説明

具入り大福の販売方法

【課題】購入者が食べる直前に具と大福とを一体化できる販売方法を提供する。
【解決手段】
空洞部を設けた大福と、具とを陳列し、購入希望者の注文を受けた後、大福の空洞部に具を押し込み一体化して販売する。これにより、餡や餅が水分を吸って水っぽくなることを防ぐことができる。さらに、空洞部の開口を遮蔽部材で遮蔽しておき、大福の空洞部に具を押し込む直前に当該遮蔽部材を取り除くことで大福内部の乾燥を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空洞部を開けた大福に具を入れて一体化して販売する具入り大福の販売方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イチゴ大福に代表されるように、具としてイチゴ、ミカン、ブルーベリー、バナナ等の果実を大福で包んだ和菓子が知られている。
このような具入り大福としては、餅の中に小豆やクリーム等の餡を入れたものや、あるいは餡を使わずに果実と餅のみを使用するもの、具として冷凍や乾燥させた果実を使用するもの等、多くの種類が知られている。
【0003】
また、具を大福で包むのではなく、大福の上部に設けた窪みに載せたものも多数知られている(特許文献1参照)。
具として生鮮食品である果実を使用する場合には冬から春にかけての季節限定商品として販売されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−068787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の具入り大福では以下のような問題があった。
すなわち、予め製造工場等においてイチゴ等の具を大福で包むなどして完成品としたのち、これらを店舗に搬送し、店頭販売を行っている。
つまり、製造工場で具を大福で包んで完成品とした後、店頭で販売され、購入者が実際に食べるまでに時間がかかるために、時間の経過と共に次第に具から水分が出てしまい、餡や餅がこの水分を吸って水っぽくなったり、水分が餅から漏れだしてしまうという問題があった。
また、食品衛生上、食品に水分が付着した状態が長時間続くのは好ましくなく、具の鮮度の低下や風味の低下を招くという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑み、具と大福とを別体にしておき、購入者が食べる直前に具と大福とを一体化できる販売方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
本発明の具入り大福の販売方法は、空洞部を設けた大福と、具と組み合わせて販売することを特徴とする。
(請求項2)
また、空洞部を設けた大福と、具とを陳列し、購入希望者の注文を受けた後、大福の空洞部に具を押し込み一体化して販売することを特徴とする。
(請求項3)
また、空洞部の開口が遮蔽部材により遮蔽されており、大福の空洞部に具を押し込む直前に当該遮蔽部材を取り除くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食べる直前に具を空洞部に押し込んで一体化させるので、餡や餅が具から出た水分を吸って水っぽくなることを防ぐことができる。
例えば店舗販売の場合には、販売者が購入希望者(客)の注文を受けた後で大福と具を一体化させ、速やかに客に提供できるので、餡や餅が水分を吸って水っぽくなることを防ぐことができる。
陳列状態の具から水分が出た場合でも、この水分は陳列皿などの中に残るので、餅や餡に具の水分が付着することを防止でき、みずみずしい状態の具を大福と共に賞味することができる。
【0009】
また、大福の上部に具を載せるのではなく、大福に設けた空洞部に具を押し込んで具と大福とを一体化させるので、一口で大福と具の両方の味覚を同時に確実に味わうことができる。
なお、本発明において空洞部とは大福の表面から内部にまで至る穴を指すものであり、単に大福の表面に窪みを設けただけの場合は当該窪みは空洞部に含まないものとする。
【0010】
また、予め大福に空洞部を設けておくことにより、購入希望者の注文を受けた後に販売者が空洞部を設ける場合と比較して、具入り大福を速やかに提供できる。
特に、空洞部の開口を遮蔽部材により遮蔽しておくことにより、空洞部の乾燥を防止して、柔らかく触感のよい大福を提供できる。
本明細書において「具」には、イチゴ、ミカン、ブルーベリー、バナナ、栗、桃、メロン等の生鮮果実、これら生鮮果実を冷凍又は乾燥させた果実、アイスクリーム、これら生鮮果実及び冷凍・乾燥果実をアイスクリームに混ぜ込んだもの、果物の甘露煮等の加工品を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】具と大福を陳列した状態を示す図
【図2】具入り大福の販売方法を示す図
【図3】ブルーベリー入り大福を示す図(a)、ミカン入り大福を示す図(b)
【図4】遮蔽部材を付けた状態の大福を示す図(a)、遮蔽部材を取り外した状態を示す図(b)及び(c)
【図5】大福と具を容器に入れた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面により詳述する。
図1は具入り大福10(図2(c)参照)を構成する具20と大福30を陳列した状態を示すものである。
具入り大福10の販売形態としては、店舗での店頭販売、車両を利用した移動式販売、簡易組み立て式屋台での露天販売等が挙げられる。移動式販売や露天販売の場合、観光地や祭り会場に出向き、観光客や祭りの来場者に具入り大福10を販売し易いというメリットがある。
陳列台Tの上には複数種類の大福30と具20を並べておく。具体的には、大福30として小豆餡入り大福31、クリーム餡入り大福32、ミルク餡入り大福33をそれぞれ複数並べている。
