共結晶性のジアセチレン単量体組成物、結晶相および混合物、ならびに関連する方法
固体重合性ジアセチレン単量体組成物(種々の冷却条件下で種々の溶媒系から共結晶化した組成物が含まれる)は、組成物の発色反応性に関連する回折パターンを示し得る。高反応性組成物を開示し、高反応性相および低反応性相を同定することができる。低角粉末X線回折ピークは、組成物中の1つまたは複数の結晶相の存在を示し得る。フィンガープリント領域は、異なる反応性に関連する異なる回折ピークのフィンガープリントパターンを示し得る。ジアセチレン単量体の重合についての情報を、13C核磁気共鳴(「NMR」)特徴付けを使用して開示する。周囲条件の指示薬(例えば、時間−温度指示薬)で有用なジアセチレン単量体組成物を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年3月31日に出願された仮特許出願第61/165,292号(この開示は、参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規のジアセチレン単量体組成物、混合物、および結晶相に関する。本明細書中に記載の組成物、混合物、および他の生成物は、一般に、共結晶性を示し、環境条件への曝露の視覚的指示薬中の活性指示剤として有用である。かかる指示薬を使用して、ホスト生成物の貯蔵期間、鮮度、成熟度、または他の特徴に関連し得る環境条件(温度など)をモニタリングすることができる。本明細書中に記載の方法は、記載の組成物、混合物、および他の生成物の調製、特徴付け、または使用に有用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
種々のジアセチレン単量体は、指示薬が関連するホスト生成物の鮮度または他の特徴を示すための時間−温度および他の周囲条件の指示薬中の活性指示剤として長く使用されている。一定のジアセチレン単量体は、温熱条件または他の刺激に応答する予測可能且つ不可逆的な様式で固相重合反応による変色または別の視覚的特徴を受ける。
【0004】
ジアセチレン単量体または1つまたは複数のジアセチレン単量体の組成物を活性指示剤として使用する指示薬により、例えば、熱へのホスト生成物の累積曝露を簡潔で視覚的に表示することができる。かかる指示薬は、時間および温度曝露を予測可能で定量的な様式で統合し、これを使用して腐敗性ホスト生成物(ワクチン、薬物または医薬品、食糧、または工業製品など)の有用な貯蔵期間をモニタリングすることができる。指示薬により、所定の終点で変色してホスト生成物の起こり得る鮮度の喪失またはホスト生成物の別の起こり得る品質の喪失の可能性を示すことができる。
【0005】
有意義なシグナルを得るために、熱曝露に対する活性指示剤の応答特性または測定される別のパラメーターがモニタリングした種々の条件範囲にわたって指示薬が関連するホスト生成物の応答特性と合理的に密接に対応することが望ましい。本発明の指示薬について種々の潜在的なホスト生成物が存在し、その多くが熱曝露に対する発色応答性の固有のプロフィールまたはパターンおよび他の環境パラメーターを有するので、対応する選択を行うことができる広範な一連の指示剤の応答プロフィールを有することが望ましいであろう。
【0006】
多数の重合性ジアセチレン単量体化合物が公知であるか示唆されている。例えば、Patelに付与された特許文献1;特許文献2、および特許文献3ならびにPreziosiらに付与された特許文献4および特許文献5(本明細書中で、それぞれ、「Preziosiらの151号」および「Preziosiらの637号」として参照)を参照のこと。これらの特許および他の場所に記載の多数のジアセチレン単量体は、モニタリングすべき環境条件に応答した重合の際に有用に変色する。
【0007】
しかし、腐敗性または成熟したホスト生成物のモニタリングに有用となり、商業的に実現可能である(すなわち、商品としての様々な許容基準を満たすことができる)性能パラメーターを有する公知のジアセチレン単量体は限られた数しか存在しない。この有用なジアセチレン単量体の数が限られていることにより、ホスト生成物の品質をモニタリングするためにホスト生成物に合わせるのに適切なジアセチレン単量体を探求する指示薬の処方者が利用可能な選択肢が制限される。
【0008】
利用可能な選択肢を増大させるための1つのアプローチは、所与の周囲条件に対して異なって応答するように所与の商業的に有用なジアセチレン単量体の反応性を改変することである。次いで、単一のジアセチレン単量体から、ジアセチレン単量体が1つまたは複数の方法で改変されるか改変されないかどうかにしたがってホスト生成物に適合させるための2つ以上の発色応答プロフィールを得ることができる。
【0009】
Preziosiらの151号に記載のように、環境刺激に対するアセチレン化合物の活性を、有効な錯体形成金属(または金属イオン)との化合物の接触によって変化または調節することができる。類似の特徴として、Preziosiらの637号は、有効な錯体形成酸との化合物の接触によって活性を変化または調節することができると記載している。
【0010】
また、Prusikらに付与された特許文献6(本明細書中で「Prusikの148号」)は、ジアセチレン単量体溶液の還流によるジアセチレン単量体の反応性の変更を開示している。使用したジアセチレン単量体および溶媒の特定の組み合わせに応じた反応性の増加および減少の両方が記載されている。
【0011】
Prusikの148号はまた、酢酸に溶解した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の種々の時間の還流に起因する還流単量体生成物は、顕微鏡下、X線回折、および他の分析技術の所見において実質的に同一なようであるが、これらの生成物が示した熱変色応答について試験した場合、還流時間の増加に伴って反応性が増加するようであることを記載している。
【0012】
さらに、Prusikらの特許文献7は、ホスト生成物の応答特性に対するジアセチレン指示剤の反応性に適合するための反応性増強アジュバントの使用を開示している。記載のいくつかの例示的なアジュバントには、低温重合開始剤(例えば、メチルエチルケトンペルオキシド)、重合促進剤(例えば、コバルト化合物)、および開始剤と促進剤との組み合わせが含まれる。
【0013】
新規または改変された色関連反応性プロフィールを有する指示剤を得るための別のアプローチは、2つの指示薬化合物を混合することである。したがって、2つのジアセチレン単量体を共結晶化して、出発物質のいずれかと異なる反応性プロフィールを有する共結晶化混合物を得ることができる。
【0014】
例えば、Millerら(Patel)の“Copolymerization of diacetylenes in the crystalline solid state.A method for recording latent fingerprints.”,J.of Applied Polymer Science(1979),24(3),883−6は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(フェニルウレタン)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(p−クロロフェニルウレタン)との固体共重合を記載している。記載のように、2つの化合物の溶液が噴霧される表面上のオイルの存在は、得られた共結晶化したジアセチレン相の反応性に影響を及ぼす。
【0015】
また、Enkelmannの“Polymerization in Mixed Crystals”,J.Materials Science,15(1980)951−958頁(本明細書中で「Enkelmann 1980」)は、適切に置換されたジアセチレンを共結晶化して置換型固溶体を形成することができることを記載している。2,4−ヘキサジイニレンジ−p−トルエンスルホナート(Enkelmann 1980中の「1a」)および20%までの2,4−ヘキサジイニレンジ−p−クロロ−ベンゼンスルホナート(Enkelmann 1980中の「1b」)またはジ−p−ブロモベンゼン−スルホナート(Enkelmann 1980中の「1c」)のいずれかの混合結晶の固体重合は、時間変換曲線を参照して記載されている(956〜958頁および図9〜11)。化合物1b中の塩素原子および化合物1c中の臭素原子が化合物1a中のトルエンメチル基と置き換わっている場合を除き、化合物1aは化合物1bおよび化合物1cに類似している。
【0016】
化合物1bおよび1cの活性形態は、Enkelmann 1980中に準安定性を示すと記載されており、微結晶の電子回折パターンも記載されている。それにより、これらの材料が1aの反応相と同型であることが示唆されている(957頁)。「同型である」とは、その結晶構造が同一空間群中に存在し、同一の分子対称性を有し、単位胞中の分子数が同一であることを意味すると理解することができる。
【0017】
化合物1bおよび1cの安定型(固体で完全に未反応であり、したがって、重合可能でないとされている)は、化合物1aの構造と同型でない三斜晶系結晶構造を有すると説明されている。Enkelmann 1980によると、45°付近の角度にて4.9Åのポリマー反復単位と等しい距離で単量体が積み重なった場合に至適反応性が予想され得る(954頁)。
【0018】
さらに、Enkelmannの“The Solid−State Polymerization,Physical Properties,and Crystal Structures of Diacetylene Mixed Crystals” Makromol.Chem.184,1945−1955(1983)(本明細書中で「Enkelmann 1983」)は、置換型固溶体を形成するための一定の置換ジアセチレン(特に、2,4−ヘキサジイニレンジ−p−トルエンスルホナート(Enkelmann 1983中の「1a」)および2,4−ヘキサジイニレンジ−p−フルオロベンゼンスルホナート(Enkelmann 1983中の「1b」))の共結晶化を記載している。これらの化合物は、前者の化合物中のメチル基の後者の化合物中のフッ素への置換のみが異なる。種々の濃度で一方のジアセチレン単量体を他方のジアセチレン単量体中に含む固溶体が記載されている。各濃度での固溶体の重合反応性は、各ジアセチレン類の反応性の中間であることがEnkelmannによって見出された(図9)。いくつかのX線回折データも記載されている(1947〜1950頁)。
【0019】
Enkelmannの文献には、いずれも、腐敗性ホスト生成物の品質のモニタリングに商業的に有用な指示剤は記載されていないようである。
【0020】
ジアセチレン単量体の種々の他の共結晶化混合物も、特許(Preziosiらの151号、Preziosiらの637号、およびPrusikの148号、ならびにPatelに付与された特許文献2;同第4,208,186号、および特許文献3、JP LaboratoriesのWO2004/077097号、ならびにPrusikらに付与された米国特許第7,019,171号(本明細書中で「Prusikらの171号」)など)から知られている。これらの書類のいくつかまたは全ては、種々のヘキサジインビス(アルキル尿素)の共結晶化混合物(特に、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物が含まれる)を記載している。後者の共結晶化ジアセチレン単量体混合物は、混合物のいずれかの成分よりも早く熱曝露に反応する発色反応性を有する。この指示剤は、とりわけ、貯蔵期間が比較的短いホスト生成物(例えば、生鮮食品)のモニタリングに有用である。
【0021】
Patelに付与された特許文献3は、溶媒からの2つ以上のジアセチレンの混合物のゆっくりした結晶化による不活性形態のジアセチレン化合物の調製方法を記載している(カラム4の53〜68行目およびカラム5の15〜17行目)。記載のように、不活性形態を、活性化蒸気との接触によって活性化形態に変換することができる。
【0022】
Preziosiらの151号は、種々の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化手順を記載している。Preziosiらの151号によれば、X線分析で固溶体の形成が示され、NMR(おそらく、核磁気共鳴)プロトン分析で使用比が検証された。重量比1:2部の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)が、反応性が最も高いとPreziosiらの151号(実施例S)に記載されている。
【0023】
また、Preziosiらの637号は、石油エーテルを使用した希酢酸溶液からの沈殿による2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(ブチル尿素)の共結晶化混合物の調製を記載している。
【0024】
さらに、Prusikの148号は、共結晶化生成物の反応性を変化させるための2つのジアセチレン単量体(2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素))の混合物の酢酸中での還流を開示している。
【0025】
さらに、Prusikの171号は、粒径パラメーター(平均サイズまたは拡散など)を調節したポリアセチレン剤の沈殿を記載している。アセチレン剤の加温溶液と冷却沈殿液との混合および冷却沈殿液の成分および/または温度条件の適切な選択によって調節する。Prusikの171号の比較実施例4(本明細書中にさらに記載)は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)との混合物の酢酸溶液の再結晶を記載している。
【0026】
これらおよび他の提案にもかかわらず、利用可能なさらなるジアセチレン単量体反応性の選択肢を有することが望ましいであろう。
【0027】
前述の背景技術の説明は、本発明に先行するが本発明によって提供された関連技術に知られていなかった洞察、発見、理解、開示、または開示の組み合わせを含み得る。本発明のいくつかのかかる寄与を本明細書中に具体的に指摘しているかもしれないのに対して、本発明の他のかかる寄与がその文脈から明らかであろう。単にある書類を本明細書中に引用しているかもしれないので、本発明と非常に異なり得るその書類の分野が本発明の分野に類似することを承認していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許第3,999,946号明細書
【特許文献2】米国特許第4,189,399号明細書
【特許文献3】米国特許第4,384,980号明細書
【特許文献4】米国特許第4,788,151号明細書
【特許文献5】米国特許第4,789,637号明細書
【特許文献6】米国特許第6,924,148号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0004372号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の概要
本発明は、新規のジアセチレン単量体組成物、ジアセチレン単量体結晶相および混合物、ならびに関連するかかる材料の調製および特徴付けの方法を提供する。
【0030】
本発明によって提供された、いくつかの材料は、環境刺激に応答して変色し、新規または改変された反応性および反応性プロフィールを示すことができる。本発明によって提供された特徴付け方法により、物理的に類似するが、異なる変色反応性を示すいくつかの材料を明確に同定することができる。
【0031】
1つの態様では、本発明は、第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各単量体が、第1の式:
【0032】
【化1】
(式中、
第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、第2の単量体中のm1およびm5は共に2である)を有する、固体単量体組成物を提供する。固体単量体組成物は、CuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、スペクトルは、約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間の3つの反射ピークを有する。
【0033】
固体単量体組成物は、第1の単量体と第2の単量体の任意の所望の比が、例えば、約3:1〜約1:1の範囲の重量比(重量比2:1または重量比1:1など)であり得る。
【0034】
望ましくは、固体単量体組成物は、変化した外観を有するように熱重合性である。
【0035】
粉末X線回折パターン中に一定の低角シングレットピークを有するジアセチレン単量体組成物の特徴付けは、有用な変色反応性を有する組成物の同定およびある組成物と明確にシングレットではない他のピークを生じる別の組成物との区別に役立ち得る。例えば、2つの低角シングレットピークの存在は、複数のジアセチレン単量体の共結晶化によって形成された固溶体の存在を示唆することができ、共結晶化生成物をジアセチレン単量体の単純な機械的混合物と区別することができる。
【0036】
必要に応じて、本発明の種々の態様で使用可能な第1の単量体および第2の単量体は、それぞれ、以下の第2の式:
【0037】
【化2】
(式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数である)を有する化合物であり得る。m2、m3、およびm4は同一の整数であり得、必要に応じて、2つの単量体中のm1とm5とが異なり得る。例えば、一方の単量体中のm1またはm5のうちの1つは、それぞれ、他方の単量体中のm1またはm5のうちの他方の1つと異なり得る。
【0038】
あるいは、一方の単量体中のm1およびm5の両方は、他方の単量体中のm1およびm5と異なり得る。必要に応じて、m3は2であり得る。あるいはまたはさらに、m1およびm5は、第1の単量体中では1であり得、第2の単量体中では2であり得、m2およびm4は共に1であり得る。
【0039】
さらなる態様では、本発明は、第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各単量体は第2の式を有し、式中、単量体組成物がほぼ一結晶方向にて単量体スタック(monomer stack)中で重合した結晶相を含む、固体単量体組成物を提供する。望ましくは、単量体スタックのうちの少なくとも1つが第1の単量体および第2の単量体の分子の混合物を含み得る。
【0040】
なおさらなる態様では、本発明は、第1の結晶相および第2の結晶相を含む結晶相組成物を提供する。第1の結晶相は少なくとも約20重量%の第1の単量体を含むことができ、残りは第2の単量体から本質的になる。
【0041】
第2の結晶相は少なくとも約20重量%の第2の単量体を含むことができ、残りは第1の単量体から本質的になる。望ましくは、第1の単量体および第2の単量体は、異なる化学構造および分子構造を有する。任意選択的に、第1の結晶相は少なくとも約50重量%の第1の単量体を含むことができ、第2の結晶相は少なくとも約50重量%の第2の単量体を含むことができる。
【0042】
さらに別の態様では、本発明は、所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を、アセチレン組成物の結晶の構造周期性および構造周期性に関連する回折間隔の調整によって作製する方法を提供する。本方法は、第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各単量体が第1および第2の式を有する、混合する工程、および第1および第2の単量体の合わせた重量に基づいて第1の単量体の重量比を選択して所望のX線回折間隔を得る工程を含むことができる。
【0043】
さらに別の態様では、本発明は、所望の変色反応性を有する固体アセチレン結晶組成物の作製方法を提供する。本方法は、第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、第1の単量体および第2の単量体が異なる分子構造を有する、混合する工程を含むことができる。本方法は、さらに、混合した単量体を溶液から共結晶化して固体組成物を得る工程および高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルによって固体組成物中に得ることができる高反応性相を同定する工程を含むことができる。さらに、本方法は、固体組成物中の高反応性相の重量比を調節して所望の熱反応性を得る工程を含むことができる。
【0044】
本方法はまた、高反応性相の重量比を調節するために結晶化溶媒および結晶化のための冷却速度を選択する工程を含むことができる。
【0045】
別の態様では、本発明は、腐敗性ホスト生成物の温度への累積曝露をモニタリングするための環境条件指示薬の作製方法を提供する。本方法では、ホスト生成物は、表示すべき所望の鮮度点(freshness point)を有することができ、且つ環境条件指示薬は環境条件に応答する変色指示剤(color−changing indicator agent)を含むことができる。本方法は、指示剤について、環境条件に対する指示剤の時間関連応答についての所望の変色プロフィールを決定する工程を含むことができる。本方法はまた、指示剤の変色プロフィールからホスト生成物の鮮度点にほぼ対応する終点を決定する工程および指示剤として使用するために、所望の指示剤の変色プロフィールに関連するX線回折の特徴を有するジアセチレン単量体組成物を選択する工程を含むことができる。
【0046】
本発明の固体単量体組成物は、交差分極マジック角NMRを使用して特徴付けた場合にsp炭素原子について4つの13C NMR化学シフトを示し得るポリマー生成物を提供するために固体で重合可能であり得る。望ましくは、ポリマー生成物は、固体単量体組成物由来の変化した外観を有する。記載のように特徴付けたポリマー生成物は、2つの単量体のコポリマーを含むと考えられる。見かけ上かなりの量の出発単量体のホモポリマーを欠くポリマー生成物も本明細書中に記載する。
【0047】
本明細書中の別の場所により詳細に記載するように、4つの13C化学シフトは、約106ppm、約102ppm、約99ppm、および約97ppmで観察可能である。固体ポリマー生成物はまた、交差分極マジック角固体NMR(cross−polarization magic angle solid state NMR)を使用して特徴付けた場合に約131ppmおよび128ppmでsp2炭素原子について2つの13C化学シフトを示すことができる。
【0048】
本発明はまた、第1の単量体単位および第2の単量体単位を含むコポリマー鎖を含むコポリマー組成物であって、各単量体単位が重合前に第1または第2の式を有する、コポリマー組成物を提供する。
【0049】
本発明はまた、記載の方法の生成物ならびにこれらの生成物または本発明の単量体組成物のいずれかを含む時間−温度指示薬または他の指示薬を含む。
【0050】
本発明は、とりわけ、比較的高温で誘導される発色反応性を有する新規のジアセチレン単量体組成物を提供する。この組成物は、比較的高温でやや短い貯蔵期間(典型的には、時間で測定可能)を有するホスト生成物(例えば、作りたてのサンドイッチおよび他の食品)のモニタリングを意図する指示薬の有用な成分であり得る。かかる反応性が比較的高い指示剤はまた、より長い貯蔵期間を有する生成物の生存期間における1つまたは複数の段階(例えば、一過性の分布または保存段階)の測定に有用であり得る。
【0051】
いくつかの図面の簡単な説明
本発明ならびに本発明の作製および使用のいくつかの実施形態ならびに本発明の実施を意図する最良の形態を本明細書中に、例として、添付の図面を参照して詳述する。図中、いくつかの図を通して、同様の参照符合は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、2つの結晶性ジアセチレン単量体の混合物の特徴付けによって得ることができるX線粉末回折パターンまたはディフラクトグラムの2つの例を示す。上のパターンは各ジアセチレン単量体結晶の物理的混合物の特徴付けによって得ることができ、下のパターンは2つの単量体の共結晶化生成物の特徴付けによって得ることができる。
【図2】図2は、制限された範囲の角度2θについての異なる比率の単量体の種々の共結晶化混合物についての一連のX線粉末回折パターンを示す。
【図3】図3は、図2中にグラフで示したデータから計算することができる濃度を使用したX線回折d間隔の変動を示す。
【図4】図4は、より広い範囲の角度2θについての図2に類似の一連のX線回折パターンを示す。
【図5】図5Aは、ジアセチレン単量体の高反応性共結晶化混合物の特徴付けによって得ることができるX線粉末回折パターンを示す。このパターン上に目的の種々の回折ピークについてのd間隔を数値で示している。図5Bは、関連データと共に図5A中に示したd間隔の表(「表4」と表示)である。
【図6】図6は、酢酸から結晶化したジアセチレン単量体組成物の多数のサンプルのX線粉末回折パターンを示す。ディフラクトグラム(diffractrogam)において、高変色反応性に関連する一定の回折の特徴が明らかである。
【図7】図7は、異なる比率で異なる溶媒から結晶化したジアセチレン単量体組成物の多数のサンプルについてのX線粉末回折パターンを示す。このパターンにおいて、高変色反応性に関連する一定の回折の特徴も明らかである。
【図8】図8は、本発明の実施において使用可能な3つの異なる冷却系での冷却速度を示すグラフである。
【図9】図9は、異なる冷却条件を使用して共結晶化した一定のジアセチレン単量体組成物についての2つのX線粉末回折スペクトルを示す。
【図10A】図10Aは、結晶化中の冷却速度が重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化組成物の種々のサンプルにおける色調進化に及ぼし得る影響を示す。
【図10B】図10Bおよび10Cは、サンプル(色調進化データを図10A中に示す)および重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)共結晶化混合物のいくつかのさらなるサンプルの粉末X線回折パターンを示す。
【図10C】図10Cは、サンプル(色調進化データを図10A中に示す)および重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)共結晶化混合物のいくつかのさらなるサンプルの粉末X線回折パターンを示す。
【図10D】図10Dは、比較のための一方のサンプル由来の各反射ピークの別のサンプル由来の対応するピーク上の重ね合わせを示す。
【図11】図11A、11B、および11Cは、異なる時間で結晶化パラメーターが共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の6つの異なるサンプルにおける発色に及ぼし得る影響を示す。
【図12】図12は、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の6つのサンプルにおける発色について得ることができる個別のフレームでの量的データのグラフを含む。選択した時間における発色の結果は図11A〜11Cに示している。
【図13】図13Aおよび13Bは、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)単量体の共結晶化混合物の種々のサンプルの粉末X線回折パターン、とりわけ、得られた反射ピークに及ぼす結晶化冷却速度の影響を示す。
【図14】図14Aおよび14Bは、延長スケールでの図13A〜13BのX線粉末回折パターンの一部を示す。
【図15】図15は、使用した単量体組成物の溶解比および溶媒系が本発明の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物の1つの実施形態のX線粉末回折スペクトルに及ぼし得る影響を示す。
【図16】図16は、本発明の1つの実施形態に従ってエタノール水溶液から共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の種々の比率の組成物が光学的に決定された単量体の熱反応性に及ぼし得る影響を示す。
【図17】図17は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)単量体分子の骨格モデル図である。
【図18】図18は、1つのジアセチレン重合モデルの略図である。
【図19】図19は、データ(データは、種々のジアセチレン単量体およびポリマー生成物を特徴付けるための13C NMR分光法の使用によって得ることができる)の表(表5と示す)である。
【図20】図20は、表5(図19)中に示すジアセチレン単量体に関連するデータを計算することができる13C NMR分光法データのグラフ図である。
【図21】図21は、表5(図19)中に示すジアセチレンポリマーに関連するデータを計算することができる13C NMR分光法データのグラフ図である。
【図22】図22は、組成物のポリマー中のジアセチレン単量体組成物単位の2つの配置のモデルの略図である。
【図23】図23は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物を含む組成物の種々の結晶のいくつかの顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
発明の詳細な説明
特定の腐敗性ホスト生成物の貯蔵期間または鮮度のモニタリングのための指示剤の選択に有用なアプローチは、利用可能な指示剤の発色特性をホスト生成物の鮮度を喪失させるか崩壊させるモニタリングされる環境に対するホスト生成物の応答特性と比較する工程を含む。
【0054】
有利には、指示剤は、ホスト生成物の鮮度点または他のクオリティポイント(鮮度の喪失点または鮮度もしくは品質の差し迫った喪失点など)におよそ対応する変色終点(例えば、発色点)を有し得る。環境的に誘導された重合が可能な一定のジアセチレン単量体は、これらの目的のための指示剤として有用である。
【0055】
用語「指示剤」を、本明細書中で、指示薬の活性成分として使用可能であり、且つ環境条件または刺激(例えば、熱曝露)に応答することができる、視覚的に認知可能な外観の変化を有する化合物および組成物を含むために使用する。指示剤の例には、ジアセチレン組成物およびジアセチレン混合物が含まれる。
【0056】
用語「色」を、本明細書中で、有色および無色の色相および外観の両方(例えば、赤色、黄色、青色、および緑色、等和色、パステル、茶色、および他の有彩色、ならびに白色、黒色、および灰色)を含むために使用する。
【0057】
分子中に少なくとも2つの共役アセチレン基を有するアセチレン分子を、本明細書中で、「ジアセチレン」、「ジアセチレン化合物」、または「ジアセチレン単量体」という。3つの共役アセチレン基を有するジアセチレンを、時折、トリインといい、4つの共役アセチレン基を有するジアセチレンをテトラインという。トリインまたはテトラインを、必要に応じて、本発明の実施で使用することができる。しかし、いくつかのトリインおよびテトラインは、不安定すぎて有用でないかもしれない。
【0058】
第1の単量体および第2の単量体がジアセチレン単量体であると理解されるであろう。したがって、これら2つの化合物のいずれか1つまたは両方を、本明細書中で、「単量体」および「ジアセチレン単量体」と様々にいうことができる。第1および第2の単量体(すなわち、ジアセチレン単量体)は、一般に示され、且つ本明細書中の文脈に示されるように、種々の分子構造または組成を有し得る。特定の構造を文脈中に記載しない場合、各「単量体」または「ジアセチレン単量体」は、本明細書中に記載されているか示唆されている1つまたは2つの式または任意の他の関連する式に適合するか有することができると理解すべきである。
【0059】
多数の市販のホスト生成物は、ホスト生成物の品質が適切な鮮度点を選択することができる累積的温度曝露と相関する温度応答プロフィールを有する。かかるホスト生成物応答プロフィールは、公知であるか、ホスト生成物の供給者に知られ得る。適切な温度応答プロフィールを利用できない場合、通常、このプロフィールを過度の困難を伴わずに日常的な実験によって決定することができる。
【0060】
鮮度または他のクオリティポイントを、例えば、一定の日数(または週数または月数)の熱曝露に対応するように決定することができる。したがって、例えば、鮮度点は、常識的に示唆されるように、高温で比較的少ない日数または低温で比較的多くの日数への曝露後に到達し得る。
【0061】
必要に応じて、かかる指示薬を、ホスト生成物の品質における複数の段階(例えば、使用期限前、使用期限、使用期限後に生じるクオリティポイント)を示すようにデザインすることができる。指示薬は、指示薬の観察者が参照するために各品質段階での指示薬外観の視覚的シミュレーションをマーキングするか保有することができる。観察者に対する説明書を、必要に応じて、指示薬上または指示薬と共に含めることができる(例えば、それぞれ「使用可能」、「使用制限」、および「使用不可」)。
【0062】
必要に応じて、2〜5または任意の他の所望の品質段階数を使用することができる。各品質段階で適切な視覚的シグナルを得るために、指示薬中で使用した活性指示剤の応答プロフィールを、望ましくは、ホスト生成物の応答プロフィールと慎重に相関させることができる。本発明は、ホスト生成物の応答プロフィールにしたがってホスト生成物が各品質段階に到達すると予想される直前に適切な表示を行う応答プロフィールを有する指示剤を使用したかかる指示薬を含む。
【0063】
周囲温度が変動する一般的条件下で、クオリティポイントに到達するのに必要な時間は広範に変動し得、温度曝露履歴の知識なしに予想不可能であり得る。指示薬(本明細書中に記載の時間−温度指示薬など)は、長期間の温度曝露をモニタリングすることおよび過去の累積的温度曝露によってホスト生成物がクオリティポイントに到達する可能性が高い場合に視覚的な表示またはシグナルを得ることによってこの問題を解決することができる。
【0064】
他の条件(湿度、化学線、周囲の成分、または他の周囲条件など)に対するホスト生成物および指示剤の応答プロフィールを、本発明の目的のために、温度応答プロフィールの決定のために本明細書中に記載したことに類似の様式で決定することができる。したがって、本発明の生成物、方法、および過程を、当業者に適切なようにかかる他の条件のモニタリングに使用することができる。特定の条件に対する特定の指示剤の応答性は当該分野で公知であり得るか、日常的な実験によって決定することができる。
【0065】
例として時間−温度モニタリングに関して、一般に活性化エネルギーおよび速度定数を使用して、特定の指示剤の温度関連変色特性および特定のホスト生成物の温度に対する応答特性の両方を特定することができる。通常、周知のアレニウス式を使用して、変色の温度依存性およびホスト応答反応速度を説明することができる。用語「反応性プロフィール」を、種々の温度でのホスト生成物または指示剤の応答特性を定義する活性化エネルギーと反応定数との組み合わせを含むために本明細書中で使用する。本開示を考慮して当業者に明らかであるか、明らかとなるように、類似の考察を、ホスト生成物に作用し得る他の周囲条件のモニタリングに適用することができ、指示剤によってモニタリングすることができる(湿度または照射など)。
【0066】
良好な指示薬では、指示剤の発色または他の変色の活性化エネルギーがホスト生成物崩壊の活性化エネルギーに合理的に密接に適合する場合に役立つ。活性化エネルギーが有意に不適合である場合、指示薬は、生成物の活性化エネルギーが指示薬材料よりも高いか低いかどうかに応じて、いくつかのより高い周囲温度で時期尚早にシグナルを発生し得る一方で、いくつかのより低い周囲温度で遅れてシグナルを発する、その逆もある。また、指示薬発色のための速度定数がホスト生成物崩壊についての速度定数と合理的に密接に適合することが望ましい。速度定数が有意に不適合である場合、指示薬は全ての周囲温度で時期尚早または遅延してシグナルを発し得る。時期尚早なシグナルにより、新鮮なホスト生成物が破棄され得る。遅延したシグナルは、最終消費者によって消費される生成物を腐敗させ、場合によっては不健康にし得る。予測可能性、信頼性、および一貫性はまた、通常、消費目的に望ましい。
【0067】
数日から数年の範囲の貯蔵期間を有する多数のホスト生成物を、本発明の指示薬を使用して潜在的にモニタリングすることができ、これらの生成物のいくつか(しかし、全てではない)を本明細書中に言及している。使用することができる他のホスト生成物は、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるであろう。本発明の指示薬の潜在的な適用数および活性化エネルギーと反応定数との間の合理的に密接な適合の望ましさに関する上記の考察により、異なる反応性または反応性プロフィールを有する指示剤の広範なカタログまたは目録が利用可能になるという利点が示される。
【0068】
必要に応じて、指示剤の変色特性を、利用可能なデータを使用したグラフのプロッティングによってモニタリングすべきホスト生成物の応答特性と比較することができる。例えば、1つまたは複数の特異的温度に曝露した場合にホスト生成物の特定の品質または鮮度パラメーターに関して貯蔵期間またはホスト生成物の品質が経時的に減少することを示す1つまたは複数のグラフをプロットすることができる。使用した品質パラメーターは、特定のホスト生成物に依存するであろう。
【0069】
例えば、有害種(魚類におけるC.botulinumの成長またはリステリア細菌もしくはサルモネラ細菌の成長など)の適切なブロス中でのこれらまたは他の微生物の培養による測定を、魚、肉、卵、または他の食品の品質パラメーターとして使用することができる。細菌作用によるタンパク質崩壊(例えば、アンモニア、トリメチレン、ジメチレン(bimethylene)、および他の生成物を生じる魚類の腐敗)から生成された腐敗生成物の測定により、タンパク質食品の別の品質パラメーターを得ることができる。テクスチャー、色、または香りの喪失は、多数の食品の測定可能な品質パラメーターとして役立ち得る。一例は、焼いた食品の吸湿である。
【0070】
薬物、医薬品、または医薬の有効性の喪失に関連する種々の化学的特性の任意の1つまたは複数を、適切な品質パラメーター(例えば、有効成分の定量的喪失、pHの変化、加水分解生成物(例えば、アトロピン、アセトアミノフェン、またはジアゼパム)の検出、プロスタグランジンの脱水、プロスタグランジンの異性化、アスコルビン酸、モルヒネ、または化学的性質が類似した他の生成物の酸化)が得られるように測定することができる。
【0071】
適切な動物または他の実験的研究によって決定される時間−温度曝露に関連するワクチンの免疫学的力価または他の生物学的に活性な作用因子の他の力価特性の喪失はまた、有用な品質パラメーターとして役立ち得る。
【0072】
ホスト生成物のグラフに基づいて、適切な指示剤を、指示剤の変色についての1つまたは複数の温度関連プロットの参照によって指示剤の利用可能な目録から選択することができる。理想的な指示剤は、ホスト生成物がその満了または鮮度点の喪失に到達する前にグラフ上の任意の所与の点でその警告シグナルを与える。実際に、利用可能な指示剤のパラメーターに応じて、いくつかの妥協が必要であり得る。
【0073】
まとめると、ホスト生成物の品質変化の可能性の追跡を補助するために、使用されるジアセチレン単量体が熱曝露または別の関連する周囲条件に対する応答パラメーターを有することが有用であり得る。この応答パラメーターは、同一の周囲条件に対する意図するホスト生成物の応答パラメーターとほぼ相関する。この目的のために、特定のホスト生成物のモニタリングに適切な単量体をホスト生成物とモニタリング剤とが良好に適合するように選択することができる種々の応答パラメーターを提供する一定の範囲の商業的に有益な(viable)ジアセチレン単量体および単量体組成物を有することが有用である。
【0074】
したがって、本発明は、特定の色彩応答反応性を有する種々のジアセチレン単量体およびジアセチレン単量体組成物(新規の反応性または改変された反応性を有する単量体および単量体組成物が含まれる)を固有に同定することができる。本発明のいくつかの態様は、ジアセチレン単量体の挙動および可能な重合機構の記載に役立つ。これらの記載は、物理的処理における変化によってジアセチレン単量体反応性の操作を容易にすることを意図する。
【0075】
いくつかの態様では、本発明は、指示剤として有用であり、且つ物理的データによって固有に特徴付けられる新規の変色反応性を有する新規のジアセチレン単量体組成物およびジアセチレン単量体混合物を提供する。本発明はまた、物理的データによって固有に特徴付けられるか特徴付けることができる新規の共結晶化ジアセチレン単量体形態を提供する。
【0076】
商業的に許容可能であるために、指示剤が安価、毒性の欠如、終点前および終点後に望ましい色で対照的な色に変化するはっきりした終点を提供する能力、印刷適性、および良好な色素の性質(指示剤が印刷される支持層(例えば、ラベル)の滑らかな連続的被覆が含まれる)などの種々の特性を有することがしばしば望ましい。異なる指示剤特性は、異なる適用のために重要度が高くても低くてもよい。
【0077】
化学反応による指示剤の化学的性質の完全な改変は望ましくないかもしれない。なぜなら、得られた生成物は、その化学的安全性に対する厄介な調査および他の要因(既存の生成物種目への組み込みの容易さなど)の研究なしでは商業的に有用でないかも知れないからである。したがって、好ましい毒性データを有する化合物は、指示剤としての使用に有利であり得る。かかる化合物のいくつかの例を、本明細書中の別の場所に記載する。
【0078】
毒性学に関して、本明細書中に記載の指示薬は一般にヒトまたは他の哺乳動物によって摂取されることを目的としてない一方で、指示薬中の化学物質に対する偶発的または不注意な曝露が生じ得る。例えば、ジアセチレン単量体の指示剤をインク中に組み込み、医薬品のパッケージに適用するラベル上に印刷する場合、消費者は、パッケージの繰り返しの取り扱いの結果として皮膚を介して少量の指示剤が吸収されるかもしれない。あるいは、小児が食品パッケージに適用したラベルをしゃぶるかもしれない。
【0079】
したがって、本発明は、新規または改変された条件に関連する変色反応性を有し、且つ、その化学構造が変化しないジアセチレン単量体組成物を提供する。ジアセチレン単量体組成物は、好ましい多数の生体適合性データが存在することが公知の化合物を有用に含むことができるが、必ずしもそうではない。これらのジアセチレン単量体組成物のいくつかは、ジアセチレン単量体分子の新規の空間的構成を含むと考えられる。かかる新規のジアセチレン単量体組成物のいくつかの例は、組成物を同定するために使用することができる新規の物理的特性を有する。新規の物理的特性を、X線回折データもしくは核磁気共鳴データまたは他の適切な特徴付けデータによって決定することができる。
【0080】
本発明は、本明細書中に記載のように、指示剤としての特定のホスト生成物のモニタリングで用いるジアセチレン単量体組成物を選択するためにジアセチレン単量体組成物を特徴付ける物理的データの使用を含む方法を含む。
【0081】
変色データと回折パターンとの間の関連
ジアセチレン単量体組成物の変色反応性に関連する要因のより深い理解を助けるために、共結晶化組成物の結晶構造を記載またはモデリングすることは有用であり得る。しかし、共結晶化ジアセチレン単量体組成物の結晶構造の特徴付けに適切な結晶は本明細書中に記載されておらず、市販されておらず、且つ調製が困難であると考えられる。
【0082】
その代わりに、本発明は、発見された多数の共結晶化ジアセチレン単量体組成物の粉末X線回折パターンを提供する。これは、指示薬の処方者に有用な情報を提供することができる。一般に、これらのパターンは、CuKαX線照射を使用した場合に2つの目的の領域(約10°までの角度2θの低角領域および約19°〜約25°の角度2θのフィンガープリント領域)を有する。
【0083】
本発明に従って理解することができるように、本明細書中に記載の共結晶化ジアセチレン単量体組成物は、一般に、CuKαX線照射を使用して得た回折パターン(ディフラクトグラム)についての角度2θに関して、約4°〜約5°の最も小さい角度でピークを示し、約9°〜約10°の2番目に小さい角度でも示す。多数の本発明の実施例では、最も小さい角度および2番目に小さい角度のそれぞれでのシングレットピークの存在は、単相結晶生成物に関連するようである。かかる単相結晶の熱誘導性の発色特性は、周囲条件指示薬中での視覚的シグナル発生に有用であり得る。
【0084】
シングレットピークの性質を本明細書中の別の場所にさらに記載し、その記載から、とりわけ、ショルダーまたは新たな第2のピークを示す回折ピークは、通常、シングレットピークと見なさないと理解することができる。最も小さい角度および2番目に小さい角度の一方または両方で明白なショルダー、十分に形成された二次ピーク、またはさらなるダブレットピークを示すいくつかの生成物は、結晶性生成物中で同定可能な異なる変色反応性を有し得る2つの結晶相が得られるようである。かかる生成物は、一貫性が低いかあまり魅力的ではない外観を有し得、指示薬中での使用は商業的にあまり望ましくないかもしれない。いくつかの場合、明色の粒子が散在した暗色粒子の「ごま塩状の」外観が生じ得る。
【0085】
類似の化学組成を有する共結晶化ジアセチレン単量体組成物は、これらの組成物が、例えば、異なる結晶化条件下での異なる溶媒からの結晶化の結果として異なる物理化学的履歴を有する場合、異なる変色反応特性を生じ得る。本発明にしたがって、より高い発色反応性が粉末X線回折パターンのフィンガープリント領域中の3つ以上のピークの特有の高反応性パターンに関連するようである。さらに、このフィンガープリントパターンを使用して、より高い変色反応性を有するか有する可能性がある共結晶化ジアセチレン単量体組成物を同定することができる。
【0086】
低反応性パターンを、いくつかのジアセチレン単量体組成物における低発色反応性に関連するフィンガープリント領域中で同定することもできる。
【0087】
発色研究は、通常、時間がかかり、しばしば高温でさえも非常に多くの時間を必要とし、一般に、実施が厄介であるか退屈である。対照的に、必要な装置が利用可能な場合、限られた範囲の角度2θにわたる粉末X線回折パターンをしばしば迅速に(例えば、約10分間など)生成し、単一高反応性相、単一低反応性相、またはこれらの相の混合物を含むサンプルの定性的特徴付けを迅速に行うことができる。例えば、角度2θの範囲を、最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折間隔を示すのに十分であるように制限することができる。最も小さい角度の反射に適切な1つの範囲は、CuKαX線照射について約4°〜約6°の2θ角である。2番目に小さい角度の回折間隔に適切な範囲は、CuKαX線照射について約9°〜約11°の2θ角である。他の範囲は、当業者に明らかであり、使用することができる。
【0088】
必要に応じて、次いで、より骨の折れる定量的な光学的発色研究を、その変色反応性がその粉末X線回折パターンによって少なくとも定性的に特徴付けられ、且つ所与の適用に潜在的に適切であることが見出された選択した1つまたは複数のサンプルに対して行うことができる。
【0089】
発色試験に付随するさらなる困難は、サンプルを慎重に取り扱う必要があることである。小さな熱誘導性重合でさえも実質的にサンプルが変色し得、試験に悪影響を及ぼす。
【0090】
驚いたことに、いくつかの場合、サンプルの粉末X線回折パターンは小さな重合度に比較的非感受性を示し、いくつかの最初の変色前および変色後に類似のパターンを得ることができる。したがって、サンプルの特徴付けのための粉末X線回折パターンの使用は、サンプルの取り扱いを色彩研究で必要なほど厳密に調節する必要がないというさらなる利点を有する。
【0091】
したがって、サンプルの粉末X線回折データは、指示薬の処方者が特定のホスト生成物のモニタリングに適切な反応性を有する変色共結晶化ジアセチレン単量体組成物を選択する能力を増強する有益なツールとして役立ち得る。
【0092】
本発明はまた、本明細書中に記載の任意の方法によって溶液から候補ジアセチレン単量体組成物を結晶化する工程、本明細書中に記載の任意の方法による候補ジアセチレン単量体組成物の回折パターンの決定によって結晶化した候補ジアセチレン単量体組成物を特徴付ける工程、および回折パターン特徴付けにしたがって調整した結晶化条件下で溶液からさらなる候補ジアセチレン単量体組成物を結晶化してホスト生成物のモニタリングにより適合したジアセチレン単量体組成物を得る工程を含む、ホスト生成物の条件のモニタリングのためのジアセチレン単量体組成物を調製する方法を提供する。
【0093】
ジアセチレン単量体
本発明の実施で有用な自発的重合性ジアセチレン単量体には、以下の第2の式:
【0094】
【化3】
(式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数である)を有するか適合する化合物が含まれる。m2、m3、およびm4は同一の整数であり得、必要に応じて、2つの単量体中でm1とm5とが異なり得る。例えば、1つの単量体中のm1またはm5のうちの1つは、それぞれ、他の単量体中のm1またはm5の他の1つと異なり得る。
【0095】
あるいは、一方の単量体中のm1およびm5の両方は、他方の単量体中のm1およびm5と異なり得る。必要に応じて、m3は2であり得る。あるいはまたはさらに、第1の単量体中のm1およびm5は1であり得、第2の単量体中では2であり得、m2およびm4は共に1であり得る。
【0096】
本発明の実施で有用な重合性ジアセチレン単量体には、第1の式を有するか適合する化合物も含まれる。
【0097】
第1の単量体および第2の単量体の他の有用な広義の定義は、本開示を考慮して当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるであろう。かかるより広義に定義された第1および第2の単量体を、必要に応じて、本発明の実施で使用することができる。
【0098】
本発明の実施で有用であり、且つ好ましい毒性学特性を有し得る1つの重合性ジアセチレン単量体群は、アルキル基が、エチル−、プロピル−、ブチル−、オクチル−、ドデシル−、およびオクチルデシルからなる群から選択され、これらに置換された2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)化合物およびアルキル置換基が直鎖である上記化合物である置換2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)化合物を含む。
【0099】
この群における有用な化合物の具体例には、以下が含まれる:2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)(「KE」としても公知);2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(「KPr」としても公知);および共結晶化アセチレン剤(2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)単量体との2:1共結晶化混合物など)。後者の混合物は、「KX単量体」としても公知であり、KX単量体として本出願で参照することができる。
【0100】
用語「ジアセチレン単量体組成物」は、本明細書中で、明確に異なる化学構造を有する2つ、おそらく2つを超えるジアセチレン単量体を含む組成物を含むために使用する。ジアセチレン単量体組成物の一例は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)との混合物を含む。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の化学構造は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の化学構造と2つのメチレン基(単量体分子の各置換基中に1つ)が異なる。
【0101】
Baughmanらの米国特許出願第12/261,887号(本明細書中で「Baughmanら」)(その開示が本明細書中で参考として援用される)は、本発明の生成物および方法における単量体として有用な一定の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)化合物に関する結晶構造、結晶化方法、特徴付け方法、使用、可能な重合様式、および他の有用な情報を開示している。この開示を考慮すると、Baughmanらに認められる各ジアセチレン単量体に関する一定の洞察、理解、または記述を、必要な変更を加えて、本発明の共結晶化ジアセチレン単量体および関連する方法に適用することができることを当業者は理解するであろう。
【0102】
本明細書中に記載のジアセチレン単量体組成物の共結晶化によって生成された多数の本発明のジアセチレン単量体組成物および結晶相を、X線粉末回折研究または粉末であるか他の物理的形態を有する組成物サンプルを使用した他の波長での電磁放射線を使用した回折研究を使用して特徴付けおよび同定することができる。いくつかの場合、固有の回折パターンまたは反射ピークを有する特有のディフラクトグラムを得ることができる。
【0103】
X線粉末回折パターン
本明細書中での「X線粉末回折パターン」という言及は、CuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折パターンをいうと理解すべきである。使用した照射は、任意の適切な波長(例えば、1.54056Å)を有し得る。別の波長を示さない限り、本明細書中でこの波長が使用されると理解すべきである。しかし、本開示を考慮して、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるように、任意の適切な照射源および波長を使用して、本発明の目的に有用なスペクトルを得ることができる。また、他の照射または波長を使用する場合、収集されたスペクトルの外観がいくつかの点で本明細書中に示すものと異なり得ると理解されるであろう。
【0104】
さらに、粉末の使用が特徴付けられた回折パターンを得るために好都合であり得る一方で、類似または等価な回折パターンの特徴付けを単一の結晶(利用可能な場合)または一定の程度で双方向に配位する一連の結晶に対して行うこともできると理解されるであろう。これらの回折パターンの外観は、ランダムに配向した粉末を使用した場合に得られる回折パターンと異なり得る。しかし、とりわけ、通常は類似の有用な情報を得ることができる。
