- 直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の、炭化水素に基づく鎖であって、この鎖は、任意に完全にもしくは部分的に環化されており、任意に置換されており、1つもしくは複数のヘテロ原子(例えば、O、S、N、PまたはSi)によって及び/もしくはカルボキシ、アミドもしくはカルバメート等のヘテロ原子を担持する基によって(例えば、2価の基-C(=O)O-、-OC(=O)-、-O-C(=O)-O-、>N-C(=O)-、-C(=O)-N<、>N-C(=O)-O-、-O-C(=O)-N<、-C=N-、-N=C-によって)任意に中断されており、この鎖は典型的には、
- 有利には炭素原子1〜12個、例えば炭素原子1〜6個を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基であって、このアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基は例えばアルコキシ基によって任意に置換されている、
- 有利には炭素原子6〜18個を含み、例えば少なくとも1つのアルキルもしくはアルコキシ基によって任意に置換されているシクロアルキル基、
- 有利には炭素原子6〜18個を含み、例えば少なくとも1つのアルキルもしくはアルコキシ基によって任意に置換されているアリール基、
- 任意に芳香族であり、S、OもしくはNから選出される1つもしくは複数の原子を含む複素環、
- 有利には炭素原子8〜18個を含み、アリール部分が特にアルキルもしくはアルコキシ基によって任意に置換されている、アルキルアリールもしくはアリールアルキル基、
- エステル、アミドもしくはカルバメート基、もしくは
- 任意に他のグアニジン基(適当である場合には、好ましくは共役グアニジン基)を担持するポリマー鎖
である鎖
である。
【0027】
式(I)に対応する触媒は、それ自体を本発明の方法において、例えば溶媒もしくは分散用(好ましくは非水性)媒体中に可溶化したもしくは分散した状態において、または任意の溶媒もしくは分散剤の非存在下において巨大分子種(M)及び反応性の種(E)との混合物として使用することができる。また、式(I)に対応する触媒は、担持された状態においても使用することができる。
【0028】
特に有利には、本発明の方法において、上述の式(I)を有し、式中、R1〜R7基がそれぞれ、他の基とは独立して、水素原子、炭素原子1〜4個を含むアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピルもしくはt-ブチル基、またはシアノ基を表す触媒(C)を使用することが可能である。
【0029】
上述の式(I)を有し、式中、R1及びR3が炭素原子2〜4個を含むアルキル基(特にエチル、プロピル、イソプロピルまたはt-ブチル基)であり、R2、R4、R5、R6及びR7が水素原子または炭素原子1もしくは3個を含むアルキル基(例えば、メチルまたはエチル基)である触媒(C)が特に有利であることが判明している。
【0030】
記載の末尾に記された例において例示される1つの特定の実施形態によれば、例えば、下記式(Ia)に対応する触媒(C)を使用してもよい。
【0031】
【化4】

【0032】
本発明の範囲内において構想することができる触媒(C)の別の例は、以下の式(Ib)の共役グアニジンである。
【0033】
【化5】

【0034】
別の考えられ得る実施形態によれば、本発明の方法のステップ(e)において使用される触媒(C)は、互いに共役である2つのグアニジン官能基を担持する。
【0035】
本発明の記載の目的において、用語「互いに共役であるグアニジン」は、上記に定義される種類の2つの共役グアニジン官能基を意味することを意図しており、2つのグアニジンの各イミン基のα不飽和が、2つのグアニジンの間を共役させる(任意に完全にまたは部分的に環化された)不飽和の鎖の形態で互いに連結している。
【0036】
したがって、互いに共役であるグアニジンを担持する触媒(C)は、本発明の記載の目的において、下記の図式に対応する官能基を担持する化合物である。
【0037】
【化6】

【0038】
互いに共役であるグアニジンを含む触媒(C)において、2つのグアニジンを連結しこれらを共役(完全に共役した橋架け構造)させる不飽和の鎖は、例えば、
- 完全なパイ非局在化を有する、完全にまたは部分的に環化された、直鎖状または分枝状の不飽和の炭化水素に基づく鎖、例えばアルケニルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリールアルケニルまたはアリールアルケニルアリール基であって、これらの基は任意にN及びP等のヘテロ原子を含み、これらの基は特に側鎖グアニジン基によって任意に官能基化され、したがってこの側鎖グアニジン基は有利には、炭素鎖によって連結した2つのグアニジン基に対して共役である鎖、
- 特にグアニジン基(有利には、上記アリール基によって連結した2つのグアニジン基に対して共役である)によって及び/またはアルキルもしくはアルコキシ基によって任意に置換された、好ましくは炭素原子6〜18個を含むアリール基、
- O、N及びS等のヘテロ原子、有利には炭素原子5〜18個を含むヘテロアリール基
である。
【0039】
この実施形態の範囲内において、例えば、触媒(C)として以下の式(I')の化合物を使用してもよい。
【0040】
【化7】

【0041】
考えられ得る更に別の実施形態によれば、いくつかの共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)を使用することができる。この場合、これらの共役グアニジン官能基は好ましくは互いに共役であるが、必ずしも互いに共役でなくてもよい。この実施形態の範囲内において、特に、触媒(C)として以下を使用してもよい。
- 共役グアニジン官能基を担持する単位を含む一連の単位を含む、好ましくは50000g/モル未満、例えば5000g/モル〜15000g/モルの分子量を有するポリマー。この種類のポリマーを調製するための方法は、Macromolecules、27巻、5520〜5522ページ中に記載される。適切なポリマーとして、弱く架橋されたポリスチレンの粒子等の、共役のビス-グアニジン官能基をもっていて、Reactiveand Functional Polymers、48巻、65〜74ページ中に記載される、共役グアニジン官能基を担持するポリマーも挙げることができる。
- 共役のビス-グアニジン官能基を表面上に含む粒子であって、最も一般には無機酸化物(特に、シリカ及び/またはアルミナ)に基づき、典型的には5〜500nmのサイズを有する粒子。
【0042】
このような粒子は、例えば、グアニジンを無機酸化物の粒子上にグラフト化し(例えば、欧州特許第168167号明細書中に記載される実施形態に従う)、次いで、得られるグラフト化させた粒子を、好ましくは例えばDMF等の非プロトン性溶媒中において、カルボジイミド、例えばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドと反応させることによって得ることができる。
【0043】
ステップ(e)において使用される触媒(C)の厳密な性質に関係なく、本発明の方法において使用される巨大分子種(M)の性質は非常に大いに変化することができる。
【0044】
本発明の第1の代案によれば、ステップ(e)において処理される巨大分子種(M)は、樹枝状構造を有し、最初に-OH及び/もしくは-SH基を担持するポリマーを含む(または、樹枝状構造を有し、最初に-OH及び/もしくは-SH基を担持するポリマーからなる)。
【0045】
本発明の記載において、ステップにおいて処理される巨大分子種について記載され、これらの巨大分子種が「最初に-OH及び/または-SH基を担持する」とされる場合に、用語「最初に」は、上記巨大分子種が処理ステップの初めに-OH及び/または-SH基を担持するということ、及びこれらの基の全てまたは一部がこのステップにおいて消費されてもよい(この場合、一度変性した巨大分子種は、最終的に、残存している-OH及び-SH基を含むか、またはこのような基をもう含まないかのいずれかであることができる)ということを意味する。
【0046】
また、本明細書中で使用される意味において、表現「樹枝状構造を有するポリマー」は、2を超える官能性を有する有機のモノマー単位の重合(または共重合)によって得ることができる、分枝状の構造を有する任意のポリマーを表す。樹枝状構造を有するこのようなポリマーの例は、特にProgress in Polymer Science、25巻、453〜571ページ中に記載される種類の、規則的で制御された樹枝状構造を有するデンドリマーである。デンドリマーの樹枝状構造ほど規則的でない樹枝状構造を有する他のポリマーを本発明に従って使用することができ、これは、例えば「超分岐の」ポリマーであって、例えばThe Journal of Polymer Science、Part A、36巻、1685〜1698ページ中に記載される種類のものである。
【0047】
特に調製するのにそれほど高価でないという理由から、超分岐型のポリマーがデンドリマーにとって一般的に好ましい。
【0048】
本明細書中で注目するべきは、本発明の方法のステップ(e)において使用される触媒(C)は、2を超える官能性を有し、-OHまたは-SH官能基、及び反応性の官能基、特にステップ(e)において使用される反応性の種(E)が担持する反応性の官能基の種類の反応性の官能基を担持するモノマーから超分岐のポリマーを調製する際にも適切な触媒であるということである。より一般的には、触媒(C)は、2を超える官能性を有し、エステル(-C(=O)O-)、チオエステル(C(=S)O-)、アミド(-C(=O)N<)、カルバメート及びチオカルバメート(-O-C=O-N<、-O-C=S-N<)官能基等の反応性の官能基、または代わりにリン酸(-O-P(=O)(-O-)2)もしくは硫酸(-S(=O)2-O-)官能基を担持するモノマーの重合を触媒する際に適切であることも判明している。
【0049】
したがって、本発明の1つの有利な実施形態によれば、本発明の方法のステップ(e)において処理される巨大分子種(M)は、上記に定義される触媒(C)の存在下において、2を超える官能性を有するモノマーを重合することによって得られる、樹枝状構造を有するポリマーであることができる。
【0050】
この特定の状態において、本発明の方法は、一般的に、下記ステップ(e1)及び(e2):
(e1)樹枝状構造を有するポリマー(P)を、以下を含むモノマーの、触媒(C)により触媒される重合によって形成するステップ、
- 少なくとも2つのOH及び/もしくはSH官能基及び少なくとも1つの反応性の官能基、ならびに/または
- 少なくとも2つの反応性の官能基、及び少なくとも1つのOH及び/もしくはSH官能基であって、モノマーが担持する上記反応性の官能基は、α,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O(例えば、アクリル、メタクリルまたはアクリルアミド基)及び/もしくはα,β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=S、3〜5員環の環状エーテル基、3〜5員環の環状チオエーテル基もしくは3〜5員環のアジリジン環を含む基、イソシアネート基-N=C=O、チオイソシアネート基-N=C=S、式>C=CZ-を有しZが電子吸引性基である、特に上述の種類の3価の基、及びエステル、チオエステル、アミド、カルバメート、チオカルバメート、ホスフェートもしくはサルフェート官能基から選択される基、
次いで
(e2)得られる、樹枝状構造を有し-OHまたは-SH周辺官能基を担持するポリマー(P)を、上記に定義される反応性の種(E)及び触媒(C)と接触させるステップ
を含む。
【0051】
この一連のステップにおいて、ステップ(e1)において触媒(C)を使用してポリマーコアが調製され、次いで、ステップ(e2)において同じ触媒(C)の存在下においてこのポリマーコアが官能基化される。一般的に、ステップ(e1)及び(e2)において使用される触媒(C)は同じものである。
【0052】
上述のステップ(e1)及び(e2)の1つの有利な実施形態によれば、ステップ(e1)において使用されるモノマーが担持する反応性の官能基は、カルボニル基、特にエステル基(有利にはアルキルエステル基、特に-COOCH3または-COOC2H5基)を含む基である。
【0053】
また、ステップ(e1)において使用されるモノマーは、有利には、(i)少なくとも1つの上述の種類の反応性の官能基(例えばカルボニル基を含む基であるが、必ずしもカルボニル基を含む基でなくてもよい)ならびに(ii)少なくとも2つの-OH及び/または-SH官能基を担持する化合物である。
【0054】
更により有利には、ステップ(e1)のモノマーは、カルボニル基(好ましくは、上述の種類のエステル官能基及び少なくとも2つの-OH官能基)を含む少なくとも1つの基を含む。
【0055】
したがって、ステップ(e1)において有利なモノマーとして、特に、下記式に対応する化合物を挙げることができる。
【0056】
【化8】

