説明

共有結合性有機骨格及び多面体

【課題】
【解決手段】
共有結合性有機ネットワークは、複数のリンキンググループによって互いに結合した複数のホウ素含有クラスタを含む。この共有結合性有機ネットワークは、少なくとも2つの異なるホウ素含有クラスタに結合した各リンキンググループを有することによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2004年10月22日に出願された米国暫定出願第60/621,410号の利益を主張する。
【0002】
本発明の分野
少なくとも1つの態様では、本発明は共有結合性有機ネットワーク及び共有結合性有機ネットワークを形成する方法に関する。
【0003】
背景技術
共有結合性有機ネットワークの形成は、とらえ所のない目標であり、分子設計と有機化学における魅力的な挑戦であった。これらのネットワークは、特に、強く、速度論的に不活性である共有結合(例えば、C、O、N、B間)からなる周期的に特異な「2−D又は3−D」材料として定義することができる。その刺激的な総合的挑戦に加えて、これらの新しい材料の特性としては、軽量で安価な開始物質、及び潜在的に高い化学的及び熱的安定性を利用する重要な産業上の利用がある。分子レベルの周期的配列における特定の有機単位を用いることによって、特に、構造、官能性、及び材料特性を調整することができる。これを達成するために、拡張したネットワークに変えられる構成単位の構造的又は物理的特性を破壊しない穏和な条件下で、操作する必要がある。
【0004】
共有結合性有機ネットワークは、現存の交差結合性ポリマ及びその他のポリマ材料とは異なり、その特性は、有機結晶性ネットワークが、その材料に固有である明確に規定された分子構造を有するという点で、種々の処理技術の結果である。拡張した構造の選択した有機単位の配置を正確に制御することが、材料特性の最適な開発を可能にするために必要とされる。
【0005】
ダイアモンド、グラファイト、炭化珪素、窒化炭素、及び窒化ホウ素等の、現存の結晶性共有結合性材料は、極めて高圧下(1から10GPa)又は極めて高温下(500から2400℃)で形成する。多くの有機モノマ単位の構造的又は化学的結合性が、これらの条件下で保存されないので、これらの極端な合成条件は、拡張又は官能性構造の形成過程で必要な柔軟性を制限する。
【0006】
穏和な条件下で共有結合性ネットワークを合成することに対する現在の試みは、長距離秩序を持つ周期的分子構造を有する拡張した材料を製造することに、失敗している。このような試みの1つは、反応性非金属交差結合剤のチャネル内への拡散に先立って、水素結合又は金属−配位子相互作用を介して有機成分の前形成(pre−organization)を必要としていた。これは、一方向に配向させた(pre−arranged)有機分子同士を結合し、金属鋳型イオン(template ion)を実質的に除去した。しかし、金属鋳型イオンの除去時に、不完全な重合、又は結晶化の損失がしばしば観察される。
【0007】
気体貯蔵、分離、及び触媒等の工業的利用における多孔性材料の需要が増えている。無機又は金属有機対応物とは対照的な完全有機多孔性材料を用いるいくつかの利点は、有機材料が、重量の点で軽く、より容易に官能化され、より熱安定性が高くなる可能性を有することである。加えて、金属成分無しで拡張構造を用いるという環境的利点がある。
【0008】
ポリマ内で多孔性を生じさせる現在のいくつかの方法には、種々の処理方法又はコロイド系からの製造が含まれる。全てのガラス状ポリマは、いくらかの空隙(void space)(自由体積)を含むが、これは通常全体積の5%未満である。ガラス転位温度以下の溶融状態から急冷することによって、又は膨張したガラス質ポリマから急速に溶媒を除去することによって、剛構造を有するいくつかのガラス質ポリマについて、20%追加した自由体積まで「凍結する」ことが可能である。自由体積が大きいポリマは、現在、気体又は液体を移送するための工業用膜に用いられている。しかしながら、これらの材料における空隙は、相互連結されておらず、従って、気体吸着によって決定される接触可能性が低い表面積を反映する。更に、孔構造は、不規則であり、一様ではない。
【0009】
もう1つの現存の多孔性有機材料のクラスは、嵩のある置換基を有するポリアセチレンを含む。ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(「PTMSP」)の高い気体浸透性は、1983年に観察された。この材料は、自由体積が大きく(〜30%)、気体又は水から有機化合物を分離することができた。PTMSPの安定性は、熱、酸素、放射線、UV光、不規則な孔構造、又は上記の任意の組み合わせによる反応からの微孔質の急速な損失によって、制限される。
【0010】
