説明

共振センサを保護する方法及び保護共振センサ

【課題】 共振センサが生体内に埋め込まれるとき、センサ(特にその振動可能部分)に組織または他の生物材料や液体または固体材料または粒子などが堆積すると、センサの性能等に悪影響を及ぼすことがある。
【解決手段】 少なくとも1つの共振センサユニットを含み得る保護共振センサを提供する。各センサユニットは、1若しくは複数の振動可能部材を有する。保護センサには、1若しくは複数のチャンバの一部を形成するコンプライアントな部材が含まれる。コンプライアントな部材の第1側面は、測定環境において媒体に曝されることがある。センサユニットは、測定環境における物理変数の値に依存する共振周波数を有する共振センサユニットであることがある。保護センサには、チャンバ内に配置された実質的に非圧縮性の媒体が含まれる。実質的に非圧縮性の媒体は、液体またはゲルとすることができる。媒体が液体であるとき、チャンバは密閉される。媒体がゲルであるとき、チャンバは密閉されてもされなくてもよい。媒体は、振動可能部材とコンプライアントな部材の第2側面とに接触する。媒体は、低い蒸気圧を有し得る。保護センサは、適切な装置またはセンサ固着装置に取り付けるかまたはそこに含めるかまたはその一部として形成することもでき、体内または生物内に埋込みまたは挿入することもできる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振センサの分野に関し、詳細には、共振センサを異物または組織の堆積から保護する方法及び保護共振センサ(protected resonating sensor)に関する。
【0002】
この出願は、2003年8月27日出願の米国仮出願第60/497,925号、及び米国特許出願第10/876,781号(特許文献1を参照)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
測定環境において共振センサを用いて種々の物理パラメータ値を決定するための方法、装置及びシステムは、当該分野で公知である。例えば、超音波的に活性化されたパッシブセンサを用いてヒトの体内または他の環境及び科学的・産業的用途において異なる物理パラメータ値を検知及び測定する方法、システム及び装置については、既に報告がなされている。特許文献2(引用を以って本明細書の一部となす)には、超音波エネルギーを用いたパッシブセンサシステムが開示されている。
【0004】
超音波活性化及び検出システムは、体内に埋め込むかまたは他の環境に配置できるような振動可能部分(振動可能なビームまたは振動可能な膜など)を有するパッシブセンサを、超音波のビームをパッシブセンサに向けることによって、超音波的に活性化する。活性化されたパッシブセンサまたはその振動可能部分は、被測定物理変数値の関数である周波数で振動または共振させる。パッシブセンサは、このようにして、励起超音波ビームの周波数で励起超音波ビームから超音波エネルギーを吸収する。そのようなパッシブセンサの振動可能部分の振動の振幅は、励起超音波ビームの周波数が振動可能なセンサ部分(例えば、パッシブセンサに含まれる振動可能な膜または振動可能なビームなど)の共振周波数と同じであるときに最大である。パッシブセンサがエネルギーを吸収及び/または放出する周波数は、適切な検出器により検出され、物理パラメータの値を決定するために用いられることがある。
【0005】
そのようなパッシブ超音波センサによって測定可能な物理パラメータには、限定されるものではないが、センサが浸漬または配置される流体または媒体における化学種の濃度、温度、圧力などが含まれることがある。
【0006】
励起超音波ビームがパルスにされると、励起ビームを止めた後に超音波センサが振動し続けることがある。励起超音波ビームを止めた後に、活性化されたパッシブセンサが発する超音波放射線を検出し、これを用いて関心対象の物理パラメータの値を決定することができる。
【0007】
2つ以上の物理変数がパッシブセンサの振動周波数に影響を及ぼし得るので、決定される必要がある物理パラメータに関係ない他の物理パラメータの被測定センサ振動周波数に対する効果を補償するために補正が必要になることがある。例えば、求める物理パラメータが圧力であれば、温度変化がセンサの振動周波数に影響することがある。特許文献3及び4(共に引用を以って本明細書の一部となす)には、補償されたセンサ対と、決定されている別の物理変数の決定値に対する関係ない異なる物理変数の効果を補償するためにセンサを使用する方法が開示されている。例えば、そのような補償されたセンサ対を用いて、温度変化による圧力測定値の誤差を補償することがある。
【0008】
特許文献5(引用を以って本明細書の一部となす)には、保護コーティングされた埋込型パッシブセンサ及び種々の型のセンサ・ポジショナまたはセンサ固着装置が開示されている。とりわけ、センサの腔内埋込みによって腔内血圧を測定するためにそのようなセンサを用いることがある。
【0009】
特許文献6(引用を以って本明細書の一部となす)には、とりわけ、パッシブ共振器の共振周波数を決定するためのドップラー偏移に基づく方法を用いる方法、共振センサ及びシステムが開示されている。とりわけ、限定されるものではないが、心血管系の一部内でのin-vivo血圧測定など測定環境中の圧力または他の物理パラメータを検知するためにこの方法、センサ及びシステムが適用されることがある。
【0010】
上記の例は全てパッシブ共振超音波センサに関連するものであるが、種々の異なる物理パラメータの測定に対して、多くの他の型のアクティブセンサ及びパッシブセンサの両方を含む共振センサが当該分野で公知である。そのようなセンサは、受動的または能動的に振動され得る1若しくは複数の共振性の振動可能な構造または部分、例えば振動可能な膜またはビームなどと共に使用される。そのようなセンサの共振構造の共振周波数は、決定される物理変数の関数として変化するものであり、種々の異なる方法で検知または測定し、物理変数の値の決定に用いることができる。そのようなセンサの例は、特許文献7に開示されているアクティブ超音波センサである。特許文献8には追加のセンサ型が開示されている。
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開公報第20050049499号(米国特許出願第10/876,781号)
【特許文献2】米国特許第5,619,997号明細書
【特許文献3】米国特許第5,989,190号明細書
【特許文献4】米国特許第6,083,165号明細書
【特許文献5】米国特許第6,331,163号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開公報第20040211260号(同時係属特許出願第10/828,218号)
【特許文献7】米国特許第6,461,301号明細書
【特許文献8】米国特許第6,312,380号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
限定されるものではないが上記したセンサなどの共振センサが生体内に埋め込まれるときの一般的な問題は、組織または他の生物起源の材料がセンサまたはその一部に堆積することである。例えば、種々の物質または生細胞は、共振センサの表面または共振センサの種々の部分に取り付けることがあり、隣接する組織は、センサの表面に材料及び/または細胞及び/または組織の層またはフィルム(薄膜)を堆積させることがある。(限定されるものではないが)パッシブ(またはアクティブ)共振センサの振動可能な膜など、センサの振動可能部分に組織または他の生物材料が堆積すると、振動可能な膜(または他の振動可能な部分)の共振特性、とりわけ、共振周波数、応力への感受性、振動可能な膜の振動振幅などの共振特性が変化することがある。そのような変化は、センサの性能及び被測定物理変数を決定する精度に悪影響を及ぼすことがある。
【0013】
同様に、液体または気体または他の媒体または種々の物質を含む測定環境中(例えば、リアクタ中の化学反応混合物内、またはスプレーまたはエアゾールを含む測定環境中など)に共振センサが配置されるとき、共振センサの振動可能部分に液体または固体材料または粒子が堆積し、センサの性能への同様の悪影響と共に、センサの振動可能部分の共振特性に同様に影響を及ぼすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に基づいて保護共振センサが提供される。センサには、少なくとも1つの共振センサユニットが含まれる。共振センサユニットの各センサユニットは、少なくとも1つの振動可能部材を有する。センサには、コンプライアントな(compliant)部材も含まれる。コンプライアントな部材は、少なくとも1つのチャンバの一部を形成する。コンプライアントな部材は、第1側面と第2側面とを有する。第1側面は、測定環境において第1媒体に曝されるように構成される。センサは更に、少なくとも1つのチャンバ内に配置された実質的に非圧縮性の媒体を含む。実質的に非圧縮性の媒体は、少なくとも1つの共振センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材と、コンプライアントな部材の第2側面とに接している。
【0015】
本発明のある側面に基づけば、保護センサは、少なくとも1つの振動可能部材への異物の堆積を防止するように構成される。
【0016】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、媒体は実質的に非圧縮性の液体であり、少なくとも1つのチャンバは気密チャンバ(sealed chamber)である。
【0017】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、媒体は実質的に非圧縮性のゲルであり、少なくとも1つのチャンバは、気密チャンバと非気密チャンバとから選択される。
【0018】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護共振センサは支持装置に取り付けられる。
【0019】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、支持装置は、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な(autonomous)内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、繋ぎ止められた(tethered)内視鏡機器、繋ぎ止められた内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、埋込型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択される。
【0020】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、実質的に非圧縮性の媒体によって、少なくとも1つのチャンバが完全に充填される。
【0021】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、実質的に非圧縮性の媒体は、実質的に非圧縮性の液体と、実質的に非圧縮性のゲルとから選択される。
【0022】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、生物内に埋め込むように構成された埋込型保護センサであり、コンプライアントな部材の音響インピーダンスは、生物の組織液または体液の少なくとも1つの音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0023】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには、コンプライアントな部材に取り付けられて少なくとも1つのチャンバを形成するハウジングが含まれる。
【0024】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのチャンバには少なくとも1つの気密チャンバが含まれ、ハウジングはコンプライアントな部材に気密に取り付けられて少なくとも1つの気密チャンバを形成する。
【0025】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには、少なくとも1つの共振センサユニットと、コンプライアントな部材とに気密に取り付けられて少なくとも1つの気密チャンバを形成する少なくとも1つのスペーサ部材が含まれる。
【0026】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのスペーサ部材は、少なくとも1つの共振センサユニットと、コンプライアントな部材とに取り付けられて少なくとも1つのチャンバを形成する。
【0027】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのチャンバには少なくとも1つの気密チャンバが含まれ、少なくとも1つのスペーサ部材は、少なくとも1つの共振センサユニットとコンプライアントな部材とに気密に取り付けられて少なくとも1つの気密チャンバを形成する。
【0028】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのチャンバは、センサ固着装置内に形成される少なくとも1つのチャンバから選択され、少なくとも1つのチャンバには、センサ固着装置の一部が含まれる。
【0029】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、センサ固着装置は、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型グラフト、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、繋ぎ止められた内視鏡機器、繋ぎ止められた内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、埋込型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択される。
【0030】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの共振センサユニットは、パッシブ共振センサユニットと、アクティブ共振センサユニットとから選択される。
【0031】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの共振センサユニットは、パッシブ超音波共振センサユニットと、アクティブ超音波共振センサユニットから選択される。
【0032】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの共振センサユニットには、内部に形成された1若しくは複数の凹部と、基体に気密に取り付けられて共振センサユニット内に1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを形成する第2の層とを有する基体が含まれる。
【0033】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、共振センサユニットの少なくとも1つの振動可能部材は、基体の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材と、凹部の1若しくは複数の上にある第2の層の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材から選択される。
【0034】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバの各気密センサユニットチャンバは、内部に圧力レベルを有する。
【0035】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、圧力レベルは、ゼロ圧力レベルと、非ゼロ圧力レベルから選択される。
【0036】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する第1の共振センサユニットと、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する少なくとも第2の共振センサユニットとを有する。第1の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルは、少なくとも第2の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルと異なる。
【0037】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの共振センサユニットは、単一の振動可能な膜を有する少なくとも1つのパッシブ超音波圧力センサと、複数の振動可能な膜を有する少なくとも1つのパッシブ超音波圧力センサから選択される。
【0038】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは埋込型保護センサであり、埋込型保護センサの構成部分の1若しくは複数には、生物適合性材料及び血液適合性材料から選択される1若しくは複数の材料が含まれる。
【0039】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、目、尿道、心室、心血管系、心血管系の一部、血管内修復後の動脈瘤嚢、脊椎、椎間板、脊髄、脊柱、頭蓋内区画、血管の腔内空間、動脈、静脈、大動脈、肺血管、頚動脈血管、脳血管、及び冠状動脈、大腿動脈、腸骨動脈、肝動脈、大静脈から選択される測定環境内に埋め込まれるように構成されている。
【0040】
保護共振センサを提供する方法も提供される。この方法には、少なくとも1つのコンプライアントな部材を有する少なくとも1つのチャンバに1若しくは複数の共振センサユニットを封入する過程が含まれる。1若しくは複数の共振センサユニットの各センサユニットは、少なくとも1つの共振部を有する。少なくとも1つのチャンバは、実質的に非圧縮性の媒体で充填される。少なくとも1つのコンプライアントな部材は、少なくとも1つのチャンバの壁の少なくとも一部を形成する。少なくとも1つのコンプライアントな部材及び少なくとも1つの共振部は、実質的に非圧縮性の媒体に接触している。