【0105】
本発明の固体単量体組成物は、回折間隔によって決定された収集角でX線粉末回折ピークを示すことができ、示された回折ピークはパターン特性を提供する種々の強度(例えば、回折間隔の減少につれて強度が減少する一連の回折ピーク)を有し得る。
【0106】
得ることができるX線粉末回折パターンの記載において、用語「シングレットピーク」は、本明細書中で、ピークが固有のカスプを含み、ピークのいずれの側面上にも十分に定義されたショルダーは存在しないというX線回折パターン中のピーク外観を含むために使用する。例示的なシングレットピークに関するさらなる記載を、本明細書中の他の場所に示す。
【0107】
本明細書中に記載しているように、固体単量体組成物は、CuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折パターンを示すことができる。このパターンは、特有のピークパターン(例えば、約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間の3つの反射ピーク)を含むフィンガープリント領域を有する。
【0108】
3つの反射ピークは、約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク(long spacing peak)、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク(intermediate spacing peak)、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピーク(short spacing peak)を含むことができる。例えば、3つの反射ピークは、それぞれおよそ4.04Å、3.89Å、および3.66Åのd間隔で存在することができ、波長が約1.54ÅのX線を使用して特徴付けることができる。
【0109】
フィンガープリント領域では、X線粉末回折パターンは、長間隔ピークと中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れ得る。独立して、またはさらに、このパターンは、中間隔ピークと短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れ得る。
【0110】
さらに、またはあるいは、3つの反射ピークは約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり得、独立してまたはさらに、フィンガープリント領域中のこれらの反射の中間隔ピークの強度は、長間隔ピークまたは短間隔ピークのいずれかより高い強度であり得る。
【0111】
また、X線粉末回折パターンは、最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み得る。最長および2番目に長い間隔ピークは、シングレットピークであり得、且つそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔または他の適切なd間隔であり得る。
【0112】
あるいはまたはさらに、回折パターンは、約4.40Åのd間隔と約3.95Åのd間隔との間のフィンガープリント領域中に2つの反射ピークを有し得る。2つの反射ピークは、約4.43Å〜約4.37Åの範囲のd間隔での長間隔ピークおよび約3.99Å〜約3.92Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み得る。2つの反射ピークは、約4.43Å〜約3.92Åの回折間隔範囲中に最高の強度ピークであり得る。また、2つのピークの強度は類似し得る。
【0113】
別の態様では、本発明は、熱重合性を示し、且つ第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各単量体が第1の式も有し、式中、第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、固体単量体組成物を提供する。この組成物では、最長および2番目に長いX線粉末回折ピークは本質的にシングレットである。2番目に長い間隔ピークは、最長の間隔ピークのd間隔の約半分のd間隔であり得る。
【0114】
本明細書中に記載するように、本発明は、アセチレン組成物の結晶の構造周期性および構造周期性に関連する回折間隔の調整によって所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を作製する方法を含む。
【0115】
本方法はまた、混合した第1および第2の単量体を溶液から共結晶化して固体結晶性アセチレン組成物を得る工程を含むことができる。混合によってCuKα1放射線を使用して収集した固体結晶性アセチレン組成物のX線粉末回折スペクトル中に最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークを得ることができる。各回折ピークは、本質的に、第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化すると、ほぼ線形に回折間隔がシフトするシングレットピークであり得る。
【0116】
本明細書中に記載するように、本発明はまた、高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルを参照することによって固体組成物中に得ることができる高反応性相を同定する工程を含む、所望の変色反応性を有する固体アセチレン結晶組成物の作製方法を提供する。
【0117】
必要に応じて、本方法はまた、固体組成物が本質的にシングレットの最も小さい角度の回折ピークおよび本質的にシングレットの2番目に小さい角度の回折ピークを有するCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折パターンを示すことができるように混合する工程を含むことができる。最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークに関連するそれぞれの回折間隔は、第1の単量体の全単量体組成物に対する重量比の変化を伴ってほぼ線形にシフトし得る。したがって、本方法はまた、最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークについての所望の熱反応性に関連する回折間隔を得るのに有効な第1の単量体の重量比を選択する工程を含むことができる。
【0118】
なおさらなる態様では、本発明は、変色性共結晶化単量体組成物の反応性を調節する工程を含む方法を提供する。単量体組成物は、第1の式または第2の式を有する第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を含むことができる。本方法はまた、第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を溶媒系中にて少なくとも約60℃の高温で溶解する工程および少なくとも約1時間を必要とする冷却速度で約60℃から約30℃に溶液を冷却する工程を含むことができる。本方法はまた、冷却溶液からジアセチレン単量体組成物の結晶を回収する工程および変色特性によって測定した回収結晶の反応性を決定する工程を含むことができる。
【0119】
必要に応じて、本方法は、所望の変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物の結晶を得るために溶媒系を選択する工程を含むことができる。高温は少なくとも70℃であり得、溶媒の約60℃から約30℃への冷却には少なくとも90分間必要であり得る。
【0120】
重合
重合を誘導する条件下で、多数のジアセチレン単量体分子が相互につながってポリジアセチレンを形成するようになる。反応は固体で起こり、不可逆性である。いくつかの場合、無色またはほぼ無色のジアセチレン単量体の結晶は、十分な累積熱曝露または別の環境条件に応答して、強い色調のポリマー結晶に変換される。重合反応を、周囲条件および単量体材料の特性によってほとんどが決定される速度で自発的に進行させることができる。
【0121】
重合反応は不可逆性であるので、重合に起因する変色も通常の条件下で不可逆性である。この性質は、腐敗性生成物(過剰な累積熱曝露後に品質を喪失し得るワクチン、食品、または薬剤など)のモニタリングのための指示薬において有用である。ジアセチレン単量体を、必要に応じて、熟成生成物(例えば、ワインまたはチーズ)の成熟度のモニタリングのために使用される指示薬中の活性薬剤として使用することもできる。これらおよび他の目的のために、ジアセチレン単量体を、モニタリングすべきホスト生成物と組み合わせるべき指示薬のラベルもしくはカードまたは他の指示薬デバイス中の活性薬剤として組み込むことができる。指示薬デバイスは、都合のよい観察距離でのヒト観察者(例えば、ワクチンまたは医薬を投与する医療専門家またはスーパーマーケットにおいて冷蔵されたディスプレイから食品を選択する買い物客)によって把握することができるジアセチレン単量体の重合由来の変色シグナルを提供する。可逆的指示薬は、かかる目的には有用ではないかもしれない。
【0122】
結晶構造は、隣接する単量体分子が適切に並置されていない場合、重合は困難であるか不可能であり得るという点でのアセチレン単量体の固体重合性の決定に重要である。結晶中の固溶体中の第2のジアセチレン単量体の存在によって改変された結晶構造が得られるので、本発明は、固体の熱誘導性重合反応の速度の調整を補助するためにこの現象を使用することができる。かかる調整により、異なる時間および温度依存性の変色パターンを得ることができる。このパターンを通常は時間−温度指示薬で使用して新規のホスト生成物のモニタリングのための新規の指示薬を得ることができる。
【0123】
例えば、特に短い貯蔵期間(例えば、冷蔵条件下での約1日間、2日間、または3日間までまたは室温での約3時間、6時間、または12時間までの短期間)を有する生成物のモニタリングに有用であり得る比較的高い変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物を有することが有用であろう。本発明の実施で使用することができる冷蔵または室温条件下で短い貯蔵期間を有する可能なホスト生成物のいくつかの例には、急速に変質し得る作りたてのサンドイッチおよび他の既製の食事または軽食(寿司または甲殻類(そのいずれかは生または調理した魚またはその両方を含むことができる)など)が含まれる。
【0124】
別の有用な適用では、高反応性ジアセチレン単量体組成物を、ホスト生成物の貯蔵期間の一部(例えば、貯蔵期間のある段階(例えば、冷蔵条件下で1日間または2日間またはそれ未満であり得るか、別の適切な期間を有し得る輸送または一時的な保存段階など))の測定のための指示薬中の活性指示剤として使用することができる。
【0125】
固溶体形成の結果としての反応速度の変化は、混合される特定のジアセチレン単量体、その相対的比率、各ジアセチレン単量体の反応性、結晶化条件(使用溶媒、相核形成、および成長条件など)、および他の要因に応じて増加または減少し得る。
【0126】
固溶体形成はまた、熱重合の活性化エネルギーを変化させる有利な効果を有し得る。これにより、ジアセチレンの熱重合エネルギーを腐敗性生成物の熱重合エネルギーとより正確に適合させることができる
ジアセチレン結晶中の非アセチレン分子(例えば、溶媒)の存在を使用して結晶反応性を変化させることもできるので、かかる非アセチレン分子の存在を、アセチレン分子の混合物を活性指示剤として使用するいくつかの指示薬デバイス型で使用することもできる。そうはいっても、文脈上別なふうに示唆されない限り、用語「固溶体」を、本明細書中で、同一結晶中の2つ以上のジアセチレン単量体の存在を示すために使用する。
【0127】
2つ以上のジアセチレン単量体によって形成された固溶体の結晶構造に応じて、自発的1,4−付加反応で形成されたポリマーは、理論的に、少なくとも2つの異なる単量体単位を含む1つまたは複数のコポリマーもしくはポリマー鎖、単一の単量体単位を含む1つまたは複数のホモポリマーもしくはポリマー鎖、またはその組み合わせであり得る。
【0128】
例えば、2つの化学的に異なるジアセチレン単量体が固溶体中に存在し、且つ各単量体がその反応方向で個別のスタックを形成する場合、完全に混合された2つの異なるホモポリマーが重合によって形成されるであろう。他方では、2つの異なる単量体単位が単量体スタックの反応方向で周期的またはランダムに混合する場合、得られたコポリマーはそれぞれ周期的またはランダムであろう。
【0129】
かかるジアセチレンコポリマーおよび完全に混合したホモポリマーを、恐らく固溶体の固相重合以外の方法によって同一状態で形成することができず、潜在的に、単量体結晶中の単量体分子の相対濃度およびこれらの結晶を成長させるために使用した共結晶化条件の変化によって調整可能な性質を有する。これらの調整可能な性質には、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるように、種々の有用な性質(例えば、周囲条件での変色反応性、半導体性、光伝導性、および光周波数の増加のための非線形光感受性)および他のかかる性質が含まれ得る。
【0130】
結晶化方法。冷却による酢酸などの溶媒中での溶媒からの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物および他の不均一なジアセチレン単量体組成物の種々の生成方法が公知である。本発明の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物および他の不均一なジアセチレン単量体の調製方法は、当該分野で公知の比較的高速の冷却手順よりもゆっくり作用する冷却手順を使用することができる。驚いたことに、これらの新規の方法により、新規の反応性を有する新規のジアセチレン単量体組成物を得ることができる。
【0131】
本明細書中に記載するように、新規のジアセチレン単量体組成物を、一般に、粉末X線結晶学によって特徴付け、公知の生成物と区別することができる。多くの場合、粉末X線回折分析は所与の生成物を区別するのに十分であり得、装置を利用可能な場合、しばしば比較的迅速且つ容易に行うことができる。単一結晶のX線回折によるより完全な結晶構造の決定はより骨が折れ得る。また、単一結晶のX線回折は、通常、比較的巨大な結晶が必要であり、この結晶は容易に得ることができないかもしれない。
【0132】
Prusikらの171号の比較実施例4に記載の方法では、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物を含む酢酸溶液を、予めプログラミングされた冷却装置を使用して、1時間にわたって制御された速度で約70℃から24℃に冷却する。Prusikらの171号に記載のように、この間に、混合物は、急速冷却を使用するPrusikらの171号中の他の例と比較して比較的低速で結晶化する。それにもかかわらず、Prusikらの171号の実施例4中に記載の平均冷却速度は、約0.8℃/分で実質的に0.5℃/分を超えるようである。Prusikらの171号にしたがって、収束ビーム反射法(「FBRM」)によって決定された平均弦長28.1μmの結晶を得ることができる。
【0133】
したがって、0.5℃/分以下の冷却速度を使用する本明細書中の実施例1に記載の中間速度冷却手順および低速冷却手順は、不均一なジアセチレン単量体の共結晶化のための公知の冷却過程より実質的にゆっくりであると考えられる。共結晶化を誘導するためのジアセチレン単量体溶液の高速冷却についてのいくつかの当該分野で示唆される理由には、以下が含まれる:各化合物が晶出する前に共結晶を形成すること、印刷用インク中に処方に適切な小結晶が得られること、および不活性な共結晶化混合物が得られること。
【0134】
例えば、Preziosiらの151号の実施例Sは、種々の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)(Preziosiらの151号中の「1KE」)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(Preziosiらの151号中の「1KPR」)の酢酸溶液を撹拌しながら冷水浴中で媒質の沸点(110°〜115℃)から20℃へ冷却することを記載している。これは、本発明の低速および中間速度の冷却過程と比較して比較的高速の冷却過程のようである。本発明の比較的受動的な中間速度および低速の冷却過程はまた、コストに関して有利であり得る。
【0135】
対照的に、本発明のいくつかの方法は、Prusikらの171号に記載の条件と異なる冷却条件(例えば、不均一なジアセチレン単量体組成物の共結晶化についてPrusikらの171号に開示の速度より遅い冷却速度)を使用する。例えば、本発明の溶液からの不均一なジアセチレン単量体組成物の共結晶化方法は、約60℃から約30℃への溶液の冷却に少なくとも1時間を必要とする冷却手順(「中等」冷却速度と記載することができる)を含む。この冷却手順により、せいぜい約0.5℃/分の平均冷却速度にし、最大冷却速度を必要に応じてより低い温度(例えば、約30℃または24℃)に維持することができる。
【0136】
約30℃から24℃へのジアセチレン単量体組成物の冷却にさらなる時間が必要であるので、この冷却手順は、Prusikらの171号の実施例4に記載の手順より有意に遅い。結晶化溶液または液体が最初に60℃を超える場合、60℃への溶液の冷却にさらなる時間が必要であろう。これは、本発明の冷却方法をPrusikらの171号の実施例4に記載の方法とさらに区別する。
【0137】
Preziosiらの151号の実施例Sに冷却速度の数字は示されておらず、Preziosiらの151号を使用して冷却速度に関する直接比較を行うことができない。しかし、Preziosiらの151号は、冷水浴および撹拌を使用した能動的冷却を使用しているようである。
【0138】
Preziosiの151号と異なり、本発明の方法で使用した冷却手順は、より低速の冷却速度を意味する受動的冷却方法を使用する。例えば、本発明の実施で使用可能な中間速度冷却手順では、ジアセチレン単量体サンプルおよび溶媒系を1つまたは複数の容器(例えば、バイアル)に導入し、熱水浴を使用して、溶媒系にジアセチレン単量体を溶解するための熱を得る。次いで、サンプルを含むバイアルを有する熱水浴を、室温環境で受動的に冷却する。必要に応じて、熱水浴を、冷却しながら合理的に無通気の環境で保持することができ、任意選択的に、気化冷却を防止するために水浴表面を覆うことができ、放射熱損失を軽減するために水浴をアルミ箔で覆うか包むこともできる。
【0139】
本発明の実施で使用可能な低速冷却手順では、容器および容器に含まれるサンプルを、水浴由来の熱水と共に断熱環境(例えば、真空フラスコ)に移し、ここで、容器および熱水を室温環境で受動的に冷却させる。冷却は、本明細書中に記載の中間速度手順よりも遅い速度で進行する。
【0140】
通常、冷却を、約40℃未満(例えば、約30℃未満または約25℃未満)の温度に維持することができる。所望の温度に到達した直後に、結晶化混合物を濾過し、回収した結晶を必要に応じて洗浄し、さらに処理するか、低温貯蔵のために冷凍室に移すことができる。その温度モニタリングまたは他の性質に悪影響を及ぼし得るジアセチレン単量体の室温重合を回避するか軽減するために、かかる操作を迅速に行うことが望ましい。
【0141】
単量体結晶が形成されるにつれて重合し始め、発色し得る。適量の発色は、時折、必要に応じて調整した時間−温度指示薬のデザインで許容され得る。
【0142】
通常、本発明の結晶化方法では、ジアセチレン単量体組成物を、高温で溶媒系に溶解することができる。任意の適切な溶媒または溶媒系および使用した溶媒または溶媒系の沸点に適合する任意の適切な高温を使用することができる。
【0143】
本発明の実施で用いるジアセチレン単量体組成物の溶解に有用な溶媒系のいくつかの例には、氷酢酸および他の従来のジアセチレン単量体溶媒(例えば、氷酢酸、プロピオン酸、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、およびジメチルスルホキシドなど)が含まれる。
【0144】
本発明の実施で有用な溶媒系のいくつかのさらなる例には、メタノール、ギ酸、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、アリルアルコール、2−アミノエタノール、1,1,3,3−テトラメチル尿素、ジクロロ酢酸、およびトリフルオロ酢酸などの各溶媒が含まれる。
【0145】
本発明の実施で有用な溶媒系には、混和性溶媒混合物(例えば、水と適切に補足的な溶解性パラメーターを有する別の溶媒との混合物)も含まれ得る。水を有する混合物は、溶媒系の重量に基づいて約1〜約40重量%の水、約4〜約25重量%の水、または別の適切な比率の水を含むことができる。必要に応じて、他の溶媒は、せいぜい約15MPa1/2の水素結合パラメーターを有することができ、せいぜい約18MPa1/2の極性結合パラメーターを有することができる。いくつかの他の有用な溶媒系は、溶媒の非水性混合物(上記の各溶媒の非アルコール溶媒と適切なアルコール溶媒との混合物が含まれる)を含む。
【0146】
以下は本発明の実施で有用な溶媒系のいくつかの例であり、いずれの場合にも、水の比率は溶媒系の重量に基づく:
水の比率が約5%〜約25%の酢酸と水との混合物(酢酸でバランスをとる);
水の比率が約5%〜約25%のアセトンと水との混合物(アセトンでバランスをとる);
水の比率が約5%〜約25%のジメチルホルムアミド(本明細書中で「DMF」)と水との混合物(ジメチルホルムアミドでバランスをとる);
水の比率が約0%〜約25%、任意選択的に少なくとも約5%のジメチルスルホキシドと水との混合物(ジメチルスルホキシドでバランスをとる);
水の比率が約0%〜約25%、任意選択的に少なくとも約4%のエタノールと水との混合物(エタノールでバランスをとる);
水の比率が約1%〜約25%、任意選択的に少なくとも約5%のピリジンと水との混合物(ピリジンでバランスをとる);
水の比率が約1%〜約25%、任意選択的に少なくとも約5%の1,1,3,3−テトラメチル尿素と水との混合物(1,1,3,3−テトラメチル尿素でバランスをとる);および
水の比率が約10%〜約90%、任意選択的に少なくとも約30%のジメチルスルホキシドとエタノールとの混合物(ジメチルスルホキシドでバランスをとる)(例えば、およそ50:50混合物)。
【0147】
使用することができる他の溶媒および溶媒系は、Baughmanらから明らかであろう。使用することができるなおさらなる溶媒および溶媒系は、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるであろう。
【0148】
高温は、使用した溶媒系の沸点および加熱方法に応じて約60℃超(例えば、約70℃または80℃〜約100℃の範囲またはこれらを超える)であり得る。通常、加熱マントル(例えば、水浴)または溶液に対する温度制御された適度な加熱に適切な他の装置によって加熱することができ、加熱マントルは、溶液を含む1つまたは複数の容器の周囲に広げることができる。高温を加熱マントルで決定することができるが、実際の溶液温度は少し低いかもしれないことに留意すべきである。
【0149】
かかる場合、中間速度冷却手順では、熱溶液は、最初の80℃以上の高温から約70℃まで冷却するのに約5分間〜約20分間以上かかり得、最初の温度から約60℃までの冷却に約10分間〜約50分間以上かかり得る。本発明に従って中間速度冷却手順を使用した場合、約70℃から約60℃への冷却に、約5分間〜約40分間以上(例えば、約10分間〜約20分間以上)かかり得る。
【0150】
溶液からの不均一なジアセチレン単量体組成物の共結晶化のための本発明の実施で使用可能な冷却手順のいくつかの例には、約60℃から約30℃に溶液を冷却するために1時間超を必要とする冷却手順(この温度範囲での平均冷却速度はせいぜい約0.43℃/分である)が含まれる。例えば、冷却速度は、約60℃から約30℃に溶液を冷却するのに約75〜150分間以上などの時間が必要であり得る(この温度範囲での平均冷却速度は約0.4℃/分〜約0.2℃/分である)。約60℃から約30℃に溶液を冷却するのに有用な冷却期間のいくつかの例は、少なくとも約70分間および少なくとも約90分間である。
【0151】
さらに、冷却手順は、約30℃から約24℃に溶液を冷却するのに約10分間〜約75分間以上必要であり得る(この温度範囲での平均冷却速度は約0.6℃/分〜約0.08℃/分である)。
【0152】
しかし、冷却手順は、約30℃から約24℃に溶液を冷却するのにさらにより多くの時間(例えば、約75〜150分間以上)を使用し得る(この温度範囲での平均冷却速度は約0.08℃/分〜約0.04℃/分である)。冷却工程を使用する本発明の方法はまた、約30℃から約24℃への小さな温度範囲を通じて冷却するために使用される時間によってPrusikらの171号と区別される。
【0153】
約60℃から約30℃へのジアセチレン単量体の不均一な熱溶液を冷却するために1時間超(例えば、少なくとも70分間)を必要とする上記冷却方法を、「中等」または「中間」速度冷却と記載することができるか、「中等」または「中間」冷却速度を使用すると記載することができる。より迅速な冷却速度を、「高速」冷却と記載することができる。
【0154】
本発明の共結晶化過程が本発明の実施で使用した中間速度冷却手順で有意に60℃を超える温度(例えば、75℃以上)でジアセチレン単量体溶液を使用する場合、約60℃に低下させるのに任意の適切な冷却速度を使用することができる。例えば、60℃への冷却には1時間未満を必要とし得るか、より迅速であり、10分以下であり得る。
【0155】
本発明の実施では、中間速度冷却を、熱ジアセチレン単量体溶液を含む適切な容器を水浴に入れ、熱ジアセチレン溶液の温度から、室温、低通気、または無通気の環境で受動的に冷却させることによって行うことができる。任意選択的に、水浴の上面を覆って放射熱および蒸発熱による放熱を阻止することができる。
【0156】
必要に応じて、冷却前に、水浴を加熱し、これを使用して高温の適切な溶媒または溶媒系に不均一なジアセチレン単量体生成物を溶解することができる。
【0157】
所望の冷却条件を得るための他の適切な装置または手順は、当業者に明らかであるか、明らかとなるであろう。例えば、予めプログラミングした冷却装置を使用することができ、所望の最終温度および冷却持続時間または他の適切なパラメーターを使用してプログラミングすることができる。
【0158】
使用することができる適切な冷却装置の一例は、種々のサイズが利用可能なCole−Parmer Polystat(登録商標)プログラマブルコントローラーバスモデルR12122である。あるいは、Thermo Scientific NESLAB RPCコントローラーモデルR−13550を使用して、NESLAB Digital One Plus浴を使用して既定の温度プロフィールを運転することができる。
【0159】
ジアセチレン溶液からの一定のジアセチレン単量体混合物の共結晶化を行うためのいくつかの高速冷却方法は公知であり、これらの公知の方法は、一般に、高温から室温またはほぼ室温への冷却を1時間未満(例えば、30分以下)で行う。いくつかの方法は、より急速で、結晶化生成物を数分間で室温またはほぼ室温に冷却することができる。例えば、容器を使用するか使用しないでジアセチレン単量体溶液を低温に維持した冷浴に注ぐか一度に注ぐ急冷を行うことができる。低温はおよそ凍結温度(約0℃)または実質的により低い温度(例えば、約−35℃〜−40℃)であり得る。かかる急冷により、熱ジアセチレン単量体溶液の温度を2分以内に室温、凍結温度、またはより低い温度に低下させることができる。
【0160】
必要に応じて、比較的遅い冷却速度を、本発明の実施で使用することもできる。例えば、冷却手順は、ジアセチレン単量体溶液を約60℃から約30℃に冷却するために2時間超を必要とする低速冷却を含むことができる。当業者に明らかであるか、明らかとなるように、かかる低速冷却を、真空フラスコを使用するか別の適切な様式で行うことができる。
【0161】
共結晶化ジアセチレン単量体組成物の調製および特徴付けならびに方法のいくつかの例をここに記載し、これは、本発明の実施の例示を目的とし、本発明の範囲を制限しないであろう。
【実施例】
【0162】
実施例1:異なる冷却速度での2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の2:1混合物の共結晶化
0.133gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および0.067gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(重量比2:1)を共に各20mlシンチレーションバイアルに秤量した。以下のように2〜8グラムの溶液を得るのに十分な溶媒を各バイアルに添加して、表示の組み合わせた重量濃度の2つの単量体を得る。
1.8グラムの溶媒 10%
4.8グラムの溶媒 4%
7.8グラムの溶媒 2.5% 。
【0163】
個別のバイアルを、重量比約80:20のエタノール:水を有する氷酢酸(本明細書中で「酢酸」)およびエタノール水溶液を使用して調製する。文脈中に示さない限り、「エタノール水溶液」を、本明細書中で、80重量部のエタノールと20重量部の水との混合生成物を示すために使用する。本明細書中で使用する場合、「エタノール」は、通常の保存条件下で約4重量%までの水を含むことができる純粋なエタノールをいい、その結果、アルコール水溶液の混合物の水分含量は20重量部よりもいくらか多くてよい。
【0164】
電磁式撹拌機を挿入し、各バイアルを密封する。バイアルを、ホットプレート上で酢酸については約90℃またはエタノール水溶液については約80℃に維持した水浴に、バイアル中の溶液のレベルを超える水位で浸漬する。水浴は、耐熱ガラスで形成されており、高さ約50mm×直径約100mmの容積を有する。
【0165】
混合物を撹拌し、固体を手作業での震盪によって迅速に溶解して、バイアルの壁に残存する固体を確実に溶解する。それぞれ約90℃または80℃で10分後、ホットプレートおよび撹拌機のスイッチを切る。次いで、下記のように、溶液をバッチ中で異なる冷却速度(低速、中間速度、および高速)で撹拌することなく冷却し、溶解した材料を沈殿させる。
【0166】
高速冷却。バイアルの第1のバッチを、使用溶媒にしたがって各温度(酢酸についての約90℃またはエタノール水溶液についての約80℃)で保持した水浴から取り出すことによって最初に冷却し、約0℃の氷水中での急冷によって急速に冷却する。高速冷却を使用して、バイアル中の溶液は、通常、1分以内に約24℃の室温に冷却することができる。
【0167】
中間速度冷却。バイアルの第2のバッチを、溶液の加熱のために使用した水浴を室温(25℃)の低通気環境で撹拌することなく受動的に冷却させることによって中等(すなわち、中間)の冷却速度で冷却する。水浴表面を水の蒸発を防止するために断熱性の中空プラスチック球で覆い、水浴を熱喪失の軽減を補助するためのアルミ箔で覆う。中間速度冷却を使用して、バイアル中の溶液を、通常、約4〜5時間以上で約24℃の室温に冷却することができる。
【0168】
低速冷却。バイアルの第3のバッチを、依然として約90℃または80℃のバイアルおよび水浴由来の加熱水を高さ約120mm×直径50mmの寸法の真空フラスコに移すことによってゆっくり冷却する。いくつかのプラスチック球も真空フラスコに移し、系全体をアルミ箔で覆い、無通気の室温環境で維持する。系の温度を、水に挿入して真空フラスコに接触させたままの温度計によってモニタリングする。温度が約30℃に到達した時、サンプルを真空フラスコから取り出し、室温に冷却することができる。低速冷却を使用して、バイアル中の溶液を、通常、約6時間またはおそらくそれを超える時間で約24℃の室温に冷却することができる。望ましくは、温度が室温より少し高い場合でさえ、わずか約7時間後に、以下の実施例2に記載のようにサンプルを濾過し、さらに処理する。
【0169】
延長冷却。バイアルの第4のバッチを、使用した真空フラスコが高さ約50mm×直径約100mmの寸法の短い容器であることを除いて低速冷却手順に従うことによって期間を延長して冷却する。延長冷却は、低速冷却より長い時間がかかる。例えば、延長冷却の測定時間は低速冷却の測定時間付近であり得るが、最初の2〜3時間の冷却における1℃低下させる最初の冷却速度がわずかにより遅い。
【0170】
当業者に理解されるように、室温への冷却時間は、種々の要因(使用した冷却容器、冷却材(存在する場合)、サンプルサイズ、および容器のサイズが含まれる)に依存する。これらのパラメーターを、本明細書中に記載の条件に類似の冷却条件を得るために変化させることができる。
【0171】
各冷却系の経時的な温度低下の例を示すグラフを図8に示す。図8に示すように、高速冷却下で、サンプルは、測定した温度から示唆されるよりわずかにゆっくり冷却することが予想される。それにもかかわらず、高速冷却下で、サンプルは、30分未満で30℃に到達する可能性が高い。図8からわかるように、中等(中間)速度冷却および低速冷却下で種々の温度に到達するためにかかる時間を、表1に示す。
【0172】
【表1】
実施例2:濾過および乾燥
実施例1で生成された沈殿した共結晶化混合物がそれぞれ室温に到達した時、各バイアルを開け、残った溶液を、細孔径2μmのフィルタープレート(例えば、Genesys(Korea)のポリカーボネート製のトラックエッチングフィルターであるTTTPイソポアフィルター)で濾取する。
【0173】
回収した結晶をアセトンで洗浄し、アルミニウムボートに入れ、結晶を暗闇で維持するために有孔アルミ箔で覆い、室温の真空下で1〜2時間乾燥させる。直ちに使用しない場合、次いで、共結晶化単量体結晶を、貯蔵用の冷凍室に迅速に移す。実施例1および2の手順にしたがった場合、重合はほとんど起らないと考えられる。反応性がより高い単量体の場合、新たな重合を軽減するために、必要に応じて、乾燥を省略するか、より低い温度で行うことができる。
【0174】
得ることができる結晶の平均粒径は冷却条件に依存する。低速冷却および延長冷却により、数百ミクロンの範囲の平均粒径を得ることができる。中間速度冷却および高速冷却により、平均粒径が約20ミクロンオーダーのより小さな結晶を得ることができる。
【0175】
実施例3:重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物の共結晶化
実施例1に記載の単量体の重量の代わりに0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を使用して、実施例1を繰り返す。
【0176】
実施例4:種々の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物の酢酸からの共結晶化
0.2gの単量体の総重量に対して以下の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を使用して実施例1を繰り返す:1:0、9:1、3:1、2:1、1:1、1:3、1:9、0:1。これらの混合物を、実施例1に記載の単量体の重量の代わりに使用する。1.8gの酢酸を溶媒として使用し、約90℃の水浴を使用する。各サンプルの冷却は、実施例1に記載のように中等冷却速度である。
【0177】
実施例5:種々の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物のエタノールからの共結晶化
0.2gの単量体の総重量に対して以下の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を使用して実施例1を繰り返す:1:0、2:1、1:1、1:2、0:1。これらの混合物を、実施例1に記載の単量体の重量の代わりに使用する。4.8gのエタノール水溶液を溶媒として使用し、約80℃の水浴を使用する。各サンプルの冷却は、実施例1に記載のように中等冷却速度である。
【0178】
実施例6:種々の溶媒比を使用した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の1:1混合物の共結晶化
一方のバイアル中の0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)、0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)、および1.8gの氷酢酸、他方のバイアル中の0.2gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)、0.2gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)、および1.6gの氷酢酸、および第3のバイアル中の0.05gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)、0.05gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)、および1.9gのエタノール水溶液を実施例1に記載の単量体および溶媒の重量の代わりに使用して実施例1を繰り返す。各サンプルの冷却は、実施例1に記載のように水浴を使用した中等冷却速度である。
【0179】
比較実施例A:2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の2:1混合物の混合
比較のために、重量比2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)結晶を物理的に混合する(すなわち、各結晶の形態を保存する様式で共に撹拌または混合する)。
【0180】
実施例7:重合
300mgの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)を、100℃で2週間ゆっくり重合させる。300mgの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)および重量比2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物を160℃で23時間加熱する。重合過程の完了を、本明細書中の実施例9に従ったX線粉末回折によって確認することができる。本実施例での使用に適切なエチル尿素およびプロピル尿素ジアセチレン単量体は、例えば、Preziosiに付与された米国特許第4,788,151号に記載の氷酢酸からの急冷結晶化によって得ることができる。
【0181】
温度がジアセチレン単量体の分解温度を超えないことを条件として、他の適切な時間−温度条件を使用して単量体を重合することができ、予想通り、より高い温度でより速く重合される。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)との2:1共結晶化混合物が約200℃超で分解し始め得る一方で、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)のみでは約220℃超で分解し始め得る。13C NMR研究または他の目的のためのポリマーへの総変換を、粉末X線回折によるか(すなわち、本発明によって得られた情報を使用する)、13C NMR研究自体によって確認することができる。
【0182】
実施例8:粉末サンプルの調製
さらなる特徴付けに適切な粉末サンプルを調製するために、実施例1〜5由来の共結晶化の生成物および比較実施例6の混合物の一部を、乳棒を使用して瑪瑙乳鉢中で数秒間軽く粉砕する。必要に応じて(例えば、結晶が巨大且つ滑りやすい場合)、液体窒素を使用して結晶を冷却して粉砕を容易にすることができる。この方法での液体窒素の使用は、必要に応じて、優先的配向の影響の軽減および粉砕中の無作為な結晶劈開の促進に役立ち得る。
【0183】
得られた粉末を、変色決定のためのサンプルを得るためにプラスチック皿に注ぐか、X線粉末回折による特徴付けのためのサンプルを得るためにスライドガラス上に注ぐことができる。
【0184】
実施例9:発色の決定
以下の手順を使用して、実施例8のサンプルのうちの種々のサンプルおよびコントロールとしての2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の比較サンプルの60℃での相対的発色反応性を決定する。サンプルを、蛍光ランプを備えた60℃のオーブン中の白色バックグラウンド上に置く。デジタルカメラの対物レンズを、オーブン上部の開口部に挿入し、1分毎に写真を撮影する。各サンプルの反応性も、既定期間後の各サンプルの色彩の視覚的試験によって定性的に評価する。経時的に生じる変色を、グラフィックコンピュータプログラムPixelGrabber(Java(商標)2プラットフォーム)を使用して各サンプル上の特定のピクセルでのRGBスケール上の赤色値を測定することによって測定する。
【0185】
光学密度を、周辺光の変動を相殺するためのサンプルに対する白色バックグラウンドの赤色値で割った赤色測定値の対数として得る。得られた色彩反応性パラメーターは、決定した光学密度の経時的変化に比例することを説明している。例えば、反応パラメーターを、各検量線の交差点での−log(Rサンプル/R白色)対時間(分)の曲線の勾配と定義することができる。色の標準は、適切な温度非依存性光学密度(「OD」)値を有する材料である(例えば、OD値0.3を有する白色支持層上のミディアムブルーの不透明なインクのドローダウン)。
【0186】
実施例10:X線粉末回折によるサンプルの特徴付け
X線回折データを、1.54056Åの波長でCuKα1を放射するRigaku ULTIMA III(商標)回折計を使用した各サンプルの特徴付けのために収集した。
【0187】
刻み幅0.02°で走査速度0.04°/分にて3°〜40°の2θ値についてのデータを収集する。反射についてのd間隔を、内部較正のために標準アルミナと混合した各サンプル粉末のパターンの収集後にブラッグの法則を使用して計算する。得ることができるいくつかの結果を、添付の図面に示し、且つ本明細書中の他の場所に記載している。
【0188】
表2は、実施例1および8の方法によって調製した粉末化結晶相サンプルを使用した実施例9などに記載の発色実験から得ることができる定量的結果のいくつかの例を示す。各サンプル中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量比は2:1である。実施例10などに記載の実験から得たX線粉末回折スペクトル分析から得ることができるサンプルの色彩反応性に関するいくつかの定性的結論も表2に示す。
【0189】
【表2】
表2に関して、試験したサンプルを、英数字の識別名(カラム1中の「KX01」など)を使用してラベリングする。溶媒系、単量体の重量比、および冷却速度を、それぞれ、次の3つのカラム中に記載する。サンプルKX01〜KX06の冷却条件は十分に制御されなかった。むしろ、これらのサンプルを、溶液を加熱するために使用したホットプレート(ホットプレートのスイッチは切ってある)の上部の開口バイアルまたはペトリ皿中で冷却した。
【0190】
視覚的に、高速および中間速度の冷却により、比較的小型で粉末状の白色または無色の結晶が得られる。対照的に、サンプルの低速冷却により、一般に、巨大な結晶が得られる。トール真空フラスコ中での冷却によって針状結晶が得られる一方で、ショート真空フラスコ中での延長冷却によってプレート様結晶が得られる。液体窒素中での粉砕を巨大結晶サンプル(KX12およびKX26など)のために使用して、例えば、実施例8に記載のX線粉末回折による特徴付けのためのランダムな結晶配向を有する粉末を得ることができる。
【0191】
表2中の最後から2番目のカラムは、実施例10などに記載の方法によって得られたサンプルのX線粉末回折パターンの視覚的分析から決定することができるサンプルの反応性を記載している。種々のサンプルを、低反応性「LR」または比較的高い反応性「HR」をいずれかを有するかどうかについて分類する。比較的高い反応性(例えば、X線粉末回折パターンのフィンガープリント領域中の3つ以上の特定の反射ピークの存在)に関連するようであるX線粉末回折パターンの特性を、図面と併せて本明細書中に記載する。
【0192】
表2中の最後のカラムは、実施例9などに記載の方法から決定することができるサンプルの発色反応性を記載している。示すように、発色反応性を、60℃での経時的な変色として測定する。
【0193】
0.003□OD/分より高い発色反応性を示す結晶相サンプルは、高反応性を有すると考えられる。0.0005□OD/分〜0.002□OD/分の範囲の値を有する結晶相サンプルは、低反応性を有すると考えられる。
【0194】
これらの基準を使用して、サンプルKX04、KX12、KX15、KX16、KX23、およびKX24は高発色反応性を有することが見出される。対照的に、サンプルKX08、KX13、KX14、KX17、KX18、KX19、KX20、KX25、およびKX26は、低発色反応性を有することが見出される。表2から理解することができるように、サンプル結晶化条件およびジアセチレン単量体組成物の他のパラメーターの変動により、指示薬の処方者が特定のホスト生成物と共に使用するために選択することができる多様な反応性を得ることができる。
【0195】
表2の最後のカラム中の発色値と最後から2番目のカラム中の表記との比較により、発色研究によって決定した反応性とX線粉末回折スペクトルから決定した反応性との間に良好な相関関係が認められ得る。
【0196】
そのX線粉末回折スペクトルによって潜在的に高反応性を有すると同定される表2中の全てのサンプルは、高発色反応性の基準を満たす。そのX線粉末回折スペクトルによって潜在的に低反応性を有すると同定された全てのサンプルは、低発色反応性を有することが見出される。エタノール水溶液から結晶化された2つのサンプル(サンプルKX17およびKX26)から未定義のフィンガープリント回折スペクトルが得られ、ここでは約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間のX線粉末回折スペクトル領域をいう。これは、エタノール水溶液サンプルによって時折回折スペクトルのフィンガープリント領域中に幾分低い強度の回折ピークが得られるからであり得る。また、KX26の場合、巨大なプレート様結晶中のサンプルの優先的配向がフィンガープリント領域の強度に影響を及ぼし得る。
【0197】
発色反応性はまた、使用した結晶化パラメーターと十分に相関する。低速または中間速度の冷却条件下で酢酸から結晶化したサンプル(冷却条件が十分に制御されなかったサンプルKX04が含まれる)は全て、本明細書中に記載の基準によれば、高発色反応性を有する。対照的に、高速冷却条件下で結晶化した酢酸サンプルは、低反応性を示す。
【0198】
エタノール水溶液から結晶化したサンプル相は、一般に、酢酸から結晶化した対応する生成物より反応性が低い。したがって、結晶化溶媒系は、共結晶化生成物の反応性の調節のために使用することができる結晶化パラメーターの1つである。
【0199】
表2中に示すデータから示唆されるように、エタノール水溶液サンプルに関して、発色反応性を単量体濃度によって調節することもできる。
【0200】
エタノール水溶液結晶化サンプルはまた、冷却速度が減少するにつれて反応性が増加することを示す。したがって、本明細書中の基準によれば、より遅い冷却速度を使用した一連のサンプル(サンプルKX17、KX18、KX25、およびKX26)は反応性が増加し、最もゆっくり冷却したサンプル(KX26)は高反応性を示す。
【0201】
したがって、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物のX線粉末回折パターンが発色反応性に関連し、必要に応じてこれを使用して反応性によって組成物のサンプルを同定することができることが表2中のデータから考えられる。
【0202】
本明細書中の別の場所にさらに記載するように、表2中のいくつかの結果も、図11A、11B、および11C中に図画として示す。
【0203】
以下の表3は、さらなる共結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)サンプル(それぞれKU01、KU03、KU08、KU09、KU14、KU10、KU15〜KU17、およびKU19〜KU22と記す)についてのいくつかのデータを示す。
【0204】
【表3】
表3は、実施例3および8の方法によって調製した粉末化結晶相サンプルを使用した実施例9などに記載の発色実験から得ることができる定量的結果のさらなる例を示す。各サンプル中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量比は1:1である。実施例10などに記載の実験から得たX線粉末回折スペクトル分析から得ることができるサンプルの色彩反応性に関するいくつかの定性的結論も表3に示す。表3に示す実験条件およびデータは、表2に示す様式に類似の様式で理解すべきである。
【0205】
表3のデータは、サンプル結晶化条件およびジアセチレン単量体組成物の他のパラメーターの変動によって得ることができ、且つ、指示薬の処方者が特定のホスト生成物と共に使用するために組成物を選択することができる発色反応性のさらなる多様な反応性を示す。
【0206】
本明細書中の別の場所にさらに記載するように、表3中のいくつかの結果も図10A中に図画として示し、表3中に記載のいくつかのサンプルのX線粉末ディフラクトグラムを図10Bおよび10Cに示す。
【0207】
表3中に列挙しているが表2中に示されていないパラメーターは、得られた生成物中に存在する相数である。この数値を、各サンプルについての粉末X線回折パターンの002反射(2番目に小さい角度の反射)の形状から決定する。図10Bまたは図10Cに示すように002反射がシングレットピークである場合、単一の相が示される。002反射が分割したピークまたはショルダーを示す場合、2つの相を示す。KU09の場合、002反射によって単一の相が示唆される。しかし、回折パターンのフィンガープリント領域によって2つの相(高反応性相および低反応性相)が存在する可能性が示唆され、発色研究によって確認されるようである。これらの現象を、図10Bおよび10Cに関して本明細書中にさらに記載している。
【0208】
実施例11:NMR分光法によるサンプルの特徴付け
実施例1〜7の生成物のうちの選択した生成物の50〜80mgサンプルに対して固体NMR分光法を行い、生成物をさらに特徴付ける。13C交差分極マジック角回転(「CPMAS」)NMRスペクトルを、13C核について125.4MHzで操作し、Bruker 4mmCPMASプローブを使用したDSX−500分光計(Bruker Corporation)を使用して収集する。2つの異なる接触時間(すなわち、100μsおよび1ms)を使用する。異なる回転速度を使用して、多数の共鳴線間の等方性の13Cピークを同定する。例えば、7.3kHz、8kHz、および9.7kHzの回転速度(sSpinning speed)をKX単量体のために使用することができ、8kHzおよび10kHzを全ての他のサンプルについての各接触時間のために使用することができる。化学シフトは、外部的にテトラメチルシランを参照する。
【0209】
100μs〜1msの交差分極接触時間の変化により、炭素ピークが周囲の水素原子に強くカップリングしているかどうかを明らかにすることができる。接触時間の増加後に大きな成長を示す13Cピークは、160ppmでのカルボニル炭素または77および66ppmでのspおよびsp2炭素と同様に、おそらくC−H直接結合を保有しない。
【0210】
実施例10に従ったX線粉末回折による特徴付けを使用して得ることができるいくつかの結果を、図1〜7および13〜15に示す。実施例11に従ったNMR分光法による特徴付けを使用して得ることができるいくつかのさらなる結果を、図19〜21に示す。これらの結果を以下で考察する。
【0211】
図1に関して、示した上のX線回折パターンは、比較実施例Aの方法によって生成した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量ベースで2:1の物理的混合物の特徴付けによって得ることができるデータの一例である。2θ回折角を横軸(°)に沿ってプロットし、シグナル強度を縦軸に任意の単位でプロットする。
【0212】
下のX線回折パターンは、実施例1の方法によって生成した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量ベースで2:1の共結晶化混合物の特徴付けによって得ることができるデータの一例である。共結晶化方法は、実施例1に記載のように、溶媒としての酢酸および真空フラスコを使用した低速冷却を使用する。
【0213】
図1中のX線回折パターンは、図の上部に(1)、(2)、および(3)と記した目的の3つの角の領域を示す。回折パターンにより、共結晶化材料が、いずれかの出発生成物の格子パラメーターと異なる格子パラメーターを有する結晶に対応する異なる反射を示す固有の相を含むことが示唆される。
【0214】
図1中に出現する上および下のX線回折パターンの比較は、物理的混合物が約4〜6°にダブレットピーク(領域(1))を生じ、このピークは、共結晶化材料について、ほぼ5°のシャープな単一の一次ピークに置き換わっていることを示す。物理的混合物が約8〜11°に別のダブレットピークを生じ、且つ共結晶化材料がほぼ10°にシャープな単一の一次ピークを生じるという類似の結果が領域(2)で認められ得る。さらに、上のパターン中の約13°および16°に強度がより弱いピークが存在し、このピークは、各単量体についての回折パターン(示さず)の参照によってそれぞれ2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)に関連し得る。これらの小ピークは、共結晶化した下のパターンやディフラクトグラム中に存在しない。
【0215】