多孔性有機材料の1つの最近の表示は、固有の微孔質のポリマ(PIMs)である。これらのポリマは、空間に効率的に詰めることができない、剛性が高く回旋状の分子構造に起因して、気体吸着によって測定された比較的大きい表面積(430から850m2/g)を含むことが報告されている。しかしながら、これらの材料は、低い圧力下で、際立ったヒステリシスを示す。
【0011】
フェニルボロン酸の熱脱水は、6員ボロン酸無水物(ボロキシン(boroxine))環を形成することが知られている。1つのボロキシン環(boroxine ring)を含有する分子化合物の結晶構造が研究されているが、マルチトピックボロン酸(multi−topic boronic acid)の縮合から製造した材料については、ほとんど知られていない。
【0012】
本発明の概要
本発明は、少なくとも1つの実施例で、複数のリンキンググループによって結合した複数のホウ素含有クラスタを具える共有結合性有機ネットワークを提供することによって、先行技術の1つ又はそれ以上の問題を解決する。本発明が、少なくとも2つの異なるホウ素含有クラスタに結合した各リンキンググループを有することによって更に特徴付けられる場合、本発明の共有結合性有機ネットワークは、気体の貯蔵用の、特に実用的な軽量性、結晶性、又は半結晶性バルク製造物である。
【0013】
好ましい実施例の詳細な説明
ここで、本発明の現在好ましい化合物又は実施例及び方法を詳細に参照する。これは、発明者に現在知られている本発明を実施する最良の形態を構成する。
【0014】
用語「クラスタ」は、2つ又はそれ以上の原子の識別可能な会合を意味する。このような会合は、典型的には、結合−イオン性、共有結合性、ファンデルワールス等のいくつかのタイプによって、確立される。
【0015】
用語「共有結合性有機ネットワーク」は、共有結合性有機骨格と共有結合性有機多面体の双方をまとめたものを意味する。
【0016】
用語「共有結合性有機多面体」は、非拡張共有結合性有機ネットワークを意味する。このような多面体の重合は、通常、重合を阻害するキャッピング配位子の存在のために起こらない。
【0017】
用語「共有結合性有機骨格」は、リンキンググループによって結合したクラスタを有する拡張共有結合性有機ネットワークを意味する。これらの構造は、ポリマが拡張されるのと同じ意味で拡張される。
【0018】
本明細書で使用されるとき、一方の端には原子を有し、もう一方の端には何もない化学式の線は、この式が、原子が付いていない端において別の実体に結合されている化学フラグメントを意味する。時に、強調のために、波線が、その線と交差している。
【0019】
本発明の一実施例では、共有結合性有機ネットワークが提供されている。本発明の共有結合性有機ネットワークは、複数の有機リンキンググループによって結合された複数のホウ素含有クラスタを具える。共有結合性有機ネットワーク(骨格と多面体の双方)の変形例は、約1から約20,000m/gの表面積を有する。その他の変形例は、約1,000から10,000m/gの表面積を有する。本発明は、少なくとも2つの異なるホウ素含有クラスタに結合した各リンキンググループを有することによって、更に特徴付けられる。本実施例の変形例では、共有結合性有機ネットワークが、拡張構造である共有結合性有機骨格(「COFs」)である。更なる改良点においては、これらのCOFsは、多結晶又は単なる単結晶である結晶性材料である。本発明の共有結合性有機骨格の拡張性により、複数のホウ素含有クラスタは、少なくとも10のホウ素含有クラスタを具える。本発明のその他の変形例では、複数のホウ素含有クラスタが、少なくとも100のホウ素含有クラスタを具える。同様に、共有結合性有機骨格の拡張性により、複数のリンキンググループが、少なくとも10のリンキンググループを具える。その他の変形例では、複数のリンキンググループは、少なくとも100のリンキンググループを具える。共有結合した有機骨格は拡張した構造であるので、変形例は、Reticular Chemistry:Occurrence and Taxonomy of Nets and Grammar for the Design of Frameworks,Ace.Chem.Res.2005,38,176−182に記載されているような金属有機骨格に見出されるネットと類似のネットに形成することができる。この論文の全開示を、参照によって本明細書に援用する。
【0020】
COFsに加えて、本発明の共有結合性有機ネットワークは、共有結合性有機多面体も含む。共有結合性有機多面体は、ネットワークの空間構造が多面体であるような、複数の有機リンキンググループによって結合した複数のホウ素含有クラスタを具える共有結合性有機ネットワークである。典型的には、本変形例の多面体は、2又は3次元の構造である。
【0021】
本発明の重要な変形例では、ホウ素含有クラスタは、式Bによって記載される構造を含み、ここでQは、酸素、硫黄、窒素、又はリンであり;x及びyは、Bの価数を満足する整数であり、zは、0から6の整数である。特に有用な変形例では、ホウ素含有クラスタは、式Bを有する。このようなホウ素含有クラスタの例は、式I及びII:



によって記載される。式Iのホウ素含有クラスタは、3つの異なるリンキンググループに結合することができるが、式IIのクラスタは、少なくとも1つの端上の二座に配位している単一リンキンググループに結合した2つの酸素原子を有する2つの異なるリンキンググループに最も有利に結合する。本発明の別の変形例では、ホウ素含有クラスタは、式IIIからIV:



によって記載され、ここで、R、R’、及びR”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、ハロゲン等である。式IIIの場合は、t−ブチルが、特に有益である。
【0022】
上記のように、複数のホウ素含有クラスタは、複数のリンキンググループによって互いに結合し、拡張した骨格又は多面体を形成する。好適なリンキンググループは、置換又は非置換芳香環、置換又は非置換複素環式芳香環、置換又は非置換非芳香環、置換又は非置換複素環式非芳香環、飽和又は不飽和、置換又は非置換炭化水素基からなる群より選択された1つ又はそれ以上の成分を含む。飽和又は不飽和炭化水素基は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでもよい。本発明の変形例では、リンキンググループは、式V:



によって記載され、ここで、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルである。
【0023】
本発明の別の変形例では、リンキンググループは、式VI:


によって記載され、ここで、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルである。
【0024】
本発明の別の変形例では、リンキンググループは、式VIIからX:




によって記載され、ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであり、Tは、四面体原子(例えば、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ)、又は四面体基、又はクラスタである。
【0025】
本発明の別の変形例では、リンキンググループは、式IX:



によって記載され、A、A、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して、不存在、又は任意の原子、又は安定した(sable)環状構造を形成することができる基であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルである。式VIIIの特別な例は、式XII及びXIIIと、式XII及びXIIIのリンキンググループのアンモニウム塩とによって提供され:



ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルである。
【0026】
本発明の更なる別の変形例では、リンキンググループは、式XIV:



によって記載され、ここで、RからR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであり;nは、1よりも大きいか、又は1に等しい整数である。
【0027】
本発明の更なる別の実施例では、複数のリンキンググループの一部が、第1ホウ素含有クラスタと第1結合を形成し、第2ホウ素含有クラスタと第2結合を形成するリンキンググループを具え、第1結合と第2結合との角度が、180°未満である。このようなリンキンググループの例は、式XV:



によって記載され、ここで、R20、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、エステル、又は、複数のホウ素含有クラスタの員への結合である。この変形例は、RからRの少なくとも2つの基が、複数のホウ素含有クラスタの2つの異なる員へ結合しており、これらの結合角が、180°未満の角度であるという条件で、更に特徴付けられる。
【0028】
このようなリンキンググループの別の例は、式XVI:



によって記載され、ここで、R20からR29は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪酸含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、エステル、又は複数のホウ素含有クラスタ由来の員への結合である。この変形例は、RからR10の少なくとも2つの基が、複数のホウ素含有クラスタの2つの異なる員へ結合しており、これらの結合角が、180°未満の角度であるという条件で、更に特徴付けられる。
【0029】
選択的に、本発明の共有結合性有機骨格又は多面体は、ゲスト種を更に具える。このようなゲスト種は、共有結合性有機ネットワークの表面積を増加させることができる。同様に、本発明の共有結合性有機ネットワークは、吸収化学種を更に具える。このような吸収化学種は、例えば、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、有機染料、多環式有機分子、金属イオン、無機クラスタ、有機金属クラスタ、及びこれらの組み合わせを含む。
【0030】
本発明の別の実施例では、上記の共有結合性有機骨格及び多面体を形成する方法を提供する。本実施例の1つの変形例では、本発明の方法は、選択した拡張結晶性材料に縮合されたモノマを使用する。このようなモノマは、典型的には、モノマの自己縮合を可能にする1つ又はそれ以上のボロン酸基を有する。結晶性製造物は、多結晶又は単結晶のどちらかである。本変形例の1つの例では、ボロキシン環形成及び開裂の可逆性が、単結晶形成について、この系を魅力的にする。一般的に、モノマは、マルチトピックボロン酸又はボロン酸エステル誘導体である。例えば、マルチトピックボロン酸及びボロン酸エステル誘導体の縮合は、表面積が大きい結晶性有機材料を多孔性半結晶性にする。本実施例の別の変形例では、1つ又はそれ以上のボロン酸基(ポリボロン酸)を有する芳香族多価アルコール及び化合物を互いに反応させて、本発明の共有結合性有機骨格又は多面体を形成する。
【0031】
本発明の方法によって、フェニレンビスボロン酸を縮合して、面積の大きい細孔性結晶性化合物を形成する。トリフェニルボロキシンの構造では、中央のB環がほぼ平面であり、フェニル基は、ボロキシン環とほぼ同一平面上にあることが報告されている(スキーム1)。


スキーム1

本発明の方法の1つの変形例では、先行技術は、式XVIIによって記載される化合物の脱水によって拡張し、スキーム2に示すようにCOF−1を形成する。


スキーム2

スキーム1の開始材料及び生成物双方の芳香環は、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと選択的に置換される。
【0032】
スキーム1及び2の反応は、スキーム3及び4によって拡張される。スキーム3によって、フェニルボロン酸と、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン(「HHTP」)との間の脱水反応、即ち三角形構成単位は、新しい5員BO環を与える。