【0041】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのコンプライアントな部材は、ポリマーベースの材料、プラスチック材料、カプトン(登録商標)、ポリウレタンベースのポリマー、エチルビニルアセテートベースのポリマー、Echothane(登録商標)CPC-41、Echothane(登録商標)CPC-29、Echothane(登録商標)、及びパリレン(登録商標)ベースのポリマーから選択されるコンプライアントな材料を含む。
【0042】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、実質的に非圧縮性の媒体は、低蒸気圧の媒体である。
【0043】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、媒体は液体であり、封入過程には、少なくとも1つのチャンバにおいて前記1若しくは複数の共振センサユニットを気密に封入して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程が含まれる。
【0044】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、実質的に非圧縮性の媒体は、合成ゲル、天然ゲル、ヒドロゲル、脂質ゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、生物適合性ゲル、血液適合性ゲル、ポリマーベースのゲル、架橋ポリマーベースのゲル、及びその組合せからなる群から選択されるゲルである。
【0045】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、実質的に非圧縮性の媒体の音響インピーダンスは、保護センサが配置される測定環境に含まれる媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0046】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、実質的に非圧縮性の媒体の音響インピーダンスは、生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0047】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、コンプライアントな部材の音響インピーダンスは、保護センサが配置される測定環境に含まれる媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0048】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサは、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、コンプライアントな部材の音響インピーダンスは、生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しい。
【0049】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の共振センサユニットは、パッシブ共振センサユニット、アクティブ共振センサユニット、パッシブ超音波共振センサユニット、アクティブ超音波共振センサユニット、圧力センサユニット、温度センサユニット、測定環境において化学種の濃度を検知するセンサ、及びその組合せから選択される。
【0050】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、封入過程には、ハウジング内に1若しくは複数の共振センサユニットを配置する過程と、実質的に非圧縮性の媒体でハウジングを充填する過程と、ハウジングに少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて少なくとも1つのチャンバを形成する過程とが含まれる。
【0051】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのチャンバは気密チャンバであり、取付過程には、ハウジングに少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に取り付けて少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程が含まれる。
【0052】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、配置過程には、ハウジングに1若しくは複数の共振センサユニットを取り付ける過程が含まれる。
【0053】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、封入過程には、ハウジング内に1若しくは複数の共振センサユニットを配置する過程と、ハウジングに少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて少なくとも1つのチャンバを形成する過程と、実質的に非圧縮性の媒体で少なくとも1つのチャンバを充填する過程とが含まれる。
【0054】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、封入過程には、少なくとも1つのチャンバを密閉して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程が更に含まれる。
【0055】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、配置過程には、ハウジングに1若しくは複数の共振センサユニットを取り付ける過程が含まれる。
【0056】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、充填過程には、少なくとも1つのチャンバの壁に形成された少なくとも1つの開口部を介して少なくとも1つのチャンバを実質的に非圧縮性の媒体で充填する過程が含まれる。
【0057】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つの開口部には、ハウジング内に形成された少なくとも1つの開口部が含まれる。
【0058】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、封入過程には、少なくとも1つのスペーサ部材を1若しくは複数の共振センサユニット取り付ける過程と、少なくとも1つのスペーサ部材に少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて少なくとも1つのチャンバを形成する過程と、少なくとも1つのチャンバを実質的に非圧縮性の媒体で充填する過程とが含まれる。
【0059】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、第1の取付過程、第2の取付過程、及び充填過程は、列挙した順に実行され、この方法には、少なくとも1つのチャンバを密閉して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程が更に含まれる。
【0060】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、第2の取付過程は充填過程の後で実行され、第2の取付過程には、少なくとも1つのスペーサ部材に少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて少なくとも1つのチャンバを形成する過程が含まれる。
【0061】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、第2の取付過程は、少なくとも1つのスペーサ部材に少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に取り付けて少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を含む。
【0062】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、第2の取付過程は、充填過程の後で実行され、取付過程には、少なくとも1つのスペーサ部材上及び実質的に非圧縮性の媒体上で少なくとも1つのコンプライアントな部材を形成して少なくとも1つのチャンバを形成する過程が含まれる。
【0063】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、形成過程には、化学蒸着法を用いて少なくとも1つのスペーサ部材上及び実質的に非圧縮性の媒体上に少なくとも1つのコンプライアントな部材を蒸着して少なくとも1つのチャンバを形成する過程が含まれる。
【0064】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、少なくとも1つのチャンバは気密チャンバであり、第2の取付過程には、少なくとも1つのスペーサ部材上及び実質的に非圧縮性の媒体上で少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に形成して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程が含まれる。
【0065】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、気密形成過程には、化学蒸着法を用いて少なくとも1つのスペーサ部材上及び実質的に非圧縮性の媒体上に少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に蒸着して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程が含まれる。
【0066】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、充填過程は、第2の取付過程の後で行われ、少なくとも1つのチャンバを実質的に非圧縮性の媒体で充填する過程は、少なくとも1つのチャンバの壁における少なくとも1つの開口部を介して行われる。
【0067】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、上記方法は、充填過程の後に少なくとも1つのチャンバの壁における少なくとも1つの開口部を密閉する過程を更に含む。
【0068】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、充填過程は、少なくとも1つのチャンバ内に真空を形成する過程と、保護センサを液体に配置して少なくとも1つの開口部を液体により覆う過程と、液体をして少なくとも1つのチャンバの充填を可能にする過程とを含む。
【0069】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、実質的に非圧縮性の媒体はゲルであり、液体はゲル形成液体であり、上記方法は、ゲル形成液体をして少なくとも1つのチャンバにおけるゲルの形成を可能にする過程を更に含む。
【0070】
更に、本発明の一実施形態に基づけば、ゲル形成液体は、ゲル化してゲルを形成することが可能な液化形状のゲルと、反応してゲルを形成することが可能な反応物を含む液体ゲル前駆物質とから選択される。
【0071】
最後に、本発明の一実施形態に基づけば、1若しくは複数の共振ユニットの少なくとも1つの共振部が少なくとも1つの気密チャンバの壁の一部を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
本発明は、センサの振動可能部分に望ましくない材料または細胞または組織または他の望ましくないデポジットが堆積しないようにする新たな共振センサ及びそのような保護センサを作製する方法を開示する。
【0073】
本発明の1つの可能な実施形態に基づけば、共振センサの振動可能な共振部は、非圧縮性媒体によってセンサの振動可能部分に結合された保護用のコンプライアントな膜を用いて保護される。本発明のために、「非圧縮性媒体」を、適切な実質的に非圧縮性の液体または適切な実質的に非圧縮性のゲルと定義する。被測定物理変数(限定されるものではないが、圧力、温度など)は、共振センサの振動可能部分に最小の減衰で伝達され、同時に、コンプライアントな膜がセンサの振動可能部分に異質の物質が蓄積または堆積することを防止する。
【0074】
後で詳述しかつ図1〜4に示す特定の例はパッシブ超音波センサに適合されるが、共振センサの保護方法は、センサの共振部の表面に異質の物質または材料または組織または細胞が堆積または蓄積することによって悪影響を及ぼされかねない共振部を含む任意の型の共振センサに適用可能であることに留意されたい。従って、本発明の共振センサの保護方法は、一般的な方法であり、音響エネルギーを用いてセンサに問い合わせる(interrogate)限り、限定されるものではないが、アクティブまたはパッシブ音響共振センサ、アクティブまたはパッシブ超音波センサ、光学的に問い合わせられるアクティブまたはパッシブセンサ、容量性共振センサ、内部エネルギー源を有するかまたは有線または無線で外部エネルギー源に結合されたアクティブ共振センサなど多くの異なる型の共振センサに適用可能である。
【0075】
従って、当業者には明らかなように、本明細書中に開示されている共振センサを保護する方法は、測定環境または媒体に曝される1若しくは複数の共振器または共振部を有する当該分野で公知である適切な型の共振センサに適用できる(保護共振センサの概略図は図8を参照)。
【0076】
ここで図1を参照すると、図1は本発明の一実施形態に基づき複数の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【0077】
保護センサ10には、センサユニット82が含まれることがある。センサユニット82には、第1の凹型基体層12と、第1の凹型層12に気密に取り付けられた第2の層14が含まれることがある。第1の凹型層12内には、複数の凹部16が形成されている。図1の断面図には3つの凹部16しか示していないが、実用的な数の凹部(例えば、1、2、3、または4以上の凹部16)を含むように保護センサ10を設計することができる。例えば、保護センサ10には、3つの列の各列に3つずつ配置された9つの凹部16を含めることができる(図1には図示せず)。
【0078】
第1の凹型基体層12及び第2の層14は、限定されるものではないが、金属、シリコン、パイレックス(登録商標)、窒化ホウ素、ガラスなどの適切な材料から作製することができる。第1の基体層12は、シリコン、パイレックス(登録商標)、または当該分野で公知である標準的なリソグラフィー方法を用いて機械加工しやすい別の適切な材料などの材料から作製する(例えば、従来のマスキング、フォトレジスト塗布、エッチング方法などを用いて第1の基体層12に凹部16を形成する)のが好ましい(しかし必須ではない)。しかしながら、当該分野で公知である他の機械加工またはミクロ機械加工方法または処理方法を用い、他の所望の材料を適切に選択して、本発明のセンサユニットを作製することもできる。
【0079】
第1の層12に第2の層14を気密に取り付けまたは接着または付加し、複数の気密センサユニットチャンバ17を形成する。本明細書中で上記開示しているように、図1の断面図には気密センサユニットチャンバ17が3つしか示されていないが、保護センサ10には3つ以上の気密センサユニットチャンバがあってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、保護センサ10には、3つの列の各列に3つずつ配置された9つの気密センサユニットチャンバ17を含めることができる。この配置は、特許文献6の図2及び図3に詳しく開示されている多膜センサに類似している。凹部16の上方にある第2の層14の一部で符号14A、14B、14Cを付された部分は、保護センサ10の振動可能な膜14A、14B、14Cを表している。
【0080】
保護センサ10には、センサユニット82に取り付けられたスペーサ18を含めることもできる。スペーサ18は、限定されるものではないが、金属、シリコン、窒化ホウ素、ガラス、またはSU8エポキシベースのフォトレジスト(米国マサチューセッツ州のマイクロケム社(MicroChem Corp.)から市販されている)などポリマーベースの材料などの硬質材料から製作することができる。
【0081】
スペーサ18は、センサユニット82の第2の層14に気密に取り付けまたは接着された分離した構成部分として示されているが、他の可能な実施形態においてはスペーサ18を第2の層12の一部として或いは第1の凹型層12の一部として形成することができる。保護センサ10には、(適切な接着剤、またはコンプライアントな部材20をスペーサ18に気密に取り付けるための当該分野で公知である他の適切な方法を用いることによって)スペーサ18に気密に取り付けられて気密チャンバ22を形成するコンプライアントな部材20も含まれる。コンプライアントな部材20は、高いコンプライアンスを有する薄膜から作製することができる。例えば、本発明の一実施形態に基づけば、コンプライアントな部材20は約9μm厚のカプトン膜であることがある。
【0082】
コンプライアントな部材20の材料を選択するときには、(超音波の伝播のために)選択された材料の音響インピーダンスが、媒体24の音響インピーダンスに整合し、センサが配置される材料または媒体または組織の音響インピーダンスに整合することが確実になるように注意されたい。この整合(マッチング)は、測定環境における媒体とコンプライアントな部材20間の界面及びコンプライアントな部材20と媒体24間の界面で超音波の過剰な反射を防止し得る。非圧縮性媒体24及びコンプライアントな部材20を形成する材料の選択における実際的な制約のために1つ1つの用途に対して最良のインピーダンスマッチを得ることが必ずしも可能ではないかもしれず、妥協しなければならないこともあろうが、センサ性能を向上させるために本発明の保護センサの設計及び実現においてそのようなインピーダンスマッチングを慎重に考慮すべきである。