望ましくは、最も小さい角度2θでの図1の下半分などに示される共結晶化ジアセチレン組成物のX線粉末回折パターン中に示した最初の2つの反射は、本質的にシングレットピークである。各シングレットピークは、いずれのピーク側からも明確なショルダーが突出していない固有のカスプを有し得る。2つの低角反射ピークのいずれかの3°上または下の2θ範囲内にさらなるピークが存在しないことも望ましい。さらに、回折パターンは、通常、最初の2つの反射間に任意のさらなるピークが存在し得ない。また、回折パターンは、16°未満の2θ角に任意のさらなるピークが存在し得ない。
【0216】
シングレットピークは、一般に、本質的に対称である。その存在によってピークがシングレットではないことを示すショルダーは、しばしば十分に定義された第2のピークまたはコーナーであり得るが、いくつかの例では、わずかな緩やかに傾斜した非対称物または隆起であり得る。ピークの輪郭を描くプロットラインまたはカーブは、ショルダーの存在を示す1つまたは2つの屈曲点または屈曲領域を含むことができ、したがって、ピークは、本発明によれば、シングレットピークとして見なされる可能性が低い。
【0217】
回折パターン中の反射ピークの位置づけに関して、最も小さい角度の反射ピークは、約16.4Å〜約20.1Åの範囲のd間隔に対応する2θ角に存在し得る。2番目に小さい角度の反射ピークは、約8.2Å〜約10Åの範囲のd間隔に対応する2θ角に存在し得る。例えば、最も小さい角度の反射ピークは約17.3Å〜約18.3Åの範囲のd間隔に対応し得、2番目に小さい角度の反射ピークは約8.6Å〜約9.2Åの範囲のd間隔に対応し得る。
【0218】
一般に、しかし制限されないが、最も小さい角度および2番目に小さい角度の反射は、バックグラウンドの少なくとも3倍(例えば、バックグラウンドの少なくとも5倍、バックグラウンドの少なくとも10倍、または任意の他の適切な値を有する)の強度を有し得る。
【0219】
図1の上のディフラクトグラムに示すデータを、混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の各結晶由来の個別の寄与を示すと理解することができる。図1の下のパターン中に示すデータは、共結晶化混合物の結晶が、ほぼ共結晶化する比率で2つの化合物が存在する均一な連続相の結晶を有する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の固溶体であるかこれを含むという解釈と一致する。
【0220】
図2は、実施例4の生成物の特徴付けによって得ることができるデータの例である8つの一連のX線回折パターンを示す。これらの生成物は、中間速度冷却を使用して10%酢酸溶液から結晶化した8つの異なる比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含む。第1および最後の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)比に対応する生成物は、単量体のみである。
【0221】
制限された目的の2θ回折角範囲(約3°〜約16°)を図2中に横軸に沿って示し、シグナル強度を縦軸に任意の単位でプロットする。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の使用モル比を図2中の左側のカラムに示し(「2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)」と記す)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の対応する重量比(「2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)」と記す)をカラムの右側に示す。
【0222】
認められ得るように、2つの十分に定義されたシングレットピークが8つの各生成物によって示される。また、第1の反射に対する第2の反射の相対強度は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の濃度の増加に伴って増加する。シングレットピークが生じる角度は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)濃度の増加に伴ってゆっくり増加するか、より高い角度にシフトする。
【0223】
図2中に示す結果は、共結晶化混合物の組成物の全範囲にわたって単一相様挙動と一致すると考えられる。したがって、記載の実験条件下で、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)は、全てではないがほとんどの組成物範囲の至るところに固溶体を含むことができるようである。
【0224】
図3は、異なる形態で図2に示すデータのいくつかを示す。図3に示すグラフを、ブラッグの法則を使用して図2のグラフを支持するデータから計算することができる。より具体的には、図3は、図2に示す対応する最も小さい角度の強度ピークの角度から計算した2つの最も長いX線粉末回折間隔(d001およびd002と指定する)の共結晶化混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の重量パーセントに伴う変動をプロットしている。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)のパーセントとのほぼ直線関係が、d001およびd002の両方によって示される。
【0225】
驚いたことに、図2および3は、各d間隔(d001およびd002)が試験した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の重量比の増加に伴って逆に変動することを示す。この情報を使用して、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の結晶中のd間隔を改変することができるか、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の相対的比率の適切な選択によって範囲内の所望のd間隔を有する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の結晶を得ることができる。
【0226】
図4は、図2より広い回折角範囲(すなわち、約3°〜約40°)にわたる同一X線回折強度パターンを示す図2に類似の図である。図2に関して、約20°〜約25°の範囲に出現する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の低強度ピーク(下のグラフ)は、共結晶化混合物中のわずかな比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)によってほぼ無効にされると見なすことができる。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)ピーク由来の回折角中でわずかにずれる同一範囲での2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の低強度ピークは、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)濃度が増加するにつれてゆっくり出現する。
【0227】
図5Aは、実施例1などの記載の方法に従った遅い冷却速度で酢酸から共結晶化した2:1重量比の高反応性の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)との混合物について得ることができる回折パターンを示す。
【0228】
実施例10の方法を使用して、示した回折パターンを生成することができる。
【0229】
図5Aに関して、強度データを、xスケールで示すように、約3°〜40°の範囲の角度2θについてyスケールで示す。
【0230】
図5Bは、ピークが生じる角度2θと共に、図5Aに示すピークに対応するd間隔をÅ単位で列挙する表(表4)を示す。d間隔を、ブラッグの法則を使用して、ピークが認められる角度2θから計算することができる(逆も同じ)。これらの角度2θも、図5A上の各ピークの近くに記す。一般に理解されるように、d間隔は、結晶格子中の原子の平衡面の間隔である。
【0231】
表4はまた、一方のピークの強度の他方との比較を容易にするために約4.9°のブラッグの2θ角で生じる最も高いピークについて1000の任意の単位に対して正規化したピーク強度のカラムを含む。
【0232】
異なる反応性の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物の間に有意差を認めることができる約19°〜約25°の範囲の角度2θのフィンガープリント領域を、図5Aおよび5Bのそれぞれの中央にボックスを用いて示す。
【0233】
ボックスで囲んだフィンガープリント領域内に、角度2θで3.664、3.890、および4.039Åのd間隔に対応する3つの明確なピークを認めることができる。光学的発色試験により、回折ピークのこのフィンガープリントパターンが比較的高い熱反応性を示す共結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)生成物に関連し得ることが示唆される。図6および本明細書中の別の場所に示すパターンは、回折ピークの特有のフィンガープリントパターンを、高発色反応性を有する共結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)生成物によって示すことができることをさらに例示する。
【0234】
図6は、実施例1の方法によって調製し、種々の特徴的なデータを表2に示す4つのジアセチレン単量体組成物(すなわち、サンプルKX04、KX20、KX22、およびKX24)のX線粉末回折パターンを示す。4つ全てのサンプルを、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)から調製し、全てを異なる冷却速度で酢酸から共結晶化する。サンプルKX04を、無制御の低速冷却によって調製し、サンプルKX20を高速冷却によって調製し、サンプルKX23を(制御された)低速冷却によって調製し、サンプルKX24を中間速度冷却によって調製する。結晶サンプルを実施例8の方法によって調製し、X線粉末回折パターンを、実施例10の方法によって得る。
【0235】
表2に示す可能性のある結果と共に、実施例9に記載の発色試験は、サンプルKX04(無制御の低速)、KX23(中間速度)、およびKX24(低速)の全てが熱刺激に応答して高発色反応性を示し得ることを示す。
【0236】
図6では、角度2θを5°間隔で印をつけたx軸上にプロットし、スケール(マークせず)は4°〜40°の範囲である。強度を、任意の単位のy軸上にプロットする。
【0237】
図6に関して、4つ全てのサンプルは、約5°および約10°の最低の角度2θでの十分に定義された比較的高い強度のシングレットピークおよび約19°〜約25°のフィンガープリント領域中の別の一連のピークを示すことを認めることができる。この領域中の縦方向の破線は、特徴的なピークが生じ得る角度2θを示す。
【0238】
高反応性サンプルKX04、KX23、およびKX24についての図6中に示すスペクトルは全て、共に高反応性のフィンガープリントとして参照することができる多数の特有のピークを共有し、低反応性サンプルKX20のスペクトルのフィンガープリントは共有されない。
【0239】
例えば、サンプルKX04、KX23、およびKX24の各スペクトルは、4.24、4.04、および3.89Å(3つの中央の破線)のd間隔でピークを示す。対照的に、4.04Å付近のピークを欠くサンプルKX20の最低のスペクトルは、高反応性に関連するフィンガープリントを示さない。また、3.89Å付近のピークは、高反応性サンプルによって示される対応ピークの形状および位置を欠く。
【0240】
さらに、サンプルKX04、KX23、およびKX24は、4.34Å(左側の破線)のd間隔でのピーク(低反応性サンプルKX20のスペクトル中で単に新出)および3.66Å(右側の破線)での別のピーク(低反応性サンプルKX20によって示されない)を示す。
【0241】
高反応性相のd間隔でのフィンガープリントを、1、0.98〜0.97、0.93、0.89、および0.85〜0.84×4.34Åのように、第1の反射のd間隔に関して小数で示すこともできる。
【0242】
図7は、図7中に記すようにサンプルKX04、KX09、KX13、およびKX20の類似のX線粉末回折スペクトルを示す。これらのサンプルのいくつかのパラメーターを図中に示す。サンプルKX04は、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、無制御の低速冷却条件下で酢酸から結晶化し、高発色反応性を有する。サンプルKU09は、1:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、低速冷却条件下でエタノール水溶液から結晶化し、高発色反応性を有する。
【0243】
サンプルKX20は、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、高速冷却条件下で酢酸から結晶化し、低発色反応性を有する。サンプルKX13は、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、高速冷却条件下でエタノール水溶液から結晶化し、低発色反応性を有する。
【0244】
図7に関して、図6に類似して、高反応性相の存在を、KX04およびKU09のスペクトル中の4.34、4.24、4.04、3.89、および3.66Åのd間隔でのフィンガープリント反射の存在から推定することができる。2:1の比率、酢酸溶媒、および無制御の低速冷却を使用したKX04サンプルのスペクトルでは、良好な強度のフィンガープリントピークを示す。他方では、1:1の比率、エタノール水溶液溶媒、および低速冷却を使用したサンプルKU09のフィンガープリントピークは幾分弱いが、認めることができる。
【0245】
対照的に、2:1の比率、酢酸、および高速冷却を使用したサンプルKX20および2:1の比率、エタノール水溶液、および高速冷却を使用したKX13のスペクトルは、高発色反応性に関連するフィンガープリント回折パターンを示さない。例えば、サンプルKX20のスペクトルは4.04(中央の破線)のd間隔でピークを欠き、サンプルKX20のスペクトルは4.24(左から2番目の破線)のd間隔でピークを欠き、他のピークは十分に位置づけられず、定義されない。
【0246】
また、高反応性サンプルKX04およびKU09は、約4.39、3.96、および2.95Åのd間隔で低反応性KX13サンプル中に出現するラインなどのフィンガープリントスペクトルのピーク間に他の反射が存在しない。
【0247】
図9に示すX線回折スペクトルは、溶媒として酢酸を使用した実施例3などに記載の重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物の共結晶化方法の生成物から、回折スペクトルを生成するための実施例10の方法を使用して得ることができる。
【0248】
2つの異なる冷却速度を使用して得ることができる結果を示す。下の回折スペクトルは高速冷却を使用して得ることができ、上の回折スペクトルは中間(中等)速度の冷却を使用して得ることができる。
【0249】
下のグラフ中に特徴付けた高速冷却した生成物は高反応性を有し、結晶化後に暗青色の外観が得られる。したがって、さらなる熱誘導重合に原因する暗色化はおそらく容易に認知できないので、高速冷却した生成物は熱指示剤として有用でないようである。
【0250】
対照的に、上の回折スペクトルで特徴づけられた中間速度冷却した生成物は白色であり、且つ印加した熱に応答して変色することができ、指示剤としての機能を果たすのに適切である。
【0251】
図9中に示す2つの回折スペクトルは、8〜12°の2θ範囲で2番目に低い回折角ピークの間に相違を示す。ここに、下の回折スペクトルに示す高速冷却した生成物は、ダブレットピークを示すのに対して、上の回折スペクトルに示す中間速度冷却した生成物は十分に定義されたシングレットピークを示す。高速冷却した生成物のダブレットピークにより、2つの結晶相が存在し得ることが示唆される。対照的に、本発明は任意の特定の理論に制限されないが、中間速度冷却した生成物によって示されるシングレットピークは均一な固溶体を含む単一相の結晶を示し得る。
【0252】
図10Aは、重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の色調進化がどのようにして結晶化中の異なる溶媒および異なる冷却速度の使用によって影響を受けるかを決定するための実験で得ることができる結果を示す。サンプルを実施例3の方法によって調製し、色調進化を、実施例9の方法によって60℃で決定する。典型的にはホスト市販品によって遭遇するより低い周囲温度での色調進化速度は、実質的により遅く、且つアレーニウス動態学に従ってほぼ比例する可能性が高い。得ることができるいくつかのデータを表3中に示す。
【0253】
図10Aに関して、カラムの左側に示す0〜33時間の種々の時間で60℃に維持した8つの異なる生成物サンプルの外観を示す。左から2番目のカラムは、酢酸からの急冷沈殿によって調製したコントロールである2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)を使用して得ることができる結果を示す。左から3〜5番目のカラムは、図10Aの上に示すように、酢酸からの高速、中間速度、および低速の結晶化(それぞれKU03、KU01、およびKU14と記す)を使用して得ることができる結果を示す。
【0254】
右から3つのカラムは、図10Aの上に示すように、エタノールからの高速、中間速度、および低速の結晶化(それぞれKU08、KU09、およびKU10と記す)を使用して得ることができる結果を示す。結果を示すこれらの種々の結晶相サンプルは、実施例6および8の方法によって調製した重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)のサンプルである。実施例9に従って発色実験を行う。
【0255】
8〜12°の2θ範囲での明確なダブレットピークの存在によって示されるX線回折研究によって同定した相数を、冷却速度の下に示す。特に、中間速度冷却によって調製されたサンプルのみが単一相と認められる。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の1:1混合物の高速冷却または低速冷却は、混合物が酢酸またはエタノールのいずれから結晶化されるかどうかと無関係に、2つの相を生じるようである。
【0256】
中間速度冷却で酢酸から結晶化する表3中に記載のサンプルのX線回折スペクトルを図10Bに示し、これらのスペクトルを比較することができる。図10Bおよび10C中のX線回折スペクトルを、x軸に沿って0°〜40°の2θ角範囲について示す。強度の平方根を、図10Bおよび10Cのそれぞれのy軸上に任意の単位でプロットする。
【0257】
図10Bに関して、サンプルKU02およびKU16〜21は、1つの相が明らかである粉末X線回折パターンを示す。それに対して、本発明にしたがって、各サンプルKU01、KU12、KU15、およびKU22において、その回折パターンの調査によって2つの相が存在すると判断することができる。
【0258】
したがって、サンプルKU01は、第2の反射ピークの基部の右側にショルダーを示す。サンプルKU12は、分割した第2のピークを示す。サンプルKU15は、第2の反射ピークの右側にショルダーまたは分割ピークを示す。サンプルKU22は、第2の反射ピークの右側のピークの麓に小さなショルダーを示し、同様に、第1の反射ピークの基部の右側にわずかなショルダーを示す。
【0259】
サンプルKU16〜KU21は、それぞれ、フィンガープリント領域中に高反応性パターンを示す。これは、表3に記載のように色調進化の測定から得たサンプルの反応性パラメーターに一致するようである。
【0260】
図10Cは、異なる溶媒および冷却速度を使用して調製したサンプル(すなわち、サンプルKU03、KU08、KU09、KU10、KU14、およびKU17)の粉末X線回折パターンを示す。KU17を、中間速度冷却を使用して酢酸溶液から調製したサンプルの代表として選択する。図7のように、図10Cのいくつかのフレーム中の縦方向の破線は、高反応性相が示唆されるフィンガープリント反射ピークが存在し得る位置を記している。
【0261】
上の行中の酢酸サンプル由来のパターンおよび下の行中のエタノール水溶液サンプル由来のパターンと共に、回折パターンを図10C中に配置する。各行中で、高速冷却したサンプルを左に示し、中間速度冷却したサンプルを中央に示し、低速冷却したサンプルを右側に示す。
【0262】
KU03は高発色反応性を有するが、フィンガープリント領域中の高反応性パターンを同定することが困難である。サンプルKU03の粉末X線回折パターン中の分割002角反射ピークにより、サンプルが2つの結晶相を有することが示唆される。しかし、種々の色強度を有するKU03サンプルの視像(図10A中の像など)の詳細な試験で実質的に均一な色を示す。本発明を制限することを意図しない1つの可能な説明は、KU03サンプルが異なる結晶学的組成物の2つの高反応性相から構成され得ることである。したがって、フィンガープリント領域は、一方が他方に重ね合わせられた2つの高反応性パターンを含むことができる。
【0263】
サンプルKU03(高速酢酸)およびKU08(低速エタノール水溶液)は、その粉末X線回折パターンによれば、2つの相を示すようである。KU08では、「HR」高反応性相および「LR」低反応性相の両方が発色研究において明らかであり、表3に記載の結果を使用して測定することができる。
【0264】
サンプルKU14、KU09、およびKU10は、粉末X線回折パターンの002反射によれば単一の相を有するようである。しかし、図10Aに図画として示したこれらのサンプルについての色彩試験の結果は、1つの低反応性相およびいくつかの高反応性相の存在に関連すると考えられる「ごま塩状の」外観を示す。また、各サンプルについて2つの色彩反応性パラメーターを測定することができるという事実は、この解釈と一致する。回折スペクトルのフィンガープリント領域により、2つ以上の相の存在の限られた証拠も得られる。
【0265】
図10Dは、KU09の002ピーク上に重ね合わせたKU10の002ピークを図10Cより拡大したスケールで示す。KU09のピークは、より高く、規則的であり、且つ対称的である。対照的に、KU10のピークはより短いようであり、突出したショルダーを、ピークの右側に明らかに認めることができる。
【0266】
図11A、11B、および11Cは、実施例9などに記載の発色実験で得ることができる結果を示す。この実験は、どのようにして2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の種々のサンプルの色調進化がサンプルを調製するために使用した結晶化パラメーター(例えば、異なる溶媒、単量体濃度、または冷却速度)によって影響を受けるかを示す。
【0267】
図11A、11B、および11Cに関して、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の6つの異なる試験サンプルおよび2つのコントロールのグレースケール外観を、3つの異なる発色段階で示す。光学的および視覚的参照として色の標準のサンプルを含める。サンプルを実施例8の方法によって調製することができ、色調進化を実施例9に記載のように60℃で決定する。熱反応性ジアセチレン単量体は、いくつかの条件下で約30℃までまたはより高い典型的な周囲温度よりも60℃の高温で有意に速い速度で発色する。当業者に明らかであるように、必要に応じて、他のサンプル調製方法および温度条件を使用してサンプルの発色性を試験することができる。
【0268】
試験サンプルおよび2つのコントロールを含む8つの円形皿を、グリッドの右側の下の隅の色の標準サンプル(四角形)と共にグリッド中に配置する。最初の外観を図11A中に示し、3時間後の外観を図11Bに示し、30時間後の外観を図11Cに示す。
【0269】
6つの試験サンプルは、それぞれ高速、中間速度、および低速の冷却速度で酢酸およびエタノールから共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(すなわち、表2を参照して記載した場合、サンプル番号KX08およびKX12〜KX16)を含む。したがって、表6に示したレイアウトを使用して、サンプルをラベリングし、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)のコントロールサンプル(KE(TT)と記す)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物のコントロールサンプル(KX(TT)と記す)、および色の標準と共に図11A〜11Cに配置する。
【0270】
【表6】
表6および図面では、「EtOH」は実施例1に記載のエタノール水溶液溶媒系を示し、「HAc」は実施例1で使用した氷酢酸を示す。
【0271】
図11Aに示すように、全サンプルは、最初は無色であるか、色の標準よりもはるかに明るい外観のほとんど無色である。図11Cは、30時間後に全サンプルが暗色であることを示す。したがって、示した全てのジアセチレン単量体サンプルは熱活性を示す。図11Bが示すように、サンプルは、試験条件下で種々の反応性を有し、異なる速度で発色する。それぞれエタノール水溶液および酢酸についての最高の反応性を示すサンプルを、図11B中に明るい円で囲っている。
【0272】
図11Bから、中間速度または低速の冷却速度のいずれかで酢酸からサンプルを結晶化した場合に高反応性結晶相を得ることができること(サンプルKX16およびKX15)、および低速の冷却速度のみでエタノール水溶液から結晶化した場合に高反応性結晶相が得られる(サンプルKX12)のに対して、中間速度で冷却したサンプルが実質的により低い反応性を示す(サンプルKX08)と結論付けることができる。
【0273】
図12は、実施例9に記載のように表6で同定した各サンプルについての時間に関連する経時的発色に関する反応性パラメーターの各プロットを示し、発色の結果を図11A〜11C中に定性的に示す。図12中の6つの各フレームは、各サンプルおよび色の標準のマルチスペクトルRGBプロットを示す。3つの各成分のプロットでは、上の成分は赤色であり、真ん中は緑色であり、下の成分は青色である。
【0274】
色の標準のプロットは経時的にほぼ水平のままである一方で、各サンプルのプロットは、時間ゼロでのほぼゼロの色彩値(フレームの左下)から測定期間の終了時の実質的な色彩値(フレームの右上)に上昇する。
【0275】
異なるフレームが異なるスケールを有することができるように、プロットがフレームを満たすことができるようにスケールを調整する。特に、サンプルKX16およびKX15について、相対的色彩強度の対数のy軸スケールを適度に調整する。x軸上の時間スケールは有意に変化する。反応性値を表2に示す。
【0276】
図12中のデータおよび関連する図表は、指示薬の処方者が選択することができ、多様なホスト生成物のいずれか1つの条件のモニタリングに有用であり得る広範な反応性を示す。範囲内の所望の反応性を、本明細書中に記載の結晶化パラメーターおよび他の要因(例えば、単量体の比率および濃度、結晶化溶媒または溶媒系、および冷却速度)の適切な選択によって得ることができる。
【0277】
例えば、図12のデータは、低速または中間速度での冷却によって酢酸から結晶化するサンプル(KX15またはKX16など)が高速冷却した酢酸サンプル(サンプルKX14など)によって示される反応性パラメーターよりも約3倍高い反応性パラメーターを示すことを示す。
【0278】
また、低速冷却を使用して酢酸から結晶化するサンプル(KX12など)は、高速冷却したエタノール水溶液サンプル(サンプルKX13)によって示される反応性パラメーターの約7倍の高さおよび中間速度で冷却したエタノール水溶液サンプル(サンプルKX08など)によって示される反応性の3倍超の高さを示す。低速冷却したエタノールサンプル(サンプルKX12)は、高反応性酢酸サンプルKX16およびKX15の反応性に近い反応性を示す。
【0279】
これらのデータから、重量比2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含む共結晶化組成物の動態学は、重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含むサンプルの動態学より急速なようである。しかし、驚いたことに、エタノールから結晶化したサンプルについて、図16を参照して本明細書中にさらに記載されるように、一定の冷却条件下で生成した重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)によってピーク反応性を示すことができる。
【0280】
ここで図13A〜13Bに関して、図6および7に示すデータに関して説明されているように、高反応性結晶相サンプルは、その粉末X線回折スペクトル中のピークの特有の「フィンガープリント」パターンを示すことができる。フィンガープリントパターンは、発色実験を行うことなく、高反応性結晶相を同定し、低反応性結晶相と区別することができる。ここで説明するように、この理解は、図13A〜13Bに示すスペクトルによって裏付けられる。
【0281】
図13A〜13Bは、方法(実施例10に記載の方法など)によってスペクトルを得ることができる12種の表2に列挙した2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)サンプルの粉末X線回折スペクトルを示す。データを、図13A中では酢酸から結晶化したサンプルのスペクトルを表示するためにデータを整理し、図13Bではエタノール水溶液から結晶化したサンプルのデータを整理している。図13Aおよび13Bに記すように、各溶媒系について、3つの各冷却条件(高速、中間速度、および低速)で冷却した2つのサンプルの結果を示す。
【0282】
図13A〜13B中のX線回折スペクトルを、x軸に沿って0°〜40°の2θ角範囲について示す。強度の平方根を、図13B中に示したエタノール水溶液スペクトルについてより大きなスケールを使用して、y軸上に任意の単位でプロットする。これにより、より小さなピークが示される。特徴付けた各サンプルについて、2つのシングレットピークがより小さい角度2θで生成される(一方は約5°、他方は約10°)。これら2つの最も小さい角度のシングレットピークの分割は認められない。
【0283】
図14A〜Bは、特有のフィンガープリントパターンの有無をより詳細に観察することができるように、図13A〜B中に示したX線粉末回折スペクトルの一部を18°〜33°の2θ角にてx軸上により大きなスケールで示す。
【0284】
酢酸から結晶化したサンプルのスペクトルを示す図14Aに関して、高反応性相は、中間速度冷却(図中の「中間」速度冷却)によって得たサンプル(サンプルKX24およびKX16)または低速冷却によって得たサンプル(サンプルKX23およびKX15)のいずれかのスペクトル中に存在することを認めることができる。高反応性相の存在を、4.24、4.04、および3.89Å(3つの中央の破線)のd間隔での反射の一次フィンガープリントパターンならびに4.34および3.66Å(2つの外側の破線)のd間隔での反射の二次フィンガープリントの存在によって示す。
【0285】
エタノール水溶液から結晶化したサンプルのスペクトルを示す図14Bに関して、4.24、4.04、および3.89Åのd間隔でのピークの特有のフィンガープリントパターンは、高発色反応性を示す単一のサンプル(サンプルKX12)のスペクトル中に存在することを認めることができる。しかし、ピークは、酢酸結晶化サンプル由来のスペクトル中の対応するピークよりも有意に低い強度を有する。また、KX12サンプルは、4.34Åのd間隔での弱い二次フィンガープリント反射を示す。
【0286】
さらに、図14Bに関して、発色試験で低い変色反応性を示す高速または中間(中等)速度の冷却によって調製されたサンプルKX13、KX18、およびKX08は、d間隔4.39、3.96、および2.95Åでの反射の存在によって特徴づけられる低反応性相の存在を示すようである。サンプルKX17はまた、発色試験において低反応性を示す。しかし、対応する回折スペクトルは、弱く不十分に形成されたピークおよび高レベルのバックグラウンド反射を示す。KX17回折スペクトルのフィンガープリント領域は、低反応性相の存在が示唆されるようであるが、たとえ不明瞭であっても、高反応性相の証拠は提供しないようである。
【0287】
本明細書中に記載のデータから、中間速度または低速冷却によって調製した場合に酢酸から結晶化した2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)サンプルが高反応性相を含むことを認めることができる。しかし、この相は、高速冷却によって調製したサンプル中にそれ自体を明確に示さない。また、高反応性相の存在を、高反応性相に関連する反射の存在および低反応性相に関連する反射の非存在についてサンプルのX線粉末回折スペクトルを試験することによって検出することができる。
【0288】
エタノールから再結晶した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(2:1)について、通常は巨大なプレート様結晶を得ることができる場合、高反応性相は、例えば、実施例1に記載のようにショート真空フラスコを使用した延長冷却条件下のみで得られる。低速冷却は、延長冷却とは対照的に、低反応性相に対応する巨大な針状結晶を生じ得る。
【0289】
特定の理論によって本発明を制限することを意図しないが、本明細書中に記載のいくつかの共結晶化組成物が高変色反応性および特徴的なX線粉末回折フィンガープリントを示し得る明白な結晶相を程度の差はあるが含むことができると考えられる。補完的に、本明細書中に記載の他の共結晶化組成物が明白な高反応性結晶相をほとんど含まず、且つ反応性がより低いと考えられる。これらの反応性のより低い共結晶化組成物は、より控え目な変色反応性を示すことができ、且つ高反応性相の特徴的なX線粉末回折フィンガープリントを欠き得るか、フィンガープリントを弱くまたは不明瞭にしか示すことができない。
【0290】
この理解により、高反応性相の比率の変化によってジアセチレン共結晶化組成物の変色反応性が変化する可能性が得られる。また、高反応性相を、必要に応じて、その特有のX線粉末回折フィンガープリントによって同定することができる。
【0291】
図15に示すデータは、結晶化液中のジアセチレン単量体濃度が、重量比が1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の結晶化の場合に固体単量体の形成で役割を果たし得るという役割を示す。
【0292】
ここで図15に関して、示した回折パターンを得るために使用したサンプルを、実施例6にしたがって調製する。2つのサンプルを、それぞれ約10重量%(図15中の下の回折スペクトル)および20重量%(図15中の中央の回折スペクトル)の初期単量体濃度を使用した酢酸からの結晶化によって調製する。第3のサンプルを、約5重量%(図15中の上の回折スペクトル)の初期単量体濃度を使用したエタノールからの結晶化によって調製する。3つの全サンプルについて中間速度冷却を使用する。
【0293】
実施例10の方法によって3つのサンプルのX線回折スペクトルを作成する。図15は、図中のx軸上に印をつけた約7°〜12°の2θ範囲の各スペクトルの一部を示す。y軸上の強度を、第1の反射が100であるように正規化し、より大きなスケールマーカーは30の任意の単位に対応する。x軸上のピークの位置づけを補助するために、図の中央に2つの縦方向の線を引いている。
【0294】
図15は、9°と10°との間の2θ角で生じる回折シグニチャ中の2番目に長いピークを示す3つの各サンプルの回折パターンの一部を示す。エタノール水溶液から結晶化した5%サンプルおよび酢酸から結晶化した10%サンプルのピークは対称的である(約0.2°異なる角度2θで生じる本質的にシングレットのピーク)。これらの特徴は、各サンプルが単一相の固溶体であることを示し得る。酢酸から結晶化した20%サンプルは、エタノールから結晶化した5%サンプルと同一の値のピーク(酢酸から結晶化した10%サンプルのピークとほぼ同一の2θ角で穏やかに傾斜したショルダーを有する)を示す。
【0295】
図15中の下の回折スペクトルを中央および上のスペクトルと比較して、9°〜10°ピークの位置は、濃度(中央の回折スペクトル)または溶媒(上の回折スペクトル)のいずれかの変化によって移動することを認めることができる。本発明はいかなる特定の理論によっても制限されないが、ピーク位置のこの相違が1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)構造および1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)構造に対応し得ることが予想される。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の結晶およびKPrが異なる対称性を有するので、同一組成物中に2つの異なる相が存在し得ると予想されるが、この場合も制限されない。1つの相は、1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の対称性を有することができ、他の相はKPrの対称性を有することができる。さらに、50%の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)は、KPr対称性に挿入することができ、50%のKPrは2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)対称性に挿入することができる。したがって、これら2つの構造は、対称性の相違により、同一の組成および異なるd間隔を有することができる。
【0296】
また、約9°と10°との間の2θ角で出現する反射に対応し、且つ、一般に、単一相のサンプルについてシングレットであるようである2番目に長い回折間隔について、ショルダーの存在またはピークの分割は第2の相の存在を示し得ると予想されるが、これに制限されない。一般に、中等の冷却速度により、10%酢酸組成物について単一相のサンプルが得られる。しかし、図15中の中央の回折パターンから示唆されるように、溶液中の単量体の量が20重量%に増加すると、この反射は、シングレットでなくなる可能性があり、第2の相の存在が示唆される。
【0297】
図16は、どのようにしてエタノールから結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の光学的に決定された反応性が混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の相対的比率に伴って変化するのかを示す。示した反応性グラフを作成するために使用したサンプルを、実施例5にしたがって調製する。図16中のデータポイントによって示され、且つ実施例5中に記載されるように、使用した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の比率は、1:0、2:1、1:1、1:2、および0:1である。サンプルの熱反応性を、各サンプルの光学的性質の変化(制御された60℃での経時的な暗色化または発色など)の決定によって光学的に決定し、図16中のy軸上に任意の単位で示す。
【0298】
図16に関して、ピーク反応速度が重量比約1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)で生じることが認められ得る。これは、約2:1の重量比で生じる酢酸から共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)のピーク反応速度が異なる。さらに、エタノールから共結晶化した1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の反応速度は、氷酢酸から共結晶化した2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の反応速度より低い。したがって、エタノール由来の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の結晶化により、1:1のピーク反応重量比および他の比率の両方でホスト生成物の温度応答パラメーターとの相関のための新規の熱反応性範囲を有する指示剤が指示薬の処方者に提供される。本発明は、エタノール結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含む指示剤を使用した指示薬を含む。
【0299】
単量体モデル
図17に関して、示したモデルに従って、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)単量体分子は、ヘキサジインコアの反対側の末端で1つずつ置換された2つの共役三重結合したアセチレン基および2つのアルキル尿素基を含む中心ヘキサジインコアを有することを認めることができる。分子の末端はエチル基で終結する。
【0300】
2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)分子の比較モデルは、モデルによって各アルキル置換基に付加されたメチレン基を有する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)について示した骨格配置に類似の骨格配置を含む。それにより、与えられる2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)分子の外観はいくらか長い。他の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)は、類似の構造を有すると考えられ、各アルキル基の長さが特定の分子によって異なる。
【0301】
2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の分子量は非常に類似しており、28ダルトンしか異ならず、これは2つのメチレン単位にあたる。したがって、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の分子量は250ダルトンであり、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の分子量は278ダルトンである。
【0302】
したがって、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の重量比は、モル比とわずかしか異ならない。したがって、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量比(1:1および2:1など)について本明細書中で言及する場合、モル比を使用することができるか、必要に応じて、それが適切であり得る。
【0303】
重合モデル
本明細書中に記載するように、有用な時間−温度指示薬は、ジアセチレンが固体で重合して無色の単量体結晶が長期間の十分な熱曝露を使用して強い色調になり得るポリマー結晶に変換される時に認められる変色を使用することができる。この反応では、単量体の結晶構造は、効率の良い重合が生じるために十分に密接に各単量体分子に並置すると考えられる。
【0304】
重合反応の簡略化したモデルを図18に示し、ここに記載するであろう。しかし、以下の説明によって本発明に関する1つまたは複数の有益な洞察を得ることができるが、本発明はこの理論または任意の他の理論によって制限されることを意図しないと理解すべきである。
【0305】
図18に関して、本明細書中に記載の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)ならびにいくつかの他の有用なジアセチレン化合物と同様に、RおよびR’は同一であり得、例えば、それぞれ同一のアルキル尿素置換基であり得ると理解されるであろう。図18に示すように、重合するにつれて、単量体分子中の2,3および4,5三重結合は重合した単量体単位中で単一の3,4三重結合に移行する。利用可能になった電子により、各単量体単位がその隣接単位とカップリングして5,2二重結合が得られる。
【0306】
反応の方向(すなわち、重合の方向)は、実質的または一般に、隣接する重合可能な分子間に水素結合が生じる方向であるだろうと考えられる。本明細書中などに記載のモデルによれば、本発明は、隣接または近傍の異なる化学構造の重合可能なジアセチレン分子間に水素結合を含む共結晶化ジアセチレン組成物を含む。かかる水素結合は、隣接分子間で1,4−付加重合が可能な方向に伸長することができる。例えば、水素結合は、1つの重合可能なジアセチレン分子上の2つの各尿素−NH−基から同一または異なる化学構造の隣接する重合可能なジアセチレン分子上の=C=O基に伸長することができる。同様に、2つ以上の水素結合は、1つの重合可能なジアセチレン分子上の2つの各尿素−NH−基から同一または異なる化学構造の隣接する重合可能なジアセチレン分子上の=C=O基に1つずつ伸長することができる。したがって、2つの隣接するか近傍の重合可能なまたは重合したジアセチレン単量体分子間に4つの水素結合が存在し得る。
【0307】
ジアセチレン単量体の重合における水素結合の役割も、各ジアセチレン化合物に関してBaughmanらが考察している。類似の考察が本発明の共結晶化組成物および固溶体に適用可能であると考えられる。
【0308】
重合反応によって明白な変色が起ったので、反応は、腐敗性生成物(ワクチン、薬剤、および食品など)がその活力を喪失したか、鮮度の期限が切れたか、熱曝露または別の環境条件(ジアセチレン重合も誘導する)によって別の終点に到達した時の表示に十分に適合する。
【0309】
添付の図面の図19中の表5は、実施例1〜7のいくつかの生成物を特徴付けるために13C NMR分光法を使用する実施例11に記載の方法によって得ることができるデータのいくつかの例を示す。
【0310】
表5に関して、表の左側の最初のカラムは、都合良く参照するための表の行に番号をつけている。第2のカラムは13C NMRデータに関連し得る標的化合物中の種々の化学基を図画として示し、図19に見られるように、13C NMRデータは表5中の3番目から8番目のカラムに記載されており、このカラムは右に向かって伸びている。
【0311】
表5の3番目から8番目のカラム中のデータは、実施例11などに記載の方法によって13C NMR分光法に供した場合に特徴付けられる特定の生成物によって示されるNMRスペクトル中の化学シフト(百万分率(本明細書中で「ppm」))についてのデータである。データの表示方法に応じて、化学シフトは、バンド、ピーク、または数値として示すことができる。化学シフトデータを、表を下に向かって読むと値が減少するように整理している。特定のシフトは、表の2番目のカラムに示す特定の化学基に関連する。
【0312】
3番目カラムは、本明細書中に記載の急冷沈殿を使用した氷酢酸からの再結晶を含む公知の方法によって生成された2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)(本明細書中で「KE」または「KE」単量体)の結晶の特徴付けによって得ることができる13C NMRデータを示す。
【0313】
右側の次のカラムは、左隣のカラム中に示したデータを得るために使用したKE単量体結晶を使用して行った実施例7の方法によって得ることができるKEポリマーデータを示す。
【0314】
右側の次のカラムは、急冷沈殿を使用した氷酢酸からの公知の再結晶方法によって同様に生成したKPr単量体結晶の特徴付けによって得ることができる13C NMRデータを示す。5番目のカラムは、実施例7の方法によって得ることができるKPrポリマーの13C NMRデータを示し、この方法を、4番目のカラム中に示したデータを得るために使用したKPr単量体結晶を使用して行う。
【0315】
右の最後から2番目のカラムは、急冷を使用した氷酢酸からの公知の再結晶方法によって生成した重量比2:1のKX単量体結晶の特徴付けによって得ることができる13C NMRデータを示す。各KE単量体およびKPr単量体によって示されたピークを、KX単量体スペクトル中にも本質的に見出すことができる。
【0316】
表5中の右の最後のカラムは、左隣のカラム中に示したデータを得るために使用したKX単量体結晶を使用して行った実施例7の方法によって得ることができるKXポリマーの13C NMRデータを示す。
【0317】
表5の2番目のカラムから認められるように、表の行2、3、および7は、特徴付けたジアセチレンポリマー中に出現するが、単量体中に存在しない化学基に関する。行4、5、および9は、特徴付けたジアセチレン単量体中に出現するが、ポリマー中に存在しない化学基に関する。行1、6、8、10、および11は、ポリマーおよび単量体の両方で出現する化学基に関する。
【0318】
特徴付けた単量体分子およびポリマー分子中の単結合炭素原子について認められ得る化学シフト値を、表5の行6〜11に記載する。単量体とその各ポリマーとの間の単結合炭素原子について示した13C NMRデータの相違(行9対行7)、三重結合(sp)炭素原子シグナルの喪失(行4および5)ならびに新規の三重結合(sp)炭素原子シグナル(行3)および二重結合(sp2)炭素原子シグナル(行2)の出現は、図18を参照して記載したジアセチレン重合モデルと一致するようである。
【0319】
図20中に示した3つのグラフは、3つの各単量体生成物の13C NMRスペクトルを示す(データを表5中に示す)。表5中の単量体データは、図20などに記載のグラフから計算することができるピークに関する。KPrの化学構造式も、図20中のNMRデータを示す3つのグラフの上に示す。矢印は、構造式中のどの炭素原子がグラフ中のどのピークと関連し得るかを示す。
【0320】
図20に関して、KPrの13C NMRピークのパターンがKEと一般的に類似していることを認めることができる。末端のKEとKPrとの間の小さな構造の相違に寄与する尿素置換アルキル基(すなわち、メチレン基、−CH2−)のC原子に対応するピーク中にいくつかの小さな横方向シフトを認めることができる。図の右側の矢印は、KPr中のこのさらなるメチレン基に対応する約25ppmでのピーク(表5中の行10)を示す。末端メチル基により、KEおよびKPrの両方に互いに近いピークが生じる(図20の右側のより太い矢印によって示す)。KEの末端メチルピークは上方に(図20中の左側に)シフトし、KPrのピークよりも少し強い。2つの異なる三重結合(sp)炭素原子および尿素基とジアセチレン単位との間のメチレン炭素原子に対応するピークは、化学的にほとんど等価な炭素原子に対応する化学シフトの類似の値で出現する。
【0321】
図21中に示す3つのグラフは、3つの各ポリマー生成物の13C NMRスペクトルを示し、データを表5中に示す。表5中のポリマーデータは、図21などに記載のグラフから計算することができるピークに関する。
【0322】
二重結合によってKPr単位(上)にカップリングしたKE単位(下)を含む1つの可能なKXポリマー単位の構造式も、図21中のNMRデータを提供する3つのグラフの上に示す。
【0323】
図19を再度参照し、表5のカラム2および3中のKE単量体およびKEポリマーのピーク値を調査し、行2および3を行4および5と比較して、重合モデルによって予想される炭素結合の再配置が明らかに証明される。単量体中に存在する1−2および3−4三重結合(sp)炭素原子のピーク(行4および5)はポリマー中で消滅する。そのかわり、ポリマーは、三重結合(sp)炭素原子および二重結合(sp2)炭素原子にも適切な化学シフトを示し、これは、理論上では各単量体単位がその近隣単位とカップリングすると予想される。わずかに異なる値を有する類似のピークは、KPr単量体およびKPrポリマーによって示される。KEポリマーおよびKPrポリマーとその各単量体との間の相違を、図21中のグラフと図20中の対応するグラフとの比較によって図画的に認めることもできる。
【0324】
いくつかの有意な相違を含む類似の変化は、KX単量体ピークとKXポリマーピークとの比較によってKXポリマーの13C NMRデータ中に認めることができる。KEおよびKPrと同様に、この比較は、KXポリマーから60〜80ppmの範囲の2つの三重結合(sp)炭素ピークが消失し、このピークは、KE単量体およびKPr単量体の両方で存在し、KXポリマー中に約130ppm(2ピーク)および100ppm付近(4ピーク)のピークが存在する。
【0325】
KEポリマーおよびKPrポリマーが、それぞれ、100ppm付近に単一の三重結合(sp)炭素ピークを示すのに対して、KXポリマーはこの近傍に4つの三重結合(sp)炭素ピークを示す(行3)。これら4つのピークは、おそらく、別のKE分子に連結したか(KE−KE)、KPr分子に連結した(KE−KPr)KE分子中の化学的に異なる三重結合(sp)炭素原子またはKE分子またはKPr分子に連結したKPr分子中の三重結合炭素原子に対応すると理解することができる。
【0326】
また、KEポリマーおよびKPrポリマーは、それぞれ、130ppmの近傍に単一の二重結合(sp2)炭素ピークを示すのに対して、KXポリマーはこの近傍に2つのシフトしたピークを示す(行2)。これらの特徴は、KXポリマー分子中のKE単量体およびKPr単量体の共重合を示すと考えられる。
【0327】
単量体中に存在する約77ppm(行4)および約66ppm(行5)のピークがポリマーに存在しないことにより、単量体はもはやポリマー生成物中に存在せず、重合反応に完全に関与していることが示唆される。同様に、KE単量体およびKPr単量体の13C NMRスペクトルに100ppmおよび130ppm近傍の特徴的なポリマーピークが存在しないことにより、検出可能な室温での重合が単量体で起っていないことが示唆される。
【0328】
さらに、KXポリマーにおいて95〜110ppmの範囲の化学シフト領域中に複数のピークが存在することにより、KEおよびKPrの両単量体単位を有するランダムなKXコポリマーが各結晶学的スタック中に存在することが示唆される。
【0329】
KXポリマーとKX単量体との間のこれらの相違を、図21中の一番下のグラフと図20中の一番下のグラフとの比較によって図画的に理解することもできる。