スキーム3

スキーム4は、実質的に同一平面上にある拡張したシート構造の反応を提供する(「COF−5」)。




スキーム4

スキーム4の開始材料と生成物の双方の芳香環は、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと選択的に置換される。
【0033】
Oの共沸除去を伴う芳香族溶媒中のtert−ブチルシラントリオール(「TBST」)とボロン酸の直接縮合は、ホウケイ酸かご型化合物、特に三角形平面SBUと考えられるSiキャップ三角形複プリズム型クラスタ(Si capped trigonal biprismatic cluster)を形成することが知られている。TBSTのバルクtert−ブチル基は、その自己縮合を速度論的に阻害し、縮合及び非晶質ポリシルセキオキサンを形成するため、TBSTは、この共縮合化学用の最もよい試薬であるとして認められている。加えて、ボロン酸と有機トリクロロシラン(即ち、RSiCl)との反応は、HClが、HOというよりむしろ副生成物であるボロケイ酸COFsに到達するための別の経路である。この戦略は、酸/塩基を容易に添加して結晶性COF相の核生成を促進する反応速度を制御することができるので、より利点がある。スキーム5は、分散有機ボロケイ酸クラスタを生成するために知られている反応についての化学反応式を提供する。


スキーム5
【0034】
ポリトピックボロン酸との共縮合へのスキーム5の反応手法の拡張が、ボロキシン環の形成を介して上記のような3−結合したCOFsを生成する新規な戦略を提供する。上に示した分散ボロケイ酸化合物からの構造データから、フェニル環は、前述の分子内水素結合を介してBO平面と、同一平面の構造を取る。そこで、再度、上記の拡張したCOF構造のトポロジィについて上で提供される合理化を、ボロケイ酸COFsについてここで拡張する。初期の研究は、ボロキシンやボロン酸エステルCOFsと比較して、加水分解に対する安定性を改善し、恐らくSBUを覆う油性tert−ブチル基の立体保護によって与えられる性質について指摘している。分散化合物に用いるような芳香族溶媒(例えば、トルエン)中の反応は、COF合成についての論理開始点を示す。スキーム6は、3−結合シートを形成するTBSTとのBDBAの反応の一例である。


スキーム6

上記と同様の方法で、スキーム6の開始材料と生成物の双方の芳香環は、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと選択的に置換される。
【0035】
スキーム7を参照すると、テトラキス[フェニル−4−ボリル(ジヒドロキシ)]メタン(TPBM)の自己縮合が、ボロキシン環形成を介して4,3結合したCOFs(「COF−10」と表す)の分離を引き起こす。スキーム7のTPBMの芳香環は、(生成物の相当する環と共に)アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと選択的に置換される。


スキーム7
【0036】
スキーム8を参照すると、拡張したダイアモンド構造を形成するための、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン(THB)とTPBMの共縮合を示す。本反応では、THBは、COF生成物中のTPBMのフェニル環と同一平面上にある線形結合として作用する。また、TPBM及びYHB中の各芳香環は、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと、選択的に置換される。


スキーム8
【0037】
同様に、スキーム9を参照すると、TPBMとヘキサヒドロキシトリフェニレン(「HHTP」)の反応は、COF−11で表すCOFを合成する経路を提供する:


スキーム9

COF−11は、式XXを有する成分を含む。


【0038】
スキーム10を参照すると、ペンタエリスリトールとBDBAの反応からの1D結晶性ポリマの形成が提供されている。本反応の生成物は、非常に安定であり、事実、水中で最もよく合成される。この生成物の安定した六員環がこの安定性を与えていると考えられている。更に、ペンタエリスリトールは、直鎖として働かない。即ち、−145℃でボロン酸基に結合する。スキーム10は、BDBAとペンタエリスリトールの共縮合を提供する。


スキーム10

同様に、スキーム11は、ペンタエリスリトールとTPBMの共縮合を示し、COF−12を示す共有結合性有機ネットワークを生成する。COF−12は、式XXIを有する成分を含む。また、スキーム10及び11の各芳香環は、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと選択的に置換される。


スキーム11


【0039】
本発明の方法の別の変形例では、ボラジンを生産するためのボロン酸やシリル化アミン(silyated amines)と有機ボロンジクロリド誘導体(organo−borondichloride derivatives)の公知の反応を拡張する。ボラジンCOFsを得るための本手順の拡張は、ボラジン環の芳香族性によって、安定した材料を提供する。有機ボロンジクロリド構成単位は、ボロン酸構成単位を介して、単純で高収率な化学反応を用いるのが好都合であり;アミン試薬は、商業的に入手可能である。ボラジンCOFsの魅力的な特徴は、アミン試薬用の広く入手可能なR基によって提供される誘導体化という手っ取り早い点である。これらの反応は、通常、種々の温度で、非極性有機溶媒中で実施される。