【0083】
本発明の追加実施形態に基づき、限定されるものではないが、米国レン・プラスチック社(Ren Plastics)から市販されている6400ウレタンゴムまたは6410ウレタンゴムなどの適切なウレタンゴムからコンプライアントな部材20を作製することができる。米国GEコーポレーション(GE Corporation)から市販されているRTV60からコンプライアントな部材20を作製することもできる。埋込型センサにおいて、RTV60が用いられるとき、RTV60を1重量%のタングステン粉末(平均粒子サイズ約1ミクロン)と混合してコンプライアントな部材20の音響インピーダンスをいくつかの組織の音響インピーダンスに近い約1.5〜1.54Mrayl(Mrayl=10rayl)の値に調整することが好ましいことがある。しかしながら、この音響インピーダンス値の範囲は限定的なものではなく、とりわけ特定の適用形態及び検出システムの感度に依って、コンプライアントな部材20の音響インピーダンスの他の異なる値も許容されることがある。本発明の他の実施形態に基づき、哺乳類またはヒトに埋め込まれるように構成されたセンサに対して、コンプライアントな部材20をEchothane CPC-41またはEchothane CPC-29で製作するのが好ましいことがある。Echothane CPC-41及びEchothane CPC-29は、エマソン・カミングズ社(Emerson Cummings, 604 W 182nd St., Gardena, CA, USA)から市販されている。これらの材料は、水(媒体24として水が用いられるセンサにおいて)及び組織の音響インピーダンスとの許容マッチを示す音響インピーダンス値(超音波の範囲)を有する。
【0084】
しかしながら、コンプライアントな部材20は、当該分野で公知である他の適切な高度にコンプライアントな材料から製作することができるか或いはそのような材料を含むことができ、コンプライアントな部材20の厚さ及び/または寸法及び/または組成は、とりわけ、センサ固有のデザイン、所望のセンサ性能、測定中にセンサを配置しておく媒体、センサの動作圧力と温度の範囲、他の製造及び作製パラメータ及び検討材料に応じて変えることができることに留意されたい。
【0085】
気密チャンバ22は、非圧縮性媒体24で充填されることがある。非圧縮性媒体24は、限定されるものではないが水などの実質的に非圧縮性の液体であるか、または、限定されるものではないが適切なシリコーン溶液配合物などの当該分野で公知である他の適切な実質的に非圧縮性の液体であることがある。非圧縮性媒体24はまた、限定されるものではないが、ゼラチン、アガロース、天然のゲル、ポリマーベースの合成ゲル、架橋ポリマーベースのゲル、ヒドロゲル、脂質ゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、当該分野で公知である他の適切な型のゲルなどの適切な実質的に非圧縮性のゲルであってもよい。ある適用形態においては、例えば、生体に埋め込む必要があるセンサや、無菌環境に置かれるセンサ、例えばバイオリアクタなどにおいて、保護センサを滅菌する必要があることがある。そのような適用形態において、媒体24は、(限定されるものではないが)米国ダウコーニング社(Dow Corning Inc.)から市販されているダウコーニング710(R)シリコーン溶液などの低蒸気圧の液体であることがある。他の適用形態においては、媒体24は、米国スリーエム社(3M corporation)から市販されているフロリナートFC40液体とフロリナートFC70液体を混合したもの(体積比約60:40)、または他の適切な混合物(異なる比率でこれらの液体を混合したもの)、または類似の適切なフロリナート液体またはその混合物などの液体であることがある。
【0086】
熱を用いて保護センサを滅菌するのであれば、媒体24として低蒸気圧の液体を使用することにより、気密チャンバ22内における高い圧力の発生とそれに続くコンプライアントな部材20の破断が回避されるので、そのようなセンサの滅菌が必要な適用形態及び他の適用形態型において低粘度・低蒸気圧の液体を用いることは有用であることがある。同様の理由で、センサが高温環境に置かれる適用形態において、コンプライアントな部材20の破断を回避するのに低蒸気圧の液体またはゲルを用いることが有用であることがある。
【0087】
低圧力条件下でセンサを滅菌気体に曝す必要がある気相化学滅菌を用いてセンサを滅菌する適用形態においては、気密チャンバ22内で低蒸気圧の媒体を用いてコンプライアントな部材20の破断を防止することも好ましいことがある。
【0088】
コンプライアントな部材20の設計及び作製は、コンプライアントな部材20の振動に対応する周波数により被測定信号に影響することを回避するべく、保護センサ10の動作圧力範囲内で振動可能な膜(例えば保護センサ10の振動可能な膜14A、14B、14Cなど)が振動する周波数範囲に比べてコンプライアントな部材20の共振周波数が十分に低い共振周波数となるように行うことができる。
【0089】
一般的に、コンプライアントな部材20の組成は、コンプライアントな部材20の過剰な劣化または腐食を回避するべく測定環境内で媒体(気体または液体)に適切に化学的抵抗性を有する材料を選択することによって適用形態に適合されるべきである。体内に埋め込まれるように設計されたセンサでは、生物適合性材料からコンプライアントな部材20を作製する(または生物適合性材料でカバーするかまたはコーティングする)ことが好ましい。本明細書中で上記開示したEchothane-CPC-41またはEchothane-CPC-29は、コンプライアントな部材20を埋め込むための適切な十分にコンプライアントかつ生物適合性のある材料であり得るが、限定されるものではないが、ポリマーベースの材料、生物適合性ポリマー、ポリウレタン、エチルビニルアセテートベースのポリマー、パリレン(登録商標)ベースのポリマーまたは他の適切なコンプライアントな材料など、他の異なる材料を用いてコンプライアントな部材20を作製することもできることに留意されたい。
【0090】
さらに、測定環境(図示せず)における媒体とコンプライアントな部材20間の界面からまたはコンプライアントな部材20と媒体24間の界面からの問い合わせ超音波ビームの反射を比較的小さくして、これらの界面からの問い合わせビームが過剰に反射することと、センサの振動可能な膜に到達する問い合わせ超音波ビームのエネルギーの一部が同時に減少することを回避することができるように、媒体24及びコンプライアントな部材20を作製する材料を選択するように注意されたい。このことは、コンプライアントな膜20の及び非圧縮性媒体24における音響インピーダンスが、測定中に保護センサ10が配置される媒体の音響インピーダンスに適度に近付くようにコンプライアントな部材20及び媒体24の材料を選択することによって、事実上達成することができる。
【0091】
気密センサユニットチャンバ17内には、気体または複数の気体の混合物が含まれることがある。気密センサユニットチャンバ17が形成されるとき、気密センサユニットチャンバ17内の圧力はP1に設定される。保護センサ10の作製後、保護センサ10が測定環境または媒体に配置されるとき、保護センサ10が配置される測定環境または媒体における圧力値はP2で表される(図1)。
【0092】
媒体24は実質的に非圧縮性であり、コンプライアントな部材20は高いコンプライアンスを有するので、コンプライアントな部材20に作用する圧力P2はコンプライアントな部材20によって媒体24を通過して振動可能な膜14A、14B、14Cへ伝達される。ゆえに、ある圧力値範囲内で、媒体24に接触する振動可能な膜14A、14B、14Cの表面は、事実上同じ圧力値P2を受ける。従って、保護センサ10の実際的な作業圧力範囲内で、センサ10の全ての振動可能な膜(図1の断面図に図示されていない振動可能な膜も含む)は、媒体24に接触する表面上で保護センサ10に作用する外部圧力P2を効率的に受けることになる。
【0093】
気密センサユニットチャンバ17内の圧力P1が測定環境における外部圧力P2と等しい(P1=P2)とき、センサユニット82の振動可能な膜(例えば振動可能14A、14B、14Cなど)に加えられる応力は実質的に最小である。
【0094】
P1≠P2のとき、センサユニット82の振動可能な膜(例えば振動可能14A、14B、14Cなど)は、圧力差に押されて曲がり、ゆえに応力を加えられた状態になる。測定媒体における外部圧力P2とセンサユニット82の気密センサユニットチャンバ17内の圧力P1との差の絶対値は、ΔP=|(P2−P1)|である。振動可能な膜における応力は、ΔPに依存する。
【0095】
センサユニット82の振動可能な膜の共振周波数は、センサユニット82の振動可能な膜における応力に依存する。共振周波数は、振動可能な膜に加えられる応力が最小であるときに最も小さい。振動可能な膜の応力が増加すると、振動可能な膜の共振周波数はそれに伴って増加する。従って、振動可能な膜の共振周波数fR はΔPの関数なので、センサユニット82の振動可能な膜の共振周波数が決まればfR からΔP(圧力差の絶対値)を求めることができる。内部圧力P1を適切に選択することによって、較正されたパッシブ超音波センサ(限定されるものではないが図1に示される保護センサ10など)の被測定共振周波数からP2の値を決定することができる。例えば、単純なケースでは、(センサの製造中にセンサユニット82の気密センサユニットチャンバ17に真空を作ることによって)P1=0に設定すると、ΔP=0になり、圧力P2を直接決定することができる。
【0096】
従って、使用前に保護センサ10を予め較正し、較正曲線またはルックアップテーブル(LUT)を用いてパッシブセンサの振動可能な膜(またはセンサ型によっては振動可能部分)の被測定共振周波数から圧力P2を直接求めることができるようにすることができる。しかし、センサ10の気密センサユニットチャンバ17が非ゼロ内部圧力レベルを有するのであれば(気密センサユニットチャンバ17内に気体が含まれ、そのために実質的な非ゼロ内部圧力レベルを有する場合)、気密センサユニットチャンバ17内に封入された気体への温度の影響を考慮して圧力を補正しなければならないことがあることに留意されたい。
【0097】
パッシブ超音波センサの共振周波数を測定する方法は、当該分野で公知であり、本発明の対象事項ではないので、ここでは詳述しない。簡単に説明すると、励起超音波のビームをセンサに指向させることができ、センサの共振周波数は、センサから戻る超音波信号から(または、それに代えて、励起ビームからセンサによって吸収されたエネルギー量を決定することによって)決定することができる。問い合わせ超音波ビームは、連続、パルス、またはチャープ(chirp)とすることができる。そのような方法は、とりわけ、特許文献2〜4に記載されている。
【0098】
ドップラー効果を利用してパッシブ超音波センサの共振周波数を決定する別の方法は、特許文献6に開示されている。
【0099】
図1の概略断面図は、P1>P2の状況を表していることに留意されたい。この圧力差のため、振動可能な膜14A、14B、14Cは、コンプライアントな部材20の向きに凸状である曲線形状を有するものとして示されている(分かり易く図解するため、振動可能な膜14A、14B、14Cの曲率の度合いは誇張されている)。P1=P2(図示せず)のときは、センサユニット82の振動可能な膜は、とりわけセンサの構造及び実現例によって、平ら(平面)であってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、センサが被覆材料(図示せず)の層でコーティングされると、振動可能な膜14A、14B、14Cは、P1=P2のときであっても曲線形状を有することがある。更に、製造時に振動可能な膜14A、14B、14Cが予め応力を加えられたセンサでは、振動可能な膜14A、14B、14Cは、P1=P2のときであっても曲線形状を有することがある。P1<P2(図示せず)のときは、気密センサユニットチャンバ17の空洞に面した振動可能な膜の側面が凸状になるようにセンサユニット82の振動可能な膜を曲線状にすることができる。
【0100】
本発明の保護センサの操作性を以下のように実験的に検査した。実験は、特許文献6の図2及び図3に示されている多膜パッシブ超音波圧力センサ20を用いて行った。
【0101】
(特許文献6の)センサの9つのセンサ気密チャンバ29A、29B、29C、29D、29E、29F、29G、29H、29Iを空気で充填した。非保護センサを被制御圧力チャンバに置き、水でカバーし、搬送周波数750KHz及び11のセンサ励起周波数即ち72KHz、74KHz、76KHz、78KHz、80KHz、82KHz、84KHz、86KHz、88KHz、90KHz、92KHzを有する超音波ビームにより特許文献6に開示されているドップラー法を用いて種々の異なる圧力レベルで問い合わせることによって、圧力チャンバにおいて既知の各圧力レベルでセンサの共振周波数を決定した。
【0102】
小さなステンレス鋼製環状座金を被制御圧力チャンバのホルダーに載置し、センサが座金の浅い開口部のほぼ中心に来るようにした(座金の高さはセンサの高さより高い)。約9ミクロン厚の薄いコンプライアントなポリエチレンフィルムを適切なフレーム内に保持し、座金の上面にしっかり取り付けられるまで慎重に下に下げた。このようにして、センサの振動可能な膜がコンプライアントなポリエチレンフィルムに対向するように座金及び上に位置するコンプライアントなポリエチレンフィルムにより水で充填されたチャンバを形成し、座金及び取り付けられたポリエチレンフィルムにより形成された空間を水で完全に充填して保護センサを形成した。
【0103】
保護センサを用いて同一実験圧力レベルに対して共振周波数の測定を繰り返すことにより、非保護センサ上で行ったものと同じ一連の共振周波数対圧力の測定を行った。第1及び第2組の測定(それぞれ非保護センサ、保護センサにより実施)に対してセンサの共振周波数の圧力レベルへの依存を比較したところ、非保護センサに対するデータと保護センサに対するデータ間に有意差はなかった。この実験は、コンプライアントな部材による検査されたセンサの保護を、センサの振動可能な膜の共振周波数の外部圧力への依存度に実質的に影響を及ぼすことなく行うできることを示している。
【0104】
本発明の保護センサを実現する際に種々の構造及びデザインの変更を行うことができることに留意されたい。例えば図1の保護センサ10ではスペーサ18及びコンプライアントな部材20がセンサユニット82に取り付けられているが、他の異なる構成も可能である。
【0105】
ここで図2を参照すると、図2は本発明の追加実施形態に基づきハウジングに封入された保護パッシブ超音波センサを示す概略断面図である。
【0106】
保護センサ30において、第1の凹型基体層12、第2の層14、複数の凹部16、気密センサユニットチャンバ17、振動可能な膜14A、14B、14Cについては、センサ10に対して上記で詳細に開示した通りである。第1の基体層12及び第2の基体層14はひとまとめに取り付けられてセンサユニット82が形成され、硬質ハウジング34内に配置または取り付けられている。ハウジング34には、限定されるものではないが、金属、金属合金、チタン、白金、ステンレス鋼、限定されるものではないがニチノール(NITINOL)(登録商標)などの形状記憶合金、シリコン、ガラス、石英、セラミック材料、複合材料、金属または非金属窒化物、窒化ホウ素、カーバイド、金属酸化物、非金属酸化物、ポリマーベースの材料、及びその組合せなどの硬質材料が含まれる。そのようなポリマーベースの材料には、限定されるものではないが、デルリン(登録商標)(米国デュポン社(Dupont)から市販されている)などが含まれることがある。
【0107】
埋込型センサに関しては、好適にはチタン、白金などの生物適合性材料(本明細書中に開示されている生物適合性物質を含む)からハウジング34を作製することができ、或いは限定されるものではないがパリレン(登録商標)などの生物適合性材料(図示せず)の層によってハウジング34を被覆することができる。コンプライアントな部材20Aはハウジング34に気密に取り付けられ、気密チャンバ32を形成する。コンプライアントな部材20Aについては、センサ10のコンプライアントな部材20に関して既に詳述した通りである。
【0108】
保護センサ10のチャンバ22に対して本明細書中で上記開示したように、気密チャンバ32は、実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。ハウジング34、コンプライアントな部材20A、及び媒体24の組合せは、本明細書中で上記開示したように、保護センサ30の振動可能な膜14A、14B、14Cに伝達される圧力を著しく減弱することなく、保護センサ30の振動可能部材(限定されるものではないが図2に示されている振動可能な膜14A、14B、14Cを含む)を異物または組織または細胞の堆積から保護する。
【0109】
保護センサ30の第1の凹型基体層12及び第2の層14はハウジング34の中にしっかりと納まる(適切な接着剤または当該分野で公知である他の適切な取付方法によって取り付けることができることもある)が、気密ハウジング内に取り付けられたセンサの他の構成も当業者により実現することができることに留意されたい。例えば、センサユニット82(第1の凹型層12及び第2の層14を含む)の外部寸法及び/または形状は、ハウジング34の内部寸法に正確には整合しないことがある。従って、そのような実施形態(図示せず)においてはセンサのハウジングの断面積は保護されていないセンサの断面積よりも大きいことがある。さらに、本発明の別の実施形態の保護センサに基づけば、単一の保護ハウジング内に2つ以上の保護されていないパッシブセンサを配置することができる。
【0110】
ここで図3を簡単に参照すると、図3は、本発明の追加実施形態に基づき単一の保護ハウジング内に配置された2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波センサの概略断面図である。
【0111】