【0330】
記載のポリマー生成物における重合の明確なサインは、単量体三重結合に対応するバンドまたはピークの消失およびポリマー中の新規の三重結合(sp)炭素原子および新規に形成された(sp2)炭素原子に関連する新規のバンドの出現である。これらの特徴は3つ全ての単量体系(KE、KPr、およびKX)によって示され、いずれの場合にも単量体からポリマーへの定量的変換を認めることができることを示すようである。ポリマー生成物中に単量体はほとんどまたは全く残存していないことがこのデータからわかる。
【0331】
図22は、ジアセチレン単量体化合物の混合物(例えば、KEおよびKPrの混合物)の分子を結晶格子に配置することができる2つの異なる方法を模式的に示す。KEおよびKPrならびにいくつかの他のヘキサジインビス(アルキル尿素)などの化合物の分子は、結晶化した場合、本質的に直鎖の高次構造を有し、相互に並んで整列すると考えられる。この配置は、1つの分子中の三重結合対が隣接分子中の三重結合対と密接に並置されて三重結合の再配置を容易にして、重合した場合に単量体単位間に二重結合が得られると考えられる。
【0332】
図22は、単量体の重合方向でKX単量体の結晶を見る場合にどのようにしてジアセチレン単量体分子の3つのかかるスタックを配置することができるのかを仮説的に示す。図の左側は、ジアセチレン単量体分子の2つのスタック(一方がアルキル尿素置換基R1を有し、他方がアルキル尿素置換基R2を有する)を示す。各スタックは均一であり、適切な熱曝露または他の適切なエネルギーのインプットに応答して、重合してホモポリマーを形成すると予想することができる。結晶がかかるスタックの混合物を含む場合、異なるホモポリマー鎖のスタックを有する規則正しい配置がポリマー中に予想され得る。
【0333】
図22の右側は、2つの単量体(一方がアルキル尿素置換基R1を有し、他方がアルキル尿素置換基R2を有する)をスタック内に無作為に配置されているように模式的に示すジアセチレン単量体分子の単一スタックを示す。この場合、各単量体スタックは、2つの単量体分子の混合物を含む。スタックは不均一であり、適切な熱曝露または他の適切なエネルギーのインプットに応答して、重合して2つの単量体のコポリマーを形成すると予想することができる。コポリマーは、R2含有単量体単位にカップリングしたR1含有単量体単位ならびにR1−R1カップリングおよびR2−R2カップリングを含むことができる。
【0334】
したがって、図19〜21などに記載のデータを考慮して、図22の右側に提案するように、特徴付けた2:1のKE/KPr共結晶化構造では、KE分子およびKPr分子が重合方向で各スタック内にて実質的に均一に混合してスタック内の2つの分子のランダム混合物が得られる可能性がある。
【0335】
別の可能性は、規則正しい様式でKE分子およびKPr分子を各スタック内で混合することである。例えば、結晶化液中の濃度に応じて単一のKPr分子を単一のKE分子またはKE分子対と交互に配置し(すなわち、1つまたは2つのKE分子の後に単一のKPr分子を続けることができる)、スタックを通してこのパターンを繰り返すことができる。
【0336】
本発明は、いかなる特定の理論にも制限されない。そうはいっても、本明細書中に記載の13C NMRデータに基づいて、図22の左側に例示のように共結晶化KX単量体がKEまたはKPrのいずれかの均一なスタックから構成されていた場合、重合後、ホモポリマーの混合物が得られると考えられる。95〜110ppmの化学シフトの範囲内で、各ホモポリマーは単一の化学シフトピークを生成するとも考えられる。表5から認めることができるように、95〜110ppmの範囲に4つのピークが認められる。この範囲中4つのピークの存在は、2つのホモポリマーの形成と一致していないようであるが、以下でさらに説明するように、共重合と一致し得る。
【0337】
図22の右側に提案するようにKEおよびKPrを各スタック内で無作為に混合する場合、重合が誘導される場合にランダムコポリマーを形成するであろう。次いで、KE分子中の三重結合の別のKE分子との二重結合への再配置に関連するピークおよび別のKPr分子とカップリングしたKPr分子の対応するピークに加えて、第3および第4のピークが予想され得る。KE分子中の三重結合のKPr分子との二重結合への再配置によって第3のピークを得ることができ、KPr分子中の三重結合のKE分子との二重結合への再配置の結合によって第4のピークを得ることができる。このモデルによれば、95〜110ppmの範囲の4つの化学シフトの存在は、結晶中のKE−KPrコポリマーの存在の明確なサインのようである。
【0338】
単量体またはポリマー生成物のいずれかにおける単量体からポリマーへの変換またはその欠如を決定するための本明細書中などに記載の13C NMR法による自発的固相重合に供したKXおよび他のジアセチレン生成物の特徴付けを、本明細書中に記載の本発明の実施で使用することができる。1つのかかる適用では、単量体を、単量体および適用に応じて、13C NMR特徴付けによって決定される単量体からポリマーへの許容可能な変換率(例えば、0.1%、1%、または10%)にしたがって商業的適用(例えば、熱曝露または他の周囲条件のモニタリング)で使用するために選択することができる。
【0339】
かかる適用の一例では、中等および実質的な重合度での単量体−ポリマー変換を、13C NMR特徴付けによって定量することができる。この情報を使用して、ジアセチレン単量体の変色反応性の別の変更方法を得ることができる。
【0340】
例えば、既知の変換率を得た単量体を使用して単量体を変色終点付近にすることにより、単量体の応答アルゴリズムを短くすることができる。かかる単量体は、単量体自体と比較して短縮された色調進化プロフィールを有し、これを使用して、未処理の単量体と異なる標的ホスト生成物の時間−温度に関連する品質、鮮度、または他の特徴を適合させることができる。ポリマー修飾したジアセチレン単量体からさらなる選択肢が得られ、これを使用して、異なる特徴を有する標的ホスト生成物の品質をモニタリングすることができる。
【0341】
別の例では、13C NMR特徴付けによって得られた変色ジアセチレン単量体の変換に関する情報を使用して、重合反応の存在をモニタリングすることができる。例えば、13C NMR特徴付けを使用して、光学的変換決定方法(反射濃度測定法など)を較正することができる。反射濃度測定法を、任意の適切な様式で(例えば、ジアセチレン単量体を含むインクの支持層印刷サンプルの照明によって)行うことができる。13C NMR特徴付けを使用したより容易に実施される光学的方法の較正により、光学的方法の正確さ、一貫性、または調節が改善されて、ホスト生成物の鮮度または他の条件のモニタリングを改善することができる。本発明には、かかる改良された方法が含まれる。
【0342】
例えば、13C NMRを使用して、単量体が重合するにつれてわずかまたは中程度に変色する単量体の変換率を決定することができる。より明確に変色する単量体について、光学的方法により、おそらく非常に低い変換度でのポリマー変換に関する有用な情報を得ることができる。
【0343】
変換の13C NMR特徴付けを、活性薬剤として変色ジアセチレン単量体を含むモニタリングされる生成物の製造での品質管理のために使用することもできる。適切な品質管理方法は、生成されたサンプルの全てまたは一部の直列の連続的チェックであり得る。あるいは、13C NMR特徴付けを使用した品質管理を、製造バッチのランダムサンプルに適用することができる。例えば、1つまたは複数のサンプルを、サンプルの発色プロフィールに悪影響を及ぼし得る望ましくない重合についてチェックすることができる。目視または他の光学的方法で依然として明らかではないわずかな変換を、13C NMR特徴付けによって明らかにすることができる。
【0344】
図23に示すKX単量体の結晶を、低速冷却条件下でのおよそ95重量%のエタノールおよび5重量%の水からなるエタノール水溶液からの共結晶化によって調製したサンプルKX08から選択する。図23の5つの各フレームに示す100μmスケールを参照して認めることができるように、全ての結晶は長さが少なくとも200μmであり、4つの結晶(すなわち、KX08)は、大部分がそれぞれ100μmに近い長さ(例えば、約50μmと約150μmとの間)の左右面を有する。粉末結晶より実質的に大きいが、図23などに示す結晶は、X線結晶学による各結晶構造の特徴付けに十分な、そうでなければ適切な大きさではないようである。
【0345】
適用
温度曝露のモニタリングのための本明細書中に記載の指示薬および指示剤の使用について言及しているが、他の周囲環境条件も本明細書中に記載の材料のうちの適切な材料を使用して類似の様式でモニタリングすることができると理解されるであろう。モニタリングすることができる環境条件には、例として、ホスト生成物の品質に関連し得る湿度、化学線、大気組成、外圧条件、および他の条件が含まれる。大気組成を、任意の適切な様式(例えば、成分気体(例えば、酸素、二酸化炭素、エチレンまたは別の成分気体)の参照)でモニタリングすることができる。これらの目的のいずれか1つのために使用するための特定の指示剤を、本明細書中の開示を考慮して、当業者によって日常的実験によって難なく決定することができる。本発明は、本明細書中に記載の指示剤を含むインク、不可逆的様式で過去の曝露、特に(しかし、排他的ではない)、累積曝露を示すために温度および他の周囲条件のモニタリングに有用なかかるインクおよびインクから調製した指示薬の調製を含む。
【0346】
本発明の指示薬インク、材料、およびデバイスを、必要に応じて、Martinらに付与された米国特許第7,209,042号の明細書および特許請求の範囲に記載の高周波同定(「RFID」タグ)で使用することができる。
【0347】
さらに、本発明の指示剤、指示薬インク、他の指示薬材料、および指示薬デバイスを、必要に応じて、例えば、Taylorらに付与された米国特許第7,490,575号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載のように、凍結指示薬または閾値指示薬または凍結指示薬と閾値指示薬との両方と組み合わせて使用することができる。凍結指示薬により、液体(例えば、水)の凝固点または凝固点付近への過去の曝露を不可逆的に表示することができる。閾値指示薬により、閾値温度を超える温度(例えば、室温を超える温度)への1回の過去の曝露を不可逆的に表示することができる。
【0348】
本発明の指示薬を、広範な腐敗性ホスト生成物の鮮度を保証するために有用に使用することができる。この生成物には、例として、以下が含まれる:腐敗性ヘルスケア製品(例えば、ワクチン、薬物、医薬、医薬品、医療機器、および予防薬);産業または治療用の生物材料(例えば、培地、臓器、および他のヒトまたは動物の身体の一部、血液、および腐敗性血液製剤;腐敗性物質を含む診断用のデバイス、キット、および成分;バッテリーならびにバッテリーを含むデバイスおよび器具;食品(生または調理済みの魚、肉、乳製品、果物、野菜、焼き菓子、およびデザートなどが含まれる);食品事業の製品(レストラン用食品が含まれる);グルメ製品;腐敗性動物性食品;切花および鉢植えの花;化粧品(例えば、生体物質または他の不安定成分を含む化粧品);美容助剤;腐敗性軍需品および武器;および腐敗性除染パックおよび製品。
【0349】
本発明の指示薬によってその鮮度をモニタリングすることができるさらなるホスト生成物は、Martinらの米国特許出願公開第US2007/0067177号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。その鮮度を本発明の指示薬によってモニタリングすることができるなおさらなるホスト生成物は、当業者に明らかであるか、明らかとなる。
【0350】
本発明の指示薬を、広範な熟成製品(果物、チーズ、およびワインなどが含まれる)の成熟度をモニタリングするために有用に使用することもできる。その成熟度を本発明の指示薬によってモニタリングすることができるさらなるホスト生成物は、Prusikらの米国特許出願公開第2006/0247967号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。その成熟度を本発明の指示薬によってモニタリングすることができるなおさらなるホスト生成物は、当業者に明らかであるか、明らかとなる。
【0351】
本明細書中に記載の新規のジアセチレン単量体組成物または混合物を、必要に応じて、活性指示剤として指示薬ラベルに取り込むことができる。指示薬ラベルを、ホスト生成物またはその包装に添付するか、そうでなければ、ホスト生成物またはホスト生成物のグループもしくは容器に組み合わせるか、いくつかの他の都合の良い形態に組み入れることができる。必要に応じて、ラベルは、ホスト生成物またはその包装に直接適用することができる粘着ラベルであり得る。
【0352】
本発明の指示剤を、ラベル、タグ、添付文書、または包装要素などの指示薬デバイスを得るためのコーティング、印刷、噴霧によるか、別の様式で適切な支持層への適用のためのインクに処方することができる。本発明の実施で使用することができるいくつかの適切なインク処方物および関連するテクノロジーは、米国特許出願公開第2008/0004372号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。ラベルまたは他の指示薬デバイスを、ホスト生成物への適用前に低温貯蔵において保持して、ジアセチレン単量体の望ましくない重合を防止することができる。
【0353】
本発明のジアセチレン単量体指示薬インクを、例えば、適切な支持層上のグラフィカルな画像の印刷によって迅速に使用して時間−温度指示薬を作製することができる。支持層は、ホスト生成物が容易に組み込まれるラベル、包装、または包装要素であり得る。本発明は、複数のラベルまたは包装などがシートまたは連続的なウェブ形状に印刷される実施形態を含む。他の有用な指示薬デバイスを、指示薬インクを使用して作製することもできる(ボタン、添付文書、タグ、およびRFIDタグなどが含まれる)。いくつかの実施形態では、ラベルまたは他の指示薬デバイスを、印刷または他の製作の直後にホスト生成物に組み合わせて、ホスト生成物の熱曝露を追跡またはモニタリングし始めることができる。
【0354】
活性なインクの潜在性の喪失を回避するために、必要に応じて指示薬デバイスをホスト生成物と組み合わせるまで、インク、ラベル、または他の指示薬デバイスを、冷蔵または他の適切な低温貯蔵に供することができ、その直後にホスト生成物の運命を追跡し、その熱曝露をモニタリングし始めるであろう。
【0355】
指示薬ラベルにより、ジアセチレン単量体組成物または混合物の重合に由来する変色が起り、この変色を、都合のよい観察距離でのヒト観察者(例えば、投与のためにワクチンを調製する医療専門家またはスーパーマーケットにおいて冷蔵されたディスプレイを見物する買い物客)によって把握することができる。
【0356】
したがって、本発明はまた、本明細書中に記載のように、その温度曝露をモニタリングするために組み合わされるかかる指示薬を有する指示薬ラベル、タグ、デバイス、包装、パッケージ、およびホスト生成物(生成物は反応性増強指示剤を取り込んでいる)を提供する。
【0357】
本明細書中に記載の新規の指示剤を使用する指示薬を、ホスト生成物に、任意の所望の様式で(例えば、接着、結紮、ルーピング、ホチキス止めによる)組み込むか、そうでなければ、所望のホスト生成物に指示薬を取り込んだラベルの添付によって組み込むか、ホスト生成物に直接か、ホスト生成物を含むパッケージか、複数のホスト生成物品目を含むパッケージ、ボックス、または容器に組み込むことができる。複数のホスト生成物品目は、同一の品目(例えば、西洋ナシ)または類似の成熟度または腐敗特性を有する異なる品目(例えば、一定の西洋ナシおよびバナナ)であり得る。
【0358】
一旦意図するホスト生成物に組み込まれると、指示薬は、ホスト生成物が曝露される熱または他の環境をモニタリングし始める。望ましくは、指示薬は、長期にわたる高温または別の環境刺激もしくはパラメーターへの所定の累積曝露後に変色することによって警告または用意されたメッセージを示す。指示剤の適切な選択により、比較的鋭い視覚的終点を得ることができる。
【0359】
援用した開示。本明細書中で具体的に参照したそれぞれおよびあらゆる米国特許および特許出願、各外国および国際特許公開、他の各公開、ならびに各未公開特許出願の全ての開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される。万が一、本明細書中の本発明の説明で使用した用語の意味および別の書類からの参照によって組み入れられた材料の使用が矛盾するようである場合、本明細書中で使用した意味を優先することを意図する。
【0360】
上記の詳細な説明は、先行する背景および発明の概要を考慮し、且つ組み合わせて読むべきであり、当業者に明らかなように、この背景および概要で、本発明を実施するための最良の形態、または本発明の修正形態、変更形態、もしくは有用な実施形態に関する部分的または完全な情報を記載または示唆することもできる。本発明(he invention)の説明は、本発明の種々の要素およびその開示または示唆される変更形態(明細書または図面に記載の1つまたは複数の種々の方法、生成物、組成物、系、装置、機器、態様、実施形態、実施例のいずれかで開示、意図、または示唆される変更形態が含まれる)の組み合わせを含むと理解されることを意図し、いくらかでもある場合、本発明に適合しないか目的に反することが当業者に明らかであるか明らかとなる要素の群または組み合わせを除き、任意の他の書面または図面に記載の本発明または本発明の可能な実施の要素の組み合わせまたは群を含むことを意図する。
【0361】
記載を通して、組成物が、特定の要素を有するか、包含するか、含むと記載する場合、または、過程が特定の工程を有するか、包含するか、含むと記載する場合、本発明の組成物はまた、引用した成分から本質的になるか、引用した成分からなることができ、本発明の過程はまた、引用した処理工程から本質的になるか、引用した処理工程からなることができることが意図される。本発明を利用可能である限り、工程の順序または一定の行為の実施順序は重要でないと理解すべきである。さらに、2つ以上の工程または行為を同時に行うことができる。さらに、文脈上他の意味を示さない限り、本明細書中に引用した全ての割合は、関連組成物の重量に基づいて重量比であると理解すべきである。
【0362】
本発明の例示的実施形態を上に記載しているが、勿論、上記説明を考慮して、多種多様な修正形態が関連分野の当業者に明らかであるか、技術の進歩に伴って明らかになるようになり得ると理解される。かかる修正形態は、本明細書中に開示の本発明の精神および範囲内であることが意図される。
(項目1) 第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各上記単量体が、式:
【0363】
【化4】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、上記回折スペクトルが約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間に3つの反射ピークを有し、
上記3つの反射ピークが約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
上記固体単量体組成物が、変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
(項目2) 上記X線粉末回折スペクトルは、上記長間隔ピークと上記中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れており、上記中間隔ピークと上記短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れている、項目1に記載の固体単量体組成物。
(項目3) 上記3つの反射ピークが約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり、上記中間隔ピークの強度が上記長間隔ピークまたは上記短間隔ピークのいずれかの強度より高い、項目1に記載の固体単量体組成物。
(項目4) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約3:1〜約1:1の範囲である、項目1、2、または3に記載の固体単量体組成物。
(項目5) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目4に記載の固体単量体組成物。
(項目6) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約1:1である、項目4に記載の固体単量体組成物。
(項目7) 上記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、上記最長の間隔ピークおよび上記2番目に長い間隔ピークがそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットピークである、項目5に記載の固体単量体組成物。
(項目8) 第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0364】
【化5】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、上記回折スペクトルが約4.40Åのd間隔と約3.95Åのd間隔との間の2つの反射ピークを有し、
上記2つの反射ピークが約4.43Å〜約4.37Åの範囲のd間隔での長間隔ピークおよび約3.99Å〜約3.92Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
上記単量体組成物が変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
(項目9) 上記2つの反射ピークが約4.43Å〜約3.92Åの回折間隔範囲で最高強度のピークであり、上記2つのピークの強度が類似している、項目8に記載の固体単量体組成物。
(項目10) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目8または9に記載の固体単量体組成物。
(項目11) 上記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、上記最長の間隔ピークおよび上記2番目に長い間隔ピークが本質的にそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットである、項目10に記載の固体単量体組成物。
(項目12) 第1の単量体および第2の単量体を含む熱重合性の共結晶化した固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0365】
【化6】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、
上記最長の間隔ピークおよび上記2番目に長い間隔ピークが本質的にシングレットであり、
上記2番目に長い間隔ピークが上記最長の間隔ピークのd間隔の約半分のd間隔である、固体単量体組成物。
(項目13) 上記最長の間隔ピークが約16.4Å〜約20.1Åのd間隔である、項目12に記載の固体単量体組成物。
(項目14) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目12または13に記載の固体単量体組成物。
(項目15) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約1:1である、項目12に記載の固体単量体組成物。
(項目16) 第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0366】
【化7】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記固体単量体組成物が、交差分極マジック角固体NMRを使用して特徴付けた場合にsp炭素原子について4つの異なる13C化学シフトを示し得るポリマー生成物を提供するために固体で重合可能であり、
上記ポリマー生成物が上記固体単量体組成物由来の変化した外観を有する、固体単量体組成物。
(項目17) 上記4つの13C化学シフトが約106ppm、約102ppm、約99ppm、および約97ppmで観察可能である、項目16に記載の固体単量体組成物。
(項目18) 上記固体ポリマー生成物が、交差分極マジック角固体NMRを使用して特徴付けた場合に約131ppmおよび約128ppmでsp2炭素原子について2つの13C化学シフトを示すことができる、項目16に記載の固体単量体組成物。
(項目19) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目16、17、または18に記載の固体単量体組成物。
(項目20) 第1の単量体および第2の単量体を含む共結晶化した固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0367】
【化8】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つが、それぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なり、
上記単量体組成物がほぼ一結晶方向にて単量体スタック中で重合することができる結晶相を含み、
上記単量体スタックのうちの少なくとも1つが上記第1の単量体および上記第2の単量体の分子の混合物を含む、固体単量体組成物。
(項目21) m3が2である、項目20に記載の固体単量体組成物。
(項目22) 上記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、上記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、項目20または21に記載の固体単量体組成物。
(項目23) 第1の結晶相および第2の結晶相を含む結晶相組成物であって、上記第1の結晶相が少なくとも約20重量%の第1の単量体を含み、残りは第2の単量体から本質的になり、上記第2の結晶相が少なくとも約20重量%の上記第2の単量体を含み、残りは上記第1の単量体から本質的になり、上記第1の単量体および上記第2の単量体が、式:
【0368】
【化9】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5のうちの少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なる、結晶相組成物。
(項目24) m3が2である、項目23に記載の結晶相組成物。
(項目25) 上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、項目23に記載の結晶相組成物。
(項目26) 上記第1の結晶相が少なくとも約50重量%の上記第1の単量体を含み、上記第2の結晶相が少なくとも約50重量%の上記第2の単量体を含む、項目23、24、または25に記載の結晶相組成物。
(項目27) 第1の単量体単位および第2の単量体単位を含むコポリマー鎖を含むコポリマー組成物であって、各上記単量体単位が、重合前に、以下の式:
【0369】
【化10】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なる、コポリマー組成物。
(項目28) m3が2である、項目27に記載のコポリマー組成物。
(項目29) 上記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、上記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、項目28に記載のコポリマー組成物。
(項目30) 所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を、上記アセチレン組成物の結晶の構造周期性および上記構造周期性に関連する回折間隔の調整によって作製する方法であって、上記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各上記単量体が、式:
【0370】
【化11】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
上記第1の単量体および上記第2の単量体の合わせた重量に基づいて上記第1の単量体の重量比を選択して所望の回折間隔を得る工程、および
混合した上記第1の単量体および上記第2の単量体を溶液から共結晶化して上記固体結晶性アセチレン組成物を得る工程
を含み、
混合によってCuKα1放射線を使用して収集した上記固体結晶性アセチレン組成物のX線粉末回折スペクトル中に最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークが得られ、各上記回折ピークは、本質的に、上記第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化すると、ほぼ線形に回折間隔がシフトするシングレットピークである、方法。
(項目31) m3が2である、項目30に記載の方法。
(項目32) 上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、項目30または31に記載の方法。
(項目33) 所望の変色熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物の作製方法であって、上記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各単量体が、式:
【0371】
【化12】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
混合した上記単量体を溶液から共結晶化して上記固体組成物を得る工程、
高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルによって上記固体組成物中で得ることができる高反応性相を同定する工程、および
上記固体組成物中の上記高反応性相の重量比を調節して所望の熱反応性を得る工程
を含む、方法。
(項目34) 上記固体組成物が本質的にシングレットの最も小さい角度の回折ピークおよび本質的にシングレットの2番目に小さい角度の回折ピークを有するCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができるように混合する工程であって、上記最も小さい角度の回折ピークおよび上記2番目に小さい角度の回折ピークに関連する各回折間隔が、上記第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化するとほぼ線形にシフトする、工程、および
上記最も小さい角度の回折ピークおよび上記2番目に小さい角度の回折ピークについての所望の熱反応性に関連する回折間隔を得るのに有効な上記第1の単量体の重量比を選択する工程
を含む、項目33に記載の方法。
(項目35) 上記高反応性相の重量比を調節するために結晶化溶媒および結晶化のための冷却速度を選択する工程を含む、項目33または34に記載の方法。
(項目36) m3が2である、項目33、34、または35に記載の方法。
(項目37) 上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、項目33、34、または35に記載の方法。
(項目38) 腐敗性ホスト生成物の温度への累積曝露をモニタリングするための環境条件指示薬の作製方法であって、上記ホスト生成物が表示すべき所望の鮮度点を有し、且つ上記環境条件指示薬が環境条件に応答する変色指示剤を含み、上記方法が、
上記指示剤について、上記環境条件に対する上記指示剤の時間関連応答についての所望の変色プロフィールを決定する工程、
上記指示剤の変色プロフィールから上記ホスト生成物の鮮度点にほぼ対応する終点を決定する工程、および
上記指示剤として使用するために、所望の指示剤の変色プロフィールに関連する回折特徴を有するジアセチレン単量体組成物を選択する工程
を含む、方法。
(項目39) 上記回折特徴が回折スペクトル強度および3Åより長い回折間隔を含む、項目38に記載の方法。
(項目40) 上記回折特徴をジアセチレン指示薬組成物の粉末に対して決定する、項目39に記載の方法。
(項目41) 上記回折特徴が項目1、2、または3に定義した回折スペクトルを含む、項目38、39、または40に記載の方法。
(項目42) 上記環境条件が温度である、項目38、39、または40のいずれか1項に記載の方法。
(項目43) 第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を含む変色性共結晶化ジアセチレン単量体組成物の反応性を調節するための方法であって、上記第1のジアセチレン単量体および上記第2のジアセチレン単量体が、式:
【0372】
【化13】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各ジアセチレン単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
一方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの1つはそれぞれ他方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの他の1つと異なり、上記方法は、
上記第1のジアセチレン単量体および上記第2のジアセチレン単量体を溶媒系中にて少なくとも約60℃の高温で溶解する工程、
上記溶液を、少なくとも約1時間を必要とする冷却速度で約60℃から約30℃に冷却する工程、
上記冷却溶液から上記ジアセチレン単量体組成物の結晶を回収する工程、および
回収された上記結晶の変色反応性を決定する工程
を含む、方法。
(項目44) 所望の変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物の結晶を得るために上記溶媒系を選択する工程を含む、項目43に記載の方法。
(項目45) 上記高温が少なくとも70℃であり、上記溶液を約60℃から約30℃に冷却する工程には少なくとも90分間必要である、項目43に記載の方法。
(項目46) 熱水浴を使用して上記第1の単量体および上記第2のジアセチレン単量体の溶解のための上記高温を提供し、上記水浴を室温環境中で受動的に冷却することによって上記水浴上で上記溶液を冷却する工程を含む、項目43に記載の方法。
(項目47) 回収された上記結晶の回折スペクトルの試験によって回収された上記結晶の上記変色反応性を決定する工程を含む、項目43、44、45、または46に記載の方法。
(項目48) 項目30、31、33、または34に記載の方法によって生成された結晶組成物。
(項目49) 項目43または44に記載の方法によって生成された共結晶化ジアセチレン単量体組成物。
(項目50) 項目1、8、12、16、20、21、23、または27に記載の組成物を含む時間−温度指示薬。
(項目51) 項目38、39、または40に記載の方法によって作製された環境条件指示薬。
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年3月31日に出願された仮特許出願第61/165,292号(この開示は、参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規のジアセチレン単量体組成物、混合物、および結晶相に関する。本明細書中に記載の組成物、混合物、および他の生成物は、一般に、共結晶性を示し、環境条件への曝露の視覚的指示薬中の活性指示剤として有用である。かかる指示薬を使用して、ホスト生成物の貯蔵期間、鮮度、成熟度、または他の特徴に関連し得る環境条件(温度など)をモニタリングすることができる。本明細書中に記載の方法は、記載の組成物、混合物、および他の生成物の調製、特徴付け、または使用に有用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
種々のジアセチレン単量体は、指示薬が関連するホスト生成物の鮮度または他の特徴を示すための時間−温度および他の周囲条件の指示薬中の活性指示剤として長く使用されている。一定のジアセチレン単量体は、温熱条件または他の刺激に応答する予測可能且つ不可逆的な様式で固相重合反応による変色または別の視覚的特徴を受ける。
【0004】
ジアセチレン単量体または1つまたは複数のジアセチレン単量体の組成物を活性指示剤として使用する指示薬により、例えば、熱へのホスト生成物の累積曝露を簡潔で視覚的に表示することができる。かかる指示薬は、時間および温度曝露を予測可能で定量的な様式で統合し、これを使用して腐敗性ホスト生成物(ワクチン、薬物または医薬品、食糧、または工業製品など)の有用な貯蔵期間をモニタリングすることができる。指示薬により、所定の終点で変色してホスト生成物の起こり得る鮮度の喪失またはホスト生成物の別の起こり得る品質の喪失の可能性を示すことができる。
【0005】
有意義なシグナルを得るために、熱曝露に対する活性指示剤の応答特性または測定される別のパラメーターがモニタリングした種々の条件範囲にわたって指示薬が関連するホスト生成物の応答特性と合理的に密接に対応することが望ましい。本発明の指示薬について種々の潜在的なホスト生成物が存在し、その多くが熱曝露に対する発色応答性の固有のプロフィールまたはパターンおよび他の環境パラメーターを有するので、対応する選択を行うことができる広範な一連の指示剤の応答プロフィールを有することが望ましいであろう。
【0006】
多数の重合性ジアセチレン単量体化合物が公知であるか示唆されている。例えば、Patelに付与された特許文献1;特許文献2、および特許文献3ならびにPreziosiらに付与された特許文献4および特許文献5(本明細書中で、それぞれ、「Preziosiらの151号」および「Preziosiらの637号」として参照)を参照のこと。これらの特許および他の場所に記載の多数のジアセチレン単量体は、モニタリングすべき環境条件に応答した重合の際に有用に変色する。
【0007】
しかし、腐敗性または成熟したホスト生成物のモニタリングに有用となり、商業的に実現可能である(すなわち、商品としての様々な許容基準を満たすことができる)性能パラメーターを有する公知のジアセチレン単量体は限られた数しか存在しない。この有用なジアセチレン単量体の数が限られていることにより、ホスト生成物の品質をモニタリングするためにホスト生成物に合わせるのに適切なジアセチレン単量体を探求する指示薬の処方者が利用可能な選択肢が制限される。
【0008】
利用可能な選択肢を増大させるための1つのアプローチは、所与の周囲条件に対して異なって応答するように所与の商業的に有用なジアセチレン単量体の反応性を改変することである。次いで、単一のジアセチレン単量体から、ジアセチレン単量体が1つまたは複数の方法で改変されるか改変されないかどうかにしたがってホスト生成物に適合させるための2つ以上の発色応答プロフィールを得ることができる。
【0009】
Preziosiらの151号に記載のように、環境刺激に対するアセチレン化合物の活性を、有効な錯体形成金属(または金属イオン)との化合物の接触によって変化または調節することができる。類似の特徴として、Preziosiらの637号は、有効な錯体形成酸との化合物の接触によって活性を変化または調節することができると記載している。
【0010】
また、Prusikらに付与された特許文献6(本明細書中で「Prusikの148号」)は、ジアセチレン単量体溶液の還流によるジアセチレン単量体の反応性の変更を開示している。使用したジアセチレン単量体および溶媒の特定の組み合わせに応じた反応性の増加および減少の両方が記載されている。
【0011】
Prusikの148号はまた、酢酸に溶解した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の種々の時間の還流に起因する還流単量体生成物は、顕微鏡下、X線回折、および他の分析技術の所見において実質的に同一なようであるが、これらの生成物が示した熱変色応答について試験した場合、還流時間の増加に伴って反応性が増加するようであることを記載している。
【0012】
さらに、Prusikらの特許文献7は、ホスト生成物の応答特性に対するジアセチレン指示剤の反応性に適合するための反応性増強アジュバントの使用を開示している。記載のいくつかの例示的なアジュバントには、低温重合開始剤(例えば、メチルエチルケトンペルオキシド)、重合促進剤(例えば、コバルト化合物)、および開始剤と促進剤との組み合わせが含まれる。
【0013】
新規または改変された色関連反応性プロフィールを有する指示剤を得るための別のアプローチは、2つの指示薬化合物を混合することである。したがって、2つのジアセチレン単量体を共結晶化して、出発物質のいずれかと異なる反応性プロフィールを有する共結晶化混合物を得ることができる。
【0014】
例えば、Millerら(Patel)の“Copolymerization of diacetylenes in the crystalline solid state.A method for recording latent fingerprints.”,J.of Applied Polymer Science(1979),24(3),883−6は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(フェニルウレタン)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(p−クロロフェニルウレタン)との固体共重合を記載している。記載のように、2つの化合物の溶液が噴霧される表面上のオイルの存在は、得られた共結晶化したジアセチレン相の反応性に影響を及ぼす。
【0015】
また、Enkelmannの“Polymerization in Mixed Crystals”,J.Materials Science,15(1980)951−958頁(本明細書中で「Enkelmann 1980」)は、適切に置換されたジアセチレンを共結晶化して置換型固溶体を形成することができることを記載している。2,4−ヘキサジイニレンジ−p−トルエンスルホナート(Enkelmann 1980中の「1a」)および20%までの2,4−ヘキサジイニレンジ−p−クロロ−ベンゼンスルホナート(Enkelmann 1980中の「1b」)またはジ−p−ブロモベンゼン−スルホナート(Enkelmann 1980中の「1c」)のいずれかの混合結晶の固体重合は、時間変換曲線を参照して記載されている(956〜958頁および図9〜11)。化合物1b中の塩素原子および化合物1c中の臭素原子が化合物1a中のトルエンメチル基と置き換わっている場合を除き、化合物1aは化合物1bおよび化合物1cに類似している。
【0016】
化合物1bおよび1cの活性形態は、Enkelmann 1980中に準安定性を示すと記載されており、微結晶の電子回折パターンも記載されている。それにより、これらの材料が1aの反応相と同型であることが示唆されている(957頁)。「同型である」とは、その結晶構造が同一空間群中に存在し、同一の分子対称性を有し、単位胞中の分子数が同一であることを意味すると理解することができる。
【0017】
化合物1bおよび1cの安定型(固体で完全に未反応であり、したがって、重合可能でないとされている)は、化合物1aの構造と同型でない三斜晶系結晶構造を有すると説明されている。Enkelmann 1980によると、45°付近の角度にて4.9Åのポリマー反復単位と等しい距離で単量体が積み重なった場合に至適反応性が予想され得る(954頁)。
【0018】
さらに、Enkelmannの“The Solid−State Polymerization,Physical Properties,and Crystal Structures of Diacetylene Mixed Crystals” Makromol.Chem.184,1945−1955(1983)(本明細書中で「Enkelmann 1983」)は、置換型固溶体を形成するための一定の置換ジアセチレン(特に、2,4−ヘキサジイニレンジ−p−トルエンスルホナート(Enkelmann 1983中の「1a」)および2,4−ヘキサジイニレンジ−p−フルオロベンゼンスルホナート(Enkelmann 1983中の「1b」))の共結晶化を記載している。これらの化合物は、前者の化合物中のメチル基の後者の化合物中のフッ素への置換のみが異なる。種々の濃度で一方のジアセチレン単量体を他方のジアセチレン単量体中に含む固溶体が記載されている。各濃度での固溶体の重合反応性は、各ジアセチレン類の反応性の中間であることがEnkelmannによって見出された(図9)。いくつかのX線回折データも記載されている(1947〜1950頁)。
【0019】
Enkelmannの文献には、いずれも、腐敗性ホスト生成物の品質のモニタリングに商業的に有用な指示剤は記載されていないようである。
【0020】
ジアセチレン単量体の種々の他の共結晶化混合物も、特許(Preziosiらの151号、Preziosiらの637号、およびPrusikの148号、ならびにPatelに付与された特許文献2;同第4,208,186号、および特許文献3、JP LaboratoriesのWO2004/077097号、ならびにPrusikらに付与された米国特許第7,019,171号(本明細書中で「Prusikらの171号」)など)から知られている。これらの書類のいくつかまたは全ては、種々のヘキサジインビス(アルキル尿素)の共結晶化混合物(特に、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物が含まれる)を記載している。後者の共結晶化ジアセチレン単量体混合物は、混合物のいずれかの成分よりも早く熱曝露に反応する発色反応性を有する。この指示剤は、とりわけ、貯蔵期間が比較的短いホスト生成物(例えば、生鮮食品)のモニタリングに有用である。
【0021】
Patelに付与された特許文献3は、溶媒からの2つ以上のジアセチレンの混合物のゆっくりした結晶化による不活性形態のジアセチレン化合物の調製方法を記載している(カラム4の53〜68行目およびカラム5の15〜17行目)。記載のように、不活性形態を、活性化蒸気との接触によって活性化形態に変換することができる。
【0022】
Preziosiらの151号は、種々の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化手順を記載している。Preziosiらの151号によれば、X線分析で固溶体の形成が示され、NMR(おそらく、核磁気共鳴)プロトン分析で使用比が検証された。重量比1:2部の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)が、反応性が最も高いとPreziosiらの151号(実施例S)に記載されている。
【0023】
また、Preziosiらの637号は、石油エーテルを使用した希酢酸溶液からの沈殿による2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(ブチル尿素)の共結晶化混合物の調製を記載している。
【0024】
さらに、Prusikの148号は、共結晶化生成物の反応性を変化させるための2つのジアセチレン単量体(2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素))の混合物の酢酸中での還流を開示している。
【0025】
さらに、Prusikの171号は、粒径パラメーター(平均サイズまたは拡散など)を調節したポリアセチレン剤の沈殿を記載している。アセチレン剤の加温溶液と冷却沈殿液との混合および冷却沈殿液の成分および/または温度条件の適切な選択によって調節する。Prusikの171号の比較実施例4(本明細書中にさらに記載)は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)との混合物の酢酸溶液の再結晶を記載している。
【0026】
これらおよび他の提案にもかかわらず、利用可能なさらなるジアセチレン単量体反応性の選択肢を有することが望ましいであろう。
【0027】
前述の背景技術の説明は、本発明に先行するが本発明によって提供された関連技術に知られていなかった洞察、発見、理解、開示、または開示の組み合わせを含み得る。本発明のいくつかのかかる寄与を本明細書中に具体的に指摘しているかもしれないのに対して、本発明の他のかかる寄与がその文脈から明らかであろう。単にある書類を本明細書中に引用しているかもしれないので、本発明と非常に異なり得るその書類の分野が本発明の分野に類似することを承認していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許第3,999,946号明細書
【特許文献2】米国特許第4,189,399号明細書
【特許文献3】米国特許第4,384,980号明細書
【特許文献4】米国特許第4,788,151号明細書
【特許文献5】米国特許第4,789,637号明細書
【特許文献6】米国特許第6,924,148号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0004372号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の概要
本発明は、新規のジアセチレン単量体組成物、ジアセチレン単量体結晶相および混合物、ならびに関連するかかる材料の調製および特徴付けの方法を提供する。
【0030】
本発明によって提供された、いくつかの材料は、環境刺激に応答して変色し、新規または改変された反応性および反応性プロフィールを示すことができる。本発明によって提供された特徴付け方法により、物理的に類似するが、異なる変色反応性を示すいくつかの材料を明確に同定することができる。
【0031】
1つの態様では、本発明は、第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各単量体が、第1の式:
【0032】
【化1】
(式中、
第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、第2の単量体中のm1およびm5は共に2である)を有する、固体単量体組成物を提供する。固体単量体組成物は、CuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、スペクトルは、約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間の3つの反射ピークを有する。
【0033】
固体単量体組成物は、第1の単量体と第2の単量体の任意の所望の比が、例えば、約3:1〜約1:1の範囲の重量比(重量比2:1または重量比1:1など)であり得る。
【0034】
望ましくは、固体単量体組成物は、変化した外観を有するように熱重合性である。
【0035】
粉末X線回折パターン中に一定の低角シングレットピークを有するジアセチレン単量体組成物の特徴付けは、有用な変色反応性を有する組成物の同定およびある組成物と明確にシングレットではない他のピークを生じる別の組成物との区別に役立ち得る。例えば、2つの低角シングレットピークの存在は、複数のジアセチレン単量体の共結晶化によって形成された固溶体の存在を示唆することができ、共結晶化生成物をジアセチレン単量体の単純な機械的混合物と区別することができる。
【0036】
必要に応じて、本発明の種々の態様で使用可能な第1の単量体および第2の単量体は、それぞれ、以下の第2の式:
【0037】
【化2】
(式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数である)を有する化合物であり得る。m2、m3、およびm4は同一の整数であり得、必要に応じて、2つの単量体中のm1とm5とが異なり得る。例えば、一方の単量体中のm1またはm5のうちの1つは、それぞれ、他方の単量体中のm1またはm5のうちの他方の1つと異なり得る。
【0038】
あるいは、一方の単量体中のm1およびm5の両方は、他方の単量体中のm1およびm5と異なり得る。必要に応じて、m3は2であり得る。あるいはまたはさらに、m1およびm5は、第1の単量体中では1であり得、第2の単量体中では2であり得、m2およびm4は共に1であり得る。
【0039】
さらなる態様では、本発明は、第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各単量体は第2の式を有し、式中、単量体組成物がほぼ一結晶方向にて単量体スタック(monomer stack)中で重合した結晶相を含む、固体単量体組成物を提供する。望ましくは、単量体スタックのうちの少なくとも1つが第1の単量体および第2の単量体の分子の混合物を含み得る。
【0040】
なおさらなる態様では、本発明は、第1の結晶相および第2の結晶相を含む結晶相組成物を提供する。第1の結晶相は少なくとも約20重量%の第1の単量体を含むことができ、残りは第2の単量体から本質的になる。
【0041】
第2の結晶相は少なくとも約20重量%の第2の単量体を含むことができ、残りは第1の単量体から本質的になる。望ましくは、第1の単量体および第2の単量体は、異なる化学構造および分子構造を有する。任意選択的に、第1の結晶相は少なくとも約50重量%の第1の単量体を含むことができ、第2の結晶相は少なくとも約50重量%の第2の単量体を含むことができる。
【0042】
さらに別の態様では、本発明は、所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を、アセチレン組成物の結晶の構造周期性および構造周期性に関連する回折間隔の調整によって作製する方法を提供する。本方法は、第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各単量体が第1および第2の式を有する、混合する工程、および第1および第2の単量体の合わせた重量に基づいて第1の単量体の重量比を選択して所望のX線回折間隔を得る工程を含むことができる。
【0043】