スキーム12

また、スキーム12の各芳香環は、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルと選択的に置換される。
【0040】
次の非限定的例は、本発明の種々の実施例を示す。当業者は、本発明の精神及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識するであろう。
【0041】
I.共有結合性有機骨格の合成
本発明の方法で使用されるビスボロン酸開始材料は、商業的に入手可能であり、又は、容易に合成することもできる。更に、本発明の合成方法は、2つ又はそれ以上の官能性を有する種々のボロン酸及びエステルに拡張されることができる。例えば、ボロキシン環は、三角形構成単位として働き、2つ又はそれ以上の結合点を有する有機結合基は、ネットワーク内にこれらを結合する働きをする。好適な結合基の例は上述の通りであり、芳香族、脂肪族、マルチトピック及び置換ボロン酸及びエステルから誘導することができる。結合基の多様な配列の使用は、異なる分子構造の特に設計した材料の形成を可能にする。
【0042】
ボロン酸開始材料の熱重量測定分析(TGA)は、観察した重量損失が、ボロキシン環形成後に生じた計算された量の水によることが判明した。この値は、XVIIについては21.52重量%(理論値21.72)、XVIIIについては14.10重量%(理論値14.89)である。



XVIIの単独重合によって、所望の拡張した有機骨格を達成するいくつかの方法を調査し、表1にまとめる。
【0043】
表1 1,4−フェニレンビスボロン酸重合体の特徴