図3の保護センサ50には、保護ハウジング54が含まれる。ハウジング54には、ハウジング部分54A及びコンプライアントな部材54Bが含まれる。ハウジング部分54Aは、図2のハウジング34に対して本明細書中で上記開示したように、限定されるものではないが、金属、ガラス、シリコン、プラスチックまたはポリマーベースの材料などの適切な材料から作製することができる。コンプライアントな部材54Bは、カプトン(登録商標)、ポリウレタン、または、限定されるものではないが、コンプライアントなポリマー材料などまたは当該分野で公知である他の適切な材料など他の適切にコンプライアントな材料から作製された高度にコンプライアントな薄膜であってよい。
【0112】
コンプライアントな部材54Bをハウジング部分54Aに気密に取り付けまたは接着または適切に堆積または別な方法で気密に結合して気密チャンバ52を形成することができる。保護センサ50には、2つのパッシブ超音波センサユニット55、57が更に含まれる。当該分野で公知である適切な取付方法または取付材料を用いてパッシブ超音波センサユニット55、57をハウジング部分54Aに接着または取付けまたは別な方法で結合することができる。
【0113】
センサユニット55には、第1の凹型基体層62と第2の層64とが含まれる。第2の層64の部分64A及び64Bは、第1の凹型基体層62内に形成された凹部66A及び66Bの上にある層64の一部を含む振動可能な膜である。図3の断面図には2つの振動可能な膜部分64A及び64Bしか示していないが、センサユニット55に含まれる振動可能な膜は、1つであってもよいし、(それぞれ図1、2の)センサ10、30に関して既に詳細に開示したように2つ以上であってもよい。このようにして、センサユニット55には適切な数の振動可能な膜を含めることができる。第2の層64は、適切な圧力条件下で第1の凹型基体層62に適切に気密に取り付けられ、気密センサユニットチャンバが形成される(そのうち気密センサユニットチャンバ67A及び67Bのみを図3の断面図に示す)。気密センサユニットチャンバ67A及び67B内の圧力はP3である。
【0114】
センサユニット57には、第1の凹型基体層72と第2の層74とが含まれる。第2の層74の部分74A及び74Bは、第1の凹型基体層72内に形成された凹部63A及び63Bの上にある層74の部分を含む振動可能な膜である。図3の断面図には2つの振動可能な膜部分74A及び74Bしか示していないが、センサユニット57には1つの振動可能な膜を含めることも、(それぞれ図1、2の)保護センサ10、30に対して詳述したように2つ以上の振動可能な膜を含めることもできる。このようにして、センサユニット57には適切な数の振動可能な膜を含めることができる。第2の層74は、適切な圧力条件下で第1の凹型基体層72に適切に気密に取り付けられ、気密センサユニットチャンバが形成される(そのうち気密センサユニットチャンバ69A及び69Bのみを図3の断面図に示す)。気密センサユニットチャンバ69A及び69B内の圧力はP4である。P3=P4になるように、またはP3≠P4になるように、センサユニット55、57を製造することができる。
【0115】
気密チャンバ52は、本明細書中で上記開示したように実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。保護センサ50の外部の圧力P5は、本明細書中で上記開示したように、コンプライアントな部材54B及び媒体24を介してセンサユニット55、57の振動可能な膜(例えば、センサユニット55の振動可能な膜64A及び64B、センサユニット57の振動可能な膜74A及び74Bなど)へ最小の減衰で伝達される。
【0116】
異なる内部圧力値を有する2つ(または状況に応じて2つ以上)のセンサユニットを用いることは、温度補償された圧力測定を提供するため、または、限定されるものではないが、保護センサ内にそれぞれ特定の圧力範囲に対して最適化されている2つ若しくはそれ以上の異なる圧力センサを含むことによって広い測定範囲を提供するなど他の目的のために有用であることがある。さらに、同一保護センサ内で類似の内部センサ圧力値を有する1若しくは複数のセンサユニットを用いて、保護センサにおける振動可能な膜の総表面積を増加させることによって保護センサの信号強度を増大させることができる。
【0117】
本発明の保護センサは、センサ固着装置の一部として形成されるか、またはセンサ固着装置内に形成されるか、またはセンサ固着装置に取り付けられ得るように実現されることがあることに留意されたい。そのようなセンサ固着装置は、限定されるものではないが、センサアンカー(限定されるものではないが特許文献5に開示された装置など)、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、埋込型装置の適切な部分、ペースメーカ、除細動器またはその一部、埋込型電極またはその一部、挿入型電極またはその一部、埋込型カテーテルまたはその一部、挿入型カテーテルまたはその一部、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤまたはその一部、内視鏡機器またはその一部、自律的なまたは繋ぎ止められた内視鏡機器またはその一部、埋込型グラフトまたは他の埋込み型、または生物、動物またはヒト患者の体内に埋込みまたは挿入することができる他の適切な装置であることがある。
【0118】
当業者に明らかなように、本発明の保護センサを取り付けることができるセンサ固着装置(またはそのように保護された固着装置が内部に形成され得るかまたはその一部として含まれ得るセンサ固着装置)は、本発明の保護センサのための支持台または保持台(carrying platform)として働くという唯一の目的を有する装置に限定されるものではない。むしろ、固着装置は、保護センサの構造及び/または機能に関連があってもなくてもよい他の適切な構造及び/または機能を有することがあり、保護センサに対する支えとして機能する以外に他の関係ない目的のために用いられることもあり得る。例えば、保護センサがペースメーカの埋込電極に取付けまたは形成または封入されるのであれば、電極は、当該分野で公知であるように、刺激電極及び/または検知電極として独立的に機能する一方で、保護センサを保持するための台または部材として機能することがある。このように、本発明の保護センサを測定環境に位置指定可能である装置に取り付けること(またはそのような装置に含めること)は、その装置の機能に必ずしも関連付けられる必要はない。
【0119】
同様に、本発明の保護センサの気密チャンバを、そのような適切なセンサ固着装置またはセンサ支持装置またはセンサ固定装置、または埋込型グラフトまたは他の型のインプラントまたは埋込型装置内に形成することができる。本発明の保護センサの気密チャンバは、気密チャンバの一部として、そのような適切なセンサ固着装置またはセンサ支持装置またはセンサ固定装置、または埋込型グラフトまたは他の型のインプラントまたは埋込型装置またはステントの一部を含むように、またはその一部として、構成されることもある。
【0120】
ここで図4を参照すると、図4は、本発明の追加実施形態に基づき、センサ固着装置、またはセンサ・ポジショナ、または埋込型グラフト、または埋込型装置を用いて作製された保護センサの一部を示す概略断面図である。保護センサ80には、センサユニット82、アンカー88(アンカー88の一部のみを図4に示す)、及びコンプライアントな部材87が含まれる。アンカー88は、自身を貫通する開口部88Cを有する。開口部88Cはセンサユニット82より僅かに小さい。コンプライアントな部材87は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー88の第1の表面88Aに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられ、センサユニット82は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー88の第2の表面88Bに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられる。
【0121】
コンプライアントな部材87は、(それぞれ図1、2、3の)コンプライアントな部材20、20A、54Bに関して既に詳細に開示したように作製された高いコンプライアンスを有する薄膜であることがある。当該分野で公知であるかまたは本明細書中で上記開示した適切な接着剤または他のシーリング材または他の適切な取付方法によってコンプライアントな部材87をアンカー88の第1の表面88Aに気密に取り付けて気密チャンバ90を形成することができる。気密チャンバ90は、本明細書中で上記開示したように実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。
【0122】
センサユニット82には、凹型基体層12と、(それぞれ図1及び図2の)保護センサ10、30のセンサユニット82に関して既に詳細に開示したように作製されかつ機能的に作用する(operative)第2の層14とが含まれることがある。
【0123】
ここで図5を参照すると、図5は、本発明の別の実施形態に基づきセンサ固着装置または埋込型グラフトまたは埋込型装置内に作製された複数の気密チャンバを有する保護センサを説明する概略部分断面図である。保護センサ100には、既に詳細に開示したようなセンサユニット82(図4を参照)と、アンカー89(アンカー89の一部のみを図5に示す)と、コンプライアントな部材87とが含まれる。アンカー89は、自身を貫通する複数の開口部95A、95B、95Cを有する。コンプライアントな部材87は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー89の第1の表面89Aに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられ、センサユニット82は、(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)アンカー89の第2の表面89Bに気密に接着または別な方法で気密に取り付けられる。
【0124】
コンプライアントな部材87は、(それぞれ図1、2、3の)コンプライアントな部材20、20A、54Bに関して既に詳細に開示したように作製された高いコンプライアンスを有する薄膜であることがある。当該分野で公知であるかまたは本明細書中で上記開示した適切な接着剤またはシーラーまたは他のシーリング材または他の適切な取付方法によってコンプライアントな部材87をアンカー89の第1の表面89Aに気密に取り付けて複数の気密チャンバ90A、90B、90Cを形成することができる。気密チャンバ90は、本明細書中で上記開示したように実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填される。
【0125】
図4を参照しながら既に詳細に開示したようにセンサユニット82を作製しかつ作動させることができる。図5の保護センサ100には3つの気密チャンバ(90A、90B、90C)が含まれるが、保護センサ100は、任意の適切な数の気密チャンバ及び任意の適切な数の振動可能部材を有して実現されることができることに留意されたい。
【0126】
図を分かり易くするため、振動可能な膜14A、14B、14Cの寸法と、チャンバ90A、90B、90Cの上にあるコンプライアントな部材87の一部の寸法とは、それぞれ必ずしもこれらの部分の実寸及び断面積の真の比率(例えば、振動可能な膜14Bの表面積とチャンバ90Bの上にあるコンプライアントな部材87の一部の面積との比など)を表示しているとは限らないことに留意されたい。適切なセンサ操作を可能にするために、チャンバ90A、90B、90Cの上にあるコンプライアントな部材の一部の表面積は、対応する振動可能な膜14A、14B、14Cの表面積よりもかなり大きいのが好ましい。他の図面全てにおいても、図面の性質から、特定のチャンバの上にあるコンプライアントな部材の一部の表面積とそのチャンバに含まれる振動可能部材または膜の表面積との比及び尺度は必ずしも正確に表示されているとは限らないことに留意されたい。
【0127】
当業者に明らかなように、本発明の保護センサが、単一の気密チャンバ内の単一の共振センサまたは単一の振動可能部材を含むセンサに限定されるものではない。従って、気密チャンバ内に2つ以上のセンサまたは2つ以上の振動可能部材を含む保護センサは、本発明の範囲に含まれる。
【0128】
例えば、複数の気密チャンバがある保護センサを作製することができ、複数の気密チャンバのそれぞれはその中に2つ以上の共振センサを備えることができる。同様に、各気密チャンバがその中に2つ以上の振動可能部材を備えることができるような複数の気密チャンバを有するように保護センサを作製することができる。さらに、2つ以上の共振センサまたは2つ以上の振動可能部材が配置され得る単一の気密チャンバを有するように保護センサを作製することができる。
【0129】
ここで図6を参照すると、図6は本発明の一実施形態に基づき単一の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0130】
センサ110には、基体112と、第2の層114と、コンプライアントな部材120と、気密チャンバ122を充填する実質的に非圧縮性の媒体24とが含まれることがある。既に詳述したように、基体112の表面112Bに第2の層114を接着または気密に取り付けることができる。基体112内には凹部116が形成される。基体112は、表面112Bの高さより上に突き出た隆起部(ridge)112Aを有する。隆起部112Aは、(任意で)自身を貫通する開口部25を有し得る。開口部25は、後で詳細に開示するように、チャンバ122を媒体24で充填するために用いることができる。隆起部112A内に1若しくは複数の開口部25が形成されていれば、適切なシーリング材27を施用することによって媒体24の充填後に開口部25を閉じることができる。シーリング材27は、後に詳述するように、当該分野で公知である適切なシーリング材、例えば限定されるものではないが、RTV、シリコンベースのシーラント、エポキシベースのシーリング材などであることがある。
【0131】
第2の層114を基体122の表面112Bに接着または気密に取り付けて気密センサユニットチャンバ117を形成することができる。凹部116の上にある第2の層114の一部分は、センサ110に到達する力学的な波(例えば超音波など)に応じて振動し得る振動可能部材114Aを形成する。気密センサユニットチャンバ117内には、本明細書中で上記開示したように、圧力レベルを有する気体または複数の気体の混合物が含まれることがある。気密センサユニットチャンバ117内の圧力レベルは、(チャンバ117から気体が排除されていれば)ゼロ圧力レベルであってもよいし、(チャンバ117にある量の気体が存在すれば)非ゼロ圧力レベルであってもよい。コンプライアントな部材120を(当該分野で公知である適切な取付方法を用いて)基体112の隆起部112Aに取付けまたは接着または気密に取り付けてチャンバ122を形成することができる。チャンバ122は、実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填されるのが好ましい。センサ110の部分の材料組成は、他のセンサに対して本明細書中で上記開示したものと類似であってよい。
【0132】
図6の保護センサ110は、媒体24で充填される単一の気密チャンバ122と、単一の気密センサユニットチャンバ117と、単一の振動可能部材114Aとを有しているが、他のセンサ実施形態に関して既に詳細に開示したように、センサの他の実施形態には、2つ以上の振動可能部材、及び/または2つ以上の気密センサユニットチャンバ、及び/または媒体24で充填される2つ以上の気密チャンバが含まれることがあることに留意されたい。
【0133】
(図4の)アンカー88及び(図5の)アンカー89は、図4に示す構成または非圧縮性媒体で充填される気密チャンバを形成するための他の適切な構成においてセンサユニット82を適切に取り付けることができる装置(限定されるものではないが、埋込型または挿入型装置を含む)の適切な部分であってよいことに留意されたい。例えば、アンカー88及びアンカー89は、限定されるものではないが、特許文献5に開示されたセンサ支持装置及び/またはセンサ固定装置などの、適切なセンサ支持装置またはセンサ固定装置であってよい。アンカー88及びアンカー89は、限定されるものではないが、既に詳述したような、グラフト、ステント、埋込型電極、挿入型電極、ペースメーカ、除細動器、ガイドワイヤ、内視鏡、内視鏡機器、自律的な内視鏡機器または自律的な内視鏡カプセル、繋ぎ止められた内視鏡機器またはカプセル、埋込型または挿入型の薬剤または治療物質放出装置またはチップまたはポンプ、または当該分野で公知である他の埋込型または挿入型装置の適切な部分であってよい。
【0134】
更に、本発明の保護センサが内蔵型保護センサ(限定されるものではないが図1〜3、6〜9に示されている保護センサなど)として形成されるのであれば、所望の測定環境に載置または配置され得る他の適切な装置に本発明の保護センサを適切に取り付け及び/または接着及び/または装着及び/または付加及び/または封入することができる。例えば、ケミカルリアクタまたはバイオリアクタ(図示せず)の壁または他の内部部分に、またはリアクタに配置された測定装置または撹拌装置に、またはバルブまたはチューブまたは貯蔵タンクなどの内側に、本発明の保護センサを取り付けることができる。
【0135】
同様に、保護センサが生物または動物にまたはヒト患者に埋込みまたは挿入されるのであれば、限定されるものではないが、適切なグラフト、ステント、埋込型電極、挿入型電極、ペースメーカ、除細動器、ガイドワイヤ、内視鏡、内視鏡機器、自律的な内視鏡機器または自律的な内視鏡カプセル、繋ぎ止められた内視鏡機器または繋ぎ止められたカプセル、埋込型または挿入型薬剤または治療物質放出装置またはチップまたはポンプ、または、当該分野で公知であり、既に詳細に開示されているような他の埋込型または挿入型装置などの適切な挿入型または埋込型装置に保護センサを適切に取り付け及び/または接着及び/または装着及び/または付加及び/または封入することができる。
【0136】