さらに別の態様では、本発明は、所望の変色反応性を有する固体アセチレン結晶組成物の作製方法を提供する。本方法は、第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、第1の単量体および第2の単量体が異なる分子構造を有する、混合する工程を含むことができる。本方法は、さらに、混合した単量体を溶液から共結晶化して固体組成物を得る工程および高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルによって固体組成物中に得ることができる高反応性相を同定する工程を含むことができる。さらに、本方法は、固体組成物中の高反応性相の重量比を調節して所望の熱反応性を得る工程を含むことができる。
【0044】
本方法はまた、高反応性相の重量比を調節するために結晶化溶媒および結晶化のための冷却速度を選択する工程を含むことができる。
【0045】
別の態様では、本発明は、腐敗性ホスト生成物の温度への累積曝露をモニタリングするための環境条件指示薬の作製方法を提供する。本方法では、ホスト生成物は、表示すべき所望の鮮度点(freshness point)を有することができ、且つ環境条件指示薬は環境条件に応答する変色指示剤(color−changing indicator agent)を含むことができる。本方法は、指示剤について、環境条件に対する指示剤の時間関連応答についての所望の変色プロフィールを決定する工程を含むことができる。本方法はまた、指示剤の変色プロフィールからホスト生成物の鮮度点にほぼ対応する終点を決定する工程および指示剤として使用するために、所望の指示剤の変色プロフィールに関連するX線回折の特徴を有するジアセチレン単量体組成物を選択する工程を含むことができる。
【0046】
本発明の固体単量体組成物は、交差分極マジック角NMRを使用して特徴付けた場合にsp炭素原子について4つの13C NMR化学シフトを示し得るポリマー生成物を提供するために固体で重合可能であり得る。望ましくは、ポリマー生成物は、固体単量体組成物由来の変化した外観を有する。記載のように特徴付けたポリマー生成物は、2つの単量体のコポリマーを含むと考えられる。見かけ上かなりの量の出発単量体のホモポリマーを欠くポリマー生成物も本明細書中に記載する。
【0047】
本明細書中の別の場所により詳細に記載するように、4つの13C化学シフトは、約106ppm、約102ppm、約99ppm、および約97ppmで観察可能である。固体ポリマー生成物はまた、交差分極マジック角固体NMR(cross−polarization magic angle solid state NMR)を使用して特徴付けた場合に約131ppmおよび128ppmでsp2炭素原子について2つの13C化学シフトを示すことができる。
【0048】
本発明はまた、第1の単量体単位および第2の単量体単位を含むコポリマー鎖を含むコポリマー組成物であって、各単量体単位が重合前に第1または第2の式を有する、コポリマー組成物を提供する。
【0049】
本発明はまた、記載の方法の生成物ならびにこれらの生成物または本発明の単量体組成物のいずれかを含む時間−温度指示薬または他の指示薬を含む。
【0050】
本発明は、とりわけ、比較的高温で誘導される発色反応性を有する新規のジアセチレン単量体組成物を提供する。この組成物は、比較的高温でやや短い貯蔵期間(典型的には、時間で測定可能)を有するホスト生成物(例えば、作りたてのサンドイッチおよび他の食品)のモニタリングを意図する指示薬の有用な成分であり得る。かかる反応性が比較的高い指示剤はまた、より長い貯蔵期間を有する生成物の生存期間における1つまたは複数の段階(例えば、一過性の分布または保存段階)の測定に有用であり得る。
【0051】
いくつかの図面の簡単な説明
本発明ならびに本発明の作製および使用のいくつかの実施形態ならびに本発明の実施を意図する最良の形態を本明細書中に、例として、添付の図面を参照して詳述する。図中、いくつかの図を通して、同様の参照符合は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、2つの結晶性ジアセチレン単量体の混合物の特徴付けによって得ることができるX線粉末回折パターンまたはディフラクトグラムの2つの例を示す。上のパターンは各ジアセチレン単量体結晶の物理的混合物の特徴付けによって得ることができ、下のパターンは2つの単量体の共結晶化生成物の特徴付けによって得ることができる。
【図2】図2は、制限された範囲の角度2θについての異なる比率の単量体の種々の共結晶化混合物についての一連のX線粉末回折パターンを示す。
【図3】図3は、図2中にグラフで示したデータから計算することができる濃度を使用したX線回折d間隔の変動を示す。
【図4】図4は、より広い範囲の角度2θについての図2に類似の一連のX線回折パターンを示す。
【図5】図5Aは、ジアセチレン単量体の高反応性共結晶化混合物の特徴付けによって得ることができるX線粉末回折パターンを示す。このパターン上に目的の種々の回折ピークについてのd間隔を数値で示している。図5Bは、関連データと共に図5A中に示したd間隔の表(「表4」と表示)である。
【図6】図6は、酢酸から結晶化したジアセチレン単量体組成物の多数のサンプルのX線粉末回折パターンを示す。ディフラクトグラム(diffractrogam)において、高変色反応性に関連する一定の回折の特徴が明らかである。
【図7】図7は、異なる比率で異なる溶媒から結晶化したジアセチレン単量体組成物の多数のサンプルについてのX線粉末回折パターンを示す。このパターンにおいて、高変色反応性に関連する一定の回折の特徴も明らかである。
【図8】図8は、本発明の実施において使用可能な3つの異なる冷却系での冷却速度を示すグラフである。
【図9】図9は、異なる冷却条件を使用して共結晶化した一定のジアセチレン単量体組成物についての2つのX線粉末回折スペクトルを示す。
【図10A】図10Aは、結晶化中の冷却速度が重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化組成物の種々のサンプルにおける色調進化に及ぼし得る影響を示す。
【図10B】図10Bおよび10Cは、サンプル(色調進化データを図10A中に示す)および重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)共結晶化混合物のいくつかのさらなるサンプルの粉末X線回折パターンを示す。
【図10C】図10Cは、サンプル(色調進化データを図10A中に示す)および重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)共結晶化混合物のいくつかのさらなるサンプルの粉末X線回折パターンを示す。
【図10D】図10Dは、比較のための一方のサンプル由来の各反射ピークの別のサンプル由来の対応するピーク上の重ね合わせを示す。
【図11】図11A、11B、および11Cは、異なる時間で結晶化パラメーターが共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の6つの異なるサンプルにおける発色に及ぼし得る影響を示す。
【図12】図12は、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の6つのサンプルにおける発色について得ることができる個別のフレームでの量的データのグラフを含む。選択した時間における発色の結果は図11A〜11Cに示している。
【図13】図13Aおよび13Bは、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)単量体の共結晶化混合物の種々のサンプルの粉末X線回折パターン、とりわけ、得られた反射ピークに及ぼす結晶化冷却速度の影響を示す。
【図14】図14Aおよび14Bは、延長スケールでの図13A〜13BのX線粉末回折パターンの一部を示す。
【図15】図15は、使用した単量体組成物の溶解比および溶媒系が本発明の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物の1つの実施形態のX線粉末回折スペクトルに及ぼし得る影響を示す。
【図16】図16は、本発明の1つの実施形態に従ってエタノール水溶液から共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の種々の比率の組成物が光学的に決定された単量体の熱反応性に及ぼし得る影響を示す。
【図17】図17は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)単量体分子の骨格モデル図である。
【図18】図18は、1つのジアセチレン重合モデルの略図である。
【図19】図19は、データ(データは、種々のジアセチレン単量体およびポリマー生成物を特徴付けるための13C NMR分光法の使用によって得ることができる)の表(表5と示す)である。
【図20】図20は、表5(図19)中に示すジアセチレン単量体に関連するデータを計算することができる13C NMR分光法データのグラフ図である。
【図21】図21は、表5(図19)中に示すジアセチレンポリマーに関連するデータを計算することができる13C NMR分光法データのグラフ図である。
【図22】図22は、組成物のポリマー中のジアセチレン単量体組成物単位の2つの配置のモデルの略図である。
【図23】図23は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物を含む組成物の種々の結晶のいくつかの顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
発明の詳細な説明
特定の腐敗性ホスト生成物の貯蔵期間または鮮度のモニタリングのための指示剤の選択に有用なアプローチは、利用可能な指示剤の発色特性をホスト生成物の鮮度を喪失させるか崩壊させるモニタリングされる環境に対するホスト生成物の応答特性と比較する工程を含む。
【0054】
有利には、指示剤は、ホスト生成物の鮮度点または他のクオリティポイント(鮮度の喪失点または鮮度もしくは品質の差し迫った喪失点など)におよそ対応する変色終点(例えば、発色点)を有し得る。環境的に誘導された重合が可能な一定のジアセチレン単量体は、これらの目的のための指示剤として有用である。
【0055】
用語「指示剤」を、本明細書中で、指示薬の活性成分として使用可能であり、且つ環境条件または刺激(例えば、熱曝露)に応答することができる、視覚的に認知可能な外観の変化を有する化合物および組成物を含むために使用する。指示剤の例には、ジアセチレン組成物およびジアセチレン混合物が含まれる。
【0056】
用語「色」を、本明細書中で、有色および無色の色相および外観の両方(例えば、赤色、黄色、青色、および緑色、等和色、パステル、茶色、および他の有彩色、ならびに白色、黒色、および灰色)を含むために使用する。
【0057】
分子中に少なくとも2つの共役アセチレン基を有するアセチレン分子を、本明細書中で、「ジアセチレン」、「ジアセチレン化合物」、または「ジアセチレン単量体」という。3つの共役アセチレン基を有するジアセチレンを、時折、トリインといい、4つの共役アセチレン基を有するジアセチレンをテトラインという。トリインまたはテトラインを、必要に応じて、本発明の実施で使用することができる。しかし、いくつかのトリインおよびテトラインは、不安定すぎて有用でないかもしれない。
【0058】
第1の単量体および第2の単量体がジアセチレン単量体であると理解されるであろう。したがって、これら2つの化合物のいずれか1つまたは両方を、本明細書中で、「単量体」および「ジアセチレン単量体」と様々にいうことができる。第1および第2の単量体(すなわち、ジアセチレン単量体)は、一般に示され、且つ本明細書中の文脈に示されるように、種々の分子構造または組成を有し得る。特定の構造を文脈中に記載しない場合、各「単量体」または「ジアセチレン単量体」は、本明細書中に記載されているか示唆されている1つまたは2つの式または任意の他の関連する式に適合するか有することができると理解すべきである。
【0059】
多数の市販のホスト生成物は、ホスト生成物の品質が適切な鮮度点を選択することができる累積的温度曝露と相関する温度応答プロフィールを有する。かかるホスト生成物応答プロフィールは、公知であるか、ホスト生成物の供給者に知られ得る。適切な温度応答プロフィールを利用できない場合、通常、このプロフィールを過度の困難を伴わずに日常的な実験によって決定することができる。
【0060】
鮮度または他のクオリティポイントを、例えば、一定の日数(または週数または月数)の熱曝露に対応するように決定することができる。したがって、例えば、鮮度点は、常識的に示唆されるように、高温で比較的少ない日数または低温で比較的多くの日数への曝露後に到達し得る。
【0061】
必要に応じて、かかる指示薬を、ホスト生成物の品質における複数の段階(例えば、使用期限前、使用期限、使用期限後に生じるクオリティポイント)を示すようにデザインすることができる。指示薬は、指示薬の観察者が参照するために各品質段階での指示薬外観の視覚的シミュレーションをマーキングするか保有することができる。観察者に対する説明書を、必要に応じて、指示薬上または指示薬と共に含めることができる(例えば、それぞれ「使用可能」、「使用制限」、および「使用不可」)。
【0062】
必要に応じて、2〜5または任意の他の所望の品質段階数を使用することができる。各品質段階で適切な視覚的シグナルを得るために、指示薬中で使用した活性指示剤の応答プロフィールを、望ましくは、ホスト生成物の応答プロフィールと慎重に相関させることができる。本発明は、ホスト生成物の応答プロフィールにしたがってホスト生成物が各品質段階に到達すると予想される直前に適切な表示を行う応答プロフィールを有する指示剤を使用したかかる指示薬を含む。
【0063】
周囲温度が変動する一般的条件下で、クオリティポイントに到達するのに必要な時間は広範に変動し得、温度曝露履歴の知識なしに予想不可能であり得る。指示薬(本明細書中に記載の時間−温度指示薬など)は、長期間の温度曝露をモニタリングすることおよび過去の累積的温度曝露によってホスト生成物がクオリティポイントに到達する可能性が高い場合に視覚的な表示またはシグナルを得ることによってこの問題を解決することができる。
【0064】
他の条件(湿度、化学線、周囲の成分、または他の周囲条件など)に対するホスト生成物および指示剤の応答プロフィールを、本発明の目的のために、温度応答プロフィールの決定のために本明細書中に記載したことに類似の様式で決定することができる。したがって、本発明の生成物、方法、および過程を、当業者に適切なようにかかる他の条件のモニタリングに使用することができる。特定の条件に対する特定の指示剤の応答性は当該分野で公知であり得るか、日常的な実験によって決定することができる。
【0065】
例として時間−温度モニタリングに関して、一般に活性化エネルギーおよび速度定数を使用して、特定の指示剤の温度関連変色特性および特定のホスト生成物の温度に対する応答特性の両方を特定することができる。通常、周知のアレニウス式を使用して、変色の温度依存性およびホスト応答反応速度を説明することができる。用語「反応性プロフィール」を、種々の温度でのホスト生成物または指示剤の応答特性を定義する活性化エネルギーと反応定数との組み合わせを含むために本明細書中で使用する。本開示を考慮して当業者に明らかであるか、明らかとなるように、類似の考察を、ホスト生成物に作用し得る他の周囲条件のモニタリングに適用することができ、指示剤によってモニタリングすることができる(湿度または照射など)。
【0066】
良好な指示薬では、指示剤の発色または他の変色の活性化エネルギーがホスト生成物崩壊の活性化エネルギーに合理的に密接に適合する場合に役立つ。活性化エネルギーが有意に不適合である場合、指示薬は、生成物の活性化エネルギーが指示薬材料よりも高いか低いかどうかに応じて、いくつかのより高い周囲温度で時期尚早にシグナルを発生し得る一方で、いくつかのより低い周囲温度で遅れてシグナルを発する、その逆もある。また、指示薬発色のための速度定数がホスト生成物崩壊についての速度定数と合理的に密接に適合することが望ましい。速度定数が有意に不適合である場合、指示薬は全ての周囲温度で時期尚早または遅延してシグナルを発し得る。時期尚早なシグナルにより、新鮮なホスト生成物が破棄され得る。遅延したシグナルは、最終消費者によって消費される生成物を腐敗させ、場合によっては不健康にし得る。予測可能性、信頼性、および一貫性はまた、通常、消費目的に望ましい。
【0067】
数日から数年の範囲の貯蔵期間を有する多数のホスト生成物を、本発明の指示薬を使用して潜在的にモニタリングすることができ、これらの生成物のいくつか(しかし、全てではない)を本明細書中に言及している。使用することができる他のホスト生成物は、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるであろう。本発明の指示薬の潜在的な適用数および活性化エネルギーと反応定数との間の合理的に密接な適合の望ましさに関する上記の考察により、異なる反応性または反応性プロフィールを有する指示剤の広範なカタログまたは目録が利用可能になるという利点が示される。
【0068】
必要に応じて、指示剤の変色特性を、利用可能なデータを使用したグラフのプロッティングによってモニタリングすべきホスト生成物の応答特性と比較することができる。例えば、1つまたは複数の特異的温度に曝露した場合にホスト生成物の特定の品質または鮮度パラメーターに関して貯蔵期間またはホスト生成物の品質が経時的に減少することを示す1つまたは複数のグラフをプロットすることができる。使用した品質パラメーターは、特定のホスト生成物に依存するであろう。
【0069】
例えば、有害種(魚類におけるC.botulinumの成長またはリステリア細菌もしくはサルモネラ細菌の成長など)の適切なブロス中でのこれらまたは他の微生物の培養による測定を、魚、肉、卵、または他の食品の品質パラメーターとして使用することができる。細菌作用によるタンパク質崩壊(例えば、アンモニア、トリメチレン、ジメチレン(bimethylene)、および他の生成物を生じる魚類の腐敗)から生成された腐敗生成物の測定により、タンパク質食品の別の品質パラメーターを得ることができる。テクスチャー、色、または香りの喪失は、多数の食品の測定可能な品質パラメーターとして役立ち得る。一例は、焼いた食品の吸湿である。
【0070】
薬物、医薬品、または医薬の有効性の喪失に関連する種々の化学的特性の任意の1つまたは複数を、適切な品質パラメーター(例えば、有効成分の定量的喪失、pHの変化、加水分解生成物(例えば、アトロピン、アセトアミノフェン、またはジアゼパム)の検出、プロスタグランジンの脱水、プロスタグランジンの異性化、アスコルビン酸、モルヒネ、または化学的性質が類似した他の生成物の酸化)が得られるように測定することができる。
【0071】
適切な動物または他の実験的研究によって決定される時間−温度曝露に関連するワクチンの免疫学的力価または他の生物学的に活性な作用因子の他の力価特性の喪失はまた、有用な品質パラメーターとして役立ち得る。
【0072】
ホスト生成物のグラフに基づいて、適切な指示剤を、指示剤の変色についての1つまたは複数の温度関連プロットの参照によって指示剤の利用可能な目録から選択することができる。理想的な指示剤は、ホスト生成物がその満了または鮮度点の喪失に到達する前にグラフ上の任意の所与の点でその警告シグナルを与える。実際に、利用可能な指示剤のパラメーターに応じて、いくつかの妥協が必要であり得る。
【0073】
まとめると、ホスト生成物の品質変化の可能性の追跡を補助するために、使用されるジアセチレン単量体が熱曝露または別の関連する周囲条件に対する応答パラメーターを有することが有用であり得る。この応答パラメーターは、同一の周囲条件に対する意図するホスト生成物の応答パラメーターとほぼ相関する。この目的のために、特定のホスト生成物のモニタリングに適切な単量体をホスト生成物とモニタリング剤とが良好に適合するように選択することができる種々の応答パラメーターを提供する一定の範囲の商業的に有益な(viable)ジアセチレン単量体および単量体組成物を有することが有用である。
【0074】
したがって、本発明は、特定の色彩応答反応性を有する種々のジアセチレン単量体およびジアセチレン単量体組成物(新規の反応性または改変された反応性を有する単量体および単量体組成物が含まれる)を固有に同定することができる。本発明のいくつかの態様は、ジアセチレン単量体の挙動および可能な重合機構の記載に役立つ。これらの記載は、物理的処理における変化によってジアセチレン単量体反応性の操作を容易にすることを意図する。
【0075】
いくつかの態様では、本発明は、指示剤として有用であり、且つ物理的データによって固有に特徴付けられる新規の変色反応性を有する新規のジアセチレン単量体組成物およびジアセチレン単量体混合物を提供する。本発明はまた、物理的データによって固有に特徴付けられるか特徴付けることができる新規の共結晶化ジアセチレン単量体形態を提供する。
【0076】
商業的に許容可能であるために、指示剤が安価、毒性の欠如、終点前および終点後に望ましい色で対照的な色に変化するはっきりした終点を提供する能力、印刷適性、および良好な色素の性質(指示剤が印刷される支持層(例えば、ラベル)の滑らかな連続的被覆が含まれる)などの種々の特性を有することがしばしば望ましい。異なる指示剤特性は、異なる適用のために重要度が高くても低くてもよい。
【0077】
化学反応による指示剤の化学的性質の完全な改変は望ましくないかもしれない。なぜなら、得られた生成物は、その化学的安全性に対する厄介な調査および他の要因(既存の生成物種目への組み込みの容易さなど)の研究なしでは商業的に有用でないかも知れないからである。したがって、好ましい毒性データを有する化合物は、指示剤としての使用に有利であり得る。かかる化合物のいくつかの例を、本明細書中の別の場所に記載する。
【0078】
毒性学に関して、本明細書中に記載の指示薬は一般にヒトまたは他の哺乳動物によって摂取されることを目的としてない一方で、指示薬中の化学物質に対する偶発的または不注意な曝露が生じ得る。例えば、ジアセチレン単量体の指示剤をインク中に組み込み、医薬品のパッケージに適用するラベル上に印刷する場合、消費者は、パッケージの繰り返しの取り扱いの結果として皮膚を介して少量の指示剤が吸収されるかもしれない。あるいは、小児が食品パッケージに適用したラベルをしゃぶるかもしれない。
【0079】
したがって、本発明は、新規または改変された条件に関連する変色反応性を有し、且つ、その化学構造が変化しないジアセチレン単量体組成物を提供する。ジアセチレン単量体組成物は、好ましい多数の生体適合性データが存在することが公知の化合物を有用に含むことができるが、必ずしもそうではない。これらのジアセチレン単量体組成物のいくつかは、ジアセチレン単量体分子の新規の空間的構成を含むと考えられる。かかる新規のジアセチレン単量体組成物のいくつかの例は、組成物を同定するために使用することができる新規の物理的特性を有する。新規の物理的特性を、X線回折データもしくは核磁気共鳴データまたは他の適切な特徴付けデータによって決定することができる。
【0080】
本発明は、本明細書中に記載のように、指示剤としての特定のホスト生成物のモニタリングで用いるジアセチレン単量体組成物を選択するためにジアセチレン単量体組成物を特徴付ける物理的データの使用を含む方法を含む。
【0081】
変色データと回折パターンとの間の関連
ジアセチレン単量体組成物の変色反応性に関連する要因のより深い理解を助けるために、共結晶化組成物の結晶構造を記載またはモデリングすることは有用であり得る。しかし、共結晶化ジアセチレン単量体組成物の結晶構造の特徴付けに適切な結晶は本明細書中に記載されておらず、市販されておらず、且つ調製が困難であると考えられる。
【0082】
その代わりに、本発明は、発見された多数の共結晶化ジアセチレン単量体組成物の粉末X線回折パターンを提供する。これは、指示薬の処方者に有用な情報を提供することができる。一般に、これらのパターンは、CuKαX線照射を使用した場合に2つの目的の領域(約10°までの角度2θの低角領域および約19°〜約25°の角度2θのフィンガープリント領域)を有する。
【0083】
本発明に従って理解することができるように、本明細書中に記載の共結晶化ジアセチレン単量体組成物は、一般に、CuKαX線照射を使用して得た回折パターン(ディフラクトグラム)についての角度2θに関して、約4°〜約5°の最も小さい角度でピークを示し、約9°〜約10°の2番目に小さい角度でも示す。多数の本発明の実施例では、最も小さい角度および2番目に小さい角度のそれぞれでのシングレットピークの存在は、単相結晶生成物に関連するようである。かかる単相結晶の熱誘導性の発色特性は、周囲条件指示薬中での視覚的シグナル発生に有用であり得る。
【0084】
シングレットピークの性質を本明細書中の別の場所にさらに記載し、その記載から、とりわけ、ショルダーまたは新たな第2のピークを示す回折ピークは、通常、シングレットピークと見なさないと理解することができる。最も小さい角度および2番目に小さい角度の一方または両方で明白なショルダー、十分に形成された二次ピーク、またはさらなるダブレットピークを示すいくつかの生成物は、結晶性生成物中で同定可能な異なる変色反応性を有し得る2つの結晶相が得られるようである。かかる生成物は、一貫性が低いかあまり魅力的ではない外観を有し得、指示薬中での使用は商業的にあまり望ましくないかもしれない。いくつかの場合、明色の粒子が散在した暗色粒子の「ごま塩状の」外観が生じ得る。
【0085】
類似の化学組成を有する共結晶化ジアセチレン単量体組成物は、これらの組成物が、例えば、異なる結晶化条件下での異なる溶媒からの結晶化の結果として異なる物理化学的履歴を有する場合、異なる変色反応特性を生じ得る。本発明にしたがって、より高い発色反応性が粉末X線回折パターンのフィンガープリント領域中の3つ以上のピークの特有の高反応性パターンに関連するようである。さらに、このフィンガープリントパターンを使用して、より高い変色反応性を有するか有する可能性がある共結晶化ジアセチレン単量体組成物を同定することができる。
【0086】
低反応性パターンを、いくつかのジアセチレン単量体組成物における低発色反応性に関連するフィンガープリント領域中で同定することもできる。
【0087】
発色研究は、通常、時間がかかり、しばしば高温でさえも非常に多くの時間を必要とし、一般に、実施が厄介であるか退屈である。対照的に、必要な装置が利用可能な場合、限られた範囲の角度2θにわたる粉末X線回折パターンをしばしば迅速に(例えば、約10分間など)生成し、単一高反応性相、単一低反応性相、またはこれらの相の混合物を含むサンプルの定性的特徴付けを迅速に行うことができる。例えば、角度2θの範囲を、最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折間隔を示すのに十分であるように制限することができる。最も小さい角度の反射に適切な1つの範囲は、CuKαX線照射について約4°〜約6°の2θ角である。2番目に小さい角度の回折間隔に適切な範囲は、CuKαX線照射について約9°〜約11°の2θ角である。他の範囲は、当業者に明らかであり、使用することができる。
【0088】
必要に応じて、次いで、より骨の折れる定量的な光学的発色研究を、その変色反応性がその粉末X線回折パターンによって少なくとも定性的に特徴付けられ、且つ所与の適用に潜在的に適切であることが見出された選択した1つまたは複数のサンプルに対して行うことができる。
【0089】
発色試験に付随するさらなる困難は、サンプルを慎重に取り扱う必要があることである。小さな熱誘導性重合でさえも実質的にサンプルが変色し得、試験に悪影響を及ぼす。
【0090】
驚いたことに、いくつかの場合、サンプルの粉末X線回折パターンは小さな重合度に比較的非感受性を示し、いくつかの最初の変色前および変色後に類似のパターンを得ることができる。したがって、サンプルの特徴付けのための粉末X線回折パターンの使用は、サンプルの取り扱いを色彩研究で必要なほど厳密に調節する必要がないというさらなる利点を有する。
【0091】
したがって、サンプルの粉末X線回折データは、指示薬の処方者が特定のホスト生成物のモニタリングに適切な反応性を有する変色共結晶化ジアセチレン単量体組成物を選択する能力を増強する有益なツールとして役立ち得る。
【0092】
本発明はまた、本明細書中に記載の任意の方法によって溶液から候補ジアセチレン単量体組成物を結晶化する工程、本明細書中に記載の任意の方法による候補ジアセチレン単量体組成物の回折パターンの決定によって結晶化した候補ジアセチレン単量体組成物を特徴付ける工程、および回折パターン特徴付けにしたがって調整した結晶化条件下で溶液からさらなる候補ジアセチレン単量体組成物を結晶化してホスト生成物のモニタリングにより適合したジアセチレン単量体組成物を得る工程を含む、ホスト生成物の条件のモニタリングのためのジアセチレン単量体組成物を調製する方法を提供する。
【0093】
ジアセチレン単量体
本発明の実施で有用な自発的重合性ジアセチレン単量体には、以下の第2の式:
【0094】
【化3】
(式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数である)を有するか適合する化合物が含まれる。m2、m3、およびm4は同一の整数であり得、必要に応じて、2つの単量体中でm1とm5とが異なり得る。例えば、1つの単量体中のm1またはm5のうちの1つは、それぞれ、他の単量体中のm1またはm5の他の1つと異なり得る。
【0095】
あるいは、一方の単量体中のm1およびm5の両方は、他方の単量体中のm1およびm5と異なり得る。必要に応じて、m3は2であり得る。あるいはまたはさらに、第1の単量体中のm1およびm5は1であり得、第2の単量体中では2であり得、m2およびm4は共に1であり得る。
【0096】
本発明の実施で有用な重合性ジアセチレン単量体には、第1の式を有するか適合する化合物も含まれる。
【0097】
第1の単量体および第2の単量体の他の有用な広義の定義は、本開示を考慮して当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるであろう。かかるより広義に定義された第1および第2の単量体を、必要に応じて、本発明の実施で使用することができる。
【0098】
本発明の実施で有用であり、且つ好ましい毒性学特性を有し得る1つの重合性ジアセチレン単量体群は、アルキル基が、エチル−、プロピル−、ブチル−、オクチル−、ドデシル−、およびオクチルデシルからなる群から選択され、これらに置換された2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)化合物およびアルキル置換基が直鎖である上記化合物である置換2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)化合物を含む。
【0099】
この群における有用な化合物の具体例には、以下が含まれる:2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)(「KE」としても公知);2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(「KPr」としても公知);および共結晶化アセチレン剤(2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)単量体との2:1共結晶化混合物など)。後者の混合物は、「KX単量体」としても公知であり、KX単量体として本出願で参照することができる。
【0100】
用語「ジアセチレン単量体組成物」は、本明細書中で、明確に異なる化学構造を有する2つ、おそらく2つを超えるジアセチレン単量体を含む組成物を含むために使用する。ジアセチレン単量体組成物の一例は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)との混合物を含む。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の化学構造は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の化学構造と2つのメチレン基(単量体分子の各置換基中に1つ)が異なる。
【0101】
Baughmanらの米国特許出願第12/261,887号(本明細書中で「Baughmanら」)(その開示が本明細書中で参考として援用される)は、本発明の生成物および方法における単量体として有用な一定の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)化合物に関する結晶構造、結晶化方法、特徴付け方法、使用、可能な重合様式、および他の有用な情報を開示している。この開示を考慮すると、Baughmanらに認められる各ジアセチレン単量体に関する一定の洞察、理解、または記述を、必要な変更を加えて、本発明の共結晶化ジアセチレン単量体および関連する方法に適用することができることを当業者は理解するであろう。
【0102】
本明細書中に記載のジアセチレン単量体組成物の共結晶化によって生成された多数の本発明のジアセチレン単量体組成物および結晶相を、X線粉末回折研究または粉末であるか他の物理的形態を有する組成物サンプルを使用した他の波長での電磁放射線を使用した回折研究を使用して特徴付けおよび同定することができる。いくつかの場合、固有の回折パターンまたは反射ピークを有する特有のディフラクトグラムを得ることができる。
【0103】
X線粉末回折パターン
本明細書中での「X線粉末回折パターン」という言及は、CuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折パターンをいうと理解すべきである。使用した照射は、任意の適切な波長(例えば、1.54056Å)を有し得る。別の波長を示さない限り、本明細書中でこの波長が使用されると理解すべきである。しかし、本開示を考慮して、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるように、任意の適切な照射源および波長を使用して、本発明の目的に有用なスペクトルを得ることができる。また、他の照射または波長を使用する場合、収集されたスペクトルの外観がいくつかの点で本明細書中に示すものと異なり得ると理解されるであろう。
【0104】
さらに、粉末の使用が特徴付けられた回折パターンを得るために好都合であり得る一方で、類似または等価な回折パターンの特徴付けを単一の結晶(利用可能な場合)または一定の程度で双方向に配位する一連の結晶に対して行うこともできると理解されるであろう。これらの回折パターンの外観は、ランダムに配向した粉末を使用した場合に得られる回折パターンと異なり得る。しかし、とりわけ、通常は類似の有用な情報を得ることができる。
【0105】
本発明の固体単量体組成物は、回折間隔によって決定された収集角でX線粉末回折ピークを示すことができ、示された回折ピークはパターン特性を提供する種々の強度(例えば、回折間隔の減少につれて強度が減少する一連の回折ピーク)を有し得る。
【0106】
得ることができるX線粉末回折パターンの記載において、用語「シングレットピーク」は、本明細書中で、ピークが固有のカスプを含み、ピークのいずれの側面上にも十分に定義されたショルダーは存在しないというX線回折パターン中のピーク外観を含むために使用する。例示的なシングレットピークに関するさらなる記載を、本明細書中の他の場所に示す。
【0107】
本明細書中に記載しているように、固体単量体組成物は、CuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折パターンを示すことができる。このパターンは、特有のピークパターン(例えば、約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間の3つの反射ピーク)を含むフィンガープリント領域を有する。
【0108】
3つの反射ピークは、約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク(long spacing peak)、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク(intermediate spacing peak)、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピーク(short spacing peak)を含むことができる。例えば、3つの反射ピークは、それぞれおよそ4.04Å、3.89Å、および3.66Åのd間隔で存在することができ、波長が約1.54ÅのX線を使用して特徴付けることができる。
【0109】
フィンガープリント領域では、X線粉末回折パターンは、長間隔ピークと中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れ得る。独立して、またはさらに、このパターンは、中間隔ピークと短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れ得る。
【0110】
さらに、またはあるいは、3つの反射ピークは約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり得、独立してまたはさらに、フィンガープリント領域中のこれらの反射の中間隔ピークの強度は、長間隔ピークまたは短間隔ピークのいずれかより高い強度であり得る。
【0111】
また、X線粉末回折パターンは、最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み得る。最長および2番目に長い間隔ピークは、シングレットピークであり得、且つそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔または他の適切なd間隔であり得る。
【0112】
あるいはまたはさらに、回折パターンは、約4.40Åのd間隔と約3.95Åのd間隔との間のフィンガープリント領域中に2つの反射ピークを有し得る。2つの反射ピークは、約4.43Å〜約4.37Åの範囲のd間隔での長間隔ピークおよび約3.99Å〜約3.92Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み得る。2つの反射ピークは、約4.43Å〜約3.92Åの回折間隔範囲中に最高の強度ピークであり得る。また、2つのピークの強度は類似し得る。
【0113】
別の態様では、本発明は、熱重合性を示し、且つ第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各単量体が第1の式も有し、式中、第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、固体単量体組成物を提供する。この組成物では、最長および2番目に長いX線粉末回折ピークは本質的にシングレットである。2番目に長い間隔ピークは、最長の間隔ピークのd間隔の約半分のd間隔であり得る。
【0114】
本明細書中に記載するように、本発明は、アセチレン組成物の結晶の構造周期性および構造周期性に関連する回折間隔の調整によって所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を作製する方法を含む。
【0115】
本方法はまた、混合した第1および第2の単量体を溶液から共結晶化して固体結晶性アセチレン組成物を得る工程を含むことができる。混合によってCuKα1放射線を使用して収集した固体結晶性アセチレン組成物のX線粉末回折スペクトル中に最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークを得ることができる。各回折ピークは、本質的に、第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化すると、ほぼ線形に回折間隔がシフトするシングレットピークであり得る。
【0116】
本明細書中に記載するように、本発明はまた、高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルを参照することによって固体組成物中に得ることができる高反応性相を同定する工程を含む、所望の変色反応性を有する固体アセチレン結晶組成物の作製方法を提供する。
【0117】
必要に応じて、本方法はまた、固体組成物が本質的にシングレットの最も小さい角度の回折ピークおよび本質的にシングレットの2番目に小さい角度の回折ピークを有するCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折パターンを示すことができるように混合する工程を含むことができる。最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークに関連するそれぞれの回折間隔は、第1の単量体の全単量体組成物に対する重量比の変化を伴ってほぼ線形にシフトし得る。したがって、本方法はまた、最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークについての所望の熱反応性に関連する回折間隔を得るのに有効な第1の単量体の重量比を選択する工程を含むことができる。
【0118】
なおさらなる態様では、本発明は、変色性共結晶化単量体組成物の反応性を調節する工程を含む方法を提供する。単量体組成物は、第1の式または第2の式を有する第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を含むことができる。本方法はまた、第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を溶媒系中にて少なくとも約60℃の高温で溶解する工程および少なくとも約1時間を必要とする冷却速度で約60℃から約30℃に溶液を冷却する工程を含むことができる。本方法はまた、冷却溶液からジアセチレン単量体組成物の結晶を回収する工程および変色特性によって測定した回収結晶の反応性を決定する工程を含むことができる。
【0119】
必要に応じて、本方法は、所望の変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物の結晶を得るために溶媒系を選択する工程を含むことができる。高温は少なくとも70℃であり得、溶媒の約60℃から約30℃への冷却には少なくとも90分間必要であり得る。
【0120】
重合
重合を誘導する条件下で、多数のジアセチレン単量体分子が相互につながってポリジアセチレンを形成するようになる。反応は固体で起こり、不可逆性である。いくつかの場合、無色またはほぼ無色のジアセチレン単量体の結晶は、十分な累積熱曝露または別の環境条件に応答して、強い色調のポリマー結晶に変換される。重合反応を、周囲条件および単量体材料の特性によってほとんどが決定される速度で自発的に進行させることができる。
【0121】
重合反応は不可逆性であるので、重合に起因する変色も通常の条件下で不可逆性である。この性質は、腐敗性生成物(過剰な累積熱曝露後に品質を喪失し得るワクチン、食品、または薬剤など)のモニタリングのための指示薬において有用である。ジアセチレン単量体を、必要に応じて、熟成生成物(例えば、ワインまたはチーズ)の成熟度のモニタリングのために使用される指示薬中の活性薬剤として使用することもできる。これらおよび他の目的のために、ジアセチレン単量体を、モニタリングすべきホスト生成物と組み合わせるべき指示薬のラベルもしくはカードまたは他の指示薬デバイス中の活性薬剤として組み込むことができる。指示薬デバイスは、都合のよい観察距離でのヒト観察者(例えば、ワクチンまたは医薬を投与する医療専門家またはスーパーマーケットにおいて冷蔵されたディスプレイから食品を選択する買い物客)によって把握することができるジアセチレン単量体の重合由来の変色シグナルを提供する。可逆的指示薬は、かかる目的には有用ではないかもしれない。
【0122】
結晶構造は、隣接する単量体分子が適切に並置されていない場合、重合は困難であるか不可能であり得るという点でのアセチレン単量体の固体重合性の決定に重要である。結晶中の固溶体中の第2のジアセチレン単量体の存在によって改変された結晶構造が得られるので、本発明は、固体の熱誘導性重合反応の速度の調整を補助するためにこの現象を使用することができる。かかる調整により、異なる時間および温度依存性の変色パターンを得ることができる。このパターンを通常は時間−温度指示薬で使用して新規のホスト生成物のモニタリングのための新規の指示薬を得ることができる。
【0123】
例えば、特に短い貯蔵期間(例えば、冷蔵条件下での約1日間、2日間、または3日間までまたは室温での約3時間、6時間、または12時間までの短期間)を有する生成物のモニタリングに有用であり得る比較的高い変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物を有することが有用であろう。本発明の実施で使用することができる冷蔵または室温条件下で短い貯蔵期間を有する可能なホスト生成物のいくつかの例には、急速に変質し得る作りたてのサンドイッチおよび他の既製の食事または軽食(寿司または甲殻類(そのいずれかは生または調理した魚またはその両方を含むことができる)など)が含まれる。
【0124】
別の有用な適用では、高反応性ジアセチレン単量体組成物を、ホスト生成物の貯蔵期間の一部(例えば、貯蔵期間のある段階(例えば、冷蔵条件下で1日間または2日間またはそれ未満であり得るか、別の適切な期間を有し得る輸送または一時的な保存段階など))の測定のための指示薬中の活性指示剤として使用することができる。
【0125】
固溶体形成の結果としての反応速度の変化は、混合される特定のジアセチレン単量体、その相対的比率、各ジアセチレン単量体の反応性、結晶化条件(使用溶媒、相核形成、および成長条件など)、および他の要因に応じて増加または減少し得る。
【0126】
固溶体形成はまた、熱重合の活性化エネルギーを変化させる有利な効果を有し得る。これにより、ジアセチレンの熱重合エネルギーを腐敗性生成物の熱重合エネルギーとより正確に適合させることができる
ジアセチレン結晶中の非アセチレン分子(例えば、溶媒)の存在を使用して結晶反応性を変化させることもできるので、かかる非アセチレン分子の存在を、アセチレン分子の混合物を活性指示剤として使用するいくつかの指示薬デバイス型で使用することもできる。そうはいっても、文脈上別なふうに示唆されない限り、用語「固溶体」を、本明細書中で、同一結晶中の2つ以上のジアセチレン単量体の存在を示すために使用する。
【0127】
2つ以上のジアセチレン単量体によって形成された固溶体の結晶構造に応じて、自発的1,4−付加反応で形成されたポリマーは、理論的に、少なくとも2つの異なる単量体単位を含む1つまたは複数のコポリマーもしくはポリマー鎖、単一の単量体単位を含む1つまたは複数のホモポリマーもしくはポリマー鎖、またはその組み合わせであり得る。
【0128】
例えば、2つの化学的に異なるジアセチレン単量体が固溶体中に存在し、且つ各単量体がその反応方向で個別のスタックを形成する場合、完全に混合された2つの異なるホモポリマーが重合によって形成されるであろう。他方では、2つの異なる単量体単位が単量体スタックの反応方向で周期的またはランダムに混合する場合、得られたコポリマーはそれぞれ周期的またはランダムであろう。
【0129】
かかるジアセチレンコポリマーおよび完全に混合したホモポリマーを、恐らく固溶体の固相重合以外の方法によって同一状態で形成することができず、潜在的に、単量体結晶中の単量体分子の相対濃度およびこれらの結晶を成長させるために使用した共結晶化条件の変化によって調整可能な性質を有する。これらの調整可能な性質には、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるように、種々の有用な性質(例えば、周囲条件での変色反応性、半導体性、光伝導性、および光周波数の増加のための非線形光感受性)および他のかかる性質が含まれ得る。
【0130】
結晶化方法。冷却による酢酸などの溶媒中での溶媒からの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物および他の不均一なジアセチレン単量体組成物の種々の生成方法が公知である。本発明の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物および他の不均一なジアセチレン単量体の調製方法は、当該分野で公知の比較的高速の冷却手順よりもゆっくり作用する冷却手順を使用することができる。驚いたことに、これらの新規の方法により、新規の反応性を有する新規のジアセチレン単量体組成物を得ることができる。
【0131】
本明細書中に記載するように、新規のジアセチレン単量体組成物を、一般に、粉末X線結晶学によって特徴付け、公知の生成物と区別することができる。多くの場合、粉末X線回折分析は所与の生成物を区別するのに十分であり得、装置を利用可能な場合、しばしば比較的迅速且つ容易に行うことができる。単一結晶のX線回折によるより完全な結晶構造の決定はより骨が折れ得る。また、単一結晶のX線回折は、通常、比較的巨大な結晶が必要であり、この結晶は容易に得ることができないかもしれない。
【0132】
Prusikらの171号の比較実施例4に記載の方法では、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物を含む酢酸溶液を、予めプログラミングされた冷却装置を使用して、1時間にわたって制御された速度で約70℃から24℃に冷却する。Prusikらの171号に記載のように、この間に、混合物は、急速冷却を使用するPrusikらの171号中の他の例と比較して比較的低速で結晶化する。それにもかかわらず、Prusikらの171号の実施例4中に記載の平均冷却速度は、約0.8℃/分で実質的に0.5℃/分を超えるようである。Prusikらの171号にしたがって、収束ビーム反射法(「FBRM」)によって決定された平均弦長28.1μmの結晶を得ることができる。
【0133】
したがって、0.5℃/分以下の冷却速度を使用する本明細書中の実施例1に記載の中間速度冷却手順および低速冷却手順は、不均一なジアセチレン単量体の共結晶化のための公知の冷却過程より実質的にゆっくりであると考えられる。共結晶化を誘導するためのジアセチレン単量体溶液の高速冷却についてのいくつかの当該分野で示唆される理由には、以下が含まれる:各化合物が晶出する前に共結晶を形成すること、印刷用インク中に処方に適切な小結晶が得られること、および不活性な共結晶化混合物が得られること。
【0134】
例えば、Preziosiらの151号の実施例Sは、種々の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)(Preziosiらの151号中の「1KE」)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(Preziosiらの151号中の「1KPR」)の酢酸溶液を撹拌しながら冷水浴中で媒質の沸点(110°〜115℃)から20℃へ冷却することを記載している。これは、本発明の低速および中間速度の冷却過程と比較して比較的高速の冷却過程のようである。本発明の比較的受動的な中間速度および低速の冷却過程はまた、コストに関して有利であり得る。
【0135】
対照的に、本発明のいくつかの方法は、Prusikらの171号に記載の条件と異なる冷却条件(例えば、不均一なジアセチレン単量体組成物の共結晶化についてPrusikらの171号に開示の速度より遅い冷却速度)を使用する。例えば、本発明の溶液からの不均一なジアセチレン単量体組成物の共結晶化方法は、約60℃から約30℃への溶液の冷却に少なくとも1時間を必要とする冷却手順(「中等」冷却速度と記載することができる)を含む。この冷却手順により、せいぜい約0.5℃/分の平均冷却速度にし、最大冷却速度を必要に応じてより低い温度(例えば、約30℃または24℃)に維持することができる。
【0136】
約30℃から24℃へのジアセチレン単量体組成物の冷却にさらなる時間が必要であるので、この冷却手順は、Prusikらの171号の実施例4に記載の手順より有意に遅い。結晶化溶液または液体が最初に60℃を超える場合、60℃への溶液の冷却にさらなる時間が必要であろう。これは、本発明の冷却方法をPrusikらの171号の実施例4に記載の方法とさらに区別する。
【0137】
Preziosiらの151号の実施例Sに冷却速度の数字は示されておらず、Preziosiらの151号を使用して冷却速度に関する直接比較を行うことができない。しかし、Preziosiらの151号は、冷水浴および撹拌を使用した能動的冷却を使用しているようである。
【0138】
Preziosiの151号と異なり、本発明の方法で使用した冷却手順は、より低速の冷却速度を意味する受動的冷却方法を使用する。例えば、本発明の実施で使用可能な中間速度冷却手順では、ジアセチレン単量体サンプルおよび溶媒系を1つまたは複数の容器(例えば、バイアル)に導入し、熱水浴を使用して、溶媒系にジアセチレン単量体を溶解するための熱を得る。次いで、サンプルを含むバイアルを有する熱水浴を、室温環境で受動的に冷却する。必要に応じて、熱水浴を、冷却しながら合理的に無通気の環境で保持することができ、任意選択的に、気化冷却を防止するために水浴表面を覆うことができ、放射熱損失を軽減するために水浴をアルミ箔で覆うか包むこともできる。
【0139】
本発明の実施で使用可能な低速冷却手順では、容器および容器に含まれるサンプルを、水浴由来の熱水と共に断熱環境(例えば、真空フラスコ)に移し、ここで、容器および熱水を室温環境で受動的に冷却させる。冷却は、本明細書中に記載の中間速度手順よりも遅い速度で進行する。
【0140】
通常、冷却を、約40℃未満(例えば、約30℃未満または約25℃未満)の温度に維持することができる。所望の温度に到達した直後に、結晶化混合物を濾過し、回収した結晶を必要に応じて洗浄し、さらに処理するか、低温貯蔵のために冷凍室に移すことができる。その温度モニタリングまたは他の性質に悪影響を及ぼし得るジアセチレン単量体の室温重合を回避するか軽減するために、かかる操作を迅速に行うことが望ましい。
【0141】
単量体結晶が形成されるにつれて重合し始め、発色し得る。適量の発色は、時折、必要に応じて調整した時間−温度指示薬のデザインで許容され得る。
【0142】