【0044】
例1.1,4−フェニレンビスボロン酸の縮合:単独重合。
【0045】
a)固相合成。
真空下(92mtorr)で1日、化合物XVIIを238℃に加熱すると、その結果として生じる白色粉末は、PXRDによる測定で非晶質であり、低圧質量測定窒素収着による測定で無孔である(T=77K)。この結晶性及び孔近接性の欠如は、所望の生成物が形成される合成中の空間充填物質(例えば、溶媒)の必要性を示している。
【0046】
b)溶剤型合成
DMF中の化合物XVIIの飽和溶液を加熱して乾燥させると、合成材料は、低圧質量測定窒素収着による測定で無孔である(T=77K)。気孔率の欠如は、気孔内で骨格に固く結合したDMF分子によるものである。揮発性溶媒、又は穏和な加熱下での減圧を伴う洗浄等の活性化方法は、多孔性材料をもたらすことができ、X線回折は、一般的に、このような材料が結晶性であることを示す。
【0047】
THF及びトリグライム中のXVIIの溶液、又はトルエン中のXVIIの懸濁液を、170℃に2.5日間加熱した後、精製粉末をろ過して、アセトンで洗浄する。この結果として生じた生成物は、粉末X線回折パターンに新しい低角度のピークが生じる(図1)。いくつかの開始物質は、トルエンの場合はそのままであり、式XVIIの化合物は、完全には可溶ではない。
【0048】
例2−COF−1の代替合成。
o.d.×i.d.=10×8mmを測定するパイレックス管を、1,4−ベンゼンジボロン酸(BDBA)(25mg、0.15mmol、Aldrich)及び1mLのメシチレン:ジオキサンの1:1(v:v)溶液で満たす。管を77K(LN2浴)で急速冷凍し、150mtorrの内圧にし、フレームシールする(flame sealed)。シール時に、管の長さを18cmに縮める。反応混合物を、120℃で72時間加熱し、ろ過によって分離し、アセトン(30mL)で洗浄した白色固体を管の底に得る。収量:(CBO)・(C12について17mg、71%。分析。理論値。(CBO)・(C12について:C,63.79;H,4.77。実測値:C,56.76;H,4.34。ゲストS2除去に続いて:分析。CBOについての理論値:C,55.56;H,3.10。実測値:C,51.26;H,2.91。記:有機ホウ素化合物は、一般的に不燃性の炭化ホウ素副生成物の形成によって、微量元素分析で低い炭素値を与える。
【0049】
例3−COF−5の合成。
o.d.×i.d.=10×8mm2を測定するパイレックス管を、1,4−ベンゼンジボロン酸(BDBA)(25mg、0.15mmol、Aldrich)と、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン[(HHTP)16mg、0.050mmol、TCI]と、1mLのメシチレン:ジオキサンの1:1(v:v)溶液と、で満たす。管を77K(LN2浴)で急速冷凍し、150mtorrの内圧にし、フレームシールする。シール時に、管の長さを18cmに縮める。反応混合物を、100℃で72時間加熱し、自由流動性の灰紫色粉末を得る。紫色は、非常に大きい減衰係数を示し、これによって非常に強く着色するHHTPの少量の留分の酸化から生じることに留意する。この副生物は、孔内に組み込まれ、COF−5の「合成した」形に紫色を与える。ゲスト除去に続いて(以下の吸着結果を参照)、明るい灰色の固体として、COF−5が得られる。収量:ゲスト除去に続くC9H4BO2について15mg、73%。分析。C9H4BO2についての理論値:C,69.67;H,2.60。実測値:C,66.48;H,2.81。記:有機ホウ素化合物は、一般的に不燃性の炭化ホウ素副生成物の形成によって、微量元素分析で低い炭素値を与える。COF−1の形成の徴候は観察されない。COF−1を形成するための100℃でのBDBA単独の反応は遅く、168時間後にCOF−1が、25%のみの収率で得られることに留意する。
【0050】
II.吸着分析
【0051】
気体吸着測定についての試料の活性。
COF−1:50mgのCOF−1の試料を、動的真空下で12時間、150℃に加熱する。この試料を窒素で埋め戻し、次いで、気体吸着測定用の所望の容器に空気雰囲気中で移す。COF−5:50mgのCOF−5の試料を、HPLCグレード(Aldrich)のアセトンで実質的に満たされている5mLのガラスバイアルに入れる。室温での2時間の交換の後、黄色−紫色のアセトン相の上澄み液の大部分を移し、バイアルをアセトンで洗う。12時間後、溶媒の上澄み液を再び移し、固体をアセトンで洗浄し(3×3mL)、デシケータ(CaSO)中で2時間、空気乾燥し、次いで、動的真空下で12時間、周囲温度で真空にする。真空ステップに続いて、試料を窒素で埋め戻し、次いで、空気雰囲気中で気体吸着測定用の所望の容器に移す。
【0052】
1.例1についての収着実験
生成した材料の利用できる孔体積を測定するために、気体収着測定を実施する。固相、及びDMF又はTHF合成状態から生成した生成物について測定した窒素気体収着等温線は、これらの材料の空隙体積の利用可能性が低いことを明らかにしている(図2a)。しかしながら、トリグライムから生成した生成物について測定した等温線は、剛性の骨格を有し、ゲストの不存在下で、その空隙率を維持することができることを示している。トリグライム生成物の正確な量を、微量天秤で測定し、既に公開されているプロトコルにより、室温で10−3torrに減圧する(Eddaoudi,M.;Li,H.;Yaghi,O.M.J.Am.Chem.Soc.2000,122,1391−1397)。窒素気体収着等温線は、相対圧力が小さくなった水平状態によって特徴付けられた可逆性タイプI挙動を示し、これは、ロバスト骨格に含まれる単分散微小孔に収着することを示す(図2b)。
【0053】
トリグライム生成物についての窒素見掛けラングミュア表面積は、591m/g(P/P=0.102)であると計算される。最近報告されたPIMsは、430から850m/gの範囲の表面積を有するが、低圧で顕著なヒステリシスも観察される。相対窒素圧の全範囲に渡る同じ平坦ヒステリシスが、ポリフェニレンオキシドポリマを含む、過去に研究されたその他の多孔性ポリマ材料で観察された(Ilinitch,O.M.;Fenelonov,V.B.;Lapkin,A.A.;Okkel,L.G.;Terskikh,V.V.;Zamaraev,K.I.Microporous and Mesoporous Materials,1999,31,97−110)。その原因は、ソルビン酸塩による微小孔吸着剤の膨張(挿入)、又は微小孔を通してのみアクセスできるメソ細孔の存在に分けられる。材料内の永久空隙率(ゲスト種の存在及び不存在下での骨格変形の欠如)の重要性は、将来の応用に用いる多くのサイクルに渡る性能の維持に不可欠である。
【0054】
2.例2及び3についての収着実験
図3、4、5、及び6を参照すると、Quantachrome社製Autosorb−1自動吸着分析器を使用して、容量分析的に気体吸着等温線を測定する。N等温線については、液体窒素浴(77K)を使用し、Ar等温線については、Ar浴(87K)を使用する。COを用いる微小孔収着データを273K(氷水浴)で収集する。使用したN、Ar、及びCOガスは、超高純度(UHP)グレードである。全等温線プロットについて、吸着データポイントに黒丸を使用し、白丸を用いて脱着データポイントを示す。図7、8、9、及び10を参照すると、特定の表面積(As、m/g)の測定に、BET法を適用する。一般的に、Ar等温線からの測定した取り込みは、Nについてよりも僅かに高いが、本明細書では、表面積と孔体積についてより保存的なNデータを提供する。Arについてより取り込み量が多ければ、より多くの吸着原子が、小さすぎて窒素を取り込めない骨格の吸着サイト内に結合できる小さなサイズになる可能性がある。