ここで図7を参照すると、図7は、本発明の別の実施形態に基づきスペーサ内に形成された複数の気密チャンバを有する、複数の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサを示す概略断面図である。
【0137】
保護センサ130には、パッシブ超音波圧力センサユニット152、スペーサ部材138、コンプライアントな部材147、実質的に非圧縮性の媒体24が含まれることがある。スペーサ部材138内には、2つの開口部138A及び138Bが形成されている。センサユニット152には、2つの凹部136A及び136Bが形成されている基体152が含まれる。センサユニット152には、基体132に気密に取り付けまたは結合または接着された第2の層144も含まれ、2つの別個の気密センサユニットチャンバ137A及び137Bが形成されている。本明細書中で上記開示したように、気密センサユニットチャンバ137A及び137Bを気体または複数の気体の混合物で充填することも真空にすることもできる。凹部136A及び136Bの上にある層144の一部は、2つの振動可能な膜144A及び144Bをそれぞれ形成する。層144にスペーサ部材138を気密に取り付けまたは接着または結合することができる。コンプライアントな部材147をスペーサ部材138に適切にまたは気密に取り付けまたは接着または結合して2つの気密チャンバ142A、142Bを形成することができる。当該分野で公知である適切な充填方法を用いて気密チャンバ142A、142Bを実質的に非圧縮性の媒体24で完全に充填することができるのが好ましい。
【0138】
既に詳細に開示したように、コンプライアントな部材147の部分147Aにより、振動可能な膜144Aが異物の堆積から保護されることがある。同様に、コンプライアントな部材147の部分147Bにより、振動可能な膜144Bが異物の堆積から保護されることがある。
【0139】
図7の保護センサ130は、媒体24で充填される2つの気密チャンバ142A、142Bと、単一の気密センサチャンバ117と、単一の振動可能部材114Aとを有しているが、他のセンサ実施形態に関して既に詳細に開示したように、センサの他の実施形態には、2つ以上の振動可能部材及び/または2つ以上のセンサ気密チャンバ、及び/または媒体24で充填される2つ以上の気密チャンバが含まれることがあることに留意されたい。
【0140】
例示の実施形態の異なるバリエーションの構成部分または機能は、図1〜8に示されるような保護センサアセンブリの異なる実施形態間で可換であり、その多くの異なる置換及び変更が可能でありかつ本発明の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0141】
限定されるものではないが本明細書中で上記開示しかつ図1〜8に示したセンサを含む本発明の保護センサは、種々の異なる方法を用いて作製または組み立てることができることに留意されたい。例えば、簡単に図6に戻ると、次のようにしてセンサ110を作製することができる。即ち、先ず、当該分野で公知である適切なフォトリソグラフィ法を用いて(限定されるものではないが、シリコンウェーハまたは他の適切な基板に適用される標準的なリソグラフィック・マスキング、フォトレジスト、ウェットエッチング方法、または他の適切なミクロ機械加工方法などにより)内部に基体112と凹部166と開口部25を形成し、次に、センサ気密チャンバ117内で所望の圧力レベルを確保するために適切な圧力チャンバ内で第2の層114を基体層112に接着または結合または取り付けることができる。
【0142】
コンプライアントな部材120を基体112の隆起部112Aに気密に取り付けまたは接着または結合することができる。その後、センサ110を適切な真空チャンバ(図示せず)に載置し、十分な時間をかけて圧力を平衡にしてチャンバ122(この段階ではまだ密閉されていない)内に適切な真空を形成することができる。チャンバ122内を高真空状態にした後で、例えば、開口部25が媒体24によって完全にふたをされる適切なレベルまで媒体24を真空チャンバに導入することによって、センサを媒体24に浸漬することができる(この真空利用充填法では、媒体24は、限定されるものではないが、本明細書中で上記開示したダウコーニング710(R)シリコーン溶液などの低蒸気圧の液体、または当該分野で公知である他の適切な低蒸気圧の流体または液体である)。
【0143】
開口部25が媒体24によってふた(カバー)をされると、センサ110が配置されている真空チャンバ内の圧力は、(例えば真空チャンバを大気圧に開放することによって)真空チャンバ内に配置された媒体24に作用する圧力が増加するにつれて増加することがあり、チャンバ122が媒体24で完全に充填されるまで媒体24がチャンバ122の空きスペースに入れられることになる。チャンバ122が媒体24で充填された後、センサ110を洗浄し(必要であれば)、シーリング材27により開口部25を気密に閉じてチャンバ122の密閉を完了することができる。シーリング材27は、既に詳細に開示したように、当該分野で公知である適切なシーリング材であってよい。
【0144】
本発明の別の実施形態に基づき、細針または他の適切な注入装置を用いて開口部25からセンサ110のチャンバ122に媒体24を注入し、その後シーリング材を適用して開口部25を密閉することもできることに留意されたい。
【0145】
チャンバ122(または使用されている保護センサの他のチャンバ)を媒体24で充填する方法は、非圧縮性液体の使用に限定されるものではなく、種々の種類のゲルを用いるときにも適用することができることに留意されたい。例えば、ゼラチン使用時には、加熱された液化ゼラチン溶液を用いて凝固させるまでゼラチンが流動性液体状態にある間に、既に説明した方法を用いて、ゼラチンを適用することによってセンサを充填することが可能である。そのような場合には、ゲルの凝固を防止または遅延させる適切な温度まで充填されているセンサを暖めると都合がよいことがある。ヒドロゲルまたは他のゲルの種類を用いるときは、ゲル化が生じる前に保護センサのチャンバを充填することができるようにゲル化に時間が必要である。別の例では、当該分野で公知であるように、アルギン酸塩ベースのゲル(例えば液体アルギン酸ナトリウム溶液など)を用いること、カルシウムイオンを加えることによってゲル形成を誘導することができることがある。
【0146】
本明細書中で上記開示したようにチャンバ122に充填または注入後にゲルを形成し得る他の液状配合物または液体ゲル前駆物質を用いることができることもある。例えば、本発明の一実施形態に基づけば、単量体の混合物と、化学的に反応して適切なゲルをゆっくりと産出し得る適切な触媒及び/または重合剤及び/または架橋剤とを用いることが可能である。既に説明したいずれかの方法を用いて、単量体と架橋剤の混合物を液体状態にある間にチャンバ(限定されるものではないがセンサ110のチャンバ122など)に注入または別な方法で導入し、その後、チャンバにおいて重合させてゲルにすることができる。
【0147】
非埋込型センサの適用形態においては、当該分野で公知であるように、ポリアクリルアミドゲルなどのゲルを用いることが可能である。そのようなゲルは、重合触媒または開始剤(例えば過硫酸塩など)及び/または適切な架橋剤(例えばビスアクリルアミドベースの架橋剤)を用いてアクリルアミドまたはアクリルアミド系単量体を重合することによって形成することができる。埋込型センサを用いる適用形態の場合、ゼラチン、または当該分野で公知である他の適切な生物適合性または血液適合性ヒドロゲルまたは脂質ゲル、または疎水性ゲル、または親水性ゲルなど、より生物適合性の高いゲルを用いなければならないことがある。
【0148】
保護センサを作製する他の異なる方法を用いることもできることに更に留意されたい。そのような方法には、保護センサに実質的に非圧縮性の媒体を載置した後でコンプライアントな部材をセンサに取り付けるか或いはセンサ上で形成する方法を含めることができる。簡単に図1に戻ると、次のようにしてセンサ10を作製することができる。先ず、図6のセンサ110に対して本明細書中で上記開示した方法と類似の方法で、または特許文献6に開示されているように、真空チャンバ(図示せず)において凹型基体層12を第2の層14に取り付けてセンサユニット82を形成することができる。センサユニット82を作製後、スペーサ18をセンサユニット82に取り付けまたは接着してチャンバ22(この段階ではまだ気密チャンバではない)の一部分を形成することができる。次に、媒体24をチャンバ22の形成された一部分に導入し、当該分野で公知である取付方法または接着方法または結合方法を用いてコンプライアントな部材20をスペーサ18に適切に気密に取り付けまたは結合して媒体24を封止し、気密チャンバ22を完成することができる。この方法は、媒体24が液体またはゲルであるときに適用できる。ゲルが用いられる場合には、予めゲル化した液体の形または本明細書中で上記開示したような単量体/架橋剤混合物の状態でゲルをチャンバ22に導入することができる。
【0149】
保護センサを作製する更に別の方法(例として図6のセンサ10に関して説明しているが、本明細書中で開示及び説明している他のセンサの多くに一般的に適用可能である)では、化学蒸着法(またはおそらく当該分野で公知である他の異なる方法)を用いてコンプライアントな部材を直接形成してセンサユニットに取り付けることができる。再び図1に戻ると、次のようにしてセンサ10を作製することもできる。先ず、本明細書中で上記開示した方法と類似の方法で、真空チャンバ(図示せず)において凹型基体層12を第2の層14に取り付けてセンサユニット82を形成することができる。センサユニット82を作製後、スペーサ18をセンサユニット82に取付けまたは接着してチャンバ22(この段階ではまだ気密チャンバではない)の一部分を形成することができる。次に媒体24をチャンバ22の形成された(まだ開いている)一部分に導入することができる。次に、適切な化学蒸着(CVD)法を用いてその場所にコンプライアントな部材を形成することによりコンプライアントな部材20を媒体24上及びスペーサ18上に直接蒸着することができる。例えば、コンプライアントな部材20がパリレン(登録商標)Cから作製されるのであれば、標準的なCVD法を用いてパリレン(登録商標)Cの適切な層を媒体24及びスペーサ18上に気密に蒸着または形成することができる。この場合には、実質的に非圧縮性の媒体24の上方に形成されかつスペーサ18の上面に取り付けられたパリレン(登録商標)Cの層は、コンプライアントな部材20を含む。そのような場合、大気圧以下でCVDを行うのであれば、気密チャンバで用いる媒体は低蒸気圧のものでなければならない。
【0150】
保護センサを作製するための開示された異なる方法は、原則として、本明細書中で上記開示しかつ図面に示した保護センサのいずれにも適切な変更を加えて適用することができることに留意されたい。例えば、図1のセンサ10のチャンバ22を媒体24で充填するための開口部が必要であれば、スペーサ18に1若しくは複数の開口部(図示せず)を設けることができる。
【0151】
同様に、保護センサが充填されている当該チャンバに実質的に非圧縮性の媒体24を導入できるようにするために、(図2の)保護センサ30のハウジング34または(図3の)保護センサ50のハウジング54または本明細書中に開示されている保護センサの他の適切な部分に適切な開口部(図示せず)を設ける必要があることがある。
【0152】
本発明の別の実施形態に基づけば、媒体24を導入するのに適した1若しくは複数の開口部(図示せず)をセンサユニット82または固着部材88及び/または89の適切な部分に(任意で)形成し、そこから媒体24を充填することができる。そのような開口部は、図6のセンサ110の開口部25に関して詳細に開示したように、充填完了後にシーリング材によって密閉することができる。従って、実質的に非圧縮性の媒体が1若しくは複数の開口部から本発明の保護センサの気密チャンバに導入されるのであれば、そのような開口部(図示せず)は、限定されるものではないが、センサのハウジングまたはセンサ固着装置(使用する場合)またはスペーサ(使用する場合)などセンサの選択された部分または所望の部分に、または用いられるセンサユニット本体の適切な部分を貫通して形成されることができることに留意されたい。そのような開口部は、当業者に明らかなように、センサの操作を損なうことのないような適所に配置することができる。
【0153】
更に、保護センサに複数の気密チャンバ(例えば、図5の保護センサ100のチャンバ90A、90B、90Cなど)が含まれるならば、必要に応じて、センサまたはセンサユニットまたはスペーサまたは固着装置の適切な部分に追加の開口部(図示せず)を設けなければならないこともある。
【0154】
当業者に明らかなように、本明細書中に開示されている本発明の保護センサを組立てまたは作製する異なる方法は、説明のためだけに与えられているものであり、絶対的なものではなく、当該分野で公知であるように、開示されている保護センサを他の異なる方法を用いて作製及び/または組立て及び/または充填することができる。そのような方法には、限定されるものではないが、任意の適切なリソグラフィ法、エッチング法、マスキング法、半導体製造法、ミクロ機械加工法、インプリント法、エンボス法、プリント法、層形成法、化学蒸着法、結合法、接着法、密閉法などが含まれる。
【0155】
当業者に明らかなように、上記説明しかつ図4に示した保護センサの実施形態は、上記または特許文献5に示されるセンサアンカーまたはセンサ固定装置またはステント部の形に限定されるものではない。むしろ、当業者は、本発明の保護センサの多くの異なる改変を実現することができる。例えば、可能な実現例を挙げると、限定されるものではないが、当該分野で公知であるように、アンカー88が、埋込型グラフト(例えば、当該分野で公知であるようなチューブ様ゴアテックス(登録商標)グラフト)の一部であるか、またはペースメーカ装置または除細動器の埋込型電極の一部であるか、または、血管または心血管系の他の部分に、または頭蓋内に、または脳室内に、または脊髄の中心管に、または心臓に、または他の体の空洞または内腔に埋め込むことができる他の適切な装置であり得るような実現例が含まれよう。
【0156】
ここで、図8を参照されたい。図8は、本発明の一実施形態に基づく保護共振センサの一般的形状を示す概略部分断面図である。
【0157】
図8の保護センサ180には、共振センサユニット5、スペーサ18、コンプライアントな部材20、非圧縮性媒体24が含まれている。共振センサユニット5は、限定されるものではないが、本明細書中で上記開示したかまたは当該分野で公知である任意の共振センサなど、測定環境または媒体に曝される1若しくは複数の共振器または共振部を有するような当該分野で公知である任意の型の共振センサであってよい。共振センサユニット5の共振器部分5Aは、非保護共振センサユニット5において測定環境または媒体に曝されていたであろう共振センサユニット5の共振器の一部を概略的に表している。
【0158】
保護センサ180には、図1のスペーサ18に関して既に詳細に開示したように、センサ5に適切に気密に取り付けまたは接着されたスペーサ18が含まれることがある。保護センサ180には、図1のセンサ10に関して既に詳細に開示したように、コンプライアントな部材20が含まれることもある。コンプライアントな部材20はスペーサ18に適切に気密に取り付けられ、気密チャンバ102が形成される。気密チャンバ102は、(それぞれ図1、2、4の)センサ10、30、80に関して既に詳細に開示したように、非圧縮性媒体24で完全に充填される。
【0159】
保護センサ180によって測定される物理変数(限定されるものではないが、圧力、温度など)は、本明細書中で上記開示した他のパッシブ超音波センサに対して詳細に開示したように、コンプライアントな部材20及び非圧縮性媒体24を経て共振センサユニット5の部分5Aに最小の減衰で伝達される。コンプライアントな部材20及びスペーサ18は、物質または細胞または組織または他の望ましくない異物が気密チャンバ102に入り込んで共振センサユニット5の部分5Aに堆積または別な方法で付着しないようにする。センサユニット5の共振部(図8には詳細を図示せず)は、このようにして、保護センサ180の経時的測定の安定性及び精度を維持する能力を向上させ得る測定環境または測定媒体に見られる任意のそのような物質または細胞または組織または他の望ましくない異物から保護される。
【0160】
図5に示される保護センサ80の実施形態において媒体24を含む気密チャンバ102はスペーサ18を用いて作製されるが、保護センサの別の実施形態に基づき、センサユニット5の一部として形成された一段高い円周隆起部(図6のセンサ110の隆起部112Aに類似であるが必ずしも同一である必要はない)などのセンサユニット5の適切に形成された部分(図示せず)にコンプライアントな部材20を取り付けることも可能であることに留意されたい。
【0161】
センサユニット5が測定媒体中で化学種の濃度を検知するための共振センサである場合には、測定している化学種に適度に透過性のある材料からコンプライアントな部材20が形成され、測定される化学種が選択された媒体24において拡散可能であるように、または(例えば、当該分野で公知であるように、媒体24に適合性のある適切な輸送体種または輸送分子を媒体24に含めることによって)媒体24を通過して輸送されて被測定化学種の濃度に感受性があるセンサユニット5の一部(センサユニット5の部分5Aにおそらく含まれる)に到達することができるように、コンプライアントな部材20及び非圧縮性媒体24を慎重に選択すべきであることに留意されたい。
【0162】
当業者に明らかなように、本発明の保護圧力センサは、本明細書中で上記開示した型のコンプライアントな部材のみを用いることに限定されない。むしろ、異なって構成されたコンプライアントな部材を用いることによって本発明の保護圧力センサを実現することもできる。そのような機械的にコンプライアントな部材を(当該分野で公知であるような)多くの異なる方法で構成または造形して、測定領域から用いられるセンサの振動可能な膜または振動可能な部材への圧力の効率的な伝達を可能にすることができる。コンプライアントな部材はまた、品質要素を減少させかねない振動する振動可能な部材または膜の圧力波に実質的に干渉しないように十分にコンプライアントでなければならない。