通常、本発明の結晶化方法では、ジアセチレン単量体組成物を、高温で溶媒系に溶解することができる。任意の適切な溶媒または溶媒系および使用した溶媒または溶媒系の沸点に適合する任意の適切な高温を使用することができる。
【0143】
本発明の実施で用いるジアセチレン単量体組成物の溶解に有用な溶媒系のいくつかの例には、氷酢酸および他の従来のジアセチレン単量体溶媒(例えば、氷酢酸、プロピオン酸、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、およびジメチルスルホキシドなど)が含まれる。
【0144】
本発明の実施で有用な溶媒系のいくつかのさらなる例には、メタノール、ギ酸、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、アリルアルコール、2−アミノエタノール、1,1,3,3−テトラメチル尿素、ジクロロ酢酸、およびトリフルオロ酢酸などの各溶媒が含まれる。
【0145】
本発明の実施で有用な溶媒系には、混和性溶媒混合物(例えば、水と適切に補足的な溶解性パラメーターを有する別の溶媒との混合物)も含まれ得る。水を有する混合物は、溶媒系の重量に基づいて約1〜約40重量%の水、約4〜約25重量%の水、または別の適切な比率の水を含むことができる。必要に応じて、他の溶媒は、せいぜい約15MPa1/2の水素結合パラメーターを有することができ、せいぜい約18MPa1/2の極性結合パラメーターを有することができる。いくつかの他の有用な溶媒系は、溶媒の非水性混合物(上記の各溶媒の非アルコール溶媒と適切なアルコール溶媒との混合物が含まれる)を含む。
【0146】
以下は本発明の実施で有用な溶媒系のいくつかの例であり、いずれの場合にも、水の比率は溶媒系の重量に基づく:
水の比率が約5%〜約25%の酢酸と水との混合物(酢酸でバランスをとる);
水の比率が約5%〜約25%のアセトンと水との混合物(アセトンでバランスをとる);
水の比率が約5%〜約25%のジメチルホルムアミド(本明細書中で「DMF」)と水との混合物(ジメチルホルムアミドでバランスをとる);
水の比率が約0%〜約25%、任意選択的に少なくとも約5%のジメチルスルホキシドと水との混合物(ジメチルスルホキシドでバランスをとる);
水の比率が約0%〜約25%、任意選択的に少なくとも約4%のエタノールと水との混合物(エタノールでバランスをとる);
水の比率が約1%〜約25%、任意選択的に少なくとも約5%のピリジンと水との混合物(ピリジンでバランスをとる);
水の比率が約1%〜約25%、任意選択的に少なくとも約5%の1,1,3,3−テトラメチル尿素と水との混合物(1,1,3,3−テトラメチル尿素でバランスをとる);および
水の比率が約10%〜約90%、任意選択的に少なくとも約30%のジメチルスルホキシドとエタノールとの混合物(ジメチルスルホキシドでバランスをとる)(例えば、およそ50:50混合物)。
【0147】
使用することができる他の溶媒および溶媒系は、Baughmanらから明らかであろう。使用することができるなおさらなる溶媒および溶媒系は、当業者に明らかであるか、技術の進歩と共にその後に明らかとなるであろう。
【0148】
高温は、使用した溶媒系の沸点および加熱方法に応じて約60℃超(例えば、約70℃または80℃〜約100℃の範囲またはこれらを超える)であり得る。通常、加熱マントル(例えば、水浴)または溶液に対する温度制御された適度な加熱に適切な他の装置によって加熱することができ、加熱マントルは、溶液を含む1つまたは複数の容器の周囲に広げることができる。高温を加熱マントルで決定することができるが、実際の溶液温度は少し低いかもしれないことに留意すべきである。
【0149】
かかる場合、中間速度冷却手順では、熱溶液は、最初の80℃以上の高温から約70℃まで冷却するのに約5分間〜約20分間以上かかり得、最初の温度から約60℃までの冷却に約10分間〜約50分間以上かかり得る。本発明に従って中間速度冷却手順を使用した場合、約70℃から約60℃への冷却に、約5分間〜約40分間以上(例えば、約10分間〜約20分間以上)かかり得る。
【0150】
溶液からの不均一なジアセチレン単量体組成物の共結晶化のための本発明の実施で使用可能な冷却手順のいくつかの例には、約60℃から約30℃に溶液を冷却するために1時間超を必要とする冷却手順(この温度範囲での平均冷却速度はせいぜい約0.43℃/分である)が含まれる。例えば、冷却速度は、約60℃から約30℃に溶液を冷却するのに約75〜150分間以上などの時間が必要であり得る(この温度範囲での平均冷却速度は約0.4℃/分〜約0.2℃/分である)。約60℃から約30℃に溶液を冷却するのに有用な冷却期間のいくつかの例は、少なくとも約70分間および少なくとも約90分間である。
【0151】
さらに、冷却手順は、約30℃から約24℃に溶液を冷却するのに約10分間〜約75分間以上必要であり得る(この温度範囲での平均冷却速度は約0.6℃/分〜約0.08℃/分である)。
【0152】
しかし、冷却手順は、約30℃から約24℃に溶液を冷却するのにさらにより多くの時間(例えば、約75〜150分間以上)を使用し得る(この温度範囲での平均冷却速度は約0.08℃/分〜約0.04℃/分である)。冷却工程を使用する本発明の方法はまた、約30℃から約24℃への小さな温度範囲を通じて冷却するために使用される時間によってPrusikらの171号と区別される。
【0153】
約60℃から約30℃へのジアセチレン単量体の不均一な熱溶液を冷却するために1時間超(例えば、少なくとも70分間)を必要とする上記冷却方法を、「中等」または「中間」速度冷却と記載することができるか、「中等」または「中間」冷却速度を使用すると記載することができる。より迅速な冷却速度を、「高速」冷却と記載することができる。
【0154】
本発明の共結晶化過程が本発明の実施で使用した中間速度冷却手順で有意に60℃を超える温度(例えば、75℃以上)でジアセチレン単量体溶液を使用する場合、約60℃に低下させるのに任意の適切な冷却速度を使用することができる。例えば、60℃への冷却には1時間未満を必要とし得るか、より迅速であり、10分以下であり得る。
【0155】
本発明の実施では、中間速度冷却を、熱ジアセチレン単量体溶液を含む適切な容器を水浴に入れ、熱ジアセチレン溶液の温度から、室温、低通気、または無通気の環境で受動的に冷却させることによって行うことができる。任意選択的に、水浴の上面を覆って放射熱および蒸発熱による放熱を阻止することができる。
【0156】
必要に応じて、冷却前に、水浴を加熱し、これを使用して高温の適切な溶媒または溶媒系に不均一なジアセチレン単量体生成物を溶解することができる。
【0157】
所望の冷却条件を得るための他の適切な装置または手順は、当業者に明らかであるか、明らかとなるであろう。例えば、予めプログラミングした冷却装置を使用することができ、所望の最終温度および冷却持続時間または他の適切なパラメーターを使用してプログラミングすることができる。
【0158】
使用することができる適切な冷却装置の一例は、種々のサイズが利用可能なCole−Parmer Polystat(登録商標)プログラマブルコントローラーバスモデルR12122である。あるいは、Thermo Scientific NESLAB RPCコントローラーモデルR−13550を使用して、NESLAB Digital One Plus浴を使用して既定の温度プロフィールを運転することができる。
【0159】
ジアセチレン溶液からの一定のジアセチレン単量体混合物の共結晶化を行うためのいくつかの高速冷却方法は公知であり、これらの公知の方法は、一般に、高温から室温またはほぼ室温への冷却を1時間未満(例えば、30分以下)で行う。いくつかの方法は、より急速で、結晶化生成物を数分間で室温またはほぼ室温に冷却することができる。例えば、容器を使用するか使用しないでジアセチレン単量体溶液を低温に維持した冷浴に注ぐか一度に注ぐ急冷を行うことができる。低温はおよそ凍結温度(約0℃)または実質的により低い温度(例えば、約−35℃〜−40℃)であり得る。かかる急冷により、熱ジアセチレン単量体溶液の温度を2分以内に室温、凍結温度、またはより低い温度に低下させることができる。
【0160】
必要に応じて、比較的遅い冷却速度を、本発明の実施で使用することもできる。例えば、冷却手順は、ジアセチレン単量体溶液を約60℃から約30℃に冷却するために2時間超を必要とする低速冷却を含むことができる。当業者に明らかであるか、明らかとなるように、かかる低速冷却を、真空フラスコを使用するか別の適切な様式で行うことができる。
【0161】
共結晶化ジアセチレン単量体組成物の調製および特徴付けならびに方法のいくつかの例をここに記載し、これは、本発明の実施の例示を目的とし、本発明の範囲を制限しないであろう。
【実施例】
【0162】
実施例1:異なる冷却速度での2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の2:1混合物の共結晶化
0.133gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および0.067gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(重量比2:1)を共に各20mlシンチレーションバイアルに秤量した。以下のように2〜8グラムの溶液を得るのに十分な溶媒を各バイアルに添加して、表示の組み合わせた重量濃度の2つの単量体を得る。
1.8グラムの溶媒 10%
4.8グラムの溶媒 4%
7.8グラムの溶媒 2.5% 。
【0163】
個別のバイアルを、重量比約80:20のエタノール:水を有する氷酢酸(本明細書中で「酢酸」)およびエタノール水溶液を使用して調製する。文脈中に示さない限り、「エタノール水溶液」を、本明細書中で、80重量部のエタノールと20重量部の水との混合生成物を示すために使用する。本明細書中で使用する場合、「エタノール」は、通常の保存条件下で約4重量%までの水を含むことができる純粋なエタノールをいい、その結果、アルコール水溶液の混合物の水分含量は20重量部よりもいくらか多くてよい。
【0164】
電磁式撹拌機を挿入し、各バイアルを密封する。バイアルを、ホットプレート上で酢酸については約90℃またはエタノール水溶液については約80℃に維持した水浴に、バイアル中の溶液のレベルを超える水位で浸漬する。水浴は、耐熱ガラスで形成されており、高さ約50mm×直径約100mmの容積を有する。
【0165】
混合物を撹拌し、固体を手作業での震盪によって迅速に溶解して、バイアルの壁に残存する固体を確実に溶解する。それぞれ約90℃または80℃で10分後、ホットプレートおよび撹拌機のスイッチを切る。次いで、下記のように、溶液をバッチ中で異なる冷却速度(低速、中間速度、および高速)で撹拌することなく冷却し、溶解した材料を沈殿させる。
【0166】
高速冷却。バイアルの第1のバッチを、使用溶媒にしたがって各温度(酢酸についての約90℃またはエタノール水溶液についての約80℃)で保持した水浴から取り出すことによって最初に冷却し、約0℃の氷水中での急冷によって急速に冷却する。高速冷却を使用して、バイアル中の溶液は、通常、1分以内に約24℃の室温に冷却することができる。
【0167】
中間速度冷却。バイアルの第2のバッチを、溶液の加熱のために使用した水浴を室温(25℃)の低通気環境で撹拌することなく受動的に冷却させることによって中等(すなわち、中間)の冷却速度で冷却する。水浴表面を水の蒸発を防止するために断熱性の中空プラスチック球で覆い、水浴を熱喪失の軽減を補助するためのアルミ箔で覆う。中間速度冷却を使用して、バイアル中の溶液を、通常、約4〜5時間以上で約24℃の室温に冷却することができる。
【0168】
低速冷却。バイアルの第3のバッチを、依然として約90℃または80℃のバイアルおよび水浴由来の加熱水を高さ約120mm×直径50mmの寸法の真空フラスコに移すことによってゆっくり冷却する。いくつかのプラスチック球も真空フラスコに移し、系全体をアルミ箔で覆い、無通気の室温環境で維持する。系の温度を、水に挿入して真空フラスコに接触させたままの温度計によってモニタリングする。温度が約30℃に到達した時、サンプルを真空フラスコから取り出し、室温に冷却することができる。低速冷却を使用して、バイアル中の溶液を、通常、約6時間またはおそらくそれを超える時間で約24℃の室温に冷却することができる。望ましくは、温度が室温より少し高い場合でさえ、わずか約7時間後に、以下の実施例2に記載のようにサンプルを濾過し、さらに処理する。
【0169】
延長冷却。バイアルの第4のバッチを、使用した真空フラスコが高さ約50mm×直径約100mmの寸法の短い容器であることを除いて低速冷却手順に従うことによって期間を延長して冷却する。延長冷却は、低速冷却より長い時間がかかる。例えば、延長冷却の測定時間は低速冷却の測定時間付近であり得るが、最初の2〜3時間の冷却における1℃低下させる最初の冷却速度がわずかにより遅い。
【0170】
当業者に理解されるように、室温への冷却時間は、種々の要因(使用した冷却容器、冷却材(存在する場合)、サンプルサイズ、および容器のサイズが含まれる)に依存する。これらのパラメーターを、本明細書中に記載の条件に類似の冷却条件を得るために変化させることができる。
【0171】
各冷却系の経時的な温度低下の例を示すグラフを図8に示す。図8に示すように、高速冷却下で、サンプルは、測定した温度から示唆されるよりわずかにゆっくり冷却することが予想される。それにもかかわらず、高速冷却下で、サンプルは、30分未満で30℃に到達する可能性が高い。図8からわかるように、中等(中間)速度冷却および低速冷却下で種々の温度に到達するためにかかる時間を、表1に示す。
【0172】
【表1】
実施例2:濾過および乾燥
実施例1で生成された沈殿した共結晶化混合物がそれぞれ室温に到達した時、各バイアルを開け、残った溶液を、細孔径2μmのフィルタープレート(例えば、Genesys(Korea)のポリカーボネート製のトラックエッチングフィルターであるTTTPイソポアフィルター)で濾取する。
【0173】
回収した結晶をアセトンで洗浄し、アルミニウムボートに入れ、結晶を暗闇で維持するために有孔アルミ箔で覆い、室温の真空下で1〜2時間乾燥させる。直ちに使用しない場合、次いで、共結晶化単量体結晶を、貯蔵用の冷凍室に迅速に移す。実施例1および2の手順にしたがった場合、重合はほとんど起らないと考えられる。反応性がより高い単量体の場合、新たな重合を軽減するために、必要に応じて、乾燥を省略するか、より低い温度で行うことができる。
【0174】
得ることができる結晶の平均粒径は冷却条件に依存する。低速冷却および延長冷却により、数百ミクロンの範囲の平均粒径を得ることができる。中間速度冷却および高速冷却により、平均粒径が約20ミクロンオーダーのより小さな結晶を得ることができる。
【0175】
実施例3:重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物の共結晶化
実施例1に記載の単量体の重量の代わりに0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を使用して、実施例1を繰り返す。
【0176】
実施例4:種々の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物の酢酸からの共結晶化
0.2gの単量体の総重量に対して以下の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を使用して実施例1を繰り返す:1:0、9:1、3:1、2:1、1:1、1:3、1:9、0:1。これらの混合物を、実施例1に記載の単量体の重量の代わりに使用する。1.8gの酢酸を溶媒として使用し、約90℃の水浴を使用する。各サンプルの冷却は、実施例1に記載のように中等冷却速度である。
【0177】
実施例5:種々の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物のエタノールからの共結晶化
0.2gの単量体の総重量に対して以下の重量比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を使用して実施例1を繰り返す:1:0、2:1、1:1、1:2、0:1。これらの混合物を、実施例1に記載の単量体の重量の代わりに使用する。4.8gのエタノール水溶液を溶媒として使用し、約80℃の水浴を使用する。各サンプルの冷却は、実施例1に記載のように中等冷却速度である。
【0178】
実施例6:種々の溶媒比を使用した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の1:1混合物の共結晶化
一方のバイアル中の0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)、0.1gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)、および1.8gの氷酢酸、他方のバイアル中の0.2gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)、0.2gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)、および1.6gの氷酢酸、および第3のバイアル中の0.05gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)、0.05gの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)、および1.9gのエタノール水溶液を実施例1に記載の単量体および溶媒の重量の代わりに使用して実施例1を繰り返す。各サンプルの冷却は、実施例1に記載のように水浴を使用した中等冷却速度である。
【0179】
比較実施例A:2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の2:1混合物の混合
比較のために、重量比2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)結晶を物理的に混合する(すなわち、各結晶の形態を保存する様式で共に撹拌または混合する)。
【0180】
実施例7:重合
300mgの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)を、100℃で2週間ゆっくり重合させる。300mgの2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)および重量比2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物を160℃で23時間加熱する。重合過程の完了を、本明細書中の実施例9に従ったX線粉末回折によって確認することができる。本実施例での使用に適切なエチル尿素およびプロピル尿素ジアセチレン単量体は、例えば、Preziosiに付与された米国特許第4,788,151号に記載の氷酢酸からの急冷結晶化によって得ることができる。
【0181】
温度がジアセチレン単量体の分解温度を超えないことを条件として、他の適切な時間−温度条件を使用して単量体を重合することができ、予想通り、より高い温度でより速く重合される。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)との2:1共結晶化混合物が約200℃超で分解し始め得る一方で、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)のみでは約220℃超で分解し始め得る。13C NMR研究または他の目的のためのポリマーへの総変換を、粉末X線回折によるか(すなわち、本発明によって得られた情報を使用する)、13C NMR研究自体によって確認することができる。
【0182】
実施例8:粉末サンプルの調製
さらなる特徴付けに適切な粉末サンプルを調製するために、実施例1〜5由来の共結晶化の生成物および比較実施例6の混合物の一部を、乳棒を使用して瑪瑙乳鉢中で数秒間軽く粉砕する。必要に応じて(例えば、結晶が巨大且つ滑りやすい場合)、液体窒素を使用して結晶を冷却して粉砕を容易にすることができる。この方法での液体窒素の使用は、必要に応じて、優先的配向の影響の軽減および粉砕中の無作為な結晶劈開の促進に役立ち得る。
【0183】
得られた粉末を、変色決定のためのサンプルを得るためにプラスチック皿に注ぐか、X線粉末回折による特徴付けのためのサンプルを得るためにスライドガラス上に注ぐことができる。
【0184】
実施例9:発色の決定
以下の手順を使用して、実施例8のサンプルのうちの種々のサンプルおよびコントロールとしての2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の比較サンプルの60℃での相対的発色反応性を決定する。サンプルを、蛍光ランプを備えた60℃のオーブン中の白色バックグラウンド上に置く。デジタルカメラの対物レンズを、オーブン上部の開口部に挿入し、1分毎に写真を撮影する。各サンプルの反応性も、既定期間後の各サンプルの色彩の視覚的試験によって定性的に評価する。経時的に生じる変色を、グラフィックコンピュータプログラムPixelGrabber(Java(商標)2プラットフォーム)を使用して各サンプル上の特定のピクセルでのRGBスケール上の赤色値を測定することによって測定する。
【0185】
光学密度を、周辺光の変動を相殺するためのサンプルに対する白色バックグラウンドの赤色値で割った赤色測定値の対数として得る。得られた色彩反応性パラメーターは、決定した光学密度の経時的変化に比例することを説明している。例えば、反応パラメーターを、各検量線の交差点での−log(Rサンプル/R白色)対時間(分)の曲線の勾配と定義することができる。色の標準は、適切な温度非依存性光学密度(「OD」)値を有する材料である(例えば、OD値0.3を有する白色支持層上のミディアムブルーの不透明なインクのドローダウン)。
【0186】
実施例10:X線粉末回折によるサンプルの特徴付け
X線回折データを、1.54056Åの波長でCuKα1を放射するRigaku ULTIMA III(商標)回折計を使用した各サンプルの特徴付けのために収集した。
【0187】
刻み幅0.02°で走査速度0.04°/分にて3°〜40°の2θ値についてのデータを収集する。反射についてのd間隔を、内部較正のために標準アルミナと混合した各サンプル粉末のパターンの収集後にブラッグの法則を使用して計算する。得ることができるいくつかの結果を、添付の図面に示し、且つ本明細書中の他の場所に記載している。
【0188】
表2は、実施例1および8の方法によって調製した粉末化結晶相サンプルを使用した実施例9などに記載の発色実験から得ることができる定量的結果のいくつかの例を示す。各サンプル中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量比は2:1である。実施例10などに記載の実験から得たX線粉末回折スペクトル分析から得ることができるサンプルの色彩反応性に関するいくつかの定性的結論も表2に示す。
【0189】
【表2】
表2に関して、試験したサンプルを、英数字の識別名(カラム1中の「KX01」など)を使用してラベリングする。溶媒系、単量体の重量比、および冷却速度を、それぞれ、次の3つのカラム中に記載する。サンプルKX01〜KX06の冷却条件は十分に制御されなかった。むしろ、これらのサンプルを、溶液を加熱するために使用したホットプレート(ホットプレートのスイッチは切ってある)の上部の開口バイアルまたはペトリ皿中で冷却した。
【0190】
視覚的に、高速および中間速度の冷却により、比較的小型で粉末状の白色または無色の結晶が得られる。対照的に、サンプルの低速冷却により、一般に、巨大な結晶が得られる。トール真空フラスコ中での冷却によって針状結晶が得られる一方で、ショート真空フラスコ中での延長冷却によってプレート様結晶が得られる。液体窒素中での粉砕を巨大結晶サンプル(KX12およびKX26など)のために使用して、例えば、実施例8に記載のX線粉末回折による特徴付けのためのランダムな結晶配向を有する粉末を得ることができる。
【0191】
表2中の最後から2番目のカラムは、実施例10などに記載の方法によって得られたサンプルのX線粉末回折パターンの視覚的分析から決定することができるサンプルの反応性を記載している。種々のサンプルを、低反応性「LR」または比較的高い反応性「HR」をいずれかを有するかどうかについて分類する。比較的高い反応性(例えば、X線粉末回折パターンのフィンガープリント領域中の3つ以上の特定の反射ピークの存在)に関連するようであるX線粉末回折パターンの特性を、図面と併せて本明細書中に記載する。
【0192】
表2中の最後のカラムは、実施例9などに記載の方法から決定することができるサンプルの発色反応性を記載している。示すように、発色反応性を、60℃での経時的な変色として測定する。
【0193】
0.003□OD/分より高い発色反応性を示す結晶相サンプルは、高反応性を有すると考えられる。0.0005□OD/分〜0.002□OD/分の範囲の値を有する結晶相サンプルは、低反応性を有すると考えられる。
【0194】
これらの基準を使用して、サンプルKX04、KX12、KX15、KX16、KX23、およびKX24は高発色反応性を有することが見出される。対照的に、サンプルKX08、KX13、KX14、KX17、KX18、KX19、KX20、KX25、およびKX26は、低発色反応性を有することが見出される。表2から理解することができるように、サンプル結晶化条件およびジアセチレン単量体組成物の他のパラメーターの変動により、指示薬の処方者が特定のホスト生成物と共に使用するために選択することができる多様な反応性を得ることができる。
【0195】
表2の最後のカラム中の発色値と最後から2番目のカラム中の表記との比較により、発色研究によって決定した反応性とX線粉末回折スペクトルから決定した反応性との間に良好な相関関係が認められ得る。
【0196】
そのX線粉末回折スペクトルによって潜在的に高反応性を有すると同定される表2中の全てのサンプルは、高発色反応性の基準を満たす。そのX線粉末回折スペクトルによって潜在的に低反応性を有すると同定された全てのサンプルは、低発色反応性を有することが見出される。エタノール水溶液から結晶化された2つのサンプル(サンプルKX17およびKX26)から未定義のフィンガープリント回折スペクトルが得られ、ここでは約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間のX線粉末回折スペクトル領域をいう。これは、エタノール水溶液サンプルによって時折回折スペクトルのフィンガープリント領域中に幾分低い強度の回折ピークが得られるからであり得る。また、KX26の場合、巨大なプレート様結晶中のサンプルの優先的配向がフィンガープリント領域の強度に影響を及ぼし得る。
【0197】
発色反応性はまた、使用した結晶化パラメーターと十分に相関する。低速または中間速度の冷却条件下で酢酸から結晶化したサンプル(冷却条件が十分に制御されなかったサンプルKX04が含まれる)は全て、本明細書中に記載の基準によれば、高発色反応性を有する。対照的に、高速冷却条件下で結晶化した酢酸サンプルは、低反応性を示す。
【0198】
エタノール水溶液から結晶化したサンプル相は、一般に、酢酸から結晶化した対応する生成物より反応性が低い。したがって、結晶化溶媒系は、共結晶化生成物の反応性の調節のために使用することができる結晶化パラメーターの1つである。
【0199】
表2中に示すデータから示唆されるように、エタノール水溶液サンプルに関して、発色反応性を単量体濃度によって調節することもできる。
【0200】
エタノール水溶液結晶化サンプルはまた、冷却速度が減少するにつれて反応性が増加することを示す。したがって、本明細書中の基準によれば、より遅い冷却速度を使用した一連のサンプル(サンプルKX17、KX18、KX25、およびKX26)は反応性が増加し、最もゆっくり冷却したサンプル(KX26)は高反応性を示す。
【0201】
したがって、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物のX線粉末回折パターンが発色反応性に関連し、必要に応じてこれを使用して反応性によって組成物のサンプルを同定することができることが表2中のデータから考えられる。
【0202】
本明細書中の別の場所にさらに記載するように、表2中のいくつかの結果も、図11A、11B、および11C中に図画として示す。
【0203】
以下の表3は、さらなる共結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)サンプル(それぞれKU01、KU03、KU08、KU09、KU14、KU10、KU15〜KU17、およびKU19〜KU22と記す)についてのいくつかのデータを示す。
【0204】
【表3】
表3は、実施例3および8の方法によって調製した粉末化結晶相サンプルを使用した実施例9などに記載の発色実験から得ることができる定量的結果のさらなる例を示す。各サンプル中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量比は1:1である。実施例10などに記載の実験から得たX線粉末回折スペクトル分析から得ることができるサンプルの色彩反応性に関するいくつかの定性的結論も表3に示す。表3に示す実験条件およびデータは、表2に示す様式に類似の様式で理解すべきである。
【0205】
表3のデータは、サンプル結晶化条件およびジアセチレン単量体組成物の他のパラメーターの変動によって得ることができ、且つ、指示薬の処方者が特定のホスト生成物と共に使用するために組成物を選択することができる発色反応性のさらなる多様な反応性を示す。
【0206】
本明細書中の別の場所にさらに記載するように、表3中のいくつかの結果も図10A中に図画として示し、表3中に記載のいくつかのサンプルのX線粉末ディフラクトグラムを図10Bおよび10Cに示す。
【0207】
表3中に列挙しているが表2中に示されていないパラメーターは、得られた生成物中に存在する相数である。この数値を、各サンプルについての粉末X線回折パターンの002反射(2番目に小さい角度の反射)の形状から決定する。図10Bまたは図10Cに示すように002反射がシングレットピークである場合、単一の相が示される。002反射が分割したピークまたはショルダーを示す場合、2つの相を示す。KU09の場合、002反射によって単一の相が示唆される。しかし、回折パターンのフィンガープリント領域によって2つの相(高反応性相および低反応性相)が存在する可能性が示唆され、発色研究によって確認されるようである。これらの現象を、図10Bおよび10Cに関して本明細書中にさらに記載している。
【0208】
実施例11:NMR分光法によるサンプルの特徴付け
実施例1〜7の生成物のうちの選択した生成物の50〜80mgサンプルに対して固体NMR分光法を行い、生成物をさらに特徴付ける。13C交差分極マジック角回転(「CPMAS」)NMRスペクトルを、13C核について125.4MHzで操作し、Bruker 4mmCPMASプローブを使用したDSX−500分光計(Bruker Corporation)を使用して収集する。2つの異なる接触時間(すなわち、100μsおよび1ms)を使用する。異なる回転速度を使用して、多数の共鳴線間の等方性の13Cピークを同定する。例えば、7.3kHz、8kHz、および9.7kHzの回転速度(sSpinning speed)をKX単量体のために使用することができ、8kHzおよび10kHzを全ての他のサンプルについての各接触時間のために使用することができる。化学シフトは、外部的にテトラメチルシランを参照する。
【0209】
100μs〜1msの交差分極接触時間の変化により、炭素ピークが周囲の水素原子に強くカップリングしているかどうかを明らかにすることができる。接触時間の増加後に大きな成長を示す13Cピークは、160ppmでのカルボニル炭素または77および66ppmでのspおよびsp2炭素と同様に、おそらくC−H直接結合を保有しない。
【0210】
実施例10に従ったX線粉末回折による特徴付けを使用して得ることができるいくつかの結果を、図1〜7および13〜15に示す。実施例11に従ったNMR分光法による特徴付けを使用して得ることができるいくつかのさらなる結果を、図19〜21に示す。これらの結果を以下で考察する。
【0211】
図1に関して、示した上のX線回折パターンは、比較実施例Aの方法によって生成した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量ベースで2:1の物理的混合物の特徴付けによって得ることができるデータの一例である。2θ回折角を横軸(°)に沿ってプロットし、シグナル強度を縦軸に任意の単位でプロットする。
【0212】
下のX線回折パターンは、実施例1の方法によって生成した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量ベースで2:1の共結晶化混合物の特徴付けによって得ることができるデータの一例である。共結晶化方法は、実施例1に記載のように、溶媒としての酢酸および真空フラスコを使用した低速冷却を使用する。
【0213】
図1中のX線回折パターンは、図の上部に(1)、(2)、および(3)と記した目的の3つの角の領域を示す。回折パターンにより、共結晶化材料が、いずれかの出発生成物の格子パラメーターと異なる格子パラメーターを有する結晶に対応する異なる反射を示す固有の相を含むことが示唆される。
【0214】
図1中に出現する上および下のX線回折パターンの比較は、物理的混合物が約4〜6°にダブレットピーク(領域(1))を生じ、このピークは、共結晶化材料について、ほぼ5°のシャープな単一の一次ピークに置き換わっていることを示す。物理的混合物が約8〜11°に別のダブレットピークを生じ、且つ共結晶化材料がほぼ10°にシャープな単一の一次ピークを生じるという類似の結果が領域(2)で認められ得る。さらに、上のパターン中の約13°および16°に強度がより弱いピークが存在し、このピークは、各単量体についての回折パターン(示さず)の参照によってそれぞれ2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)に関連し得る。これらの小ピークは、共結晶化した下のパターンやディフラクトグラム中に存在しない。
【0215】
望ましくは、最も小さい角度2θでの図1の下半分などに示される共結晶化ジアセチレン組成物のX線粉末回折パターン中に示した最初の2つの反射は、本質的にシングレットピークである。各シングレットピークは、いずれのピーク側からも明確なショルダーが突出していない固有のカスプを有し得る。2つの低角反射ピークのいずれかの3°上または下の2θ範囲内にさらなるピークが存在しないことも望ましい。さらに、回折パターンは、通常、最初の2つの反射間に任意のさらなるピークが存在し得ない。また、回折パターンは、16°未満の2θ角に任意のさらなるピークが存在し得ない。
【0216】
シングレットピークは、一般に、本質的に対称である。その存在によってピークがシングレットではないことを示すショルダーは、しばしば十分に定義された第2のピークまたはコーナーであり得るが、いくつかの例では、わずかな緩やかに傾斜した非対称物または隆起であり得る。ピークの輪郭を描くプロットラインまたはカーブは、ショルダーの存在を示す1つまたは2つの屈曲点または屈曲領域を含むことができ、したがって、ピークは、本発明によれば、シングレットピークとして見なされる可能性が低い。
【0217】
回折パターン中の反射ピークの位置づけに関して、最も小さい角度の反射ピークは、約16.4Å〜約20.1Åの範囲のd間隔に対応する2θ角に存在し得る。2番目に小さい角度の反射ピークは、約8.2Å〜約10Åの範囲のd間隔に対応する2θ角に存在し得る。例えば、最も小さい角度の反射ピークは約17.3Å〜約18.3Åの範囲のd間隔に対応し得、2番目に小さい角度の反射ピークは約8.6Å〜約9.2Åの範囲のd間隔に対応し得る。
【0218】
一般に、しかし制限されないが、最も小さい角度および2番目に小さい角度の反射は、バックグラウンドの少なくとも3倍(例えば、バックグラウンドの少なくとも5倍、バックグラウンドの少なくとも10倍、または任意の他の適切な値を有する)の強度を有し得る。
【0219】
図1の上のディフラクトグラムに示すデータを、混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の各結晶由来の個別の寄与を示すと理解することができる。図1の下のパターン中に示すデータは、共結晶化混合物の結晶が、ほぼ共結晶化する比率で2つの化合物が存在する均一な連続相の結晶を有する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の固溶体であるかこれを含むという解釈と一致する。
【0220】
図2は、実施例4の生成物の特徴付けによって得ることができるデータの例である8つの一連のX線回折パターンを示す。これらの生成物は、中間速度冷却を使用して10%酢酸溶液から結晶化した8つの異なる比の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含む。第1および最後の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)比に対応する生成物は、単量体のみである。
【0221】
制限された目的の2θ回折角範囲(約3°〜約16°)を図2中に横軸に沿って示し、シグナル強度を縦軸に任意の単位でプロットする。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の使用モル比を図2中の左側のカラムに示し(「2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)」と記す)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の対応する重量比(「2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)」と記す)をカラムの右側に示す。
【0222】
認められ得るように、2つの十分に定義されたシングレットピークが8つの各生成物によって示される。また、第1の反射に対する第2の反射の相対強度は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の濃度の増加に伴って増加する。シングレットピークが生じる角度は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)濃度の増加に伴ってゆっくり増加するか、より高い角度にシフトする。
【0223】
図2中に示す結果は、共結晶化混合物の組成物の全範囲にわたって単一相様挙動と一致すると考えられる。したがって、記載の実験条件下で、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)は、全てではないがほとんどの組成物範囲の至るところに固溶体を含むことができるようである。
【0224】
図3は、異なる形態で図2に示すデータのいくつかを示す。図3に示すグラフを、ブラッグの法則を使用して図2のグラフを支持するデータから計算することができる。より具体的には、図3は、図2に示す対応する最も小さい角度の強度ピークの角度から計算した2つの最も長いX線粉末回折間隔(d001およびd002と指定する)の共結晶化混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の重量パーセントに伴う変動をプロットしている。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)のパーセントとのほぼ直線関係が、d001およびd002の両方によって示される。
【0225】
驚いたことに、図2および3は、各d間隔(d001およびd002)が試験した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の重量比の増加に伴って逆に変動することを示す。この情報を使用して、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の結晶中のd間隔を改変することができるか、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の相対的比率の適切な選択によって範囲内の所望のd間隔を有する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の結晶を得ることができる。
【0226】
図4は、図2より広い回折角範囲(すなわち、約3°〜約40°)にわたる同一X線回折強度パターンを示す図2に類似の図である。図2に関して、約20°〜約25°の範囲に出現する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の低強度ピーク(下のグラフ)は、共結晶化混合物中のわずかな比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)によってほぼ無効にされると見なすことができる。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)ピーク由来の回折角中でわずかにずれる同一範囲での2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の低強度ピークは、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)濃度が増加するにつれてゆっくり出現する。
【0227】
図5Aは、実施例1などの記載の方法に従った遅い冷却速度で酢酸から共結晶化した2:1重量比の高反応性の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)と2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)との混合物について得ることができる回折パターンを示す。
【0228】
実施例10の方法を使用して、示した回折パターンを生成することができる。
【0229】
図5Aに関して、強度データを、xスケールで示すように、約3°〜40°の範囲の角度2θについてyスケールで示す。
【0230】
図5Bは、ピークが生じる角度2θと共に、図5Aに示すピークに対応するd間隔をÅ単位で列挙する表(表4)を示す。d間隔を、ブラッグの法則を使用して、ピークが認められる角度2θから計算することができる(逆も同じ)。これらの角度2θも、図5A上の各ピークの近くに記す。一般に理解されるように、d間隔は、結晶格子中の原子の平衡面の間隔である。
【0231】
表4はまた、一方のピークの強度の他方との比較を容易にするために約4.9°のブラッグの2θ角で生じる最も高いピークについて1000の任意の単位に対して正規化したピーク強度のカラムを含む。
【0232】
異なる反応性の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の共結晶化混合物の間に有意差を認めることができる約19°〜約25°の範囲の角度2θのフィンガープリント領域を、図5Aおよび5Bのそれぞれの中央にボックスを用いて示す。
【0233】
ボックスで囲んだフィンガープリント領域内に、角度2θで3.664、3.890、および4.039Åのd間隔に対応する3つの明確なピークを認めることができる。光学的発色試験により、回折ピークのこのフィンガープリントパターンが比較的高い熱反応性を示す共結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)生成物に関連し得ることが示唆される。図6および本明細書中の別の場所に示すパターンは、回折ピークの特有のフィンガープリントパターンを、高発色反応性を有する共結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)生成物によって示すことができることをさらに例示する。
【0234】
図6は、実施例1の方法によって調製し、種々の特徴的なデータを表2に示す4つのジアセチレン単量体組成物(すなわち、サンプルKX04、KX20、KX22、およびKX24)のX線粉末回折パターンを示す。4つ全てのサンプルを、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)から調製し、全てを異なる冷却速度で酢酸から共結晶化する。サンプルKX04を、無制御の低速冷却によって調製し、サンプルKX20を高速冷却によって調製し、サンプルKX23を(制御された)低速冷却によって調製し、サンプルKX24を中間速度冷却によって調製する。結晶サンプルを実施例8の方法によって調製し、X線粉末回折パターンを、実施例10の方法によって得る。
【0235】
表2に示す可能性のある結果と共に、実施例9に記載の発色試験は、サンプルKX04(無制御の低速)、KX23(中間速度)、およびKX24(低速)の全てが熱刺激に応答して高発色反応性を示し得ることを示す。
【0236】
図6では、角度2θを5°間隔で印をつけたx軸上にプロットし、スケール(マークせず)は4°〜40°の範囲である。強度を、任意の単位のy軸上にプロットする。
【0237】
図6に関して、4つ全てのサンプルは、約5°および約10°の最低の角度2θでの十分に定義された比較的高い強度のシングレットピークおよび約19°〜約25°のフィンガープリント領域中の別の一連のピークを示すことを認めることができる。この領域中の縦方向の破線は、特徴的なピークが生じ得る角度2θを示す。
【0238】
高反応性サンプルKX04、KX23、およびKX24についての図6中に示すスペクトルは全て、共に高反応性のフィンガープリントとして参照することができる多数の特有のピークを共有し、低反応性サンプルKX20のスペクトルのフィンガープリントは共有されない。
【0239】
例えば、サンプルKX04、KX23、およびKX24の各スペクトルは、4.24、4.04、および3.89Å(3つの中央の破線)のd間隔でピークを示す。対照的に、4.04Å付近のピークを欠くサンプルKX20の最低のスペクトルは、高反応性に関連するフィンガープリントを示さない。また、3.89Å付近のピークは、高反応性サンプルによって示される対応ピークの形状および位置を欠く。
【0240】
さらに、サンプルKX04、KX23、およびKX24は、4.34Å(左側の破線)のd間隔でのピーク(低反応性サンプルKX20のスペクトル中で単に新出)および3.66Å(右側の破線)での別のピーク(低反応性サンプルKX20によって示されない)を示す。
【0241】
高反応性相のd間隔でのフィンガープリントを、1、0.98〜0.97、0.93、0.89、および0.85〜0.84×4.34Åのように、第1の反射のd間隔に関して小数で示すこともできる。
【0242】
図7は、図7中に記すようにサンプルKX04、KX09、KX13、およびKX20の類似のX線粉末回折スペクトルを示す。これらのサンプルのいくつかのパラメーターを図中に示す。サンプルKX04は、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、無制御の低速冷却条件下で酢酸から結晶化し、高発色反応性を有する。サンプルKU09は、1:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、低速冷却条件下でエタノール水溶液から結晶化し、高発色反応性を有する。
【0243】
サンプルKX20は、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、高速冷却条件下で酢酸から結晶化し、低発色反応性を有する。サンプルKX13は、2:1の比率の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含み、高速冷却条件下でエタノール水溶液から結晶化し、低発色反応性を有する。
【0244】
図7に関して、図6に類似して、高反応性相の存在を、KX04およびKU09のスペクトル中の4.34、4.24、4.04、3.89、および3.66Åのd間隔でのフィンガープリント反射の存在から推定することができる。2:1の比率、酢酸溶媒、および無制御の低速冷却を使用したKX04サンプルのスペクトルでは、良好な強度のフィンガープリントピークを示す。他方では、1:1の比率、エタノール水溶液溶媒、および低速冷却を使用したサンプルKU09のフィンガープリントピークは幾分弱いが、認めることができる。
【0245】
対照的に、2:1の比率、酢酸、および高速冷却を使用したサンプルKX20および2:1の比率、エタノール水溶液、および高速冷却を使用したKX13のスペクトルは、高発色反応性に関連するフィンガープリント回折パターンを示さない。例えば、サンプルKX20のスペクトルは4.04(中央の破線)のd間隔でピークを欠き、サンプルKX20のスペクトルは4.24(左から2番目の破線)のd間隔でピークを欠き、他のピークは十分に位置づけられず、定義されない。
【0246】
また、高反応性サンプルKX04およびKU09は、約4.39、3.96、および2.95Åのd間隔で低反応性KX13サンプル中に出現するラインなどのフィンガープリントスペクトルのピーク間に他の反射が存在しない。
【0247】
図9に示すX線回折スペクトルは、溶媒として酢酸を使用した実施例3などに記載の重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)混合物の共結晶化方法の生成物から、回折スペクトルを生成するための実施例10の方法を使用して得ることができる。
【0248】
2つの異なる冷却速度を使用して得ることができる結果を示す。下の回折スペクトルは高速冷却を使用して得ることができ、上の回折スペクトルは中間(中等)速度の冷却を使用して得ることができる。
【0249】
下のグラフ中に特徴付けた高速冷却した生成物は高反応性を有し、結晶化後に暗青色の外観が得られる。したがって、さらなる熱誘導重合に原因する暗色化はおそらく容易に認知できないので、高速冷却した生成物は熱指示剤として有用でないようである。
【0250】
対照的に、上の回折スペクトルで特徴づけられた中間速度冷却した生成物は白色であり、且つ印加した熱に応答して変色することができ、指示剤としての機能を果たすのに適切である。
【0251】
図9中に示す2つの回折スペクトルは、8〜12°の2θ範囲で2番目に低い回折角ピークの間に相違を示す。ここに、下の回折スペクトルに示す高速冷却した生成物は、ダブレットピークを示すのに対して、上の回折スペクトルに示す中間速度冷却した生成物は十分に定義されたシングレットピークを示す。高速冷却した生成物のダブレットピークにより、2つの結晶相が存在し得ることが示唆される。対照的に、本発明は任意の特定の理論に制限されないが、中間速度冷却した生成物によって示されるシングレットピークは均一な固溶体を含む単一相の結晶を示し得る。
【0252】
図10Aは、重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の色調進化がどのようにして結晶化中の異なる溶媒および異なる冷却速度の使用によって影響を受けるかを決定するための実験で得ることができる結果を示す。サンプルを実施例3の方法によって調製し、色調進化を、実施例9の方法によって60℃で決定する。典型的にはホスト市販品によって遭遇するより低い周囲温度での色調進化速度は、実質的により遅く、且つアレーニウス動態学に従ってほぼ比例する可能性が高い。得ることができるいくつかのデータを表3中に示す。
【0253】
図10Aに関して、カラムの左側に示す0〜33時間の種々の時間で60℃に維持した8つの異なる生成物サンプルの外観を示す。左から2番目のカラムは、酢酸からの急冷沈殿によって調製したコントロールである2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)を使用して得ることができる結果を示す。左から3〜5番目のカラムは、図10Aの上に示すように、酢酸からの高速、中間速度、および低速の結晶化(それぞれKU03、KU01、およびKU14と記す)を使用して得ることができる結果を示す。
【0254】
右から3つのカラムは、図10Aの上に示すように、エタノールからの高速、中間速度、および低速の結晶化(それぞれKU08、KU09、およびKU10と記す)を使用して得ることができる結果を示す。結果を示すこれらの種々の結晶相サンプルは、実施例6および8の方法によって調製した重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)のサンプルである。実施例9に従って発色実験を行う。
【0255】
8〜12°の2θ範囲での明確なダブレットピークの存在によって示されるX線回折研究によって同定した相数を、冷却速度の下に示す。特に、中間速度冷却によって調製されたサンプルのみが単一相と認められる。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の1:1混合物の高速冷却または低速冷却は、混合物が酢酸またはエタノールのいずれから結晶化されるかどうかと無関係に、2つの相を生じるようである。
【0256】
中間速度冷却で酢酸から結晶化する表3中に記載のサンプルのX線回折スペクトルを図10Bに示し、これらのスペクトルを比較することができる。図10Bおよび10C中のX線回折スペクトルを、x軸に沿って0°〜40°の2θ角範囲について示す。強度の平方根を、図10Bおよび10Cのそれぞれのy軸上に任意の単位でプロットする。
【0257】
図10Bに関して、サンプルKU02およびKU16〜21は、1つの相が明らかである粉末X線回折パターンを示す。それに対して、本発明にしたがって、各サンプルKU01、KU12、KU15、およびKU22において、その回折パターンの調査によって2つの相が存在すると判断することができる。
【0258】
したがって、サンプルKU01は、第2の反射ピークの基部の右側にショルダーを示す。サンプルKU12は、分割した第2のピークを示す。サンプルKU15は、第2の反射ピークの右側にショルダーまたは分割ピークを示す。サンプルKU22は、第2の反射ピークの右側のピークの麓に小さなショルダーを示し、同様に、第1の反射ピークの基部の右側にわずかなショルダーを示す。
【0259】