【0057】
例として、ステップ(e1)において構想することができるモノマーの他の例は、以下である。
- 下記式を有するモノマー
【0058】
【化9】

【0059】
(特に、オクタン酸スズの存在下において2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸及びε−カプロラクトンから、次いで、得られる生成物のメタノールによるエステル化から得ることができる)、
- 下記式を有する3,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル
【0060】
【化10】

【0061】
上述のステップ(e1)において実施される重合は、有利には、アニオン重合によって実施される。この場合、ステップ(e1)は、一般的に助触媒としての強塩基の存在下において実施され、この強塩基は、有利にはtBuOK等のアルコキシド塩、または代わりにEtONaから選択される。
【0062】
上述のステップ(e1)及び(e2)が実施される場合に、樹枝状構造を有し、超分岐型であって、-OH及び/または-SH周辺官能基を担持するポリマーPは、ステップ(e1)の終了時に得られる。したがって、このポリマーPを、本発明の変性方法に従って処理することができ、この変性方法はステップ(e2)において行われ、ステップ(e2)は、ポリマーを触媒(C)の存在下において反応性の種(E)と接触させるものである。
【0063】
本発明のこの実施形態の範囲内において、ステップ(e1)において触媒(C)を上記特定のかたちで使用した場合に、ステップ(e2)を、単に、ステップ(e1)の終了時に得られる反応媒体に種(E)を添加し、任意に触媒(C)を更に添加することによって、非常に容易に実施することができる。
【0064】
その結果、ステップ(e1)及び(e2)の実施は、ステップ(e1)におけるポリマーの調製とステップ(e2)における上記ポリマーの変性との間に精製または抽出ステップを必要としない限りにおいては、特に有利であることが判明する。このように「ワンポット」経路に従って2つのステップを実施すれば、特に、方法にかかるコストの低減及び時間の短縮が見込まれる。
【0065】
本発明の第2の代案によれば、ステップ(e)において処理される巨大分子種(M)は、-OHまたは-SH基を表面に有する無機粒子を含む(または、-OHまたは-SH基を表面に有する無機粒子からなる)。
【0066】
この代案によれば、粒子は一般的に無機酸化物に基づく(これは、粒子が完全にまたは部分的に少なくとも1つの無機酸化物で構成されていて、好ましくは粒子の表面に少なくとも部分的に接触できることを意味することを意図する)。使用される粒子は、例えば、シリカに基づく、アルミナに基づく、または代わりに酸化ジルコニウムに基づくまたは酸化チタンに基づくものである。粒子を構成する酸化物(複数可)は、任意に、ドープされた酸化物または固溶体の形態における酸化物(例えば、ユーロピウムまたはイットリウムでドープされたシリカまたは酸化ジルコニウム)であることができる。1つの特定の実施形態によれば、シリカ粒子を、例えば非水ゾル(例えばアルコール性のゾル)の形態において使用することができる。
【0067】
より一般的には、方法のステップ(e)において反応性の種(E)と反応することができる遊離の-OHまたは-SH基を粒子がその表面に有するという条件で、第1の変形実施形態の範囲内において任意の無機粒子を使用することができる。-OH基は、使用される粒子上にもともと存在する基である可能性がある(これは、例えば、シリカのまたはアルミナ等の金属酸化物の粒子についての場合である)。とはいうものの、より一般的には、使用される粒子を、-OHもしくは-SH基によって、または遊離の-OHもしくは-SH基を担持する有機の鎖によって、ステップ(e)より前にグラフト化する。金属酸化物粒子の表面におけるこれらの-OHまたは-SH基の導入(グラフト化)は、当業者に公知の方法に従って実施することができる。例えば、Si-OHまたはAl-OH型の表面基を担持する無機粒子から開始して、加水分解-縮合反応を、-OHまたは-SH基をもっていて、炭素原子を介してケイ素原子に結合した少なくとも1つの炭化水素に基づく鎖を含有するアルコキシシランを使用して実施することができる。
【0068】
使用される無機粒子は、等方性(例えば球状)及び異方性(特に、ロッドまたは薄片の形態において)のいずれであることもできる。
【0069】
また、無機粒子を本発明の方法のステップ(e)において巨大分子種(M)として使用する場合、これらを分散用媒体、好ましくは無水媒体(アルコールまたは他の有機溶媒)中に分散した形態において使用することが一般的に好ましく、この場合、粒子は、分散体(遊離した粒子及び/または粒子の凝集体)の形態であり、好ましくは5nm〜100ミクロンのサイズを有し、この寸法は一般的には10nmを超え、最も一般には20nmを超え、例えば25nm〜50ミクロン、特に30nm〜10ミクロンである。
【0070】
より一般的には、樹枝状構造を有するポリマー及び上述の無機粒子以外の分子種(M)を、ステップ(e)において使用することができる。例えば、巨大分子種(M)として、有機粒子、例えばポリマーマイクロビーズ(例えば、遊離の-OH基によって表面を官能基化されたポリウレタンマイクロビーズ)か、そうでなければゲル化状態(例えば、シリカゲル)における無機の種を使用することが可能である。例えば、表面上に付着した薄膜(例えば、インク、ワニス、塗料または接着剤の薄膜)の特性を、この薄膜を硬化させる間に変性させるために、本発明の方法を利用することが可能である。
【0071】
ステップ(e)において使用される巨大分子種(M)は、その厳密な性質とは独立して、好ましくは水酸基-OHを担持する。このような状況において、巨大分子種(M)は、-OH種及び-SH種の混合物か、そうでなければ-OH官能基のみをもつことができる。
【0072】
一般的に、本発明の方法において使用される反応性の種(E)及び触媒(C)の巨大分子種(M)の厳密な性質に関係なく、巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)を接触させるステップ(e)において、反応性の種(E)上に存在する反応性基の総量に対する、触媒(C)の量のモル比(触媒/反応性基)は、0.05%〜10%、より有利には0.2%〜5%、更により有利には0.5%〜2.5%であることが最も一般に好ましい。
【0073】
巨大分子種(M)上に存在する-OH及び-SH基の総量に対する、反応性の種(E)上に存在する反応性基の総量のモル比(反応性基/-OHまたは-SH基)は、それ自身、ステップ(e)において、巨大分子種(M)の表面に導入することが所望される変性した官能基の量に従って調整される。最も一般的な場合において、定量的または部分的なグラフト化のうちいずれが所望されるかに依存して、このモル比(反応性基/-OHまたは-SH基)は、最も一般には5%〜150%の範囲において変動する。
【0074】
種(E)が単官能性である(すなわち、分子1つあたり反応性基を1つ担持する)場合、モル比(反応性基/-OHまたは-SH基)は、より好ましくは20%〜110%、例えば25%〜100%である。
【0075】
より特定の場合において、多官能性の(すなわち、分子1つあたり反応性基を2つ以上担持する)反応性の種(E)を使用する場合、ステップ(e)の結果として、種(M)が互いに架橋され得る。このように架橋する原因であるカップリング反応を避けるために、多くの場合は、モル比(反応性基/-OHまたは-SH基)を75%を超え、または75%に等しく、有利には90%を超え、または90%に等しく、例えば100%〜150%としてステップ(e)を実施することが好ましい。これに反して、種(M)の間のカップリングを促進することが意図される場合には、ステップ(e)において使用されるモル比(反応性基/-OHまたは-SH基)は、好ましくは50%未満、好ましくは30%未満、例えば5%〜25%となるように選択される。
【0076】
特定の場合においては、有利には例えばtBuOKまたはEtONa等のアルコキシド塩等の強塩基から選択される助触媒の存在下において、巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)を接触させるステップ(e)を実施することが有利であってもよい。このような助触媒の使用は、特定の場合においては有利であることが判明してはいるものの、ステップ(e)の状況において体系的に要求されるものではない。したがって、ステップ(e)を、触媒(C)以外の任意の触媒種を使用することなく無条件に実施することができる。
【0077】
また、特に、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノンメチルエーテル(MEHQ)またはヒドロキノン等の安定化剤の存在下においてステップ(e)を実施することが有利であることが判明してもよく、こうすることによって、ともすれば(特に、ステップ(e)が90℃を超える温度において実施された場合に)起こってもよい反応性の種(E)のフリーラジカル重合の自然反応を阻害することが可能となる。
【0078】
また、ステップ(e)において、溶媒及び/または分散用媒体中に多様な化合物を含ませることによって、巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)を接触させることができる。この状態において、使用される溶媒及び/または分散用媒体は、特にステップ(e)において起こる反応と相互に干渉し合うことのないように、好ましくは水を含まない(有利には、任意のプロトン性または水酸化溶媒をも含まない)媒体である。ステップ(e)において適切な溶媒及び/または分散用媒体は、特に、THF(テトラヒドロフラン)、酢酸エチル、DMSO(ジメチルスルホキシド)、トルエン及びキシレンならびにそれらの混合物を含む。ステップ(e)を実施するという状況において一般的に却下されるべき溶媒もあり、これは特にDMFの場合であって、この場合、一般的に、本発明に従って非常に不適切であることが見いだされている。
【0079】
一方、多くの場合は有利であることが判明しているある実施形態によれば、ステップ(e)において、溶媒または分散剤のいずれをも巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)に添加することなく、化合物(M)、(E)及び(C)を接触させることができる。この特定の実施形態は、触媒(C)が化合物(M)、(E)及び(C)の混合物中に効率よく可溶化または分散されるという条件で構想することができる。また、溶媒及び/または分散剤として作用することができる種(E)を使用することが好ましい(このような状況において、10000g/モル未満のモル質量を有するポリマーを特に種(E)として使用することができる)。
【0080】
更に、非常に一般的には、ステップ(e)において、巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)を、最も一般には、80℃〜160℃、より好ましくは90℃〜140℃の温度において接触させる。
【0081】
ステップ(e)において使用される反応性の種の基(E)の性質に依存して、本発明の方法の多様な主要な変形実施形態の間を区別することができ、すなわち、以下の通りである。
【0082】
- 変形実施形態1
反応性の種(E)は、特異的に、α,β-不飽和のカルボニルC=C-C=O及び/またはα,β-不飽和のチオカルボニルC=C-C=S基を含む
種(M)の表面の官能基化を広い範囲にわたって変えることを可能とする、本発明の方法のこの第1の変形実施形態によれば、ステップ(e)において使用される反応性の種(E)は、好ましくはα,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O及び/または少なくとも1つのα,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=Oを含む化合物である。
【0083】
好ましくは、この第1の変形実施形態の範囲内において、反応性の種(E)は、少なくとも1つのアクリレートまたはメタクリレート基を含む化合物である。
【0084】
第1の変形実施形態の1つの特に有利な実施形態によれば、反応性の種(E)は、下記式(II)に対応する化合物である。
【0085】
【化11】