【0163】
ここで図9を参照すると、図9は本発明の一実施形態に基づき波形部分を有するコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【0164】
図9の圧力センサ140は、図6の圧力センサ110に類似しているが同一ではない。基体112、隆起部112A、開口部25、シーリング材27、第2の層114、表面112B、表面114A、及び実質的に非圧縮性の媒体24は、図6において説明したように作製することができる。しかしながら、図6のセンサ110は、隆起部112Aに気密に取り付けられて気密チャンバ122を形成するコンプライアントな部材120を有するが、センサ140は、隆起部112Aに気密に取り付けられて気密チャンバ123を形成するコンプライアントな部材150を有する。
【0165】
図9のコンプライアントな部材150は、図6のコンプライアントな部材120とは異なる。図9のコンプライアントな部材150は、第1の平坦な部分150A、第2の平坦な部分150B、波形部分150Cを含む機械的にコンプライアントな部材である。センサ110に関して既に詳細に開示したように、第2の平坦な部分150Bを基体112の隆起部112Aに気密に取り付けまたは接着して、実質的に非圧縮性の媒体24(例えば実質的に非圧縮性の液体またはゲルなど)で充填され得る気密チャンバ123を形成することができる。第1の平坦な部分150A、第2の平坦な部分150B、波形部分150Cは、コンプライアントな部材150の近接部分であるのが好ましい(必須ではない)。波形部分150Cは、センサ140外の圧力をチャンバ123内に配置された媒体24及び振動可能部材114Aに伝達しかつ振動部材(または振動膜)から測定環境に配置された外側の媒体まで圧力波を伝達するために第1の平坦な部分150Aが動くことを許容する。
【0166】
図10は、本発明の別の実施形態に基づき波形部分を有する機械的にコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【0167】
図10のセンサ210は、図1のセンサ10に機能的には類似するが構造的には同一でない。センサ10と210の同様の構成部分には同様の符号を付している。センサ210には、コンプライアントな部材21が含まれる。図10のコンプライアントな部材21は、図1のコンプライアントな部材20とは異なる。図10のコンプライアントな部材21は、第1の平坦な部分210A、第2の平坦な部分21B、波形部分21Cを含む機械的にコンプライアントな部材である。第2の平坦な部分21Bは、スペーサ19に気密に取り付けまたは接着することができる。(図1のスペーサ18に関して既に詳細に開示したように)スペーサ19を基体層12に気密に取り付けまたは接着し、センサ110に関して既に詳細に開示したように実質的に非圧縮性の媒体24(例えば実質的に非圧縮性の液体またはゲルなど)で充填され得る気密チャンバ23を形成することができる。第1の平坦な部分21A、第2の平坦な部分21B、波形部分21Cは、コンプライアントな部材21の近接部分であるのが好ましい(必須ではない)。波形部分21Cは、センサ210外の圧力をチャンバ23内に配置された媒体24及びセンサ210の振動可能な膜14A、14B、14Cに伝達するために第1の平坦な部分21Aが動くことを許容する。波形部分21Cはまた、振動可能な膜14A、14B、14Cの圧力波が保護センサの外側の測定環境における媒体に伝達されることも可能にする。
【0168】
センサ210には、スペーサ19が含まれる。(図10の)スペーサ19の寸法は、とりわけコンプライアントな部材21の被選択寸法により、(図1の)スペーサ18の寸法と異なるかまたは(図1の)スペーサ18の寸法と同じであることがある。
【0169】
図面(図1〜10)の種々の部分(部品)及び構成部分は一定の縮尺で描かれているわけではなく、寸法及び形状は(分かり易く図解するため)例示目的のみに描かれたものであり、種々の例示した構成部分の実際の寸法を表しているとは限らないことにも留意されたい。例えば、(図1の)第2の層14の振動可能な膜14A、14B、14Cの曲率は、実際のセンサの振動可能な膜の実際の曲率に対して(例示を目的として)かなり誇張されている。
【0170】
本明細書中で上記開示しかつ図1〜10に示したセンサの特定の例は圧力測定のために適合されているが、当該分野で公知であるように、そして本明細書中で上記開示したように、本発明の保護センサを温度センサとして用いることもできることに更に留意されたい。一般的には、被測定パラメータがセンサの振動可能部分または振動可能な膜の共振周波数に影響を及ぼすならば、本発明の保護センサを用いて測定環境内で他の物理パラメータを決定することも可能である。
【0171】
本明細書中で上記開示しかつ図面に示したセンサは複数の振動可能な膜を有するセンサ(多膜センサ)として実現されているが、本発明の保護センサは、限定されるものではないが、とりわけ特許文献2〜4に開示されているセンサ、または当該分野で公知である他のセンサなど、単一の振動可能な膜または単一の振動可能部分を有するセンサとして実現されることもあることに更に留意されたい。そのようなセンサは全て、コンプライアントな部材及び非圧縮性媒体を適切に用いて、非圧縮性媒体がセンサの振動可能部分にまたは振動可能部分に結合される適切なカプラに被測定物理変数を伝達するような非圧縮性媒体で充填される気密チャンバを形成することによって、保護センサとして実現されることがある。
【0172】
当業者に明らかなように、本発明の保護センサを用いて、種々の異なる測定方法を用いることによって物理変数の値を決定することができる。例えば、本発明の保護センサを問い合わせるために超音波の連続ビームまたはパルスビームまたはチャープビームを用いることによって、そして、当該分野で公知であるように、センサによる励起ビームのエネルギーの吸収またはセンサから発信されるかまたはセンサに戻される超音波信号のいずれかを測定することによって、本明細書中で上記開示した保護センサ振動可能部分のまたは振動可能な膜の共振周波数を決定することができる。そのようなパッシブセンサの共振周波数の測定を行う方法及びシステムは、特許文献2〜6に詳細に開示されている。
【0173】
しかしながら、本明細書中で上記開示した共振センサを保護する方法は、本明細書中で上記開示したパッシブ超音波センサまたは本明細書中で上記開示した特定の測定方法に限定されるものではなく、限定されるものではないが、パッシブ共振センサ、アクティブ共振センサ、光学的に問い合わせられるアクティブまたはパッシブ共振センサ、容量性共振センサ、または当該分野で公知である他の共振センサであって音波または超音波ビームによって問い合わせられる限りその共振構造の少なくとも一部が測定環境または媒体に曝されるような他の共振センサなど任意の型の共振センサと共に用いるのに適した様式の測定方法に適用することができることに留意されたい。
【0174】
更に、本発明の保護センサ(例えば保護センサ10の気密チャンバ22など)の作製中に気密チャンバを媒体24で充填して密閉するとき、気密チャンバに気泡または空気の泡を閉じ込めることを避けるように注意されたい。測定を行うためのそのような気泡または気体で充填された空間を含む保護センサを用いることは尚も可能であろうが(とりわけ、そのような気泡または気体で充填された空間のサイズ及び断面積に依る)、非圧縮性媒体24に閉じ込められたそのような気泡または任意の量の気体または空気は、保護センサの性能に望ましくない影響を及ぼすかまたは性能を低下させることがある。と言うのも、そのような気泡などは、気密チャンバ中の媒体に圧縮性部分(空間中の気体または気体を含む泡)を導入し、これが、保護センサの振動可能な膜(例えばセンサユニット82の振動可能な膜14A、14B、14Cなど)が受ける実際の圧力に影響を及ぼすことがあり、同様に、ある一定の測定誤差を生じさせることがあるためである。さらに、気密チャンバに包含される媒体24に閉じ込められた気泡は、ビームの問い合わせ超音波の一部を反射または散乱させることがあり、これはセンサの性能または測定システムの性能に望ましくない影響を及ぼすこともある。
【0175】
更に、本発明の保護センサ及びその一部を多層材料で作製することができる。例えば、本明細書中に開示されかつ図面に示されている保護センサの作製に用いられる凹型基体、スペーサ、ハウジング、固着装置のいずれも、(任意で)2層以上の材料を含む多層構造として形成することができる。更には、そのような多層構造が保護センサの一部で用いられているとき、ある層が別の層と同じ材料を含んでも含まなくてもよい。
【0176】
更には、本明細書中で上記開示した例では本発明の保護センサを実現するために特定の典型的なゲルの種類を用いることができるが、多くの他種類のゲルも用いることができる。例えば、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール(PVAL)ベースのゲル、ポリビニルピロリドン(PVP)ベースのゲル、ポリエチレンオキシド(PEO)ベースのゲル、ポリビニルメチルエステル(PVME)ベースのゲル、ポリアクリルアミド(PAAM)ベースのゲル、または当該分野で公知である他の種類の適切なゲルまたはヒドロゲルまたは脂質ゲル、または疎水性ゲル、または親水性ゲルなど他の種類のゲルを用いて本発明の保護センサを実現することができる。
【0177】
選択されたゲル形成方法に単量体を形成する適切なゲルを含む混合物の重合(架橋剤の有無は問わない)が含まれるとき、当該分野で公知である適切な方法によって重合を誘導することができることに留意されたい。例えば1つの可能なゲル形成方法は、単量体(と、状況に応じて架橋剤と)を含む溶液に重合開始剤を加えることである。重合開始剤は、限定されるものではないが、ポリアクリルアミド形成単量体の使用時には過硫酸カリウム、または当該分野で公知である他の適切な重合開始化合物など、適切な遊離基形成剤であってよい。しかしながら、適切な波長を有する光(限定されるものではないが、紫外線、または他の適切な波長を有する光など)を適切な単量体溶液(適切な架橋剤または他のコポリマーの有無は問わない)に照射するかまたは他のタイプの電離放射線または他のタイプの放射線を用いるなど、単量体の重合(または異なる単量体の混合)を開始する他の方法を用いることもできる。しかしながら、当該分野で公知である他の適切な重合開始方法を用いて、本発明の保護センサが含まれるゲルを形成することができる。当該分野で公知であるような多くの他の種類のゲル及びゲル形成方法を本発明において用いることができることに更に留意されたい。そのようなゲルには、限定されるものではないが、アガロース、アルギン酸塩、ゼラチン、種々の多糖類ベースのゲル、タンパク質ベースのゲル、合成ポリマーベースのゲル(架橋及び非架橋ポリマーベースのゲルを含む)などが含まれることがある。
【0178】
本発明の保護センサ及びその一部を多層材料で作製することができることに更に留意されたい。例えば、本明細書中に開示されかつ図面に示されている保護センサのいずれかの作製に用いられる凹型基体、スペーサ、ハウジング、及び固着装置のいずれも、(任意で)2層以上の材料を含む多層構造とすることができる。更に、保護センサの一部でそのような多層構造が用いられるとき、ある層が別の層と同じ材料を含むこともあるし含まないこともある。
【0179】
更に、本発明の保護センサに用いられるセンサユニットの振動可能部材(または共振部材)は多くの異なる形状及び/または幾何学形状を有し得ることにも留意されたい。例えば、本明細書中で上記開示したパッシブ超音波センサユニットの振動可能な膜(限定されるものではないが、センサ10、30、50、80、100、110、130、140、180、210の振動可能な膜など)は、当該分野で公知であるように、円形形状、矩形形状、多角形形状、または当該分野で公知でありかつ振動可能な共振器に適した他の形状を有し得る。例えば、特許文献6の図2に示されているセンサは、矩形形状の複数の振動可能な膜を有しているが、その他の膜形状を用いることもできる。
【0180】
本発明の保護センサの実施形態は全て単一の近接するコンプライアントな部材を有するものとして説明されているが、本発明の別の実施形態に基づき、センサを改造して、センサユニットに、または保護センサのハウジングに、またはセンサユニットが取り付けられるアンカーまたは支持物に、適切にかつ気密に取り付けられる2つ以上の別個のコンプライアントな部材を含むようにすることができることに更に留意されたい。
【0181】
当業者に明らかなように、本明細書中で上記開示したセンサを保護し保護センサを作製する方法が本明細書中で開示及び説明された種々の例示的実施形態に限定されるものではなく、振動可能部分または振動可能部材を有する他の異なるセンサに適用することができる。例えば、本明細書中で上記開示した方法を特許文献3及び4に記載のパッシブ超音波センサに適用し、本発明の範囲及び精神に含まれると考えられる保護パッシブ超音波センサを作製することができる。従って、本発明の保護センサを作製するために用いられるセンサユニットの振動可能部材または振動可能な膜を凹型層の薄い一体部分(例えば、特許文献3の図7のセンサ90の膜91など)として形成することができる。このように、本明細書中に開示されている、共振センサユニット、実質的に非圧縮性の媒体、コンプライアントな部材を用いて保護センサを作製する方法は、一般的な方法であり、当該分野で公知である他の適切なパッシブ及びアクティブ共振センサに一般的に適用することができる。
【0182】
本明細書中で上記開示しかつ図面に示した全ての保護センサには1若しくは複数のパッシブ共振センサユニットが含まれるが、本発明の保護センサは共振センサユニットのみに限定されるものではなく、追加型のセンサユニットを含むことができることに留意されたい。このように、本発明の保護センサには、当該分野で公知である他の適切な型のセンサユニットを含めることもできる。例えば、本発明の一実施形態に基づけば、保護センサには、本明細書中で上記開示した1若しくは複数の共振圧力センサユニット及び当該分野で公知である適切な型の追加の非共振温度センサユニット(図示せず)が含まれることがある。そのような温度センサユニットは、保護センサのチャンバ内に配置されてもされなくてもよい。例えば、そのような非共振温度センサが図3に示す型の保護センサに含まれるならば、追加の温度センサユニットを気密チャンバ52の媒体24内に配置するか、或いは、追加の温度センサユニットをハウジング54に適切に取り付けて気密チャンバ52の外側に配置されるようにすることができる。そのような非共振温度センサユニット(または他の物理的または化学的パラメータを測定するための他種類の非共振センサユニット)は、ハウジング54内に埋め込まれるかまたは形成されるかまたは含められるかまたは適切に取り付けられることもある。
【0183】
従って、当業者に明らかなように、多くの他の型の共振センサユニットと非共振センサユニットの組合せを本発明の保護センサに実装することができる。当該分野で公知であるように、そのようなセンサユニットの組合せの非共振センサユニットを、測定環境において所望の物理または化学パラメータを決定するべく構成することができる。従って、そのような共振及び/または非共振センサユニットの組合せを含む保護センサは、本発明の範囲及び精神に含まれる。
【0184】
本発明の保護センサが血液に接触して配置されるように構成される実施形態において(限定されるものではないが、血管系または心血管系の他の部分に埋め込まれるように設計された保護圧力センサなど)、血液に接触するセンサの部分は、当該分野で公知であるように、血液適合性材料から製作するかまたは血液適合性材料で適切にコーティングするのが好ましいことに留意されたい。血液適合性材料の使用は、とりわけ、血液凝固、血球堆積、または他の負の影響を低減または予防するので有利であることがある。
【0185】
チャンバ22(図1)、32(図2)、52(図3)、90(図4)、90A〜90C(図5)、122(図6)、142A及び142(図7)、102(図8)、123(図9)、23(図10)は気密チャンバとして描かれているが、これは必須ではないことに更に留意されたい。従って、チャンバ22、32、52、90、90A、90B、90C、122、142A、142、102、123、23を充填する媒体24がゲルであるとき、チャンバ22、32、52、90、90A、90B、90C、122、142A、142、102、123、23はオープンチャンバ(図1〜図10には図示せず)であってもよく、必ずしも完全に密閉する必要はない。
【0186】
例えば、センサにゲル24を流し込んだ後にセンサ10のコンプライアントな部材20をスペーサ18に接着または取り付けるのであれば、センサの性能は気密チャンバであるチャンバ22には実質的に依存しないので、コンプライアントな部材20は形成されたチャンバ22を十分にかつ完全に密閉する必要がない。従って、コンプライアントな部材20をスペーサ18に非気密に取り付けてもよい。
【0187】
別の例においては、(既に詳細に開示したように)開口部25を介して図6のセンサ110のチャンバ122をゲルで充填するとき、開口部25を(図6に関連して説明したようにシーリング材27により閉じないことによって)開けたままにしておくことができる。ゲル化完了後には、開口部25が開いたままであっても固化したゲルはチャンバ122内に留まることになる。代わりに、チャンバ122内でゲルを用いるとき、液体で充填されるチャンバに関して既に詳細に開示したように開口部25をシーリング材27で閉じることによってチャンバ122を密閉することもできる。
【0188】