サンプルKU16〜KU21は、それぞれ、フィンガープリント領域中に高反応性パターンを示す。これは、表3に記載のように色調進化の測定から得たサンプルの反応性パラメーターに一致するようである。
【0260】
図10Cは、異なる溶媒および冷却速度を使用して調製したサンプル(すなわち、サンプルKU03、KU08、KU09、KU10、KU14、およびKU17)の粉末X線回折パターンを示す。KU17を、中間速度冷却を使用して酢酸溶液から調製したサンプルの代表として選択する。図7のように、図10Cのいくつかのフレーム中の縦方向の破線は、高反応性相が示唆されるフィンガープリント反射ピークが存在し得る位置を記している。
【0261】
上の行中の酢酸サンプル由来のパターンおよび下の行中のエタノール水溶液サンプル由来のパターンと共に、回折パターンを図10C中に配置する。各行中で、高速冷却したサンプルを左に示し、中間速度冷却したサンプルを中央に示し、低速冷却したサンプルを右側に示す。
【0262】
KU03は高発色反応性を有するが、フィンガープリント領域中の高反応性パターンを同定することが困難である。サンプルKU03の粉末X線回折パターン中の分割002角反射ピークにより、サンプルが2つの結晶相を有することが示唆される。しかし、種々の色強度を有するKU03サンプルの視像(図10A中の像など)の詳細な試験で実質的に均一な色を示す。本発明を制限することを意図しない1つの可能な説明は、KU03サンプルが異なる結晶学的組成物の2つの高反応性相から構成され得ることである。したがって、フィンガープリント領域は、一方が他方に重ね合わせられた2つの高反応性パターンを含むことができる。
【0263】
サンプルKU03(高速酢酸)およびKU08(低速エタノール水溶液)は、その粉末X線回折パターンによれば、2つの相を示すようである。KU08では、「HR」高反応性相および「LR」低反応性相の両方が発色研究において明らかであり、表3に記載の結果を使用して測定することができる。
【0264】
サンプルKU14、KU09、およびKU10は、粉末X線回折パターンの002反射によれば単一の相を有するようである。しかし、図10Aに図画として示したこれらのサンプルについての色彩試験の結果は、1つの低反応性相およびいくつかの高反応性相の存在に関連すると考えられる「ごま塩状の」外観を示す。また、各サンプルについて2つの色彩反応性パラメーターを測定することができるという事実は、この解釈と一致する。回折スペクトルのフィンガープリント領域により、2つ以上の相の存在の限られた証拠も得られる。
【0265】
図10Dは、KU09の002ピーク上に重ね合わせたKU10の002ピークを図10Cより拡大したスケールで示す。KU09のピークは、より高く、規則的であり、且つ対称的である。対照的に、KU10のピークはより短いようであり、突出したショルダーを、ピークの右側に明らかに認めることができる。
【0266】
図11A、11B、および11Cは、実施例9などに記載の発色実験で得ることができる結果を示す。この実験は、どのようにして2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)組成物の種々のサンプルの色調進化がサンプルを調製するために使用した結晶化パラメーター(例えば、異なる溶媒、単量体濃度、または冷却速度)によって影響を受けるかを示す。
【0267】
図11A、11B、および11Cに関して、共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の6つの異なる試験サンプルおよび2つのコントロールのグレースケール外観を、3つの異なる発色段階で示す。光学的および視覚的参照として色の標準のサンプルを含める。サンプルを実施例8の方法によって調製することができ、色調進化を実施例9に記載のように60℃で決定する。熱反応性ジアセチレン単量体は、いくつかの条件下で約30℃までまたはより高い典型的な周囲温度よりも60℃の高温で有意に速い速度で発色する。当業者に明らかであるように、必要に応じて、他のサンプル調製方法および温度条件を使用してサンプルの発色性を試験することができる。
【0268】
試験サンプルおよび2つのコントロールを含む8つの円形皿を、グリッドの右側の下の隅の色の標準サンプル(四角形)と共にグリッド中に配置する。最初の外観を図11A中に示し、3時間後の外観を図11Bに示し、30時間後の外観を図11Cに示す。
【0269】
6つの試験サンプルは、それぞれ高速、中間速度、および低速の冷却速度で酢酸およびエタノールから共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(すなわち、表2を参照して記載した場合、サンプル番号KX08およびKX12〜KX16)を含む。したがって、表6に示したレイアウトを使用して、サンプルをラベリングし、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)のコントロールサンプル(KE(TT)と記す)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物のコントロールサンプル(KX(TT)と記す)、および色の標準と共に図11A〜11Cに配置する。
【0270】
【表6】
表6および図面では、「EtOH」は実施例1に記載のエタノール水溶液溶媒系を示し、「HAc」は実施例1で使用した氷酢酸を示す。
【0271】
図11Aに示すように、全サンプルは、最初は無色であるか、色の標準よりもはるかに明るい外観のほとんど無色である。図11Cは、30時間後に全サンプルが暗色であることを示す。したがって、示した全てのジアセチレン単量体サンプルは熱活性を示す。図11Bが示すように、サンプルは、試験条件下で種々の反応性を有し、異なる速度で発色する。それぞれエタノール水溶液および酢酸についての最高の反応性を示すサンプルを、図11B中に明るい円で囲っている。
【0272】
図11Bから、中間速度または低速の冷却速度のいずれかで酢酸からサンプルを結晶化した場合に高反応性結晶相を得ることができること(サンプルKX16およびKX15)、および低速の冷却速度のみでエタノール水溶液から結晶化した場合に高反応性結晶相が得られる(サンプルKX12)のに対して、中間速度で冷却したサンプルが実質的により低い反応性を示す(サンプルKX08)と結論付けることができる。
【0273】
図12は、実施例9に記載のように表6で同定した各サンプルについての時間に関連する経時的発色に関する反応性パラメーターの各プロットを示し、発色の結果を図11A〜11C中に定性的に示す。図12中の6つの各フレームは、各サンプルおよび色の標準のマルチスペクトルRGBプロットを示す。3つの各成分のプロットでは、上の成分は赤色であり、真ん中は緑色であり、下の成分は青色である。
【0274】
色の標準のプロットは経時的にほぼ水平のままである一方で、各サンプルのプロットは、時間ゼロでのほぼゼロの色彩値(フレームの左下)から測定期間の終了時の実質的な色彩値(フレームの右上)に上昇する。
【0275】
異なるフレームが異なるスケールを有することができるように、プロットがフレームを満たすことができるようにスケールを調整する。特に、サンプルKX16およびKX15について、相対的色彩強度の対数のy軸スケールを適度に調整する。x軸上の時間スケールは有意に変化する。反応性値を表2に示す。
【0276】
図12中のデータおよび関連する図表は、指示薬の処方者が選択することができ、多様なホスト生成物のいずれか1つの条件のモニタリングに有用であり得る広範な反応性を示す。範囲内の所望の反応性を、本明細書中に記載の結晶化パラメーターおよび他の要因(例えば、単量体の比率および濃度、結晶化溶媒または溶媒系、および冷却速度)の適切な選択によって得ることができる。
【0277】
例えば、図12のデータは、低速または中間速度での冷却によって酢酸から結晶化するサンプル(KX15またはKX16など)が高速冷却した酢酸サンプル(サンプルKX14など)によって示される反応性パラメーターよりも約3倍高い反応性パラメーターを示すことを示す。
【0278】
また、低速冷却を使用して酢酸から結晶化するサンプル(KX12など)は、高速冷却したエタノール水溶液サンプル(サンプルKX13)によって示される反応性パラメーターの約7倍の高さおよび中間速度で冷却したエタノール水溶液サンプル(サンプルKX08など)によって示される反応性の3倍超の高さを示す。低速冷却したエタノールサンプル(サンプルKX12)は、高反応性酢酸サンプルKX16およびKX15の反応性に近い反応性を示す。
【0279】
これらのデータから、重量比2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含む共結晶化組成物の動態学は、重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含むサンプルの動態学より急速なようである。しかし、驚いたことに、エタノールから結晶化したサンプルについて、図16を参照して本明細書中にさらに記載されるように、一定の冷却条件下で生成した重量比1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)によってピーク反応性を示すことができる。
【0280】
ここで図13A〜13Bに関して、図6および7に示すデータに関して説明されているように、高反応性結晶相サンプルは、その粉末X線回折スペクトル中のピークの特有の「フィンガープリント」パターンを示すことができる。フィンガープリントパターンは、発色実験を行うことなく、高反応性結晶相を同定し、低反応性結晶相と区別することができる。ここで説明するように、この理解は、図13A〜13Bに示すスペクトルによって裏付けられる。
【0281】
図13A〜13Bは、方法(実施例10に記載の方法など)によってスペクトルを得ることができる12種の表2に列挙した2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)サンプルの粉末X線回折スペクトルを示す。データを、図13A中では酢酸から結晶化したサンプルのスペクトルを表示するためにデータを整理し、図13Bではエタノール水溶液から結晶化したサンプルのデータを整理している。図13Aおよび13Bに記すように、各溶媒系について、3つの各冷却条件(高速、中間速度、および低速)で冷却した2つのサンプルの結果を示す。
【0282】
図13A〜13B中のX線回折スペクトルを、x軸に沿って0°〜40°の2θ角範囲について示す。強度の平方根を、図13B中に示したエタノール水溶液スペクトルについてより大きなスケールを使用して、y軸上に任意の単位でプロットする。これにより、より小さなピークが示される。特徴付けた各サンプルについて、2つのシングレットピークがより小さい角度2θで生成される(一方は約5°、他方は約10°)。これら2つの最も小さい角度のシングレットピークの分割は認められない。
【0283】
図14A〜Bは、特有のフィンガープリントパターンの有無をより詳細に観察することができるように、図13A〜B中に示したX線粉末回折スペクトルの一部を18°〜33°の2θ角にてx軸上により大きなスケールで示す。
【0284】
酢酸から結晶化したサンプルのスペクトルを示す図14Aに関して、高反応性相は、中間速度冷却(図中の「中間」速度冷却)によって得たサンプル(サンプルKX24およびKX16)または低速冷却によって得たサンプル(サンプルKX23およびKX15)のいずれかのスペクトル中に存在することを認めることができる。高反応性相の存在を、4.24、4.04、および3.89Å(3つの中央の破線)のd間隔での反射の一次フィンガープリントパターンならびに4.34および3.66Å(2つの外側の破線)のd間隔での反射の二次フィンガープリントの存在によって示す。
【0285】
エタノール水溶液から結晶化したサンプルのスペクトルを示す図14Bに関して、4.24、4.04、および3.89Åのd間隔でのピークの特有のフィンガープリントパターンは、高発色反応性を示す単一のサンプル(サンプルKX12)のスペクトル中に存在することを認めることができる。しかし、ピークは、酢酸結晶化サンプル由来のスペクトル中の対応するピークよりも有意に低い強度を有する。また、KX12サンプルは、4.34Åのd間隔での弱い二次フィンガープリント反射を示す。
【0286】
さらに、図14Bに関して、発色試験で低い変色反応性を示す高速または中間(中等)速度の冷却によって調製されたサンプルKX13、KX18、およびKX08は、d間隔4.39、3.96、および2.95Åでの反射の存在によって特徴づけられる低反応性相の存在を示すようである。サンプルKX17はまた、発色試験において低反応性を示す。しかし、対応する回折スペクトルは、弱く不十分に形成されたピークおよび高レベルのバックグラウンド反射を示す。KX17回折スペクトルのフィンガープリント領域は、低反応性相の存在が示唆されるようであるが、たとえ不明瞭であっても、高反応性相の証拠は提供しないようである。
【0287】
本明細書中に記載のデータから、中間速度または低速冷却によって調製した場合に酢酸から結晶化した2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)サンプルが高反応性相を含むことを認めることができる。しかし、この相は、高速冷却によって調製したサンプル中にそれ自体を明確に示さない。また、高反応性相の存在を、高反応性相に関連する反射の存在および低反応性相に関連する反射の非存在についてサンプルのX線粉末回折スペクトルを試験することによって検出することができる。
【0288】
エタノールから再結晶した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)(2:1)について、通常は巨大なプレート様結晶を得ることができる場合、高反応性相は、例えば、実施例1に記載のようにショート真空フラスコを使用した延長冷却条件下のみで得られる。低速冷却は、延長冷却とは対照的に、低反応性相に対応する巨大な針状結晶を生じ得る。
【0289】
特定の理論によって本発明を制限することを意図しないが、本明細書中に記載のいくつかの共結晶化組成物が高変色反応性および特徴的なX線粉末回折フィンガープリントを示し得る明白な結晶相を程度の差はあるが含むことができると考えられる。補完的に、本明細書中に記載の他の共結晶化組成物が明白な高反応性結晶相をほとんど含まず、且つ反応性がより低いと考えられる。これらの反応性のより低い共結晶化組成物は、より控え目な変色反応性を示すことができ、且つ高反応性相の特徴的なX線粉末回折フィンガープリントを欠き得るか、フィンガープリントを弱くまたは不明瞭にしか示すことができない。
【0290】
この理解により、高反応性相の比率の変化によってジアセチレン共結晶化組成物の変色反応性が変化する可能性が得られる。また、高反応性相を、必要に応じて、その特有のX線粉末回折フィンガープリントによって同定することができる。
【0291】
図15に示すデータは、結晶化液中のジアセチレン単量体濃度が、重量比が1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の結晶化の場合に固体単量体の形成で役割を果たし得るという役割を示す。
【0292】
ここで図15に関して、示した回折パターンを得るために使用したサンプルを、実施例6にしたがって調製する。2つのサンプルを、それぞれ約10重量%(図15中の下の回折スペクトル)および20重量%(図15中の中央の回折スペクトル)の初期単量体濃度を使用した酢酸からの結晶化によって調製する。第3のサンプルを、約5重量%(図15中の上の回折スペクトル)の初期単量体濃度を使用したエタノールからの結晶化によって調製する。3つの全サンプルについて中間速度冷却を使用する。
【0293】
実施例10の方法によって3つのサンプルのX線回折スペクトルを作成する。図15は、図中のx軸上に印をつけた約7°〜12°の2θ範囲の各スペクトルの一部を示す。y軸上の強度を、第1の反射が100であるように正規化し、より大きなスケールマーカーは30の任意の単位に対応する。x軸上のピークの位置づけを補助するために、図の中央に2つの縦方向の線を引いている。
【0294】
図15は、9°と10°との間の2θ角で生じる回折シグニチャ中の2番目に長いピークを示す3つの各サンプルの回折パターンの一部を示す。エタノール水溶液から結晶化した5%サンプルおよび酢酸から結晶化した10%サンプルのピークは対称的である(約0.2°異なる角度2θで生じる本質的にシングレットのピーク)。これらの特徴は、各サンプルが単一相の固溶体であることを示し得る。酢酸から結晶化した20%サンプルは、エタノールから結晶化した5%サンプルと同一の値のピーク(酢酸から結晶化した10%サンプルのピークとほぼ同一の2θ角で穏やかに傾斜したショルダーを有する)を示す。
【0295】
図15中の下の回折スペクトルを中央および上のスペクトルと比較して、9°〜10°ピークの位置は、濃度(中央の回折スペクトル)または溶媒(上の回折スペクトル)のいずれかの変化によって移動することを認めることができる。本発明はいかなる特定の理論によっても制限されないが、ピーク位置のこの相違が1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)構造および1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)構造に対応し得ることが予想される。2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の結晶およびKPrが異なる対称性を有するので、同一組成物中に2つの異なる相が存在し得ると予想されるが、この場合も制限されない。1つの相は、1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の対称性を有することができ、他の相はKPrの対称性を有することができる。さらに、50%の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)は、KPr対称性に挿入することができ、50%のKPrは2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)対称性に挿入することができる。したがって、これら2つの構造は、対称性の相違により、同一の組成および異なるd間隔を有することができる。
【0296】
また、約9°と10°との間の2θ角で出現する反射に対応し、且つ、一般に、単一相のサンプルについてシングレットであるようである2番目に長い回折間隔について、ショルダーの存在またはピークの分割は第2の相の存在を示し得ると予想されるが、これに制限されない。一般に、中等の冷却速度により、10%酢酸組成物について単一相のサンプルが得られる。しかし、図15中の中央の回折パターンから示唆されるように、溶液中の単量体の量が20重量%に増加すると、この反射は、シングレットでなくなる可能性があり、第2の相の存在が示唆される。
【0297】
図16は、どのようにしてエタノールから結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の光学的に決定された反応性が混合物中の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の相対的比率に伴って変化するのかを示す。示した反応性グラフを作成するために使用したサンプルを、実施例5にしたがって調製する。図16中のデータポイントによって示され、且つ実施例5中に記載されるように、使用した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の比率は、1:0、2:1、1:1、1:2、および0:1である。サンプルの熱反応性を、各サンプルの光学的性質の変化(制御された60℃での経時的な暗色化または発色など)の決定によって光学的に決定し、図16中のy軸上に任意の単位で示す。
【0298】
図16に関して、ピーク反応速度が重量比約1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)で生じることが認められ得る。これは、約2:1の重量比で生じる酢酸から共結晶化した2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)のピーク反応速度が異なる。さらに、エタノールから共結晶化した1:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の反応速度は、氷酢酸から共結晶化した2:1の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の反応速度より低い。したがって、エタノール由来の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の結晶化により、1:1のピーク反応重量比および他の比率の両方でホスト生成物の温度応答パラメーターとの相関のための新規の熱反応性範囲を有する指示剤が指示薬の処方者に提供される。本発明は、エタノール結晶化2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)/2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)を含む指示剤を使用した指示薬を含む。
【0299】
単量体モデル
図17に関して、示したモデルに従って、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)単量体分子は、ヘキサジインコアの反対側の末端で1つずつ置換された2つの共役三重結合したアセチレン基および2つのアルキル尿素基を含む中心ヘキサジインコアを有することを認めることができる。分子の末端はエチル基で終結する。
【0300】
2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)分子の比較モデルは、モデルによって各アルキル置換基に付加されたメチレン基を有する2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)について示した骨格配置に類似の骨格配置を含む。それにより、与えられる2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)分子の外観はいくらか長い。他の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(アルキル尿素)は、類似の構造を有すると考えられ、各アルキル基の長さが特定の分子によって異なる。
【0301】
2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の分子量は非常に類似しており、28ダルトンしか異ならず、これは2つのメチレン単位にあたる。したがって、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)の分子量は250ダルトンであり、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の分子量は278ダルトンである。
【0302】
したがって、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の混合物の重量比は、モル比とわずかしか異ならない。したがって、2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素):2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)の重量比(1:1および2:1など)について本明細書中で言及する場合、モル比を使用することができるか、必要に応じて、それが適切であり得る。
【0303】
重合モデル
本明細書中に記載するように、有用な時間−温度指示薬は、ジアセチレンが固体で重合して無色の単量体結晶が長期間の十分な熱曝露を使用して強い色調になり得るポリマー結晶に変換される時に認められる変色を使用することができる。この反応では、単量体の結晶構造は、効率の良い重合が生じるために十分に密接に各単量体分子に並置すると考えられる。
【0304】
重合反応の簡略化したモデルを図18に示し、ここに記載するであろう。しかし、以下の説明によって本発明に関する1つまたは複数の有益な洞察を得ることができるが、本発明はこの理論または任意の他の理論によって制限されることを意図しないと理解すべきである。
【0305】
図18に関して、本明細書中に記載の2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)および2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(プロピル尿素)ならびにいくつかの他の有用なジアセチレン化合物と同様に、RおよびR’は同一であり得、例えば、それぞれ同一のアルキル尿素置換基であり得ると理解されるであろう。図18に示すように、重合するにつれて、単量体分子中の2,3および4,5三重結合は重合した単量体単位中で単一の3,4三重結合に移行する。利用可能になった電子により、各単量体単位がその隣接単位とカップリングして5,2二重結合が得られる。
【0306】
反応の方向(すなわち、重合の方向)は、実質的または一般に、隣接する重合可能な分子間に水素結合が生じる方向であるだろうと考えられる。本明細書中などに記載のモデルによれば、本発明は、隣接または近傍の異なる化学構造の重合可能なジアセチレン分子間に水素結合を含む共結晶化ジアセチレン組成物を含む。かかる水素結合は、隣接分子間で1,4−付加重合が可能な方向に伸長することができる。例えば、水素結合は、1つの重合可能なジアセチレン分子上の2つの各尿素−NH−基から同一または異なる化学構造の隣接する重合可能なジアセチレン分子上の=C=O基に伸長することができる。同様に、2つ以上の水素結合は、1つの重合可能なジアセチレン分子上の2つの各尿素−NH−基から同一または異なる化学構造の隣接する重合可能なジアセチレン分子上の=C=O基に1つずつ伸長することができる。したがって、2つの隣接するか近傍の重合可能なまたは重合したジアセチレン単量体分子間に4つの水素結合が存在し得る。
【0307】
ジアセチレン単量体の重合における水素結合の役割も、各ジアセチレン化合物に関してBaughmanらが考察している。類似の考察が本発明の共結晶化組成物および固溶体に適用可能であると考えられる。
【0308】
重合反応によって明白な変色が起ったので、反応は、腐敗性生成物(ワクチン、薬剤、および食品など)がその活力を喪失したか、鮮度の期限が切れたか、熱曝露または別の環境条件(ジアセチレン重合も誘導する)によって別の終点に到達した時の表示に十分に適合する。
【0309】
添付の図面の図19中の表5は、実施例1〜7のいくつかの生成物を特徴付けるために13C NMR分光法を使用する実施例11に記載の方法によって得ることができるデータのいくつかの例を示す。
【0310】
表5に関して、表の左側の最初のカラムは、都合良く参照するための表の行に番号をつけている。第2のカラムは13C NMRデータに関連し得る標的化合物中の種々の化学基を図画として示し、図19に見られるように、13C NMRデータは表5中の3番目から8番目のカラムに記載されており、このカラムは右に向かって伸びている。
【0311】
表5の3番目から8番目のカラム中のデータは、実施例11などに記載の方法によって13C NMR分光法に供した場合に特徴付けられる特定の生成物によって示されるNMRスペクトル中の化学シフト(百万分率(本明細書中で「ppm」))についてのデータである。データの表示方法に応じて、化学シフトは、バンド、ピーク、または数値として示すことができる。化学シフトデータを、表を下に向かって読むと値が減少するように整理している。特定のシフトは、表の2番目のカラムに示す特定の化学基に関連する。
【0312】
3番目カラムは、本明細書中に記載の急冷沈殿を使用した氷酢酸からの再結晶を含む公知の方法によって生成された2,4−ヘキサジイン−1,6−ビス(エチル尿素)(本明細書中で「KE」または「KE」単量体)の結晶の特徴付けによって得ることができる13C NMRデータを示す。
【0313】
右側の次のカラムは、左隣のカラム中に示したデータを得るために使用したKE単量体結晶を使用して行った実施例7の方法によって得ることができるKEポリマーデータを示す。
【0314】
右側の次のカラムは、急冷沈殿を使用した氷酢酸からの公知の再結晶方法によって同様に生成したKPr単量体結晶の特徴付けによって得ることができる13C NMRデータを示す。5番目のカラムは、実施例7の方法によって得ることができるKPrポリマーの13C NMRデータを示し、この方法を、4番目のカラム中に示したデータを得るために使用したKPr単量体結晶を使用して行う。
【0315】
右の最後から2番目のカラムは、急冷を使用した氷酢酸からの公知の再結晶方法によって生成した重量比2:1のKX単量体結晶の特徴付けによって得ることができる13C NMRデータを示す。各KE単量体およびKPr単量体によって示されたピークを、KX単量体スペクトル中にも本質的に見出すことができる。
【0316】
表5中の右の最後のカラムは、左隣のカラム中に示したデータを得るために使用したKX単量体結晶を使用して行った実施例7の方法によって得ることができるKXポリマーの13C NMRデータを示す。
【0317】
表5の2番目のカラムから認められるように、表の行2、3、および7は、特徴付けたジアセチレンポリマー中に出現するが、単量体中に存在しない化学基に関する。行4、5、および9は、特徴付けたジアセチレン単量体中に出現するが、ポリマー中に存在しない化学基に関する。行1、6、8、10、および11は、ポリマーおよび単量体の両方で出現する化学基に関する。
【0318】
特徴付けた単量体分子およびポリマー分子中の単結合炭素原子について認められ得る化学シフト値を、表5の行6〜11に記載する。単量体とその各ポリマーとの間の単結合炭素原子について示した13C NMRデータの相違(行9対行7)、三重結合(sp)炭素原子シグナルの喪失(行4および5)ならびに新規の三重結合(sp)炭素原子シグナル(行3)および二重結合(sp2)炭素原子シグナル(行2)の出現は、図18を参照して記載したジアセチレン重合モデルと一致するようである。
【0319】
図20中に示した3つのグラフは、3つの各単量体生成物の13C NMRスペクトルを示す(データを表5中に示す)。表5中の単量体データは、図20などに記載のグラフから計算することができるピークに関する。KPrの化学構造式も、図20中のNMRデータを示す3つのグラフの上に示す。矢印は、構造式中のどの炭素原子がグラフ中のどのピークと関連し得るかを示す。
【0320】
図20に関して、KPrの13C NMRピークのパターンがKEと一般的に類似していることを認めることができる。末端のKEとKPrとの間の小さな構造の相違に寄与する尿素置換アルキル基(すなわち、メチレン基、−CH2−)のC原子に対応するピーク中にいくつかの小さな横方向シフトを認めることができる。図の右側の矢印は、KPr中のこのさらなるメチレン基に対応する約25ppmでのピーク(表5中の行10)を示す。末端メチル基により、KEおよびKPrの両方に互いに近いピークが生じる(図20の右側のより太い矢印によって示す)。KEの末端メチルピークは上方に(図20中の左側に)シフトし、KPrのピークよりも少し強い。2つの異なる三重結合(sp)炭素原子および尿素基とジアセチレン単位との間のメチレン炭素原子に対応するピークは、化学的にほとんど等価な炭素原子に対応する化学シフトの類似の値で出現する。
【0321】
図21中に示す3つのグラフは、3つの各ポリマー生成物の13C NMRスペクトルを示し、データを表5中に示す。表5中のポリマーデータは、図21などに記載のグラフから計算することができるピークに関する。
【0322】
二重結合によってKPr単位(上)にカップリングしたKE単位(下)を含む1つの可能なKXポリマー単位の構造式も、図21中のNMRデータを提供する3つのグラフの上に示す。
【0323】
図19を再度参照し、表5のカラム2および3中のKE単量体およびKEポリマーのピーク値を調査し、行2および3を行4および5と比較して、重合モデルによって予想される炭素結合の再配置が明らかに証明される。単量体中に存在する1−2および3−4三重結合(sp)炭素原子のピーク(行4および5)はポリマー中で消滅する。そのかわり、ポリマーは、三重結合(sp)炭素原子および二重結合(sp2)炭素原子にも適切な化学シフトを示し、これは、理論上では各単量体単位がその近隣単位とカップリングすると予想される。わずかに異なる値を有する類似のピークは、KPr単量体およびKPrポリマーによって示される。KEポリマーおよびKPrポリマーとその各単量体との間の相違を、図21中のグラフと図20中の対応するグラフとの比較によって図画的に認めることもできる。
【0324】
いくつかの有意な相違を含む類似の変化は、KX単量体ピークとKXポリマーピークとの比較によってKXポリマーの13C NMRデータ中に認めることができる。KEおよびKPrと同様に、この比較は、KXポリマーから60〜80ppmの範囲の2つの三重結合(sp)炭素ピークが消失し、このピークは、KE単量体およびKPr単量体の両方で存在し、KXポリマー中に約130ppm(2ピーク)および100ppm付近(4ピーク)のピークが存在する。
【0325】
KEポリマーおよびKPrポリマーが、それぞれ、100ppm付近に単一の三重結合(sp)炭素ピークを示すのに対して、KXポリマーはこの近傍に4つの三重結合(sp)炭素ピークを示す(行3)。これら4つのピークは、おそらく、別のKE分子に連結したか(KE−KE)、KPr分子に連結した(KE−KPr)KE分子中の化学的に異なる三重結合(sp)炭素原子またはKE分子またはKPr分子に連結したKPr分子中の三重結合炭素原子に対応すると理解することができる。
【0326】
また、KEポリマーおよびKPrポリマーは、それぞれ、130ppmの近傍に単一の二重結合(sp2)炭素ピークを示すのに対して、KXポリマーはこの近傍に2つのシフトしたピークを示す(行2)。これらの特徴は、KXポリマー分子中のKE単量体およびKPr単量体の共重合を示すと考えられる。
【0327】
単量体中に存在する約77ppm(行4)および約66ppm(行5)のピークがポリマーに存在しないことにより、単量体はもはやポリマー生成物中に存在せず、重合反応に完全に関与していることが示唆される。同様に、KE単量体およびKPr単量体の13C NMRスペクトルに100ppmおよび130ppm近傍の特徴的なポリマーピークが存在しないことにより、検出可能な室温での重合が単量体で起っていないことが示唆される。
【0328】
さらに、KXポリマーにおいて95〜110ppmの範囲の化学シフト領域中に複数のピークが存在することにより、KEおよびKPrの両単量体単位を有するランダムなKXコポリマーが各結晶学的スタック中に存在することが示唆される。
【0329】
KXポリマーとKX単量体との間のこれらの相違を、図21中の一番下のグラフと図20中の一番下のグラフとの比較によって図画的に理解することもできる。
【0330】
記載のポリマー生成物における重合の明確なサインは、単量体三重結合に対応するバンドまたはピークの消失およびポリマー中の新規の三重結合(sp)炭素原子および新規に形成された(sp2)炭素原子に関連する新規のバンドの出現である。これらの特徴は3つ全ての単量体系(KE、KPr、およびKX)によって示され、いずれの場合にも単量体からポリマーへの定量的変換を認めることができることを示すようである。ポリマー生成物中に単量体はほとんどまたは全く残存していないことがこのデータからわかる。
【0331】
図22は、ジアセチレン単量体化合物の混合物(例えば、KEおよびKPrの混合物)の分子を結晶格子に配置することができる2つの異なる方法を模式的に示す。KEおよびKPrならびにいくつかの他のヘキサジインビス(アルキル尿素)などの化合物の分子は、結晶化した場合、本質的に直鎖の高次構造を有し、相互に並んで整列すると考えられる。この配置は、1つの分子中の三重結合対が隣接分子中の三重結合対と密接に並置されて三重結合の再配置を容易にして、重合した場合に単量体単位間に二重結合が得られると考えられる。
【0332】
図22は、単量体の重合方向でKX単量体の結晶を見る場合にどのようにしてジアセチレン単量体分子の3つのかかるスタックを配置することができるのかを仮説的に示す。図の左側は、ジアセチレン単量体分子の2つのスタック(一方がアルキル尿素置換基R1を有し、他方がアルキル尿素置換基R2を有する)を示す。各スタックは均一であり、適切な熱曝露または他の適切なエネルギーのインプットに応答して、重合してホモポリマーを形成すると予想することができる。結晶がかかるスタックの混合物を含む場合、異なるホモポリマー鎖のスタックを有する規則正しい配置がポリマー中に予想され得る。
【0333】
図22の右側は、2つの単量体(一方がアルキル尿素置換基R1を有し、他方がアルキル尿素置換基R2を有する)をスタック内に無作為に配置されているように模式的に示すジアセチレン単量体分子の単一スタックを示す。この場合、各単量体スタックは、2つの単量体分子の混合物を含む。スタックは不均一であり、適切な熱曝露または他の適切なエネルギーのインプットに応答して、重合して2つの単量体のコポリマーを形成すると予想することができる。コポリマーは、R2含有単量体単位にカップリングしたR1含有単量体単位ならびにR1−R1カップリングおよびR2−R2カップリングを含むことができる。
【0334】
したがって、図19〜21などに記載のデータを考慮して、図22の右側に提案するように、特徴付けた2:1のKE/KPr共結晶化構造では、KE分子およびKPr分子が重合方向で各スタック内にて実質的に均一に混合してスタック内の2つの分子のランダム混合物が得られる可能性がある。
【0335】
別の可能性は、規則正しい様式でKE分子およびKPr分子を各スタック内で混合することである。例えば、結晶化液中の濃度に応じて単一のKPr分子を単一のKE分子またはKE分子対と交互に配置し(すなわち、1つまたは2つのKE分子の後に単一のKPr分子を続けることができる)、スタックを通してこのパターンを繰り返すことができる。
【0336】
本発明は、いかなる特定の理論にも制限されない。そうはいっても、本明細書中に記載の13C NMRデータに基づいて、図22の左側に例示のように共結晶化KX単量体がKEまたはKPrのいずれかの均一なスタックから構成されていた場合、重合後、ホモポリマーの混合物が得られると考えられる。95〜110ppmの化学シフトの範囲内で、各ホモポリマーは単一の化学シフトピークを生成するとも考えられる。表5から認めることができるように、95〜110ppmの範囲に4つのピークが認められる。この範囲中4つのピークの存在は、2つのホモポリマーの形成と一致していないようであるが、以下でさらに説明するように、共重合と一致し得る。
【0337】
図22の右側に提案するようにKEおよびKPrを各スタック内で無作為に混合する場合、重合が誘導される場合にランダムコポリマーを形成するであろう。次いで、KE分子中の三重結合の別のKE分子との二重結合への再配置に関連するピークおよび別のKPr分子とカップリングしたKPr分子の対応するピークに加えて、第3および第4のピークが予想され得る。KE分子中の三重結合のKPr分子との二重結合への再配置によって第3のピークを得ることができ、KPr分子中の三重結合のKE分子との二重結合への再配置の結合によって第4のピークを得ることができる。このモデルによれば、95〜110ppmの範囲の4つの化学シフトの存在は、結晶中のKE−KPrコポリマーの存在の明確なサインのようである。
【0338】
単量体またはポリマー生成物のいずれかにおける単量体からポリマーへの変換またはその欠如を決定するための本明細書中などに記載の13C NMR法による自発的固相重合に供したKXおよび他のジアセチレン生成物の特徴付けを、本明細書中に記載の本発明の実施で使用することができる。1つのかかる適用では、単量体を、単量体および適用に応じて、13C NMR特徴付けによって決定される単量体からポリマーへの許容可能な変換率(例えば、0.1%、1%、または10%)にしたがって商業的適用(例えば、熱曝露または他の周囲条件のモニタリング)で使用するために選択することができる。
【0339】
かかる適用の一例では、中等および実質的な重合度での単量体−ポリマー変換を、13C NMR特徴付けによって定量することができる。この情報を使用して、ジアセチレン単量体の変色反応性の別の変更方法を得ることができる。
【0340】
例えば、既知の変換率を得た単量体を使用して単量体を変色終点付近にすることにより、単量体の応答アルゴリズムを短くすることができる。かかる単量体は、単量体自体と比較して短縮された色調進化プロフィールを有し、これを使用して、未処理の単量体と異なる標的ホスト生成物の時間−温度に関連する品質、鮮度、または他の特徴を適合させることができる。ポリマー修飾したジアセチレン単量体からさらなる選択肢が得られ、これを使用して、異なる特徴を有する標的ホスト生成物の品質をモニタリングすることができる。
【0341】
別の例では、13C NMR特徴付けによって得られた変色ジアセチレン単量体の変換に関する情報を使用して、重合反応の存在をモニタリングすることができる。例えば、13C NMR特徴付けを使用して、光学的変換決定方法(反射濃度測定法など)を較正することができる。反射濃度測定法を、任意の適切な様式で(例えば、ジアセチレン単量体を含むインクの支持層印刷サンプルの照明によって)行うことができる。13C NMR特徴付けを使用したより容易に実施される光学的方法の較正により、光学的方法の正確さ、一貫性、または調節が改善されて、ホスト生成物の鮮度または他の条件のモニタリングを改善することができる。本発明には、かかる改良された方法が含まれる。
【0342】
例えば、13C NMRを使用して、単量体が重合するにつれてわずかまたは中程度に変色する単量体の変換率を決定することができる。より明確に変色する単量体について、光学的方法により、おそらく非常に低い変換度でのポリマー変換に関する有用な情報を得ることができる。
【0343】
変換の13C NMR特徴付けを、活性薬剤として変色ジアセチレン単量体を含むモニタリングされる生成物の製造での品質管理のために使用することもできる。適切な品質管理方法は、生成されたサンプルの全てまたは一部の直列の連続的チェックであり得る。あるいは、13C NMR特徴付けを使用した品質管理を、製造バッチのランダムサンプルに適用することができる。例えば、1つまたは複数のサンプルを、サンプルの発色プロフィールに悪影響を及ぼし得る望ましくない重合についてチェックすることができる。目視または他の光学的方法で依然として明らかではないわずかな変換を、13C NMR特徴付けによって明らかにすることができる。
【0344】
図23に示すKX単量体の結晶を、低速冷却条件下でのおよそ95重量%のエタノールおよび5重量%の水からなるエタノール水溶液からの共結晶化によって調製したサンプルKX08から選択する。図23の5つの各フレームに示す100μmスケールを参照して認めることができるように、全ての結晶は長さが少なくとも200μmであり、4つの結晶(すなわち、KX08)は、大部分がそれぞれ100μmに近い長さ(例えば、約50μmと約150μmとの間)の左右面を有する。粉末結晶より実質的に大きいが、図23などに示す結晶は、X線結晶学による各結晶構造の特徴付けに十分な、そうでなければ適切な大きさではないようである。
【0345】
適用
温度曝露のモニタリングのための本明細書中に記載の指示薬および指示剤の使用について言及しているが、他の周囲環境条件も本明細書中に記載の材料のうちの適切な材料を使用して類似の様式でモニタリングすることができると理解されるであろう。モニタリングすることができる環境条件には、例として、ホスト生成物の品質に関連し得る湿度、化学線、大気組成、外圧条件、および他の条件が含まれる。大気組成を、任意の適切な様式(例えば、成分気体(例えば、酸素、二酸化炭素、エチレンまたは別の成分気体)の参照)でモニタリングすることができる。これらの目的のいずれか1つのために使用するための特定の指示剤を、本明細書中の開示を考慮して、当業者によって日常的実験によって難なく決定することができる。本発明は、本明細書中に記載の指示剤を含むインク、不可逆的様式で過去の曝露、特に(しかし、排他的ではない)、累積曝露を示すために温度および他の周囲条件のモニタリングに有用なかかるインクおよびインクから調製した指示薬の調製を含む。
【0346】
本発明の指示薬インク、材料、およびデバイスを、必要に応じて、Martinらに付与された米国特許第7,209,042号の明細書および特許請求の範囲に記載の高周波同定(「RFID」タグ)で使用することができる。
【0347】
さらに、本発明の指示剤、指示薬インク、他の指示薬材料、および指示薬デバイスを、必要に応じて、例えば、Taylorらに付与された米国特許第7,490,575号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載のように、凍結指示薬または閾値指示薬または凍結指示薬と閾値指示薬との両方と組み合わせて使用することができる。凍結指示薬により、液体(例えば、水)の凝固点または凝固点付近への過去の曝露を不可逆的に表示することができる。閾値指示薬により、閾値温度を超える温度(例えば、室温を超える温度)への1回の過去の曝露を不可逆的に表示することができる。
【0348】
本発明の指示薬を、広範な腐敗性ホスト生成物の鮮度を保証するために有用に使用することができる。この生成物には、例として、以下が含まれる:腐敗性ヘルスケア製品(例えば、ワクチン、薬物、医薬、医薬品、医療機器、および予防薬);産業または治療用の生物材料(例えば、培地、臓器、および他のヒトまたは動物の身体の一部、血液、および腐敗性血液製剤;腐敗性物質を含む診断用のデバイス、キット、および成分;バッテリーならびにバッテリーを含むデバイスおよび器具;食品(生または調理済みの魚、肉、乳製品、果物、野菜、焼き菓子、およびデザートなどが含まれる);食品事業の製品(レストラン用食品が含まれる);グルメ製品;腐敗性動物性食品;切花および鉢植えの花;化粧品(例えば、生体物質または他の不安定成分を含む化粧品);美容助剤;腐敗性軍需品および武器;および腐敗性除染パックおよび製品。
【0349】
本発明の指示薬によってその鮮度をモニタリングすることができるさらなるホスト生成物は、Martinらの米国特許出願公開第US2007/0067177号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。その鮮度を本発明の指示薬によってモニタリングすることができるなおさらなるホスト生成物は、当業者に明らかであるか、明らかとなる。
【0350】
本発明の指示薬を、広範な熟成製品(果物、チーズ、およびワインなどが含まれる)の成熟度をモニタリングするために有用に使用することもできる。その成熟度を本発明の指示薬によってモニタリングすることができるさらなるホスト生成物は、Prusikらの米国特許出願公開第2006/0247967号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。その成熟度を本発明の指示薬によってモニタリングすることができるなおさらなるホスト生成物は、当業者に明らかであるか、明らかとなる。
【0351】
本明細書中に記載の新規のジアセチレン単量体組成物または混合物を、必要に応じて、活性指示剤として指示薬ラベルに取り込むことができる。指示薬ラベルを、ホスト生成物またはその包装に添付するか、そうでなければ、ホスト生成物またはホスト生成物のグループもしくは容器に組み合わせるか、いくつかの他の都合の良い形態に組み入れることができる。必要に応じて、ラベルは、ホスト生成物またはその包装に直接適用することができる粘着ラベルであり得る。
【0352】
本発明の指示剤を、ラベル、タグ、添付文書、または包装要素などの指示薬デバイスを得るためのコーティング、印刷、噴霧によるか、別の様式で適切な支持層への適用のためのインクに処方することができる。本発明の実施で使用することができるいくつかの適切なインク処方物および関連するテクノロジーは、米国特許出願公開第2008/0004372号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。ラベルまたは他の指示薬デバイスを、ホスト生成物への適用前に低温貯蔵において保持して、ジアセチレン単量体の望ましくない重合を防止することができる。
【0353】
本発明のジアセチレン単量体指示薬インクを、例えば、適切な支持層上のグラフィカルな画像の印刷によって迅速に使用して時間−温度指示薬を作製することができる。支持層は、ホスト生成物が容易に組み込まれるラベル、包装、または包装要素であり得る。本発明は、複数のラベルまたは包装などがシートまたは連続的なウェブ形状に印刷される実施形態を含む。他の有用な指示薬デバイスを、指示薬インクを使用して作製することもできる(ボタン、添付文書、タグ、およびRFIDタグなどが含まれる)。いくつかの実施形態では、ラベルまたは他の指示薬デバイスを、印刷または他の製作の直後にホスト生成物に組み合わせて、ホスト生成物の熱曝露を追跡またはモニタリングし始めることができる。
【0354】
活性なインクの潜在性の喪失を回避するために、必要に応じて指示薬デバイスをホスト生成物と組み合わせるまで、インク、ラベル、または他の指示薬デバイスを、冷蔵または他の適切な低温貯蔵に供することができ、その直後にホスト生成物の運命を追跡し、その熱曝露をモニタリングし始めるであろう。
【0355】
指示薬ラベルにより、ジアセチレン単量体組成物または混合物の重合に由来する変色が起り、この変色を、都合のよい観察距離でのヒト観察者(例えば、投与のためにワクチンを調製する医療専門家またはスーパーマーケットにおいて冷蔵されたディスプレイを見物する買い物客)によって把握することができる。
【0356】
したがって、本発明はまた、本明細書中に記載のように、その温度曝露をモニタリングするために組み合わされるかかる指示薬を有する指示薬ラベル、タグ、デバイス、包装、パッケージ、およびホスト生成物(生成物は反応性増強指示剤を取り込んでいる)を提供する。
【0357】
本明細書中に記載の新規の指示剤を使用する指示薬を、ホスト生成物に、任意の所望の様式で(例えば、接着、結紮、ルーピング、ホチキス止めによる)組み込むか、そうでなければ、所望のホスト生成物に指示薬を取り込んだラベルの添付によって組み込むか、ホスト生成物に直接か、ホスト生成物を含むパッケージか、複数のホスト生成物品目を含むパッケージ、ボックス、または容器に組み込むことができる。複数のホスト生成物品目は、同一の品目(例えば、西洋ナシ)または類似の成熟度または腐敗特性を有する異なる品目(例えば、一定の西洋ナシおよびバナナ)であり得る。
【0358】
一旦意図するホスト生成物に組み込まれると、指示薬は、ホスト生成物が曝露される熱または他の環境をモニタリングし始める。望ましくは、指示薬は、長期にわたる高温または別の環境刺激もしくはパラメーターへの所定の累積曝露後に変色することによって警告または用意されたメッセージを示す。指示剤の適切な選択により、比較的鋭い視覚的終点を得ることができる。
【0359】
援用した開示。本明細書中で具体的に参照したそれぞれおよびあらゆる米国特許および特許出願、各外国および国際特許公開、他の各公開、ならびに各未公開特許出願の全ての開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される。万が一、本明細書中の本発明の説明で使用した用語の意味および別の書類からの参照によって組み入れられた材料の使用が矛盾するようである場合、本明細書中で使用した意味を優先することを意図する。
【0360】
上記の詳細な説明は、先行する背景および発明の概要を考慮し、且つ組み合わせて読むべきであり、当業者に明らかなように、この背景および概要で、本発明を実施するための最良の形態、または本発明の修正形態、変更形態、もしくは有用な実施形態に関する部分的または完全な情報を記載または示唆することもできる。本発明(he invention)の説明は、本発明の種々の要素およびその開示または示唆される変更形態(明細書または図面に記載の1つまたは複数の種々の方法、生成物、組成物、系、装置、機器、態様、実施形態、実施例のいずれかで開示、意図、または示唆される変更形態が含まれる)の組み合わせを含むと理解されることを意図し、いくらかでもある場合、本発明に適合しないか目的に反することが当業者に明らかであるか明らかとなる要素の群または組み合わせを除き、任意の他の書面または図面に記載の本発明または本発明の可能な実施の要素の組み合わせまたは群を含むことを意図する。
【0361】
記載を通して、組成物が、特定の要素を有するか、包含するか、含むと記載する場合、または、過程が特定の工程を有するか、包含するか、含むと記載する場合、本発明の組成物はまた、引用した成分から本質的になるか、引用した成分からなることができ、本発明の過程はまた、引用した処理工程から本質的になるか、引用した処理工程からなることができることが意図される。本発明を利用可能である限り、工程の順序または一定の行為の実施順序は重要でないと理解すべきである。さらに、2つ以上の工程または行為を同時に行うことができる。さらに、文脈上他の意味を示さない限り、本明細書中に引用した全ての割合は、関連組成物の重量に基づいて重量比であると理解すべきである。
【0362】
本発明の例示的実施形態を上に記載しているが、勿論、上記説明を考慮して、多種多様な修正形態が関連分野の当業者に明らかであるか、技術の進歩に伴って明らかになるようになり得ると理解される。かかる修正形態は、本明細書中に開示の本発明の精神および範囲内であることが意図される。
(項目1) 第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各上記単量体が、式:
【0363】
【化4】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、上記回折スペクトルが約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間に3つの反射ピークを有し、