【0086】
式中、
- R8基は、直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の、炭化水素に基づく鎖であって、任意に完全にまたは部分的に環化されており、任意に置換されており、N、O、S、P及びSiから選択される1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基)によって任意に中断された鎖であり、R8は好ましくはアルキル基である鎖であり、ならびに
- R9、R10及びR11基は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の、炭化水素に基づく鎖であって、任意に完全にまたは部分的に環化されており、任意に置換されており、N、O、S、P及びSiから選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって任意に中断された鎖である。
【0087】
有利には、上述の式(II)に対応する化合物において、R8基はメチルまたはエチル基である。
【0088】
特に、本発明の第1の変形実施形態に従う反応性の種(E)として特に適切であることが判明している化合物は、上述の式(II)に対応する化合物であり、式中、
- R8基は、炭素原子1〜12個、好ましくは炭素原子6個未満を含むアルキル基(例えば、メチルまたはエチル基)であり、
- R9基は、水素原子またはメチル基であり、ならびに
- 各R10及びR11基は、独立して、水素原子、または好ましくは炭素原子1〜18個、例えば炭素原子2〜8個を含むアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基である。
【0089】
本発明の範囲内において、本発明者らによる研究が示しているのは、本発明の方法の第1の変形実施形態の実施の条件下において巨大分子種(M)の表面の有利な官能基化が得られ、この官能基化を使用することによって、
- 単に、巨大分子種(M)の表面の全てまたは一部を官能基化すること、
- または、カップリング反応を使って種(M)を互いにカップリングさせるのと平行して、必要であれば種(M)の表面の全てまたは一部を官能基化すること
のいずれかから選択して行うことができるということである。
【0090】
より具体的には、α,β-不飽和のカルボニルC=C-C=O(アクリレートまたはメタクリレート型の基)を含む基を特異的に含む反応性の種(E)を使用することによって、種(M)上に存在する-OH及び/または-SH基との考えられ得る2つの反応、すなわち
- マイケル付加型の付加反応、及び/または
- エステル交換反応
がもたらされるということが見いだされた。
【0091】
典型的には、種(M)が-OH基をもっていて、上述の式(II)に対応する反応性の種(E)が使用される場合、巨大分子種(M)及びこれらの反応性の種(E)及び触媒Cの間の反応は、種Mの-OH基の少なくともいくつかの、式-O-CR10R11-CR9-COOR8の官能基への(マイケル付加による)、及び/または式-O-(C=O)-CR9=CR10R11の官能基への(エステル交換、アルコールR8-OHの同時形成による)変換をもたらす。
【0092】
同じく、種(M)が-SH基をもっていて、上述の式(II)に対応する反応性の種(E)が使用される場合、巨大分子種(M)及びこれらの反応性の種(E)及び触媒Cの間の反応は、種Mの-SH基の少なくともいくつかの、式-S-CR10R11-CR9-COOR8の官能基への(マイケル付加)、及び/または式-S-(C=O)-CR9=CR10R11の官能基への(エステル交換、チオールR8-SHの連結形成による)変換をもたらす。
【0093】
α,β-不飽和のカルボニル基を担持する反応性の種(E)についての上述の現象に類似する現象が、反応性の種(E)がα,β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=Sを含む場合に観察される。
【0094】
さて、本発明者らは、本発明の条件下において、ステップ(e)は、第1の変形実施形態の範囲内において実施される場合に最も一般には体系的にマイケル付加反応をもたらすということ、及び以下に説明される通り、ステップ(e)の反応パラメータを調整することによってエステル交換反応それ自身を防止することができる、または逆に促進することができるということを示している。
【0095】
本発明者らはまた、エステル交換反応が起こった場合に、エステル交換反応によって、最も一般には、表面の官能基化に加えて種(M)の間のカップリング現象がもたらされるということも示している。このカップリング効果は、種(M)上におけるエステル交換反応によって形成される官能基が、媒体中に存在する-OH及び/または-SH基とマイケル付加反応に従って反応することができる官能基であるという事実によって、少なくとも部分的に説明されることが明らかである。上述の式(II)を有する反応性の種(E)の使用についての特定の場合において、エステル交換反応によって形成されるこれらの官能基は、-O-(C=O)-CR9=CR10R11または-S-(C=O)-CR9=CR10R11官能基である。第1の種(M)が担持するこの種類の官能基は、別の種(M)が担持する-OH及び/または-SH基と反応することができ、これによって、これらの2つの種の間に共有結合が形成され、したがって(式-O-CR10R11-CR9-C(=O)-O-、-O-CR10R11-CR9-C(=O)-S-、-S-CR10R11-CR9-C(=O)-O-、及び/または-S-CR10R11-CR9-C(=O)-S-の2価の基を橋架けすることによって)カップリングされる。
【0096】
種(M)の間のこの橋架け効果は、特に、得られた種の分子量を増加させるために有利に使用することができる。このような橋架け効果をもたらす本発明の実施形態は、樹枝状構造を有する高分子量のポリマーを調製する際に特に適切であることが見いだされている。
【0097】
逆に、本発明の方法において、エステル交換反応にとって不利な条件が使用される場合に、マイケル付加によって形成される官能基(式(II)の反応性の種(E)の使用についての特定の場合において、-O-CR10R11-CR9-COOR8または-S-CR10R11-CR9-COOR8官能基)による種(M)の表面の全てまたは一部の官能基化は、本質的に(または特定の場合においてはむしろ限定的に)、本質的には種(M)の間の任意のカップリング現象を伴わずに得られる。
【0098】
本発明の方法の第1の変形実施形態の範囲内において種(M)の間のカップリングを促進するために、以下の2つの条件のうち少なくとも1つを(好ましくは2つを一緒に)特に使用することができる。
【0099】
- 0.7〜1バール(すなわち7×104〜105Pa)の圧力のもとでステップ(e)を実施する。
【0100】
この範囲内に含まれる圧力は、エステル交換によって種(M)の最初の官能基化を提供できるほど十分に小さいということが判明しており、種(M)の最初の官能基化はカップリング反応にとって欠くことができないものである。しかし、この範囲内に含まれる圧力は同時に、マイケル付加反応に有利となるエステル交換反応にとって不利になるほど高く、マイケル付加反応はカップリングが実際に起こるための第2の重要な条件である。この理由は、使用される低い圧力が、エステル交換反応によって形成されるアルコール及び/またはチオールの連続的な抽出を促進するためである。したがってエステル交換反応の平衡がシフトし、そのためにエステル交換反応に有利となる(この効果は、R8がエチルまたはメチルである化合物(II)が使用される場合に最も特に明らかとなり、この場合に形成されるアルコールはメタノールまたはエタノールであり、減圧下において非常に容易に抽出可能である)。
【0101】
注目するべきは、より一般的にはカップリングは、特定の場合において、およそ大気圧、典型的には0.7〜2バールの圧力において得ることができるということであるが、しかし、このようなカップリングは、ステップ(e)が1〜2バールにおいて実施される場合には体系的には起こらない。
【0102】
- 種(E)/種(M)のモル比を最大75%としてステップ(e)を実施する。
【0103】
用語「種(E)/種(M)のモル比」は、種(M)が担持する-OH及び/または-SH基の量に対する、種(E)上に存在する反応性基の量のモル比を意味することを意図する。カップリングをできるだけ促進するために、このモル比は、好ましくは50%未満または50%に等しく、より有利には40%未満または40%に等しく、例えば10%〜30%である。
【0104】
注目するべきは、種(E)/種(M)のモル比が100%までの範囲である場合にはカップリングを得ることができるが、モル比が75%〜100%である場合にはカップリングは体系的ではないということである。
【0105】
また、本発明の方法の第1の変形実施形態の範囲内において種(M)の間のカップリングを得ることが所望される場合には、ステップ(e)を70℃〜180℃、より好ましくは90℃〜140℃、例えば95℃〜135℃の温度において実施するのが好ましいということが最も一般であると判明している。
【0106】
逆に、本発明の方法の第1の変形実施形態の範囲内において種(M)の間のカップリング現象を防止することが所望される場合には、エステル交換反応を阻害する効果を有する以下の2つの条件の少なくとも1つ(好ましくは両方)を使用することが示されている。
【0107】
- 2バールを超える(すなわち2×105Paを超える)、好ましくは2〜10バール(すなわち2×105Pa〜106Pa)の圧力のもとでステップ(e)を実施する。
【0108】
このような圧力においては、エステル交換反応によって形成されるアルコール及び/またはチオールの抽出は不利であり、その結果エステル交換反応が阻害される。有利には、この効果を得るために、典型的には2〜5バールにおいて実施することが可能である。(エステル交換反応の阻害は、圧力が高い場合に、特に2.5バールを超える、更により具体的には3バールを超える場合になおさらはっきりとする。しかし、特に方法にかかるコストの理由から、多くの場合は、比較的穏やかな圧力において方法を実施することが好ましく、5バールを超える圧力は一般的には要求されないことが見いだされている)。
【0109】
注目するべきは、カップリングを伴わない変性反応を2バール未満の圧力において(例えば、わずかな過圧状態において、特に1.1バールを超える圧力において)観察することができるということである。しかし、カップリングの阻害は、2バール未満の圧力においては体系的ではない。
【0110】
- 種(E)/種(M)のモル比を少なくとも100%としてステップ(e)を実施する。
【0111】
カップリング反応をできるだけ阻害するために、このモル比(種(M)が担持する-OH及び/または-SH基の量に対する、種(E)上に存在する反応性基の量のモル比)は、種(M)が単官能性である(すなわち、-OHまたはSH反応性基を1つ担持する)場合は100%〜125%、種(M)が多官能性である(すなわち、少なくとも2つの-OH及び/またはSH反応性基を担持する)場合は150%を超える(例えば150%〜250%)ことが有利である。
【0112】
注目するべきは、カップリングを伴わない変性反応を、種(E)/種(M)のモル比が100%未満、特に75%〜100%である特定の場合において得ることができるということである。とはいうものの、この範囲において、カップリング反応の阻害は体系的ではない。
【0113】
更に、本発明の方法の第1の変形実施形態の範囲内において種(M)の間のカップリング反応を阻害することが所望される場合には、ステップ(e)を100℃を超える、より好ましくは120℃を超える、有利には140℃を超える温度において実施することが好ましいということが最も一般に見いだされているが、とはいうものの、この温度は、最も一般には250℃未満、好ましくは200℃未満、または更には180℃未満にとどまり、これによって、特に方法にかかるコストを制限し、使用される有機化合物の安定性に影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
【0114】
また、注目するべきは、本発明の方法の第1の変形実施形態の実施は、特定の場合において、巨大分子種(M)の表面におけるポリマー鎖(特にポリアクリレートまたはポリメタクリレート)の形成を得ることをも可能とするということである。また、巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)を、例えば、有利にはアルコキシド塩(例えば、特にtBuOK)等の強塩基から選択されるアニオン重合助触媒の存在下において接触させることができる。このような更なる助触媒の存在を伴ってプロセスが実施される場合には、最も一般に種Eと巨大分子種Mのいくつかの上に形成された-O-(C=O)-CR9=CR10R11及び/または-S-(C=O)-CR9=CR10R11基のアニオン重合の反応が生じ、これによって、ステップ(e)の終了時において種(M)上におけるポリ(メタ)アクリレート末端鎖の形成がもたらされる。この効果を、特に樹枝状構造を有するポリマーの末端部において直鎖状の連鎖を形成するために、またはそうでなければ、無機粒子上においてポリマー鎖を形成するために利用することができる。上述の結果を達成するために更なるアニオン重合助触媒がステップ(e)において使用される場合に、ステップ(e)の反応媒体における(助触媒/ビス-グアニジン官能基)モル比は、一般的に、好ましくは10%〜100%、より好ましくは20%〜50%である。
【0115】
1つの特定の実施形態によれば、本発明の方法の第1の変形実施形態を、上述のステップ(e1)及び(e2)に従って2を超える官能性を有するモノマーを重合することによって、樹枝状構造を有するポリマーを合成するために、有利に使用することができる。次いで、この状態において、有利には、本発明の方法のステップ(e1)及び(e2)を下記条件下で実施することができる。
(e1)以下、
- 少なくとも1つのエステル、アクリレートもしくはメタクリレート官能基、及び少なくとも2つのOHまたはSH官能基、ならびに/または
- エステル、アクリレートもしくはメタクリレート官能基、及び少なくとも1つのOHもしくはSH官能基から選択される少なくとも2つの官能基
を含むモノマーを重合することによって、樹枝状構造を有するポリマー(P)が形成されるステップ、
次いで
(e2)得られる、樹枝状構造を有するポリマー(P)(-OHまたは-SH周辺官能基を担持する)を反応性の種E及び触媒Cと接触させるステップ。
【0116】
この特定の実施形態によれば、ステップ(e1)及び(e2)は、有利には、上述の種類のアルコキシド塩型のアニオン重合助触媒の存在下において実施される。
【0117】
- 変形実施形態2
反応性の種(E)は、特異的に、環状エーテル、環状チオエーテル及びアジリジン環から選択される3〜5員環の複素環式基を含む
本発明の方法のこの第2の変形実施形態によれば、ステップ(e)において使用される反応性の種(E)は、特異的に、例えば末端基として、以下を含む化合物である。
- 少なくとも1つの3〜5員環の環状エーテル基、すなわち、下記の図式を有する基、
【0118】
【化12】