同様に、ゲルを媒体24として用いるとき、既に例示したように、1若しくは複数の適切な開口部(図示せず)を他のセンサの適切な部分に設けることができ、共振器としてのセンサの操作に実質的に影響を及ぼすことなくそのような開口部を開けたままにしておくことができる。そのような開口部は、センサの適切な部分に設けることができ、限定されるものではないが、(図1及び2の)基体層12及び/または層14、及び/またはスペーサ18及び/またはコンプライアントな部材20、(図2の)ハウジング34及び/またはコンプライアントな部材20A、(図3の)ハウジング54及び/または基体層62及び/または72、及び/または層64及び/または74及び/またはコンプライアントな部材54B、(図4の)基体層82及び/または層14、及び/またはアンカー88及び/またはコンプライアントな部材87、(図5の)基体82及び/または層14、及び/またはアンカー89及び/またはコンプライアントな部材87、(図6の)基体層112及び/または層114及び/またはコンプライアントな部材120、(図7の)基体132及び/または層144及び/またはスペーサ138及び/またはコンプライアントな部材147、(図8の)センサ5、及び/またはスペーサ18及び/またはコンプライアントな部材20、(図9の)基体112及び/または隆起部112A及び/または層114、及び/またはコンプライアントな部材150、(図10の)基体層12及び/または層14及び/またはスペーサ19及び/またはコンプライアントな部材21に設けることができる。
【0189】
しかしながら、ここで示したセンサの特定の例はほんの一例であり、本発明の範囲内で多くの他のセンサ構成が可能であるので、とりわけ、共振センサの構造及び構成、コンプライアントな部材の構造及び構成、スペーサまたはハウジング、アンカー、または他のセンサ部品の存在及び構造次第で、本発明の保護センサの他の適切な部分及び/またはセンサの異なる部分間に(例えば、スペーサ18を基体層12に非気密にまたは不完全に取付けまたは接着することによりセンサ10の基体層12とスペーサ18の間に開口部を形成することによって)そのような開口部を形成することができる。
【0190】
(センサ110の開口部25に対して詳細に開示したように)そのような開口部(図示せず)を介してセンサを媒体24で充填することが可能であるが、これは必須ではなく、詳細に開示したように、または当該分野で公知であるように、センサを媒体24(ゲルまたは液体のいずれか)で充填する他の方法を用いることができることに留意されたい。
【0191】
本明細書中に開示されている保護センサの全てにおいて(コンプライアントな部材の有無を問わず)、特別な所望の特性を有する薄いコンプライアントな材料層で保護センサまたはセンサの一部分(限定されるものではないが、センサのハウジング及び/またはセンサユニットの非振動可能部分または保護センサのコンプライアントな部材など)の表面全体をコーティングまたはカバーすることが可能である(分かり易く図解するため、被覆層(covering layer)は図示していないことに留意されたい)。被覆層の追加は、センサの組立てまたは作製の前、途中または後で、特定のセンサ型に適したときに行うことができる。そのような被覆層がコンプライアントな部材上に加えられるとき、層の材料を十分にコンプライアントなであるものとし、被覆層は、測定環境におけるコンプライアントな部材及び/または媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しい音響インピーダンスを有することができるのが好ましい。
【0192】
被覆層は、センサの性能を損なわないように十分にコンプライアントなものであることとする。被覆層には、所望の特性を有し得る1若しくは複数の材料を含めることができるか、またはセンサユニットまたは保護センサの任意の部分に所望の特性を与えることができるか、または望ましい効果を達成することができる。例えば、被覆層に1若しくは複数の親水性材料または疎水性材料を含めて保護センサまたはその一部に所望の親水性または疎水性特性をそれぞれ与えるようにすることができる。更に、被覆層には、限定されるものではないがコーティング層の表面に接触する流体または液体の流れに対する抵抗(または摩擦係数)など所望の流体力学上の表面特性を有し得る1若しくは複数の材料を含めることができる。
【0193】
さらに、被覆層には、1若しくは複数の所望の生物学的特性を有し得る1若しくは複数の材料が含まれることがある。例えば、そのような材料は、当該分野で公知であるように、生物組織または細胞の成長に影響し得る。生物学的作用には、限定されるものではないが、内皮細胞成長(または内皮細胞単分子層成長)の誘導または阻害、血餅形成への影響、血球堆積及び/または接着の阻害または促進、または当該分野で公知である他の望ましい生物学的作用を含めることができる。
【0194】
二者択一的にまたは付加的に、当該分野で公知である保護センサまたはその一部分の表面特性を変えるために有用な適切な表面処理または表面改質法を用いて、保護センサのコンプライアントな部材または保護センサの他の部分(限定されるものではないが、センサのハウジング、センサアンカー、スペーサなど)の他の表面の表面特性改質も本発明に含まれる。そのような方法には、当該分野で公知であるように、任意の化学的及び/または物理的表面改質法が含まれ得る。例えば保護センサまたはその一部を化学的に処理して、限定されるものではないが、化学的表面特性、表面疎水性、表面親水性、流体力学的表面特性、生物学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗などの表面特性を変化させることができる。化学処理は、当該分野で公知であるような化学基の表面を化学的に改質すること(例えば表面ヒドロキシル基のシラン処理など)によって、または種々の異なる化学分子または成分または生体分子を表面に適切に付着させることによって(結び付ける分子または薬剤の使用の有無を問わず)のいずれかにより達成することができる。そのような分子または剤には、当該分野で公知であるように、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、薬剤、多糖類、脂質、糖脂質、リポ、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調整因子、成長阻害因子、成長促進因子、凝固阻止薬、抗凝固剤、腫瘍阻害薬、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗癌剤、または所望の生物学的または治療特性または効果を有する他の種類の分子または因子または薬物または薬剤が含まれることがある。当該分野で公知である適切な方法を用いて、そのような表面誘導体化または表面改質または表面処置、または本発明の保護センサの所望の表面への薬剤または分子の表面付着を行うことができる。そのような表面の処置及び/または改質方法は、当該分野で公知であり、ここでは詳述しないことにする。
【0195】
本発明について限られた数の実施形態に関連して説明してきたが、本発明の保護センサの構造、寸法、材料組成、作製方法、及び全て本発明の範囲及び精神に含まれると考えられる本発明の保護センサの他の多くの適用形態に、多くの変更、置換及び改変をなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本発明の一実施形態に基づき複数の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【図2】本発明の追加実施形態に基づきハウジングに封入された保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【図3】本発明の追加実施形態に基づき単一の保護ハウジング内に配置された2つの異なるパッシブ超音波センサユニットを含む保護超音波圧力センサの概略断面図である。
【図4】本発明の追加実施形態に基づきセンサ固着装置または別の埋込型グラフトまたは埋込型装置を用いて作製された保護センサの一部の概略断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態に基づきセンサ固着装置または別の埋込型グラフトまたは埋込型装置内に作製された複数の気密チャンバを有する保護センサの一部の概略断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に基づき単一の振動可能な膜を有する保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【図7】本発明の更に別の実施形態に基づきスペーサ内に形成された複数の気密チャンバを有する複数の振動可能な膜を備えた保護パッシブ超音波圧力センサの概略断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に基づき保護共振センサの一般的形状を示す概略部分断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に基づき波形部分を有する機械的にコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態に基づき波形部分を有する機械的にコンプライアントな部材を含む保護圧力センサを示す概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護共振センサであって、
少なくとも1つの共振センサユニットと、
コンプライアントな部材と、
前記少なくとも1つのチャンバ内に配置された実質的に非圧縮性の媒体とを含み、
前記少なくとも1つの共振センサユニットの各センサユニットが、少なくとも1つの振動可能部材を有し、
前記コンプライアントな部材が、少なくとも1つのチャンバの一部を形成し、前記コンプライアントな部材が、第1側面と第2側面とを有し、前記第1側面が、測定環境において第1媒体に曝されるように構成され、
前記実質的に非圧縮性の媒体が、前記少なくとも1つの共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材と、前記コンプライアントな部材の前記第2側面とに接していることを特徴とする保護センサ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのチャンバが、前記少なくとも1つの振動可能部材への異物の堆積を防止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項3】
前記媒体が、実質的に非圧縮性の液体であり、
前記少なくとも1つのチャンバが、気密チャンバであることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項4】
前記媒体が、実質的に非圧縮性のゲルであり、
前記少なくとも1つのチャンバが、気密チャンバと非気密チャンバとから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項5】
前記保護共振センサが、支持装置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項6】
前記支持装置が、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、繋ぎ止められた内視鏡機器、繋ぎ止められた内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、埋込型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択されることを特徴とする請求項5に記載の保護センサ。
【請求項7】
前記実質的に非圧縮性の媒体が、前記少なくとも1つのチャンバを完全に充填することを特徴とする請求項1に記載の保護センサ
【請求項8】
前記実質的に非圧縮性の媒体が、実質的に非圧縮性の液体と実質的に非圧縮性のゲルとから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項9】
前記実質的に非圧縮性の媒体が、水、水性溶液、1若しくは複数のシリコンベースの化合物を含む液体、ダウコーニング710(R)シリコーン溶液、フロリナートFC40液体、フロリナートFC70液体、低蒸気圧の液体、及びその組合せから選択される1若しくは複数の液体を含む液体であることを特徴とする請求項8に記載の保護センサ。
【請求項10】
前記実質的に非圧縮性の媒体が、合成ゲル、天然ゲル、ヒドロゲル、脂質ゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、生物適合性ゲル、血液適合性ゲル、ポリマーベースのゲル、架橋ポリマーベースのゲル、及びその組合せからなる群から選択されるゲルであることを特徴とする請求項8に記載の保護センサ。
【請求項11】
前記実質的に非圧縮性の媒体の音響インピーダンスが、前記測定環境の前記第1媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項12】
前記保護センサが、生物内に埋め込むように構成された埋込型保護センサであり、
前記実質的に非圧縮性の媒体の音響インピーダンスが、前記生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項11に記載の保護センサ。
【請求項13】
前記コンプライアントな部材の音響インピーダンスが、前記測定環境の前記第1媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項14】
前記保護センサが、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、
前記コンプライアントな部材の音響インピーダンスが、前記生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項13に記載の保護センサ。
【請求項15】
前記センサが、前記コンプライアントな部材に取り付けられて前記少なくとも1つのチャンバを形成するハウジングを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項16】
前記ハウジングが、金属、金属合金、チタン、白金、ステンレス鋼、形状記憶合金、ニチノール(登録商標)、セラミック材料、複合材料、シリコン、ガラス、窒化物、カーバイド、金属酸化物、非金属酸化物、ポリマーベースの材料、及びその組合せから選択される1若しくは複数の物質を含むことを特徴とする請求項15に記載の保護センサ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載の保護センサ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのチャンバが、少なくとも1つの気密チャンバを含み、
前記ハウジングが、前記コンプライアントな部材に気密に取り付けられて、前記少なくとも1つの気密チャンバを形成することを特徴とする請求項15に記載の保護センサ。
【請求項19】
前記保護センサが、前記少なくとも1つのチャンバを形成するために前記少なくとも1つの共振センサユニットと前記コンプライアントな部材に取り付けられた少なくとも1つのスペーサ部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスペーサ部材が、前記少なくとも1つの共振センサユニット及び前記コンプライアントな部材の一方に気密に取り付けられ、前記少なくとも1つの共振センサユニット及び前記コンプライアントな部材の残りの一方に非気密に取り付けられて、前記少なくとも1つのチャンバを形成することを特徴とする請求項19に記載の保護センサ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのチャンバが、少なくとも1つの気密チャンバを含み、
前記少なくとも1つのスペーサ部材が、前記少なくとも1つの共振センサユニット及び前記コンプライアントな部材に気密に取り付けられて、前記少なくとも1つの気密チャンバを形成することを特徴とする請求項19に記載の保護センサ。
【請求項22】
前記少なくとも1つのチャンバが、
センサ固着装置内に形成された少なくとも1つのチャンバと、
センサ固着装置の一部を含む少なくとも1つのチャンバと、から選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項23】
前記センサ固着装置が、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型グラフト、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、繋ぎ止められた内視鏡機器、繋ぎ止められた内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、埋込型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択されることを特徴とする請求項22に記載の保護センサ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、パッシブ共振センサユニットと、アクティブ共振センサユニットとから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項25】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、パッシブ超音波共振センサユニットと、アクティブ超音波共振センサユニットとから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、圧力センサ、パッシブ超音波圧力センサ、温度センサ、及び測定環境において化学種の濃度を検知するセンサから選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項27】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、
内部に1若しくは複数の凹部が形成された基体と、
前記基体に気密に取り付けられて前記共振センサユニット内に1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを形成する第2の層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項28】
前記少なくとも1つの共振センサユニットの前記少なくとも1つの振動可能部材が、
前記基体の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材と、