上記3つの反射ピークが約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
上記固体単量体組成物が、変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
(項目2) 上記X線粉末回折スペクトルは、上記長間隔ピークと上記中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れており、上記中間隔ピークと上記短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れている、項目1に記載の固体単量体組成物。
(項目3) 上記3つの反射ピークが約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり、上記中間隔ピークの強度が上記長間隔ピークまたは上記短間隔ピークのいずれかの強度より高い、項目1に記載の固体単量体組成物。
(項目4) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約3:1〜約1:1の範囲である、項目1、2、または3に記載の固体単量体組成物。
(項目5) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目4に記載の固体単量体組成物。
(項目6) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約1:1である、項目4に記載の固体単量体組成物。
(項目7) 上記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、上記最長の間隔ピークおよび上記2番目に長い間隔ピークがそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットピークである、項目5に記載の固体単量体組成物。
(項目8) 第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0364】
【化5】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、上記回折スペクトルが約4.40Åのd間隔と約3.95Åのd間隔との間の2つの反射ピークを有し、
上記2つの反射ピークが約4.43Å〜約4.37Åの範囲のd間隔での長間隔ピークおよび約3.99Å〜約3.92Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
上記単量体組成物が変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
(項目9) 上記2つの反射ピークが約4.43Å〜約3.92Åの回折間隔範囲で最高強度のピークであり、上記2つのピークの強度が類似している、項目8に記載の固体単量体組成物。
(項目10) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目8または9に記載の固体単量体組成物。
(項目11) 上記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、上記最長の間隔ピークおよび上記2番目に長い間隔ピークが本質的にそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットである、項目10に記載の固体単量体組成物。
(項目12) 第1の単量体および第2の単量体を含む熱重合性の共結晶化した固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0365】
【化6】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、
上記最長の間隔ピークおよび上記2番目に長い間隔ピークが本質的にシングレットであり、
上記2番目に長い間隔ピークが上記最長の間隔ピークのd間隔の約半分のd間隔である、固体単量体組成物。
(項目13) 上記最長の間隔ピークが約16.4Å〜約20.1Åのd間隔である、項目12に記載の固体単量体組成物。
(項目14) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目12または13に記載の固体単量体組成物。
(項目15) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約1:1である、項目12に記載の固体単量体組成物。
(項目16) 第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0366】
【化7】
を有し、式中、
上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
上記固体単量体組成物が、交差分極マジック角固体NMRを使用して特徴付けた場合にsp炭素原子について4つの異なる13C化学シフトを示し得るポリマー生成物を提供するために固体で重合可能であり、
上記ポリマー生成物が上記固体単量体組成物由来の変化した外観を有する、固体単量体組成物。
(項目17) 上記4つの13C化学シフトが約106ppm、約102ppm、約99ppm、および約97ppmで観察可能である、項目16に記載の固体単量体組成物。
(項目18) 上記固体ポリマー生成物が、交差分極マジック角固体NMRを使用して特徴付けた場合に約131ppmおよび約128ppmでsp2炭素原子について2つの13C化学シフトを示すことができる、項目16に記載の固体単量体組成物。
(項目19) 上記第1の単量体 対 上記第2の単量体の重量比が約2:1である、項目16、17、または18に記載の固体単量体組成物。
(項目20) 第1の単量体および第2の単量体を含む共結晶化した固体単量体組成物であって、各上記単量体は、式:
【0367】
【化8】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つが、それぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なり、
上記単量体組成物がほぼ一結晶方向にて単量体スタック中で重合することができる結晶相を含み、
上記単量体スタックのうちの少なくとも1つが上記第1の単量体および上記第2の単量体の分子の混合物を含む、固体単量体組成物。
(項目21) m3が2である、項目20に記載の固体単量体組成物。
(項目22) 上記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、上記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、項目20または21に記載の固体単量体組成物。
(項目23) 第1の結晶相および第2の結晶相を含む結晶相組成物であって、上記第1の結晶相が少なくとも約20重量%の第1の単量体を含み、残りは第2の単量体から本質的になり、上記第2の結晶相が少なくとも約20重量%の上記第2の単量体を含み、残りは上記第1の単量体から本質的になり、上記第1の単量体および上記第2の単量体が、式:
【0368】
【化9】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5のうちの少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なる、結晶相組成物。
(項目24) m3が2である、項目23に記載の結晶相組成物。
(項目25) 上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、項目23に記載の結晶相組成物。
(項目26) 上記第1の結晶相が少なくとも約50重量%の上記第1の単量体を含み、上記第2の結晶相が少なくとも約50重量%の上記第2の単量体を含む、項目23、24、または25に記載の結晶相組成物。
(項目27) 第1の単量体単位および第2の単量体単位を含むコポリマー鎖を含むコポリマー組成物であって、各上記単量体単位が、重合前に、以下の式:
【0369】
【化10】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なる、コポリマー組成物。
(項目28) m3が2である、項目27に記載のコポリマー組成物。
(項目29) 上記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、上記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、項目28に記載のコポリマー組成物。
(項目30) 所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を、上記アセチレン組成物の結晶の構造周期性および上記構造周期性に関連する回折間隔の調整によって作製する方法であって、上記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各上記単量体が、式:
【0370】
【化11】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
上記第1の単量体および上記第2の単量体の合わせた重量に基づいて上記第1の単量体の重量比を選択して所望の回折間隔を得る工程、および
混合した上記第1の単量体および上記第2の単量体を溶液から共結晶化して上記固体結晶性アセチレン組成物を得る工程
を含み、
混合によってCuKα1放射線を使用して収集した上記固体結晶性アセチレン組成物のX線粉末回折スペクトル中に最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークが得られ、各上記回折ピークは、本質的に、上記第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化すると、ほぼ線形に回折間隔がシフトするシングレットピークである、方法。
(項目31) m3が2である、項目30に記載の方法。
(項目32) 上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、項目30または31に記載の方法。
(項目33) 所望の変色熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物の作製方法であって、上記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各単量体が、式:
【0371】
【化12】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
上記第1の単量体および上記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、上記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ上記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
混合した上記単量体を溶液から共結晶化して上記固体組成物を得る工程、
高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルによって上記固体組成物中で得ることができる高反応性相を同定する工程、および
上記固体組成物中の上記高反応性相の重量比を調節して所望の熱反応性を得る工程
を含む、方法。
(項目34) 上記固体組成物が本質的にシングレットの最も小さい角度の回折ピークおよび本質的にシングレットの2番目に小さい角度の回折ピークを有するCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができるように混合する工程であって、上記最も小さい角度の回折ピークおよび上記2番目に小さい角度の回折ピークに関連する各回折間隔が、上記第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化するとほぼ線形にシフトする、工程、および
上記最も小さい角度の回折ピークおよび上記2番目に小さい角度の回折ピークについての所望の熱反応性に関連する回折間隔を得るのに有効な上記第1の単量体の重量比を選択する工程
を含む、項目33に記載の方法。
(項目35) 上記高反応性相の重量比を調節するために結晶化溶媒および結晶化のための冷却速度を選択する工程を含む、項目33または34に記載の方法。
(項目36) m3が2である、項目33、34、または35に記載の方法。
(項目37) 上記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、上記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、項目33、34、または35に記載の方法。
(項目38) 腐敗性ホスト生成物の温度への累積曝露をモニタリングするための環境条件指示薬の作製方法であって、上記ホスト生成物が表示すべき所望の鮮度点を有し、且つ上記環境条件指示薬が環境条件に応答する変色指示剤を含み、上記方法が、
上記指示剤について、上記環境条件に対する上記指示剤の時間関連応答についての所望の変色プロフィールを決定する工程、
上記指示剤の変色プロフィールから上記ホスト生成物の鮮度点にほぼ対応する終点を決定する工程、および
上記指示剤として使用するために、所望の指示剤の変色プロフィールに関連する回折特徴を有するジアセチレン単量体組成物を選択する工程
を含む、方法。
(項目39) 上記回折特徴が回折スペクトル強度および3Åより長い回折間隔を含む、項目38に記載の方法。
(項目40) 上記回折特徴をジアセチレン指示薬組成物の粉末に対して決定する、項目39に記載の方法。
(項目41) 上記回折特徴が項目1、2、または3に定義した回折スペクトルを含む、項目38、39、または40に記載の方法。
(項目42) 上記環境条件が温度である、項目38、39、または40のいずれか1項に記載の方法。
(項目43) 第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を含む変色性共結晶化ジアセチレン単量体組成物の反応性を調節するための方法であって、上記第1のジアセチレン単量体および上記第2のジアセチレン単量体が、式:
【0372】
【化13】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各ジアセチレン単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
一方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの1つはそれぞれ他方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの他の1つと異なり、上記方法は、
上記第1のジアセチレン単量体および上記第2のジアセチレン単量体を溶媒系中にて少なくとも約60℃の高温で溶解する工程、
上記溶液を、少なくとも約1時間を必要とする冷却速度で約60℃から約30℃に冷却する工程、
上記冷却溶液から上記ジアセチレン単量体組成物の結晶を回収する工程、および
回収された上記結晶の変色反応性を決定する工程
を含む、方法。
(項目44) 所望の変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物の結晶を得るために上記溶媒系を選択する工程を含む、項目43に記載の方法。
(項目45) 上記高温が少なくとも70℃であり、上記溶液を約60℃から約30℃に冷却する工程には少なくとも90分間必要である、項目43に記載の方法。
(項目46) 熱水浴を使用して上記第1の単量体および上記第2のジアセチレン単量体の溶解のための上記高温を提供し、上記水浴を室温環境中で受動的に冷却することによって上記水浴上で上記溶液を冷却する工程を含む、項目43に記載の方法。
(項目47) 回収された上記結晶の回折スペクトルの試験によって回収された上記結晶の上記変色反応性を決定する工程を含む、項目43、44、45、または46に記載の方法。
(項目48) 項目30、31、33、または34に記載の方法によって生成された結晶組成物。
(項目49) 項目43または44に記載の方法によって生成された共結晶化ジアセチレン単量体組成物。
(項目50) 項目1、8、12、16、20、21、23、または27に記載の組成物を含む時間−温度指示薬。
(項目51) 項目38、39、または40に記載の方法によって作製された環境条件指示薬。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各前記単量体が、式:
【化4】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記回折スペクトルが約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間に3つの反射ピークを有し、
前記3つの反射ピークが約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
前記固体単量体組成物が、変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
【請求項2】
前記X線粉末回折スペクトルは、前記長間隔ピークと前記中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れており、前記中間隔ピークと前記短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れている、請求項1に記載の固体単量体組成物。
【請求項3】
前記3つの反射ピークが約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり、前記中間隔ピークの強度が前記長間隔ピークまたは前記短間隔ピークのいずれかの強度より高い、請求項1に記載の固体単量体組成物。
【請求項4】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約3:1〜約1:1の範囲である、請求項1、2、または3に記載の固体単量体組成物。
【請求項5】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項4に記載の固体単量体組成物。
【請求項6】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約1:1である、請求項4に記載の固体単量体組成物。
【請求項7】
前記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、前記最長の間隔ピークおよび前記2番目に長い間隔ピークがそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットピークである、請求項5に記載の固体単量体組成物。
【請求項8】
第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化5】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記回折スペクトルが約4.40Åのd間隔と約3.95Åのd間隔との間の2つの反射ピークを有し、
前記2つの反射ピークが約4.43Å〜約4.37Åの範囲のd間隔での長間隔ピークおよび約3.99Å〜約3.92Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
前記単量体組成物が変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
【請求項9】
前記2つの反射ピークが約4.43Å〜約3.92Åの回折間隔範囲で最高強度のピークであり、前記2つのピークの強度が類似している、請求項8に記載の固体単量体組成物。
【請求項10】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項8または9に記載の固体単量体組成物。
【請求項11】
前記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、前記最長の間隔ピークおよび前記2番目に長い間隔ピークが本質的にそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットである、請求項10に記載の固体単量体組成物。
【請求項12】
第1の単量体および第2の単量体を含む熱重合性の共結晶化した固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化6】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物は、CuKα1放射線を使用して収集されたX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、
前記最長の間隔ピークおよび前記2番目に長い間隔ピークが本質的にシングレットであり、
前記2番目に長い間隔ピークが前記最長の間隔ピークのd間隔の約半分のd間隔である、固体単量体組成物。
【請求項13】
前記最長の間隔ピークが約16.4Å〜約20.1Åのd間隔である、請求項12に記載の固体単量体組成物。
【請求項14】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項12または13に記載の固体単量体組成物。
【請求項15】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約1:1である、請求項12に記載の固体単量体組成物。
【請求項16】
第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化7】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物が、ポリマー生成物と前記固体単量体組成物とを交差分極マジック角固体核磁気共鳴分光を使用して特徴付けた場合に、前記固体単量体組成物と比較すると、sp炭素原子について4つの異なる13C化学シフトを示し得るポリマー生成物を提供するために固体で重合可能であり、
前記ポリマー生成物が前記固体単量体組成物由来の変化した外観を有する、固体単量体組成物。
【請求項17】
前記4つの13C化学シフトが約106ppm、約102ppm、約99ppm、および約97ppmで観察可能である、請求項16に記載の固体単量体組成物。
【請求項18】
前記固体ポリマー生成物が、交差分極マジック角固体核磁気共鳴分光を使用して特徴付けた場合に約131ppmおよび約128ppmでsp2炭素原子について2つの13C化学シフトを示すことができる、請求項16に記載の固体単量体組成物。
【請求項19】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項16、17、または18に記載の固体単量体組成物。
【請求項20】
第1の単量体および第2の単量体を含む共結晶化した固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化8】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つが、それぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なり、
前記単量体組成物がほぼ一結晶方向にて単量体スタック中で重合することができる結晶相を含み、
前記単量体スタックのうちの少なくとも1つが前記第1の単量体および前記第2の単量体の分子の混合物を含む、固体単量体組成物。
【請求項21】
m3が2である、請求項20に記載の固体単量体組成物。
【請求項22】
前記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、前記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、請求項20または21に記載の固体単量体組成物。
【請求項23】
第1の結晶相および第2の結晶相を含む結晶相組成物であって、前記第1の結晶相が少なくとも約20重量%の第1の単量体を含み、残りは第2の単量体から本質的になり、前記第2の結晶相が少なくとも約20重量%の前記第2の単量体を含み、残りは前記第1の単量体から本質的になり、前記第1の単量体および前記第2の単量体が、式:
【化9】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5のうちの少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なり、
固体単量体組成物は、シングレットピークである最長の間隔ピークおよびショルダーピークまたはダブレットピークである2番目に長い間隔ピークを有するX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記回折スペクトルは、CuKα1放射線を使用して収集される、
結晶相組成物。
【請求項24】
m3が2である、請求項23に記載の結晶相組成物。
【請求項25】
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、請求項23に記載の結晶相組成物。
【請求項26】
前記第1の結晶相が少なくとも約50重量%の前記第1の単量体を含み、前記第2の結晶相が少なくとも約50重量%の前記第2の単量体を含む、請求項23、24、または25に記載の結晶相組成物。
【請求項27】
第1の単量体単位および第2の単量体単位を含むコポリマー鎖を含むコポリマー組成物であって、各前記単量体単位が、重合前に、以下の式:
【化10】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なる、コポリマー組成物。
【請求項28】
m3が2である、請求項27に記載のコポリマー組成物。
【請求項29】
前記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、前記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、請求項28に記載のコポリマー組成物。
【請求項30】
所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を、前記アセチレン組成物の結晶の構造周期性および前記構造周期性に関連する回折間隔の調整によって作製する方法であって、前記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各前記単量体が、式:
【化11】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
前記第1の単量体および前記第2の単量体の合わせた重量に基づいて前記第1の単量体の重量比を選択して所望の回折間隔を得る工程、および
混合した前記第1の単量体および前記第2の単量体を溶液から共結晶化して前記固体結晶性アセチレン組成物を得る工程
を含み、
混合によってCuKα1放射線を使用して収集した前記固体結晶性アセチレン組成物のX線粉末回折スペクトル中に最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークが得られ、各前記回折ピークは、本質的に、前記第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化すると、ほぼ線形に回折間隔がシフトするシングレットピークである、方法。
【請求項31】
m3が2である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
所望の変色熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物の作製方法であって、前記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各単量体が、式:
【化12】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
混合した前記単量体を溶液から共結晶化して前記固体組成物を得る工程、
高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルによって前記固体組成物中で得ることができる高反応性相を同定する工程、および
前記固体組成物中の前記高反応性相の重量比を調節して所望の熱反応性を得る工程
を含む、方法。
【請求項34】
前記固体組成物が本質的にシングレットの最も小さい角度の回折ピークおよび本質的にシングレットの2番目に小さい角度の回折ピークを有するCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができるように混合する工程であって、前記最も小さい角度の回折ピークおよび前記2番目に小さい角度の回折ピークに関連する各回折間隔が、全単量体組成に対する前記第1の単量体の重量比が変化するとほぼ線形にシフトする、工程、および
前記最も小さい角度の回折ピークおよび前記2番目に小さい角度の回折ピークについての所望の熱反応性に関連する回折間隔を得るのに有効な前記第1の単量体の重量比を選択する工程
を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記高反応性相の重量比を調節するために結晶化溶媒および結晶化のための冷却速度を選択する工程を含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
m3が2である、請求項33、34、または35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、請求項33、34、または35に記載の方法。
【請求項38】
腐敗性ホスト生成物の温度への累積曝露をモニタリングするための環境条件指示薬の作製方法であって、前記ホスト生成物が表示すべき所望の鮮度点を有し、且つ前記環境条件指示薬が環境条件に応答する変色指示剤を含み、前記方法が、
前記指示剤について、前記環境条件に対する前記指示剤の時間関連応答についての所望の変色プロフィールを決定する工程、
前記指示剤の変色プロフィールから前記ホスト生成物の鮮度点にほぼ対応する終点を決定する工程、および
前記指示剤として使用するために、所望の指示剤の変色プロフィールに関連する回折特徴を有するジアセチレン単量体組成物を選択する工程
を含み、ここで、
前記回折特徴は、約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間に3つの反射ピークを含み、前記3つの反射ピークは、約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含む、
方法。
【請求項39】
前記回折特徴において、前記長間隔ピークと前記中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れており、前記中間隔ピークと前記短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記回折特徴をジアセチレン指示薬組成物の粉末に対して決定する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記3つの反射ピークが約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり、前記中間隔ピークの強度が前記長間隔ピークまたは前記短間隔ピークのいずれかの強度より高い、請求項38、39、または40に記載の方法。
【請求項42】
前記環境条件が温度である、請求項38、39、または40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を含む変色性共結晶化ジアセチレン単量体組成物の反応性を調節するための方法であって、前記第1のジアセチレン単量体および前記第2のジアセチレン単量体が、式:
【化13】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各ジアセチレン単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
一方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの1つはそれぞれ他方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの他の1つと異なり、前記方法は、
前記第1のジアセチレン単量体および前記第2のジアセチレン単量体を溶媒系中にて少なくとも約60℃の高温で溶解する工程、
前記溶液を、少なくとも約1時間を必要とする冷却速度で約60℃から約30℃に冷却する工程、
前記冷却溶液から前記ジアセチレン単量体組成物の結晶を回収する工程、および
回収された前記結晶の変色反応性を決定する工程
を含む、方法。
【請求項44】
所望の変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物の結晶を得るために前記溶媒系を選択する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記高温が少なくとも70℃であり、前記溶液を約60℃から約30℃に冷却する工程には少なくとも90分間必要である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
熱水浴を使用して前記第1の単量体および前記第2のジアセチレン単量体の溶解のための前記高温を提供し、前記水浴を室温環境中で受動的に冷却することによって前記水浴上で前記溶液を冷却する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
回収された前記結晶の回折スペクトルの試験によって回収された前記結晶の前記変色反応性を決定する工程を含む、請求項43、44、45、または46に記載の方法。
【請求項48】
請求項30、31、33、または34に記載の方法によって生成された結晶組成物。
【請求項49】
請求項43または44に記載の方法によって生成された共結晶化ジアセチレン単量体組成物。
【請求項50】
請求項1、8、12、16、20、21、23、または27に記載の組成物を含む時間−温度指示薬。
【請求項51】
請求項38、39、または40に記載の方法によって作製された環境条件指示薬。
【請求項1】
第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各前記単量体が、式:
【化4】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記回折スペクトルが約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間に3つの反射ピークを有し、
前記3つの反射ピークが約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
前記固体単量体組成物が、変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
【請求項2】
前記X線粉末回折スペクトルは、前記長間隔ピークと前記中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れており、前記中間隔ピークと前記短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れている、請求項1に記載の固体単量体組成物。
【請求項3】
前記3つの反射ピークが約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり、前記中間隔ピークの強度が前記長間隔ピークまたは前記短間隔ピークのいずれかの強度より高い、請求項1に記載の固体単量体組成物。
【請求項4】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約3:1〜約1:1の範囲である、請求項1、2、または3に記載の固体単量体組成物。
【請求項5】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項4に記載の固体単量体組成物。
【請求項6】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約1:1である、請求項4に記載の固体単量体組成物。
【請求項7】
前記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、前記最長の間隔ピークおよび前記2番目に長い間隔ピークがそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットピークである、請求項5に記載の固体単量体組成物。
【請求項8】
第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化5】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物がCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記回折スペクトルが約4.40Åのd間隔と約3.95Åのd間隔との間の2つの反射ピークを有し、
前記2つの反射ピークが約4.43Å〜約4.37Åの範囲のd間隔での長間隔ピークおよび約3.99Å〜約3.92Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含み、
前記単量体組成物が変化した外観を有するように熱重合性である、固体単量体組成物。
【請求項9】
前記2つの反射ピークが約4.43Å〜約3.92Åの回折間隔範囲で最高強度のピークであり、前記2つのピークの強度が類似している、請求項8に記載の固体単量体組成物。
【請求項10】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項8または9に記載の固体単量体組成物。
【請求項11】
前記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、前記最長の間隔ピークおよび前記2番目に長い間隔ピークが本質的にそれぞれ約17.80Åおよび約8.91Åのd間隔でのシングレットである、請求項10に記載の固体単量体組成物。
【請求項12】
第1の単量体および第2の単量体を含む熱重合性の共結晶化した固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化6】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物は、CuKα1放射線を使用して収集されたX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記X線粉末回折スペクトルが最長の間隔ピークおよび2番目に長い間隔ピークを含み、
前記最長の間隔ピークおよび前記2番目に長い間隔ピークが本質的にシングレットであり、
前記2番目に長い間隔ピークが前記最長の間隔ピークのd間隔の約半分のd間隔である、固体単量体組成物。
【請求項13】
前記最長の間隔ピークが約16.4Å〜約20.1Åのd間隔である、請求項12に記載の固体単量体組成物。
【請求項14】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項12または13に記載の固体単量体組成物。
【請求項15】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約1:1である、請求項12に記載の固体単量体組成物。
【請求項16】
第1の単量体および第2の単量体を含む固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化7】
を有し、式中、
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、
前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2であり、
前記固体単量体組成物が、ポリマー生成物と前記固体単量体組成物とを交差分極マジック角固体核磁気共鳴分光を使用して特徴付けた場合に、前記固体単量体組成物と比較すると、sp炭素原子について4つの異なる13C化学シフトを示し得るポリマー生成物を提供するために固体で重合可能であり、
前記ポリマー生成物が前記固体単量体組成物由来の変化した外観を有する、固体単量体組成物。
【請求項17】
前記4つの13C化学シフトが約106ppm、約102ppm、約99ppm、および約97ppmで観察可能である、請求項16に記載の固体単量体組成物。
【請求項18】
前記固体ポリマー生成物が、交差分極マジック角固体核磁気共鳴分光を使用して特徴付けた場合に約131ppmおよび約128ppmでsp2炭素原子について2つの13C化学シフトを示すことができる、請求項16に記載の固体単量体組成物。
【請求項19】
前記第1の単量体 対 前記第2の単量体の重量比が約2:1である、請求項16、17、または18に記載の固体単量体組成物。
【請求項20】
第1の単量体および第2の単量体を含む共結晶化した固体単量体組成物であって、各前記単量体は、式:
【化8】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つが、それぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なり、
前記単量体組成物がほぼ一結晶方向にて単量体スタック中で重合することができる結晶相を含み、
前記単量体スタックのうちの少なくとも1つが前記第1の単量体および前記第2の単量体の分子の混合物を含む、固体単量体組成物。
【請求項21】
m3が2である、請求項20に記載の固体単量体組成物。
【請求項22】
前記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、前記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、請求項20または21に記載の固体単量体組成物。
【請求項23】
第1の結晶相および第2の結晶相を含む結晶相組成物であって、前記第1の結晶相が少なくとも約20重量%の第1の単量体を含み、残りは第2の単量体から本質的になり、前記第2の結晶相が少なくとも約20重量%の前記第2の単量体を含み、残りは前記第1の単量体から本質的になり、前記第1の単量体および前記第2の単量体が、式:
【化9】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5のうちの少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なり、
固体単量体組成物は、シングレットピークである最長の間隔ピークおよびショルダーピークまたはダブレットピークである2番目に長い間隔ピークを有するX線粉末回折スペクトルを示すことができ、前記回折スペクトルは、CuKα1放射線を使用して収集される、
結晶相組成物。
【請求項24】
m3が2である、請求項23に記載の結晶相組成物。
【請求項25】
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、請求項23に記載の結晶相組成物。
【請求項26】
前記第1の結晶相が少なくとも約50重量%の前記第1の単量体を含み、前記第2の結晶相が少なくとも約50重量%の前記第2の単量体を含む、請求項23、24、または25に記載の結晶相組成物。
【請求項27】
第1の単量体単位および第2の単量体単位を含むコポリマー鎖を含むコポリマー組成物であって、各前記単量体単位が、重合前に、以下の式:
【化10】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1および1以下だけ異なる、コポリマー組成物。
【請求項28】
m3が2である、請求項27に記載のコポリマー組成物。
【請求項29】
前記第1の単量体中のm1およびm5が1であり、前記第2の単量体中では2であり、m2およびm4は共に1である、請求項28に記載のコポリマー組成物。
【請求項30】
所望の熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物を、前記アセチレン組成物の結晶の構造周期性および前記構造周期性に関連する回折間隔の調整によって作製する方法であって、前記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各前記単量体が、式:
【化11】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
前記第1の単量体および前記第2の単量体の合わせた重量に基づいて前記第1の単量体の重量比を選択して所望の回折間隔を得る工程、および
混合した前記第1の単量体および前記第2の単量体を溶液から共結晶化して前記固体結晶性アセチレン組成物を得る工程
を含み、
混合によってCuKα1放射線を使用して収集した前記固体結晶性アセチレン組成物のX線粉末回折スペクトル中に最も小さい角度および2番目に小さい角度の回折ピークが得られ、各前記回折ピークは、本質的に、前記第1の単量体組成 対 全単量体組成の重量比が変化すると、ほぼ線形に回折間隔がシフトするシングレットピークである、方法。
【請求項31】
m3が2である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
所望の変色熱反応性を有する固体結晶性アセチレン組成物の作製方法であって、前記方法は、
第1の単量体および第2の単量体を混合する工程であって、各単量体が、式:
【化12】
を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
前記第1の単量体および前記第2の単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、前記第1の単量体中のm1およびm5の少なくとも1つがそれぞれ前記第2の単量体中のm1またはm5と、1だけ異なる、工程、
混合した前記単量体を溶液から共結晶化して前記固体組成物を得る工程、
高反応性相に特徴的なX線粉末回折スペクトルによって前記固体組成物中で得ることができる高反応性相を同定する工程、および
前記固体組成物中の前記高反応性相の重量比を調節して所望の熱反応性を得る工程
を含む、方法。
【請求項34】
前記固体組成物が本質的にシングレットの最も小さい角度の回折ピークおよび本質的にシングレットの2番目に小さい角度の回折ピークを有するCuKα1放射線を使用して収集したX線粉末回折スペクトルを示すことができるように混合する工程であって、前記最も小さい角度の回折ピークおよび前記2番目に小さい角度の回折ピークに関連する各回折間隔が、全単量体組成に対する前記第1の単量体の重量比が変化するとほぼ線形にシフトする、工程、および
前記最も小さい角度の回折ピークおよび前記2番目に小さい角度の回折ピークについての所望の熱反応性に関連する回折間隔を得るのに有効な前記第1の単量体の重量比を選択する工程
を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記高反応性相の重量比を調節するために結晶化溶媒および結晶化のための冷却速度を選択する工程を含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
m3が2である、請求項33、34、または35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の単量体中のm1およびm5は共に1であり、前記第2の単量体中のm1およびm5は共に2である、請求項33、34、または35に記載の方法。
【請求項38】
腐敗性ホスト生成物の温度への累積曝露をモニタリングするための環境条件指示薬の作製方法であって、前記ホスト生成物が表示すべき所望の鮮度点を有し、且つ前記環境条件指示薬が環境条件に応答する変色指示剤を含み、前記方法が、
前記指示剤について、前記環境条件に対する前記指示剤の時間関連応答についての所望の変色プロフィールを決定する工程、
前記指示剤の変色プロフィールから前記ホスト生成物の鮮度点にほぼ対応する終点を決定する工程、および
前記指示剤として使用するために、所望の指示剤の変色プロフィールに関連する回折特徴を有するジアセチレン単量体組成物を選択する工程
を含み、ここで、
前記回折特徴は、約4.28Åのd間隔と約3.81Åのd間隔との間に3つの反射ピークを含み、前記3つの反射ピークは、約4.28Å〜約4.18Åの範囲のd間隔での長間隔ピーク、約4.11Å〜約3.99Åの範囲のd間隔での中間隔ピーク、および約3.94Å〜約3.81Åの範囲のd間隔での短間隔ピークを含む、
方法。
【請求項39】
前記回折特徴において、前記長間隔ピークと前記中間隔ピークとの間が約0.10Å〜約0.27Å離れており、前記中間隔ピークと前記短間隔ピークとの間が約0.07Å〜約0.26Å離れている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記回折特徴をジアセチレン指示薬組成物の粉末に対して決定する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記3つの反射ピークが約4.28Åと3.81Åとの間の回折間隔範囲について最高強度のピークであり、前記中間隔ピークの強度が前記長間隔ピークまたは前記短間隔ピークのいずれかの強度より高い、請求項38、39、または40に記載の方法。
【請求項42】
前記環境条件が温度である、請求項38、39、または40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
第1のジアセチレン単量体および第2のジアセチレン単量体を含む変色性共結晶化ジアセチレン単量体組成物の反応性を調節するための方法であって、前記第1のジアセチレン単量体および前記第2のジアセチレン単量体が、式:
【化13】
の異なる分子構造を有し、式中、
m1は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
m2は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m3は2〜4の範囲の正の整数であり、
m4は1〜約10の範囲の正の整数であり、
m5は0であるか、1〜約17の範囲の正の整数であり、
2つの各ジアセチレン単量体中のm2、m3、およびm4は同一の整数であり、
一方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの1つはそれぞれ他方のジアセチレン単量体中のm1またはm5のうちの他の1つと異なり、前記方法は、
前記第1のジアセチレン単量体および前記第2のジアセチレン単量体を溶媒系中にて少なくとも約60℃の高温で溶解する工程、
前記溶液を、少なくとも約1時間を必要とする冷却速度で約60℃から約30℃に冷却する工程、
前記冷却溶液から前記ジアセチレン単量体組成物の結晶を回収する工程、および
回収された前記結晶の変色反応性を決定する工程
を含む、方法。
【請求項44】
所望の変色反応性を有するジアセチレン単量体組成物の結晶を得るために前記溶媒系を選択する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記高温が少なくとも70℃であり、前記溶液を約60℃から約30℃に冷却する工程には少なくとも90分間必要である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
熱水浴を使用して前記第1の単量体および前記第2のジアセチレン単量体の溶解のための前記高温を提供し、前記水浴を室温環境中で受動的に冷却することによって前記水浴上で前記溶液を冷却する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
回収された前記結晶の回折スペクトルの試験によって回収された前記結晶の前記変色反応性を決定する工程を含む、請求項43、44、45、または46に記載の方法。
【請求項48】
請求項30、31、33、または34に記載の方法によって生成された結晶組成物。
【請求項49】
請求項43または44に記載の方法によって生成された共結晶化ジアセチレン単量体組成物。
【請求項50】
請求項1、8、12、16、20、21、23、または27に記載の組成物を含む時間−温度指示薬。
【請求項51】
請求項38、39、または40に記載の方法によって作製された環境条件指示薬。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10D】
【図17】
【図19】
【図23】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10D】
【図17】
【図19】
【図23】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2012−522054(P2012−522054A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503513(P2012−503513)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028500
【国際公開番号】WO2010/114752
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(502318881)テンプタイム コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028500
【国際公開番号】WO2010/114752
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(502318881)テンプタイム コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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