【0119】
式中、neは3〜5の範囲の、好ましくは3もしくは4に等しい整数であり、及び/または
【0120】
- 少なくとも1つの3〜5員環の環状チオエーテル、すなわち、下記の図式を有する基、
【0121】
【化13】

【0122】
式中、ntは3〜5の範囲の、好ましくは3もしくは4に等しい整数であり、及び/または
【0123】
- 少なくとも1つの3〜5員環の(好ましくは3または4員環の)アジリジン環、すなわち下記の図式を有する基、
【0124】
【化14】

【0125】
式中、naは3〜5の範囲の、好ましくは3もしくは4に等しい整数である。
【0126】
この変形実施形態の1つの好ましい実施形態によれば、反応性の種(E)は、エポキシ及び/またはチオエポキシ基を含み、それぞれ以下の図式を有する化合物である。
【0127】
【化15】

【0128】
一方、反応性の種(E)は、下記の図式を有するアジリジン基を含む化合物であることができる。
【0129】
【化16】

【0130】
この状態において、種(E)上に存在するこれらの基は、種M上に存在する-OH及び/または-SH基と反応して、下記の図式を有する官能基の、種M上における形成をもたらす。
【0131】
【化17】

【0132】
本発明の範囲内において、本発明者らによる研究により確立することができたのは、触媒(C)の特異的な使用によって、エポキシド及びチオエポキシド型のひずんだ環に対する制御された開環反応を得ることが可能になるということである。
【0133】
より具体的には、驚くことに、ビス-グアニジン官能基を含む触媒は、非常に高効率のプロトン化剤であり、ひずんだ環の開環反応に対するエポキシド型の高効率の触媒作用を提供するということが判明しているが、エポキシドまたはチオエポキシド型の化合物に対するアニオン重合開始剤としての役割は果たさないということが見いだされている。
【0134】
その結果、本発明の方法の第2の変形実施形態は、分子種の表面を下記種類の官能基によって官能基化する際に特に有利であることが見いだされており、
【0135】
【化18】

【0136】
その際に、種(M)の表面においてポリエーテルまたはポリチオエーテル型のポリマー鎖が形成されるというリスクを伴わない。したがって、種(M)の完全に制御された官能基化が得られる。
【0137】
- 変形実施形態3
反応性の種(E)は、イソシアネート-N=C=O及び/またはチオイソシアネート-N=C=S基及び/またはZが電子吸引性基である式>C=CZ-の3価の基を含む
この状態において、本発明の触媒(C)は、ステップ(e)において実施される種(M)の表面の化学的性質を変化させるための反応に対して特に効率の高い触媒を構成することが見いだされている。
【0138】
この変形実施形態の範囲内において、使用される反応性の種(E)がもつことのできる式>C=CZ-の3価の基は、この結合に対してα-位における電子吸引性基ZのためにC=C二重結合が電子欠乏している(メソメリー及び/または誘起効果によって)という条件で、非常に大いに変化することができる。
【0139】
本発明の記載の目的において、「電子吸引性基」は、水素のσpがゼロであり、トリフルオロメチル基のσpが0.53であるというハメット定数の規模において、好ましくは、値0.05を超えるまたは値0.05に等しい(特にフェニル基のσpの値に対応する)ハメット定数(σp)を有する。本発明に従って有利な電子吸引性基Zとして、特に、置換されたフェニル基、例えば4-ニトロフェニル、そうでなければ-CN、-C(=O)-、-C(=N-)-、C(=O)-S-、またはチオフェン基を挙げることができる。
【0140】
- 変形実施形態4
反応性の種(E)は二官能性の化合物を含む
この本発明の方法の第4の変形実施形態によれば、前出のもののうち1つと適合して、反応性の種(E)は、本発明の記載において上記に定義される、少なくとも1つのα,β-不飽和のカルボニルC=C-C=O及び/またはα,β-不飽和のチオカルボニルC=C-C=S基、3〜5員環の複素環式基(上述の種類の環状エーテル、環状チオエーテルまたはアジリジン環)、イソシアネート基、チオイソシアネート基-N=C=S、及びZが電子吸引性基である式>C=CZ-の基を含む基から選択される少なくとも2つの反応性基を含む二官能性の化合物を含む。
【0141】
方法のこの変形実施形態が履行される場合に、巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)の接触に続いて種Mの橋架けが得られる。この理由は、反応性の種(E)上に存在する2つの基が、別個の巨大分子種上に存在する2つの-OH及び/または-SH基と反応する傾向を有するためである。
【0142】
この変形実施形態によって、特に、高分子量の分枝状のポリマーを得ることが可能となる。このような状況において、典型的には低分子量(例えば6000〜8000g/モル)のポリマーを種(M)として使用することができ、ステップ(e)によってこれらのポリマー間のカップリングがもたらされ、これによってより高分子量の(典型的には、少なくとも12000g/モル、例えば15000g/モルを超えるまたは15000g/モルに等しい分子量を有する)ポリマーが得られる。注目するべきは、得られる高分子量のポリマーは一般的に低い粘度を保持するということである。
【0143】
本発明の方法の第4の変形実施形態の範囲内において、有利には、下記一般式(III)に対応する1つまたは複数の化合物を含む(または、下記一般式(III)に対応する1つまたは複数の化合物からなる)反応性の種(E)が使用される。
R12-(L)-R13 式(III)
式中、
R12及びR13基は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、
- α,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O、好ましくはアクリレートもしくはメタクリレート基を含む基、または
- 3〜5員環の環状エーテル基、3〜5員環の環状チオエーテル基もしくは3〜5員環の環状アジリジン環、好ましくはエポキシ、チオエポキシもしくはアジリジン基、または
- イソシアネート-N=C=Oもしくはチオイソシアネート-N=C=S基であり、及び
(L)は、任意に完全にまたは部分的に環化されており、O、N、S、P及びSiから選出される1つまたは複数のヘテロ原子によって任意に中断されており、任意に置換された、飽和または不飽和の、2価の炭化水素に基づく基を表す。
【0144】
第4の変形実施形態のより特定の実施形態によれば、2つを超える、例えば3つまたは4つの反応性基を含有する反応性の種(E)を使用することができる。適当である場合には、例えば、上述の式(III)を有する化合物を含む種(E)を使用してもよく、上述の式(III)中、基(L)は、α,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O、3〜5員環の環状エーテル基、3〜5員環の環状チオエーテル基、3〜5員環の環状アジリジン環、及びイソシアネート及びチオイソシアネート基を含む基から選択される少なくとも1つの更なる基R14を担持する。
【0145】
本発明の方法の第4の変形実施形態の1つの有利な実施形態によれば、使用される種(E)は、下記式(IIIa)〜(IIIe)の少なくとも1つに対応する化合物を含む。
【0146】
【化19】