【0055】
COF−1及びCOF−5の構造的安定性及び空隙率を、ゲストのない材料の窒素ガス吸着を測定することによって確認する。合成COF−1の試料を10−5Torr真空の動的圧力で真空にし、12時間、150℃に加熱して、全ゲストを除去する。この試料を、微小孔材料の顕著な特徴である、P/P=10−5から10−1の非常にシャープな取り込みを示す、0から1bar(1bar=P)で、77Kで窒素等温線の測定に用いる(図3)。Brunauer−Emmett−Teller(BET)モデルを、P/P=0.04から0.1の間の等温線に適用し、P/P=0.90で、見掛けの表面積のSBET=711m−1;孔体積V=0.32cm−1を得る。これらの値は、グラファイト(10m−1)、粘土(10から100m−1)、及び柱状粘土(50から300m−1)を含むその他の層状材料の値を凌ぎ、最も多孔性のゼオライト及び多くの多孔性炭素の範囲内である。より高圧で、等温線のゆっくりとした上昇は、結晶間の外メソ細孔が少ない分布で存在することによって起こる;このことは、血小板形態を有する粒子では稀ではない。全表面積は、t−プロット分析から587m−1(83%)の微小孔の寄与率、及び124m−1(17%)のメソ細孔の寄与率とから711m−1であると計算される。同じ圧力範囲内で収集したアルゴン及び高温の二酸化炭素の等温線を用いて、収着した分子の微視的挙動を説明する密度汎関数理論(DFT)モデルに当てはめる。これらの計算から、非常に信頼できる孔サイズ分布を計算することができ、これを示す(図3のインセット)。t−プロット分析(図11)からの結果を補完すると、この分布は、COF−1の構造から期待される微小孔体積に合致する6から12Åが最も多く、28から44Åの範囲は、上記の粒子間のメソ細孔から生じている。DFT計算からの積算孔体積(0.34cm−1)及び表面積(640m−1)は、上で決定した値に劣らない。COF−1についての等温線は、完全に可逆性であり、再現性がある。これは、構造が永久的な孔を示す安定した材料の特徴である。COF−5の窒素吸着等温線をCOF−1と同じ条件で測定する。メソ細孔性材料についての可逆IV型等温線特性を示す(図4)。この等温線には2つの注目すべき特徴がある。第1の特徴は、メソ細孔の狭い分布によって起こるP/P=0.11から0.15の孔縮合について観察されるシャープなステップである;これは、分布を特色づける27Åの細孔幅でDFT計算をすることによって裏付けられる(図4インセット)。第2の特徴は、脱着中にヒステリシスがないことは、幅<40Åを有する六角形に整列した一次元メソ細孔を含む材料の一般的な特徴である。また、全表面積の23%を、微小孔取り込みに割り当てることができる孔サイズ分布からも明らかである。不純物相に接触しないので、顕著な低圧取り込みの起源は、吸着質分子がより強く結合されるメソ細孔壁に沿って穴を作る部分的に滑脱した有機シートから生じると考えられる。COF−5のBET表面積は、0.998cm−1のメソ細孔体積に相当する1,590m−1であることが分かり、この値は、26ÅのMCM−41材料(680m−1、0.26cm−1)について報告されている値よりも2倍大きく、マクロ多孔性秩序珪素について最も大きいと報告されている1,300m−1の表面積を越える値である。
【0056】
本発明の実施例を例示及び記載する一方で、これらの実施例は、本発明の全ての可能な形態を例示及び記載することを意図していない。むしろ、本明細書で用いられる用語は、限定というよりも説明のための用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更がなされることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、式XVIIにより記載されるモノマからの重合生成物の粉末X線回折(「PXRD」)パターンを示す。
【図2】図2は、式XVIIにより記載されるモノマからそれぞれ誘導した(a)無孔重合生成物、及び(b)トリグライム溶液から形成した生成物、についての窒素収着等温線を示す。
【図3】図3は、DFTモデルを吸着データに当てはめた後に計算した孔サイズヒストグラム(インセット)を伴う77Kで測定したCOF−1についての窒素ガス吸着等温線(メインペイン)を示す。
【図4】図4は、DFTモデルを吸着データに当てはめた後に計算した孔サイズヒストグラム(インセット)と、77Kで測定したCOF−5についての窒素ガス吸着等温線(メインペイン)を示す。
【図5】図5は、87Kで測定したCOF−1についてのアルゴンガス等温線を示す。
【図6】図6は、87Kで測定したCOF−5についてのアルゴンガス等温線を示す。
【図7】図7は、窒素吸着データから計算したCOF−1についてのBETプロットを示す。
【図8】図8は、窒素吸着データから計算したCOF−5についてのBETプロットを示す。
【図9】図9は、アルゴン吸着データから計算したCOF−1についてのBETプロットを示す。
【図10】図10は、アルゴン吸着データから計算したCOF−5についてのBETプロットを示す。
【図11】図11は、COF−1についてのDe Boer t−プロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合性有機ネットワークにおいて:
複数のホウ素含有クラスタと;
複数のリンキンググループであって、各リンキンググループが、少なくとも2つの異なるホウ素含有クラスタに結合し、前記複数のホウ素含有クラスタと前記複数のリンキンググループが、共有結合性有機骨格か共有結合性有機多面体のどちらかを形成するように構成されていることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のホウ素含有クラスタが、少なくとも10のホウ素含有クラスタを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項3】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のホウ素含有クラスタが、少なくとも100のホウ素含有クラスタを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項4】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のリンキンググループが、少なくとも10のリンキンググループを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項5】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のリンキンググループが、少なくとも100のリンキンググループを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項6】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記ホウ素含有クラスタが、式Bによって記載された構造を含み、Qが酸素、硫黄、窒素、又はリンであり;x及びyは、Bの価数を満足するような整数であり、zは、0から6の整数であることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項7】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記ホウ素含有クラスタが:



からなる群より選択され、ここで、R、R’及びR”は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、又はハロゲンであることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項8】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、飽和又は不飽和、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換芳香環、置換又は非置換複素環式芳香環、置換又は非置換非芳香環、置換又は非置換複素環式非芳香環からなる群より選択された1つ又はそれ以上の環状成分を含むことを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項9】
請求項8に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式VからX:







によって記載されたものであり、ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであり、Tは、四面体原子又は四面体基又はクラスタであることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項10】
請求項8に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式XIからXIII:





によって記載されたものであり、ここで、A、A、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して、不存在、又は任意の原子、又は安定した(sable)環状構造を形成することができる基であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項11】
請求項8に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式XIV:



によって記載されたものであり、ここで、RからR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであり;
nは、1よりも大きい、又は1に等しい整数である;
ことを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項12】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のリンキンググループの一部が、第1結合と第2結合との角度が、180°未満であるように、第1ホウ素含有クラスタとの第1結合及び、第2ホウ素含有クラスタとの第2結合を形成するリンキンググループを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項13】
請求項12に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式XV:



によって記載されたものであり、ここで、RからRの少なくとも2つの基が、前記複数のホウ素含有クラスタの2つの異なる員へ結合しており、前記2つの異なる員への結合が、180°未満の角度であるという条件で、R20、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、エステル、又は、前記複数のホウ素含有クラスタ由来の員への結合であることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項14】
請求項12に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式XVI:



によって記載されたものであり、ここで、RからR10の少なくとも2つの基が、前記複数のホウ素含有クラスタの2つの異なる員へ結合しており、前記2つの異なる員への結合が、180°未満の角度であるという条件で、R20からR29は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、エステル、又は前記複数のホウ素含有クラスタ由来の員への結合であることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項15】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークが、ゲスト種を更に具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項16】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークが、吸収化学種を更に具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項17】
請求項18に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記吸収化学種が、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項18】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記表面積が約1から約20,000m/gであることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項19】
請求項1に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて:
1)1つ又はそれ以上のボロン酸基を有するモノマを自己縮合するステップ;又は
2)芳香族多価アルコールをポリボロン酸基を有する化合物と反応させるステップ;
を具える方法によって作られたことを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項20】
共有結合性有機ネットワークにおいて:
式I



によって記載される複数の部分と;
複数のリンキンググループであって、各リンキンググループが、式Iによって記載された少なくとも2つの異なる員の複数の部分に結合する複数のリンキンググループと、を具えること特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項21】
請求項20に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のホウ素含有クラスタが、少なくとも10のホウ素含有クラスタを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項22】
請求項20に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のホウ素含有クラスタが、少なくとも100のホウ素含有クラスタを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項23】
請求項20に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、置換又は未置換芳香環、置換又は未置換複素環式芳香環、置換又は未置換非芳香環、置換又は未置換複素環式非芳香環からなる群より選択された1つ又はそれ以上の環状成分を含むことを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項24】
請求項23に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式VからX:







によって記載されたものであり、ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであり、Tは、四面体原子、又は四面体基、又はクラスタであることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項25】
請求項23に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式IXからXIII:





によって記載されたものであり、A、A、A、A、A、及びAは、それぞれ独立して、不存在、又は任意の原子、又は安定した(sable)環状構造を形成することができる基であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項26】
請求項23に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式XIV:



によって記載されたものであり、ここで、RからR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、又はエステルであり;
nは、1よりも大きい、又は1に等しい整数である;
ことを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項27】
請求項20に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記複数のリンキンググループの一部が、第1結合と第2結合との角度が、180°未満であるように、第1ホウ素含有クラスタとの第1結合及び、第2ホウ素含有クラスタとの第2結合を形成するリンキンググループを具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項28】
請求項13に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記リンキンググループが、式XV:



によって記載されたものであり、ここで、RからRの少なくとも2つの基が、前記複数のホウ素含有クラスタの2つの異なる員への結合であるという条件で、R20、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ独立して、H、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、珪素含有基、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、エステル、又は、前記複数のホウ素含有クラスタ由来の員への結合であることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項29】
請求項20に記載の共有結合性有機ネットワークが、ゲスト種を更に具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項30】
請求項20に記載の共有結合性有機ネットワークが、吸収化学種を更に具えることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。
【請求項31】
請求項30に記載の共有結合性有機ネットワークにおいて、前記吸収化学種が、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする共有結合性有機ネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−518054(P2008−518054A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538133(P2007−538133)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/038195
【国際公開番号】WO2006/047423
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】