前記1若しくは複数の凹部の上にある前記第2の層の一部を含む少なくとも1つの振動可能部材と、から選択されることを特徴とする請求項27に記載の保護センサ。
【請求項29】
前記1若しくは複数の気密センサユニットチャンバの各気密センサユニットチャンバが、内部に圧力レベルを有することを特徴とする請求項27に記載の保護センサ。
【請求項30】
前記圧力レベルが、ゼロ圧力レベルと、非ゼロ圧力レベルとから選択されることを特徴とする請求項29に記載の保護センサ。
【請求項31】
前記保護センサが、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する第1の共振センサユニットと、1若しくは複数の気密センサユニットチャンバを有する少なくとも第2の共振センサユニットとを有し、
前記第1の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルが、前記少なくとも第2の共振センサユニットの少なくとも1つの気密センサユニットチャンバ内の圧力レベルと異なることを特徴とする請求項29に記載の保護センサ。
【請求項32】
前記少なくとも1つの共振センサユニットが、
単一の振動可能な膜を有する少なくとも1つのパッシブ超音波圧力センサと、
複数の振動可能な膜を有する少なくとも1つのパッシブ超音波圧力センサと、から選択されることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項33】
前記コンプライアントな部材が、ポリマーベースの材料、プラスチック材料、カプトン(登録商標)、ポリウレタンベースのポリマー、エチルビニルアセテートベースのポリマー、Echothane(登録商標)、CPC-41 Echothane(登録商標)、CPC-29 Echothane(登録商標)、及びパリレン(登録商標)ベースのポリマーから選択されるコンプライアントな材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項34】
前記保護センサが、埋込型保護センサであり、
前記埋込型保護センサの構成部分の1若しくは複数が、生物適合性材料及び血液適合性材料から選択される1若しくは複数の材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項35】
前記保護センサが、目、尿道、心室、心血管系、心血管系の一部、血管内修復後の動脈瘤嚢、脊椎、椎間板、脊髄、脊柱、頭蓋内区画、血管の腔内空間、動脈、静脈、大動脈、肺血管、頚動脈血管、脳血管、及び冠状動脈、大腿動脈、腸骨動脈、肝動脈、腎動脈、大静脈から選択される測定環境内に埋め込まれるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の保護センサ。
【請求項36】
保護共振センサを提供する方法であって、
少なくとも1つのコンプライアントな部材を有する少なくとも1つのチャンバに1若しくは複数の共振センサユニットを封入する過程を含み、
前記1若しくは複数の共振センサユニットの各センサユニットが少なくとも1つの共振部を有し、前記少なくとも1つのチャンバが実質的に非圧縮性の媒体で充填され、前記少なくとも1つのコンプライアントな部材が前記少なくとも1つのチャンバの壁のの少なくとも一部を形成し、前記少なくとも1つのコンプライアントな部材及び前記少なくとも1つの共振部が前記実質的に非圧縮性の媒体に接触していることを特徴とする方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つのコンプライアントな部材が、ポリマーベースの材料、プラスチック材料、カプトン(登録商標)、ポリウレタンベースのポリマー、エチルビニルアセテートベースのポリマー、Echothane(登録商標)CPC-41、CPC-29 Echothane(登録商標)、及びパリレン(登録商標)ベースのポリマーから選択されるコンプライアントな材料を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記媒体が液体であり、前記封入過程が、前記少なくとも1つのチャンバにおいて前記1若しくは複数の共振センサユニットを気密に封入して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記実質的に非圧縮性の媒体が、水、水性溶液、1若しくは複数のシリコンベースの化合物及びゲルを含む液体、ダウコーニング710(R)シリコーン溶液、フロリナートFC40液体、フロリナートFC70液体、低蒸気圧の液体、及びその組合せから選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記ゲルが、天然ゲル、ヒドロゲル、脂質ゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、生物適合性ゲル、血液適合性ゲル、ポリマーベースのゲル、架橋ポリマーベースのゲル、及びその組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記実質的に非圧縮性の媒体の音響インピーダンスが、前記保護センサが配置される測定環境に含まれる媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記保護センサが、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、
前記実質的に非圧縮性の媒体の音響インピーダンスが、前記生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コンプライアントな部材の音響インピーダンスが、前記保護センサが配置される測定環境に含まれる媒体の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記保護センサが、生物内に埋め込まれるように構成された埋込型保護センサであり、
前記コンプライアントな部材の音響インピーダンスが、前記生物の少なくとも1つの組織液または体液の音響インピーダンスに近いかまたは等しいことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記1若しくは複数の共振センサユニットが、パッシブ共振センサユニット、アクティブ共振センサユニット、パッシブ超音波共振センサユニット、アクティブ超音波共振センサユニット、圧力センサユニット、温度センサユニット、測定環境において化学種の濃度を検知するセンサ、及びその組合せから選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記封入過程が、
ハウジング内に前記1若しくは複数の共振センサユニットを配置する過程と、
前記実質的に非圧縮性の媒体で前記ハウジングを充填する過程と、
前記ハウジングに前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて前記少なくとも1つのチャンバを形成する過程と、を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つのチャンバが、気密チャンバであり、
前記取付過程が、前記ハウジングに前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に取り付けて前記少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記配置過程が、前記ハウジングに前記1若しくは複数の共振センサユニットを取り付ける過程を含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記封入過程が、
ハウジング内前記1若しくは複数の共振センサユニットをに配置する過程と、
前記ハウジングに前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて前記少なくとも1つのチャンバを形成する過程と、
前記実質的に非圧縮性の媒体で前記少なくとも1つのチャンバを充填する過程と、を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記封入過程が、前記少なくとも1つのチャンバを密閉して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を更に含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記配置過程が、前記ハウジングに前記1若しくは複数の共振センサユニットを取り付ける過程を含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記充填過程が、前記少なくとも1つのチャンバの壁に形成された少なくとも1つの開口部を介して前記少なくとも1つのチャンバを前記実質的に非圧縮性の媒体で充填する過程を含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの開口部が、前記ハウジング内に形成された少なくとも1つの開口部を含むことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つのチャンバが、センサ固着装置内に形成された少なくとも1つのチャンバと、センサ固着装置の一部を含む少なくとも1つのチャンバから選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項55】
前記センサ固着装置が、センサアンカー、センサ・ポジショナ、埋込型 グラフト、センサ固定装置、インプラント、埋込型装置、埋込型 グラフト、埋込型装置の一部、ペースメーカ、ペースメーカの一部、除細動器、除細動器の一部、埋込型電極、挿入型電極、内視鏡機器、内視鏡機器の一部、自律的な内視鏡機器、自律的な内視鏡機器の一部、繋ぎ止められた内視鏡機器、繋ぎ止められた内視鏡機器の一部、埋込型カテーテル、挿入型カテーテル、ステント、ステントの一部、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの一部、挿入型の治療物質放出装置、挿入型の治療物質放出装置から選択されることを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記封入過程が、
少なくとも1つのスペーサ部材を前記1若しくは複数の共振センサユニット取り付ける過程と、
前記少なくとも1つのスペーサ部材に前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて前記少なくとも1つのチャンバを形成する過程と、
前記少なくとも1つのチャンバを前記実質的に非圧縮性の媒体で充填する過程とを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の取付過程、前記第2の取付過程、及び前記充填過程が、請求項56に記載されている順に実行され、
前記少なくとも1つのチャンバを密閉して少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を更に含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第2の取付過程が、前記充填過程の後で実行され、
前記第2の取付過程が、前記少なくとも1つのスペーサ部材に前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を取り付けて前記少なくとも1つのチャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の取付過程が、前記少なくとも1つのスペーサ部材に前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に取り付けて少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2の取付過程が、前記充填過程の後で実行され、
前記取付過程が、前記少なくとも1つのスペーサ部材上及び前記実質的に非圧縮性の媒体上で前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を形成して前記少なくとも1つのチャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記形成過程が、化学蒸着法を用いて前記少なくとも1つのスペーサ部材上及び前記実質的に非圧縮性の媒体上に前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を蒸着して前記少なくとも1つのチャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つのチャンバが、気密チャンバであり、
前記第2の取付過程が、前記少なくとも1つのスペーサ部材上及び前記実質的に非圧縮性の媒体上で前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に形成して前記少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記気密形成過程が、化学蒸着法を用いて前記少なくとも1つのスペーサ部材上及び前記実質的に非圧縮性の媒体上に前記少なくとも1つのコンプライアントな部材を気密に蒸着して前記少なくとも1つの気密チャンバを形成する過程を含むことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記充填過程が、前記第2の取付過程の後で行われ、
前記少なくとも1つのチャンバを前記実質的に非圧縮性の媒体で充填する過程が、前記少なくとも1つのチャンバの前記壁における前記少なくとも1つの開口部を介して行われることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記充填過程の後に、前記少なくとも1つのチャンバの前記壁における前記少なくとも1つの開口部を密閉する過程を更に含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記充填過程が、
前記少なくとも1つのチャンバ内に真空を形成する過程と、
前記保護センサを前記液体に配置して前記少なくとも1つの開口部を前記液体により覆う過程と、
前記液体をして前記少なくとも1つのチャンバの充填を可能にする過程と、を含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記実質的に非圧縮性の媒体が、ゲルであり、
前記液体が、ゲル形成液体であり、
前記方法が、前記ゲル形成液体をして前記少なくとも1つのチャンバにおけるゲルの形成を可能にする過程を更に含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記ゲル形成液体が、
ゲル化して前記ゲルを形成することが可能な液化形状の前記ゲルと、
反応して前記ゲルを形成することが可能な反応物を含む液体ゲル前駆物質と、から選択されることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記1若しくは複数の共振ユニットの前記少なくとも1つの共振部が、前記少なくとも1つの気密チャンバの壁の一部を形成することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項70】
前記保護センサの少なくとも一部に被覆層を形成して前記保護センサの表面の少なくとも一部の表面特性を改質する過程を更に含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項71】
前記被覆層が、その表面特性を変化させるために前記少なくとも1つのコンプライアントな部材に形成されることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記表面特性が、物理的表面特性、化学的表面特性、電気化学的表面特性、生物学的表面特性、流体力学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗、及びその組合せから選択されることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記保護センサの表面の少なくとも一部を処理して前記保護センサの前記少なくとも一部の表面特性を改質する過程を更に含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項74】
前記処理過程が、その表面特性を変化させるために前記少なくとも1つのコンプライアントな部材上で行われることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記表面特性が、物理的表面特性、化学的表面特性、電気化学的表面特性、生物学的表面特性、流体力学的表面特性、細胞または組織の堆積に対する表面抵抗、及びその組合せから選択されることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記処理過程が、前記保護センサの表面の少なくとも一部を化学的に処理して前記保護センサの表面の少なくとも一部の表面特性を改質する過程を含むことを特徴とする請求項73に記載の方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−503583(P2007−503583A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524526(P2006−524526)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000724
【国際公開番号】WO2005/022110
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506064887)マイクロセンス・カーディオバスキュラー・システムズ・1996 (1)
【氏名又は名称原語表記】MICROSENSE CARDIOVASCULAR SYSTEMS 1996
【住所又は居所原語表記】Kiryat Atidim, Bldg.3, 61581 Tel Aviv, Israel
【Fターム(参考)】