【0147】
式中、
- (L)基は上記に定義され、
- Re及びR'e基は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、エポキシ、チオエポキシまたはアジリジン基を担持する(好ましくはエポキシまたはチオエポキシ基を担持する)基である。
【0148】
本発明の方法の第4の変形実施形態の範囲内において、(反応性基/-OHまたは-SH基)モル比を50%未満、有利には40%未満または40%に等しく、より好ましくは30%未満、例えば5%〜20%としてステップ(e)を実施することが最も一般に好ましく、こうすることによって、特に、ともすれば生じる可能性のあるステップ(e)における反応媒体のゲル化(または、更に固まって固体となる)現象を防止することが可能となる。
【0149】
別の特定の態様によれば、本発明の主題はまた、本発明の方法のステップ(e)の終了時に得ることができるような、変性した表面を有する巨大分子種(特に、樹枝状構造及び変性した表面を有するポリマーならびに変性した表面を有する無機粒子)である。
【0150】
このような状況において、本発明の主題を形成する特異的な巨大分子種は、特に、以下を含む。
- 本発明の方法の変形実施形態1の終了時に得られるような、式-O-(C=O)-CR9=CR10R11、-O-CR10R11-CR9-COOR8、-S-(C=O)-CR9=CR10R11及び/または-S-CR10R11-CR9-COOR8の官能基を担持する巨大分子種を含む種、
式中、R8、R9、R10及びR11基は上述の意味を有する、
- 変形実施形態1の上述の特定の実施形態の終了時に得られるような、式-O-CR10R11-CR8-C(=O)-O-、-O-CR10R11-CR8-C(=O)-S-、S-CR10R11-CR8-C(=O)-O-、及び/または-S-CR10R11-CR8-C(=O)-S-の2価の基を介して互いに橋架けされた巨大分子種を含む種、
式中、R8、R9、R10及びR11基は上述の意味を有する、
- 変形実施形態1の他の上述の特定の実施形態の終了時に得られるような、ポリ(メタ)アクリレート末端鎖を担持する巨大分子種を含む種、
- 本発明の方法の変形実施形態2の終了時に得られるような、下記式の1つまたは複数に対応する官能基を担持する巨大分子種を含む種、
【0151】
【化20】

【0152】
- 本発明の方法の変形実施形態4の終了時に得られるような、互いに橋架けされた巨大分子種を含む種。
【0153】
一般的に、本発明の方法のステップ(e)の終了時に得られるような、変性した表面を有する巨大分子種は、それ自体を、特に、塗料、ワニス、インクまたは接着剤等の多様な組成物において増量剤または活性剤として使用することができる。適当である場合には、本発明の方法は、有利には、ステップ(e)の終了時において、形成された、変性した表面を有する巨大分子種を回収するステップを含み、このステップは、例えば、発生し得る不純物または溶媒からこれらの種を分離するステップを含むことができる。本発明に従う、変性した表面を有する巨大分子種のいくつかを、特に、以下の実施例10において例示されるような耐摩耗用の被覆剤を調製する際に使用することができる。
【0154】
一方、ステップ(e)の終了時に得られる、変性した表面を有する巨大分子種を、むしろ更に変性した表面を有する巨大分子種を調製する際の出発原料として使用することができる。この場合、本発明の方法は、ステップ(e)に続いて、ステップ(e)の終了時に得られるような変性した粒子の表面を変性する少なくとも1つのステップを含む。ステップ(e)の終了時に得られる、変性した表面を有する巨大分子種が-OH及び/または-SH官能基を担持する場合、これらの種を、本発明に従う表面処理ステップにおいて巨大分子種として、すなわち共役グアニジン官能基を担持する触媒及び上述の種類の反応性の種の存在下において再使用することができる。
【0155】
したがって、ある実施形態によれば、本発明は、ステップ(e)によって、-OH及び/または-SH官能基を担持する、変性した表面を有する巨大分子種がもたらされるような方法であり、この方法は、このステップ(e)に続いて、-OH及び/または-SH官能基を担持する、変性した表面を有する巨大分子種をステップ(e)の終了時に以下と接触させるという、少なくとも1つの表面変性ステップ(e')を含む。
- 特に上述の種類の、共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)、及び
- 以下を含む反応性基を含む反応性の種(E)
(i)α,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=Oもしくはα,β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=Sを含む少なくとも1つの基、ならびに/または
(ii)環状エーテル、環状チオエーテル及びアジリジン環から選択される、少なくとも1つの3〜5員環の(好ましくは3または4員環の)複素環式基(この基は、好ましくは、少なくとも1つのエポキシ、チオエポキシまたはアジリジン基である)、ならびに/または
(iii)イソシアネート-N=C=Oもしくはチオイソシアネート-N=C=S基、及びZ'が電子吸引性基である式>C=CZ'-の3価の基から選択される少なくとも1つの基。
【0156】
ステップ(e)及び(e')において使用される触媒(C)は、一般的に同じ触媒であり、こうすることによって方法の実施が容易となる。
【0157】
特に、ステップ(e)及び(e')は、ステップ(e)の終了時に得られる、変性した巨大分子種に対して中間体を分離することなく、1つの反応器において実施することができる。「ワンポット」様式に従ってステップ(e)及び(e')を実施できるというこの可能性は、本発明の方法の多くの利点のうちの更に別の利点を構成する。
【0158】
ステップ(e)の終了時に得られる、変性した表面を有する巨大分子種についての上述の特異的な使用もまた、本発明の主題を形成する。
【0159】
本発明の多様な態様及び利点は、以下に付与される、例示的で限定されない、具体例としての本発明の実施形態から、更に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0160】
(実施例)
以下に付与される実施例において、本発明に従う、変性した表面を有する巨大分子種を調製するための方法を実施する際に下記化合物を使用した。
【0161】
- 上述の式(Ia)に対応するビス-グアニジン触媒
【0162】
【化21】

【0163】
上記ビス-グアニジン触媒を、下記実験プロトコールに従って調製した。
1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(Sigma Aldrich、参照番号241768、純度99%)5g(すなわち43.41mmol)及びN,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(Acros Organics、参照番号115210250、純度99%)5.47g(すなわち43.34mmol)を、100mlの一口丸底フラスコの中に配置した。無水DMF 20mlを、磁気によって撹拌しながら、不活性窒素雰囲気下において媒体に添加した。混合物を90℃とし、10時間にわたって撹拌した。次いで、混合物をロータリーエバポレーターによって濃縮し、次いでエチルエーテルから再結晶させ、その結果として式(Ia)の所望の触媒9.63gが非晶質の固体の形態において得られた(92%収率)。
【0164】
- 上述の式I'に対応する、互いに共役である2つのグアニジン官能基を担持する触媒
【0165】
【化22】

【0166】
(Fluka社から参照番号41541で販売されている触媒、純度>98.0%)
【0167】
- 下記式を有する、エステル官能基及び2つのアルコール官能基を担持する「モノマーAB2」と呼ばれるモノマー
【0168】
【化23】

【0169】
上記モノマーを下記実験プロトコールに従って調製した。
冷却器を搭載した500mlの丸底フラスコの中において、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(ビス-MPA、Sigma-Aldrich、参照番号106615、純度98%)5g(すなわち37.27mmol)及びパラ-トルエンスルホン酸(PTSA)一水和物(Sigma Aldrich、参照番号255378、純度>99%)354mg(すなわち1.86mmol)を、メタノール(Acros Organics、参照番号177150010、純度99%、一級)250ml中に溶解した。得られた混合物を12時間にわたって還流し、次いでロータリーエバポレーターによって濃縮した。残存している油をエチルエーテル250ml中に溶解し、その中に炭酸ナトリウム10g(すなわち94.34mmol)を添加し、混合物を室温において10分間にわたって撹拌し、次いでろ過した。次いで、得られたエチルエーテル溶液をNaHCO3の飽和溶液100mlによって3回洗浄し、次いでMgSO4によって乾燥させた。エーテルを蒸発させた後、モノマーAB2が無色の油4.93gの形態において得られた(89%収率)。
【0170】
- 下記式を有する、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
【0171】
【化24】

【0172】
(Sigma-Aldrich社から販売、参照番号407208、純度99%)
【0173】
- メタクリル酸メチル、以下ではMMAと表す(Acros Organicsによって販売されているポリマー、参照番号127140025、純度99%+、MEHQ15ppmによって安定化させた)。
【0174】
- 下記式に対応する、トリメチロールプロパンエトキシレート(以下では「TMPエトキシレート」と表す)
【0175】
【化25】