【0013】
図2に示すように、各大福30の上部には予め空洞部34を設けている。空洞部34は、大福30の上部から棒状部材の先端部を押し込むことで形成できるし、あるいは大福30の上部に切り込みを入れて、親指等で切り込みを押し広げることでも形成できる。また、このような空洞部34の形成作業を機械で自動化してもよい。
空洞部34は大福30の上部から内部まで至るが、大福30の底部までは至らず、いわゆる袋状になっている。
【0014】
大福30の上部には遮蔽部材としてのキャップ35が嵌め込まれており、このキャップ35によって空洞部34の開口を遮蔽し、大福30の内部の乾燥を防ぐ構造になっている。遮蔽部材としてはキャップ35に限らず、例えば食品用ラップフィルムや和紙などを用いて開口の周囲を覆ったり、あるいは大福30全体を覆ってもよい。
具20としてイチゴ21、ブルーベリー22及びミカン23をそれぞれ複数並べている。ミカン23は触感を考慮して予め皮を剥いておくのが好ましい。また、ミカン一個を丸ごと使用してもよい。
また、具20から出た水分を受けるためにトレーの上に具20を載せるのが好ましい。
【0015】
図2は具入り大福10の販売方法を示すものである。
まず、図2(a)に示すように、購入希望者(客)は店頭で複数種類の大福30及び具20の中から好みの組み合わせを選択し、店員に知らせる。
図2(b)に示すように、店員は客が指示した大福30を取り上げ、キャップ35を取り除いて空洞部34を露出させる。
【0016】
次に、店員は客が指示した具20(イチゴ21)を取り上げ、餅の弾性を利用して具20で開口を押し広げながら空洞部34内に押し込む。
なお、店員が大福30及び具20を取り上げる際には衛生面を考慮して手袋を嵌めるか箸、スプーン、ピンセットなどの器具を用いることが好ましい。
【0017】
そして、図2(c)に示すように空洞部34内が外部から見えないように開口の周縁部の餅を具20側に寄せることで開口と具20の隙間を埋めて、さらに大福30全体の形状を整えて具入り大福10が完成する。
完成した具入り大福10は速やかに客に提供される。
【0018】
図3(a)はブルーベリー入り大福40であり、図3(b)はミカン入り大福41である。
大福30に使用する餅の種類は特に制限されるものではなく、例えばヨモギ、豆、抹茶、コーヒー、梅等の果実の果汁などを入れてもよいし、表面にきな粉を付けてもよいし、あるいは何も入れなくてもよい。また、大福30に使用する餡の種類も特に制限されないが、例えばこし餡、ミルク餡、クリーム(例えば生クリーム、カスタードクリーム、マロンクリーム、プリンやティラミスをクリーム状にしたもの等)餡、抹茶餡、コーヒー味餡、チョコレート餡などが挙げられる。また、餡を使用せずに餅のみでもよい。
図4(a)は遮蔽部材としてのキャップ35を付けた状態の大福30であり、図4(b)及び(c)はキャップ35を取り外した状態の大福30である。
【0019】
図5はテイクアウト、通信販売又はスーパーや果物屋でのパック販売用として複数の大福30と具20(イチゴ21)とを容器50に入れた状態を示している。この場合、購入者自身が路上や自宅で具入り大福10を製造することになる。大福30と具20の個数は任意に変更可能であり、大福30の数に対して具20の数を多くしておき、購入者は具20のみを食べたり、あるいは一つの大福30の空洞部34に複数の具20を押し込んで一体化させてもよい。
【0020】
上記実施の形態では複数種類の具20を店頭に陳列しておくものとしたが、これに限らず、例えば具20としてイチゴ21を使用する場合には、土に植えたイチゴ21の苗木を店内に用意して、来店者が実際にイチゴ21狩りを体験できるようにしておき、そこで収穫したイチゴ21を大福30に入れて販売してもよい。
また、店内に水耕栽培の設備を設置しておき、そこで収穫した具20を大福30に入れて販売してもよい。
【0021】
なお、光触媒、オゾン、紫外線等を利用した殺菌・滅菌手段を利用して具20の鮮度を高い状態で維持しながら具20を保存しておくのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は具入り大福の販売方法に関し、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0023】
T 陳列台
10 具入り大福
20 具
21 イチゴ
22 ブルーベリー
23 ミカン
30 大福
31 小豆餡入り大福
32 クリーム餡入り大福
33 ミルク餡入り大福
34 空洞部
35 キャップ
40 ブルーベリー入り大福
41 ミカン入り大福
50 容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部を設けた大福と、具とを組み合わせて販売することを特徴とする具入り大福の販売方法。
【請求項2】
空洞部を設けた大福と、具とを陳列し、購入希望者の注文を受けた後、大福の空洞部に具を押し込み一体化して販売することを特徴とする具入り大福の販売方法。
【請求項3】
前記空洞部の開口が遮蔽部材により遮蔽されており、大福の空洞部に具を押し込む直前に当該遮蔽部材を取り除くことを特徴とする請求項1又は2に記載の具入り大福の販売方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9637(P2013−9637A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145132(P2011−145132)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000233952)
【Fターム(参考)】