【0176】
Sigma-Aldrich社から参照番号409782で販売されている(Mn約730g/モル、純度>97%)。
【0177】
- 下記の式を有するイソホロンジイソシアネート
【0178】
【化26】

【0179】
Fluka社から参照番号59192で販売されている。
【0180】
- 下記の式を有するアクリル酸メチル
【0181】
【化27】

【0182】
Sigma-Aldrich社から参照番号M27301で販売されている(純度>99%、モノヒドロキノンメチルエーテルによって安定化させた)。
【0183】
- ABCR社から販売されているエタノールアミン(HO-CH2-CH2NH2)(参照番号AB110631、純度98%)
【0184】
- 式(HS-CH2-CH2NH2)を有し、Sigma-Aldrich社から参照番号M6250で販売されている2-メルカプトエタノール
【0185】
- オリゴマーCN981(Sartomer Europe社から販売されているアクリル酸ウレタンオリゴマー)
【0186】
- Sartomer Europe社から販売されているヘキサンジオールジアクリレートSR238
【0187】
- イルガキュア(Irgacure)819(Ciba Speciality Chemicals社から販売されている紫外線/可視光用の光開始剤)
【0188】
(実施例1)
超分岐のアクリル系ポリマー(ポリマーP1)の調製
1.1 ポリエステルポリオールポリマーの合成
モノマーAB2 126gを、機械的な撹拌機構及び濃縮カラムを備えた250mlのジャケット付反応器の中に配置した。媒体を85℃とし、式(Ia)の触媒2.052gを導入した。混合物を1分間にわたって撹拌し(250rpm)、次いで10分間にわたって撹拌しながら真空下-760mmHgに配置した。
【0189】
1.2 ポリエステルポリオールポリマーの官能基化及び橋架け(超分岐構造の調製)
ステップ1.1において10分間反応させた後、反応媒体を窒素気流下において大気圧とし、反応温度を116℃とし、濃縮カラム中で循環している流体の温度を-20℃とした。
【0190】
次いで、MMA51gを徐々に媒体中に導入した。次いで、式(Ia)の触媒0.820g及びt-BuOK (助触媒)0.380gを添加し、安定剤として使用されるBHT(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン)50mgを添加した。媒体を3時間にわたって撹拌した(250rpm)。
【0191】
次いで、式(Ia)の触媒1.23g及びt-BuOK助触媒0.57gを添加し、媒体を同じ条件において11時間にわたって撹拌した。
【0192】
次いで、反応温度を45分間かけて65℃まで下げ、次いで反応器内に真空-760mmHgを適用した。反応混合物をこれらの条件において2時間30分にわたって撹拌した。
【0193】
1.3 ジウレタン橋架け及びステップ1.2において得られる超分岐構造の酢酸塩による官能基化
反応混合物を窒素気流下に再度配置し、反応温度を70℃まで上げた。次いで、粘ちょうな反応混合物を激しく混合しながら、イソホロンジイソシアネート(Sigma-Aldrich、参照番号59192、立体異性体の混合物、純度95%)3.78gを徐々に導入した。
【0194】
1時間30分にわたって撹拌した後、無水酢酸34.76gを反応混合物に添加した。得られる混合物を7時間にわたって反応させ、次いで反応温度を35℃まで戻した。
【0195】
次いで、水125mlを反応混合物に添加し、懸濁液中のポリマーを、10分間にわたって沈殿させることによって抽出した。沈殿させた後、ポリマーを水相から分離し、次いで、蒸留水125mlによって4回、次いで0.1N硫酸125mlによって2回、蒸留水125mlによって2回にわたって再度抽出した。
【0196】
真空下において85℃において24時間にわたって乾燥させた後、ポリマーP1が粘ちょうな油139gの形態において得られた。
【0197】
(実施例2)
アクリル系の超分岐のポリマー(ポリマーP2)の合成
2.1 ポリエステルポリオールポリマーの合成
モノマーAB2 150gを、機械的な撹拌機構及び濃縮カラムを備えた250mlのジャケット付反応器の中に配置した。媒体を85℃とし、式(Ia)の触媒2.44gを導入した。混合物を1分間にわたって撹拌し(250rpm)、次いで10分間にわたって撹拌しながら真空下-760mmHgに配置した。
【0198】
2.2 ポリエステルポリオールポリマーの官能基化及び橋架け(超分岐構造の調製)
ステップ1.1において10分間反応させた後、反応媒体を窒素気流下において大気圧とし、反応温度を116℃とし、濃縮カラム中で循環している流体の温度を-20℃とした。
【0199】
次いで、MMA40.54g及びヘキサンジオールジメタクリレート(Sigma-Aldrich、参照番号411736、純度95%)12.88gを徐々に導入し、続いて、式(Ia)の触媒0.977g、更にt-BuOK助触媒0.455g及びBHT安定剤240mgを導入した。媒体を3時間にわたって撹拌した(250rpm)。
【0200】
次いで、式(Ia)の触媒0.977g及びt-BuOK助触媒0.455gを添加し、媒体を同じ条件において11時間にわたって撹拌した。
【0201】
次いで、反応温度を45分間かけて65℃まで下げ、次いで反応器内に真空-760mmHgを適用した。反応混合物をこれらの条件において2時間30分にわたって撹拌した。
【0202】
2.3 ステップ2.2において得られる超分岐構造の酢酸塩による官能基化
反応混合物を窒素気流下に再度配置し、反応温度を70℃まで上げた。次いで、無水酢酸62.08g及び更にDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)371mgを反応混合物に添加した。媒体を7時間にわたって反応させ、次いで反応温度を35℃まで戻した。
【0203】
次いで、水150mlを反応混合物に添加し、懸濁液中のポリマーを、10分間にわたって沈殿させることによって抽出した。沈殿させた後、ポリマーを水相から分離し、次いで、蒸留水150mlによって4回、次いで0.1N硫酸150mlによって2回、蒸留水150mlによって2回にわたって再度抽出した。
【0204】
真空下において85℃において24時間にわたって乾燥させた後、ポリマーP2が粘ちょうなペースト169gの形態において得られた。
【0205】
(実施例3)
アクリル系の超分岐のポリマー(ポリマーP3)の合成
3.1 ポリエステルポリオールコアを有する超分岐のポリマーの合成
TMP(Acros Organicsによって販売されているトリメチロールプロパン、参照番号164650025、純度98%)7.615g及びモノマーAB2 8.4gを、機械的な撹拌機構、濃縮カラム及びモノマーAB2 117.6gを含有する滴下漏斗を備えた250mlのジャケット付反応器の中に配置する。
【0206】
媒体を85℃とし、(Acros Organics、参照番号164650025、純度98%)0.137gを導入した。混合物を1分間にわたって撹拌し(250rpm)、次いで真空下-760mmHgに配置した。次いで、混合物を5分間にわたって撹拌し、次いで大気圧に再度配置した。
【0207】
次いで、滴下漏斗中に含有されているモノマーAB2 117.6gを反応器中に流し込み、式(Ia)の触媒1.915gを再度添加した。次いで、媒体を真空下において(-760mmHg)10分間にわたって撹拌した。
【0208】
3.2 ジエポキシド化合物によるポリエステルポリオールポリマーの橋架け
前の段階に由来する媒体を窒素気流下において大気圧とし、反応温度を110℃とし、濃縮カラム中で循環している流体の温度を-5℃とした。
【0209】
次いで、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(Sigma-Aldrich、参照番号407208、純度>99%)6.015gを媒体に添加した。粘ちょうな混合物を5時間にわたって撹拌した。
【0210】
次いで、MMA42.56g、次いで式(Ia)の触媒1.026g、更にt-BuOK助触媒0.478g及びBHT安定剤200mgを、徐々に媒体に添加した。媒体を3時間にわたって撹拌した(250rpm)。
【0211】
次いで、式(Ia)の触媒1.026g及びt-BuOK助触媒0.478gを添加し、媒体を同じ条件において11時間にわたって撹拌した。
【0212】
反応温度を45分間かけて65℃まで下げた。次いで、反応混合物を真空下に(-760mmHg)再度配置し、2時間30分にわたって撹拌した。
【0213】
3.3 ステップ3.2において得られる超分岐構造の酢酸塩による官能基化
ステップ2.2に由来する反応混合物を窒素気流下に再度配置し、反応温度を70℃とした。次いで、無水酢酸42.56gを反応混合物に添加し、更にDMAP312mgを添加した。媒体を7時間にわたって反応させ、次いで反応温度を35℃まで戻した。
【0214】
次いで、水125mlを反応混合物に添加し、懸濁液中のポリマーを、10分間にわたって沈殿させることによって抽出した。沈殿させた後、ポリマーを水相から分離し、次いで、蒸留水125mlによって4回、次いで0.1N硫酸125mlによって2回、蒸留水125mlによって2回にわたって再度抽出した。
【0215】
真空下において85℃において24時間にわたって乾燥させた後、ポリマーP3が粘ちょうな油153gの形態において得られた。
【0216】
(実施例4)
エポキシ系の超分岐のポリマー(ポリマーP4)の合成
4.1 ポリエステルポリオールコアを有する超分岐のポリマーの合成
TMP(トリメチロールプロパン、Acros Organics、参照番号164650025、純度98%)7.615g及びモノマーAB2 8.4gを、機械的な撹拌機構、濃縮カラム及びモノマーAB2 117.6gを含有する滴下漏斗を備えた250mlのジャケット付反応器の中に配置した。
【0217】
媒体を85℃とし、式(Ia)の触媒0.137gを導入した。混合物を1分間にわたって撹拌し(250rpm)、次いで真空下-760mmHgに配置した。次いで、混合物を5分間にわたって撹拌し、次いで大気圧に再度配置した。
【0218】
次いで、滴下漏斗中に含有されているモノマーAB2 117.6gを反応器中に流し込み、更に式(Ia)の触媒1.915gを再度添加した。次いで、媒体を真空下において(-760mmHg)10分間にわたって撹拌した。
【0219】
4.2 ジエポキシド化合物によるポリエステルポリオールポリマーの官能基化
ステップ4.1に由来する媒体を窒素気流下において大気圧とし、反応温度を110℃とし、濃縮カラム中で循環している流体の温度を-5℃とした。
【0220】
次いで、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート85.13gを粘ちょうな媒体に添加し、更に式(Ia)の触媒2.052gを添加した。得られた混合物を12時間にわたって撹拌した。
【0221】
次いで、水125mlを反応混合物に添加し、懸濁液中のポリマーを10分間にわたって沈殿させることによって抽出した。沈殿させた後、ポリマーを水相から分離し、次いで、蒸留水125mlによって4回、次いで0.1N硫酸125mlによって2回、蒸留水125mlによって2回にわたって再度抽出した。
【0222】
真空下において85℃において24時間にわたって乾燥させた後、ポリマーP4が粘ちょうな油181gの形態において得られた。
【0223】
(実施例5)
無機のコア及びポリマーシェルを有する「コアシェル」ナノ材料の合成
本実施例中において、下記化合物を使用した。
【0224】
【化28】

【0225】
(前駆体1は、ABCR(参照番号AB11767)によって販売されている97%における3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランであり、ヘキサメチルジシラザンは、Fluka社から販売されている製品(参照番号52620、純度>98%)である)
【0226】
蒸留水150mlを、機械的な撹拌パドル及びビグリュー(Vigreux)冷却用カラムを備えた500mlの反応器の中に配置し、反応媒体の温度は40℃であった。テトラメチルオルトケイ酸エステル(Sigma Aldrich、参照番号341436、純度>99%)10gを添加し、媒体を1時間にわたって撹拌した。
【0227】
このようにして、シリカ粒子のゾルが得られた。
【0228】
次いで、上記に定義される前駆体1 12gをエタノール10ml中に溶解したものを添加し、媒体を30分間にわたって撹拌した。
【0229】
次いで、ヘキサメチルジシラザン(Fluka参照番号52620、純度>98%)2gを10分間の時間をかけて徐々に添加した。次いで、反応媒体の温度を60℃とした。45分間にわたって撹拌した後、反応器を真空下に(100mbarにおいて5時間にわたって、次いで13mbarにおいて3時間にわたって)配置した。
【0230】
次いで、モノマーAB2 21.45gを大気圧において反応媒体に添加した。反応媒体の温度を90℃とし、混合物を不活性雰囲気下で大気圧において45分間にわたって撹拌した。
【0231】
次いで、式(Ia)の触媒C1 232mgを添加し、温度を120℃とした。
【0232】
このようにして、以下のスキーム1に従ってシリカ粒子の官能基化が得られた。
【0233】
【化29】

【0234】
12時間にわたって撹拌した後、反応混合物を90℃に冷却し、モノマーAB2 69g及び式(Ia)の触媒2.24gを大気圧において反応器中に導入した。撹拌しながら、圧力を徐々に13mbarまで減少させた。媒体を15分間にわたって撹拌し、その間、混合物の粘度が増加した。
【0235】
次いで、以下のスキーム2中に記載される反応が概略図に従って得られた。
【0236】
【化30】

【0237】
次いで、MMA61.20g、更にBHT安定剤150mg及びビス-グアニジン触媒2.24gを反応混合物に添加した。ホモジナイズした後、一時に大量の窒素を混合物に流し、混合物を不活性雰囲気下で大気圧において保持し、温度を120℃とした。反応混合物をこれらの条件において15時間にわたって撹拌した。
【0238】
次いで、媒体の温度を70℃まで戻し、精溜器を備えた蒸留機構をビグリューカラムの上部に取り付けた。圧力を5時間かけて70mbarまで、次いで3時間かけて13mbarまで下げた。
【0239】
このようにして、以下のスキーム3の反応(スキーム3中、左側の式は、スキーム2の終了時に得られる変性したシリカ粒子を表す)が得られた。
【0240】
【化31】

【0241】
(実施例6)
無機のコア及びポリマーシェルを有する「コアシェル」ナノ材料の合成
本実施例中において、前の実施例6において得られる構造に近い構造を有する変性し架橋したシリカ粒子を調製した。
【0242】
前の実施例中と同様にしてシリカ粒子のゾルを調製した(機械的な撹拌パドル及びビグリュー冷却用カラムを備えた500mlの反応器中に蒸留水150ml及びテトラメチルオルトケイ酸エステル10gを導入し、1時間にわたって40℃において撹拌することによる)。
【0243】
次いで、エタノール8ml中に溶解した3-アミノプロピルトリエトキシシラン8gを添加し、得られる混合物を30分間にわたって再度撹拌した。
【0244】
次いで、ヘキサメチルジシラザン1.5gを10分間の時間をかけて徐々に添加し、次いで反応媒体の温度を50℃とした。1時間にわたって撹拌した後、75℃の温度において、アセンブリを100mbarの真空下において7時間、次いで13mbarにおいて3時間にわたって配置した。
【0245】
次いで、モノマーAB2 90.45gを大気圧において反応媒体に添加した。反応媒体の温度を90℃とし、得られた混合物を45分間にわたって不活性雰囲気下で大気圧において撹拌した。
【0246】
次いで、式(Ia)の触媒2.93gを添加し、アセンブリを真空下(13mbar)において20分間にわたって配置した。
【0247】
次いで、MMA61.20g、更にBHT安定剤150mg及び式(Ia)の触媒2.24gを反応媒体に添加した。
【0248】
ホモジナイズした後、一時に大量の窒素を混合物に流し、混合物を不活性雰囲気下(大気圧)において保持し、温度を120℃とした。得られた反応混合物を15時間にわたって撹拌した。
【0249】
次いで、温度を70℃まで戻し、精溜器を備えた蒸留機構をビグリューカラムの上部に取り付けた。圧力を5時間かけて70mbarまで、次いで3時間かけて13mbarまで下げた。
【0250】
このようにして、粘ちょうなペーストが得られ、エチルエーテル150mlによって3回、次いで硫酸のモル水溶液150mlによって2回、最後に蒸留水150mlによって3回洗浄した。真空下13mbarにおいて12時間にわたって乾燥させた後、透明な粘ちょうな樹脂101gが回収された。
【0251】
(実施例7)
触媒(I')の存在下における、アクリレートによって官能基化された超分岐の脂肪族ポリウレタンの合成
TMPエトキシレート50g及び本発明の記載において後に定義する式(I')の触媒546mgを、機械的な撹拌機構、ビグリュー濃縮カラム及び滴下漏斗を備えた250mlのジャケット付反応器の中に配置した。イソホロンジイソシアネート6.1gを漏斗の中に配置し、アセンブリを不活性雰囲気下に配置した。温度を70℃とし、媒体を250rpmにおいて撹拌した。次いで、イソホロンジイソシアネートの全量を10分間の時間をかけて滴下によって導入し、その結果として、混合物の粘度における急速な増加が得られた。30分間にわたって撹拌した後、温度を85℃とした。
【0252】
このようにして、超分岐のポリウレタンポリオールが得られた。
【0253】
アクリル酸メチル13g及びBHT20mgを滴下漏斗に添加し、アセンブリを不活性雰囲気下に再度配置した。アクリル酸メチル及びBHTの混合物を徐々に添加した。ポリマー及びアクリル酸メチルを完全にホモジナイズした後、温度が108℃まで増加した。得られた混合物を、不活性雰囲気下で大気圧において、撹拌しながら9時間にわたって保持した。
【0254】
次いで、媒体の温度を70℃まで戻し、精溜器を備えた蒸留機構をビグリューカラムの上部に取り付けた。圧力を1時間かけて200mbarまで、次いで1時間かけて160mbarまで、次いで1時間かけて120mbarまで、次いで1時間かけて70mbarまで、次いで30分間かけて50mbarまで、最後に1時間30分かけて25mbarまで下げた。
【0255】
このようにして、褐色がかった青紫色の透明な樹脂64.55gが得られ、この樹脂は、超分岐のポリウレタンであり、その末端は、アクリレート基及びアクリル酸メチル上の周辺の水酸基のマイケル付加に由来する基によって部分的に官能基化されている。
【0256】
(実施例8)
無機のコア及びポリマーシェルを有するコアシェルハイブリッド材料の合成
蒸留水150mlを、機械的な撹拌パドル及びビグリュー冷却用カラムを備えた500mlの反応器の中に配置し、反応媒体の温度は40℃であった。テトラメチルオルトケイ酸エステル(Sigma Aldrich、参照番号341436、純度>99%)12gを添加し、媒体を1時間にわたって撹拌した。
【0257】
このようにして、シリカ粒子のゾルが得られた。
【0258】
次いで、実施例5中に定義されるような前駆体1 6gをエタノール5ml中に溶解したものを添加し、媒体を30分間にわたって撹拌した。
【0259】
次いで、ヘキサメチルジシラザン(Fluka、参照番号52620、純度>98%)1.5gを10分間の時間をかけて徐々に添加した。次いで、反応媒体の温度を60℃とした。45分間にわたって撹拌した後、反応器を真空下に(100mbarにおいて5時間にわたって、次いで13mbarにおいて0時間30分にわたって)配置した。
【0260】
次いで、エタノールアミン1.22gを反応媒体に添加し、次いで温度を50℃とした。反応媒体を1時間30分にわたって撹拌した。実施される反応を以下のスキーム4中に表す。
【0261】
【化32】

【0262】
次いで、モノマーAB2 69gを反応媒体に添加した。媒体の温度を90℃とし、混合物を30分間にわたって撹拌した。媒体を撹拌している間、圧力を1時間にわたって徐々に20mbarまで減少させた。
【0263】
次いで、触媒(Ia)2.24gを添加し、温度を100℃とした。撹拌しながら圧力を徐々に30mbarまで減少させ、媒体を50分間にわたって撹拌し、これによって粘度が増加した。
【0264】
実施される反応を以下のスキーム5中に表す。
【0265】
【化33】

【0266】
次いで、アクリル酸メチル52g、更にBHT安定剤150mg及び触媒(Ia)1.1gを反応混合物に添加した。ホモジナイズした後、一時に大量の窒素を混合物に流し、不活性雰囲気下で大気圧において維持した。次いで、温度を110℃とし、反応混合物をこれらの条件において10時間にわたって撹拌した。
【0267】
次いで、反応媒体の温度を70℃まで戻し、精溜器を備えた蒸留機構をビグリューカラムの上部に取り付けた。次いで、圧力を1時間かけて200mbarまで、次いで1時間かけて160mbarまで、次いで1時間かけて120mbarまで、次いで1時間かけて70mbarまで、次いで30分間かけて50mbarまで、最後に1時間30分かけて25mbarまで下げた。
【0268】
このようにして、変性した構造を有する粒子の調製物が以下のスキーム6に従って得られた。
【0269】
【化34】

【0270】
このようにして最終的に得られる、変性した表面を有する粒子は、薄く着色した(黄色の)透明で粘ちょうな樹脂104gの形態である。TGA(熱重量分析)によるこの生成物の特徴の決定は、この生成物が11質量%の無機材料を含有するということを示す。
【0271】
(実施例9)
無機のコア及び-SCH2CH2OH型の周辺の基を含むポリマーシェルを有するコアシェル材料の合成(実施例8の材料の表面の変性)
実施例8において調製されたナノ材料6.70gを、マグネティックバーを有する25mlの一口丸底フラスコの中に配置する。
【0272】
2-メルカプトエタノール330mg、更に触媒(Ia)15mgをこの混合物に添加した。ビグリュー濃縮カラムを一口丸底フラスコの上部に装着し、アセンブリを不活性雰囲気下に配置した。
【0273】
反応媒体を、マグネティックスターラープレートを使用して撹拌し、反応混合物を106℃の温度とした。反応媒体を10時間にわたって撹拌し、次いで真空下25mbarにおいて15分間にわたって配置した。次いで、温度を室温に戻した。
【0274】
これらのステップの終了時、透明な樹脂7.05gが得られる。
【0275】
本実施例において実施される処理によって、実施例8の材料に関し、-SCH2CH2OH基(アクリレート上への2-メルカプトエタノールのマイケル付加によって得られる)で置き換えられた周辺のアクリレート基における事実上の不均衡がもたらされる。
【0276】
(実施例10)
実施例8の複合材料を含む耐摩耗用の調製物
光重合可能な調製物を、以下のプロトコールに従って実施例8の複合材料から調製した。
【0277】
下記を25℃において1Lのステンレス鋼製のジャケット付反応器中において連続的に配置する(あらゆる紫外線光源及び/または可視光線から隔てる)。
- 実施例8において得られる複合材料100g
- CN981(アクリル酸ウレタンオリゴマー)200g
- SR238(ヘキサンジオールジアクリレート)200g
- イルガキュア819(紫外線/可視光用の光開始剤)5g
【0278】
温度を50℃とし、250rpmにおいて30分間にわたって混合を実施した。得られた、完全に分散したシリカナノ粒子2.2%を含有する混合物は、完全に透明で均質である。AT-InstrumentsからのAR2000レオメーターを使用して測定された25℃における調製物の粘度は、50cPsである。
【0279】
得られた調製物を、サイズ5cm x 5cmのマクロロン(Makrolon)ポリカーボネート(Bayer)のシートの上に「フローコーティング」技術に従って広げた。得られる薄膜の紫外線照射(Fusion UVのHバルブを備えたベンチトップUVシステム)によって、シート上に、特に耐摩耗用の保護的な被覆剤として使用することができる完全に架橋された薄膜が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性した表面を有する巨大分子種を調製するための方法であって、最初に-OH及び/または-SH官能基を担持する巨大分子種(M)を、
- 少なくとも1つの共役グアニジン官能基を担持する触媒(C)、及び
- (i)α,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O及び/もしくはα,β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=Sを含む少なくとも1つの基、ならびに/または
(ii)環状エーテル、環状チオエーテル及びアジリジン環から選択される、3〜5員環の少なくとも1つの複素環式基、ならびに/または
(iii)イソシアネート-N=C=Oもしくはチオイソシアネート-N=C=S基、及びZが電子吸引性基である式>C=CZ-の3価の基から選択される少なくとも1つの基
を含む反応性基を含む反応性の種(E)
と接触させるステップ(e)を含む方法。
【請求項2】
触媒(C)が、共役のビス-グアニジン官能基を含み、下記式(I)に対応する、請求項1に記載の方法
【化1】

[式中、R1〜R7基がそれぞれ、他の基とは独立して、
- 水素原子、または
- シアノ基-CN、または
- 直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の、炭化水素に基づく鎖であって、この鎖が、任意に完全にもしくは部分的に環化されており、任意に置換されており、1つもしくは複数のヘテロ原子によって及び/もしくはヘテロ原子を担持する基によって任意に中断されており、この炭化水素に基づく鎖が、好ましくは、炭素原子1〜4個を含むアルキル基である鎖である]。
【請求項3】
触媒(C)が、互いに共役である2つのグアニジン官能基を担持する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
巨大分子種(M)が、樹枝状構造を有し、最初に-OH及び/または-SH基を担持する、好ましくは少なくとも-OH基を担持するポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
巨大分子種(M)が、請求項1〜4のいずれか一項に定義されるような触媒(C)の存在下において、2を超える官能性を有するモノマーを重合することによって得られる、樹枝状構造を有するポリマーであり、下記ステップ:
(e1)樹枝状構造を有するポリマー(P)を、以下を含むモノマーの、触媒(C)により触媒される重合によって形成するステップ、
- 少なくとも2つのOH及び/もしくはSH官能基及び少なくとも1つの反応性の官能基、ならびに/または
- 少なくとも2つの反応性の官能基、及び少なくとも1つのOH及び/もしくはSH官能基であって、モノマーが担持する前記反応性の官能基が、α,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O及び/もしくはα,β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=S、3〜5員環の環状エーテル基もしくは3〜5員環の環状チオエーテル基もしくは3〜5員環のアジリジン環を含む基、イソシアネート基-N=C=O、チオイソシアネート基-N=C=S、式>C=CZ-を有し、Zが電子吸引性基である3価の基、及びエステル、チオエステル、アミド、カルバメート、チオカルバメート、ホスフェートもしくはサルフェート官能基から選択され、これらの反応性の官能基が好ましくはα,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=Oを含むような基、
次いで
(e2)得られる、樹枝状構造を有し-OHまたは-SH周辺官能基を担持するポリマー(P)を、反応性の種(E)及び触媒(C)と接触させるステップ
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
巨大分子種(M)が、-OHまたは-SH基、好ましくは少なくとも-OH基を最初に表面に有する無機粒子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)を接触させるステップ(e)において、反応性の種(E)上に存在する反応性基の総量に対する、触媒Cの量のモル比(触媒/反応性の種)が0.05%〜10%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
反応性の種(E)が、少なくとも1つのα,β-不飽和のカルボニル基C=C-C=O及び/または少なくとも1つのα,β-不飽和のチオカルボニル基C=C-C=S、好ましくは下記式(II)に対応する化合物を含む化合物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法
【化2】

[式中、
- R8基は、直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、好ましくは炭素原子1〜12個を含むアルキル基、または直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の、炭化水素に基づく鎖であって、任意に完全にまたは部分的に環化されており、任意に置換されており、N、O、S、P及びSiから選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって任意に中断された鎖であり、ならびに
- R9、R10及びR11基が、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または直鎖状もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の、炭化水素に基づく鎖であって、任意に完全にまたは部分的に環化されており、任意に置換されており、N、O、S、P及びSiから選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって任意に中断された鎖である]。
【請求項9】
- ステップ(e)が、7×104〜105Paの圧力において、好ましくは70〜180℃の温度において実施され、ならびに/または
- ステップ(e)が、種(M)が担持する-OH及び/もしくは-SH基の量に対する、種(E)上に存在する反応性基の量のモル比を最大75%として、好ましくは70℃〜180℃の温度において実施され、
これによって、ステップ(e)において実施される種(M)の官能基化が種(M)の間のカップリングを伴うような、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
- ステップ(e)が、2×105Paを超える圧力において、好ましくは100℃を超える温度において実施され、及び/または
- ステップ(e)が、種(M)が担持する-OH及び/もしくは-SH基の量に対する、種(E)上に存在する反応性基の量のモル比を少なくとも100%を超えるモル比として、好ましくは100℃を超える温度において実施され、
これによって、ステップ(e)の種(M)の官能基化が、本質的には種(M)の間の任意のカップリング現象を伴わずに生じる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
巨大分子種(M)、反応性の種(E)及び触媒(C)をアニオン重合助触媒の存在下において接触させ、これによって、ステップ(e)の終了時において種(M)上におけるポリ(メタ)アクリレート末端鎖の形成が得られる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
反応性の種(E)が3〜5員環の複素環式基を含む化合物であり、前記基が、環状エーテル、環状チオエーテル及びアジリジン環から選択され、これらの反応性の種(E)が、エポキシ、チオエポキシまたはアジリジン基を含み、それぞれ下記式を有する化合物であり、
【化3】

これによって、これらの基が、種(M)上に存在する-OH及び/または-SH基と反応して、下記の式を有する官能基の、前記種(M)上における形成をそれぞれもたらすような、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【化4】

【請求項13】
反応性の種(E)が、少なくとも1つのα,β-不飽和のカルボニルC=C-C=O及び/またはα,β-不飽和のチオカルボニルC=C-C=S基、環状エーテル、環状チオエーテルもしくはアジリジン環から選択される3〜5員環の複素環式基、イソシアネート基、チオイソシアネート基-N=C=S、及びZが電子吸引性基である式>C=CZ-の基を含む基から選択される少なくとも2つの基を含む二官能性の化合物を含み、これによって、種(M)の橋架けが得られる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法に従って得ることができ、
- 請求項4または5に記載の方法に従って得ることができる、樹枝状構造を有し、変性した表面を有するポリマー、及び/或いは
- 請求項6に記載の方法に従って得ることができる、変性した表面を有する無機粒子
を含む、変性した表面を有する巨大分子種。
【請求項15】
塗料、ワニス、インクもしくは接着剤組成物における増量剤もしくは活性剤としての、または、更に変性した表面を有する巨大分子種を調製する際の出発原料としての、請求項14に記載の、変性した表面を有する巨大分子種の使用。

【公表番号】特表2011−515553(P2011−515553A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501267(P2011−501267)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000351
【国際公開番号】WO2009/133264
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510258382)
【Fターム(参考)】